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民族・エスニシティ・人種(race)…


last update:20120411

■目次
関連項目
文献(日本)
文献(論文等)
文献(翻訳)
「民族」とは
その他



■関連項目

◆民族主義関連文献表(作成:小川浩史
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/db/1010.htm

●法律等

◆スウェーデン・人種差別禁止法(Lag (1994:134) om etnisk diskriminering)
 http://www.senshu-u.ac.jp/~thj0090/rex29.htm
◆スウェーデン・人種差別防止オムブーズマンに関する法律
 http://www.senshu-u.ac.jp/~thj0090/ombudsman.html



■文献(日本)
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―― 〜1990年――

◆19640820 本田 創造 『アメリカ黒人の歴史』,岩波新書青532,194p.※
◆1967    我妻 洋・米山 俊直 『偏見の構造――日本人の人種観』,日本放送出版協会,NHKブックス,250p. 280 千葉社2690共通
◆19671020 寺田 和夫 『人種とは何か』,岩波新書青658,211+3p. 280 ※
◆19690500 野間 寛二郎 『差別と叛逆の原点――アパルトヘイトの国』,理論社,414p. 700※
◆1969    鈴木 二郎 『人種と偏見』,紀伊国屋書店,紀伊国屋新書 ,211p. 300
◆1969    鈴木 二郎 『現代の差別と偏見――問題の本質と実情』,新泉社,千葉教養E802
◆19710815 清水 知久 『アメリカ・インディアン――「発見」からレッド・パワーまで』,中公新書258,174p. 230 ※
◆19720821 新保 満 『人種的差別と偏見――理論的考察とカナダの事例』,岩波新書青830,217p.※
◆1973    鈴木 二郎 『白・黒・黄色――差別と遍見の構造』,音羽書房,287p. 780 
◆19760707 楠原 彰 『自立と共存』,亜紀書房,288p. \1200 ※
◆19780825 田中 克彦 『言語からみた民族と国家』,岩波現代選書,348p. \1300
◆198009  家坂 和之 『日本人の人種観』,弘文堂,267p. \1200 千葉教養E533
◆19820920 綾部 恒雄 編 『アメリカ民族文化の研究――エスニシティとアイデンティティ』,弘文堂,316p. \4410 
◆19821101 篠原 睦治 『「障害児」教育と人種問題――アメリカでの体験と思索』,現代書館,245p. \1600 ※/東社378.02
◆198603  家坂 和之 『日本人の人種観 新版』,弘文堂,316p. ISBN:4335550170 \1800 
*◆19880715 梶田 孝道 『エスニシティと社会変動』,有信堂高文社,320+9p. \4326
◆19881222 川田 順造・福井 勝義 編 『民族とは何か』,岩波書店,358p.
◆19890720 松本 仁一 『アパルトヘイトの白人たち』,すずさわ書店,226p. \1500 ※
*◆1989 西尾 幹二 『「労働鎖国」のすすめ』,光文社

――1990〜1999年――

◆19920121 なだ いなだ 『民族という名の宗教――人をまとめる原理・排除する原理』,岩波新書新赤0204,208p. 534 ※
◆19920520 野村 達朗 『「民族」で読むアメリカ』,講談社,241p.
*◆19921230 上坂 昇 『増補 アメリカ黒人のジレンマ――「逆差別」という新しい人種関係』,明石書店,285p. \3090 千葉社4862共通
*◆19930225 梶田 孝道 『新しい民族問題――EC統合とエスニシテイ』,中公新書1116,290p. 820 ※
*◆19931020 千田 善 『ユーゴ紛争――多民族・モザイク国家の悲劇』,講談社現代新書,270p. 650 ※
*◆19931122 梶田 孝道 『分裂と統合のヨーロッパ――EC・国家・民族』,岩波新書310,267p. \620
◆竹沢 泰子 19940610 『日系アメリカ人のエスニシティ――強制収容と補償運動による変遷』,東京大学出版会,304p. ISBN-10:413056045X ISBN-13:978-4130560450 3990 [amazon]  b 0e/e01
◆19940708 山内 昌之 『民族の時代――混沌と共生の二十一世紀』,PHP研究所,245p.
◆19941010 柳原 和子 『「在外」日本人』 晶文社,573p. \2816 ※
◆19941225 黒田 悦子 編 『民族の出会うかたち』,朝日新聞社 359p.
*◆19951005 西川 長夫 『地球時代の民族=文化理論――脱「国民文化」のために』,新曜社,224+24p. \2100 ※
*◆1995   小熊 英二 『単一民族神話の起源――〈日本人〉の自画像の系譜』,新曜社
*◆199604  姜 尚中 『オリエンタリズムの彼方へ――近代文化批判』,岩波書店,245p. \2300
◆19970410 明石 紀雄・飯野 正子 編 『エスニック・アメリカ[新版]――他民族国家における統合の現実』,有斐閣,353p. \2520
◆19980525 冨岡 次郎 『イギリスにおける人種と教育』,明石書店,896p. 13000 ※
◆19980710 小熊 英二 『〈日本人〉の境界――沖縄・アイヌ・台湾・挑戦 植民地支配から復帰運動まで』,新曜社,778p. \6090
*◆19991122 臼杵 陽 『原理主義』,岩波書店,思考のフロンティア,127p.\1200 ※

