HOME >

生活保護法改正・扶養義務(2013−2014)

生活保護改正法について文献

Tweet


◎目次

民法
・生活保護法 4条24条28条29条77条78条
生活保護法の一部を改正する法律(平成25年12月13日法律第104号)
施行規則
施行規則(案)
保護の実施要領
言及
障害者団体
大阪
国会審議
生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会
参考文献


■法(扶養義務に関わる規定)

・民法に定める扶養(民法・外部リンク

(同居、協力及び扶助の義務)
第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
《改正》平16法147

(扶養義務者)
第877条
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2  家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3  前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

(扶養の順位)
第878条
扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。

(扶養の程度又は方法)
第879条
扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。

(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第880条 扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

(扶養請求権の処分の禁止)
第881条  扶養を受ける権利は、処分することができない。


・生活保護法 第四条(外部リンク

(保護の補足性)
第4条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
 民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
 前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。


・24条8項新設(保護開始決定前の扶養義務者に対する通知)

(申請による保護の開始及び変更)
第24条 保護の開始を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りでない。
一  要保護者の氏名及び住所又は居所
二  申請者が要保護者と異なるときは、申請者の氏名及び住所又は居所並びに要保護者との関係
三  保護を受けようとする理由
四  要保護者の資産及び収入の状況(生業若しくは就労又は求職活動の状況、扶養義務者の扶養の状況及び他の法律に定める扶助の状況を含む。以下同じ。)
五  その他要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
 前項の申請書には、要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な書類として厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。ただし、当該書類を添付することができない特別の事情があるときは、この限りでない。
 保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。
 前項の書面には、決定の理由を付さなければならない。
 第三項の通知は、申請のあつた日から十四日以内にしなければならない。ただし、扶養義務者の資産及び収入の状況の調査に日時を要する場合その他特別な理由がある場合には、これを三十日まで延ばすことができる。
 保護の実施機関は、前項ただし書の規定により同項本文に規定する期間内に第三項の通知をしなかつたときは、同項の書面にその理由を明示しなければならない。
 保護の申請をしてから三十日以内に第三項の通知がないときは、申請者は、保護の実施機関が申請を却下したものとみなすことができる。
8 保護の実施機関は、知れたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において、保護の開始の決定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該扶養義務者に対して書面をもつて厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが適当でない場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。
 第一項から第七項までの規定は、第七条に規定する者からの保護の変更の申請について準用する。
10 保護の開始又は変更の申請は、町村長を経由してすることもできる。町村長は、申請を受け取つたときは、五日以内に、その申請に、要保護者に対する扶養義務者の有無、資産及び収入の状況その他保護に関する決定をするについて参考となるべき事項を記載した書面を添えて、これを保護の実施機関に送付しなければならない。


・改正前

(申請による保護の開始及び変更)
第24条 保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。
2 前項の書面には、決定の理由を附さなければならない。
3 第一項の通知は、申請のあつた日から十四日以内にしなければならない。但し、扶養義務者の資産状況の調査に日時を要する等特別な理由がある場合には、これを三十日まで延ばすことができる。この場合には、同項の書面にその理由を明示しなければならない。
4 保護の申請をしてから三十日以内に第一項の通知がないときは、申請者は、保護の実施機関が申請を却下したものとみなすことができる。
5 前四項の規定は、第七条に規定する者から保護の変更の申請があつた場合に準用する。
6 保護の開始又は変更の申請は、町村長を経由してすることもできる。町村長は、申請を受け取つたときは、五日以内に、その申請に、要保護者に対する扶養義務者の有無、資産状況その他保護に関する決定をするについて参考となるべき事項を記載した書面を添えて、これを保護の実施機関に送付しなければならない。

・生活保護法の一部を改正する法律(平成25法104)

  第24条第6項中「資産状況」を「資産及び収入の状況」に改め、同項を同条第10項とし、同条第5項中「前4項」を「第1項から第7項まで」に、「から」を「からの」に、「があつた場合に」を「について」に改め、同項を同条第9項とし、同条第4項中「第1項」を「第3項」に改め、同項を同条第7項とし、同項の次に次の1項を加える。
 8 保護の実施機関は、知れたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において、保護の開始の決定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該扶養義務者に対して書面をもつて厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが適当でない場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。
  第24条第3項中「第1項」を「第3項」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に、「資産状況」を「資産及び収入の状況」に、「要する等」を「要する場合その他」に改め、「。この場合には、同項の書面にその理由を明示しなければならない」を削り、同項を同条第5項とし、同項の次に次の1項を加える。
 6 保護の実施機関は、前項ただし書の規定により同項本文に規定する期間内に第3項の通知をしなかつたときは、同項の書面にその理由を明示しなければならない。
  第24条第2項中「附さなければ」を「付さなければ」に改め、同項を同条第4項とし、同条第1項を同条第3項とし、同条に第1項及び第2項として次の2項を加える。
   保護の開始を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りでない。
  1 要保護者の氏名及び住所又は居所
  2 申請者が要保護者と異なるときは、申請者の氏名及び住所又は居所並びに要保護者との関係
  3 保護を受けようとする理由
  4 要保護者の資産及び収入の状況(生業若しくは就労又は求職活動の状況、扶養義務者の扶養の状況及び他の法律に定める扶助の状況を含む。以下同じ。)
  5 その他要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
 2 前項の申請書には、要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な書類として厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。ただし、当該書類を添付することができない特別の事情があるときは、この限りでない。


・24条に対する言及

「本来、生活保護の申請は、口頭でも可能なのであり、実施機関には窓口を訪れた者の申請意志を確認し、申請を援助すべき義務がある。申請の前提として書類の提出を求めたり、申請意志の確認を意図的に怠ることは申請権(法七条)の侵害であって違法である。
 …「改正」生活保護法二四条二項には、「保護の開始を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。」と規定され、二項には、「前項の申請書には、要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な書類として厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。」と規定されていて、「水際作戦」を法制化するものであると批判をされた。<0015<
 …しかし、「改正」」法については、法文修正によって一項・二項ともに「特別の事情がある場合には、この限りでない。」という但し書きが加わっただけでなく、二四条二項で「厚生労働省令で定める」とされた書類の種類については、結局省令で定めないこととされ同条項は入れ物だけで中身のない「空文」となった。
 今般の法「改正」によっても、書類の提出は保護決定までの間に可能な範囲で行えばよいという従前のこの扱いは変わらないというのが政府答弁、附帯決議であり、むしろ、新施行規則一条二項は、「保護の実施機関は、(略)申請者が申請する意思を表明しているときは、当該申請が速やかに行われるよう必要な援助を行わなければならない」との規定を新設している。」(小久保 201409:15-16)


・28条2項新設(扶養義務者に対する報告の要求)

(報告、調査及び検診)
第28条 保護の実施機関は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条(第3項を除く。次項及び次条第1項において同じ。)の規定の施行のため必要があると認めるときは、要保護者の資産及び収入の状況、健康状態その他の事項を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、当該要保護者に対して、報告を求め、若しくは当該職員に、当該要保護者の居住の場所に立ち入り、これらの事項を調査させ、又は当該要保護者に対して、保護の実施機関の指定する医師若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨を命ずることができる。
《改正》平18法053
《改正》平25法104
 保護の実施機関は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行のため必要があると認めるときは、保護の開始又は変更の申請書及びその添付書類の内容を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、要保護者の扶養義務者若しくはその他の同居の親族又は保護の開始若しくは変更の申請の当時要保護者若しくはこれらの者であつた者に対して、報告を求めることができる。
《追加》平25法104
 第1項の規定によつて立入調査を行う当該職員は、厚生労働省令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
【則】第4条
《改正》平18法053
《改正》平25法104
 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
 保護の実施機関は、要保護者が第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は医師若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨の命令に従わないときは、保護の開始若しくは変更の申請を却下し、又は保護の変更、停止若しくは廃止をすることができる。
《改正》平25法104


・生活保護法の一部を改正する法律(平成25法104)

  第28条の見出し中「調査」を「報告、調査」に改め、同条第1項中「又は実施」を「若しくは実施又は第77条若しくは第78条(第3項を除く。次項及び次条第1項において同じ。)の規定の施行」に、「必要がある」を「必要があると認める」に、「資産状況」を「資産及び収入の状況」に、「要保護者について、」を「厚生労働省令で定めるところにより、当該要保護者に対して、報告を求め、若しくは」に、「、その」を「、当該要保護者の」に改め、同条第4項中「による」の下に「報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは」を加え、同項を同条第5項とし、同条第3項を同条第4項とし、同条第2項中「前項」を「第1項」に、「且つ」を「かつ」に、「呈示しなければ」を「提示しなければ」に改め、同項を同条第3項とし、同条第1項の次に次の1項を加える。
 2 保護の実施機関は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行のため必要があると認めるときは、保護の開始又は変更の申請書及びその添付書類の内容を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、要保護者の扶養義務者若しくはその他の同居の親族又は保護の開始若しくは変更の申請の当時要保護者若しくはこれらの者であつた者に対して、報告を求めることができる。



・29条の改正(扶養義務者に対する調査権限の強化)

・改正前
(調査の嘱託及び報告の請求)
第29条 保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定又は実施のために必要があるときは、要保護者又はその扶養義務者の資産及び収入の状況につき、官公署に調査を嘱託し、又は銀行、信託会社、要保護者若しくはその扶養義務者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。

・改正後
(資料の提供等)
第29条 保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行のために必要があると認めるときは、次の各号に掲げる者の当該各号に定める事項につき、官公署、日本年金機構若しくは国民年金法(昭和34年法律第141号)第3条第2項に規定する共済組合等(次項において「共済組合等」という。)に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社、次の各号に掲げる者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。
一 要保護者又は被保護者であつた者 氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況、健康状態、他の保護の実施機関における保護の決定及び実施の状況その他政令で定める事項(被保護者であつた者にあつては、氏名及び住所又は居所、健康状態並びに他の保護の実施機関における保護の決定及び実施の状況を除き、保護を受けていた期間における事項に限る。)
二 前号に掲げる者の扶養義務者 氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況その他政令で定める事項(被保護者であつた者の扶養義務者にあつては、氏名及び住所又は居所を除き、当該被保護者であつた者が保護を受けていた期間における事項に限る。)
《改正》平25法104
 別表第1の上欄に掲げる官公署の長、日本年金機構又は共済組合等は、それぞれ同表の下欄に掲げる情報につき、保護の実施機関又は福祉事務所長から前項の規定による求めがあつたときは、速やかに、当該情報を記載し、若しくは記録した書類を閲覧させ、又は資料の提供を行うものとする。
《追加》平25法104
(行政手続法の適用除外)
第29条の2 この章の規定による処分については、行政手続法(平成5年法律第88号)第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。


・生活保護法の一部を改正する法律(平成25法104)

 第29条の見出しを「(資料の提供等)」に改め、同条中「又は実施」を「若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行」に、「必要がある」を「必要があると認める」に、「要保護者又はその扶養義務者の資産及び収入の状況」を「次の各号に掲げる者の当該各号に定める事項」に、「に調査を嘱託し」を「、日本年金機構若しくは国民年金法(昭和34年法律第百411号)第3条第2項に規定する共済組合等(次項において「共済組合等」という。)に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め」に、「要保護者若しくはその扶養義務者」を「次の各号に掲げる者」に改め、同条に次の各号を加える。
  1 要保護者又は被保護者であつた者 氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況、健康状態、他の保護の実施機関における保護の決定及び実施の状況その他政令で定める事項(被保護者であつた者にあつては、氏名及び住所又は居所、健康状態並びに他の保護の実施機関における保護の決定及び実施の状況を除き、保護を受けていた期間における事項に限る。)
  2 前号に掲げる者の扶養義務者 氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況その他政令で定める事項(被保護者であつた者の扶養義務者にあつては、氏名及び住所又は居所を除き、当該被保護者であつた者が保護を受けていた期間における事項に限る。)
  第29条に次の1項を加える。
 2 別表第1の上欄に掲げる官公署の長、日本年金機構又は共済組合等は、それぞれ同表の下欄に掲げる情報につき、保護の実施機関又は福祉事務所長から前項の規定による求めがあつたときは、速やかに、当該情報を記載し、若しくは記録した書類を閲覧させ、又は資料の提供を行うものとする。



77条・78条(費用の徴収)

(費用等の徴収)
第77条 被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。
《改正》平25法104
 前項の場合において、扶養義務者の負担すべき額について、保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、保護の実施機関の申立により家庭裁判所が、これを定める。

第78条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に100分の40を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。
《改正》平25法104
2 偽りその他不正の行為によつて医療、介護又は助産若しくは施術の給付に要する費用の支払を受けた指定医療機関、指定介護機関又は指定助産機関若しくは指定施術機関があるときは、当該費用を支弁した都道府県又は市町村の長は、その支弁した額のうち返還させるべき額をその指定医療機関、指定介護機関又は指定助産機関若しくは指定施術機関から徴収するほか、その返還させるべき額に100分の40を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。
《追加》平25法104
3 偽りその他不正な手段により就労自立給付金の支給を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、就労自立給付金費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に100分の40を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。
《追加》平25法104
4 前3項の規定による徴収金は、この法律に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収することができる。
《追加》平25法104
第78条の2 保護の実施機関は、被保護者が、保護金品(金銭給付によつて行うものに限る。)の交付を受ける前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該保護金品の一部を、前条第1項の規定により保護費を支弁した都道府県又は市町村の長が徴収することができる徴収金の納入に充てる旨を申し出た場合において、保護の実施機関が当該被保護者の生活の維持に支障がないと認めたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保護者に対して保護金品を交付する際に当該申出に係る徴収金を徴収することができる。
《追加》平25法104
2 支給機関は、被保護者が、就労自立給付金の支給を受ける前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該就労自立給付金の額の全部又は一部を、前条第1項の規定により保護費を支弁した都道府県又は市町村の長が徴収することができる徴収金の納入に充てる旨を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保護者に対して就労自立給付金を支給する際に当該申出に係る徴収金を徴収することができる。
《追加》平25法104
3 前2項の規定により前条第1項の規定による徴収金が徴収されたときは、当該被保護者に対して当該保護金品(第1項の申出に係る部分に限る。)の交付又は当該就労自立給付金(前項の申出に係る部分に限る。)の支給があつたものとみなす。
《追加》平25法104


・生活保護法の一部を改正する法律(平成25法104)

  第七十七条の前の見出し中「費用」を「費用等」に改める。

  第七十八条中「費用」を「費用の額」に、「徴収することができる」を「徴収するほか、その徴収する額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる」に改め、同条に次の三項を加える。

 2 偽りその他不正の行為によつて医療、介護又は助産若しくは施術の給付に要する費用の支払を受けた指定医療機関、指定介護機関又は指定助産機関若しくは指定施術機関があるときは、当該費用を支弁した都道府県又は市町村の長は、その支弁した額のうち返還させるべき額をその指定医療機関、指定介護機関又は指定助産機関若しくは指定施術機関から徴収するほか、その返還させるべき額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。

 3 偽りその他不正な手段により就労自立給付金の支給を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、就労自立給付金費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。

 4 前三項の規定による徴収金は、この法律に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収することができる。

  第七十八条の次に次の一条を加える。

 第七十八条の二 保護の実施機関は、被保護者が、保護金品(金銭給付によつて行うものに限る。)の交付を受ける前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該保護金品の一部を、前条第一項の規定により保護費を支弁した都道府県又は市町村の長が徴収することができる徴収金の納入に充てる旨を申し出た場合において、保護の実施機関が当該被保護者の生活の維持に支障がないと認めたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保護者に対して保護金品を交付する際に当該申出に係る徴収金を徴収することができる。

 2 支給機関は、被保護者が、就労自立給付金の支給を受ける前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該就労自立給付金の額の全部又は一部を、前条第一項の規定により保護費を支弁した都道府県又は市町村の長が徴収することができる徴収金の納入に充てる旨を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保護者に対して就労自立給付金を支給する際に当該申出に係る徴収金を徴収することができる。

 3 前二項の規定により前条第一項の規定による徴収金が徴収されたときは、当該被保護者に対して当該保護金品(第一項の申出に係る部分に限る。)の交付又は当該就労自立給付金(前項の申出に係る部分に限る。)の支給があつたものとみなす。


■施行規則

生活保護法施行規則(昭和二十五年五月二十日厚生省令第二十一号)

最終改正:平成二六年七月三〇日厚生労働省令第八七号

(最終改正までの未施行法令)
平成二十六年七月三十日厚生労働省令第八十七号 (未施行)
 

 生活保護法 (昭和二十五年法律第百四十四号)第二十八条第二項 、第四十四条第二項 及び第五十四条第二項 の規定により準用される第二十八条第二項 、第五十三条第三項 、第七十三条第二項 並びに第八十二条 の規定に基き、生活保護法施行規則を次のように定める。

(申請)
第一条  生活保護法 (昭和二十五年法律第百四十四号。以下「法」という。)第二十四条第一項 (同条第九項 において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による保護の開始の申請は、保護の開始を申請する者(以下「申請者」という。)の居住地又は現在地の保護の実施機関に対して行うものとする。
2  保護の実施機関は、法第二十四条第一項の規定による保護の開始の申請について、申請者が申請する意思を表明しているときは、当該申請が速やかに行われるよう必要な援助を行わなければならない。
3  法第二十四条第一項第五号(同条第九項 において準用する場合を含む。)の厚生労働省令で定める事項は、次の各号に掲げる事項とする。
一  要保護者の性別及び生年月日
二  その他必要な事項
4  法第十五条の二第一項 に規定するところの介護扶助(同条第二項 に規定する居宅介護又は同条第五項 に規定する介護予防に限る。)を申請する者は、法第十五条の二第三項 に規定する居宅介護支援計画又は同条第六項 に規定する介護予防支援計画の写しを添付しなければならない。ただし、介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第九条 各号のいずれにも該当しない者であつて保護を要するものが介護扶助の申請を行う場合は、この限りでない。
5  法第十八条第二項 に規定する葬祭扶助を申請する者は、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関(法第十八条第二項第二号 に掲げる場合にあつては、当該死者の生前の居住地又は現在地の保護の実施機関)に提出しなければならない。ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りではない。
一  申請者の氏名及び住所又は居所
二  死者の氏名、生年月日、死亡の年月日、死亡時の住所又は居所及び葬祭を行う者との関係
三  葬祭を行うために必要とする金額
四  法第十八条第二項第二号 の場合においては、遺留の金品の状況
6  保護の実施機関は、第四項又は前項に規定する書類又は申請書のほか、保護の決定に必要な書類の提出を求めることができる。
(扶養義務者に対する通知)
第二条  法第二十四条第八項 による通知は、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、行うものとする。
一  保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第七十七条第一項 の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高いと認めた場合
二  保護の実施機関が、申請者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律 (平成十三年法律第三十一号)第一条第一項 に規定する配偶者からの暴力を受けているものでないと認めた場合
三  前各号に掲げる場合のほか、保護の実施機関が、当該通知を行うことにより申請者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合
2  法第二十四条第八項 に規定する厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一  申請者の氏名
二  前号に規定する者から保護の開始の申請があつた日
(報告の求め)
第三条  保護の実施機関は、法第二十八条第二項 の規定により要保護者の扶養義務者に報告を求める場合には、当該扶養義務者が民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による扶養義務を履行しておらず、かつ、当該求めが次の各号のいずれにも該当する場合に限り、行うものとする。
一  保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第七十七条第一項 の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高いと認めた場合
二  保護の実施機関が、要保護者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第一条第一項 に規定する配偶者からの暴力を受けているものでないと認めた場合
三  前各号に掲げる場合のほか、保護の実施機関が、当該求めを行うことにより要保護者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合

(立入調査票)
第四条  法第二十八条第三項 の規定によつて当該職員の携帯すべき証票は、様式第一号による。
・・・[以下省略]


■施行規則(案)

・経緯
2014019 生活保護問題対策全国会議「「改正」生活保護法の施行にあたって制定される 省令等の内容に関する要請書」・
20140227 厚生労働省社会・援護局保護課「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)に関する御意見募集(パブリックコメント)について
20140305 生活保護問題対策全国会議「「改正」生活保護法に関する国会答弁はペテンだったのか? 生活保護法改正に関する省令案の抜本修正を求めるパブリックコメント」・
20140313 大阪弁護士会「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)に対する意見」・
20140318 日弁連「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)に対する意見」・
20140418 厚生労働省社会・援護局保護課「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)に対して寄せられたご意見について
20140418 「生活保護法施行規則の一部を改正する省令
20140418 生活保護問題対策全国会議「「改正」生活保護法にかかる省令の公表にあたっての声明」・
20140518 日本司法書士会連合会「生活保護法施行規則の一部を改正する省令に対する会長声明

・資料
生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)
・「生活保護法施行規則の一部を改正する省令」(20140418 厚生労働省令第57号)

・20140525『賃金と社会保障』1610
・20140425『賃金と社会保障』1608

・生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)

1 改正の趣旨
 生活保護法の一部を改正する法律(平成25年法律第104号)が平成26年7月1日から施行されることに伴い、生活保護法施行規則(昭和25年厚生省令第21号)等について所要の改正を行う。

