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電子書籍 1998

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■新聞記事



『朝日新聞』1998年01月31日
夕刊
軽量多機能競う電子辞書 うろ覚えでも大丈夫、発音聞くことも可能
 マメな人は別にして、辞書を引くには、思いのほかエネルギーがいります。そんな人のために、英和、和英、国語辞典など各種の辞書のデータを丸ごと収録しながら、携帯にも便利で容易に引ける商品の開発に、電子機器メーカーがしのぎを削っています。「辞書を引いて覚える」作業が身近なものになるといいのですが。
 (渡辺のぼる^)
 電子辞書は現在、五十種類ほどある。何冊もの辞書を丸ごと入れた現在のようなタイプが初めて登場したのは一九九一年、セイコーインスツルメンツの製品だ。その後、カシオ計算機やキヤノンなどが機能を広げ、「ここ数年、市場は年二、三割ずつ拡大してきた。九八年度には二百億円に達する勢い」(セイコー)と、各社とも強気の読みをしている。
 業界によると、電子手帳派には徐々に元の紙の手帳に戻る傾向が見られるのに対し、電子辞書派はいったん手にすると定着率が高いそうだ。電子辞書は表のようにIC型と電子ブック型に大別される。前者は辞書の専用機。これに対して後者は汎用(はんよう)機で、CD−ROMのソフトを交換すれば、音楽の再生やゲームなど他の目的にも利用できる。辞書の中身は英和と和英を基本とし、これに国語の辞書などを組み合わせている。
 最大の特徴はコンパクトさ。セイコーの「TR−9700」を例にとると、手のひらに乗る大きさで重さは二百十五グラム。紙の辞書にして四冊、計四・七キロ分が収まっている。
 次に検索機能。知りたい語句を入力すれば、ページを繰る手間がほとんどかからない。しかも、訳語や句例の中に未知の英単語がある時に、連続してその単語を引いたり、元に戻ったりの操作が自在にできる。主な製品についている「ジャンプ機能」で、英和と和英など辞書間の行き来もワンタッチで可能だ。
 さらに成句の検索機能も電子辞書ならでは。例えば「ON」と「TIME」を使った慣用句を知りたい、と入力すれば、瞬時に答えが画面に表示される。国語も同様で、「星」や「犬」など任意の言葉を使った慣用句が難なく引き出せる。
 英単語のつづりがあいまいだと、紙の辞書を引くのは難しい。が、この場合も、とりあえず適当に入力すると、スペルチェック機能が働いて正しいつづりを教えてくれる。ワニを「KROKODIL」と入力すれば、「CROCODILE」と正解がわかる仕組みだ。カシオの「XD−300」には英会話の音声機能、ソニーの「DD−300」でウグイスを引けば鳴き声まで聞ける。
 むろん、紙の辞書に及ばない点も少なくない。電池が切れると動かないし、値段が高い。紙のページを広げるのと違って一覧性に乏しく、多くの意味を持つ単語だと末尾を見るのが大変だ。
 千葉県八日市場市の県立匝瑳(そうさ)高校の英語科は、九六年度の新入生から電子辞書を使っている。中池宏行先生は「私自身、辞書を引くだけで勉強時間のかなりをさいてきた。その手間がいらない。一度引いた単語を記憶しているので、忘れてもワンタッチで呼び出せる。キーを押すことでつづりを覚える効果もある」とその利点をあげる。
 プロの通訳者の必需品にもなりつつある。重い辞書を何冊も抱えて海外に出かけなくてもいいからだ。ただ自宅で勉強する時は、紙の辞書との併用をすすめる声が多い。引いた単語の意味や用例が豊富になるだけでなく、前後の関連用語も自然に目に入る利点が大きいという。
 <電子辞書の例>
(表、略)

 

