HOME > 情報・コミュニケーション/と障害者 > 電子書籍 

電子書籍 2004

-1990199119921993199419951996199719981999
2000200120022003/2004/20052006200720082009
2010

last update:20100706


■新聞記事



『朝日新聞』2004年01月30日
朝刊
松下が電子書籍の専用端末(情報ファイル) 【大阪】
 松下電器産業は2月20日、電子書籍を読む専用端末「シグマブック」を発売。大手書店やインターネットで3月までに1000台限定で売り、以後生産を拡大する。A5サイズで本体の重さは520グラム。希望小売価格は3万7900円。問い合わせはシグマブックサポートセンター(0120・44・8729)。

 

>TOP

『朝日新聞』2004年01月31日
朝刊
ニーズに応え、オンデマンド復刊 社会思想社の「現代教養文庫」
 一昨年に事実上倒産した社会思想社の出版物が、相次いでよみがえることになった。幅広い読者を持つ「現代教養文庫」は、注文を受けた分だけ印刷、製本するオンデマンド出版で復活。また、3巻を刊行したところで中断していた『横山源之助全集』(全9巻、別巻2)は、法政大学出版局に引き継がれる。
 現代教養文庫は「教養ワイドコレクション」の名で出版される。元社会思想社編集部長の河村忠雄さんが社長を務める文元社が発行元となり、紀伊国屋書店が発売する。
 第1期は100点。人気のある山室静編著「新編世界むかし話集」シリーズや『聖書物語』などの古典関係書、ファンタジー、明治・大正もの、ノンフィクションなどだ。2千〜3千円台が中心で、判型も字も大きくなる。全国の書店で注文を受け付け中で、早ければ2月中に読者の手元に届く予定だ。また、同じラインアップを電子書籍で販売する予定もある。
 紀伊国屋書店ホームページ(bookweb.kinokuniya.co.jp/index.cgi)で全タイトルを紹介中。問い合わせは同書店(03・5469・5918)。
 出版活動を終えてからも社会思想社には、読者から文庫を入手したいという手紙やメールが多数寄せられた。また、評論家の佐高信さんら著者のほとんどがオンデマンドでの復刊に同意してくれたという。
 河村社長は「現代教養文庫を何とか残してほしいというのが、OBに共通の気持ちだった。この復刊で、これまでお世話になった著者の皆さんにもささやかながら恩返しができる」と話す。
 一方、『横山源之助全集』は、『日本之下層社会』などで知られる明治の社会派ジャーナリストである横山の業績を体系的にまとめた初の本格的全集。法政大学出版局の平川俊彦理事は「秋以降に次の巻を出したい」と話している。

 

>TOP

『朝日新聞』2004年02月05日
朝刊
広がるか読書専用端末(電子書籍四話:その1)
 話題の本を読みたいが、重い本を何冊も持ち歩くのは面倒(めんどう)。本棚もいっぱい――そんな悩みを抱える読書家に朗報(ろうほう)かもしれないのが、松下電器(まつしたでんき)とソニーが開発している読書専用端末(せんようたんまつ)だ。
 インターネットを通じてデータとして配信、販売される電子書籍を、メモリーカードに記録し、端末で読む。近く発売される松下製は単行本1冊分の重さ・大きさで、見開き両画面タイプ。ソニーの試作機は新書サイズより一回り大きい1画面の薄型。この「1冊」を持ち歩くだけで、何十冊分もの本をいつでもどこでも読める。
 これらを活用した新たなビジネスモデル作りをめざし、両陣営とも組織を固める。松下は東芝(とうしば)、出版社などと共に「電子書籍ビジネスコンソーシアム」を設立。空港や本屋の店頭で電子書籍を買える流通システムを模索する。ソニーをはじめ講談社(こうだんしゃ)、新潮社(しんちょうしゃ)などは資金を出し合って電子出版の新会社「パブリッシングリンク」をつくり、会員制の「貸本屋」形式のビジネスを今春から始める予定だ。
 パソコンや携帯情報端末向けに販売されてきた電子書籍は、ここ2、3年で販売額が急増している。紙の本より早い発売、電子限定の書き下ろし小説や写真集、漫画など、「本」の選択肢(せんたくし)も広がる。出版市場全体に占める金額はまだ0・04%に過ぎないものの、読書専用端末の登場は、電子書籍の可能性を広げる実験ともいえる。ただし価格は松下のもので3万円台。割に合うのは熱狂的読書家だけかもしれない。(森川敬子<もりかわたかこ>)

 

>TOP

『朝日新聞』2004年02月06日
朝刊
ケータイ本、読者は女性(電子書籍四話:その2)
 赤川次郎(あかがわじろう)、乃南(のなみ)アサら人気作家の書き下ろし、週刊誌発売と同日に配信される中村(なかむら)うさぎの連載コラムから、既刊の宮部(みやべ)みゆきの時代小説や鈴木光司(すずきこうじ)のホラー、夏目漱石(なつめそうせき)や宮沢賢治(みやざわけんじ)の作品まで。これら全部、インターネットを通じて携帯電話に取り込み、縦書きにして読める。02年に初登場した携帯電話向け書籍配信サイトは、昨年新たに大手4社が参入し、中身も多彩になってきた。
 最新の機能を持つ携帯電話では、文庫本1冊を取り込むこともでき、1冊まるごと売るサイトもある。だが多くは月額100〜300円の会費をとり、毎日1節ずつとか、週1回または月1回1章ずつなど、小分けにして配信。読者はこまめにダウンロードし、連続テレビドラマを見るような感覚で話を読み進めていく。
 いち早くサイトを開いた新潮社(しんちょうしゃ)の会員数は3万人を突破、順調に増えている。読者層は10〜30歳代の女性が中心。「初めて小説を読んだ」という反響もあった。メールを読む感覚で読んでいるらしい。同社はサイトが競合し始めた昨年暮れから、読者からのアクセスが減ると小説の連載を打ち切るという業界初の試みを始めている。
 ほかのサイトの読者層の中心も若い女性だ。従来、パソコンで電子書籍を読む人は、絶版本を欲しがる中高年、漫画や写真集がお目当ての若者、携帯情報端末で読む人は30〜40歳代のビジネスマンと、男性が8、9割を占めた。だからこそ、出版社もケータイ本に力を入れる。

 

