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環境・保全関連ニュース

2007年11月21日〜27日
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◆Date:2007/11/21
◇Source: 西日本新聞
◇Title: 地下水系で進む汚染 洞窟環境に影響深刻 ラムサール条約登録地域拡大訴え
◇URL:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/yamaguchi/20071121/20071121_002.shtml

 洞窟(どうくつ)研究の専門家による第14回洞窟講演会(山口ケイビングクラブ主催)が18日、秋吉台科学博物館(秋芳町)であった。配川武彦館長が「秋吉台地下水系と秋芳洞の自然環境変化」の演題で、国際的に重要な水辺を守るラムサール条約にも登録されている地下水系の汚染の現状について報告した。

 配川館長は、国の特別天然記念物にも指定されている秋芳洞を流れる“地下の川”が泡立ったり、濁ったりした様子を映像で紹介。上流部の生活雑排水や台上の施設などから漏れる汚水が流入し、水質が悪化した状況を報告した。

 汚水漏れがあった排水管は工事を終えているが、台上から染み降りてくる地下水の汚染が進むと、鍾乳石など洞窟生成物も汚れることを指摘。その上で「台上の施設から汚水が漏れると、鍾乳洞全体の環境に深刻な影響を与える」と強調した。

 さらに、ラムサール条約の登録地域を拡大することの必要性にも言及。登録地域は、秋吉台国定公園の中心部の第一種地域とほぼ重なっている。しかし、秋吉台地下水系の集水域は国定公園全域に広がっているため、第2種、第3種、普通地域まで含めた公園全域に拡大し「公園全体の環境を守ることが地下水系の保全につながる」と述べた。

=2007/11/21付 西日本新聞朝刊=

◆Date:2007/11/21
◇Source: さきがけ on the Web
◇Title: 社説:森林環境税導入 持続可能な財産形成を
◇URL:http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20071121az

 使途や税額を県が幾度も見直すなどの紆余(うよ)曲折を経て、森林環境税「水と緑の森づくり税」関連条例が20日成立した。来年6月から、個人は年額800円、法人は年額1600?6万4000円(県民税均等割額の8%)が県民税に上乗せされて徴収されることになる。

 同税の導入をめぐっては、3年余り前から県議会と県の双方で検討を続けながらも、県民を巻き込む論争にまで発展した子育て教育税の陰に隠れ、入り口論に終始してきた経緯がある。2度の継続審査を経た末、11月臨時県議会で最大会派の自民党の意向を県が受け入れる形で成立したが、何が議論をここまで長引かせたのか釈然としない思いは残る。

 とはいえ、これで新税導入に基づく森づくり事業はいよいよ動きだすことになった。水源の涵養(かんよう)や県土の保全など、森林が持つ公益的機能を次世代に引き継ぐことの重要性は、今の人たちに課せられた使命だ。県には貴重な財源を元に、持続可能な森づくりのための効果的、かつ効率的な事業展開を進める責務がある。同時に、都市部に比べて家計の収入が伸び悩んでいる中で新たな県民負担を求めたということを忘れてはならない。

 われわれ県民もただ税を負担するだけではなく、その使途や効果の検証に注意を払い、森林の保全に関する意識も今以上に高めていく必要があろう。

 本県の森づくりで喫緊の課題は、松くい虫被害で瀕死(ひんし)の状態になっている海岸林をどう回復、再生していくかである。先人が築いた松の緑を取り戻す試みは既に民間レベルで大きく動き始めている。

 秋田経済同友会は平成17年から松枯れ再生募金を行い、被害木の伐倒や植樹を手掛けている。電子部品メーカーのTDKは製造拠点である由利本荘、にかほ両市に総額2億円を寄付し、海岸林再生プロジェクトを応援している。イオン環境財団やJRなどは秋田市下浜の海岸林再生に取り組んでいる。

 そうした企業や住民の熱意をつなぎ、どう後押しして県民共有の財産である海岸林を再生していけるか、県は優先的に取り組むべきだろう。長い時間を要する森林づくりにあって、目に触れる機会が多い海岸林の再生は、税の導入効果をより多くの県民が実感できるはずだ。

 県は自民党の提案を受け、シンポジウム開催などの意識啓発の事業費を上積みしたが、単なるシンポジウム開催に終わらせてはならない。寺田典城知事が主張するように、環境税の創設などを国に働き掛けていく財源としてもいい。本県の森林面積は県土の71%に相当する82万1000ヘクタール。温室効果ガスであるCO2を吸着する巨大な貯蔵庫でもある。

 京都議定書には、先進国の企業が発展途上国で温室効果ガスの削減事業を手掛ければ、削減分を自らの目標達成実績に加算できる排出権取引と呼ばれる仕組みがあり、国内でも動きだしている。その論からすれば国内企業に等しくCO2の排出量に応じた税負担を求め、広大な森林を擁する地方にその吸着量に見合う交付税を設ける仕組みづくりも考えられるはずである。

(2007/11/21 09:24 更新)

◆Date:2007/11/21
◇Source: タウンニュース
◇Title: 株式会社 草柳設備
油化リサイクル装置を開発 プラスチック廃棄物から灯油・軽油相当の油等を生成
◇URL:http://www.townnews.co.jp/020area_page/04_sat/02_hada_sat/2007_4/11_22/hada_top2.html

 産業廃棄物中間処理施設などを展開する(株)草柳設備(本社/落合13・草柳勉代表取締役)がこのほど、プラスチック廃棄物を連続的に油化還元する装置『ユニティU型』を開発し、11月2日に神奈川県から許可を受け運用を開始した。逆熱勾配・傾斜管方式を採用した連続運用の装置は、「全国的にも初めて」のことで、地球環境保全につながる「油化リサイクル」として注目を集めている。

 プラスチック廃棄物(廃プラ)は現在、主に埋め立てや焼却によって処理されている。埋め立ての場合、廃プラは土にかえることなく半永久的に土の中に残る。また、焼却の場合は、処理をめぐる公害や環境汚染をはじめ、施設や分別に高いコストがかかるという。

 市内菩提の営業所で、木くずなどの産業廃棄物の焼却処理を手掛けている草柳設備では、この廃プラ処理に着目。5年ほど前から、逆熱勾配・傾斜管方式の特許を持つ、都内の研究所と、同営業所で「油化リサイクル」の共同開発をしてきた。

