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環境・保全関連ニュース

2008年01月09日〜2008年01月15日
本ページに掲載されるニュースは、「環境」と「保全」というキィ・ワーズを含むものです。
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◆Date:2008/01/09
◇Source: 山陰中央新報
◇Title: 大橋川改修 ヨシの34%消失予測
◇URL:http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=492878006

 松江市中心部の大橋川改修事業で、国土交通省出雲河川事務所が9日、実施した生態系への環境影響調査結果を公表した。同川に広く分布するヨシの34・4%、河口部に群生するコアマモの95・7%の消失などを予測し、移植などの保全措置を取るとした。これに対し、専門家でつくる第3者機関・大橋川改修に関する環境検討委員会は、同措置を不十分と指摘。再検討を行うなどの条件付きで、調査報告書の一次取りまとめを了承した。

 生態系への影響予測調査は、同川に生息する動物74種、植物13種・3群落を対象に実施した。

 その結果、拡幅、掘削で、ヨシの生育面積の6ヘクタール、コアマモの同2.8ヘクタールが消失。中州の水田などに生育する一年草のスズメハコベをはじめとする植物4種、ヨシ群落にいる貝類・ヨシダカワザンショウガイなど、動物3種の生育にも影響が見込まれることから、川岸に浅瀬を造成し、植物の移植を行うなどとした。

 これに対し、松江市内で開かれた同検討委員会では、委員が宍道湖のヤマトシジミへの影響調査や保全措置の充実などを要望。道上正■委員長(鳥取大名誉教授)は「生態系の問題は完全に予測できるわけではなく、モニタリングで継続したチェックが必要」と話した。

 同事務所は今後、昨年12月に公表した塩分濃度などの水環境への影響調査結果を含め、閲覧や松江、米子、境港各市での住民説明会を通じ、住民の意見を把握。島根、鳥取両県などへの意見照会を経て、報告書の最終取りまとめを行う。

 大橋川改修は上流部のダム、中流部の放水路と一緒に計画された斐伊川・神戸川治水対策事業の「3点セット」の一つ。環境影響調査は、同川下流の中海の水位上昇を懸念する鳥取県側が中海の護岸整備とともに、事業着手の同意条件とした。

  (注:■は「矢ヘン」に「見」)

◆Date:2008/01/09
◇Source: 北國新聞社
◇Title: ◎トミヨ、冬も元気に 白山の人工池 地下水の流入続行 生息環境確保へ
◇URL:http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20080110103.htm

冬場も地下水を流し入れることになった人工池=白山市鹿島平
 白山市蝶屋地区の住宅団地ボストンガーデン美川の人工池に生息するトミヨを保護するため、鹿島平町内会は九日までに、冬季も池に地下水を流すことを決めた。例年、冬は地下水を止めるため、トミヨの数は毎年春、冬の十分の一程度に減少するという。今後は絶滅の危機に瀕するトミヨが一年を通して生息できる環境を整える。
 トミヨは清流の象徴とされ、美川地域では「はりんこ」の名称で親しまれている。いしかわレッドデータブックの絶滅危惧(きぐ)T類に分類され、同地域ではわき水が多い安産(やすまる)川が生息域となっている。

 ボストンガーデン美川の人工池に生息するトミヨは八年前、トミヨを生かした街づくりを進める「はりんこ塾」が放流した。生息が確認できない時期もあったが、二〇〇四年に地域住民が数匹を発見した。地元の自然保護団体「美川自然人クラブ」によると、地下水により池の水質や水温が一定に保たれていることから繁殖できたらしい。毎年冬には三百 ―五百匹程度に増えるという。

 鹿島平町内会は十二月から三月までは地下水の保全のために流入を止めており、トミヨは深さ十センチ程度の水がたまる池の一部で生き残っていたとみられる。昨年春、再び地下水を流す前に池を清掃した際、ほとんどのトミヨが死滅していることが分かった。

 このため町内会は今後、冬期間は週に一回程度、地下水を流し入れることを決め、池の水位を確保して住宅街の人工池という特殊な環境の中で生息するトミヨを守る。

 池を管理する山口吉男鹿島平公民館長は「はりんこの生息できる場所を少しでも確保し、団地のシンボルとして保護を進めたい」と話している。

◆Date:2008/01/09
◇Source: 農業協同組合新聞
◇Title: 特集 「食と農を結ぶ活力あるJAづくりのために2008」
◇URL:http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku221/toku221s08010904.html

急がれる現場の視点に立った制度の検証

国民に納得され支持される農業政策を

東京大学教授 鈴木宣弘

◆現場の悲鳴

 昨年は、米価下落による稲作経営の所得減、飼料穀物価格高騰による酪農・畜産経営の所得減、新たな支払い方法への転換による畑作経営の所得減、と3つの悲鳴が農村現場を覆った。年末の種々の代金支払いが困難になり、「年が越せない」との声が続出、未曾有の農業・農村危機の到来という声も聞かれるほどである。
 兼業農家は豊かだという見方も多いが、近年は、地方の労働市場が縮小、不安定化しており、兼業農家の農外収入も不安定化している。このため、今回の農業収入の急激な減少は、農業収入への依存度が高い専業的農家だけでなく、兼業農家も含めた地域の農家全体の疲弊を加速している。農家の疲弊は、農村地域の購買力を失わせ、地方都市の商店街のシャッター街化を加速し、地方経済全体に暗雲を広げている。

◆即応した緊急支援策

 こうした中で、政府備蓄米の積み増しによる34万トンの買い上げ、品目横断的経営安定対策の加入要件の弾力化に続いて、年末に、生産調整の実施者へのメリットの拡充、米価下落への緊急対策、小麦やてん菜の収入減への緊急支援等が予算化された。現場の窮状に即座に対応する形で、スピーディに施策が講じられたことは評価されよう。
 ただし、これらの多くは、あくまで緊急的な支援策であり、一時的な措置であることも、よく認識しておく必要がある。
 我が国は、WTO(世界貿易機関)で定められた黄の政策(削減すべき政策)を非常に厳しく解釈し、世界に先駆けて、コメの政府価格や酪農の保証価格等を廃止した。これは、「価格は市場が決めるものであり、経営に対する支援は収入変動リスクの緩和を基本とする」という精神に基づいていた。この考え方における一つの懸念は、価格が趨勢的に下落基調になった場合の歯止めがない点であった。

◆我が国の政策の特質

 この特質が変わらない中で、価格の趨勢的な下落が続いている。いま、価格の下支えをどこに求めるかとなると、生産調整への依存が大きくならざるを得ない。しかしながら、強制感の伴う生産調整には限界感が強くなっていることも事実である。
 生産調整のメリットを拡充して、参加、不参加は個人の選択に任されるのであればよいが、実際には、これまでも、様々な集団的な強制力によって何とか実施されてきたのが実態である。そのために、特に、現場の市町村職員の負担が大きくなっていた。このため、これ以上の負担は限界との判断から、生産調整から行政が一歩退くという流れができたともいえる。したがって、その流れを、再度、市町村等の役割の強化という方向に戻すことは、けっして容易ではない至難の業にみえる。
 つまり、米価下落の歯止めを生産調整の強化に大きく依存しようとすることは現実的ではないように思われる。この点については、様々な見解があると思われるが、これまでの生産調整の歴史的経緯も踏まえて、現実的な判断が必要であろう。

◆下支え機能の検証

 したがって、生産調整が緩むことは前提にしつつ、それでも米価下落を下支えできる、あるいは、農家の再生産が可能になる補填ができるような仕組みを考えておく必要がある。現在の制度体系で、それが可能かどうかを十分検証する必要があろう。
 今回は、緊急的に、備蓄積み増しという形で買い上げが行われたが、このあたりをもう少しシステム化して、過剰時の隔離機能を拡充することも一つの可能性かもしれない。つまり、生産段階での調整に大きく依存せずに、販売段階での調整機能を強化するのである。
 例えば、1俵1万円であれば、政府が買い入れ、飼料米、バイオ燃料米、援助米として、食用市場から完全に切り離すという仕組みもありうる。1万円は、大規模層にとっての再生産可能なぎりぎりの水準であるから、農家は市場で可能なかぎり高く売る努力をしたあと、やむを得ない部分を1万円で処理するということになるだろう。したがって、すべてのコメが1万円で政府に流れて財源がパンクするということはない。生産者は、1万円を最低限の目安として経営計画を立てることが可能になる。
 現在、生産調整を含むコメ政策に約4000億円を投入しているが、この4000億円を飼料米、バイオ燃料米、援助米としての処理費に活用すれば、かなりのことができる。援助米については、日本の国際貢献の観点から外務省予算で、バイオ燃料への支援については、エネルギー自給率向上政策の観点から経済産業省予算で手当てするような仕分けも検討されてもよい。
 これは1つの例にすぎないが、いずれにしても、今回のような緊急支援を、その都度考えるという場当たり的な措置に頼るのではなく、生産者が、価格がどこまで下がるかわからず、経営計画が立てられない状況にならないような制度体系になっているかどうかが十分検証される必要があろう。



 農業・農村への一定の支援を行うにあたっては、国民にも納得できる理由が必要である。そのためには、なぜ、その政策が必要なのか、という理由を明確にする必要がある。
 農家が困るから、というだけでは国民に説明したことにならない。農業・農村には多面的機能があるからといっても、十分具体的な指標になっていなければ、国民には、むしろ保護の言い訳のように受け取られてしまう。

◆政策の理由の明確化

 例えば、北イタリアの水田地帯では、稲作農家に対して、水田の持つ水質浄化機能、生物多様性の維持、洪水防止機能のそれぞれを評価して、それを根拠にした支払いを行っているという。こうした具体的な指標化を通じて、そうした価値を国民に理解してもらい、補助金の根拠を明確にする努力が必要である。
 このような多面的機能は、農家の経営規模の大小を問わず発揮される、あるいは、棚田の景観や洪水防止機能でわかるように、むしろ条件不利な地域の小規模農家のほうが評価が大きい場合もあるから、小規模農家や中山間地域の支援の大きな根拠になる。
 つまり、中山間地域直接支払い制度や農地・水・環境保全向上対策のように、規模を問わない、あるいは条件不利地域に重点を置いた社会政策的な支援には十分な根拠がある。規模要件を導入した産業政策的支援としての品目横断的経営安定対策と「車の両輪」といわれるゆえんである。
 したがって、品目横断的経営安定対策の規模要件の緩和がなし崩し的に行われることで、バラマキとの批判を国民から受けるのを回避するにも、本来は、産業政策としての品目横断的経営安定対策は規模要件を勘案するが、小規模層には別の理由による支援の拡充を行うという施策根拠の仕分けを明確にしたほうが、国民にも理解されやすいと思われる。結果的に、多様な農家全体に支援が行われることは同じであっても、その根拠が国民に納得されるためには、こうした観点からの検証も必要であろう。
 しかし、農地・水・環境保全向上対策もそうだが、品目横断的経営安定対策も含めて、全体に、現場の実態に合わない、活用しづらい、手続きが複雑すぎるとの声があまりにも大きいことは否定できない。なぜ、このような現象が生じているのか、活用する者の立場に立った政策形成が行われているかどうかを今一度検証してみることが急務である。