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『読売新聞』1998.03.17
[情報革命はいま]進化するデジタル社会 電子出版 読みたい本、いつでも
東京朝刊
 ◆インターネットで24時間OK 古典や新作発表の場にも 短編集は一編100円で
 読みたい本が二十四時間いつでもインターネットで読むことができる。こんな本好きの夢を実現する電子出版がようやく活気づいてきた。電子書店とデジタル化した書籍が増えているほか、著名な作家がいきなり電子出版で作品を発表したり、電子出版を前提とする新しいスタイルの文学賞が創設されるなど、すそ野も拡大しつつある。本が売れなくなり、紙の出版文化そのものが曲がり角にきている背景もあり、電子出版の存在はますます大きくなりそうだ。
                 (メディア企画局・高津康文、多和田元)
 インターネット上に店を構える電子書店の老舗(しにせ)、「パピレス」は、ひと月に一万二千冊の電子本が売れている。設立から三年で、年間売上高は一億二千万円に達する見通し。「ようやく利益がではじめてきた」とフジオンラインシステム社の天谷幹夫代表取締役は顔をほころばせる。
 電子本は、文学作品から、ミステリー、SF、時代小説、写真集まで七百七十点あり、一冊の平均単価は七百円。また、短編集は一編ずつ百円でばら売りするなど紙ではできない売り方をしている。「お客さんは若い男性が多いが、インターネットで女性の利用者が増えているので、料理など女性向けの本も増やしていきたい」という。
 NTTプリンテックは、来月から電子出版商店街「インフォケット」による電子出版サービスを本格的に始める。昨年から実験運用しており、すでに電子書籍や雑誌記事、新聞の連載記事など四千点以上の電子出版物がある。また、電子出版の認知度を高めるため、「インターネット文芸新人賞」を創設し、有望な書き手を発掘して、作品を電子出版していく。
 ボランティアが著作権の保護期間が過ぎた古典小説などをデジタル化し、無料で読める電子図書館が「青空文庫」だ。有志数人が集まって昨年七月にスタート、これまでに「土佐日記」などの古典や、森鴎外などの文豪から一部の現役作家の著作まで約八十点を収録、一日数千件のアクセスがある。「手に入らなくなった絶版本や自費出版の本などがだれでも無料で読める。草の根的に電子化運動を進めたい」とメンバーの野口英司さん。
 昨年四月に有料サービスをはじめた「honya」は、入手不能な良書をデジタル化でよみがえらせて提供するほか、作品を世の中に出したい人に発表の場を提供する。値段は著者が自分で決めるが、ユニークなのは、読み終えてから読者がお金を払うかどうかを決める作品もあること。「書き手と読み手が交流する二十一世紀の本屋をめざしたい」(泉博史プロジェクトリーダー)という。
 いずれも、無味乾燥なテキストだけでなく、文字を肉厚の文字で縦書きやルビ付きで画面表示し、ページをめくるようにして読むエキスパンドブック形式や、本のレイアウトをそのまま表示できる電子文書方式のPDF形式など本格的な電子本も取りそろえ、新しい出版文化を花咲かせようとしている。
 ◇アドレス一覧
 パピレス http://www.papy.co.jp
 honya  http://www.honya.co.jp
 青空文庫 http://www.voyager.co.jp/aozora
 インフォケット http://www.infoket.or.jp
 村上龍氏のホームページ http://www.t‐decadence.com
 ◆魅力、品切れ絶版なし 版権など課題も山積
 「必要な時、必要な人に、必要な情報を簡単に送り届ける技術が電子出版の本質だ。行き詰まった現在の本の流通システムを打破するために、これを救世主にしないと出版文化そのものがだめになってしまう」
 のっけから出版界の現状について厳しい意見を披歴するのは日本電子出版協会の長谷川秀記会長だ。
 同会長が「行き詰まった」と指摘する出版界は、この二十年、書籍の雑誌化が進み、いまや流通の70%を雑誌が占めるまでになった。雑誌は、すぐに売り切ってしまわないと損をする生鮮食品のような商品。
 この結果「書店もすぐに売れる本でないと置いてくれなくなっている」という。
 この売れるか売れないかの判断は、大型書店に一週間置いての読者の反応で決まる。その結果で売れるとわかった本しか流通ルートに乗って流れてこない。それでも昨年夏から返本率は四割を超え、返本された本はあっという間に裁断されて紙くずになってしまっている。
 「多くの人に読んでもらう価値のある良書に出合うことが年々難しくなっている」というのは古瀬幸広・立教大学社会学部助教授。「多様な意見が存在すること、それぞれにだれもがアクセス可能であることが民主主義の条件であり、売れる本しか選択権がなくなるのは民主主義の危機だ」とまで言い切る。
 これに対しネットワーク型の電子出版は、印刷代や紙代がいらず、経営を圧迫する在庫もない。読者からすれば、品切れや絶版がなくなり、いつでもほしい本が手に入るメリットがある。
 だが、その電子出版も課題は山積している。「既存の本を電子出版にする際、写真やイラストの版権処理が難しく、思うように出版点数を増やせない」(高橋幸男・NTTプリンテック電子メディア開発本部副本部長)ほか、パソコンで表示できない漢字の問題やモニター画面で字を読むと目が疲れやすいことなどだ。そしてなによりも普及の妨げになっているのは読者が持つ本そのものへの根強い愛着だ。
 「ここ数年電子本の世界は確実に広がってきており、パソコンや画面で文字を読むソフトウエアなどがもっと成熟すれば、大きな変化が起きる」と分析するのは津野海太郎・晶文社取締役。
 長谷川会長も、「人は便利なものに流れる。一見強固な習慣に見えてもいとも簡単に変わった例は多い」と予言する。