>TOP

『朝日新聞』2004年02月10日
朝刊
オンラインで辞書変容(電子書籍四話:その3)
 01年9月11日には「テロ」、田中真紀子(たなかまきこ)前外相更迭(こうてつ)の日には「更迭」――インターネットを通じたオンライン辞書検索サービスをしている三省堂(さんせいどう)の荒井信之(あらいのぶゆき)取締役は、時事的な言葉へのアクセス件数が特定の時間帯に急激に伸びることに気づいた。朝、昼、晩のニュースが流れる時間帯だった。「テレビを見てわからない言葉にぶつかると携帯電話で『辞書を引く』んですね。辞書の利用のしかたの変化を感じます」
 辞書は紙から電子へと変わりつつある。90年代に登場した電子辞書は、いまや語学事典や百科事典のデータを数十冊分収めた3、4万円台の完全収録タイプが主流。昨年は250万台が出荷され、市場規模は440億円に達したと推測され(カシオ計算機調べ)、金額では紙の辞書を超えてしまった。
 手のひらに乗るサイズで軽く、いつでも簡単にひける便利さが、紙の辞書より勝(まさ)ったようだ。そして、メモリーカードに辞書データを収録することで、「ケータイ辞書」まで登場した。
 出版社には電子辞書メーカーからロイヤルティー収入があるが、それだけでは利益が確保できず、辞書の改訂さえできなくなると危機感を強める。百科事典を出す出版社は特に深刻だ。
 ここ数年で伸び始めたのが、三省堂が取り組んでいるような有料会員制のオンライン辞書検索サービスだ。言葉や用語が集積された書物としての体裁(ていさい)は解体され、辞書の「部品化」はいっそう進みそうだ。

 

>TOP

『朝日新聞』2004年02月11日
朝刊
本に劣らぬシステム模索(電子書籍四話:その4)
 「『吾輩(わがはい)は猫(ねこ)である』を『吾輩は犬である』にされては困る」。それが編集者たちの心配だ。「旧字体も使うし、ルビもふる。さし絵も入れたい」。そんな願いもある。電子書籍の普及には、改ざんも不正コピーもできず、表現も紙の本に劣(おと)らないファイル形式やソフトが必要だ。
 現在、電子書籍で使われているファイル形式は、改ざんもコピーも自由にできるテキスト形式から、音声や動画も扱(あつか)える形式、改ざんや不正コピーも防げる形式まで約10種類ある。テキスト形式以外は、シャープや凸版印刷(とっぱんいんさつ)、アドビシステムズなどが独自に開発したもので、専用の読み取りソフトが要(い)る。
 だが、業界標準はまだない。というより、開発途上にあるといえる。そもそも、読者が使いたい端末はパソコンなのか、携帯電話なのか、読書専用端末なのかはっきりしない。動画や音声が求められているのかもわからない。
 携帯電話向けの配信が増えたことで、作家への著作権料支払いをどうするかも課題だ。月会費だけの利益を、アクセス数や読まれた文字数分だけ配分するのか、定額にするのか。携帯電話向けはお断(ことわ)りという作家もいるといい、「新しい読者との出会い」を評価する前向きな作家はまだ少数派のようだ。
 出版市場は7年連続して縮んでおり、紙の本の先細りは必至だ。その中で電子書籍のともしびをどう生かすのか。システムを開発する側も、出版社側も、暗中模索(あんちゅうもさく)が続いている。

 

>TOP

『読売新聞』2004.02.18
[記者が使ってみました]読書用端末 開いた本のような画面
大阪夕刊
 インターネットによる電子書籍の配信サービスが盛んだが、画面が小さい携帯電話や携帯情報端末などでは疲れを感じる人も多い。松下電器産業が読書専用端末の「Σ Book(シグマブック)」(希望小売価格3万7900円)を20日に売り出すので、試してみた
 A5判の本を見開いたような形で、左右両側に液晶画面がある。明るさなどを設定してメモリーカードを挿入すると、データが取り出され、画面に書籍の背表紙が並ぶ。あとは読みたい本を選び、ボタンでページを進めていくだけだ。
 通常の電子機器と最も違うのは電源スイッチがない点だ。電力消費が極めて少ない反射型の記憶型液晶を使用しており、そのままでも3か月持つため、スイッチを切る必要がない。ただ、パソコンなどの明るい画面を見慣れた目にはコントラストが弱く、暗い場所で長時間の読書をするにはちょっとつらく感じた。
 書籍データは専用のサイトから市価の7―8割で取り込める。重さは約520グラムで、手で支えるとやや重く感じるが、カード1枚に10冊以上を記録できるので、旅行などでたくさんの本を持って歩きたい時に便利そうだ。
                   (石田 尚久)

 

>TOP

『読売新聞』2004.02.24
[あんぐる]小説をケータイで読む
東京夕刊
 「時間がたっぷりあるのに、読む本がない」――旅先などで困っても、もう安心。携帯電話が一つあれば、本が読める時代がやってきた。
 電子書籍販売のパピレス(東京・豊島区)は昨年十月から、約千冊の有名小説を無料(通信料は別途必要)で携帯電話に配信するサービスを始めた。夏目漱石やシェークスピアなど、著作権が消滅した小説に限られるが、「若い読者の間では、太宰治が人気」(同社広報)という。このサービスは会員手続きなどの必要がない。
 著作権が残っている小説は有料で販売する。例えば、今回の芥川賞受賞作品の「蹴(け)りたい背中」(綿矢りさ著)は七百四円。クレジットカードなどで購入できる。
 同社は、同じようなサービスをパソコン向けにも行っているが、「浸透度はパソコンの時よりも速い」という。
 全国学校図書館協議会などが昨年行った調査によると、高校生の約六割が一か月に一冊も本を読んでいない。「ケータイ世代」が書いた小説を、「ケータイ」で読む時代。案外、若い世代の活字離れに、歯止めをかける切り札になるのかもしれない。(文・五十棲忠史 写真・鈴木竜三)

 

>TOP

『朝日新聞』2004年03月11日
朝刊
出版著作権を集中的に管理 「協会」を設立
 出版にかかわる著作権を総合的に管理する日本出版著作権協会(JPCA)が設立された。公益法人に比べて比較的容易に法人格が取得でき、基金も少なくてすむ「有限責任中間法人」で、代表理事は高須次郎「緑風出版」社長。
 小説や写真集、学術書などの複製や貸与、電子書籍での使用などについて、著作者から委任を受けて集中的に管理する。また、レコード会社などには認められている著作隣接権が出版社には認められていないことから、出版社の権利を確立するための著作権法の改正もめざす。
 会員は現在35社で、出版社に広く参加を呼びかけている。4月下旬から業務を始める予定だ。

