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心神喪失者等医療観察法とPSW:文献紹介


last update: 20110705

■目次

『精神保健福祉』33(1)より
◇佐藤 三四郎 20020325 「社会防衛としての精神医療――精神保健福祉法制の変遷を中心に」,『精神保健福祉』33(1): 5-10
◇池原 毅和 20020325 「精神障害者の責任能力をめぐって――精神医療と犯罪をめぐる法制度」,『精神保健福祉』33(1): 11-14
◇木太 直人 20020325 「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇をめぐるこの間の経過と日本精神保健福祉士協会の取組み」,『精神保健福祉』33(1): 17-21
◇岩崎 香 20020325 「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇に関するアンケート調査報告」,『精神保健福祉』33(1): 23-27
◇大塚 淳子 20020325 「実践を通してPSWのかかわりの視点を考える」,『精神保健福祉』33(1): 29-36
◇岩崎 香・大塚 淳子・木太 直人・佐藤 三四郎・三橋 良子・川口真知子〔司会〕 20020325 「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇をめぐって――現状の認識から(座談会)」,『精神保健福祉』33(1): 37-44

その他
◇木太 直人 20020625 「精神保健福祉士の立場から新法案を読む――PSWの専門性と新制度において果たすべき役割と課題」,『季刊福祉労働』95: 44-50
◇大塚 淳子 200207** 「精神医療の現場から問う――論点の整理と十分な議論を」,『法と民主主義』370: 26-28
◇大塚 淳子 20030925 「重大事件を起こした事例へのかかわりを通して考える」,『精神保健福祉』34(3): 252
◇助川 征雄 20040325 「英国の司法精神医学サービスにおけるソーシャルワーカーの役割」,『精神保健福祉』35(1): 80-83
◇三澤 孝夫 2004**** 「『心神喪失者等医療観察法』における社会復帰・地域支援制度の諸問題――英国との比較を通して」,『ジュリスト』増刊:精神医療と心神喪失者等医療観察法
◇佐賀 大一郎 20060625 「心神喪失者等医療観察法とPSW」,『精神保健福祉』37(2): 125-129


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■『精神保健福祉』33(1)より

◇佐藤 三四郎 20020325 「社会防衛としての精神医療――精神保健福祉法制の変遷を中心に」,『精神保健福祉』33(1): 5-10

はじめに
「しかし今回の法制化の検討は、直接的には先の精神保健福祉法改正(1999年〔平成11〕6月)において『重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇の在り方については、幅広い観点から検討を早急に進めること』とする附帯決議が行われたことに始まる。」5

精神病者看護法の制定
※精神病者監護法:1900年、第14回帝国議会において
「また、監護法が監護義務者を規定したことにより、精神病者である心身喪失者が他人に与えた損害に対して、民法714条の規定により、責任無能力者の監督義務者として、監護義務者が賠償責任を負うことになった。現行精神保健福祉法における保護者にも、継続して課せられている責任である。」6

精神病院法の制定
※精神病院法:1919年、第41回帝国議会において
「精神病院法は、私宅監置はそのままにしながら、公立精神病院を整備して保護医療を行うための精神病院収容を促進することを意図したものであるが、その目的はむしろ公安の保持にあったと理解できる。しかし財政難のために、実際に設置された公立精神病院は鹿児島保養院をはじめ少数にとどまった。」7

精神衛生法
※精神衛生法:1950年(S.25)第7回国会において成立。精神病者監護法及び精神病院法は廃止。
※法の特徴
「医療および保護の必要な精神障害者について、警察官等に通報義務を負わせたこと。」7
「・・・社会防衛としての意義が強調されている。」7

保安処分問題
「1974年(昭和49年)、法制審議会総会において改正刑法草案が決定された。1961年(昭和36年)から法務省が検討を重ねてきたものであり、その第1編第15章に保安処分の規定が設けられていた。」8
※法制審議会刑事法特別部会による「改正刑法草案附同意見書」(1972年(昭和47年))を入手

「なお、日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会(当時)は、1974年(昭和49年)5月17日、第10回大会総会において、保安処分制度に対する反対決議を行った。その理由として、@保安処分の新設は、精神障害者を治療の名の下に社会防衛、社会治安の目的で社会から隔離、収容するものに他ならない。A精神障害者の判断基準が曖昧、B拘禁状況下での治療は困難、C将来犯罪を行うおそれのある者として収容するのは予防拘禁に他ならず、収容が無期限になる可能性があり、人権侵害の危険が大きいことなどをあげていた。/1980年(昭和55年)8月に起きた新宿バス放火事件を契機として、再び保安処分導入の検討が行われたが、この時も関係団体の強い反対にあって制度化されていない。」8

