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ヒト細胞・組織/ES細胞/クローン… 2004

いわゆるクローン人間 2002
ヒト細胞・組織/ES細胞/クローン…   
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◆2004/02/12 12:00 朝: ヒトクローン胚からES細胞作成に成功 韓国の研究者ら
 朝日新聞ニュース速報

 ヒトの体細胞の核を卵子に移植してつくったクローン胚(はい)から、様々な組織に
なりうる胚性幹細胞(ES細胞)をつくることに韓国と米国の研究者が初めて成功し、
米科学誌サイエンス電子版に12日発表した。拒絶反応のない移植用の臓器づくりにつ
ながる半面、倫理的な問題が指摘されている。
 成功したのは韓国ソウル大学や米ミシガン州立大などのチーム。女性16人から提供
を受けた242個の卵子の核を取り除き、女性の体の細胞から取った核をそれぞれ移植
してクローン胚を作製した。30個は子宮に着床できる段階の胚盤胞(はいばんほう)
に成長。取り出した細胞から一つのES細胞を作製できたという。
 クローン胚は、子宮に戻せばクローン人間につながる。一方で、遺伝的に同じ組織や
臓器が作れる可能性があるため、拒絶反応のない移植治療の実現が期待されている。
 日本や仏独ではヒトクローン胚の作製は禁止、米国でも政府予算を使った研究は禁止
されており、ヒトのES細胞は、受精卵から作製し研究が進められてきた。再生医療を
進めるにはクローン胚研究が不可欠として、国の総合科学技術会議でも作製解禁の是非
が議論になっている。
 韓国では研究目的のヒトクローン胚作製は禁止されていない。
[2004-02-12-12:00]


20 02/12 11:53 毎: <ES細胞>胚戻せばクローン人間誕生 再生医療の進展も

毎日新聞ニュース速報

 ソウル大などが発表したヒトクローン胚による胚性幹細胞(ES細胞)の作成は、拒
絶反応の起きない組織や臓器づくりにつながり、再生医療の切り札とされている。しか
し、クローン胚は女性の子宮に戻せばクローン人間の誕生につながる。技術的には可能
だったが、倫理的な問題の大きさから各国で実施されていなかった。今回の成功は、大
きな論議を呼ぶことは間違いない。

 日本は「クローン技術規制法」で国内でクローン人間を作ることを禁止し、ヒトクロ
ーン胚の作成も同法の指針で禁じられている。しかし、再生医療の研究者からはヒトク
ローン胚や、そこからつくったES細胞研究の解禁を望む声が強い。

 だが、政府の総合科学技術会議生命倫理専門調査会の議論では「再生医療に道を開く
」とする推進派と「倫理的に問題がある」とする慎重論が対立し、昨年12月には両論
併記の中間報告書が作成された。現在、一般からの意見を募集中だ。

 ヒトクローン胚の作成については、フランスとドイツでは全面禁止されているが、同
じ欧州の英国では条件付きで認めている。米国では、ヒト胚の作成・利用を伴う研究に
政府の助成は出ない。国連でも、議論が分かれており、現実にある技術をどのように利
用、規制するのかが改めて問われることになる。【足立旬子】
[2004-02-12-11:53]


22 02/12 11:27 毎: <ES細胞>ヒトクローン胚から作成 臓器複製に道 韓国チ

毎日新聞ニュース速報

 ヒトのクローン胚を使い、体を構成するあらゆる細胞になる能力を持った胚性幹細胞
(ES細胞)づくりに成功したと、韓国・ソウル大などの研究チームが12日、米科学
誌「サイエンス」(電子版)に発表した。研究グループは「理論的には、拒絶反応の起
きない移植用の細胞や組織をつくれることになり、脳神経疾患や糖尿病などの再生医療
につながる」としている。しかし、クローン人間づくりにつながる技術を利用しており
、生命倫理をめぐる議論を呼ぶことになりそうだ。

 研究グループは、インフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)を得た16
人の女性から242個の卵母細胞(卵子のもと)の提供を受けた。このうち176個の
卵母細胞の核を取り除き、卵母細胞と同じ人の体細胞を移植してクローン胚を作成した


 このうち30個が、子宮に着床できる胚盤胞と呼ばれる段階まで分裂が進んだ。うち
20個から内部細胞塊を採取して培養。最終的に1株のES細胞ができた。ヒトクロー
ン胚の作成は、01年に米のベンチャー企業も成功を報告したが、胚の分裂は初期段階
で止まっており、胚盤胞に成長したのも今回が初めて。

