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「障害者自立支援法」2011
【新聞記事】


last update:20111201

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■「障害者自立支援法」2011【新聞記事】


◆精神障害者も運賃の割引を 考える会、1万人超署名 /長野県
(2011年02月01日 朝日新聞 朝刊 長野東北信・1地方 033)
 精神障害者の交通運賃を割り引いて――。当事者や家族らの団体でつくる「県障がい者の地域交通網を考える会」が先月、運賃の割引を訴える署名活動をしたところ、約1万3千人分が集まった。今後、この署名を添えて、県知事への陳情や県議会への請願を行う予定だ。
 身体・知的障害のある人は交通機関で各種割引があるが、精神障害者に対してはまだ一般的でなく、県内では路線バスのみにとどまる。
 「障害の種類にかかわらずサービスの一元化をうたった『障害者自立支援法』の施行後も、不平等がある」と、考える会代表の山本悦夫さん。山本さんが会長を務めるNPO法人が一昨年、精神障害のある人を対象にした長野電鉄の運賃に関するアンケートでは、73%が運賃が「高い」と答えた。作業所での工賃より通勤代が高くつく例や、出費を気にして外出や通院を控える傾向も明らかになった。
 そこで県内の関係15団体で「考える会」を結成。先月、街頭で署名活動などを行った。
 同様の活動は全国各地であり、北海道議会のように、割引適用を国に求める意見書が可決された例もある。県内関係者は「長野でも声を上げることで活動の輪を広げ、全国一律の制度を実現させたい」と話している。
 県内で、精神障害者保健福祉手帳を持っている人は現在、推計約1万5千人。
 (佐藤美千代)


◆[あんしん教室]障害児 放課後どう過ごすの 施設で発達訓練や遊び 
(2011.01.25 読売新聞 東京夕刊 安心A 07頁)
 障害のある子どもたちは、放課後をどこで、どのように過ごしているの?
 友達と遊べず、家でテレビを見て過ごしがちな障害児の放課後を、充実したものにしようと実施されているのが放課後活動だ。事業所の形態は様々で、障害者自立支援法による「児童デイサービス」、「日中一時支援」のほか、自治体独自の補助事業もある。特別支援学校や小、中学校からマイクロバスで移動したり、保護者の送迎で施設に通う。発達訓練や集団遊び、地域交流など活動内容は様々。
 厚生労働省は児童デイサービスの目的を「日常生活の基本動作の指導、集団生活への適応訓練」とし、活動に専門性を求める。1型と2型があり、学齢児が3割以上の2型が主に放課後活動を担う。子ども1人1日当たりの報酬(2型定員11〜20人で4650円)が事業所に支払われ、利用者負担は費用の1割が原則。
 日中一時支援は、保護者の就労時や休息のための預かり、見守りが主体。自治体により基準が違うため、住む場所で負担額は異なる。
 自治体独自の補助事業は都市部に多い。東京都は子ども1人に年間79万円(定員8〜19人)を拠出。小平市の「ゆうやけ子どもクラブ」(村岡真治代表)の場合、「利用者負担は月1万円程度」という。
 児童デイサービスには、1日の利用定員があり、登録しても十分な日数利用できない利用者の不満も。しかし、定員が多い事業所は、1人あたりの報酬が低く設定される仕組みのため、経営が苦しくなるというジレンマがある。
 日中一時支援は報酬が低く、自治体独自事業は待機児が多いという課題がある。
 このため、新しい受け皿作りを目指し、昨年12月、自立支援法等が改正され、「放課後等デイサービス」が来年4月に導入されることになった。厚労省は「活動内容や報酬面で事業所が活動しやすい制度にしたい」としている。
 しかし、現場には困惑も。法改正に伴い都は独自事業廃止を決め、事業所に放課後等デイサービスへの移行を求めた。制度内容が未定のままの移行に不安があるため、事業所が集う「放課後連・東京」は昨年末、事業継続を求める署名を都に提出した。利用者、事業所に不安のない制度作りが求められる。(梅崎正直)


◆寄付:「タイガーマスク、うちにも来た」 養護施設の子供、喜びかみしめ
(2011.01.15 毎日新聞 西部夕刊 6頁 社会面)
 ◇補助金で購入困難な玩具に「感謝」 障害児にも支援の輪
 社会現象と化した、漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人などを名乗る善意の贈り物は、主に全国の児童養護施設に届けられた。漫画が描かれた高度経済成長期には孤児院と呼ばれたが、今は虐待などさまざまな事情を抱える子供たちが親元を離れて暮らしている。多くは社会福祉法人などが設立した民間施設で、厳しい経済情勢の中、国や自治体の補助を受けながら何とか運営を続けているのが実情だ。【夫彰子、神足俊輔】
 2〜18歳の子供97人が暮らす福岡市早良区の児童養護施設「福岡子供の家」。12〜13日、「伊達直人」名でノートや鉛筆が郵送されたり、お菓子を詰めた段ボール箱が玄関先に置かれていたりと、5件の贈り物があった。テレビなどで「タイガーマスク」の存在を知っていた子供たちは「うちにも来たんだ」と喜びをかみしめたという。副施設長の松崎剛さん(41)は「こうした施設で暮らす子らに思いをはせ行動してくれた。その気持ちがうれしい」と話す。
 児童養護施設は児童福祉法に基づき、親の死亡や病気、家庭の経済事情などで親と暮らすことが困難な子供が入所する。厚生労働省によると、09年10月時点で全国に563カ所、2万9753人が生活。子供の年齢や人数に応じて国や自治体からの補助金で運営され、子供には数千円のお小遣いも渡されるが、施設が購入する物は行政側の厳しいチェックが入る。玩具などを買い与えるのは困難という。
 このため多くの施設が、補助金に加え支援者の寄付で支えられている。松崎さんは「タイガーマスクはもちろん、今まで応援し続けてくれた方たちへの感謝でいっぱいです」。「伊達政宗」の名で帽子や人形が贈られた東京都北区の「星美ホーム」の山本英人副園長(58)も「何でも買ってあげるわけにはいかない。(贈り物は)施設のお金では買えないものばかり」と語る。
 贈り物は障害のある子供たちの施設にも届いている。目や耳が不自由な子供が入所する福岡市早良区の「新開学園/生明学園」には12日朝、玄関脇に現金1万円や学用品が入った袋が置かれていた。添えられた手紙には「未来で活躍できるようになって下さい」。漫画「あしたのジョー」の主人公にちなんでか「西の矢吹丈より」と書かれていた。
 障害児施設は、06年完全施行の障害者自立支援法で、多くが施設利用料の原則1割などを自己負担しなければならなくなった。不況の中、世帯によっては利用料の支払いが滞りがちで、児童養護施設以上に運営は厳しい。「新開学園/生明学園」の村上宣仁施設長(63)は、温かな贈り物に「心からありがとうと言いたいです」としみじみ語った。


*作成:堀 智久渡辺 克典・有松 玲・竹林 義宏
UP: 20111201 REV:
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