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電子書籍 2003

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■新聞記事



『読売新聞』2003.03.07
[ITで変わる出版](3)電子書籍、数秒で配信(連載)
東京朝刊
 ◇守ろう活字文化
 パソコン雑誌などを発行するIT(情報技術)関連出版大手「インプレス」(本社・東京)は先月から、新刊ビジネス書を出版に先立ってインターネットで配信するサービスを始めた。書店で並ぶ前に本の内容をネット販売するのは、出版業界で初めての試みだ。
 同社の浜崎克司クロスメディアコンテンツ部長は「電子書籍」の長所について、「すぐに発売できる手軽さ」と説明する。印刷、製本や流通にかかる時間と手間が省けるため、価格は通常の本の三分の二程度に抑えられ、在庫を抱え込むリスクも回避できる。今回の電子書籍は、単行本にすると二百五十六ページに及ぶが、ブロードバンド(高速大容量)通信ならわずか数秒でパソコンなどに取り込めるという。
 日本電子出版協会によると、現在、既刊本のうち、約一万五千点がネット配信されている。インプレスは、新年度中に発行する雑誌や新刊二百―三百点のうち一、二割をネット配信での先行販売に振り向ける方針だ。
 一方、印刷大手の凸版印刷は、米ベンチャー「イー・インク」と共同で「電子ペーパー」の開発に取り組んでいる。ペットボトルと同じ材質のプラスチック製フィルムに、マイナスに帯電した白い粒子とプラスに帯電した黒い粒子を持つ「マイクロカプセル」という約七十マイクロ・メートル(マイクロは百万分の一)の微細な球を敷き詰めたもので、電気を流すと中の粒子が移動して白や黒の表示ができ、文字が浮かび上がる。
 紙のような薄さと軽さを兼ね備え、ディスプレー上の情報は自由に何回でも書き換えることができる。ソニーやキヤノン、富士ゼロックスなども同様の技術開発にしのぎを削っている。
 パソコンやPDA(携帯情報端末)に使われる液晶ディスプレーは、ガラス板の裏から光を当てて表示するため、屋外など明るい場所では見づらくなるが、電子ペーパーは自然の反射光で見るため、どんな角度からでも見やすく、消費電力も液晶の最大百分の一に抑えられるという。
 凸版印刷は、高温や多湿などの条件下でも正常に作動するための信頼性試験を行っており、今年中に機器メーカーと共同で一号機を発売する予定だ。電子ペーパー事業推進部の檀上英利課長は「ネット配信に電子ペーパーが加わることでようやく市場が立ち上がる」と話し、本格的な「電子出版時代」の到来を予測している。

 

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『読売新聞』2003.03.15
17冊相当分を収録した電子辞書発売へ/シャープ
東京朝刊
 シャープは電子辞書「PW―C6000」を25日発売する。岩波書店「広辞苑」、英語、ことわざなど計17冊相当分の辞書を収録した。カラー液晶画面にデジカメで撮影した写真を表示したり、メモリーカードに保存した電子書籍を読むこともできるという。オープン価格。(電)043・299・8021

 

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『読売新聞』2003.05.17
[なるほど!経済]進化するケータイ PC化加速 カメラ、リモコン、翻訳機
東京朝刊
 ◆高画質カメラ、リモコン、翻訳機 コスト増、メーカーの負担に  
 NTTドコモ、KDDI(au)、J―フォンの携帯電話各社は今月下旬から、内蔵カメラの画質をデジタルカメラ並みに高めるなどした高機能型の携帯電話を、続々と発売する。携帯電話市場の伸びが鈍化しつつある中で、端末の性能が携帯電話会社の顧客獲得競争に直結しているためだが、開発のコストアップなど、メーカーの負担も大きい。(黒川茂樹、小谷野太郎)
     ◎
 各社が発売する新機種の中心は、画像の鮮明さを示す有効画素数を従来の最大三十万画素程度から百万画素以上に高めた機種だ。印刷しても十分楽しめる画質が得られるといい、小型の記録カードに画像を保存するなどして、写真店で印刷してもらえるようにした。
 折り畳んだままの端末を横にして、両手で支えてシャッターが切れるデジカメそっくりの機種もある。端末の液晶画面で見たり、友人の携帯電話に送信して楽しむだけでなく、紙に印刷する使い方が広がれば、「いずれレンズ付きフィルムの市場を追い越す」(端末メーカー)との声もある。
 カメラ以外の機能アップも盛りだくさんだ。ドコモが発売する505iシリーズ六機種は、テレビの赤外線リモコン代わりに使える。また、内蔵の電話帳などの情報が他人に見られないよう安全性を高めるため、指紋認証機能をつけた機種もある。
 J―フォンが五月下旬に発売する端末は、電子ブック機能を搭載し、電子辞書や電子書籍を見ることができるほか、記録カードに保存した曲をイヤホンで聴き、音楽プレーヤーとしても使える。auは七月下旬、英語・中国語・韓国語で、ホテル予約や買い物などに必要な会話を音声で読み上げる機能をつけた端末を出す予定で、今後も携帯電話の“小型コンピューター化”が加速すると見られている
     ◎
 携帯電話会社が、高性能端末の発売に注力するのは、「携帯電話の普及がほぼ一巡し、消費者に『買い替えたい』と思わせるような機能や魅力が必要になった」(大手メーカー)ためだ。携帯電話とPHSを合わせた契約数は四月末で約八千百七十八万台、人口に対する普及率は64・1%に達した。市場は今後、大きな伸びが期待できず、競争を勝ち抜くには、使い勝手の良さで機種選びをする傾向を強める消費者の支持を得る必要がある。
 例えば、カメラ付き「写メール」端末を二〇〇〇年十一月に他社に先駆けて発売したJ―フォンは、若者を中心にした人気獲得に成功、累計契約数全体に占める市場シェアを二年間で2・1ポイント伸ばした。
 このほか、ドコモが狙った第三世代携帯電話「FOMA(フォーマ)」への移行が思うように進んでいないことも、携帯各社間の競争の“主戦場”が現行機種の機能アップになっている理由の一つだ
     ◎
 ただ、携帯電話各社に求められ、端末の開発・生産にあたる電機メーカーなどにとっては、端末が高機能になるほど、開発に手間がかかり費用もかさむ。
 あるメーカーの担当者は「カメラ部品やデータ処理用の電子部品の調達やソフトウエア開発などで開発費用がかさんでも、他メーカーとの競争上、費用上昇分を商品価格には転嫁できない」と嘆く。携帯電話は、ほぼ半年に一回、新製品が発表されるペースとなっており、「限られた期間内で高機能化とコスト削減を両立させるのは非常に難しい」という。
 また、高機能化で部品数などが増えれば、それだけ端末は重くなり、「軽さ」を好む消費者に受け入れられるかという懸念も出てきた。
 これまでの主流となっていた端末の重さは百グラム程度だが、これから発売される高機能タイプには、百四十グラムを超える機種もある。メーカーと携帯電話会社にも、今後の売れ筋が読み切れない部分があり、新機種には、機能を絞り込んで重量を百グラム前後に抑えた機種もそろえ、消費者の人気がどちらに向かうか見定めようという戦略をとるところもある。

 

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『朝日新聞』2003年06月05日
夕刊
メール感覚で読書 曽崎重之(必殺携帯術) 【大阪】
 何でもやってのけるマルチ端末となった携帯電話で、ついに読書ができるようになった。いままで本を敬遠していた人たちも、これならメール感覚で読むことができ、スマートに読書を楽しめるだろう。
 J−フォンが関西地区で5日から発売をはじめた「J−SH53」(シャープ製)に、携帯電話で初めて電子ブック(デジタル化された書籍)が読めるビューワ(閲覧ソフト)が内蔵されたのだ。
 関西ならコンビニのファミリーマートに、携帯付属の記憶媒体SDメモリーカードを持っていく。そこに置いてあるマルチメディア端末に、お金とカードを入れて電子ブックをダウンロード。そのカードを携帯電話に挿入すれば画面で読める。これがデジタル時代の新しい読書術だ。21世紀の二宮金次郎は、携帯で読書するのかもしれない。
 マルチメディア端末以外に、シャープの「シャープスペースタウン」などのインターネットサイトからもダウンロードできる。約5300の小説やエッセーなどが用意されている。
 ただし、携帯電話では直接ダウンロードできない。少し面倒かもしれないが、本屋さんへ行く感覚でマルチメディア端末を利用するのも良いものだ。
 (Webプレス社編集長)