(2008.1.8)

◆Date:2008/01/09
◇Source: 信濃毎日新聞
◇Title: 社説 さんご礁 見過ごすな消失の危機
◇URL:http://www.shinmai.co.jp/news/20080110/KT080109ETI090002000022.htm

1月10日(木)

 地球温暖化の影響が各地で深刻化している。洪水や暴風雨など気象災害が増えているだけではない。海ではサンゴの生存が脅かされている。

 オーストラリアなどの国際研究チームがまとめた予測は衝撃的だ。温暖化が今のペースで進むと、日本周辺を含め、現在さんご礁が存在する海の98%が2050年ごろにはサンゴが育たない海になる。今世紀末にはほとんどのさんご礁が消失する可能性が高い。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告でも、温暖化に伴うサンゴの死滅が指摘されている。研究チームの分析は、より踏み込んで警告を発した。

 海水の異常高温が続くと、サンゴに共生する藻類が脱落しサンゴは白化する。大気から海水に溶け込む二酸化炭素の量が増えると、酸性化が進み、サンゴは炭酸カルシウムの骨格を作りにくくなる。

 沖縄などで、既に白化現象が見られる。白化状態が長く続くと、死んでしまう。放置できない。

 さんご礁は、人に多くの恵みを与えてきた。多くの魚や貝がすみ、食料となる。観光の目玉にもなる。沿岸では、激しい波を食い止め海辺の住民や生き物を守っている。

 そのさんご礁が消失すれば、損害は計り知れない。保全策を強める必要がある。

 一つは、温暖化を招く二酸化炭素の排出を減らして、悪影響を最低限にとどめることだ。削減の国際的な新たな枠組みづくりや国内の思い切った削減策に加え、個々人の省エネ努力が問われる。

 サンゴを脅かすのは、温暖化以外に、天敵のオニヒトデ、陸地から海への赤土流入、開発による埋め立ても挙げられる。これらへの対策も大切である。

 再生させる活動にも注目したい。NPO法人などがサンゴを水槽で育ててから海底に移植している。環境ビジネスの創出や地域の再生につながればとの期待も高まる。

 今年は「国際サンゴ礁年」だ。高い価値を持つさんご礁が重大な危機に直面しているという理解を広め、保全と持続可能な利用のため行動を起こすことを目的としている。

 既に開幕行事が行われ、ホームページでも保全への理解や活動を呼び掛けている。

 日本は、さんご礁を持つ数少ない先進国だ。保全のための情報を途上国に発信することが重要だ。

 海のない信州だからと傍観したくない。さんご礁のある地域を訪ねれば理解も深まる。保全・再生活動をしているNPOを支援してもいい。ガス削減のため生活を見直しても、サンゴを救う手助けになる。

◆Date:2008/01/09
◇Source: TRAVEL VISION INC
◇Title: 南アフリカ国立公園局、オンライン・ブッキング・システムを導入
◇URL:http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=33409

[掲載日:2008/01/10]
 南アフリカ観光局(SAT)によると、南アフリカ国立公園局がこのほどオンライン・ブッキング・システムを導入した。これにより、簡単で素早い宿泊予約が可能となった。予約の対象となるのは、クルーガー国立公園、テーブルマウンテンなどの国立公園に点在するキャンプ施設やシャレー、ロッジ、ゲストハウスなど約70軒で、期間は1月10日から7月31日となる。

 システムの利用にはユーザー登録が必要で、決済はクレジットカードとなる。目的地や施設名、宿泊人数を選択すると、空室状況がわかるカレンダーや宿泊料金が表示される。現在のところ、旅行者を対象としたサービスだが、今後は旅行会社への対応などシステム機能の増強、および改善を行なう予定だ。

 南アフリカ国立公園局は、南アフリカ観光環境省の管轄下にあり、生態系保全や文化的資源の保護を目的に、南ア国内8州、21ヶ所の国立公園を運営している。また、国立公園や宿泊施設の紹介や観光の見どころ、自然保護活動に関する情報を発信しているほか、園内で撮影した画像を30秒毎に更新し、野生動物をリアルタイムに観察できるウェブカメラ機能も搭載している。


▽南アフリカ国立公園局ホームページ
http://www.sanparks.org/tourism/bookings

◆Date:2008/01/09
◇Source: JANJAN
◇Title: 豊川稲荷で設楽ダム建設中止・請願署名
◇URL:http://www.news.janjan.jp/area/0801/0801078566/1.php
2008/01/10

 1月6日午後2時過ぎから4時近くまで、日本3大稲荷の一つ、愛知県豊川市の豊川稲荷参道の入口で「設楽ダムの建設中止を求める会(代表:市野和夫・元愛知大学教授)」が主催する新春“設楽にダムはいらない!”街頭署名活動が実施された。

 松の内でしかも初の日曜とあって、商売繁盛、家内安全などを願う参詣客が次から次に押し寄せてごったがえす社前で、同会会員始め有志のボランティアメンバー16名が、地元・豊川、豊橋、設楽は無論、知立、高浜、名古屋などから駆け付け、参拝の皆さんにリーフレットを配り「設楽ダム建設中止を求める」知事あて請願署名を呼びかけていた。

 設楽ダムは愛知県の奥三河、長野県境周辺に源を発し、静岡県境沿いに流れて三河湾に注ぐ一級河川・豊川の2大源流の一つ「寒狭(かんさ)川」に国土交通省直轄で建設されようとしているダムだ。国交省が建設理由にあげているのは大きく分けて以下の3つである。

1、まず利水。下流の豊橋市や神野新田など三河湾沿いの工業団地、蒲郡市などが、需要に十分な水がなく渇水に悩まされてきた。今後もこれまで以上に発展するためには水源としてのダムが必要だ。

2、次に治水。下流域に人口が密集する市町村が隣接し、万一水害が起これば被害が甚大になる。洪水を防止するためには設楽ダムが必要だ。設楽ダムを造れば洪水時の水位を下げられる。

3、川の渇水化(「瀬切れ」といわれる)の防止。豊川のもう一つの源流・宇連(うれ)川が、三河の水甕「宇連ダム」に貯水するため極度に減水し、合流点以下の豊川の川底が各所で干上がり、半ば死の川になる。アユを始め水生生物が絶滅に瀕するのを防ぐために、源流の一つ寒狭川に設楽ダムを造り、貯めた水を流せばいい……というものだ。

 これに対し「設楽ダムの建設中止を求める会」は以下のように反論している。

1、設楽ダムの総貯水量9,800万m3から堆砂容量を引いた有効貯水容量9,200万m3のうち水道用水約500万m3、農業用水約800万m3、計1,300万m3の新規利水を挙げているが必要がない。理由は2001年に完成した豊川総合用水事業で、以前に比べ約5割増しの約3億8千万m3を確保できるようになり、現在ではおよそ1億m3を超える余剰・供給余力がある。従って少雨の年にも充分対応できる。

 また人口も伸び止まり、家庭生活水はもちろん、工場などの節水化も飛躍的に進み、さらに農業用水にしても圃場面積が減少し、施設栽培の節水も進化し続けている。
農業用水料金を「面積割」制から「使用量」制にすれば更に節水が進むはず。今後は使用量が減ることはあっても増える見込みすらない。

2、 国交省は2003年の台風10号の水害時にダムが完成していたら、新城市石田・基準点で35pの水位低下の効果があったとしているが、ダム上流と基準点までを加えた面積は流域面積全体のわずか11%で、残り89%の「人口と財産の集積する地域」には効果がない。

 たった35pの水位低下ためのダムはいらない。水田や森林の保全、堤防の強化、不連続堤・遊水地の活用、低地の宅地開発規制など流域全体で総合的に取り組むべきである。
3、有効貯水容量9,200万m3の65%にあたる6,000万m3を「川の渇水化防止」水量(不特定容量=流水正常機能維持)としているが、最大の目的が不特定というのも非常識な話である。

 しかも1つもダムがなかった自然豊かな寒狭川に巨大ダムを建設して水を貯め、豊川用水への取水で減った「宇連川の一部や、下流の本流・豊川」の水量を若干程度、増やすために使うなど、源流の自然を破壊して下流の環境にカンフル注射をするようなもので、本末転倒もはなはだしい暴挙である。

 ほかに地球温暖化が緊喫の問題になりつつある時代に、多種多様な生物が棲息する豊かな森林地帯を破壊する「建設することだけが目的」のようなダムは不要である。…などとしている。

 雲ひとつない晴天だが、風が強く底冷えする社前で、街頭活動には珍しい20代、30代の5、6人を交えたメンバーが、晴れ着で着飾った参拝客の皆さんに「住所氏名に加えて捺印または拇印が必須」の署名をよびかけた結果、1時間半あまりで約300名の署名を得、リーフレットも500部あまり配布して活動を終えた。

 じっくり話を聞いて署名した地元商店の方や、屋台のまとめ役などが「釣りができなくなったら大変だ」などと声をかけ、周辺の「縁日の屋台」の主が積極的に署名に応じていた様子が印象的だった。また横断幕を見ただけで近づいてきて署名する方も多く、地域での関心も高まってきているようだった。

 愛知県は今年3月に満水になり完工予定の徳山ダムからの水利権を持つが、まだその水を愛知に引く導水路すらない。しかも長良川河口堰からの水利権をはじめ、水が有り余る状態にある。いったいこの現状を当局はどうみているのか理解不能だ。

 同会は1月27日午後1時から新城市民会館で「淀川の軌跡―河川法改正10年を経て」と題し、元・淀川水系流域委員会委員長、宮本博司氏による講演会を開催するという。

 構想発表以来40年近くたつ設楽ダムの今後を引き続き注視したい。

(上野数馬)

◆Date:2008/01/10
◇Source: 日刊スポーツ新聞社
◇Title: 「びわ湖会議」結成30年で解散へ
◇URL:http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20080110-305545.html

 滋賀県の主婦を中心に琵琶湖の水質改善に取り組んだ「びわ湖を守る水環境保全県民運動」県連絡会議(通称、びわ湖会議)は10日、結成から30年を迎える今年で解散する方針を決めた。5月の総会で決定する。

 滋賀県環境政策課によると、同日開かれた3役会議で、メンバーが高齢化しており、環境問題に取り組む各地域の民間非営利団体(NPO)に運動を引き継ぐべきだとの指摘があったという。

 びわ湖会議は1977年に琵琶湖で大規模な淡水赤潮が初めて発生したのを受け、78年に前身の組織が発足。生活排水による水質汚染の拡大を抑えるため、湖周辺の主婦が中心となり、合成洗剤ではなく粉せっけんを使う「せっけん運動」を主導した。

