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電子書籍 1993

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■新聞記事



『読売新聞』1993.01.20
ソフトの出し入れが簡単に交換できる電子ブック発売/ソニー
東京朝刊
 ソニーは、ソフトの出し入れが簡単な電子ブックプレーヤー「データディスクマン DD―8」を2月1日、発売する。電子ブックを簡単に交換できる方式を採用したほか、検索速度が従来機に比べて大幅にアップしたという。さらに、およその発音をカタカナで入力するだけで、英単語の検索ができる電子ブックもついている。4万3800円。(電)03・3448・3311

 

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『朝日新聞』1993年01月24日
朝刊
一年分の新聞が一枚のCDに(読者と新聞 読者室から) 【大阪】
 「パソコンやワープロを使って、新聞記事を調べる」ということが一般的になってきました。過去の新聞の束をくったり、分厚い縮刷版をめくるより早く目的の記事を見つけることが出来ます。
 朝日新聞社では一九八五年から新聞記事をコンピューターに蓄積し、日本の代表的なネットワークに配信しています。いまでは多くのパソコン通信からも回線が接続でき、自宅でも気軽に利用できます。
 新聞記事に限らず、データを検索する方法として、最近、脚光を浴びているのが、CD−ROMです。去年の秋、大阪と東京でデータベースショーが開かれましたが、CD−ROMの展示が飛躍的に増え、まさに「CD−ROM元年」の様相でした。
 CD―ROMと聞くと、ムカデのようなコンピューターの部品と思われがちですが、そうではありません。音楽のCD(コンパクトディスク)と全く同じ円盤です。その円盤に音楽データに代わって文字情報が詰まっているのです。CD―ROM一枚に新聞一年分の記事が収録できます。
 CD―ROMを挿入する装置(ドライブ)をパソコンに接続。後は音楽CDをリモコンで操作するように、画面を見ながらキーワードを打ち込めば、目的のデータが瞬時に検索できるようになっています。
 装置をそろえる費用はかかりますが、ネットワークへの面倒な加入手続き、電話料金もかかりません。いつでも、じっくり腰を据えて利用できます。
 朝日新聞社では、一九八五年から毎年、一年間の記事を一枚のCD―ROMに収めて販売しています。
 また、CD−ROMの小型判ともいえる「電子ブック」もあります。電卓より一回り大きい程度で、持ち運びができます。収録記事はCD―ROMより少ないのですが、値段は比較的安いもので、朝日新聞社では「天声人語・社説」と「知恵蔵」を販売しています。
 さらに文字だけでなく絵や写真、音楽などを同時に表現できるマルチメディアも話題になっています。
 「読む」新聞から「見たり」「聞いたり」する新聞になるのも、そんなに遠い将来ではありません。朝日新聞社では歴史を刻むデータを蓄えるとともに、新しいメディアの企画・研究を進めています。

 

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『朝日新聞』1993年01月26日
朝刊
ソニーから電子ブックプレーヤー(情報ファイル・商品)
 ソニーが2月1日に発売する「データディスクマンDD8」は、三省堂の英和・和英辞典を収録した電子ブック(ソフト)つき。
 つづりの分からない英単語でも、およその発音をカタカナで入力すれば、和訳を検索できる。辞書には約1万5000語を登録してあるが、うち約1万1000語の主な英単語については、付属のイヤホンなどで発音が聞ける。価格は4万3800円。

 

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『朝日新聞』1993年02月03日
夕刊
電子ブックが留置場で通訳 外国人被疑者の誤解防ぐ 警視庁
 日本語がわからないまま警察の留置場に入れられている外国人被疑者とのコミュニケーションを図ろうと、警視庁は電子ブックを利用した「留置手続きガイド」システムを開発することになった。CD型の電子ブックに、留置場で必要な説明や質問文を各国語に翻訳して収録。留置係官が携帯型の電子ブックプレーヤーを操作して、翻訳文を液晶画面に呼び出して見せたり、音声で聞かせたりして、被疑者と「会話」をする。全国初の試みだ。
 東京都の九三年度予算案に盛り込まれた。同年度内に、英語、北京語、広東語、タイ語の四言語を収録した電子ブックをつくり、全警察署に電子ブックプレーヤーを配備して、運用を始める予定だ。
 留置場の外国人被疑者たちは日本の刑事手続きもわからず、不安で孤独だ。取り調べにつく通訳も、留置場までは手が回らない。例えば昨年、さゆしか飲まず、全く食事をしようとしない中国人がいた。よく聞いてみると、留置場での食事もお金を取られると誤解していたという。
 こうした経験から、約二百七十通りの文例を選んだ。
 ▽留置手続きなどの説明。「これから身体検査を行います。所持品をすべて出してください。没収ではありません」「これから検察官の取り調べがあります」▽被留置者の訴えを聞く。「おなかが痛いのですか」「購入したいものがありますか」▽留置場内の日課や生活上の注意。「食事はパンとご飯があります」「宗教上の理由で何か注文はありますか」など。
 警視庁留置管理課は「母国語で正確な説明をして、被疑者の不安を取り除きたい」と話している。
 ○外国人、全拘置者の1割を超す 92年
 昨年一年間、警視庁に逮捕され、留置場に入れられた人は約一万八千人。外国人は二千三百八十六人、一三・一%に上った。前年は一千六百十三人、八・六%で、人数、割合ともに急増している。平均すると常時、都内のどこかの留置場に、男性八十八人、女性二十九人の外国人が入っていることになる。