 

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『読売新聞』2003.06.17
[モバイル&ゲーム]携帯電話J―SH53/シャープ
東京夕刊
 夏のボーナス商戦前に各携帯電話会社は、競ってメガピクセル(100万画素)級のデジタルカメラ付属の新機種を売り出した。「発表は一番早い」「いや、発売は我が社が一番早かった」などと“一番乗り主張合戦”も面白いが、いずれにせよ、各社こぞってさらなる高画素化へ進んでいくことに違いはない
 さて、撮影した画質の良さを液晶モニターでも実感できるのが、このJフォンの携帯電話機(実売1万7000円程度、シャープ製)だ。画面の大きさが、従来より一回り大きい上に、4倍もきめ細かく表示できる。
 表示がきれいであることから、新たに期待されているのが電子書籍。字が小さくても鮮明で読み取りやすいため、同社がPDA(携帯情報端末)向けに提供している電子書籍サービス(1冊数百円が中心)も利用できる。また、シャープは、この電話機に限らず、Jフォンのパケット対応機向けに、明日18日から、「ケータイ電子書店 スペースタウンブックス」(月額210―315円)も始める。メール、ゲーム……と、すき間時間を埋めるケータイに“本”がどれだけ利用されるか楽しみだ。(上伊沢沖宏

 

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『読売新聞』2003.06.28
第3回活字文化推進フォーラム 「出版文化支え、本を残そう」=特集
東京朝刊
 デジタル時代の本や読書は、どのような姿に変わっていくのか??。読売新聞社と出版業界などで作る活字文化推進会議は今月十四日、第三回「活字文化推進フォーラム」を大阪市中央公会堂で開き、新しいメディアの可能性を話し合うとともに、活字文化の価値を改めて確認した。会場には約五百二十人が詰めかけ、基調講演、パネルディスカッションに聞き入った。

 《基調講演》
 ◇林望氏(作家・書誌学者)
 ■「活字は永遠に不滅です」 
 ◆すぐに読める利便性 どこでもページ折り、持てる「強み」
 若者の活字離れが著しいと、多くの識者が嘆くが、本当にそうだろうか。
 東京大学で最近、「いま読書が熱い」という、ややカッコつけたタイトルの連続集中講義があった。私も頼まれて講義をしたのだが、学生たちの熱意は大変なもので、講義が終わってもなお熱っぽい議論が続いた。
 多くの学校で教鞭(きょうべん)をとってきた経験からいうと、今の若い人たちは本を読まない、とは思わない。
 確かに昔の高校生は本を読んでいた。だが、当時の高校生は、数少ないエリートだった。今の高校生も上位5%をみれば、昔の高校生より読書家だと言える。今の高校、大学生の一握りの読書家は、原書で読みこなす。英語の本を自在に読みこなしていく。
 つまり、読書人の数は、歴史的に見て常に一握りでしかないのだ。
 出版というものは、多くの人は、文明開化とともに明治になって始まったと思っているかもしれない。
 だが、これは大きな間違いで、日本では奈良時代の七七〇年、お経が、木版で百万部も印刷されていた。その後も、お経や仏典が出版されている。ただ、こうした出版物の大半は読書とは関係がなかった。お釈迦(しゃか)さまの言葉を世の中に広めるためのもので、読書のためではない。
 状況を変えた要因の一つは、豊臣秀吉の朝鮮出兵だ。十四世紀から金属活字による印刷が行われていた朝鮮から、秀吉の軍勢が金属活字を略奪してきたことで日本での活字印刷が始まった。
 もう一つは、キリシタンの伝来だ。彼らはグーテンベルク式の印刷機を日本に持ち込み、キリスト教の布教に努めた。この時代に、西洋式の活字による「平家物語」や「イソップ物語」などが印刷された。
 そして学問をした者が出世する江戸時代になると、子弟に学問させるための漢詩文を主とするテキスト類が盛大に印刷された。
 だが、勉強や人格修養は読書の第一義ではない。若い人によい本を読ませようと押しつけると、みんな嫌になって読書から離れていく。江戸時代に、出版業が初めて商業的に成功したのは、娯楽として本を読むことが定着したからだ。
 若者が本を読まないという慨嘆が聞かれるのは、日本だけでなくフランスでも同じのようだ。ダニエル・ペナックというフランス人は、「奔放な読書」(藤原書店)という著書で、「義務のない自由な読書から読書の楽しみは生まれる」と説いている。
 ペナック氏は、フランスの国語の教師であるが、朗読がとてもうまいらしい。国語の時間になると、おもしろいと思う本を朗々たる声で、生徒たちに読み聞かせた。
 生徒たちが聞いて楽しんだら、それでいい。これを読め、あれを読めと若者に押しつけたり、感想文を書かせたりといったことは一切しない。
 「生徒たちが本を読まない」と嘆く暇があれば、朗読の技術を磨けばいい。おもしろく読み聞かせれば、生徒たちはいや応なく読んでしまうことになる。
 読み聞かせる相手は子どもだけではない。落語とか講談とかは、一種の読書でもあった。活字文化というものはただ単に、紙に固定されたものだけではない。音声による読み聞かせもまた、読書文化なのだ。
 デジタル時代にあっても本はなくならない。
 紙にインクで印刷してあるということは、紙が燃えでもしない限り、絶対的に安定している。だが、コンピューターのデータはぜい弱で、コンピューターが壊れたらもう読み出せない。本は踏んづけようと、コーヒーをかけようと、読むのには別に支障がない。
 電車内で本を読む時に、いちいちコンピューターを開いて読むことはあり得ないだろう。ポケットから文庫本を出し、すぐに読めることの利便性にはとうてい及ばない。
 大事なことの一つは、本は、ページを折っておく、しおりを挟んでおく、ひもをかけておくことで、どこまで読んだか、すぐにわかることだ。コンピューターではこうはいかない。
 本が滅ぶことはないが、現今の出版業界の不振を見ていると今のままでいいのかという問題はある。出版社がどんどんつぶれているのは、読者の問題だ。本は値段が高い、と思っている人がいたら改めてほしい。
 明治時代に出版された夏目漱石の小説「吾輩は猫である」の値段は、現在の貨幣価値に換算すると、二万?三万円にもなる。
 今日、単行本が高いと言っても千三百円ぐらいで、文庫本は五、六百円だ。それなのに本が出るとすぐ図書館に行って借りて読んでしまうから、本が売れなくなる。
 本は、他のデジタルメディアなんかには絶対取って代わられないだけの強みを持っている。その出版文化を現代の読者が支え、若い人たちに本を残していってほしい。
             ◇
 ◇はやし・のぞむ 1949年、東京都生まれ。慶応大大学院博士課程修了。「イギリスはおいしい」で日本エッセイストクラブ賞、「ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録」で国際交流奨励賞を受賞。ほか小説や詩など著書多数。

