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4月集会「尊厳死っ、てなに?」



広告(pdfファイル)
プレス用資料(↓)

報道(↓)
◆2005/04/17 東京 尊厳死を考える集会
 NHKニュース
◆2005/05/30 「尊厳死っ、てなに? 尊厳死をめぐる論点が確認される」
 『医学界新聞』2635
◆2005/08/** 立岩 真也「良い死・3」,『Webちくま』[了:20050724]

*この集会に合わせ、『生存の争い――のために・1』刊行(当日配付資料も付いています)。読んでください。

*以下、川口さんより

下記の集会を予定してます。
転送、宣伝等のご協力をおねがいします。
(重複受信の方にはお詫びします)               

 特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
         立命館大学大学院先端総合学術研究科院生
                           川口 有美子 

ここからがお知らせです。↓
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4月集会 「尊厳死っ、てなに?」
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 一度つけた人工呼吸器は外せるの?          

 「 死ぬ権利 」は、患者の権利だ!?  

末期癌や治る見込みのない患者の延命治療の在り方を
検討する「尊厳死とホスピスを推進する与党議員懇話会」
(丹羽雄哉会長)が尊厳死の法案化も視野に入れた勉強
会を開始しました。(平成17年2月) 尊厳死や治療停止に
ついて疑問や意見をもった人たちが集まって、とりあえず
思っていることを言ってみるために集会を企画しています。
尊厳死問題を肯定的または否定的に思っている方も意見
交換の場としてお誘いあわせのうえ、ご参加ください。

*日 時: 平成17年 4月16日(土)18:00〜21:00 
                    (入場は開場15分前から )
*参加費: 1千円

*場 所: 大手町サンケイプラザ 会場 311号室−312号室
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-7-2電話 03-3273-2257〜9
地下鉄・・丸の内線 半蔵門線 千代田線 東西線 都営三田線 
      大手町駅下車 A4・E1出口直結
JR・・・・・・東京駅 丸の内北口より徒歩7分
お車でお越しの方:首都高速都心環状線神田橋インター降車
駐車場(有料)7:00〜22:30 30分300円、満車の際は JAビル・
大手町ビル駐車場をご利用下さい

*主 催: 「尊厳死っ、てなに?」実行委員会 
      (企画:NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会)
*共 催: 日本学術振興会―人文
       社会科学振興のためのプロジェクト研究事業
       プロジェクト研究 《医療システムと倫理》
*協 賛: フジ・レスピロニクス株式会社/DPI日本会議

■ 第一部  基調講演  「 問題点を少々整理するために 」

中島 孝さん 独立行政法人国立病院機構新潟病院副院長

伊藤道哉さん 東北大学大学院医学系研究科医療管理学分野講師

「重症ALS患者の呼吸器外し、厚労省研究班が是非検討」
と報道されましたが・・・。
厚生労働省厚生科学研究費難治性疾患克服治療研究事業
「特定疾患の生活の質(QOL)の向上に資するケアのあり方に
関する研究」班(H14 年〜H16 年)の研究者のおふたりから、こ
れまでのQOL研究で学んだこと、海外の尊厳死事情などのお
話をしていただきます。

■ 第二部 全体ディスカッション「 尊厳死っ、てなに? 」 

立岩真也さん 立命館大学大学院先端総合学術研究科教授

本日の集会をまとめていただきます。昨年の暮れに刊行された
「ALS−不動の身体と息する機械」の著者。安楽死や尊厳死
をめぐる自己決定論や所有・分配・制度についての著作多数。

・ コメンテーター
清水哲郎さん 東北大学大学院文学研究科教授
         プロジェクト研究《医療システムと倫理》リーダー

「特定疾患の生活の質(QOL)の向上に資するケアのあり方に
関する研究」分担研究者、『医療現場に臨む哲学』『医療現場
に臨む哲学U ことばに与る私たち』など、医療現場における
倫理問題に哲学的アプローチで迫る著書を多数。


--------------------------------------
この人たちの声から本集会は始まりました
:橋本操(さくら会)/高井綾子(ALS歴22年)/
佐々木公一(わの会)/北谷好美(りんごの木)/若林孝行
/大濱真(NPO法人日本せきずい基金)/山本創(難病を
もつ人の地域自立生活を確立する会)/
立岩真也/海野幸太郎/川口有美子

詳細はarsvi.com   http://www.arsvi.com/index.htm
お問い合わせ aji-sun@nifty.com
特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンターさくら会、川口まで
--------------------------------------


 