 

>TOP

『読売新聞』2004.03.15
中小出版社が著作権協会を設立
東京夕刊
 中小出版社が中心になって、出版にかかわる著作権の総合的な管理を目指す「日本出版著作権協会」(略称JPCA、高須次郎代表理事)をこのほど設立、四月末にも業務を開始する。出版物に関して総合的な著作権管理をする団体は日本で初めてという。
 コピーに関しては一九九一年に設立された日本複写権センターが業務を行っているが、日本書籍出版協会など主要団体に加盟する出版社の著作物に限られている。そのため、JPCAではそれ以外の出版社の著作物の複製について権利を守るほか、二〇〇五年に認められる見込みの貸与権、IT時代に対応した電子書籍などの管理業務も念頭に置いている。また、現行の著作権制度では、出版社の権利がなおざりにされているとして、出版社の著作隣接権の法制化を訴えていく。
 現在、三十五社が会員となっており、今後も広く参加を呼びかけていくという。

 

>TOP

『朝日新聞』2004年03月25日
朝刊
ソニー、電子書籍の端末を来月発売 容量は単行本20冊分
 ソニーは24日、インターネットを通して配信される「電子書籍」を読む専用端末=写真=を4月から発売する、と発表した。新書より一回り大きい薄型で、単行本約20冊が記録できる容量を持つ。端末を持ち歩くだけで、何十冊分の本をどこでも読める。
 1画面式の端末で、高さ19センチ、幅12・6センチ、厚さが1・3センチ。重さは190グラム(電池を含まず)で、画面左のボタンを操作して片手でもページ送りができるのが特徴だ。インターネットを通じて情報を取り込み、内蔵メモリーで1冊250ページの単行本約20冊まで保存できる。取り外し可能な記録媒体のメモリースティックを使えば、最大で500冊まで持ち運びできる。
 4月24日発売し、店頭価格は4万円前後になる見込み。毎月5千台を生産する予定。同社と講談社、新潮社など15社が昨年11月に立ち上げた会社「パブリッシングリンク」が情報を配信する。

 

>TOP

『読売新聞』2004.03.25
電子書籍、来月配信スタート 読売新聞などが出資の会社
東京朝刊
 ソニー、講談社、新潮社、読売新聞グループ本社などが出資する電子書籍配信サービス会社「パブリッシングリンク」(松田哲夫社長)は二十四日、インターネットを通じた配信サービスを四月一日から開始すると発表した。サイト名は「タイムブック タウン」。エンターテインメント、文芸、新書など七分野ごとに月三―五冊の本を会員向けに配信する。二か月後には約千冊の本が利用可能になるという。人気作家の連載なども予定している。
 またソニーは、このサービスに対応する読書専用端末「リブリエ」を四月二十四日に発売すると発表した。最大五百冊の書籍データの持ち運びが可能で、推定販売価格は四万円。
 先月には、松下電器が別規格の専用端末「Σ(シグマ)ブック」を発売しており、本格的電子書籍端末が出そろうことになる。

 