 ◆デジタル技術 受注印刷など新たな可能性
 インターネットで書籍の内容を配信して、利用者はパソコンで読む、という紙を使わない「電子書籍」が登場するなど、デジタル技術の進展は、様々な形で出版業界に影響を与え始めている。市場規模はまだ小さいが、デジタル技術を応用し、新たな出版のあり方を探る動きは活発だ。
 作家が原稿用紙で小説を書いていても、出版社はそれをコンピューターに打ち込み、デジタル情報に置き換える。その上で、印刷した本が書店に並ぶ。
 電子書籍とは、出版社が持つデジタル情報を、インターネットを通してそのまま届ける仕組みだ。読者はネットで読みたい本を選んで、ダウンロードするだけでいい。
 一九九五年設立の「パピレス」は現在、漫画から実用書、写真集など約一万千点の電子書籍を販売。価格は通常の本と同程度だ。文字だけでなく朗読音声をダウンロードできるものも。最近は毎月三万点以上の売り上げがあるそうだ。
 パソコンで読むだけではなく、専用端末の開発も進められている。松下電器産業は、電子書籍を販売する「イーブック イニシアチブ ジャパン」と連携して見開き型の読書端末を開発し、今秋から販売する。この端末を使えば、まさに本を読むように読める。
 ただ市場規模は小さく、デジタルコンテンツ協会によると、二〇〇三年の見込みは六億円で、三年前の三倍に増えたが、一般の書籍が約二兆三千億円に及ぶことを考えれば、まだまだ微々たるものだ。
 一方で、デジタル技術の進化は、「究極の流通システム」と呼ばれるオンデマンド出版を可能にした。
 ネット上で注文を受け、その都度、印刷し届ける。販売部数が少なく採算が取りにくい学術書でも、在庫を抱える恐れがないので取り扱える。デジタル情報がある限り、絶版になることもなく、活字文化を支える有力な武器になると期待されている。

 ◆全国で多彩な事業展開
 活字文化推進会議(山崎正和委員長)はフォーラムのほか、大学での公開講座、読みきかせ教室など多彩な事業を全国各地で展開する。
 今後の予定は次の通り。
 ◇活字文化公開講座
 ▽7月18日、北海道大(札幌市) 講師=作家・谷村志穂さん、古賀弘人・北海道大言語文化部教授
 ▽10月18日、早稲田大(東京・新宿区) 講師=作家・阿川弘之氏、作家で谷根千工房編集人の森まゆみさん
 ▽11月1日、明治大学(東京・千代田区) 講師=作家・逢坂剛氏、作家で明治大助教授の堀江敏幸氏
 ▽11月8日、大阪大(吹田市) 講師=養老孟司・東京大名誉教授、浅田稔・大阪大教授
 ▽11月14日、中京大(名古屋市) 講師=作家・津本陽氏、酒井敏・中京大文学部教授
 ◇お父さんとお母さんの読みきかせ教室
 ▽7月12日、東京都千代田区・読売新聞東京本社 講師=阿部恵・道灌山学園保育福祉専門学校保育部長
 ▽7月27日、岡山市・県生涯学習センター 講師=絵本作家・とよたかずひこ氏
 ▽8月3日、鹿児島市・県民交流センター 講師=宮川健郎・明星大教授
 ▽9月7日、札幌市・道民活動センター 講師=宮川健郎教授
 ▽10月19日、仙台市・県民会館 講師=とよたかずひこ氏
 ▽10月26日、倉敷市・倉敷芸文館 講師=阿部恵氏
 ▽11月23日、大阪市・大阪ビジネスパークツイン21 講師=とよたかずひこ氏
 参加申し込み方法はそれぞれ社告で。
 問い合わせは活字文化推進会議事務局(電話03・3217・4302)へ。

【主催】活字文化推進会議
【主管】読売新聞社
【後援】文部科学省、文化庁、NHK、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、読書推進運動協議会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会、出版文化産業振興財団、日本図書館協会、全国学校図書館協議会
【協力】NHKプロモーション
            ◇
 フォーラムの模様は7月5日午前11時15分から、CS放送「G+」の「読売スペシャル」で放映。ヨミウリ・オンライン(http://www.yomiuri.co.jp/katsuji/)でも詳報を掲載します。

 

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『読売新聞』2003.07.11
[IT探検隊]携帯電話で読書 読みやすく鮮明 活字離れの歯止め効果期待
大阪朝刊
 ◆読みやすく鮮明/片手操作で快適
 高機能化が進む携帯電話で、本を読んだり、辞書をひいたりできるサービスが登場した。読書の楽しみは、ITでさらに広がる。活字離れにも効果があるかもしれない。
                (今週の隊員=白櫨正一記者) 
                  ◇
 ■文庫本200冊分
 これは6月からシャープが始めたサービスで、Jフォンの携帯電話「J―SH53」の画面で本が読めるというものだ。探検隊は、大阪市のシャープ本社に、サービスを担当する谷口実さんと石黒睦久さんを訪ねた。
 谷口さんは「現在、このサービスを利用して約5600冊の中から好きな本が選べます」といい、携帯電話の本体から切手サイズのカードを取り出した。「これに電子化した書籍の情報を取り込むのです」
 このカードは半導体メモリーカードで「SDカード」という。カードには「128MB」と書かれている。MBはメガバイトと読み、取り込むことができるデータの容量を示している。128メガ・バイトだと、約300ページある一般的な文庫本なら約200冊分取り込めるそうだ。
 ■好きな本を購入
 谷口さんは持ってきたノートパソコンにSDカードを差し込んだ。そのパソコンをインターネットに接続し、アドレス「www.spacetown.ne.jp/books/」を入力する。すると、シャープのページ「スペースタウンブックス」の画面が出た。
 画面の上に検索コーナーが用意されていて、「文芸」や「写真集」など15のジャンルがある。「歴史・戦記・時代小説」を選んで探してみると、隊員が好きな司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」や、浅田次郎さんの「壬生義士伝」などが見つかった。石黒さんは「サービスの特徴を知ってもらうには、この本がいいでしょう」といって、獣医師の野矢雅彦さんが書いた「犬と話そう」(中央公論新社)を選んでくれた。
 購入するには会員になる必要がある。「スペースタウンブックス」の画面の右下の方に「ご利用方法」というメニューがある。これを選ぶと「初めて購入される方」との表示が出てくる。後は画面の表示に従って、氏名や住所などを入力すれば、会員IDとパスワードが表示される。クレジットカードの手続きをすれば、料金は購入のたびに自動的に引き落とされる。
 「犬と話そう」は400円だった。実際の本は600円だ。だいたい、紙の書籍と同じぐらいの値段だそうだ。購入と同時にSDカードに情報が入り始め、30秒ほどで終了した。
 ■一度に400文字
 いよいよ読書する時が近づいてきた。情報を取り込んだSDカードをパソコンから抜き、携帯電話に差し込む。携帯電話のメニューボタンを押して「電子ブック」を選ぶ。画面が切り替わり、「犬と話そう」というタイトルが表示される。
 まえがきから読み始める。思わず「きれいですね」と声が出た。文字がとても読みやすい。ページを進めていくと随所にかわいらしい犬の画像が出てくるのだが、これまた鮮明だ。
 Jフォンの「J―SH53」の液晶にはシャープが独自に開発した「システム液晶」がついている。これでより高精細な表示が可能になったという。携帯電話の画面では、文字の大きさを中、小の二つのサイズから選べるのだが、小にすると画面に一度に表示できる文字数は横書きで約400文字で、通常の携帯電話の約4倍にもなるそうだ。
 携帯電話の中央部にある十字キーの右側を押すと、1ページごとに切り替わっていく。確かに何度もボタンを押さないと先には進まないが、片手で操作でき、なかなか快適だ。
 ■辞書もひける
 谷口さんは「辞書もひけるんですよ」といって、別のSDカードを携帯電話に差し込んだ。同じようにメニューを押し、「電子ブック」を選ぶと、今度は「スーパー・アンカー英和辞典」のメニューが表示される。これを選び、「スペル」の空白欄に、メールを打つ要領で英単語を入力すると、単語の意味だけでなく例文も表示してくれる。
 電子辞書は、インターネットから取り込むのではなく、あらかじめ辞書が入力されたSDカードを、「スペースタウンブックス」から選んで購入する。「英和辞典」のデータが入ったSDカードは64MBで8800円だ。ちょっと高いかな。ほかに、和英辞典や国語辞典、カタカナ新語辞典も用意されている。
 シャープの電子書籍サービスに協力している出版社は45社ある。文芸春秋で電子書籍を担当する花尻まどかさんは「高校生や大学生は活字離れが進み、出版社が頭を悩ませている年代です」という。「でも同時に、携帯電話を最も利用している層なので、このサービスの広がりに期待しているのです」と話す。
 谷口さんは「他の携帯電話会社にも売り込み、Jフォン以外でも読めるようにしたい」と話す。7月11日からは、コンビニエンスストアに設置した専用機からも、SDカードに取り込むことができるようにする。

