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分配/贈与


所得保障(income security)/贈与(gift)/

◆Stanford 大学が作っている on-line 版哲学事典の中から。
・Distributive Justice
 http://plato.stanford.edu/entries/justice-distributive/
・Equality
 http://plato.stanford.edu/entries/equality/
◆The Equality Exchange という、平等論に関するsite.
 http://aran.univ-pau.fr/ee/
 (文献表と、manuscript が手に入ります)

ベーシック・インカム(basic income)
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/d/b003.htm

貧困
生活保護
年金/年金保険/◆障害者と年金
医療保険/医療経済
公的介護保険


 
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■分配/贈与

◆Titmuss 1970

 「社会がその諸機関――とりわけ、保健や福祉システム――を組織し、構築する方法は、人びとの利他主義を促しもするし、逆に妨げもする。そうしたシステムは人びとを統合しもするし、逆に疎外しもする。それは「贈与のテーマ」……見知らぬ者への寛大さからする……を社会集団や世代間に拡大させるであろう。このことは、物質的要求にもとづく消費者の選択を強調することに比較して十分に認識されてはいないが、20世紀における自由の重要な一側面である。」(Titmuss[1970:225],Johnson[1987=1993:170]に引用)

 「ティトマスも論じたことだが、われわれは次のことを痛感する。すなわち、「見しらぬ人びとの必要」をみたすには、ある種の特別な道徳的資質が要求されるため、そうした福祉サービスは、匿名性が確保される国家機構を通じたほうが、もっとも効果的に達成できるように思われる。」(Pearson[1991=1996:403]、言及されているのはTitmuss[1970])

◇Titmuss, Richard 1970 The Gift Relationship : From Human Blood to Social Policy, Allen and Unwin, 1972: Vintage Books

◆Freedman

 「わたしは自由主義者として、もっぱら所得を再分配するための累進課税については、いかなる正当化の理由をも認めることがむずかしいと考える。これは他の人びとにあたえるために強権を用いてある人びとから取り上げるという明瞭な事例であり、したがって個人の自由と真正面から衝突するように思われる。」(Freedman[1962=1975:196])

 「わたしは貧困を目にすることによって悩まされ、貧困の軽減によって利益を受ける。けれども、その軽減の費用を払うのがわたしであろうと他の人であろうと同じように私は利益を受ける。」(Freedman[1962=1975:214-215])

◆分析的マルクス主義派

 「……分析的マルクス主義派のR・ヌーアソンが、資源の平等に対して、選好形成には本人の責任を越える社会的要因が関わっており、選好も保障の対象に含めねばならないと批判し、自らは「効用の機会の平等」を提唱している。効用の機会の平等とは、誰もが複数の選択肢からなる決定樹について、選択の期待値が等しいという意味での等価な決定樹に直面している事態である。コーエンは、アーヌソンによる選好形成の社会的要因の指摘を高く評価しつつも、自らは「利益(advantage)へのアクセスの平等」を唱えている。効用や資源ではなく利益とされるのは、それが効用と資源の対象領域を包括しているからである。また機会ではなく(p.113)アクセスとされるのは、機会はもっているが能力が欠如している場合を、機会の平等では扱えないからである。現実的になにかをもっていることがアクセスである。」(松井[2000:113-114])

◆八代 尚宏 19800321
 『現代日本の病理解明――教育・差別・医療・福祉の経済学』
 東洋経済新報社,251p.

