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環境・保全関連ニュース

2008年01月02日〜2008年01月08日
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◆Date:2008/01/02
◇Source: 沖縄タイムス
◇Title: 社説(2008年1月3日朝刊)[暮らしと環境] 「地球」に対する責任が 姿を消した生き物
◇URL:http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080103.html

 私たちがメダカを見なくなってどのくらいの年月がたつのだろうか。

 学校にある池や田畑、そして小さな水たまり、集落を流れる小川の近くでは、夏の夜にはホタルの幻想的な光も目にした。

 中学生のころまで、休みのたびに通っていた越来ダム下の湿地にはターイユ(ギンブナ)が泳ぎ、時折釣れるウナギやトウギョに喜んだものだ。

 空にはチョンチョナー(セッカ)が舞い、緑に黒を配した大きなキンダー(オニヤンマ)や銀色のギンダー(ギンヤンマ)が羽音を残しながら飛び回る豊かな自然があった。

 それらの昆虫や淡水魚が突然消えた。木造住宅がコンクリート住宅に変わり、原っぱが駐車場に姿を変え、ため池が埋め立てられるとともに私たちの前から姿を消したのである。

 社会資本整備と便利さを求めた結果とはいえ、身近な生物を観察できなくなったのは残念というしかない。

 海の中も異常を来している。亜熱帯地域にある南西諸島周辺海域には大小さまざま、色とりどりのサンゴとさんご礁が広がる。ダイバーの目を楽しませる一方、魚の産卵場にもなり、豊かな環境をはぐくんでいる。

 だが、昨年、国内最大の面積を誇り約四百種のサンゴが確認されている石西礁湖の約八割が白化したという。温暖化による海水温上昇が原因である。

 温暖化は私たちの暮らしと決して無縁ではない。ガソリンや灯油、電気、冷暖房器、日常的に使うパソコンも二酸化炭素の排出につながるからだ。

 人間の暮らしが海の環境をも左右しているのである。

 温暖化は台風を大型化させ、極地の氷やアルプスの氷河を溶かしている。インド洋上にあるモルディブの人々が海面上昇によって移動を余儀なくされているのもその影響だ。

 私たちは今、地球規模の問題に直面しているのであり、沖縄だけでなく地球全体の環境に責任を負う時期にきていることを自覚しなければならない。


負荷かけぬように


 暮らしに密着した場所に目を転じてみよう。

 例えば、干潟の環境保全などで議論百出している沖縄市の泡瀬干潟には幾つかの下水溝が流れ込んでいる。

 深刻なのは、下水溝から海に流れ出る生活排水であり、油などの浮く汚れた水である。

 確かに干潟には汚水を浄化する作用がある。しかし、このままでは早晩限界がくるのではないか。

 私たちはこの問題について早急に対策を打ち立て、対応していかなければならない。

 海域を守るために地域がなすべきことは、暮らしから生ずる生活排水を垂れ流さぬようにすることだ。洗剤や油、化学肥料を安易に流さない。そのことにもっと気を配るのが私たちの責務だと考えたい。

 生活排水は、四方を海に囲まれた沖縄では深刻な問題である。汚水が予想以上の負荷となり、汚染範囲を急激に広げていくからだ。そうなれば生息する魚介類にも被害を及ぼす。

 自然に対する気配りが求められているのであり、日々の暮らしが自然とともにあることをいま一度肝に銘じることが求められよう。


自然保護に英知を


 昨年はヤンバルクイナの輪禍が二十三件あり、過去最高を記録した。

 ヤンバルクイナが路上に出るのは、本来の生息域である森林が異常を来しているからだ。ダムによる森林伐採に加えて林道建設や農地開発、農道整備でも山の木々は切られている。

 それがヤンバルクイナを人里に近づけている最大の理由であり、マングースの北上もまた、この鳥を危機に追いやっているとみていいだろう。

 必要以上に開発を進めているのであれば、これは人災である。私たちは“東洋のガラパゴス”が危機に瀕していることを認識する必要がある。

 どこまで開発の手を入れ、どこで環境を守っていくか。真剣かつ具体的に検証しなければ、沖縄の自然は取り返しのつかないことになる。

 大げさな話ではない。復帰後の沖縄が進めてきた開発と対峙する自然保護。それをアポリア(克服しがたい矛盾)として諦めず、一人一人が知恵を出し環境保全に取り組む年にしたい。

◆Date:2008/01/02
◇Source: 北海道新聞
◇Title: 社説サミットの年に考える 温暖化防ぐ知恵を出そう(1月3日)
◇URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/68804.html

