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(男女)同一(価値)労働同一賃金

Equal Pay for Equal Work / Pay Equity

last update:20100624
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★→◆均等待遇/ワークシェア・2010−


■トピック

「 1)ペイ・エクイティと女性運動
 アメリカを発端として、欧米先進国では、80年代から性別職務分離によって低く評価された女性職の再評価と男女賃金格差是正を目的としたペイ・エクイティ運動が展開された。女性職とは看護師、保育士、事務職、サービス業など女性が70%以上を占める仕事を意味し、男性職はトラック運転手、建築・土木の技術者、配管工など男性が70%以上を占める仕事である。このように職種が異なる場合は、「職務の価値」に焦点を当てた職務分析と評価が必要である。とりわけ女性職と見なされてきた職務の価値に注目することが重要であり、分析も評価もあくまでジェンダーニュートラル(性に中立)に行うことが前提となる。その職務に誰が従事しているかではなく、職務そのものの評価である。
 労働組合活動はこれまで世界的に男性主導であったため、本工主義の労働運動では、エネルギーや交通、建設業など基幹的な職域で多数派を占める男性を基準とした賃金要求だけに留まっていた。賃金は「職務や仕事の価値」とは無縁の属性や学歴及び資格、体力などを判断材料とし、女性職と位置付けられる職務の価値を認めようとしなかった。また、ほとんどの職場ではジェンダーバイアスの強い男性管理職の個人的な裁量で生涯賃金が決定されてきた。
 アメリカのフェミニスト(CLUW・労働組合女性連合)たちによるペイ・エクイティ運動は、80年代から公務部門で実績を上げ、既存の男性主導の労働組合運動を変え、労働運動フェミニズムとして定着した。アメリカでは、ペイ・エクイティ運動を労働組合(AFL・CIO)が方針とし、展開することで組織率を急速に上昇させたという。またカナダでは1987年にペイ・エクイティ法を立 <003< 法化し、民間、公務を問わず使用者にその実行を期限付きで義務付けた。
 一方日本のペイ・エクイティ運動はスタート地点に立ったところだが、今後の大きな課題として既存の労働組合に積極的に提起し、あくまで公正と平等を追求するフェミニズム運動との連携によって新しい労働運動を構築する必要がある。」(屋嘉比[2008:3-4]*)
*屋嘉比ふみ子 20080620 「なぜ低い!女の賃金」,『女のスペースおん通信』166:1-5(特集:女性と貧困(2))

★“ペイ・エクイティ ☆ コンサルティング・オフィス PECO”(代表:屋嘉比 ふみ子)
http://www7b.biglobe.ne.jp/~peco09/
「【設立主旨】
 90年代後半から非正規雇用が拡大し、ワーキング・プアの増大による「貧困」が社会問題化していますが、「貧困」層の多くを女性が占めています。男女格差のみならず、非正規労働者の均等待遇を実現するために、ILO100号条約に則った「性に中立で公正な職務評価制度」の確立は、喫緊の政治的な課題です。企業側も、公正な雇用を実現するために「職務の価値」という概念を基準に均等待遇を企業理念とし、速やかに具体化すべきです。
 法制度の改善や立法化と合わせて、労働者が職務評価を当たり前の手法として労働現場で日常化し具体的に運用するために、ワークショップやガイドブックなどを活用しながら、ペイ・エクイティを普及していくことがPECO設立の目的です。」



■トピック(本)

◆ペイ・エクイティ(同一価値労働同一賃金)の実践講座ハンドブック
 『職務評価して均等待遇を実現しよう!』 *300円で頒布中
 
http://kinto.blog52.fc2.com/blog-entry-36.html
 ★均等待遇アクション21京都
 http://kinto.blog52.fc2.com/

◆屋嘉比ふみ子 20070920 『京ガス男女賃金差別裁判 なめたらアカンで!女の労働――ペイ・エクイティを女たちの手に』,明石書店 288p. ISBN-10: 4750326232 ISBN-13: 9784750326238 1890 [amazon][kinokuniya][明石書店]
◆Blum, Linda M.(リンダ・ブルム) 1991 Between Feminism and Labor: The Significance of the Comparable Worth Movement, University of California Press
=19960714 森ます美・居城舜子・川東英子・津田美穂子・川島美保・中川スミ・伊藤セツ・杉橋やよい 共訳,『フェミニズムと労働の間――コンパラブル・ワース運動の意義』,御茶の水書房,303+29p. ISBN-10: 4275016327 ISBN-13: 9784275016324 5460 [amazon]