序章 現代日本の病理とは何か
 第1章 「受験地獄」はなぜ生じるか
 第2章 男女差別と日本の労働市場
 第3章 公的年金制度効率化への道
 「…何故貧困世帯のなかで身障者世帯や母子世帯と比べて老人世帯だけが優遇されなければならないかという批判が当然生じよう。現行のミーンズ・テストのやり方には種々の問題点があるとしても,公的に保障すべき最低所得水準を設定し,それ以下の所得階層の人々に対してのみ,拠出にもとづかない直接的な所得再分配を行なうという原則を無視することは,必ず何からの形で福祉政策の非効率性に結びつくものといえよう。(17)」(135)
 「(17) 現行のミーンズ・テストの方式を改善するためには,社会福祉事務所による保護指導を廃止し,生活保護の認定を形式的なものに近づけることが一つの方向として考えられる。また,労働意欲に対するマイナスの影響が少ないとみられる高齢者世帯についてはミーンズ・テストの基準を大幅に緩和することも必要とされるかも知れない。さらに「負の所得税」構想ではすべての人が所得を申告することになるので,この面の弊害が少ないことも一つの利点として挙げられている。」(157)

◆野口悠紀雄 1982

 「所得分配の正統的手段は直接的移転であるにもかかわらず,現実には価格政策が多用されているのは,いかなる理由によるのであろうか。1つの理由は,受益者の心理的抵抗が少ないことにある。これについては,すでに第3章で述べた(3.2を参照)。いま1つの,おそらくより大きな理由は,比較的少額の財政支出で,所得再分配に関する政府の積極的な配慮にあると思われる。たとえば,消費者の関心が最も強い公共サービスをいくつかとりあげて価格抑制を行えば,少額の財政支出で消費者を心理的に満足させることかできるであろう。また,農産物の価格支持のように特定のグループを対象に政策がなされる場合には,当該グループから強い政治的支持がえられる。」(野口悠紀雄[1982:99])

立岩 真也 2000
 「もう一つ、すごくベーシックなことで言うと、社会があるということの一番ベースというのは、僕はむしろ贈与的な部分だと思っているんです。自発的なもの、あるいは自発的なものに期待できず義務化するしかない部分をふくめて贈与である、贈与的なものであると。つまり「支えあう」のではなくて「支える」、というのか、互酬ではなくて、一方的な贈与が、社会が社会であることのベースにあると思うんです。
 そういう意味では、アンペイドワークの方がベースにあるはずなんです。……」
 姜尚中・井上泰夫・立岩真也・中村陽一・川崎賢子(座談会) 200002 「アンペイドワーク――現状と展望」
 中村陽一・川崎賢子編『アンペイドワークとは何か』,藤原書店
 http://www.fujiwara-shoten.co.jp

◆立岩 真也 20000305
 「分配においてなされること、なされるべきこと、その少なくとも一部は――それに見合った反対給付が見込めないという点において、純粋に生存のためにのみ消費され次の生産に結びつかないという点で――いわば純粋な贈与なのだが★25、…」
 「★25 庄司興吉が福祉社会を論じる中で「根源的贈与」という語を用いている(『地球社会と市民連携――激成期の国際社会学へ』、有斐閣、一九九九年、一五七−一五八頁)――このことを語るのにポトラッチその他をもってくるのがよいかについては、私はそう考えないけれども。」
  「選好・生産・国境――分配の制約について(下)」,『思想』909(2000-03):122-149 関連資料
  *『思想』のホームページ(各号の目次) http://www.iwanami.co.jp/shiso/

◆立岩 真也 2001/12/15 「贈り物の憂鬱」
 『読売新聞』2001-12-15夕刊:17(土曜文化)