 地球温暖化をもたらす温室効果ガスを大量に排出する企業がある。

 電気やガスを使いまくり、節約を忘れている事業所や家庭もある。

 このままでは、国別に排出量の削減を義務づけた「京都議定書」の達成は難しい。

 温暖化防止は社会全体で取り組むべき課題だ。国や産業界の努力がさらに必要であることは当然だ。

 温暖化は遠い未来の出来事ではない。主要国の首脳が一堂に会する北海道洞爺湖サミットを、道内で暮らす私たちが「環境」を考え、実行に移す好機ととらえたい。

 目を凝らせば、北海道は雪や風などの自然エネルギーの宝庫だ。

 これを活用し、生活に根ざした環境対策に地道に取り組むことが、持続可能な社会を築く第一歩となる。

*厄介な雪を「資源」に活用

 どこにでもある雪を、エネルギー源として活用しているのが空知管内沼田町だ。

 毎年春に貯雪庫内に約千五百トンの雪をため、この冷気を使ってコメを冷温貯蔵している。「雪中米」のブランドで道内外に出荷している。

 もともとは地域おこしで始まった事業だが、近年はこの雪冷房施設が二酸化炭素の排出量を削減する効果があることでも注目されている。

 室蘭工業大の媚山(こびやま)政良准教授(利雪工学)の研究によると、一トンの雪を冷房に利用することで約十リットルの石油を節約できる。

 熱効率などを考慮して試算すると沼田町の雪冷房施設だけで年間約四十五トンの二酸化炭素削減につながっているという。

 経費面でもメリットがある。電気冷房で保冷した場合、電気代は年間百三十万円かかる。雪冷房ならば、その半分で済むことも魅力だ。

 電気を節約できる雪冷房は、町と農協が中心になって進めている。これを地域ぐるみの活動に広げたい。

 二酸化炭素排出削減の重要性は理解できても、その方法がよく分からないという住民もいる。

 媚山准教授は「大切なのは、排出削減が経済メリットにつながる仕組みをつくることだ」と指摘する。

 例えば欧州各国では、二酸化炭素を排出した個人や企業が、雪冷房や太陽光発電などに資金を拠出し、排出分を相殺する「カーボン・オフセット」制度が導入されている。

 省エネによる排出削減の努力を個人や企業に促しながら、新エネルギー開発につなげる仕組みだ。

 道内でも地域版のカーボン・オフセット制度が実現できないか。

 家庭や企業の理解を得ながら、町ぐるみで自然エネルギーを普及させる試みは一考の価値があるだろう。

*「風」で住民がつながった

 道内では電気を自前でつくる住民の取り組みも続いている。

 NPO法人「北海道グリーンファンド」(札幌)の風力発電事業だ。

 宗谷管内浜頓別町にある市民風車「はまかぜちゃん」など道内で四基の風車をつくった。発電した電気を北電に売却している。

 市民風車がユニークなのは、ファンドの会員を対象に、北電に支払う電気料金の5%分を寄付してもらい、風力発電の普及活動に使っていることだ。

 市民が手を結んで実現した仕組みといえるだろう。

 国に必要なのは、こうした市民の活動を支える政策だ。

 例えばドイツでは、電力会社に自然エネルギーでつくった電気の買い取りを法律で義務付けている。

 その財源として、消費者が支払う電気料金の3%を充てている。自然エネルギーを促進する社会的システムをつくっているのだ。

 日本の電気料金の一部が、原発建設など電源開発向けに使われているのとは対照的だ。

 日本に欠けているのは、化石燃料に依存しない総合的なエネルギー政策だろう。本気で温暖化対策に取り組むためには、原発の位置づけや電気料金制度の見直しも急務だ。

*未来見据えた環境戦略を

 北海道の風と雪は、諸外国がうらやむほど貴重なエネルギー源だ。

 それなのに、せっかくの地域住民の試みが足踏みしているのは、国や道の努力不足も一因ではないか。

 道は森林環境の保全のために「森林環境税」の構想を打ち出しているが、制度設計はこれからだ。

 欧米では、企業ごとに排出量の上限を決め、排出枠を企業間で売買する「排出権取引制度」の導入が進んでいる。

 企業に排出削減を促す効果が期待できるが、日本では産業界が経済活動を阻害するとして反対している。論議が盛り上がらないのが残念だ。

 産業界は自主的な削減計画をつくっている。日本経団連は削減努力は限界だというが、そうだろうか。

 海外からの排出枠購入で、削減できない分をまかなおうとする企業もある。数字のつじつま合わせに終始しているようでは情けない。

 排出量が伸びている家庭部門に対しては、排出炭素に課税する「炭素税」導入なども検討課題だろう。

 産業界や一般家庭を巻き込み、未来を見据えた総合的な環境戦略が欠かせない。これを練り上げることが国の責務だろう。

 温暖化防止に挑む市民を支援する視点も忘れてはならない。

◆Date:2008/01/03
◇Source: 愛媛新聞社
◇Title: シカ食害の滑床山回復へ移植など取り組み進む
◇URL:http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20080104/news20080104492.html

 宇和島市と北宇和郡松野町にまたがる滑床山国有林でササなどが衰退し裸地化が進む問題で、四国森林管理局四万十川森林環境保全ふれあいセンター(高知県四万十市)などが、植生回復に取り組んでいる。2007年3月に移植したミヤコザサの順調な生育に、関係者は期待を寄せている。
裸地化の主原因は同国有林に生息するニホンジカの採食行動。近年、シカの増殖につれ、同国有林内にある三本杭山頂付近のササが衰退し、約2ヘクタールにわたり裸地化。これにより土壌流出が深刻化するなど早急な対策が必要となっている。
 同センターは07年3月、裸地化が激しい三本杭山頂部など2カ所にシカ侵入防止ネットを設置。計0・73ヘクタールを囲い、ネット内にミヤコザサをボランティアの協力で移植した。生育状況を定期的に観察している。

◆Date:2008/01/05
◇Source: 信濃毎日新聞
◇Title: 成熟の社会へ(5) 「身の丈」の暮らしから
◇URL:http://www.shinmai.co.jp/news/20080106/KT071229ETI090001000022.htm
1月6日(日)