 県は運動を受け、80年にリンを含む洗濯用合成洗剤の使用規制を盛り込んだ「琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」を施行。びわ湖会議は環境保全運動のシンボル的な存在だった。

 県は91年以降、補助金をびわ湖会議に支給。本年度も370万円を支給しているが、財政難を理由に来年度は廃止を決定。「解散方針を事前に把握した上での措置であり、補助金廃止が解散の理由ではないと考える」と説明している。

[2008年1月10日20時53分]

◆Date:2008/01/10
◇Source: 京都新聞
◇Title: 「役割果たした」びわ湖会議解散へ
◇URL:http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008011100090&genre=H1&area=S00

「せっけん運動」先駆け
 琵琶湖の水質改善を目指した「せっけん運動」の中心となり、住民中心の環境保全活動の先駆けとなった「びわ湖を守る水環境保全県民運動県連絡会議」(びわ湖会議)は10日、今春にも解散する方針を固めた。結成から30年目を迎え、「一定の役割は果たした」として歴史に幕を閉じる。

 1977年5月に琵琶湖で赤潮が大発生したのを機に、リンを含む家庭用合成洗剤から粉せっけんへの切り替えを呼び掛けた「せっけん運動」。翌年には県内の主婦が同会議の前身組織を結成して運動を引っ張り、有リン洗剤の使用などを禁じる県琵琶湖富栄養化防止条例の制定(80年)などに結実した。

 結成から10年を迎えた88年に現在の名称に変更し、構成団体は最多で139を数えた。しかし近年は構成団体数が減少し、中心メンバーも高齢化している。この日県庁内で開いた三役会議で、5月ごろに開催する総会で解散を図ることを決めた。

 同会議の吉良龍夫議長(88)は「家庭と琵琶湖の環境がつながっていることを訴えた点で、非常に意義の大きい運動だった。だが同じ趣旨で活動するNPOや住民活動も出てきて、びわ湖会議はある点で役割を終えた」と話している。

 解散の方針を受け、嘉田由紀子知事は「びわ湖会議の真髄は『私の暮らし』を『私たちの川』『みんなの琵琶湖』につなげた広がりとつながりであり、この精神と経験を引き継がないともったいないかぎりです」とのコメントを発表した。

◆Date:2008/01/10
◇Source: 社民党
◇Title: 社民党の農林水産政策
◇URL:http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/agriculture/agriculture0712.htm

1、農家経営の所得安定対策の拡充をめざし、
地域農業・農村の振興を図ります。
(1)政府が推進する「戦後農政の大転換」としての新たな「品目横断的経営所得安定対策」は、支援対象を約3割の担い手だけに限定し(約40万経営体、規模要件は認定農業者4ha、集落営農は20ha)、大規模化をさらに促進するものであり、家族農業や集落の機能を弱体化させるものです。

それは、意欲あるすべての農家を支援することにはならず、家族農業や中小農家を切り捨て、担い手と非担い手の2極分化(効率化のもとでの選別農政)を進めるものでしかありません。その先には、農家所得のさらなる減少(販売農家の所得は00年606万円→04年351万円)、農産物の価格下落(農業総算出額96年10.3兆円→05年8.5兆円)、離農の増加(総農家戸数は00年312万戸→05年285万戸)、耕作放棄地の増加(95年25万ha→05年38万ha)、農産物の生産低下、中山間地農業の没落、食料自給率の低下と優良農地の喪失、多面的機能の低下が迫っています。

このような政策を見直し、家族経営農業の充実のための直接支払とし、食料自給率の向上、地域農業の発展をめざします。集落営農の面積要件などは柔軟化し、対象品目の拡大とともに地域で自主決定ができる制度をめざします。

(2)政府は、「農地・水・環境保全向上対策」(予算額303億円)を品目横断的な経営所得安定対策との車の両輪と言いますが、内容は、交付金の支給を地域共同体とその地域内農家に狭く限定し、国の支援も少額(基礎支援:水田10アールあたり2200円、プラス県・市で2200円)であり、環境保全に貢献してきた減農薬や有機農業は対象外としているなど不十分な面があります。

社民党は、日本の国土(7割が森林)や中山間地域、多様な生態系を生かし、

1)地方が取り組みやすいよう国の財政支出を拡大(予算の倍増など)し、自治体負担を軽減、
2)平地・都市・中山間地の役割を明確化、
3)豊かな田園、田んぼ(生物)、農業水路づくりなど自然環境保全に貢献する「環境支払い」として充実・拡大を図り、豊かな地域農業、集落機能を築きます。

2、自然環境保全・地域農業再生を農政の基本とします
(1)人間の健康と食の安全、環境にやさしい有機農業など環境保全を基本とした農業を推進します。有機農業は、農薬使用の制限、適切な物質・栄養循環、土壌保護、生物多様性・自然保護、動物福祉の向上などの利点があり、公共性を備えています。日本の気候風土や家族農業に適した、自給と環境を重視する有機農業・環境保全農業の推進・拡大をめざすため「有機農業の推進法」の制定に取り組み、有機農産物の生産振興・市場育成を図ります。さらに、有機農産物認証制度の見直しなど、国内総生産量に占める有機農産物の格付割合(04年0.16%)の拡大、国内有機農産物の自給率(04年9.6%)を増やします。

(2)農地・農村、景観、環境保全対策として「環境支払い」を導入します。

環境支払いは、
1)生産段階、
2)農家への直接支払いとし、
3)消費者・環境・動物保護、 食料・飼料の安全、生産面でのリスク管理・記録(GAPなど)、良好な農地の保全など基準を定め、
4)地域の実情に配慮し、条件不利地には支払いを手厚くします。

(3)自治体ごとに「アグリミニマム」(地域に最低限確保したい農的環境=農地、緑地、生き物、大気・水、水源、山林、河川・池などいのちと暮らしのための持続可能な環境)などの保全目標値を定め、街づくりに生かします。

(4)耕作放棄地の増加や優良農地の喪失も懸念されることから、スリム化や合併により弱体化・形骸化されてきた農業委員会の独立性を高めるとともに、農地の保全などその役割、権限を高め、自給率の向上をめざします。市町村の農林担当者を増員し、農村との連携、地域・観光の活性化、情報公開、事業の継承、専門者の育成、雇用創出、自然環境保全を図ります。

(5)消費者とのつながりや農産物とのふれあいを深め、地域が元気になる直売所やファーマーズマーケットなど地産地消を広げます。

(6)耕蓄連携を促進し、林間放牧や里山放牧、飼料作物による水田維持など農山村の景観保全を図ります。

3、国民の主食である米(水田農業)を守り、米政策を拡充します。
(1)米価下落を阻止し、米政策を改革します。
改正食糧法(03年)や米政策改革(04年)など流通の自由化、競争原理の導入などにより米価は下がり続けています。米の総産出額も1.97兆円(05年)と2年連続で野菜を下回っています。07年産から米の生産調整が導入され、国主導から農業者・農業団体が主体となった生産調整に移行されますが、不参加農家の拡大や過剰生産、さらなる米価下落など多くの不安が生じています。米価低迷の長期化など米政策改革・地域水田農業ビジョンの徹底した検証を行なうとともに、条件不利地域への配慮など公平性の維持、助成制度の充実を図ります。米を作って農家が生活できるよう、一定の米価水準を下回った場合には全額補填するなど新たな下支え価格(最低保障価格など)を創設します。

(2)米の作付面積170万ha(収穫量872万t 04年)は低下の一途であり、作付面積を拡大します。低下し続けている米の消費量(1人1月あたり消費量4.9kg(05年)、年61.5kg04年)の増加をめざします。

(3)政策政府備蓄は300万トンとし棚上げ方式を採用します
米価引き下げの要因となる政府備蓄米については、危機管理機能と需要調整機能を付与し、モミ米として保管します。放出時には主食用とはせず、加工用、援助用、バイオマス資源等に活用します。このため現行の回転備蓄方式ではなく棚上げ備蓄方式に転換します。

(4)WTO協定のミニマムアクセス(MA)米の輸入数量(年77万トン、在庫は203万トン)を削減します。EUでは、米国産の輸入米からGM米(遺伝子組み換え)が検出されたことから、輸入禁止を決めました。日本でも、輸入米や米粉、加工品に対する検査・監視体制の見直しなどGM米の混入・流通を防ぐ体制を強化します。

(5)耕作放棄水田を活用したエネルギー(菜の花プロジェクトによるバイオディーゼル、えさ米アルコール化)の自給に取り組みます。

4、水田の多面的利用を進めます
社民党は政府の米抑制政策に対して、生産抑制ではなく、水田の多面的利用を図る中で、わが国食糧の構造改革を図っていくべきだと主張してきました。多面的利用の具体的な提案が、飼料稲( ホールクロップサイレージ) や飼料米( グレーンサイレージ) の栽培です。これは米が豊作で過剰となるような時には、米や稲を飼料として活用し、逆に凶作時や輸入が困難な時には、飼料に回していた米を主食に振り替えるというものです。飼料作物の自給率向上や食糧安全保障の確立にもつながるものです。同時に大豆や小麦など主要農産物の生産拡大を図り、米と同様の所得補償を行います。

5、食の安全、持続可能な食料を基本とする農業施策を確立します。
世界が食料過剰から不足の時代を迎えている中で、食のグルーバル化による大量生産・大量消費とともに土壌劣化や水不足など生活・環境破壊が食糧危機を進行させています。大規模化・効率化・市場化の方向ではなく、食の安全、自給率の向上、国土・環境保全型農業の拡大、有機農業の振興、地域農業の再生を基本とする農業政策を推進します。

(1)有機農業の推進を国の基本として確立するとともに、有機・減農薬生産を振興するための奨励金や助成制度を確立します。また有機・減農薬生産によって生じる所得の減少分を補填する制度を確立します。

(2)国土・環境保全型農業を拡大していくために、とりわけ中山間地域を対象とした直接支払制度を拡充します。これまでの支払制度は、平地と中山間地の生産力格差を是正するためのものでしたが、それだけでは中山間地の水田や集落機能は維持できません。中山間地の農業は環境保全に果たす役割が大きいことから、制度を「環境支払い」(所得補償)とし水田農業・集落が維持できるようにします。

(3)自給可能な基礎的食料の自給力を高め、食料主権を確保します。日本の食料自給率は40%(8年連続横ばい)と先進国の中で最低であり、6割を外国産に依存しています。また、政府による自給率低下の検証結果もはっきりしないままでは、行動計画の実効性も期待できません。食料供給の海外依存からの脱却にむけて、当面の食料自給率達成目標を50%(基本計画では2015年度までに45%に先延ばし)とし、この目標を達成するため、470万fの優良田畑の確保、直接支払いの拡充、国内生産の拡大、地産地消の推進、多様な担い手の確保、消費者との連携強化、日本型食生活の普及等に取り組みます。とりわけ小麦(14%)、大豆(4%)、穀物(27%)などの自給力を高めるとともに、飼料自給率(現在24%)を増加します。特に豊潤な水田と豊かな食文化を次世代に残すため、田畑輪換が可能な農地、棚田の保全などによって水田機能を維持します。