>TOP

『朝日新聞』2004年05月08日
朝刊
電子本専用端末は使えるか(てくの生活入門)
 〈三カ条〉
 一、松下は「古書も再現」、ソニーは「ネット貸本」
 二、文字の見やすさと電池の持ちは及第点
 三、「非」蔵書派の読書好きならおすすめ
 今年に入り、電子書籍をめぐって、大きな動きがありました。松下電器産業とソニーが立て続けに、電子書籍を読むための専用端末を発売したのです。活字中毒者ならずとも気になる端末ですが、果たして便利なのでしょうか。読みやすさも気になります。今回は両社の端末を検証します。(野波健祐)
 出版市場は年間2兆円を超えていますが、その規模は7年続けて縮小しています。そんな業界のカンフル剤として注目されているのが電子書籍です。ペーパーレスになることで、業界が抱える複雑な流通問題を解消でき、読者にとっても、絶版を気にせず、24時間書籍を買えて、複数の本をかさばらずに持ち歩けるといった利点があります。
 本の電子化は古くから行われていますが、成功しているのは電子辞書ぐらいです。普及を阻む一つの要因として、本を読むのに、パソコン、携帯電話、個人用携帯端末といった既存の機械の形や表示にしばられてしまっていた点が挙げられます。二つの端末は、「本」を読むことを前提に開発が進められました。
 2月に発売された松下の「ΣBook」(シグマブック)は、書籍で主流のA5判の見開き画面が特徴です。「本の再現にこだわった。本とは文字だけでなくレイアウトや活字の形も重要な要素」と、同電子書籍事業グループサービスクリエイトチームの佐藤真チームリーダーは話しています。
   *
 再現とは、見開き2画面であること。画像を美しくするため、16階調のグレースケール画面にしたこと。そして、電池の持ちを良くしたことです。なかのデータは画像として取り込まれています。新刊本はもちろん、通常コンピューターで表せない文字を使った古い書物も再現できます。
 また、書類などの持ち運びにも使えます。ワードやエクセル、パワーポイントといったソフトで作った書類を、専用の「シグマブックビルダー」というソフトを使い、画像変換して取り込めば、紙資料を大量に持ち運ぶ必要がなくなります。ビジネスマンらには便利でしょう。
 もう一つの特徴は、現在あふれている様々な電子書籍形式に対応している点です。シグマブックは同時に10種類の形式を読めるように作られています。現在は2種類のみですが、それでも販売サイト(http://www.sigmabook.jp/)から5千種の本を購入できます。値段は紙の書籍より安くなっています。
 一方、4月に発売されたソニーの「LIBRIe」(リブリエ)は、B6判の大きさに文庫本サイズの液晶画面、キーボードまでついています。画面は一つですが、「本を想起させつつ、使いやすいように薄く軽くにこだわった」と、同社e−Bookビジネス推進室の宇喜多義敬統括部長は言います。
   *
 こちらはネットの貸本屋「タイムブックタウン」(http://www.timebooktown.jp/)から、本を借り出して読む仕組みです。品ぞろえは現在約千冊。1冊あたりの平均価格は約240円で、貸出期間は60日です。
 キーボードがついているのは、電子辞書の検索のためです。あらかじめ国語辞典など四つの辞書が組み込まれているほか、追加で様々な辞書が用意されています。
 記者が実際に使ってみたところ、パソコンなどと比べ、どちらも想像していたよりも読みやすく、目にやさしい画面でした。文字の見やすさではソニーの方がくっきりとしています。松下は階調が多いだけに、マンガなどの絵がなめらかに見えます。
 難点は2機種ともパソコン、それもウィンドウズ機が必要な点です。マックOSにはいずれも対応していません。現在のところ、書籍の購入はネットのみ。ネットからダウンロードしたデータを、松下はSDカードと呼ばれる記憶媒体に入れてシグマブックに挿入して読みます。
 ソニーはリブリエとパソコンをUSBケーブルでつないでデータを転送しますが、約10冊を超える書籍データを入れるには、これまたメモリースティックという記憶媒体が必要になります。
 細かいことですが、気になったのがページのめくり方です。縦書きの場合、左から右にページをめくりますが、2機種とも、読んでいく方向(左向き)のボタンを押すようになっていて、戸惑いました。理屈はわかりますが、設定で選べるようになっていれば、と思いました。
 いずれもまだ初号機の段階。見やすさや使いやすさは改善が図られるでしょう。価格はともに4万円弱。蔵書派には向きませんが、ベストセラーを次から次に読んでいきたい方にはお勧めです。
 ■2つの電子書籍リーダーどう違う?
 (1)松下電器産業「シグマブック」
 (2)ソニー「リブリエ」
 <読むときの大きさ・重さ>
 (1)幅292mm・約520g(電池含まず)、高さ205mm、厚さ12.7mm
 (2)幅126mm・約190g(カバー、電池含まず)、高さ190mm、厚さ13mm
 <表示色>
 (1)16階調グレースケール
 (2)4階調グレースケールか白黒
 <画面の大きさ>
 (1)約7.2インチ×2面
 (2)約6インチ
 <記録媒体>
 (1)SDメモリーカード
 (2)メモリースティック、本体内蔵メモリー10MB
 <対応パソコン>
 (1)Windows98SE、Me、2000、XP
 (2)WindowsMe、2000、XP
 <電池の持ち>
 (1)単3アルカリ2本で約3カ月(1日約80ページ閲覧時)
 (2)単4アルカリ4本で約10000ページ
 <価格>
 (1)39795円
 (2)オープンプライス(実売37800円前後)
 <書籍販売サイト>
 (1)シグマブックサイト http://www.sigmabook.jp/
 (2)タイムブックタウン http://www.timebooktown.jp/
 ■電子書籍リーダーで本を読むには?
 ◇電子書籍リーダーを買った後
 パソコン上の販売サイトで読みたい書籍をさがし、ダウンロードする
 SDカードかメモリースティックに書籍データを保存
 電子書籍リーダーにセットし、読みたい書籍を選ぶ
 あとは読むだけ
 ■電子書籍の規模は?
 (03年、インプレス調べ)
 紙の書籍 2兆3000億円
 電子書籍  10〜20億円
 <グラフィック・下村佳絵>

 

>TOP

『読売新聞』2004.05.31
デジタル化と編集者
東京夕刊
 編集業務のデジタル化は、作家と編集者の関係をどう変えるのか――。東京・有明の東京ビッグサイトで先月催された「東京国際ブックフェア2004」で、興味深いトークを聞いた。
 二十五か国六百社が、新刊や新製品を展示する国内最大の出版見本市。四日間の会期中、延べ五万五千人もの人が訪れた。この中で、パソコン上で編集業務をすべて行うDTP(デスクトップ・パブリッシング)技術の進化を巡り、作家の京極夏彦さんと出版社、印刷会社の担当者が議論を交わした。
 DTPは九〇年代以降、雑誌などの編集現場を中心に普及。ソフトが改良され、使用できる文字数が格段に増えたため、文芸作品の編集にも使われ出している。大手出版社ではこれまで、雑誌掲載された小説を単行本化、そして文庫・新書化する場合、その都度、原稿入力(写植)の作業をやり直してきた。DTPなら雑誌掲載時点の原稿データをそのまま二次、三次利用できる。著者を交え数週間を要する校正作業も一度に済む。電子ブックにも即応できる。
 京極さんは二年前、ワープロからパソコンに切り替えた際、パソコンにこのシステムを組み込んだ。書体指定からレイアウトまで自身が手がける。京極さんほど活用する作家は珍しいが、自分のイメージで書籍を作れることから、パソコンで執筆する作家を中心に利用は増えつつある。ブックフェアの討論で京極さんは、「編集現場のDTP化で、革命的な変化が出版界で起こるかも」と語り、工程短縮と合理化で、質の高い書物が低コストで読者に届けられることに期待をにじませた。
 一方で、編集者はどうか。「著者が完成原稿のデータを印刷所に送り、そのまま本が出来る時代になったら、編集者の仕事がなくなってしまう」。こんな不安も聞かれた。
 これに対する京極さんの答えは明快だ。「書籍の価値は、編集者の視点を介在してこそ生まれる。作家と編集者の関係は変わらない」。手間暇が省かれる分、「編集者には映画におけるプロデューサーのような総合企画力が求められる」。
 本質的な指摘と言えるだろう。デジタル化によって、出版現場がよりクリエイティブに生まれ変わるなら、出版不況脱出の処方せんともなるに違いない。(西田朋子記者)

 

>TOP

『朝日新聞』2004年06月02日
朝刊
読みたい記事だけ配信、「週刊ポスト」電子版始まる
 「週刊ポスト」(小学館)の主要記事を配信する「週刊デジタルポスト」がスタートした。読みたい記事だけを買い、パソコンや松下の読書専用端末で読む。ヌードグラビアなどに抵抗感がある女性らを主な読者に想定している。事業主体は小学館と関連会社のネットアドバンス、イーブックイニシアティブジャパン(eBIJ)など6社。
 最新号の主要記事10本を、毎週木曜日からeBIJの電子書籍配信サイト(bb.10daysbook.com/)などで販売する。巻頭記事が税込み63円で、その他は42円。

 