◇さくら会 http://www31.ocn.ne.jp/~sakurakai/
◇川口 有美子 http://homepage2.nifty.com/ajikun/
cf.
橋本操高井綾子佐々木公一清水哲郎川口有美子立岩真也


 
 

川口有美子 2005年3月31日 16:37
[maee:2858] 「尊厳死っ、てなに?」中間報告

佐々木様にリクエストいただきました。
4月16日「 尊厳死っ、てなに?」集会の中間報告です。

1、プレス用に講師および共催のご紹介を作っていますので
こちらにもご紹介します。

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★。、:*:。.:*:・'゜う
中島孝先生   神経内科医 
http://www.niigata-nh.go.jp/html/doctor/nakajima.htm
独立行政法人国立病院機構 新潟病院 副院長
厚生労働省厚生科学研究費難治性疾患克服治療研究事業
「特定疾患の生活の質(QOL)の向上に資するケアのあり方
に関する研究」班(H14 年〜H16 年)主任研究者(QOL班班長)

読売新聞1月28日付に、国の研究班で呼吸器を外す研究が
行われていると報道され、中島先生のお名前があがりました。
http://www.arsvi.com/d/et-2005.htm#01283

それは誤解です、ということで今回のご講演となりました。
JALSAに今年の1月に投稿された記事は以下のサイトで読めます。
「難病の生活の質(QOL)研究で学んだこと――課題と今後の展望 」
http://www.arsvi.com/2000/0501nt.htm


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伊藤道哉先生  日本ALS協会理事、宮城県支部 ご遺族です。
東北大学大学院医学系研究科(医療管理学分野)講師。
1956年生れ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了
わが国の「医療倫理学」分野で、目覚ましい活躍が期待される研究者。
痰の吸引問題では、厚労省の検討会で委員をなさっておられました。
「在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会」
「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会」など。

御著書
『生命と医療の倫理学』、2002年. 丸善株式会社
http://www.papy.co.jp/act/books/1-21484/
一部ダウンロード可だそうです
『「人工呼吸器をつけますか?」――ALS・告知・選択』2004年、メディカ出版
http://www.arsvi.com/b2000/0403uh.htm
など。


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立岩真也先生 立命館大学大学院先端総合学術研究科大学教授 社会学者
佐渡島出身、1960年生。東京大学大学院社会学研究科社会学博士課程修了
病気・障害系の研究のほかにも、分配、所有、労働、など
その他いろいろ広くご研究なされています。
(会場では先生みずから編集製本された手作り文集(サイン入り)を販売予定)

御著書
『私的所有論』1997年、勁草書房
『弱くある自由へ』2000年、青土社
『自由の平等』2004年、岩波書店
『ALS:不動の身体と息する機械』2004年 医学書院

HP『arsvi.com 』非常に有用なHPという評判
http://www.arsvi.com/

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★。、:*:。.:*:・'゜
清水哲郎先生 東北大学大学院文学部研究科教授 哲学者
1947年生。古代中世哲学・医療哲学。
「北海道大学文学部助教授などを経て現職。
西洋中世における言語と論理に関わる哲学的思索を
古代ギリシア哲学およびキリスト教思想の流れの中で捉えつつ、
その意義を探っている。また、医療現場に臨む哲学に
基礎をおく臨床倫理学の構築を試みている」
プロフィールそのままにご紹介いたしました。

今回の集会を共催してくださいます。
日本学術振興会―人文・社会科学振興のためのプロジェクト研究事業
「医療システムと倫理」のプロジェクトリーダーです。
お財布をポンと投げてくださったのです・・(感涙)

http://www.sal.tohoku.ac.jp/philosophy/MedSys/index-j.html
御著書
『オッカムの言語哲学』勁草書房
『医療現場に臨む哲学』、
『医療現場に臨む哲学II ことばに与る私たち』勁草書房など。

HP『哲学する諸現場』 
http://www.sal.tohoku.ac.jp/~shimizu/index-j.html
『医療現場の諸問題』 私には、ちと過激ですが
安楽死や尊厳死、治療停止などについて、学べます。
http://www.sal.tohoku.ac.jp/~shimizu/phil-med2.html


2、問い合わせ

日本各地から問い合わせあります。
ALS患者さんなどの呼吸器のユーザー、
バクバクの会、患者の権利を考える会、
がん患者の会、臓器移植に反対する会
などの患者会関係者。
尊厳死を個人的にご研究されている方。
生命倫理学研究者、医師、医学・看護研究者、
企業の研究所、社会学者、報道関係者。
障害者運動関係、行政関係者
清水哲郎さんの研究プロジェクトのメンバーからも。