 国内にはおよそ20社の油化装置メーカーがあるが、ほとんどがバッチ式(釜式)を採用。釜を下から温めるこの方式の場合、残りカスが発生する割合が多く、途中で運転を中断し、カスを取り出す必要があった。

80%以上の生成油回収率

 一方、同社が開発した装置は、粉砕した廃プラを傾斜した二重管にスクリューで送り込み、反対方向からの熱で分解させる方式のため、24時間の連続運転を可能にした。装置は1日およそ2トンの廃プラ処理に対応。ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレンの3P混合で80%以上と高い生成油回収率を実現した。

 同社の装置を活用すると、軽質油分、灯油・軽油相当分、A重油相当分の油にそれぞれ分留できる。同社ではA重油相当分の油を、同装置の運転で利用するほか、温室などのボイラー燃料や船舶燃料として転用していくという。

 同社にはすでに、100以上の企業や自治体が見学に訪れている。草柳勉代表取締役は、「廃プラは埋めても減ることはない。次世代に残すことはできるだけ避け、地球環境保全につながるこの装置を普及させていきたい」と語った。

◆Date:2007/11/21
◇Source: 信濃毎日新聞
◇Title: 南アルプス保全へ要望 世界自然遺産登録推進協
◇URL:http://www.shinmai.co.jp/news/20071122/KT071121ATI090005000022.htm

11月22日(木)

 長野、山梨、静岡県の10市町村でつくる「南アルプス世界自然遺産登録推進協議会」は21日、世界自然遺産への登録を目指し、南アルプスの保全策を求める要望書を環境省など関係省庁に提出した。

 会長の小嶋善吉・静岡市長、ともに副会長の小坂樫男・伊那市長、今沢忠文・南アルプス市長が、田村義雄・環境事務次官や担当局長らに要望書を手渡した。

 要望書で協議会は、ニホンジカによる食害などで高山植物が被害を受けている−として対策の強化を要望。3県にまたがる区域が国立公園に指定されて40年以上過ぎたことから、公園区域や公園計画の見直しを求めたほか、専門で管轄する自然保護官事務所の設置や専任自然保護官の配置なども盛り込んだ。

◆Date:2007/11/21
◇Source: しんぶん赤旗
◇Title: 諫早干拓 多くの生物 姿消した 3団体 水門開放求め共同声明
◇URL:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-11-22/2007112214_02_0.html

 WWFジャパン、日本野鳥の会、日本自然保護協会の三団体は、長崎県諫早湾「土地改良事業完工記念式典」が行われた二十日、共同声明を発表し、有明海の漁業に重大な悪影響を与えている「潮受け堤防の水門を開放し、海水を導入することが不可欠である」と、有明海の再生をアピールしました。

 共同声明は「日本最大の諫早干潟と底生動物、渡り鳥など多くの野生生物が姿を消し、有明海の潮流・潮汐が弱まり、赤潮や貧酸素水塊の発生規模が大きくなり頻度も高まった」と指摘。「富栄養化した調整池からの排水は、諫早湾、有明海を汚し続け、自然環境と漁場に悪影響をおよぼし続ける」と警鐘を鳴らしました。

 声明は「環境悪化と干拓事業の因果関係は、多くの研究論文等で指摘されているにもかかわらず、有明海・八代海総合評価委員会ではそれを踏まえた検討がない」と批判。今月末に閣議決定される「第三次生物多様性国家戦略」で、干潟の保全・再生をいいながら干拓事業を見直さないことは「国策上も大きな矛盾である」と指摘しています。

◆Date:2007/11/22
◇Source: JCN Network
◇Title: 伊藤忠、国産青果物の卸売・販売会社を設立
◇URL:http://www.japancorp.net/japan/Article.Asp?Art_ID=40943

Tokyo, Japan, Nov 22, 2007 - (JCN Newswire) - 伊藤忠商事(TSE:8001)は国産青果物を主とする農産物の卸売・販売会社として株式会社アイ スクウェアを設立し、国内の高い技術力を持つ農業法人と連携を図り、業務用・外食向けを主とした青果物の販売を強化して参ります。

新会社である株式会社アイ スクウェアは、外食、業務用向けを中心に生鮮野菜・果実の販売と物流機能を有する卸売会社です。従来から外食チェーンむけに国産青果物を販売してきた株式会社いずみの営業権をベースとして、今後は伊藤忠商事と取引のある外食チェーン・CVSなど新規客先を開拓し業容拡大を図る計画です。

アイ スクウェアの特徴は、農業法人と伊藤忠商事が合弁を組むことにより、栽培から流通、お客様のメニューに至るまで一貫した情報提供が可能であること、また生産者が青果物本来のおいしさを追求できるように、安定した野菜・果実生産に必要な契約取引を中心とした仕組みを提供することです。

更には生産者との直接取組みを通して、今後の野菜・果実生産のあるべき姿としての環境保全型農業を実現していくことに主体的な役割を果たせるものと期待しております。

こうした観点から、アイ スクウェアは日本ブランド農業事業協同組合(略称:JBAC)と農産物に関する業務提携を締結いたしました。JBACは日本全国のトップクラスの高い栽培技術を持つ40余の専業の農業法人から組織されております。今後はJBACの計画する周年且つ広域にわたる野菜のリレー生産に対して、アイ スクウェアとして全面的な販売協力を行い、合わせて地域の農業協同組合・生産農家との連携を深めることで、日本農業における野菜生産の継続・拡大に努力してまいります。

この連携ができることで、野菜生産の計画的拡大と農業法人の経営安定化を実現し競争力のある、ビジネスとしての日本農業の新しい局面が開かれるものと期待しております。

アイ スクウェアの販路は外食チェーン向けの業務用、食品産業向けの加工用を中心とし、こだわり野菜・果実は小売販売にも行うことで初年度の売上は50億円を目指します。

新会社概要

株式会社アイ スクウェア
株主構成    : 伊藤忠商事(株) 95%
         (有)イズミ農園 4%
         (有)ジェイ・ウィングファーム 1%
所在地     : 東京都中央区日本橋人形町1-8-7
代表取締役社長 : 福田 高志
事業概要    : 国産青果物を主とする農産物の卸売業