 しゅんしゅん。ストーブにかけたやかんから、湯の沸く音がする。湯たんぽに移して、ふとんに入れ、眠りにつく。

 じゃぼじゃぼ。湯たんぽの湯を朝、洗面器に移す。顔を洗うのに適温だ。わずかな省エネと再利用だけれど、地球環境を守るのに少しは役立つかもしれない。そんな思いから愛用している。

 温暖化により、地球は各地で悲鳴を上げている。世界の森林や魚の資源も限界にきている。ごみによる地球汚染も深刻だ。このままでは手遅れになる。国際的な枠組み、国や企業の対策に加え、個人や地域が足元から取り組みを強めるときだ。

   <地球発熱にカルテ>

 地球の温暖化は、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスが増えることによって引き起こされる。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が昨年、6年ぶりに発表した報告書によると−。

 今後20−30年の努力と投資が、気温上昇を低く安定させられるかどうかに大きく影響する。

 対策の厳しさに応じ、今世紀末の気温は20世紀末に比べ1・1−6・4度の範囲で上昇。海面も18−59センチの範囲で上がる。

 高波や洪水、氷の解け出し、農作物の収量減などの恐れも高まる。

 どの警告も重い。

 インドネシア・バリ島で開いた気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)が、京都議定書に定めのない2013年以降の新たな枠組みづくりを始めることで合意した。

 京都議定書を離脱した米国も枠組みづくりに加わる。意見の違いも大きい。今年7月に北海道洞爺湖で開かれる主要国首脳会議(サミット)で歩み寄れるかどうかだ。

   <地域で工夫凝らし>

 国内の削減も正念場だ。京都議定書で日本は、ガス排出量を1990年比で6%削減することが義務付けられている。排出量は減るどころか増えている。国が思い切った施策にかじを切るべきときにきている。

 個人、家庭、地域、職場で「身の丈」にあった行動を起こすことが求められる。

 地域や企業の取り組みで、なるほどと思えるものも出てきた。

 例えば、県地球温暖化防止活動推進センター主催の「信州減CO2(げんこつ)づくりコンテスト2007」である。

 最優秀賞は、飯田下伊那地方の事業所でつくる「地域ぐるみ環境ISO研究会」だった。京都議定書発効の記念日や環境の日に温暖化防止の一斉行動をしている。ノーマイカー通勤など活動は多彩だ。

 優秀賞は、出資者を募った太陽光発電(飯田市)、諏訪市を拠点とした「信州省エネパトロール隊」。

 努力賞は▽まき風呂、まきストーブ導入(長野市信里地区)▽企業と小中学校が一体となった、ペットボトルキャップ、プルトップ回収(塩尻市)▽市民による、ミニ水力発電と菜種オイルやバイオ軽油の普及活動(大町市)だった。

 信州に豊富な再生可能資源や水をうまく生かしている。活動によって地域が自信を持ち、活性化する効果もある。各地に広げたい。

 食卓には、資源枯渇の影が差している。マグロ、タラ、サバなど魚の減少が日本周辺も含め世界的に深刻だ。海や沿岸の環境破壊と乱獲が原因である。日本は多くの魚を捕り、輸入もしている。資源の保全と回復の先頭に立つべきだ。

 伐採や農地化による森林減少がインドネシアやブラジルなどで目立つ。二酸化炭素吸収力が減り、生物の多様性も脅かされる。違法伐採の取り締まりと、伐採をしなかった時に経済的利益が得られる仕組みを国際社会が早く築く必要がある。

 日本は、木材を大量に輸入している。もっと国産材を建築やバイオ原料として活用する工夫を凝らすべきだ。山村活性化につながる。

   <「もったいない」>

 省エネ製品を積極的に取り入れたい。冷蔵庫、テレビなど省エネ型に買い替え、白熱電球を電球形蛍光灯にする。ガス排出の少ないハイブリッド車に乗る。断熱材で住宅の冷暖房を効率化する−などだ。

 生活スタイル自体も見直すときだ。大量生産、大量消費、大量廃棄がごみ問題となって表れている。廃棄物の発生抑制(リデュース)、再利用(リユース)、再生利用(リサイクル)の3R運動を徹底させたい。日本の昔からの言葉では「もったいない」の心だ。

 ノーベル平和賞受賞のケニアの環境運動家ワンガリ・マータイさんもこの言葉に共感し、包装ごみを出さない風呂敷を世界に紹介している。

 工夫の余地は幾つもある。地元の農産物を使う地産地消は運搬エネルギーを省き、地元経済も潤う。

 レジ袋代わりの「エコバッグ」も有効だ。松本市の成人式では、不要になった布や糸で作るオリジナルエコバッグを記念品として贈る。

 持続可能な社会とするために、日本は省資源、省エネの技術革新を一層進めるべきだ。途上国の役にも立つ。その技術と「もったいない」の精神で危機を乗り切りたい。

最近の社説
成熟の社会へ(5) 「身の丈」の暮らしから(01/06 09:00)
成熟の社会へ(4) 自ら考え選び取ろう(01/05 09:20)
成熟の社会へ(3) 世界の中で光るには(01/04 09:09)
成熟の社会へ(2) 足元の地域づくりから(01/03 09:20)
成熟の社会へ(1) 心豊かな未来のために(01/01 09:15)
07年回顧 偽りは終わりにしたい(12/31 09:23)

◆Date:2008/01/06
◇Source: 北海道新聞
◇Title: 社説 サミットの年に考える 「食と農」住民が支えよう(1月6日)
◇URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/69191.html