◆竹中恵美子・久場嬉子編 19940310 『労働力の女性化――21世紀へのパラダイム』,有斐閣選書
  「男女同一価値労働同一賃金原則」(pp.195-203)
◆竹中恵美子 19911030 『新・女子労働論』,有斐閣選書
  「コンパラブル・ワース(同一価値労働同一賃金)をめぐって」(pp.198-202)



■記事

◆「コース別賃金」は違法、兼松に差額賠償命令 東京高裁
 (2008年02月01日01時26分 asahi.com >社会 >裁判)
http://www.asahi.com/national/update/0201/TKY200801310359.html
◆同じ仕事、パートも正社員も同一時給…りそなHD改革案
 (2008年1月31日3時11分配信『読売新聞』)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080131-00000003-yom-bus_all
◆屋嘉比ふみ子(均等待遇アクション21大阪・京都) 20080101 「非正規労働者の賃金是正に効果的手法」(連載@:ペイ・エクイティ(同一価値労働同一賃金原則)の実践から均等待遇を),『労働情報』734・5(2008-01-01/15):4-9
http://blogs.yahoo.co.jp/rodojoho05/51765071.html
◆給与いくらが適正? 「同一価値労働に同一賃金を」――関西の女性ら「物差し」作り
 (2007年10月24日『朝日新聞』大阪版朝刊15〔生活〕面)
 ▽裁判で使われた例も ▽英や加、すでに立法化
 *〈均等待遇アクション21京都〉主催の「1時間でできるカンタン職務評価」講座に関する記事
◆男と女 賃金格差大国 日本――同一価値労働同一賃金へILO「法律を」
 (2007年10月26日『朝日新聞』大阪版朝刊3面《あしたを考える》)
 ▽政府「労基法で整備済み」 ▽コース別人事隠れみの ▽職務給転換に落とし穴
 *編集委員・竹信三恵子による記事
◆丸尾拓養(弁護士) 20061220 「均衡処遇と均等待遇」([連載]法的視点から考える人事の現場の問題点)『NIKKEI NET − BizPlus』
 http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/maruo2.cfm?i=20061218ja000ja&p=1
◆「職場の男女差別/住金和解の教訓生かそう」
 (2006年5月11日『神戸新聞』社説)
 http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0000029224.shtml
◆200512/200601 《特集:屋嘉比さんおめでとう そして お疲れさま――京ガス男女賃金差別裁判和解勝利報告》,『働く女性の人権センター いこ☆る』7:2-16
 http://homepage3.nifty.com/hatarakujosei/kikansi/7kyougasu.html
◆20030217 「均等待遇の法制化と組織化推進の取り組みを確認」(『WEEKLYれんごう』通巻第603号)
 http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/weekly/no603/03.html
◆20030217 「均等待遇」の判断基準と実践の方法(『WEEKLYれんごう』通巻第603号別紙)
 http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/weekly/no603/03_a.html
◆「(辛口レビュー)画期的な判決を勝ちとる 屋嘉比ふみ子さん(京ガス/男女賃金差別裁判の原告):なめたらアカンで!「女の労働」――どの職場にも「同一価値労働同一賃金」の実現を!」,『ACT――市民の政治』162号(2002年1月28日)
 http://www.jca.apc.org/act/162.html