概要: 伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事は多様な機能と世界80ヵ国以上におよぶ広範なネットワークをもち、トレーディングをはじめとし金融関連事業、事業投資など幅広いビジネス活動をダイナミックに展開しています。1997年、当社はカンパニーがそれぞれ自主的な経営を行うディビジョン・カンパニー制を導入、更に1999年度からは執行役員制を取り入れ、迅速な決定と総合力とを併せもつ最適な組織への変貌を遂げました。これによって市場の変化や顧客のニーズに、より早く、より的確に対応できる経営体制を確立しました。
また、地球環境問題を経営方針の重要事項の一つと位置付けて早くから取り組んできた活動も、1997年12月には環境マネジメントシステムのISO14001の認証を取得し、新たな一歩を踏み出すことができました。これからもますます「力あふれる企業」を目指していきます。
詳細は、 www.itochu.co.jp

2007年11月22日 17:51:27
Source: 伊藤忠商事株式会社 (TSE: 8001)
From the Japan Corporate News Network
http://www.japancorp.net/japan
トピック: Corporate Announcement
セクター: Trade & Commerce General, 国内, ディスクロジャー

Copyright c 2007 JCN Newswire. All rights reserved. A division of Japan Corporate News Network KK.

◆Date:2007/11/24
◇Source: 産経ニュース
◇Title: 環境市民ファンド加速へ
◇URL:http://sankei.jp.msn.com/life/environment/071124/env0711241923003-n1.htm

2007.11.24 19:23

このニュースのトピックス:温暖化
 市民からの出資でファンドを形成し、地球温暖化防止や環境保全事業を進める動きが加速している。環境省が今年度から、市民ファンドを活用した環境保全促進事業を実施しているほか、NPO法人(特定非営利活動法人)などが設立した「おひさまエネルギーファンド」(長野県飯田市)が16日から1口10万円からなる温暖化防止ファンドの募集を始めた。

 個人の負担が少ない小口の出資により環境負荷を削減しようという動きの広がりで、今後一段と環境ファンドへの関心が集まりそうだ。

 環境省は、民間事業者やNPOが風力発電や太陽光発電などを行う場合に、市民ファンドを活用した支援に力を入れている。具体的には、北杜市小水力発電普及協議会(山梨県)の小水力発電事業など4地域の事業を支援対象に選定した。それに出資する市民ファンドには事業計画を評価し、必要に応じて計画見直しをアドバイスしてもらう。選定された事業に対しては、1地域あたり、1100万円程度の助成金が交付される。

 一方、おひさまエネルギーファンドはNPO法人環境エネルギー政策研究所などが株主となって設立した。長野県南信州地域で約130カ所に計1000キロワットの太陽光発電施設などを設置するメガワットソーラー事業をはじめ、全国で3カ所の事業を投資の対象にする。環境省の補助金のほか、市民から1口10万円、50万円、240万円の3コースで計8億9200万円の出資を募る。これで、総事業費約18億円をまかなう計画だ。

 出資者には、売電などの利益から毎年配当が支払われる。1口10万円で、契約期間10年コースの場合、目標年間分配利回りは2・1%を予定している。今回の事業が軌道に乗れば、全体で年間3300トンのCO2削減効果があるという。

 日本は2012年末までに温暖化ガス排出量を90年比で6%削減する必要があるが、むしろ排出量は増加傾向にある。特に一般家庭など民生部門の削減が大きな課題。ファンドへの出資は、他の金融商品と同様に元本割れのリスクも伴うが、環境省としても、出資を通じて個人の環境保全への意識を高めたい考えだ。

◆Date:2007/11/24
◇Source: 十勝毎日新聞社
◇Title: 環境に優しい暖房燃料「木質ペレット」 灯油高騰で経済的にも注目
◇URL:http://www.tokachi.co.jp/kachi/0711/11_25.htm

利用の足寄町コスト減「思わぬ恩恵」

 【足寄】森林の林地残材などを利活用した暖房燃料の木質ペレットが、石油価格の高騰を背景に改めて注目を浴びている。ペレット1キロ(50−60円)当たりの発熱量は灯油1リットルの約半分といわれ、灯油が現在1リットル80円半ばで推移していることから、価格均衡が進む形だ。地産地消、環境保全の観点から付加価値が見いだされてきたが、経済性でも遜色(そんしょく)ない燃料となり始め、今後の動向が注視される。(丸山一樹)

 道水産林務部によると、ペレット1キロ当たりの発熱量は約4500キロカロリー。灯油1リットルの価格が90円に迫る勢いのため、ペレット1キロ50円台から購入できる管内でも関心は高い。

 生産事業を展開する「とかちペレット協同組合」(中島正博理事長)が設立された2004年末の灯油価格が50円台だったのと比較すると価格差はグンと縮まり、中島理事長も「想定外」と驚く。

 専用ボイラーを公共施設に導入している足寄町では、双方の価格均衡の影響が既に表れている。50万キロカロリーのボイラー2基を完備する役場庁舎の燃料費は、ペレットの大口購入により既に石油と価格が逆転している。試算では、石油(A重油)を利用するよりも年間92万円のコスト減が実現する見込みだ。田中幸壽副町長は「思わぬ恩恵」と喜んでいる。

 石油が高騰し、ペレットの需要が高まれば、一般消費者への小売価格も灯油に迫る可能性がある。それには燃焼機器の普及が不可欠だ。ペレットストーブを積極的に取り扱うマルショウ技研(本社足寄、菅原智美社長)によると、管内の一般家庭への普及台数は現在、推定約150台で、自治体の購入補助制度もあり年々増加している。同社の今年度の管内販売数も現在16台で着実に浸透している。

生産関係者 機器や販売戦略の転機に
 一方で、生産関係者は現状を冷静に見詰めている。菅原社長は「国内の燃焼機器は、性能や価格の面でまだ成熟過程。需要の速度と機器の進化が一体的に進んでほしい」とし、中島理事長も「原料調達から消費までのバランスが崩れないことが理想」と話す。

 さらに、同組合関係者は、燃料価格先行による市場拡大が加速すればペレット生産の理念にある地産地消、環境保全の観点が形骸(けいがい)化したり、生産体制への負担が増すことを懸念。「当初のコンセプトは崩壊し、長期的な利用者獲得は実現できない恐れも否定できない」(中島理事長)とする。