――2000年〜 ――

*◆20000515 慶應義塾大学経済学部 編 『マイノリティからの展望』,弘文堂,市民的共生の経済学2,239p. \2800 ※
*◆200006** 西川 長夫姜 尚中西 成彦 編 『20世紀をいかに越えるか――多言語・多文化主義を手がかりにして』,平凡社,496p. \3400
*◆200102** 崎山 政毅 『サバルタンと歴史』,青土社,294p. \2400
*◆200110** 姜 尚中 『ナショナリズム』,岩波書店 思考のフロンティア,161p. \1300
*◆20011201 梶田 孝道 編 『国際化とアイデンティティ』,ミネルヴァ書房
◆20011220 関 曠野 『民族とは何か』,講談社現代新書 230p.
*◆20011225 ましこ ひでのり 『増補版 イデオロギーとしての「日本」――「国語」「日本史」の知識社会学』,三元社,363p. \3200 ※
◆20020225 名和 克郎 『ネパール、ビャンスおよび周辺地域における儀礼と社会範疇に関する民族誌的研究――もうひとつの〈近代〉の布置』,三元社
◆20020529 松本 健一 『民族と国家――グローバル時代を見据えて』,PHP新書202,PHP研究所,234p.\720
*◆20021010 ましこ ひでのり 『日本人という自画像――イデオロギーとしての「日本」再考』,三元社,\2300
◆20021010 小坂井 敏晶 『民族という虚構』,慶應義塾大学出版会,315p.
*◆20021031 小熊 英二 『〈民主〉と〈愛国〉――戦後日本のナショナリズムと公共性』,新曜社
*◆20030226 渡辺 公三 『司法的同一性の誕生――市民社会における個体識別と登録』,言叢社,461+27p. \3800
◆20040228 青柳 真智子 編 『国勢調査の文化人類学――人種・民族分類の比較研究』,古今書院,422p.
◆20040515 渡辺 靖 『アフター・アメリカ――ボストニアンの軌跡と〈文化の政治学〉』,慶應義塾大学出版会,408p. ISBN-10:4766410785 ISBN-13:978-4766410785 \2625 [amazon][kinokuniya] ※ er g03
◆20050220 竹沢 泰子 編 『人種概念の普遍性を問う――西洋的パラダイムを超えて』,人文書院,548p.
◆20060220 劉 正愛 『民族生成の歴史人類学――満洲・旗人・満族』,風響社,366p.
◆20060330 小熊 英二 『日本という国』,理論社,186p. ISBN-10: 4652078145 ISBN-13: 978-4652078143 \1260 [amazon][kinokuniya] ※ er
◆20061110 羽田 功 編 『民族の表象――歴史・メディア・国家』,慶應義塾大学出版会,315p.
◆20070227 神部 武宣(著),竹沢泰子(解説),綾部真雄・山上亜紀(編集・校訂)  『さらばモンゴロイド――「人種」に物言いをつける』,生活書院,172p. ISBN-10: 4903690059 ISBN-13: 978-4903690056 \1900 [amazon][kinokuniya] ※



■文献(論文・雑誌等)

