HOME > 事項 > 保全 > 環境・保全関連ニュース >

環境・保全関連ニュース

2007年11月14日〜20日
本ページに掲載されるニュースは、「環境」と「保全」というキィ・ワードを含むものです。
著作権は各ニュース・ソースに帰属します。

◆Date:2007/11/14
◇Source: EICネット
◇Title:地球環境研究総合推進費 19年度中間・事後評価結果公表
◇URL:http://www.eic.or.jp/news/?act=view&word=&category=&serial=17673

 環境省は平成19年11月13日、「地球環境研究総合推進費」により現在継続中の研究課題に対する中間評価と、18年度に終了した研究課題に対する事後評価の結果をまとめ公表した。
 地球環境研究総合推進費は、学際的、省際的、国際的な観点から総合的に地球環境保全に資する調査研究を推進することを目的とし、環境省が2年度に設立した研究費。18年度には32億6,000万円の総予算で46の研究プロジェクト、19年度には約29億6,000万円の総予算で56の研究プロジェクトが実施されている。
 今回評価を行ったのは、中間評価として(1)17年度に開始した戦略的研究開発プロジェクト(注1)1件、(2)19年度が研究開始2年目に当たる11件(このほか18年度の中間評価で特に評価が高かった1件について延長するかどうかの判断する評価)、事後評価として、平成18年度で研究が終了した問題対応型の研究課題12件と戦略プロジェクト1件−−の計25件が対象。
 地球環境研究の専門家・有識者で構成される地球環境研究企画委員会とその下部組織の4つの研究分科会が評価を行った。
 このうち19年度が研究開始2年目にあたる11件と1プロジェクトについての評価はA〜E4段階でA評価1件、B評価が8件、C評価が3件。
 17年度で研究期間が終了した13件については、全てB評価であった。

(注1)環境省が大枠を作成したトップダウン型の研究プロジェクト。【環境省】

◆Date:2007/11/14
◇Source: 中日新聞
◇Title:カワウの狩猟、61年ぶり解禁へ 県「少しでも駆除増やせれば」
◇URL:http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20071114/CK2007111402064098.html

2007年11月14日

 漁業や樹木への影響が懸念されているカワウの狩猟が15日から、1946年以来61年ぶりに解禁される。来年の2月15日までの期間中は、捕獲の申請が必要ないため、県自然環境保全課は「少しでも駆除数を増やせれば」と期待を寄せている。

 同課によると、環境省が本年度からカワウを狩猟鳥獣に加えたことを受けて実施する。今春の調査によると、竹生島や伊崎半島で営巣地を作り、約3万4000羽が生息。樹木の枯死や漁業被害が問題となっている。

 県は対策として1993年度から、鳥獣保護法に基づき、市町や県漁連が知事の許可を受け、銃器で駆除してきた。昨年度は約1万8000羽の実績があった。

 カワウはかつて全国に生息していたが、河川改修や干潟の埋め立ての影響で数が減少。1947年に狩猟鳥獣の指定を外されていた。

 (勝山友紀)

◆Date:2007/11/14
◇Source: 西日本新聞
◇Title: 野生生物保護で事業見直し 民主、通常国会に法案提出
◇URL:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/main/20071114/20071114_001.shtml

 生物の多様性を人類生存の基盤と位置付け、野生生物をはじめとする生態系保全のために、国が森林や海岸などの開発事業の見直しを求めることができるようにする民主党の「生物多様性保全基本法案」の骨子案が14日、明らかになった。

 国が生物多様性の保全に関する「基本計画」を策定して必要な体制を整備するとともに、事業計画変更に柔軟に対応できるように、これまでよりも早い段階で影響を調査する「戦略的環境影響評価」(SEA)を開発事業者に義務付ける。

 民主党はマニフェスト(政権公約)で「ヒトと野生生物の共生」をうたっており、来年の通常国会で参院に法案を提出、環境重視の姿勢をアピールする方針。

 骨子案によると、SEAの結果、生物多様性の保全に支障を来す恐れがある場合、事業者に事業見直しや用地の再選定など「必要な措置」を講ずるよう義務付け、応じなければ国が強制することもできるとした。経済活動を優先したダム建設や海岸埋め立てなどに歯止めをかけ、自然環境の破壊によって生じる「生物多様性の減少」を防ぐのが狙い。
2007年11月14日08時32分

◆Date:2007/11/14
◇Source: 中日新聞
◇Title: 高山市の取り組みがエコツーリズム特別賞 五色ケ原への入山で
◇URL:http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20071114/CK2007111402064094.html
2007年11月14日