>TOP

『朝日新聞』2004年06月19日
朝刊
画面で読書は本当の読書?(声)
 高校生 野溝恵里(埼玉県 17歳)
 ケータイで読書をする人が増えている。携帯電話の小さな画面で読みやすいように、短く平易な文章で書かれた「ケータイ小説」だ。また文学作品などの書籍をデータ化して大量に保存出来る「電子書籍端末」を持ち歩いて読書をしている人も見かける。どちらも本のように場所をとらないうえ、時や場所を選ばない手軽さが受けているというが、私はそのような読書の形に疑問を感じる。
 読書とは表紙の手触り、指先で最初のページをめくった時の紙のにおいや感触、その時のわくわくとした気持ちなど、様々な要素がからみあって、より奥深く楽しめるものだと思う。
 手軽さばかりを前面に押し出した、ケータイ小説や電子書籍端末での「読書」では、簡単に情報を得られる分、読後の感動もすぐに薄れてしまうのではないだろうか。
 本の重みを手のひらで受け止め、文字を追いながらページをくる楽しみは、画面と向き合う「読書」からは決して得られない。

 

>TOP

『読売新聞』2004.07.03
読書楽々 シャープが「液晶ペーパー」を発売へ 4年後商品化 
大阪朝刊
 シャープは二日、手軽に持ち運びができて、読書などを楽しめる「液晶ペーパー」を、二〇〇八年に売り出す考えを明らかにした。パソコンや携帯電話などに使われている液晶パネルそのものを商品化する形で、周辺回路をパネルに組み込むことで、軽量化する。
 液晶ペーパーは厚さが数ミリしかなく、大きさはA5判程度。パネルの端に、片手で操作できるボタン類を付ける。メモリーカードを使うなどして、電子書籍や辞書機能などを付加し、用途に応じた情報を画面に表示できるようにする。シャープは「娯楽として楽しむだけでなく、教科書などとしての使い方もできる」とし、幅広い使い方を提案していく考えだ。

 

>TOP

『読売新聞』2004.07.04
シャープ、「液晶の紙」商品化へ 読書もこれ1枚で手軽に
東京朝刊
 シャープは手軽に持ち運びができて、読書などを楽しめる「液晶ペーパー」を、二〇〇八年に売り出す方針を明らかにした。パソコンや携帯電話などに使われている液晶パネルそのものを商品化する形で、周辺回路をパネルに組み込んで軽量化する。
 厚さは数ミリで、大きさはA5判程度。パネルの端に、片手で操作できるボタン類を付ける。実現すれば、世界で最も薄い液晶表示装置になる。メモリーカードを使うなどして、電子書籍や辞書機能などを付加し、用途に応じた情報を画面に表示できるようにする。
 シャープは「娯楽として楽しむだけでなく、教科書などとしての使い方もできる」と、幅広い使い方を提案していく考えだ。

 

>TOP

『読売新聞』2004.07.04
[出版あらかると]「出版年鑑+日本書籍総目録 2004」出版ニュース社刊
東京朝刊
 膨大な情報量を誇る日本最大級の出版データベース。第1巻は2003年の書籍、雑誌の動向から著作権などの関連法規、出版界の名簿のほか雑誌「出版ニュース」の主要記事を収録する。2巻は昨年出た75000点の書籍、4500点の雑誌目録、電子書籍目録、3巻はCD−ROM版の日本書籍総目録になっている。(出版ニュース社発売、35000円)

 

>TOP

『朝日新聞』2004年07月12日
朝刊
媒体によらぬ読書の楽しみ 若い世代(声)
 高校生 芹沢理紗(神奈川県相模原市 16歳)
 「画面で読書は本当の読書?」(先月19日)を読んで私も言いたい。
 私は紙で読むのも、電子書籍端末やケータイ小説を読むのも好きだ。どちらも否定できないと思う。本には一枚一枚ページをめくる楽しみがある。電子書籍端末やケータイ小説にはいつでも、どこでも手軽に読める利点がある。
 電子書籍端末やケータイ小説は字を簡単に大きくできる特長があるので、視力が弱くなった年配者にも優しい。
 そもそも本とは筆者が心を込めて一字一句練り上げた主張である。紙であろうが画面であろうが、その主張をいかに感動して受け取れるかは読み手しだいではないか。
 もはや紙媒体だけに縛られる時代ではないと思う。状況に合わせて、都合のよい方を選べばよいのではないか。
 活字離れが進む中、若者にとって身近な電子機器を通さないと読書の楽しさに気づくことのできない時代に入っているのかもしれない。読書の楽しさに気づいて欲しい。

 

>TOP

『読売新聞』2004.08.21
[消費事情フロント]携帯電話の配信サービス充実 パケット定額制で気軽に利用
大阪朝刊
 ◆漫画、音楽、ゲーム…
 携帯電話向けに動画や音楽などを配信するサービスが充実してきた。背景には、通信会社がデータ(パケット)料の定額制を導入していることがあり、従来は受信するだけで高額なパケット料がかかったサービスも気軽に楽しめるようになってきた。 
             (利根川 昌紀)
                 ◇
 「au」を展開するKDDIは、専用の動画配信サービス「EZチャンネル」に、七月から格闘技「K―1」や人気漫画など新たに十四番組を追加し、計三十一番組に増やした。
 対抗するNTTドコモも、NTT西日本の子会社、NTTソルマーレ(大阪市)が提供する漫画配信サービス「コミックi」を八月から始めた。現在の二十二作品から、二〇〇四年度中に百作品に増やす計画だ。また、シャープは、〇三年六月から各通信会社の携帯電話向けに、電子書籍の提供サービス「スペースタウンブックス」を行っている。現在の提供冊数は七百八十冊だが、十月までに約二倍の千五百冊程度に引き上げる。
 動画や音楽などは、データ量が膨大で、受信するたびに料金がかかりすぎる難点があり、開発があまり進んでいなかった。ここへきて情報内容が多彩になったのは、データ通信の定額制が普及したことが大きい。
 ドコモは六月、第三世代携帯電話「FOMA(フォーマ)」向けの定額サービス「パケ・ホーダイ」を始めた。月7035円以上を支払う料金プランの契約者が対象で、インターネット接続サービス「iモード」の契約料157円とプランの月額料に加え、月4095円を払うと、パケット通信が使い放題になる。
 これを受け、二〇〇三年十一月から定額制を導入しているKDDIは、八月から料金を見直した。従来料金の月額4410円を定額制の上限とし、利用状況に応じて2100円まで引き下げるようにした。携帯電話人口の八分の一にあたる千万人がパケット料を月4000円以上使っているとの試算から、「利用頻度の高い顧客を誘導するのが狙い」(KDDI)としている。
 大手三社で唯一、従量制の料金体系を維持しているボーダフォンも、「定額制を検討している」という。通信速度が今後、高速化すればするほど、情報内容は一段と充実すると予想される。パケット通信のサービス内容が、携帯電話選びの重要な要素になってきたと言えそうだ。