2 改正の内容
(1)保護の開始等の申請
◯ 生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)による保護の開始の申請等は、申請書を保護の開始を申請する者(以下「申請者」という。)の居住地又は現在地の保護の実施機関に提出して行うものとする。ただし、身体上の障害があるために当該申請書に必要な事項を記載できない場合その他保護の実施機関が当該申請書を作成することができない特別の事情があると認める場合は、この限りではないこととする。
◯ 保護の実施機関は、上記ただし書の場合において、申請者の口頭による陳述を当該職員に聴取させた上で、必要な措置を採ることによって、申請書の受理に代えることができることとする。
◯ 保護の実施機関は、保護の開始の申請について、申請者が申請する意思を表明しているときは、当該申請が速やかに行われるよう必要な援助を行わなければならないこととする。
(2)扶養義務者に対する通知
◯ 保護の実施機関が扶養義務者に対して通知する事項として、保護を開始する者の氏名及び当該者からの保護の開始の申請があった日を規定する。
◯ また、当該通知を行うことが適当でない場合として、
@ 保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第77条第1項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高くないと認めた場合
A 保護を開始する者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第1項に規定する配偶者からの暴力を受けているものであると認めた場合
B @及びAのほか、保護の実施機関が、当該通知を行うことにより保護を開始する者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがあると認めた場合
を規定する。
(3)扶養義務者に対する報告の求め
 保護の実施機関は、扶養義務者に報告を求める場合は、あらかじめ、当該扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行しておらず、かつ、当該求めが次のいずれの場合にも該当していない旨を確認するものとする。
@ 保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第77条第1項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高くないと認めた場合
A 要保護者が保護を開始する者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第1条第1項に規定する配偶者からの暴力を受けているものであると認めた場合
B @及びAのほか、保護の実施機関が、当該通知を行うことにより要保護者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがあると認めた場合
(4)指定医療機関の指定等の手続
・・・[以下省略]


・施行規則(案)に対する言及

「省令案は、原則として扶養義務者へ通知し、「保護の実施機関が当該扶養義務者に対して法77条第1項の規定による費用徴収を行う蓋然性が高く無いと認めた場合」は例外的に通知しなくてよいことになっていた。国会答弁とは原則と例外が逆になっており、国会答弁を覆すと言ってもいい案であった。

 このような省令案に対しては、国会での政府答弁、貝瀬法成立時の附帯決議等に基づき、省令案の抜本的修正、撤回を求める、1116件という多数のパブリックコメントが寄せられ、これらの意見に沿う形で2014年3月18日に修正の上、省令が公布された。

 省令の主な内容は以下のとおりである[脚注11]。

 ◯扶養義務者に対する通知や報告の求めについて
 省令では、@実施機関が扶養義務者に対して家庭裁判所の審判を利用した費用徴収を行う蓋然性が高いこと、ADV被害を受けていないこと、Bその他自立に重大な支障を及ぼすおそれがないことの、すべてを満たす場合に限って通知等を行うものと修正され、「極めて限定的な場合」に限られることが、明確にされた。」(吉永 201406: 55)

脚注11:2014年4月18日生活保護問題対策全国会議「『改正』生活保護法にかかる省令の公表にあたっての声明」(本誌No.1610、45-46頁)参照。

「案とはいえ、いったん公表された省令案が大幅に修正されたのは異例のことである。また、これまでのパブコメに対する意見数では、例えば2009年度ではパブコメを募集した765項目中、500件以上の意見が寄せられたのは10項目にとどまっており、今回はいかに本省令案が強かったかがわかる。[脚注13]実務に影響する省令レベルで国会答弁等を骨抜きにしようとした、国の姑息なやり方が通用しなかった点でも大きな意義がある。国は猛省すべきである。」(吉永 201406: 55)

脚注13:2014年4月19日「東京新聞」。

・生活保護問題対策全国会議
20140305 「「改正」生活保護法に関する国会答弁はペテンだったのか? 生活保護法改正に関する省令案の抜本修正を求めるパブリックコメント」・

第3 扶養義務者に対する通知(24条8項)と扶養義務者に対する報告の求め(28条)について
(1)省令案の内容 
 通知については「当該通知を行うことが適当でない場合」として、報告の求めについては「次のいずれの場合にも該当していない旨を確認するものとする」として、以下の@ABを掲げ、原則として通知を行い、報告を求めるが、@ABに該当する場合のみ例外的に通知や報告要求を行わないとしている。
 @  保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第77条第1項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高くないと認めた場合
 A 保護を開始する者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第1条第1項に規定する配偶者からの暴力を受けているものであると認めた場合
 B  @及びAのほか、保護の実施機関が、当該通知を行うことにより保護を開始する者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがあると認めた場合
(2)問題点
 これらの規定の適用場面については、前記「生活保護関係全国係長会議資料」において、「福祉事務所が家庭裁判所を活用した費用徴収を行うこととなる蓋然性が高いと判断するなど、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる極めて限定的な場合に限ることにし、その旨厚生労働省令で明記する予定である。」と記載され、25年5月31日衆議院厚生労働委員会にて村木局長(当時)も同趣旨の答弁をしていた。
 つまり、原則として通知や報告要求は行わず、これらを行うのは「家裁を活用した費用徴収を行う蓋然性が高いと判断される」極めて例外的な場合に限るものとしていた。
 しかし、省令案は、原則と例外を完全に逆転させ、原則的に通知や報告要求を行うが、通知等を行わない例外的場合として@ABを規定する方法をとっている。つまり、実施機関が@ABの場合であると積極的に認定した場合以外においては通知を行い、報告要求も行うことになる。家裁を使った費用徴収を行うか行わないか判断しかねる場合、国会答弁では、通知や報告要求をしないはずであったが、省令案を前提とすれば通知や報告要求を行うべきこととなる。
  これでは、「極めて限定的な場合に限る」という説明や答弁が全くの虚偽であったということになり到底容認できない。
(3)修正案
 係長会議での説明や国会答弁どおり、通知や報告要求を行うのは、「福祉事務所が家庭裁判所を活用した費用徴収を行うこととなる蓋然性が高いと判断するなど、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる極めて限定的な場合に限る」と修正すべきである。このように表記すれば、省令案のAやBの場合を挙げる必要はなくなるが、言うまでもない念のための規定としてAやBも注記してもよい。」



■保護の実施要領

基本通知
生活保護法による保護の実施要領について
(厚生事務次官通知 昭和36年4月1日 厚生省発社第123号)

生活保護法による保護の実施要領について
(厚生省社会局長通知 昭和38年4月1日 社発第246号)

生活保護法による保護の実施要領の取り扱いについて
(厚生省社会局保護課長通知 昭和38年4月1日 社保第34号)

◯厚生労働事務次官通知

第5 扶養義務の取扱い
要保護者に扶養義務者がある場合には、扶養義務者に扶養及びその他の支援を求めるよう、要保護者を指導すること。また、民法上の扶養義務の履行を期待できる扶養義務者のあるときは、その扶養を保護に優先させること。この民法上の扶養義務は、法律上の義務ではあるが、これを直ちに法律に訴えて法律上の問題として取り運ぶことは扶養義務の性質上なるべく避けることが望ましいので、努めて当事者間における話合いによって解決し、円満裡に履行させることを本旨として取り扱うこと。

◯厚生労働省社会・援護局長通知

第5 扶養義務の取扱い

1 扶養義務者の存否の確認について
(1) 保護の申請があったときは、要保護者の扶養義務者のうち次に掲げるものの存否をすみやかに確認すること。この場合には、要保護者よりの申告によるものとし、さらに必要があるときは、戸籍謄本等により確認すること。
ア 絶対的扶養義務者。
イ 相対的扶養義務者のうち次に掲げるもの。
(ア) 現に当該要保護者又はその世帯に属する者を扶養している者。
(イ) 過去に当該要保護者又はその世帯に属する者から扶養を受ける等特別の事情があり、かつ、扶養能力があると推測される者。
(2) 扶養義務者の範囲は、次表のとおりであること。
親等表 (略)
(3) 扶養義務者としての「兄弟姉妹」とは、父母の一方のみを同じくするものを含むものであること。

2 扶養能力の調査について
(1) 1により把握された扶養義務者について、その職業、収入等につき要保護者その他により聴取する等の方法により、扶養の可能性を調査すること。なお、調査にあたっては、金銭的な扶養の可能性のほか、被保護者に対する定期的な訪問・架電、書簡のやり取り、一時的な子どもの預かり等(以下「精神的な支援」という。)の可能性についても確認するものとする。
(2) 次に掲げる者(以下「重点的扶養能力調査対象者」という。)については、更にアからエにより扶養能力を調査すること。
@ 生活保持義務関係にある者
A @以外の親子関係にある者のうち扶養の可能性が期待される者
B @、A以外の、過去に当該要保護者又はその世帯に属する者から扶養を受ける等特別の事情があり、かつ、扶養能力があると推測される者
ア 重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管内に居住する場合には、実地につき調査すること。
重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管外に居住する場合には、まずその者に書面により回答期限を付して照会することとし、期限までに回答がないときは、再度期限を付して照会を行うこととし、なお回答がないときは、その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか、又はその居住地の市町村長に照会すること。ただし、重点的扶養能力調査対象者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には、まず関係機関等に対して照会を行い、なお扶養能力が明らかにならないときは、その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか、又はその居住地の市町村長に照会すること。
なお、相当の扶養能力があると認められる場合には、管外であっても、できれば実地につき調査すること。
イ 調査は、重点的扶養能力調査対象者の世帯構成、職業、収入、課税所得及び社会保険の加入状況、要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等について行うこと。
ウ アの調査依頼を受けた保護の実施機関は、原則として3週間以内に調査の上回答すること。
エ 調査に際しては、重点的扶養能力調査対象者に要保護者の生活困窮の実情をよく伝え、形式的にわたらないよう留意すること。
(3) 重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者については、次により扶養能力を調査すること。なお、実施機関の判断により、重点的扶養能力調査対象者に対する調査方法を援用しても差しつかえない。
ア 重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者への照会は、原則として書面により回答期限を付して行うこと。なお、実施機関の判断により電話連絡により行うこととしても差しつかえないが、不在等により連絡が取れない場合については、再度の照会又は書面による照会を行うこと。また、電話連絡により照会した場合については、その結果及び聴取した内容をケース記録に記載するとともに、金銭的な援助が得られる場合については、その援助の内容について書面での提出を求めること。
イ 実施機関において重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には、扶養の可能性が期待できないものとして取り扱うこと。
ウ 照会の際には要保護者の生活困窮の実情をよく伝えるとともに、重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者の世帯構成、職業、収入、課税所得及び社会保険の加入状況、要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等の把握に努めること。
(4) 扶養の程度及び方法の認定は、実情に即し、実効のあがるように行うものとし、扶養義務者の了解を得られるよう努めること。この場合、扶養においては要保護者と扶養義務者との関係が一義的であるので、要保護者をして直接扶養義務者への依頼に努めさせるよう指導すること。
(5) 扶養の程度は、次の標準によること。
ア 生活保持義務関係(第1の2の(4)のイ、同(5)のイ、ウ若しくはオ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者に対する生活保持義務関係を除く。)においては、扶養義務者の最低生活費を超過する部分
イ 第1の2の(4)のイ、同(5)のイ、ウ若しくはオ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者に対する生活保持義務関係並びに直系血族(生活保持義務関係にある者を除く。)兄弟姉妹及び相対的扶養義務者の関係(以下「生活扶助義務関係」という。)においては、社会通念上それらの者にふさわしいと認められる程度の生活を損わない限度
(6) 扶養の程度の認定に当たっては、次の事項に留意すること。
ア 扶養義務者が生計中心者であるかどうか等その世帯内における地位等を考慮すること。
イ 重点的扶養能力調査対象者以外の者が要保護者を引き取ってすでになんらかの援助を行っていた場合は、その事情を考慮すること。

3 扶養義務者への通知について
保護の開始の申請をした要保護者について、保護の開始の決定をしようとする場合で、要保護者の扶養義務者に対する扶養能力の調査によって、法第77条第1項の規定による費用徴収を行う蓋然性が高いなど、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者が、民法に定める扶養を履行していない場合は、要保護者の氏名及び保護の開始の申請があった日を記載した書面を作成し、要保護者に保護の開始の決定をするまでの間に通知すること。

4 扶養の履行について
(1) 扶養能力の調査によって、要保護者の扶養義務者のうち、法第77条第1項の規定による費用徴収を行う蓋然性が高いなど、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者が、民法に定める扶養を履行していない場合は、書面により履行しない理由について報告を求めること。
(2) 重点的扶養能力調査対象者が十分な扶養能力があるにもかかわらず、正当な理由なくして扶養を拒み、他に円満な解決の途がない場合には、家庭裁判所に対する調停又は審判の申立てをも考慮すること。この場合において、要保護者にその申立てを行わせることが適当でないと判断されるときは、社会福祉主事が要保護者の委任を受けて申立ての代行を行ってもよいこと。なお、重点的扶養能力調査対象者以外の者について家庭裁判所に対して調停等を申立てることを妨げるものではない。
(3) (2)の場合において、必要があるときは、(2)の手続の進行と平行してとりあえず必要な保護を行ない、家庭裁判所の決定があった後、法第77条の規定により、扶養義務者から、扶養可能額の範囲内において、保護に要した費用を徴収する等の方法も考慮すること。
なお、法第77条の規定による費用徴収を行なうに当たっては、扶養権利者が保護を受けた当時において、当該扶養義務者が法律上の扶養義務者であり、かつ、扶養能力があったこと及び現在当該扶養義務者に費用償還能力があることを確認すること。
(4) 扶養義務者の扶養能力又は扶養の履行状況に変動があったと予想される場合は、すみやかに、扶養能力の調査を行い、必要に応じて(1)の報告を求めたうえ、再認定等適宜の処理を行うこと。
なお、重点的扶養能力調査対象者に係る扶養能力及び扶養の履行状況の調査は、年1回程度は行うこと。

◯厚生労働省社会・援護局保護課長通知

第5 扶養義務の取扱い

問1 局長通知第5の1の(1)のイの(イ)にいう「特別の事情」に該当するのは、どのような場合であるか。
 民法第877条第2項にいう特別の事情と同様趣旨のものと考えてよく、この場合、特別の事情とは、法律上絶対的扶養義務者には一般的に扶養義務が課せられるが、その他の三親等内の親族についても、親族間に生活共同体的関係が存在する実態にあるときは、その実態に対応した扶養関係を認めるという観点から判断することが適当であるとされている。したがって、本法の運用にあたっても、この趣旨に沿って、保護の実施機関において、当事者間の関係並びに関係親族及び当該地域における扶養に関する慣行等を勘案して特別の事情の有無を判断すべきものである。
わが国の社会実態からみて、少なくとも次の場合には、それぞれ各号に掲げる者について特別の事情があると認めることが適当である。ただし、当該判断にあたっては機械的に取り扱うことなく、原則当事者間における話合い等によって解決するよう努めること。
1 その者が、過去に当該申請者又はその世帯に属する者から扶養を受けたことがある場合。
2 その者が、遺産相続等に関し、当該申請者又はその世帯に属する者から利益を受けたことがある場合。
3 当該親族間の慣行又は当該地域の慣行により、その者が当該申請者又はその世帯に属する者を扶養することが期待される立場にある場合。

問2 局長通知第5の2の(1)による扶養の可能性の調査により、例えば、当該扶養義務者が被保護者、社会福祉施設入所者及び実施機関がこれらと同様と認める者、要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない者並びに夫の暴力から逃れてきた母子等当該扶養義務者に対し扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害することになると認められる者であって、明らかに扶養義務の履行が期待できない場合は、その間の局長通知第5の2の(2)及び(3)の扶養能力調査の方法はいかにすべきか。
答1 当該扶養義務者が生活保持義務関係にある扶養義務者であるときは、局長通知第5の2の(2)のアのただし書きにいう扶養義務者に対して直接照会することが真に適当でない場合として取り扱って差しつかえない。
 2 当該扶養義務者が生活保持義務関係にある扶養義務者以外であるときは、個別の慎重な検討を行い扶養の可能性が期待できないものとして取り扱って差しつかえない。
 3 なお、いずれの場合も、当該検討経過及び判定については、保護台帳、ケース記録等に明確に記載する必要があるものである。

問3 生活扶助義務関係にある者の扶養能力を判断するにあたり、所得税が課されない程度の収入を得ている者は、扶養能力がないものとして取り扱ってよいか。
 給与所得者については、資産が特に大きい等、他に特別の事由がない限り、お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。給与所得者であってもこの取扱いによることが適当でないと認められる者及び給与所得者以外の者については、各種収入額、資産保有状況、事業規模等を勘案して、個別に判断すること。

問4 局長通知第5の2の(5)のアは、生活保持義務関係にある者の同居の事実の有無又は親権の有無にかかわらず適用されるものと思うが、どうか。
 お見込みのとおりである。

問5 局長通知第5の3及び4の(1)における「明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者」とはどのような者をいうか。
 当該判断に当たっては、局長通知第5の2による扶養能力の調査の結果、@定期的に会っているなど交際状況が良好であること、A扶養義務者の勤務先等から当該要保護者に係る扶養手当や税法上の扶養控除を受けていること、B高額な収入を得ているなど、資力があることが明らかであること等を総合的に勘案し、扶養義務の履行を家庭裁判所へ調停又は審判の申立てを行う蓋然性が高いと認められる者をいう。

第8 収入の認定

問41 扶養義務者からの援助金はすべて「他から恵与される金銭」として取り扱うことは認められないか。  扶養義務者からの援助金はその援助が当該扶養義務者について期待すべき扶養の程度をこえ、かつ、当該被保護世帯の自立更生のためにあてるべきことを明示してなされた場合に限り、「自立更生を目的として恵与された金銭」に該当するものとして取り扱って差しつかえない。

第9 保護の開始申請等

問1 生活保護の面接相談においては、保護の申請意思はいかなる場合にも確認しなくてはならないのか。
 相談者の保護の申請意思は、例えば、多額の預貯金を保有していることが確認されるなど生活保護に該当しないことが明らかな場合や、相談者が要保護者の知人であるなど保護の申請権を有していない場合等を除き確認すべきものである。なお、保護に該当しないことが明らかな場合であっても、申請権を有する者から申請の意思が表明された場合には申請書を交付すること。

問2 相談段階で扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取することは申請権の侵害に当たるか。
 扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取すること自体は申請権の侵害に当たるものではないが、「扶養義務者と相談してからではないと申請を受け付けない」などの対応は申請権の侵害に当たるおそれがある。
また、相談者に対して扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い、その結果、保護の申請を諦めさせるようなことがあれば、これも申請権の侵害にあたるおそれがあるので留意されたい。

問3 相談段階で相談者の困窮の状況等を確認するために必要な資料の提出を求めることは申請権の侵害にあたるか。
 相談段階で、資産及び収入の状況等が確認できる資料の提出を求めること自体は申請権の侵害に当たるものではない。ただし、「資料が提出されてからでないと申請を受け付けない」などの対応は適切ではない。
なお、申請段階では、速やかかつ正確な保護の決定を行うために、申請日以降できる限り早期に必要となる資料を提出するよう求めることは認められるが、書面等の提出は申請から保護決定までの間でも差し支えない。これに関し、当該申請者の事情や状況から必要となる資料の提出が困難と認められる場合には、保護の実施機関において調査等を実施し、要件の確認の審査を徹底することが必要となる。

第10 保護の決定

問16 扶助費の再支給を行うにあたり、留意すべき事項を示されたい。
答 次の点に留意すること。
1 盗難、強奪その他不可抗力の認定
(1) 盗難、強奪
金額の多寡を問わず、警察に被害届を出し捜査依頼を必ず行わせること。
(2) その他不可抗力
その他としては遺失等が考えられるが、社会通念上一般に要求される程度の注意をしたにも関わらず、遺失したことが挙証されない限り、不可抗力とは認められない。遺失の場合も、警察に遺失届の提出を必ず行わせること。
2 調査及び指導等
(1) 事実の調査
被保護者から扶助費の再支給の申請があった場合には本人及び関係者等から事情を詳細に聴取するとともに、必要に応じて実地調査等を行い、失った理由、金額、当時の手持金等について十分に確認すること。
(2) 扶養義務者に対する扶養依頼等の指導
盗難等により保護金品を失ったという特別な事情があるので、通常の扶養は期待できない者も含め援助を受けることを指導し、扶養依頼を行うこと。
3 金品管理等生活指導
一般に、保護費を紛失し再支給を申請するケースは、保護費の大部分を携帯し金銭管理に注意を欠く例が多いので、生活上の指導を十分に行い、必要以上の金品を携帯することのないよう配慮すること。
4 預貯金の活用
被保護者が預貯金を有しており、これを充てれば最低生活が可能と認められる場合は、自己の急迫・緊急状態を回避するため、最優先として預貯金を生活維持に充てさせること。


◯生活保護手帳

1 厚生労働省告示 →告
2 厚生労働事務次官通知 →次
3 厚生労働省社会・援護局長通知 →局
4 厚生労働省社会・援護局保護課長通知 →問・答、課
5 その他関係通知等 →〔参考〕