 ◇作家・村上龍氏に聞く
 ◆読者と生のやりとり 字数や配置に試行錯誤
 坂本龍一(作曲家)の勧めで電子メールを始めたのがきっかけで、ホームページに作品を発表しはじめた。
 制作費がかかっていることもあり、最初から“課金”を考えていた。作品を発表する時に無料だったら、批評の対象にならないからだ
 ページには、読者からの感想などが電子メールで寄せられている。また、読者のページの一つが、半ばオフィシャルサイトのようになっていて、そこではこれまで経験できなかった読者との生のやりとりが続いている。ネットというのはそれが効率的に行えるメディアだ。
 ページに発表した作品は読者がダウンロードすることが可能だが、著作権問題についてはやり方があると思う。小説なら、本と同じように印税を払うということも可能だ。
 実際に自分で作品をアップする際、モニターなどを見ると、横書きの日本語を読むというのはこれまであまり考えられていないことだという感が深い。どの字数で、どういう配置が読みやすいかといったようなことを試行錯誤してやっている。電子出版の可能性は将来、広がると思う。これから書こうという若い作家にとっては発表の場が増える。ただ、ページをめくる楽しみというものもあるし、本はなくならないと思う。
 電子出版という新しいメディアが、これからは小説の側を選別したり、淘汰(とうた)するといったことが起こるかもしれない。つまらないものや、クオリティーの低いものは消えるだろう。その時に自分としてはやはり生き残りたいし、そのためにももっとノウハウを増やしておきたい。

 ◇「インターネット文芸新人賞」選考委員座談会
 電子出版を普及させるため創設された「インターネット文芸新人賞」(NTTプリンテック、読売新聞社主催)。印刷メディアとは異なる角度から文芸に優れた才能の発掘を目指す新しい試みについて、選考委員三氏に聞いた。
 司会 新人賞になにを期待するか。
 阿刀田 思いがけないところで才能を探すことに関心がある。現に高村薫さんとか宮部みゆきさんらは「パソコンのような手段がなければ小説を書かなかっただろう」と話している。
 大原 新しさにふりまわされながら作ったものは、洗練されていない悪趣味なものが多いかもしれないが、私はインターネットの世界にいる新しもの好きの活力に期待したい。
 島田 インターネットという工業として始まったものが、文芸新人賞のような契機を経てアートに進化するかどうかに興味を持っている。一方で、編集者などがクオリティーチェックを行うことによって質的に保たれてきた出版が、その枠がはずされた時にどうなるのかということが憂慮される。
 ◆音や画像の組み合わせも
 司会 デジタルの世界には映像や音声などがある。これを生かして新しい形態の作品も可能か。
 島田 表現手段を文字に限定して考える必要はない。音声なり画像なりと組み合わせた作品が現れてこないとも限らないし、実のところ、それをひそかに期待している。
 ◆言葉の表現、こだわり続く
 大原 新しいメディアがあるのだから、それを使った表現が出てくるのは当然のことで、小説は、コンピューターを使った現代アートの一種に変化してゆくのかもしれない。ただ、私自身は言葉の表現にこだわっていきたいし、この新人賞も、従来の小説という形式からそれほど大きく逸脱したものにはならないだろう。
 司会 作品はモニター画面で読むことを前提としているが。
 阿刀田 (この新人賞は)五百枚まで上限を設けているが、そうするとそれはスクリーンで読むのはちょっとつらいだろう。だから最終的には良いものは本にしたような形で残しておかないと。
 大原 一年で日本の国土の半分にもあたる森林を世界で食いつぶしている現状を考えれば、紙メディアから電子メディアへシフトしてゆくのは、世界的な流れだ。現状では、PDF形式が画面上で読むのに最も適しているだろう。この形式がどれほど発展してくれるかが、小説という表現形式が電子メディア上で生き残れるかどうかの境目になると思う。
 ◆横書きは慣れの問題
 司会 パソコンでは多くが横書きだが、横書きは日本の小説になじむのか。
 阿刀田 私はやっぱり小説は縦書きで読みたい気がするが、それはある意味では慣れの問題だろう。
 司会 本は、装丁や字のサイズなどを決めたりというところにも良さがあると思うが。
 島田 パソコンでも自在にレイアウトが出来る。例えば、手書きのものを画像として取り込んで、画像ファイルとして送ってくるようなものが出てきたら、インターネットだけど手書き、ということも出来るかもしれない。極端に言えば、この新人賞はそうした事故やアクシデントなども含めて、なるべくトラブルが起きた方が成功じゃないかと思う。
      ◇
 この座談会の詳細は十九日からインターネットの「ヨミウリ・オン・ライン(http://www.yomiuri.co.jp)」に掲載します。
 また、村上龍氏のインタビューの詳細も「ビット・バイ・ビット(http://www.yomiuri.co.jp/bitbybit/home.htm)」でご覧いただけます。