 日本の「食」は異様な姿をしている。

 食料自給率はカロリーベースで39%と主要先進国で最も低い。

 農水省の試算によると、輸入される農産物から換算すると、それらを生産するには千二百万ヘクタールの農地を使う。日本の国内総耕地面積の二・五倍だ。それだけの農地を海外に必要としている。

 食卓を見ても、お米以外は、みそ汁、パン、うどん、総菜など、原材料を含めてどこでどう作られ、加工されたのか、よく分からないものが多い。

 消費者にとって「顔の見える農業」から、いかに遠いところにきてしまったか。もはや後戻りできないところにいるのだろうか。

 人が生きていく基本は「食」だ。農業やそこから生み出される食品は環境の保全やライフスタイル、食育など教育、健康・医療と、さまざまな分野と結合している。

 環境や健康に配慮した農業、食のあり方も問われている。

 日本の食料基地として北海道が考えるべきことは多い。

*温暖化を助長する食生活

 地球温暖化による水資源の枯渇をはじめ、新興国の人口増加、中国の食肉需要などによる世界的な食糧危機が懸念されている。

 道立上川農業試験場長などを務め、野菜博士として親しまれた故相馬暁さんは「世界的に農業が見直される時代が来る」と予測した。

 その際「水資源に恵まれた北海道の農業が輝く」と述べ、環境保全型のクリーン農業の構築を提唱した。

 フードマイレージという指標がある。食料輸入量と輸送距離をかけた数字だ。生産地と消費地が遠くなると輸送や冷凍・冷蔵にエネルギーを使い、環境に負荷をかける。

 試算によると、輸入大国・日本のフードマイレージは米国の三・七倍、段違いの世界一だ。日本の食生活は地球温暖化をも助長している。

 消費者がその日、地元でとれたものを消費すればするほど環境にもやさしい。やはり地域の食材を地元で消費する「地産地消」やスローフード運動に行き着く。

 道内は都市部から少し移動するだけで農漁村が広がる。まさに食材の宝庫、「地産地消」の適地だ。

*消費者の連携が望まれる

 日豪の経済連携協定(EPA)交渉など北海道農業を取り巻く環境は厳しい。農業者だけが声を上げるのでなく、消費者が連携することも必要になってくる。

 札幌のNPO法人「北海道食の自給ネットワーク」は、道内契約農家が生産した小麦や大豆を都市部や地方の住民が買い支えて、消費拡大を目指すトラスト運動を行っている。

 発足は一九九九年だ。毎日の食を支える北海道農業の衰退を懸念し、応援を志した。

 江別市などの農場へ農作業の体験ツアーを組んで訪れる。消費者は生産者の顔を見て安心する。農家は購入者の笑顔を見て、励みにする。

 子供たちへの食育も実践している。道内でも外食などで家庭で調理をしない「食の外部化」が進んでいる。子供たちの欠食や「孤食」もある。会員たちはこの現状に歯止めをかけたかった。親の意識も変えたかった。

 地産地消で食べることの意味や役割、食と健康の関係を考える。単に効率や安さのみを求める暮らしや生き方を見直すことにも通じる。

 北海道食の自給ネットワーク事務局長の大熊久美子さんは「地産地消に対する道民の意識は大きく変わりつつある。具体的な行動や成果までもう一歩だ」と語る。

*地元産品きちんと評価を

 行動の一歩を進めたい。

 食と安全、農業と環境に問題意識を持つ消費者をもっと増やしたい。

 道民はすでに、道産米の消費率を大きく上げた実績がある。この力を他の農水産物や加工品にも広げよう。地元のいい農水産物や加工品の価値をきちんと評価して買い支える動きを強められないか。

 道内も生産者と消費者の間に、いつのまにか距離ができたようだ。

 しかし、乳製品やジュース、野菜、洋菓子など地元のおいしい食品、食材を味わいたいと願う消費者は数多くいる。生産者と一般の消費者をつなぐスーパーなど流通、中間業者の協力は欠かせないだろう。

 地域の食材を豊富に使った郷土料理を守る。北海道らしい食文化やライフスタイルを磨き上げて発信する。主要国首脳会議(サミット)の年を機に雄大な自然ばかりでなく、人々の営みとして北海道が誇りうるものを築きたい。

 トウモロコシや小麦、大豆の国際市況の高騰で食品の値上げが相次いでいる。世界的な「食料争奪の時代」が近いともいわれる。食料の安全保障や自給率向上に果たす北海道の役割は今後ますます重要になる。

 不利な気候条件を克服した栽培技術や質の高い農産物、農村景観などは外国からも着目されるだろう。

 観光だけでなく、地産地消などアジアの中の「食と農の先進地」として海外からも視察に訪れる姿に期待したい。

 農業者や食品業者ばかりではない。行政や地域住民、企業などの総合力が試される。

◆Date:2008/01/06
◇Source: 中日新聞
◇Title: 里山の魅力を世界に 独で5月開催 COP9で紹介 
◇URL:http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2008010602077451.html

2008年1月6日

「里山の魅力を世界に発信したい」と話すカンブーさん=金沢市で


『自然と共生する知識』
金沢のIICRC カンブー所長
 金沢市に設置されている、いしかわ国際協力研究機構(IICRC)のアルフォンス・カンブー所長(38)が、五月にドイツ・ボンで開かれる生物多様性条約第九回締約国会議(COP9)で、石川県を中心に日本の里山の現状を発表。世界に向けて「SATOYAMA」の魅力を発信する。