(4)大規模経営のための急速な農地の集積化や転用規制の緩和は、耕作者主義に反し、農業の工業化を一層進めるものです。株式会社による安易な農地取得は認めません。

(5)米を中心とした日本型食生活の普及に力を入れ、米粉パンなど米消費の拡大に積極的に取り組みます。同時に地域の食文化を維持・活性化し、地域生活の自立・自給力拡大につながる地産地消の促進、いのちをいただく食育、スローフード運動等に取り組みます。学校給食を充実するため、自校方式への促進と国の助成拡大、栄養教諭の定着をはじめ、その土地の農産物を奨励(優先)し、食べる喜びを充実させるとともに子どもの健康を守ります。
豊かな食生活を実現するため、子どもたちの農場参観や耕作・収穫への参加、味覚を育てる授業、調理、伝統料理の評価、食品成分の知識など学校での食農教育を充実します。

(6)食の安全性を確保するための総合的な政策を進めます。

1)生産から流通、加工、販売、消費に至る全プロセス(フードチェーン)での、トレーサビリティ(流通経路情報把握)制度の導入、モニタリング強化など具体的かつ厳密な安全対策を講じます。すべての輸入農蓄産物・食品に対するトレーサビリティの確立、原産地・成分表示の義務づけ、監視強化を進めるとともに、農薬や添加物など国産品と同等の安全基準を設けます。また、検疫所や地域の保健所による検査の徹底を図ります。農産物・生産現場に対し、リスク管理対策・記録(農薬の使用状況や水源、廃棄物の管理、洗浄や衛生管理など)を行い、食の安全性を証明する日本版GAP(適正農業規範)を導入します。

2)食品による健康被害防止、欠陥商品の排除等を進めるため、政府が食品の情報収集・調査・リスク評価・情報公開・警告・回収等を行なうことができる「食品リコール制度」の導入を検討します。

3)食品衛生法に基づく「食品・添加物の規格基準」を厳格化し、健康影響評価の実施、抗生物質や食品添加物の情報公開、削減に取り組みます。人体や環境に影響を及ぼすおそれのある「食品への放射線照射」の推進については、安全性が確認されておらず、毒性など試験研究も不十分なまま、照射食品の流通( 輸入) に対する検知方法がなく行政監視も不可能であり、照射放射能漏れ・被曝・廃棄物処理の問題など消費者に何のメリットもなく、不安を及ぼすだけであり反対します。

4)農薬の残留リスクを減少させるため、農薬の使用削減・適正使用、飛散防止・汚染防止に取り組みます。「農薬ポジティブリスト制度」については、今後、行政・生産者や加工業者による監視強化とともに、農薬が目的の作物以外( 隣の作物等) に飛散( ドリフト) することを防止するための対策強化、環境保全、農薬全体の縮小、食の安全に資するよう取り組みます。

5)予防原則や市民参加などリスクの削減管理体制を確立します。食品安全委員会の権限・機能の拡充、勧告制度などその独立性・権限を高めます。

6)食と農の関係・構造を、世界、地域、人間、動物、環境、価格、暮らしの視点から大胆に見直し、国産農産物の価値を高め、安全・安心な食料供給と農業の再生を図ります。

7)生産者と消費者の相互理解を進め、生産・流通・加工・販売業も組み入れた健全な食と農を追及します。消費者による農(生産者)への認識を深めるとともに、持続可能な食と農を担う市民活動を支援します。

8)食品衛生監視員の増員、農薬散布や農業用水利用による検出数値・データ・情報の提示等、輸入食料の残留農薬検査・検疫など安全対策の強化、食品衛生法の違反企業(輸入業者)への罰則強化(罰金額引き上げ、販売停止)などに取り組みます。

6、BSE(牛海綿状脳症)対策、鳥インフルエンザ対策を強化します。
(1)国内では、現在30頭(06.11現在)のBSE感染牛が確認されています。国民の健康を守るため、食の安全・安心を基本としたBSE対策を進めます。

1)政府は、食の安全と国民の健康を置き去りにしたままの危険な米国産牛肉の輸入再開を 強行しました。米国のBSE対策は、日本と比べて検査頭数も少なく、甘い飼料規制やずさんな検査体制、肉質による月齢判別方法、食肉処理場での特定危険部位の除去が不徹底など安全性は担保されていません。
米国に対しては、日本と同等の検査体制(全頭検査、特定危険部位の完全除去、肉骨粉の投与禁止、トレーサビリティ制度)を強く求めるとともに、サーベイランスの強化、食肉処理工場の検査徹底などBSE対策の拡大を要求します。食品安全委員会は、米国産などの牛肉のリスク評価をしっかり実施すべきであり、政府が国民への情報公開など説明責任を果たすよう強く求めます。

2)牛肉消費への不安解消と安定供給にむけて、輸入牛肉に対するリスク評価やトレーサビリティ制度等の確立をめざします。スーパーや小売店、外食・中食産業などすべての牛肉等加工品の原産地・原材料名の表示を義務づけます。

3)消費者や生産者などから信頼が高い全頭検査を維持します。特定危険部位の除去を徹底し、屠場でのピッシングは中止します。

4)科学者・行政・市民・生産者の連携による科学的なリスク評価とリスク管理システムをめざします

5)病原体の特定、感染牛30頭の感染経路・実態把握などBSEの科学的解明を進め、根絶をめざします。

6)有機農場や安全な飼料・放牧、耕蓄連携など動物と自然環境にやさしい畜産業の振興を図ります。

(2)高病原性鳥インフルエンザ対策を進めます。
日本では、04年に西日本で発生以降、いまだ発生原因や伝播経路の解明には至っていません。世各地でも、鳥インフルエンザ(H5N1型)が流行し、鳥から人への感染による死亡とともに人から人への感染も確認されており、国内対策の強化とともに被害拡大の防止にむけて感染国との協調・支援などに取り組みます。

1)発生原因や伝播経路の調査・早期解明
2)監視体制の強化、発生した農家・養鶏場からの迅速な連絡体制の確立
3)汚染の除去
4)自治体間の連携、自治体と養鶏業者の連携の徹底
5)消費者・流通・小売業者、地域住民との連携の徹底、情報公開
6)日常の健康調査、養鶏場の事前調査、野鳥の調査など早期発見の努力
7)処分した鶏で周辺の土壌や水質が汚染されることのないよう消費者や地域住民が納得する処分方法の確立
8)風評被害対策、発生養鶏農家および周辺養鶏農家に対する補償
9)養鶏場に働く人々や周辺住民の健康対策等。

7、株式会社の農地取得、規制改革による農協の分割は認めません。
(1)株式会社の目的は生産ではなく利益追求・採算です。採算が合わなければ生産は放棄され、農地も農業以外の目的で使用されることになります。生産に不可欠な農地が消失すれば自給率の向上も多面的機能の発揮も不可能になります。株式会社は農業生産にとって決して安定した経営体とはいえません。しかも株式会社による生産の効率化や市場化、大規模化の追及は、結局合成化学農薬の使用拡大や遺伝子組み換え作物の生産に道を開くおそれがあります。さらに、大きな問題は株 式会社による農家の再編が進めば地域が分断され、日本農業が営々と培ってきた伝統的集落営農機能が破壊されるということです。社民党は家族農業を基盤とした集落営農機能を活性化していくことこそ日本農業を再生していく道だと考えています。

(2)日本の相互扶助的地域社会は、戦後、社会党が推進した農地改革と農協法の制定によって築かれました。自民党は、郵政に次いで、農地法と農協法を解体することで、競争型社会体制づくりの総仕上げを図ろうとしています。
農地制度の改革は、株式会社に農地取得の道を開き、企業型農業への一大再編を図ろうとするもので、農協改革は、一体的な経済事業と信用事業・共済事業の分離・分割を進めることを基本に、農協事業への独禁法適用除外の取り消しなどを主な柱としています。農協三事業の一体化は、農産物の販売活動を支える営農指導をはじめ、農家むけサービス事業など不採算部門を支えるために行われていますが、これが分離されると、肝心の経済事業も成り立たなくなり、JA体制は崩壊し、農村は生産から金融、保険など全般にわたる資本支配市場へと再編されてしまいます。その結果、農村社会の持続も不可能な事態に陥ることから、社民党は地域の人々による農業再建と、民主的な農協活動強化を基礎とした取り組みを進めます。

8、多様な農業の担い手を確保します
専業、兼業、後継者、新規就農者、U・Iターン就農者、定年退職就農者を問わず、地域の実情にあった家族農業、集落営農、農業生産法人など、多様な地域農業の担い手を支援します。また多様な担い手を確保するために、就農に必要な経営・技術研修を行うとともに、農地の取得、生活のための就農資金の助成、無利子資金の融資を行い、一定期間就農した場合は償還を免除します。また、農機具への助成や機械の共同利用を進めます。何よりも大切なことは農業で生活ができる、農業に夢と希望が持てる政策を進めることであり、社民党は直接所得補償の創設などそのための施策を実現します。

9、WTO農業交渉
−国内第一次産業の活性化につながるルールを確立します
現行WTO農業協定は食料輸出国に有利で、輸入国には不利という不平等な協定です。アメリカやオーストラリアなどの輸出国は、自国に有利なルール(輸出補助金・信用、国家貿易、輸出義務等輸出規律)は何ら是正しようとせず、輸入国に対してのみ、より不利な条件を押しつけようとしています。

それが
1) 関税の上限設定(関税率の大幅引き下げ)であり、
2) 最低義務輸入数量の大幅拡大、
3) 特別セーフガードの廃止、
4) 国内支持政策の大幅縮小等です。

食料輸出国のこのような理不尽極まりない要求がまかり通るなら、日本をはじめとする食料輸入国は農業経営を放棄する以外にありません。
多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)におけるジュネーブでの主要閣僚会合(06年7月)では、アメリカの農業国内補助金を譲歩しない身勝手な姿勢などから決裂、凍結に至りました。政府は、引き続きWTO交渉の合意をめざすとともにEPAやFTAの二国間交渉を重視する姿勢を強めており、農産物の関税削減には反対しつつも、農業の構造改革による国際競 争力を高めようとしています。しかし、FTAやEPAについては、WTO協定との整合性や輸出国(先進国)優位の貿易体制、食糧主権の低下、世界的な農業の衰退、2国間による排他的な貿易問題なども指摘されています。

農業協定の合意を図るためには、何よりも
1) 輸出補助金・信用の完全撤廃、
2) 輸出国家貿易に関する情報開示(貿易を歪曲する輸出促進支援が含まれている時は即時撤廃)
3) 輸出国が不作になった場合でも従前の輸出量の7割を輸出する義務を負う等、輸出国にだけ有利なルールを根本的に是正することが先決です。