 ペレットが注目される状況は歓迎する一方、生産サイドとしては現状をペレット産業発展へのターニングポイントと位置付け、販売戦略を含めた今後の方向性を模索する考えだ。

木質ペレット 林地残材などを圧縮し、成型した固形燃料。地場資源の有効利用、大気中の二酸化炭素を増加させず、環境保全を実現する燃料として注目が高まっている。管内では足寄町を拠点とする「とかちペレット協同組合」が2005年11月から本格的に生産している。

◆Date:2007/11/26
◇Source: ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版
◇Title: WTOの使いみち
◇URL:http://www.diplo.jp/articles07/0711-4.html

モニク・シュミリエ=ジャンドロー(Monique Chemillier-Gendreau)
パリ第七大学国際法教授
訳・斎藤かぐみ
 グローバリゼーションを制御できるのは多国間の枠組みだけだ。そうした枠組みは第二次世界大戦後に考案されたが、今日では力を失ってしまった。世界中の貿易開放が、最恵国条項を通じて強制されたからだ。最恵国条項というルールは相互に適用され、一見すると平等のように思えるが、実際には、そもそも優位に立つ国が得をする。戦後の混乱期に、国際貿易機関の構想が失敗に終わった後、その場しのぎの枠組みとして設けられたのが、関税と貿易に関する一般協定(GATT)だった。GATT体制は1994年に世界貿易機関(WTO)体制に替わり、自由貿易の原則が確立することになる。

 自由貿易はしかしながら、諸国の力が対等とは言えない場合には、強国の保護主義の隠れ蓑でしかない。世界経済の成長によって貧富の地図が変わり、なかでもアジアの一部の国が抬頭したのは事実である。しかし、制御なきグローバリゼーションの下で、先進諸国の国民のかなりが貧困化する傾向が生じている。その傾向は、経済成長率が高い時期でさえなくならない(1)。また、当然ながら貿易は債務と連動し、債務額は為替レートに左右される。こうした現状にかんがみれば、国際的かつ民主的な機関による適切なルールの作成が必要だ。

 いささか皮肉な事態ではあるが、多国間主義に向けた大きな一歩は、多くの批判の的になっているWTOによって踏み出されている。票決手続きが富裕国に有利な国連や、国際通貨基金(IMF)、世界銀行などと違って、WTOは一国一票を原則とする。WTOの議論は、GATT時代とは異なり、衆人環視の下に進められている。そこでは法の原則から少しずつ、国際貿易司法が形づくられつつあるのだ。

 WTO体制の下で貧しい国々は、強国に対して一致団結できるようになったと考えた。それを実行に移したのが、カンクン閣僚会議の協議阻止であり、ドーハ・ラウンドの停滞だった(2)。だが、国際的な力関係の現実を前にして、彼らにできるのはそこまでだった。ドーハ・ラウンドの停滞がもたらしたのは二国間協定や地域協定の復活であり、社会的・環境的な均衡と結び付いた貿易の発展を目指そうとするような、調和のとれた世界的な構想の欠如である。

 このように、WTOは政治的には今のところ停滞状態だが、メディアであまり報じられない司法分野では進展が見られる。1994年の改革による大きな変化の一つが、紛争解決機関(DSB)の創設だった。この機関は強制管轄権のある本格的な司法機関であり、途上国が活用を始めている。守勢に回ることが増えたアメリカは、判事の解釈ルールを厳格化すべきだと言い出した。この司法機関にあまり影響力を及ぼすことができず、不満を募らせているのが見て取れる。貿易の分野ではWTOの紛争解決機関を通じて、提訴国がどこであるかにかかわりなく、法の一般原則の適用が徐々に確立されつつある。

 現状の見通しを得るためには、10年以上にわたって積み上げられてきた判例が参考になる。これまでにWTOに提訴された事件は350件あまりにのぼる。最初のうちは、先進国同士の紛争が持ち込まれることが多かった。現在では、綿花の事件や砂糖の事件に見られるように、新興国をはじめとする途上国がWTOに訴えて、大国が敗訴するというケースが多い(3)。WTOが処理に当たる貿易紛争は、国家を当事者として、締結済みの協定にしたがって解決される。

 ただし、陰の当事者が民間企業というケースもあり、そうした場合は巨額の利権が絡むことがほとんどだ。その一方で、市民社会も1999年にシアトル閣僚会議に乱入して以来、議論に一枚加わろうとしている。WTOの上級審は初めのうち、国家以外の者にも意見陳述を許可していた。そのため、NGOが主に途上国側の参考人として、意見を表明する機会を得た。だが、この仕組みは、貿易上の優位を守ろうとする企業ロビーや業界団体にも活用された。その結果、判事は慎重な姿勢に転じ、アミカス・キュリエ(国家以外の者の意見書)は勘案されないことになった。

 WTOの紛争解決手続きは、あくまで国家を主役とし、加盟国それぞれの権利と義務のバランスをとりつつ、各国市場へのアクセスを促進することを目的とする。貿易の場合も他の分野と同様に、法というものが意味するのは、しばしば大きな隔たりのある主観的な要求群を前にして、客観性を追求するという微妙な営みにほかならない。それぞれが共通の価値観を受け入れることで、一つの政治共同体を作り上げていくわけだが、それには一定の条件が必要になる。なかでも最も重要なのは、あらかじめ措定した共通の規範に準拠することだ。

