HOME > euthanasia >

安楽死・尊厳死:2007年1月〜3月

安楽死・尊厳死 -1970's 1980's 1990's 2000- 2004 2005 2006 2007


製作:新田千春(立命館大学大学院先端総合学術研究科・2006入学)

京都府長岡京市の開業医がALSの義母に告知をせず、死に至らしめた件
良い死!研究会会員募集中
日本尊厳死協会
安楽死・尊厳死法制化を阻止する会
『生存の争い――のために・1』刊行。


◆2007/01/11 第1回終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会
 平成19年1月11日(木)10:00〜
 東京都千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省 専用第18・1920会議室 (17階)
 傍聴の申し込み
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/01/s0111-1.html
◆2007/01/26 立岩真也「おわりに――よい死・18」
 『Webちくま』[了:20070126]
◆岡本 晃明 200702 「医療と報道倫理」
 『新聞研究』2007年2月号
◆四十物 和雄 2007/02/01 「富山・射水(いみず)市民病院事件と安楽死=尊厳死法制化攻撃」
 2月の集会で配布
◆2007/02/12 研究会<死の法>・第3回
◆2007/02/16 「延命治療、意思不明なら医師が判断 救急医学会が指針案」
 朝日新聞 09時56分
 http://www.asahi.com/health/news/TKY200702150382.html
◆2007/02/25 「いま終末期医療をどう考えるか?」
 平成18年度厚生労働科学研究終末期医療に関する研究班総合討論会
◆2007/02/28 「家族の治療中止要請認定 川崎協同病院事件で高裁」(別ファイルに掲載)
 共同通信 19時59分
 http://www.kitanippon.co.jp/contents/kyodonews/20070228/73736.html
◆2007/03/01 「川崎・筋弛緩剤事件:殺人は認め減刑「治療中止、家族の要請」――東京高裁判決」
 毎日新聞 東京朝刊
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070301ddm041040053000c.html
◆2007/03/03 尊厳死と医療を考えるシンポジウム「尊厳死、ってなに?」
◆2007/03/05 「死の法制化めぐり議論 埼玉でシンポ 「末期」概念もあいまい」(2007・最前線 表うら)
 京都新聞(朝刊)
◆2007/03/05 「第2回終末期の決定プロセスのあり方に関する検討会」
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/s0305-2.html
 第2回終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会の記録 作成:森勇香
◆2007/03/07 「延命中止に判断基準 尊厳死協会試案 病態ごとに明示」
 中日新聞
 http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070307/mng_____sya_____000.shtml
◆2007/03/07 「日本救急医学会「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)(案)」
 http://www.jaam.jp/html/info/info-20070307_1.htm
 http://www.jaam.jp/html/info/info-20070307_1.pdf
◆2007/03/10 「呼吸器装着、施設間で大差 難病ALSで病院調査」
 北日本新聞
 http://www.kitanippon.co.jp/contents/kyodonews/12/
◆2007/03/20 「後期高齢者医療制度は保障原理で」
 日医ニュース(第1093号)2007年3月20日
 http://www.med.or.jp/nichinews/n190320c.html
◆2007/03/22 「終末期医療 医師主導にならぬよう」
 信濃毎日新聞 2007年3月22日
 http://www.shinmai.co.jp/news/20070322/KT070320ETI090004000022.htm
◆2007/03/26 「患者の意思、強く尊重を/終末期指針で尊厳死協会」
 四国新聞 2007年3月26日20時54分
 http://www.shikoku-np.co.jp/national/social/article.aspx?id=20070326000400
◆2007/03/29 「医師訴追 分かれ目は…射水の延命中止問題1年−国・学会・病院 指針、法制化 模索続く」
 読売新聞 2007年3月29日(富山支局、科学部)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070329ik08.htm


 
 
>TOP

■20070212

 研究集会<死の法>・第3回
  広告表(MS Word)

 2006年10月、岐阜県立多治見病院の倫理委員会が患者の事前の意思に基づき呼吸器外しを含む延命治療中止を容認する決定をした。しかし、県は反対し、実施しなかったことが報じられた。羽幌病院事件、射水市民病院事件など呼吸器外しを巡る事件が起こり、尊厳死法制化やガイドラインづくりの動きがあります。また、臓器移植法改正案としてA案(河野案)「脳死」を一律に死とし、本人が拒否しなければ家族の同意で臓器摘出できる、B案(斉藤案)本人の書面による意思表示の年齢を15歳から12歳に下げる案、が国会に提出されています。
 今回は、脳死、臓器移植法「改正」、尊厳死法および終末期医療のガイドラインについて検討します。

◆ 日時:2007年2月12日(月、休日) 14時〜17時(受付13時45分〜)
◆ 場所:文京シビックセンター スカイホール(http://www.b-civichall.com/
文京区春日1−16−21 文京シビックセンター26階
(TEL03−5803−1100代表)裏面地図を参照ください
◆ 資料代:1,000円
◆ 内 容  
・「脳死」臓器移植法改正
・尊厳死法案
・厚生労働省の「終末期医療のガイドライン」(たたき台)の検討

タイムスケジュール
1:45〜       受付
2:10〜2:20   開会あいさつ(阻止する会代表 原田正純)
 2:20〜3:20   シンポジウム
      山本孝史氏  参議院議員
      三澤 了氏  DPI(障害者インターナショナル)日本会議議長
      片岡 博氏  全国青い芝の会 前会長
      橋本 操氏  ALSさくら会 代表
3:20〜3:30   休憩
3:30〜4:00   講演 「臓器移植法A案と尊厳死法に通底するもの」
                  弁護士 光石忠敬 氏
4:00〜4:50   意見交換
  4:50〜5:00   閉会あいさつ