そのうえで「食料の安全保障」、「農業の持つ多面的機能」、「多様な農業の共存」を世界の共通認識としつつ、「各国の第一次産業が活性化する公平・公正なルール」、「途上国支援」を確立すべきです。輸出国の要求である関税上限枠の設定や関税割り当て拡大は認められません。ミニマムアクセス米は廃止か削減を実現すべきあり、食料輸入国の唯一の対抗手段である特別セーフガードも維持・拡大すべきです。

10、合成化学農薬の使用を削減し、
遺伝子組換え作物の生産を禁止します。
(1)国民に安全な食物を供給するため、国の基本方針として合成化学農薬、食品添加物、遺伝子組み換え作物の使用を削減していくことを明確にします。農薬、化学物質、遺伝子組み換えの安全性に係る情報(農薬の場合には登録や登録の失効にあたっての理由や基礎データ)はすべて開示を義務づけます。また、有機農業や地産池消に取り組む生産者・消費者の不安を解消するため農薬取締法の定義を改正します。特に新設された「特定農薬」という規定は、日常の食べ物を「農薬」と位置づけるものであり、「有機農業つぶしだ」という批判も高まっていますので早急な改正が必要です。

(2)現在、遺伝子組み換え食品の表示は、遺伝子組み換え作物の含有率が5%以下であれば「遺伝子組み換え」と表示をしなくてもいいことになっていますが、これをEUの基準と同様、含有率が0.9%以上であれば「遺伝子組み換え」と表示するよう義務づけます。また、一般作物との交雑・混入防止対策の強化、遺伝子組み換えの研究・実験・開発・栽培についての詳細な情報開示を義務づけるとともに、遺伝子組み換え作物は安全性が確認されるまで国内での生産を禁止します。有機食品、無農薬、減農薬農産物については、国際基準よりも厳しい基準を設定し、国・公的機関による認証・表示制度を確立します。

11、森林の機能保全・整備の拡充、
木材の積極利用で地球温暖化対策、林業再生を図ります。
(1)わが国は、「温室効果ガスを1990年比6%削減(達成年2008〜2012)する」という京都議定書の目標を達成するにあたって、森林による二酸化炭素吸収量を3.9%とする目標を掲げています。
しかし、現状では2.6%という見込みであり、この目標を達成するためには「森林・林業基本計画」および「地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策」に基づく森林の育成・整備等の着実な推進と財源の確保、林業の担い手拡大をしなければなりません。政府も、森林整備の事業量が現状規模で推移するなら達成は困難だということを認めており、森林の育成・整備の事業量を現行の1.3倍以上、10万人規模以上の労働力を投入するなど循環型林業を構 築することが必要です。現在実施されている緑の雇用担い手対策事業(03年開始)を充実するとともに、労働条件の大幅改善など雇用対策の充実、地域とのふれあいなど受け皿となる山村の整備を進めると同時に継続的な財政措置を図ります。
この目標を達成するために環境税(炭素税、森林環境税等を検討)を導入するとともに公共事業の見直しや自動車関係諸税の転用を図り、その財源を森林の育成・整備に投入するなど、毎年度の必要予算を確実に確保します。

(2)森林の持続的維持や林業の活性化のためには、地域材・国産材の積極的利用が不可欠です。グリーン購入の拡大、学校をはじめ公共施設への国産材使用を義務づけるとともに、国産材住宅を建設する場合の助成の拡充や、国産材を使用する伝統工芸への助成、化石燃料の代替として注目されるバイオマスの本格利用に向けた公共施設の発電・熱利用の設備構築の推進など、国産材利用を促進する対策を進めます。わが国の国土の7割が森林(約2512万ha)であるにもかかわらず、木材自給率は20%ギリギリの状況です。熱帯雨林やタイガの違法伐採や乱伐が憂慮され、世界第3位の輸入国として国際的批判が強まっており、このような中で日本の現状がいつまでも世界から容認されるとは考えられません。輸出入両国の計画的・持続的な森林整備を阻害し、輸出国の環境被害を起こしている違法な外国産材の流入を厳しく規制(民間流通木材の実態把握と監視強化、履歴管理システムの導入など)するとともに、外国産依存の構造から国内産利用への構造へと転換を図ります。
21世紀に対応する資源循環型社会を構築するため、森林整備の推進や国産材の利用拡大(政府の供給目標04年利用料1700万?→2300万?・2015年))とともに林業の担い手確保に向けて直接所得補償制度を創設するなど、林業が持続的かつ安定した経営が可能となる施策を進めます。

(3)森林の多面的機能を発揮するため、森林整備、林業の再生・活性化に取り組みます。日本の森林面積の6割は天然林、4割が人工林です。森林所有者の高齢化、木材価格の低迷、山の荒廃が長期化しており、不在村森林所有者の保有する割合も、日本の私有林の4分の1(24.4% 05年)にまで拡大しています。また、平成16年度の林業経営統計調査によると、山林を20ha以上保有し施行を行っている林家1戸当たりの林業粗収益は250万円、林業経営費は208万円であり、林業における所得は年間42万円でしかありません。森林のもつ多面的機能(土砂災害防止・土壌保全、水源涵養、保健・レクリエーション、生物多様性保全、地球環境保全、快適環境形成、文化、物質生産)と公的な役割を重視し、これらの資源を次世代に継承していくためにも、国の責任を明確化した森林管理、国土保全、木材の安定供給、林業の活性化に取り組むことが重要です。同時に、林野庁が民有林、国有林を一元的に管理・運営し、国民生活の安全と安心確保、持続可能な森林経営ができるよう取り組みます。

(4)森林行政の独立法人化に反対し、国の責任による森林管理体制を維持します。政府の行政改革減量・有識者会議が決定(06.6.30)した森林行政の一般会計・独立行政法人化(2010年)は、「国有林野事業の抜本的改革」(98年合意)を反故にし、職員等を二分化させ、森林管理を弱体化させるものです。森林調査を実施する「森林レンジャー」(基幹作業員)の育成、不在村の森林の買い上げ、国・自治体による一体化した取り組みの強化、後継者育成・技術の継承を進め、予算配分の拡充に取り組みます。

(5)造林施業(新植・下刈り・間伐等)支援の拡充、保安林内における治山事業の充実、「森林地域活動支援交付金事業」の継続・拡充などに取り組みます。

12、水産資源を回復し、水産業の振興を図ります。
日本の漁業者は総じて、水産資源状態の悪化や水産物価格の低迷・暴落の下で苦しい生活を強いられており、水産資源の回復と漁業で生活ができる魚価を切望しています。とりわけ零細な漁船漁業においては、漁船購入や維持にかかる費用が多額であり、漁業者は漁船購入資金の償還に追われています。生活を維持するためには、漁獲量をさらに増やさなければならず、それが資源の枯渇に拍車をかけ、結果として漁業者はいっそうの生活苦に陥るという悪循環が繰り返されています。この悪循環を断ち切るには、徹底した資源保護政策と野放しの輸入を規制する以外にありません。わが国の周囲は豊富な海洋資源に恵まれているにもかかわらず、魚介類の国内自給率は50%であり、日本人の食べる魚の半分は外国産という実態です。

乱獲をあらため資源の状況に適合した漁獲を調整・維持するためには、漁業者への国による補償が不可欠です。さらに資源の減少と魚価の低迷は、漁船員にいっそうの労働強化、労働環境悪化、労働条件悪化となって跳ね返っており、これが若い就労(後継)者を確保できないまま高齢化を招く原因となっています。日本の漁業を存続するためには、これらを改善することが求められています。社民党は、沿岸漁業を守るために浅海の生態系を守り資源の再生に努めるとともに沿岸漁業が維持存続できる直接所得補償制度を導入します。漁獲制限や輸入制限を行う場合には補償措置を講じます。また密漁や違反船を取り締まり、資源の枯渇防止に取り組みます。漁船漁業を守るために漁船員の福利厚生、特に社会保障制度の充実を図ります。また、漁獲量が減少している魚種や魚体選別機が使用されている漁種については、資源状態をより正確に把握できる調査研究体制を整備するとともに、資源保護策が的確に運用できるように取り組みます。国際的資源乱獲に歯止めをかける新たなルールづくりに努力するとともに、国際的な資源保護措置を損なうすべての違法・無法漁船の廃絶とその漁獲物の日本市場への輸入を禁止します。

◆Date:2008/01/10
◇Source: 日本工業新聞
◇Title: 日本の“土”に可能性 温暖化の緩和に期待
◇URL:http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200801140013a.nwc

 ■農地に堆肥、炭素を蓄積…農業環境技研が解析

 農地に堆肥などの有機物を用いると、土壌に炭素を蓄積できることなどが、農業環境技術研究所が実施した約2万地点に及ぶ農地のデータ解析によって明らかになった。

 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書は、土壌の炭素蓄積量を増加させると地球温暖化を緩和できるとしている。今回の結果は、農地の適切な管理を通じて土壌炭素の蓄積量を増やすことができれば、地球温暖化を緩和できる可能性があることを示している。

 データ解析によると、農地の種類(地目)ごとの表層土壌の炭素含量は、水田、樹園地よりも普通畑で多いことが判明。これは、普通畑の土壌の多くが、もともと土壌炭素含量の高い火山灰由来の黒ボク土であるためと考えられている。

 また、土壌炭素含量は、普通畑では減少する傾向がみられたものの、水田ではほとんど変化が現れなかった。これは水田に水を張ることによって、土壌有機物の分解が抑制されるためと推測している。

 樹園地では、水田や普通畑とは逆に、土壌炭素が増加する傾向にあった。耕起回数が少ないために土壌有機物の分解が抑制されることが主な要因とみている。

 これらに加えて、農地への作物残渣(ざんさ)のすき込みや、堆肥などの有機物の利用、耕起回数を減らすなどの土壌管理によって、土壌中への炭素の蓄積が可能であることが分かった。

 土壌中に炭素を蓄積しておくことができれば、地球温暖化の進行を食い止めることにつながるため、土壌の適切な管理を通じた温暖化対策が図れるようになる。食の安全と環境保全の観点から、有機農業に対する期待も大きいだけに、農業での土壌利用をどう改善できるかが、今後の課題になりそうだ。

◆Date:2008/01/13
◇Source: 日本共産党中央委員会
◇Title: 列島だより 漁民の森 つながる 森・川・海
◇URL:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-01-14/2008011413_01_0.html

 森・川・海のつながりで生態系を考える見方と運動が広がっています。人が生活する里を加えて森里海(もりさとうみ)の連環・つながりで研究する学問も提唱されています。先駆けのひとつが、いまでは全国に広がる自主的な漁師による植林だったというのです。

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先人の経験 今に生きる
 漁村では古くから「魚を育てる森がある」「森が魚をよぶ」と言い伝えがありました。その森は「魚つき林(うおつきりん)」とよばれます。漁師の経験と先駆的な学者の説にたって、「漁民の森」づくりが始まったのは一九八〇年代後半から。漁師が山や川の流域に木を植えるのです。