 

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『読売新聞』1993.02.16
[続ドラマ・ヒット商品]電子ブックプレーヤー(上)得意の小型化(連載)
東京朝刊
 ◆ウォークマンの技術駆使
 三十―四十代のビジネスマンを中心に人気の電子ブックは、膨大な百科事典の情報がわずか直径八センチのCD―ROM(CDを使った読み出し専用メモリー)にまるまる入るコンパクト性と、本にはない高度で便利な検索機能が売り物だ。九〇年七月にソニーが発売した「データディスクマン」は、この電子ブックを再生するプレーヤーの先駆けとなり、その後他社もソニーの規格に準じたプレーヤーを発売している。
 ソニーで電子ブックの開発に乗り出したのは、情報機器の開発部門ではなく、ウォークマンなどを世に出したオーディオ事業本部だった。当初から計画に参画した宇喜多義敬・ゼネラルインフォメーション課長は「オーディオ市場は将来、飽和状態になる。これまでの技術の蓄積を情報分野で生かせないかというのが参入の動機」と振り返る。
 開発陣が重点を置いたのは、小型化・軽量化の方策と、ソフトをどう普及させるかの二点だった。
 ウォークマンを開発した技術陣だけに小型化は得意中の得意。外ぶたの裏側に液晶ディスプレーを、中ぶた上部にキーボードを搭載した二重ぶた構造を採用したり、電子ブック用の検索ソフトをIC化して内蔵したりするなど、これまでに培った小型化技術を駆使し、本体重量五百五十グラムを実現した。
 パソコンをプリンターなど周辺機器も含めて購入すると、五十万円前後になる。しかし、サラリーマンが手軽に買える価格はその十分の一程度だと宇喜多課長らは考え、部品点数を極力減らし、価格を五万八千円に抑えた。
 「出版社を百社回ろう」。ハードだけではただの箱である。ソフトの製作を依頼するため、宇喜多さんらと部下は、まったく畑違いの出版社に通う毎日が続いた。「商売になるのか」と怪訝(けげん)な顔をされることもあったが、反応はおおむね好評。ソニーが海外に展開している現地法人を通じて欧米の出版社ともコンタクトをとった。
 賛同を得た出版社を集めて「電子ブックコミッティー」を組織したのはプレーヤー発売の半年前。その結果、まず国内の出版社から国語辞典や英仏独日四か国語辞典、プロ野球データ集などが出されることになった。その後、海外の出版社も参加し、今ではゲームや占いの本なども含め百二十種の電子ブックが販売されている。
 「データディスクマン」はその後も新機種が続々と登場、現在までの販売数は国内二十三万台、海外七万台にのぼっている。ソフトである電子ブックも百万本を超えた。漢字千文字のA4判原稿十万枚分のデータが一枚のディスクに入る電子ブックは、今後も普及に弾みがつきそうだ。

 

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『読売新聞』1993.02.17
[続ドラマ・ヒット商品]電子ブックプレーヤー(下)5本指の操作性(連載)
東京朝刊
 ◆処理速度5倍にアップ
 松下電器産業グループなど八社は昨年初め、電子ブックプレーヤーで先行するソニーの規格に準拠した製品を発売することを決めた。市場の将来性をにらんでの参入だが、開発にあたって後発各社はソニーにはない特徴を出そうと懸命に知恵を絞った。
 「携帯性を犠牲にせずにどこまで使いやすさを向上させられるか」――松下電器産業グループの九州松下電器が目指した方向はこれだった。従来のプレーヤーは携帯性を重視するあまりキーボードが小さくて、一本指でやっと操作していた。それを「片方の五本指を使えるようにすると、断然便利になる」(峰藤明・コンシューマ機器営業部長)というわけだ。
 このため、開発はキーボードの大きさ選びから始まった。キーとキーの間隔が七ミリから十六ミリまで十種類のキーボードを作製。社内から手の大きい男性から小柄な女性まで数十人を集め、五本指で打てる間隔の限界を調べた。
 その結果、間隔が十三ミリあれば大半の人が一方の手で操作できることが分かりキーボードから逆算して本体の寸法が決められた。
 また、情報を表示する液晶ディスプレーの大きさを四・五インチと、一回り大きくした結果、画面に表示できる行数が横十二字、縦十七行と横二文字、縦二行分増えた。画面ではつぶれがちな画数の多い漢字も見やすくなった。
 操作性とともに大事なのが検索のスピードだ。電子ブックは通常の辞書のように単語を入力して意味を調べるだけでなく、いくつかのキーワードをもとに対象範囲を絞り込んでいく条件検索という方法も使える。ただ、キーワードを多く使うほど、検索時間が長くかかるのが欠点だった。
 処理速度をアップさせるために、プレーヤーの心臓部となる中央演算処理装置(CPU)を、他社の製品に使われていた八ビットタイプのものから十六ビットタイプにアップ。検索時間を一挙に五分の一程度に縮めることができた。設計を担当した同営業部の宇都俊昭・課長代理は「使用感がまったく違うはず」と胸を張る。
 こうして昨年夏発売された松下初の電子ブックプレーヤー「データプレス」は、購入者の三割が他社製品からの買い替えと、ベテランユーザーを引き付ける結果になった。発売後半年で二万台を販売し、シェアはソニーに次ぐ二位を確保、さらに「近い将来トップを」(宇都課長代理)としている。パソコンより手軽に使える電子ブックを巡る高性能化技術競争は、今後一層激しさを増しそうだ。