主催:安楽死・尊厳死法制化を阻止する会
 阻止する会代表 原田正純(熊本学園大学教授)・世話人(五十音順)柏原晃一(弁護士)・清水建夫(弁護士)
清水昭美(「脳死」・臓器移植を許さない市民の会代表)・立岩真也(立命館大学大学院教授)・鶴見俊輔(哲学者)
橋本操(NPO法人ALS/MNDサポートセンター・さくら会会長)・八木晃介(花園大学教授)

連絡先:安楽死・尊厳死法制化を阻止する会事務局 事務局長 清水昭美
TEL:03-5568-7603    FAX:03-5568-7607
メールアドレス:shimizu@ginzadori-law.jp ホームページ:http://soshisuru.fc2web.com/


 
 
>TOP

◆2007/02/16 「延命治療、意思不明なら医師が判断 救急医学会が指針案」
 朝日新聞社 09時56分
 http://www.asahi.com/health/news/TKY200702150382.html

  「救急医療の現場で延命治療を中止する手順についてのガイドライン案を、日本救急医学会の「救急医療における終末期医療のあり方に関する特別委員会」(委員長・有賀徹昭和大教授)がまとめた。患者の人工呼吸器を取り外す手続きなどを示すもので、これまで個別の病院や医師の判断で治療を中止し、刑事責任を問われることもあった医療現場にとって、初の指針となる。「家族が治療中止を判断できない場合は医療チームが判断できる」とするなど踏み込んだ内容なだけに、論議も呼びそうだ。
  同学会には、全国の救命救急センターや集中治療室などで働く救急医ら約1万人が加入。ガイドライン案は、19日に東京都内で開かれる学会社員総会にかけ、ほぼ提案通り可決される見通しだ。
 終末期医療をめぐっては、日本医師会が昨年2月にまとめた報告書で、積極的な延命治療を中止する「尊厳死」を容認。しかし判断基準などは示されず、秋田赤十字病院(秋田市)など個々の病院の独自の指針があるだけだった。救急医学会は、不意の事故や急病の場合は患者・家族の意思が確認できないケースが多いことから、救急現場で使える全国的な指針が必要だと判断した。
  ガイドライン案は、終末期を「妥当な医療の継続にもかかわらず、死が間近に迫っている状態」と定義。妥当な基準で脳死と診断された場合や、積極的に救命をしても数日以内での死亡が予測される場合、などをあげた。主治医を含む複数の医師、看護師らによるチームで判断する。
  そのうえで、家族に救命の見込みがないことを説明。リビングウイル(生前に意思表示した書面)などで患者本人の意思を確認できるか、家族が本人の意思を代弁できる場合は、その意向に従う。引き続き積極的な対応を希望していれば治療を維持するが、それ以外なら治療中止を認める。
  また、「家族の意思が明らかでない場合や家族が判断できない場合」として、家族の納得を前提に、医療チームが治療中止を決めることができるとした。チームで判断できない場合は、医療機関の倫理委員会で検討することを求めている。
  治療中止の方法は、人工呼吸器など生命維持装置の取り外し、薬剤投与の中止など。「積極的安楽死」とみられる薬物の過量投与や筋弛緩(しかん)剤の投与の行為はしない。また、チームの方針決定や治療過程などの経緯を可能な限り詳細に記録に残すことを求めている。
  ガイドラインには、治療を中止した医師が患者を死亡させたとして刑事責任を問われることを防ぐ狙いもある。有賀委員長は「ガイドラインに沿った行為なら、仮に医師が刑事訴追を受けたとしても、学会として間違った行為ではないと主張していく」としている。」(HP掲載全文)


 
 
>TOP

◆2007/02/25 「いま終末期医療をどう考えるか?」 平成18年度労働科学研究終末期医療に関する研究班総合討論会

 
 
>TOP

◆2007/02/28 「家族の治療中止要請認定 川崎協同病院事件で高裁」 共同通信 2007年2月28日19時59分 http://www.kitanippon.co.jp/contents/kyodonews/20070228/73736.html


 

>TOP

◆2007/03/01 「川崎・筋弛緩剤事件:殺人は認め減刑 「治療中止、家族の要請」――東京高裁判決」
 毎日新聞 2007年3月1日 東京朝刊
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070301ddm041040053000c.html


 

>TOP

■20070303

 尊厳死と医療を考えるシンポジウム「尊厳死、ってなに?」
  *全記録掲載(2007.5.17)

今回は・・・
徹底的に討論します。

日時:平成19年3月3日(土)13:00〜17:00
受付12:15〜
場所:大宮ソニックシティ 906研修室
締め切り:平成19年2月10日   定員:80名

お問い合わせ・申し込み方法:電話またはFAX・メールにて
NPO自立生活センターくれぱす 
電話048-840-0318 FAX048-857-5161 
メールyukko@kurepasu.org
担当:小林・見形
(定員になり次第締め切らせていただきます)
参加費:500円(介助者は無料)
*介助者で資料が必要な方は500円頂きます。

シンポジスト:

荒川迪生氏(日本尊厳死協会副理事長)

立岩真也氏(立命館大学大学院教授) 

橋本操氏(日本ALS協会会長・当事者)

山本創氏(難病者の人の地域自立生活を確立する会)

吉澤明孝氏(要町病院 副院長)
cf.http://www.iryoufukushi.com/medical-report/20.html

主催:NPO自立生活センターくれぱす
 http://www.kurepasu.org/
共催:NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会 
後援:さいたま市社会福祉協議会・さいたま市教育委員会


 

>TOP

◆2007/03/05 「死の法制化めぐり議論 埼玉でシンポ 「末期」概念もあいまい」(2007・最前線 表うら)
 京都新聞 2007年3月5日朝刊:27

   「終末期医療と治療中止をめぐって、さまざまな動きが続いている。厚生労働省はガイドライン素案を出し、三月まで意見を募っている。川崎協同病院安楽死 事件で横浜高裁は医師に有罪判決を出したが、「論議を」と異例のコメントを付けた。立命館大の立岩真也教授(社会学)がコーディネーターを務めたシンポジ ウムから、自己決定による死の法制化を推進する側と、懸念する立場との争点を報告する。(社会報道部 岡本晃明)

