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「射水市民病院事件」から安楽死=尊厳死を考える学習会



◆2006/06/18 「射水市民病院事件」から安楽死を考える第3回連続学習会
◆「射水市民病院事件」から安楽死=尊厳死を考える学習会参加者一同→北日本新聞社 「いのちの回廊」取材班 2006/6/18 「抗議・要請文」
◆2006/06/19 「射水市民病院事件」から安楽死=尊厳死を考える学習会参加者一同 北日本新聞社に対する、6/8付「いのちの回廊」オランダ篇3記事に関しての抗議―話し合い行動 →報告
◆2006/07/16 第4回「安楽死=尊厳死」を考える連続学習会
◆四十物 和雄 2006/07/00 「射水市民病院延命中止事件」と安楽死=尊厳死について考える(3)」
 『ゆきわたり』(子供問題研究会)2006年7月号
◆2006/08/20 第5回「安楽死=尊厳死」を考える連続学習会


 
 
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◆2006/06/18

 6/18「射水市民病院事件」から安楽死を考える第3回連続学習会

 2006/6/3 呼びかけ人  四十物(あいもの)和雄
 【註:6/3障害者自立支援法学集会でのビラ配布+マスコミ+知った人への送信】
 (連絡先:富山市有沢市営住宅7-102 TEL/Fax 076-422-0039)

(1)はじめに

 本年3月25日に発覚した射水市民病院「人工呼吸器取り外し」事件以来2ヶ月余り経ちました。衝撃の7人もの患者が亡くなるという事態に、県内はしばらくは騒然とした雰囲気が漂い、「取り外し」を実行したとされる外科部長に対する擁護と断罪の声が交錯する中、良きに付け、悪しきに付け、この事件を契機に「人の生と死を考えよう」という気運は高まるかにみえました。
 一時期の外科部長擁護から尊厳死への関心の高揚と、私のような尊厳死反対の声の出難い状況は、私に非常な危機感を募らせ、分不相応にも個人呼びかけの学習会を開催する、という冒険をさせるに至りました。

(2)新たな段階の到来―「癌終末期医療に関する申し合わせ」作成

 ところが、つい先日5月30日、県公的病院長協議会(県内25病院で構成)が石井知事に報告した「癌の終末期医療に関する申し合わせ」(以下、申し合わせ)と、同協議会構成病院である富山労災病院の発表した「同指針」(以下、指針)は、事件の責任を「射水市民病院の旧態然とした体質と外科部長の個人の資質」に帰し、病院の一体性と各病院間の連携を密にして、「医師を始めとした医療の側」の責任回避と、「患者・家族の自己責任」を求める内容になっている、酷いものでした。
 良い悪いは別にして、医師と患者・家族の人間関係―信頼関係で成り立つ医療現場を、マニュアルが支配する管理的な関係に変えようというのです。生死を国家―行政―病院で人格的なものを除外して(QOL向上の美名の下)管理していこう、という方向性を全国に先駆けて打ち出してきたのです。新たな試練の時として受け止め、そのことに抗うものとして第3回学習会を開催したいと考えます。

(3)「全人的ケア」は個々人の生死をひとまとめに管理していく道だ!