1999(平成11)年、精神保健福祉法改正
「1993(平成5)年の精神保健福祉法改正に際して、施行5年後の見直し規定が設けられたことにより、見直し作業の一環として、1997(平成9)年10月、厚生省(当時)精神保健福祉課長から関係団体に対して法改正に関する意見照会が行われた。これに対し、本協会を含めて43団体または機関が意見書を提出した。」8
※1998年3月に設置された「公衆衛生審議会精神保健福祉部会」専門委員会、8月までに10回開催。第8回会議において触法精神障害者に関する問題9
※『精神保健福祉』通巻41号

精神医療と社会防衛
「しかし、制度が客観的なものである限り、限界はあるものの、運用する者の姿勢によってその意義を転ずることができる。/たとえば、入院医療から通院医療への転換をめざした1965年改正においては、ライシャワー事件を契機に、精神障害者を危険視し、精神障害者を野放しにするなとの世論を背景にした反動により、地域管理体制としての保健所の精神衛生業務が定められた。しかし、一部の自治体に限られたものの、保健所に専任配置された精神衛生相談員による実践は、それを精神障害者の地域生活支援のための活動へと転じていったのである。」10

「・・・精神保健福祉士の視点を最後まで貫き通す実践が求められている。」10


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◇池原 毅和 20020325 「精神障害者の責任能力をめぐって――精神医療と犯罪をめぐる法制度」,『精神保健福祉』33(1): 11-14

責任能力とはなにか
「『責任』とは別の言葉でいうと犯罪行為を行った人に対する『非難』である。法律の世界を離れて常識的に考えて、私たちは人が何か間違ったことをした時、どのようにその人を非難するであろうか。『やろうと思えばできたのになぜそれをしなかったのか』といわないだろうか。どんなに頑張ってもできなかったことや、誰にも全く予想できなかったような事態が生じてしまった時は仕方がないとしても、少し注意すれば予測できたり、少し努力すればしないですんだはずのことを、注意や努力をせずにやってしまった場合に、なぜそんなことをしてしまったのかというのが私たちの非難の前提にある。法律の理論も基本的には同じで、やろうと思えばできたことをしなかったことが非難=責任の前提になっている。法律にはローマ法以来『汝なし得る、故に汝なすべし』という法諺があり、責任の前提には『他行為可能性』(適法な行為の選択可能性)が必要になる。他行為可能性がないのに非難や責任を問うということになれば、どんなに努力してもできなかったことを非難し、責任を追及してしまうことになるのである。」11‐12

起訴便宜主義の功罪
「起訴便宜主義は犯罪としては成立しており、立証の可能なのだけれども、その人の情状などから起訴を猶予してあげる制度であるから、責任能力との関係でいうと理論的には責任無能力の場合は起訴便宜主義の問題ではない。責任無能力であれば犯罪そのものが成立しない(犯罪を犯したことにならない)ので、その人を裁判にかけるのは、アリバイがあって犯人(犯罪を犯した人)でないことが明らかな人を裁判にかけるのと同じことになる。このような場合は不起訴処分にすることになる。それは起訴猶予、起訴便宜主義とは別の問題である。限定責任能力の場合は刑を減軽されるが犯罪としては成立しているので、起訴便宜主義の問題になる。」12

※13に全国の検察庁ごとの不起訴率の概要。

責任能力のない人には何が必要か

政府案の問題点
「以上の要件から見れば、新たな制度は再犯の予測を前提にしてその防止のために強制的な入院や通院を行わせる制度であり、患者の利益を目指した制度でないことははっきりしている。」14

多くは「初犯」で、且つ軽微な犯罪を犯した触法精神障害者を考えると、一般の精神病院の状況はほとんどかわらないが・・・「これに対して大きな変化をもたらすのは、地域医療・福祉の分野ではないかと思われる。というのは、この特別法では、今まで精神医療・福祉とは全く別の刑事政策を担ってきた保護観察所が対象者の通院確保の中心機関になり、一般の地域医療・福祉の機関を刑事政策の傘下に組み入れてゆくことになるからである。患者の通院を受け入れる指定通院医療機関も、保健所も、その他の市町村を含めた地域医療・福祉の機関も、保護観察所と連携をとり、地域防犯・治安維持の役割を果たすことになる。こうした動きは精神医療・福祉の純化どころか、むしろ地域医療・福祉にまで及ぶ社会防衛目的の拡張といっても過言ではないかもしれない。」14