 カンブー所長はパプアニューギニア出身。環境に関する国際法が専門で、二〇〇四年十月に横浜の国連大学高等研究所から同研究機構の所長として着任した。石川県に来て興味を抱いたのが、里山の生態系。「里山は日本独特で、世界に類を見ない素晴らしい自然」と感じ、研究を続けてきた。だが、「過疎や開発、農業の衰退であと十年もすれば里山の環境は取り返しのつかないことになる」と警鐘を鳴らす。

 生物多様性条約締約国会議は、さまざまな生物の保全を図るために二年に一度開催。百九十以上の国や地域の環境担当者、研究者、民間団体の関係者が集まる。カンブー所長は、日本の国土の約40%を里山が占め、自然と共生する伝統的な知識が残っていることを報告する。

 また、二〇一〇年のCOP10の開催候補地となっている愛知県と名古屋市への招致実現に向け、会議の参加者に働き掛けるなど側面から協力する考え。COP10招致に立候補しているのはいまのところ愛知・名古屋のみで、招致が決定すれば、カンブー所長らは分科会を能登で開催しようと計画。石川県の担当者や金沢大の研究者も、名古屋の誘致委員会と連絡を取り合っている。

 分科会招致にかかわる関係者らは、分科会で各国の研究者に直接、里山にふれてもらう方針だ。 (報道部・西浦幸秀)

◆Date:2008/01/07
◇Source: 読売新聞
◇Title: 熱帯雨林を再生
◇URL:http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kyoto/news/20080106-OYT8T00721.htm

マレーシアで植林されているアカシア・ハイブリッド(越井木材工業提供) 京都大生存圏研究所(宇治市)は、マレーシアを拠点とする植林会社と共同研究の覚書を締結し、木材伐採で荒廃地が広がる熱帯雨林の再生に乗り出した。マレーシア・サバ州の植林地を対象に、成長が早い新種のアカシアの植林の研究を進め、森林再生と二酸化炭素吸収による地球環境保全を目指す。

 研究対象となるサバ州の植林地は1500〜5000ヘクタール。この地域の樹木の遺伝子を分析し、植林に適した新品種の開発や生態系への影響、二酸化炭素の吸収量などの研究に取り組む。

 植林会社は、サバ州、越井木材工業(大阪市)、朝日ウッドテック(同市)の3者でつくる合弁会社「KMハイブリッド植林」。3000ヘクタールに330万本を植樹する計画で、すでに、100万本を植えている。

 同州では、2000年から、2種類のアカシアが自然交雑した新品種「アカシア・ハイブリッド」を植林。この品種は成長が早く15〜20年で伐採できる上、強度が強いため、建材や家具などの用材に適しているという。

 マレーシアなど東南アジアでは、日本などへ輸出される樹木が次々と伐採され、森林の荒廃が進んでいる。大部分は植樹されず、手つかずのままにされている。

 共同研究では、今後、15〜20年ごとに伐採と植林を行い、持続的な森林経営を目指すとともに、「アカシア・ハイブリッド」以外の新品種の開発にも力を入れる。川井秀一・同研究所長は「長期間にわたる研究になるが、木材の資源確保のほかに、地球温暖化対策にも貢献できる」と話している。

(2008年1月7日 読売新聞)

◆Date:2008/01/07
◇Source: 読売新聞
◇Title: 島熊山は残った エコでいこっ!<4>  ニュータウンの里山 豊中
◇URL:http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20080107-OYT8T00031.htm

住民の結束で、姿を残した島熊山(豊中市で)=本社ヘリから 街開きから45年を迎えた豊中、吹田両市にまたがる千里ニュータウン(約4万200世帯、約8万9700人)の一角に、緑あふれる別世界がある。標高112メートルの島熊山(しまくまやま)(豊中市)。奥へ進むと、木々の透き間から木漏れ日が差し、鳥のさえずりが響く。200種の植物や50種の野鳥、キツネやタヌキも生息する。

 緑がなくなる――。

 そんな話が街を駆け巡ったのは、1996年3月。府の「北部広域防災拠点」のヘリポート予定地として、議会で47億円の予算が認められたからだ。阪神大震災から1年、防災意識が高まっていた。山を切り開いたイメージ図まで完成していた。

 「なぜ、ここなの。絶対許せへん」。地元の主婦中川泰三子(54)ら住民は、憤った。四季折々の表情を見せる山はニュータウンのオアシス。住民にとって日常の風景。そして、不可欠な存在だった。

 「里山は一度壊したら、二度と元に戻らへん」。地元で生まれ育った中川は小学生のころ、当時、付近にあった山でスケッチをしたり、木の枝を弁当のはし代わりに使ったり。生活の一部として山と戯れ、自然への愛情は人一倍深い。自治会のほか、森林保全や動植物観察など様々なグループに呼びかけ、数日後には、有志約10人で計画反対の署名運動を始めた。

◇反対署名3万7000人

 まだ、肌寒いころ。毎週、夜に公民館に集まり、手分けして知り合いの家で頭を下げた。「もう決まったこと」「何を無駄なことを」。つれない言葉に肩を落とす日も。ポスターは数え切れないほど作った。カレンダーの裏に「計画反対」の言葉を書き込み、ベニヤ板に張り付ける。山周辺のフェンスや民家の玄関先に掲げたが、はがされたり破られたりし、頭を抱えた。

 府への陳情でも進展はなかった。「すでに予算化されている」。担当者は冷ややかな説明を繰り返すばかり。それでも心は折れなかった。「訴え続ければ何とかなる」。署名は増え続け、半年後の9月には約3万7000人に達し、府に提出した。