  重度障害者 「生の選別」懸念 尊厳死協会 自己決定を尊重

  「尊厳死と医療を考えるシンポジウム」は三日、さいたま市で開かれた。日本ALS協会の橋本操会長ら難病患者・家族と、事前の意思表示による治療中止の法制化を求めている日本尊厳死協会の荒川迪生副理事長らが出席、まったく違う立場で意見をぶつけ合った。
   「『不治かつ末期』を十七年やってます。機械につながれ、公費を食べまくっている」。人工呼吸器ユーザーの橋本操さん。尊厳死推進派が言う「無駄な延 命」は「障害者はいらない」やチューブや機械を使った生に尊厳はないとの選別につながると、障害者や家族から懸念が示された。
  これに対し、尊厳死協会の荒川さんは「本人の要求があっても人工呼吸器を外すべきではない。人工腎(じん)でも心臓ペースメーカーでも機械と生きるのは普通のこと」と述べた。協会が事前の書面による意思表示で尊厳死選択の対象と主張しているのは▽意思表示ができず、治療を継続してもしなくても死が迫っている段階▽植物状態が一年以上経過した場合−と説明した。
  「植物状態の診断基準ができたのは四十年前で問題はあり、長期からの回復例も確かにある。回復の成否の判断は医学的には限界で議論は平行線になるから、脳死問題のように個人の選択にすればいい」と荒川さんは続けた。同協会の協力病院の緩和ケア医からも「医師の余命告知が予測通 りだったか調査した報告によると、有効だったのは一カ月以内までで、半年のスパンでは医師にも余命は分からない」と述べるなど、「終末期」や「植物状態」 の概念のあいまいさが浮き彫りになった。
  会場の患者・障害者から相次いだのは「尊厳死を法制化すると、死の選択が美化され、人の手を借りて生きていくんだ、という価 値観が損なわれる」「介護を負担に思う家族から死の選択を迫られる」「患者が愛する家族の負担を思いやって治療中止を希望する」という批判だった。
   これに対し、尊厳死協会側は「介護されることを気兼ねする社会はよくない。会は死生観に基づく自己決定がないものは認めない」とする一方、「現実に家族 が代わりに決める状況はあり、社会の進む速度に協会の法制化要綱案は追いついていない」と、家族による決定の容認に含みを残す回答もあった。
  立岩教授は「尊厳死法制化を推進する立場、心配する立場の人が対話する意義はあった。推進する側の『末期』という言葉一つをとってもあいまいで、論理もよく分からないことは確認できた。『だったら安心です』という話にはならなかった」と話している。
  シンポジウムは「自立支援センターくれぱす」(さいたま市)が主催した 」


 

>TOP

◆第2回終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会
 2007年3月5日 14:00−16:00 厚生労働省専用第15会議室

 記録:森勇香

検討会のメンバー追加
木村 厚(きむら あつし) 
社団法人日本病院協会 常任理事
欠席
谷野 亮爾(たにの りょうじ)
社団法人日本精神科病院協会 副会長
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
厚生労働省より資料の読み上げがありました。

座長
なぜ厚生労働省がガイドラインを作るのか?
終 末期は、病気や病状によって医療体制が違う。家族環境もそれぞれ違う。今まではこれらに厚生労度省は慎重だった。たたき台としてのガイドラインは短い。柔 らかなガイドラインを個別の患者に設ける、今設けることに意味がある。こういう措置は適当かという中身の話ではない。プロセスが大切なのは日本だけではな い。形式的な文とサインがあればいいというものでもない。終末期医療を充実させるために、患者・家族・医療者・・・。
緩和ケアが充実していけば、どれだけ終末期にできることがあるか? 厚生労働省に責任がある。

資料p11
2「終末期医療及びケアの方針の決定手続き」
(1) 患者の意思確認ができる場合
Bこのプロセスにおいて、患者が拒まない限り、決定内容を家族にも知らせることが望ましい。

「注8」
合意内容を文書にまとめるにあたっては、医療従事者からの押し付けにならないように配慮し、患者の意思が十分に反映された内容を文書として残しておくことが大切です。

・・・これらの表現についていろいろやり取りがありました。

大井
「望ましい」と言う表現は弱い(というニュアンス)

保健医療技術調査官
・・・・・

座長
「望ましい」が弱いということだが、もしかしたら全体が「望ましい」ということでできている。すべてのケースがそうなのか現場の対応を考える余地がある。家族・患者の意思確認ができればいいものではない。
しかし・・・・。
延命治療中止は意見が分かれる。別に助言を求めるところを作る。

岩渕
2点目のケアチームの中で意見が分かれた場合、独断でやった時も裁判になるわけですが。家族にきちんと説明していないと裁判でこじれる。

木村
家族を巻き込むというのに、家族に伝えるのは「望ましい」とするのも、また、家族に知らせないと言うこともおかしい。

大井
方針決定は誰がするのか、医師法17条によって・・・・
(医師である)。漠然とした専門職種とは何だ。医師が決定するのが変だと言うことを被せるのなら、誰が責任をとるのか。

川島
・・・これでいいと思う。私の提出した資料p17を見てもらうとチーム医療では、最終判断は医者がする、それを確実にするためにチームがある。

座長
多数決ということではない。独断でする人は困る。合議体の責任だが、これによって医師の責任を軽くしようとするものではなく、目の前の患者さんにとっていいこと。

宝住
これでいいと思う。9回裏が終わるまでにきちんとする。
今は6回裏、最善の治療方針を選ぶのが趣旨。

日野
主 語がないのが物足りない。医師が責任をとる。理想的にはチームが存在するのでしょうが、裁判を考えると(医者以外は)意見など言わない。ケースワーカには 期待が持てるが。医師が疲弊していて時間がない。他の先生がしている治療意見を言うなんて駄目。会議は極力開かないで欲しい。

