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東日本大震災 障害者関連報道 2012年9月

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災害と障害者・病者:東日本大震災

 last update:20121127
新聞記事見出し

新聞記事本文
◇東日本大震災:仙台市災害義援金、第3次配分先決定 /宮城
(2012.09.29 毎日新聞地方版/宮城) 

 仙台市災害義援金配分委員会は28日、東日本大震災で同市に寄せられた義援金の第3次配分先を決めた。震災時に20歳未満だった人のうち、両親を亡くした6人に80万円、片親を亡くした126人に40万円を追加で配る。
 義援金は14日までに10億6657万7278円が寄せられ、今回は未配分の6187万7278円のうち、約5500万円の使い道を決めた。市は義援金の受け付けを今年度末まで延長する。
 市はこれまで、遺児に50万〜100万円を配分したほか、津波浸水地域の全壊世帯や、障害者と暮らす被災者らに義援金を配っている。【金森崇之】


◇帰宅困難者対策訓練:多摩市で実施 /東京
(2012.09.27 毎日新聞地方版/東京) 
 多摩市で26日、災害時に大量に発生するとみられる帰宅困難者の対策訓練があった。東日本大震災では、市内で約1000人の帰宅困難者が発生したことを受けて実施した。震災後の帰宅困難者対策訓練は多摩地域では初めてという。
 午前9時25分に震度6強の多摩直下地震が発生し、公共交通機関が停止したとの想定で実施。多摩センター駅では周辺の12事業所の社員らが帰宅困難者役を務めるなど計115人が参加した。
 帰宅困難者役で参加した横山陽(きよし)さん(63)は「東日本大震災の時は3時間ほど歩いて自宅まで帰った。受け入れ施設と鉄道会社などの情報伝達を万全にしてほしい」。飛び入りで参加した会社員、滝沢威晴さん(27)は「懐中電灯と食料は常に携帯している。高齢者や障害者の訓練も実施してほしい」と話した。【小林利光】


◇障がい者災害対応マニュアル:14団体、策定へ意見交換−−県、年度内策定方針 /岩手
(2012.09.26 毎日新聞地方版/岩手) 
 東日本大震災の教訓を踏まえた県の新たな「障がい者災害対応マニュアル」策定に向けた関係団体による意見交換会が25日、盛岡市で開かれた。
 県はこれまで、身体、知的など障害別に避難時の課題や対策について記述したマニュアルを策定していた。しかし震災時にはほとんど有効に活用されなかったことから、被災した障害者の支援などを目的に発足した県社協「いわて障がい福祉復興支援センター」に新マニュアルの策定を委託した。
 この日の意見交換会はセンターが主催。県知的障害者福祉協会など14団体が参加した。
 参加者からは震災での課題として、障害者が健常者と同じ避難所で長期間の集団生活を強いられさまざまな困難が生じたことから、障害への理解や専門性のあるスタッフを配置する「福祉避難所」の整備の必要性などが指摘された。また、障害者が避難するためには地域住民の協力が不可欠なことから、地域と一体となった対応マニュアルを策定すべきだとの意見も出された。
 同センターの小田原照雄所長は「震災では特別な配慮が必要な方々に十分対応できず、大きな課題が残された。意見を踏まえながら障害者の目線で有効なマニュアルを作りたい」と話した。県は、年度内のマニュアル策定を目指したいとしている。【金寿英】


◇災害避難所:バリアフリー化5市町 要援護者の対策進まず 整備中16、検討中12 /埼玉
(2012.09.25 毎日新聞地方版/埼玉) 
 「県障害者社会参加推進センター」(さいたま市浦和区)は、災害時の避難行動などで支援が必要な障害者や高齢者ら「災害時要援護者」の対策について、県内の全63市町村を対象に実施した調査の結果をまとめた。回答した51市町のうち、避難所をバリアフリーに整備したのは5市町(9・8%)にとどまっていた。東日本大震災では、障害者や高齢者の逃げ遅れがあったとみられており、同センターは早急な施設整備と対策の強化を求めている。
 災害時要援護者は、障害者や高齢者のほか、外国人、乳幼児、妊婦らを指し、04年の新潟県中越地震や各地の豪雨災害で多くの被害者が出たことから対応が課題になった。東日本大震災を踏まえ、調査は今年2〜4月、県内の対策の現状を探ろうと実施した。
 避難所のバリアフリー状況を尋ねたところ、「整備を進めている」が16市町(31・3%)、「整備を検討中」が12市町(23・5%)に上り、整備が進んでいない実態が浮き彫りになった。同センターは「障害者の場合、車いす用トイレやスロープなど避難場所がバリアフリーになっていないと生活するのが困難」と注意を促した。
 災害時要援護者への連絡手段(複数回答)については、「防災無線」の48市町(94・1%)が最多で、「自治会・民生委員」の39市町(76・4%)、「広報車」の35市町(68・6%)、「ファクス、メール、携帯(電話)など」の26市町(50・9%)――などと続いた。同センターは「障害者の場合、それぞれの障害の状況によって(情報の入手方法が)異なる。丁寧な情報提供が求められる」と指摘している。【木村健二】


◇(ジャイアンのこの指止まれ)自然災害時の避難生活 山下博史 /山梨県
(2012年09月20日 朝日新聞朝刊 山梨全県・2地方)
 今回は、自然災害時の避難生活について書く。
 最近は、東海地震など大きな被害をもたらす自然災害の発生に備え、県内でも避難所運営委員会や運営準備委員会といった組織ができつつある。これらの組織の設立準備や設立後の会合に招かれ、アドバイスする機会が増えているが、正直に言って、災害が発生したときに委員会がスムーズに機能するかどうか不安だ。それは、当事者が「いざとなれば、なんとかなるら」と、災害発生直後の混乱を甘く見ているからだ。
 地震や風水害、噴火が起きたとき、もっとも一般的な避難施設は、学校の体育館などの公共施設、指定避難所だ。さらに、高齢者、障害者、妊婦、乳幼児らを対象とした福祉避難所や、近隣住民が自主的に運営する避難所がある。一方で、ライフラインは停止しているものの自宅で過ごせる在宅被災者もいる。自力で遠くに逃げるのでない限り、災害時の対応は大きく分けると、以上の四つになる。
 では、実際の避難生活とはどんなものか。
 災害が起きてしまった後で多くの住民が不安感やパニック状態に陥っている場合は、窓ガラスが割れていようが人々は施設の中に入ってくる。発生直後は自治会ごとのようなコミュニティーに配慮した区割りはできない。避難所利用者名簿の作成も困難だ。悲しい現実だが、他人のことなどお構いなしの自分勝手な人が優位な場所を確保するところを何度も見てきた。
 避難所生活を始めて2〜3日すると、乳幼児の泣き声、歯ぎしり、寝言、イビキが気になり、場合によっては入所者同士の争いの原因となる。おむつのにおいが気になり始め、争いばかりか、追い出しの原因ともなりかねない。
 避難所でプライバシーに配慮したはずの世帯単位の仕切りは、立ってしまえば中が見えるものが多い。冬は風よけ効果もあるので良いが、夏は風通しが悪くなり、場合によっては熱中症にもなりかねない。
 避難生活が長引くと、教育施設の場合、教室まで避難スペースとして利用されてしまうため、授業の再開も難しくなる。市町村職員が避難所に入所していれば、24時間、苦情の受付係、おわび係になってしまうケースもある。女性の着替えや授乳の問題、数え上げればキリがない。これらの課題や問題に対処する唯一の方法は、事前に話し合い、備えて、なおかつ、地域住民に周知しておくことだ。そうすれば、必ず解決できる。
 福祉避難所については、行政の縦割りが福祉部門と災害対策部門の連携を阻んでいるように思えてならない。どんなレベルの施設にすべきか、各機関が真剣に情報の交換に取り組む必要がある。一方、自主的に作った避難所を利用している人はその場所と利用人数を、在宅被災者は自宅で避難生活をしていることを、それぞれ自治会の役員に必ず伝えること。黙って助けを待っていると、情報や救援物資が届かない。
 念を押しておきたい。個人、地域、行政のすべてが自分のこととして真剣に考え、災害に備えてほしい。
 (やました・ひろし NPO法人 災害・防災ボランティア未来会代表)


◇ハザードマップ:津波9.93メートル予想、松江・七類地区 松江高専学生が作成へ−−きょうから避難経路歩き /島根
(2012.09.19 毎日新聞地方版/島根) 
 国立松江高専(松江市西生馬町)の学生らが19日、松江市美保関町の七類地区でハザードマップの作成を始める。大地震に伴う津波が起きた際、高齢者や体の不自由な人が避難にかかる時間や経路などを盛り込む。今年度中を目標に完成させ、地域の防災に役立ててもらう。【目野創】
 七類地区には、県の津波シミュレーションでマグニチュード7・85の地震が発生した場合、最大9・93メートルの津波が予想されている地点がある。現在約400世帯が住み、高齢化も進んでいる。
 ハザードマップを作成するのは、災害社会工学が専門の浅田純作教授(49)の研究室に所属する学生6人。まず、地区内の道路の幅や傾斜を一つ一つ計測。学生たちは高齢者の足取りを体験するため、重りがついたチョッキや特殊な眼鏡をかけて避難経路を実際に歩く。避難所までの時間を計測してデータを集め、高齢者や車椅子利用者、視覚障害者といった避難者別に、逃げるための時間や経路などを示したハザードマップを作る。
 また、地区内の全世帯を対象にアンケートも行う。避難勧告などが流れる屋外スピーカーが良く聞こえるかなどを問い、ハザードマップに避難の問題点を反映させる。
 同高専5年の渡辺祥平さん(20)は「社会でしっかり活用できるハザードマップを作りたい」。浅田教授も「もしもの時に1人でも多くの人が助かるように準備していきたい」と話している。


◇要援護者へネックレス 鈴鹿市が配布 救急活動時、情報確認=三重
(2012.09.18 毎日新聞中部朝刊 北勢)
 外出先で倒れた高齢者や障害者らの救急活動に役立てようと、鈴鹿市は災害時要援護者台帳の登録者を対象に、「救急情報ネックレス」を無料配布している。
 ネックレスを希望すると、持病や掛かり付け医など本人の医療情報が台帳に登録される。ネックレスはシリコン製で登録番号が印字されており、119番する際に番号を伝えれば、本人の情報が分かる仕組み。12日には市内の喫茶店で70歳代の女性が体調不良を訴え、来店者が番号を通報して迅速な救急活動につなげた。
 6月から民生委員を通じて希望者を募り、今年度は計400人に配布する予定。現在、同市庄野、稲生、鈴峰の3地区で希望者を募集している。台帳登録者は5693人(昨年10月1日現在)で、市では「継続的にネックレスの利用者を広げていきたい」としている。
 問い合わせは市消防本部消防課(059・382・9155)。