 当時、豊中選出の府議で、現地を訪れた衣料品販売会社役員の北之坊皓司(67)は驚いた。「ニュータウンに、こんな自然が残っているなんて」。議会で計画撤回を求め続け、知事に会うたび要望した。

 北部拠点の計画は見直す――。翌月4日の議会で、府は計画撤回を表明。広報担当を買って出た主婦白井邦子(63)も同じ思いだった。「夢中で走ったが、感無量だった」。その夜。公民館では、抱き合って喜ぶ主婦たちの笑顔があふれた。ヘリポート計画は、万博記念公園(吹田市)内に変更され、2004年に完成した。総事業費は、島熊山の10分の1以下の約3億5000万円だった。

◇清掃活動でPR

 しかし、まだ課題は残った。府が民間への売却方針を示したからだ。「これでは意味がない」。16年前から竹の間伐などを続けるグループに触発され、中川らも清掃活動を始めた。「自分たちの手で守りたい」。強い意思表示だった。

 至る所にゴミが散乱していた。古タイヤや酒瓶を入れた袋は数人がかりで運び、手足が痛んだ。汗がしたたる日も、白い息が弾む日も、地道に続けた。03年には山の「保全基金」を創設して370万円の善意が集まり、市に自然学習の場として活用するよう求めた。

 そして、住民の粘りは実を結ぶ。05年10月の議会で、府は市へ譲渡する方針を示し、翌年8月、正式譲渡された。主婦らが動き始めてから11年目の夏。「あきらめず、粘り強くやってきたかいがあった」。住民に安堵(あんど)が広がった。

 中川らは昨年6月、「島熊山緑地協議会」(約120人)を設立。清掃や竹の間伐、動植物の生態観察などを継承し、環境保全に努めることにしている。

◇ 澄んだ空気流れる

 玉かつま 島熊山の夕暮れに ひとりか君が 山路越ゆらむ

 万葉集にも詠まれ、幾世紀の時を刻んだ山は、愛する住民たちの手で残った。そして、これからも緑が放つ、さわやかな空気が静かに住宅街を流れる。 (文中敬称略)

 (山本慶史、西山幸太郎)

 <メモ>里山 環境省によると、里山は国土の4割を占めるとされるが、農村部では過疎化による管理放棄、都市部では開発行為などで減少している。2000年度の調査では、全国1023か所で市民団体などが保全活動を実施。同省では「生物多様性の保全上、重要な役割を担う」などとして08年度から、主な里山(300か所)の選定や、住民が管理・利用する仕組みづくりを検討する「SATOYAMAイニシアティブ推進事業」(1億2600万円)を始め、本格的に保全支援に乗り出す。

(2008年1月7日 読売新聞)

◆Date:2008/01/07
◇Source: 信濃毎日新聞
◇Title: 県が寄付金募集のサイト開設、ふるさと納税も見据え
◇URL:http://www.shinmai.co.jp/news/20080108/KT080104ATI090009000022.htm

1月8日(火)

 県はこのほど、ホームページ(HP)上に、森林整備や自然環境保護、景観や観光地づくりに生かす寄付金を募集するサイトを開設した。国が導入を検討している「ふるさと納税」制度も見据えて、県出身らに協力を呼び掛けている。サイトからリンクする電子申請窓口で、県内市町村への寄付も仲介している。

 新設サイトは「『日本のふるさと信州』応援サイト」。「森林づくり事業」「信州の登山道リフレッシュ事業」、山小屋のし尿処理施設整備を進める「山岳環境保全総合事業」など、寄付の活用を想定している県事業を説明している。81市町村のHPともリンクして、市町村の現状や取り組みも紹介している。

 県への寄付は電子申請か郵便、ファクス、電子メールなどで申し出書を提出する。市町村への寄付を電子申請で申し込むと、後日、寄付方法などについて市町村から連絡が入る。

 アドレスはhttp://www.pref.nagano.jp/kifu/。問い合わせは県税務課総務係(電話026・235・7046)へ。

◆Date:2008/01/08
◇Source: 北國新聞
◇Title: 白山に「黒船」 登山靴に低地性植物の種子 マットで侵入経路初確認
◇URL:http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20080109101.htm

登山者の靴底で運ばれた低地性植物の種子が多数確認された除去マット=昨年7月、白山・別当出合登山センター前(白山自然保護官事務所提供)
 白山の高山植物が、登山者の靴底に付着している平野部の植物の種子によって脅かされていることが、環白山保護利用管理協会(白山市)などの八日までの調査で分かった。霊峰の自生種を脅かす「黒船」ともいえるオオバコなどの低地性植物は、登山道周辺で増え、貴重な在来種との交雑種が繁殖する可能性もある。靴から種を採取する「除去マット」を置き、侵入経路を初めて確認した同協会では、環境省に報告し、全国の高山帯保全に役立てる考えだ。
 高山帯への低地性植物の侵入は、これまでも登山者の影響が研究者の間で指摘されていたが、山を愛する人たちが結果的に種子を運んでいることが実証された。

 調査は昨年七月から十月にかけて、南竜山荘(標高二、〇七〇メートル)別当出合登山センター(同一、二五〇メートル)など五カ所に除去マットを設置して実施された。八日までの分析では、マット内の土砂の中から、オオバコやスズメノカタビラ、イラクサなど少なくとも二十種類の植物の種が見つかった。

