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テリ・シャイボ(Terri Schiavo)事件



◆井樋 三枝子(いび・みえこ) 200508 「テリ・シャイボ事件において制定された2つの法律をめぐる問題点」
 『外国の立法』225:158-175 http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/225/022512.pdf
柘植 あづみ 20050805 「終末期医療をめぐる諍い――テリ・シャイボの事例が映すアメリカの現在」
 『思想』976(2005-08):045-061
◆穏土 ちとせ 2005/06/25 「言葉のマジックに惑わされることなく」
 『「安楽死・尊厳死法制化を阻止する会」発足集会資料集』


◆2005/03/19 「女性の栄養補給装置を外す、「尊厳死」論議深まる中で」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503190012.html
 2005.03.19 Web posted at: 17:56 JST - CNN
◆2005/03/21 「植物状態の米女性、延命に議会が法案採択 大統領が署名」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503210003.html
 2005.03.21 Web posted at: 16:24 JST - CNN
◆2005/03/22 「米連邦地裁、審理開始 シャイボさん延命問題で」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503220002.html
 2005.03.22 Web posted at: 11:08 JST - CNN
◆2005/03/22 「米連邦地裁が延命要求を拒否、シャイボさんの尊厳死問題」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503220018.html
 2005.03.22 Web posted at: 22:00 JST - CNN/AP
◆2005/03/23 「シャイボさん両親、延命再開を連邦高裁に訴え」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503230009.html
 2005.03.23 Web posted at: 15:46 JST - CNN
◆2005/03/23 「米連邦高裁、シャイボさんの延命再開を認めず」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503230012.html
 2005.03.23 Web posted at: 19:52 JST - CNN
◆2005/03/24 「シャイボさん両親、連邦最高裁に上告」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503240006.html
 2005.03.24 Web posted at: 14:43 JST - CNN
◆2005/03/25 「シャイボさん延命の訴え、相次ぎ退ける 米裁判」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503250004.html
 2005.03.25 Web posted at: 12:10 JST - CNN
◆20005/03/26 President Bush and Congress intervene in "right to die" case
 BMJ 2005;330:687 (26 March), doi:10.1136/bmj.330.7493.687-a
 http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/330/7493/687-a
◆2005/03/27 「法廷闘争も「終わり間近」 シャイボさん延命めぐり」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503270001.html
 2005.03.27 Web posted at: 13:25 JST - CNN
◆2005/03/31 「米尊厳死:シャイボさん問題 判決後も混乱」
 『毎日新聞』2005/03/31
 午前10時(日本時間1日午前0時)前、フロリダ州ピネラスパークのホスピスで死亡
◆2005/04/01 「尊厳死問題の女性が死亡=栄養・水分絶たれ2週間−米」
 時事通信ニュース速報
 2005/04/01 「米尊厳死論争:シャイボさん死亡 生命維持外し14日目」
 『毎日新聞』2005年4月1日
 2005/04/01 「尊厳死で大論議、植物状態の米女性が死亡」
 『読売新聞』2005年4月1日
 2005/04/01 「「尊厳死」の米女性死亡 植物状態15年、栄養断たれる」
 『朝日新聞』2005年4月1日
◆2005/06/16 「<尊厳死>死亡女性の検視結果を公表 米フロリダ州」
 毎日新聞ニュース速報


◆Perspective
Terri Schiavo ― A Tragedy Compounded
T.E. Quill
http://content.nejm.org/cgi/content/short/NEJMp058062

http://content.nejm.org/cgi/content/full/352/16/1630
Volume 352:1630-1633
April 21, 2005 Number 16
Timothy E. Quill, M.D. Terri Schiavo: A Tragedy Compounded

◆Legal Issues in Medicine
"Culture of Life" Politics at the Bedside ― The Case of Terri Schiavo
G.J. Annas
http://content.nejm.org/cgi/content/short/NEJMlim050643