基準が少しずつ明確に
 WTOの場合は貿易協定がそれに当たる。一連の協定は過去のラウンドの産物であり、諸国の力関係が露骨に反映されているものもある。GATT時代には、より広範な法に準拠することのない協定に基づいて裁定が下され、弱小国は泣き寝入りするしかなかった。WTO体制になってからはそんなことはなくなったが、何回ものラウンドを経て生み出された協定は錯綜を極め、それらの解釈は常に頭を悩ませる問題になっている。協定の文言を明確化するにあたり、WTOの協定に照らして加盟国の権利と義務を過不足なく判断するために、判事が依拠しているのが国際公法の解釈ルールである(4)。対審手続きや合理的な期間の定めといった法の一般原則により、法的安定性が多少なりとも高められている。
 なかでも最も重要なのは、手続きと決定に強制力があることだ。国際司法裁判所(国連により創設)や国際刑事裁判所への付託には関係国の同意が必要であるのに比べると、WTOのこうした特徴はなおさら際立つ。WTOの場合には国家は司法を免れることができず、決定を執行する義務を負い、執行しない場合は対抗措置を科せられる。アメリカ議会はマラケシュ協定を批准した際、もしアメリカが何度もクロ認定を受けるようなことがあれば、WTO脱退も辞さないと公言した。その後に何度も敗訴の憂き目にあったにもかかわらず、アメリカは加盟を続けている。ここに新たな可能性の素地がある。とはいうものの、現行の体制には改善すべき点も多々ある。たとえば、多国間の枠組みで形成され、判例によって磨かれてきた貿易ルールは、二国間協定や地域協定においても適用されるべきだろう。

 WTOの紛争解決手続きは、国際貿易ルールの検討を通じて、いくつかの一般的利益基準を浮かび上がらせてきた。判決の下った過去の事件を分析すると、法廷闘争をしただけの成果を挙げたものもある(5)。象徴的な勝利の一例として、ペルーが欧州共同体(6)に勝訴した事件を挙げよう(2002年9月26日)。欧州共同体は、不当な貿易障壁だと認定された結果、マイワシの名称の差別化(大西洋産のマイワシに対し、太平洋産のものを区別)の断念に追い込まれた。精梳綿糸の輸入に対するセーフガード措置の不当性を訴えて、パキスタンがアメリカに勝訴した事件もある。セーフガード措置は損害に見合ったものでなければならないという比例性の原則に反するうえに、損害の原因がパキスタンだけというわけでもなかったからだ(2001年10月8日)。

 これとよく似ているのが、綿製および化繊・人繊製の服と下着の輸入をめぐるコスタリカとアメリカの紛争である(1997年2月10日)。アメリカは、ダンピングや補助金による被害を訴えた国内企業への補償措置を認めたバード修正条項についてもクロ認定されている。この事件では、広範な諸国が手を結んで、アメリカに自国法を国際貿易法と整合させることを義務付ける判決を勝ち取った(2003年1月16日)。

 フランスには石綿の国内販売を禁止する法律があり、石綿の有害性にかんがみてシロ認定されている。この法律は自国産品に対する障壁だとしてカナダが提訴したが、公衆衛生保護を理由として棄却されたからだ(2001年3月12日)。綿花生産に対するアメリカの補助金に関しては、そのせいで重大な損害を被ったというブラジルの訴えが認められた(2005年3月3日)。アメリカが米系の外国販売会社に対して認めた優遇税制は、偽装補助金であると認定され、この世界最大の貿易大国の長期にわたる抵抗を欧州共同体が打ち破る結果となった(2002年1月14日)。

 オーストラリアとブラジル、タイが提訴した砂糖の補助金の事件では、今度は欧州共同体がクロ認定を受ける番になった(2005年4月28日)。ニュージーランド産とオーストラリア産の冷蔵・冷凍ラム肉に対するアメリカのセーフガード措置もクロ認定された(2001年5月1日)。一部の鉄鋼製品に対するアメリカのセーフガード措置も同様で、この時は欧州共同体、日本、ブラジル、韓国、中国、スイス、ノルウェー、ニュージーランドが提訴している(2003年11月1日)。

 これら一連の司法手続きは、いくつかの決定的な問題を提起した。その筆頭が補助金の問題である。WTOの年次報告書によれば、国内総生産(GDP)に対する補助金の比率をサンプル群について計算すると、途上国では0.6%、先進国では1.4%という値になる。よいものだと吹聴されている競争は、実際には歪められ、弱小国を踏みにじるものと化しているのだ。WTO交渉が停滞した最大の原因も、農業補助金に関する先進国の非妥協的な姿勢にあった。先進国は農業補助金のおかげで世界市場を取り仕切り、他の国々は先進国に食糧を依存する状態に置かれている。ただし、こうした現状を非難することが、競争の全面化を求めることにつながるわけではない。競争そのものが、歪みの有無にかかわらず、弱小国の社会にとっては害をなす結果になりかねないからだ。

エビとウミガメ
 グローバリゼーションの矛盾が凝縮されているのが、差別的措置の問題である。欧州共同体はいわゆるACP(アフリカ・カリブ海・太平洋)諸国に特恵条件を供与している。貿易の全面的な開放を目標とするWTO体制の下では、ACP優遇制度は経過的措置としてしか認められない。しかし、無差別の原則に対する例外をなすACP優遇制度は、途上国の利益になっている。WTOがドーハ・ラウンドの中心に据えたのは、まさに途上国の利益ではなかったか。特恵制度を否認するなら、弱小国が自国の存続に必要な優遇措置を、二国間協定や地域協定を通じて実現しようとするのは必至である。そうなれば、ただでさえ不調な多国間構想は、実質的に無に帰してしまうだろう。
 差別的措置をめぐる問題の核心は、インドを先頭とする途上国18カ国が、特恵関税の供与条件をめぐって欧州共同体と争った事件によって明らかになる。何をもって途上国というのか、ということだ。貿易特恵制度は「途上国」と呼ばれるグループのうちに差別を生み出しかねない(2004年4月7日)。さしあたり、「途上国」に当たるかどうかは当事国が自分で決めている。特恵が供与されるかどうかは供与する国の一存による。客観的な基準は何もない。判例では今のところ特恵制度は容認されているが、いずれは禁止されるようになるだろう。

 紛争解決手続きによってクロ認定を受けた国家は、WTOの決定に整合するよう自国の貿易法規を変更しなければならない。所定の期間を過ぎると、相手国は対抗措置を講ずることができる。これらはすべて、徐々に洗練の度を増すWTO手続きの枠組みにしたがって遂行される。国内法規の整合化は、以前のように各国の裁量に任されているわけではない。