 「申し合わせ」は〈原則―例外〉の二元論の立場から、「原則」=医療方針マニュアル(7項目を基礎)、「例外」=患者・家族の要望、とし、どちらにしても医療の側の責任回避の意図から作成されているように思われます。医療の側の方針に対して「異論や要望を言ってもらってもいいが、責任はあなたたちが取って下さい」というもので、こういう雰囲気の中では、患者・家族は「口出し」出来るものであろうか?非常に疑問です。
 医療の側は、前述のようなバックアップを受けて、リスクの高い事(人間的苦悩ゆえの判断)は行わない様になっていくのは間違いありません。患者・家族の側では、合意を書面にする方式に縛られる結果(医療機関に見捨てられまいとするならば)、逆説的な「延命医療」続行の「リビングウィル」対抗版を出す事も検討せざるをえない破目になるかもしれません(勿論、私は生死の淵にいる人の状態が変ることから、そのこと自体は肯定出来ません。それだけ追い詰められていくだろう事が問題なのです)。
 この様な患者・家族の個々の思いを削り去る条件の下での、「QOL(生活・生命の質)の向上」とは一体何なのでしょうか?医療・ケアする側からの一方的な患者・家族の評価でしかないでしょう。それはいつでも、QOLが向上しないと判断すれば「限りなく治療効果のない者」
もっといえば「生きるに値しない者」として切り捨てることが可能な、安楽死=尊厳死と接続した管理医療・ケアでしかないでしょう。
 私には、このような医療・ケアの網の目をゲリラ的にかいくぐって行く闘いの方向性が求められていると思われます。共にいろいろな人と考えていきたいと思います。
是非、第3回学習会に参加してほしい、と思います。


第3回連続学習会
日時   6月18日(日) pm1:30〜4:30
場所   市営有沢団地集会所ホール(バス停神明下車3分)
メインテーマ 安楽死思想の系譜(1)+「申し合わせ」検討
資料代   実費


 
 
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みなさん
富山の四十物(あいもの)です。

呼びかけ文が出来ましたので貼り付けて送ります。

 7/16 第4回「安楽死=尊厳死」を考える連続学習会

【呼びかけ】四十物和雄(連絡先:〒930−0862 富山市有沢811-7-102)
  TEL/FAX 076-422-0039 e-mail: mikotomiya@river.ocn.ne.jp



(1)はじめに

 本連続学習会も、とうとう4回目を迎えることになりました。
4/23の第1回より、模索の連続でやって来ました。毎回来るメンバーが
半数は違うとか、日程の関係上ずっと来られない人とかを抱えて悩んで
きましたが、毎月第3日曜を定例日に固定し、「少ない人数でもやり抜
く」ことをモットーにして来ました。前回以外は、議論の対象が直接的・
具体的でないため、中々話が絞りきれない面もありましたが、時事的資
料と理論的資料(その中心に私の拙い欠陥だらけの文章が並んだ事もあ
りますが)を合わせて提供するように努めてきたので、独自に読めば相
当の知識と問題意識が生じるように配慮してきたつもりです。
残念ながら、読み込んでくれる人は少ないのが現状ですが、その事も現
実として受け止め、より良い資料を出していきたいと思います。しかも
コピー1枚10円にて提供しているので、「食わず嫌いはやめて、一度は
読んでみて欲しい」と思っています。

(2)今回のテーマについて

 前回は、某新聞社の連載シリーズにおいて、オランダ安楽死王国賛美、
 ALS等人工呼吸器患者無視の記事が掲載された問題で、抗議と要望を
 求める行動方針について、急遽議論を詰めなければ、と思い、予定を変
 更せざるを得ませんでした。
 今回は前回遣り残した、安楽死思想の系譜(1)と、去る5/30の急遽
 まとめられた公的病院長協議会(25病院)の「申し合わせ」検討を行
 いたいと考えています(某新聞社側のシリーズ終了の総括とも言える
 「記者座談会」において、安楽死賛美と取らざるを得ない記事を出し
  た事への反省が表明されていないにもかかわらず、本学習会呼びか
  け人としては、これ以上追及しても無理だと判断しています。それ
 は当該のALS患者会が行った方が本筋であり、相手側も取材の必要
 性は認めていることにあります)。