◆2005/03/19 「女性の栄養補給装置を外す、「尊厳死」論議深まる中で」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503190012.html
 2005.03.19 Web posted at: 17:56 JST - CNN

  フロリダ州パインラスパーク(CNN)「心臓疾病で倒れた後、約15年間にわたり「植物状態」が続いているフロリダ州の女性テリ・シャイボさん(41)の主治医は18日午後、州地裁の決定に従い、生命を維持させていた栄養補給装置を外した。この状態が続けば、2−4週間後、脱水状態に襲われ、死亡するとみられる。
  「尊厳死」をめぐる論議と絡め、米マスコミが大きく取り上げていた問題で、装置撤去に反対していたシャイボさんの両親は、決定を下した地裁に異議を申し立てると共に、州議会に介入するよう要請。また、連邦議会でも、宗教右派中心に、装置撤去に反対する動きが出ている。
  一方、シャイボさんの尊厳死を望んでいた夫の弁護士は、「彼女には死ぬ権利がある」と主張。両親の弁護士は、「彼らの娘である。彼らは娘が苦しむのを見ている」と延命の権利を強調した。
  夫と両親の間の対立は約7年前から目立ち始め、法律論争も起きていた。夫は、「妻は人工的に生きていたいとは考えていない」などと述べていた。」(全文)


◆2005/03/21 「植物状態の米女性、延命に議会が法案採択 大統領が署名」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503210003.html
 2005.03.21 Web posted at: 16:24 JST - CNN

  ワシントン(CNN)「15年にわたり植物状態が続く米フロリダ州の女性テリ・シャイボさん(41)について、共和党が多数を占める米連邦下院(定数435)は21日早朝、延命措置の再開を認める司法判断を求めるという異例の法案を可決した。上院はすでに20日中に可決していた。これを受けてブッシュ大統領はただちに法案に署名し、成立させた。
  シャイボさんをめぐっては、「尊厳死を認めるべきだ」と主張する夫とこれに反対する両親が真っ向から対立している。18日には州裁判所が夫の求めにもとづき、シャイボさんの生命維持に不可欠な栄養補給装置を外すよう命令していた。栄養補給装置が外された状態では、シャイボさんは数週間で死亡する可能性が強い。
  シャイボさんの両親や、両親を支援する宗教右派の働きかけを受けた共和党は、延命措置を続行すべきかどうかを再審理するよう、フロリダの連邦地裁に求める法案を下院に提出。20日終日にわたる議論の末、法案は21日未明になって賛成203、反対58で採択された。下院の定足数は218人で、イースター休暇のために地元入りした議員が多いなか、261人が投票した。
  連邦議会には、シャイボさんの延命措置再開を命じる権限はないが、連邦地裁は延命措置続行を命じることができる。法案成立を受けて、フロリダの連邦地裁が当面、再審理する間の延命続行を命じる可能性が出てきた。
  ブッシュ大統領は法案採択後にすぐ署名できるよう、20日午後にはテキサス州クロフォードからホワイトハウスに戻っていた。
  法案採択後、シャイボさんの妹は「連邦地裁が議会の意志に従い、姉の命を助けてくれるよう強く願っている」と話した。
  またシャイボさんの両親の弁護人は、法案に大統領の署名が得られれば、数時間中にもシャイボさんへの水分・栄養補給が再開されると期待を示した。
  法案審議の冒頭では、共和党のセンセンブレナー議員(ウィスコンシン選出)が、「国民の生命をいかに守るかで、国の資質が問われる」と主張した。
  一方で、法案に反対する民主党のワッセルマン=シュルツ議員(フロリダ州選出)は、「私たちは連邦議会の議員であって、医者でもなければ、医療の専門家でもない。生命倫理の専門家でもない」と述べ、家族間の問題に立法府が立ち入るのは不適切だと主張した。  法案採択に先立ち、シャイボさんの母メアリー・シンドラーさんは、「娘を返して欲しいだけ」と述べ、全国民に協力を呼びかけた。シャイボさんの両親は、娘が延命治療を拒否するつもりだったなど聞いたことがないと主張している。
  一方で、妻は尊厳死を求めていたとしてシャイボさんの死ぬ権利を主張している夫マイケル・シャイボさんはCNNに対して、議会の介入に「激怒している。政府が家族間の個人的な事柄に踏み込んで介入している。全国民はこのことに怒るべきだ」と主張した。
  シャイボさんの栄養補給装置が外されたのは3回目。4年前に装置が外された際は両親の差し止めの訴えが認められ、2日後に元に戻された。また2年前に撤去された時は大統領の弟のブッシュ・フロリダ州知事の命令で6日後に再装着された。しかし今年1月には連邦最高裁が、知事の命令を違憲と判断。翌2月に州の裁判所が3月18日の装置撤去を決めた。
  共和党は当初、シャイボさんに限定されない延命措置全般に関する法案を提出。しかし民主党の強い抵抗を受け、シャイボさんの件に限定した譲歩案を再提出した。今回採択されたのは、この譲歩案。
  シャイボさんは26歳だった1990年2月、自宅で倒れた。一時的に心停止となった影響で脳障害を受けた。倒れた原因はカリウム・バランスの異常とされ、夫マイケルさんが保護者に選任されている。
  シャイボさんは栄養補給装置を必要としているが、臓器は機能しており、自発呼吸や表情の変化はある。医療関係者の多くはシャイボさんが植物状態にあるとの見方で、表情の変化は生理的な反射作用にすぎないと説明しているが、両親は回復の可能性があると主張している。」(全文)