 

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『朝日新聞』1993年04月07日
夕刊
CD−ROM出版 円盤一枚に五億字分の情報(ハイタッチテクノ)    
 コンパクトディスク(CD)は、登場後十年余で、すっかりレコードに取って代わった。そして今、その弟分が分厚い百科事典や辞書類を飲み込みつつある。CDをパソコンの読み出し専用の記憶媒体CD−ROMとして使う電子出版だ。CDとCD―ROMはどこが違うのだろうか。
 CD―ROMは、形から大きさ、材質、作り方、情報の書き込み方、読み取り方に至るまで、CDと同じ。というのも、コンピューター業界がCD―ROMを開発したのが、大量の音を数値情報にして記録したCDに刺激を受けてのことだったからだ。
 CDは、直径十二センチの円盤に最大七十四分の音楽が入る。データは円盤に微小な凹凸を刻んで記録する。読み取りは、近赤外線レーザーをこの凹凸に当てた時に、反射の仕方が違うことを利用する。
 データは、円盤の内側から外側に向かって、一本のらせん状に並んでおり、どこからでも読み出せる。原盤はレーザーを使って刻む必要があるが、後は印刷と同じ手法で安く容易に大量生産できる。
 こうした特徴は、CD―ROMもそのまま受け継いだ。記憶容量は詰め込み方によって若干差が出るが、だいたい六百メガ―千メガバイト。日本語だと三億―五億字に相当する膨大なものだ。すでに平凡社『世界大百科事典』三十一巻が一枚のCD―ROMに収められて販売されている。大蔵省印刷局も『職員録』や『有価証券報告書総覧』などをCD―ROM化している。
 だが、普及率ではCD―ROMはCDに遠く及ばない。最大の原因の一つは、CDと違い標準化が不完全なことだ。
 CDは、どこの国のものでも、どんなメーカーのどんな機種でも再生することができる。ところが、CD―ROMは、コンピューターでのデータの入出力の規格が決められる前に商品化されてしまった。このため、IBMパソコンとNECパソコンのように機種が異なると、それに合ったCD―ROMしか使えない。
 「オーディオを手掛けてきた者から見ると、これでは普及は難しい」(今井勉・ソニー商品技術情報室課長)。フィリップスとともにCDの統一規格を決めたソニーなどは、シングルCDと同じ直径八センチのCD―ROMで、電子ブックとしての標準化を図っている。検索機能は専用のプレーヤーに持たせ、機能をある程度犠牲にしても互換性を優先する行き方だ。
 だが、十二センチの方は、データの並べ方などを国際標準化機構(ISO)の規格に合わせようとする動きが、ようやく本格化してきたところだ。
 日本では、富士通が一九八九年からCD−ROMドライブを組み込んだパソコンを売り出してきた。昨年秋になって、日本最大のパソコンメーカーNECもCD―ROMドライブを標準搭載した機種を発売した。CD―ROMの大量の画像、音、文字データは、視聴覚教育にうってつけ。両社とも、今後急速に導入されるとみられる学校に狙いを定めている。
 富士通は今年二月、パソコンのイメージを破ったCD−ROMプレーヤーを出した。狙いは若い母親と幼児。ゲーム機のようにテレビにつないで、お絵かきやゲームなどが楽しめる。
 「ようやくCD―ROMの良さが知られてきた」と富士通ハイパーメディアセンターの小泉裕部長。CD―ROM普及のカギは、ソフトの充実と標準化にかかっている。

 

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『朝日新聞』1993年05月29日
朝刊
電子ブック『知恵蔵1993』発売中<社告>
 『朝日現代用語・知恵蔵 1993』の電子ブック版です。特集(「地球サミット」「PKO」「北方四島」「死刑存廃」「冷戦体制の崩壊と科学技術」)、ホットワード、新感覚語、外来語、略語なども収録、目的に応じてご利用いただけます。
 『知恵蔵』本体に加えて、時事用語にかかわる朝日新聞記事を約一千三百本収録、その場でお読みいただけます。また、約一万の人名簿、六千の団体名簿も収録してあります。
 定価四千九百円(税込み)。お近くの書店、電器店、ASA(朝日新聞販売所)でお求めください。