◆1981    米本 昌平 「優生思想から人種政策へ――ドイツ社会ダーウィニズムの変質」,『思想』688:65-74 
◆19830530 福本 英子 「人種改良の目論み――遺伝子操作と優生思想」,社会評論社編集部編[1983:180-204] 千葉社3411共通
◆19851210 『文化人類学2』1(2),アカデミア出版会 (特集:民族とエスニシティ)
◆19891030 木村 利人 「女性差別と人種差別」,グループ・女の権利と性[89:182-183] ※/三鷹495
◆19891030 米本 昌平 「出生前診断技術の進歩と人種差別」,グループ・女の権利と性[89:94-95] ※/三鷹495
◆19920206 □ 暎惠 「異文化適応と家族――民族と国家のはざまで」,上野他編『家族に侵入する社会』(シリーズ変貌する家族 6):176-190 ※
◆199212  名和 克郎 「民族論の発展のために――民族の記述と分析に関する理論的考察」,『民族学研究』57(3):297-317
◆19971014 加藤 秀一 「愛せよ,産めよ,より高き種族のために――一夫一婦制と人種改良の政治学』
 大庭・鐘ケ江・長谷川・山崎・山崎編[1997:201-253] ※
 大庭 健・鐘ケ江 晴彦・長谷川 真理子・山崎 カヲル・山崎 勉 編
 19971014 『共同態』 専修大学出版局,シリーズ性を問う3,305p. 2800 ※
◆19970228 杉山 光信 「フランスの人種差別(ラシズム)」 栗原編[1997:187-202] ※
*栗原 彬 19970228 『現代社会の差別構造』 弘文堂,講座差別の社会学3,348p. 3500 ※
◆19970228 渡辺 公三 「帝国と人種――植民地支配のなかの人類学的知」 栗原編[1997:299-328]* ※
*栗原 彬 編 19970228 『現代社会の差別構造』 弘文堂,講座差別の社会学3,348p. 3500 ※
◆19990315 野村 浩也 「差別としての同化――沖縄人という位置から」,『解放社会学研究』13:074-093
◆20100917 『情況』,2010年10月号,特集 現代中国論――共産党・農業・民族・中米関係の行方,情況出版 ※



■文献(翻訳)

