◇定義(【外部リンク】難病情報センターより)
・概要:進行性骨化性線維異形成症(FOP)は、骨系統疾患と呼ばれる全身の骨や軟骨の病気の1つです。子供の頃から全身の筋肉やその周囲の膜、腱、靭帯などが徐々に硬くなって骨に変わり、このため手足の関節の動く範囲が狭くなったり、背中が変形したりする病気です。生まれつき足の親指が短く曲がっていることが多いという特徴があります。
・症状:この病気の主な症状である異所性骨化(筋肉やその周囲の膜、腱、靭帯などが硬くなって骨に変わること)は、乳児期から学童期にかけて初めて起きることが多く、まず皮膚の下が腫れたり硬くなったりして、時に熱を持ったり痛みを伴うことがあります。この症状をフレア・アップと呼びます。フレア・アップを繰り返しながら異所性骨化を生じ、手足の関節の動きが悪くなったり、背中が変形したりしますが、フレア・アップが起きても必ず異所性骨化につながるとは限りません。けがや手術などがきっかけとなってフレア・アップが起きることもあります。異所性骨化は背中や首、肩、足の付け根から始まり、徐々に手足の先の方に向かって広がる傾向があります。ですから手の指の動きまで悪くなることは少ない様です。呼吸に関係する筋肉や口を動かす筋肉の動きも悪くなり、呼吸の障害が起きたり、口が開けにくくなったりすることがあります。心臓を含む内臓の筋肉には異所性骨化を生じないとされています。
異所性骨化以外に、足の親指が短く曲がっている、手の親指が短い、手の小指が曲がっている、耳が聞こえにくい、髪の毛が薄くなるなどの症状を示すことがあることが知られています。レントゲンを撮ると膝などに異所性骨化とは異なる骨の出っ張りがあることもあります。
・医療従事者向け定義:進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia ossificans progressiva: FOP)(MIM: 135100)は、小児期から全身の骨格筋や筋膜、腱、靭帯などの線維性組織が進行性に骨化し、このため四肢・体幹の可動性低下や変形を生じる疾患である。先天性の母趾形態異常を伴うという特徴がある。骨系統疾患の国際分類(Warman ML, et al: Am J Med Genet A, 2011)ではDisorganized development of skeletal components group(骨格成分の発生異常グループ)に分類されている。