 

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『読売新聞』1993.06.02
パソコンソフトの通販会社を設立/富士通オフィス機器
東京朝刊
 富士通の子会社の富士通オフィス機器は一日、CD―ROM(CDを使った読み出し専用メモリー)や電子ブックなどのパソコンソフトを通信販売する新会社「ピーシーワークショップ」を設立した。富士通のパソコン対応のソフトはもちろん、他機種に対応するソフトも通信販売する。
 設立時の資本金が五千万円、本社を東京都千代田区に置き、初年度五億円の売り上げを目指している。
 旺文社の「英会話一一〇番」シリーズなど、今年中に千タイトルを扱う予定。

 

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『朝日新聞』1993年08月26日
夕刊
北陸放送=石川 「読むラジオ」電子ブック発売(ふるさとTV紀行)
 日本海沿岸で最初に開局した歴史のある放送局が、最新の技術を駆使した電子ブックを大日本印刷と協力してつくった。
 能登半島にある石川県・鹿西(ろくせい)町で6年前、おにぎりの化石が見つかった。昨年秋、これを記念して同町で「おにぎりフォーラム」が開かれ、北陸放送ラジオが中継した。
 たまたま金沢でこの放送を聞いた情報編集者が大日本印刷に橋渡しし、「たぶん世界で初めて」(同放送)ラジオ番組からフロッピーディスクの形の電子ブックに仕立てた。内容はおにぎりの歴史、季節ごとのおにぎりのレシピ、おいしさの秘密などで、音声を文字情報に置き換え、画像情報も加えた。
 新書1冊程度にあたる10万字の本文を中心に写真12点、地図5点、イラスト6点、さらに音声4点も付く。表示された画面に下線を引いたり、ページに折り目をつけたり、欄外にメモ書きもでき、本のイメージに近いように工夫されている。マッキントッシュのパソコンで利用できる。23日発売、定価2500円。
 普通の本にする考えもあったが、音、文字、写真、グラフなどいろんな表現形態を活用できる新しい情報商品に編集した。「電子ブックは地方発の情報発信として有望だと思う。読むラジオブックスとしてシリーズ化したいし、よその局にも呼び掛けたい」と報道制作局の若林忠志さんは意気込んでいる。
 <メモ> 本社・金沢市。嵯峨春平社長。社員210人。1952年5月開局。TBS系。

 

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『読売新聞』1993.09.18
「データディスクマン」の新機種発売/ソニー
東京朝刊
 ソニーは、CD―ROMに文字や音声を入れた電子ブックの再生機「データディスクマン」の新機種「DD―30DBZ」を10月1日から発売する。16ビットの中央演算処理装置と高速検索プログラムを採用し、検索速度を従来機よりも約2.5倍もアップしたほか、パソコンやワープロにつないで使えるのが特徴。6万9000円。

 

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『朝日新聞』1993年09月23日
朝刊
パソコンに接続できる電子ブック再生機(情報ファイル・商品)
 ソニーが10月1日に売り出す「データディスクマンDD−30DBZ」は、パソコンやワープロに接続するための端子がついている。接続用ケーブル(別売り、9500円)でつなぐと、パソコン、ワープロ上で英和、和英辞書などの電子ブックを検索することができ、作成中の文章などに取り入れることが可能。
 従来の同社製品に比べ、検索速度は2.5倍速くなった。6万9000円。

 

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『朝日新聞』1993年11月02日
朝刊
「電子書籍」普及の兆し NECが第一弾、富士通も年内に 
 手のひらサイズの液晶画面に、小説や漫画を呼び出して読書できる「電子書籍」が本格化しそうだ。コンピューターメーカーのNECは一日、電子書籍の第一弾として「デジタルブック」=写真=を発売した。あらかじめ本の内容を記憶させておけば、旅行などの際に何冊も本を持ち運ぶ必要がなく、高齢者などは文字を拡大して読める。同様の機器は、富士通も年内に発売を予定しており、紙媒体以外で事業展開を狙う出版業界と歩調を合わせ、普及を図る考えだ。
 NECのデジタルブック(二万九千八百円)は、電子手帳くらいの大きさ。フロッピーディスクから情報を読み取る装置(一万二千八百円)を取り付け、フロッピーに収められた小説や漫画、辞典などの内容をあらかじめ記憶させておく。
 本体のメモリーには、厚さ一センチくらいの文庫本で、三冊まで内容が入る、という。
 持ち歩くのは、本体だけでよい。片手で操作できるため「満員電車の中でも本が読める」との触れ込みだ。
 印をつけた所をすぐに検索できたり、英語の文章なら和訳を対比して表示できたり、暗記に役立つよう、文章の一部を隠したりすることもできる。
 NECは講談社や岩波書店、朝日新聞社などと提携し、ソフトとして三十種類のフロッピーをそろえた。一枚あたり二千―三千円台が中心。今年度中には九十社と協力し、百種類以上に増やす計画だ。
 一方、富士通はフロッピーの代わりにメモリーカードを記録媒体として使う「電子書籍」を発売する予定で、「NEC製より小型で安価なものができる」という。
 出版業界は、フロッピーやメモリーカードを自動販売機で販売する構想を持つ。だが、これらソフトの価格がどれだけ値下がりするかが、普及のかぎを握ると言えそうだ。