座長
疲弊した医師を迎えるしかない末期患者はどうなるのか。独断で決めるのは止して欲しい。医者に責任がなくなることはない。インフォームドコンセントにインテンシブが付くようにする。

日野
ありがたいお言葉。医師の不足、看護士の不足。ストレスが限界に来ている。

永池
「チームが決定」賛成。ばらばらの判断よりチームがいい。チームとはそれぞれの専門職種が対等である。医師の裁量権や独占権を奪うつもりはない。

土屋
・・・・・・

田村
具体的にチームの合意性。家族の価値観、家族へのアドボカシー。倫理委員会で何が妥当かと判断する。チームのリーダーはもちろん医師。質を担保するため、患者家族の意思を大切にしていく。

川島
チームで合意形成することによって、医師の負担が軽くなる。在宅ではあたりまえのこと。ヘルパー、看護士、医師も仕事がしやすい。

日野
訪問看護士がいなくなっている(辞めている)現状があるが。医師の指示書があるが、細かい支持は医師が出す。会議をしていても・・・・・(?)

木村
川島先生に賛成。チーム医療賛成。医師の負担も軽くなる。議事録、事務処理をどうして行くか。クリニックであっても前向きにしていく。

座長
・・・・・

大井
医 師は楽になるが、責任の所在があいまいになるのは避ける。チームでの討論は責任が重くなる。責任逃れはしてはいけない。医師が終末期の判断をする。(前回 も言ったが)いつが終末期かは後で判断できること。他職種の検討は必要。でも医師の責任は重くなる。しかし、こと終末期に関しては(チームで)すべき。

座長
医師が独断でしてはいけない。チームが形だけではいけない。

大井
チームが皆で責任をとる。誰が最終的に責任を取るかは医師法17条・・・・。(医師だということ)

沖野
実質、意見に違いはない。医師の独断への歯止め。チーム医療を必要としている社会。最終的に医師が責任を取るのがいい。注4で責任逃れをするようになるような表現は駄目。

佐伯
責任の主体については・・するつもりはなかった。明確にすればよい。

日野
イメージを教えて欲しい。万波さんは「独断だった」ということで決着が付きそう。終末期の治療の選択肢はあまりない。家族の歴史や背景で変わってくる。

座長
医者一人でバッカンを止めた(?)というのは認められない。6回の裏で、医師法を改正しようということはできない。

大井
(終末期に)こういう治療をやめようということで、透析や酸素を止めるのは看護士。責任は医師。方針の決定が一番大切。これでも(このガイドラインでも)十分わかるというとそういうものなのかなと・・・(困るというニュアンス)

保健医療技術調整官
表現のことはこちらで・・・。

座長
・・・法的責任のあり方を変えることは6回の裏だからできない。患者の意思を確認する。できれば文書。医師の書いた文書だからサインしてくれればいいというものではない。その過程に家族が入り、家族にも知らせる。

佐伯
「望ましい」のほうがいい。病院に来ていない家族は・・・。

木村
突然出てきた身内や家族は別。誰が家族かということをはっきりさせる。

座長
家族が誰だということはこのガイドラインでは決められない。患者が終末期に信頼を寄せる家族、医師が確認ができる場合だが。「家族」は法的なものではない。このガイドラインは法的責任を詰めるためのものではない。

川島
p9の7)「終末期医療の決定プロセスにおいては、患者家族、医療・ケアチームの間での合意形成の積み重ねが重要です」今まで医療者が間違っていたことをここで強調する。

大井
・・・1.患者さん本人 2.家族 3.地域 4.医療従事者であるが、医療現場は混乱している。独走する医師の歯止めが必要。

池永
患者が自分の死をどのように受け止めているのか。医師の判断に気持ちが「行きつ戻りつ」している。

座長
患者の意思確認ができない時は、家族から聞き出す最善の方法を医療者が考える。家族に内容を説明して理解してもらう。こういう過程は言うまでもなく当然のこと。専門職からなる委員会で解決できない時、例外的という表現はあったほうがいいのかな・・。
複数の専門職とは何なのか、絶対合意ができない時はどうしようもない。米国では裁判所に行く。これは日本では少ない。

岩渕
チームの中で異論はあるのだろうか? そこまでコメディカルの人たちが、ちゃんとしているのか? 射水の問題も医師一人で・・・抑止力がなかった。(コメディカルの人たちが)ケアチームの中で「歯止めがかけられる」と大みえをきってもらえれば・・・・。

(笑いが起こる)

日野
医師本位・・・・(?) ALSの人たちの意思は分かる。植物状態の人たちは、終末期かどうかは分からない。
医学の進歩で終末期と言えるようになるかもしれない。
「望ましい」がいい。このガイドラインに賛成。

池永
看護の立場として、医師に異議申し立てができる職場とそうでないところがある。返りが怖くて何もいえない。ナースが言えなくて看護部長である私に上がってきた。看護部長からチームに上げ病院長に上げた。これからコメディカルも頑張る。

木村
「家 族がいない場合および家族が判断せず一切を医療・ケアチームに委ねる場合には、医療・ケアチームが医療の妥当性・適切性を判断して、その患者にとって最善 の医療を実施する必要があります。なお家族が判断を委ねる場合にも、その内容を説明し十分に理解していることを確認することが必要です」(参考 注 12.)
「一切」とするか「判断」とするか。また、十分に説明していることを患者から引きだすことは難しい。