 

>TOP

『読売新聞』2004.10.06
ユビキタス社会 「2010年に基本形」中村・松下社長が講演
大阪朝刊
 松下電器産業の中村邦夫社長=写真=は、「シーテックジャパン2004」の関連行事での講演で、パソコンや電化製品が時間や場所を問わずネットワークでつながる「ユビキタス」社会について「二〇一〇年には機能やサービスの基本形が出来上がる」との見方を示した。
 中村社長はユビキタス社会を先導するサービスでは「安全、安心といった分野の要望が高まる」と指摘。その上で「生体認証、暗号技術、電子書籍、燃料電池、半導体などの分野で、日本の技術が重要な役割を果たす」と述べた。
 ユビキタス社会の市場規模に関しては、総務省が二〇〇四年版の情報通信白書で、二〇一〇年に87兆6000億円と、二〇〇三年の約三倍になるとの予測をまとめている。

 

>TOP

『読売新聞』2004.10.10
いつでもどこでも情報キャッチ モバイル放送受信機発売へ/シャープ
東京朝刊
 シャープは、20日にサービス開始を予定している移動体端末向けの衛星放送「モバイル放送」の受信機「4E―MB1」を11月19日に発売する。ニュース番組などの映像放送7チャンネル、音楽を中心にした音声放送30チャンネルなどを屋外、車、電車の中などで視聴できる。パソコンでメモリーカードに収録した電子書籍やデジタルカメラで撮った写真などの再生もできる。オープン価格だが、市場予想価格は7万円。(電)0120・078178

 

>TOP

『朝日新聞』2004年10月18日
朝刊
進むか、読書バリアフリー 音声・拡大文字…IT生かし自在に選ぶ
 パソコンなどの電子端末を使い、画面の活字を大きくして読んだり文章を音声にして聞いたり、視覚障害者らが、読みたい本を読みやすい方法で楽しむ。そんな読書のバリアフリー化を目指す取り組みが、IT(情報技術)の進歩とともに少しずつ、広がっている。ただ、著作権の保護など難しい課題もある。(深町あおい)
 千葉県松戸市のマッサージ師で全盲の白鳥建二さん(34)は、心理学や哲学の本をパソコンで読む。
 本の内容を電子データ化して収録した図書館のサイトから、自分のパソコンにダウンロード。文字を読み上げるソフトを使って、音で読む。点字本を買うより経済的で、保存するにもかさばらない。
 ただ、目当ての本がないことも多く、ボランティアにデータを作ってもらう。通常は2、3カ月かかる。「感謝しているが、読みたい本がすぐ読めたら」と願う。
 ○NPO介し利用も
 大阪府枚方市の市立図書館で働く服部敦司さん(42)は「ITの進歩をもっと生かしたい」と、来春のNPO設立に向けて仲間と準備中だ。自身も12歳で失明した。
 出版社では現在、編集作業がほぼデジタル化されているが、印刷した後、データは十分に活用されていない。NPOがデータ提供を受けて会員に送り、利用料を出版社に還元する仕組みを作るという。「お年寄りや学習障害児など一般の本では読書が難しい人も利用できるようにしたい」と話す。
 4月に出版社「読書工房」(東京都豊島区)を作った成松一郎さん(42)は、電子書籍の専用端末のモニター調査に取り組んでいる。
 端末を販売する大手電機メーカーに改良を提案し、試作ソフトの提供を受けた。弱視の人に利用してもらい、どのぐらい拡大すれば読みやすくなるか、書体はどうか、使い勝手を調べている。横の線が細い明朝体は、弱視者には「田」が「川」、「e」が「c」と見えることもある。結果は年内に報告する。
 いずれは出版社が、一つの本を読者のニーズに合わせて様々な媒体で提供する「バリアフリー出版」のシステムを作るのが目標だ。「障害者が気軽に本を買える文化を作りたい」
 ○著作権保護が課題
 一方、デジタルデータは複製や改変ができるため、著作者や出版社側は提供に慎重だ。明石書店(東京都文京区)はこれまで10点の出版物のデータを提供したが、高橋淳取締役は「不安が先に立つ。コピーガードのシステムが確立して市場性が見込めるようになれば、大手出版社も含めた動きに広がるのでは」と話す。
 図書館では、日本点字図書館(東京都新宿区)と日本ライトハウス盲人情報文化センター(大阪市)が4月、録音図書のインターネット配信を始めた。約1200の図書を約600人の会員が利用する。
 各地の点字図書館が録音図書を製作、貸し出しすることは、著作権法で無制限に認められている。福祉目的のため、著作権料は無償だ。法にネット配信の規定はないが、日本文芸著作権センターが約3千人の著作者の同意を取り、認めた。同時に、公立図書館が録音図書を作る際にいちいち必要だった著作権の申請も、同じ著作者につき一括許諾とした。
 同センター事務局長で作家の三田誠広さん(56)は「視覚障害者の読書権は人権に根ざした当然の権利」と話す。データ提供については「コピーの危険性がある限り難しい」というが、バリアフリー出版には基本的に賛成だ。「自分たちもいずれ年を取り視力が衰える。できるだけ多くの著作者の理解を得て協力したい」
 <視覚障害者の読書> 厚生労働省によると、視覚障害者は約30万人。7割が弱視者とされ、点字を使えるのは約3万人。朗読してもらう対面読書のほか、点字や録音図書、拡大図書が一般的だ。CDにデジタル録音した「デイジー」も登場。文字データを再生できるものも。「本のアクセシビリティを考える」(読書工房=03・5982・0502、税込み1470円)が詳しい。

 