◆2005/03/22 「米連邦地裁、審理開始 シャイボさん延命問題で」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503220002.html
 2005.03.22 Web posted at: 11:08 JST - CNN

  フロリダ州タンパ(CNN)「15年にわたり植物状態が続いている米フロリダ州の女性テリ・シャイボさん(41)の延命措置について、家族の対立が連邦政府をも巻き込んだ争いに発展する中、フロリダの連邦地裁は21日、シャイボさんへの栄養補給再開を命令するよう求める両親の訴えについて、審理を開始した。
  シャイボさんの延命措置再開については、両親の求めにもとづき連邦議会が20〜21日にかけて、連邦レベルで司法判断を求める法案を採択し、ブッシュ大統領がただちに署名するという、異例の展開となっている。
  これを受けて両親の弁護士がフロリダの連邦地裁に21日未明、シャイボさんへの栄養補給停止を命じた州地裁命令の差し止めを求める訴えを提出した。
  連邦地裁のホイットモア裁判長は、両親側と、「尊厳死」を訴える夫側の訴えを両方聞いた後、「いずれ判断は示すが、それがいつになるかは言えない」と述べるに留め、両親側が求めていたように、ただちに栄養補給を再開するような指示は出さなかった。
  シャイボさんをめぐっては、「本人が希望していた尊厳死を認めるべきだ」と主張する夫と、これに反対する両親が真っ向から対立。7年間にわたる法廷闘争でシャイボさんの栄養チューブは繰り返し外されては、戻されてきた。
  18日には州裁判所が夫の求めにもとづき、シャイボさんの生命維持に不可欠な栄養補給装置を外すよう命令。栄養補給装置が外された状態では、シャイボさんは数週間で死亡する可能性が強い。
  シャイボさんの両親や、両親を支援する宗教右派の働きかけを受けた共和党は、延命措置続行の再審理を司法に求める法案を議会に提出。異例の週末審議で、法案は21日未明になって賛成203、反対58で採択され、ブッシュ大統領はただちにこれに署名した。
  シャイボさんは26歳だった1990年2月、自宅で倒れた。一時的に心停止となった影響で脳障害を受けた。倒れた原因はカリウム・バランスの異常とされ、夫マイケルさんが法的な保護者に選任されている。
  シャイボさんは栄養補給装置を必要としているが、臓器は機能しており、自発呼吸や表情の変化はある。医療関係者の多くはシャイボさんが植物状態にあるとの見方で、表情の変化は生理的な反射作用にすぎないと説明するが、両親は、娘は呼びかけに反応していると主張している。」(全文)