・次 第5

「要保護者に扶養義務者がある場合には,扶養義務者に扶養及びその他の支援を求めるよう,要保護者を指導すること。また,民法上の扶養義務の履行を期待できる扶養義務者のあるときは,その扶養を保護に優先させること。この民法上の扶養義務は,法律上の義務ではあるが,これを直ちに法律に訴えて法律上の問題として取り運ぶことは扶養義務の性質上なるべく避けることが望ましいので,努めて当事者聞における話合いによって解決し,円満裡に雇行させることを本旨として取り扱うこと。」(手帳 2014:229)

・局 第5

「1 扶養義務者の存否の確認について
(1) 保護の申請があったときは,要保護者の扶養義務者のうち次に掲げるものの存否をすみやかに確認すること。この場合には,要保護者よりの申告によるものとしさらに必要があるときは,戸籍謄本等により確認すること。
ア絶対的扶養義務者
イ相対的扶養義務者のうち次に掲げるもの
(ア) 現に当該要保護者又はその世帯に属する者を扶養している者
(イ)過去に当該要保護者又はその世帯に属する者から扶養を受ける等特別の事情があり,かつ,扶養能力があると推測される者」(手帳 2014:229)

「〔相対的扶養義務者との特別の事情〕
問(第5の1) 局長通知第5の1の(1)のイの(イ)にいう「特別の事情jに該当するのは,どのような場合であるか。
答 民法第877条第2項にいう特別の事情と同様趣旨のものと考えてよく,この場合,特別の事情とは,法律上絶対的扶養義務者には一般的に扶養義務が課せられるが,その他の3親等内の親族についても,親族聞に生活共同体的関係が存在する実態にあるときは,その実態に対応した扶養関係を認めるという観点から判断することが適当であるとされている。したがって,本法の運用にあ<0229<たっても,この趣旨に沿って,保護の実施機関において,当事者間の関係並びに関係親族及び当該地域における扶養に関する慣行等を勘案して特別の事情の有無を判断すべきものである。
 わが国の社会実態からみて,少なくとも次の場合にはそれぞれ各号に掲げる者について特別の事情があると認めることが適当である。ただし当該判断にあたっては機械的に取り扱うことなく,原則当事者間における話合い等によって解決するよう努めること。
1 その者が,過去に当該申請者又はその世帯に属する者から扶養を受けたことがある場合
2 その者が,遺産相続等に関し当該申請者又はその世帯に属する者から利益を受けたことがある場合
3 当該親族問の慣行又は当該地域の慣行により,その者が当該申請者又はその世帯に属する者を扶養することが期待される立場にある場合
* 局 第5ーlー(1)ーイー(イ) 相対的扶養義務者との特別の事情(p.229)」(手帳 2014:229-230)

・(2)扶養義務者の範囲は,次表のとおりであること。
親等表[省略](手帳 2014:230)


「(3)扶養義務者としての「兄弟姉妹」とは,父母の一方のみを同じくするものを含むものであること。
2 扶養能力の調査について
(1) 1により把握された扶養義務者について,その職業,収入等につき要保護者その他により聴取する等の方法により,扶養の可能性を調査すること。なお,調査にあたっては,金銭的な扶養の可能性のほか,被保護者に対する定期的な訪問・架電書簡のやり取り,一時的な子どもの預かり等(以下「精神的な支援」という。)の可能性についても確認するものとする。」(手帳 2014:231)

「〔扶養義務の雇行が期待できない者に対する扶養能力調査の方法〕
i 問(第5の2)局長通知第5の2の(1)による扶養の可能性の調査により,例えば当該扶養義務者が被保護者,社会福祉施設入所者及び実施機関がこれらと同様と認める者,要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない者並びに夫の暴力から逃れてきた母子等当該扶養義務者に対し扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害することになると認められる者であって,明らかに扶養義務の履行が期待できない場合は,その問の局長通却第5の2の(2)及的3)の扶養能力調査の方法はいかにすべきか。
答1 当該扶養義務者が生活保持義務関係にある扶養義務者であるときは,局長通知第5の2の(2)のアのただし書きにいう扶養義務者に対して直接照会することが真に適当でない場合として取り扱って差しっかえない。
2 当該扶養義務者が生活保持義務関係にある扶養義務者以外であるときは,個別の慎重な検討を行い扶養の可能性が期待できないものとして取り扱って差しつかえない。
3 なお,いずれの場合も,当該検討経過及び判定については,保護台帳,ケース記録等に明確に記載する必要があるものである。

*6 第5-2ー(1) 扶養の可能性の調査(p.231)
*6 第5-2ー(2)扶養能力調査の方法(重点的扶養能力調査対象者) (p.232)
*6 第5-2ー(3) 扶養能力調査の方法(重点的扶養能力調査対象者以外)(p.233)
* G)第5-2 -(2) アただし自重点的扶養能力調査対象者に対して直<0232<接照会することが真に適当でないと認められる場合(p.232)」(手帳 2014:231-232)

「〔扶養能力の判断〕
問(第5の3) 生活扶助義務関係にある者の扶養能力を判断するにあたり,所得税が課されない程度の収入を得ている者は,扶養能力がないものとして取り扱ってよいか。

答 給与所得者については,資産が特に大きい等,他に特別の事由がない限り,お見込みのとおり取り扱って差しっかえない。給与所得者で、あってもこの取扱いによることが適当で、ないと認められる者及び給与所得者以外の者については,各種収入額,資産保有状況,事業規模等を勘案して,個別に判断すること。」(手帳 2014:232)

「(2) 次に掲げる者(以下「重点的扶養能力調査対象者」という。)については,更にアからエにより扶養能力を調査すること。
@ 生活保持義務関係にある者
A @以外の親子関係にある者のうち扶養の可能性が期待される者
B @,A以外の,過去に当該要保護者又はその世帯に属する者から扶養を受ける等特別の事情があり,かつ,扶養能力があると推測される者
 ア 重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管内に居住する場合には,実地につき調査すること。
 重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管外に居住する場合には,まずその者に書面により回答期限を付して照会することとし,期限までに回答がないときは,再度期限を付して照会を行うこととし,なお回答がないときは,その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか,又はその居住地の市町村長に照会すること。ただし重点的扶養能力調査対象者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には,まず関係機関等に対して照会を行い,なお扶養能力が明らかにならないときは,その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか,又はその居住地の市町村長に照会すること。
 なお,相当の扶養能力があると認められる場合には,管外であっても,できれば実地につき調査すること。<0232<
イ 調査は,重点的扶養能力調査対象者の世帯構成,職業,収入課税所得及び社会保険の加入状況,要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等について行うこと。
ウ アの調査イ衣頼を受けた保護の実施機関は,原則として3週間以内に調査の上回答すること。
エ 調査に際しては,重点的扶養能力調査対象者に要保護者の生活困窮の実情をよく伝え,形式的にわたらないよう留意すること。
(3)重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者については,次により扶養能力を調査すること。なお,実施機関の判断により,重点的扶養能力調査対象者に対する調査方法を援用しでも差しつかえない。
ア 重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者への照会は,原則として書面により回答期限を付して行うこと。なお,実施機関の判断により電話連絡により行うこととしても差しつかえないが,不在等により連絡が取れない場合については,再度の照会又は書面による照会を行うこと。また,電話連絡により照会した場合については,その結果及び聴取した内容をケース記録に記載するとともに金銭的な援助が得られる場合については,その援助の内容について書面での提出を求めること。
イ 実施機関において重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には,扶養の可能性が期待できないものとして取り扱うこと。
ウ 照会の際には要保護者の生活困窮の実情をよく伝えるとともに,重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者の世帯構成職業,収入課税所得及び社会保険の加入状況,要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等の把握に努めること。
(4) 扶養の程度及び方法の認定は,実情に即し, 実効のあがるように行うものとし扶養義務者の了解を得られるよう努めること。この場合,扶養においては要保護者と扶養義務者との関係が一義的であるので,要保護者をして直接扶養義務者への依頼に努めさせるよう指導すること。
(5)扶養の程度は,次の標準によること。<0323<
ア 生活咋采持義務関係(第1の2の(4)のイ,同(5)のイ,ウ若しくはオ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者に対する生活保持義務関係を除く。)においては,扶養義務者の最低生活費を超過する部分
イ 第lの2の(4)のイ,同(5)のイ,ウ若しくはオ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者に対する生活保持義務関係並びに直系血族(生活保持義務関係にある者を除く。)兄弟姉妹及び相対的扶養義務者の関係(以下「生活扶助義務関係Jという。)においては,社会通念上それらの者にふさわしいと認められる程度の生活を損なわない限度

*局 第1―2―(4) 常時介護又は監視を要する寝たきり老人等の世帯分離(p.194)
*局 第1―2―(5) 出身世間と同一世帯として認定することが出身世帯員の自立助長を阻害する場合の世帯分離(p.195)
*局 第1―2―(8)救護施設等の入所者と出身世帯員とを同一世帯として認定することが適当でない場合の世帯分雌(p.195)」(手帳 2014:232-234)



■言及

・厚生労働大臣裁決平成26年2月14日

「請求人(妹)が、実家の扶養義務者(兄)との関係は良好ではないとして、単独で保護申請したところ、兄の同居扶養の申し出を理由に法4条1項の要件を満たさないとして保護申請を却下した原処分を取り消した大臣裁決」(吉永 201406: 52)

cf.厚生労働省,20140214,「親族が同居による扶養を申し出たことを理由とする保護申請却下処分を取り消した厚生労働大臣裁決(平成26年2月14日) 厚生労働省発社援0214号第1号」『賃金と社会保障』1611: 63-67.

・別冊問答集 第5 扶養義務の取扱い

「扶養は、生活保護の開始条件ではないこは、国も認めるところである。2008年度の実施要領改正に伴い、別冊問答集の記述が次のように改正され、その趣旨が明確になっている。[脚注6]
 法4条第1項の「その他あらゆるもの」とは、例えば年金受給権のように、「現実には資産となっていないが、要保護者本人が努力(手続き)することによって容易に資産になり得るもの」をさしている。これを扶養にあてはめて考えてみると、「扶養義務者による扶養」が資産(金銭)となり得るためには、要保護世帯以外の第三者である扶養義務者が扶養の能力と扶養する意志を有していることが必要となる。すなわち、要保護者本人の努力のみで資産となり得るものではなく、それが単なる期待可能性に過ぎない状態においては、第1項の「その他あらゆるもの」に含むことはできない。一方で、例えば、扶養義務者が月々の金銭援助を申し出ている場合など、扶養義務者には扶養能力があり、かつ扶養する石があることが明らかである場合においては、扶養義務者の扶養は、要保護者本人の扶養請求権の行使(努力)によって、資産(金銭)となり得ることになる。したがって、このような場合には、扶養請求権は保護の要件として位置付けられることになるとした。
 このように、最低生活のために容易に金銭となり得るかどうかという資産活用における資産性の判断を援用して、扶養が単なる期待可能性に過ぎない場合には、4条1項の「その他あらゆるもの」に含むことはできず、保護の要件ではないと明確にした。
 この趣旨は、最近の国の会議においても確認されている。…
 しかし、別冊問答集では、扶養義務者からの援助が確実である場合には、扶養請求権が保護の要件として位置づけられる場合が認められている。また、全国厚生労働関係部局長<0053<でも、例外的ではあるが、不適切なケースを挙げている。
 だが扶養は、その性質上、扶養義務者の経済状況や意向、要保護者との関係などによって影響される、不確実かつデリケートなものである。扶養義務の強制は、かえって親族関係を疎遠にする恐れもある。したがって、生活保護の運用マニュアルである、保護の実施要領でも「(扶養義務者を)直ちに法律に訴えて法律上の問題として取り運ぶことは扶養義務の性質上なるべく避けることが望ましいので、努めて当事者間における話合いによって解決し、円満裡に履行させることを本旨として取り扱うこと」[脚注8]とされているのである。
 このようなものを、限定的な場合とはいえ保護の要件とみなす理由は乏しい。また、要件となれば、扶養義務者から多少でも確実な援助の申し出があって申請者がそれを拒否した場合、保護申請を却下しなければならなくなり、最低生活保障という生活保護の目的に悖る事態となる。したがって、扶養は実際に履行された後に収入として認定すれば足りると考えるべきである。」(吉永 201406: 53-54)

脚注6:生活保護手帳別冊問答集「第5 扶養義務の取扱い」冒頭の記述参照

脚注8:保護の実施要領「第5 扶養義務の取扱い」、厚生労働事務次官通知第5

・北海道知事平成20年10月17日裁決

「生活保護受給中の請求人の妹から同人を扶養する旨の申立書が出されたことから、処分庁は「扶養義務者の扶養開始」を理由として保護廃止をした。しかし、請求人はこれまで妹から経済的援助は一切なく、そもそも扶養の申し立てがあることのみもって保護を廃止することはできないから、廃止処分は違法・不当であるとして、審査請求した。これに対して、北海道知事平成20年10月17日裁決は、「(扶養は)『単に事実上扶養が行われたときにこれを被扶助者の収入として取り扱うもの』とする立場にあるとされる。」これは「請求人のような保護受給中の者が、扶養を受けた場合には、その額を収入として、取り扱えばよいものと解される。」。…
 扶養が保護の要件ではなく、単に収入認定上の問題にしか過ぎないことを明快に示した裁決である。」(吉永 201406: 54)

三郷市生活保護国会賠償請求訴訟さいたま地判2013(平成25)・2・20

「…福祉事務所の「水際作戦」などが問題になった三郷市生活保護国会賠償請求訴訟(三郷事件)のさいたま地判2013(平成25)・2・20(賃社1585号52頁)は、相談者に対し保護の実施機関が負う義務について次のように述べた。
 「申請行為が認められないときでも、相談者の申請行為を侵害してはならないことは明らかであり、生活保護実施機関は、生活保護制度の説明を受けるため、あるいは、生活保護を受けることを希望して、又は、生活保護の申請をしようとして来所した相談者に対し、要保護性に該当しないことが明らかな場合等でない限り、相談者の受付ないし、面接の際の具体的な言動、受付ないし面接により把握した相談者に係る生活状況等から、相談者に生活保護申請の意志があることを知り、若しくは、具体的に推知し得たのに申請の意志を確認せず、又は、扶養義務者ないし親族から扶養・援助を受けるよう求めなければ申請を受け付けない,あるいは,生活保護を受けることができない等の誤解を与える発言をした結果,申請することができなかったときなど,故意又は過失により申請権を侵害する行為をした場合には,職務上の義務違反として,これによって生じた損害について賠償する責任が認められる」」(村田 201407: 6)

・家族主義的バッシング

「…ネオリベ以前に存在する、日本の社会福祉における歴史的な人権意識の弱さは、度々生活保護研究でも問題とされてきた。ま<0159<た、個人単位の生活保護への改正がすでに支援者や現場からこの間提言されている中での、今回の家族主義的バッシングであった。
 生活保護の歴史を見れば、確かに一九八四年の恤救規則、一九二九年の救護法、一九五〇年の生活保護法のいずれも、被保護者に対する親族扶養義務は条文として規定されており、日本の救貧行政の原理であり続けててきた。しかし現在は二〇〇〇年の介護保険と社会的介護のスタートに見るように、日本の実情には合っていないと多くの研究者が指摘する。介護保険のときに議論されたように、家族にすべてのケアを負わせれば、家族が重要な精神的支援者としてのセイフティ・ネットであるのにそれを遠ざけ、結果的に当事者を孤立させてしまうと後藤(2011)は危惧する。
 生活保護法第四条(保護の補足性)では、生活保護制度が生活保護受給者の自己責任で果たしえない最低生活を補足的に援助し、民法上の扶養や他の公的扶助制度を利用しても果たしえない最低生活を補足する役割を規定している。扶養義務は刑罰によって担保されたり、受給要件となっていたりするわけではないものの、民法上の相対的扶養義務者に対しても扶養義務が広がっていることについて、英米のように生活保持義務(夫婦、未成年子に対する親の義務)に限定しなかったのは、当時は日本の国情がそこまで個人主義化されていなかったからだと仲村は指摘していた(仲村 1978)。
 しかし後藤は、夫婦を核とした世帯での維持が中心となっている現代社会では、民法に定められた扶養履行を求める生活保護法の補足性の原理はすでに現状にあっていないとし、老後の生活維持について「家族が面倒を見るべき」と考える国民は、一九九五年には一二・八パーセント、二〇〇一年には七・九パーセントにまですでに減少してきていることを指摘する。逆に「社会保障などでまかなわれるべき」と考える国民は、一九八〇年代以降増加傾向にあり、二〇〇一年には四六・三パーセントを占めている。また二〇〇七年の『国民生活に関する世論調査』では、老親の扶養世代である四〇―五〇代に老親の扶養への経済的・精神的余裕がないことが指摘されている。彼らの悩み(複数回答)の六三・八パーセントが「自分の老後の生活設計」であり、それは二〇〇一年の五六・二パーセントを上回っている。核家族の進行、ライフスタイルの違い、老人医療の高度化からも、現在一緒に住むことが困難になってきた老親と子は、すでに介護保険などで介護の社会化を進めつつある。でありながら、今回のようなバッシングが起こるのは、自分自身は面倒を見ることができないが、老人福祉も貧困である社会において、将来ますます困難となる(自身も含めた)老人福祉の貧しさと不安を前にしたフラストレーションの発露であると考えることさえできる。十分老親を扶養できる収入をもつと思われる芸能人へのルサンチマンであり、自らの後ろめたさへの反動としての攻撃だという解釈も可能だろう。精神分析的に見れば、親を扶養しないことがモラルパニックになるときには、そのモラルパニックが異様に激しいものであればあるほど、すでに人びとの中に扶養しないことへの隠れた欲望とできないことに対する否認があると考えることもできる(これは中流の一般的反応を述べているが、一方で、当事者に対するとりわけGメン的な告発についていえば、さらに自分たちの老後どころか現在の生活が苦しいような層、生活保護水準かそれ以下の最低生活者、また自らも申請したのに生活保護がもらえなかった者が多いとされる。そこにも中立的な理性的反応というよりは、ルサンチマン的な感情的反応が<0160<確認できるだろう)。」[樫村 20120901:159-161]

cf.
後藤昌彦、2011「生活保護の受給要件である親族扶養義務の今日的意義」『藤女子大学紀要』48
仲村優一、1978、『生活保護への提言』全国社会福祉協議会

「もともと、民法に定められた扶養義務には、@夫婦、A直系血族及び兄弟姉妹は「絶対的扶養義務者」、B三親等内の親族の三つの類型がある。@の夫婦とAの直系血族及び兄弟姉妹、B三親等内の親族の三つの類型がある。」[尾藤廣喜 20140125:9]

・扶養義務者に対する調査権限の拡大

「「改正」二九条は、「保護の決定又は実施のために必要があるとき」だけでなく、扶養義務者に対する費用徴収(七七条)や不正受給の場合の費用徴収(七八条)の施行のために必要があるときも追加された。また調査先が官公署等だけでなく日本年金機構や共済組合等に拡大され、これらの公的な調査先については二項で回答を「行うものとする」とされた。」[村田 2014:16]

・「扶養義務の強化」?

