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相模原事件



◆橋本 みさお 2005/02/03 「かけがえの無い命との思い――尊厳死の議論に思う」
◆2005/02/14 相模原事件判決
・「ALS判決:懲役3年、執行猶予5年 嘱託殺人罪を適用」
 毎日新聞 2005年2月14日 14時01分
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050214k0000e040087000c.html
・「神奈川・相模原の難病長男殺害:母、嘱託殺人で猶予判決――横浜地裁」
 内橋寿明 『毎日新聞』2005年2月15日 東京朝刊
◆2005/02/21 「嘱託殺人事件 人命を守ってこそ福祉」(社説)
 『毎日新聞』2005/02/21
◆2004/02/23 「[解説]難病と心のケア」
 『読売新聞』
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news_i/20050223so11.htm
◆金沢 光明 2005/03/31 「ALS患者 生を選べる環境づくりを」
 『読売新聞』2005/03/31「論点」欄
川口 有美子 2005/04/23 「あいだにないもの」
 障害学研究会関東部会 第45回研究会


 
 
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◆2005/02/14 相模原事件判決

・2005/02/14 「ALS判決:懲役3年、執行猶予5年 嘱託殺人罪を適用」
 毎日新聞 2005年2月14日 14時01分
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050214k0000e040087000c.html

  「全身の筋肉が動かなくなる筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の長男(当時40歳)の将来を悲観し、人工呼吸器を停止させて殺害したとして、殺人罪に問われた神奈川県相模原市宮下本町、無職、菅野初子被告(60)に対する判決公判が14日、横浜地裁であった。小倉正三裁判長は「長男の日ごろの懇願を受け入れて呼吸器を停止させた」として、被告側の主張通り法定刑の軽い嘱託殺人罪を適用。懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。介護者がALS患者の呼吸器を止める行為に対し司法判断が示されたのは初めて。
  判決などによると、長男は01年3月にALSと診断され、菅野被告が自宅で介護。長男は昨年4月ごろから、ひらがなの文字盤で「呼吸器を外して」「死にたい」などと懇願するようになった。菅野被告は断り続けたが「楽にしてやりたい」と昨年8月27日午前0時ごろ、呼吸器のスイッチを切って窒息死させ、手首を切って自殺を図った。
  公判では、長男の同意を否定した検察側に対し被告側は「直前にも同意があった」と嘱託殺人罪を主張。小倉裁判長は▽長男は被告や医師らにも死にたいと繰り返した▽被告は悩み、自殺を決意して殺害に踏み切った−−などを総合的に判断、嘱託殺人罪の成立を認めた。「息子を自ら死に至らしめる苦悩は大きい」などと情状に言及した。
  横浜地検の北村道夫・次席検事は「主張がいれられず残念。検討して対応を決めたい」とコメントした。」

