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環境・保全関連ニュース

2007年12月12日〜18日
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◆Date:2007/12/12
◇Source: ニッケイ新聞
◇Title: 国連環境会議で苦戦=ブラジルは作戦不足=羊頭狗肉の地球温暖化対策
◇URL:http://www.nikkeyshimbun.com.br/071211-22brasil.html

 バリ島の国連環境会議は九日、先進国と途上国が環境製品の設定で合意に至らなかったと十日付けロイター通信が伝えた。会議に参加した三十二カ国代表は二日間にわたり詰めの会議を行ったが、単なる批判の応報で終わった。
 米国とEUは、補助金制度で裏打ちされた市場独占を視野に入れた先進国に有利な共同提案を発表した。米国とEUは、風力発電機や太陽光発電機などの自国に有利な環境製品四十三品目を優遇関税とすることで会議の主導権を握った。
 アモリン外相は欧米案がエタノールを除外し、片手落ちな環境製品リストを採択させようとしたので拒絶した。温暖化対策と銘打った国連の環境会議は、先進国のエゴ剥き出しで、同じ地球に同居する先進国と途上国にとって何ら成果のないものだと非難した。
 国連の環境会議が温暖化対策を掲げ、羊頭狗肉の集まりであることをアモリン外相は糾弾した。このような環境会議は、議論のための議論の場を設けるだけで予想したものと丸っきり異なる政治的駆け引きの国際会議だと警告した。
 環境部会を終えたブラジル代表団はBBC放送の取材に応えて、見掛け倒しの環境会議は戦略を練って臨むべきだと答えた。地球の温暖化対策だ環境対策だとかいっても、WTO(世界貿易機関)の利害激突の場と同じだという。
 環境会議の当初で意見の相違を生じさせたのは、酸素の供給源といわれる森林の大部分が、ブラジルやパプア、ニューギニア、コスタリカの途上国にあることだ。これら途上国に森林伐採を阻止させるなら、先進国がその代償を払うべきだとした伯国案を先進国は強引に議題から外した。
 ブラジル代表団は、酸素供給国とされる途上国連合の設立が急務であると悟った。これらの途上国は、代表さえ送っていない。国連環境会議とは、先進国のシナリオで進められるので、森林伐採システムを織り込んだ途上国連合の戦略がないと虚仮にされる。
 ブラジルは環境保護システムの設置には同意するが、途上国の立場を無視した先進国の勝手な考え方には憤りを感じるという。アモリン外相は直ちに、途上国の通産相に呼びかけ、森林伐採を削減するクレジット供与の制度設置を討議することにした。

◆Date:2007/12/12
◇Source: FujiSankei Business i
◇Title: ODA白書レアメタル確保明記…官民連携で資源外交強化
◇URL:http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200712130025a.nwc

 外務省は、今月下旬に閣議報告する「2007年版政府開発援助(ODA)白書」で、アフリカのレアメタル(希少金属)をはじめとする重要資源の確保に向けた外交を強化する姿勢を明確に打ち出す。

 同白書としては初めて「アフリカにおけるレアメタル事業」と題する項目を設け、住友商事がマダガスカルで進めているニッケル事業などを個別企業名を明らかにして紹介。「資源小国の日本にとって資源確保の観点から官民連携を推進することが重要」と指摘する。

 また、日本企業の事業環境をODAで整えることについて「資源エネルギーの安定的確保に資する」と明記。石油やレアメタルなどの確保に向けた外交を積極化する方針を示す。同時に、資源需要が急増する中国がアフリカで「資源外交を活発化している」ことにも触れ、膨大な資金とトップ外交で資源獲得に力を注ぐ中国を注視していく必要性も訴える。

 一方、白書は、横浜市で来年5月に開くアフリカ開発会議(TICAD)や7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)で地球温暖化対策が主要議題となることから、温室効果ガスの排出削減や森林保全など地球温暖化対策についても前面に打ち出す。

 日本のODA実績は06年に前年比14・9%減の約111億8700万ドル(約1兆3000億円)と減少傾向にある。

◆Date:2007/12/12
◇Source: しんぶん赤旗
◇Title: 諫早湾閉め切り10年 第4部 干拓事業のゆくえ 見通し暗い干拓地農業
◇URL:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-12-13/2007121314_01_0.html

(写真)試験農地の前で農民から話を聞く福岡洋一元諫早市議(右)

 諫早市の長田地区は優良タマネギの指定産地。干拓地北側の丘陵地に八十ヘクタールほどの段々畑が広がっています。タマネギの苗を植え付けていた梶原実好さん(82)は、干拓地の主農産物との競合を心配していました。梶原さんの畑の一段下は、県の試験農地でした。

品質落ちる
 「こんなところにも試験農地があったのか」。現地を案内してくれた福岡洋一さん(元日本共産党諫早市議)が驚きの声をあげました。干拓地内の試験農地はよく知られています。それとは別に隠れるように試験栽培が十年間も続けられていたのです。試験農地は、干拓地の干潟のガタ土をトラックで十五台分ほど運びこんで造成したものです。