 <探検を終えて>
 電子書籍はこれまでも、携帯情報端末(PDA)を使って読むことができた。しかし、ふだん、当たり前のように持ち歩いている携帯電話でも本が読めるというのは、驚きだ。これで活字離れにストップがかかるなら、うれしいことだ。そのうち、高校生が携帯で読書にふける姿が見られるかもしれない。
  ………………………………………………………………
 《隊長から》
 IT図書館(前々回)は、はがき496通、ファクス102通、eメール302通の計900通でした。「国会図書館が関西にできると聞いて、楽しみにしていました」(大阪府能勢町・大浜和世さん)。「京都府精華町のあたり、工事をしていると思ったら」(大阪府枚方市・酒井つる子さん)。そうなんですよ。「本が好きな私にとって朗報です」(三重県阿山町・添野芳樹さん)。「漱石さんもびっくり」(神戸市・奥村英子さん)。はい。ソクラテスもプラトンもカントもヘーゲルも。
 「母の日のプレゼントに関西館に行きました」(奈良県大和高田市・吉田直美さん)。しゃれたプレゼントでしたね。「司書になる夢はかなわなかったけれど、図書館大好き」(奈良県新庄町・影山晴美さん)。「毎日、図書館で勉強して帰ります」(広島市・古宮友理絵さん)。秋の日の図書館のノートとインクのにおい。懐かしいねえ。「敦賀にも立派なのができました」(福井県敦賀市・打波桂子さん)。「小さくてもマイライブラリーです」(岡山県勝北町・内田三枝子さん)。
 「当てておくれにゃー」(兵庫県姫路市・石川佳奈さん)。毎週ありがとう。(勉)

 

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『読売新聞』2003.07.22
広がる電子書籍 「本」に近づく、ソフト豊富に
東京夕刊
 パソコンやPDA(携帯情報端末)、携帯電話に文章などを表示して読む電子書籍。提供されるソフトが徐々に増える一方、ハード面でも、今秋、松下電器が見開き型専用端末「Σ(シグマ)ブック」を売り出すほか、ソニーなども参入に向けて開発中とレイクの兆しもある。そこでΣブックの試作機をチェック、一足先にペーパーレス読書を体験してみた。(津久井美奈
 ◆形状は本そのもの
 週に二回は書店を物色、常に二、三冊を鞄(かばん)に入れて持ち歩き、肩こりに悩んできた。それでも、画面が小さいPDAなどでの読書は味気なく、パソコンでの読書もなじめなかった。
 その点、Σブックは本と同じ見開き型で、大きさもB6サイズの単行本と同じで、「本を読んでいる」満足感は多少感じられる。ただ、重さは五百五十グラムとPDAと比べてもかなり重い。とはいえ、「ハリーポッター」に比べれば軽い。
 デザインはシンプル。ページめくりボタンが左右に一つずつと、しおりボタンが三つあるだけ。電源スイッチもない。実はページ書き換え時のみ電力を消費する省エネタイプの記憶型液晶を使用している。常に電源が入った状態なので、開けばすぐ表示でき、単三電池二本で三―六か月もつという。
 発売機の液晶は白黒になる予定だが、試作機は背景が青色でやや見づらい。それでも解像度が高く、細かいふりがなもはっきり表示される。また、外光が強いと見にくいバックライト型液晶と異なり、戸外でも紙感覚で読める。
 データは、読み出し速度の速いSDメモリーカードを使用しているが、ページ書き換えに〇・七秒かかり、本のページをめくることに比べればストレスを感じるのは否めない。ただ、書き換え速度は発売までに改良予定だ。
 通勤電車で読んでみた。好奇の目にさらされることなく、目も腕も思ったほど疲れなかった。かなり頑丈に作られており、落としても壊れないという。難点は、片手でのボタン操作ができないこと。また、安全のため、付属ストラップを腕に通したが、座っている人にぶつけるとケガをさせそうなので少し緊張した。
 ◆ブロードバンド背景に
 ターゲットは三、四十代のビジネスマンとあって、読めるのは小説のほかビジネス書、漫画など。発売当初はイーブックイニシアティブジャパンのeブックや、凸版印刷のビットウェイブックスなど約五千冊を用意。書店などでSDカードを販売するほか、ネットからのダウンロード販売、さらには書店、コンビニなど二千店舗に端末を設置して購入できるようにするという。気になる価格は本体が三万円台で、一冊約三百円程度になる見込みという。
 松下電器の早川佳宏氏によると、商用化のきっかけは「中国で小・中・高校生一億二千万人の教科書の電子化プロジェクトが動き出したことから」だという。しかし、日本のブロードバンド急拡大もあり、「出版社や取次、書店とともに電子書籍の市場拡大に力を入れていきたい」という。
 その有力な提携先となったイーブックイニシアティブの鈴木雄介社長は「ブロードバンドの広がりで作品数も売り上げも毎月増えており、紙では消えた現代教養文庫なども復活している。ハードが増え、新しい市場ができればうれしい」と歓迎する。
 また、Σブックは、ネット上の文書ファイルをSDカードに移して読むことも可能だ著作権が消滅した古典などを電子化、現在二千作品以上を公開している「青空文庫」などのネット図書館からの“貸し出し”も増えそう。同文庫を主宰する富田倫生氏は「新しい器が次々生まれ、進化していくことで電子書籍に新しい段階が訪れることを期待したい」としている。

 

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『朝日新聞』2003年08月28日
朝刊
見開き型電子書籍、動画の閲覧も可能 東芝が試作
 デジタル化した小説や漫画をパソコンやPDA(携帯情報端末)などで読む電子書籍で、動画の閲覧もできる専用端末の試作機=写真=を東芝が開発した。最新のノート型パソコンをベースにした見開き型で、本と同じ感覚で読める。29日からドイツで開かれる国際展示会に出品し、普及が見込まれる電子書籍市場への参入を目指す。
 試作機「SDブック」は本を閉じた状態で縦21センチ、横16センチ、厚さ4センチと四六判程度の大きさ。開くとカラー液晶画面(縦16センチ、横11センチ)が2面ある。画面の解像度は「一般のノート型パソコン液晶画面の1・5〜2倍程度」(東芝)で、絵本や図鑑、アニメなどの閲覧もできるという。
 ただ、重さが約1・4キロで、消費電力も内蔵バッテリーで約2時間と短く、軽量化や省電力化が課題だ。
 コピーや購入者以外が読むのを防ぐために記録媒体の「SDカード」を使う。電子書籍を読むためには、SDカードに記録された固有の識別番号が必要な仕組みで、SDカードが「鍵」となる。
 電子書籍は約10年前に登場したが、著作権の問題もあり、急速には普及しなかった。今の市場規模は10億〜30億円程度だが、著作権保護技術の進歩などで05年には100億〜500億円市場になると推計されている。

 

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『読売新聞』2003.08.29
成田空港利用者の電子書籍モニター 公団と松下電器が募集=千葉
東京朝刊
 空港公団と松下電器は、成田空港を利用する海外旅行者を対象に、渡航先でも小説や漫画が気軽に楽しめる電子書籍の実証実験を行うため、無料モニターの募集を始めた。
 旅行中は機内などで本を読む時間は多いが、本は重くて荷物になるのが悩みだった。そこで小型の端末と、電子データで大量の小説や漫画が読める電子書籍に注目。モニターからのアンケート結果を検討して導入方法などの参考にする。
 モニターは九月五日―十一月三十日に成田空港から出国し、十四日以内に帰国する人。希望者は、十月末までに空港公団ホームページ(http://narita‐airport.or.jp/airport/)から申し込む。

 

