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電子書籍 1996

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■新聞記事



『読売新聞』1996.03.27
百科事典のCD―ROM人気が沸騰 小学館とソニーが開発
東京朝刊
 百科事典の全データを八センチCD―ROM一枚に収録した「電子ブック版日本大百科全書」が、発売元をも驚かせる勢いで売り上げをのばしている。
 同ソフトは、八六年発売の「日本大百科全書」(小学館刊)をもとに、小学館とソニーが共同開発したもの。話題性は十分だが、電子ブックプレーヤー付きで八万円と高価なことから、売り上げ面では疑問符がつけられていた。ところが、今月一日の初期出荷分は予約だけで完売。その後も注文が殺到して、品不足が続いており、「三月末に予約された方でも、手に入るのは六月過ぎ」(書店関係者)という状態だ。
 同ソフトを企画した小学館インター・メディア部では、「発売二週間で、書店だけで、一万本を超した。他に電器店ルートでもかなり売れている。定価八万円の書籍と考えれば驚異的な売り上げ。流通関係には品不足のおわびを流しました」という。
 人気の秘密は携帯性にありそう。気軽に持ち歩いて、十三万項目を自由に検索できることがうけたらしい。
 「二十六巻で重さ六十キロの事典が、プレーヤー込みで五百グラムになるのだから持ち運びは簡単。文字どおりの“歩く百科事典”になれます。元の百科全書は、著者六千人の大事業だった。CD―ROMで再生することができて本当にうれしいです」(鈴木雄介・小学館インター・メディア部次長)という。(好

 

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『朝日新聞』1996年04月16日
朝刊
電子ブック版「知恵蔵96」きょう発売<社告>
 書籍版の『知恵蔵』本体および付録の「エブリデイ・ヒストリー」に加えて、用語に関連する朝日新聞記事を二千四百本収録、画面でお読みいただけます。
 また、音声の機能を活用して、文化放送の年末番組「マイクの一年」(報道編30分、スポーツ編30分)を収録、写真と合わせて放送を聞き、九五年を振り返ることができます。
 この電子ブック(八センチCD―ROM)は、専用の電子ブックプレーヤーのほか、市販の電子ブック検索ソフトがあれば、パソコン(ウィンドウズ、マッキントッシュ)でも見られます。定価五千二百円(税込み)。

 

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『朝日新聞』1996年04月21日
朝刊
進むか、百科事典の電子化(本・流)
 百科事典の電子化が一気に進もうとしている。先月、小学館が「日本大百科全書」の電子ブック版を八万円で発売したのに続き、五年前からCD−ROM版を出してきた平凡社が、ウィンドウズ95対応の「世界大百科事典」を発売するにあたり、従来の半額近い十四万五千円に値下げしたからだ。
 小学館は、月産二千セットでスタートしたものの、とても追いつかない状態。平凡社は、既発のMS−DOS版、ウィンドウズ3.1版合わせて五年間で約二千セットだったが、今回、都立高校から六百セットの注文が一度に入るなど、出足は好調だ。
 この現象について、平凡社の龍沢武編集局長は「電子出版の時代が来ると以前から言われてきたが、わが国ではハードが掛け声ほど浸透してなかった。ところが、ウィンドウズ95が発売された昨年、電子メディアをめぐる環境が一段階進んだ。その先陣を切るのが百科事典だ」と説明する。
 両社の購買層は若干異なる。平凡社はどちらかといえば、パソコンは扱えるが、百科事典に縁の薄かった三十代以下をターゲットにしているのに対し、小学館は、操作が簡単なプレーヤーが付いているため、パソコンが苦手な四十代以上の男性からの反響が多い。
 小学館インター・メディア部の鈴木雄介次長は「彼らは書籍の感覚で買っている。我々は『電子出版の時代』などと言い過ぎたようだ。従来と同じように書店で手に取って選んだり、家で気軽に読んだりできるような電子化を進めていきたい」と話している。(飛)

 