◇県視覚障害者福祉大会:支え合う夫婦に光 彦根の加藤さんら表彰 /滋賀
(2012.09.15 毎日新聞地方版/滋賀) 
 目が不自由でも暮らしやすい社会を願い、3年に1度開かれる県視覚障害者福祉大会が14日、野洲市の野洲文化ホールで開かれた。県視覚障害者福祉協会(田澤勝男会長)から、援護功労者や結婚40年以上となる視覚障害者の夫婦に「寿賞」などの表彰式があった。彦根市のマッサージ師、加藤由紀さん(70)は、同じく視覚障害のある夫二郎さん(71)と寿賞に輝き、全盲で自立した模範者として、田澤会長から表彰された。【前本麻有】
 加藤さんは、はしかにかかった3歳ごろ、視力を失った。小学1年生から家族と離れ滋賀県立盲学校で寮生活を始めた。卒業後は名古屋の治療院に務め、二郎さんと出会い、71年に結婚。78年に彦根市の自宅で治療院を開業した。ずっと離れて暮らしてきた母・沢ヤスさんと同居したが、ヤスさんは60歳ごろからパーキンソン病を患っていた。当時は現在のような治療法もなく、次第に硬く、動かなくなる母の手足などをマッサージし続けた。
 「こうして手に職をつけ夫と生活ができる。生んでくれた母への感謝を込めて、私なりの介護を」と、81年6月に70歳で亡くなるまで毎日、母の身体をもみ、さすった。「いろいろ苦労もあったけど、夫や近くに住む姉たちが支えてくれて本当に幸せ。通院者も減ってきたので、そろそろピアノに挑戦してみたいわ」と柔和な笑顔を見せた。
 大会は災害時の緊急速報など音声解説の整備や補助犬の受け入れ推進などを求める決議をして終了した。


◇災害支援バンダナ:聴覚障害者支援、蕨でも350枚作製 /埼玉
(2012.09.14 毎日新聞地方版/埼玉) 
 蕨市は、地震などの災害時に聴覚障害者が支援を受けられるよう目印となるバンダナ350枚を作製し、市聴覚障害者協会に贈った。協会の要望を受けたもので、市内に住む聴覚障害者約150人と手話通訳者などに使ってもらう。
 バンダナは75センチ四方でピンクと緑の2色地に「耳がきこえません」「手話ができます」の文字が染め抜かれている=写真。市総務福祉課は「色鮮やかで暗い場所でも目立つように仕上げた。市民の理解を深めるようPRしたい」と話した。
 問い合わせは福祉総務課(048・433・7754)。【鴇沢哲雄】


◇福祉フォーラム:盛岡で障害者支援考える /岩手
(2012.09.13 毎日新聞地方版/岩手) 
 障害のある人が災害時に必要とする支援について考える「福祉フォーラム 災害時の備え、どこまで進んでいる?」が6日、盛岡市西部公民館で開かれた。
 基調報告では県障害福祉課の菊池優幸担当課長が、地域内での支援体制づくりの重要性を説明。県では今年度「いわて障がい福祉復興支援センター」を開設し、県内の障害者の実態と、必要なサービスの把握を進めていることも紹介した。
 また、自閉症の子どもが通う特別支援学校でPTA活動をしている吉田志津子さんは、子どもが必要とする支援やコミュニケーション方法などを第三者に伝える「サポートシート」を作る取り組みを発表した。
 会場からは「義援金で民間の福祉事業所に非常用電源などを整備してほしい」といった意見も出された。
 フォーラムは知的障害のある子どもを持つ親らがつくる同市の市民団体「すまいる倶楽部」が主催し、約50人が参加した。【山中章子】


◇県:原発災害時の「住民避難計画」概要 高齢者など要援護者に配慮 /鳥取
(2012.09.13 毎日新聞地方版/鳥取) 
 県の「原子力安全対策プロジェクトチーム」は12日、原発災害発生時の「住民避難計画」の概要を発表した。高齢者や障害者など災害時要援護者や児童生徒の避難方法、避難者の受け入れ地域など、災害発生時の行政の対応などを盛り込んだ。県議会や各市町村などの意見をもとに修正し、来年1月に予定される島根県との原発事故の想定訓練までに、計画を取りまとめる。
 計画案は「何らかの事故によって、半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の住民避難が必要になった」場合を想定。住民の被ばくを防止するため、住民の一斉避難による大渋滞の発生や要援護者への配慮などを計画に規定している。
 要援護者について、重度者は社会福祉施設や医療機関に直接搬送。その他は一時避難施設に移送した後で、必要に応じて医療機関に搬送するなど、優先順位を付けるとした。また一斉避難による混乱を避けるため、(1)境港市の原発15キロ圏内(2)同市の原発20キロ圏内(3)米子市の原発25キロ圏内(4)同市の原発30キロ圏内――の順に避難誘導を行う。乳児や未就学児、妊婦などは優先的に避難させることなどを、計画している。
 同計画は、今年度中に策定を目指している県の地域防災計画内の柱となる計画。原発事故に重点的に備える防災対策区域が半径8〜10キロ圏から同30キロ圏に拡大されることに伴って、県は国から原子力対策を盛り込んだ地域防災計画を策定するよう求められている。住民避難計画はその一環で、策定を急いでいる。【加藤結花】


◇都新防災計画 「減災6割」備え図る 自主組織の取り組み強化=東京
(2012.09.13 読売新聞東京朝刊 都民)
 首都直下地震の被害想定で推計した死者数、全壊・焼失建物数を一気に6割減少させることを目標に掲げた都の新しい「地域防災計画」。12日に公表された計画の詳細をみた。(首都震災取材班)
 □自助・共助
 新たな計画では、都民が普段から震災に備える「自助」や、地域住民たちが互いに助け合う「共助」の重要性を強調した。自主防災組織や消防団の取り組みを強化すれば、この施策だけで死者は約500人、避難者は約8万人、全壊・焼失する建物数は約2万2000棟、それぞれ減らすことが可能としている。
 共助を推進するための目玉となるのが、都が4月に始めた「東京防災隣組」の認定制度。お年寄りや障害者など災害時に自力で避難できない人のリストを作成したり、避難マップを作成したりと、先駆的な防災活動をしている団体が認定を受けているが、認定数はまだ36団体。これをどこまで増やせるかが今後の課題だ。
 都では今後、認定団体の活動内容をまとめたインタビュー冊子を製作し、都内の自主防災組織に配布することで、啓発につなげていく。都総合防災部は「他の団体の取り組みを知ることで、意識が高まる。新たな認定団体を都内全域に増やしていきたい」としている。
 自助について、計画では、都民に「自らの命は自らが守る」という精神のもとで普段からの備えを促している。具体的な取り組みとして、〈1〉家屋の耐震性・耐火性の確保〈2〉家具の転倒や落下の防止〈3〉1日水3リットル(1人分)、食料、医薬品、携帯ラジオ、簡易トイレの準備〈4〉災害が発生した場合の家族の役割分担、避難連絡方法の確認??などを盛り込んだ。
 ◎517万人分「居場所」確保 
 □帰宅困難者 
 昨年3月の東日本大震災では、公共交通機関が全面的にまひした影響で、首都圏で推計515万人が帰宅困難となり、対策の必要性が急浮上した。
 首都直下地震で発生する帰宅困難者は、都内だけで推定517万人。計画では震災直後の混乱が収まるまでの期間を「おおむね3日間」とし、「一斉帰宅の抑制」を民間企業に呼び掛けていく。
 都内の全企業には、従業員を3日間、社屋に待機させることができるだけの食料や飲料水などを備蓄するよう求め、ターミナル駅や大規模集客施設には、行き場を失う人たちの保護を要請した。
 都や区市町村は、ツイッターやフェイスブックなどあらゆる情報伝達手段を駆使し、滞留した人たちを行政や民間ビルなどが開設する一時滞在施設に誘導する。
 混乱収束後の帰宅支援では、幹線道路沿いのコンビニ店など8645か所(2011年9月現在)と事前に協定を結び、「災害時帰宅支援ステーション」に指定した。歩いて家路を目指す人たちが、途中で水やトイレなどの提供を受けられる体制を整備。高齢者や障害者、妊婦などを支援するため、バス事業者などの協力を得て自宅に送り届ける体制も構築する。
 ◎特区活用 建て替え促す 
 □「木密」地域 
 都は現在、都内に約1万6000ヘクタールある木造住宅密集(木密)地域のうち、墨田区京島や大田区西蒲田など約7000ヘクタールを、特に耐火が必要な「整備地域」に指定している。同地域は老朽化した木造住宅が密集しており、延焼の危険性が高いからだ。
 都は計画の中で、手厚い支援で耐火住宅への建て替えを促す「不燃化特区制度」や、延焼遮断の効果がある幅16メートル以上の都市計画道路の整備を盛り込んだ。2020年度までに地域内で火災が起きても、延焼家屋が出ないようにする。
 消防車が入れないような道路幅の狭い地域では、東京消防庁と都水道局が覚書を結んで、地域の自主防災組織が初期消火に当たれるような対策を導入。消火栓などに直接ホースをつなぎ、放水できるようにする取り組みを進める。
 また、市街地の水源として深井戸を整備し、消火活動に欠かせない「防火水槽」の耐震化も進める。
 ◎防潮堤、水門の耐震化優先 
 □液状化・津波 
 昨年3月の東日本大震災で震度5強となった都内では、葛飾区や江戸川区など9区で液状化が発生、計56棟の建物被害が確認された。最大震度7と予測される首都直下地震では、液状化で全壊・半壊合わせて最大6万4000棟の被害が予想される。
 都は新たな液状化予測図を作成し、被害の軽減を目指す。また、液状化の恐れがある地域で建物を建てる民間業者に対しては情報を提供していく。都が公共施設を建設する際には、液状化を防ぐ地盤改良を実施する。
 このほか、都下水道局は、液状化する可能性のあるエリアでマンホールの浮き上がり防止策を講じる。
 さらに、海上を埋め立てて建設した羽田空港の滑走路のうち、C滑走路は耐震化されていないことから、国に対して液状化対策を早急に実施するよう働きかけていく。
 津波対策も強化する。震災後の都の調査では、首都直下地震などが起きると、激しい揺れで水門が作動しなくなる恐れがあるほか、堤防も一部で崩れる可能性があることがわかった。都建設局が管理する河川の水門や排水機場など全21施設が機能せず、堤防や護岸も調査地点(162地点抽出)の約4割(68地点)で損傷する恐れも判明した。
 都は、区部東部の海抜0メートル地帯の防潮堤や護岸、水門の耐震化を優先的に進めていく。
 また、海溝型の関東地震(マグニチュード8・2)が起きた場合、伊豆諸島などの島しょ部を大津波が襲う可能性がある。都は津波ハザードマップを作成し、高台への避難が難しい地域では避難施設を新たに整備する。
 ◎沿道の建物 改修急務 
 □緊急輸送路 
 都内では、青梅街道や甲州街道など約1000キロを特定緊急輸送道路と定めている。しかし、耐震化が遅れている沿道の建物が倒壊すれば、輸送路が塞がれてしまう恐れがある。緊急物資の輸送や救急・救助に向かう車両の通行を妨げることになるため、都は昨年4月施行の条例で、1981年以前に建てられた幹線道路沿いの中高層ビル約5000棟を対象に、耐震診断を義務づけた。
 計画では、2015年度末に全棟の耐震化を完了させる目標を掲げているが、条例では耐震改修をあくまでも「努力義務」と定めている。改修費用の一部はビル事業者の自己負担となることもあって、目標達成の見通しは立っていない。
 ◎情報を集約 役割分担 
 □医療機能 
 最大で約14万7000人に上る負傷者への医療救護対策では、「限られた医療資源を最大限活用する」(都災害医療担当課)体制を築く。震災発生時は、都内全域を担当する災害医療コーディネーターが、機能している医療機関や治療にあたることのできる医師らの情報を集約。手薄な地域や病院に医師や看護師を派遣する仕組みだ。
 患者の症状に応じて担当する医療機関をあらかじめ定め、災害拠点病院に軽傷者が搬送された場合、近くの緊急医療救護所にまわす。役割分担を決めることで、「特定の医療機関に患者が集中するのを防ぐ」(同)のが狙いだ。
 災害時に医薬品が確保できなくなった医療機関に対しては、都が余力のある医薬品卸業者の情報を提供するという。
 ◎復旧目標 被災後30日内 
 □水道・電気・ガス 
 震災で寸断される可能性が高いライフライン。計画では、都が直接管理している上下水道で耐震化を加速させるとした。
 復旧の目標は、被災後30日以内。国や都庁舎、医療機関などの重要施設につながる水道管の接続部は、2016年度までに、耐震性の高い部品に全て取り換える。特に重要な水道管については、バックアップ用も敷設し、「二重化」を進めていく。
 また、災害時に避難所となる小中学校や災害拠点病院などの排水を受け入れる下水道管は、13年度までに耐震化率を100%にしていく。
 行政庁舎や医療機関、浄水場、防災公園には非常用の発電施設を設置。震災時にも自前の電源で機能を維持できるようにする。
 また、石油業界団体との間で協定を結び、燃料の安定供給に向けて協力を求める。
 このほか、計画では各事業者の取り組みによって、電力は7日、電話などの通信は14日、ガスは60日以内に回復させる必要性が盛り込まれた。
 ◎管理運営など課題も 
 □避難所 
 自宅が被災し、電気や水道が止まるなどして避難が必要になる人は最大約339万人と見込まれる。都内では2011年4月現在、小中学校など2780か所が避難所に指定されているほか、要介護者らを優先的に保護する「福祉避難所」として979か所を確保している。
 こうした施設の定員を合わせると、計約362万人分にのぼる。このため、都総合防災部は「施設数や収容力は確保できている」として、管理運営など「ソフト面」の充実を課題に据えている。
 計画では、区市町村間での避難者受け入れの調整、女性や高齢者に配慮した運営マニュアルを整備し、避難所内の備蓄も充実させる。また、食料や医薬品の調達体制も構築しておく必要性を強調している。
 このほか、東日本大震災では、義援金の受け取りや仮設住宅への入居などに必要な「罹災(りさい)証明書」の発行が遅れたとする批判が、被災者から相次いだ。これを受けて、都では、家の所有者や被災状況などの情報を一元管理する独自システムを構築。罹災証明書は1か月以内に発行できるようにする。
 