 司法面での前進があるからといって、現在の世界貿易体制に対する批判も大きいことを忘れてはならない。世界では貿易の論理が依然として支配的であり、何らかの原則的立場がWTOの決定によって支持された場合でも、それによって確立されると見えたルールは、この決定に関連した新たな提訴事件や、あるいは別の決定が付け加わったせいで、なかなか定着せずにきた。ある種のエビの輸入に関わる事件がそうだった。アメリカはエビの輸入制限を課すにあたって、実に立派な理由を掲げた。輸出国は絶滅危惧種のウミガメを脅かすような漁法を禁止すべきだ、という理由である。

 絶滅途上の生物資源は「枯渇性資源」であり、WTO協定はそうした資源の保全を貿易制限の根拠として認めている。これが、事件の第一段階で確認された原則的立場である。しかし、制限的な措置を一方的に、それを認めた国際協定なしに実施したことで、アメリカはクロ認定を下された。ここまでの決定経緯には文句の付けようがない。ところがアメリカは、決定を適用するという名目の下に、エビ漁の際のウミガメ保護を定めたガイドラインを改正する一方で、漁法に関する国際協定がないにもかかわらず、輸入制限については撤回しなかった。

 これに対してマレーシアが再び提訴した。WTOの紛争解決機関は、途上国側にきわめて不利な決定を下し、アメリカの一方的措置にシロ認定を与えた。たとえ多国間協定が成立するに至っていなくても、アメリカが誠実に交渉努力を行っているだけで十分だというのが認定の理由だ(2001年10月22日)。

 もう一つの残念な例が、ホルモン投与肉の事件である。今のところ(というのは事件は新たに係属中なので)、貿易の論理に予防原則が屈する形になっている。食用に供すれば健康上の問題があるかもしれないアメリカ産の食肉に対して市場を閉ざしたことで、欧州共同体はクロ認定を受けた。衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)上の意味におけるリスク評価を行わなかったというのがクロ認定の根拠であり、欧州共同体には整合化の義務があるとされた。だが、整合化の義務があるからといって、禁止措置を撤回し、市場を開放しなければいけないことになるのだろうか。ここで言う整合化とは、むしろ協定の趣旨に適ったリスク評価を改めて行うことではないのだろうか。

現行体制の限界を踏まえつつ
 欧州共同体はそう考えた。独立の科学委員会が新たなリスク評価を行って、消費者にとってリスクがあるとの評価を下した。これによって義務は果たしたと考えた欧州共同体は、一部のホルモン剤を禁止する新指令を発した。アメリカは対抗措置を維持したため、制裁解除を求める欧州共同体は、事件を再びWTOの紛争解決機関に持ち込んだ。
 対抗措置を実際に科すにあたっては、諸国の間に極端な力の差があることを指摘しておきたい。強大な国が制裁を被ることはまずあり得ない。勝訴した相手国が対抗措置を実施できるような状況にないからだ。小国の場合は言うまでもなし、そうしたことは欧州共同体にさえある。外国販売会社への優遇税制の事件でアメリカに対して勝訴しながらも、欧州共同体は受けた損害に見合った対抗措置を実行に移せずにいる。金額があまりに大きいため、それほどの規模の制裁を加えれば、貿易バランスがおかしくなってしまうからだ。

 もう一つ挙げておきたいのが、中国というプレイヤーの登場だ。中国は、鉄鋼の輸入に対する課税の問題で、アメリカを提訴した国の一つである。アメリカの側も、この最大の貿易ライバル国を複数の事件で提訴している。なかでも最大のものが、国内産業に対する中国の違法な補助金の問題だ。最近では、知的所有権の問題や、ある種のアメリカ製品への中国市場の開放という問題がある。WTOの法廷には、世界の貿易バランスに大きな影響を及ぼす両国の紛争も持ち込まれているのだ。

 国際貿易司法は今日、貿易法の分野だけに収まらないような問題について裁定を下すことを求められている。そうした方向への管轄権の拡張が、NGOによっても主張されている。しかしながら貿易自由化の例外として、人と動物の健康・生命、植物の保全や、より一般的には公共の道徳が、そもそも協定で認められている(7)。実際WTOの紛争解決機関は、これらの利益が貿易の利益に優越することをいくつかの事件で認めている。とはいえ紛争解決機関は、貿易協定にしたがって裁定を下さなければならないため、貿易重視の妥協策に流れやすい。つまり、一般的利益の方はないがしろにされる。では環境・社会・保健分野の規範を厳格に適用すればいいのかというと、それはそれで強国の保護主義に加担することになりかねない。ここに現行の体制の大きな矛盾がある。

 アメリカがウミガメのことを心配するのは、自国のエビ市場の保護という低次元の思惑と無縁ではない。そこに見て取れるのは、一方では途上国が貿易上の利益を追求してやまず、他方では社会・環境・保健分野の規範を向上させる必要があるという矛盾した二つの方向性だ。多くの途上国が市場シェアの拡大に躍起になるあまり、そうした規範に頓着しないのは事実である。とはいえ、この問題はWTOの紛争解決機関が解決すべきものなのだろうか。国際法がそもそも手薄な領域で、国際法上の序列を考えることなどできるものだろうか。

 国際法上の法源のうち、他のあらゆる法源に優越するものが一つある。一般国際法の強行規範である。適用除外なき規範と呼ばれる種類のものであり、これに反する規範はすべて無効となる。一般国際法の強行規範の優越は、普遍的な共通善という概念を前進させる可能性を秘めてはいるが、きわめて理論的なものにとどまっている。その具体化を図るためには、規範の序列が争点となるような事件が司法手続きに付される必要がある。だが、一般的な国際司法裁判は望み薄である。国家が手続きに服することを義務付けられていないからだ。

 それに対して貿易司法は強制管轄権があるため、他の司法機関にはできないことまで期待されている。しかし、WTOの紛争解決が不十分だと運動団体が非難するのは筋違いであり、一般的な国際司法裁判の不備こそを問題にすべきである。国際司法裁判所や国際刑事裁判所が世界中の国に対する強制管轄権を備えるようになり、あるいは世界人権裁判所が創設されて、誰もが万人に対して人権を行使できるようになるならば、真の問題解決に向けた道筋が開かれていく。そうなれば、一般司法によって適用除外なき原則が定められるから、貿易司法で共通善の原則が争点になった場合には、それらの原則が自由貿易にかわる指針として仰がれることになる。