 ◇インターネット文芸新人賞の応募要項
 【募集作品】ミステリー、SF等のエンターテインメント系の作品を基本としますが特にジャンルを限定しません。400字詰め原稿用紙に換算して500枚以内。
 【賞金】最優秀賞100万円(1人)、入選10万円(若干名)。
 【応募受け付けと発表】6月1日から30日まで、原則として電子メール(bungei@nttprintec.co.jp)で受け付けます。発表は10月中旬の予定。
 問い合わせは、インターネット文芸新人賞事務局=電話03・5354・1123へ。

 

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『朝日新聞』1998年03月28日
朝刊
電子ブック「知恵蔵98」発売中<社告>
 朝日現代用語事典『知恵蔵』を電子ブック(八センチCD−ROM)に加工しました。本体のほぼすべてと、付録の『全国シティーデータ』『朝日新聞週間報告』、および項目関連の新聞記事をテキストで千六百五十本収録、さらに文化放送が一九九七年末に放送した、回顧番組『マイクの一年』を音声で収録してあり、一年間を音声と写真で振り返ることができます。電子ブックプレーヤーのほか、パソコン(ウィンドウズ、マッキントッシュ)でも、電子ブック検索ソフトがあれば使えます。
 本体価格五千百円(税別)。お求めはお近くの書店、電器店、ASA(朝日新聞販売所)、インターネットhttp://opendoors.asahi−np.co.jp/でどうぞ。

 

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『朝日新聞』1998年07月03日
朝刊
衛星使い「電子書籍」 端末で受信、読書 2年後の事業化目指す
 二十一世紀の本は空から降ってくる−−講談社などの出版社が家電メーカーなどと共同で通信衛星を使った「電子書籍」の開発に取り組むことになり、出版社向けの初めての説明会が二日、東京都内で開かれた。本の物流をなくしてデータだけを運ぶ全く新しい「書籍」で、二年後の事業化を目指す。

 電子書籍は、通信衛星に打ち上げたデータを書店やコンビニエンスストアに設置された端末で受信、読者はそこから高密度のミニディスク(MD)などに読みたいデータ(有料)を取り込み、手元の読書専用端末=写真は模型=で読む、という仕組み。
 読書専用端末は単行本ほどの大きさで、MDなどを差し込んで使う。開くと新書判の大きさのモノクロの液晶画面が現れ、簡単な操作でページをめくるように読むことができる。
 CD−ROMなど従来の電子本は画面の文字の見づらさが指摘されており、売れ行きも芳しくない。
 メーカーが試作した端末画面では、漫画の吹き出しのルビがはっきり読めるほどの高い精細度を実現するめどが立ったという。価格は一台五万−六万円を目標にしている。
 出版社にとって電子書籍は、紙代や印刷代、在庫の倉庫代などがかからないのが利点。そのため、データの打ち上げ費用や衛星の使用料を見込んでも、紙の本の半分程度の価格にできる見通しという。
 今後二年間かけて百億円規模の実験をする予定で、その主体となる団体「電子書籍コンソーシアム」(仮称)を近く発足させる。
 すでに角川書店、集英社など出版社十数社と大手コンビニのローソンなどが名乗りをあげており、今後、書店、取次会社、家電メーカー、通信会社にも広く参加を呼びかける。