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『朝日新聞』2003年09月08日
週刊アエラ
最近1カ月で、何冊本を読みましたか(opinion@AERA)
 1冊も「読んでいない」人が3割近くにのぼっている。
 本はやはり、どんどん読まれなくなっていくのだろうか。
 ノンフィクション作家の佐野眞一さんはこう考えている。
 今回は学生を除く、20歳以上の人たちから回答を得た。
 雑誌やマンガを別にして、最近1カ月で1冊も本を「読んでいない」人が28%を占めた。最近1カ月で本を「買っていない」人だとさらに多くなり、37%にのぼる。
 「本は情報のビークル(乗り物)として良くできた最強のものだったと思います。めくったり、検索が可能だし、余白も楽しめる。携行もできる。しかし、グーテンベルクが本の印刷を可能にしてから500年、インターネットが現れ、そろそろ、耐用年限が切れ始めたという気がします。その人類史的な流れとは別に、短期的にも出版界は様々な問題を抱え難しい状況にある。なのに出版界は既得権益を手放すことなく旧態依然としている。このままでは、ますます本は売れなくなるでしょう。でも、紙に印刷した従来の本は衰退しても、違った形で本を読むという行為は続けられ、本は死なないというのが、僕の基本的なスタンスなのですが」
 『だれが「本」を殺すのか』(プレジデント社)の著書があり、出版界が抱える問題に対して鋭い指摘を続けているノンフィクション作家の佐野眞一さんは、本の将来についてこう語る。
 ○みんな、本が好き 本屋にも行っている なのに読まない
 「ネットで電子書籍が浸透してきたら、さらに本の立場は危うくなると思う。先行きは暗い」(滋賀県、会社員、32歳)、「今に本はパソコンで読むようになるのではないでしょうか」(北海道、パート、38歳)、「紙ベースによる本は、この先、売れなくなるでしょう」(東京都、自由業、36歳)
 回答者の意見も長期的にみれば、従来の本は衰退していくというものが目立った。
 一方で、今現在の時点でみると、実はそう悲観的な回答ばかりではない。
 「本を読むことが好きですか」と聞くと70%の人たちが「好き」と答え、「嫌い」な人は6%しかいなかった。
 「本屋さんに立ち寄ることは楽しいですか」と聞くと、86%にのぼる人たちが「楽しい」と答え、「楽しくない」はわずか2%だけ。
 本屋さんに「ほとんど立ち寄らない」人は6%だけで、51%の人は「よく」立ち寄っている。「たまに」立ち寄る人を加えると94%がちゃんと「本屋さんに立ち寄る」人たちだ。
 みんな、本が好きで、本屋さんにも立ち寄っているのに、本が売れず、本が読まれない。
 これは、長い目でみた本の衰退というよりも、佐野さんが指摘する出版界が抱える問題の方が、現時点では大きな障害になっているということかもしれない。
 回答からあらわれたひとつの問題は本の値段。
 「本の値段についてどう思いますか」と聞くと「高い」という人が73%で「安い」は1%だけ、「ちょうどいい」も19%だけだった。
 また1カ月に本を買うために使えるお金は1000円未満が21%。1000円〜3000円未満が45%。6割を超える人たちが本への出費を3000円未満に抑えようと考えている。
 佐野さんは指摘する。
 「僕自身は本の値段を高いとは思わない。でも、本が高すぎるという意見は大事で、聞かなければならないと思う。本は値引きしないという再販制度のぬるま湯につかっているばかりではだめです。そうしている間にビジネスでは当たり前の感度が出版界からは失われてしまった」
 新刊を値引きしないで売り続けているうちに、「ブックオフ」のような安さを武器にした古本のチェーン店が全国に広がり、弱小書店はどんどんつぶれる状況になっている。
 ○本には破壊力が必要 作家の力と編集の力、それが問われている
 「新しい本でなく古本を買うことに抵抗がありますか」と聞くと79%の人たちが「抵抗はない」と答えた。つまり、本を買う側からすれば、高い新刊書より、安い古本の方がよほどいいのだ。
 佐野さんの厳しい指摘は続く。
 「デフレの中で勝ち抜こうとどこの企業も必死になっているときに、出版界には価格競争がなく、知力や体力をつぎ込む戦いをしてこなかった。いまや、100円ショップでも辞書や実用書を売っている。さらには秋葉原では電子辞書を安売りしている。出版界はそういうところに侵食されるしかない状況になってしまっている」
 「最近、読んで感動した本がありましたか」と聞くと68%の人たちが「ない」と答えた。本が読まれないのは、本そのものにも問題があるのだろう。
 佐野さんはこう結ぶ。
 「本には破壊力が必要です。それを生み出すには、作家の力だけではなく編集力が重要になる。手間をかけて、読者に親切に、完成度の高いものを作る。そういう編集力のある本を作れるかどうかが問われているのです」
 編集に携わる者は心して聞かなければならない言葉だ。
 (エディター 梅村隆之)

 ◇最近1カ月で何冊本を読みましたか
 1〜 5冊    56%
 6〜10冊    11
 11冊以上     6
 読んでいない   28

 ◇最近1カ月で何冊、本を買いましたか?(雑誌やマンガは除く)
 1〜 5冊    55%
 6〜10冊     6
 11冊以上     3
 買っていない   37

 ◇一般的に本の値段についてどう思いますか?
 高い       73%
 ちょうどいい   19
 安い        1
 わからない     7

 ◇本を買うために使えるお金は1カ月いくらぐらいですか?
 2万円以上          1%
 1万円〜2万円未満      4
 5000円〜1万円未満    7
 3000円〜5000円未満 22
 1000円〜3000円未満 45
 1000円未満       21
 (編集部がマクロミル社に依頼し、ネットリサーチで20歳以上の学生を除く男性157人、女性154人から回答を得た。小数点以下四捨五入。)

 

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『朝日新聞』2003年09月10日
朝刊
海外旅行のお供に「電子の本」 成田空港で無料貸し出し実験/千葉
 新東京国際空港公団と松下電器産業は海外旅行者らに電子書籍を無料で貸し出す実験を始め、9日に初めての貸し出しがあった。「書籍」はB5判ほど(厚さ約1・5センチ、重さ540グラム)の見開き型の端末で、本10冊以上を楽しめる。アンケートに答え、公募で当選したモニターが対象で、10月31日まで募集している。
 端末を開くと、事前にダウンロードした本のタイトルが画面に並ぶ。ボタン操作で本を選んだり、ページをめくったりする仕組みだ。今回は書籍に限定しているが、目的地別のガイドブックや音楽などもダウンロードすることが可能になるという。
 この日、第1号のモニターになった東京都荒川区の会社員石川泉さん(41)は「海外に行く時はいつも2、3冊は持っていくので助かる。旅行先の地図や会話なども見られればさらに良いと思う」。
 モニターの申し込みは新東京国際空港公団ホームページ(http://narita−airport.or.jp/airport/)へ。

 

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『朝日新聞』2003年09月11日
朝刊
19社、共同組織設立へ 「電子書籍」を世界標準文化に
 インターネットを通じて本や漫画の内容を専用の読書端末などに取り込んで読む「電子書籍」を世界中に普及させるため、東芝や松下電器産業、岩波書店など計19社が10日、共同組織「電子書籍ビジネスコンソーシアム」を10月1日に設立すると発表した。
 書籍のデジタル化技術や配信方法、販売網、端末機の開発などの研究や市場調査を共同で進める。
 共同組織は、特別顧問として評論家の立花隆氏と漫画家の里中満智子氏、元インテル(日本法人)会長の西岡郁夫氏を迎えた。今後、会員企業として新聞・出版社や書店、商社、電機メーカーなど国内外100〜200社の参加を見込む。電子書籍の品ぞろえの拡充や流通支援など国際的な普及活動に取り組み、「日本発の世界標準文化に発展させる」としている。

 

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『読売新聞』2003.09.11
「電子本」普及へ 市場拡大を目指し23社スクラム 
東京朝刊
 紙の代わりに電子端末で本を読む「電子書籍」の市場拡大を目指し、電機メーカーや出版社など計二十三社が十日、普及団体「電子書籍ビジネスコンソーシアム」を、十月に設立すると発表した。
 参加するのは松下電器産業、東芝、平凡社、岩波書店、大日本印刷などで、電機メーカーが発売する端末で読める書籍ソフトを、出版社が積極的に販売する。本格的な事業展開を目指した組織は初めてだ。
 松下電器は年内に新型の読書端末「Σ(シグマ)ブック」=写真は試作機=を発売し、全国の書店に、書籍ソフトのデータを有料で小型メモリーに記録する装置を設置する予定だ。加盟する出版社はこれに合わせて書籍ソフトの品ぞろえを充実させる。コンソーシアムによると、今年度の書籍ソフトの国内販売額は約十億円の見通しだが、二〇〇五年度には約二百億円に急成長すると試算している