 
◇東日本大震災:震災1年半 防災対策ゴールなし 進む対策、課題も /神奈川
(2012.09.12 毎日新聞地方版/神奈川) 
 東日本大震災から11日で1年半を迎えた。震災は津波がもたらす被害のすさまじさを示し、県内でも相模湾や東京湾に面する地域の人々、企業、自治体は危機感を強めた。県は過去の地震を踏まえて津波の高さ想定を公表し、それを参考に対策が進められているが、ハードルも多い。そして、災害は概して我々の想定を超える。防災対策にゴールはない。
 ◇14.5メートル津波予測の鎌倉市
 県が3月公表した津波浸水予測で、県内で最も高い14・5メートルの津波に襲われる可能性を示された鎌倉市。市は避難対策を進めるが、課題も多い。
  □避難経路
 市は9月議会に提出した一般会計補正予算案で、「津波避難対策にかかる経費の追加」として189万円を計上した。
 市によると、同市材木座4の「材木座たぶの木公園」の裏山にある標高約40メートルの広場に避難するため、二つのルートを整備する。手すりを設け、階段の安全対策を実施。材木座地区では防災倉庫などがある避難場所が既に指定されているが、2ルートは逃げ遅れを防ぐため「とりあえず」の高台誘導路だ。
 材木座地区の最低標高は約3メートルで、住宅も密集している。住民らは東日本大震災以降、津波に危機感を抱き、地域として独自に避難マップを作製するなど対応を進めてきた。その中で、材木座たぶの木公園裏山への避難について市に相談した。海岸から直線で約400メートル。裏山は市有地だったことから、計画はスムーズに進んだ。
 鎌倉は海の近くに高台が点在している。高台を背にする寺社も多い。ただ、問題はそこが私有地の場合だ。地主の理解や町内会との交渉が鍵を握る。高台に避難しにくい高齢者や障害者の対策も喫緊の課題だが、市は頭を悩ませている。
  □避難ビル
 市は津波避難ビルを避難の「補完的施設」に位置づける。津波が襲うと想定される地域の相当部分は建築物の高さが15メートルに制限され、沿岸部は特にビルは少ない。県の最大想定の津波だけでなく、より小さい津波にも対応する必要があるとして、一つでも多い避難ビル指定を目指す。
 4階建て以上の鉄筋コンクリート造りのビルを100以上抽出。持ち主に指定の必要性や指定後は避難訓練に参加することなどの条件を告げ、一棟一棟に了解を得ようと交渉してきた。9月に入って新たに7棟を指定し、市内の避難ビルは計27棟になった。
 しかし、指定には困難も伴う。マンションはオートロックが多く、災害時は停電で開かなくなる可能性がある。金融機関やホテルは保安面から理解が得られにくい。不特定多数が訪れる店舗が入るビルからも「トイレを貸せと言われたらどうするのか」「短時間の避難と言うが、いつまでか」「商品が心配」と懸念を示される。市総合防災課の担当者は「総論としては必要と思っているが、自分のところが避難ビルになったことを想像すると難しいようだ」と話す。
 市は現在、事務所が入るビルを中心に交渉を続けるが、市内には81年の新耐震基準「震度6強以上の地震でも倒壊しない」に満たないビルも多い。
 □薄れぬ意識
 震災後、市民の防災意識は向上しているようだ。町内会などの求めで市職員が講演する「防災講話」は昨年度、70回行われて2853人が参加したが、今年度は4〜6月で既に23回開かれ、1500人が参加している。
 当初は、小学校が避難場所になっていることを知らない人も多かった。市総合防災課は「震災から1年以上たち、具体的な取り組みを考える人が増えている。災害に対する意識は薄れていない」と分析している。【松永東久】
 ◇藤沢市が避難ビル185カ所に−−毎夏訓練実施
 藤沢市は昨年10月までに、3階建てビルやマンションの協力を得て指定してきた「避難ビル」を、それまでの50カ所から185カ所に増やした。
 今年7月7日、相模湾沿岸の住民約12万人と、約2万人と見込む海水浴客らを対象に大規模な津波避難訓練を実施した。しかし、雨模様だったこともあり参加者は約2万5000人。住民の参加は子供や高齢者が多く、参加率の低さに震災の風化を懸念する声もある。市は毎夏に訓練を実施し、アンケートで効果的な避難のデータを集積したい考え。
 鈴木恒夫市長が公約とする「ふじさわ災害ナビ」も、開発に時間がかかっている。乳幼児や高齢者がいる世帯は個別の避難マニュアルが必要で、今年5月に関係部局の庁内プロジェクトを設立した。ただ、災害発生で瞬時に避難経路をスマートフォンなどに表示する技術は難しく、独立行政法人・防災科学研究所と13年度末をめどに共同研究している段階だ。【永尾洋史】
 ◇相模原市は防災計画大幅見直し−−具体的施策を明示
 相模原市は震災を受け地域防災計画の大幅な見直しに着手した。多くの市民が大規模災害への不安を感じている現状を踏まえ、専門家らの検討会や市民意識調査で課題を検証して、具体的な施策を明示することにした。
 新たに盛り込むのは帰宅困難者対策と原子力事故災害対策。市民の市外避難を想定し、他の自治体との相互応援協定に基づく体制整備などを追加する。また、災害時の広報媒体としての防災メール活用や南関東9都県市の連携、在日米軍への応援要請も加える。
 喫緊の課題について今月中に第1ステップの修正をまとめ、13年度に被害想定の見直しや新たな防災アセスメントを反映した第2ステップの修正を行う。【高橋和夫】
………………………………………………………………………………………………………
 ◇県想定地震の最大津波高
 横浜市
 鶴見区  4.0
  西区  4.1
  中区  4.3
 金沢区  4.9
 川崎市
 川崎区  3.7

横須賀市  9.6
 平塚市  6.9
 鎌倉市 14.5
 藤沢市 10.7

小田原市  6.3

茅ケ崎市  8.0
 逗子市 13.6
 三浦市  9.5
 葉山町  9.1
 大磯町  9.2
 二宮町  5.8
 真鶴町  8.6

湯河原町  7.4
 (単位・メートル)


◇災害時要援護者情報:全市町村に共有要請へ 避難、安否確認に力−−知事方針 /大分
(2012.09.12 毎日新聞地方版/大分) 
 高齢者や障害者ら災害時要援護者の情報を中津、宇佐両市がそれぞれの関係機関内で共有している。県は他市町村にも普及させる方針で、広瀬勝貞知事は11日の県議会で「本人同意がなくても平常時から情報共有するよう要請する」と述べた。
 酒井喜親氏(県民クラブ)の一般質問に答えた。要援護者を記した台帳は全市町村が策定し随時更新。しかし2市を除き、消防や自主防災組織との共有は進まず、いざという時に役に立たない。広瀬知事は「避難支援や安否確認に懸念がある」と問題点を指摘した。
 情報共有には個人情報保護の問題がある。しかし、2市は個人情報の取り扱いを決める審議会の同意を得て問題をクリアした。
 また、九州北部豪雨では一部地域で防災無線などの避難情報が住民に伝わらなかった。広瀬知事は「視覚、聴覚障害者にも迅速、的確に伝達できるようメールなどの自動配信システムを構築し、市町村と連携したい」と話した。【佐野優】


◇東日本大震災:復興住宅の県整備方針 16年3月までに5601戸建設 /岩手
(2012.09.11 毎日新聞地方版/岩手) 
 ◇適地容易に見つからず 用地、津波被害の地区外へ
 県は10日、震災で自宅を失い自力での再建が難しい被災者が入居する災害公営住宅(復興住宅)の市町村別建設戸数や、家賃のモデルなどを示した整備方針を発表した。【宮崎隆】
 整備方針によると、復興住宅は、津波で大きな被害を受けた沿岸自治体のうち、普代村を除く11市町村で、16年3月までに計5601戸を建設。このうち県が建設する3231戸については、鉄筋コンクリート建ての集合住宅を中心に、建設予定地以外からも広範囲で入居者を受け入れる。一方、市町村が建設する2370戸については、震災前のコミュニティーの維持など地域の特性を考慮して整備を進め、市町村によっては一戸建て住宅も造る。
 県営の公営住宅の家賃の目安は、月収10万円のモデルケースで、間取りが1DK(40平方メートル)で約1万5200円、2DK(55平方メートル)で約1万9000円、3DK(65平方メートル)で約2万4800円。車いすを使う障害者が暮らせるようバリアフリーに配慮した部屋も県営全体の5〜10%整備する。
 県建築住宅課によると、8月21日現在、復興住宅を建設予定の72地区のうち、雇用促進住宅を改修するなどのケースを除き、用地が取得済みなのは6地区で計249戸にとどまる。公営住宅は原則として今回の津波で大きな被害を受けた地域以外に建設するため、適地が容易には見つからないのが現状だ。
 このため、整備方針では、県が設計・施工を発注して工事監理する従来の「直接建設方式」の他に、約800戸分は事業者が用地の確保と設計・施工まで請け負う「敷地提案型買取方式」を導入し、予定の建設戸数を確保するとしている。
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 <災害公営住宅の建設予定数と進行状況>
      予定戸数 市町村が建設 県が建設 用地取得済み
洋野町      4      4    0      0
久慈市     15     15    0      0
野田村    120     90   30     30
田野畑村   112    112    0      0
岩泉町     53     53    0     15
宮古市    730    352  378      0
山田町    738    246  492      0
大槌町    980    480  500     34
釜石市   1049    478  571    158
大船渡市   800    240  560     12
陸前高田市 1000    300  700      0
計     5601   2370 3231    249
 ※用地取得は8月21日現在、数字はいずれも戸数