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◇木太 直人 20020325 「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇をめぐるこの間の経過と日本精神保健福祉士協会の取組み」,『精神保健福祉』33(1): 17-21

20以降、「日本精神保健福祉士協会の取組み」
「・・・日本精神保健福祉士協会としても2000年6月の常任理事会において企画部精神保健福祉プロジェクト委員会(以下、委員会)の中でこの問題に取り組んでいくことが提案された。」20
「委員会は、2000年12月から2002年1月にかけて9回にわたり開催された。第2回委員会では現行における重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等の問題について以下のとおり意見を整理している。・・・」20

「一方、日本PSW協会理事会としては、2001年9月の全国理事会での討議を踏まえ、同9月20日に『重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する見解』と同見解補足説明を公表した。・・・」
「さらに、2001年11月12日に与党プロジェクトチーム報告書が公表され、触法心神喪失者等の処遇への精神保健福祉士の関与が明記されたことから、同年12月8・9日の全国理事会で『精神障害者の医療及び福祉の充実強化と触法心神喪失者等の処遇の改革に関する要望書』を採択し、同13日に厚生労働省、法務省その他関係機関に提出した。」
→2001年1月に全会員に配布済

※保護観察所に精神保健福祉士が配置されることについて
「この要望書の中で保護観察所への精神保健福祉士の配置を要望していることが、一部の会員や関係者には戸惑いをもって受け止められているようで報道でも取り上げられているところだが、要望を行ったのは保護観察所では従来精神障害者とのかかわりが積極的にあったわけではなく、精神保健福祉関係機関と十分な連携をとるうえでPSWの存在が欠かせないと考えたためである。たとえ司法機関に配置されたとしても、PSWのかかわりは当然対象者の生活支援の観点に基づくものであることに変わりはない。」21


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◇岩崎 香 20020325 「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇に関するアンケート調査報告」,『精神保健福祉』33(1): 23-27

※回収率20.0%(2,416名中483名回答)
※問題点として・・・
「措置入院と判断されると司法の関与がないことから医療が責任を負わねばならず、退院に対して慎重にならざるをえないといったシステム上の問題がある。」
「また、病状が安定していても、犯罪行為をめぐる感情的な問題や、精神障害者に対する差別や偏見から、家族や地域での受け入れが困難な現状もある。殺人や傷害に関して、加害者も被害者も家族という事例も多く、受け入れがたく感じたり、地方では事件の記憶が風化せず、退院に関して地域住民の理解が十分に得られないといった指摘もあった。」25

「入院している人の中には責任能力があると思われるのに罪が問われなかったり、措置入院にもならずに医療保護入院として扱われたりしていることなどから、『罪に問われない』ことに関する疑問が寄せられていた。犯罪行為をした直後の処遇に関して現状のシステムではPSWが関与することはない。結果として入院してくる当事者に向き合うわけだが、犯罪行為、およびその後の処遇に関してPSWの抱く感情の問題がかかわりに少なからず影響を及ぼしている。中には治療中、犯罪行為に対して向き合うようなアプローチを行ったという事例、本人が罪を償いたいと希望するがかなわなかったといった例もあるが、・・・」27


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◇大塚 淳子 20020325 「実践を通してPSWのかかわりの視点を考える」,『精神保健福祉』33(1): 29-36

「つまり、今騒がれている法案や専門性(よく内容がわからないが)を備えた専門治療施設なるものがなければ、重大な犯罪行為をした精神障害者の治療や社会復帰が絶対的に不可能だとは思えないのだ。」29

※筆者のデータから・・・
「この時期のデータから特徴を整理すると、大別して次の2群に分けられる。1つは、犯罪行為が病状に起因していて入院治療による回復が見込まれ、かかわりや支援が社会復帰に不可欠と思われる群と、もう1つは罪の意識や犯罪行為への振り返りがもてず、医療機関だけでは対応が困難で、刑事的・司法的対応や福祉的・教育的対応が不可欠と思われる群である。」30

「・・・今話題になっている再犯ではなく、むしろ初犯をどう防ぐかが重要だと思われる。・・・」31
@当該本人に対する資源情報の周知の不十分さ
A治療中断
B刑法上・私法上の判断、行政手続に対する疑問

※触法の事例

※医療の限界
「・・・自裁したり、逮捕してほしい裁いてほしいと繰り返し犯罪に走る当該精神障害者のことを見聞きすると、果たしてどんな支援体制を用意すればよいのだろうかと思い悩むのが実際のところである。」35
→しかし、PSWが悩むことなのだろうか・・・?