◆立岩 真也 2001/12/00 「おくりもの、というもの――知ってることは力になる・20」
 『こちら”ちくま”』25


 
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■保険の正当化/保険という正当化

◆橘木 俊詔 20000125 『セーフティ・ネットの経済学』,日本経済新聞社,248p. 1800 ※

 「第一の自助努の方法[…]第二の家族支援型ないし世代間扶助型の方法[…]」(p.82)
 「第一ないし第二の方法が完璧に機能すれば、引退者の所得保障を年金で行う必要はない。しかし、完璧に機能しないので、公的年金が必要とされるようになった。
 第一の自助型の方法に関していえば、人によっては必ずマイオピック(近視眼的)な人がいて、自分の老後保障に関心を示さず、現役世代中の所得を消費に使い切って、貯蓄をしない人が存在する。このような所得のない引退者を、社会全体の負担である税収をあてて、生活保護費支給制度に依存した所得保障を行えば、フリーライダー(ただ乗り者)を社会的に容認することにつながる。これでは貯蓄に励んだまじめな人々のなかに、不公平感が残るだけである。[…]
 第二の世代間扶助型の方法に関していえば、人によっては結婚しない人(生涯独身者)や、子供のいない人もいるので、家族の範囲内で、世代間私的保障を行えない人もいる。[…]」(p.84)

◆橘木 俊詔 20020314 『安心の経済学――ライフサイクルのリスクにどう対処するか』,岩波書店,285p. ※

 「なぜ公的年金制度か
 […]
 なぜ公的部門が強制力を発揮して、貯蓄を国民に求めるようになったのであろうか。当然のことながら、国民がそれを望んだことが最も重要な理由なので、国民の選好による結果と判断する必要(p.145)がある。
 第一に、成人した子供が老親を経済保障する制度は、西欧でも一九世紀まではごく自然であったし、アジアでは多くの国で現在まで続いている伝統である。しかし[…]
 第二に、家族間の所得保障を可能にした要因として、次の二つの要因を指摘しておきたい。一つは、産業の中心が農業・商業だったので、親子間で職業継承が普通であった。ししたがって[…]
もう一つは、人の寿命が短かったので[…]
 ここで述べた二つの要因が、産業革命を経て工業化に成功した先進諸国において崩れてきた。すなわち[…](p.146)
 […]公的年金制度は法律によって、個人に「ライフサイクル貯蓄」の実行を強制するものであるから、なぜ公的部門が登場してきたかを説明する必要がある。それをこれまで述べたきた二つの要因に加えて論じてみよう。
 第三に、人々は様々な趣向や性質をもっている。人によっては自分の将来のことなど気にかけず、老後の消費に備えた貯蓄行動をしない場合がある。[…]
 第四に、人の寿命は不確実性が高い。[…](p.147)  第五に、貯蓄するということは、資産を蓄積することを意味する。[…]
 第六に、公的部門が年金を運営することによって、一国経済の資源配分や所得再分配という課題に直接取り組むことができる。[…]」(p.148)


 
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■犠牲 →犠牲

 「★19 迷惑をかけないことは、翻って他者を尊重することでもあると言いうる。だから、これは「自己犠牲」という社会が美徳としているものを否定する行ないだと言えるかもしれない。犠牲になることはたぶんうるわしいことである。ただ言えるのは、犠牲にさせることは、犠牲を肯定するその価値自体を裏切ることでもあるということである。犠牲を教えた者は生き残るだろう。ならば、犠牲になることを教えてはならない。少なくともここで犠牲となるとは、いずれかが倒れるという状況ではないのに、少なくともそのような現実を構築することが不可能でないのにもかかわらず、私達にとって好都合(でしかない)こと、このことを教えるべきだということである。〔cf.本書第5章注4・195頁〕」 (立岩『弱くある自由へ』p.49)


 
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■文献(出版年順)