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『読売新聞』1996.05.01
[サイバー・トーク]長谷川秀記氏 意外に快適、寝床の電子ブック
東京朝刊
 ◇「現代用語の基礎知識」の自由国民社会長
 新潮社の文庫百冊がCD―ROMになった。名作が百冊もそろうと読みたい本が何冊もある。その中から数冊を読んでみた。
 名作と言われるものは、紙とインクで読んでも、ディスプレーで読んでも同じようにすばらしい。言葉の力が大切なのであって、紙やインクの力が感動を呼んでいるのではないことが実感出来た。
 ところで読書に向いた場所を周囲の人に聞いてみた。電車の中、喫茶店、ソファ、寝床、茶の間のテーブル、変わった所でふろの中という人もいる。読書にはリラックスできる場所が必要ということか。
 その点、今の電子本の読書環境は机の前に縛られ少々いただけない。やはりロッキングチェアとホットウイスキーという感覚で電子本と向き合いたいものだ。
 私は寝床の中で本を読むのが好きだ。そこで電子ブックプレーヤーやデジタルブックという携帯型のビュアーを寝床の中に持ち込んで見た。寝ながら電子ブックを読んだなどというと変人扱いされそうだが、寝床の中の読書にこれらのビュアーが思いのほか向いていることを発見した。
 文字は大きめで読みやすい。バックライト付きなら手暗がりもない。片手で持て、指一本でページがめくれる。同じ理由で電車の中での読書にも向いている。ハンディキャッパーの読書ツールにも活用できるだろう。
 画期的なのは電子ブックなら巨大な百科事典さえも気軽に読書できることだ。「無人島に一冊本を持っていくとしたら?」という問いがあるが、これからはちゅうちょせずに電子化された百科事典を選ぶだろう。
 ビュアーがもっと薄く軽くなり、ディスプレーの解像度が上がってくればより快適だろう。画面上の文字の配列などにも工夫が必要だ。そして一番大切なことはたくさんの電子本が出版されることだろう。
 そんなこんなで究極の「電子本読書ツール」を夢想してみた。それは寝ながら本を読むための天井投影型プロジェクター、満員電車でも本が読める網膜直接投影型の眼鏡組み込みプロジェクターである。どなたかこれを商品化するかたはいらっしゃらないだろうか。

 

