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安楽死・尊厳死:オーストラリア


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児玉 真美 2014/10/22 「豪のDr. DeathことNitschke医師、英国に自殺指南の拠点を開設」
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/64322127.html

◆19950525 オーストラリア北部準州(Northern Territory)議会で、「末期患者の権利法」(Rights of The Terminal Ill Act)、議員立法で可決成立。
 患者が自発的に医者に自殺介助、積極的安楽死を要請した場合、当該医師がそれを実施することが法的に許容される。
 要件は、患者が18歳以上であること、患者に肉体的苦痛または精神的苦痛があること、患者が末期状態であること、二人の医師が末期状態の診断をしていること、患者の要請から7日間の考え直す期間と実施前の2日間の冷却期間があること、患者の要請と医師の宣告は文書によってなされること、…等22。
◆19960621 同法に反対する地元医師会及び牧師が提訴した施行差し止め請求を、北部準州最高裁が退ける
◆19960701 施行
◆19960724 改めて審理した北部準州最高裁の合議(判事3名で構成)も施行差し止め請求を棄却
◆19960922 ボブ・デント(Bob Dent)氏(当時66歳の男性)最初の安楽死 前立腺癌の末期患者だった(↓)
◆ オーストラリア連邦議会で「安楽死、慈悲死、自殺幇助などの意図的に他者を殺す行為を、医師に許すような法律を北部準州が制定する権限はない」とし、同法の無効を求める法案が提出される。 ◆19961210 オーストラリア連邦議会下院、無効を求める法案を可決
◆19970324 オーストラリア連邦議会上院、無効を求める法案を可決
 19950922のケースを含め、この期間内に4人が死亡

 以上について
 立山龍彦『自己決定権と死ぬ権利』(1998,東海大学出版会)pp.94-95

◆オーストラリア北部地域 19960701 「オーストラリア北部地域「医学資格を有する者に人道的なかたちで自己の生命の終焉を任意にもたらすための幇助を依頼する末期患者の権利の確認、一定の状況のもとで上記の幇助が幇助者への法的障害なしに行われることの許容、本法の認める権利が濫用される可能性に対する手続き的保護の規定等に関する法律」(1996年7月1日施行」(抄)
 町野朔他編[1997:119-129]

◆『産経新聞』1996.9.26
http://www.sankei.co.jp/databox/paper/9609/html/0926side38.html

豪で安楽死法の適用第1号
北部準州で男性がん患者
 【シドニー26日=時事】オーストラリアの北部準州で、世界で初めて末期患者の「死ぬ権利」を正面から認めた「安楽死法」に基づき、男性患者一人が安楽死装置を使って死亡していたことが二十六日までに明らかになった。今年七月に施行されて以来、同法が適用されたのは初めて。
 二十六日付の各紙によると、この男性は北部準州に住む六十代半ばのがん患者。男性は安楽死推進派のニツキ医師に依頼し、同法が定めた要件である医師三人の同意を得た上で、今月二十二日、自宅で、パソコンのキーを押すと致死量の薬物が体内に注入される「安楽死装置」により、妻にみとられながら死亡した。
 安楽死法をめぐっては、オーストラリア医師会などが起こした違憲訴訟が連邦最高裁で争われているため、州政府も「刑事訴追を免責されない場合がある」と医師に実施を見合わせるよう通知していた。しかし、今月九日に連邦議会に提出された安楽死法無効化法案の趣旨説明で「過去にさかのぼり適用しない」とされ無効化法成立までは処罰されない「含み」を持たせたことから、安楽死を強行したとみられる。

◆時事2000年5月12日(金) 20時50分
外科医の4%が「安楽死させたことある」=豪調査(時事通信)
 【シドニー12日時事】オーストラリアの外科医の4%が患者からの求めに応じ、安楽死を実行した経験のあることが、12日発表された同国医師会の調査で分かった。同国でも、安楽死は認められていないため、殺人に当たるとして、徹底的な調査を求める声も上がっている。
 豪国営放送によると、調査は外科医992人を対象に実施。このうち、300人が患者から安楽死させてくれるよう頼まれた経験があり、うち41人は実際に安楽死させたことがあると回答した。さらに、約3分の1の医師は、末期患者の苦痛を軽減するため、鎮痛剤を必要より多く投与して死期を徐々に早めた経験があることが分かった。ただ、安楽死の合法化には、57%が反対だとしている。
[時事通信社 2000年 5月12日 20:50 ]


●文献

◆オーストラリア北部地域 19960701 「オーストラリア北部地域「医学資格を有する者に人道的なかたちで自己の生命の終焉を任意にもたらすための幇助を依頼する末期患者の権利の確認、一定の状況のもとで上記の幇助が幇助者への法的障害なしに行われることの許容、本法の認める権利が濫用される可能性に対する手続き的保護の規定等に関する法律」(1996年7月1日施行」(抄)
 町野朔他編[1997:119-129]
◆この法の全文(英語)は  五十子 敬子 19971130 『死をめぐる自己決定について』(批評社,319p.3500)pp.283-303

星野 一正 19950530 「本人の意思による死の選択――オーストラリアの安楽死をめぐる社会的・法的現況」(民主化の法理=医療の場合)
 『時の法令』1498:72-77
◆橋本 雄太郎 199512 「オーストラリアにおける安楽死法をめぐる論議」 『杏林社会科学研究』11-3:28-40

◆google日本語版で「安楽死」+「オーストラリア」で検索 約407件(200102)
 http://www.google.com/intl/ja/

UP: REV:20141024
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