 

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『朝日新聞』1998年07月08日
夕刊
出版社主導の「電子書籍」 「本の過疎地」の解消なるか(単眼複眼)
 通信衛星でデータを飛ばし、本に近い形態の読書専用端末で読むという「電子書籍」が、話題を呼んでいる。この構想の特徴は、出版社が主導している点だ。これまでの電子本は、メーカーが開発したハードに合わせて出版社がソフトをつくるという形だった。
 「電子書籍」の呼びかけ人の一人、鈴木雄介・小学館インターメディア部次長は「コンピューターはもともと計算機。パソコンを使って本を読むことには無理があるのではないか、という反省から生まれた構想です」という。使い勝手の悪かった電子本を出版物本来の姿に引き戻し、本来の読書により近い感覚で、という発想だ。
 九月から始まる実験の主体となる「電子書籍コンソーシアム」(仮称)には、小学館のほか、講談社、角川書店、集英社、文芸春秋、中央公論社、日本交通公社、主婦の友社、日本文芸社、日本放送出版協会、徳間書店、旺文社、日経BP、出版ニュース社などが参加を表明している。
 二日には、日本書籍出版協会の電子出版委員会のメンバーのうち三十五社を対象に、説明会が開かれた。今後も出版各社へ参加を呼びかけることにしており、最終的には百社近くを目標にしているという。関係者は、書店、取次会社も含め、出版界をあげて取り組みたい考えだ。
 この構想が実現すると、近くに書店も図書館もない「本の過疎地」に住む人や、入院中で書店に足を運べない人などが、とりわけ恩恵をこうむることになりそうだ。鈴木さんは「衛星からのデータを受信する情報端末は、たとえば地方では農協に設置してもいいし、病院の待合室に置いてもらってもいい」と話す。
 最大の課題は読書専用端末の価格だろう。一台五、六万円をめざしているが、この価格では端末を買ってまで電子書籍を読む人は限られてしまうおそれがある。物流コストがかからないから、電子書籍の価格は紙の本の半分程度にできるという見通しがあるだけに、安価な端末の開発がこの構想のカギとなりそうだ。
 不況にあえぐ出版界から久々に出てきた夢のある話題。花開くかどうかは、二年間の実験にかかっている。(健)

 

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『朝日新聞』1998年08月30日
朝刊
タイム誌など電子配信に 米タイム・ワーナー
 【ニューヨーク28日=共同】米タイム・ワーナーの出版部門タイムは二十八日、タイム、フォーチュンなどの雑誌を、携帯型の電子ブックなどを媒体とするデジタル配信に順次切り替える方針を明らかにした。
 計画によると、電子配信の受け皿として雑誌を読む感覚でページが繰れる電子ブックを一定期間以上の購読者に無料または低価格で配布。受信料を紙媒体より割安に設定して電子媒体へ転換するよう誘導する。

 

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『読売新聞』1998.09.13
[出版情報]電子書籍「ROM BOX」の新シリーズが発刊
東京朝刊
 CD―ROMとカラーブックレットを一冊にした電子書籍『ROM BOX』シリーズがエクスメディアから発刊された。第一弾は、『最高のオンラインソフトを知る・使う Best1000』(2400円)で、インターネット上で流通しているウィンドウズ用ソフトを千本厳選、CD―ROMに収録し、詳細な解説本を付けた。初心者にはダウンロードの手間が省けてありがたい。また、『最高の料理を食べる・つくる パスタ編』と『同 カレー編』(いずれも2400円)も同社から刊行され、レシピとレストラン案内をCD―ROMに収めている。

 