ガイドの同行を条件にするなどの取り組みが評価された乗鞍山麓五色ケ原の森

 有料ガイド「森の案内人」の同行を条件に乗鞍山麓(ろく)五色ケ原(高山市丹生川町)への入山を運営している同市の取り組みが、環境省が選ぶエコツーリズム大賞の本年度の特別賞を受けた。

 エコツーリズムは、地域の自然環境の保全に配慮しながら、時間をかけて自然とふれあう取り組み。大賞は、個人や団体の優れた取り組みを表彰している。本年度は64件の応募があり、大賞1、優秀賞3、特別賞6件が選ばれた。大賞は北海道浜中町の霧多布湿原トラストが受賞した。

 市の五色ケ原での取り組みは、条例で1日当たりの入山者数の上限と、有料ガイドの同行を定めるなど、先進的な施策が評価された。現在48人いるガイド全員が高山市民、うち半数が丹生川町民であり、地元の雇用創出に貢献している点も認められた。

 五色ケ原は入山者が2年連続で前年比3割減となり、1人8800円〜2万円の入山料見直しなどが課題となっている。市の担当者は「今後も自然保護を第一とし、利用者の声を参考にして運営していきたい」と話している。(田中綾音)

◆Date:2007/11/14
◇Source: GAME Watch
◇Title: ダンジョンの生態系を破壊する勇者を退治せよ!
     SCEJ、PSP「勇者のくせになまいきだ。」
◇URL:http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20071114/nama.htm

12月6日 発売予定
価格:3,980円

CEROレーティング:A (全年齢対象)

メインビジュアル。8bit風のドット絵を模したキャラクタがいい味を出している
 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (SCEJ) は、プレイステーション・ポータブル用ダンジョン・マネージメントゲーム「勇者のくせになまいきだ。」を12月6日に発売する。価格は3,980円。CEROレーティングは「A(全年齢対象)」。開発元は株式会社アクワイア。

 PSP「勇者のくせになまいきだ。」は、プレーヤーが「魔物側」としてダンジョンを管理・構築し、「悪者退治」とばかりにダンジョンを訪れる勇者たちをやっつける、シミュレーションやパズル風味の強い作品。

 本作は「ビオトープ(bio「命」+topos(場所)」と呼ばれる、ドイツで提唱された環境に対する考え方を「RPG的文脈」で解釈しゲーム内にとりこんでいる。ビオトープは、経済的繁栄を目指す人間の開発により失われた「小さな生態系」を、復元および保全しようという概念。本作では、生物を「魔物」、「生息場所」をダンジョン、開発による環境破壊を「勇者」にあてはめ、容赦なく襲い掛かる勇者の魔手からダンジョンと魔物を守るべく、生態系に順次手を加えていく仕組みになっている。

 ゲームの遊び方は、とてもシンプル。プレーヤーは「つるはし」を使い地下に穴を掘り、強い魔物を発生させてダンジョン内の生態系を管理していく。「堀パワー」を消費して穴を掘ると、土中の養分、通路内の魔力に応じて、さまざまな魔物が発生する。

 ここまで読むと「あれ、逆転的発想で作られたゲームなんて、いくつもあるんじゃないの?」と思われそうだが、ここからが「勇者のくせになまいきだ。」の真骨頂。最初に発生する生物は「ニジリゴケ」と呼ばれる、極めて弱い魔物。だが、それとは別に「ニジリゴケ」を捕食すべく「ガジガジムシ」と呼ばれる新たな魔物が発生する。魔物には「誕生」、「摂取」、「繁殖」、「死」といったライフサイクルがあり、これらの小さな積み重ねが、ダンジョン内の生態系を構築していく。

 勇者を退治するためには強力な魔物が必要だが、それらは当然“生態系の上位”に位置するものばかり。いざというときには頼りになるが、さりとて上位種が繁殖しすぎると、ダンジョン内の生態系バランスが崩れてしまう。プレーヤーはダンジョンを構築しつつ、ときには魔物を間引いて生態系のバランス維持につとめなければならないのだ。

 タイトルにもある「なまいきな勇者」には、剣士、魔法使い、ファイターと、それぞれ最大3人パーティで攻めてくる。ダンジョンには朝、昼、夜といった時間の概念があるといい、“夜討ち朝駆け”とばかり一瞬たりとも気が抜けない。勇者を退けられず、プレーヤーを破壊神とあがめる「魔王」が地上に連れ去られたらゲームオーバーとなる。

