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安楽死・尊厳死 2003


安楽死・尊厳死 -1970's 1980's 1990's 2000- 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

   *以下とりあえず。未整理。共同作業者を求めています。
   *このHPの作成者が書いたものに『弱くある自由へ』(2000,青土社)。

◆田尾 雅夫・西村 周三・藤田 綾子 編 20030410 『超高齢社会と向き合う』,名古屋大学出版会,236p. ASIN: 4815804621 2940 [amazon][boople] ※, b fm/a01
◇立岩 真也 2003/06/01 「ただいきるだけではいけないはよくない(上)」
 『中日新聞』2003-06-01:06/『東京新聞』2003-07-15
◇立岩 真也 2003/06/08 「ただいきるだけではいけないはよくない(下)」
 『中日新聞』2003-06-08:06/『東京新聞』2003-07-22
◆山本 芳久 2003 「「二重結果の原理」の実践哲学的有効性――「安楽死」問題に対する適用可能性」、『死生学研究』2003春:295-316(東京大学大学院人文社会系研究科)
 「[…]「二重結果の原理」の検討から、清水を含む各論者の議論を批判し、二重結果の原理の適用が可能であるとし、そこから「「非意図的積極的緩和死」とでも呼ぶ」死が肯定されうるとした論文に山本[2003]があるが、未検討。他日を期したい。」(立岩[20041101]注7*)  *20041101 「より苦痛な生/苦痛な生/安楽な死」,『現代思想』32-14(2004-11):085-097
◆後明 郁男・平塚 良子・佐藤 健太郎・神野 進 編 20030801 『がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール――ターミナルケアにたずさわる人たちへ 増訂版』,南山堂,337p. ISBN:4-525-42542-3 3885 [boople][bk1] ※ * d
向井 承子 20030825 『患者追放――行き場を失う老人たち』
 筑摩書房,250p. ISBN:4-480-86349-4 1500 [boople][bk1]
 cf.立岩 2003/10/25 「向井承子の本」(医療と社会ブックガイド・31),『看護教育』44-
 cf.立岩 2003/12/19 「二〇〇三年の収穫」『週刊読書人』2517
◆2003/09/06 「<安楽死>倫理と法律の狭間で困惑」
 『毎日新聞』2003/09/06
『現代思想』2003年11月号 特集:争点としての生命 230p. ISBN:4-7917-1112-2 1300 [boople][bk1] ※ *
◆大谷 いづみ 20031101 「「いのちの教育」に隠されてしまうこと――「尊厳死」言説をめぐって」
 『現代思想』31-13(2003-11):180-197
◆大谷 いづみ 20031201 「「生と死の自己決定」を教える?」
 『現代思想』(青土社)2003-12:206(研究手帖)
◆日本尊厳死協会 2003/12/01 「尊厳死に関する法律案要綱」


 
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◆田尾 雅夫・西村 周三・ 藤田 綾子 編 20030410 『超高齢社会と向き合う』,名古屋大学出版会,236p. ASIN: 4815804621 2940 [amazon][boople] ※, b fm/a01

III 政策・制度・組織
  2 保険・年金・医療・介護制度 西村 周三 168-188
 「「どちらかと言えば」どちらを望むのかの意向を、必ずしも本人から聞き出しにくいという事情がある。なぜなら、家族に対する遠慮や配慮によって、本音が語られにくいからである。極端に言えば、日本人にとっては、老人の身体や心が、本人だけのものではなく、家族のものではないかとはさえ思わざるを得ない状況がある。そういった思いやりの精神は、確かに日本のよく伝統ではあるが、同時に問題の解決を難しくしている。
 一例をあげれば、一定の介護を要する期間を終え、いよいよ終末に近い状態を迎えたとき、いわゆる「死に場所」としてどこを選ぶか、という問題である。どちらかと言うと、本人は、自宅でのあまり過度な医療行為が行われ<0187<ない状況を選びがちであるが、家族の方は、少しでも長い延命を願って、病院への入院を望むことが多い。もちろん、この背後には、純粋な延命の期待と家族での介護の負担の忌避とが相混ざっている。しかもこの際、本人も、家族への思いやりから、本音を語ることをしない。結果的には、より医療機器などが整備した(ママ)施設が選ばれることになるのである。
 厄介なのは、国民の中に、医師が「終末の時期」をある程度的確に予測できるという期待と誤解がある点が、より問題を複雑にする。その結果、医療費も介護費用も、やや過大と思われる程度にまで費消されることが多いのである。」(西村[2003:187-188])