 とはいえ、話はここで終わらない。社会・保健・環境分野の高度な規範を途上国に求めれば、途上国が輸出力を失って貧困化するおそれ、つまり、これらの規範と引き換えに基本的人権の状況が悪化するおそれがある。ウミガメ保護という理由の下に、住民の生活手段となっていたエビ漁に壊滅的な打撃を与えた事件がまさにそれだ。基本的人権の尊重を謳い、それを実際に行使できるものにしようとするのなら、生活の質を支える規範(保健、環境、労働条件)の尊重を訴えるだけでなく、対象を絞り込んだ大規模な支援を行うことが必要だ。私たちはWTOを批判するだけにとどまらず、補助金についても制裁措置についても、多国間で利害を分け合う仕組みを作り上げていかなければならない。

(1) Cf. Joseph Stiglitz, << Des pays riches peuples de pauvres >>, reprinted from Financial Time (London) in Courrier International, No.829, 21-27 September 2006.
(2) ドーハ・ラウンドは当初期限を3年として、国際貿易の自由化を課題として進められたが、暗礁に乗り上げたため、2006年7月28日に中断された。
(3) See Tom Amadou Seck, << Bataille pour la survie du coton africain >>, Le Monde Diplomatique, December 2005.
(4) たとえば、骨なし切り身の冷凍鶏肉の関税品目が問題となった欧州共同体の事件(ブラジルとタイが提訴)では、「塩分添加」という語の解釈が争点になった(上級審、2005年9月12日)。
(5) WTOの決定の分析としては、『Journal du droit International "Clunet"』誌が参考になる。毎年第3号がWTOに関して「紛争解決年報」を掲載している(Helene Ruiz-Fabri et Pierre Monier)。
(6) 欧州連合には今のところ訴権がないため、欧州共同体が当事者となっている。
(7) GATT協定20条およびサービス貿易一般協定(GATS)14条。


(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版2007年11月号)
All rights reserved, 2007, Le Monde diplomatique + Kondo Koichi + Saito Kagumi

◆Date:2007/11/26
◇Source: 建通新聞社
◇Title: 【神奈川】小網代の森保全、用地7割取得へ 県(11/26)
◇URL:http://www.kentsu.co.jp/kanagawa/news/p03527.html

■ 神奈川県環境農政部が進めている「小網代の森保全事業」に伴う用地取得が、2007年度中に約74%に達する見通しとなった。同区域に大規模な用地を保有する京浜急行電鉄(東京都港区)などから、区域全体の約3割に当たる16・7fの用地を取得することが県議会9月定例会で承認されたため。用地の進展を踏まえ県は今後、具体的な保全対策とともに、県民利用に向けた施設整備などの方向を検討する。
 三浦市三崎町小網代に位置する「小網代の森」(約57f)は、関東地方で唯一、森林や湿地、干潟、海岸が自然の状態でまとまって残っている集水域とされている。希少種を含む貴重な生態系が形成されており、05年9月には、国土交通省が首都圏近郊緑地保全法に基づく「小網代近郊緑地保全区域」(約70f)に指定。区域内で建物の新築や増改築、土地の造成、木材などの伐採を行う際の規制を設ける一方、国庫補助の対象事業とした。
 県が事業区域とする約57fのうち約54fは民有地。小網代の森の自然環境を保全するため、県は1997年度から「かながわトラストみどり基金」を活用し、民有地の買い入れを行ってきた。保全区域の指定を受けた05年度以降、国庫補助金を活用して用地取得を加速した。
 07年度は、大規模な用地交渉のめどが立ったことから、6月補正で用地取得費を予算化。約16・7fの用地を取得することで、用地取得率を約74%(約42f)にまで引き上げる。
 08年度以降、引き続き用地交渉を進めるとともに、同区域の保全と利活用のための具体的な検討を本格化する。
 豊かな自然を計画的に保全するとともに、県民が自然にふれあい親しめるようにするため、森の管理・活用方法とともに、県民利用施設の整備や環境管理などを検討する。自然環境の保全を目的とするため、大規模な開発などは行わないが、駐車場やエントランス広場、散策路、管理棟など、必要最小限の施設を整備する見通し。

(2007/11/26)

◆Date:2007/11/26
◇Source: 読売新聞
◇Title: 野生生物保護へ目標盛り込む、国家戦略5年ぶり見直し
◇URL:http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071127i302.htm?from=main3

 様々な生物が住む自然環境を保護するため、国の具体的な行動目標を定めた「第3次生物多様性国家戦略」が27日、閣議決定された。

 これまで国家戦略になかった行動計画の数値目標を初めて掲げたほか、優先的な保全が必要な地域「生物多様性ホットスポット」を選定するなど、新たな取り組みを盛り込んだのが特徴だ。

 生物多様性国家戦略は、生物多様性条約に基づき1995年、2002年の2度、策定されたが、生物絶滅のペースは衰えていない。今回の見直しは5年ぶりで、各省庁横断で具体的な目標や指標を多く盛り込んだ。

 数値目標としては、<1>湿地を保護するラムサール条約登録湿地(現在33か所)を11年までに10か所増やす<2>絶滅のおそれがあるレッドリストの登録種を約15種追加する<3>減農薬など、より環境に配慮した農業を行う「エコファーマー」認定件数を、現在の約13万から09年度末までに20万に増やす――など約30例を挙げている。

 また、ホットスポット選定にあたっては、自然環境の状態を科学的、社会的な側面から総合的にチェックする「生物多様性総合評価」を世界に先駆けて実施するとした。

(2007年11月27日10時54分 読売新聞)

◆Date:2007/11/27
◇Source: 人民網日本語版
◇Title: 中国は汚染事故多発期に突入 問題も顕著化
◇URL:http://www.people.ne.jp/a/cfad083c5017458bb397d4131b3d0d75

 中国政府公式サイトは26日、「国家環境保護『十一五(第11次五カ年計画:2006−2010年)』計画」(以下、『計画』と略)全文を発表した。100年にわたる先進国の工業化プロセスにおいて段階的に発生した環境問題が、中国ではすでに集中的に顕著に現われ、中国は汚染事故多発期と問題が顕著化する時期に入ったと「計画」では指摘されている。「国際金融報」が伝えた。