「今回の法「改正」について、報道等で「扶養義務の強化」と表現されることもある。しかし、これは正確ではない。言うまでもないことであるが、親族間の「扶養義務」について規定しているのは生活保護法ではなく民法であり、民法の扶養義務規定は、何ら変わっていない。したがって、今回の生活保護法改正で生活保護申請者や受給者に対する扶養義務が強化された」という言説は誤りである。
 また、生活保護法四条一項および二項もそのままであることから、扶養可能な扶養義務者がいないことは保護の受給要件ではなく、現実に扶養援助が行われた行われた際にその金額が収入認定されるに過ぎないという位置づけも変わっていない。
 保護申請者・受給者の立場からいえば、「まず扶養義務者に援助を求めなければ保護は受けられない」とする運用が違法であることは今後とも変わらない。これらは国会審議や参議院厚生労働委員会での附帯決議でも確認されている。」(村田 2014: 16)

・扶養義務者に対する通知、報告の要求、扶養照会の違い

「今回新設された扶養義務者への通知と報告の要求について、これまでの実務で行われてきた「扶養照会」を明文化したものという理解もあるが、これらはそれぞれ異なるものである。扶養照会は、扶養の期待可能性がある扶養義務者に対して扶養の可否を尋ねるもので、いわば扶養能力の調査である。
 これに対して、二四条八項の開始決定前の通知は、「扶養義務者から報告を求めることができる規定(新法第二八条第二項)や、扶養義務者から費用を徴収することができる規定(法第七七条)の適用があり得る扶養義務者に対しては、事前に親族が保護を受けることを把握できるようにすることが適当であることから、保護開始の決定の際にその事実を扶養義務者へ通知する規定を設けることとした」(前掲厚労省社会・援護局長通知「生活保護法の一部を改正する法律等の施行について」)とされている。すなわち、扶養義務者に対して警告を行う趣旨の通知である。」(村田 2014: 16)

24条8項の通知、施行規則2条1項

「二四条八項の通知は、施行規則二条一項で、「保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第七十七条第一項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高いと認めた場合」、「保護の実施機関が、申請者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の「第一項に規定する配偶者からの暴力を受<0016<けているものでないと認めた場合」、この他「保護の実施機関が、当該通知を行うことにより申請者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合」のいずれにも該当する場合に限り、行うものとされた。二八条二項の保護受給者の扶養義務者に対する報告の要求も、施行規則三条で、二四条八項の通知と同様の場合に限り行うものとされた。
 この点、当初示された施行規則の案では、二四条八項の通知と二八条二項の報告の要求は原則として行うものとし、「保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第七七条第一項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高くないと認めた場合」、「要保護者が保護を開始する者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の「第一条第一項に規定する配偶者からの暴力を受けているものであると認めた場合」、この他「保護の実施機関が、当該通知を行うことにより要保護者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがあると認めた場合」は例外的に通知しなくてよいとされており、国会での審議や附帯決議で確認された考え方と原則と例外が逆転した正反対の内容となっていた。これにもパブリックコメントで批判が集まり、現在の文言に修正された。」(村田 2014: 16-17)

・扶養は保護開始の要件ではない[森川 2014: 98-99]

「民法に定める扶養義務者の扶養は、生活保護に優先して行われる(法4条2項)。
 扶養義務者とは、民法上の扶養義務を負う者である。直系血族及び兄弟姉妹である(民法877条1項)。特別の事情があるときは、三親等内の親族間においても扶養の義務を追わせることができるとされているが(同法877条2項)、家庭裁判所の調停・審判を経ない限り、扶養義務者とは言えない点に留意を要する。[…]
 資産・能力活用要件(法4条1項)と異なり、扶養を求めること及び扶養がなされることは保護開始の要件となっておらず、同上2項は、現実に援助を受けている扶養が生活保護に優先することを定めているにすぎない。福祉事務所には、扶養義務者に対して扶養料を徴収する権利があるし(法77条1項)、扶養料を確定するため、家庭裁判所に対する扶養処分の申し立ての権限もある(同条2項)。だから、福祉事務所が扶養義務者に対し、どうしても扶養を求めたければ、法77条によって扶養処分の申立をし、扶養料の確定している範囲内で請求すればよいのである。
 ただし、当事者間で協議・調停が可能な場合にそれを排除するものではない。むしろ親族間の問題は私的に解決がなされるならば、公的な介入より望ましい。であれば原則として申請者が扶養義務者であれば、応分の扶養義務を果たすべく助言し検討をうながすべきであるし、申請者が要保護者であれば、扶養<0098<義務者に扶養義務を果たさせるべく協議・調停手続きをとるよう助言すべきである(助言そのものが公的介入にならない程度にしなければならない。)。人的な関係で処理が難しいところもあるし、扶養がなされることは要保護者の意志・行動によって達成できるものでもないことを肝に命ずるべきである。要保護者本人に扶養義務者に扶養義務を果たさせるべく努力を求めることは助言の域を出るものではないし、助言を超えて不利益処分の対象とすることはできない。
 なお、2008年度実施要領改正により、「扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い、その結果、保護の申請を諦めさせるようなことがあれば、これも申請権の侵害に当たるおそれがある」(課問第9の2)と示されて、扶養が保護開始の要件でないことが明記された。
」(森川 2014:98-99)

・扶養義務の事実上の強化、そしてその果てはどうなるのか[森川 2014:99-100]

「改正法24条8項及び改正施行規則2条は、保護開始申請があったときに、以下の@〜Bのいずれもを充たす場合に、扶養義務者に対して、申請者の氏名及び保護開始申請日を通知することとした。
  @扶養義務者に対して法77条1項の費用徴収を行う蓋然性が高いと認めた場合
  A配偶者暴力防止法1条1項の暴力を受けているものでないと認めた場合
  B通知をすることで申請者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合
 また、改正法28条2項及び改正法施行規則3条は、法77条費用徴収のため必要があると認めるときは、扶養義務者が扶養義務者に対して、報告を求めることができると規定した。
 これらの通知や報告の求めは、上記@〜Bによる厳格な要件による運用となったが、実際には違法な運用が行われたり、@〜Bを充たさないのに通知や報告の求めを行う旨伝えて申請を萎縮させることも考えられるので、留意が必要である。
 改正法29条2項は、法77条の費用徴収のために必要があるときに扶養義務者についてなされた調査について、多数の官公署にさまざまな回答義務を課して<0099<いる。特に、都道府県知事・市町村長に対して地方税の算定した税額とその算定の基礎となる事項に関する情報の回答義務を課したことは大きな影響を与える。
 従来は回答義務が課されていなかったことから、第三者である扶養義務者について回答がなされなかった。今回、回答義務が課されたことによって扶養義務者の収入や不動産所有まで明らかにされることとなる。このことは、さまざまな事情を度外視して、扶養義務者に収入や財産があるから援助してもらうようにという硬直的な運用を生み出すおそれがあるので、留意を要する。
 将来的な危惧としては、自由民主党の憲法改正草案(平成24年4月27日決定)24条1項の「家族は、互いに助け合わなければならない」という改正がなされると、憲法25条が改正されなくても、扶養義務者による「助け合い」を重視して、韓国の国民基礎生活保障制度(日本の生活保護制度に当たる)の「扶養義務者基準」と同様の制度が導入されるのではないかということがある。扶養義務者基準は、本人の所得認定額が最低生計費以下であっても、扶養義務者(本人の直系血族及び配偶者)が存在していて(同一生計でない)、その扶養義務者が一定所得以上であれば、申請者は受給権者となることができないというものだ。扶養義務の強調の果てには、おそろしい事態が待っているかもしれない。

  韓国における雇用安全網関連の法令・資料(2)(脇田滋著、龍谷法学第45巻1号)」[森川 2014:99-100]

・生活保護バッシング

「二〇一二年五月から六月にかけて、日本中のテレビ局や週刊誌で連日、生活保護の「不正受給」「不適切受給」をめぐる報道が流されました。私たちはこの現象を「生活保護バッシング」と呼んでいます。
 高額所得者のお笑い芸人A氏の母親が生活保護を受給している、という週刊誌報道に端を発したスキャンダルは、自民党の片山さつき参議院議員や世耕弘成参議院議員が「不正受給疑惑を徹底追求する」とブログなどで宣言したことから騒動が拡大。当のA氏が五月二五日に「お<0092<詫び会見」を開く事態に至りました。
 この会見を機に、この問題は国会にも飛び火しました。自民党は、親族に高額所得者がいる者が生活保護を受けるのはモラルハザードであり、制度に対する信頼を失わせると主張。民主党の小宮山洋子厚生労働大臣(当時)も、A氏の記者会見が開かれた同日午後の衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会において、自民党の永岡佳子議員の質問に対して、今回のケースは「生活保護制度の信頼を失わせる。扶養義務を果たしてほしい」と言及したうえで、「扶養義務者に必要に応じて生活保護費の返還を求めることを含め、義務者が責任を果たす仕組みを検討していきたい」と制度を見直す考えを示しました。
 また、小宮山大臣は同じ質疑の中で、生活保護の基準についても「国民の中に納得出来ないとの声があることを承知している。検討したい」、「自民党の提起も踏まえて、どう引き下げていくのか議論したい」とも述べています。本来、扶養義務と生活保護基準はまったく別の問題ですが、生活保護制度に対するマイナスイメージが広がったのをきっかけに基準引き下げに向けた世論の流れを形成したいという意図があったのではないかと疑われます。
 国会ではその後も、他の芸能人の親族の生活保護利用が批判のやり玉にあげられました。
 その後、マスメディアでは、公務員等の親族が生活保護を利用していることにも疑問を呈する報道が相次ぎました。大阪市は大阪市内の全生活保護世帯(約一一万六〇〇〇世帯)に親族の職<0093<業についての聞き取り調査を行ない、二〇一三年三月一五日に「公務員や医師ら一定の収入が見込まれる人が八一一人おり、うち大阪市職員が一六四人いた」と発表しました。大阪市は今後、収入と援助額の目安をつくり、高収入の人に対しては援助の養成を強化するとしています。」[稲葉 2013:92-94](92-94)

「生活保護バッシングは、二〇一二年四月から開催されていた厚生労働省社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援に在り方に関する特別部会」の議論にも大きな影響を与えました。この部会は当初、その名称の通り、生活困窮者を支援する新たな体系を構築することを主目的としていましたが、回を重ねるにつれ、生活保護費を抑制するために生活保護制度を見直すという方向性が事務方である厚労省から示されるようになりました。扶養義務強化も、その一環です。
 同部会では、扶養義務強化に反対する意見も民間の委員から出されました。二〇一三年一月二五日に発表された同部会の報告書では、「本当に生活保護が必要な人が受けることができなくならないように、また、家族関係の悪化につながらないように特段に留意しつつ、福祉事務所が必要と認めた場合には、扶養が困難と回答した扶養義務者に対して、扶養が困難な理由を説明することを求めることが必要である」という記載が盛り込まれ、身長な言い回しながらも、<0094<扶養義務強化を打ち出しました。
 その後、二〇一三年の通常国会に提出された生活保護法改正案には、親族の扶養義務を強化する条文がいくつも新設されていました。
 改正法二八条二項は、保護の実施機関が要保護者の扶養義務者その他の同居親族等に対して報告を求めることができると規定しています。また、同二九条一項は、生活保護を申請する「要保護者の扶養義務者」だけでなく過去に生活保護を利用していた「被保護者の扶養義務者」について、官公署、日本年金機構などに必要な書類の閲覧、資料提出を求めたり、銀行や雇い主などに報告を求めることができると規定しています。
 これは生活保護を利用しようとする人や過去に利用していたい人の扶養義務者が自分の収入や資産状況について、直接、福祉事務所から報告を求められたり、官公署、年金機構、銀行等にある個人データを洗いざらい調査され、さらには、勤務先まで照会をかけられたりすることを意味しています。国会での質疑において、厚労省は扶養義務者の収入・資産調査にマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)を活用することを否定しませんでした。
 そして同二四条八項は、「保護の実施機関は、しれたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において、保護の開始の決定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該扶養義務者に対して書面をもって厚生<0095<労働省で定める事項を通知しなければならない」と規定しています。保護の開始を決定する前に扶養義務者に通知するという規定は、現行法にはないものです。
 これらの規定は、生活保護を申請しようとする人にとって「自分が申請してしまえば、親族の資産・収入が丸裸にされてしまい、親族が福祉事務所から圧力をかけられる」ことを意味するものです。法案が可決されてしまえば、生活困窮者の間で「親族に迷惑をかけたくない」という意識がさらに広がり、今以上に申請を抑制する人が増えてしまうでしょう。最悪の場合、それは餓死、自死など貧困による死を誘発します。」[稲葉2013:94-96]

「芸能人親族の生活保護利用をきっかけとした扶養義務強化の動きに対して、生活保護問題対策全国会議を中心に各方面から抗議の声が上がりました。[…]
 まず押さえておきたいのは、問題になったA氏のケースは生活保護法上の「不正受給」にあたらない、という点です。
 一九五〇年に制定された現行の生活保護法では、親族による扶養は保護に「優先」するとされており、「要件」とはされていません。これはどういう意味でしょうか。<0096<
 一九四六年に制定された旧生活保護法では、「扶養義務者が扶養をなし得る者」や「勤労の意志のない者」「素行不良な者」等を保護の対象から除外するという欠格条項がありました。生活保護法は一九五〇年に抜本改正され、新生活保護法になりました。新法では旧法にあったすべての欠格条項をなくすとともに、民法に規定されている親族の扶養義務者については、急迫時を除き「すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」(四条二項)と規定しました。
 […]扶養が「要件」になってしまえば、親族からの扶養を受けられない人が公的な支援も得られないまま困窮してしまうという状況が生まれてしまいます。そうした事態を避けるため、新法では扶養を「要件」から外し、「無差別平等」の原則を確立したのです。これは憲法二五条が規定する生存権保障を徹底するために必要な改正でした。」[稲葉2013:96-97]

「「優先」とは、実際に扶養が行われた場合に、額に応じて保護費を減額したり廃止したりするという意味です。<0097<
 生活に困窮する人が福祉事務所に生活保護の申請をした場合、福祉事務所はその人の親族に対して、扶養が可能かどうかを問い合わせる扶養照会を行います。通常、扶養照会は書面で行われます。
 民法では、七五二条で「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と規定されており、八七七条一項で直系血族(親子、孫と祖父母など)と兄弟姉妹も互いに扶養義務があると規定しています。そのため、通常はこの範囲内の親族に扶養照会がなされますが、家庭裁判所が「特別な事情」があると認めた場合に限って、おじ・おば・おい・めいなど三等親の親族にも扶養の履行を求めることができます。
 A氏の場合、福祉事務所からの照会に対して、母親が生活保護を利用し始めた当初は経済的理由により扶養が困難だと回答していましたが、経済的に余裕ができてからは福祉事務所と協議のうえ、母親に対する仕送りを行っていました。保護費はその分、「補足性の原理」に基づき、減額されていたことになります。」[稲葉2013:97-98]

「現行生活保護法の立法作業を担当した当時の厚生省保護課長、小山進次郎氏は扶養義務優先の規定について、以下のように説明しています。
 「「生活保護法による保護と民法上の扶養との関係については、旧法は、これを保護を受ける資格に関連させて規定したが、新法においては、これを避け、単に民法上の扶養が生活保護に優先して行わるべきだという建前を規定するに止めた。一般に公的扶助と私法的扶養との関係については、これを関係づける方法に三つの型がある。第一の型は、私法的扶養によってカバーされる領域を公的扶助の関与外に置き、前者の履行を刑罰によって担保しようとするものである。第二の型は、私法的扶養によって扶養を受け得る筈の条件のある者に公的扶助を受ける資格を与えないものである。第三の型は、公的扶助に優先して私法的扶養が事実上行われることを期待しつゝも、これを成法上の問題とすることなく、単に事実上扶養が行われたときにこれを被扶助者の収入として取り扱うものである。而して、先進国の制度は、概ねこの配列の順序で段階的に発展してきているが、旧法は第二の類型に、新法は第三の類型に属するものと見ることができるであろう。」(小山進次郎『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』)」[稲葉2013:99]

cf.小山進次郎『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』119頁
◆小山 進次郎 19511215 『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』,中央社会福祉協議会,942p. ISBN10:  ISBN-13: 978-4793507380 \900  [amazon][国会図書館]

「また、民法に定められている扶養義務も一律ではないことに留意する必要があります。
 民法の定説では、夫婦間や未成熟の子どもに対して親が負う義務と、兄弟姉妹間や成人した子どもが親に対して負う義務は、わけて考えられています。前者は「生活保持義務」と呼ばれ、扶養義務者が可能な範囲で自身と同程度の生活を保障する義務があるとされるのに対し、後者は「生活扶助義務」と呼ばれ、扶養義務者とその同居家族がその者の社会的地位にふさわしい生活を成り立たせたうえで、なお余裕があれば援助する義務とされています。夫婦間の義務や未成熟の子どもに対して親が負う義務に対して、兄弟姉妹の義務や成人した子どもが親に対して負う義務は相対的に「弱い」扶養義務だと言えるわけです。
 A氏のケースにあてはめると、彼が自分の同居家族とともに芸能人としてふさわしい社会生活を成り立たせたうえで、なお経済的に余裕があれば別居の母親を援助する義務を有する、ということになるわけです。」[稲葉 2013:100]

「戦後まもない一九四六年に制定された旧生活保護法には、「扶養義務者が扶養をなし得る者には、急迫した事情がある場合を除いては、この法律による保護は、これをなさない」(三条)という欠格条項が含まれていました。親族に経済力があり、私的な扶養が可能だと認められる者については、実際に援助が行われるかどうかを問わず、公的な扶助の対象からは外すことになっていたわけです。」[稲葉 2013:101]

「民法に扶養義務規定があることの影響は生活保護制度に限らず、社会福祉制度全般に及んでいます。児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法等の法律でも、民法に基づき、国庫等が費用を支弁した場合、費用の全部もしくは一部を扶養義務者から徴収できるという規定が定められています。」[稲葉 2013:104]

独立行政法人労働政策研究・研修機構は、二〇一三年四月に「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2012(第二回子育て世帯全国調査)」[PDF]の結果を発表しました。そこでは生活保護利用をめぐる世代間連鎖について以下の結果が出ています。
・「成人する前に親が生活保護を受けていた」と回答した保護者の生活保護率は一二・二%で、「成人する前に親が生活保護を受給したことがない」と回答した保護者(一・六%)より保護率が一〇・六ポイント高い。
・母子世帯に限定してみると、「親が生活保護受給」と回答した母親と「親が生活保護非受給」と回答した母親を比較すると、前者の生活保護率(二五・〇%)が後者より二一・五ポイントも高い。」[稲葉 2013:107]

「この調査報告書は「親世代が生活保護を受給している場合、その子ども世代は成人後に生活保護を受給する割合が高くなっている」と結論づけています。」[稲葉 2013:108]

「老いた親を扶養する義務は、経済力のある親のもとで育った子どもには自動的に免除されている義務だと言えます。」[稲葉 2013:109]

・DPI

「障がい者の自立生活運動を進めてきたDPI(障害者インターナショナル)日本会議は、二〇一二年度の総会において「生活保護法扶養義務強化に反対する緊急アピール」を採択しました。アピールでは「所得保障制度がきわめて不十分な中、生活保護制度は障害者の地域自立にとって重要な役割を果たし」てきたと指摘したうえで、扶養義務強化は厚労省の障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会の骨格提言(二〇一一年八月)にも盛り込まれた「家族福祉からの脱却」という理念にも逆行するものであり、「障がい者の地域自立にとって大きな打撃となることは明白」と反対の姿勢を明確にしています。」[稲葉 2013:115]

・社会保障制度改革推進法

「二〇一二年八月に民主・自民・公明の三党合意に基づき、消費税増税法案とセットで成立した社会保障制度改革推進法案は、二条一項において社会保障制度改革の方向性を「自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと」と定めています。これは、伝統的な自民党の社会保障観を反映した内容であり、「まずは家族で、そして国民同士で支えあってください。それを国は後ろからバックアップするだけにとどめます」と宣言したものだと言えます。」
 この法案に関して日本弁護士連合会は会長声明を発表し、国の責任を、『家族相互及び国民相互の助け合いの仕組み』を通じた個人の自立の支援に矮小化するものであり(二条一号)、国<0128<による生存権保障及び社会保障制度の理念そのものを否定するに等しく、日本国憲法二五条一項及び二項に抵触するおそれがある」と厳しく批判しています。」[稲葉 2013:128-129]

「自民党が二〇一二年四月に発表した日本国憲法改正草案では、二四条一項に「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。」という条文が新設されています。」[稲葉 2013:129]

・扶養圧力の強化の背景

「2012年春、人気お笑いタレントの母親が生活保護を利用していることを問題視する記事が女性週刊誌に掲載されたことを発端に、一部国会議員とのマスコミにより激しい生活保護バッシングが繰り広げられた。
 そもそも、生活保護法上、扶養は保護の要件とされておらず、タレントの母親が息子から息子から扶養を受けずに生活保護を利用することは法的には問題ない。また、タレントは、自身の生活が安定してからは、福祉事務所と相談しながら決めた金額を、毎月、母親に仕送りしており、実際には、母親に対し一定の扶養を行なっていた。しかしながら、このような客観的事実は無視され、「多額の収入を得ながら自分の母親に生活保護を受けさせるのはけしからん」という論調から、さらには、親を扶養せずに生活保護を受けさせることがあたかも不正受給であるかのように報じられるようになった。
 バッシングは扶養問題を超えてエスカレートし、「生活保護基準が高すぎる」「不正受給が蔓延している」「正直者がばかを見る」などと、生活保護制度自体に対する批判に発展し、世論を誘導していった。
 国は、このような世論を背景に、二〇一二年八月、家族、国民相互間による助け合いによる自立を強調し、社会保障について国家責任を後退させる内容の「社会保障制度改革推進法」を成立させた。そして、翌二〇一三年五月、平均六・五%、最大で一〇%にも及ぶ生活保護基準の大幅な引き下げを含む予算を成立させて同年八月より実施し、さらに、同年一二月、「近年の生活保護受給者が急増する等の状況を踏まえ、就労・自立支援対策、不正・不適正受給対策、医療扶助の適正化などを中心に見直しを図る」との説明の下、「生活保護法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)を成立させた。そして、改正法には、扶養義務者に対する「通知義務」(改正法二四条八項)と「報告請求」(改正法二八条二項)の新設及び、扶養義務者に対する調査権限の強化(改正法一項、二項)という、扶養圧力を強化する内容の規定が盛り込まれている。」(鈴木 2014: 18)

・民法における扶養義務

「民法八七九条は、扶養の程度は「扶養義務者の資力」だけでなく、「その他一切の事情」を考慮して裁判所が定めるものと規定している。したがって、具体的な扶養義務(仕送り額)の有無・程度は、双方の収入・資産だけでなく、権利者・義務者の関係の親疎・濃淡、権利者(要扶養者)の過失の有無等、もともとの考慮要素で決まるものであり、収入のみを基準に金額を定める大阪市の仕送り額の「めやす」はそれ自体、扶養義務に関する民法の規定と相容れない。」[鈴木 2014:19]