資料および文集を作成するつもりでおりますが、
もう少し、投稿してくださり、数集まるとよろしいです。
また、会場で直接発言の機会もなかなか難しいとも
思われますので、前もってご質問をください。
当日参加が無理でもご意見をお寄せください。
特に患者さんは、文集にご意見を載せたいので
よろしくおねがいします。(来週末まで)
当日、乱闘が始まった場合の羽交い絞め要員を
募集してます。(うそ)


 ∧∧  
ミ・.・ミ  
(  )ζ           川口 有美子
--------------------------------------
NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
〒164-0011 東京都中野区中央3−39−3

 
 

□終了後

◆2005/04/17 東京 尊厳死を考える集会
 NHKニュース
 http://www3.nhk.or.jp/news/2005/04/17/k20050417000009.html

東京 尊厳死を考える集会 

この集会は、尊厳死の法制化を目指す検討が、超党派の国会議員によって始まるなど、尊厳死をめぐる論議が高まる中、重い難病の患者らが呼びかけて開いたもので、およそ250人が参加しました。まず、国立病院機構新潟病院の中島孝副院長が「人の尊厳は病気になっても損なわれるものではなく、死んだほうがいいと思わなくてもすむように、医療や福祉を充実させることが先決だ」と指摘しました。このあと、参加者の討論が行われ、尊厳死の法制化を目指す日本尊厳死協会の代表は「あくまでも本人の意思を尊重しようというもので、価値観を押しつけるものではない」と説明しました。これに対して、別の参加者は「法律ができることで患者に死を選ぶよう無言の圧力がかかってしまう」と述べ、法律をつくらないよう訴えました。集会を主催したグループは、「この問題は患者や家族の意見を幅広く聞きながら、時間をかけて議論する必要がある」と話しています。
04/17 06:07

 

◆4月16日「尊厳死っ、てなに?」 集会の報告
 川口有美子 『JALSA』

平成17年の早々、超党派議員による「尊厳死法案」の立法化の動きが東京・中日新聞
で報じられました。この法案は(1)患者が不治で末期状態となった場合、人工呼吸
器などで生命を維持するかどうかを患者自身が決める権利を持つ(2)患者らの意思
を受けて過度な延命措置を停止した医師は、法的な責任を問われない−などを明記す
るものです。
そこで、難病患者の在宅療養支援を続けてきたNPO法人さくら会では、突然降って沸
いて出たような尊厳死の法案化にはとりあえず反対し、終末期医療の充実を先に求め
ようと呼びかけて、今年2月に他団体や研究者らと共に「尊厳死ってなに?」実行委
員会を立ち上げました。
そして4月16日(土)18時〜21時、東京大手町のサンケイプラザ3階におい
て、「尊厳死っ、てなに?」という集会を行いました。来場者は257名。立ち見も出
るほどの盛況でした。
司会には日本テレビの報道キャスター、町亞聖さん。また、基調講演には中島孝さん
(独立行政法人国立病院機構新潟病院副院長)と、伊藤道哉さん(東北大学大学院医
学系研究科 医療管理学分野)、また第二部の司会に立岩真也さん(立命館大学大学
院先端総合学術研究科大学教授)、コメンテーターに清水哲郎さん(東北大学大学院
文学部研究科)らをお迎えしました。
まず、橋本操さんが「土曜日の夜をもっと楽しくすごしましょう」と挨拶をし、海野
幸太郎さんが集会の趣旨説明をしたあと、基調講演に入りました。
最初に伊藤道哉さんがパワーポイントで西行の歌という文学的な視座(写真)から
「尊厳死」に切り込み、そして、つい最近アメリカの政治問題にも発展した遷延性意
識障害者の治療停止事件、テリ・シャイボのことなどにも触れながら海外の安楽死/
尊厳死事情を説明されました。
また次に中島孝さんは主に厚労省のQOL班班長としてご研究から学ばれたことを総括
的に話されました。旅先のアメリカで見学したホロコースト博物館では、ナチス政権
化では重症患者や障害者が大量に慈悲殺されていたことや、資料として購入された本
の挿絵にあった天秤にかけられた人間の図(写真)などをご紹介されました。また、
慢性疾患の患者は「ナラティブの書き換え」といって、物事に対する見方や考え方を
自ら変えていくことによって病を病と意識せずに明るく生きていく方法を見つけるこ
とができるとお話してくださいました。
第二部は15分間の休憩中に回収した質問票からいくつかを選んで論点を整理しなが
ら、会場とのディスカッションの予定でした。まず、第1部を受けて清水哲郎さんは
患者が家族や社会とのつながりの中で生きている限り、自己決定も家族の事情などの
影響を受けざるを得ないところから、介護の社会化が先決であるとコメントされまし
た。また、会場からは「夫が植物状態、自分の生存中に看取りたいという末期癌の妻
の主張は通せないか」「本人の意思疎通が確実に証拠づけられる方法さえあれば、呼
吸器を外す権利を認めたほうがいいのではないか、呼吸器をつけられる人が増えるの
ではないか」「緩和ケアを勧められてから患者さんは気力を失ってしまい食事を摂ら
なくなってしまった」「父はALSですが、苦しまずに死ぬことは可能でしょうか」な
どの質問が寄せられ、講師が答えていきました。
そして、最後に立岩真也さんが、「尊厳死の合法化」と「社会的な終末期医療体制の
整備」の同時進行を勧めることができるかできないかが争点ではないか、と論点の整
理して次回を予告となり集会は終わりました。
たったの3時間では、討論するべきことをすべて積み残したまま終会となってしまい
ましたが、死や終末期医療の問題をタブーにせず話し合っていくことは、ALSの生き
方を社会にアピールすることにも繋がると思われますので、対話を継続させていきた
いと思いました。(「尊厳死っ、てなに?」実行委員会事務局)