「現行の責任主義や罪刑法定主義を考えると、誰であろうと罪を犯した者は裁かれるべきだと思う。」35

「今、重大な犯罪行為をした精神障害者が特化して語られているが、精神医療の体制整備と地域生活支援の観点から精神科救急医療システムが整備されつつある現状からすれば、精神障害者が病状を悪化させて孤立し、不幸にも犯罪行為をしてしまうといった事態を減少に導く方向性は明示しうるであろう。」35−36


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◇岩崎 香・大塚 淳子・木太 直人・佐藤 三四郎・三橋 良子・川口真知子〔司会〕 20020325 「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇をめぐって――現状の認識から(座談会)」,『精神保健福祉』33(1): 37-44
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■その他

◇木太 直人 20020625 「精神保健福祉士の立場から新法案を読む――PSWの専門性と新制度において果たすべき役割と課題」,『季刊福祉労働』95: 44-50

※PSWは社会防衛のためではなく、社会福祉学を基盤とした生活支援の観点からの社会復帰・社会参加の可能性の具体的提示にある。
・措置入院制度の問題と行政処分の限界
・「再犯のおそれ」をどう考えるか
・精神保健福祉士の関与が規定されていることをめぐって
「新法案には、PSWの関与が二点規定されている(正確には規定と想定)。一つは精神保健参与員に関する規定であり、二つは精神保健監察官に関する規定である。この規定が先述のとおり関係者の間に波紋を投げかけているようである。/対象者のために精神保健参与員(PSW等が規定されている)は、必要に応じて対象者の生活歴や生活環境等から総合的に処遇の要否やその内容について意見を述べることになる。このことに関しては、二〇〇一年十月十二日に公表された与党政策責任者会議による『心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告書』を受けて、日本精神保健福祉士協会が同年十二月十三日付に提出した『精神障害者の医療及び福祉の充実強化と触法心神喪失者等の処遇の改革に関する要望書』の中で、要望項目の一つとして、新たな法律策定にあたっては、PSWは対象者の生活支援の観点から援助を行うことを規定することを求めた。PSWが処遇決定にかかわる意義は社会防衛のためではなく、社会福祉学を学問的基盤とした従来の専門性を堅持し、生活支援の観点から対象者の社会復帰・社会参加の可能性を具体的に提示していくことにある。繰り返しになるが、法案の最終目的が対象者の社会復帰にあるとされていることからも、たとえ司法にまたがる領域に足を踏み入れるとしても、PSWが積極的に関与することは必要であると考える。」49

※「精神保健監察官」→社会復帰調整官に関するPSW協会の要望 49


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◇大塚 淳子 200207** 「精神医療の現場から問う――論点の整理と十分な議論を」,『法と民主主義』370: 26-28

※新立法案策定経過への疑問
「今、審議されている新法案は、そうした経緯から導き出されるべくして出てきたものであろうか。必ずしもそうは思えないのである。衝撃が癒えないうちに続く数多くの悲惨な事件が、事件の内容や背景等に関し、了解不能なことの回答と対策を強く求める感情を国民に呼び起こし、被害者感情や応報感情への同一化に傾いた議論と感じられる。」26

※新法案の対象は誰か
「大阪児童殺傷事件の再発を防ぐのであれば、犯人が不起訴、措置入院になってしまった行政手続きのあり方を分析すべきであり、既に統計でも明らかな精神障害者の起訴猶予や不起訴率の高さへの妥当性を確認する作業が求められる。」26
→起訴猶予、不起訴率は高いのか?

※精神保健福祉士の立場から
「仮に、再発予防でなく再犯予測を適切な医療提供によって可能とするなら、初犯防止を先ずすべきであろう。」27

「再犯予測に関する医学の限界が言われているが、病状の予測においても治療中の自殺者を防げないことも事実であり、受診して診察室内の面接が中心を占める精神医療の現状を、特例撤廃などを初め、底上げすることの方が大きな課題である。」27

「今為すべきことは、偏見と差別を解消するべく情報開示と疾病理解を啓蒙し、安心して信頼して医療の提供を受けることができる、他科並みの地域医療が整備整備されることである。」28

「また、刑法・司法・医療・当事者・市民をもっと巻き込んだ慎重かつ真剣な議論が必要である。」28


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◇大塚 淳子 20030925 「重大事件を起こした事例へのかかわりを通して考える」,『精神保健福祉』34(3): 252