◆2005/03/22 「米連邦地裁が延命要求を拒否、シャイボさんの尊厳死問題」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503220018.html
 2005.03.22 Web posted at: 22:00 JST - CNN/AP

  「フロリダ州タンパ――植物状態が15年にわたって続き、州裁判所の命令に従い生命維持に不可欠な栄養補給装置を18日外された米フロリダ州の女性テリ・シャイボさん(41)の「尊厳死」の問題で、州連邦地裁は22日、シャイボさんの両親が求めていた同装置の再装着を拒否する判断を下した。
  栄養補給装置の撤去に関しては、妻の尊厳死を求める夫と対立するジャイボさんの両親がフロリダの連邦地裁に21日、州地裁による今年2月の撤去命令の差し止めを求める訴えを起こしていた。
  連邦地裁は、再装着を退けた理由について、両親による「延命装置の維持によりシャイボさんが回復する見込みがある」などとの言い分について、「(回復が実現する)可能性を立証し得る十分な根拠を示していない」と指摘、主張を認めなかった。
  両親側は、ジョージア州アトランタの第11巡回区控訴裁判所へ控訴する見込み。
  この問題で、連邦議会は21日、司法判断を求める法案を採択し、ブッシュ大統領が急きょテキサス州クロフォードからホワイトハウスに戻って法案に署名する、異例の展開となっていた。
  シャイボさんは1990年2月に自宅で倒れ、一時的に心停止となった影響で脳障害を受けた。倒れた原因はカリウム・バランスの異常とされ、夫マイケルさんが法的な保護者に選任されている。
  植物状態となったシャイボさんをめぐり、尊厳死を認めるべきだと主張する夫と、これに反対する両親が真っ向から対立。7年間にわたる法廷闘争でシャイボさんの栄養チューブは繰り返し外されては、戻されてきた。
  栄養補給装置が外された状態が続けば、シャイボさんは数週間に死亡する可能性が強い。」(全文)


◆2005/03/23 「シャイボさん両親、延命再開を連邦高裁に訴え」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503230009.html
 2005.03.23 Web posted at: 15:46 JST - CNN

  フロリダ州タンパ(CNN)「植物状態が15年にわたって続くフロリダ州の女性テリ・シャイボさん(41)の延命措置について、シャイボさんの両親は22日、栄養チューブによる延命措置再開の命令を求め、ジョージア州アトランタの第11巡回区控訴裁判所(連邦高裁)へ控訴した。また米司法省は、両親の訴えを支持する文書を、控訴裁に提出した。フロリダ州の連邦地裁は前日、延命措置再開を求める両親の訴えを認めない判断を下していた。
  米司法省は同日、シャイボさんの両親シンドラー夫妻の訴えを支援するため、訴えの審理中は栄養補給を暫定的に再開するよう求める文書を、控訴裁に提出した。
  司法省の文書は「暫定的な救済措置がただちに実施されなければ、重大で不可逆な損害がもたらされる。テリーサ・シャイボは死んでしまう」と訴えている。同省は連邦地裁に対しても、同様の応援文書を提出していた。
  ブッシュ政権はこの問題について、延命措置再開を求める法案を後押しするなど、シンドラー夫妻を支援し続けている。
  シャイボさんの延命治療については、法的な保護者である夫マイケルさんが「本人の意志に基づく尊厳死」を主張。その主張に基づきフロリダ州裁判所が栄養チューブを外すよう18日に命令した。
  フロリダ州内のホスピスにいるシャイボさんは、この18日以来、栄養や水分の補給を受けていない。シャイボさんは自発呼吸や表情の変化はあるが、腹部に装着されたチューブを通じて栄養補給を受けなければ、数週間で死亡するとされている。
  夫マイケルさんはシンドラー夫妻と同時に、このままシャイボさんの尊厳死を認めるよう求める訴えを控訴裁に提出した。
  マイケルさんの弁護士は、マイケルさんがホスピスで妻に付き添っており、「最期を見取るまで、そこにとどまるつもりだ」と明らかにした。マイケルさんは、シンドラー夫妻が娘を見舞うことを認めているという。」