・扶養照会の問題点

「扶養義務者との関係を悪化させることは、要保護者の自立助長にとってマイナスでしかない。」[鈴木 2014:20]

cf.生活保護における扶養義務に関する先行研究

◆西原 道雄 1956 「生活保護法における親族の扶養義務」,『私法』日本史法学会16:85-98
◆小川政亮 195705 「親族扶養をめぐる生活保護行政の実態」,『法律時報』日本評論新社29(5):628-635
◆赤石壽美 197810 「家族法とのかかわり――公的扶助と私的扶養の関連と問題点」,小川政亮編『扶助と福祉の法学』一粒社:
◆籠山京 1978 『公的扶助論』,光生館
◆古賀昭典 1963 「公的扶助と家族――扶養英国扶助制度の発展を中心に」,『清水金二郎教授追悼論文集九州大学産業労働研究所報』28・29合併号:
◆古賀典明 1977 「生活保護法における世帯単位と扶養義務」,『産業労働研究所報』69:49-60
◆岡田千秋 2002 「公的扶助法と親族扶養義務――生活保護法とその運用をめぐって」,『社会関係研究』91(1):109-13
◆中川善之助・青山道夫・玉城肇・福島政夫・兼子一・川島武宜責任編 1958 『家族問題と家族法X扶養』,酒井書店
◆小川政亮 1964 『家族・国家・社会保障』,勁草書房
◆青山道夫・竹田旦・有地享・江守五夫・松原治郎編 1974 『講座家族7. 家族問題と社会保障』,弘文堂
◆明山和夫 1973 『扶養法と社会福祉』,有斐閣
◆利谷信義 1987 『家族と国家ーー家族を動かす法・政策・思想』,筑摩書房

・公的扶助と親族扶養に関する法学的検討の先行研究

「西原道雄「生活保護法における親族の扶養義務」(『私法』第16号有斐閣1956年)は、現行法の解釈論を中心として、親族間の扶養が法的義務として強行される理由を、扶助費の節減についての要請の強弱と、家族制度残存の程度との関連においてとらえ、扶養義務の縮小制限の必要性と、扶養に関する基準の統一の必要性を指摘し、「扶養義務を強調しすぎることは家族の強化ではなく、逆に破壊をもたらす。扶助費の節減にしても一時的な効果しか期待できない。」と結論づけている。
 小川政亮「親族扶養をめぐる生活保護行政の実態」(『法律時報』第29巻第5号日本評論新社1957年)は、保護記録や事例の検討を含めて保護行政上の実態について、その取扱いの問題点を指摘し、「親族扶養優先原則が法的制約を越えてまで、また家制度的法意識と結合しながら、異常に行政権力によって強調されていることの意味は何処に求むべきであろうか。」と生活保護行政における扶養の取扱い方に疑問を呈している。
 赤石壽美「家族法とのかかわり―公的扶助と私的扶養の関連と問題点―」(小川政亮編著『扶助と福祉の法学』一粒社1978年)は、立法論の立場から結論の方向性を示し、「保護に優先すべき扶養の範囲を限定すること、扶養義務者の留保しうべきものを定めること、保護実施機関と家庭裁判所との連携をはかること、世帯単位原則の規定を廃止すべきこと」などを指摘している。
 籠山京『公的扶助論』(光生館1978年)は、小山進次郎著『生活保護法の解釈と運用』(1950年)と、1978年版『生活保護手帳』における「実施要領」とを対比させる形で制度の概要を述べている。生活保護法による保護と民法上の扶養との関係については、旧法はこれを保護を受ける資格に関連させて規定したが、現行法においてはこれを避け、単に民法上の扶養が保護に優先して行われるべきだという建前を規定したにとど まる、という解釈は否定され、「実際の運営では法第4条第1項とならんで、法第2条の要件として機能している。」と指摘し、「したがって法第公的扶助法と親族扶養義務 ― 111―1条と法第2条が連動して対象を限定した結果、生活保護は極貧にならないと、対象となり得ないという結果を来しているといってよい。これが欧米諸国の保護率に比して、日本のそれが桁違いに低い基本原因なのである。」と指摘している。
 家族法研究を一連の流れの中で位置づけるものとしては、『家族問題と家族法X扶養』(中川善之助・青山道夫・玉城肇・福島政夫・兼子一・川島武宜責任編集酒井書店1958年)、『家族・国家・社会保障』(小川政亮著勁草書房1964年)、『講座家族7. 家族問題と社会保障』(青山道夫・竹田旦・有地享・江守五夫・松原治郎編弘文堂1974年)が、さらに政策としての制度の理解としては、明山和夫『扶養法と社会福祉』(有斐閣1973年)、利谷信義『家族と国家―家族を動かす法・政策・思想』(筑摩書房1987年)等がある。」[岡田2002:111-112:第一章の脚注1]


■障害者団体による声明等


20120531 「声明 生活保護の扶養義務に異議あり」怒りネット
20120603 DPI(障害者インターナショナル)日本会議が「生活保護法扶養義務強化に反対する緊急アピール」を採択
20120613 「生活保護を巡る論議の動向に関する見解」日本障害者協議会
20120906 「声明 社会保障制度改革推進法成立を弾劾する」怒りネット
20120920 「生活保護切り捨てに関する全国「精神病」者集団声明」全国「精神病」者集団
20121031 「申し入れ書――第1案」怒っているぞ!障害者切りすて!ネットワーク関西 兵庫県精神障害者連絡会
20130206 「怒りネットの声明 ■生活保護支給基準削減に反対します」怒っているぞ!障害者切りすて!ネットワーク関西
20130328 「小野市福祉給付制度適正化条例案の撤回・廃案を求める声明」全国「精神病」者集団) 20130508 「生活保護制度に関する質問」怒っているぞ!障害者切りすて!関連
20130527 特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議「生活保護法改正案の廃案を求める緊急声明
20130625 障害者の生活保障を要求する連絡会議が《生活保護法改正案参議院採決に反対する緊急声明》を発表
20131028 「生活保護制度の見直しに対する緊急要望書」日本障害者協議会
20140327 「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)について」「障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)」
20140707 「障害者の地域生活確立と障害者総合支援法に関する要望」全国「精神病」者集団

■大阪における扶養義務

「大阪市は、二〇一三年(平成二五年)一一月八日、「生活保護受給者に対する仕送り額の『めやす』(以下、「めやす」という)」を策定…。その内容は、扶養義務者を生活保持義務と生活扶助義務に分けた上で、それぞれ、年収に応じた仕送り額の具体的金額の目安幅を市独自に設けたもの(収入がゼロあるいは生活保護水準となっている者についても、目安となる金額帯を示す。)となっている。
 「めやす」が運用されれば、扶養義務者は、年収のみを基準に機械的に「めやす」で定められた一定額の仕送りを求められ、法四条二項の趣旨に反し、扶養を事実上強制される被害事例が発生する可能性が極めて高い。
 また、ドメスティック・バイオレンス事案によって離婚、別居に至り、以降三五年間にわたって音信不通であった保護申請者の子らや、保護申請者の別居当時、まだ出生していない孫らに対し扶養照会がなされている事案や、約四〇年間にわたって会ったことがなく、生死さえ不明となっていた弟の扶養照会が熊本で生活する高齢の兄に届くといった事案など判明した
 かかる扶養照会がなされた結果、扶養義務者たる親族に迷惑がかかることを危惧して保護申請を断念するケースが増加し、事実上扶養が保護の要件化されると共に、要保護者の新政権を侵害するものである。」(普門 201409: 9)

「まず、今回の調査活動結果と最終日の大阪市福祉局との行政交渉のまとめとして、改めて、大阪市に対し以下五つの要望を行なった。
@…
A 扶養の事実上の強制につながる「生活保護受給者に対する仕送り額の『めやす』は、速やかに廃止し、生活歴等から扶養の可能性が期待できない者(抽象的扶養義務者)に対する扶養照会は現に行わないよう徹底されたい。
B…」(普門 201409: 10)

「…」(鈴木 2014: 18)


■社会保障審議会・生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会

外部リンク
扶養義務に関する言及あり(全12回+報告書)

第1回(2012年4月26日)
第2回(2012年5月7日)
第3回(2012年5月30日)あり
第4回(2012年6月6日)あり
第5回(2012年6月15日)あり
第6回(2012年7月17日)あり
第7回(2012年7月26日)
第8回(2012年9月28日)あり
第9回(2012年10月17日)あり
第10回(2012年11月14日)あり
第11回(2013年1月16日)あり
第12回(2013年1月23日)
報告書(2013年1月25日)あり

以下引用

第3回(2012年5月30日)あり
「○広田委員
 あなたのおっしゃる精神障害者とは。

○松井委員(井手之上代理)
 先ほどありました統合失調症の方というのが代表的な方だと思いますけどね。それ以外にもいろいろ範囲がありますし、法律で定義された精神障害者というような理解です。そういう面で、特に精神障害の方、手帳の話がありましたけれども、手帳を持っておられる方、手帳を持っておられない方も当然幅広く扱うということです。

○広田委員
 ありがとうございます。精神障害者というのは、1つには精神の病で精神科とか心療内科とか、そういうところにかかっている人です。これが私が最初に知った数字が108万人で、次に知った数字が158万人、そして厚生労働省さん、厚生省の時代から3年ごとに統計をとっていますが、11年に204万人、14年に258万人、17年に303万人、そして20年が323万人なんですね。物すごい勢いで増えているんですよ。私が知ったときから3倍ですよ。
それは、社会が、最初の自己紹介のときに言ったかもしれませんが、日本のマスコミの報道が精神障害者を増やしていますよね。不安をあおっているから。こういうことをやっていること、すなわち、不安な会ですよ。
聞いていると、何かお金がかかる話はどうなってしまうのと。民生委員まで有給にしちゃうのと。ごめんなさいね。
私、本当にケネディの言葉が好きだと言いましたけれども、お金をもらう話は、もらわなければいけない人はもらうんです。でも、なるべくもらわないでボランティアでやろうという話が出てくるのかなと思って楽しみに来ていたら、お金が次から次に出ていきそうなんですね。
 それで、津田さんは前回途中で退席されましたけれども、今回お見えになっているけれども、いわゆるメンタルヘルス健診をやれば精神障害者が増えるという話ですよ。5大疾病に入りましたから。日本の病気でナンバーワンは精神疾患ですから。多くは治せない精神科医療、いじくり回しの状態の中で薬、お2方が統合失調と言われましたが、統合失調症は何と全世界で売上が1位ですよ。普通の薬局が私に聞きましたよ。何でこんなに多いんですかと。人口が世界一多いわけでもない。何で日本の統合失調症の売上がナンバーワンなんですか。これが実態なんですね。
 そういう中で、今日の話に戻してきますと、私はお金がなくても、この人こそ民生委員になってもらいたいという方が町の中にいらっしゃる。それへのお金を払えばいいかもしれない。だけど、お金があって民生委員をやったらこの人こそという方はたくさんいらっしゃるわけでしょう。長谷川さんのような。そういう人はお金をあげなくていい。応能負担というのが、自立支援法、日比谷で何度も何度も厚生労働省はたたかれまして、いわゆる今度は総合何とか法と、私はそこの内閣府の委員に入りましたけれども、そういう時代ですから。
ある人はお金を、ぶっちゃけた話、なぜ吉本興業の河本準一さんは何で大騒ぎになっているのかなと思うんですよ。あれは民主党と自民党の闘いにしてほしくない。政争にしていただきたくないんですけれども、お母さんが御本人がお金がない時代に生活保護制度を使っていた。お金は今あるらしいです。年収5,000万。でも、柏木さんは11万で生活なさっているでしょう。私もそれより低いですけれども、そういうふうないわゆる私たち庶民の生活の5,000万といったら一生残りますよ。でも、ああいう人というのは、飲みに行けば。私みたいに、「ちょっと山崎さん、ご飯、一緒に」といったとき、山崎さんは私にごちそうしますよね。津田さんもね。どう考えたって。ところが、ああいう方だったら、やはりその辺にいる人にごちそうするわけですよ。そういう観念が違う人の話を盛んにするんだけれども、私はもう吉本興業さんの広報だったら、むしろああいう方がたくさんいるとしたら、厚生労働省の保護課長の古川さんに言って、すぐに厚生労働省保護課からお金が出ていたと。あと、いわゆる地方自治体から4分の1出ているわけだから、両方にそういうふうな口座を出してくださいと。そこにもらった以上の何倍かの寄付をさせていただきたいという形で、何でもかんでも家族は生活保護にさせないで扶養義務だとか、ある一部の新聞に出ていました。扶養義務の預金通帳まで洗い出すとか言っているんですが、そうではなくて。

○宮本部会長
 広田委員、そろそろまとめの方向へ。

○広田委員
 今一番、この世の中の騒ぎはこれですよ。

○宮本部会長
 わかりますけれども、順番に議論していきたいと思いますので。

○広田委員
 ごめんなさい。では、精神障害者を増やさないでという話を津田さんに前回言いました。メンタルヘルス健診をやめにしてと。そういうふうに増えていく精神障害者1点です。
前回、私は最後のところで、精神障害者の世界は当事者不在と言っていますが、いわゆる柏木さんのような方と医療の連携はとんでもないんです。本人に対する医療側のインフォームドコンセントです。私は精神医療の被害者でここにいますけれども、私の情報が、私にインフォームドコンセントされることなく、作業所に保健所を経由して流れたんです。それで、精神医療の被害者であると同時に、作業所のサバイバーなんですね。物すごい社会的不利益を受けた。同じ情報が精神保健福祉センターに病院の側から流れて、それで厚生労働省と法務省がやった11年前の、いわゆる重大な犯罪を起こした精神障害者の処遇に関する合同検討会の参考人を断念せざるを得ないぐらい大変な被害を受けているんですね。ですから、医療と連携するというのは、本人の頭越しにあっては、私は現状の精神科医療の状態ではとんでもないと。やはり本人が主体。この会も本人が主体で話が進んでいくということで、是非、柏木さん、いい人だから後でお話ししましょうということですけれども、そちらもそうですけれども、以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。本人主体というのは、この部会でもずっと大きなテーマとして挙げられていると思います。それでは、櫛部委員。…」

第4回(2012年6月6日)あり
「○宮本部会長
 ありがとうございました。もしカメラが入っていたら、ここまでなのですけれども、今日は大丈夫のようです。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。先ほども副大臣からお話がございましたように、6月4日の国家戦略会議に報告された「生活支援戦略」(骨格)は、本部会が直接関与するものではございませんけれども、密接に関連することは確かでございます。事務局から説明をお願いいたします。

○熊木生活困窮者自立支援室長
 おはようございます。私の方から、資料1に即しまして御説明をさせていただきます。6月4日に行われました国家戦略会議に提出いたしました「生活支援戦略」(骨格)でございます。
 ただいま部会長からお話がございましたとおり、この骨格とこの後、これをもう少し肉付けをいたします中間まとめというものにつきましては、厚生労働省として作成して参りますので、それをこの場で御報告させていただきまして、更に秋に向けて詳細な議論をこの部会においてしていくという段取りでございます。第1回の特別部会で御説明したとおりでございます。
 では、早速ですが、中身を申し上げたいと思います。
 1つ目、基本的な方針です。まず、基本的な認識として、1つ目は、近年の経済社会環境の変化に伴う経済的困窮や社会的孤立という問題の認識でございます。とりわけ経済的困窮につきましては、2つ目でございますが、生活保護受給者は過去最高を更新して、以降、毎月増加している。稼働層の受給者が急増する一方で、高齢化に伴い、高齢者世帯も増加してございます。3つ目の社会的孤立でございますが、複合的な課題を抱えた社会的孤立状態にある人の問題も大きく指摘されているということでございます。
 こうしたことを踏まえまして、2つ目の基本的な目標ということで、経済的困窮と社会的孤立の2つの不可分な問題の脱却を目標に据え、加えて親から子への貧困の連鎖の防止というものに対応していこうということでございます。次に目標の2つ目に書いてあるものはむしろキーワードということかもしれません。「参加と自立」、それから社会的に包摂される社会、あるいは各人の能力開発といったことを行いまして、活力ある社会経済を構築していこうということでございます。生活保護につきましては、必要な方には支援するという基本的な考え方を維持しつつ、給付の適正化の推進。いわば、国民の信頼にこたえる制度の確立を果たしていきたいということでございます。
 こうした目標の中で、留意すべき視点として3つ掲げてございます。
 1つ目は、主体性と多様性。やはり御本人の就労や自立に向けた主体性、そして自己決定を重視するということがあり、その中で各人の多様性を尊重するということを基本的な視点として据えるべきだろうと考えてございます。
 もう一点、「早期対応」による「早期脱却」と「貧困の連鎖」の防止。早期に対応していこうということを視点として掲げてございます。
 3つ目、繰り返しになりますけれども、国民の信頼に応えた生活保護制度の構築ということでございます。
 改革の方向性として、次のページをご覧いただければと思います。
 大きくは2つあると思います。生活困窮者支援施策というものと、生活保護の見直しの2つを一体的にやっていこうということでございまして、まず1つ目の生活困窮者支援体系の確立につきましては、7点の項目を設けてございます。
 1つ目は、経済的困窮者・社会的孤立者の早期発見、早期把握。総合的な総合体制というものを考えていくべきではないかといったことが課題と考えております。
 2つ目として、複合的な問題を抱えた方への対応ということを考えるならば、「包括的」かつ「伴走型」の支援体制をつくっていくべきではないかということでございます。
 進め方として、3つ目、新しい公共などと言いますけれども、民間との協働を展開していくことが重要だろうと考えております。
 具体的には、「多様な就労機会」と「家計再建+居住の確保」といったモジュールといいますか、支援方策を新たに厚くしていこうということでございます。多様な就労機会ということにつきましては、就労の自立に向けた訓練的なものも必要ではないか、あるいは中間就労の場のようなものも必要ではないかという議論がございます。家計再建につきましては、貸し付けのみならず、家計指導といった人への投資ということが重要ではないかということでございます。
 5つ目でございますが、ハローワークと一体となった就労支援の抜本強化ということで、いわば社会政策と労働政策がこれまで以上に連携し、効果を高めていこうということでございます。
 6点目、「貧困の連鎖」でございますが、この部会の中で申し上げたのは、高校中退の方とか不登校の方の問題にも対応していくべきではないかということでございます。
 最後に7点目、「地域の力」を重視した基盤・人材づくりと政策の総合的展開ということを掲げてございます。
 2つ目の生活保護制度の見直しですが、ここも2つに分けてございまして、当面の対応と今後の検討でございます。
 1つ目の当面の対応でございますが、給付の適正化ということで具体的に掲げましたのは、電子レセプトを活用した点検指導といったことですとか、セカンド・オピニオンの活用ということで、いわば医療扶助の適正化が重要である。あるいは、資産調査の強化。これは金融機関の本店一括照会方式の導入と書いておりますけれども、こういったものをしていくということでございます。
 2つ目として、就労・自立支援の強化ということを掲げてございます。
 次のページになりますけれども、これらにあわせまして、以下の事項について検討を進めるとしてございます。4つ掲げてございます。
 1つ目は、生活保護基準の検証・見直しでございますが、これは一般低所得世帯の消費実態との比較検証を行いまして、今年末を目途に結論を取りまとめるということでございます。
 2つ目の指導の強化でございますが、地方自治体の調査権限や医療機関に対する指導権限の強化等。2つ目に、扶養可能な方の場合には、適切に扶養義務を果たしてもらうための仕組みの検討。3つ目として、医療機関の指定等の在り方の見直し、罰則の強化ということでございます。
 これに加えまして、3つ目、「脱却インセンティブの強化」ということで、就労・社会的自立を促進するための見直しを行う。例えば、具体的に「就労収入積立制度(仮称)」として、※印を付してございますけれども、就労収入の一部を積み立てて生活保護脱却後に還付するという制度導入を考える。3つ目として、家計・生活指導の強化。4つ目として、フォローアップの強化ということを考える。
 更に、ハローワークと自治体が一体となった就労支援体制を全国的に整備していき、早期のアプローチを徹底していくことを考えていきたいということでございます。
 大きな3つ目として、生活支援戦略の進め方と書きましたが、ここは項目だけ3つ。どのような期間で、どのような手段で、どのような展開をしていくのかということを、項目だけここでは書かせていただいておりますが、今後、中間まとめ等々におきまして若干肉付けをしていきたいということでございます。
 以上のとおりでございますが、これを今後、今月中に中間とりまとめという形でもう少し肉付けをしたいということでございまして、先ほど申し上げましたように、それをまた国家戦略会議に報告し、その後、こちらに御報告させていただきたいと思います。秋までに生活支援戦略というものを全体として取りまとめたいということでございますので、またこの部会で御議論いただきたいと思います。
 以上です。

○宮本部会長
 御説明ありがとうございました。今の御説明に委員の皆さんから何か御意見、御質問があれば、是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、広田委員。

○広田委員
 自殺が3万人を超えたとマスコミが大騒ぎすると、生活保護のハードルが高いという話になっていって生活保護世帯が増える。今度増えれば、増え過ぎていると大騒ぎしています。吉本の河本さん事件が起きると、また大騒ぎになって、そのたびにあっちこっちに振り子が180°振れるのが、この国のパパラッチ報道だと思っています。それに惑わされない感じで、秋、この私たちの特別部会が終わるころまでに、この中の論議を国家戦略会議に出したいということなのでしょうか。