◆1950   Cesaire, Aime Discours sur le colonialisme, La Societe Nouvelle Presence Africaine
=19970106 『帰郷ノート・植民地主義論』(Cahier d'un retour au pays natalDiscours sur le colonialismeの翻訳),平凡社,267p. \3200 *
◆1952   Levi-Strauss,Claude Race et Histoire ,Paris,Unesco
=19730220 荒川 幾雄 訳 『人種と歴史』,みすず書房,116p.
◆1954   Sartre,Jean-Paul Reflexions sur la question juive
=1954   安堂 信也 訳,『ユダヤ人』,岩波新書青227,189p. ※
◆1959   Benedict,R. Race, Viking Press
=19970831 筒井 清忠・寺岡 伸悟・筒井 清輝 訳,『人種主義――その批判的考察』,名古屋大学出版会,226+5p. ISBN:4-8158-0326-9 2800 ※
*◆1971   Dorfman,Ariel;Mattelart,Armand Para leer al Pato Donald
=19840620 山崎 カヲル 訳,『ドナルド・ダックを読む』,晶文社,190p. \1800 ※
◆1972   CAキ-スラ-編訳 Prejudice and racism
=198410  『人種関係の心理学』,誠信書房,現代社会心理学の動向 第7巻,388p. \2800
◆1974   Bloom,Leonard 『人種差別の神話――社会心理学的考察』,今野 敏彦 訳,新泉社,299p. \1400
◆1974   Williams,Robert 「黒人社会への静かなる圧殺――科学的人種差別とIQ」
=1975   兵庫県高校進路指導指導研究会阪神支部事務局 訳,『臨床心理学研究』12-3:45-53
◆1976   Joseph,Helen 『明日の太陽――女性の闘い 南アフリカにおける人種差別と抑圧』,片平 久子 訳,未来社,321+9p. 肖像 \1500
◆1981   Joseph,G. 「反発しあう三人家族――マルクス主義・フェミニズム・そして人種差別主義」,Sargent ed.[1981=1991:113-133]  ※
◆1983   Gellner,Ernest Nations and Nationalism,Blackwell Publishers
=20001222 加藤 節・亀嶋 庸一・室井 俊通・西崎 文子 訳『民族とナショナリズム』,岩波書店,254p. \2520
◆1988   Gordon Lauren,Paul Power and Prejudice,Westview Press
=19950916 大蔵 雄之助 訳 『国家と人種偏見』,TBSブリタニカ,511p. ISBN-10:4484951126 ISBN-13:978-4484951126  \3262 [amazon][kinokuniya] ※ er
*◆1990   Spivak,C.Gayatri The Post-Colonial Critic, New York: Routledge.
=1992   清水 和子・崎谷 若菜 訳『ポスト植民地主義の思想』,彩流社
*◆1990   Baribar, Etienne ; Wallerstein, Immanuel Race, nation, classe: Les identites ambigues, Editions La Decouverte
=19970306 若森 章孝・岡田 光正・須田 文明・奥西 達也 訳,『人種・国民・階級――揺らぐアイデンティティ〔新装版〕』,大村書店 448ページ 4,500円+税 ISBN4-7563-1019-2 C3030 ※ ◆1993   Ignatieff,Michael Blood and Belonging : Journeya into New Nationalism
=19960325 幸田 敦子 訳,『民族はなぜ殺しあうのか――新ナショナリズム6つの旅』,河出書房新社,363p. \3700 ※
◆1993(2002) Eriksen,Thomas Hylland Ethnicity and Nationalism,Pluto Press
=20060401 鈴木 清史 訳,『エスニシティとナショナリズム――人類学的視点から』,明石書店,明石ライブラリー94,376p.
◆1993   Gioseffi,Daniela eds. On Prejudice:A Global Perspective
=19960315 大西 照夫 監訳 『世界の偏見と差別 152のアンソロジー』,明石書店,890p. ISBN-10:4750307823 ISBN-13:978-4750307824  \9135 [amazon][kinokuniya] ※ er eg-naz f03 ds/ds
◆1995   Kymlicka, Will Multicultural Citizenship: A Liberal Theory of Minority Rights, Oxford University Press
=19981210 石山 文彦・山崎 康仁 監訳,『多文化時代の市民権――マイノリティの権利と自由主義』,晃明書房,428p. 5300 ※
◆1996   Appadurai, Arjun Modernity at Large: Cultural Dimensions of Globalization,The University of Minnesota =20040614 門田 健一 訳,『さまよえる近代――グローバル化の文化研究』,平凡社,425p. ISBN-10:4582452272 ISBN-13:978-4582452273 \3990 [amazon][kinokuniya] ※ g03 s03 er
◆1996   Dei,George J. Sefa Anti-Racist Education, Fernwood
=20030829 奥野 アオイ 訳,『人種差別をこえた教育――差別のない社会を目指して』,明石書店,世界人権問題叢書47,286p. ISBN:4-7503-1774-8 3000 ※  [amazon]
◆1997   Wallace,Walter L. The Future of Ethnicity, Race and Nationality
=20030730 水上 徹男・渡戸 一郎 訳,『エスニシティ・人種・ナショナリティのゆくえ』,ミネルヴァ書房,MINERVA社会学叢書22,262p. \3780
*◆1999   Nancy,Jean-Luc La communaute desoeuvree, 3e ed. C. Bourgois= J
=2001   西谷 修・安原 伸一朗 訳,『無為の共同体――哲学を問い直す分有の思想』以文社,2001 ※
*◆20020614 Said, Edward W. 『戦争とプロパガンダ2――パレスチナは、いま』,中野 真紀子 訳,みすず書房,94p. \1200 ※



■「民族」とは

◆「 民族という集合の特質は、その形成、意識化に、きわめて感覚的な次元で、人間の潜在的な共感や反撥が動員されることだ。」(川田順造・福井勝義編 19881222  『民族とは何か』,川田順造「緒言 いまなぜ民族を問題にするのか」,p.3)
「 共属意識は、政治的、意図的に、多くはヘゲモニー集団のイニシアティヴによって作られる。虚構をしばしば含み、神話をはじめとする象徴を操作し、宣伝、教育を通じて人々の心にしみこまされる。その結果、共通の祖先と、>0010>互いの血のつながりをもち、共通の歴史、信条、母語、身体特徴、衣食住の生活慣習によって結びあわされた運命共同体としての「民族」が、人々の情感に植えつけられる。状況的に作られるそのような人為的表層的な「共属意識」は、より自生的に深層で個人を拘束する「共属感覚」と相互関係をもちうる。その際、自然、文化二つのレベルで集合的に人間を拘束しているものが、まず問われることになるだろう。血のしがらみ、遺伝形質、風土、そして個人がその中で生れ、初次的人格形成を受けた習俗の全体が、選びとれないものとして、それを共有する人々を共属感覚で結ぶ働きもなしうる。
 だが、「選びとれない」と思われがちなもののいかに多くが、実は政治的な作為の産物であることか。選びとられた象徴が、共属意識を創出し、集合的拘束力を生むことは、いとも容易なようだ。人間はこの点でも感情の動物であり、象徴に支配される生物であるらしい。ある集団の危機的状況において、ヘゲモニー集団が「民族」感情に訴えることの政治的意味も、まさに共属意識を、選びとれない共属感覚と思いこませるところにあるのだから。他方、国民国家の擬制が、差別や強制を通じて、部分集団にとって桎梏となるとき、その成員の深層の共属感覚が、共属意識に転化することもある。現代のエスニシティ問題の多くも、そのような基盤をもっているといえるだろう。」(同上,pp.10-11)