まずはステージ1の流れを紹介。偉そうだが何もしない魔王とダンジョンの生態系を守るべくダンジョンを掘り進めていくと、やがて勇者が来襲。魔王をダンジョン奥にやり、人海ならぬ魔物海戦術で見事勇者を退治。クリア後は余った「堀パワー」で魔物を強化できる

 ゲームモードは「トレーニング」、「ストーリー」、「VS(バーサス)」、「ずかん」などが用意される。トレーニングは、魔物発生(食物連鎖)の仕組み、勇者の効果的な撃退方法などが訓練できるモード。ゲームをクリアすると、閲覧できる項目が少しずつ増えていく。ストーリーは、攻め込んでくる勇者たちを次から次へと撃退していく。勇者の愛、悲しみなども描かれるというが、あくまでもプレーヤーは「魔物側」なので同情の余地は微塵もない。バーサスは、自分や友だちがエディットした勇者パーティと戦うモード。データの受け渡しはメモリースティックを介して行なわれる。ずかんは、ゲーム中に生まれた魔物が記録されていく。

 □ボタンで穴を掘り、魔王を配置してゲーム開始。勇者を撃退すればいいが、魔王のもとまでたどりつかれ、倒されたら一巻の終わり。オールドファンにはどこか懐かしい“8bit時代”のドット絵を意識したグラフィックスデザインは、まさに「我が愛しの魔物たち」といった雰囲気。プレイを進めるごとに愛着がわくこと必至で、RPGファンはもちろん、幅広い層にアピールする作品となりそうだ。

(C)Sony Computer Entertainment Inc.

(2007年11月14日)

[Reported by 豊臣和孝]

◆Date:2007/11/14
◇Source: 東京新聞
◇Title: 5年以内に国立公園見直し 環境省、自然保護で新戦略
◇URL:http://s04.megalodon.jp/2007-1114-1932-56/www.watch.impress.co.jp/game/docs/20071114/nama.htm

2007年11月14日 18時38分

 環境省の中央環境審議会は14日、すべての国立・国定公園の指定を5年以内に見直すことなど、約660の行動計画を定めた新しい自然保護行政の指針「第3次生物多様性国家戦略」をまとめ、鴨下一郎環境相に答申した。

 地球温暖化問題への対応や、政府が2010年に名古屋市への誘致を目指している生物多様性条約の締約国会議に向けた貢献を新たに盛り込んだのも特徴。見直しは02年以来5年ぶりで、今月末にも閣議決定する。

 現在計85カ所の国立・国定公園の見直しでは、自然環境や社会状況などの変化を踏まえ、選定基準を再検討する方針を明記。多様な動植物をはぐくむ照葉樹林や里地里山、海域などを積極的に評価し、5年後をめどに再配置を進める。

 漁業と両立する海洋保護の在り方も検討。「ラムサール条約に登録された湿地を10カ所増やす」、「15年までに60羽のトキを野生に復帰させる」など計34の数値目標を設定した。
(共同)

◆Date:2007/11/15
◇Source: NIKKEI NET
◇Title: 「温暖化対策強化、今年から利子補給」――政投銀担当者に聞く<下>
◇URL:http://s04.megalodon.jp/2007-1119-0946-34/eco.nikkei.co.jp/interview/article.aspx?id=20071109i3001i3

 日本政策投資銀行・公共ソリューション部CSR支援室の佐賀浩調査役に環境格付融資制度について聞いた。

 ――環境格付融資制度とはどんなものか。

 「環境配慮型経営促進事業」として2004年にスタートした。今年丸々4年たち、10月末時点で融資実績として100件超、総額は1400億円強となっている。

■融資実績、累積100件1400億円超に

特徴は企業の環境格付に応じ金利を優遇することだ。環境スクリーニングを採点化し、それを金利に結びつけたのは世界で初めてだ。

 対象は企業の環境保全費用。例えば設備だと公害防止に関わる機械設備のほか、設備資金以外でも研究開発やリサイクル資金なども入る。

 企業から環境格付融資を受けたいというお申し込みをいただいたら、通常の企業審査と平行して企業の環境格付をする。環境格付で一定の得点に至らない場合は対象外だが、合格となった企業には3段階で金利を優遇する仕組みだ。

 ――民間金融機関で同様の融資メニューはあるのか。

 民間金融機関にも企業の環境配慮を評価する金融商品が数多くある。ただ当行の場合、約120項目もの質問を設定し、詳細に渡り企業の環境配慮への取り組みをチェックしている。環境格付にあたっては、環境報告書の内容の精査に加えて、環境部へのインタビュー調査など多面的に情報を収集している。