終章 変化に対する適応力 西村 周三 223-231

 「北欧が、かつて超高齢社会を迎えるに際して経験した次のような例が参考になる。いわゆる後期高齢者を大量に抱えることを最初に経験したのは北欧諸国であるが、この時期に、北欧は、いわゆる「寝たきり老人」を最小限にすることに成功した。それは医学の発展の成果を受け入れることで成功したのではなく、それまで医学分野ではいわばマイナーな技術であった「リハビリテーション」に政策の力点をおくことで成功した。80年代頃から、スウェーデンは、後期高齢者を大規模病院に「収容」することで、社会保障を充実することから、在宅ケアを重視し、生活の場でのリハビリに力点をおくことで、意外にも寝たきりの高齢者を減少させることに成功したのである。
 このような試みは、いまでは世界の主要先進諸国では当たり前のことになっているが、政策が打ち出された当初は、多くの偏見と不満があったことが想像できる。いまでは、多くの研究者は、この変化を「健康変換(health transition)と呼び、高く評価しているが、この転換は、研究室や病院での<0230<医学の技術進歩から生まれたのではなく、まさに「変化に対する、社会制度の柔軟な適応力」から生まれたと言ってよい。」(西村[2003:230-231]


 
 
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◆2003/09/06 「<安楽死>倫理と法律の狭間で困惑」
 『毎日新聞』2003/09/06

 ベルギーが法律で安楽死を容認してから今月で1年。1年間の安楽死者数は約200人に上る見通しだが、医師の中には道義的な責任追及などを恐れ、安楽死の実施を政府に報告しない人も多いという。一方で、「世界医師会」(日本など80カ国の医師会で構成)はベルギーや、やはり安楽死法のあるオランダの医師に「法律に従わず、医の倫理に従って安楽死を拒否するべきだ」と求める決議を採択した。安楽死を巡る現場の賛否を探った。【ブリュッセル・福原直樹】

 ●医の倫理と法律

 世界医師会(本部・フランス)が決議を行ったのは5月下旬。「医の倫理は、法律に優先する」として▽安楽死は医の根本倫理に反している▽ベルギー、オランダ両国の医師会は、例え安楽死が合法化されていても、それを拒否するべきだ▽倫理に反する法律に対して、医師は法改正を行うよう努力すべきだ――などと指摘した。
 世界医師会のユマン事務局長は「どのような形でも、医師は患者の命を絶つ行為に加担すべきではない。この考えは世界の趨勢でもあり、両国の法律は医の倫理に反している」と安楽死を強く批判する。オランダ、ベルギーの医師会も、世界医師会に加盟しているが、同事務局長によると、世界医師会の決定に従わない場合、除名も可能という。

 ●困惑

 「個人的には、医師は患者の延命を行うべき存在で、その逆ではないと信じている」
 世界医師会の槍玉にあがったベルギー医師会のジョセ副会長は、困惑した顔でこう語る。「だが民主主義のもとで作られた法律に、医師は従う義務もある。我々は倫理と法律の狭間で悩んでいる」
 ベルギーは昨年9月23日に安楽死法を施行した。安楽死を担当した医師は政府の委員会に報告する義務があり、法律の規定に従わずに安楽死を実行した医師は、検察当局に告発される。ベルギー政府によるとこれまで170例が報告され、9月一杯で200例に上る見込みという。だが「告発や道義的な責任追及を恐れ報告しない医師も多く、実数は年500人前後にのぼるのではないか」(政府関係者)との見方もある。
 ジョセ副会長は「長期入院患者を減らすために安易に安楽死を実施する医療施設がでてくる可能性もある。我々は、安楽死法の存在を決して喜ばしく思っていない」と本音も見せた。