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『読売新聞』1996.05.22
第2回マルチメディア国際フォーラム2日目 第2分科会の討論=特集
東京朝刊
 〈第2分科会〉マルチメディアとマスメディア  
 ◇パネリスト(敬称略)
 河合 俊(PPVJ)
 長屋 龍人(NHK放送文化研究所研究主幹)
 鈴木 雄介(小学館インターメディア部次長)
 白石 興二郎(読売新聞社メディア企画局開発部長兼論説委員) 
 コーディネーター 杉山 隆男(作家)
 [現状]   
 マルチメディア関連の新技術が次々と現れる中、マスメディア関係者は、次代の担い手としてどのような方法を考えているのだろうか。
 「新聞の限られた紙面を補完し、蓄積したデータをオン・デマンドで閲覧できるマルチメディア」として、読売新聞社メディア企画局開発部長の白石氏は、電子新聞、「読売サイバープレス」を紹介した。
 ◆実用化探る本格電子新聞
 記事や写真の閲覧に加え、スポーツや事件の動画や音声が再生されるほか、地域ニュースや過去のデータへのアクセス、視覚障害者などのために記事を読み上げてくれる機能などを付加している。実用化には、通信衛星や光ファイバー網の整備などの課題があり、マルチメディア型の本格的電子新聞の登場までには時間がかかる。
 出版関係では、小学館インターメディア部次長の鈴木氏が、「百科事典の新しい面白さを発見している」と、三月に発売されたばかりの同社百科事典の電子ブック版を紹介。引きたい項目を頭文字だけでなく語尾でも簡単に見つけてくれたり、関連項目への瞬時のジャンプ、音声再生など自在な機能をスクリーン上で披露し、紙の重たさや面倒さを解消した、電子の百科事典という「わかりやすい」コンセプトが出版界でも久々のヒットにつながったと分析した。
 画像、音声と、すでにマルチ(複合的)なメディアとなっているテレビだが、「図形や言語、映像を好きな時に個人の好みに合わせて引き出せる」ISDBシステムを開発中だとNHK放送文化研究所主幹の長屋氏。
 また、PPVJ(ペイ・パー・ビュー・ジャパン)の河合氏は、九月にスタートする「パーフェクTV」を紹介。九つのチャンネルを使ってヒット映画を毎時スタートさせたり、ライブコンサート、スポーツイベントをノーカットで放映するなど、「少数でも、こだわりを持った人たちをターゲットにしていきたい」と、新しいマーケット開拓への意欲を述べた。
 [課題] 
 ◆著作権どう“処理” 受信機能の統一も必
 新しいメディアの送り手を代弁して、河合氏は、広く外国に資本開放しているイギリスの例を引きながら、「フェアな競争を作るために、(市場を)どんどん開放すべきだ」と、さらなる規制緩和の必要性を指摘した。
 また、それぞれのメディアごとに統一性なく細分化されている受信機(デコーダー)の現状について、白石氏は「それぞれのメディアの専用機をその都度買うとなると大変。(受像機の周囲が)弁当箱のような受信機だらけにならないように、汎用(はんよう)機をメーカー側には作って欲しい」と語った。
 そして、情報の重要な部分を占める談話や寄稿論文などを、既存のメディアからマルチメディアに移し替える際に、話し手や書き手の許諾を受ける必要が生じるが、それをどう処理していくかなど、「著作権」がらみの課題も「解決しなければならないテーマ」として問題提起された。
 [将来像]  
 情報産業の中で、マルチメディアの比重が高まるにつれて、既存のマスメディアはどう変わっていくのだろうか。
 ◆変わらない新聞の役割
 白石氏は「あふれる情報のナビゲーターとしての新聞の役割は今後も変わらない」とした上で、「双方向というメディアの特性から、この情報を知りたいというユーザー側の主体性がより発揮されるわけで、紙の新聞を補完し、深いニュースを求める熱心な人には便利なツールとなる」と指摘。さらに、「情報の流通機構そのものも変わっていくだろう」と、実用化された段階での電子新聞と既存の新聞の違いを挙げた。
 また、コーディネーターの杉山氏は、電子新聞の実用化に伴い「『政治面は読売』『経済面は日経』という風に、それぞれの新聞の特性にあわせてアクセスするようになる」と語り、消費者側の意識の変化にも言及した。
 ◆アジアに広がる日本のマンガ
 「出版の世界では国際化が大きく進む」と指摘したのは小学館の鈴木氏。
 これを説明するのに、海を越えて広くアジアの子供たちの間で人気を博している日本のマンガの現状を挙げた。
 出版界では、マンガを収録したCD―ROMの開発が進んでいるが、この方法を使えば、吹き出し(登場人物の会話の部分)だけをそれぞれの国の言葉に簡単に変えられるという。
 結果として、これまで国際化の妨げになっていた「日本語の壁」が、マルチメディアを使った電子化によって一気に低くなるわけで、鈴木氏は「日本の本だから日本で作るというこれまでの考えそのものが根底から変わる。販売だけでなく、生産の部門でもアジアの人たちと手を結び始めている」と述べた。
 インターネットが、無料で、だれにでも開かれた情報網として広がっている一方、マスメディアによるマルチメディアは、「閉ざされた有料のものになっていく」というのが出席者の一致した見方。例えば河合氏は、パーフェクTVのターゲットとして「対価を払う用意のある人」を筆頭に挙げた。
 また、電子新聞でも「一回ごとに使用料金を取るシステムになるだろう」と白石氏。長屋氏は、「ユーザーの限られた時間、金銭、興味を獲得する、面白いものを提供できるかどうかがメディアの戦いになる」と指摘した。
                   ◇
 主催・読売新聞社、日本放送協会 後援・郵政省、通商産業省
 特別協賛・日本電信電話、東芝

 