(3)安楽死思想の系譜(1)について

 ドイツのビンディング(刑法学者)、ホッへ(精神科医)共著「生き
 るに値しない命を終わらせる行為の解禁」の要約版を、前回資料とし
 て渡しましたが、全訳でない事、学術書特有の持ってまわった言い回し
 による中心的テーマの分かりにくさ、ナチス障害者安楽死計画との関
 連性についての補足の必要性等、補充資料をつけて紹介しようと思い
 ますが、この文献には安楽死の基本構造が示されていて、今日におい
 ても安楽死問題を考えるに当たっての基礎文献である、と四十物が判
 断しました。
 また、ワイマール期からナチスの消滅時までのドイツ医学会の果たし
 て来た役割を明らかにする文献も手に入りました(原著ベルリン医師
 会刊 ブロス、アリ編『人間の価値』1993 風行社)。戦争責任は
 勿論の事、それだけには解消されない人体実験責任について、ドイツ
 医学界との対比において日本医学界がいかに責任を回避してきたのか?
 それが今日のおいても医師中心の権威主義的医療体制として、患者、
 家族からの声を暗黙の内に封殺してきたのか?その背景抜きに、今日
 の終末期医療の問題を語ることは出来ないであろう、と思い、何らか
 の資料として紹介する予定です。

(4)公的病院長協議会「申し合わせ」の検討

 この「申し合わせ」の最大の欠陥は、「射水市民病院事件」の検証を
 経たものではない、という点にあるでしょう。何故あのような事態が
 続いて起きたのか?その背景や具体的な医療はどうだったのか?等の
 核心的な問題が抜け落ちて、「チーム医療なら解決できる」「書面で
 厳格に合意を取れば、患者・家族の選択権、自己決定権にも合致する」
 から、射水のような形ではない「合法的な延命治療が出来る」と言わん
 ばかりの内容になっています。
 ここには、医師の医療における絶対的権威そのものは不問にされてい
 ます。それこそが最大の問題だと言うのに・・・・・。ちなみに、集団で
 医師が診断した場合でも誤診の割合は、非常に高い(例:鹿児島安楽
 死事件)し、説明についても絶望を抱かせるような誘導説明をしない、
 という保証はどこにもない(詳しくは前回配布した資料清水昭美「延命
 中止に関する・・・・・条件について」参照―今回も資料として付けるつも
 りです)のです。

 あくまでも予定ですが、報道関係者をチューターとして呼べたら、と考
 えています。

 忙しい事とは思いますが、大いなる関心を持って参加されることを呼び
 かけます。

 第4回連続学習会(射水市民病院問題から安楽死=尊厳死を考える)
 日時:2006/07/16(日) pm1:30〜4:30
 場所:富山市営有沢住宅集会場ホール(八尾・速星方面バス停神明

下車3分 集会場前駐車可)


 
 
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 *四十物さんより

皆さん
富山の四十物です。

8,20第5回連続学習会の呼びかけ文を作りましたので送ります。

8/20「射水市民病院延命中止問題」から安楽死=尊厳死を
考える 第5回連続学習会への呼びかけ

【呼びかけ人】四十物和雄 連絡先:〒930-0862 

富山市有沢811‐7‐102          Tel/Fax:076−422−0039



(1) はじめに

 去る8月4日付の各社新聞において、「人工呼吸器はずし7人死亡
事件」の「張本人」とされてきた射水市民病院元外科部長が、〈事
件の経緯と自己の「医療判断・処置」の正当性〉について、ついに
告白をしたことが記事に載りました。正確には、NHK「クローズ
アップ現代」―月刊『現代』―マスコミ各社の手順で、彼の告白を
発表するウラ交渉があったようです。
 いずれにせよ、実名・顔写真を明らかにして、これまでの射水
市民病院麻野井院長側の発表しか公式には語られて来なかった
ことに対して、真っ向から反論したものとして評価に値するもの
です。「不祥事」として、隠されてきた「事件」の真相解明に向
けて、大きく前進する可能性が出てきた、ということです。これ
まで推測でしか問題に出来なかったことが、事実に即して「事件」
について解明する道がやっと開けてきた、ということです。これを
契機に、もっと関係者が二度とあのようなことが無いように、重い
口を開いてくれる事を期待したい、と思います。
 今回の学習会は、元外科部長伊藤氏の発言を踏まえて、「射水
事件」についての考察を深めていく場にしたい、と考えます。
マスコミ関係者も語れる範囲内で、市民に向けて自分たちの報道
スタンスを伝えていただきたい、と思います。大いに参加を要請
したい、と考えます。