○宮本部会長
 では、総務課長、お願いします。

○古都総務課長
 骨格と中間まとめは、第1回にご説明したように、時間も余りないことから、厚生労働省で整理させていただいて、国家戦略会議の指示でありましたから、国家戦略会議に報告します。生活支援戦略そのものについては、ここで具体的な制度設計の御議論を十分していただき、秋までに報告書をまとめていただいて、それを基に私どもで生活支援戦略をまとめるということです。したがって、国家戦略会議への対応とは別に、この部会では、専門的な議論をしていただくということで整理いたしております。

○宮本部会長
 一部報道では、この部会が秋までにまとめていく議論の原案であるみたいな報道の仕方もございましたが、それは必ずしも正確ではございません。並行してはいるわけですけれども、直接の原案というわけではない。

○広田委員
 今日は、厚生労働省から局長も、それからこちらからお見かけしたところ、タレントさんみたいな副大臣もお見えになっているけれど、本当に美しいオレンジ色で、雨が降っていますから映えていいですね。
 とにかく、この国のマスコミは、今、言ったようにパパラッチみたいですから、それに揺れないで、民主党は大風呂敷を広げて母子加算をつけてみたり、一方、自民党は生活保護に関して扶養義務者の資産を調査すると、大揺れですから、だれもが生活保護になったりする可能性もあるということを考えて、振り返ったときも、あのときはすばらしい会議だったと私たちが言われるように、普遍性、一貫性を持って論議していきたい。」
 
第5回(2012年6月15日)あり
「○宮本部会長
 ありがとうございました。
大阪の経験と取組みはとても興味深いわけですけれども、後でまた質疑応答をさせていただきたいと思います。
 次に、山村委員の方からお願いいたします。

○山村委員
 日本社会福祉士会の山村でございます。今日は報告させていただく機会をいただきましてありがとうございます。
 資料5でございます。順に説明をさせていただきたいと思います。
 最初に、日本社会福祉士会の概要でございますけれども、1ページ目でお示しさせていただきます。日本社会福祉士会は47の都道府県社会福祉士会を会員とする職能団体でございます。各47の都道府県社会福祉士会に約3万5,000人の個人の会員が登録されているということで、各地域で生活支援の第一線のいろいろな取組みの実践を担っているということです。
 2ページに、会員がどういう構成でいるのかということで掲載をさせていただいています。現在、社会福祉士の資格を持っている登録者数は15万4,000人ということで、社会福祉士会に加入をしている会員数が3万4,895人、約3万5,000人という構成になっています。22.7%と決して高い加入率ではございません。
 次の3ページをごらんいただいて御説明させていただきたいと思いますが、3万5,000人の会員が勤務して実践しているそれぞれの領域別の職場が掲載されております。約9割が社会福祉士を活用した業務に就いているということで、実践されている方が会に入って、いろいろ会の支援を受けながら、あるいは会に協力しながら活動するということでございます。こういう構成をまずごらんになっていただいて、御提案として今日報告をさせていただきたいと思います。
 4ページ、「社会福祉士によるスクラム型支援の活用モデル」ということで、実は昨年23年度に社会福祉推進事業で取り組んできた調査研究事業の中で、1つ埼玉県の社会福祉士会が埼玉県から受託をしている事業についてヒアリング等を行いまして調査をいたしました。その内容について報告させていただくと同時に、これをモデルとした提案を申し上げたいと思います。
 5ページをごらんいただきたいと思いますが、これが推進事業で狙いとしました事業モデルということで考えているところでございます。この推進事業で一番下に「調査仮説」と書きまして、社会福祉士がどのようにスキルを使って活躍をしているか、その結果がどの程度有用性があるかということを狙いにしております。昨年始まった事業ですので、まだ途中段階でございまして、継続的により具体的な結果が得られればということで、できれば今年度も継続してやっていきたいと思っているところです。
 6ページをごらんいただきたいと思います。
 先ほど御紹介させていただきました埼玉県と連携した生活困窮者への支援体制でございます。この図にあるような形で公益社団法人埼玉県社会福祉士会が埼玉県より受託をしまして、主に3つ下に掲載させていただいております。自立支援専門員事業、住宅ソーシャルワーカー事業、ホームレス巡回相談事業ということです。社会福祉士会の中に社会福祉士事務所を器としてこの事業に携わる者は、自立支援専門員事業が8人、住宅ソーシャルワーカー事業が50人、支援員35人相当ということでございます。ホームレス巡回相談事業は50人の登録者がいて担っているところでございます。
 次の7ページをごらんいただきたいと思います。
 これは事業の中で1つの事例として御紹介させていただきたいと思います。支援事例でございます。ホームレス巡回相談員から、生活困窮者の発見というところから、その間、社会福祉士が関わりまして、最終的に地域包括支援センター、地域での継続的な見守りにつなげたという事例でございます。
 1つは、まず関わってシェルターを利用。30日以内となっておりますが、シェルターを利用の後、物件契約、住居の関係です。そして、転居した後のアフターフォロー、これを原則6か月間と考えておりまして、その後、継続的な見守りに移っていくという考え方です。
 下の表がありますのでごらんいただきたいと思うのですが、この事例の中で関わった支援内容です。主なところだけ申し上げたいと思うのですが、まず福祉事務所と同行をした、3回ございます。それから、下の方に担当のケースワーカーさんとの協議、これは3回ということで、いろいろな関係する機関あるいは個人が関わりながら、社会福祉士が関わっている中で動いてきております。
 その次の8ページをごらんいただきたいと思います。
インタビュー調査結果でございます。左側が福祉事務所の方のインタビュー、右側が利用者の方へのインタビューの結果でございます。
 福祉事務所のインタビューのところを何点か抽出して申し上げたいと思いますが、1番で、見立てに不安があるときに、社会福祉士に相談する。2点目に、ケースワーカーの目が届かないところに、やりたくても手が届かないところに入ってくれる。そして、社会福祉士は突っ走っていくのではなく、いろいろと協議や提案をしてくれるということで、福祉事務所側から見て、協力しながら進めるというところでいろいろよい結果であるというお話をいただいております。
 利用者からのインタビューは右側に掲載されているとおりでございます。
 その次の9ページをごらんいただきたいと思います。
 社会福祉士がケースワーカーと協働する利点ということで6点上げさせていただいております。何点かございますが、3番目にケースワーカーのOJT的な機能ということで上がっております。他部署から配転となったケースワーカーさんの場合、最初の段階ですぐにお1人で動くことは大変難しい。例えば社会福祉士と同行訪問する等によって、被保護者の方の理解、支援の仕方について一緒に確認していただきながら、よりスキルを高めていただくという部分があろうかと思います。
 10ページをごらんいただきたいと思います。
 この事業を見てまいりまして、1つ提案ということで申し上げたいと思うのですが、スクラム型の支援の活用モデルと申し上げたらよろしいのかなと思います。職種の異なる者が強固な一体的なチームをつくってクライアントの支援を行う支援形態、1つは社会福祉士会が組織として、その中にある社会福祉士が実際に支援に当たる。それによって支援に当たっている人たちが孤立することなく、支援をしている人を組織で後方支援と申し上げたらよろしいのかなと思うのですが、支援者が孤立する例もよく見られるのですけれども、孤立しないように、特に困難事例等に遭遇したときに協働して当たっていく等の体制をスクラム型支援というところできちんと整備できるのではないかなと思います。
 一番下、専門職能団体が責任を持つことで、一定水準以上の成果が常に可能だと思います。
 次に11ページ、今、申し上げましたスクラム型支援の1つの活用モデルということでごらんをいただきたいなと思います。
 上にケースワーカーと社会福祉士が一体的なチームをつくって支援とありまして、(1)(2)(3)と3つ上げてございます。最初に同行訪問、これはアセスメントの部分で関わるところが大きいだろうと思います。2点目が合同カンファレンス、これは支援目標・計画の策定。3点目に支援計画の協働実施とその後の情報の共有というところで、一体的なチームをつくっての支援体制。
 右側に後方支援によるメリットということで、社会福祉士会が後方支援ということで1?5を上げさせていただいております。基本的なスキルは、社会福祉士はソーシャルワークのスキルでございますが、その中に倫理綱領、守秘義務を遵守しなければいけないということも併せてスキルの中に入っております。1つはその業務を使命として、ある意味熱い心と申し上げてもいいのかなと思うのですが、学んだ冷たい頭と同時に、専門職が温かい心を持っていないということは決してなくて、専門職だからこそ熱い心を使命として持ちつつ、利用者の方に利用者中心の支援を行っていくということを会が全体で担保したいという考え方が、ここでいう後方支援とお考えいただければと思います。
 その下にスクラム型支援によるメリット、右側にそれによるスクラム型支援の効果・特徴ということで書かせていただいております。
 最後の資料でございますが、12ページです。福祉事務所の自立支援機能の強化に向けた提案でございます。
 1点は、まず第1番に自立支援機能に視点を置いていかなければいけないのではないか。生活保護からの脱却を目標に据えながら取り組んでいくことは大変重要な部分であろうと思っております。
 それを進めるときに問題意識として左側に3点、ケースの複雑化と社会福祉主事の専門性の限界、2点目、ケース数の増加、ケースワーカーの増員は大変難しいだろうと、3点目に、最後のセーフティネットは公的責任。
 そこで求められるところとしまして、社会福祉士など、専門性の高い者の対応が必要。マンパワーの確保が確実に必要であろうと思います。そして、ケースワーカーの適切な判断が必要。これは福祉事務所に代わって行うということではなく、福祉事務所の機能の専門性の必要な部分を担いつつ、最終的に福祉事務所の権限と責任、これは確実に実施をしていただきたい。言わば後方支援で、福祉事務所があるべき本来の機能をより発揮できるように、全体のシステムを構築する必要があるのだろうということでございます。
 それに向けて、その下に第1段階、第2段階と上げさせていただいておりますが、全国でケースワーカーさんが2万人おられるということで、一時に専門職の方を配置ということは非常に難しいと考えられると思います。
 第1段階としてスクラム型支援の普及ということで、福祉事務所が公的責任を担いながら、左側の高い専門性とマンパワーの確保という部分を双方で共有しつつ、協働の体制をまずつくっていただく必要があるのではないか。
 そして、第2段階として、やがてはケースワーカーさんへ社会福祉士の方がより多く任用される必要があるのかなと。どのくらいの期間が必要かということは一概に申し上げられないと思うのですが、ある一定期間の中でこうした流れの計画を持っていただいて、将来的にはその地域で専門職が必要なだけ担えるところは担えるような形にしていただければと思っています。
 これは自立支援機能というところで我々は考えておりまして、最近マスコミ報道の中で生活保護が過剰とも言える内容はやや懸念するところがございます。むしろ支給要件のところに非常に偏っているのではないかなと。我々はまず第1番に自立支援機能に着目をして、その上で生活保護の本来、それから、あるべきところを堅持しつつ考えていく必要があるのかなと思っております。支給要件に余りに偏っていきますと、本当に生活保護を受給される方の権利がどこまで守られることになるのか、大変懸念する部分があるだろうと思います。しかしながら、不正受給は根絶しなければならないし、不正受給の抑止と支給要件の強化は分けて考えていただくことによって整理されるのだろうと思います。ただ、扶養義務者の扶養能力の調査は大変なマンパワーが必要だろう。それを今後どういうふうにだれがどこで担うのかということも大きな課題ではないかなと思います。いずれにしても早期発見と早期支援、そして早期の生活保護からの脱却を推進する、それは扶養能力の調査・強化というよりも、まず最初に自立支援機能の強化をされた方が推進の早道になるのかなと思います。
 今、地域の中で社会資源がどれほどあるのかと考えていきますと、十分ではないのかなと思います。社会福祉士がすべて担うということでもないのだろう。地域にあるあらゆる資源がうまく機能するように活用する形をつくる。その中で社会福祉士の、当然直接支援に当たるというスキルをどのように活用していただくかということをうまく考えていただければと思います。いろいろたくさんの資源があるのだろうと思うのです。そのときに地域の中のプラットフォームをまずつくっていただく。それによってそれぞれの資源がうまく活用・機能されると同時に、それぞれが連携・協働できるような仕組みが大切ではないのかなと思います。そうした方向に向けて、今、このモデルの提案として試みていきたいと思っております。埼玉県で既に実績を上げております。また、他の地域においても同様の形での実践が可能ではないかなと思います。先ほど専門性のお話がございましたけれども、やはり資格を持っている者はそれだけの学びと訓練と実践経験がございます。明らかにソーシャルワークのスキルにおいては高い優位性を持っていると申し上げてよろしいのかなと思うのですが、是非その資格を活用するという観点でお考えいただけるとありがたいと思います。
 ちょっと時間が超過しましたが、以上で終わりにいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。大変具体的な経験に基づく御提案だと思います。
 それでは、最後になりますけれども、広田委員の方からお願いします。」

「○宮本部会長
 最後に広田委員。ポイントを絞ってお願いします。

○広田委員
 私だけいつも言われている。キャラクターで言われていますから、時間の長さではない。
 扶養義務の話ですけれど、私の母校は美空ひばりさんが小学校の先輩で、ゆずが中学の後輩。高校の同期生が民主党副幹事長の斉藤君。何が言いたいかというと、美空ひばりさんのきょうだいとして生きたために弟さんたちは大変だった、なかにし礼さんはお兄さんのことで大変だった、私の仲間で精神障害者同士結婚して、生活保護です。お兄さんは一流企業の部長。そこへ福祉事務所が手紙を出した。援助しない。そうしましたら福祉事務所が一流企業の会社へ電話をしたら「縁を切る」と言われたのです。その後お嫁さんが亡くなった、知らせたのです。「縁を切ったのに何で知らせてきたんだ」ということで、お嫁さんが亡くなったというショックと、もう一度縁を切られたというショックで立ち直れないほどの衝撃を受けた。自殺まではいかなかったけれども、これを扶養義務の話に持っていってしまったら、明治の憲法になってしまうわけですよ。ですからそこは本当に何党が政権の時代であろうと、きっちり考えて、国家は国の家ですから、困っている人は社会が見る。そして、この前も言ったけれど、吉本興業の話、その分援助していますから是非生活保護課に社会貢献をしてくださいという、いわゆる振込先を送るくらいの形で、もっと日本国民が欧米のように社会貢献しなければ、ただ単に家族主義に頼っていく時代に逆行していくのは家族関係を不幸にするということです。本人の一斉調査もあなたを信頼していないよということだから、そこは本当に何党の何々様がおっしゃっても慎重になさっていただきたい。このことはまた後日にゆっくりですね。
 それと長谷川さんの個人情報が行き過ぎるのは私も反対です。だけれど、うちの町内会がすごくいいやり方をやっているし、私も孤立死対策をやっていますから、それはまたいつか折を見てということで、終わらせていただきます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、もう既に事務局の方に皆さんからたくさんの宿題をいただいておりまして、7月17日の第6回の会議のときに事務局の方からまとめて宿題を提出していただくということにしたいと思いますけれども、これまでの議論を踏まえて、加えて何か事務局に御要望等があれば、お伺いいたします。

○櫛部委員
 先ほど医療費の問題もちょっと出て、適正化ですが、厚生労働省の医療扶助実態調査という書類はあるのですか。その中で国保料が高いところと保護率が高いところは何か相関があるのかという説があるのです。その資料はあるのか。

○宮本部会長
 医療扶助について、国保の保険料が高いところとの相関関係についての。

○古川社会援護局・保護課長
 では、ちょっと調べさせていただきます。

○宮本部会長
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。最後御協力をいただいて、何とかほぼ時間どおりに奇跡的に終わりつつあります。
 次回は先ほど申し上げたように、これまで委員の方から御要望のあった資料等を事務局から提出いただく。それについて改めて意見交換をします。それから、恐らく次回までの間に、これは厚労省が基本的には責任を持つ形で、国家戦略会議で生活支援戦略の中間まとめが報告をされると思いますけれども、その中身について報告いただくと同時に、基本的に別建てで走ってはきましたけれども、これまでかなりインテンシブにこの部会で議論を積み重ねてまいりました。是非、生活支援戦略の中間まとめをいただく場合は、この部会におけるこれまでの議論を反映させていただきたいと改めてお願いをしたい。また、同時にこの問題が国民の関心を呼んでいる中ですので、是非国民にわかりやすくメッセージが届く中間まとめをお願いしたいと思います。その中身についても7月17日のこの会議のときに御報告をいただいて議論していきたいと思います。
 それでは、次回の会議について事務局の方から御説明をお願いします。

○古都社会援護局・総務課長
 本日は長時間ありがとうございました。
 次回は7月17日火曜日の16時から予定しております。場所は第3回会合と同じ場所でございまして、KKRホテル東京瑞宝の間になっております。よろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 それでは、本日の会合はここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。」

第6回(2012年7月17日)あり

○宮本部会長
 ありがとうございました。今の事務局からの中間まとめについての御説明に何か。
 藤田委員。

○藤田委員
 すみません。私、これから出ないといけないので、また簡潔に4点御質問があります。
 1つは、ハローワークと一体となった就労支援の強化ということで書かれていらっしゃるのですが、今も銀行等で照会をかけて、保護受給開始時の調査を照会という形で、資産があるのかどうかという調査をしているのですが、ここで言う一体との支援という中でハローワークに対して照会をかけるということも検討されるのかどうかということを1点お聞きしたいということ。
 2点目は、この資料2の4ページですが、後発医薬品の促進、ジェネリック医薬品の促進と書かれていますけれども、私、それだけではなくて、社会的入院の解消というのですかね。例えば大阪市等では、ホームレス状態にある方が、多くの方が精神的に疾患を抱えて社会的な入院を強いられているということがあるのですが、私は、社会的入院の解消も医療費を抑制するためには必要だということを考えていますが、そういったものはどう考えるのかというところで、2点目の御質問。
3点目ですが、資料2の5ページです。これは親族扶養の強化ということで掲げられると思うのですが、これは今も生活保護法の77条で、親族扶養で扶養できる際には扶養してあげてくださいという内容で出されているのですが、これは、私の視点では、改めて生活保護法77条の確認だという認識をしているのですが、この範囲内で考えていいのかどうか。逆に言えば、それ以外であれば、通知やマニュアル等を新たにつくることも検討されているのかということが3点目です。
4点目、最後ですが、その同じ資料の5ページ、その下の「脱却インセンティブ」の強化というところです。これは生活保護基準体系の見直しということで掲げられているのですが、私、いまいち、ここ、理解できないところで、「就労・社会的自立を促進する観点から基準体系を見直す」ということを書かれていますね。
 これは、普通に私どもで理解しますと、就労控除を上げる方向で見直しされるべきだと私自身は思っているのですが、逆にとらえるとするならば、最低賃金が下がっている、あるいは低い地域がある中で、最低賃金と比べて引き下げるということとしてとらえられるのか、これはどういう内容なのかを、4点目、最後に御質問したいと思います。
1から4番まで、すみません。

○古都総務課長
 1点目、同意のところだけちょっと整理します。社会的入院という問題の解消を意図しているのかどうかという御質問が2点目にあったと思います。それはまさに、ここで何か特別な新しい制度というよりも、むしろ社会的には解消していかなければいけないと思います。これから精神病院などからの地域移行を進めれば勧めるほど、その地域での支援がより必要になります。例えば救護施設などの活用も考えていかなければいけないだろうし、更に、いろいろフォローアップもしていくとなると、一回病院から外に出られる居場所をつくって、そして更に在宅なり地域で暮らしていく、そういう流れを社会福祉や生活保護の取り組みの中で工夫してやっていかなければいけないのではないかと思っておりますので、通常の施策として充実を図っていく必要があるだろうと思っています。
 それから、扶養のところでございますけれども、これはまず、77条に家事審判制度というものがあって、現在ほとんど利用されていないということがございます。確かに福祉事務所も多忙でなかなかできないとか、いろいろ資料も用意しなければいけない、さまざまな論点、理由があろうかと思いますけれども、そういう仕組みも活用できるように、例えばマニュアルなど用意していかなければいけないと考えています。その上で、大臣が申し上げていますのは、例えば扶養義務のある方に扶養の可能性についてお伺いしたとき、門前払いにされないように、相手からもきちんと回答いただけるようにする方法はないものかということを更に検討していく必要があるということだと思います。
 それから、最後に4点目のところです。別に最低賃金がどうかということをここで議論するわけではなくて、むしろ就労とか自立促進をするということです。例えば典型として書いてあるのは、就労収入積立制度のようなものであります。例えば保護から脱却した時点で新たな費用が発生いたします。アパートに入れば敷金、礼金も要るでしょうし、それから、国保に入れば保険料も払わなければいけないでしょう。そういうときに、全く手持ちのお金がないというのは困りますので、そういう意味でも、就労、自立を促す上でも、脱却したときに就労積立金があれば、より円滑にいける、そういう意味から基準体系を広く検討する必要があるという趣旨でございます。
 それから、ハローワークで一体的にやる場合には、開始時に、ある意味、本人から、ハローワークと一体支援やりますということで同意をいただいていると思いますので、その上で、両機関、ハローワークと福祉事務所の相互の情報共有についても、その同意を前提にして情報連携を図ってということであります。今後そういうことでやっていきたいという話でございます。
 それから、29条の見直しというのは、そのための問題というよりも、それ以前に働いていたかどうかとかそういうことを聞くためのものであって、ハローワークの一体支援とはまた別の話ということでございます。