◆2005/03/23 「米連邦高裁、シャイボさんの延命再開を認めず」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503230012.html
 2005.03.23 Web posted at: 19:52 JST - CNN

  ジョージア州アトランタ(CNN)「植物状態が15年にわたって続く米フロリダ州の女性テリ・シャイボさん(41)の延命措置について、ジョージア州アトランタの第11巡回区控訴裁判所(連邦高裁)は23日午前、シャイボさんの両親が栄養チューブによる延命措置再開の命令を求めた控訴審で、3人の裁判官による合議で2人が反対し、両親の訴えは退けられた。
  AP通信によると、両親側はすぐにも最高裁へ上告する見込み。また、連邦高裁の判断を受けたブッシュ政権が、シャイボさんの延命のために、別の法案を通過させる可能性が出てきた。
  延命措置再開を認めなかった連邦高裁のカーンズ裁判官とハル裁判官は、「原告の主張には、(シャイボさんが回復する)可能性を立証し得る、十分な根拠が示されていない」として、フロリダ州の連邦地裁が21日に下した判断を支持した。
  一方、延命措置の再開を強く主張したウィルソン裁判官は、両親の訴えを退ければ、司法判断を求めるまでシャイボさんの延命措置を続けるという法案を通過させた、連邦議会の判断が無視されると述べた。
  連邦高裁の判断に、シャイボさんの肉親は「ただ、ただ、ショック」と話している。シャイボさんの両親シンドラー夫妻の代理人は、「きわめて残酷な判断だ。ここに、命のある女性がいるのに、彼女はどんどんと飢えていく」と語った。
  シャイボさんの延命治療については、法的な保護者である夫マイケルさんが「本人の意志に基づく尊厳死」を主張。その主張に基づきフロリダ州裁判所が栄養チューブを外すよう18日に命令した。 」

◆2005/03/24 「シャイボさん両親、連邦最高裁に上告」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503240006.html
 2005.03.24 Web posted at: 14:43 JST - CNN

  「ジョージア州アトランタ(CNN) 植物状態が15年にわたって続く米フロリダ州の女性テリ・シャイボさん(41)の延命措置について、シャイボさんの両親は23日夜、栄養チューブによる延命措置再開を求めて連邦最高裁に上告した。両親の訴えはすでに、連邦地裁と高裁で退けられている。
  シャイボさんの延命については、フロリダ州議会の上院が23日、水分と栄養の補給再開を命じる動議を賛成18、反対21で否決。これを受けて、フロリダ州政府の児童家庭局が新たに、シャイボさんの植物状態が回復不能だとする診断は誤診の可能性があると主張し、栄養補給再開を求める動議を議会提出した。
  州児童家庭局の主張では、シャイボさんの診療記録を神経科医が調べたところ、シャイボさんは「遷延性意識障害(植物状態)」にあるのではなく、「意識レベルが極めて低い状態」にあるのだと判定。これを受けてブッシュ大統領の弟、ジェブ・ブッシュ州知事は議会のほかに再度、州地裁に延命再開の訴えを起こした。
  児童家庭局はさらに州地裁に対し、シャイボさんの法的な保護者である夫マイケルさんについて、シャイボさんに適切な治療を受けさせないなど「虐待・保護放棄・私利のための利用」を継続していると30件にわたり訴えられていると指摘している。
  一方、ホワイトハウスのマクレラン大統領報道官は23日、連邦政府に残された法的手だてはもうないとコメントした。
  連邦最高裁はレンキスト長官のほか判事8人で構成される。9人中、民主党クリントン政権中の指名は2人で、残りは共和党政権による指名。」(全文)