>TOP

『読売新聞』2004.10.29
[こどもニュース語百科]電子書籍 パソコンを使って小説や絵本楽しむ=鹿児島
西部朝刊
 ◇「読書週間」だよ
 秋が深まってきたこの時期は、読書をするのにもっとも適(てき)した季節と言われています。本といえば、紙に文字や絵や写真が印刷されたものが中心ですが、最近はパソコンなどのコンピューター画面で、小説や絵本を読むこともできるようになりました。読書の方法も大きく広がっています。二十七日から十一月九日まで「読書週間」。みなさんはこの秋、どんな本を読みますか。
 ◆ネット通じ中身を配信
 コンピューター画面で読むことができる本は、「電子書籍(でんししょせき)」とか「e(イー)ブック」などと呼(よ)ばれています。日本で初めて電子書籍が登場したのは、十九年前の一九八五年です。CD(シーディー)―ROM(ロム)に「最新科学技術用語辞典(さいしんかがくぎじゅつようごじてん)」という辞典の中身を入れ込(こ)んだものが第一号とされています。
 CD―ROMは、ゲームソフトなどにも使われているので、みなさんもよく知っているでしょう。電子書籍が登場したころは、このCD―ROMを専用の機械の画面で読むという方法が中心でした。
 十年後の九五年になると、インターネットを通じて、希望する人のパソコンなどに読みたい本の中身を配信するというサービスが始められました。新しい形の出版(しゅっぱん)です。これは「オンライン出版」とか「ウェブ出版」と呼ばれています。
 いまやオンライン出版されている電子書籍は、文庫本からマンガや雑誌(ざっし)まで、さまざまな分野に広がっています。オンライン出版関連のサイトも増(ふ)え続け、一般(いっぱん)の人が書いた小説などを読むことができるサイトも登場しています。
 ◆著作権に注意はらう
 電子書籍には、紙に印刷された本にはない、いろいろな特徴(とくちょう)があります。たとえば、配信する側と読んだ人が、インターネットを通じて、本についての感想や意見を話し合うという楽しみ方もできます。紙の本は保管(ほかん)する場所が必要ですが、電子書籍はパソコンなどに保存(ほぞん)することができ、場所を取りません。
 電子書籍を読むには、CD―ROMを買い、パソコンなどにセットして読む方法と、インターネットでオンライン出版関連のサイトに接続(せつぞく)し、自分のパソコンなどにダウンロード(データを取り込むこと)して読む方法があります。
 このように、だれもが気軽にコンピューターで本を読めるようになりましたが、それだけに、簡単(かんたん)にコピーできて著作権(ちょさくけん)がおかされることがないよう、注意がはらわれています。著作権とは、本を書いた人が、書いてあることを勝手に使われたりしない権利(けんり)です。
 電子書籍を読むにはお金がかかります。みなさんが読みたいと思ったら、おとうさんやおかあさんに相談してみてくださいね。

 〈メモ〉調べものにも便利
 電子書籍には、たくさんの百科事典や辞書もふくまれています。中には無料で使えるものもあり、便利です。パソコンなどからこれらの事典や辞書のサイトに接続し、調べたい言葉を入力してクリックすれば、その言葉についての説明が出てきます。
 また、大学の図書館や研究機関、学者や学生、ボランティアの人たちが、自分たちが行っているいろんな分野の研究の結果や情報(じょうほう)を、無料で公開しているサイトもあります。これらは電子書籍とは言えませんが、知りたいことを調べる時に、事典や辞書と同じように、とても便利に活用できますよ。
 ◇文・牧瀬伸子 イラスト・佐々木まゆみ
 〈代表県版採録〉

 

>TOP

『朝日新聞』2004年12月01日
朝刊
若者は「ケータイ」読書 小説ファンの層広がる
 「携帯電話で小説なんて読めないよ」。そんな中高年をあざ笑うかのように、ケータイ読書が浸透しつつある。文芸誌などを読まない若年層が、小説やエッセーを楽しんでいるのだ。出版社は携帯用に編集した「文芸誌」を次々と立ち上げ、「書店」にあたる運営会社も、音楽やゲームなどと並ぶ有力コンテンツになる手ごたえを語り始めた。(野波健祐)
 月に210円払う会員が2200人。なんてことなさそうだが、集英社の石川洋一出版管理室長は驚いている。
 「正直まだまだ携帯で小説は読まないと思っていた」
 同社は7月から携帯電話向けの文芸サイト「theどくしょ」を始めた。小説やエッセーなどを配信する「文芸誌」だ。書き下ろしはまだ少ないが、「小説すばる」などの文芸誌と連動し、宮部みゆきら人気作家の短編などを再掲載している。会員以外も読める部分があり、毎日約4500人が読みにくる。
 同社はファッションやコミックなどを中心に、00年から携帯向け「雑誌」を配信してきた。文芸誌はお試しのつもりだったが、「運営費でみれば単月黒字も近い」と石川さんはいう。
 手ごたえは、新潮社も感じている。ケータイ文芸誌の草分け「新潮ケータイ文庫」を02年1月に始め、有料会員は3万5千人を超えた。書き下ろし作品に重きを置いた、新しい文芸誌としての位置付けだ。文芸第二編集部の中村睦さんは、「文芸誌は40代以上が主な読者層。作家のファン層にあった文芸誌を作りたかった」と話す。
 目玉はアクセス数が減れば打ち切りとなる連載小説。無事、完結したら単行本にする。若手、中堅の作家を中心としたラインアップで、すでに7作が出版された。
 携帯向け「書店」にあたる運営会社も、小説への期待を寄せる。1冊まるごとの書籍データのダウンロードが急速に伸びている。
 ミュージック・シーオー・ジェーピーが運営する「どこでも読書」では、5月に発売した飯島愛の小説「プラトニック・セックス」が11月26日、1万ダウンロードを記録した。つまり、315円の本が1万冊売れた。同社によると「携帯電話単独の文芸書籍では、この数字は前例がないのではないか」。
 シャープの電子書籍販売サイト「スペースタウンブックス」でも、インターネット経由を含め、綿矢りさの「蹴(け)りたい背中」が703円と高額にもかかわらず、「1万冊」以上売れている。
 こうしたケータイ読書は、10代後半から30代の女性が支えている(図)。既存の文芸誌の読者から抜け落ちていた層だ。さらに新潮社の中村さんは、最もアクセスが多い時間が午後10時から翌午前1時という点にも注目する。
 「バックライトを照らして就寝前に読んでいるのではないか。空いた時間や通勤時の電車で読むという当初の予想よりも、しっかり読書している姿が浮かび上がる」。追い風もあった。「綿矢、金原コンビの芥川賞受賞が大きかった。若者の間で、小説ってださくない、と印象が変わった」(集英社の石川さん)。
 ◇高速・定額通信が後押し
 今年に入り、ケータイ読書に勢いがついた最も大きな理由は携帯電話の進化だ。第3世代携帯による通信の高速化と、昨年末にKDDIが先がけた「パケット定額制」を各社が採用し、本1冊分で数百円かかっていたデータのダウンロード費用が気にならなくなった。画面は大きく高精細になり、ルビまでくっきり読める。データを保存できるようになり、端末に文庫本換算で十数冊は置いておける。
 電子書籍ビジネスは出版界にとって積年の夢だった。パソコン、携帯情報端末(PDA)、専用端末など、読みやすい機械の追求は進んでいるが、伸び悩んでいる。ミュージック・シーオー・ジェーピーの本城剛史デジタル出版事業部担当部長は「いままでの電子書籍はネット経由が多く、買いにくかった。携帯は課金も簡単で安全性も高い。コンビニが書籍の広告や販売の場となったような可能性を感じる」という。
 シャープSST推進センターの矢田泰規所長も「携帯メールで育った世代は文字を読むことに慣れている。小説が面白いとわかれば、もっと伸びる。短編集のばら売りなど柔軟な値づけもできるので、出版社と協力しつつ新しい書店の姿を追っていきたい」と話している。
 ■「theどくしょ」の読者像(集英社調べ)
 男性 23%
 女性 77
   *
 10代 19%
 20代 50
 30代 23
 40代  7
 その他  1
 <イラスト・竹田明日香>
 ■主な携帯電話向け文芸サイト■
 「新潮ケータイ文庫」(新潮社)     02年1月 3万5千人
 「スペースタウンブックス」(シャープ) 03年6月 非公開
 「文庫読み放題」(角川デジックスなど) 03年8月 非公開
 「どこでも読書」            04年2月 2万人
 (ミュージック・シーオー・ジェーピー)
 「theどくしょ」(集英社)      04年7月 2200人
 (サイト名・運営会社・開始月・有料会員数)