◇都防災計画 住民の積極関与カギ 救出、初期消火、安否確認(解説)
(2012.09.12 読売新聞東京夕刊 夕二面)
 ◇1面
 首都直下地震の発生を想定した東京都の最新の「地域防災計画」は、10年以内に死者数や全壊・焼失建物数を一気に6割減らすという大胆な数値目標を掲げた。しかし、目標達成は簡単ではない。
 震災発生後、広範囲にわたって延焼が広がるとされる木造住宅密集(木密)地域は、「首都最大の弱点」とされる。緊急輸送道路に指定された主要幹線沿いの建造物も耐震化が遅れている。都は、建て替えなどの助成措置を進めてきたが、想定スケジュール通り進んでいるとは言えない。
 昨年3月の東日本大震災では、都心部は震度5強の揺れにとどまった。しかし、公共交通網が全面ストップし、幹線道路は大渋滞に見舞われた。携帯電話が各地で通じにくい状態になり、湾岸部などでは液状化現象も確認された。想定外の混乱が起きたことで、新たな課題が浮かび上がった。
 首都直下地震は最大震度7クラスで、被害はさらに大きくなることが予想される。防災計画の見直しを進めてきた都幹部は、「震災の生々しい記憶が残る今こそ、一気に対策を進めるタイミングだ」とみる。
 そこで、都が今回の計画で重点に据えたのが、都や国、警察、消防などの「公助」ではなく、自治会や消防団など地域住民が中心の「自助、共助」だ。
 首都直下地震では、木密地域を中心に建物倒壊や火災が、同時多発的に発生する可能性が極めて高い。消防や警察、自衛隊などの救助が到着するのを待つ間、地域住民が積極的に初期消火を行い、独り暮らしのお年寄り、障害者など災害弱者の安否確認や救出・救護をする必要がある。
 東京で暮らす人は約1300万人に上る。しかし、防災力を高めるためには、東京近郊から通勤・通学している昼間人口も「都民」として互いに協力し合う必要がある。防災力を高めるためには自分たちに何ができるのか。新しい都の防災計画をもとに、家庭やご近所同士だけでなく、学校や職場でも話し合ってほしい。(社会部 池亀創)
 

◇「首都直下」帰宅困難989万人 社内に3日待機 対策指針 一般向け食料備蓄
(2012.09.11 読売新聞東京朝刊 一面)
この記事を英文で読む
 内閣府と東京都などでつくる「帰宅困難者等対策協議会」は10日、震災発生時などを想定した帰宅困難者対策の指針をまとめた。首都直下地震の影響を受けるとされる東京、神奈川、埼玉、千葉など首都圏の全企業を対象に、従業員を震災発生から3日間は帰宅させず社内に残すよう求める。また、自治体との協定で一時滞在施設として、帰宅困難者の受け入れに応じた大型施設や企業についても、規模に応じて食料、水の常備を求める。〈企業側困惑39面〉
 昨年3月の東日本大震災では首都圏で約515万人の帰宅困難者が発生。内閣府では首都直下地震で約989万人の帰宅困難者が出ると試算している。
 指針は都など自治体のほか、経団連、不動産協会、各種業界団体が合意。企業に対し、自社の従業員向けに3日分の食料(1人9食)、飲料水(同9リットル)のほか、毛布(同1枚)などの備蓄を求めている。さらに、社員以外の帰宅困難者を受け入れることも想定し、食料などは従業員用とは別に、10%余分に用意することを要請している。
 帰宅困難者向けに自治体が用意する「一時滞在施設」は、自治体庁舎や集会場、学校だけでなく、大型店や企業などの協力を得てエントランスホールも指定される。広さは「3・3平方メートル(1坪)に2人収容」が目安で、受け入れに応じた企業は、目安となる定員の3日分の食料や飲料水を常備しなければならない。
 JR東日本では、東京駅から約30キロ圏内の約200駅のコンコースなどを一時滞在施設とする予定で、受け入れ規模は最大6万人。各自治体は今後、施設管理者や企業に協力を求める。
 ターミナル駅周辺では大量の帰宅困難者で混乱することが予想されるため、ツイッターやフェイスブックなどを使って災害情報を提供、近くの一時滞在施設に誘導する。
 混乱収束後の帰宅支援策では、バス、タクシー事業者が、高齢者、障害者、妊婦を優先的に自宅へ送り届ける態勢を整備。また、首都圏で8月末現在、2万1050か所が指定されている幹線道路沿いのコンビニ店やファミリーレストランが「災害時帰宅支援ステーション」となり、帰宅する人に水やトイレを提供する。


◇津波避難ビル:新潟市、59施設を追加 来春、緊急FM放送も /新潟
(2012.09.09 毎日新聞地方版/新潟) 
 新潟市の篠田昭市長は7日の記者会見で、6月下旬に県が示した津波浸水想定を受け、津波避難ビル59施設を追加したと発表した。また全国瞬時警報システム(Jアラート)を含めた緊急告知FM放送を来年4月をめどに市内全域で運用を始めるとした。
 今回の想定では従来より浸水域が広く、水深が深くなったため、市は耐震安全性など基準を満たした小学校や市民会館など市の59施設を新たに指定した。これまでの指定分と合わせると156施設になった。さらに民間ビルや国・県施設も指定して増やす方針だ。
 また災害時に高齢者や障害者、妊産婦が避難する福祉避難所を全8区に一つずつ指定した。10月1日には特別養護老人ホームなど50施設とも同避難所開設や運営に協力してもらう協定を結ぶ。
 緊急地震速報、津波警報、武力攻撃の情報などを流す県域波を利用したFMラジオの運用は、FM新潟と9月下旬に協定を結び、来年4月の運用開始を目指す。これまで秋葉、南区ではコミュニティーFMで緊急告知をしていた。コミュニティーFMによる緊急告知は長岡、新発田市なども運用しているが、電波が弱いなどの課題があり、県域波はその弱点を補う。【宮地佳那子】


◇情報弱者:助けよう 災害時の外国人や障害者ら、やさしい日本語で
(2012.09.09 東京朝刊 29頁 家庭面) 
 ◇津波、避難…把握できず 近くの人が声かけを
 東日本大震災からもうすぐ1年半。外国人や障害者たちは、言葉による避難情報などを十分に得られず「情報弱者」になってしまいがちだ。災害発生直後に外国語や手話の通訳者をそろえるのは難しい。「防災の日」の1日、被災地の仙台市で開かれた社会言語科学会では、誰にとっても伝わりやすい「やさしい日本語」を使う必要性を訴える声が相次いだ。【榊真理子、写真も】
 「やさしい日本語」は、難しい言葉を言い換え、簡単な構文を使うのが特徴。「危険」は「危ない」、「警戒する」は「気をつける」と言い換えたり、水を配る時に「水をもらうことができます。お金はいりません」と言う。95年の阪神大震災で外国人の死傷者の割合が高かったのを受け、青森県の弘前大学社会言語学研究室が研究を進めてきた。
 研究室では言い換えの例文などを記したポスターを作り、ホームページ(http://human.cc.hirosaki−u.ac.jp/kokugo/index.html)で公開している。自治体や支援団体にも徐々に浸透。1日の学会で同大学の佐藤和之教授は「東日本大震災では、外国人が情報を得られない状況は避けられたのでは」と語る一方「これまではボランティアらが被災地に入るまでの72時間をしのぐことを目標にしていたが、今回は被害の範囲が広く、さらに時間がかかった。放射性物質など専門的な表現の言い換えも求められ、情報のニーズがどんどん拡大した」と、新たな課題に言及した。
 学会には「情報弱者」の立場に置かれがちな外国人や聴覚障害者、知的障害者も参加。ワークショップで思いを語った。
 宮城学院女子大のJ・F・モリス教授は「避難所ではトイレの場所が分からないなど、切羽詰まることが続いていた。その時に必要なのは通訳ではない。近くにいた人が、相手に分かる方法でコミュニケーションをとれることだ」と語った。
 聴覚障害がある宮城教育大の松崎丈准教授は「通信が遮断され、津波警報や避難情報を把握できなかった聴覚障害者も多い。情報が届かず、命を失った人もいる」と悔やんだ。震災前は周囲の理解ある聴者から生活情報を得られても、避難所や仮設住宅では頼れる人がおらず、体を壊す人もいるという。
 知的障害者を対象にした新聞「ステージ」の編集長で、自身も知的障害を持つ小池美希さんは、分かりやすい文章による新聞作りの工夫を紹介した。「ステージ」では(1)記事に「これ」「それ」などの指示語を多用しない(2)文章は短く(3)分かりやすい文の切れ目で改行する――など、記事の書き方を工夫しているという。
 会場からは「手話ニュースや子ども向けのニュースは、実は高齢者らにも好評だ。多様な情報弱者に活用できたらいい」という声が出ていた。いつ身近に起こるかわからない災害。周囲に困っている人がいたら、やさしい日本語で話しかけるよう努めたい。


◇避難訓練:「1人でも避難を」障害者主体に訓練 座布団で頭を守り、ご飯作りにも挑戦−−御宿の福祉会 /千葉
(2012.09.08 毎日新聞地方版/千葉) 
 地震などの大災害時に備え障害者自らが命を守る意識を高めようと、「御宿町身体障害者福祉会」(滝口仲秋会長)は7日、町社会福祉協議会の施設で、障害者の避難訓練を実施した。参加者は車いす、目・耳の不自由な人、知的障害を持つ人たちなど11人。障害者だけの訓練は県内でも極めて珍しいという。
 同訓練は、東日本大震災について福祉会が昨年まとめた「障害者行動アンケート」を受けて実施された。アンケートで「何もしなかった」(55%)「1人で出られない」(30%)など災害弱者の現状が浮き彫りになり、障害者が「まず行動」できるようにするのが狙いだ。
 訓練では、福祉会の月例会がホールで行われている最中に大地震が発生したと想定。参加者らは、地震発生を知らせる声や警告ブザーを聞き、一斉にそばにあった座布団で頭を守ると、同協議会や町職員らの指導の下、屋外の安全な場所に避難した。訓練後、災害用アルファ米による「五目ご飯」作りにも挑戦し、試食した。
 障害の種類や程度も違う上、緊急時には容易に動けない障害者たち。目が不自由な鍼灸(しんきゅう)師の渡辺尚道さん(54)は「昨年の大震災では、テレビやラジオで避難を呼びかけられても1人で動けなかった。たまたま生協の女性職員がトラックに乗せてくれて避難ができたが、いつもそうはいかない。万一の時、誰が迎えに来てくれるのかが問題だ」と訴えた。
 滝口会長は「町の総合防災訓練の障害者、高齢者の参加は少ない。自助努力や人的援助の受け入れなど早急な対策が必要だ。25年度までに要援護者のための新たな防災登録制度を構築したい」と話している。【吉村建二】


