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優生学・日本 eugenics in Japan


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 日本における優生学の受容と展開についての書籍として鈴木善次[1983]、論文
として鈴木[1975][1991a][1991b][1993]等。
 「民族浄化」論によるハンセン病者の隔離、断種について藤野豊[1993]。
 論文として野間伸次[1988]、高木雅史[1989][1991][1993]、斎藤光[19
91][1993a][1993b]、小熊英二[1994]、
 研究動向をまとめた鈴木善次・松原洋子・坂野徹[1995]。
 また一九一〇年代から四〇年代の人口政策について廣嶋清志[1980][1981]。
 これらで永井潜(1876〜1958)らを中心とする日本民族衛生学会の活動や、「国
民優生法」の制定(一九四〇年、これは一九四八年制定の「優生保護法」に引き継
がれる(第9章))等が取り上げられる。
 また、「衛生博覧会」に現われ、これを介して普及していく優生思想について田
中聡[1994]。
 ハンセン病者の断種については澤野雅樹[1994:141ff]でも言及。
 遺伝という観念の浸透について川村邦光[1990:96ff]。
 (以上に挙げなかった鈴木の論文を含めhp[優生学]→[関連文献]
 (以上,立岩真也『私的所有論』第6章)

加藤 秀一 200408 『<恋愛結婚〉は何をもたらしたか――性道徳と優生思想の百年間』筑摩書房, 238p.ISBN:4-480-06187-8 756 [boople][bk1] ※



□小山栄三(1899〜1983)
□小山栄三 19410815 『民族と人口の理論』羽田書店,409+10p. pp.225-266
□田島弥太郎・松永英 19760220 『人類の遺伝 改訂版』

■小山栄三(1899〜1983)

 「かつて日本に行なわれた人口理論は,日本の社会的不安の原因を人口密度が高いにも拘らず,人口が毎年逐次に増加の傾向にあり,しかも天然資源に乏しいという事実に求め,人口増加防止策を結論するものが多かった。鳩山文相時代に於ける産児制限の容認,サンガー夫人,マリー・ストープス女史の渡日等によって促進された文化生活主張者の産児回避論,大正七年の米騒動に於ける食糧と人口の均衡の破綻及びマルキシズム一派の労働力過剰のための低賃金の基礎理論としての人口論は,いづれも如何にして人口増加を防止するかを中心とした(p.225)ものであった。
 然るに満州事変以後におけるわが国民の対外的膨張と戦時状態は,この間に人口過剰の提起そのものを本質的に変化させた。如何にして人口減少を防止するかという消極的な死亡抑制の問題から,それを越えて積極的に如何にして人口の停滞的諸形態を克服して自然発生的な過程を促進し,急速に人口増加をなし得るかの民族生産性の完全形態への復帰を企図することとなった。
 いうまでもなく国家間の相克において最後の勝利を規定する条件が三つある。一つは民族人口の質量の問題であり,二は国家精神の問題であり,三は労働力の組織の問題である。
 フランスの潰滅はドイツの軍事力の優勢に因ることは云うまでもないが,上述の三点に於いて特にフランスが欠陥を持っていたからである。」

■小山栄三 19410815 『民族と人口の理論』羽田書店,409+10p. pp.225-266

「このことは出産の(p.244)回避が子供を生んで困る無産階級(プロレタリアートの語原は子を多く産む者の意である)に行なわれずに,反って子供を生んでも困らない有産階級に行なわれている事実を示すものであり,従って決してそれはそれは経済問題ではなく家庭生活の享楽問題であることを暗示するものである。我々はここに人為的な産児制限の行なわれていることを想定せざるを得ないのである。従ってそれは単なる出産奨励金の下付や独身税の政策によって解決し得るものではないことはフランスの例が示している。かくしてそれは単なる生理学上の問題でもなく,経済問題でもなく,実に精神の問題になって来るのである。インテリ女性の結婚に対する態度,すなわち国力と人口の関係に関する認識と出産に対する自覚と自省が特に要求されているのである。」

■小山栄三 19410815 『民族と人口の理論』羽田書店,409+10p. pp.244-255
 (東京大学総合図書館 S30-505)

第1章 民族の構造と概念
第2章 民族研究の諸科学
第3章 人口発展の法則と生活空間
第4章 現下に於ける民族人口政策と体位向上問題 197
 第1節 出産力の減退 197
 第2節 国民体質の低下 215
 第3節 戦争と人口現象 223
 第4節 人口政策の確立 246
第5章 満州に於ける移動人口=労働力としての苦力
第6章 大東亜共栄圏の確立と其の指導的使命