 北海道漁協女性部が一九八八年、漁協として初めて組織的に実施し、全道へ広がります。「百年かけて百年前の自然の浜を」と漁協の女性たちが毎年、大量の植林を続けています。オホーツク海に面するホタテ養殖で有名な北海道常呂(ところ)町(現北見市)の漁協では、これまで植えた木は五十九万六千本に及びます。

 全国では、百八十六カ所(二〇〇五年調査)で漁民の森づくりを実施。北海道は漁協中心ですが、本州、九州などは自治体やNPO(民間非営利団体)が主催するケースも目立ちます。「お魚殖(ふ)やす植樹運動」「サクラマスの森づくり」「ハタハタの森の里づくり」「海人と山人の森づくり活動」と呼び名もさまざまです。

水源地 森の民もともに
 全国に広がるきっかけになったのは一九八九年、海の異変に気付いた宮城県気仙沼湾のカキ養殖漁民が川の上流の山(岩手県室根村、現一関市)に広葉樹を植え始めたことでした。リーダーの畠山重篤氏が、海の幸の源が川の奥地にある広葉樹の森にあるとして、名づけて「森は海の恋人運動]]を開始したのです。

 この運動に植林の場所になった上流の「森の民」が応えます。山林が72%の室根村第十二区自治会(農業集落)が数年後に自ら森づくりを提案。下流の「海の民」と手を携えた「森は海の恋人」植樹祭は毎年六百―九百人規模で盛大に行われています。

 同自治会は、この時期、独自に「水車のある集落づくり構想」を策定し、水車をシンボルにして水源の山の水枯れや鉄砲水防止の森づくり、環境保全型農業、手づくり産業の振興にのりだしました。地元紙や全国紙の賞も受賞する注目されるとりくみです。

 漁師とともに植林にあたる第十二区自治会の小野寺寛・水車村村長=一関市=は、こう語ります。

 「植林を始めて今年で二十年ですが、森のあり方を見直し、地域おこしのきっかけになりました。海の生物環境をよくしたいと漁師が森に木を植えた運動は、上流の私たちには過疎脱却の地域づくりの運動でもありました。海の生物だけでなく内陸部のすべての生物、農家の稲作にとっても、広葉樹の落ち葉など森の栄養分はかけがえのないものだからです。いま人工林伐採の後に広葉樹の森づくりが広がり始めています」

 参加者がのべ一万人近くにのぼったという植樹祭は、森川海の生態系にそった豊かな森づくり・海づくりへと前進しています。

人間活動加えた連環学
 行政上も学問上も、ばらばらに扱われてくることの多かった森・川・海。それぞれの循環が崩れ、荒廃が急速に進むなかで、そのつながりと総合管理を重視した発想へと動いていきます。

 集落の消滅に直面する百四十六自治体が昨年十一月三十日に全国水源の里連絡協議会を結成するという新しい動きもでています。総会アピールは「上流は下流を思い、下流は上流に感謝する」との理念で、水源の里(限界集落)の流域(川上、川下)における連携を唱えています。

 「限界集落」の概念を提唱した長野大学教授の大野晃氏は同会のシンポなどで、山村研究の側から、山と川と海の生態系の有機的な結び付きを指摘。上流の山村集落を失えば山が荒廃し、下流の都市災害や漁村での海の環境悪化を招く―と「流域共同管理論」を提起しています。

 京都大学フィールド科学教育センターは「森里海」の連環を究明することを目的に発足。昨年刊行された『森里海連環学』で、新しい学問領域の提唱者は、森里海連環に関する代表的な先行事例に北海道漁協の活動をあげ、さらに「発想の原点の一つは“森は海の恋人”運動にある」(田中克センター長)といいます。

 同センターは、科学技術の進歩に伴い人間活動が爆発的に膨らんだ結果、「相互に密接につながって循環していた自然環境や生態系は分断され、その矛盾は地球環境問題という形で人類の生存を脅かしている」(同書)と指摘。個別研究には限界があり、人間活動の場である「里」を含めた新しい学問領域が必要になってきたというのです。研究は、「緒についたばかり」といいますが、北海道大学や高知大学とも連携し、活動を広げています。

 (上田明夫)

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国の制度、動きは… 
 法制度上、一八九七年(明治三十年)の旧森林法で魚つき保安林を定め、現在も制度は存続しています。二〇〇一年の水産基本法では森林の保全及び整備を国は講ずべきだとしています。この年から五カ年計画で漁民の森づくりに補助金をだしています。また、森・川・海のつながりを重視した漁場づくりの検討会を開くなどしています。

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広葉樹植える理由
 「漁民の森」運動で植樹されるのはミズナラ、ヤマザクラ、ブナなど広葉樹がほとんどです。戦後、国はスギやヒノキを大量に植え、針葉樹の人工林が急増しましたが、手入れされずに荒廃し、災害にも弱くなっています。広葉樹は針葉樹に比べ根が張り巡らされ、保水力もあります。土地本来の自然植生にも近いとされています。

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魚つき林から森づくりへ
 魚つき林の歴史を研究する若菜博教授(室蘭工業大学)の話

 漁村では古くから海岸近くの森を守る慣習がありました。文書としては、江戸時代初期に今の大分県佐伯市の漁師が「イワシは金になる]]と進言し、藩主が海岸の林を保護するよう命令書をだした記録があります。江戸中期にはサケが寄りつく河口部の林を魚蔭林(現岩手県宮古市)、タブノキ林を禁断の山(現新潟県村上市)と呼んで林を守った。さらには半島の森をクジラの漁場として大切にした(現山口県長門市)という記録もあるのです。

 漁師の経験のうえに、北海道大学の犬飼哲夫博士は、戦前から森と海の連関の視点から実証研究し、内陸の森林も海・漁場とつながっていることを解明しました。犬飼らの先駆的業績に勇気づけられ、北海道などで漁民が内陸部を含む場所に木を植える組織だった森林づくりが始まります。

 森と海の間の水や物質の循環は諸説ありますが、研究は進んでいます。人々が蓄積・伝承してきた経験や運動を歴史や地域から学び、科学的に検証し解明することの大切さを魚つき林の歴史が示唆していると思います。

◆Date:2008/01/15
◇Source: The IBTimes Company
◇Title: エコイノベーションの挑戦〜「“効率”の経済」から「“調和”の経済」へ〜
◇URL:http://jp.ibtimes.com/article/biznews/080115/15702.html

2008年01月15日 19:58

出展:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー部 相馬 明郎 2008年1月15日付」より

■エコイノベーションとは
環境と経済を対立概念と捉える20世紀型大量生産・大量消費型社会から、環境保全と経済成長が両立する21世紀型の持続発展可能社会への転換が、世界共通の目標として認識され、この目標を達成すべく、エコイノベーション(Ecoinnovation)が求められている。

「エコイノベーション」という言葉は、それほど明確に定義されているわけではなく、「エコロジー(Ecology)」と「イノベーション(Innovation)」を結合させた造語である。「エコロジー」は、狭義には、生物と環境の間の相互作用を扱う科学分野(生態学)を示すが、広義には、“自然”との健全な関わりを意識した“文化”的・“経済”的な思想や活動を含む。一方、「イノベーション」は、経済学者、シュンペーターの著書、『経済発展の理論(1911)』で初めて定義された(経済学上の)言葉である。

シュンペーターは、イノベーションとして、5つの類型、(1)新しい財貨の生産、(2)新しい生産方法、(3)新しい販売経路の開拓、(4)新しい仕入先の獲得、(5)新しい組織形成、を提示した。この5つの遂行は、一口にいえば、既存の市場や産業とは異なる“新しい市場と新しい産業を創出する”ことであり、新しい市場を作れない技術や製品の開発・発明はイノベーションではない。イノベーションは、新しい市場を作れる変革でなくてはならない。

以上を踏まえると、「エコイノベーション」とは、“自然、文化、経済間の健全な関わりを維持した新しい市場と新しい産業の創出”であると解釈してもよいだろう。

■“効率性”と“調和性”
“環境保全と経済成長の両立を図るためのエコイノベーション”とはいっても、エコイノベーションの主体となる企業においては、最終的には、その企業活動が自らの収益に結びつかなければならない。収益が増大する要素は、大きく、(a) 生産費用が安い(コストが安い)、(b) 市場がある(売れる)、(c) 新しい規制・制度がある、の3つであろう。これら3つの要素と環境保全を強力に結びつけるにはどうすればいいか。

環境配慮を意識している企業は、その答を真摯に模索している。わが国の製造業を見てみると、製品の省エネルギー化、省資源化、地球温暖化対策(CO2削減)、安全性・環境保全性、長寿命化、再生資源化、リサイクル材利用などの環境配慮設計の試みは浸透しつつある。このうち、省エネルギー化、省資源化など、「効率性」という言葉に集約される環境配慮設計は、先に述べた“(a) 生産費用が安い”にもつながりやすく、内部経済化されている。

一方で、地球温暖化対策(CO2削減)、安全性・環境保全性、長寿命化、再生資源化、リサイクル材利用など、環境との「調和性」を目指した環境配慮設計は、“(a) 生産費用が安い”にはつながりにくく、内部経済化されにくい。唯一、地球温暖化対策は、排出権取引が制度化され、経済化されつつある。現在、排出権ビジネスは環境ビジネスの中でも特に注目されているが、これからの環境問題の多くを占める「調和性」を、“(c) 新しい規制・制度がある”という形で経済化する試みという観点からも注目に値する。


■“直面している課題”と“イノベーションの意義”
我々が直面している課題は、環境に対する貢献をいかに経済化するか―“調和性”という、内部にではなく、外部になされる貢献をいかに経済化するか―ということである。今、この課題を解決できるイノベーションが望まれている。

シュンペーターは、当初、イノベーションを「新結合」と呼んでいた。この新結合という言葉は、読んで字のごとく、「機能的な“新”しい“結合”」を意味する。彼は、新しい結合は、分業による効率化を促進させるだけでなく、“供給側”のイニシアティブによる創造的破壊(旧来の経済体系が打破され、まったく新しい経済体系が創造されること)を伴う・起こさせる、と考えていた。

ここで大切なことは、“需要側”(消費者の要求)に依存する形で“受動的”に経済が駆動される、という形以上に、“供給側”が主体となって、“能動的”に新しい経済を駆動するところにイノベーション(新結合)の意義を見出しているところだ。

■今・必要なもの 〜エコイノベーションに向かって〜
“調和性を経済化するための新しい結合”を促進するには、以下の3つの機能を担える組織・人・しくみが必要である。

1. 新たな環境規制等により、新しい軸・観点から環境負荷を制限する。
2. 環境経営コンサルティングと投資・融資の連携から、金融(お金の動き)を制御する。
3. 環境配慮生産を行うという視点から、(異業種間を始めとする)企業間チャネルをつなげる。