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『読売新聞』1996.07.16
[電子出版の世界]CD―ROM、電子ブックの小型軽量化、極限まで
大阪夕刊
 ◆価格や画質で一長一短◆
 岩波書店は一九八七年に、「広辞苑」のCD―ROM版を、続いて電子ブック版を発売した。これまで計十万枚を超える売れ行きだが、どちらも一長一短があり、同書店辞典部は「当分は両方出していく」という。将来、どちらか一つが残るのか、別の種類になるのか予測できない。
 CD―ROM版は音楽用のアルバムCDと同じ直径十二センチのディスクで、パソコンを使って読む。一方、電子ブックはシングル盤と同じ八センチで、専用の小型プレーヤーが必要だ。
 二つを比べても機能はほとんど変わらない。それぞれ紙の辞書と同じ二十二万項目のほか、二千以上の図版を収めており、いろいろな鳥の鳴き声を再生することも可能である。
 はっきり覚えていない単語も調べることができる。例えば「ちかまつ」と「しんじゅう」を入れると、近松門左衛門の心中もの、「生玉心中」「心中天網島」など七作品が画面に現れ、その中から目的の作品を選べば、詳しい内容がわかる仕組みだ。
 先に発売されたCD―ROM版は、記憶容量が大きいため、カラー図版も収めているものの、当時のパソコンにはCD―ROM読み取り装置を標準装備していなかったため、「別売の装置を買うと、かなり高価になり、一般への普及は進まなかった」という。 これに対し、九〇年にソニーが開発した電子ブックは、プレーヤーの価格が五万円台と比較的安いこともあって、CD―ROM版の二倍以上の売り上げを記録した。ソニー広報室は「あの大きな『広辞苑』が手のひらサイズになった。プレーヤー本体の重量が五百五十グラムで、かばんに入れて持ち運べる。小型軽量化が人気の原因」と話す。
 ただ、プレーヤーの画面がモノクロ液晶で、四インチ程度と小さいため「パソコン画面に比べ、見劣りがするのは事実」(同)だ。
 この“小型軽量化”を極限まで進めたのが、今年三月に発売された小学館電子ブック版「日本大百科全書」。紙の本にすると二十六巻分、六十キロ以上のボリュームを一枚のディスクに圧縮した。プレーヤーもセットで八万円。これに対し、CD―ROM版にも平凡社の「世界大百科事典」があるが、ディスク一枚で十四万五千円と少し高い。 出版社だけでなく、利用者も選択に迷いそうだ。
                             (森 恭彦記者)

 

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『読売新聞』1996.08.26
CD―ROM検索→閲覧→返却までパソコン操作でOK/国立国会図書館
東京夕刊
 国立国会図書館(東京・永田町)は、パソコンの操作だけでCD―ROMの検索、閲覧から返却まですべてを自動的にできるシステムを導入し、閲覧希望者へのサービスを開始した。係員を介さずに一連の作業が行えるわけで、将来的には一般の図書の閲覧にも応用したい考えだ。
 同図書館によると、導入したシステムはCD―ROMの保管と内容の読み出しを兼ねるチェンジャーとパソコンをオンラインで結び、パソコンを操作するだけでチェンジャーに収納されたCD―ROMの内容をパソコン画面で閲覧できる。
 これまでは、閲覧したいCD―ROMを、カウンターの係員に伝え、係員が収蔵庫からCD―ROMを取り出してパソコンのドライブにセットしていたが、新システムによって一連の作業がすべて自動化された。
 新たに本館四階の特別資料室内に設けられたCD―ROMコーナーには、ウィンドウズ三台、マッキントッシュ一台のパソコンを備えた。
 閲覧はそれぞれのパソコン画面から項目別に選ぶか、CD―ROMのタイトル、シリーズ名、発行者、発行年などのキーワード(検索語)で探すことが可能。閲覧したいCD―ROMが決まれば、画面上で指示するだけで三十秒前後で内容が表示される。
 同図書館では、一昨年五月、試験的にCD―ROMコーナーを設け、パソコンを使った閲覧をスタート。これまでに日本電子出版協会から寄贈されたものなど約百四十種類のCD―ROMを収蔵している。また、同図書館では、自動化はされていないが、電子ブックやカーナビゲーションなども閲覧できる。
 閲覧時間は午前九時半から午後五時まで。

 