 同協会によると、白山では既にオオバコやスズメノカタビラ、シロツメグサなど低地性植物が侵入、繁殖している。このうちオオバコは、自生種の「ハクサンオオバコ」と交雑することが大阪府立大の実験で判明。スズメノカタビラも近縁種との交雑が懸念されている。侵入は近年、標高の高い位置まで広がっているという。

 同協会は、石川など白山周辺四県の産学官で構成し、白山の生態系を保全する一環として調査を行った。環境省白山自然保護官事務所、県白山自然保護センターなど十二機関・団体が協力した。

 同協会では年度内に調査結果をとりまとめる予定で、乾靖事務局長は「除去マットの効果が実証された。低地性植物の侵入を食い止める対策として全国に紹介したい」としている。

●白山の高山植物 白山は高山帯を持つ山岳としては最も西に位置し、クロユリをはじめ約100種類の高山植物の西限や南限となっている。名称に「ハクサン」を冠する植物は18種類を数え、白山国立公園はユネスコの生物圏保存地域に指定されている。

◆Date:2008/01/08
◇Source: 東京新聞
◇Title: 最大4.7度上昇 今世紀末の日本 温暖化深刻
◇URL:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008010902078092.html

2008年1月9日 朝刊

 今世紀末の日本列島の地球温暖化の影響について環境省は八日、一九六一−九〇年の平均気温に比べ二〇七〇−九九年は一・三−四・七度程度上昇するとのシミュレーション結果をまとめた。熱帯夜(二五度以上)の出現数は最大で年四十日以上と、東京の現在の平均より十数日増加。一日の降水量が二〇〇ミリ以上の豪雨や大型台風の頻度も増すと予測している。

 シミュレーションは、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候モデル診断プログラムを使用して試算。「経済のグローバル化を抑制した社会」「エネルギーバランスを重視した社会」「環境保全と経済発展を両立させた社会」の三つのモデルに基づいて行い、化石燃料に全面的に依存する最悪のモデルは適用しなかった。

 データは、同省の地球温暖化影響・適応研究委員会に、今後、国内で増加する温暖化の影響にどんな対策を取るべきかを検討する基礎資料として提出された。

 IPCCは昨年、第四次評価報告書で、今世紀末に地球の平均気温が最大六・四度上昇するとの予測を発表している。

 同委員会には、一九八一−二〇〇〇年の平均気温に比べて二〇八一−二一〇〇年には二−三度上昇するという、気象庁が二〇〇五年にまとめた予測結果も報告された。環境省研究調査室は「データは試算だが、社会が温暖化防止に力を尽くしても数度の気温上昇が避けられないというのは、極めて厳しい状況といわざるを得ない。国内でどんな適応策を取るべきか、五月には中間報告書をまとめたい」としている。

◆Date:2008/01/08
◇Source: 産経新聞
◇Title: 【循環生活のすすめ】(6)マイナス成長の経営
◇URL:http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/080109/sty0801090809002-n1.htm
2008.1.9 08:09

農場内の古民家「トトロの家」の前で来訪者を迎える向山邦史さん(64)。山梨県甲府市にある向山塗料株式会社の元代表取締役で、現在は相談役 

 いかに売り上げを伸ばすか−どの企業もしのぎを削っている昨今、「マイナス成長の経営」を目指す企業がある。昭和23年創業の向山塗料株式会社(山梨県甲府市)だ。元代表取締役で現在は相談役の向山邦史さん(64)は、大胆な経営方針転換を行った人物である。

 「バブルのときは、売り上げ増を目標に社員の尻をたたいていました。が、いざ上場というとき、社員は半分になっていた」。厳しいノルマの中、社内の人間関係は悪化。向山さん自身も体調を崩し、眠れぬ日々が1年半続いた。「売り上げを伸ばすことが、本当に幸せにつながるのか」。一時は死を考えるほど、自問自答を繰り返した。

 転機は、末期がんの元経営者が地球環境保全の大切さを説く講演を聞いたときに訪れた。地球が持続できなければ経済活動そのものが成り立たない。環境への意識の高まりは、大量生産、大量廃棄をベースとした経済のあり方への疑問となった。

 平成6年、「私たちの仕事は地球を美しくすることです」とスローガンを掲げ、向山さんは環境にも人にも優しい経営への挑戦を決意する。「これからは年間売り上げを8%ずつ減らす」。おそらく日本初であろう、マイナス成長を目指す会社がここに誕生した。それは、経費を徹底して減らすことにより、売り上げを減らしても利益が下がらない仕組みを社内でつくることからはじまった。

 9年、環境に関する国際規格ISO14001取得に向けて社員全員で一丸となり勉強。その結果、地球環境と省エネについての理解が浸透し、経費は大幅に削減、社員も辞めなくなった。廃油燃料の再利用はもとより、親子リサイクル講座や割り箸・空き缶回収も実施。15年には「半農半塗料会社」を目指し、社員農園を設け、向山さん自身も白州町横手に太平の世界への願いを込め「五風十雨(ごふうじゅうう)農場」をはじめるに至った。

 「以前は、鬼のような顔をしていた」という向山さんだが、白髭(ひげ)をたくわえたその笑顔はいま、来訪者を穏やかに迎え入れてくれる。(ホリスティックライフ研究家・心理セラピスト 村松さと子)