 「計画」の主な内容は以下の通り。

 ▽「十五(第10次五カ年計画:2001−2005年)」環境保護計画指標は全てが実現されておらず、二酸化硫黄(SO2)排出量は2000年比27.8%増加、化学的酸素要求量(COD)は2.1%減少、10%の削減目標に至らなかった。

 ▽「十五」期間に解決が図られた深いレベルでの環境問題の一部は、いまだブレイクスルーを得られていない。不合理な産業構造や粗放な経済成長方式は全く転換されていない。環境保護が経済発展に遅れを取っている状況も変わらない。体制の不備、構造の行き詰まり、資金投入不足、能力の低さなどの際立った問題が残されたままとなっている。法律があってもそれに依拠せず、違法行為は追及が困難で、監督管理は脆弱、法執行は怠慢で、管理監督力が不足している、などが普遍的な状況となっている。

 ▽重点業務と主要任務は、「十五」計画で決定された主要汚染物排出抑制目標を達成することだ。汚染予防対策業務を重点項目中の最優先事項とし、都市・農村住民の飲料水安全確保を第一の任務とする。

 ▽歴史的転換をさらに促進し、長い間環境保護発展の足を引っ張ってきた制度面での障害の解決に尽力しなければならない。中央政府と地方政府の職権、政府と企業の職責にそれぞれきちんと境界線を引き、バランスある統一的で効率の高い環境監督管理体制を健全化する。

 「十一五」環境保護目標を実現するには、全国の環境保護投資が同時期GDP(国内総生産)の1.35%を占める必要があるという。(編集KM)

 「人民網日本語版」 2007年11月27日

◆Date:2007/11/27
◇Source: 京都新聞
◇Title: 京都府内対象地49%で活用 国の農地保全制度
◇URL:http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007112800042&genre=A2&area=K00

 京都府は27日までに、本年度から国が始めた農地保全制度「農地・水・環境保全向上対策」の活用状況をまとめた。19市町の約1万2000ヘクタールで活用され、制度の対象農地のうち実際に制度が使われている割合は49%と、全国平均の23%を大きく上回った。ただ、府南部では活用が遅れており、制度活用度に地域間格差も出ている。

 この事業は、地域ぐるみで水路整備や草刈りなどする「協働活動」には、水田10アール当たり4400円、さらに減農薬などに取り組めば「営農活動」として1地区当たり20万円を支給する。

 協働活動では、454の活動組織が結成され、計1万1931ヘクタールの農地で取り組んでいる。内訳は9割以上が水田で、畑は1割未満だった。

 対象農地のうち実際に制度が活用されているのは、与謝野町が96%、南丹市が76%、亀岡市が72%、京丹後市が63%と府中北部で高い傾向がみられた。

 逆に、宇治田原町は3・7%、八幡市は7・3%、城陽市は8・5%と府南部、山城地域の低さが目立った。

 営農活動は、南丹市や京丹後市など八市町の174ヘクタールで活用された。作物は、水稲やみず菜、壬生菜、黒大豆が多かった。

 府耕地課は「中北部は集落のつながりが強く、制度が浸透しやすいが、南部は個別経営の畑作が多くまだ協働化が進んでいない。広く制度の活用を呼び掛けたい」としている。

◆Date:2007/11/27
◇Source: 室蘭民報
◇Title: 白老・ウヨロ環境トラストが全国表彰受ける
◇URL:http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2007/11/28/20071128m_08.html

【2007年11月28日(水)朝刊】

 白老町のNPO法人「ウヨロ環境トラスト」(斎藤春生理事長)が社団法人国土緑化推進機構の平成19年度ふれあいの森づくり「国土緑化推進機構理事長賞」を受賞、会員の活動の励みになっている。

 環境ボランティア団体の「ウヨロ環境トラスト」は平成13年、里山づくりや自然環境保全活動に取り組んできたメンバー15人が不在地主化したウヨロ川周辺のカラマツ林を購入、保全活動を展開してきた。

 現場は35年生のカラマツ人工林が広がる4・68ヘクタールの一画。平成16年7月にはNPOも取得、自然体験研修など幅広い活動も評価されていた。

 事務局の河野功さんは「活動は人目につかず、地味な面もあり、楽しみながらできるレベルから危険な作業もある。活動を理解してもらう上で、受賞はありがたい話です。今後も森林の持つ公益性などを理解してもらいながら情報発信していきたい」と話している。

 「ふれあいの森づくり」の表彰は本年度、全国で会長賞4団体、理事長賞はウヨロ環境トラストを含めて10団体が受賞している。道内からは同団体だけの受賞。

◆Date:2007/11/27
◇Source: 陸奥新報
◇Title: 大量廃棄物は弘前市の埋め立てごみ 岩木川河川敷 65年ごろから360トン以上廃棄
◇URL:http://www.mutusinpou.co.jp/news/07112804.html

9月27日に行われた試掘調査。今後、土砂とごみを分別し処理する

 弘前市の岩木川護岸工事現場から大量の廃棄物が見つかった問題で、現場は1965年ごろから弘前市がごみ埋め立て場に使っていたことが分かった。国交省青森河川国道事務所などが27日に記者会見し、明らかにした。これを受け、工事にかかわる部分に関し、同事務所が約400万円、市が約250万円を負担し分別処理することを決めた。

 廃棄物は9月18日に岩木川流域の洪水被害の復旧工事で、地盤を掘削したところ瓶、缶などの廃棄物が見つかったもので、同事務所が捨てられた時期や内容、周辺の土壌を分析し影響を調べていた。
 会見で南文彦同事務所副所長は、廃棄物は65年ごろから弘前市が国有地を借り、ごみの埋め立て場として使用、360トン以上になるとみられると発表。また、土壌の分析結果は重金属、ダイオキシン類とも環境基準内とした。
 今後、工事関連域は掘削せざるを得ないことから、範囲内の約60トンの廃棄物については来月3日から同事務所が掘削、分別し、弘前市が運搬、処分するという。
 当時の法律では違法行為ではないが、会見で秋元裕弘前市環境保全課長は「当時岩木川は国ではなく県が管轄しており、市や県に書類が残っていない。当時の事情からはやむを得ない部分があったと思うが、現在では考えられない」と話した。


*作成:森下直紀(保全・公共政策論・環境政策史)
UP:20071121; REV:20071203, 14
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