土屋
・・・・調剤の場が、患者のいる場所にかわってくることもある。

田村
終末期の「命と暮らし」のことだが、マンパワーが少ないことを考
慮して欲しい。患者がやられることに同意しているか、やられることを理解しているか

大井
ガイドラインを作る時、言葉の解説をして欲しい。「積極的安楽死」「消極的安楽死」「間接的安楽死」が出てくるので。

保険医療技術調査官
・・・・・・・・

大井
・・・・・・・・

座長
きっちりしたことを書こうとすると、(言葉が)一人歩きして現場を支配してしまう。法的責任まではこのガイドラインではやらない。

大井
終末期医療とは一体何か。誰が決めるのか。・・・・・・。

座長
p10の@で、ソーシャルワーカーは医療従事者か。チームに入っていれば責任が発生する。終末期の定義、注2で蹴っている。

審議官
@とAを分けたので・・・・。

座長
・・・・・・

佐伯
・・・・・・

沖野
@とAを分けて、患者の意思決定が第一だということが明確に出たからよかった。@はこれで表現を変える。注4は後で考える。

日野
チームを結成するにあたり、終末期であることはいつ言うか。

大井
柔らかい判断・・・・・・。

木村
医療者側がやるべきこと。厚生労働省が決めることではない。治療中止はどうなるのか。積極的安楽死とは何か。

日野
終末期とは何かは日本医師会も考えている。終末期のことは厚生労働省もしている。ありがたいが医師会もやる。

田村?
がんと遷延性意識障害について・・・・・。

岩渕
終末期のためのチームを作ることはおかしい。

座長
もっと前から、患者さんのためにチームがあるべき、終末期のプロセスを検討する上で、終末期のチームという考えが出てきた。(本日の検討会は)一定程度の意見の集約があったとします。合意がみられた。次回は可能であれば、検・・・・・・?
                     終了

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2007.3.7 のメール
森ゆか
ごめんなさい、訂正です。
「現場のマンパワー不足をなんとかしてくれ」ではなくて「考慮してくれ」的なニュアンスでしたが・・・・。
病棟ではすべて患者さんに跳ねかえることですので・・・・・「何をどう考慮して欲しいのか」ちょっと気になりました。看護部長さんの言葉だったと思うけど。インセンティブかしら?

2007.3.10・・・・
この内容について、「家族」について次のような質問を受けました。

> お尋ねしたいのは,第二回検討会において,「家族の定義」に関しては, 大きな議論もなく上の形でまとまった(もしくは通り過ぎた)のでしょうか?それとも,実は大きな議論があり,ガイドラインのこの箇所は かなり改変される方向なのでしょうか?

・その時の私のメールから・・・・
実 は、検討会を終えて私の議事録「・・・・」の部分で思い出したところがあるのですが、だれの発言だったのかわかりません。えーと、座席表はUPされていた でしょうか? たしか川島先生の列に座っていた男性委員だと思うのですが・・・・。ちょっと、筆箱を落とし拾っている時に発言されたので隣の記者の方にも 迷惑をかけてしまって・・・・。

「性同一性障害の患者さんのことで、パートナーだと思っていたら、末期になって(?)見捨てられてしまっ て(?)そういう相談があった」とかの話(すみませんアバウトで)。 詳しい説明はなかった(と思う)のですが、この場合のカップルが夫婦だったのか、家 族だったのかはわかりませんが、いわゆる男女間の内縁関係という話ではない。こんな話が出ていました・・・・。「このガイドラインでは、そこまで定義でき ない」というのが座長の考えです。実際その話がでていたのは事実です。それを受けて補足したり、質問する別の委員はいなかったように感じますが・・・。

皆様に報告していない、第2回目の内容です。


 

>TOP

◆2007/03/07 「延命中止に判断基準 尊厳死協会試案 病態ごとに明示」
 中日新聞 2007年3月7日
 http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070307/mng_____sya_____000.shtml

  「尊厳死の法制化を目指す日本尊厳死協会(理事長・井形昭弘名古屋学芸大学長)東海支部の研究班は、延命措置を止める際の医学的判断基準を盛り込んだ試案 をまとめた。複数の医者の意見一致など3条件を前提に、がん、筋委縮性側索硬化症(ALS)、高齢者、救急医療などの病態ごとに、「不治」「末期」の状態 を定義付けしたうえで、それぞれの中止条件を示した。
 同支部は10日の常任理事会で承認が得られれば、試案を終末期医療の指針づくりを進める厚 生労働省に文書で提出する方針。これを題材に法制化議論の活発化を期待しているが、意識が鮮明なまま全身が動かなくなるALS患者についても中止条件を定 めたことで、安易に死が選択されかねず、議論を呼びそうだ。
 試案ではまず「尊厳死」を「自らの傷病が不治かつ末期に至った時、健全な判断の下で の自己決定により、いたずらに死期を引き延ばす延命措置を断り、自然死を受け入れる死に方」と定義。一般的な延命措置の不開始・中止の条件として(1)患 者本人の意思表示がある(2)複数の医師の意見一致(3)尊厳ある生の確保と苦痛の除去が目的−とした。
 さらに、がん、呼吸不全、心不全、腎不全、持続的植物状態、ALS、高齢者(脳血管障害など)、救急医療などに分けて「不治」「末期」の状態を定義した。
 例えば、がんの場合は「化学療法や放射線療法などの効果が全くなく、腫瘍(しゅよう)の増大に歯止めがかからない」を不治、「苦痛を和らげるための処置が中心」を末期と設定。そのうえで、薬剤投与で有害な反応だけが明らかになった場合などを延命措置中止の条件に挙げた。
  ただALSの場合は、現時点で根本的な治療法がないため診断時点では不治としたが、末期についてはさまざまな見解があることから「患者自身が判断すべき問 題」として定義を回避した。中止の条件については「自発呼吸がゼロと判明すれば人工呼吸器の取り外しが容認される」とした。」(全文)
 cf.日本尊厳死協会ALS


 

>TOP

◆2007/03/07 「日本救急医学会「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)(案)」
 http://www.jaam.jp/html/info/info-20070307_1.htm
 http://www.jaam.jp/html/info/info-20070307_1.pdf
 →◆2007/11/16「日本救急医学会「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)」

http://www.jaam.jp/html/info/2007/info-20071116.htm
 http://www.jaam.jp/html/info/info-20071116.pdf


 