 

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『読売新聞』1993.11.02
電子ブック NECが小説、コミック“出版” フロッピー採用でまず34ソフ
東京朝刊
 NEC(日本電気)は一日、フロッピーディスクに記録された小説、コミックなどの出版ソフトを液晶画面に映し出して読める携帯型の電子ブック「デジタルブック」プレーヤーを、今月二十五日から三十四タイトルのソフトと同時に発売すると発表した。
 先行するソニーなどが百科事典、辞書類を中心に記憶容量の大きいCD―ROM(コンパクトディスクを利用した読み出し専用メモリー)で普及を目指しているのに対し、NECは一般書籍を対象にフロッピーディスクを採用した。
 CD―ROMに比べ、ソフト価格を三分の一ほどに下げられるうえ、パソコンで短期間で制作できるのが利点という。小説、語学、囲碁など今年度中に約九十の出版社と提携し、百タイトル以上をそろえる予定。
 プレーヤー(二万九千八百円)は五・六インチの液晶画面を持ち、片手で持てるサイズで、重さは四百三十グラム。記憶容量は文庫本三冊分程度あり、別売りのフロッピー読み込み装置(一万二千八百円)を通して、ソフトの内容を読み取らせる。ソフトの価格帯は二千―三千円が中心だが、「普及が進めば安くなる」(水野幸男・副社長)と説明している。
 自動ページめくり、各種検索、マーカー機能などに加え、「窓ぎわのトットちゃん」では英文切り替え付きなど多彩な機能を備えた。
 電子ブック市場は、ソニーが九〇年七月にCD―ROMを使った「データディスクマン」シリーズを発売、松下電器産業、三洋電機、シャープなどもソニーの規格に準拠したプレーヤーを商品化した。累計で約四十万台の販売実績があり、ソフトも約百四十タイトルが市販されている。

 

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『読売新聞』1993.12.14
出版界回願1993年 不況の中まずまずの健闘
東京朝刊
 ◆「3D」や「ナゾ本」/アイデア リストラが好結果/雑誌 変革に高まる関心/政治 ソフト競争激化/電子書籍
 長引く不況の中、今年の出版界はまずまず健闘の一年といっていいだろう。しかし、それも定価の値上げと新刊点数の増加、書店の出店増に支えられたことが大きな要因だ。「出版は不況に強い」という“神話”をかろうじて守った一九九三年を振り返ってみた
 書籍の販売金額は九月までで前年同期比四・五%増の七千六百三十億七千六百万円(出版月報)で、販売部数では前年を〇・二%下回っているものの、不景気の中、他の業界が不振なのと比較すると健闘が目立った。
 また、政界が激動した影響で雑誌とくに総合週刊誌が好調。九月までの販売金額は雑誌全体で前年同期比七・三%増の一兆八百四十四億六百万円。このため書籍も含めた総販売金額は前年を六・一%も上回る一兆八千四百七十四億八千二百万円となり、不況に強いといわれる出版界を裏付ける形となった。
 今年の出版傾向でトピックスとなったのがこれまでになかった分野の本が登場したこと。
 視覚によって三次元の空間を体験させるいわゆる「3Dアート本」が本という媒体の中に新しい可能性を切り開くものとして人気を集め、「C・Gステレオグラム」(小学館)や「マジックアイ」(ワニブックス)などがよく売れた。
 また、「サザエさん」や「ドラえもん」「ウルトラマン」など漫画やアニメを独自の視点で検証する“ナゾ本”が大ブームに。「磯野家の謎(なぞ)」(飛鳥新社)がミリオンセラーになったほか、「サザエさんの秘密」(データハウス)、ドラえもんの秘密」(同)などが続々と刊行され、その種類は七十点にものぼった。
 こうした軽い本が売れる一方で、地味なものも人気が出た。「マディソン郡の橋」は、現在も売り上げが好調で、すでに百四十万部に迫る勢いだ。
 「五五年体制」の終焉(しゅうえん)と政権交代という激動の政治情勢を背景に、読者に政治への関心が呼び戻された。小沢一郎著「日本改造計画」(講談社)を筆頭に細川護煕編「日本新党・責任ある変革」(東洋経済新報社)、山口二郎著「政治改革」(岩波新書)など政治関連本が注目を集めた。
 雑誌では広告収入の不振は依然として回復の兆しを見せなかったが、この政変が原因で総合週刊誌の売り上げが伸びたことや、誌面刷新、発売日の変更などの“リストラ”を進めたこと、手堅い分野の創刊が多かったことが好結果をもたらしたと見られている。冷夏で雨の日が続き、「家で雑誌でも」という人が多かったため、書店での売り上げがアップしたとする見方もあるようだ
 具体的な特徴では、Jリーグブームでサッカー雑誌がいくつも創刊されたことや、皇太子さまのご成婚による増刊が次々に出たことなど。また、「主婦と生活」の廃刊と「主婦の友」の大幅な刷新で“良妻賢母”を啓蒙(けいもう)してきた婦人総合誌が姿を消したことも時代を象徴する出来事だった
 ニューメディアとして動向が注目されている電子書籍。その普及にいっそう弾みがついたのも今年の大きな特色のひとつ。
 これまでのソニー、三洋電機、松下電器産業に続いて、NECが参入。価格競争が今後激しくなると予想されるほか、記録媒体がCD―ROM、フロッピーディスク、ICカードとさまざまで、その主導権争いも注目されるところ。ソフトも百五十点を超え、内容も豊富になってきており、大きな書店では電子ブックコーナーを設けるところも見られるようになった。業界がこの新たな媒体をめぐってどう動くのかも含めて目が離せない。
 上智大学の植田康夫教授はこの一年をふり返り、「出版は情報を加工して提供する、ソフト産業の最たるものと言えるだろう。そこでは創造力が問われる。アイデアにはコストがかからないわけで、それさえあれば不況もこわくないということを立証しているのではないか」と分析。「ニューメディアの中でもソフトをクリエートすることで最も新しいことができる可能性をもっている」と指摘している。
   (小谷野直樹記者)

