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EBM(Evidence-Based Medicine)・診療ガイドライン・標準化……

医療

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○本ファイル内目次

 ■(関連する)文献   ◆日本語    ◇書籍    ◇論文   ◆英語    ◇書籍    ◇論文     ・COVID-19とEBM  ■引用   ◆日本語   ◆英語

○生存学HP内関連ファイル

  ■人   ■事項   ■全文掲載

●(関連する)文献

書籍

書籍(英語)

◇Berg, Marc・Timmermans, Stefan 2003 The Gold Standard : The Challenge of Evidence-Based Medicine and Standardization in Health Care, Temple University Press, 280p. ISBN: 9784790716631 [amazon][kinokuniya]

論文

◇齊尾 武郎 2017 「パラダイムシフトという幻想ーーEBMの時代を生きてーー(シンポジウム「病をめぐるContestation――本態・病因・治療法を論点として」)」, 『保健医療社会学論集』28-2:36-43. [外部サイト]

医学

◇南郷 栄秀 2017 「Evidence-based medicine:診療現場でのプロブレムの解決法」 『日本内科学会雑誌』 106-12:2545-2551. [外部サイト] ◇福井 次矢 2002 「EBM (Evidence-based Medicine)と医療の質」 『日本内科学会雑誌』 91-12:3415-3420. [外部サイト]

関連する言及

◇美馬 達哉 「自己トラッキングからみえる未来(特集:病いを予測するということ——テクノロジーと予測医療)」, 『保健医療社会学論集』32-1:23-33. [外部サイト]

論文(英語)

◇Karfakis, Nikos 2018 "The biopolitics of CFS/ME", Studies in History and Philosophy of Biological and Biomedical Sciences 70:20-28. [外部サイト] ◇A, Fava, G 2017 "Evidence-based medicine was bound to fail: a report to Alvan Feinstein" J Clin Epidemiol, 84:3-7. [外部サイト] ◇Ioannidis, John P, A, 2017 "Hijacked evidence-based medicine: stay the course and throw the pirates overboard", Journal of Clinical Epidemiology 84:11-13. [外部サイト] ◇Ioannidis, John P, A, 2016 "Evidence-based medicine has been hijacked: a report to David Sackett", Journal of Clinical Epidemiology 73:82-86. [外部サイト] ◇Greenhalgh, Trisha 2014 "Evidence based medicine: a movement in crisis?", BMJ 348:g3725. [外部サイト] ◇Every-Palmer, S・Howick, J 2014 "How evidence-based medicine is failing due to biased trials and selective publication", J Eval Clin Pract 20:908-914 [外部サイト] ◇Greenhalgh, Trisha 2012 "Why do we always end up here? Evidence-based medicine's conceptual cul-de-sacs and some off-road alternative routes", J Prim Health Care, 4:92-97. [外部サイト] ◇P, Tharyan 2011 "Evidence-based medicine: can the evidence be trusted?, Indian Journal of Medical Ethics 8-4:201-207. [外部サイト] ◇Ioannidis, J, P 2009 "Adverse events in randomized trials: neglected, restricted, distorted, and silenced, Arch Intern Med 169:1737-1739. [外部サイト] ◇Knaapen, Loes・Weisz, George 2008 "Thebiomedical standardization of premenstrual syndrome", Studies in history and philosophy of biological and biomedical sciences 39:120-134. [外部サイト] ◇C, Gøtzsche,Peter・Hróbjartsson, Asbjørn・Krogh, Johansen, Hellen・T, Haahr, Mette・G, Altman, Douglas・Chan, An-Wen 2007 "Ghost authorship in industry-initiated randomised trials, PLoS Med 4:e19. [外部サイト] ◇Feinstein, A, R・Horwitz, R, I 1997 "Problems in the 'evidence' of 'evidence-based medicine'," Am J Med 103:529-535. [外部サイト]