>TOP

◆2007/03/10 「呼吸器装着、施設間で大差 難病ALSで病院調査」
 北日本新聞 2007年03月10日
 http://www.kitanippon.co.jp/contents/kyodonews/12/

「全身の筋肉が動かなくなる進行性の難病、筋委縮性側索硬化症(ALS)の患者が呼吸困難になり、延命のために気管切開をして人工呼吸器を装着した割合は、ほぼ100%から10%未満まで病院間で大きな差があることが10日、共同通信が実施した全国調査で分かった。
余命を大きく左右する呼吸器装着の割合が、ケア体制の地域差や医師の説明方法に影響されている実態が浮かんだ。
一 方、一度つけた呼吸器を患者が自らの意思で外す権利を容認する意見が約半数を占め、患者から取り外しを依頼された経験のある病院も19%あった。患者団体 には「容認すれば、周囲の都合で死に追い込まれる恐れがある」と慎重論も強く、議論を呼びそうだ。調査は今年1−2月、神経内科がある大学病院本院と国立 病院機構など計183病院を対象に実施。78病院(43%)から有効回答を得た。
呼吸器をつければ数年以上の延命が可能だが、たん吸引などで24時間介護が必要になる。家族の負担が大きく、装着をためらう患者も多い。」


 

>TOP

◆2007/03/20 「後期高齢者医療制度は保障原理で」
 日医ニュース(第1093号)2007年3月20日
 http://www.med.or.jp/nichinews/n190320c.html
 竹嶋康弘副会長と中川俊男常任理事は,「後期高齢者医療制度に対する日医の考え方」について二月二十八日の記者会見で説明した.
  まず,竹嶋副会長は,診療報酬のマイナス三・一六%改定,介護療養病床の十五万床廃止,リハビリテーションの日数制限,七対一入院基本料問題などによっ て,地域医療を担う地域の病院の閉院,看護師不足や偏在が起こるなど,地域医療は崩壊しつつあることを指摘.これらは,前政権の一方的な歳出削減政策に厚 生労働省が追従して起こった現象であり,今後は社会保障費一兆一千億円削減の見直しを含め再検討するべきだと主張した.そのうえで,同副会長は,今,課題 に上っている後期高齢者医療制度が,高齢者の心身の特性に合ったものとなるようにと考え,今後の議論のたたき台として,日医の見解を発表したものであると 説明.「厚労省が打ち出している“施設から在宅へ”という方向性が基本的に間違っているとは言えないが,現状をきちんと見ると,それ以外の選択肢も用意し ておく必要がある.財源としては,高齢者には保険原理はなじまず,保障原理の考え方で対応すべき」と述べた.また,日医が一月に公表した「在宅における医 療・介護の提供体制―『かかりつけ医機能』の充実―指針」を示し,高齢者の医療と介護に関する三つの基本的考え方と 七つの提言について説明した.
 つづいて,中川常任理事が資料を基に説明を行った.同常任理事は,近年の診療報酬改定における相次 ぐマイナス改定により,医療の安全性を確保することがきわめて困難になっていること,さらにその動きに追い討ちをかけるように示された「骨太の方針二〇〇 六」で,社会保障費を五年間で一兆一千億円削減することを企図していることを問題視し,この方針が実施されれば,日本の医療が崩壊しかねないとの認識を明 らかにした.現在,厚労省が進めようとしている後期高齢者医療制度に関しては,(1)財政主導(2)地域間・個人間格差への配慮が欠落(3)後期高齢者の 心身特性への配慮が不足(4)単身高齢世帯・老々世帯の激増への考慮不足(5)認知症等で高齢者の自己決定が困難であることへの認識不足(6)終末期医療 の選択肢が 限定的―などと批判.日医としては,後期高齢者医療の激変を避け,医療と介護の一体的提供を目指し,二〇一二年診療報酬と介護報酬の同時改定を目安に,同 制度を完全施行するのがよい,と訴えた.
  制度の創設に当たっての日医の基本的な考え方としては,(1)七十五歳以上を対象に,保障原理で運営(2)財源は公費割合を段階的に引き上げる(3)保険 料は応能負担で,一部負担金は一律に(4)地域ごとの特例診療報酬は避ける(5)急性期と慢性期の急性増悪は出来高払い(6)「後期高齢者=在宅医療」論 からの脱却 (7)病床数を維持しつつ居宅環境を整備(8)終末期医療には多様な選択肢を―の八項目を示した.
 保障原理での運営については, 後期高齢者では,疾病の発症率,受療率,医療費が急速に高まり,保険原理では機能しにくい.そこで,公費負担割合を九割に引き上げ,一割を保険料と自己負 担で賄うことを提案している.また,厚労省案が,「一般」にも「後期高齢者」にも公費負担を考えているのに対して,日医案では,「一般」は保険原理(保険 料と自己負担のみ)で,「後期高齢者」は保障原理で進める考え方を示した.
 一方,終末期の診療報酬体系については,急性期と慢性期の急性増悪は 出来高払い,慢性期については,出 来高と包括化の選択性で行くべきであるとした.ただし,包括化の場合も,技術報酬系,薬・材料報酬系,在院報酬系をまたぐ包括化は行わない,とした.ま た,今日,在宅医療が困難な七十五歳以上の世帯が急速に増えている現状を紹介し,居宅環境が整備されない状況での,療養病床の急激な削減策に警鐘を鳴らし た.さらに,終末期医療の基本的理念については,(1)本人と家族の意思の尊重(2)医療提供者の倫理に基づく最善の医療を逸脱しない.そのうえで, (3)多様な看取りの形を提供していきたい,とした.
  最後に,同常任理事は,今日,急速に広がっている格差問題にも言及.地域別保険料や特例診療報酬の導入は,かえって地域間格差を拡大する危険性が高く,ま た,高齢者の収入は,現役時代の稼得能力を反映するため,一部負担の増加は,受診抑制が発生するなど,健康における個人間格差が拡大する可能性が高いこと などから,その是正策として,国庫負担を中心に公費負担割合を引き上げることの必要性を強調.そのうえで,保険料の設定は,より慎重であるべきだと,述べ た.
なお,今回発表した「後期高齢者医療制度に対する日医の考え方」については,二月二十二日の自由民主党社会保障制度調査会医療委員会ならびに,三月八日の公明党の関係団体等からのヒアリングに,竹嶋副会長と中川常任理事が出席し,詳細な説明を行った
 資料は,日医ホームページ参照>>こちらhttp://www.med.or.jp/nichikara/koukikourei.html