 
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◆2005/05/30 「尊厳死っ、てなに? 尊厳死をめぐる論点が確認される」
 『医学界新聞』2635
 http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2005dir/n2635dir/n2635_02.htm#00

 「さる4月16日、大手町サンケイプラザ(東京都千代田区)において、尊厳死について議論する集会「尊厳死っ、てなに?」が、NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会の企画のもと行われた。政府与党は2月から「尊厳死とホスピスを推進する与党議員懇話会」において、末期がんなどで治る見込みのない病気の患者が自らの意思で過剰な延命治療を中止する「尊厳死」を認める法案を議員立法で提出する方針で検討している。今回の集会には、そうした尊厳死や治療停止をめぐる動向に強い関心を持つ識者が集い、議論を交わした。


リビングウィルにかかわる論点
 集会は2部構成で行われ、まず第1部で伊藤道哉氏(東北大)と中島孝氏(新潟病院副院長)が、基調講演を行った。
 伊藤氏はまず、昨年から今年にかけ、日本でも話題になったテリ・シャイボさんの事例を紹介。シャイボさんをめぐっては尊厳死を求める夫と、延命を求めるシャイボさんの両親の争いから、最終的には州議会や合衆国議会をも揺るがす論争にまで発展した。伊藤氏はこの事例から、シャイボさんが生前、リビングウィルを示していなかったこと、そうした場合に本人の意思を推定することは可能か否か、また誰が代理人となりうるのかといった論点を提示した。

QOL概念の見直し
 一方、中島氏は厚生科学研究「特定疾患の生活の質(QOL)の向上に資するケアのあり方に関する研究」班に参加した経験から、QOLと尊厳死にかかわる論点を取り上げた。
 尊厳死が議論される背景には、過剰な延命治療が患者のQOLを損なうという見方がある。しかし中島氏は、原因不明、根治療法なし、慢性的で介護に著しく人手を要する「難病」においては、QOLとは何かについてもう一度問い直す必要があると指摘した。

 中島氏によれば、SF-36やEuroQoLなど、従来のQOL評価尺度でALS患者の「生」を評価した場合、どのようなケアを施しても点数は上昇しなかったという。「従来の健康関連の指標を中心としたQOL尺度は『○○ができるのが人間、できないのは人間ではない』ということになってしまう。これをALSなどの難病患者にあてはめるのは適切ではない」と述べた。

 中島氏はこのうえで、新しい評価尺度であるSEIQoL-DW(Schedule for the Evaluation of Individual Quality of Life-Direct Weighting)を提唱。SEIQoL-DWは、半構造化面接法を使い、患者自身が自分のQOLを決定付ける分野を自分自身で決めることができるというもの。また、病気の経過に伴って、患者自らその分野を変更できることが特徴であり、患者のナラティブ(物語)の変化に対応しうるQOL評価法であるという。

 中島氏は「QOLという思想には、負の側面があった。それは『人の生はこうあるべき』という、内なる優生思想を植え付けたことだ。緩和ケアに携わる医療者は、これにとらわれないようにしたい」と述べ、講演をまとめた。