◇大和高田市:高齢者や介護者ら、災害時の要援護希望 登録制度スタート /奈良
(2012.09.08 毎日新聞地方版/奈良) 
 大和高田市は、災害時に家族などの援助が困難で、何らかの助けを希望する高齢者や介護者らの情報を事前に管理する「災害時要援護者登録台帳」への登録制度をスタートさせた。市は施設などに入所している人を除いて、要援護を希望する人の登録申請を受け付けている。
 登録対象者は(1)70歳以上の高齢者のみで生活している(2)介護保険の介護認定を受けている(3)1〜3級の身体障害者手帳を持っている(4)療育手帳を持っている(5)精神障害者保健福祉手帳を持っている(6)常時特別な医療等を必要とする在宅療養者(7)上記以外の方で、災害時等の支援が必要な人――のいずれかに該当する人。
 市は在宅で何らかの援護が必要とする人は約1万人と推測している。また、登録された内容について市自治振興課は「消防署や社会福祉協議会、民生・児童委員、自治会、自主防災組織と共有し、災害時の安否確認や避難誘導のために活用したい」としている。登録制度と平行し、市は10日開会の9月市議会に市が管理する要援護者に関する住民基本台帳などをデータ化し、地理情報と台帳情報を一元管理する事業費954万円を計上している。
 登録申請の問い合わせは市自治振興課(0745・22・1101)。【山本和良】


◇津波避難ビルに18万人、新潟市、新たに59ヵ所指定。
(2012/09/08 日本経済新聞 地方経済面 新潟)
 新潟市は7日、地震や津波などの防災対応の強化策を発表した。津波発生時に浸水想定地域の18万人が避難できるように避難ビルを指定した。地震速報などが出たときに自動で電源が入る緊急告知FMラジオ2880台を自治会などに新たに配布する。東日本大震災の教訓を生かし、万一の事態に備える。
 新潟県が6月末に津波による河川遡上も踏まえた津波想定地図を発表したことを受け、指定避難ビルとして新たに59カ所を追加した。耐震安全性があり、3階建て以上であることなどを条件に市立学校などを選んだ。
 すでに指定済みのビルと合わせて、市指定の避難ビルは77カ所となり、一時的に18万6400人を収容できるようになったという。このほかに自治会などの地域で独自に指定した避難ビルが79カ所ある。
 高齢者や障害者など災害時に特別な配慮が必要な人を対象にした「福祉避難所」として、各区の老人デイサービスセンターを指定した。
 エフエムラジオ新潟(FM新潟)と協定を結び、緊急情報の提供手段を多様化する。全国瞬時警報システム(J―ALERT)による情報をFM新潟で発信できるようにする。
 また、緊急情報が流れると電源が自動的に入る緊急告知ラジオを市内の自治会、民生委員などに2880台配布し、避難などに役立ててもらう。ラジオ関連で2千万円を投じる。


◇南海トラフ巨大地震:新居浜市、要援護者把握推進へ 国の被害想定受け、防災計画見直し会議 /愛媛
(2012.09.07 毎日新聞地方版/愛媛) 
 新居浜市は6日、南海トラフ巨大地震の発生などに備えた防災会議を開いた。国が先月発表した同地震の被害想定を受け、既存の防災計画を見直すためのもので、来年3月に修正計画をまとめる。
 会議には市職員のほか、自治会関係者や市民団体など約30人が出席。発表された修正案では、高齢者や障害者など災害時要援護者の把握▽乳幼児・妊産婦らのための福祉避難所の指定▽石油コンビナート施設の応急対策▽復興円滑化のための住民基本台帳や戸籍データなどのバックアップ体制の整備――などを盛り込んでいる。
 参加者からは「食料の備蓄はどうなっているのか」などの質問があった。修正計画は市民の意見を聴取したうえでまとめる。【高谷均】


◇障害者の避難を最優先 福祉関係者ら意見交換=岩手
(2012.09.07 読売新聞東京朝刊 岩手2)
 知的障害者の災害時の備えについて考えようと、障害者の家族や障害者福祉施設などの関係者ら約40人が6日、盛岡市南青山町の市西部公民館で意見交換を行った。知的障害者の子を持つ親などで構成する「すまいる倶楽部」の主催。
 県障害福祉課の菊池優幸担当課長は、障害者が避難できることが最優先だとした上で、「家族だけでなく地域全体で支えていくことが重要だ」と、避難所での受け入れ態勢を地域で検討していくことが必要だと説明した。
 息子が特別支援学校に通っているという同倶楽部の吉田志津子さん(49)は、障害の症状やパニックになった時の対応などを紙にまとめて災害に備える「サポートシート」という学校での取り組みを紹介し、「我が子を守るためにも学校がより安全な場所になってほしい」と話した。
 参加者からは「避難所にパニックになった子どもを落ち着かせられるスペースがほしい」「震災時に家族は付きっきりにならざるを得なかった。支援してくれるスタッフがほしい」といった要望が出された。
 同倶楽部代表の小田島佳子さん(52)は「震災では障害を持つ子供を抱えることの困難さが露呈した。まずは、障害について一般の人にも理解してもらいたい」と話していた。
   

◇[3・11あのとき](2)薬不足 180キロ避難 鈴木千絵さん(連載)
(2012.09.05 読売新聞東京朝刊 復興A)
 ◎復興掲示板 東日本大震災
 ◎難病女性 恐怖消えぬ日々 30歳
 生まれつき骨が折れやすい「骨形成不全症」を患う。くしゃみで骨折することもある。S字形に曲がった背骨が、肺を圧迫するため、十数種類の薬や酸素吸入は欠かせない。
 震災翌日、東京電力福島第一原発で水素爆発が起きた。原発から約30キロ離れた、福島県いわき市四倉町の自宅周辺では「一歩も外に出ないで」と地元の消防団がスピーカーで叫んでいた。
 「生きた心地がしませんでした。自宅にいても、食べ物などの物資は運ばれて来ないし、水道も止まったまま。友達から『避難して』と1日に何度もメールが来ました。テレビでは、避難所の様子が映し出されていましたが、私のような障害者がどこに避難しているのか全く分かりませんでした。すぐに避難したくても、できませんでした」
 震災から約1週間後、心拍数や血圧を抑えたり、利尿作用を促したりする薬が少なくなってきた。
 「かかりつけの市立病院に電話すると、『薬が届かない』と言われたので、量を半分にして飲みました。それでも、残りは1週間分。『薬がなくなったら……』と不安になりました」
 そんな時、同じ病気の息子を持つ、「骨形成不全友の会」の元会長、粟田章子(あやこ)さん(68)から「千葉へ避難しておいで」と連絡があった。避難を決意し、震災から1週間後に、約180キロ離れた千葉市稲毛区へ向かった。
 「ワゴン車に酸素ボンベや残りの常備薬、毛布などを詰め込みました。『酸素ボンベが空になってしまったら、死んでしまう』という思いは消えませんでした。高速道路の路面はあちこちでうねっていて、母親に体を押さえてもらいながらの道中でした」
 2週間後、自宅の水道が復旧し、市立病院で薬がもらえるようになったため、自宅に戻った。ただ、それ以降、1人で行動することはなくなった。
 「災害が起こっても、私のような障害者は逃げることができません。どこへ行けばいいのか分かりません」
 厚生労働省によると、福島県では障害者や高齢者を受け入れる福祉避難所の指定は、震災時10か所だけだったが、61か所(今年5月時点)に増えた。しかし、いわき市のように一つもない自治体も多い。
 「被災地では、まだ余震が続いています。酸素ボンベや薬がなくなったらと思うと、今でも心配になります。いざという時に、受け入れてくれる避難場所を整えてほしいと思います」(聞き手・星野達哉)


◇県災害対策コーディネーター 市原のNPO 養成講座=千葉
(2012.09.04 読売新聞東京朝刊 京葉)
 ◎防災計画や拠点運営指導 
 災害時のボランティア受け入れや避難所の運営補助などボランティアとして中心的な役割を果たす人たちを県が認定する「県災害対策コーディネーター」。市原市では今年度から、市内外で防災活動に取り組むNPO法人が養成講座を実施し、防災の裾野の拡大に努めている。(杉野謙太郎)
 災害時に各団体間や行政の橋渡し役となる災害対策コーディネーターは2003年度に始まった制度で、昨年度までに382人が認定されている。
 市原市の災害ボランティアなどで結成されたNPO法人「ゆかいな仲間たち」の理事長白尾克伸さん(56)もその一人。東日本大震災では、県庁舎で支援物資を仕分けしたり、宮城県名取市でボランティアセンターの運営を支援したりした。普段からコーディネーター同士のつながりを持つことで、災害時もスムーズに支援を要請できたという。
 こうした認定者を増やそうと、昨年度からは市町村も講習を行えるようになり、茂原市がNPO法人に委託して実施。今年度は県のほかに、市原市とゆかいな仲間たちが共催で行い、約50人の受講生が5月から10月まで毎月1回、1日がかりの講習を受けている。県地域防災計画や災害ボランティアセンターの運営などを学び、毎回昼には受講者たちが自ら炊き出しを行い、災害時さながらに非常食の食事を取る。
 同市内で8月25日に行われた講習では、受講生約50人が障害者への支援をどう行うかを学んだ。視覚障害者の気持ちを知るため、アイマスクを着けつえを手に、パートナーに介助されながら歩く体験をしたり、聴覚障害者にボードに手書きした短文で連絡したりした。参加した同市青葉台のパート職員桑原秀明さん(65)は「大震災がきっかけで受講したいと思って参加したが、具体的な実習が役に立つ。きょうはアイマスクを着けて歩いて、災害時にサポートする人の存在がいかに重要かがよくわかった」と語った。
 講座では、受講生のほかに既に認定されたコーディネーターも受け入れており、この日は約20人が参加した。白尾さんは「防災の原点は、日頃の活動の継続。受講生も認定者も継続して学んでもらえれば」と話している。
 

◇7000人防災訓練 輪島市各地で M8.1、堤防損壊の危機…=石川
(2012.09.03 読売新聞東京朝刊 石川)
 大規模災害を想定した県防災総合訓練が2日、輪島市内で行われた。消防や警察など87機関、住民ら約7000人が参加、津波避難や避難所設営など70に及ぶ訓練が実施された。
 訓練は、能登半島北方沖を震源とするマグニチュード8・1の地震が発生、雨で水位が上昇していた河川の堤防が地震で壊れかかっているとの想定で行われた。
 津波避難は過去最大15地区の住民を対象に実施した。輪島市は、県試算の最悪ケースで5分以内に津波が到達するとされている。訓練では、市が8月下旬に全戸配布した津波ハザードマップも活用。初めて市が指定した3か所の「津波避難ビル」も使用し、輪島港そばの指定ビルのホテルには、観光名所の朝市などから約30人が次々と駆け込んだ。
 また、高台にある一本松総合運動公園体育館では、近くの小学校から避難する訓練が行われたほか、防災士を中心とした自主防災組織が避難所運営の訓練を実施。運営委員会を組織し、避難者の人数把握やボランティアの振り分けを行った。運営委会長で防災士の橋本和義さん(49)は「本番では人数も多く混乱するだろうから、しっかり準備に努めたい」と話した。
 また、女性用の更衣室や物干し場所確保など、女性の視点を生かす工夫もされ、障害者や高齢者など要援護者の福祉避難所への搬送訓練も行われた。
 訓練を視察した谷本知事は「津波への備えを住民の参加で確認できた。成果を生かし、万が一に備えたい」と話していた。
 