○宮本部会長
 藤田委員、よろしいでしょうか。
 私の誤解かもしれませんけれども、藤田委員の最後の御質問、つまり、生活保護基準の見直しの問題と脱却インセンティブの問題、これは基準の見直しそのものは別の議論なのであって、脱却インセンティブと結びつけない方がいいというお話だったのではないですか。その辺りはいかがですかね。

○古都総務課長
 基準はあくまでも客観的に消費の水準と比べられる話でありますし、ここで言っているのは、脱却のための支援の仕組みをどう考えるかということだろうと思います。」

第8回(2012年9月28日)あり
「○古川社会・援護局保護課長
 保護課長でございます。
 引き続きまして29ページ目以降でございますが、「生活保護制度の見直しに関する論点」につきまして説明させていただきます。
 30ページ、まず……
……

 (3)は体制強化ということですが、1つ○を飛ばしまして、2つ目の○をお願いしたいと思います。「指定医療機関への指導・調査、検査の強化のための体制強化」というところでございます。現在は基本的には都道府県知事による指導監督を行っていただいているところではございますけれども、なかなかやり切れないところもあるということでございますので、国による直接指導もあわせて実施できるように法律上明確化した上で、地方厚生局に専門の生保の指定医療機関の担当を増配置するということで検討したらどうかと考えているところでございます。
 40ページは「不正・不適正受給対策の強化等」でございます。箱の中は省略をさせていただきまして、一番下ですが、「不正・不適正受給対策の強化を図るため、以下の観点からの取組が必要と考えられるが、どうか」というところでございます。
 41ページの「1 不正受給対策の強化」の自治体の権限強化ということですが、生活保護法第29条に福祉事務所の調査権限と規定されておりますけれども、現在できますのは資産及び収入の状況に限定されているということでございます。このためそれだけではなかなか対応し切れない、限界があるというお声をよくお聞きするところでございますので、保護費支給の適正化を確保するという観点から、就労の状況などにつきまして、調査対象として明確にすることにしたらどうだろうかというところでございます。
 2つ目ですけれども、福祉事務所の調査の対象者について、現在の要保護者、扶養義務者に加えまして、過去に保護を受給していた方及びその扶養義務者も対象とすることはできないかということで、例えば不正受給が保護を脱却した後でわかった場合につきましても、調査ができるという形にしたらどうだろうかということでございます。無論この場合保護を脱却した方がどこまでも追いかけられるというのは余り適切ではないという御意見もあろうと思いますので、ある程度そこは範囲を縛ることは必要かとは考えているところでございますが、項目としては書かせていただいております。
 また、現在、照会しても回答が得られないとの指摘がございます。民間の方に対しまして義務づけるのはなかなか難しいと思っておりますけれども、官公署に対しては一定の条件はつくかもしれませんけれども、積極的に回答いただけるような形で法文上の手当てができないか検討したらどうかと書かせていただいております。
 下のほうに※印がありますけれども、金融機関本店等への一括照会とは、銀行協会さんに御協力をいただいて、口座の有無などを御回答いただくものでございますけれども、大変な御協力をいただきまして、本年12月から実施予定となっております。
 次ですが、「不正受給に係る返還金と保護費との調整」というところでございます。「不正受給に係る返還金の確実な徴収を図るため、当該返還金については、事前の本人同意を前提に保護費との調整をできないかを検討する」と書かせていただいております。不正受給をした方であっても満額そのまま受け取っておられるということがどうなのだろうかという御意見がある一方で、最低生活費との観点からそのことが制度上できるのだろうかという御意見もある中でございますけれども、ぜひ御議論をいただければと思って書かせていただいております。
 第三者求償権の創設というのは、交通事故を原因として治療を受けていただいた場合等については、本来損害保険などにより支払われるということでございますけれども、そこはなかなかうまくいかないということでございますので、他法令に準じて同様の規定を入れさせていただいたらどうだろうかと書かせていただいております。
 42ページでございますが、「返還金に対する税の滞納処分の例による処分」でございます。アンダーラインのところですけれども、「生活保護法の不正受給に係る返還金について、税の滞納処分の例による処分をできるように」法文上明確にしたらどうかということでございます。他法令にも似たような規定が既にあるということでございますので、それを参考にしたらどうかということでございます。
 2つ目ですが、「稼働能力があるにもかかわらず明らかに就労の意思のない者への対応」というところでございます。稼働能力がありながら、その能力に応じた就労活動を行っていないことを理由に、所定の手続を経て一旦保護を廃止された方が、その後保護を申請された場合、当然福祉事務所さんでは今度は就労活動をちゃんとやってほしいということを確認するわけです。その上で、生保に至ったけれども、やはり能力に応じた就労活動を行っていただけなかったということで、再度所定の手続を経て廃止された場合、つまり2度廃止になった後に再々度保護を求めてこられた場合、急迫の状況でないなど一定の条件が必要だと思いますけれども、本当にその間就労の取り組みをしたようなことがちゃんと見えるような形する等という意味で審査を厳格化することも必要ではないかということで書かせていただいております。
 そのほか「(2)制裁措置の強化」ということで不正受給に対する罰則の引き上げとか、不正受給に係る返還金への加算という形で、不正に関しては厳正に対処するという観点からこのようなことはどのようにお考えになるかということで書かせていただいております。御議論いただければと思います。
 43ページでございますが、「適正支給の確保」の一環といたしまして「(2)扶養義務の適切な履行の確保」ということでございます。「扶養義務者に対する福祉事務所への説明責務」と書かせていただいております。本当に生活保護が必要な人が受けることができなくならないように留意するというのは当然大原則でございますけれども、特段必要と福祉事務所が判断された場合については、扶養が困難と回答した方につきまして、その理由を説明していただくということの根拠を法律上定めたらどうかということでございます。
 ※印の2行目の後段からですけれども、当然先ほど申し上げたとおり、必要な方に確実に対応することが大前提でございますので、実際にこのケースが仮に制度化されても適用されるケースは極めて限定的になると思われます。
 また、家庭裁判所による扶養請求調停手続は現行でもございますので、より積極的に活用して判断をいただくこともどうだろうかということでございます。
 最後、44ページ「地方自治体の負担軽減」と書かせていただいておりますが、これは地方自治体の皆様がより仕事をしやすい環境づくり、体制づくりということで、今、申し上げたようなメニューを横串という形で整理させていただいたということでございます。内容は同じでございますので省略をさせていただきます。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、これから今の御説明に基づいて議論に入っていきたいと思います。…」
 
「○宮本部会長
 ありがとうございました。
 非常に大事な3つの点を御指摘いただきました。これもぜひ後で事務局を含めて御意見を賜りたいと思います。
 すみません、花井委員が先でした。かなり時間が押してございまして、きょうは私の不手際もございまして、やや延長やむなき状況かもしれません。ただ、今、手が挙がったところまでで、すみません、櫛部委員も見ていました。少し短縮をしてお願いいたします。

○花井委員
 それでは、短く。
 まず、今日提出された資料の32ページのところです。「勤労控除の見直し」とありまして、やはり生活保護を脱却する動機のためには勤労控除をもっと拡大する必要があると思っております。拡大する方向性は賛成ですので、ぜひともそこの金額についても今後大幅に拡大する方向で検討していただきたいというのが1点です。
 それから、36ページのところでございます。健康の問題で、「健康管理について」というところの1つ目の○の行目「受給者自ら健康管理を行うことの責務を明記し」とあります。書かれていることを否定するものではないのですが、健康至上主義みたいに、健康でなければ人ではないみたいな、ともするとそういう方向に行きかねないと懸念しています。例えば札幌市で餓死した姉妹のお姉さんの話などを見てみますと、ずっと具合が悪くて、しかしながらそれは外からなかなかわからなくて、そして脳内出血を起こして亡くなるわけです。自分の努力ではどうしようもない方もいらっしゃいますので、余りこのことは強調しないで、運用のときにそういう形での健康管理を進めていただきたいと思います。ここはちょっと危ないな、怖いなということがありますので、その辺をぜひ配慮していただきたいと思います。
 それから、38ページの指定取り消しの関係です。これにつきましては先ほど生活保護の指定を取り消された場合、もう一方の保険医療指定機関の指定を取り消すかどうかという論点として示されましたが、私は当然取り消すべきだろうと考えます。生活保護という全額公費で医療を見ているところを不正した医療機関は保険医療指定機関も取り消すべきだと思います。
 最後のほうのページでいきますと、43ページの扶養義務です。これにつきましては前回からこのことについて意見が出されていますが、家族関係が昔とは大きく違っております。やはり生活保護を受給しようと決心するには相当の覚悟を持ってする場合が多いと思います。扶養関係にある人の援助を受けられるくらいならとっくにそうしているだろうと思います。扶養義務の調査についてはよほど慎重に対応していただきたいと思います。「扶養が困難な理由を説明しなければならないこととする」となっていますが、ここはもう少し検討する必要があるのではないかと思います。
 以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 山村委員、お願いします。…」
第9回(2012年10月17日)あり
「○藤田委員
 委員の藤田と申します。よろしくお願いします。
 私からは資料6を提示させていただいております。全21ページにわたる意見書が生活保護問題対策全国会議と言われる弁護士さん、司法書士さん、社会福祉系の研究者の方、市民団体等を含めた約300名の団体で、生活保護の問題に対して今後どうしていったらいいのかということを議論しているメンバーの意見書です。
 これは議論されている生活支援戦略案、前回の案に対するここが危惧されるところなのではないか、ここは修正が必要なのではないかというところが非常にわかりやすく意見としてまとめられていますので、これは委員の皆さんにも事前にも配付されているものだと思うのですが、このような視点で修正なり討議を行っていく必要があるのではないかということがまとめられているものです。
 私も非常にこの意見には同感をしておりまして、これに従って疑問点だとかそういったものを解消していくことも、1つお願いしたいなと思っております。
 1ページ、これは何度も繰り返し議論になっているところですが、就労指導を強化するということで就労自立ができるんだということは、これは非常に難しいところです。なので、これは改めて弁護士さん、研究者の方からも危惧が寄せられているところです。だから多様な自立をしていこうというところはそのとおりで、目指していくところの議論と評価しているところです。
 3ページにも書いていますが、不正受給に対する強調が余りにも案の中に強いのではないかということがあります。これは不正受給対策をやめろということは全く言っていなくて、不正受給対策は絶対に必要だと思いますが、その不正受給が強調される余り、本当に必要な人の生活保護に至る道筋を閉ざすことがないようにしていただきたいということが、ここでも挙げられています。これは私も非常に危惧しているところです。これは後半でも述べていきますけれども、窓口を狭めるということは本当に必要な人に生活保護が行き渡らないというデメリットも生じてきますので、そのあたりも注意が必要だろうと思っています。
 その後ですが2番、3番もそうですけれども、特に3番の6ページを見ていただきたいのですが、前回の案で弁護士さんが危惧しているところ、私も危惧しているところは(3)ですけれども、現行生活保護法の27条で指導、指示は必要最低限にとどめなければならないというところで、例えば健康に関する健康診断の聴取をするだとか、いろいろな案が出てきていましたが、この27条の法文に違反しないのかどうかということが、丁寧に議論されないといけないのではないかと私も思っております。
 (4)では伴走型支援。これは奥田さんもそうですけれども、多くの方がこれはそのとおりだと賛同するところと、抱き合わせでまずは就労するべきだという案が出てきています。伴走型支援というのは、まずは就労ではないということは何度も繰り返し委員会では議論されているところですので、まずここの矛盾点はどう考えるのかというところが、ぜひこれは回答いただきたいと思います。
 (5)は諸外国の例と比較して検討することも大事だろうと思っています。私たちはどうしても日本国内を視野に置きながら議論してしまいがちですけれども、海外はどうなっているのかということが端的にまとめられているものが7ページに書いてあるところです。
 8ページの就労意思のない者への対応という形で、素案では42ページに書かれているところです。これは稼働能力があるにもかかわらず、明らかに就労の意思がない者への対応ということですが、これは私自身も思うところですけれども、何を持って明らかに就労の意思がない者なのかという判断基準は、実はこれはケースワーカーの恣意的判断が非常に大きく左右するのではないかということを危惧しています。実は私もずっと生活保護申請に同行して、要保護者の支援をずっと10年ほどやってきておりますけれども、多くの場合、福祉事務所で帰される理由が就労してください、頑張って働いてください、生活保護に頼らないでくださいという形で帰されるのです。実際には保護が必要な人に対しても受給できていない現状がありますで、これを出すことがさらにその水際作戦と言われるような違法な福祉事務所の運用が助長されてしまうのではないかという危機感は、非常に私は持っているところです。
 さらに(2)で書いていますけれども、この無差別平等の原理というものを生活保護法は持っているわけですが、これに対しても旧生活保護法では就労意欲のない者は生活保護を受けるべきではないという形で、欠格条項として存在したのです。なので、これは生活保護法を前近代に戻すような議論ではないかということで、これはまずは生活保護に乗っていただいて、自立支援、一緒にどういう支援があればいいのか、就労意思が本当にないのかも含めて、丁寧な議論がされるべきだろうということを思っています。
 先ほど申し上げました調査・指導権限の強化というところが資料の12ページに書いております。本来、自由なはずの支出、家計であるとか健康状態も非常にプライバシーが高いものだと思っておりますけれども、それをケースワーカーさんに提示する、これを出してしまうということは、そういうものまで出してまでは生活保護を受けたくないという心情が働くのは当然だと思うのですが、こういった調査・指導権限の強化によって窓口が狭められてしまうのではないかということは、私も危惧しているところです。これも先ほどの27条の調査指示の最小限度にとどめなければならないというところをどの程度厚生労働省では考えていらっしゃるのか。このあたりは矛盾がないのか、これも回答いただけたらありがたいと思っています。
 14ページにも書いていますが、扶養調査、扶養義務の強化ということがありますけれども、当然ですが、扶養できる方には扶養していただくことが前提として大丈夫だと思います。ただ、扶養義務が私も10年ほど、何人も生活保護の申請に同行してくる中で、扶養ができるという方に出会ってきたことはほとんどないのです。なので扶養義務の強化をすることというのは当然ですけれども、窓口の締めつけ、本当に必要な人に家族への扶養照会が行くから生活保護は受けたくないんだというような、これも同じような窓口規制に働かないかということを危惧しておりますので、このあたりも慎重に議論していただけたらありがたいと思っています。
 18ページに書いていますけれども、私もこれは非常に今後もぜひ、高杉先生もいらっしゃいますので、医師会も一緒にやっていただけたらありがたいと思っているところですが、医療扶助の適正化という問題が出てくるところで、生活保護受給者の方に不要な医療を提供している、あとは過剰な診療をしている、余りにも多い服薬をしている、過剰な処方をしているところがあるということで、これは医療機関の問題もあるだろうし、さらには精神科病院に居場所がなくて、いまだに入院している社会的入院の問題があると思います。なので、この社会的入院を減らしていくことが、生活保護費の削減あるいは本人の自立した生活をさらに高めていくことになりますので、医療扶助の適正化に関しては、社会的入院を解消していくという方向性も積極的に位置づけていただきたいと思っています。いまだに地域に戻る場所がなくて精神科病院で社会的入院を強いられているという、私は非常に人権侵害もあるのではないかと思っていますが、その状態を放置してこの医療費の扶助の適正化はあり得ないと思っておりますので、これも慎重に議論していただけたらと思っています。
 最後は20ページに書いております。素案の41ページ、42ページに出されているところですけれども、不正受給をしてしまった方あるいは本人が意図せずに、過失も含めてですが、生活保護費を不用意な使い方をしてしまったと言うのでしょうか、そういった方に対するかかわり方ですけれども、後で費用の返還をしてくださいねという条項になると思うのですが、そこに対してですけれども、もともと生活保護費は最低生活費として支給されているわけです。なので最低生活費から支給されているものを後で返還義務が生じて返還してくださいというものは、例え1円単位であったとしても最低生活費を脅かすものでので差し押さえ禁止という条項も生活保護法にありますので、安易に費用の返還を求めないでいただきたいと思いますし、費用の返還を求める際にはどうしていったらいいのかということも、これも差し押さえ禁止の条項とともに適切に、丁寧に本当は議論していかないといけないところですが、これについてもどう考えていらっしゃるのかということを伺いたいと思っております。
 過去に生活保護を受けている方はいろんな多重債務の問題があって、借金の返済をしなければいけないとか、本来はそれも借金返済してはいけないわけですけれども、あとは税金の滞納であるとか、いろんな滞納があるわけです。そういったものに対して、あとは過去の返還義務もそうですけれども、それに対してお金を生活保護費から支払ってしまうということは最低生活費の条項に抵触してくるものでありますので、これも丁寧に議論していただきたいと思っております。
 私はこの意見書に基づいて意見を述べさせていただきましたが、この意見書を非常によくできていると思っておりまして、この生活支援戦略を考える上で生活保護の見直しをする際には特に危惧される点がたくさん述べられていますので、ぜひ慎重に議論をしていただきたいと思っています。
 生活保護は最後のセーフティーネットだということはよく言われておりますので、特に福祉事務所で私は性善説はとりたくないと思っているのです。性悪説で福祉施設の対応を見ていきたいと思っておりますので、実際に現場でもいまだに不当な運用、違法な福祉事務所の運用が実態としてあるのだというところから、それを助長してしまいかねないような危惧がされるような報告書あるいは案にならないようにと思っております。
 私からは以上です。よろしくお願いいたします。」
 
「○古川社会・援護局保護課長
 では、資料2をごらんいただきたいと思います。前回の部会におきまして御指摘をいただきました「生活保護受給者の自殺者数について」という資料でございます。
 この資料につきましては、私どものほうで自治体にお尋ねをいたしまして、保護課の責任において取りまとめたものでございます。
 結果でございますが、生活保護受給者の自殺者数は平成21年は1,045人、平成22年は1,047人、平成23年は1,187人ということでございました。
 一番下に※印が書いてございますけれども、御回答といたしましては自殺または自殺と推定される方ということで集計させていただいているところでございます。以上です。

○広田委員
 この数がマスコミ報道によってふえないことを祈りますし、福祉事務所が愛を持って、それから、この場もみんなそうですけれども、生活保護のコンシューマーとか自分が生活困窮者になったという視点が全てのところにあれば、こんな数は挙がってこないかもしれない。
 それから、先ほどの堀田先生に言ってください。いわゆる生活保護コンシューマーが地域でやるかどうかは別として、社会貢献するという機関は大事です。そこから就労にもつながるから。そういうことを大事にしたいし、やはり地域の愛とか家庭の愛とか職場の愛とかこの中の愛とかそういうものが欠けていますし、扶養することによって家族関係とか兄弟関係を崩しますから、前にも吉本さんに1億円厚労省保護課に寄附と言ったけれども、そういう社会全体が、例えば宮本太郎さんが寄附したよということが朝日新聞にこんなにばっとこの前出ていましたけれども、ほかの記事で、そしてあなたがここのあれとして呼びかけるのです。もっとみんな社会貢献、お金を俺は出したよという感じで、そういうふうにやらないと長い長いといつも言われますからやめますけれども、そういうふうにやらないと子供たちにツケを残す。日本は落ちていくときですから、ここでしっかりやらないと皆さんの話を聞いているとどうまとまるのかなと思います。
 いいですか。細かい話は本当、隣近所でやって、もっと大きな国の委員会ですよ。」
 
第10回(2012年11月14日)あり
「○広田委員
 生活保護の見直しですけれど、さっき高杉先生が、人ごとではなくて、日本医師会をアイデンティティーで診断していただきたい。レントゲン、MRI、CT、人工呼吸器、薬の多投与など、医療提供者側が生活保護だということで手軽に使っていないか。コンシューマーも無料だということで、安易に医療に関することを使い過ぎていないか。これはまちの人の声です。例えばスーパー銭湯とか銭湯。生活保護の人を医者が何十人か抱えていれば、それだけで生活が成り立っているというのが、ちまたで話されているのです。事実かどうは別として。
 それと、入院したいと言ったときに、あなた、3割負担でも入院するの。タダだから入院するのだったら、国民は納得しないわよ。それは、信頼関係があって、相手を知っているから、そう言えば彼女は2年間働きに行ったということがあるのですね。
 そういうことで、本当に日本の税負担では世界一の生活保護法だと思っています。それがきちんと担保できていくことが、世界の先進国の日本だと思います。それと、前にも言っていますが、生活保護1類の見直しを。多家族については0.何とかというのは高過ぎると思います。
 それから、2は、年齢が上がるとき。例えば49歳から50になると1類を2,000円下げている。59歳から60歳で2,000円下げている。69歳から70歳で何と4,000円下げている。初老になっても、もっとおいしいものを少し食べて、医療機関をサロンにしないで、あなたらしく、これまでどおり尊厳を持って暮らしてくださいという生活保護であってほしいと思います。
 それから、生活保護コンシューマーの親族に扶養義務を課さないこと。理由は前にも言っています。家族関係を壊しますから。その方の家族が社会貢献してお金を何倍も寄附すればいい。
 それから、生活保護基準部会に主婦など生活のプロを入れてほしい。そういう人がここにも入っていますかということをまちの人に聞かれていますから、ぜひいろいろな立場の人の意見を総体的に入れて、さすが国の委員会だなという立体的なものにしていただきたいということです。
 それから、福祉事務所と生活保護コンシューマーの人間としての信頼関係が大事で、これが今、欠落しています。そうした努力を怠り、安易に警察OBを雇用するのはおかしい。何でもかんでも警察頼みはおかしい。ある意味では、福祉事務所と警察という機関同士は緊張関係ぐらいがふさわしい。そして、人間関係としては、全て人間は対等で信頼関係ですけれど、これは本当におかしいと思います。全ての行政、地方自治体が警察権力を使い過ぎています。依存しておきながら悪口を言っています。
 それから、生活保護コンシューマーにしても障害を持つ人でも、人は本来、みんな社会貢献を望んでいる。居場所づくりじゃないのです。そうした夢が実現できる社会づくりにお金をかける必要はありません。これは機運です。
 最後、もう一つのこの国の課題は、愛の欠乏社会からの脱却であり、孤立死などを全て制度で補うのはおかしいのです。隣の人が孤立死したと、テレビに出て騒いでいるのもおかしいのです。隣の人はこんにちはと声をかければいいのです。
 それから、日本社会は今、ピンチですけれど、お金がないということは愛を出せばいいのだから、チャンスだということです。そして、厚生労働省の課題も警察庁も財務省も朝日新聞も、いつも言っていますが、日本国の課題は鬱。そして、ここにいる誰もが認知症になりそうだから、そういうものを予防することが医療費抑制であり、何よりも国民の健康保持であり、幸せだということで、以上です。よろしくお願いします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。この特別部会に関する限りは、極めて多様な意見が反映されていると思いますけれどもね。