■田島弥太郎・松永英 19760220 『人類の遺伝 改訂版』

 「文明社会では少産少死の型の普及により自然淘汰の働きうる余地が次第に狭められるから,それだけ有害な遺伝子が子孫の代に伝えられること,また,われわれの生活環境には突然変異を誘発する物質が増えてくるので,けっきょく子孫の遺伝的要素は弱体化し,その治療に要する社会保障の負担が増えていく恐れが多分にあることを述べてきた。それならば,われわれはこの傾向に対して,今のうちに打つ手はないだろうか?。どうしたら,子孫の弱体化を防ぐことができるだろうか?。あるいは,もっと欲をいって,子孫を遺伝的に改良し,才能や徳性のすぐれたものを増やして,一国の文化と経済の発展に役立てることは,できないであろうか? こうした問題について考えるのが,これから述べようとる優生と優境である。
 優生というのは,もともと「遺伝的によくする」というほどの意味で,そのためにどうすればよいかを研究するのが優生学である。優生学にはふたつの違った側面がある。ひとつは現在よたもさらによくすることであり,いまひとつは現在より悪くなるのを防止することである。前者は「積極的な優生学」,後者は「消極的な優生学」とよび分けられている。いずれにしても,優生学の基礎は人(p.218)間の遺伝学であって,この学問が十分に進歩して土台がしっかりしていなくては,健全な優生対策は立てられるはずはない。ところが趣旨の方はきわめてはっきりしていて,エリート層と有力者の共感を得られるものだから,優生学はこれまでにしばしば政治的な目的のため,特に人種差別政策に悪用され,大きな弊害を流してきた。その最も著しい例は,ナチスが優生学の美名のもとにユダヤ人を迫害したことで,これでこの学問はいっぺんに汚名を着せられ,つい最近までドイツでは,優生学ということばが一般の禁句になっていたほどである。わが国では昭和一五年に「国民優生法」が制定され,これが昭和二三年に「優生保護法」でおきかえられたが,今日までそのような弊害もなく運用されてきたのは,幸いである。」
(田島弥太郎・松永英 19760220(19781101:第6刷)『人類の遺伝 改訂版』,NHKブックス247,pp.218-219)
 ※田島弥太郎(たじま・やたろう)
  1913年 群馬県に生まれる
  1938年 九州大学農学部卒業
  現 在 国立遺伝学研究所長・日本学術会議会員
  主な著書 「The Genetics of the Silkworm」
 ※松永英 
  1922年 東京に生まれる
  1945年 東京大学医学部卒業
  現 在 国立遺伝学研究所人類遺伝部長
  主な著書 「遺伝学読本」ほか
  (上記の共著書第6刷の奥付より)

 

●文献(発行年順)

◆井上 哲次郎 1923 「優生學の應用と道徳心の養成」、『社会事業』7-3(日本社会事業協会)
◆小関 光尚  1929 「社会事業と優生学」、『社会事業研究』17-1(大阪社會事業聯盟)
◆松澤 兼人  1929 「社会事業と優生学――その依存性と優越性」、『社会事業研究』、17-1(大阪社會事業聯盟)
◆大林 宗嗣  1929 「ユーゼニックスと社会事業」、『社会事業研究』17-1(大阪社會事業聯盟)
◆北村 兼子  1929 「優生学、ちょつと待って」、『社会事業研究』17-1(大阪社會事業聯盟)
◆牧野 虎次  1936 「速かに斷種法の制定を望む」、『社会事業研究』24-10(大阪社會事業聯盟)
……
◆鈴木 善次  19831130 『日本の優生学――その思想と運動の軌跡』,三共出版,v+196+9p.,2000円
◆藤 博史   1991 「ノーマリゼーションの思想的系譜――『国民優生法』制定に関する批判思想の検討から」、『社会福祉学』32-2(日本社会福祉学会)
松原 洋子  1997 「<文化国家>の優生法――優生保護法と国民優生法の断層」、加『現代思想』、25-4、青土社
◆松原 洋子 199709
 「優生問題を考える・2――優生保護法の「消滅」」
 『婦人通信』464:38-39
◆松原 洋子 199710
 「優生問題を考える・3――障害者と優生保護法」
 『婦人通信』465:42-43
◆松原 洋子 199711
 「優生問題を考える・4――国民優生法と優生保護法」
 『婦人通信』466(1997-11):42-43



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