 

>TOP

◆2007/03/22 「終末期医療 医師主導にならぬよう」
 信濃毎日新聞 2007年3月22日
 http://www.shinmai.co.jp/news/20070322/KT070320ETI090004000022.htm
 人生の最期の時をどう迎えるか。誰もが直面する可能性がある終末期医療の在り方について、国や救急医療の学会が指針づくりを進めている。
  本人や家族の意思を尊重し、医学的判断は複数の医療関係者で検討する方向だ。医師と家族が対等な関係で話し合いができるのか。本人の意思をどう確認するの か。医師主導の決定にならないよう、細かな目配りが必要だ。終末期医療をめぐる指針が求められている背景には、延命治療への対応に苦悩が深まっているから だ。医師が患者の人工呼吸器を取り外したことが、相次いで問題になった。2月には、筋弛緩(しかん)剤投与で医師が殺人罪で有罪判決を受けている。何をす れば刑事責任を追及されるのか、現場は戸惑っている。厚生労働省の検討会は、4月にも指針を最終決定する。患者本人の決定を基本とし、医学的な判断は多職 種の医療従事者によるチームで検討すべきだとの内容を盛り込む。日本救急医学会の指針案は、より踏み込んでいる。「終末期」について、脳死と診断したか、 治療を続けても数時間ないし数日で死亡すると予想される状態な どとした。延命中止は患者の意思や家族の判断を基本とする。家族が決められない場合は医療側の裁量にゆだねる選択も盛り込んでいる。終末期の医療の在り方 は、一人ひとりの状態や、倫理観、宗教観に左右される。一律に線を引くのは難しい。一方、延命治療を長期間続けて、家族も医療側も疲弊しているケースは少 なくない。指針を守っても、刑事責任を免れる保障がないとの見方もある。ここは指針の策定にとどまらず、終末期医療がどうあるべきか幅広い論議をさらに深 める必要がある。その前提として、患者の意思表明や話し合いを、透明にしていく努力が欠かせない。大切な人の死に向き合わざるを得なくなった家族は動揺す る。医学的な知識が十分になく、説明を理解できないケースも多いだろう。十分な時間を取るのはもちろん、第三者的なコーディネーターがかかわり、双方の理 解を深める工夫も考えたい。本人の意思を客観的に証明する手段も必要だ。一部の病院では、人工呼吸器装着や心臓マッサージなど延命治療の希望を患者に文書 化してもらう取り組みを始めている。安易な治療拒否は避けなければならないが、文書化は大切だ。何よりも、終末期医療を自分のこととして考えることが、コ ンセンサスづくりへの一歩になる。


 

>TOP

◆2007/03/26 「患者の意思、強く尊重を/終末期指針で尊厳死協会」
 四国新聞 2007年3月26日20時54分
 http://www.shikoku-np.co.jp/national/social/article.aspx?id=20070326000400
 日本尊厳死協会(井形昭弘理事長)は26日、厚生労働省が検討を進めている終末期医療の指針に関し「患者の自己決定権の尊重を強く打ち出すべきだ」などとする意見書を同省に提出した。
意 見書は、終末期の患者の延命治療中止などの判断について「医療・ケアチームが慎重に判断する」としている厚労省案を「患者の自己決定を担保する力が弱い」 と批判。「患者本人の意思と医学的妥当性があれば、自己決定に基づき延命措置は停止できる」と明記するよう求めている。また協会の基本的見解として「終末 期医療のルールは、指針より規範力が強い法制化が望ましい」と主張している。
 同協会は既に、がんや筋委縮性側索硬化症(ALS)などの病態別に、延命治療を中止できる条件の具体案を独自にまとめている。


 