COVID-19とEBM

◇Trisha, Greenhalgh 202110 "Miasmas, mental models and preventive public health: some philosophical reflections on science in the COVID-19 pandemic", Interface Focus 11-6, DOI:https://doi.org/10.1098/rsfs.2021.0017 [外部サイト] ◇Greenhalgh T, Ozbilgin M, Contandriopoulos D. 202110 "Orthodoxy, illusio, and playing the scientific game: a Bourdieusian analysis of infection control science in the COVID-19 pandemic", Wellcome Open Res 2021 Oct 22;6:126, DOI:https://doi.org/10.12688/wellcomeopenres.16855.3. [外部サイト] ◇O, Whooley KK, Barker "Uncertainand under Quarantine: Toward a Sociology of Medical Ignorance", Journal of Health and Social Behavior 62-3:271-285. [外部サイト] ◇M, Popp・P, Kranke・P, Meybohm et al 202108 "Evidenceon the efficacy of ivermectin for COVID-19: another story of apples and oranges", BMJ Evidence-Based Medicine 27:187-188. [外部サイト] ◇L, R, Milgrom 202102 "AgainstScientism: Corrupted Science and the Fight for Medicine’s Soul", Complement Med Res 28:56-63. [外部サイト] ◇D, Vu Hoang・J, Cashin・K, Gribble・K, Marinelli・R, Mathisen 202012 "Misalignmentof global COVID-19 breastfeeding and newborn care guidelines with World Health Organization recommendations", BMJ Nutr Prev Health 3-2:339-350. [外部サイト] ◇Djulbegovic, Benjamin・Guyatt, Gordon 202010 "Evidence-based medicine in times of crisis", Journal of Clinical Epidemiology 126:164-166. [外部サイト] ◇C, Ortolani・E, A, Pastorello 202008 "Hydroxychloroquineand dexamethasone in COVID-19: who won and who lost?", Clin Mol Allergy 18:17. [外部サイト] ◇Cheema, R・ Partridge, E・Kair, LR・Kuhn-Riordon, KM・Silva, AI・Bettinelli, ME・Chantry, CJ・Underwood, MA・ S, Lakshminrusimha・Blumberg, D 202007 "ProtectingBreastfeeding during the COVID-19 Pandemic", Am J Perinatol 21:10, DOI:https://doi.org/10.1055/s-0040-1714277. [外部サイト] ◇Crosby, Lauren・Crosby,Edward 202007 "Applyingthe precautionary principle to personal protective equipment (PPE) guidance during the COVID-19 pandemic: did we learn the lessons of SARS?", Canadian Journal of Anesthesia/Journal canadien d'anesth?sie 67:1327?1332 [外部サイト] ◇Yang, Kaifeng 202007 "WhatCan COVID-19 Tell Us About Evidence-Based Management?", The American Review of Public Administration 59-6-7:706-712. [外部サイト] ◇S,Carley・D, Horner・R, Body et al 202007 "Evidence-based medicine and COVID-19: what to believe and when to changeEmergency", Medicine Journal 37:572-575. [外部サイト] ◇C, Deana 202005 "TheCOVID-19 pandemic: is our medicine still evidence-based?", Ir J Med Sci 190:11-12 (2021). [外部サイト]