 

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『読売新聞』1993.12.18
広がる「電子書籍」 ソフトが充実、ハードも続々 フロッピー化で買いやすさも
東京夕刊
 CD―ROMやフロッピーディスクなどを媒体とした〈電子書籍〉の普及に弾みがついてきた。ソフトも当初は辞書などデータベース的なものが主だったが、最近では文芸ものに趣味・実用書、外国語会話の教材、ゲームソフト、写真集などとバラエティーに富んできた。また、持ち運びのできるハードも大手電機メーカーが次々に発売しており、「紙」とは違った新たな“本”として徐々に注目を集めはじめている
 〈電子書籍〉がわが国に登場したのは三年前の七月。ソニーが「データディスクマン」という名称のプレーヤーを売り出した。最初の機種は文字データだけのものだったが、翌年末には絵や図と音声も再生できるものを発売した。
 その後も検索速度、画像の鮮明さなどに改良を加え普及を図ってきた。先発のソニーに続いて昨年四月に三洋電機が、同六月には松下電器産業が市場に参入、電子出版市場が一気に活気づいた。
 これら三社のプレーヤーの記録媒体はいずれもCD―ROM。直径わずか八センチの円盤に和文で約一億文字(二百メガバイト)、新聞の朝刊にして約半年分の情報量を収めることができる。
 辞書など分厚い本を持ち歩く必要がなく、保管も簡単。卓上でも電車の中でもボタンひとつで情報を得ることができる。また、紙を使わないため省資源にも役立つ――というのが大きなセールスポイントだ。
 当初は二十数点でスタートしたソフトの方も、国内ものだけで百三十点にもなっている。クイズもの、競馬のデータ、レジャーやグルメものなど幅を広げており、売上高は昨年までで約二十億円。ハードも含めると一九九五年に累計で千二百億円程度になるとの見方もある。
 ただユーザー側からすると、本と比較して高価なのが難点。ソニーが今年二月、同社としては最も安い機種を発売したが、それでも四万三千八百円。ソフトも安くなってきたものの、七―八千円が主流だ。平均的な単行本で四、五冊分の値段に相当する。
 価格や制作コストの面に配慮して、NEC(日本電気)は先月、フロッピーディスクを記録媒体とした「NECデジタルブック」を発売した。ハードの価格こそ、本体とフロッピーの情報を本体に読み込むユニットを合わせて、ソニーをわずかに下回る四万二千六百円だが、ソフトは二千円前後と他社の約四分の一。ただ、情報搭載量はCD―ROMの約二百分の一の一メガバイト(平均約五十万語。単行本にすると約千ページ分)と極端に低いものとなっている。
 「このデジタルブックはハード、ソフトとも低価格ということにこだわった。確かにデータベースとしてはCD―ROMには勝てないが、こちらは情報を検索するというより読むという機能に重点を置いています」と同社広報部の加藤竹彦主任。NECの参入でソフトの主導権争いが注目されるところだが、「その点は、共存できると思うし、住み分けていくことが可能なのでは」という。
 未知数の部分が多い〈電子書籍〉だが、来年は富士通も「携帯ビューアシステム」というICカードをソフトとする媒体を発売することになっており、市場がさらに拡大することは必至だ。書店側でも専用のコーナーを設けるところが増えているなど、二十一世紀を目前にして登場したニューメディアに注ぐ視線が熱くなってきた。

 