※PSW協会学会分科会報告
「本質を変えない修正案審議を経て、2003(平成15)年7月10日に法は成立した。退院促進支援事業の今年度施行は16自治体のみ、社会復帰施設整備補助金の不足も公表され、両輪といわれた精神科医療の充実は後回しにされているが、本来の政策順位は逆である。現状の未解決課題に対しても、臨床実践においても傍観者でいられないなら検証姿勢を持ち続けるしかない。」252


「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』と精神保健福祉士」2003木太直人精神保健福祉34・3・263
※成立前のもの
※「精神保健参与員」
「審判の対象者との面接が可能なのか、対象者の鑑定書、保護観察所による生活環境の調査報告書、その他処遇事件に係る記録を閲覧できるのか、または審判のどのタイミングで意見を述べるのか、今の時点では何もわからない。」263

「・・・対象者の社会復帰の可能性について、どのような環境的条件が整えば実現できるのかを具体的に提示することに精神保健参与員の役割があると思われる。」263

※「社会復帰調整官」
「以上のように、社会復帰調整官はこの法律による処遇の前段階から処遇の終了に至るまで、継続的に対象者とかかわりをもつ唯一の職種である。ここで期待されているのは、対象者のケアコーディネーターあるいはケアマネジャーとしての役割である。社会復帰調整官がこの役割を遂行し、法律の目的に掲げられた対象者の社会復帰を真に実現するためには、当然ながら地域社会全体で対象者を支援していくための条件整備が必須となってくる。/仮に、ごく近い将来に精神障害者の地域医療・保健・福祉施策の抜本的な改革が果たされず、精神保健福祉士をはじめとする精神保健従事者が新しい制度に関心をもたないことになれば、結果的にこの法律が歪曲された形で運用され、この国の精神障害者に新たな不幸をもたらすことは明らかである。」265

→まずは条件整備、ならばなぜ強固に反対をしなかったのか?


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◇助川 征雄 20040325 「英国の司法精神医学サービスにおけるソーシャルワーカーの役割」,『精神保健福祉』35(1): 80-83

「英国においては司法精神医学サービス体制の中で、Approved social worker(以下、ASW)を中心とするソーシャルワーカーが重要な役割担っている。」
→社会復帰調整官的な役割

1 英国における司法精神医学サービス施策の経過
「英国における触法精神障害者処遇は、基本的には司法に委ねられてきた今日の保安病院やアウトリーチチームなどを備えた体制は『バトラー委員会中間報告(1974年)』によってもたらされた。制度改革の引き金になったのは、触法精神障害者の増加と過密収容、および病気の増悪例や自殺者等の増加と社会問題化である(中略)。」80
※英国の経過など

2 英国の司法精神医学サービス体系と具体的な対応の流れ
「・・・拘束命令のある患者は、約3,000名/年。・・・」80

「施策面で注目すべきことは、地方自治体(市町村)がNHSトラスト(特殊法人)委託のかたちで司法施設(ホステル)などの設置や運営費を補助していることである。また地方自治体に所属するソーシャルワーカーが大きな役割を果たしていることである。これらの基盤は、probation officer(保護監察官)制度ができた頃から形作られた。ソーシャルワーカー資格を有する者の多くが、触法精神障害者問題をソーシャルワーカー業務の一部分と認識し早くからこれらの任務についてきたのである。・・・」80−81

3 司法精神医学サービス施策とソーシャルワーク業務
※1948年NHS(国民保健サービス)制定、ソーシャルワーカーは地方公務員に位置付けられる。
※1974年、「英国ソーシャルワーカー協会再編」によってジェネリック・ソーシャルワーカーとなる。
「同じ頃、『ASW(認定ソーシャルワーカー)』制度が創設された。これは、Home office(内務省)が6ヶ月程度の特別講習により認定する制度である。主に精神障害者の強制入院申請手続き(保護者に代わって申請可能)、入院治療や社会生活上の人権擁護業務等を行う。・・・/・・・たとえば、ロンドンでは約800人のソーシャルワーカー中、約160人(20%)が司法精神医学サービスにかかわっている。」81

4 司法精神医学サービスにおけるソーシャルワークの実際
※81‐83

「ソーシャル・スーパービジョン:この業務はASWでなければできない。ASWは司法施設などへ行きできるだけ本人に会い、担当ソーシャルワーカーと連携を密に取り、患者の社会的な融和や再犯防止のための症状等のモニタリングなどを行う。」82