【用語解説】五風十雨

 5日に1度風が吹き、10日に1度適度な雨が降ること。豊作によい順調な天候、転じて安穏で満ち足りた世界を意味する。

◆Date:2008/01/08
◇Source: 中日新聞
◇Title: 掛川・東山地区を希少種保護地域指定 住民と保全乗り出す
◇URL:http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20080109/CK2008010902078165.html

2008年1月9日

市町村レベルで全国初

 掛川市は25日、同市東山地区に生息する希少な「カケガワフキバッタ」と「フジタイゲキ」を守るため、東山の自治区代表者、地権者と市の3者で同地区を保護地域に指定する「指定希少野生動植物種東山保護地区協定」を締結する。自治体が希少動植物種を指定する例は多いが、保護地区を指定し、住民とともに保全に乗り出すのは、市町村レベルでは全国初という。戸塚進也市長が8日、明らかにした。 (楯三紀男)

 カケガワフキバッタは体長19・9−31・5ミリのフキバッタの一種で、大井川から天竜川にはさまれた地域で草刈りなどが定期的に行われる草地などに生息する固有の種。

 フジタイゲキは高さ1メートルの多年草で県の固有亜種。1989年以前の調査では県内9カ所で確認されていたが、90年以降は東山地区と菊川市の一部だけと生息地が減少している。

 いずれも「市自然環境の保全に関する条例」で希少野生動植物種に昨年4月指定されているが、草刈りなどで草地環境を残さないと、保護は難しい。生息地の粟ケ岳(532メートル)山ろくに当たる東山地区は全国有数の茶産地で、農家が毎年、茶園の敷き草とするため草刈りをしてきたことが生息環境の維持につながっていたとみられる。

 後継者不足などで敷き草刈りができなくなると、両種とも生息できなくなる恐れがあり、粟ケ岳南斜面の一部1・8ヘクタールの地権者と自治区、掛川市の間で保護地区協定を結ぶことにした。

 協定案では、自治区と地権者、耕作者は保護地区を毎年秋に草刈りして、両種が生息できる環境を維持。悪影響を及ぼす行為などを発見したときは、市に通報する。市は保護地区内での開発や採集などを事前届け出制とし、環境維持のための助言、指導をする。また自然環境学習会なども積極的に開催し、保護活動に積極的に取り組むという。

◆Date:2008/01/08
◇Source: 産経新聞
◇Title: 琵琶湖が拡大? 滋賀県が早崎内湖の復元を本格化へ
◇URL:http://sankei.jp.msn.com/life/environment/080109/env0801091125000-n1.htm

2008.1.9 11:25

このニュースのトピックス:汚染、公害

琵琶湖への復元が決まった「早崎内湖」(中央左)(滋賀県提供) 琵琶湖とつながった形で周囲に点在する「内湖」の1つですでに干拓されている「早崎内湖」について、滋賀県が復元を本格化させる方針を固めた。平成20年度予算案に実施計画策定に向けた測量費など約1億1000万円を盛り込む。一度干拓した湖の再生は前例がないことから、県は来年度以降、数年かけて復元方法などを盛り込んだ実施計画を策定したうえで再生事業に取りかかる。

 早崎内湖は、同県長浜市と湖北町にまたがる総面積約89ヘクタールの湿地帯。琵琶湖と水路でつながり、魚類の産卵や生息場所などとして琵琶湖の環境を保全する役割を果たしてきたが、昭和30年代から食糧増産のために干拓事業が進められ、47年に終了、農地となっていた。

 平成13年に当時の知事が内湖再生について言及し、琵琶湖の環境保全を目的とした「マザーレイク21計画」の一環として、干拓された土地のうち17ヘクタールについて実験的に復元が進められた。

 その結果、5年間で植物は300種類以上、魚類は固有種ニゴロブナやドジョウなど23種に増加し、コハクチョウが飛来するなど効果が確認されたため、本格的に復元に取り組むことに決めた。

 琵琶湖の世界遺産登録を目指す嘉田由紀子知事は「目玉事業」の1つにしたい考えで、県琵琶湖再生課は「数十年というスパンでの長期事業となるだろうが、豊かな生態系を取り戻したい」としている。

 県によると、内湖は昭和15年に37カ所(総面積約29平方キロ)あったが、高度経済成長の過程で干拓が進み、60年までに23カ所(同4・32平方キロ)に減少。現在も基本的にこの状態が続いているが、近年は動植物の生息場所としてだけでなく、水質浄化の機能も見直されている。

◆Date:2008/01/08
◇Source: 秋田魁新報社
◇Title: 大潟村を「流出水対策地区」に 水田からの濁水抑制推進
◇URL:http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20080109o

 八郎湖が先月、湖沼法に基づき水質改善が必要な指定湖沼となったのを受け、県環境審議会八郎湖水質保全部会(部会長・片野登県立大教授)は9日、水田からの濁水抑制を重点的に進める「流出水対策地区」に、大潟村全域を指定するよう県に答申した。県が同日諮問した。25日にも正式に指定する見通し。

 県の指定理由では、同村について「八郎湖に対する水田の汚濁負荷割合が周辺地域と比較して大きい」とする一方、「全国有数の環境保全型農業の先進地で、農業者は水質改善に高い意識を有する」とした。県は今後、湖沼法に基づき他の周辺地域も順次指定していく方針。

 県八郎湖環境対策室によると、八郎湖流域の排出負荷量に占める大潟村の水田の割合は、化学的酸素要求量(COD)が26・7%、全窒素が15・7%、全リンが27・6%。


*作成:森下直紀(保全・公共政策論・環境政策史)
UP:20080118; REV:
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