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『読売新聞』1993.12.18
広がる「電子書籍」 可能性は?課題は? 識者3氏に聞く
東京夕刊
 〈電子書籍〉はどんな可能性を秘めているのか。また、定着させる上での課題は何なのか。評論家、編集者、書店担当者、それぞれの意見を聞いてみた。
 ◆活字離れの歯止め役に
 ◇紀田順一郎さん(評論家)
 新しい読書の習慣をつくるという意味で可能性は大いにあるし、活字離れに歯止めをかけるという効果も期待できる。それには、現在よりも二段階ぐらい洗練される必要があると思っている。
 ひとつにはプレーヤーのデザインだ。本を読む人は装丁から入っていく。まず“表皮”を見てそれからページをめくっていく。その手順が本の楽しみでもある。現在電子書籍はゲーム機のようで、読書が好きな人の美学を満たさないように思える。この点をまず改善してほしい。機能だけだとただデータを読んでいるような気がしてならない。
 もうひとつは、活字の問題。きれいな明朝体を出力できるようにしてもらいたい。日本人にとってこの書体はすばらしいものである。ゴシックでは便宜的な感じを否定できない。心から心へと伝わるような活字の良さを味わうことができないと思う。便利さばかりでなく、今後は美学も追求してもらいたいものだ。
 ◆電子のメリット生かせ
 ◇津野海太郎さん(晶文社取締役)
 最近の状況を、電子書籍のスタートとして基本的には歓迎している。が、いまのところは、こうした機械を使って読むとか読まないとかを論じる以前の段階だと考える。
 読むということについては、紙の本に大きな蓄積がある。書体や行間、文字と文字との間隔、インクの濃さなど快適かつ文化的に読むための本づくりを徹底的に追求してきたわけで、そうした意味で電子書籍が本にとってかわることは不可能だし、今後は両者が共存する方向に進むのが望ましいだろう。だから、紙ではできなかった電子ならではのメリットを生かしてもらいたい。それは、自分でつくれてコピーもできるという点だ。通信を使えば本の世界にはなかった配布ができる。また、映像を中心としたマルチメディア的展開も必要だろう。本ではできない状態をまず確保することが大切だ。いずれにしろまだ未成熟。芽をつぶさずに見守っていきたい。
 ◆ソフトの互換性高めて
 ◇森吉保さん(紀伊国屋書店アドホック店課長)
 購入者の年代は三十代の後半から四十代が中心で男性が多い。はじめはもっと若くなるのではないかと予想していたが驚いている。
 当店が本店とは別の棟に電子出版専用のコーナーを設けたのが二年前。最初は輸入ものもあわせてソフトが三百種類ぐらいしかなく、棚を埋めるのに苦労したが、いまはその三倍近い約八百五十種類を扱うまでになった。また初めはソフトだけを提供していたが、ハードが売れないとソフトも売れないためハードもそろえている。
 売れ筋はこれまでのところ辞書系統。お客さまからは「便利だ」という声が多く寄せられている。ただ、メーカーに対する要望もある。ひとつはハード、ソフトともに安価にしてほしいということ。もうひとつは、電子出版そのものにいろんな方向性があって、何がなんだかよくわからないということ。ソフトの互換性をもっと確保してほしい。

 

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『読売新聞』1993.12.20
[出版最前線](5)インタビュー 法政大学教授・稲増龍夫氏(連載)
東京朝刊
 ◇いなます・たつお 1952年、東京生まれ。法政大学教授・メディア文化論。著書に「アイドル工学」「記号化社会の消費」(共著)、訳書に「大衆文化の神話」など。
 ◆電子書籍 マルチメディア化の流れ、即座に様々な検索
 持ち運びのできるハードを使って、情報を得たり小説を読んだりする「電子書籍」。ハードの面ではこれまでのソニー、松下電器産業、三洋電機に続いて今年新たにNECが参入。来年には富士通もプレーヤーを発売することになっている。ソフトの種類もバラエティーに富んできており、市場が徐々に拡大している。稲増龍夫・法政大学社会学部教授に、電子出版の可能性と課題、漫画など従来の本との関係性などについて聞いた。
 ◆朝刊半年分の情報量
 ――「電子書籍」の現状はどうか。
 ソニー、松下電器産業、三洋電機の三社が販売してきたものは記録媒体にCD―ROMを使用。従来の本とは比較にならない二百メガ・バイト(新聞の朝刊にして約半年分)の情報量を搭載できる。
 百科事典などの情報を一枚のディスクに詰め込めるというメリットの部分から入っていった。つまり「データの圧縮」が電子出版における第一段階だったと見ている。
 第二段階は、ランダムアクセス的なマルチウインドー的なもの。一方向に読むだけでなく、読んでいて気になる個所があったらすぐに検索できること。
 NECからこの十一月、読むことを主たる目的とした機種が出たが、これは業界で言われる「ハイパーテキスト」の機能を重視している。例えば小説を読んでいる時に、わからない単語についてその場で辞書を引いたり、地図を調べたり、登場人物の横顔を振り返ったりすることができる。性格、内容ともに「電子書籍は第二世代に入った」と言えるだろう。
 ◆本が持つ「情感」欠く
 ――これから改善しなければならないことなど課題はどんな点か。
 ハードの重量が重過ぎる。またディスプレーに表示される字の美しさもまだまだだ。
 従来の本は、単に文字を読んで情報を収集するだけでなく、その手触りだとか、活字の美しさ、組み方のおもしろさなどをトータルに楽しめた。電子は情報を伝えるには最適だが、本が持っている「情感」は現状では伝えられない。カラー化や、文字のドットをより細かくするなどの工夫が必要だろう。
 また、文字を読みだすだけでなく、電子手帳にもなればモデムとつないでパソコン通信もできる。そうなった時はじめて、本とは別の選択肢となれるのではないだろうか。
 ――第三の段階はどうなっていくと考えられるか。
 まだまだ未成熟ではあるにしても、これはひとつの流れである。ワープロ文化が確実に発展。またパソコンも少しずつ拡大している。新聞もやがては電子メール化されるのではないかとも言われる。
 やがては、映像、活字、音などすべての情報がデジタル化して一元化されるだろう。その中に電子出版も組み込まれ、電話回線やパソコン通信などとリンクする形でネットワークを形成していく。そうした中で、本とは全く別の情感世界を創造できるかもしれない。
 ――漫画のマルチメディア化が目立つが、電子出版の中で漫画の持つ可能性は。
 その代表的なものが、鳥山明さんの活動だ。「ドラゴン・クエスト」は、映像だけでなくゲームという分野に漫画の可能性を大きく開いたと言える。漫画は表現メディアとしてすっかり定着した。いまや漫画の素材そのものの中に“マルチ”が含まれている。鳥山さんの業績はそれを証明している。だからこそ本としてのポジションを明確にしておく必要がある
 漫画はあのザラザラした紙の質感に魅力がある。漫画本がなくなることはありえない。これは、マルチメディア化が進行してきた時に既存の出版がどう歩むべきかのヒントとなるかもしれない。
(文化部・小谷野直樹記者)