 

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『朝日新聞』2003年10月04日
朝刊
ケータイ読書急増中 03年は電子書籍元年?(beReport)
 携帯電話で「本」を読む人が増えている。今年に入り、小説などを配信するサイトが続々できてきた。「ケータイの小さな画面で読書なんて」というのは未経験者の思いこみ。私も試してみたら、通勤電車などでちょっと読むのにちょうどいい。いつでもどこでも簡単読書だ。パソコンなどで本を読むのも当たり前になってきた。あとから振り返れば、2003年は「電子書籍元年だった」となるかもしれない。
 (森川敬子)
 「新潮ケータイ文庫」は新潮社が去年2月に開設した、初の携帯電話向け小説配信サイトだ。山本周五郎から赤川次郎さんら現代作家まで。常時20作ほどが読める。月100〜200円。会員数は右肩上がりで2万人を突破した。
 中でも人気なのは、書き下ろしの連載小説。毎日1200字程度が配信される。スタート時には直木賞作家乃南アサさんのホラー「あなた」、服部真澄さんの企業サスペンス「GMO」を載せた。
 「小説というものを初めて読みました」「ミステリーのおもしろさがわかりました」「乃南さんを初めて知りました」「横書きだから読みやすい」「次の展開を楽しみにしています」
 携帯で読書? 読みづらいだろう、という社内の多数の心配や懐疑をよそに、読者から次々とメールが届いた。
 中心は10〜30歳代の女性。本屋にほとんど行かないという人たち、本は持ち歩かないが携帯は肌身離さないという人たちが多いようだ。字の小ささ、たびたびダウンロードしなくてはならない手間などは気にならないらしい。
 「メールを読む習慣の延長にケータイ読書があるようだ」と、同社CAPセンターの村瀬拓男次長は話す。「本を読んでほしいと思っても届かなかった層に、作家との出会いの場を提供できている」
 ○サイトが続々と
 新潮社の成功に続けとばかりに、6月にシャープと携帯電話コンテンツ会社ミュージック・シーオー・ジェーピー(MCJ)がそれぞれサイトを開設。さらに8月には角川デジックスとバンダイネットワークスが共同でオープンした。いずれも会員数は若い女性を中心に急伸中だ。
 MCJは、週刊文春に連載中の中村うさぎさんのコラムを雑誌発行日に配信。角川書店は、11月に再創刊する文芸誌「野性時代」を同時に載せる。各サイトとも「紙とは違う読者獲得」をねらう。
 携帯に先駆けて95年に始まったパソコンや携帯情報端末(PDA)向けの電子書籍販売サイトには、NTTドコモや楽天なども参入。今年は販売点数が40〜60%伸びた。
 国内草分けの「パピレス」は月4万点が売れる。松井康子取締役は急成長の背景として、ブロードバンドなどが普及、パソコンの前に長い間座っている人が増えた、そのためパソコン画面上で文字を読むことが一般化した――などを挙げる。
 ○辞書は紙超える
 電子書籍の先輩格、電子辞書の売り上げ額は、もはや紙を超えたと言われている。
 業界トップのカシオ計算機によると、90年代に主な言葉だけを抜粋した1万円くらいのタイプが発売され、98年に通信販売でヒット。同じころ英和、国語辞典などを丸ごと収録した3万円前後のタイプが登場した。02年の市場規模は390億円、03年は440億円を見込む(図)。最近は百科、医学、法律事典も含み、30冊収録のタイプもある。
 辞書中心の出版社は危機感を強める。この10年で紙の市場は300億円から250億円に落ち込んだといわれる。デジタル情報出版部長でもある三省堂の荒井信之取締役は「電子辞書でも版権収入があるが、紙より利益率が低い。利益が出ないと、改訂さえできなくなってくる」と話す。
 去年から、高校入学時に学校の先生が生徒に推薦する辞書の中に、電子辞書が含まれるようになった。辞書は高校や大学入学時に買ったものをずっと使う傾向がある。「一生、紙の辞書を持たない世代が登場する」との心配から、出版社でつくる辞典協会は紙の辞書を薦めるパンフレットを作って高校に配っている。
 ◇出版社、重心移せるか
 急激に伸びているというものの、「電子書籍ビジネス調査報告書2003」(インプレス)によると電子書籍の売り上げは10億円程度にすぎない。出版は6年連続で縮小しているとはいえ2兆3千億円(図)にのぼる。電子はそのわずか0・04%だ。
 インプレスCMCC部の浜崎克司部長は「03年は倍以上が見込まれるが、PDAの普及は頭打ち。携帯電話でブレークするかどうか」という。
 大きなカギを握るのがコンテンツ、つまりどんな「本」を提供できるかだ。
 今のところ、パソコンで読めるのは、最大サイト「パピレス」でも1万5千点程度。携帯は2千点足らずである。
 そこには、作品を提供する側の大手出版社が重心を紙の本から移せないという事情がある。ケータイ文庫を開く新潮社さえもパソコン向けに売るのは原則絶版本に限っており、携帯はあくまでも雑誌と同じ連載媒体と位置づける。
 「読む機能は紙が勝る」とのスタンスは変わらない。電子書籍が本格的に普及すると、印刷会社も取り次ぎも営業担当もリストラされることになる、という恐れも抱く。
 とはいえ携帯電話の契約数は7822万台。無視できない存在なのは事実である。
 新潮社はケータイ文庫に書き下ろした乃南さんらの小説を5冊、紙でも出版した。売れ行きは上々、携帯には宣伝効果もあるとわかった。「今わずかでも電子の読者がいる以上、きちんと向かい合っておく必要はある」と同社CAPセンターの村瀬次長。
 角川書店書籍事業部の新名新(しん)・部長も「携帯の圧倒的な多さを利用しない手はない。どの媒体にも読者のニーズに合わせて面白いものを用意するのが出版社の役割」と話す。
 遅れてはならじとハードのメーカーも市場を注視する。松下電器産業が11月に発売する初の読書専用端末「シグマブック」は、見開きで本のイメージ通りの画面が特徴。同社は配信事業にも乗り出す。「文字媒体の電子化はさらに進むだろう。積極的に参入したい」と開発担当者。他社も近く専用端末を発表する。
 松下電器、東芝と出版、印刷会社など計19社と作家らが呼びかけ10月、「電子書籍ビジネスコンソーシアム」を発足した。世界での普及を目指し、技術や配信、販売などの研究や調査を進める共同組織だ。今後、100〜200社の参加が見込まれるという。
 <11月に「ブック革命」(日経BP社)を出す戸板女子短大の横山三四郎教授の話> 電子書籍普及の妨げだったハード面が大幅に改善され、03年は本が紙から解放された年だ。米国ではITバブル崩壊で勢いがなく、欧州はインフラ整備の段階。読書専用端末や高精細な液晶の携帯電話が開発されるなど、いま日本が一番元気で、世界のブック革命を牽引(けんいん)し始めたといえる。あとは面白いコンテンツが登場すればブレークするはず。拙著も今月から電子版で各章ごとに先行販売する。出版社の書籍製作過程は電子化されているから、今後の展開は早いだろう。
 <携帯電話向けサイト> 「新潮ケータイ文庫」(iモード、EZweb、Jスカイ)、「文庫読み放題」(iモード、EZweb)、「快読!ケータイbookクラブ」「電子書店パピレス」(EZweb)、「ケータイ電子書店」(Jスカイ)など。各サイトとも縦書きソフトを用意している。

 