■論文

◇2005/夏 「同一価値労働同一賃金 男女の賃金格差は開いている!? 同一価値労働同一賃金は当然のことなのに……」,『女も男も』104: 6-13(季刊「女も男も」編集委員会編)
◇林弘子 200401 「男女間賃金格差をめぐる法的問題――同一価値労働同一賃金原則と男女コース別雇用管理制度を中心に」,『女性労働研究』45: 22-36(女性労働問題研究会)
◇中窪裕也 2003 「男女コース別処遇による賃金格差の違法性」,『ジェリスト』1258:195-198
◇田中光雄 20020815 「男女間の同一価値労働・同一賃金の推進」,『連合国際レポート』16:20-24(日本労働組合総連合会総合国際局)
◇屋嘉比ふみ子 2001 「(インパクト・レヴュー)Politics & Action 男女賃金差別を問う京ガス裁判が勝訴――同一価値労働同一賃金の実現に向けて」,『インパクション』127:231-234
◇木村愛子 200003 「カナダにおける労働市場の変容と男女同一価値労働同一賃金法制の課題」,『早稲田法学』75(3):99-117
◇山田和代 199901 「労働組合婦人部の「男女同一労働同一賃金」要求――高度成長期の総評婦人対策部を事例として」,『筑波大学経済学論集』 40:35-75
◇山田省三 199701 「男女同一労働同一賃金原則の発展」,『月刊労働組合』368:14-17
◇伊藤セツ 1997 「男女同一賃金――ジェンダーと階級」,『社会政策学会年報』41:156-159
◇木村愛子 199605 「カナダにおける男女同一価値労働同一賃金法制の展開と課題(1)」,『季刊労働法』178:82-104(総合労働研究所)
◇浅倉むつ子 199412 「男女同一賃金原則における同一「価値」労働評価について(下)イギリス同一賃金法の研究」,『東京都立大学法学会雑誌』 35(2):27-66
◇浅倉むつ子 19941025 「イギリス 男女「同一価値労働同一賃金」原則と職務評価制度――イギリスの同一賃金法における女性差別賃金の是正」,『賃金と社会保障』1140:4-11
◇浅倉むつ子 199407 「男女同一賃金原則における同一「価値」労働評価について(上)イギリス同一賃金法の研究」,『東京都立大学法学会雑誌』 35(1):55-88
◇1993 「(特集)男女同一賃金」,『女性労働』18:21-48(婦人労働研究会)
◇高島道枝 1993 「男女の賃金格差と「同一価値労働同一賃金」運動」,『社会政策学会年報』37:59-87
◇斎藤秀吉 199306 「「同一価値労働同一賃金」をめぐって――「職務評価」=職務給導入論の害悪」,『労働運動』335:121-132(特集:独占の女性労働者「戦力化」策)
◇米沢幸悦 199304 「女性の差別賃金是正のたたかい――「同一価値労働同一賃金」について」,『労働運動』333:192-206
◇山田郁子 199207 「男女賃金格差と職務職能給――実態と同一労働同一賃金の要求(女性が働くとき)」,『労働運動』323:184-193
◇松尾邦之 19920125 「国際労働条約<ILO100号条約・90号勧告>にみる男女同一価値労働同一報酬原則」(女性労働問題研究・21),『賃金と社会保障』1074:055-061
◇林弘子 1990 「男女賃金差別と現行法制の限界と矛盾」,『季刊労働法』157(総合労働研究所)
◇ホーン・川嶋瑶子 19880301 「男女同一価値労働同一賃金(コンパラブル・ワース)に動く米国――雇用機会の平等から賃金の平等へ」,『エコノミスト』66(10):72-77
◇渡辺圭 19860909 「非伝統的職業開拓へ,米国女性の奮闘――同一価値労働,同一賃金を求めて」(アメリカ感傷リポ−ト),『エコノミスト』 64-38:050-057
◇平實 19830115 「男女同一労働同一賃金の欺瞞」,『大阪経大論集』151:23-37
◇浅倉むつ子 19760210 「賃金差別と女子労働者の権利――男女同一賃金原則を軸に」,『労働法律旬報』897:44-50
◇黒川俊雄 19751125 「男女同一労働・同一賃金実現のために――国際的経験に学ぶ」,『賃金と社会保障』686:6-13
◇桜井絹江 19741225 「男女同一労働同一賃金のたたかいをすすめるために」,『賃金と社会保障』664:10-18
◇ねじめまさこ 19741225 「男女同一労働・同一賃金のたたかいをすすめるために(婦人労働問題研究会第5回シンポジュウムのまとめ)」,『賃金 と社会保障』664:61-64
◇西口一郎 197411 「生活実感と男女同一賃金を――ゼンセン同盟第30回定期大会」,『労働運動』107:93-99
◇越沢とみ子 19730301「男女の賃金差別と男女同一賃金の原則(東京・品川地区労働問題研究会(5))」,『労働経済旬報』885:28-30
◇木村愛子 196603 「アメリカにおける男女同一労働同一賃金立法」,『東京女子大学社会学会紀要 経済と社会』1:59-84
◇舟橋尚道 196210 「男女同一労働同一賃金の原則の理論と課題」,『日本労働協会雑誌』4(10)
◇川崎文治 196110 「現段階における「男女同一賃金」の問題――法制的背景への管見」,『経営と経済』41(3)(長崎大学経済学会)
◇黒川俊雄 196001 「同一労働同一賃金要求の中心は男女差撤廃である」,『月刊総評』33(日本労働組合総評議会)
◇黒川俊雄 195901 「男女同一労働同一賃金の原則のための斗い」,『月刊総評』24(日本労働組合総評議会)
◇石上実ほか 195807 「男女同一賃金をすすめるために」,『婦人と年少者』6(8)(婦人少年協会)
◇田辺照子 195704 「男女賃金格差と同一労働、同一賃金原則の問題点(1)」,『明治大学短期大学紀要』1(明治大学短期大学)
◇竹中恵美子 195310 「男女賃金格差と男女同一労働同一賃金原則についての一考察」『経済学雑誌』29(3・4):29-64(大阪市立大学経済学会)
◇藤本武 195102 「男女同一労働同一賃金の意味」,『労働の科学』6(2):8-15(労働科学研究所出版部)
◇195005 「男女同一賃金の実情」,『労働時報』3(5):31-33(厚生労働省広報室編)
◇谷野せつ 194907 「男女同一賃金について」,『雇用研究』3(7):9-13(雇用問題研究会)
◇労働者婦人少年局編 194904 「男女同一賃金の実情」,『労働時報』2(4):30-32(厚生労働省広報室編)