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『読売新聞』1998.09.30
「電子書籍」実験スタート 通信衛星でデータ配信、大手出版社など来月から
東京朝刊
 本のデータを通信衛星で配信する大規模な実験プロジェクトが始まる。大手出版社を中心に来月初めに結成される「電子書籍コンソーシアム」で、紙の本が必然的に抱える返品・絶版などの問題を解決し、読者が読みたい本をすぐ読める「ブック・オン・デマンド」の実現を目指している。
 コンソーシアムは、小学館、角川書店、講談社といった大手出版社や、シャープ、日立などの電機メーカーを発起人に、約八十社の参加が見込まれている。実験期間は一年半を予定、その後、参加企業を中心に共同出資して事業化する。
 実験では、書籍を「コンテンツ制作センター」で電子データ化し、「配信センター」に蓄積。読者の要求に応じ、通信衛星やインターネットなどを通じて配信する。配信センターは課金・決済処理も行う。読者は書店やコンビニなどに置かれた情報キオスク端末でデータを検索・購入し、手持ちの読書端末で読むことになる。
 全国出版協会・出版科学研究所の調査によると、昨年の流通総量は書籍約十五億冊、雑誌約五十二億冊だが、返品率は書籍で39・3%、雑誌は過去最悪の29・5%に達した。「出版社は一割は断裁されると見込んで生産せざるを得ない」(栗原幸治・同研究所長)という状況だ。
 電子書籍は、こうした流通のあり方を大きく変える可能性がある。プロジェクトを呼びかけた小学館の鈴木雄介・インター・メディア部次長は「電子書籍は断裁で資源を無駄にすることもない。在庫の必要もないので、絶版という“本の死亡宣告”をしなくて済む」と強調している
 もちろん、課題も多い。読書端末の価格は五、六万円を上限とする方針だが、普及には低価格化の実現が不可欠だ。漢字不足を招く文字コード問題にも対応が迫られる。著作権料・印税の扱いについては、作家も含めた協議会を設けて検討するという。
 米国でも来月から雑誌「タイム」が衛星配信の実験に取り組むと発表しており、日米で同時に電子出版の試みがスタートすることになる。(大和太郎)

 

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『朝日新聞』1998年10月03日
朝刊
「電子書籍」の実験団体発足 出版・新聞社など参加
 衛星を使ってデータを飛ばし、携帯可能な見開きの読書端末で読むという新時代の本のシステム「電子書籍」の実験主体となる「電子書籍コンソーシアム」が二日、発足した。今後、読書端末の基本機能の標準化や著作権処理問題を検討する。来年春から配信システムの実験に取り組み、来年秋の商用開始を目指す。
 この日までに参加したのは約百三十社で、講談社、小学館、文芸春秋、角川書店などの出版社が半数近く。出版部門をもつ朝日、毎日、日本経済の各新聞社も加わった。書店の丸善、紀伊国屋書店、コンビニエンスストアのローソン、家電メーカーのシャープ、ソニーに、NTT、電通なども名を連ねている。設立総会では代表に佐藤政次・オーム社社長が選ばれた。

 

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『朝日新聞』1998年10月08日
朝刊
「ネットで読書」へ提携 シャープ、米企業と 【大阪】
 シャープは7日、電子化された書物をインターネットを通じて読むことができる電子ブックの端末の開発を進めるため、米国で電子ブック事業の構築に取り組んでいるベンチャー企業と提携した、と発表した。電子ブックが年末にも実用化される欧米市場向けの端末を開発するが、来年3月から実験が始まる日本市場での実用化をにらみ、ノウハウを吸収し他社に先行する狙いも込められている。
 シャープが提携したのは、米大手書籍チェーンなどが出資して1997年4月に設立したヌーボメディア社(本社・カリフォルニア州)。同社は今年9月に、電子ブックの実験を始めており、今年のクリスマス商戦に向けて実用化を計画している。
 電子ブックは、出版社が電子化しデジタル情報で収録した書籍を、インターネットを通じて買った消費者が、端末で読む仕組み。印刷費がかからないことなどから、本より安く、出版社にとっても返本がないなどの利点がある。
 米国の実験で使われている端末の大きさはA5判程度、重さ約600グラムで、一度にペーパーバック15冊前後を収録できる。シャープはより小さくて軽く、高性能の端末開発に取り組む。

 