・神奈川・相模原の難病長男殺害:母、嘱託殺人で猶予判決――横浜地裁」
 内橋寿明 『毎日新聞』2005年2月15日 東京朝刊

  「◇難病ALS長男の呼吸器止める
  全身の筋肉が動かなくなる筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の長男(当時40歳)の将来を悲観し、人工呼吸器を停止させて殺害したとして、殺人罪に問われた神奈川県相模原市宮下本町、無職、菅野初子被告(60)に対する判決公判が14日、横浜地裁であった。小倉正三裁判長は「長男の日ごろの懇願を受け入れて呼吸器を停止させた」として、被告側の主張通り法定刑の軽い嘱託殺人罪を適用。懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。介護者がALS患者の呼吸器を止める行為に対し司法判断が示されたのは初めて。
  判決などによると、長男は01年3月にALSと診断され、菅野被告が自宅で介護。長男は昨年4月ごろから、ひらがなの文字盤で「呼吸器を外して」などと懇願するようになった。菅野被告は断り続けたが「楽にしてやりたい」と昨年8月27日午前0時ごろ、呼吸器のスイッチを切って窒息死させ、自殺を図った。
  公判では、長男の同意を否定した検察側に対し被告側は「直前にも同意があった」と嘱託殺人罪を主張。小倉裁判長は▽長男は被告や医師らにも死にたいと繰り返した▽被告は悩み、自殺を決意して殺害に踏み切った−−などを総合的に判断、嘱託殺人罪の成立を認めた。「息子を自ら死に至らしめる苦悩は大きい」と情状に言及した。横浜地検の北村道夫・次席検事は「検討して対応を決めたい」とコメントした。
  ……………………………………………………………………………………………
  ■解説
  ◇患者の同意幅広く解釈
  横浜地裁は病気の進行に伴い意思表示が難しくなる「患者の同意」を幅広く解釈した。長男が母親や医師らに繰り返し「死にたい」と懇願し、当初は母親も励まし続けた点を重視。特定時点での明白な同意ではなく、発病から殺害に至る経過を検証し「長男の意思」を認定した。
  介護を苦にした殺人事件に嘱託殺人罪が適用された例としては99年10月の横浜地裁判決がある。介護に疲れた長男(当時48歳)が骨粗鬆(そしょう)症の母(当時88歳)を絞殺した事件で、同地裁は直前に再度、殺害の意思を確認したことから「嘱託」を認めた。
  今回の判決は意思表示すら徐々に困難になるALS患者と家族の固有の事情もくんだと言える。ただ、殺人罪か嘱託殺人罪かが争われたこともあり、耐え難い苦痛や患者の明らかな意思表示など安楽死の要件との関係には言及しなかった。
  神戸大国際文化学部の山崎康仕教授(法哲学)は「この点に全く触れなかったのは残念」と指摘。ALSの特殊性を考慮した規範づくりを提言する。一方、患者や家族、医療関係者の間では呼吸器停止という「殺人」に否定的意見は根強い。患者や家族への支援も含め終末医療のあり方が問われている。【内橋寿明】」(全文引用)


 
 
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◆2005/02/21 「嘱託殺人事件 人命を守ってこそ福祉」(社説)
 『毎日新聞』2005/02/21

  「難病のALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)を患った長男の人工呼吸器を止めた神奈川県相模原市の母親に、横浜地裁が嘱託殺人罪を適用し、懲役3年、執行猶予5年という寛大な判決を言い渡した。
  母親は約3年半、長男の身の回りの世話はもちろん、30分から1時間おきにたんの吸引が必要という過酷な介護を続けた。長男自身も死を望み、呼吸器を止める際も文字盤を目で追って「おふくろ、ごめん。ありがとう」と伝えたという。苦渋の選択を迫られた母親を刑務所に送ることが、妥当とは思いがたい。だが、温情判決で良かった、では片付けられない。
  ALS患者は現在全国に約6800人おり、8割以上が自宅で療養しているという。自宅にいる一番の理由は、長期入院を受け入れる病院や施設が少ないからだ。また、病院側が受け入れたがらないのは、介護に手間ひまがかかるせいだろう。医療費の負担は難病として減免され、派遣ヘルパーの支援なども受けられるとは言っても、当然家族の負担は大きい。
  医療行為として医師や看護師にしか認められないはずの吸引が、ALS患者の家族らには例外的に認められているのも奇妙な話だ。在宅療養を維持させるための便法と言わざるを得ず、ある意味では医師らの責任放棄だ。医療現場で担うべき看護・介護を家族らにどうしても肩代わりさせねばならないというなら、十二分な支援が不可欠なのに、現実はお寒い状況でもある。母親は孤立感を深め、将来を絶望して心中を図ったのだろう。公的支援が充実し、母親の負担が軽減されれば、長男も生きる希望を抱くことができたのではないか。母子を追い詰めた社会の側も自ら考える時ではないだろうか。
  社会福祉とは、共に今を生きる者が暗闇に残された仲間の最後の一人にまで光を当てることだ、と思う。最優先すべきは、あらゆる意味で人の命を守ることだ。ALSだけでなく、他の病気や障害でせっぱ詰まった状況に置かれている人も少なくない。支援の手は、緊急性の高い人から順に差し伸べられるべきは言うまでもない。
  今、介護保険の見直しが進められているが、同保険を利用すれば自己負担が少ないからと、上がりもしない2階への階段に手すりをつけたり、必要性に乏しいバリアフリー化工事をした人もいる。介護者が病死した後、被介護者が餓死する事件が、この豊かな飽食の社会で相次いでもいる。
  福祉のあり方がどこか間違っているように思えてならない。もっと個別ケースごとにニーズに応じた施策が求められているのではないか。また、支援すべき対象の全体を俯瞰(ふかん)し、優先順位を公正に決定する仕組みも必要だろう。いまだに名誉職的な色彩が強い民生委員の見直しも含め、現行の福祉全体を総点検し、確実に人の命を守る社会を構築したいものだ。」(全文引用)