 ●賛否両論

 「もし、人生が苦痛でしかなくなった場合、誰にでも、自分の一生を終える選択をする権利はある」。ベルギー政府の安楽死委員会委員で、弁護士のエルマン氏はこう強調した。同委員は世界医師会の決議もこう強く批判する。
 「世界医師会は、患者と医師の関係を取り違えている。昔は、医師が全てを決定する主人だったが、今は患者が主人だ。医師の倫理ではなく、患者の倫理に従って生死の決定がなされるべきだ」
 無論、エルマン委員も無条件の安楽死は認めていない。発展途上国など、事前に十分な医療措置ができない場所では、安楽死法を実施すべきではないという。だが「世界医師会は、この世に倫理は一つの基準しかないと断言している。個人の倫理観は多様で、世界医師会はそれを認めるべきだ」と語る。
 一方、キリスト教の立場からフランスで安楽死に反対する「生きる権利のための同盟」(支援者3万人)を主催するミラベル医師(ガン専門医)はこう話す。
 「患者の意思を最大限に考慮したうえで、医師は自らの倫理や良心に従うべきだ。現在は、末期ガン患者の苦痛でも、薬剤で容易に和らげることができるし、安楽死など行う必要がない。最後まで患者の苦痛を取り除き、患者を支えていくのが医師の使命だ」

◆ことば=安楽死法

 オランダ、ベルギーの場合、(1)本人の強い希望(2)耐えがたい苦痛(3)複数の医師の同意――などの条件を満たせば、医師が患者を安楽死させても刑事罰には問われない。オランダでは90年代に安楽死が容認され、01年4月に法制化された。現在、年約3500人が安楽死する。ベルギーは、法制化に向けた議論が90年代後半に始まったが「オランダほど論議が尽くされていない」との批判がある。」


 
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■2003-2004 関西電力病院

◆2003/08/07 「<安楽死>関電病院の元医師送検 院長が会見」
 毎日新聞ニュース速報

 関西電力病院の男性医師=既に退職=が末期がん患者に塩化カリウムを投与し安楽死させたとして、書類送検された事件で、三河春樹院長(72)は7日、大阪市福島区の同病院関連施設で会見し、「事件直後に元医師から聞き取り、通常の医療行為と判断した。今も安楽死とは考えていない」と言い切った。一方、書類送検については、「当時、客観的な判断を仰ぐため、警察に届けるべきだった」と話した。
 三河院長によると、亡くなった男性はカリウム不足のため、塩化カリウムを投与する治療を受けていた。男性の死亡直後、院内で安楽死が行われたのではとのうわさがあり、院長が直接、医師に、塩化カリウムの投与の時期や量などを聞いた。その結果、過剰投与ではなく、死期を早めることにつながらなかったと判断した。今回、府警の調べで、薄めずに原液で投与したことが判明したが、病院側は聞いてなかったという。
 昨年暮れ、病院に投書があったが、「当時の判断と変わりない」として、新たな調査はしなかったという。しかし、警察に告発した理由については「第三者からの指摘なので、重要な問題ととらえた」と説明した。病院が「警察に届ける」と説明したところ、遺族は「表ざたにしてほしくない」と要望したという。【根本毅】

 がんの痛みを抑えるにはモルヒネなどの鎮痛薬が有効で、WHO(世界保健機関)も普及を進めている。日本でも89年に厚生省(当時)が全国の医師会員にマニュアルを配布した。がんの緩和ケアが専門の武田文和・埼玉医大客員教授は「適切に対応すれば取りきれない痛みはない」と説明、「問題は個々の医師が積極的に情報を集め、実践するかどうかだ。その問題は(今回の事件が起きた)95年も今も変わらない」と言う。国内のモルヒネの使用量は今でも英、米などの10分の1〜5分の1程度しかない。
 患者や家族からは「苦しむなら死なせてほしい」という声があがる。しかし武田さんは「苦痛除去が不十分だからそんな声が出る。医療者側の意識改善や技術普及は当然だが、患者さんや家族は医師の治療に言いなりにならず、納得できる医療の実現を求め続けて欲しい。それがより効果の高い医療の実現につながるはずだ」と話す。
 一方、患者の権利に詳しい内田博文・九州大教授(刑法)は今回の事件について「治療を尽くし、痛みを和らげられず、安楽死が最後の手段だったのかがポイントだ。もし、家族が求めたのなら、医師との共犯関係が生じて殺人教唆になる可能性がある」と指摘する。