◇ペット同伴で防災訓練 「福祉避難所」の設営も=山梨
(2012.09.03 読売新聞東京朝刊 山梨)
 「防災の日」翌日の2日も、県内各地で防災訓練が行われた。東海地震などに備え、行政と地域住民らが連係。ペットの扱い方を確認する場面もあった。
 甲斐市では2日、市内の自治会ごとに防災訓練があり、さつき野地区と長塚地区ではペット同伴での訓練が行われた。
 ペット同伴は同市では初めて。昨年の防災訓練で参加者にアンケートしたところ、ペット同伴による訓練が必要との回答が多く、まずは2地区で試験的に実施することになった。
 午前8時に訓練が始まると、それぞれの地区で避難場所となる公園や小学校に、犬をバッグの中に入れて避難してくる人の姿などが見られた。ダックスフントを同伴して訓練に参加した甲斐市長塚、主婦宮沢せつ子さん(63)は「家族同様なので置いてくるわけにもいかない。一緒に避難できるなら安心」。
 長塚自治会の後藤武司副会長は「ペットを連れて避難する際、仮設住宅での対応はどうするのか。問題はたくさんあり、今回の訓練をきっかけに考えていきたい」と気を引き締めていた。
 一方、富士川町鰍沢の鰍沢福祉センターでは、高齢者や身体障害者など「災害時要援護者」を受け入れる「福祉避難所」を設営する訓練が実施された。
 要援護者が町職員に伴われて同センターに到着すると、保健師から血圧など健康状態を調べられた。確認が終わり、段ボールで囲われたベッドの中に入ると、ほっとした表情を見せた。
 このうちの一人で、近くに住む保坂實さん(62)は「独り暮らしなので、こういった避難所があると災害の時は助かる」と話していた。
  

◇(想定被災地を歩く:1)空港拠点に県防災訓練、15万人参加 /静岡県
(2012年09月03日 朝日新聞朝刊 静岡・1地方)
 南海トラフ沿いで起きるとされる巨大地震で、県内の死者は全国最悪の11万人になるとの被害想定が出た。「被害」をどうやって減らせばいいのか。考えるために、県内の「想定被災地」を歩く。まずは、2日に行われた県の総合防災訓練へ向かった。

 県の総合防災訓練が2日、磐田市や中部電力浜岡原発(御前崎市)などをメーン会場として実施された。今回は静岡空港(牧之原市)を自衛隊や米軍、県警が連携する基幹的広域防災拠点とし、原発事故対応の支援センターも設置した。
 この日は県内各地で約15万人が訓練を実施。全35市町で県内79万人が訓練に参加する見込み。
 県の想定は、南海トラフで、東海、東南海、南海が連動する巨大地震が発生。震度6以上の揺れと大津波で各地に被害が発生し、浜岡原発も全電源が喪失するとした。
 「少しでも早く、少しでも多く、物資と人員を現場に展開します」
 午前9時15分。静岡空港では、地震発生後1日が経過したとの想定で、在日米軍や自衛隊、海上保安庁などの関係者が集まる拠点連絡会議が開かれた。
 県の担当者は「空港を最大限に活用し、初動の応急活動をする」と説明。通行不能になった道路状況と緊急交通路を指定した地図を張り出し、被災者を72時間以内に救助する方針を確認した。米軍の担当者は浜岡原発に災害評価チーム(DAT)の4人を派遣すると報告した。
 川勝平太知事は訓練終了後、会見で「(空港の)20ヘクタールの土地を防災拠点として活用できることを、自衛隊、米軍とともに共通認識として得られた。最大の成果だった」と総括した。

 ◎磐田・福田中 屋上避難、つらい高齢者
 磐田市福田(ふくで)中島の福田中学校での訓練は、大津波警報を知らせるサイレンとともに始まった。「ここらは津波に流される地域だから」。松田サエさん(77)は、被害想定をニュースで知った。周りの人にそんなことを言いながら福田中に急いだ。
 遠州灘(なだ)から約300メートル。3分ほどで、近所の住民が次第に集まってきた。3階建ての校舎の外階段を使って、海抜約15メートルの屋上に向かう。手すりにつかまり、苦しそうな表情を浮かべる高齢者の横を、若い人たちが追い越していく。
 83段ある幅約3メートルの階段を若い人は1分ほどで上ったが、高齢者は2〜3分かかった。つらくなって途中で引き返した男性もいた。
 新たな想定では、この地域には地震発生から最短5分で1メートルの津波が押し寄せる。津波の高さは平均10メートルに達する。
 校舎の屋上には、約300人の住民が集まった。周辺には約2800人が暮らす。狭い階段に大挙して押し寄せたら、全員が屋上にたどり着けるだろうか。
 自治会は、支援が必要な高齢者や障害者を把握しているという。同中3年生の戸田優也君は「階段で苦しそうなお年寄りがいたら、背負ってあげたい」と話した。(長橋亮文)

 ◎浜岡原発周辺 船で要援護者救助、不安も
 浜岡原発(御前崎市)から北東約5キロの同市比木の市消防本部で、署員たちが車いすに乗った「要援護者」をマイクロバスに乗せていた。訓練開始から10分後、5人の「要援護者」役の市職員らが乗ったバスは御前崎港に向かって出発した。
 訓練は、津波で浜岡原発の全交流電源が喪失したと想定し、原発周辺に住む要援護者の避難誘導だ。新たな被害想定で、同原発には19メートルの津波が押し寄せる。高さ18メートルの防波壁を考慮しない場合、最大9メートルまで海水につかる、とされた。
 国道150号のバイパスを通り、バスが御前崎港に向かう途中、遠くに浜岡原発の排気筒が見えた。「放射能漏れを懸念した住民が逃げまどい、道路は渋滞するかもしれない」。市職員は心配そうだ。
 30分で御前崎港に到着。御前崎海上保安署員らと協力し、要援護者を担架などで次々と巡視船に乗せた。
 この日、渋滞はなかった。ただ、大地震が起きれば道路は寸断され、港は津波で使えないかもしれない。「高齢化が進む中、要援護者を含めた住民をどう逃がすのか。しっかり議論しておかないといけない」。市職員が言った。
 (黒田壮吉)

 ◎下田港 観光客へ海上脱出呼びかけ
 下田市・下田港のほぼ中央にある桟橋に、下田海上保安部の巡視船「かの」が接岸していた。
 観光客約30人が、保安部の職員に先導されて船内へ進む。食堂や会議用として使われる部屋で、観光客らは住所や名前など乗船名簿を記入した。
 下田港には最大で12〜15メートルの津波が想定された。陸上からの脱出が不可能になった場合、取り残された観光客を船舶で輸送する訓練。実際に観光客に呼びかけての実施は初めてだ。
 さいたま市から家族3人で訪れた女性(39)はかつて、岩手県の北里大学水産学部(当時)にいた。「海の近くに来ると、高台へ逃げるルートを確認するのが習慣になっている。海上からの脱出訓練は頼もしい」
 約20人で合宿に来ていた大学2年生(20)は「こうした経験は貴重で心強い」と話した。
 下田港の桟橋や岸壁に立つ伊豆漁協。想定では1メートルの津波が18分で到達し、4秒後には10メートルに達する。
 同漁協には普段から職員らが約50人いるという。大地震の際には目の前にある「道の駅」の4階に観光客とも避難する計画だ。
 訓練に参加した同漁協の佐藤泰一組合長は「新たな被害想定で、避難場所の見直しが必要になった」と話した。(阪本昇司)


◇防災の日 横浜などで訓練 津波・帰宅困難 備え周到に=神奈川
(2012.09.02 読売新聞東京朝刊 横浜)
 ◎避難所開設も 川崎 
 「防災の日」の1日、県内各地で、地震や津波を想定した防災訓練が行われた。津波からの避難や、帰宅困難者の移動・輸送、避難所の開設など、さまざま訓練が実施され、いざという時に備えた。
 □横浜 
 首都圏の9都県市の合同防災訓練が横浜市で行われ、自治体や自衛隊、海上保安庁など103機関、約9000人が参加、来場した。8年ぶりに横浜市が幹事都市を務め、野田首相が視察に訪れた。
 中区の山下公園では、津波対策訓練に市民ら約1000人が参加。大音量で避難指示を放送する「津波避難伝達システム」が発動すると、区職員らの指示に従い、市が指定する津波避難施設へ避難を開始。高さ約4メートルの津波に対応するため、建物の3階以上を目指した。
 車いすに乗る人や視聴覚に障害のある人も介助者に付き添われながら約10分かけて近くのホテルに避難。中区障害者団体連絡会の室津滋樹会長(60)は「障害者は警報音が聞こえなかったり、段差につまずいたり、様々なリスクがある。みんなで一緒に逃げる意識を持ってもらえれば」と話した。
 西区のみなとみらい駅では、住民ら約400人が帰宅困難者対策の訓練に臨んだ。「大きな地震が発生しています」とアナウンスが流れると、参加者は姿勢を低くして落下物などを警戒。駅員が負傷者を確認し、徒歩10分ほどの避難施設まで誘導した。市立軽井沢中2年の府上開君(13)は「駅員さんの話をよく聞いて、勝手な行動をしないことが大切だと学んだ」と語った。
 □横須賀 
 海上自衛隊横須賀基地の護衛艦「やまぎり」(3500トン、小宮浩司艦長)は、東京都の総合防災訓練に参加し、帰宅困難者に見立てた都職員104人を東京都中央区の晴海ふ頭から同基地まで輸送した。
 帰宅困難者を船舶で代替輸送する訓練で、晴海ふ頭で「やまぎり」と海上保安庁の巡視艇5隻に都職員が乗り込み、「やまぎり」は横須賀基地、巡視艇は千葉市に向かった。
 約2時間半かけて横須賀基地に到着した横浜市磯子区の竹村昌彦さん(34)は「自衛隊の船だと安心。横浜に帰るには少し後戻りしなければならないが、それでも陸上を移動するより早く帰宅できると思う」と話していた。
 □JR 
 JR東日本横浜支社は横浜市鶴見区の弁天橋駅近くの鶴見線営業所構内で、震度7の地震で電車が脱線した想定で訓練を行った。
 地震で陸路が使えず救助に向かえないことを想定し、約40人のJR社員がみなとみらい地区から船で弁天橋駅の隣の浅野駅近くにある桟橋へ移動。営業所まで徒歩で向かい、非常用のハシゴを使って列車に閉じこめられた乗客を1人ずつ降ろし、近くの避難場所の公園まで誘導した。
 松崎哲士郎支社長は「非常時はパニック状態になると思うが、いざという時に備えて地道な訓練を続けていきたい」と話していた。
 □川崎 
 川崎市麻生区の市立はるひ野小・中学校では、マグニチュード7・3の地震が起きた想定で地域住民ら約630人が避難所を開設する体験型訓練を実施した。
 体育館に避難所を設置。参加者は心臓マッサージのやり方やAEDの操作法、包帯の巻き方、高齢者を車いすに乗せる方法などを実践した=写真=。夕方以降は停電を想定し、投光器を使って災害用トイレを組み立てた。市歯科医師会による講習では、虫歯や誤嚥性(ごえんせい)肺炎を防ぐため、水を使わず、専用のウエットティッシュで口の中をきれいにする方法を学んだ。
 親子で参加した小学4年の辻田栞里さん(9)は「ママが力のいる心臓マッサージをするのはすごいと思った」と話した。
   