「なぜ今尊厳死なのか?」
 ディスカッションではまず清水哲郎氏(東北大)が、「死ぬ権利が存在するとしても、社会的な存在である人間にとってのそれは、1人で決めるものではない」「痛み・苦しみを緩和することと延命治療は、臨床的には多くの場合矛盾しない」「尊厳死が法的に認められた場合には、患者や家族に心理的圧迫が加わることは避けられない」など、尊厳死にまつわる論点について、それぞれ自身の見解を付け加えた。
 会場には井形昭弘氏(日本尊厳死協会理事長)も来場しており、その時点までの議論について反論した。井形氏はまず、薬物を投与するなど積極的関与によって死に至らしめる安楽死と異なり、尊厳死は、あくまで無理な延命処置を行わず自然死を尊重するものであると述べた、また、それは1人ひとり、本人の価値観に基づく決定として行われるべきものであるとして、法案の中でインフォームド・コンセントが重視されていることを紹介した。

 一方、中島氏が述べたQOLの負の側面については、「病気によって人間の尊厳が損なわれるとは限らないことはたしかだが、尊厳の有無については本人の判断に委ねるべきではないか」とし、それについての本人の意思を生前に明確にする「リビングウィル」の重要性を強調。また、そうした「生前のリビングウィル」に実効力を持たせるのが今回の法案の趣旨であり、社会保障費の削減といった医療経済の問題を背景としたものではないと述べた。

 これに対し、清水照美氏(作家・看護教育者)は、安楽死反対運動にたずさわってきた立場から発言。日本尊厳死協会の前身である日本安楽死協会の過去の発言を引き、今回の法案が安楽死についての議論との連続性を持っていることを指摘。尊厳死もかつての安楽死議論と同様、経済的動機が大きな後押しとなっていると述べた。また、今回の法案の対象となる遷延性意識障害患者についても、過去の回復例を紹介し、そうした患者への医療提供は「無駄な延命」とはいえないと述べた。

 また清水氏は、難病患者などの場合、家族への負担といった経済的な要因が、当人や家族にとって、「リビングウィルを明らかにせよ」「なぜ尊厳死を選ばないのか」という圧力となりうることを紹介。手続きとしてのインフォームド・コンセントをとったとしても、現実的にはそうした社会的圧力のもとでの決定が「自己決定」と呼ばれている現状を指摘した。

尊厳死をめぐる論点が確認される
 1時間半におよんだディスカッションの後、司会の立岩真也氏(立命館大)は、論点を以下の3点に整理した。

1)安楽死と尊厳死を区別する意味はあるのか
 現在、安楽死と尊厳死は関係はないという人と、関係があるという人がいる。しかし、少なくとも過去にはその2つを連続的にとらえている人がいた。このことをどう認識するか。

2)「末期の苦痛に満ちた状態」「植物状態」について
 植物状態になれば、自分の意思を明らかにすることはできない。だから生前にその意思を明らかにしておいたほうがよい、という考え方は成立する。しかし、植物状態から回復する人、あるいは「末期の苦痛に満ちた状態」になってから、考え方を変える人がいる。これをどう考えるか。

3)尊厳死と医療経済について
 今現在、尊厳死を推進する人で、医療経済状況をその推進理由に挙げる人はいない。しかし、個人レベルで「お金がないから死んだほうがいい」と考える人がいても不思議ではない。この時、そうした決定を「本人が確固たる意思で選んだ道であり、そこに医療資源、国家財政の問題は関係しない」と言えるのか。


 最後に立岩氏は「個人的にまだまだ言い足りないこと、言いたいことはある。最後に確認しておきたいことは、尊厳死とは『いかに死ぬか』という問題であるということだ。人命救助の場面など、緊急性が高い場合、既成の法や倫理の枠組みを超えることが許容される場合があるが、『いかに死ぬか』という問題は、人の命を救う時ほど緊急性が必要だとは思えない。時間をかけて、今日出た論点をさらに深めていきたい」と述べ、集会をまとめた。」(全文)


◇立岩 真也 2005/06/25 「死/生の本・6」(医療と社会ブックガイド・50)
 『看護教育』46-06:(医学書院)[了:20050427]
◇立岩 真也 2005/08/** 「良い死・3」
 『Webちくま』[了:20050724]


UP:20050222 REV:25 0310(ファイル差替),31 0415,21 0501 0601,03 0724,25
安楽死・尊厳死 2005  ◇安楽死・尊厳死  ◇ALS(筋萎縮性側索硬化症)
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