「他組織との関係では、警察との情報共有が多い。・・・」83


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◇三澤 孝夫 2004**** 「『心神喪失者等医療観察法』における社会復帰・地域支援制度の諸問題――英国との比較を通して」,『ジュリスト』増刊:精神医療と心神喪失者等医療観察法

※日本が今回の観察法のモデルにしたと言われている英国の精神保健法とその関連制度に関して
※著者は精神保健福祉士
はじめに
「とかく司法と医療の関係のみで語られやすいこの問題について、社会復帰・地域支援という視点から考えてみたいと思う。」248

1 国際社会における日本の精神科医療・福祉の状況
2 英国の精神障害者社会復帰施設と地域支援制度の現状
「我が国の『心神喪失者等医療観察法』のモデルとなり、司法精神医学の先進国として知られる英国は、また欧米諸国の中でも脱施設化、そして地域ケアへの展開などで先鞭をつけ、それを主導的に行ってきた福祉国家としてもよく知られている。…」249
※CMHT(Community Mental Health Team)について

3 我が国における触法精神障害者の社会復帰・地域支援の問題点
※問題点として…
「第1にまず問題になるのは、現状における精神障害者の利用可能な社会資源の圧倒的な少なさである。…」249
「第2として、日本では、触法精神障害者の処遇について、国と地方自治体の責任所在と取組みの分担が不明確な点があげられる。…」249
「第3として、触法精神障害者の社会復帰に関わる職員の研修・啓発システムの開発と実施である。…」250
「そして、日本においては、触法精神障害者に専門に関わる職員以外にも、一般の精神障害者社会復帰施設や相談機関などを対象とした、より広く多くの関係者に対しての『触法精神障害者について』の啓発的研修が必要になると思われる。先進諸国のなかで、ほぼ唯一、司法精神障害の特別な治療システムを持たなかった日本は、そのために、かえって触法精神障害者に対する偏見が強くなってしまっている。」250

4 「心神喪失者等医療観察法」における「医療」と「福祉」
おわりに
「英国の精神障害者当事者団体『MIND』によると、触法精神障害者の地域支援体制が整ってきた1990年代より、触法精神障害者の再犯率等が低下したといわれている。」251


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◇佐賀 大一郎 20060625 「心神喪失者等医療観察法とPSW」,『精神保健福祉』37(2): 125-129

※著者は東京都保護観察所八王子支部の社会復帰調整官
※精神保健福祉士の役割や処遇について
はじめに
1 医療観察法の目的と精神保健福祉士の役割
「精神保健福祉士は医療観察制度において『精神保健参与員』『指定医療機関の精神保健福祉士』『社会復帰調整官』または『地域における関係機関の精神保健福祉士』として対象者とかかわることとなるので、そのかかわりを以下に簡単に紹介したい。」126
※そのうち指定医療機関の精神保健福祉士および地域における関係機関の精神保健福祉士について…
「処遇の実施計画は、保護観察所が呼びかけるケア会議で検討され、関係機関は、必要な情報を共有するとともに、・・・」
「なお、審判における生活環境の調査において、事件前にかかわりをもつ機関に対し、対象者の情報についての照会を行うことがあり、適正な処遇決定のため、適切に対応していただくことが期待される。」126

2 実践に向けて
「医療観察制度は対象者の社会復帰を促進することをめざす制度であり、…」126
※そのうえで社会復帰調整官の「価値」とは…

1)「人と状況の全体性でとらえる視点」について
「…その際、単に問題行動や症状に着目するだけでなく、病気なのに治療に結びつくよりも、なぜ他害行為に結びついてしまったか、その状況がいかなる理由、環境によってもたらされたかについてアセスメントするなど、背後にある人間関係や環境などの生活環境の側面に注目する『人と状況の全体性を把握する視点』が重要と考える。」127

「…円滑な社会復帰の妨げとなる同様の行為を行うことなく社会に復帰できるような状況にあるかも考慮することとされ、…」127

2)「自己決定の原則」・「生活者の視点」について
「また、社会復帰調整官には、医療を受ける義務の履行を見守る役割と自由意志を尊重するという2つの役割が求められる。」128

3)「人権の尊重」について

「すでに述べてきた課題のほかに、所属機関の機能と専門職としての倫理性や関与における限界性などの実践課題も指摘されるところと思われるが、ここでは従来のPSWとしての役割と医療観察法におけるそれにおいて、実践において大切にするところに変わりはないことを強調するにとどめたい。」128



*作成:樋澤 吉彦
UP: 20060831 REV: 20110705
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