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『読売新聞』1996.09.25
[電子出版の世界]同じソフトで違う値段 「再販」外で書店は敬遠
大阪夕刊
 CD―ROMや電子ブックの売り場は、書店かパソコンショップのどちらかになり、同じソフトでも値段が違う。この電子出版物の流通の問題が、鳥取県大山町で全国の出版社、書店、図書館などの関係者によって出版文化の未来を探ろうと開かれた「本の学校」大山緑陰シンポジウムの「これからの読書――活字本と電子本の間で」の分科会で、取り上げられた。
 トーハンなど大手取り次ぎを通して、CD―ROMの常設コーナーをつくっている書店は全国で百四十店しかなく、店の数や売り上げが圧倒的に多いのは、パソコンショップや家電店の方で、価格も書店より二割前後安い。ただ、品ぞろえはアダルトやゲームに偏りがちという。
 一方、電子ブックは辞書類が主力ということもあって、それを置く書店は三百店あり、家電店などの一・五倍となっている。
 こうした事情について、トーハン総研専務の稲葉通雄氏は「電子本は再販指定商品でないため、原則として返品がきかず、書店に敬遠される」と説明した。
 インターネットのホームページをつくって注文を受け付けるなど新しい試みをしている文華堂書店(横浜市)の神保且佳氏は「買い取りだからリスクが大きい。売れ筋商品だけを短期間に売ってしまうパソコンショップには太刀打ちできない。ただ、価格が下がれば、値引きによる差も小さくなるので、書店の方も品ぞろえで対抗できるかもしれない」と話す。
 また、今年末に筑摩書房と共同でCD―ROM版の赤瀬川原平「超芸術トマソンの冒険」を発売するジャストシステム出版部長の中尾勝氏も「パソコンショップに『トマソン』といっても通じにくい。書物の知識を持った店員のいる書店で売ってほしい」と、メーカーの立場から語った。
 インターネットに客を奪われ、アダルトのCD―ROMの売り上げが落ちる一方、「新潮文庫の100冊」や美術作品「バーンズ・コレクション」などがヒットし、「市場は急速に変わっている」(中尾氏)ものの、再販制度から外れて「本」を売ることの難しさも改めて浮き彫りにした。                (森 恭彦記者)

 

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『読売新聞』1996.10.07
[電子出版の世界]インターネットで「本」検索可能 出版社との共存が課題
大阪夕刊
 CD―ROMや電子ブックは過渡的なものであり、電子の「本」はいずれコンピューターのネットワークの上を飛び交うだけになるだろう――そんな予測がすでに現実化しつつある。
 鳥取県大山町での「本の学校」大山緑陰シンポで、評論家の津野海太郎氏が、インターネットの百科事典「ブリタニカ・オンライン」(アメリカ)を利用し、ネットの中から「本」を探す方法を披露した。
 「作家のジョイスを検索すると、その生涯や作品の解説が表示されるだけでなく、『ジョイス・リソース・センター』という別のホームページに飛ぶことも可能になっており、そこでテキストそのものを無料で入手できる」と氏はいう。
 テキストを収めたホームページは英米の有名作家に限られ、「情報が英米に偏っている」(田中光則・平凡社編集部長)という指摘もあるが、事典の方は世界中の作家を集めており、テキストも今後、収録範囲が広がっていくのは確実だ。そうなると、「出版社はいらない」ということにもなりかねない。
 しかし、学習研究社の古岡秀樹常務は「読みやすくするという編集の仕事は、どんな時代にも必要」と反論し、宮沢賢治全集を出す筑摩書房取締役の松田哲夫氏も「賢治が何度も書き直したテキストを何十年もかけて確定してきた」と、出版社の役割を強調した。
 また、岩波書店の山口昭男編集部副部長は「温かい手触りの紙の本がなくなるとは思えない」と、電子「本」との共存を予想する一方、アメリカで作家が自分の全作品をインターネットで無料公開したため、出版社から訴訟を起こされたケースがあると報告した。
 電子出版は大きな可能性を持っているものの、社会的に根付くには、まだいくつもの障害を乗り越えていくことが必要だ。             (森 恭彦記者)


*作成:植村 要
UP: 20100706  REV:
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