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『読売新聞』1998.10.08
シャープが電子書籍販売へ事業提携 米のベンチャー企業と
大阪朝刊
 シャープは七日、アメリカのベンチャー企業「ヌーボメディア社」(カリフォルニア州)と、携帯情報機器に小説など本の中身を呼び出して読書する「電子書籍」で事業提携したと発表した。
 提携の内容は〈1〉大画面だが携帯性に優れた機器を開発する〈2〉電子書籍の中身を、インターネットを通して配信するシステムを作る〈3〉欧米市場で協力してマーケティング活動する――の三点となっている。シャープが機器を開発し、ヌーボメディアがインターネット配信システムを担当する。
 アメリカでは、今年九月からヌーボメディアが出版社と共同で電子書籍の実用化に向けた実験を始めており、年末から販売を始める計画だ。シャープは「来年のクリスマス商戦までには、現在実験に使っている機器より軽く、画質も良い次世代機を発売したい」と話している。
 電子書籍は電子記録媒体に小説などを収録し、これを専用の表示装置で呼び出して「読書」するシステムだ。一台の機器に数冊分が収められる。現在の書籍と違って搬送する手間がかからず、在庫も抱えないですむ。日本でも、出版社や電機、NTTが協力して一九九九年春から電子書籍の実験を始め、実用化を目指している。しかし、書籍の流通網が外国に比べて複雑で中小業者も多いことなどから取り組みは遅れており、実用化にはまだ時間がかかると見られる。

 

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『読売新聞』1998.10.12
書籍を電子化ネットで提供 出版界の試みに注目
東京夕刊
 衛星通信を利用して、電子化した書籍を読者に提供する「ブック・オン・デマンド」システムの実用化を検討する「電子書籍コンソーシアム」の設立総会が、このたび開かれた。不況に悩む出版界が新たなビジネス分野の開拓に本格的に乗り出したわけだが、電子化は書籍の永久保存が可能になるなど、新しい出版文化の形態としても期待される。
 同システムでは、各出版社が電子データ化した書籍を配信センターに蓄積し、インターネットを通じて読者に直接配信したり、書店やコンビニでデータを収めたディスクを販売する。ディスクは専用の読書端末で読むことができる。
 コンソーシアムには、講談社、小学館など大手出版社のほか、電機メーカーや印刷会社など、現段階で計約百三十社が参加。今後、著作権処理など幾つかの課題を各部会で検討、来春プレ実験を行い、秋には読書端末を販売し実用化に入る予定だ。
 作品を書籍の形で流通させるには、紙代や印刷代がかかるが、電子書籍はこれらのコストをゼロ近くまで削減することができる。端末の購入費がかかるものの、書籍代は印刷より格安になる見込み。電子化する書籍の選択は各出版社の主体性に任されるが、小学館の鈴木雄介・インター・メディア部次長は、「ベストセラーをお願いするようなこともあるかもしれない」と話しており、ビジネス面での成果に期待がかかる。
 一方、電子書籍の流通は“本の死”ともいえる「絶版」の解消に結びつく。長引く不況の影響をまともに受け、昨年は書籍の返品率が40%近くにまで達し、今年に入っても高いレベルで推移している。返品が増えれば、保管するための倉庫が不足し、需要の少ない書籍は断裁せざるをえない。文化的使命と経済原則にはさまれ、出版社にとって頭の痛いところだった
 鈴木次長は「本は八十年前に書かれたものも現役の商品として生き続けている。電子化できれば、一年に一冊しか売れなくても保存が可能になる。単なる新しいビジネスとしてだけでなく、出版文化を変えていく方法論として考えていきたい」と話す。
 とはいえ、関係者の間では、電子書籍が五百年の歴史を持つ印刷メディアに一挙にとってかわるとは考えられていない。むしろ、CD―ROMを始めとする電子書籍の売り上げが伸び悩んでいるだけに、楽観視できないのが実情だろう。
 当面は印刷文化と電子文化はいかに共存できるか、という課題にどんな答えが出されるかに注目していきたい。(近)

 

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『朝日新聞』1998年12月21日
朝刊
“電子歳時記”が誕生(風信
 「ホトトギス新歳時記」の電子ブック版が発売された。季題・傍題五千七百、例句一万六千を収め、季題、上・中・下句、作者・月・季節などで引くことができる。類句の検索にも便利。稲畑汀子編。辞書(「辞林21」)も入っている。(三省堂、五六〇〇円)


*作成:植村 要
UP: 20100706  REV:
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