   ◇   ◇

 日本学術会議の「死と医療特別委員会」は94年の報告の中で、患者の求めがある以上、延命医療を中止することは何ら医師の倫理にもとるものはない、としている。しかし、毒物などを用いて患者を殺害する行為は、苦痛の緩和が目的でも、自然の生命を奪うものとして殺人となり、認められないと明記している。【奥野敦史、根本毅、今西拓人】」
[2003-08-07-20:18]

◆2003/08/07 「末期がん患者“安楽死” 殺人容疑で医師書類送検」
 読売新聞ニュース速報

 大阪市福島区の関西電力病院で8年前、末期がんの男性患者に対し、当時の主治医(48)が多量の塩化カリウムを短時間に投与し、死亡させていたことがわかった。
 ◆薬物投与…8年前、大阪で◆
 大阪府警のこれまでの事情聴取に対し、医師は「患者の苦しむ姿や家族の悲しみをみかね、苦痛のない方法で死なせた」と説明している。府警は、ほかに苦痛を緩和する方法があるなど、判例上、「安楽死」を容認する要件を満たしていないと判断し、7日、医師を殺人容疑で書類送検した。
 府警によると、医師は男性で現在、別の病院に勤務している。死亡したのは、大阪府内の当時46歳の会社員。
 男性患者は1995年2月に入院したが、当時、すでに末期の直腸がんで、余命わずかと診断された。医師に「娘にみとられたい」と訴えていた。
 入院からまもなくして危篤状態に陥り、意識を失った。家族や親族が病室に集まったが、けいれんを繰り返して苦しむ姿に娘が耐えきれず、病室を飛び出そうとするなどしたため、医師が塩化カリウム10ccを原液のまま点滴して数分後に死なせた、という。
 同病院によると、「かつて安楽死事件があった」とする匿名の投書が昨年末に寄せられ、内部調査をしたが、事実関係が解明できなかったため、病院が今年3月に府警に告発した。
 府警が、医師による積極的安楽死が認められる4要件に照らして検討。▽患者は当時意識不明の状態で、苦痛を感じていたのかどうか不明確▽モルヒネ投与など苦痛を緩和する手段が尽くされていない――の2点で要件を満たしておらず、医師の行為は殺人に当たると判断した。
 医師は「当時は仕方ない選択だったと思ったが、今は反省している」と話している、という。一方、家族や親族は医師の処罰は望んでいない、という。
 関西電力病院は「当局に判断を委ねている段階であり、その判断を待ちたい。医療倫理に関して一層の改善を図り、万全を期していきたい」とする三河春樹院長のコメントを出した。
           ◇
 医師による安楽死をめぐっては、1991年に東海大付属病院(神奈川県伊勢原市)で末期がん患者に塩化カリウムを注射して死亡させた男性医師が殺人罪で起訴され、横浜地裁が「患者本人の意思が明らかでなかった」などとして執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
 また、96年に国保京北病院(京都府京北町)の男性院長が末期がん患者に筋弛緩(しかん)剤を投与して死亡させたとして殺人容疑で書類送検された。この事件で京都地検は「正当な医療行為とは認められない」としながらも、筋弛緩剤の投与と患者の死の因果関係が立証できないとして、院長を不起訴処分にした。
 98年11月には川崎協同病院で、女性医師が入院中の男性患者に筋弛緩剤を投与して死亡させた。女性医師は殺人罪で起訴され、現在、公判が続いている。
 ◆安楽死4要件=1991年に起きた東海大付属病院の「安楽死」事件の有罪判決の中で横浜地裁は、医師による積極的安楽死の違法性が阻却される要件として、〈1〉患者に耐え難い肉体的苦痛がある〈2〉死が不可避で、死期が迫っている〈3〉苦痛を除去、緩和する方法がほかにない〈4〉生命の短縮を承諾する患者の明らかな意思表示がある――の4点を示した。」
[2003-08-07-14:05]