 

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『朝日新聞』1993年12月22日
夕刊
電子出版の新顔 フロッピー、カードに情報(ハイタッチテクノ)
 文房具並みに普及した小型フロッピーディスクを使う電子出版の新顔が登場した。フロッピーの小説や漫画を、液晶画面をもつプレーヤーに送り込んで読む。満員電車でも片手でらくにページを繰ることができる。カード形のメモリーを使った別の電子出版も来年にもお目見えする。
 三・五インチのフロッピーを使うのは、NECが先月、プレーヤーを発売した「デジタルブック」。
 読む画面のついた本体と、フロッピーの読み取り装置は別売りとし、小型にした。
 本体の中身は「小型のパソコンに近い」と、高橋宏・NECソフトウエア戦略専任部長。一、二世代前のパソコンに使われていた十六ビットの中央演算処理装置(CPU)をもち、やはりパソコンと同じMS―DOSという基本ソフトで動く。
 本に当たるフロッピーには、個々の著作物である文章や画像のデータ以外に、本体の画面にその内容を表示させるのに共通に使う表示ソフトも入っている。
 まずフロッピー装置で、フロッピーの中身を本体に読み取らせる。その情報は、一メガバイトの容量をもつファイルメモリーに収められる。このメモリーは、電源を切っても内容は消えない。
 本体には別に、高速で情報を出し入れする主メモリーがついている。ファイルメモリーの中身のうち、本体の電源を入れると、著作物データの数十ページ分と表示ソフトとが、主メモリーに転写され、表示が始まる。それ以降のデータは読み進むにつれ順次、主メモリーに転写される。
 表示ソフトは、特定の語句が目立つよう印をつけたり、逆に画面から消したりする機能もある。例えば単語の意味や歴史上の年代を消して、記憶を確かめるときに便利だ。印をつけた位置を元のフロッピーにも記録できる。
 出版物としてのデジタルブックは、朝日新聞の天声人語や漫画ペエスケ、集英社のイミダスなど現在、約三十本。来年二月には約百三十本に増えるという。自分でフロッピーの本を作れる編集ソフトも売り出される予定だ。
 出版されたフロッピーをパソコンで読んだり、パソコンのフロッピー装置でデジタルブックのプレーヤー本体に読み取らせることもできるが、そのパソコンはNECの98シリーズに限られる。
 一方、富士通はメモリーカード式の小型読書機「携帯ビューアート(仮称)」を来年にも発売する予定。単独で記憶を保つメモリーのSRAMを使ったカードを、本体上部に直接差し込んで読む。
 どんな著作物が出るか決まっていないが、問題はSRAMの値段。「メモリー自体の値段は、同じ容量のフロッピーよりひとけたほど高い。通信でデータを送り、同じカードを繰り返し使う販売方法なども検討中」と同社広報室。
 携帯用の電子出版では、直径八センチのコンパクトディスク(CD)を使うソニーなどの「電子ブック」が先駆け。
 フロッピーは一枚に、三百ページの文庫約三冊分の情報が入る。CDはその約二百倍、広辞苑が六冊半入るほどの容量がある。手軽な出版には向かないが、「マルチメディア化が進めば、動画や音が豊富に入るCD版が主流になる」とみる出版関係者もいる。


*作成:植村 要
UP: 20100706  REV:
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