●言及

https://gentosha-go.com/articles/-/8803 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/5510?page=3 内科プライマリ・ケア医の知っておきたい“ミニマム知識” 医学的に説明困難な身体症状 宮崎 仁 ◇美馬 達哉 「自己トラッキングからみえる未来(特集:病いを予測するということ——テクノロジーと予測医療)」, 『保健医療社会学論集』32-1:23-33. [外部サイト]
パーソナル科学は、とくに医療(治療や予測)に関わる場合、「N-of-1」として議論される。これは、現在の主流派の生物医学が、患者個人での症例報告よりも、可能な限り多数の患者データを統計学的に処理する研究法(nof-billions)としてのEBM(evidence-based medicine)を重視することに対抗する科学観ともいえる。また、その中では、病者の症状や病状経過の個別性を強調し、治療法もその病者個人に最適化したものであるべきとも主張される。ダナ・グリーンフェルドは、N-of-1に関連して言及されるテーマとして、セルフケア、DIY、個別医療、市民科学、科学の民主化、研究への参加、実験人間(Homo Experimentus)、自己の最適化、ナラティブベースト医療(NBM)などがあると指摘する。(美馬[2021:30])
◇美馬 達哉 「自己トラッキングからみえる未来(特集:病いを予測するということ——テクノロジーと予測医療)」, 『保健医療社会学論集』32-1:23-33. [外部サイト]
従来の生物医学では、多数の人間での観察や実験によって統計学的に確認された(普遍的)知識が生み出され、そこから未来の不確定なできごと(病気の発症や回復や死)の予測が行われる。そして、その予測を確率で表したものがリスクであるとされる。生物医学的な知識に基づいて行われる健康増進は、リスクを下げるための行動変容として位置付けられる。  これに対して、自己トラッキングの文化では、当事者としての本人のデータを継続的に取り続けることで、健康や病気に関するリスクについてのパーソナルな作業仮説(たとえば、特定の食物を食べると片頭痛発作が起きやすい、など)が生み出され、その作業仮説が予測として扱われる。そして、リスクは、数字で表される確率というよりは、その個人にとっての特定の物質や行動(トリガー)が何を引き起こすかの対応関係と結び付けられる。この自己知識から生まれた予測の正しさは、そのリスクを避けたり避けなかったりする本人自身の実験と観察(自己トラッキング)によって検証されていく。
◇HOLLAND, Mary;ROSENBERG, Kim Mack;IORIO, Eileen 2018 The HPV vaccine on trial: seeking justice for a generation betrayed, Simon and Schuster. = 2021 別府 宏圀 訳 『子宮頸がんワクチン問題 : 社会・法・科学』, みすず書房. 431,82p ISBN-10:4865000062 ISBN-13:978-4622089902 5500+ [amazon][kinokuniya]
一般の人々はワクチンの臨床試験が適切にデザインされて実施され、米国食品医薬品局(FDA)のような強力な保険規制当局によって適切に監視されているものと信じきっている。  それは本当だろうか。われわれは今、FDAや欧州医薬品庁(EMA)がHPVワクチンの販売承認に際して、入手できるデータすべてに当たったわけではないことを知っている。二〇一八年一月に、「北欧コクランセンター」のラルス・ヨルゲンセンとピーター・ゲッチェ、それに「根拠に基づく医療(Evidenced Based Medicine EBM)センター」のトム・ジェファソンは自主的に、企業および企業以外による臨床試験のすべてを検索した。それは大変な作業で、たとえ経験豊かな研究者でさえも臨床試験についての情報を得ることがどんなに困難なことかを示していた。著者らは規制当局が各HPVワクチンを承認するに際して、入手できる全臨床試験結果のわずか半分しか評価しなかったことを、「非常に憂慮すべき」ことだと考えた。  ヨルゲンセンらがわずか数か月前に懸念を提起したにもかかわらず、二〇一八年五月にコクラン(医療情報を精査して人びとに伝える国際組織)はHPVワクチン臨床試験に肩入れするレビューを発表したことから、臨床試験分析の限界に関心が集まった。コクランは、検索で入手可能な臨床試験の半分強の二六の研究しか検討せずに結論を導き出し、そのうち二五は企業の資金による研究であった。限られた範囲のレビューにかかわらず、コクランはHPVワクチンが前がん病の予防において安全で効果があると結論していた。おかしなことに、「British Medical Joumal, BMJ』誌は北欧コクランセンターのレビューの方の掲載を却下している。こちらはすべての研究を対象としており、二〇一八年五月のコクランのレビューよりも重要と思われた。デイヴィッド・ヒーリー博士はこのレビューがまもなく他の雑誌に掲載されるだろうと述べている。  二〇一八年七月に事はさらに白熱した。ヨルゲンセンらが、コクラン・グループの二〇一八年五月のレビューに対して非常に批判的な論文を『BMJ誌EBM版』に発表したからだ。彼らは自分たちが調べた入37手可能な文献リスト、レビューに取り組んでいたコクラン・グループに送付したが、コクラン・グループはその半分強しか取り上げず、全臨床試験参加者の半数を基本的には無視したことを明らかにした。彼らはとくに、五月のレビューでコクラン・グループが生理食塩水をプラセボとした研究をひとつも取り上げていない点に注目した。「活性のある物質を使用すると、比較対照群の被害を増加させ、それによってHPV7クチンが起こす被害を覆い隠してしまうかもしれない」からである。第七章で詳細に論じるように、これはHPVワクチンの真の安全性を評価するうえで重大な欠陥であり、HPVワクチンの安全性に誤った信頼をもたらすものなのだ。