◆Titmuss, Richard 1970 The Gift Relationship : From Human Blood to Social Policy, Allen and Unwin, 1972: Vintage Books
*◆Boulding, Kenneth Ewart 1973 The Economy of Love and Fear : A Preface to Grants Economics Wadsworth Publishing Co., Ltd.=19750901 公文俊平訳,『愛と恐怖の経済――贈与の経済学序説』 佑学社,240p. 1100 *
*◆Walzer, Michael 1983 Spheres of Justice: A Defense of Pluralism and Equality, New York: Basic Books.=1999 山口晃訳,『正義の領分』,而立書房
*◆Johnson, Norman 1987 Welfare State in Transition : The Theory and Practice of Welfare Pluralism, Harvester Wheatsheaf=1993 青木郁夫・山本隆訳,福祉国家のゆくえ――福祉多元主義の諸問題』,法律文化社
◆井上 章一・森岡 正博 1990 「売春と臓器移植における交換と贈与」 『日本研究』2:97-106→井上・森岡[1995:39-58]
◆Nagel, Thomas 1991 Equality and Partiality, Oxford: Oxford University Press.
*◆Pearson, Christopher 1991 Beyond the Welfare State ?, Basil Blackwell=1996 田中浩・神谷直樹訳,『曲がり角にきた福祉国家』,未来社
◆山本 泰・山本 真鳥 19960229 『儀礼としての経済――サモア社会の贈与・権力・セクシュアリティ』 弘文堂,352p. 5631 ※
◆松井 暁 20000320 「社会主義――基本理念からの再構築にむけて」,有賀・伊藤・松井編[2000:105-125]
*◆有賀 誠・伊藤 恭彦・松井 暁 編 20000320 『ポスト・リベラリズム――社会的規範理論への招待』,ナカニシヤ出版,267p. 2000
 http://www.nakanishiya.co.jp/
◆立岩 真也 200010 『弱くある自由へ』,青土社

◆日本社会保障法学会 編  『所得保障法』(講座社会保障法2) 法律文化社 3700 
◆日本社会保障法学会 編  『住居保障法・公的扶助法』(講座社会保障法5) 法律文化社 3800 
◆統計研究会 編 197708 『福祉社会における所得保障――理論と実証』 統計研究会,137p.  
◆丸尾 直美 19860331 「所得保障研究」 社会保障研究所編[1986:3-31](『社会保障研究の課題』) NOTE
◆Ozawa, Martha N.・木村 尚三郎・伊部 英男 編 19890125 『女性のライフサイクル――所得保障の日米比較』☆ 東京大学出版会,360p. 4600 ※

◆藤井 良治 19930120 「年金と女性の自立」 社会保障研究所編[19930120:183-202]

 
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■立岩

 ……
◆2001/12/15 「贈り物の憂鬱」
 『読売新聞』2001-12-15夕刊:17(土曜文化)
◆2001/12/00 「おくりもの、というもの――知ってることは力になる・20」
 『こちら”ちくま”』25
◆2002/10/00 「労働の分配が正解な理由」
 『グラフィケーション』123(富士ゼロックス)特集:働くことの意味
◆2002/11/20 「たんに割ること」
 『京都新聞』2002-11-20夕刊(知の新潮流・第5部)
 http://www.kyoto-np.co.jp/
 ……
◆2005/09/30 「自由はリバタリアニズムを支持しない」
 日本法哲学会 編 20050930 『リバタリアニズムと法理論 法哲学年報2004』,pp.43-55 有斐閣,206p. ISBN: 464112504X 3990 [boople][amazon] ※
◆2005/10/01〜「家族・性・市場」
 『現代思想』33-11(2005-10):008-019〜 資料
◆2005/12/26 「限界まで楽しむ」
 『クォータリー あっと』02:050-059
◆2006/07/10 『希望について』
 青土社,309+23p. ISBN:4791762797 2310
◆2006/08/** 『市場と国家のゆくえ』
 稲場 振一郎・立岩 真也(対談) 日本放送出版協会
◆2006/10/30 「人口の問題ではない」
 『環』[了:20060612]
◆2006/09/00 「だからこそはっきりさせたほうがよい」
 『グラフィケーション』146:17-19,富士ゼロックス 特集:企業社会はいま
 http://www.fujixerox.co.jp/company/fxbooks/graphication/backnumber/146/index.html

 *北本潮さんの協力に感謝いたします。


*このファイルは文部科学省科学研究費補助金を受けてなされている研究(基盤(B)・課題番号16330111 2004.4〜2008.3)の成果/のための資料の一部でもあります。

UP:20030810 REV:0811,1016 20060802,04
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