 梶原さんは、県から栽培の管理を頼まれました。「干拓地に最も向いているのは、タマネギなのは間違いない。しかし、干拓地のタマネギは質的に落ちる。たとえば、佐賀県の干拓地と長田とでは、タマネギ十キロで三百二十円ほどの差がある」といいます。

 それでも心配なのは、質は落ちても安いタマネギが市場に大量に出回れば、価格が下落する恐れがあるからです。来年四月から始まる干拓地の営農は、「環境保全型農業」で「諫干ブランド」をめざします。そう順調にいくのだろうか。

 自民党農政のもとで、農業経営はいたるところで困難に直面しているのが現実です。福岡市内で一日、農業者三千七百人が「豊作でも赤字になる農政を見直せ」とデモ行進し、窮状を市民に訴えました。

 地元の諫早市内では耕作放棄地が増え続け、二〇〇五年には千二百四十ヘクタール、干拓事業で新たに造成された七百ヘクタールの一・八倍にも達しています。干拓地の現状も同様です。

 今回造成された中央干拓地に隣接する森山町の旧干拓地は総面積三百四十一ヘクタール。一九六四年完成し、全部で四十六戸が入植しました。このうち、43%に当たる二十戸が離農・転出しています。諫早湾干拓地域の営農の厳しさを示しています。

各地で見直し
 全国の国営干拓地百八十三地区を調べた例でも、干拓地の多くで当初の営農計画がうまくいかず、途中で見直されています。このため干拓地を抱える自治体では、営農負担の軽減や失敗是正などに多額の補助金が支出されています。

 長崎県は、県が全額出資の県農業振興公社に干拓農地全部を五十一億円で買い取らせ、入植希望者にリース配分する方式を導入しました。リース料は十アール(一千平方メートル)当たり年間一万五千円(最初の五年間)。「破格の安さ」で入植しやすいようにしました。

 普通どおり入植者に売却したのでは、売れずに残る可能性があり、そうなれば、干拓事業そのものの失敗が歴然とするからです。その五十一億円の公金支出差し止めを求める住民訴訟が長崎地裁に提起されています。年明けの一月二十八日に判決が言い渡されます。

 公社が負担する五十一億円の財源は県からの貸付金などで償還する計画です。貸付金が県に返済完了するまでに九十八年かかる仕組みです。九十八年前といえば一九〇九年、明治時代の末期です。この間の貨幣価値の変ぼうをみれば、いかに荒唐無稽(むけい)な返済計画かが分かります。

 長崎県の財政は厳しく二〇〇二年に財政再建団体になる可能性をみずから発表し、財政難を理由に県民に犠牲を求めてきたなかで、こうした支出が許されるのか。判決が注目されています。(おわり)(ジャーナリスト 松橋隆司)

◆Date:2007/12/17
◇Source: 公明新聞
◇Title: 鳥獣被害防止特措法が成立
◇URL:http://www.komei.or.jp/news/2007/1216/10351.html

2007年12月16日

公明が主張し生息環境保全の観点も
野生動物から作物守る
市町村の主導で対策を促進

 イノシシやシカ、カラスなど野生動物による農林水産業被害の防止策を推進する「鳥獣被害防止特別措置法」が14日、参院本会議で可決、成立した。公明党は農山漁村の暮らしを守るとともに、人間と動物が共生できる自然環境を整備する観点から同法の制定に積極的に取り組んできた。

 鳥獣被害防止特措法は国と自治体の役割に関して、(1)農水相が被害防止策の基本指針を定める(2)その基本方針に即して市町村が単独または共同で被害防止計画を策定(3)計画を策定した市町村に都道府県知事の鳥獣捕獲権限を移譲できるようにし、必要な財政上の措置を講じる――としている。

 さらに、現場で捕獲などを行う「鳥獣被害対策実施隊」を市町村が設置できるようにした。その隊員の身分は非常勤公務員として、狩猟税の軽減などの措置を講じる。人と動物の共生にも配慮し、鳥獣の良好な生息環境を整備・保全するため、間伐の推進や広葉樹林の育成などが盛り込まれた。

 このほか、被害状況とその原因、動物の生息状況などに関する調査研究の促進、専門的な知識や経験を有する人材の育成などが明記された。

 野生動物の捕獲数は10年前に比べイノシシが5倍、ニホンジカ3倍、ニホンザル2倍、カワウ(ウ科に分類される鳥類)7・5倍に増えているが、被害額は約200億円規模で“高止まり”している(グラフ)。人口減少が続く農山漁村では野生動物の生息地が拡大していると見られ、特に過疎地域では捕獲などの技術を持った人材が年々少なくなり、収穫前の農作物が壊滅的な被害を受けることも珍しくない。営農が成り立たないために離農が相次ぎ、集落崩壊の危機に直面している地域もある。

 こうした事態に早急に歯止めをかける必要があることから、今回の特措法では、被害の現場に最も近く、対策に苦慮している市町村が迅速に防止策に取り組めるようにした。

 公明党は、農林水産業被害の防止対策の拡充と併せ、森林伐採や開発などで生息場所を追われている野生動物と人間とのバランスのとれた共生関係を構築することが根本的な解決につながると主張。(1)数が減少している動物など特性を考慮した適切な施策(2)動物の生息環境の整備や保全のため、広葉樹林の育成を努力規定から実施規定に格上げ――などを特措法に反映させた。