◇[復興掲示板] 読売新聞東京朝刊
(2012.09.02 復興A)
 ◇東日本大震災
 ◎情報通信 避難者の絆 携帯端末 住民に配布 臨時のFM局 常設化 自治体が発信 
 被災地で、避難住民にタッチパネル式の携帯情報端末を配布したり、コミュニティーFMを開設したりして、復興に関する情報を発信する自治体が増えている。国も情報通信技術を使って、散り散りになった住民と行政、住民同士のつながり構築を支援しており、国が通信網整備費などを補助する被災地域情報化推進事業を活用しているのは45自治体に上る。
 「離れていても、住民との絆を保ちたい」。東京電力福島第一原発事故で警戒区域となり、住民がばらばらに避難している福島県富岡町では、住民に携帯型の情報端末を配布し、3日から試験運用を始める予定だ。縦15センチ、横23センチの端末は、画面にタッチするだけで操作でき、パソコンよりも簡単だ。町からイベントや議会などの情報を受け取れる。
 遠藤勝也町長は警戒区域解除後も、2017年3月までは町民や役場などを帰還させない意向を示していて、帰郷までの間、端末を通じて行政とのつながりを保ってもらう狙いがある。端末では、情報受信以外にも、アンケートに回答したり、掲示板に意見を書き込んだりして、双方向のやりとりができるようにする。既に約3000世帯から配布希望があるという。
 同県飯舘村は同様の情報端末2485台を配布した。村内の風景をライブ映像で見られるほか、テレビ電話として使い、村民同士が会話することも可能だ。宮城県南三陸町でも約550台を配布、「タイムリーに情報が得られる」と好評だ。
 臨時災害FMを常設のコミュニティーFMに衣替えして、街の様子を伝えようとしているのは、岩手県大船渡市や同県宮古市。
 大船渡市は震災後に、臨時職員が運営する災害FMを開設したが、行政情報が中心だった。
 コミュニティーFM移行後は、地元のNPOに運営や番組制作を委託し、街の様子や市民の声なども紹介していきたいとしている。担当者は「復興の現状や住民に役立つ情報を市民目線で伝えてもらいたい」としている。
 ◎室伏選手と運動会 石巻の中学校 
 ロンドン五輪陸上男子ハンマー投げで銅メダルを獲得した室伏広治選手(37)(ミズノ)が1日、交流を続けている宮城県石巻市の市立門脇中学校を訪れ、同じ陸上選手の妹、由佳さん(35)と一緒に運動会に参加した=写真、飯島啓太撮影=。「皆さんと心を一つにして、メダルを取れた」と応援に感謝し、「(被災地の)復活に向けてエールを送り続けたい」とあいさつした。
 昨年6月、生徒を元気づけるために訪問してから交流が始まり、同10月にも世界選手権での金メダル獲得を報告するために訪れた。2度目の凱旋(がいせん)となった今回は、リレーで一緒に走ったり、綱引きに加わったりして、生徒と一緒に汗を流した。
 また、自身の今後については「プレーイングコーチみたいなのがいい」と報道陣に語り、陸上だけにこだわらず、後進の指導をしながら競技を続行する考えを明らかにした。
 ◎原子力学会の専門家 希望自治体に派遣へ
 日本原子力学会の「福島特別プロジェクト」(代表=田中知・東京大教授)は1日、福島市内で初会合を開き、自治体の要望に応じて、アドバイザーとして専門家を派遣したり、放射線に関する勉強会を開催したりする方針を決めた。
 福島県が実施したアンケートで、除染や放射線の影響などについて専門家の説明を希望する自治体が多いことが分かり、会員の中から窓口役となる担当者を決めて「よろず相談」を行うことにした。
 ◎IAEA事務局長 佐藤知事と会談 健康、除染で協力意向
 【ウィーン=石黒穣】福島県の佐藤雄平知事は8月31日、ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部で天野之弥IAEA事務局長と会談した。天野氏は、事故を起こした東京電力福島第一原発周辺での住民の健康管理や放射性物質の除染に、IAEAが協力していく意向を示した。
 会談後に記者会見した佐藤知事によると、天野氏は協力にあたり、IAEAだけでなく世界各国の専門家の参加を促していくと表明した。
 ◎孤独死防止 通報システム 仙台でスタート 市内の仮設が対象 
 仮設住宅に一人で暮らす65歳以上の高齢者や重度障害者を孤独死から守る仙台市の緊急通報サービスが1日、始まった。市内全19か所の仮設住宅が対象で、既に計300人以上が申し込んでいるという。
 各戸に取り付けられた自動通報システムは、トイレを12時間以上使っていない状態や、火災やガス漏れなどを検知すると、警備会社や消防に通報する。携帯電話の貸し出しも行い、外出時に体調が悪化した場合なども速やかに連絡できるようにした。コールセンターも設置し、生活相談などに24時間体制で対応する。
 同市宮城野区の仮設住宅に住む菊地武三郎さん(74)は「やはり一人暮らしは不安。操作も簡単だし、すぐに警備員が駆けつけてくれるのはうれしい」と話した。宮城県石巻市でも10月から同様のサービスが始まる。
 
 ◎情報をお寄せください。〒104・8243 読売新聞東京本社 復興掲示板取材班へ郵送、ファクス(03・5200・1836)、電子メール(naishin@yomiuri.com)で。住所、氏名、連絡先の電話番号を記してください。インターネットなどで使うこともあります。
 
 〈被災地域情報化推進事業〉
 被災した11道県227市町村を対象に、総務省が昨年12月から始めた事業。情報通信技術を使ったネットワークや災害に強い情報通信システムの構築などの事業費の3分の1を国が補助する。8月までに交付決定したのは54事業で、事業総額は約120億円。


◇防災の日:震災の教訓生かし備え 釜石市民が避難所を運営 知事、空から孤立地域視察 JR、負傷者の運び出しも /岩手
(2012.09.02 毎日新聞地方版/岩手) 
 「防災の日」の1日、県内各地でさまざまな防災訓練が行われた。釜石市では、県との共催で東日本大震災後初となる県総合防災訓練を実施。盛岡市のJR盛岡駅でも大地震を想定した避難誘導訓練を行った。東日本大震災から間もなく1年半。震災で生じた課題、学んだ教訓を生かし、一人一人が次の災害へ備えた。【狩野智彦、浅野孝仁】
 県総合防災訓練は、震災と同じ規模の地震や津波が発生したとの想定で、市民のほか県警や自衛隊など関係する78機関が参加し、51項目の訓練をした。
 釜石市立釜石中で行われたのは、避難した市民が避難所の開設・運営作業に加わる実践的な訓練。スペースを区切る仕切り板を組み立て、「バケツリレー」のように参加者が協力して支援物資を運搬した。高齢者や身体障害者の介助訓練をした釜石中の佐藤奎吾君(3年)は参加者を代表し「避難時の介助の必要性が改めて分かった。学んだことをより多くの人に伝えたい」と決意を述べた。
    ◇
 達増拓也知事はヘリコプターに搭乗し、上空から避難の様子や津波で孤立した地域の救難信号の発信訓練を視察した。その後訪れた釜石中で救護所などを見学した。訓練の閉会式では「住民が自ら考え、判断して避難する大切さを実感した。災害への備えは日ごろの訓練が大切。できることからやっていこう」と呼びかけた。
    ◇
 盛岡市のJR盛岡駅では震度6強の大地震が発生した想定で、利用者の安否確認や避難誘導を行う訓練に職員ら約70人が参加した。
 職員は運行状況を無線機を使って確認し合ったり、新幹線のコンコース内では頭にケガをした人を担架で運び出し、足を負傷した人は車いすで駅前の広場まで避難させた。
 現地対策本部長役の福島徳美副駅長(56)は「慌てず落ち着いて誘導することを心がけた。今後も訓練を重ねて緊急時に備える」と話していた。


◇防災の日:大規模災害に備え総合訓練 消防や警察など86機関−−福山 /広島
2012.09.02 毎日新聞地方版/広島) 
 地震などの大規模災害に備える今年度の総合防災訓練(県防災会議、福山市防災会議主催)が1日、福山市草戸町4の芦田川河川敷などで、消防や警察、自衛隊など86機関約1000人が参加して行われた。
 太平洋沖の南海トラフを震源とするマグニチュード9・0の地震が発生。福山市で震度6強を観測し、死傷者が多数出た上、3・3メートルの津波が沿岸部を襲い、住民に避難指示が出される事態を想定した。
 消防車が危険物の消火活動にあたったり、倒壊した建物に残った人を消防隊員らが救出。ヘリを使って川に溺れたり、炎上するビルに取り残された人を救出する訓練もあった。
 また、訓練には「びんご聴覚障害者防災連絡協議会」(金尾千三会長)のメンバー12人も初参加。倒壊家屋に閉じ込められた想定で笛を吹いて救助を求め、避難所では意思伝達カードなどを使って避難に関わる情報を受けた。聴覚障害者の和泉正人・同協議会事務局長=尾道市栗原町=は「今日は避難所に障害者専用の受け付けが設けられスムーズにいったが、避難所でどう情報を漏らさず受け取れるかが重要だ」と話した。【高田房二郎】


◇ともに備える:立川断層帯・多摩直下地震/下 進まぬ福祉避難所指定 /東京
(2012.09.01 毎日新聞地方版/東京) 
 ◇災害弱者が安心できる社会を
 国立市内の障害者支援センターで働く中根英樹さん(39)は17歳のとき、交通事故で脊髄(せきずい)を損傷し、首から下の感覚がない。日中は車椅子での生活で、介助者なしには自宅アパートから出られない。
 洗面所の棚に置いてある防災リュック。中身は乾パンや薬、ヘルメットなどで、介助者の分も入れてある。しかし介助者がつくのは1日21時間までで、3時間は1人。その間に災害が起これば誰かに連絡を取ることも困難だ。介助者自身が被災する可能性もある。「近所の人に会えばあいさつをし、障害のある人間が住んでいることを知ってもらうようにしている」
   ◇  ◇
 昨年8月。避難所に指定された小学校体育館は、午前中からうだるような暑さだった。初めて参加した市の防災訓練でのことだ。中根さんは「とても、一晩過ごすことはできない」と怖くなった。
 中根さんは体温調節ができない。気温が高ければ38度近くまで上がるし、低ければ低体温になる。冷暖房の設備はなかった。季節によっては水道やガスが止まっても自宅にとどまるしかない。今はそう考えている。
 都の被害想定によると、立川断層帯地震では直後に約101万人の避難者が出るとされる。多摩直下地震は約276万人だ。その中には中根さんのような障害者や重病の人も含まれる。しかし多くの自治体で、家屋の倒壊などの場合に向かう先は、近くの小中学校となっている。
   ◇  ◇
 阪神大震災では、避難所生活が長引き、体調を崩して死亡する「震災関連死」が相次いだ。国は08年にガイドラインを定め、各自治体に冷暖房や介護用品などを備えた「福祉避難所」を設置するよう求めた。しかし、東日本大震災でも震災関連死は1632人(今年3月末)に上り、全体の死者・行方不明者数の約8%を占める。
 福祉避難所のほとんどは、自治体が老人介護施設などの民間施設と協定を結び、指定する。しかし、都によれば、昨年3月時点で都内62の全市区町村のうち、文京区や福生市など11市区町村で指定ゼロの状態が続く。
 国立市は11施設を指定しているが、元々の施設利用者を優先するため、実際の受け入れは未知数だ。中根さんは東日本大震災後、冷蔵庫に転倒防止ベルトを取り付け、食器棚に飛散防止フィルムを貼った。落下物をまたいで逃げることができないからだ。
 「自分の身を守る対策はしているが、心配なのはその後。災害弱者が安心できる環境を整えてほしい」=この企画は平林由梨が担当しました。
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 □ことば
 ◇福祉避難所
 介助者が必要な障害者や高齢者に配慮した避難所で、市区町村が指定する。民間施設を指定する場合は協定を結ぶ必要がある。国のガイドラインでは、バリアフリー化され、介助用品などが備わっていることや、おおむね10人の利用者に1人の介助者を置くことなどを求めている。厚生労働省によると、11年3月末時点で、全国自治体の約4割にあたる729市町村でしか指定がされていない。