 環境格付融資は当行の金融商品の一つではあるが、高い環境格付をとることを目標に設定している企業もあり、ある種の環境経営診断的な側面もある。

 スクリーニングは3分野に渡って行っている。1点目は経営全般、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、情報開示、リスクマネジメント。企業経営の中で環境配慮をどう位置づけているか。


 2点目は事業関連。製品開発、設備投資、物流。企業の事業活動でどう環境に配慮しているかを見る。環境配慮型製品があるか、物流面ではモーダルシフトを進めているか、製品リサイクルをしているか、といった点だ。

 3点目はパフォーマンス。工場や事業所が実際にCO2をどれだけ排出しているか。過去と現在でどう改善したか、を数値データとして比較する。

 ――格付はAAAなどと表示するのか。

 「特に先進的」「先進的」「十分」という3段階だ。2006年度から250点満点中、200点以上の企業は特別表彰をしている。


 環境格付では250点満点。得点によって格付けが変わり、大企業と中小ではさらに基準が異なる。

 合否の分岐点は大企業120点、中小80点以上。156点以上はとくに「先進的」企業として最優遇金利を適用している。

 ――ここにきて伸びが落ち込んでいる。

 資金需要のクセがあり、期末や下期に集中しがちだ。ただ、スタートから4年間、利用企業数は順調に推移している。同じ企業が何度も利用するケースもあり、100件には達したが社数をもっと増やしたいと考えている。

 環境格付を取得して当行から融資を受けたことを明示的にPRしたいという企業の要望に応えるため、2006年度から「環境格付ロゴマーク」を導入した。ホームページや環境報告書などでご利用いただいている。

◆Date:2007/11/15
◇Source: 北海道新聞
◇Title: 温暖化による種絶滅を明記 中環審の多様性戦略 「ラムサール」登録地10カ所増
◇URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/60575.html

(11/15 08:21)
 中央環境審議会(環境相の諮問機関)の自然環境・野生生物合同部会は十四日、多様な生き物の共存に向けた国の長期計画見直し案となる「第三次生物多様性国家戦略」を鴨下一郎環境相に答申した。地球温暖化による種絶滅や生態系崩壊の危機を明記したほか、水鳥の生息地として重要な湿地を定める「ラムサール条約」国内登録地(釧路湿原など三十三カ所)を二○一一年までに十カ所増やすなどの数値目標を初めて掲げた。

 答申を受け、政府は今月中に同戦略を閣議決定する。

 生物多様性国家戦略は一九九二年の生物多様性条約採択を受け、九五年に初めて決定。○二年に次ぎ、今回が二度目の見直しとなる。

 第三次戦略は生物多様性がすべての生命の存立基盤で、豊かな文化の根源と定義。これまでも訴えてきた《1》開発や乱獲《2》里地里山などの手入れ不足《3》外来種などの持ち込み−の「三つの危機」に加え、初めて地球温暖化に触れた。

 カナダ・ハドソン湾のホッキョクグマの出産数減少や、道内のキタムラサキウニの生息域北上などを例に、すでに影響が出ていると指摘。二酸化炭素を吸収する森林、草原保全の重要性などを訴えた。

 また、過去百年に失った国土の生態系を次の百年で回復する「百年計画」を提示。生物多様性の危機状況を地図化し、保全上重要な地域(ホットスポット)を選定した上で優先的に対策を行うなどの具体策を挙げた。

 漁業と両立する海洋保護区のあり方も検討するとし、「漁業者の自主規制を基本に海域の生物多様性の保全を目指す知床世界自然遺産の海域管理計画などを参考にする」としている。

 今後五年間の行動計画で掲げた数値目標は三十四件。種の保存法に基づく希少動植物指定(アホウドリ、トキなど現在七十三種)に十五種追加したり、イノシシやシカなどの食害による生態系被害を防ぐ鳥獣保護管理計画の策定数(同九十)を百七十に増やす−などとしている。

◆Date:2007/11/15
◇Source: 日本農業新聞
◇Title: 生物多様性の国家戦略案 鳥獣対策を強化/環境相に答申
◇URL:http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin0/article.php?storyid=321