◆Date:2007/12/17
◇Source: 朝日新聞
◇Title: 油流出に備え、緊急計画決定 サハリン2
◇URL:http://www.asahi.com/politics/update/1218/TKY200712170300.html

2007年12月18日00時13分

 石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」で08年にも始まる通年操業に向け、タンカー事故などによる油流出に備える緊急時計画が17日、決まった。北海道北部を広範囲にカバーし、火災や油流出による環境破壊や漁業被害を最小限にとどめる狙いだ。

 計画は、札幌市で開かれた「海上災害防止センター」(横浜市)の専門家会合で決まった。同センターは、タンカー事故の際、船主などの委託で消火や油除去にあたる。サハリン2で原油の通年生産が始まると、幅約40キロの宗谷海峡を10万トン級のタンカーが年間250隻ほど通る。危険が高まることから、計画策定を事業主体「サハリン・エナジー」が依頼した。

 計画の対象地域は、北海道北西部の雄冬岬から知床半島北端までの沿岸約690キロ。一帯は道内屈指の漁場で、北海道漁業環境保全対策本部によると、04年の生産額はホタテが道内全体の7割近い約330億円、毛ガニも7割近い25億円、サケは3割強の約154億円にのぼる。域内には世界遺産の知床半島もある。

 沿岸を185カ所に分け、それぞれにホタテの養殖棚や水族館の取水口など優先的に保護する場所と、オイルフェンスの設置場所を示した図を作製。水深や漁業施設の有無などで海域を五つに分け、有害な油処理剤を散布できる場所を示した。

 国内のタンカー事故では、97年1月に島根県隠岐島沖で重油約6200キロリットルが流出。同年7月には東京湾の本牧ふ頭沖で原油約1550キロリットルが流出した。

◆Date:2007/12/18
◇Source: 伊勢志摩経済新聞
◇Title: 環境省、ペットボトル600本を伊勢湾に放流−漂流・漂着ゴミ調査で
◇URL:http://s01.megalodon.jp/2007-1221-1545-41/iseshima.keizai.biz/headline/342/index.html

漂流・漂着ゴミ調査で伊勢湾に放流されるペットボトル。写真上=GPSが入ったペットボトル、写真中=GPS機能付き携帯電話が入ったペットボトル、写真下=生分解性ペットボトル
 環境省・地球環境局環境保全対策課は2008年1月7日、漂流・漂着ゴミ問題を解消するための調査として、伊勢湾に流れ込む6河川の河口部からペットボトル600本を放流する。

 同調査は、国内の海岸に漂着する年間15万トンにもなる「ゴミ」が海岸機能の低下、生態系を含む環境・景観の悪化などの問題を引き起こし深刻化していることを受け、関係省庁により設置された「漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議」が、今年度からの2年間を「漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査」として実施するもの。全国7県11海岸がモデル地域とし選定され、山形県酒田市と三重県鳥羽市答志島(とうしじま)で漂流・漂着ゴミについて調査を行う。ペットボトルを大量に放流する調査は全国でも初めてだという。山形県酒田市赤川河口部では12月15日にすでに100本のペットボトルの放流を終え調査に入っている。

 調査内容は、主に漂着ゴミの発生源や漂流経路を探ることを目的として、伊勢湾に流れ込む河川「木曽川」「鈴鹿川」「中の川」「安濃川」「櫛田川」「宮川」の河口部から、位置情報を知らせる端末(GPS)を入れたペットボトルと生分解性素材でできた500ミリリットルのペットボトル100本(合計600本)を放流する。

 ペットボトルは、回収できなかった場合も考え、1年〜1年半以内で自然界に分解され環境に悪影響を与えない生分解性プラスチック素材であるPBS(ポリブチレンサクシネート)を使用。ペットボトル側面には、漂着ゴミの調査であること、拾ったらすぐに連絡をしてほしい旨が記載の上、連絡先と電話番号が印字されている。また、どこの河口から流したものかわかるように色で識別できるようにもしている。

 環境省の石橋さんは「伊勢湾内もしくは近隣海岸でペットボトルを拾ったらすぐに連絡してほしい」と協力を呼びかける。ペットボトルは可能な限り回収できるように事前に放流場所周辺の地方公共団体など関係者への周知と、放流後に周辺の海岸・海域で回収作業を行うことを予定。

 鳥羽市答志島は伊勢湾の湾口に位置するため、ちょうど「伊勢湾のごみフィルター」の役割のように各河川から流れるゴミや流木などが集積し、その撤去作業などが問題化している。一昨年から「伊勢湾漂着ゴミクリーンアップ運動」を展開するほか、来年には「海ごみサミット鳥羽会議」の開催も予定する。

「海ごみサミット佐渡会議」に鳥羽市長参加(伊勢志摩経済新聞)
環境省漂流・漂着ゴミ
(2007-12-19)


*作成:森下直紀(保全・公共政策論・環境政策史)
UP:20071214; REV:
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