◇津波災害:県警運転免許更新者アンケート 避難、15%が自動車 高齢者や乳幼児…徒歩での対応、厳しく /兵庫
(2012.09.01 毎日新聞地方版/兵庫) 
 ◇主要道路設定や流入規制必要
 県警災害対策課は31日、運転免許の更新者を対象にした津波災害の意識調査結果を発表した。自動車での避難について、東日本大震災では沿岸部で渋滞が発生して逃げ遅れる問題が起きたが、約15%が選択。このうち約半数が、高齢者や障害者など災害時要援護者がいるため、と回答した。同課は「一律に徒歩での避難では対応できない実態が浮き彫りになった。主要避難道路の設定や流入規制などの対策を考えたい」としている。【山口朋辰】
 調査は6月20日〜7月10日に明石、神戸、阪神の更新センターと淡路島の警察署と派出所の計7カ所で実施。避難時の行動や警察に期待することなど15の設問で、20〜70歳代の3086人から回答を得た。
 避難方法は「徒歩」が60・2%で最多だったものの、15・7%が「自動車」を選択。津波被害が大きいと予想される淡路島では35・9%と、他地域より割合が高かった。
 「自動車」を選択した48・8%が「同居や近隣の家族・知人に高齢者や障害者、乳幼児がいるため」と回答。60歳代以上では58・5%が「早く避難できる」ことを理由に挙げた。警察に期待することとして、「的確な情報提供・広報活動」が47・3%で、「避難誘導」の37・7%を上回った。
 同課は調査結果を各警察署の初動対応を定めた初期対応要領に反映させる、という。


★◇被災時、自治体との支援協定 福祉施設 締結は3割未満 都協議会調査=多摩
(2012.09.01 読売新聞東京朝刊 多摩)
 災害時に物資の提供などを受ける協定を自治体と結んでいる都内の福祉施設は3割にも満たないことが、都社会福祉協議会(新宿区)がまとめたアンケートで分かった。寝たきりの高齢者などを抱える福祉施設にとって、自治体との連携は不可欠だが、「協議・検討中」と答えた施設を合わせても、半数もなかった。
 調査は5〜6月、都内にある特別養護老人ホームや保育所など2330か所の施設を対象に実施、うち1001施設から回答があった。自治体と災害に関する何らかの協力関係を結んでいるかという問いに、「すでに構築している」と答えたのは268施設だった。
 一方、災害発生直後、要援護者を含む地域住民に支援を求められた場合、施設としてどんな対応ができるかを複数回答で聞いたところ、854施設が「共有スペースの提供」と答え、425施設は「共有スペース、非常食の提供も可能」とした。保育所や障害者施設など51施設が「どのような条件でも受け入れが難しい」とした。
 同協議会は「施設利用者の安全確保が最優先で、混乱の中、手が回らない可能性があるためではないか」と指摘する。


◇「震度7」の街に緊張感 立川断層帯地震、備える住民 武蔵村山・立川 /東京都
(2012年09月01日 朝日新聞朝刊 東京西部・1地方)
 立川断層帯地震は、阪神大震災や新潟県中越地震の最大震度と同じ「震度7」が都内で最も広範囲にわたると想定されている。市域の3割が震度7の揺れに見舞われるとされる二つの街を見つめた。

 ◎武蔵村山市
 「あと少しです」。武蔵村山市中央3丁目の高橋勉さん(64)は26日、地元の中学校の校庭で、倒壊した家屋の下敷きになった「住民」に声をかけ、がれきから慎重に引っ張り出した。
 立川断層帯地震を意識し震度7の想定で初めて行われた市の防災訓練。救出された「住民」は人形だ。高橋さんは幼いころから市内に暮らし、断層帯の周辺に住んでいることは知っていたが、都が今年4月に発表した被害想定を見てこう感じたという。「思ったより被害が大きくなりそうだ」
 埼玉との都県境に位置し、人口7万人余り。立川断層帯地震が発生すれば市区町村別で最も比率が高い30%の市域が震度7に襲われ、時間帯によっては死者は137人、揺れによる木造建物の全壊率は9・9%に上ると想定される。
 高橋さん宅の周辺も、震度7との想定だ。被害想定の発表後、長期間の停電に備えて自家発電機を12万円で購入し、庭の井戸のさびついていたポンプを新調した。「断層があるからと言って、今さらよそに引っ越すわけにもいかない」

 ◎転倒防止具、高まる関心
 武蔵村山市では今年度から5年で、市内の2500世帯に無料で家具転倒防止器具をつける計画を進めている。都が被害想定を発表した後、市民から問い合わせが殺到。今年度の500世帯分の在庫はなくなり、急きょ100世帯分を追加して配った。
 天井と家具の隙間に立てる突っ張り棒など6種類から数点を選ぶことができる。前年度までに設置された2800世帯とあわせ、市内の世帯の2割への普及をめざす。
 同市中藤5丁目で夫(67)と暮らす主婦(66)は8月に器具が届いたばかり。「知らされないことが一番怖いので、住民にとってよくない被害想定の情報でもどんどん教えてほしい」
 30年以内の発生確率は、多摩直下地震などの首都直下地震が70%、立川断層帯地震は0・5〜2%。市は「立川」を想定した防災訓練で市民の意識を高めるものの、防災計画は「多摩」に照準を合わせる。多摩を大きく上回る被害規模の立川に想定し直すと、予算が膨れあがり、非常用物資の備蓄場所も足りなくなる。
 担当者は「最大の被害を想定すべきだとの指摘もあるだろうが、発生確率を考えると、これが現実的だ」と明かす。

 ◎立川市 安否確認、市と自治会連携
 立川断層帯地震の震度7の想定地域が、武蔵村山市に次ぐ27・8%とされる立川市。JR立川駅に近い錦町2丁目のマンションで、市川敏夫さん(63)が27日、4階の一室に1人で暮らす女性(70)を訪ねた。「今度、消防署の人たちと一緒に来るから。安心して待っていて」
 9月2日の市の防災訓練では、高齢者や身体障害者ら災害時要援護者の安否確認を初めて試みる。それを事前に伝えるための訪問だった。
 市川さんが自治会長を務めるこの地区で、要援護者の名簿に載る住民は29人。女性はその一人だ。「自分の安否を確かめに来てくれるのは、ほんとにありがたい」
 立川市の要援護者は5498人。その名簿を自治会ごとに分け、6月から協定を結んで提供し始めた。ところが自治会側からは「名簿を渡されても年寄りばかりの役員で安否を一軒ずつ確かめて歩くのは厳しい」といった声が上がった。
 全180自治会のうち、協定を締結したのは51(28%)にとどまる。市防災課は「さらに理解を深めていただき、毎年名簿を更新する機会に協力をお願いするしかない」と言う。
 それでも市川さんは「普段から地域の絆を強め、一人でも多くの住民を助けたい」。今後、看護や介護の経験をもち、安否確認や救助の現場で活躍できる住民を地区から掘り起こしたいという。(照屋健、市川美亜子、辻岡大助)


◇震災踏まえ実践訓練 江戸川で応急架橋など きょう・あす、大規模に /千葉県
(2012年09月01日 朝日新聞朝刊 ちば首都圏・1地方)
 「防災の日」の1日と2日、市川市などで大規模な防災訓練が行われる。昨年は東日本大震災の復旧作業のため中止され、自治体ごとなどの個別での訓練にとどまったため、同震災を踏まえた訓練は初めて。崩落した橋の架橋、家庭や職場で参加可能な新訓練など、従来よりも実践的な内容になっている。
 市川市で行うのは首都圏の9都県市の合同防災訓練。訓練で最も大規模なものは1日に江戸川河川敷で自衛隊が行う応急架橋だ。
 市川市は江戸川を挟んで東京と隣接している。訓練では約170メートルの川幅に「門橋」と呼ばれる仮設橋を架け、実際に車両を走らせる。
 2日の多数遺体取り扱い訓練は、東日本大震災で1万5千人を超える死者が出たことを踏まえ、医師会・歯科医師会の呼びかけで訓練に採り入れられた。遺体の搬入、検視、身元確認、納棺、遺族対策まで行う。
 県が今年修正した地域防災計画で強調した住民の「共助」と「自助」についても訓練で前面に出している。家庭用ジャッキを利用した倒壊家屋からの救出▽災害に遭遇した障害者のサポート▽住民が主体となった避難所の開設・運営(いずれも1日)――などを住民参加で行う。

 ◎会場不要の新形態も
 千葉市では1日午前9時にメールの合図で、机の下に隠れるなど一斉に身を守る体勢をとる「シェイクアウト」訓練を初めて行う。訓練会場に出かける必要はない新しい形態の訓練だ。
 メールは地震発生の想定で、緊急速報機能のある携帯電話に送られる。参加者は、ドロップ(姿勢を低く)、カバー(手や腕で頭や首を守る)、ホールドオン(揺れの収束まで静止)という基本動作を約1分間とる。室内ならテーブルの下に入るなど、個々で安全を考えて行動する。
 市ではメールが届くのが40万人になるとみている。市防災対策課によると、参加を呼びかけるとともに突然メールが届いて驚かないようにと、回覧板で家庭に知らせ、15日発行の市政だよりにも掲載するなど周知に努めてきた。JR、京成電鉄、千葉都市モノレールの駅では、訓練直前に訓練のあることを伝えるアナウンスを流すという。

 ◎県警や鉄道も
 県警は1日午前6時、房総半島沖で震度6強の地震が起きたとの想定で訓練を実施する。本部庁舎に勤める2250人全員を初めて訓練で参集し、自転車やバイク、徒歩での出勤を促す。電車の場合は普段使う駅の一つ前の駅で降りて、出勤ルートを確認させる。
 東日本大震災では、遺体の身元確認に手間取り、歯形や親族のDNAの提供が必要になった。県警の1日の防災訓練では、震災の教訓を踏まえ、災害時に親族から行方不明者の捜索願を受ける際の注意点について確認するという。
 JR東日本千葉支社と京成電鉄、東京都交通局は市川市や県と合同で、本八幡(JR、都営新宿線)、八幡駅(京成)周辺で、帰宅困難者の誘導訓練を行う。駅利用者に状況を説明するとともに、駅付近に滞留する人たちを約1キロ離れた指定避難場所の県立現代産業科学館へ誘導する。


*作成:
UP:20120905 REV:20121129,
災害と障害者・病者:東日本大震災 

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