■本(上記のもの除く)

◇山下東彦 200510 『戦略としての労働組合運動――能力主義・成果主義・同一労働同一賃金』,文理閣
◇森ます美 200506 『日本の性差別賃金――同一価値労働同一賃金原則の可能性』,有斐閣
◇日本労働協会編 200506 『男女同一賃金』,日本図書センター
 *戦後女性労働基本文献集 / 藤原千賀・武見李子編集:7(第1期)――「婦人問題」にみるはたらく女性
◇北九州市立男女共同参画センター“ムーブ”編 200403 『女性と労働』,明石書店,ムーブ叢書:ジェンダー白書2
◇京ガスの男女賃金差別裁判を支援する会「きりの会」 200201 
『京都地裁判決[平成10年(ワ)第1092号事件]および森ます美教授意見書――ペイ・エクイティの実践』,連絡先:おんな労働組合(関西) 66p. 525 ⇒[WOMEN'S BOOK STORE]
◇ペイ・エクイティ研究会 19970331 『商社における職務の分析とペイ・エクイティ』(1996年度東京女性財団女性研究),ペイ・エクイティ研究会 111p. 1200(送料310円)
◇中島通子・山田省三・中下裕子 199412 『男女同一賃金』,有斐閣,有斐閣選書175
◇199202 『賃金・家事使用人』,クレス出版
 *戦後婦人労働・生活調査資料集第16巻労働篇
◇1989 『婦人労働研究』15《特集:女性の雇用管理と均等法》(婦人労働問題研究会)
◇197806 『婦人労働者の賃金と雇用』,労働旬報社(講座現代の婦人労働 / 黒川俊雄ほか編1)
◇岸本英太郎編 196212 『日本賃金論史――年功賃金論と同一労働同一賃金論』,ミネルヴァ書房,社会科学選書34
◇岸本英太郎 196206 『同一労働同一賃金――その理論と政策序説』,ミネルヴァ書房,社会科学選書30
◇労働省婦人少年局編 196110 『男女同一価値労働同一賃金はどのようにして実現することができるか――第10回婦人労働問題研究会議(5)』,労働省婦人少年局,婦人労働資料第84号
◇労働省婦人少年局編 196101 『男女同一賃金問題関係資料集――第10回婦人労働問題研究会議資料(1)』,労働省婦人少年局,婦人労働資料第 80号
◇日本労働協会編 196109 『男女同一賃金』,日本労働協会,JIL文庫15
◇労働省婦人少年局編 196109 『男女同一賃金』,労働省婦人少年局,パンフレット,No.49
◇労働省婦人少年局編 1951 『男女同一賃金の実状――昭和二十五年における労仂基準法第四條違反を中心として(1)』,労働省婦人少年局,婦人労働 資料第12号
◇労働省婦人少年局編 195103 『男女同一労働同一賃金について――中央婦人問題会議労働委員会記録(9)』,労働省婦人少年局,婦人労働資料 No.6
◇国際労働局同局日本駐在員編訳 1949 『男女同一労働同一賃金』,国際公論社,ILO叢書No.2
◇195*(?) 『男女同一賃金の実情について』(謄写版),労働省婦人少年局


*作成:村上 潔
UP:20060805 Rev:0809, ……20070302, 0405, 0810, 1112, 1217, 20080201, 0215, 1009, 20100514, 0624

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