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『読売新聞』2003.10.21
[選択する力・生きる力](6)教養を深める(連載)
東京朝刊
(略)
 ◆電子書籍、“革命”の予感 本屋も本棚もパソコン1
 本は文字が印刷された紙を読むもの、という常識が変わりつつある。電子書籍の存在だ。パソコンやPDA(携帯情報端末)、携帯電話があれば、インターネットで電子化されたデータを取り込み、いつでもどこでも、文学作品などを読むことができる。(経済部 金田浩幸)
 電子書籍をサイトで売るのが電子書店。国内最大の「パピレス」では、写真集からビジネス書まで約一万五千点が買える。
 「イーブック・イニシティブ・ジャパン」では、ファミリーレストランに置いた占いやゲームなどの娯楽(ごらく)専門端末でも、電子書籍の販売を開始。松下電器と共同で、電子書籍の専用端末「Σ(シグマ)ブック」も開発した
 Σブックは、パソコンなどで作品を取り込み、これを記録させメモリーカードを差し込んだ専用端末で読む仕組み。成田空港で海外旅行をする人に無料で貸し出し、使い勝手を確かめる実験を実施している。
 現在、国内で毎年、約七万点、七億数千万冊の本が出版されるが、その四割が返本されている。書店の店頭に並ぶのは半年程度。また、名作が絶版(ぜっぱん)になっている例も珍しくない。電子書籍のいい点は、本を置いておくスペースが必要なくなることだ。
 絶版になった過去の名作を復刊(ふっかん)させる動きもある。大手出版社十二社が協力し合う「電子文庫パブリ」では、主に品切れや絶版など、入手が難しい本をネット上で販売している。
 首都圏(しゅとけん)の会社員ら有志(ゆうし)が運営する「青空文庫」は、著作権(ちょさくけん)が切れた作品を中心に、ネット上で復刊した古典や過去の名作を無料で公開する「電子図書館」だ。ホームページで募集する「工作員」と呼ぶボランティアが、作品を電子化するための作業を担い、今では三千点を収録している。
 出版業界全体の売り上げ約二兆二千億円に対し、電子書籍の売り上げは現在、まだ十億円程度だが、大きな可能性は秘めていると言えるだろう。
 ◆「本が紙から解放された」、戸板女子短大・横山三四郎教授に聞く
 ジャーナリストで戸板(といた)女子短大教授の横山三四郎さん(61)(情報文明論)は、「電子書籍」がテーマの「ブック革命」という本をインターネットで販売中だ。この仕組みの将来性を聞いてみた。(社会保障部 安田武晴)
 日本では、一九九五年にパソコンやPDAで本をダウンロードできるサイト「電子書店パピレス」がスタート。NTTドコモやシャープも相次いで参入した。
 携帯電話向けには、新潮社が昨年、小説などを配信する「新潮ケータイ文庫」を開設。同じようなサイトが次々に現れた。メールをやりとりする感覚で本を買える手軽さが、活字離れの若い世代に受けているようだ。「Σブック」も近く発売され、他の大手も後を追う
 ソフト、ハード両面での産業界の動きは、電子書籍市場の将来性を痛感(つうかん)している証拠でもある。二〇〇三年はまさに、「本が紙から解放された年」なのだ。しかも、この分野では日本が世界をリードしている。見やすい大きな画面の携帯電話など、先端(せんたん)技術で勝っているからだ。今後五年から十年で、出版物の二割程度は電子書籍で販売されるようになるとの見方もある。
 中国から早くも、教科書代わりに使う「Σブック」十万台の注文がきているといわれる。教科書電子書籍になれば、調べものにも便利だ。空いた時間を、紙の本を読むことや漢字の書き取りにあてるなど、効率的で質の高い教育も可能ではないか。
 より豊かな文化的生活を送るために、電子書籍をうまく活用すべき時代が来たと言えるだろう。
 (「ブック革命」はhttp://www.nttdocomo.co.jp/p_s/mstage/book/で販売中。十一月には日経BP社から紙の本でも出版される)

 

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『読売新聞』2003.10.30
PDA、携帯で“読書” 電機メーカーと出版社の思惑一致電子書籍事業を強化
大阪朝刊
 ◆付加価値高めたい 電機/品切れ、絶版対策に 出版  
 電機メーカーや出版社が、情報端末(PDA)や携帯電話などの電子端末に小説などを配信する電子書籍事業を強化している。外出先に書籍を持ち歩く必要がない上、作品の種類も増えていることから人気が高まっており、電機メーカーは、サービスの拡充で電子端末の販売増につなげたい考えだ。
            (利根川 昌紀) 
                  ◇
 PDA「ザウルス」や携帯電話向けに、シャープが運営する「スペースタウンブックス」は、毎月のダウンロード件数が、前年の約一・五倍の約二万件と好調だ。十月には小学館の話題作を集めた「小学館eBOOKS」もスタートさせ、扱う書籍数を約六千四百冊(四十七社分)に増やした。二〇〇四年春までに一万冊にする計画だ。
 ソニーマーケティングは凸版印刷と組み、九月からPDA「クリエ」向けの電子書籍の販売を強化した。「凸版印刷が持つ多くの版権を生かして、クリエの利用者の拡大につなげたい」という。
 松下電器産業は、新型の読書端末「Σ(シグマ)ブック」を十一月をめどに売り出す。本のように見開いて使え、重さは約五百二十グラムインターネットの専用ページからメモリーカードにダウンロードし、Σブックに取り込んで読む。出版物の七割程度の価格で購入でき、一定の回数や時間分を読んだら、メモリーから消える仕組みのレンタル書籍も検討中だ
 電機メーカーには、電子端末の付加価値を高める狙いがある。出版社も「新たな読者層の開拓に加え、品切れや絶版対策など、多様な展開ができるようになる」(角川書店)と期待している。
 「将来は、液晶を使ったあらゆる製品で、それぞれの端末に合ったサービス提供を検討したい」(シャープ)といった声もあり、電子書籍市場のすそ野は今後も広がりそうだ。

 

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『読売新聞』2003.11.11
韓国語翻訳の日本マンガ、電子書籍として販売へ/住商など
東京朝刊
 住友商事は十日、電子書籍専門の販売会社イーブックイニシアティブジャパン(本社・東京都千代田区)と共同で、日本のマンガなどを韓国語に翻訳し、韓国のインターネット事業者を通じて販売する事業を来年度から始めると発表した。当初は約千作品をそろえ、価格は、単行本に比べて約三分の二の一冊二千ウォン(約二百円)程度にする。
 韓国はブロードバンド(高速大容量通信)の普及が進んでいる上、「ドラえもん」「銀河鉄道999」「キャンディキャンディ」など韓国語に翻訳された日本マンガの単行本がすでに浸透しているため、最初の事業化国とする。
 中国や米国などでも日本マンガの現地語版を電子販売する計画で、二〇〇八年度には三十億円の売り上げを目指す。

 

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『朝日新聞』2003年11月14日
朝刊
来春にも電子書籍を配信 ソニーなど15社
 ソニー、講談社、新潮社など15社は13日、電子書籍のデータを配信する会社「パブリッシングリンク」(東京都千代田区、資本金4億8750万円)を設立した、と発表した。来年春ソニーが1画面式の読書専用端末を発売し、事業を始める。
 新会社には岩波書店、大日本印刷、凸版印刷なども出資。社長は筑摩書房専務の松田哲夫氏(56)。出版社などが持つコンテンツ集めや配信業務を担う。
 有料会員制とし、会員はデータを同社のサイトからパソコンなどに取り込む。データは2カ月間有効で、その期間を過ぎると読めなくなる。
 電子書籍をめぐっては、松下電器が近く見開き2画面式の読書専用端末を発売する予定で、そのための「電子書籍ビジネスコンソーシアム」が松下、東芝や出版社によって先月、設立された。今後は両陣営が競う形になる。

 