そして、これら3つを駆使し、実際に新結合を遂行する「企業者」が必要である。企業者とは、通常の資本家、経営者、営業者、技術者、研究者などとは別の次元からみた役割であり、誰でも新結合を遂行した時に企業者になる。こうした企業者類型は、富の獲得は結果でしかなく、創造の喜び、夢の実現、達成意欲などが強い動機になっていることが多いという。これらの動機を“調和の喜び”にまで拡張できる人。今、必要なのは、そのような人である。

◆Date:2008/01/15
◇Source: Nikkey Shimbun
◇Title: アマゾン=森林破壊増加の動きの中=酪農家らは伐採規制緩和望む
◇URL:http://www.nikkeyshimbun.com.br/080115-23brasil.html

 世界的に温暖化ガスの排出や森林破壊の規制の動きが強まっている中で、森林破壊の容認を求める動きが伯国政府に圧力をかけてきている。
 十三日フォーリャ紙によると、問題の動きは、アマゾンの牧畜ならびに食肉加工業界、また、それらの産業で潤う自治体の有力者たちからのもので、所有地の二〇%までは森林伐採をしてもよいという現行規準を五〇%までに引上げるよう求めている。これは、現行法の基準を超えた場合、その土地から産する木材や家畜の売買や運送、新たな買付けなどは禁じられ、土地の再登記の際、違反が指摘されれば高額の罰金を払わなければならないなどの規制があるため。
 フォーリャ紙によると、パラー州では一つの食肉加工場が一日平均一〇〇〇頭を殺して加工。森林破壊の進む自治体の一つサン・フェリックス・ド・シングーでは、自治体面積一万四五〇〇平方メートルの大部分の森林が既に伐採され、一七〇万頭の牛を飼っている。人口一人当たり三〇頭の牛だが、この数字は全伯平均の三倍にあたるアマゾン地域平均の一〇倍。また、アマゾン全域では、二〇〇三年〜〇六年の国内家畜増加量の九六%が集中しており、この地域は世界一を誇る伯国の牛肉輸出の三分の一を担っている。
 しかし、この食肉輸出の増加は、アマゾンの森林破壊に直結している。十二月二十二日のエスタード紙では政府が八月から十一月にかけての森林破壊が前年同期比で一〇%増えていることを憂慮しており、破壊率の高い自治体リストを作ると共に罰金の強化などを考えていると報道。森林の破壊要因として大豆やサトウキビの栽培地や牧用地の拡張が考えられるとしていたが、十三日のフォーリャ紙では、牧用地は目に見えて拡張されているという。
 十二月二十二日のフォーリャ紙には、森林破壊のピッチが上がったことを懸念する大統領が、一六閣僚による気候変化に関する国家計画作成委員会設立のための大統領令署名と報じられてもいたが、委員会の具体的な活動開始前に酪農家や企業家たちが圧力をかけてきている状態といえる。
 アマゾン地域の酪農家らへの銀行貸付金は補助金がつくため低金利だが、この貸付金を森林伐採に用いることは禁じられており、酪農家らは自費で森林を切り開いて貸付金で牛を買って増やすという。牧草地を回復させるよりも新しい牧草地を作るほうが安上がりだというのだが、経済活動活性化という視点と環境保全も考えた健全な発展という視点をどうやって調和させるのかは、政府が直面すべき問題の一つといえる。

◆Date:2008/01/15
◇Source: The Saitama Shimbun
◇Title: 浮野の里と黒浜沼推薦 トラスト保全地
◇URL:http://www.saitama-np.co.jp/news01/16/04x.html

 緑のトラスト保全地を県民募集で選ぶ「緑のMYトラスト大募集!」で、財団法人さいたま緑のトラスト協会(進士五十八理事長)は十五日、新たな候補地に加須市の浮野(うきや)の里と蓮田市の黒浜沼を上田清司知事に推薦した。今月中にも県民の意思を反映させた初めての保全地として、選定方針を決める。

 県民から寄せられた候補地は五百二十八件で、四十四市町の百二十八カ所に及んだ。

 浮野の里は氷河期に形成された谷の上にある湿地で、総面積百二十五ヘクタール。クヌギ並木や屋敷林などを残すほか、県指定天然記念物「トキソウ」が自生する。黒浜沼は一九七九年に県自然環境保全地域に指定された広さ十一ヘクタールの沼地。水田地帯と台地との間に田園の景観が広がり、周辺にはヨシやマコモなどが育つ。二カ所ともNPOなどの保全活動が盛んという。

 進士理事長は「県民に多様な自然を見てもらおうと二カ所を選んだ。全県的に関心が高まり、感動した」と述べ、「これまでの自然保護は生物に偏っていたが、歴史や文化などの環境教育の場になるよう育てていくべきだ」と提案。知事に具申書を手渡した。

 県は二〇一一年度末までのトラスト保全地の取得目標を五十九ヘクタールとしている。これまでに一―九号地まで延べ四二・五ヘクタールを取得した。

◆Date:2008/01/15
◇Source: 八重山毎日新聞
◇Title: 社説 マンタに住みよい環境を
◇URL:http://www.y-mainichi.co.jp/news/10251/

国立公園編入で規制動植物に指定
石垣島やその周辺海域が西表国立公園に編入されたことに伴い、環境省は昨年12月、新たに39種類の魚介類と25種類の造礁サンゴなどを自然公園法で捕獲や採取、殺傷、損傷などを規制する動植物に指定した。これにより八重山ダイビング界のアイドルともいうべきマンタ(オニイトマキエイ)も、許可なく捕獲などが禁止されることになった。正直言ってマンタにいままで規制がなかったことに驚いたが、しかしこれからは法的に保護対策がとられることになり、歓迎したい。

■およそ200匹が回遊
 マンタは世界中の熱帯・亜熱帯のサンゴ礁海域で見られる世界最大のエイで、平均的な大きさは3―5b程度だが、さらに大きなものは8メートル、3トンにもなるという。泳ぎながらプランクトンを食べ、寿命は20年以上とみられているが、その生態は不明な点が多いようだ。性格はおとなしく、好奇心が旺盛で人なつっこいこともあって、あまりダイビング経験のない人でも比較的手軽にマンタとの海中遊泳を楽しむことができるため、ダイバーには最も高い人気を誇っている。 
 八重山はそのマンタが推定で200匹ほど回遊し、南の島の美しいサンゴの周辺を優雅に泳ぐそのマンタとの遭遇を夢見て、わざわざ本土から大勢のスキューバダイビング客が訪れ、マンタは八重山のダイビング界のトップアイドルとして大きな観光資源ともなっている。
 ほぼ年中見られるようだが、南風が吹く夏場がトップシーズンで、特にマンタスクランブルと呼ばれる川平石崎は、多いときは20隻以上ものダイビング船が集まるという。ダイビング業のみなさんはマンタを「00枚」と数えているようだが、八重山の周辺海域には確認されているだけでおよそ100枚、そこから推定しておよそ200枚が沿岸を回遊しているとみられている。そしてその中から幸運な人は1日15、6枚の群れに遭遇することもあるという。

■違反は6カ月以下の懲役
 マンタにはそれぞれ異なる斑点や擦り傷などがあることから、それを目印にダイビング業界はそれぞれ名前も付けており、八重山で確認されたのが慶良間島で見つかったことから、マンタはかなり広範囲で回遊していることもわかった。
 今回自然公園法の規制動植物に指定されたことで、今後は無許可で捕獲・殺傷などすると6カ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金刑に処されるが、環境省石垣自然保護官事務所によると、これまでのところ八重山は、ダイビング業界がマンタを追いかけない、触らない、エアをかけない―などの最低限守るべきルールを自主的に定めて大事にしているため、これがうまく機能してこれまで問題は出ていないという。
 ただマンタは、サンゴと同じく環境を計るバロメーターとして環境変化に敏感に反応するため、やはり同問題もどのように環境を保全していくかが重要な課題だ。西表島と小浜島の間を通るヨナラ水道は、かつてマンタ・ウエイと呼ばれるほどマンタの回遊が多かったが、土地改良事業でサンゴが被害を受けたことから、きれいなサンゴ、美しい海を求めて現在の川平石崎に移動したともされる。

■3市町教委の皆さんへ
 そのサンゴが地球温暖化による大規模な白化現象やオニヒトデ、赤土流入でピンチにあるということは、同じくマンタもピンチということだ。しかもマンタは繁殖力も弱く、環境悪化が急速に進む現況下で絶滅は非現実的な話ではない。そこで3市町教育委員会にお願いしたいのが、こうしたサンゴやマンタをどうするか、地球温暖化にどう対応するかなどの環境学習と、ふるさとを誇りとするため、せめて子供たちが中高校を卒業するまでに最低一度は、授業の一環でスキューバダイビングをさせ、ふるさとのきれいな海を見せてもらいたいということだ。
 地元でありながら、案外じかに海中散歩した小中高校生はそれほど多くないだろう。観光客も感動し絶賛するこのすばらしいサンゴ・マンタの海を見せることにより、次代を担う子供たちがふるさとを誇りに思い、ふるさとの自然を大事にしようという機運がさらに高まるはずだ。今年は「国際サンゴ礁年」でもあり、ぜひ実現をお願いしたい。

◆Date:2008/01/15
◇Source: 北海道新聞
◇Title: 野幌原始林の保全紹介の歴史本 酪農大生がDVD化 江別
◇URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/70839.html
(01/16 14:09)

 【江別】酪農学園大環境システム学部の仙北富志和教授の著書「原始林は『拓(ひら)かれて』残された。」を、仙北教授のゼミ生がダイジェスト版としてDVDにまとめた。北越殖民社による野幌開拓の歴史について、写真や文献などで説明し、再現ドラマも収めている。今後は希望する市民向けに鑑賞説明会も行う予定だ。

 「原始林は『拓かれて』残された。」は、仙北教授が昨年七月に出版。明治時代に新潟県から移住した北越殖民社が野幌原始林を保全しつつ、開拓した歴史をたどっている。

 DVD化は仙北教授が指導する自然再生政策論研究室の三年生七人が、研究の一つとして取り組み、シナリオ、台本を考えた。約二十分の中で、開拓の苦難などを当時の写真や絵などで振り返っている。農業開拓の様子や、北越殖民社の有志が道庁長官に原始林の保全を直訴する場面などは再現ドラマで演出。役者、カメラマン、ナレーターすべてを学生が務め、大学に隣接する森林や、札幌市厚別区の北海道開拓の村でロケを行った。

 制作の中で代表を務めた長崎元希さん(21)は「原始林自体は知られているが、なぜ残っているかは意外に知られていない。歴史的背景についてわかってもらえたら」と話している。鑑賞説明会も行う予定。問い合わせは同研究室(電)388・4860(ファクス兼用)へ。(桜井則彦)

◆Date:2008/01/15
◇Source: 総務省
◇Title: 平成19年第3回過疎問題懇談会議事概要
◇URL:http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/2001/kaso/kasokon19_03_01.html