掲載日:07-11-15
 環境相の諮問機関である中央環境審議会は14日、第3次生物多様性国家戦略の案をまとめ、鴨下一郎環境相に答申した。農村の鳥獣被害を予防する対策の強化や環境保全型農業の推進、100年計画で日本独自の生態系に欠かせない生物の絶滅を防ぐ構想などを盛り込んだ。今月下旬に閣議決定し、農水省を含む関係省庁が2008年度以降の施策に反映させる。

 生物多様性国家戦略では、鳥獣害対策として都道府県知事がシカやイノシシ、クマなどの種類別に制定する「特定鳥獣保護管理計画」を、現状の89計画から170計画に増やす目標を掲げる。

◆Date:2007/11/15
◇Source: 日経ビジネス Online
◇Title: 米国の生態系を守る市民ハンターたち
◇URL:http://s01.megalodon.jp/2007-1119-1000-10/business.nikkeibp.co.jp/article/life/20071114/140618/

2007年11月16日 金曜日 藤田 宏之
教養  環境  生態系  狩猟 
 動物を殺す乱暴者というイメージに反して、野生生物の保護や生息環境の保全を支えるハンターたち。動物や自然を愛する彼らの素顔に迫る。

 話は、メリーランド州にある米国魚類野生生物局の研究センターから始まる。
 ここには毎年、6000羽近い水鳥たちの翼が集められている。地下の冷凍庫に保管されている。翼からは多くの情報が得られる。サークのようなベテランは羽根を見ただけで、雄か雌か、若い鳥か成鳥か、純粋な野生種か交雑種かまで判別できる。1週間にわたる調査会で専門家が翼を調べ、ガン・カモ類のそれぞれの種で次世代の鳥が十分に育ち、地域の個体群を維持できる状態にあるかどうか判断する。


〔写真〕
「メキシコのピスカイノ生物圏保護区で、地元の狩猟ガイドやカウボーイたちが、大型の獲物を狙う外国人ハンターとともに狩猟に出発する。希少なオオツノヒツジ1頭の狩猟許可を得るために、外国人ハンターは1人当たり8万2500ドルも支払う。こうした収入は医療機関や学校の建設、水利事業などに活用され、地元の人々が野生生物の生息地保全や動植物の保護に取り組む動機付けになっている」


 さらに、各地域からのこうしたデータをもとに、資源管理の専門家が毎年、それぞれの種の個体群の維持に最低限必要な個体数を予測する。これらを参考に、魚類野生生物局が、米国で保護の対象になっている渡り鳥について、次のシーズンの狩猟枠を設定する。「種が健全に保たれているかどうかを知るには、若鳥と成鳥の比率が重要です」と、魚類野生生物局のポール・パディングは話す。

 皮肉なことに、こうした鳥たちの絶滅を防ぐ取り組みには、彼らの“天敵”とも言うべき狩猟の愛好者、ハンターたちが貢献してきた。米国各地から翼の調査会にサンプルを送っているのは、ハンターなのだ。彼らは獲物となった鳥の翼を封筒に入れ、仕留めた日付と場所を記して郵送する。全米で約1250万人のハンターたちは、これ以外にも様々な形で野生生物の保護管理に関与し、なくてはならない存在となっている。

 一種の狩猟税としてハンターが購入する、水鳥の図柄の証紙「ダック・スタンプ」は、1934年の導入以来、7億ドル余りの収益を上げている。その資金で新たに野生生物の保護地域に指定された土地は210万ヘクタールに及ぶ。また、ハンターは狩猟免許や許可証など様々な形式の狩猟許可に毎年何百万ドルも払い、その収入が各州の生物保護当局の活動を支えている。猟銃や弾薬、その他の装備に課される狩猟税は年間2億5000万ドルにのぼり、その大部分が公的な鳥獣保護区の新設に回されている。さらには、民間レベルでハンターが野生生物の保護に果たす役割も、ますます大きくなっている。

◆Date:2007/11/15
◇Source: JAN JAN
◇Title: 自然−人間共生系の未来を考える 「エコツアー」の現場検証(5)
◇URL:http://s02.megalodon.jp/2007-1119-1008-41/www.news.janjan.jp/culture/0711/0709090023/1.php

2007/11/16
前回記事:自然−人間共生系の未来を考える 「エコツアー」の現場検証(4)

 このシリーズでは、高度経済成長の過程で失われてきたとの社会的認識が強い、自然と人間との関係を、これからどのように取り結べばよいのか?そのために現在どのような取り組みが行われ、それらはどう評価されるべきなのか、進むべき道は何かなど、自然−人間共生系の未来を考えるための材料を、筆者なりの視点で紹介していきます。