◆2004/03/22 <安楽死>男性医師を嫌疑不十分で不起訴に 大阪地検
 毎日新聞ニュース速報

 「関西電力病院(大阪市福島区)で95年2月、末期がんの男性患者(当時46歳)に塩化カリウムを投与して死亡させたとして、殺人容疑で書類送検された男性医師(49)=退職=について、大阪地検は22日、嫌疑不十分を理由に不起訴処分にした。患者の死亡から9年が経過しており、地検は「遺体の解剖が行われておらず、死因を特定できないなど客観的証拠に乏しい」と説明した。
 この医師は95年2月、末期の直腸がんで激しいけいれんを起こした入院患者の痛みを和らげるため、塩化カリウム20ミリリットルを原液のまま投与して患者を死亡させたとして、殺人容疑で書類送検された。医師も容疑を認めていた。
 地検が捜査した結果、塩化カリウムを薄めた状態で投与したことを裏付ける診療記録のコピーが見つかった▽容疑を認めた医師の供述を裏付ける証拠が十分でない▽関係者の供述内容もあいまいで変遷している――などとして、医師の訴追を見送った。【木村哲人、田中謙吉】

 関西電力病院の三河春樹院長の話
 不起訴と判断されたことで、区切りがついたものと受け止めている。今後は医療倫理
に関して一層の改善を図り、病院経営に万全を期していきたい。」[2004-03-22-22:01]

◆2004/03/22 「大阪地検、殺人容疑の医師を不起訴処分 関電病院事件」
 朝日新聞ニュース速報

 関西電力病院(大阪市福島区)で95年2月、男性医師(49)が末期がんの男性患者(当時46)に薬剤を点滴して死亡させたとされた事件で、大阪地検は22日、殺人容疑で書類送検されていた医師を不起訴処分(嫌疑不十分)にした。医師は大阪府警の捜査では「家族を楽にしてあげたかった」などと容疑を認めていたが、地検の調べには否認。地検は、関係資料からも、薬剤投与と死亡の因果関係を立証できないとして、立件は困難と判断した。
 医師の行為が安楽死として許容される要件としては、95年3月の横浜地裁判決が、「患者に耐え難い肉体的苦痛がある」「患者の意思表示がある」ことなど4点を示している。大阪地検は、今回の事件がこの要件にあてはまるかも含め、慎重に捜査してきた。しかし、男性の死因が特定できなかったことから、安楽死かどうかの判断には踏み込まなかった。
 調べによると、末期の直腸がんで入院していた男性患者は95年2月5日午後8時55分ごろ、医師から塩化カリウム溶液を点滴され、約5分後に死亡したとされる。府警は、医師が故意に溶液を原液で投与し、急性高カリウム血症で死亡させたとして、昨年8月、「刑事処分相当」と殺人容疑で書類送検していた。男性は溶液を投与される直前には、すでに昏睡(こんすい)状態になっていたという。
 医師は男性の主治医で、大阪府警の調べには「薬剤を薄めずに投与すれば死ぬと思っていた」「死期を早める措置だった」と容疑を認める供述をしていた。しかし、地検の調べに対しては「塩化カリウムは希釈して投与した」などと供述を変え、容疑を否認した。
 当時病院に勤めていた別の医師が保管していた看護記録の写しにも、塩化カリウムを希釈して使ったと記されていた。地検が医療関係者に確認したところ、記録に記載されていた行為自体は医学上問題のない措置だった。
 さらに、遺体が当時司法解剖されなかったため死因が特定できない▽事件の発生から時間がたち、関係者の供述もあいまいで変遷している▽遺族が処罰を望んでいない――ことなどから、起訴できないと判断した。
 事件は02年12月、病院に匿名の投書が届いて発覚。病院は昨年3月府警に告発していた。医師は現在は別の病院に勤務している。
 <三河春樹・関西電力病院長の話> 検察庁が不起訴という判断をされたことで区切りがついたものと受け止めている。今後は医療倫理に関して一層の改善を図り、病院経営に万全を期していきたい。」[2004-03-22-21:59]


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