 

>TOP

『読売新聞』2004.12.25
“ケータイ書籍” 若い女性を中心に読者開
東京夕刊
 ◆新機種普及/定額サービス/閲覧ソフト進化
 携帯電話で近ごろは読書だって楽しめるようになってきた。本を読まなくなったと言われて久しい十代、二十代の若者にも好評とか。ケータイ書籍”のベストセラーも生まれている。(木下聡
 電子書籍はパソコンや携帯情報端末向けに数年前から配信されているが、携帯電話ではここ半年ほどで急に広がった。高速通信と大容量の情報保存が可能な第三世代の機種が普及したのに加え、定額サービスの登場で、大量の書籍を気軽にダウンロードできるようになったためだ。
 携帯電話で本を読みやすくする閲覧ソフトの開発が進んだのも大きな要因だ。シャープのソフト「XMDF」は、縦組みや文字の大小変換、ルビ、辞書検索といった読むための機能を充実させたほか、引用や転用を防止する機能も備え、出版社の採用率は最も高い。
 ケータイ向け書籍配信で国内最大手の「ミュージック・シーオー・ジェーピー(MCJ)」(東京都新宿区)が運営するサイト「どこでも読書」では、出版社約三十社が提供する小説やエッセーなどを八百冊以上そろえている。
 五月に発売したタレント飯島愛の自伝的エッセー「プラトニック・セックス」は半年でダウンロード一万件を突破。単行本も百七十万部売れたが、ケータイ書籍”の分野でもベストセラーになった
 いくつか読書サイトへ接続してみた。小説やエッセーの新刊、過去の名作のほか、携帯電話でしか読めない作品もある。ただし、ズラリと並ぶタイトルを眺めて「自分の普段の読書傾向とは違う」と感じた。
 若者や女性に人気のある作家や、恋愛、ファンタジーものが多い。MCJ社の本城剛史・デジタル出版事業部担当部長は「本屋へほとんど立ち寄らず、出版界が接点を持ちにくかった層へ訴えるのが重要なのです」と〈新規開拓〉を強調する。実際、利用者の九割は十代から三十代で、女性が七割を占めるという。
 入会登録し、名作ものの中から、学生時代に凝ったカフカの「変身」をダウンロードしてみた。「ある朝、気がかりな夢から目を覚ますと、一匹の巨大な虫になっていた……」という、主人公が突然、不条理な状況へ追い込まれる作品だ。通勤途中、携帯電話の画面で久しぶりに読み直すと、陰うつな印象の作品だったのに、むしろ明るくユーモラスな面を強く感じた。
 面白いと思ったのは、マンガだ。一コマずつ切り替わり、大きめのコマでは画面が自動スクロールしたり、雷鳴のシーンでバイブレーターが働いたりと、読ませる工夫が効果的だった。
 とはいえ、通常の書物と比べると画面は活字を追うには余りに小さく、読書のスピードはかなり落ちる。重厚な大作や専門書を読むのは難しそうだ。
 当方、“活字中毒”としては少々重症で、常に書物が手元にないと落ち着かない。外出時には一冊読み終わっても大丈夫なように複数の書物を持ち歩く。こんなオジサンにとっケータイ書籍はまだ物足りない。まずは幅広い年代を満足させるような棚ぞろえの充実を求めたい。
 〈メモ〉
 携帯電話向け書籍配信サービスの一部について、ホームページのアドレスと基本料金(月額)を以下に挙げる(携帯電話から接続する時のアドレスは別)。電話の機種や契約内容によって、利用できるサービスや料金は異なる場合がある。
 ▽「どこでも読書」(MCJ)http://pdabook.jp/pdabook/mobile/ 315円
 ▽「ケータイ読書館スペースタウンブックス」(シャープ)http://www.spacetown.ne.jp/ 210―315円
 ▽「新潮ケータイ文庫」(新潮社)http://www.shinchosha.co.jp/keitaibunko/ 105―210円


*作成:植村 要
UP: 20100706  REV:
情報・コミュニケーション/と障害者  ◇視覚障害者と読書  ◇電子書籍  ◇テキストデータ入手可能な本 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)