 今回は、エコツーリズムの現場検証とその社会的意義についての5回目です。

 東京から約2,000km、沖縄島の那覇からも約450km離れた亜熱帯の西表島。この島では、1990年頃から、日本で最初期にこのエコツーリズムという考えを適用した取り組みが、大規模・組織的に行われてきました。ですが15年以上を経た今でも、自然環境が持続可能なツアーは、残念ながら存在していないように見えます。またこの取り組みは、地域社会にも大きな影響を及ぼしてきました。

 西表島におけるエコツーリズム導入の結果の具体例についてはこれまで4回にわたり示してきました。“エコ”どころか、自然破壊要因であることがよくわかります。しかもそれらは氷山の一角にすぎないのです。

 さらなる問題の指摘は後の稿で行いますが、ここで、そもそも今日本で流行している「エコツーリズム」とは何かについて、考えてみましょう。


図1. エコツーリズムとは?
「エコツーリズム」とは そもそも何なのか?
 環境省自然保護局の「平成15年度 エコツーリズム推進方策関連調査業務報告書」によると、エコツーリズムとは【自然・歴史・文化等の地域特性の観光資源化,その実施に際してはこれら資源の持続可能な利用と地域経済への貢献を条件とする観光スタイル】で【1.自然の営みや人と自然との関わりを対象とし,それらを楽しむとともに、2.その対象となる地域の自然環境や文化の保全に責任を持つ観光】と定義されています(図1)。

環境省基準による「エコツーリズム」の条件と効果
 同報告書では続いて、【エコツーリズムを成立するために必要なもの】として【1.地域の自然や文化に対する知識や経験の案内=ガイダンス、2.地域の自然や文化を保全・維持するための取り決め=ルール】の2つの条件を示しているほか、【エコツーリズムの成立による効果】として【1.旅行者に対しては:自然や地域に対する理解が深まり、知的欲求を満足させる(環境教育)、2.地域の自然環境・文化資源に対しては:それらの価値が維持されるよう保全され、または向上する(環境保全)、3.観光業に対しては:新たなニーズに対応し、新たな観光需要を起こすことができる(観光振興)、4.地域社会に対しては:雇用の確保や、経済波及効果、住民による地域の再発見により地域振興につながる(地域振興)】が期待できるとしています(図1)。

 期待をするのは彼らの勝手ですが、問題は、期待通りの効果が見込めるのかどうかということです。この点、日本ではゼロからの試みであったにもかかわらず、環境省をはじめとする推進者たちは、こうした効果を、よりよい形で実現するためにできたはずの準備を怠ってきたばかりか、導入後の効果検証も行っていないと言えます。その結果、これまで示してきたように、重点的に保全されるべき地域で野放図な利用が拡大してきたのです

 あなたの周りで「エコツーリズムは素晴らしい」という人がいたり、あなたが「エコツアー」に参加したことがあるのでしたら、考えてみてください。それらは本当に上の条件を満たしていましたか?

こうしていれば 今ほどエコツアーによる自然破壊はなかった!?
 沖縄では、現在エコツアーに利用されている地域のほとんどは、エコツーリズム導入以前は、観光産業による組織的利用はなされていませんでした。趣味の野外活動として、あるいは研究のために自己責任で入域する人が大部分だったのです。当然、入域者数は微々たるもので、また、自然生態系に対する大きな悪影響が生じることも、まずなかったのです。

 そうした「未開拓」の場所でゼロから始めるに当たって、もし本当に上記の条件や効果を実現する気であったのであれば、なによりもオーバーユースによる自然破壊を懸念して、利用可能地域の設定(ゾーニング)、入域者数の制限や、禁止事項など利用方法のガイドラインを決め、しかもそれを法制化することが可能であったはずです。

 何しろ、今でこそ多くの人や組織がガイドツアー産業に関わるようになり、合意形成が面倒になってしまいましたが、当時はほとんど利益者(団体)がなかったのです。より自然や伝統文化の保護を重視した運用システムを作ることは容易であったはずです。またこの程度のことは、ちょっと考えれば、誰にでも思いつくことでしょう。しかし彼らはそうしたことをしなかったわけですから、このことからだけでも、日本におけるエコツーリズム運動が、何よりも新たな産業振興であって、自然や伝統文化の保全などは「おためごかし」であるということが、よくわかります。