◆2005/03/25 「シャイボさん延命の訴え、相次ぎ退ける 米裁判」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503250004.html
 2005.03.25 Web posted at: 12:10 JST - CNN

  「植物状態が15年にわたって続く米フロリダ州の女性テリ・シャイボさん(41)について、米連邦最高裁は24日、栄養チューブによる延命措置の再開を求めるシャイボさんの両親の訴えを退けた。また、フロリダ州地裁も同日、シャイボさんは回復可能などとするブッシュ同州知事らの訴えを退け、「延命派」にとっては極めて厳しい状況となった。
  連邦最高裁が両親側の訴えを退けたのはこれで5度目。これを受け、両親は連邦地裁に再審理を求めた。
  ただ、連邦地裁は今週初めに両親側の訴えを退けたばかり。新たな訴えについても前回と同じ裁判官が担当することから、両親側にとっての見通しは明るくない。
  この日、医療施設にシャイボさんを訪ねた両親は、面会中にシャイボさんが「健康悪化」したと述べた。
  両親の支援者からは、ブッシュ大統領の弟であるブッシュ知事の介入に期待する声が挙がっている。
  シャイボさんをめぐっては、フロリダ州政府の児童家庭局が、植物状態が回復不能だとする診断は誤診の可能性があると主張し、栄養補給の再開を求める動議を議会提出した。
  これを受け、ブッシュ知事は州地裁に延命措置再開を訴えた。また児童家庭局も、シャイボさんの法的な保護者である夫マイケルさんが、シャイボさんに適切な治療を受けさせないなど「虐待・保護放棄・私利のための利用」をしているなどと同地裁に訴えていた。」

◆2005/03/27 「法廷闘争も「終わり間近」 シャイボさん延命めぐり」
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200503270001.html
 2005.03.27 Web posted at: 13:25 JST - CNN

  「植物状態が15年にわたって続く米フロリダ州の女性テリ・シャイボさん(41)の延命措置について、フロリダ州最高裁は26日夜、栄養チューブによる延命再開を求める緊急の訴えを退けた。連邦と州レベルの裁判所での相次ぐ敗訴に、娘の延命を訴える両親の弁護士は、法廷闘争は「終わり間近」だと悲観的な見方を示した。
  州最高裁は、この件に関する裁判権をもたないとして、訴えを却下した。同裁判所は24日にも訴えを却下していた。
  州最高裁に先立ち、26日には州地裁、25日には連邦高裁も、シャイボさんの両親シンドラー夫妻の訴えを退けていた。
  シャイボさんの法的な保護者である夫マイケルさんは、シャイボさんの意思に基づく尊厳死を訴え続けており、連邦と州の各裁判所はいずれも、マイケルさんの主張を認める判断を続けている。シンドラー夫妻の法廷での敗訴は約30回に上る。
  一方で、シャイボさんの両親や、両親を支援するフロリダのブッシュ州知事、中絶反対などを掲げる保守層は、栄養チューブを外したままにしておくのは、安楽死を認めることだと反対。シャイボさんは回復の見通しがない植物状態にあるのではなく、意識レベルが極めて低い状態にあると主張し、改めて診断をし直す間、栄養補給を再開するよう主張していた。
  州最高裁の却下を受けて、シンドラー夫妻を精神的に支援してきたカトリック・フランシスコ会のオドネル僧は夫妻に代わって、シャイボさんが入院しているフロリダのホスピス前で集まっている支援者に対し、それぞれ家族の元に帰って27日の復活祭を祝うよう呼びかけた。
  一方、シャイボさんに付き添っている夫マイケルさんの弁護士フェロス氏は同日、報道陣に対してシャイボさんと約20分にわたり面会した様子を話した。
  18日以来、栄養や水分の補給を受けていないシャイボさんは、「それはきれいだった。これまで何年にもわたりシャイボさんと会ってきたが、これほど安らかに美しい様子を見るのは初めてだ」とフェロス氏は述べ、脱水症状により肌や唇がかさつき苦しんでいる様子だと訴える両親の主張を否定した。カトリック信者のシャイボさんには、栄養チューブが外された時点で、死に向かって必要な儀式が全て行われたという。」