>TOP

◆2007/03/29 「医師訴追 分かれ目は…射水の延命中止問題1年−国・学会・病院 指針、法制化 模索続く」
 読売新聞 2007年3月29日(富山支局、科学部)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070329ik08.htm
  富山県の射水市民病院で、延命治療が中止され、7人の患者が死亡した問題が発覚してから1年。国や学会が、延命治療の中止に関する指針の策定に乗り出すな ど、終末期医療を取り巻く状況は大きく変わろうとしている。だが、患者・家族の意向を尊重しつつ、医師が刑事訴追されない仕組みの構築には課題が多く、尊 厳死の法制化に向けた議論も加速するなど模索は続いている。
<国・学会>
 「医師が独断で決定するのだけはやめて欲しい」。今月5日、厚 生労働省の終末期医療に関する指針案の検討会で、座長の樋口範雄・東京大教授(英米法)が、指針の意義を強調した。射水の問題で注目されたのは、1人の医 師の判断で人工呼吸器が外された点だ。この事実を知った病院長が、富山県警に届け出て、問題が明るみに出た。これを契機に昨年9月に作成された厚労省の指 針案=図=は、この点を重視し、治療方針決定過程の透明性を高めようとしたのが特徴だ。一方、国よりも先に指針作りに取り組んでいた日本救急医学会も、今 年2月に原案を公表した。脳死など終末期の定義、延命中止できる治療の項目を具体的に明示するなど厚労省案より踏み込んだ内容だ。
<現場>
  多くの病院や学会は、4月にも成案がまとまる厚労省の指針をもとに、指針を作成することになる。しかし、手続きに限定している厚労省の指針では、延命治療 を中止できる指針を作成するのは難しい、という声も少なくない。実際、昨年10月、岐阜県立多治見病院で、独自の指針に基づき延命治療中止を決めたが、実 施できなかった。院内の倫理委員会は、患者が意思を文書で残していることなどから人工呼吸器の取り外しを認めたが、医師の刑事訴追を恐れた院長が許容しな かった。患者は、翌日死亡した。訴追されない基準が不明確であることが背景にある。名古屋第二赤十字病院の石川清副院長は、「症例は様々であり、医師が訴 追されない統一的基準を文書に盛り込むのは難しい」という。
<司法判断>
 延命治療の中止を巡って、医師が殺人罪で刑事訴追されないため の条件は何か。その司法判断として注目されたのは、1995年の東海大安楽死事件判決だ。横浜地裁は、〈1〉末期で死が避けられない〈2〉現在の治療が無 意味〈3〉患者の意思か家族による患者の意思の推定がある――の3条件を挙げた。 だが司法関係者の間では、この条件は、判例として確立していないとの見 方もある。さらに、人工呼吸器の取り外しが、中止行為に当たらないという議論もあるなど意見がまとまっていないのが現状だ。救急医学会の試案でも、法律家 からは、刑事訴追は免れないとの指摘もある。同学会の指針作成にかかわる有賀徹・昭和大学教授は、2月の討論会で「医学的・倫理的に正しいことを指針に盛 り込んだ。裁くというなら堂々と裁かれる」と話している。
<法制化>
 延命治療の中止を巡っては、医師の免責を明確にした法律を求める声 もある。1998年、患者に筋弛緩(しかん)剤を投与して死亡させたとして、主治医が殺人罪に問われた川崎協同病院事件の控訴審判決で、東京高裁は、1審 の懲役3年(執行猶予5年)を破棄し、殺人罪として最も軽い懲役1年6月(同3年)と減軽。その上で、尊厳死について「許容する法律やガイドラインが必要 で、司法が抜本的な解決を図るような問題ではない」と指摘した。延命治療に携わる医師や看護師の相談事業を行う、板井孝壱郎・宮崎大学助教授(生命・医療 倫理)は、延命中止を巡って医療側と患者側の間で意見の対立があるとした上で、「患者の意思と家族の意向、そして医学的に中止しても問題がない場合なら、 医師が人工呼吸器を外しても免責されるような法整備が必要だ」と話す。医師の免責を明確にしようと超党派の有志国会議員91人も尊厳死の法制化に向けて今 国会中に法案を作る意向を示している。
<鑑定は因果関係認めたが…「違法性」割れる意見>
  捜査当局が射水市民病院の問題を殺人事件として立件するには、〈1〉人工呼吸器を外した担当医に殺意があった〈2〉担当医の行為と患者の死に因果関係があ る〈3〉行為に刑事罰を科すほどの違法性がある――の3要件を満たす必要がある。富山県警は「医師であれば、呼吸器を外すと患者が死ぬことはわかってお り、殺意はあった」とする。死因との「因果関係」は、北海道立羽幌病院で患者の呼吸器を外した医師のケースでも注目された。この因果関係の鑑定が、医師不 起訴の根拠となった。県警が専門医に鑑定を依頼したのは、この点に慎重を期すためだった。患者の一部について、「因果関係がある」との報告があったこと で、捜査関係者は「立件できる」との判断に傾いた。しかし、刑事罰を科すほどの「違法性」があるかは意見が分かれる。「7人も死んでおり、結果は重大」と の声がある一方で、「事件化すれば、ほかの 類似事例も全部立件することになり、そんなことが終末期医療を巡る議論に貢献したといえるのか疑問」という県警幹部もいる。県警は、警察庁や検察と慎重に 検討を進めている。担当医で元外科部長の伊藤雅之医師(51)は23日、読売新聞の取材に応じ、「僕は自分自身が悪だとは思っていない。これ(今回の行 為)を悪としたら、世の中に納得できない人はたくさんいるだろう」と、改めて自らの行為に問題がなかったとの考えを強調した。1月からは富山、石川両県で 嘱託医などを務めており、同じように呼吸器を外すような状況に置かれた場合には、「外してあげることがベストだと確認できれば、そういう選択をするかもし れない」と述べた。問題発覚からの1年については、「医療現場は、完全にフリーズ(凍結)してしまった。現場の意見や裁量権が全く失われてしまい、健全で はない状況になっている」と、医学界の現状を嘆いた。
*尊厳死
 治る見込みのない末期の患者が、無益な生命を維持する装置や処置を受けず、自然に寿命を迎えて死ぬこと。致死薬などで死期を早める「積極的安楽死」とは区別される。
*延命治療の中止をめぐる最近の動き
2006年
3.25 射水市民病院で入院患者7人が人工呼吸器を取り外され、死亡した問題が発覚
3.28 川崎二郎厚生労働相(当時)が閣議後会見で延命治療の中止指針の作成方針示す
8.28 日本集中治療医学会が会員向けに「重症患者の末期医療のあり方についての勧告」を作成。治療中止は患者自身の意思と家族の同意を必須の要件とした
9.15 厚生労働省が指針案を公表
10. 1 秋田赤十字病院(秋田市)が延命中止の独自指針を作成
10.10 岐阜県立多治見病院で延命治療の中止を求めた患者の人工呼吸器の取り外しを院内倫理委員会が承認。しかし岐阜県と院長の判断で人工呼吸器を外さず、患者は翌日死亡
2007年
2.19 日本救急医学会が指針案を公表


*このファイルは生存学創成拠点の活動の一環として作成されています(→計画:T)。
*このファイルは文部科学省科学研究費補助金を受けてなされている研究(基盤(B)・課題番号16330111 2004.4〜2008.3)の成果/のための資料の一部でもあります。
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/p1/2004t.htm
UP:20061222 REV:20070103,0203,19 .. 0305,07,13,25
安楽死・尊厳死
TOP HOME (http://www.arsvi.com)