 もちろん「自然や伝統文化」を飯のタネにすること自体は、必ずしも「悪」というわけではありませんし、その点は自然破壊も同様です。自然界からの効率的な収奪や自然破壊は、特に高度成長以降、豊かな生活を実現するために避けられないものでした。だからこそ、今、特にここ100年程の文明のあり方を考え直す必要性が認められ、自然と共生できるライフスタイルや、人間らしい社会とはなにか、次世代に「付け回し」をしない社会追求などが、広く議論されるようになっているのだと思います。

 これらはいわば新しい文明のありようの追求であり、おそらくその過程では、これまでとは大きく異なる生き方を模索していく必要があるのではないかと思います。では、エコツーリズムとは、そうした社会運動的な側面を持つものなのでしょうか。

 残念ながら、沖縄におけるエコツーリズム運動を過去約15年ほど見てきた限りでは、この運動に関わっている人や団体のほとんどは「言っていること」と「やっていること」が、あまりにも違う、自分たちの掲げる理念にさえ不誠実な方々に見えます。

 「努力はしている」と言われそうですが、ゼロからの取り組みで、入域者数や利用場所の縛りをかけやすかった状態から、15年間もシステム整備はほったらかしで、利用拡大のみに邁進してきたのですから、そんな言い訳は通用するものではありません。これまで無責任に啓蒙、導入、推進してきた人々の罪は明らかであると思います。やはり日本におけるエコツーリズムは、新たな自然破壊要因でしかないのです。

 次回は、日本のエコツーリズム運動が持つ構造的問題について考えます。

(つづく)


写真2. ピナイサーラの滝上からの風景。ガイドツアーによりこの場所も大衆化した。素晴らしい風景を共有することは一見良いことのようだが、この景観は、人跡が稀だったからこそ守られてきたのだということを忘れてはならない。
(奧田夏樹)

◆Date:2007/11/19
◇Source: nikkeiトレンディネット
◇Title: デジタル写真で見る世界の今――バイオ燃料は救世主か悪魔か?
◇URL:http://s02.megalodon.jp/2007-1119-1017-01/trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20071115/1004550/

2007年11月19日
 トウモロコシや大豆、サトウキビを原料としたアルコール燃料「バイオ燃料」が、環境に優しい「夢のエネルギー」として注目を集めています。

 地球温暖化の原因とされている二酸化炭素(CO2)の排出量削減に役立ち、しかも中東の石油に依存せずにすむようになるというのです。


米国ネブラスカ州フレモントのトウモロコシ集積所。同州には現在、16カ所のエタノール工場があり、さらに50カ所の工場建設が予定されている。今年は州内で収穫されるトウモロコシの約3割がバイオ燃料になるという
Photograph by Robert Clark (c)2007 National Geographic(画像クリックで拡大)

 CO2削減については、バイオ燃料に含まれる炭素は作物が成長する過程で大気から取り込んだものなので、それを排出しても大気中のCO2濃度は変わらず、理論上は、CO2の排出量は差し引きゼロになり得るのです。さらに、バイオ燃料はトウモロコシや大豆などの食用作物からだけでなく、理論的にはどんな植物からでもつくることができます。エネルギー資源に乏しい日本でも、新たにエネルギーを作り出すことができ、しかも生物である植物は再生が可能なため、農業地帯の経済を活性化する効果もあるといわれています。

 ただ、これはあくまで理論上の話で、米国のバイオ燃料についてみてみると、現状では農家や農業関連の巨大企業には大きな利益をもたらしても、環境にはあまり良い影響を与えないといいます。トウモロコシの栽培には大量の除草剤と窒素肥料が使われるし、土壌の浸食を起こしやすく、エタノールを生産する工程で、得られたエタノールで代替できるのと大差ない量の化石燃料が必要になるからです。大豆を原料とするバイオディーゼル燃料のエネルギー効率も、それより少しましな程度です。また、米国では土壌と野生生物の保全のために畑の周辺の土地約1400万ヘクタールが休閑地になっていますが、バイオ燃料ブームでトウモロコシと大豆の価格が上がれば、この休閑地までも耕作され、土壌に蓄積されているCO2が大気中に放出されるのではないかと環境保護派は懸念しています。

 すでに米国では、トウモロコシはここ何年来の最高値をつけ、米国の作付面積は、戦後最大規模にまで広がっています。収穫されたトウモロコシの約2割(5年前の2倍以上)がエタノール生産に回されているのです。燃料をつくるために、食品用には回せないという事態にもなりかねない状況です。