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『朝日新聞』2003年11月14日
朝刊
松田哲夫さん 電子書籍の配信会社の社長に就任した編集者(ひと)
 「広告塔になれ、ということでしょうか」。トレードマークのひげに囲まれた口元がゆるんだ。ベストセラー「老人力」を生んだ筑摩書房の名物編集者。首都圏などで土曜に放送しているTBSの情報番組「王様のブランチ」では、話題の本の紹介役「哲ちゃん」として出演している。なじみのうすい電子書籍のかじ取り、PR役としてうってつけといえる。
 電子書籍の実験は4年前にあったが事業化には至らず、専用端末の市販もこれからだ。本の売れ行きへの心配もあり、出版社には電子書籍に対し模様眺めの雰囲気がある。「読書の機会を増やすことが、紙の本にも刺激を与える。紙で読むか、画面で読むか。選択の幅を広げることで、読者を増やしたいんです」
 学生時代に漫画雑誌「ガロ」の仕事を手伝い、筑摩書房に入社。社外の仕事を平気でやり、野坂昭如さんの選挙では事務局長も務めるやんちゃぶりだった。
 「編集の虫」の力を発揮、ちくま文庫や「ちくま文学の森」を成功させた。半面、同社の倒産を経験、創刊した雑誌は休刊と、平坦(へいたん)な道のりではなかった。
 「メールマガジンなどで紹介する電子書籍のメニューは、編集の腕の見せどころ。コンテンツの集め方、構成もまた編集。経験が生かせると思います」
 赤瀬川原平さんらと路上観察を続ける好奇心の塊でもある。「今回も社長であれ何であれ、とにかく首をつっこみたかった」と笑った。
 (文・宮崎健二 写真・水村孝)
   *
 まつだ・てつお 「筑摩の役職も続けます。紙と電子の共存をめざしていきたい」(56歳)

 

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『朝日新聞』2003年11月22日
夕刊
めざすは「紙」 液晶進化はてしなく、きめ細かさ印刷並みに
 パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、そして、薄型テレビ――いまやすっかり生活の中にとけ込んだ液晶画面。その発展は、一つひとつの分子を巧みに操るなど、目に見えない様々な技術を使った地道な改良のたまものだ。液晶画面の量産が始まって30年。液晶利用の最前線を見てみよう。(岩切勉)
 新鋭旅客機ボーイング777のコックピット。操縦席の前で、計器類が美しく光る。その画面は、ブラウン管ではなく、すべて液晶でできていた。
 旅客機にとっての魅力は軽さと低消費電力。
 「それに飛行機では安全が何よりも大事。最新技術よりも実績のある技術を使います」。日本航空シミュレーター管理室の田沼潔さんは、本物と同じ作りの訓練用コックピットを案内しながら付け加えた。液晶がコックピットの主役になれたのは、安定した技術として信頼を得た証しなのだ。
 液晶は情報機器の顔として発展してきた。米調査会社のディスプレイサーチによると、今年全世界で出荷されるパソコン用画面(ノート型を除く)の4割が液晶になる見通しだ。日本は9割以上を占める。
 その液晶の次の目標は、「どこまで紙に近づけるか」。いつでもどこでも見られる手軽さ、そして印刷のような美しさだ。
 松下電器産業のパナソニックシステムソリューションズがまもなく売り出す電子書籍端末「シグマブック」は手軽さを追求する。大きさは単行本サイズ。開くと文庫本より少し大きい2枚の液晶画面が現れる。
 サイボーグ009などのマンガを読んでみた。モノクロだがちらつかず、吹きだしも読みやすく、機械で読んでいる感じがしない。ページをめくったり、しおりを挟んだり、操作ボタンは五つだけ。本物の本をめくるより簡単だ。
 電源ボタンはない。最後にみたページが消えずに残るので、好きなときに続きが読める。書き換えるまで電力を使わずに表示を保つ「記憶型液晶」を用いている。また、外光を取り込み、液晶パネルの背面で反射させる反射型を使った。単3電池2本で、3〜6カ月は使えるという。
 印刷物に匹敵するきめ細かさを実現する技術のひとつに低温ポリシリコン技術がある。回路を高性能化でき、液晶を挟み込むガラス板上に周辺回路も作り込める。細かい配線を引き出す必要がなくなり、画面密度を高めることができる。
 この技術を用いた東芝松下ディスプレイテクノロジーの携帯電話用液晶は2・2型で7万6800画素。従来の2倍の情報量を表示でき、「きめ細かさはグラビア印刷並み」という。
 液晶分子は長さ2ナノメートル(ナノは10億分の1)程度しかない。産業技術総合研究所関西センターの清水洋さんは、「製品を作りあげるまでに、ナノテク(超微細技術)など様々な技術を組み合わせる。液晶は多彩な技術の結晶なのです」と強調した。
 ○二つの弱点、地道に克服
 家電量販店では、液晶テレビが人気の的だ。37型や40型の大型画面も登場し、ブラウン管の座を脅かしつつある。シャープの水嶋繁光ディスプレイ技術開発本部長は「ブラウン管と共に築かれてきた映像文化に液晶を近づけるには、二つの弱点克服が欠かせなかった」と振り返る。
 その一つが動画の表示。テレビは毎秒60回、画面を描き直す。ところが液晶は分子全体を動かすため、表示の切り替えに時間がかかる。スポーツ中継など動きの速い映像の表示には向かないとされてきた。
 弱点克服につながったのが、液晶に電圧を瞬間的に強めにかける技術。強い電圧が液晶の動き始めの反応を機敏にさせる仕組みだ。何もしないと25ミリ秒以上かかった画面の切り替えが、いまでは15ミリ秒以下に。毎秒60回の画面描写をこなせるレベルになった。
 もう一つの弱点は、視野角の狭さだった。
 テレビは家族が様々な方向から見る。ところが細長い形をした液晶分子は、見る角度によって姿が微妙に異なり、黒にしたいのに灰色に見えるなど、色や明るさが変わってしまった。
 これには、電圧をかける向きを調節する技術などが開発された。「たとえば液晶分子の傾きを花びらが四方八方に開くような形にするとか平面的に動かすことで、分子の姿がどこから見ても偏らないようになる」(東京工業大学・竹添秀男教授)という。かつて90度ほどだった視野角は、ほぼ真横に近い170度まで広がっている。

 

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『朝日新聞』2003年12月21日
朝刊
低価格本志向くっきり 2003出版界この1年
 4月創刊の新潮新書から生まれた大ヒット、『バカの壁』がはっきり示したのは、読者の低価格本志向だった。新書だけではない。『トリビアの泉』『ベラベラブック』『ダイエットSHINGO』『Deep Love』はいずれも千円札1枚で買える。中身と価格をはかりにかけてお得感のある本が選ばれた結果とみていいだろう。
 もう一つのミリオンセラー、『世界の中心で、愛をさけぶ』が象徴したのは、書店が火をつけてベストセラーに育てる動きだ。おすすめ本に店員の手書きのポップを立てる店が増えている。紀伊国屋書店ではこの年末、社員の投票をもとにおすすめ本に順位をつけて紹介した小冊子を作って配布している。
 全国の書店員が積極的に売りたい本に投票して大賞を決める「本屋大賞」も創設された。来年4月の発表に向けて、これまでに約300人がエントリーしたという。読者と日ごろ接している書店がこうしてやる気になることで、出版界は活気づく。
 書店といえば、一部で実施中のポイントサービスが問題化した。出版物はほとんどが定価販売であるため、値引きにあたり、再販契約に違反するというわけだ。反対派は出版社に中止させるようはたらきかけているが、「1〜2%ならいいのでは」という容認論もあり、膠着(こうちゃく)状態に。ポイントサービスがちまたにあふれている今、一般の人にはわかりにくい話だ。出版界が今後どんな読者サービスをしていくのかが問われている。
 来年に向けては、読書専用端末で本を読む電子書籍ビジネスがいよいよ動き始めた。メーカーでは松下とソニーが名乗りを上げたが、出版社側には、静観する雰囲気も根強い。端末の価格も含め課題は少なくないが、結果はどう出るだろうか。
 そして、お待ちかねの「ハリー・ポッター」シリーズ最新巻、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の日本語版の発売日が、来年9月1日と決まった。出版科学研究所によると、今年1〜10月の出版物の推定販売額は前年同期比3・2%減で、7年連続の前年割れが確実だ。またしても「ハリ・ポタ頼み」になりそうな04年の幕がまもなく上がる。
 (宮崎健二)


*作成:植村 要
UP: 20100706  REV:
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