○広田委員
 多様な人という意味で言っていますから。

○宮本部会長
 多様な人という意味も含めてでございます。
 それでは、半言でお願いします。」
第11回(2013年1月16日)あり
「○古都社会・援護局総務課長
 お手元の資料1に沿いまして、整理した、いわゆる各論の部分について御説明いたします。これは部会長の、起草委員会の指示をいただきまして、これまでの10回の議論を整理し、起草委員会でまとめていただいたということでございます。…

 
「4.不正・不適正受給対策の強化等について」でございます。
 冒頭、部会長からもございましたように、生活保護の条件を正しく知っていただくべきであるということで、例えば現在、不正受給で把握されているケースは、金額ベースで見た場合に全体の0.4%でございます。そういうことを明らかにした上で、ただ、一部であっても不正受給があり、その対応を放置することは国民の信頼を損なうことにもつながりかねないということで、厳正に対処することが必要であるということでございます。その上で大切なことは、真に支援が必要な方には確実に保護が行われることに十分に留意をしつつということでございます。問題があった場合にしっかり厳正に対処できる仕組みを考えるという趣旨が必要であろうということでございます。
 まず不正受給対策の強化につきましては、調査権を拡大すべきということでございます。一昨年に行われました国・地方の協議等で地方自治体からも、問題があると思われるケースについてきちんと調査をする必要がこの信頼確保に必要であると言われており、御意見も賜っているところでございます。
 その次の41ページにございますように、具体的には生活保護受給者等の資産及び収入の状況等がお聞きできる、調査できることを明らかにし、また、仮に過去に不正をしていたことが明らかになった者についてということでして、やみくもに過去の受給者をどうこうするということではなく、そういうことが明らかになった人についてはきちんとどうでしたかという調査ができるようにする権限を明確にすべきということです。
 さらに現在、福祉事務所のほうでいろいろ官公署に尋ねた場合でもなかなか回答していただけない場合がございますので、そこについては、必要な照会をした場合については必要な回答をしていただけることを位置づけるほうがいいだろうということでございました。
 それから、生活実態の把握とか不正受給が疑われる場合について、説明を求めていくということですけれども、当然、個々のケースの状況に十分配慮し、そして必要な説明を受給者あるいは扶養義務者等に対してした上でやっていかなければ、やみくもにやるということではないということでございます。
 「不正受給に係る返還金と保護費との調整」ということで、これについては事前の本人同意を前提にできないかを検討するということでございます。
 この際は、これはいろいろ丁寧に議論することが必要という意見がございました。もちろん、きちんと生活ができるという前提でどう調整をするかということは言うまでもございません。
 「第三者求償権の創設について」ということは、これができるようにするということです。
 それから、返還金の滞納処分についても、税の滞納処分の例によるということです。ここまでの話について、全体として、丁寧に、本当に必要な人にはそういうことができるように明確にしておくということで、実施に当たっては適切な運用が求められるところでございます。
 稼働能力があるにもかかわらず明らかに就労の意思のない方で、何度も何度も手続を経て保護を廃止された生活保護受給者については、審査をより明確にするということです。しかし急迫の状況であれば当然保護はするわけでございますので、そういった一定の条件のもとにやっていくということです。
 その際は当然、下にございますように、恣意的判断を懸念するという意見がございましたので、きちんとそれに配慮しなければならないということでございます。
 「2 制裁措置の強化について」で「不正受給に対する罰則の引上げについて」で、これは一般的な罰則の例に合わせて引き上げるということでございます。
 「不正受給に係る返還金への加算について」で、一定程度求めるということでございます。これらもそういう問題があった方についてということでございます。
 「(2)生活保護費の適正支給の確保について」で、扶養義務の履行につきましては、受給する要件とはされていないと明確にした上で、さらには本人以外の事情で、本人の生活が成り立たないということも十分考えられます。一方で、扶養が明らかに可能と思われるにもかかわらず扶養を拒否しているというケースは適当ではないということでございますので、いろいろな要件を踏まえながら、本当に生活保護が必要な人が受けることができなくならないように、また、家族関係の悪化につながらないように特段に留意しつつ、特にどうしても必要だなと認めた場合について、扶養が困難な理由を求めることが必要であるということでございます。
 次の44ページにございますように、この点につきましては、扶養義務の調査については慎重に対応すべきである、あるいは家族への扶養照会がなされるなら生活保護は受けたくないといったことにならないかが危惧されるということで意見が出されておりますので、運用に当たっては特に慎重に行うことが必要であるということでございます。…」

報告書(2013年1月25日)あり
「社会保障審議会 生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会
報告書 平成25年1月25日

目次
I はじめに・・・1
II 総論・・・2
1.生活困窮をめぐる現状と課題・・・2
2.既存の制度体系と新しい生活支援・・・3
3.生活支援体系の基本的視点・・・5
4.生活支援の具体的なかたち・・・6
III 新たな生活困窮者支援制度の構築について・・・9
1.基本的な考え方・・・9
2.新たな相談支援の在り方について・・・10
3.就労準備のための支援の在り方について・・・17
4.中間的就労の在り方について・・・19
5.ハローワークと一体となった就労支援の抜本強化・・・24
6.家計再建に向けた支援の強化について・・・27
7.居住の確保について・・・30
8.子ども・若者の?困の防止について・・・32
IV 生活保護性の見直しについて・・・36
1.基本的な考え方・・・36
2.切れ目のない就労・自立支援とインセンティブの強化について・・・36
3.健康・生活面等に着目した支援について・・・39
4.不正・不適正受給対策の強化等について・・・41
5.医療扶助の適正化について・・・46
6.地方自治体が適切な支援を行えるようにするための体制整備等について・・・49
V おわりに・・・50
参考・・・51
・「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」委員名簿・・・51
・「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」開催経過・・・52
Iはじめに
II総論
III新たな生活困窮者支援制度の構築について
IV生活保護制度の見直しについて
Vおわりに
参考


Iはじめに
○本部会は、生活困窮者と生活保護受給者の増大が問題となり、生活困窮者対策及び生活保護制度の見直しを一体的に検討するため、昨年4月に設置された。
○見直しの方向性は、社会保障制度改革推進法(平成24年法律第64号)においても、同法附則第2条において、生活困窮者対策及び生活保護制度の見直しに総合的に取り組むこと等が示されている。
○こうした状況の下、本部会では、昨年4月26日を第1回として、12回にわたり審議を重ねてきた。まず、生活困窮者の抱える課題や生活保護制度の課題等について全体的な議論を行い、8月には委員が生活困窮者の支援に取り組んでいる施設等の現地視察を行った。その後、これらの議論等を踏まえて、生活困窮者対策及び生活保護制度の見直しに関する具体的な制度設計について議論を行った。
○本報告書は、これまでの本部会における審議を整理し、生活困窮者対策及び生活保護制度の見直しについて、制度的な対応が必要な事項を中心に取りまとめたものである。
1
II総論
1.生活困窮をめぐる現状と課題


4.不正・不適正受給対策の強化等について
○生活保護の不正受給については、把握されているケースを金額ベースで見ると全体の保護費の0.4%という水準ではあるが、一部であっても不正受給があり、そのことへの対応を放置することは、生活保護制度全体への国民の信頼を損なうことにも繋がりかねないため、厳正に対処することが必要である。このため、真に支援が必要な者には確実に保護が行われるということに十分に留意しつつ、不正受給対策の強化を検討していくことが必要である。
41
(1)不正受給対策の強化について
1地方自治体の権限強化について
(調査・指導権限の強化等について)
○不正受給防止のため、地方自治体の調査権限を拡大すべきである。
○具体的には、生活保護法第29条の福祉事務所の調査権限の内容については、現在、生活保護受給者等の「資産及び収入の状況」に限定されているが、生活保護受給者に対する自立に向けた更なる就労指導、受給者の生活実態の把握や保護費支給の適正化を確保するため、就労の状況や保護費の支出の状況等を追加することが必要である。
○また、福祉事務所の調査の対象者についても、例えば、現在は生活保護を受給していないが、過去に不正に受給していたことが明らかになった者について、受給中の状況を確認することが必要となっても、現在の生活保護法第29条にはその権限が明確にされていない。このため、調査対象について、現行の「要保護者及びその扶養義務者」に加えて、「過去に保護を受給していた者及びその扶養義務者」も対象とすることを追加・明確化することが必要である。
○なお、この場合、保護の申請が抑制されるおそれがあるとの懸念が示されたことに十分配慮することが必要である。
○その際、現在、照会しても回答が得られない場合があるという指摘があるため、官公署については回答義務の創設を検討することが必要である。
○さらに、生活実態の把握や不正受給が疑われる場合の事実確認等において、生活保護受給者から説明を求めることがあるが、現状では明確な根拠がないため、福祉事務所は、個々のケースの状況に十分配慮した上で、必要に応じて、受給者や扶養義務者等に対し、保護の決定及び実施等に必要な説明を求めることができる旨の権限を設けるとともに、説明を求められた場合には、その者は、必要な説明を行うこととすることが必要である。
(不正受給に係る返還金と保護費との調整)
○不正受給に係る返還金の確実な徴収を図るため、返還金については、事前の本人同意を前提に保護費との調整をできないか検討することが必要である。
42
○なお、その際、最低生活費である保護費から返還金を求めるための方策を検討する際には、保護費については差押が禁止されていることも踏まえ、事前の同意の取り方を含め丁寧に議論することが必要との意見があった。
(第三者求償権の創設について)
○交通事?等を原因として生活保護受給者が医療機関を受診する場合、本来であれば損害保険等により医療費の支払いがなされるべきところ、生活保護受給者が損害保険会社等に請求を行わないため、結果として医療扶助が適用されるという問題が指摘されている。このため、福祉事務所が受給者本人に代わり、損害賠償請求権等を直接請求する第三者求償権を創設することが必要である。
(返還金に対する税の滞納処分の例による処分について)
○元生活保護受給者が返還金を滞納した場合、仮に差押を行おうとすれば、民事訴訟上の手続をとる必要があり、自治体の負担が大きい。したがって、生活保護法の不正受給に係る返還金について、税の滞納処分の例による処分をできるようにすべきである。
(稼働能力があるにもかかわらず明らかに就労の意思のない者への対応について)
○稼働能力がありながらその能力に応じた就労活動を行っていないことを理由に、聴聞等所定の手続を経て保護を廃止された生活保護受給者が、その後同様の状況下で就労活動に取り組むことを確認した上で再度生活保護を受給するに至った際、やはり能力に応じた就労活動を行わないため保護を再び廃止された場合は、急迫の状況ではないことなど一定の条件のもとに、その後再々度保護の申請があった場合の審査を厳?化することが必要である。
○なお、就労の意思がないと判断する際、ケースワーカーの恣意的判断を懸念する意見があるため、運用にあたっては、保護の要件や、真に支援が必要な者には確実に保護を行うという制度の基本的考え方が変わるものではないことへの留意が必要である。
43
2制裁措置の強化について
(不正受給に対する罰則の引上げについて)
○保護費の不正受給に対する罰則については、「3年以下の懲役又は30万
円以下の罰金」である一方、例えば、生活保護法と同様に憲法第25条の理念に基づいている国民年金法においては、「3年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっている。こうした規定も参考に、罰則の引上げを検討すべきである。
(不正受給に係る返還金への加算について)
○不正受給が発覚した場合、その金額の全部又は一部を返還すればよいこととされているため、告訴等に至らない限り、不正受給に対するペナルティが実質的に存在しないとの指摘がある。
○このため、不正受給した場合には、その金額に加え、一定割合の金額を上乗せして返還を求めることができることにすることを検討することが必要である。
(2)生活保護費の適正支給の確保について1住宅扶助費の目的外使用を防止するための代理納付の推進(再掲)
○生活保護の住宅扶助については、その適正使用の観点からの指摘があり、
一部の福祉事務所では、代理納付(生活保護受給者が民間賃貸住宅等を借り、その家賃を自治体が家主に直接支払うもの)を実施しているところもある。このため、家賃滞納者等の住宅扶助費の目的外使用を防止することが必要な者については、代理納付を推進することが必要である。
2扶養義務の適切な履行の確保について(扶養義務者に対する福祉事務所への説明責務について)
○生活保護制度では、扶養義務者からの扶養は、受給する要件(前提)とは
されていない。これは、扶養義務者が扶養しないことを理由に、生活保護の支給を行わないとした場合には、本人以外の事情によって、本人の生活が立ちゆかなくなることも十分に考えられるためである。※扶養義務は、民法上、直系血族及び兄弟姉妹について当然に生じ、3親等内の親族間に
ついては特別の事情があるときに家庭裁判所が負わせることが可能とされている。なお、扶養義務の具体的な程度等については、当事者の協議と家庭裁判所の裁判にゆだねられている。
44
○一方で、本人と扶養義務者の関係において考慮が必要な特段の事情がない場合であって、扶養が明らかに可能と思われるにもかかわらず、扶養を拒否しているといったケースは、国民の生活保護制度に対する信頼を損なうことになりかねず、適当ではない。
○このため、本当に生活保護が必要な人が受けることができなくならないように、また、家族関係の悪化につながらないように特段に留意しつつ、福祉事務所が必要と認めた場合には、扶養が困難と回答した扶養義務者に対して、扶養が困難な理由を説明することを求めることが必要である。
○なお、この点に関しては、
・生活保護を受給するには相当の覚悟を持って申請する場合が多い。扶養
関係にある人の援助を受けられるのであれば既にそうしているだろうか
ら、扶養義務の調査については慎重に対応することが必要、
・扶養義務の強化は、扶養できる方には扶養していただくことが前提であるが、扶養義務の強化は、家族への扶養照会がなされるなら生活保護は受
けたくないといったことにならないかが危惧されるといった意見が出されたところであり、運用に当たっては特に慎重に行うことが必要である。
(家庭裁判所による扶養請求調停手続きの活用について)
○福祉事務所と扶養義務者の間で扶養の範囲について協議が調わなかった場合、家庭裁判所に対する調停等の申立手続の積極的活用を図るため、扶養請求調停手続の流れ等を示したマニュアルや具体的な扶養請求調停手続のモデルケースを示し、着実な扶養義務履行の一つの手段とすることが必要である。
45
5.医療扶助の適正化について
…」



■参考文献

◆小山 進次郎 19511215 『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』,中央社会福祉協議会,942p. ISBN10:  ISBN-13: 978-4793507380 \900  [amazon][国会図書館]
◆稲葉 剛 20131121 『生活保護から考える』,岩波新書,224p. ISBN-10: 4004314593 ISBN-13: 978-4004314592 ¥720 [amazon][kinokuniya]
◆森川 清 20140620 『改正生活保護法――新版・権利としての生活保護法』,あけび書房,232p. ISBN-10: 4871541274 ISBN-13: 978-4871541275 ¥2300 [amazon][kinokuniya]
◆大山 典宏 20131116 『生活保護VS子どもの貧困』,PHP新書,224p. ISBN-10: 4569815456 ISBN-13: 978-4569815459 ?760 [amazon][kinokuniya]
◆今野 晴貴 20130710 『生活保護――知られざる恐怖の現場』,ちくま新書,256p. ISBN-10: 4480067280 ISBN-13: 978-4480067289 ¥800 [amazon][kinokuniya]
◆みわ よしこ 20130715 『生活保護リアル』,日本評論社,220p. ISBN-10: 4535586462 ISBN-13: 978-4535586468 ?1400+税  [amazon][kinokuniya] ※
◆中央法規出版編集部編 20140215 『改正生活保護法・生活困窮者自立支援法のポイント――新セーフティネットの構築』, 中央法規出版, 174p. ISBN-10: 4805839767 ISBN-13: 978-4871541275 ¥2592 [amazon][kinokuniya]
◆東京ソーシャルワーク編 201408 『How to生活保護――申請・利用の徹底ガイド(生活保護法改訂対応版)』,現代書館, 244p. ISBN-10: 4768435335 ISBN-13: 978-4768435335 \1000 [amazon][kinokuniya]
◆岡部 彩 20140122 『子どもの貧困U――解決策を考える』,岩波新書,272p. ISBN-10: 4004314674 ISBN-13: 978-4004314677 ¥820 [amazon][kinokuniya]
◆和久井 みちる 20121212 『生活保護とあたし』,あけび書房,176p. ISBN-10: 4871541126 ISBN-13: 978-4871541121 \1400 [amazon][kinokuniya]
◆埋橋 孝文編 20130330 『福祉+αC 生活保護』,ミネルヴァ書房,277p. ISBN-10: 4623065405 ISBN-13: 978-4623065400 ¥2800 [amazon][kinokuniya]
◆岩永 理恵 20110228 『生活保護は最低生活費をどう構想したか――保護基準と実施要領の歴史分析』,ミネルヴァ書房, 343p.  ISBN-10: 4623059448 ISBN-13: 978-4623059447 ¥5400 [amazon][kinokuniya]
◆寺久保 光良・雨宮 処凛・和久井 みちる 20120801 『また、福祉が人を殺した――札幌姉妹孤立死事件を追う』,あけび書房,192p. ISBN-10: 4871541118 ISBN-13: 978-4871541114 \1400 [amazon][kinokuniya]
◆20140820 『生活保護手帳 2014年度版』,中央法規出版,914p. ISBN-10:4805850434  ISBN-13: 978-4805850435 \2700 [amazon][kinokuniya]
◆20140820 『生活保護手帳 別冊問答集 2014年度版』,中央法規出版,590p. ISBN-10:4805850442  ISBN-13: 978-4805850442 \2376(税込) [amazon][kinokuniya]
◆20140910 『生活保護関係法令通知集 平成26年度版』,中央法規出版,1850p.  ISBN-10: 4805850612 ISBN-13: 978-4805850619 \6,264(税込) [amazon][kinokuniya]

・論文

◆樫村愛子,20120901,「生活保護における「制度的逆移転」と「恥」からの回復」『現代思想』40(11):156-169. ◆吉永純,20130825,「生活保護法改正法案の検討――『水際作戦』の法制化、扶養の復古的強化、ワークファースト、不正受給対策の強化による、最後のセーフティーネットの弱体化」『賃金と社会保障』1591・1592:4−.
◆吉永純,201406,「口頭の保護申請と扶養義務に関する再審査請求を容認した二つの厚生労働大臣裁決――改正生活保護法に係る省令案をめぐる異例の経過にもふれて」『賃金と社会保障』1611: 47-57.
◆村田悠輔,20140710,「「改正」生活保護法の検討――申請権と扶養の問題を中心に」『賃金と社会保障』1613:4−20.
◆尾藤廣喜,20140125,「朝日訴訟に学ぶ(1)――私と生活保護裁判(第1回)」『賃金と社会保障』1601・1602:4-15.
◆尾藤廣喜,20140225,「朝日訴訟に学ぶ(2)――私と生活保護裁判(第2回)」『賃金と社会保障』1603・1604:4-11.
◆尾藤廣喜,20140425,「朝日訴訟に学ぶ(3)――私と生活保護裁判(第3回)」『賃金と社会保障』1608:4-15.
◆鈴木節男,20140910,「扶養圧力強化の問題」『賃金と社会保障』1617:18−23.
◆普門大輔,2014,「調査団の活動と大阪市の問題点(総論)」『賃金と社会保障』1617:6-10.
◆小久保哲郎,201409,「稼働年齢層の生活保護からの排除――申請時の助言指導ガイドライン」「相談票」『賃金と社会保障』1617: 11-17.
◆村田悠輔,201110,「口頭による生活保護申請と行政の助言・教示義務、および保護辞退届による保護廃止処分の違法性――小倉北自殺事件判決(福岡地小倉支判2011(平23)・3・29)について」『賃金と社会保障』1547:10-21.


*作成:中村 亮太
UP:20140911 REV:20140923 0927 0929 1007
生存・生活  ◇生活保護 

TOP HOME(http://www.arsvi.com)