(2) 伊藤前外科部長の告白について

 伊藤前外科部長の発言は多岐に亘っていますが、基本は第1に、
麻野井院長の「事実発表」なるものが「事実を隠蔽・歪曲するも
の」であったこと、第2に、伊藤氏自身の人権を無視したもので
あったこと、第3に、医師―患者―家族の信頼関係を重視した「
人工呼吸器外し」であったこと、第4に、GL(ガイドライン)
のマニュアル化の進行は医師の責任逃れの道であること、等に
まとめる事が出来る、と思います。
 この指摘自体には、私は「耳を傾ける必要があること」につい
て認めるにやぶさかではありません。でも「しかし・・・・」と言わ
ざるを得ないものであることも事実です。  その最大の問題は、
伊藤氏が自らの「診断」「治療方針」についての誤診の可能性に
ついて、殆んど触れていないことです。医療現場ではよくある
ことを忘れている事です(それと関連して、「脳死」「脳死状
態」についての知識も非常に問題点だらけです)。又、多くの
医師から言われていた人工呼吸器の装着の是非についても、
十分に応えているとはいえません(カルテ等が警察に提出されて
いる以上、責任の少なくとも半分は院長にあると思われますが)。
ここがしっかりとしていないと、いかに倫理的に立派な事を言っ
ても、医師としてはダメなのです。

(3) 射水市民病院長はこの発言に応えよ

 「人工呼吸器外し」行為を、直ちに止めさせた行為自体は正当
です。しかし事件の概要を把握した段階で、自らの病院全体の
問題として、事実経過を市民に明らかにしていく責任を放棄して
います。「外科部長の独断」と決め付けて、本人を一方的に処分
し、カルテ等の資料を警察に丸投げしたことは、以降の事件解明
に支障をきたし、医師の責任逃れのため、という他ない【尊厳死
法制化要請―GLのマニュアル化】の動向を生み出した責任は
重い、と言わねばならない(勿論、伊藤氏にも責任はあります
が)。
 伊藤氏の批判に応えてこそ、事態は関係者の「寝た子を起こ
すな」という重圧を超えた「なまの声」を促すきっかけになる
可能性があるのです。

(4) 各病院で水面下で為されている「延命中止」行為を白日の下へ

 伊藤氏と同様な行為は「水面下で成されている」というのは、
いまや市民の間で常識となっています。一番多いのは「人工呼吸器
外し」。その他、「輸液の減量」(これについては、心臓に負担
をかけないため、という理由もあるそうですが、どこまでそう
なのか?はっきりと医師から説明されていないようです)「呼吸器
に送る酸素量の低下」など、いろいろ為されているようです。
 また、「新生児・乳児」の「延命中止」も頻繁に為されている
ようです(共同通信系新聞2006/7/30)。しかも、これまで安楽
死・尊厳死に代わる医療・ケアとされてきたホスピス先進病院でも
為されている事に衝撃を感じたのは、私だけでしょうか?「QOL
(命・生活の質)の向上」を「延命より優先させる」という緩和
ケア・医療において、本人の代わりに親の代理決定で為される事に、
「意識を表明できない人」に対する優生思想を見てしまいます。
 このような状態が蔓延している事に対して、これを表に出して、
「人の命とは」と言う根本的な問いのもとに、論議していく必要
が今ほど求められている時はありません。

 以上のような問題意識の下、第5回連続学習会を行いたいと
思いますので、関心のある方は、大いに参加をお願いします。

―――――――――――――――――――――――――――――

日時:2006/08/20(日) pm1:30〜4:30

場所:富山市営有沢住宅集会場ホール(八尾・速星方面バス停
神明下車3分 集会場前駐車可)資料代:実費(300〜400円程度)


*このファイルは文部科学省科学研究費補助金を受けてなされている研究(基盤(B)・課題番号16330111 2004.4〜2008.3)のための資料の一部でもあります。
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/p1/2004t.htm

UP:20060625 REV:0814
安楽死・尊厳死 2006  ◇安楽死・尊厳死
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