 
 

◆2005/04/01 「尊厳死問題の女性が死亡=栄養・水分絶たれ2週間−米」
 時事通信ニュース速報

  「【ニューヨーク31日時事】生命倫理をめぐり、全米に論争を巻き起こした米フロリダ州の植物状態の女性テリ・シャイボさん(41)が31日朝(日本時間同日夜)、同州ピネラスパークのホスピスで死亡した。18日に栄養補給チューブを外されてから14日目だった。両親側のスポークスマンが明らかにした。シャイボさんの遺体は解剖される。
  シャイボさんの延命を求めた両親側と尊厳死を主張した夫側の7年にわたる法廷闘争には終止符が打たれたが、ブッシュ大統領や連邦議会も巻き込み、全米に「生と死の権利」を改めて問い掛けた事件の波紋は今後も広がりそうだ。」(全文)[時事通信社][2005-04-01-01:25]

◆2005/06/16 「<尊厳死>死亡女性の検視結果を公表 米フロリダ州」
 毎日新聞ニュース速報

  「【ワシントン吉田弘之】植物状態だった米フロリダ州の女性テレサ・シャイボさん(41)が今年3月31日、生命維持用の栄養チューブをはずされて尊厳死した問題で、地元ピネラス郡の検視官は15日、シャイボさんの検視結果を公表した。それによると、シャイボさんの脳は広範囲に機能停止しており、回復不能な「永続的植物状態」だったことが確認された。
  シャイボさんをめぐっては、「妻は延命を望んでいない」と尊厳死を主張する夫と、「回復の余地がある」と栄養チューブの再挿入を求めるシャイボさんの両親が激しい法廷闘争を繰り広げた。また、シャイボさんの延命を支持するブッシュ大統領が連邦議会とともに政治介入を試みるなど、米国の生命倫理をめぐる論争を象徴するケースとして注目を集めた。
  記者会見した検視官によると、シャイボさんの脳は激しく萎縮(いしゅく)し、健康な成人の脳の2分の1ほどの重さしかなかった。視覚中枢部位が壊死(えし)しており、目が見えなかったとみられるという。シャイボさんが母親の呼びかけに笑っているようなビデオ映像が公表されたことがあるが、検視官は「自動反射であって、意識がある証拠ではない」と語った。直接の死因は、栄養チューブをはずしたことによる脱水症だった。
  シャイボさんの両親の弁護士は「両親は、シャイボさんが永続的植物状態だったとは今でも信じていない」とコメントした。」[2005-06-16-11:45](全文)

◆浅井 篤 20080229 「シンガーの自発的安楽死擁護論」,山内友三郎・浅井篤編『シンガーの実践倫理を読み解く――地球時代の歩き方』,昭和堂 pp.23-48.