◆「そもそも「民族」とは何なのだろうか。辞典などによる一般的な理解としては、言語や宗教、慣習など広義の文化的伝統を共有することで時間の経過とともに「同じ先祖」を持つ「同じ仲間」としての意識を持つようになった人間集団が「民族」と呼ばれることが多い。それは社会的な生活を営む場合の基本単位と言うこともできるだろう。しかし、社会生活の基本単位と言っても、たとえば地域的には離れ離れの状態で暮らしながら、なお民族的な一体意識を保持している集団もあれば、同じ社会の中に複数の民族が共存して支障なく社会生活を送っているようなケースもある。民族はもちろん生物学的な意味での「種」とも異なるし、政治的な意味での国民とも一致していない。つまり、ある集団について、いくつかの普遍的・標準的な項目を立ててチェックを行い、その集団が民族が否かを判断することはできないし、逆にその集団だけに>B>特徴的な客観的性質から民族を考えても、これを他の集団に当てはめて分類を行うことは不可能なのである。
 「民族」という言葉と概念には、言語、宗教、慣習ばかりでなく、たしかにある特定の集団の残してきた歴史や彼らの生存を支えてきた地域性、その集団の自己意識や彼らを導くイデオロギー、志向性などが大きな影響を及ぼしており、彼らはそれらを手がかりにして自分たちを一つの「民族」として同定していくわけである。その限りではむしろそれは主観的で恣意的な過程である。
 ただ、この過程は孤独・孤立のうちに進められるものではない。と言うよりも、むしろ外部に何らかの対比的存在を設定することによって、「民族」化のプロセスは促進されることが多い。言語、宗教、慣習、歴史、地域性、自己意識、イデオロギー、志向性などを手がかりに自分たちの集団と外部の集団を差別化・差異化して、自分たちに共通する民族性や民族意識を醸成していくのである。その意味では、外部との差別化・差異化によって生まれた内部こそが「民族」なのだと言えるだろう。しかも、このプロセスはただ一方の集団内部だけで進展するものではない。相手からの刺激を受けて、外部として設定された集団においてもまた同様のプロセスが展開されることになる。つまり、ある集団の民族意識が他の集団内部にも新たな民族意識を呼び覚ますことになる――それは相対的な関係である以上、同時に連鎖的な性格を持たざるをえないのである。」
(羽田功編 20061110 『民族の表象――歴史・メディア・国家』 「はじめに」pp.B-C)



■その他

◆2003/06/04 「新たな形態の差別を警戒 大阪でユネスコ会議開幕」
 共同通信ニュース速報

 「国連教育科学文化機関(ユネスコ)が策定中の差別撤廃へ向けた新戦略について世界各国の専門家や非政府組織(NGO)が討議する「反人種主義教育国際会議」が四日、大阪市で開幕した。
 メッセージを寄せた松浦晃一郎事務局長は「科学の発展とグローバリゼーションの進展で新しい形態の差別が生じている」と指摘。新戦略の草案でユネスコは、遺伝子工学などの科学技術の進歩や移民の増加が生む差別を防ぐ取り組みを強化する方針を打ち出した。
 古典的な人種・国籍差別を廃絶する取り組みに、自治体や学校、若者などとの連携を強める必要性も強調している。
 会議は二日間の日程で、アジアやアフリカ、欧米などの十一カ国から約二十人が参加。四日は地域の課題が報告された。
 タイの大学教授ヴィティット・ムンターボーンさんは「アジアでは差別に対する認識が低く、いまもタブー視される空気があり啓発が課題だ」と報告。レバノンからの参加者は「『9・11』以降、アラブ世界への敵対心が高まっている」と危機感を訴えた。(了)」
[2003-06-04-11:17]



*更新:石田 智恵(20080504以降)
REV:.....20030227,0312,0520,0701,20040815,20080504,0730,1014,20100102, 0122, 0423, 20120331, 0403, 0411
多文化主義 multiculturalism/多言語主義 multilingualism  ◇優生学・優生思想 eugenics  ◇国家 
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