 それでもバイオ燃料に寄せられる期待が大きいのは、ブラジルという成功例があるからです。ブラジルでは、ガソリンの代替燃料として、サトウキビからエタノールをつくる政策を導入して30年。昨年、ブラジル政府は、エタノールと国産石油の増産により、石油の輸入をゼロにできたと発表しました。再生可能エネルギーは将来有望な分野とみられ、著名な実業家たちが関連事業に総額700億ドル以上を投資しています。

 「エタノール燃料は、製造方法しだいでは“百害あって一利なし”になりかねません。ですが、野生生物を保護し、土壌中に蓄積された炭素も放出せず、あらゆる面で恩恵をもたらすような方法もあります」と、天然資源の保護を訴える環境NPO(非営利組織)で活動するナサニエル・グリーンは言います。グリーンらによれば、成功の鍵は、食用以外の植物を原料とすること。バイオ燃料は、トウモロコシの茎、牧草、成育の速い樹木、さらには藻類からも作れます。こうした試みと同時に、車の燃費を上げ、地域ぐるみで省エネルギーに取り組めば、2050年までにガソリン需要をゼロにできるというのです。


スイッチグラスなど多年生の牧草は、ほかの作物に適さないやせた土地でも育つ。植物のセルロースからエタノールを作る効率的な方法が開発されれば、牧草で世界の石油消費の最大13%をまかなえると試算されている
Photograph by Robert Clark (c)2007 National Geographic(画像クリックで拡大)

 日本でも、沖縄県ではサトウキビを原料とした燃料用エタノール製造の実証実験が進められていたり、食用油の廃油を回収してバイオディーゼル燃料を製造したり、菜種油から試験的な生産などが行われています。

 昨年来、石油価格が大幅に上昇を続けていますが、こうした状況もバイオ燃料の導入を後押しするきっかけになりそうです。

 20世紀は、石炭や石油などの化石燃料により、世界経済が大きく発展しましたが、21世紀には新しいエネルギーを検討し、新しいライフスタイルを考えていく必要があるのでしょう。


 ※そのほかの写真については、ナショナル ジオグラフィックのウェブサイトでご覧いただけます。

 

(日経ナショナル ジオグラフィック社 小槌 健太郎)

◆Date:2007/11/19
◇Source: 富士物流株式会社
◇Title: 第2東名にトレーラを一定間隔で連結し縦列式の新物流システム?
中日本高速道路の「新東名夢ロード懇談会」、12月に新サービスを検討へ
◇URL:http://www.fujibuturyu.co.jp/headlines/071119/04.html

2020年(平成32年)の全線開通を目指し建設が進められている第二東名高速道路に最先端技術を活用した太い物流パイプを――。中日本高速道路(矢野弘典会長CEO)は、今年7月に設置した「新東名夢ロード懇談会」(座長・森地茂政策研究大学院大学教授、学識経験者10名と同社の経営者で構成)の第2回懇談会を12月上旬にも東海地区で開き、第2東名で展開する各種サービスについて検討する。

新サービスの一つの目玉になりそうなのが、片側3車線のうち1車線を物流専用レーンとして新物流システムを導入しようという構想だ。いまの時点では、1車線を物流専用として確保できるのか、その場合、どんな形の物流システムを導入するのかなど何ひとつ決まっているわけではないが、東海道ルートの旺盛な物流ニーズから何らかの物流パイプが導入されるのはまちがいないといわれ、物流関係者の間では、その形態に関心が移りつつあるようだ。

現在の東名高速道路は、特に平日の夜間を中心に大型トラックの走行が多く、半ば“物流道路”化し、すでにパンク寸前になっているとさえいわれている。このため、安全対策、環境保全対策の面からも第2東名を活用した物流パイプをという意見が各方面から出ていた。新東名(第2東名)夢ロード懇談会が、今後どんな形の物流システムを打ち出すかは未定だが、ひとつの方向として、大型トレーラを一定間隔で連結し縦列式の車を走らせる方式などが考えられているという専門家もいる。

第2東名が6車線(片側3車線)で全線開通するのは平成32年。それより前に、平成24年以降に部分開通する区間は暫定的に片側2車線の開通が予定されており、物流専用レーンとして車線を確保できるかどうかもはっきりしない。物流の大動脈・東海道に「夢ロード」ではなく、現実にどんな形の物流パイプができるか…。夢ロード懇談会は来年3月をメドに新サービスの内容や課題を集約した基本戦略をまとめることにしており、関係者の注目が高まっている。

カーゴニュース11月13日号


*作成:森下直紀(保全・公共政策論・環境政策史)
UP:20071121; REV:20071203, 14
保全  ◇環境・保全関連ニュース
TOP HOME (http://www.arsvi.com)