平成19年第3回過疎問題懇談会議事概要

1. 日程 平成19年12月21日(金) 17時00分〜19時00分
2. 場所 総務省共用902会議室

3. 出席者(敬称略)
(座長) 宮口 廸 (早稲田大学教育・科学学術院教授)
(委員五十音順) 安藤 周治 (NPO法人ひろしまね理事長)
小田切徳美 (明治大学農学部教授)
上治 堂司 (高知県安芸郡馬路村長)
菊池 恵美 (西日本新聞取締役編集局長)
桑野 和泉 (由布院温泉観光協会長)
白石 真澄 (関西大学政策創造学部教授)
沼尾 波子 (日本大学経済学部准教授)
本田 敏秋 (岩手県遠野市長)
横道 清孝 (政策研究大学院大学教授)
(総務省) 津曲 俊英 (総務省大臣官房審議官)
青木 信之 (総務省自治財政局財務調査課長)
丹下 甲一 (総務省自治行政局自治政策課長)
渡辺 秀樹 (総務省自治行政局地域振興課長)
室田 哲男 (総務省自治行政局合併推進課長)
安藤 英作 (総務省情報通信政策局地域通信振興課長)
佐藤啓太郎 (総務省自治行政局過疎対策室長)
(農林水産省) 永嶋 善隆 (農林水産省農村振興局企画部農村政策課長)
(国土交通省) 大矢 浩 (国土交通省都市・地域整備局地方整備課長)

4. 議事概要
(1) 説明事項等
過疎対策室から配付資料に基づき説明した後、意見交換を行った。

(2) 意見交換概要
○ 配布資料で示されたように道路等については未だに格差が残っている。また、今後は、地域の実情に合わせて、「人が実際に移動できる仕組み」をつくることが必要である。
○ 過疎対策を論じる際には、均衡ある発展を図る「守りの側面」、地域の内発的発展を図る「攻めの側面」の両方を追求する必要がある。今の過疎対策は守りの側面が大部分であるが、今後は攻めの側面をもう少し打ち出すべきである。新しい過疎対策はある意味シンボリックな政策であり、世の中に対して新しい対策を約束し、世の中に新しいメッセージを送る重要な役割を担うことから、積極性が必要ではないか。
○ 五全総で提唱された多自然居住地域の概念を発展させ、自然との共生や都市との共生という意味でたとえば共生居住という新しい価値を作り出していくということが必要ではないか。また、人の暮らし方として、現在のような暮らし方にプラスして地域コミュニティの中に参加していく生き方、さらに、地域に新しい産業を創っていく概念が必要ではないか。新しい過疎法では、こうした点も踏まえるべきではないか。
○ 現行過疎法の制定時には、新しい生活様式の実現の場であったり、美しく風格ある国土の形成が盛り込まれた。それから10年近く経ち、自然との共生、都市だけでの生活の限界、スローライフ等、過疎地域の積極的な役割に着目した議論が生まれてきている。
○ 過疎地域の現状には、生活維持や身近な交通手段、「足」の確保など、身の回りのことすら難しくなってきている面もある。そこに生活したいという人がいる限り、生活維持ができるようなベーシックなサービスは提供していくことが必要。
○ 雇用の場は中心都市で、生活は自分が従来住んでいた過疎地域で、というように、広域的な役割分担・機能分担を考えていくことも必要ではないか。
○ 現地視察をした長野県清内路村では、飯田市までのアクセスは良く通勤が可能であるため、飯田市を通勤先としつつ、ある程度住戸が固まって集落が形成されており、集落が維持できている。規模が小さい村であるため、行政としての住民サービスがどこまでできるかというと厳しい状況にあるようだが、過疎団体にも様々なタイプがあり、うまく分類できればよいのではないか。
○ 過疎地域の果たす役割、新しい暮らし方、都市住民とのつながりを都市住民にしっかりとアピールしていくことが必要である。
○ 教育については、空き家や廃校舎など地域ストックを活用して、山村留学や離島留学などで都市住民の子弟の教育に用いるなどの方策が考えられる。
○ 例えばデマンドバスの仕組みは、様々な地域に応用していけるのではないか。また、馬路村のゆずを活用した商品開発の成功事例など、過疎地域がこれまでに取り組んできた成果、知恵をお互いに情報交換できる仕組みが必要ではないか。
○ 全国過疎問題シンポジウムにおいては、表彰事例の発表も行っている。このような優良事例の普遍化・共有化ということが重要であろう。
○ 病院バスとスクールバスとをうまく組み合わせることによって、実質的にバスの本数を増やす取組みを実験的に実施している団体もあるが、このように地域で「実際に人が動ける」仕組みを国として考えるということも必要ではないか。
○ 過疎対策の論点としては、過疎地域がどのような意義を果たしてきたか、都市と地方との関係がどのように変わってきたか、あるいは過疎地域の新しい役割論などから整理し、そのうえで各論(各分野毎の全国と過疎地域の比較や、支援措置のあり方等)に入るべき。
○ 国の中の広大な過疎地域という空間が、人の生活に適した空間として保持されるということが過疎法の基本的な目的なのであろう。それが国民的合意となるような理念の整理を行い、また、その理念のために必要な実際の仕組み・ツールを考えていく、ということが必要である。
○ ふるさとが都市である、という人は、既に相当の数になっている。都市の若者には中山間地域のことは理解されにくい。教育交流を発展させ、実のあるものにしていく取り組みが必要。
○ 株式会社のまちづくり会社を立ち上げることとしているが、行政の仕事でも、ある程度代替しうるだけのものができるのではないか、と考えている。地域の発展を目指す役目は、時代の変化とともに、役所だけが担うものではないという流れがあり、そのようなことも新しい過疎対策の議論に取り入れるべきである。
○ どんな地域でも誇るべき文化や歴史がある。「どぶろく」も誇るべき地域文化ととらえ、構造改革特区認定を受けるなど、地域住民も参加しながら取組みを行ってきた。これにより、経済波及効果はもちろん、地域への愛着・誇りをもつといった効果も出ている。食文化、伝統文化、地域文化を生かした取り組みにより、経済波及効果が生まれるだけではなく、地元住民にやる気・意欲が生まれる。
○ 山・森林の荒廃が激しい。国土保全等、過疎地域の大部分を占める山・森林は大きな価値を有するものであり、適切な財政支援も必要である。
○ 都市に住む子供達が社会に出たときに、実体験がないと過疎地域を語れない。教育の中で、実際に現場に行って様々な体験ができるような仕組みをつくるべきである。
○ 過疎地域だから支援を、というのではなく、日本があり都市があるためには、地球温暖化の防止やエネルギー供給の役割を担っている過疎地域が必要である、したがって支援が必要である、ということをアピールすべきである。
○ 数年前より高知県で取り組んでいる事業として、企業と連携して森林整備をする「共同の森事業」があるが、このような方法で企業に過疎地域の重要性を知ってもらうことも必要。
○ 過疎地域に人が暮らすため、暮らす場所として成り立つための対策として、過疎地域の財源保障のスキームをどのように財政制度全体の中で仕組んでいくのかという視点からの検討が必要ではないか。
○ 人がなかなか住めない、あるいは住まない地域は荒廃していくこととなるが、そうした地域の森林・水源等の保全についての財源確保をどのように考えていくか。管理や保全の担い手を育成し、あるいは管理や保全に住民等が参加できるような仕掛けを作ることを考えていかなければいけない。
○ インターネットの普及により、国からの情報がダイレクトに入ってくるなど、国との距離が近くなったが、そのぶん県との距離が遠くなった感もある。改めて国と県と市町村との関係について見直す必要がある。また、過疎対策、地域振興については、引き続き現場に最も身近な市町村主導の仕組みとすべきである。
○ 集落の維持・活性化対策には話し合いが必要。その際に、外からのアドバイザーが入り一緒に議論することによって集落の新しい方向性が生まれてくる。そういった意味で、今後の過疎対策においては、基盤整備等による格差是正とともに、人的支援を行う必要があろう。
○ 現行法では、都市と過疎市町村の合併に伴い、浜松市などの政令市も一部過疎地域を抱える過疎関係市町村となっている(法第33条第2項)。過疎対策の単位としては、現行の市町村を区切りとするのではなく、平成の合併前の旧市町村の方がよいのではないか。
○ 例えばバスや情報通信基盤の整備については、過疎指定区域だけを考えても効果がなく、広域的に考える必要がある。具体的には、合併した過疎市町村については中心部と従前の過疎区域とで、合併していない過疎市町村については核となる地方都市とで、というように、広域的に問題をとらえる必要がある。
○ 高齢化や人口の減少が続く集落では、将来的にもう集落が無くなっても良いと考えるのか、若い人に来てもらい、産業興しをしたいなどの意欲を持って取り組むのか、集落によって考え方は異なると思われる。画一的な対策は難しく、集落の実態に応じたケースバイケースの対策が必要である。
○ 人口3万人ないし10万人程度の地方中心都市は、地域の空洞化のフロンティアにあるといえる。その対策を講じずに、過疎地域だけを守ることは難しい。例えば映画館が存在している中国山地の都市は津山市だけであり、都市機能の解体、分散が進んでいる。地方中小都市の機能を維持する、いわば人口のダムとして地方中小都市を位置付ける取組みが必要。
○ 2020年といった比較的先を見たときに、過疎地域はどのような姿になっているか。例えば過疎地域は「生涯現役の地域」である、「自然とのつきあうワザを持ち合わせた地域」である、「環境に優しい産業で日本を支えている地域」であるなど、過疎地域のあり方を明らかにしていく必要がある。自治体からのヒアリングの際には、過疎「対策」のあり方のみではなく、過疎地域が将来的にどのような地域となっていくべきなのかについて意見を聞いてみたい。
○ 遠野市では、胎児の心拍数、母体の状況等をデータ化し、これにより遠隔地の産婦人科医に見てもらうモバイル画像診断の実証実験を行ったところ、効果的であった。そこで、地域に残るマンパワーとして助産師を2名採用し、近隣の9の医療機関の協力も得て、12月1日にモバイル画像診断を用いた公設の助産院「ネットゆりかご」を設立した。診療に行く回数が約半分になるということで、大変好評。こうしたネットワークを作ることに、過疎地域の知恵、したたかさ、文化をうまく組み合わせれば様々なことができる。
○ 過疎対策による道路整備の結果、ある地域では、直線距離80キロぐらいの都市との間で日常の食料調達を行い、息子・娘が往来するなど、過疎地域における実生活と道路とが密接不可分なものになっている。また、ある地域では光ファイバー整備が全戸になされているが、こうした先行的な投資の効果が少しづつ現れている。
○ 海外においても携帯電話が通じる時代であるが、過疎地域では未だに使えない地域がある。即急な対策が必要。


(3) 今後の予定等

 次回の懇談会は1月25日に開催し、自治体からのヒアリング及び意見交換を行うこととした。
 次々回の懇談会は3月31日に開催することとした。


*作成:森下直紀(保全・公共政策論・環境政策史)
UP:20080118; REV:
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