彼ら三人はまた、代理エンドポイント[安全性評価のために用いる代理、有害事象・安全性シグナル有害事象を示している可能性のある)の評価利益相反など、本書が論じる問題の多くに言及している。そして彼らは次のように結論している。「コクラン共同計画のモットーのひとつは「信頼できるエビデンス」である。コクランのHPVワクチンレビューは、報告バイアスおよびバイアスのかかった試験デザインに影響されており、「信頼できるエビデンス」と言えない。」  わずか数日後の二〇一八年八月九日、『BMJ』誌はナイジェル・ホークス署名の報道記事「HPVワクチンの安全性コクランは批判を受けてレビュー内容についての緊急調査を開始する」を掲載した。コクラン・グループはレビューする過程の後半に文献リストを受け取ったことを認めたものの、検討すべき文献のほぼ半分を見逃したと言われたことには反論している。だが『コクラン・ライブラリー』の編集長デイヴィッド・トーヴィーは、コクランは「批判の重大性と重要性について理解している」、より広範囲な影響がありうることを理解していると述べた。そして編集者たちとレビューの著者たちが「この主張を緊急問題として調査している」と述べた。 臨床試験が終わってから一〇年以上経つが、いまだに多くの疑問が残っている。 (56-58) ◇齊尾 武郎 2017 「パラダイムシフトという幻想ーーEBMの時代を生きてーー(シンポジウム「病をめぐるContestation――本態・病因・治療法を論点として」)」, 『保健医療社会学論集』28-2:36-43. [外部サイト]
……わが国のEBMは既存の医学的権威との対立を避け、EBMは単なる医学教育の中の「教科」のひとつとなってしまった。その萌芽は、草創期のわが国のEBMの手順の説明に見ることができる。すなわち、本来、EBMの手順は、1患者の問題の定式化、2問題についての情報収集(文献検索)、3情報の批判的吟味、4情報の患者への応用、5以上の過程の評価という5つのステップを踏み、これら5つのステップ間でフィードバックしながら診療するものなのだが、草創期には、最後のステップとフィードバックが存在することがEBM概論の中で説明されなかったのである。その理由は、治療の結果を反省する(それは、当初の医師の判断に誤りを含むことを意味する)という作業が、当時の医学界との間で軋轢を生むことを、EBMの指導者層が危惧していたからである。わが国のEBMは既存の医学的権威との対立を避け、EBMは単 なる医学教育の中の「教科」のひとつとなっ てしまった。その萌芽は、草創期のわが国の EBMの手順の説明に見ることができる。す なわち、本来、EBM の手順は、1患者の問題 の定式化、2問題についての情報収集(文献 検索)、3情報の批判的吟味、4情報の患者 への応用、5以上の過程の評価という 5 つの ステップを踏み、これら 5 つのステップ間で フィードバックしながら診療するものなのだ が、草創期には、最後のステップとフィード バックが存在することが EBM 概論の中で説 明されなかったのである。その理由は、治療 の結果を反省する(それは、当初の医師の判 断に誤りを含むことを意味する)という作業 が、当時の医学界との間で軋轢を生むことを、 EBM の指導者層が危惧していたからである。(齊尾[2017:40])
すなわち、EBMの先端の地である米国で、いったいエビデンスを巡って何が起きているのかを、わが国は知るべきであると考えたのである。EBMの理念は、医学者が公明正大であることを前提としている。しかし、現実の医学界は、医学者の名誉・業績評価と研究費獲得を巡る生臭い営為の連続であり、少なからず、研究の成果が捻じ曲げられる。EBMの勃興した当時は、まだ利益相反の問題が社会問題として浮上していなかった。EBMの創始者であるDavid L. Sackett自身も製薬企業から多くの研究資金を得ていたようだが、氏の提唱した「EBMの5つのステップ」には、論文の利益相反の項目を吟味するという手順は含まれていなかった。この点がEBMの最大の弱点であった。EBMは、エビデンスをつくり出さなければ製品が売れない、という製薬会社の手玉に取られてしまったのである。(齊尾[2017:41-42])
EBMには、その草創期より、(1)正しく研究が行われれば、正しい結果が得られ、それが正しく伝えられれば、治療がうまくいく可能性が高まるという考え方をするため、研究不正に対する警戒心に乏しい【性善説・理想主義的な研究・医療観】、(2)利益相反・エビデンスを巡る人間模様(科学知識の社 会構成主義)に疎い【研究の人的・金銭的資 源(世俗的な欲得)に対する認識不足】、(3)医学研究のテーマ・治療方法の流行り・廃りが考慮されていない【不易流行よりも“現今の最新の入手可能なエビデンス”に判断が左右される】といった根本的な弱点がある。(齊尾[2017:42])
◇南郷 栄秀 2017 「Evidence-based medicine:診療現場でのプロブレムの解決法」 『日本内科学会雑誌』 106-12:2545-2551. [外部サイト]
EBMはハイジャックされた.エビデンスがあると誰もがその治療に従ってしまう事態が起きている.権威からの脱却を図るはずだったEBMそのものが権威化しているのは皮肉である.「エビデンス」を盲目的に信じ,個別の患者の診療行動について医療者が自ら考えないのでは,「経験」のみに従っていた時代と何ら変わりはない.  また今日,エビデンスを創出するのには莫大な資金が必要である.公的な資金は限られており,企業主導のRCTが数多く行われている.その結果,企業の意向に沿って,治療効果はより大きく,害はより小さく示されることも多い.たびたび臨床試験の不正が報道され,エビデンスの信頼性が揺らぎ,それらを統合したSRやメタアナリシスの結果も疑わしくなる.決断の根拠となるエビデンス自体が歪められ,EBM実践の前提が危うくなっているのである.(南郷[2017:2550-2551])
*作成:中井 良平 *増補:
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