 「彼女は摂食障害から昏睡状態に陥り10年以上植物状態にあり経管栄養チューブで生命維持されていた。夫は「妻は延命を望んでいない」として延命中止を望んだが、患者の両親は存命を求めた。彼女は明確な事前の希望を表明していなかった。つまり彼女の延命に関する自発的な希望は不明のままである。フロリダ州裁判所は夫を法的な後見人と認め治療中止を認めたが、両親の懇願に動かされた行政が介入し更なる裁判が続いた。「生きる権利」擁護者やカソリックの人びとが延命中止反対を繰り返し主張した。最終的には夫の主張が認められ、経管栄養チューブ撤去後2週間で患者は死亡した。
 アンソニー・ブランドに関する論考でも明らかなように、シンガーは大脳機能を永久的に失った存在は<0031<自己意識や他者との意思疎通能力を完全に欠きいわゆる「人格(personhood)」を完全に失っている。彼らは自分の生を生きることからどのような利益を得ることもない。彼らに対する延命行為も彼らにいかなる利益も与えない。患者にまったく利益を与えない延命をする必要はないと考えている(4)。したがってシャイボ・ケースにおける「生きる権利」擁護者たちの活動が、彼らの意図とは正反対に、多くの米国国民にテリー・シャイボと同じ状況になったら生き続けることを希望しないという意思を明示した事前指示書を書かせたのは大いなる皮肉であり、今後今まで以上に遷延性植物状態患者からの経管栄養チューブ撤去が増えるであろうと述べている(1)。彼は明らかにその現象を歓迎している。
 シャイボの「尊厳死」ケースが社会問題になっていた2003〜2005年の間には宗教関係者の発言も目立った。たとえば2004年ローマで開催された国際会議における「延命治療と植物状態」というカンファレンスでは、法王ジョン・ポール二世は「私は、たとえ人工的な手段で与えられていたとしても、水分と食物の投与は常に生命維持のための自然な方法を象徴するものであり、医療行為などではないことをとりわけ強調したい」と発言している。「また患者が死ぬことを承知で水分・栄養補給チューブを撤去することは「不作為による安楽死(enthanasis by omission)だ」とも述べている(5)。
 シンガーは2004年のFree Inquiryに"The Pope Moves Backward on Terminal Care"(「法王は末期ケアに逆行する」)という論文を発表し法王の発言を批判している。法王は遷延性植物状態患者の中には部分的に回復する者もいることと、現代医学では誰が回復するか特定することは不可能であることの<0032<二点を自らの延命支持論の根拠にしている。一方シンガーは患者の中には完全に大脳皮質が破壊され決して回復しない事例があり、それは画像診断で判定可能であるとする。またキリスト教関連の病院の現場では、チューブによる人工的水分・栄養補給は延命のための尋常ではない(通常ではない)手段である、患者とその家族に対する利益と負担のバランスを考えてその施行の適切さを判断する、チューブによる人工的水分・栄養補給が善よりも害をもたらすかどうかは実践的な判断だ、などのさまざまな立場があり、法王の見解は「現場」の考えと一致せず医療現場に混乱をもたらすと指摘する。しかし彼はここで次のように付け加えることを忘れない。

 (上記の意見を述べた論者は:浅井追加)経管チューブが自分に起きるどんなこともまったくわからない(意識しない)患者を、どのように害することができるのかを説明していない。(5)

 さらにもし法王の考えを文字どおり実践するならば、医療の倫理の中核として長く受け入れられてきた患者の自律の原則に抵触するであろうと主張する。遷延性植物状態で生き続けたくないと文書で宣言する人びとがおり、これは連邦最高裁判所でも認められている。法王の考えはこれに逆行し、個人が望むと望まないとに関わらず強制的に水分・栄養補給されなくてはならないという選択の余地のない「生きる権利」しか与えない。それゆえに法王の見解は倫理的に間違っていると判断するのである。そして豪州のカソリック系生命倫理学者ノーマン・フォードの「遷延性植物状態患者は飲んだり食べたりする本能を失いまった<0033<く食欲がないので、彼らに水分と栄養を与えることは、人間としての彼らの尊厳によって要求されることではなく逆に、彼らに対する尊敬の念の欠如を示すものだ」という見解をより人間的だと述べる。」(浅井[2008:31-34])

 「参考文献
 (1)Peter Singer: Making Our Own Decision about Death: Competency Should Be Paramount. Free Inquiry 2005; 25:36-8
 […]
 (4)Peter Singer: Is the Sanctity of Life Ethic terminally Ill? Bioethics 1995; 9:327-343.
 (5)Peter Singer: The Pope Moves Backward on Terminal Care. Free Inquiry 2004; 24:19-20.」(浅井[2008:47])

■言及

◆立岩 真也 2013 『私的所有論 第2版』,生活書院・文庫版


*作成:安部 彰
UP:20050329 RE:0401,04 0618 0725 20060830 20080814, 20120903
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