 
 
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◆2004/02/23 「[解説]難病と心のケア」
 『読売新聞』
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news_i/20050223so11.htm

 「難病の長男(当時40歳)の人工呼吸器を母親が停止させ死亡させた事件は、難病患者と家族への心理面の支援体制の不備を浮き彫りにした。(医療情報部 中島 久美子)

◆ALS嘱託殺人で浮き彫りの支援不備患者・家族を孤立させない体制不可欠
 長男が発病した「筋委縮性側索硬化症(ALS)」は、全身の筋肉を動かす神経が侵される難病で、延命のため人工呼吸器が必要になる。母親について、横浜地裁は「長男の『死にたい。呼吸器を外してほしい』との訴えに応じた」と認定、嘱託殺人罪で執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
 37歳でALSと診断された長男は「まだ若いし、やり残したことがある」と自ら望んで人工呼吸器を装着したという。だが、症状は急速に進み、翌年には「人工呼吸器をつけたのは失敗だった」と言いだした。当初は母親も生き抜くよう励ましていたが、パソコンを使った意思疎通も難しくなると、長男は頻繁に「呼吸器を外してほしい」と訴えるようになった。
 ALSは治療法がなく、歩行、食事、会話などができなくなり、患者は喪失感から強い不安に襲われ、家族の衝撃も大きい。新潟青陵大短期大学部の後藤清恵教授は「症状悪化に伴うショックを乗り越えるため、発病時から患者と家族が本音を話しあえるよう医療側の継続的な支援が欠かせない」と指摘する。
 だが、今回の事件では、人工呼吸器を着けた後の病状の進行や生活について、母親は「医師から説明を受けていない」といい、長男の主治医も次々に代わった。母子が直面した苦悩に、医療側から十分な支援の手が差しのべられたとは言いがたい。
 同様の事情は、この事例にとどまらない。ALS治療に関する2001年度の調査では、75%の医療機関が「病名を告知する際に臨床心理士ら専門家が同席することが望ましい」と答えたが、実際に同席している施設は12%だった。こうした専門職の活動は保険の対象にならず、病院の収入に結びつかないことも壁になっている。患者同士が悩みを語ったり、“先輩患者”がアドバイスしたりする方法や、患者会の相談活動もあるが、一部の地域に限られる。
 これに対し、米国では難病患者や家族に対する心理的支援も治療の一環に位置付けられている。米カリフォルニア大のエドワード・オッペンハイマー准教授によると、心のケアの訓練を積んだ医師、看護師、臨床心理士らがチームとなり、患者や家族を励まし、呼吸器を装着した他の患者の情報提供なども十分に行う。それでも治療停止を望む患者には、医療チームが患者の意思を客観的に評価し、人工呼吸器を外すことが法的に容認されている。同准教授は「仮に患者の意思を尊重して呼吸器を外す場合でも、責任は医療チームが負うべきで、家族に負わせてはならない」と話す。
 日本でも、人工呼吸器を外すことの是非を厚生労働省研究班が検討し始めた。だが、その前に、患者と家族を支える体制づくりが不可欠だ。

 ◆長男の闘病経過
 2001年3月 ALSと診断、告知。人工呼吸器装着
      8月 在宅で療養開始、主に母親が介護
 2002年秋  口から食べられなくなる。両手足も動かなくなる
 2004年4月 パソコン操作ができなくなる
      8月 意思疎通が極めて困難になる。母親が人工呼吸器を停止させ、自らも自殺を図る」


UP:20050221(ファイル構成変更) REV:0224 0404,13
安楽死・尊厳死 2005  ◇安楽死・尊厳死  ◇ALS 

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