 このES細胞をマウスに移植したところ、神経や筋肉などさまざまな細胞に分化する
ことも確かめられた。

 今回のヒトクローン胚を女性の子宮に戻して育てれば、クローン赤ちゃんの誕生につ
ながる可能性がある。ヒトクローン胚の作成は日本では認められていないが、韓国では
難病などの医療研究目的に限って認めている。クローン人間禁止条約の制定作業を進め
てきた国連でも、医療研究目的でヒトクローン胚の作成を認めるかどうかで各国の意見
が分かれ、昨年末から交渉が1年間凍結されている。【足立旬子】
[2004-02-12-11:27]


> 27 02/12 09:31 時: ◎ヒトクローン胚からES細胞=世界初、韓国チーム作成−再

時事通信ニュース速報

JST:0402120929
GMT:0402120029

◎ヒトクローン胚からES細胞=世界初、韓国チーム作成−再生医療応用に期待
 ヒトのクローン胚(はい)から、さまざまな組織になる能力がある胚性幹細胞(ES
細胞)を韓国のソウル大学などの研究チームが世界で初めてつくり、12日、米科学誌
サイエンスの電子版に発表した。理論的には、免疫拒絶反応が起きない移植用の細胞や
組織を必要なだけつくれることになり、脳神経疾患や糖尿病などを対象にした再生医療
への応用が期待される。
 一方、クローン人間誕生や生命の「道具化」につながると懸念する意見もあり、生命
倫理をめぐる議論が高まりそうだ。 

[時事通信社]
[2004-02-12-09:31]

3 02/12 18:24 読: クローン技術で万能細胞…韓国で世界初の成功

読売新聞ニュース速報

 人間のさまざまな組織になることができ、“万能細胞”ともいわれる胚(はい)性
幹細胞(ES細胞)を、体細胞クローン技術を使って作ることに、韓国ソウル大学な
どのグループが世界で初めて成功し、12日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発
表した。
 この手法で作ったES細胞からは、移植しても拒絶反応を起こさない組織を作るこ
とが可能で、パーキンソン病や脊髄(せきずい)損傷、糖尿病などの治療に役立つ。
一方、このクローン技術はクローン人間作りにもつながる技術とあって、日本では国
の指針で人への応用を当面禁止としており、生命倫理を巡る国際的な議論が高まると
見られる。
 体細胞クローン技術によるES細胞の作製は、マウスや牛では成功しているが、ア
カゲザルでは染色体異常を起こすという報告もあり、人間を含む霊長類では技術的に
難しいとの見方もあった。
 研究グループは、同意を得た女性から卵子と、体細胞(卵丘細胞)を採取。核を除
いた卵子に同じ女性の卵丘細胞の核を移植して作ったクローン胚を育て、ES細胞を
採取することに成功した。
 原理的には、体細胞は皮膚など何でもいいが、今回は成功率を上げるため、卵巣に
ある卵丘細胞が使われた。それでも、今回は16人の女性から計242個の卵子を採
取し、ES細胞ができたのは1つだけだった。
 治療応用へ向けては、技術的にもES細胞作りの成功率をさらに上げる必要がある。
また、狙った細胞に十分に変化していない細胞を移植するとがん化する恐れがあり、
ES細胞を狙った通りに確実に変化させる技術も不可欠だ。
 クローン技術を使わず受精卵をもとにしたES細胞は、国内でも京都大学チームが
作製に成功している。

 ◆受精卵からES細胞株を作製した中辻憲夫・京都大学教授の話「人間でもクロー
ン技術でES細胞が作れることを実証した意義は大きい。ただ、成功率が低いなど技
術的課題も多い。治療応用へは社会的な理解が不可欠だ」

 ◆クローン胚作り、日本は当面禁止…解説◆
 体細胞クローン技術でヒトES細胞を作った研究は、自分の細胞を使って失われた
機能を取り戻す「夢の治療」に道を開くものだ。可能性の実証という面では大きな一
歩だが、同じ女性の卵子と卵丘細胞を使う特別な条件で、242個の卵子から1株の
ES細胞を作ったにすぎない。ES細胞はマウスや、人間の受精卵から作られ研究が
進められているが、安全性を含め未知な部分も多く、治療への応用はまだ先という点
で、専門家の意見は一致する。
 クローン技術の人間への応用は、クローン人間作りにもつながるとの激しい反対が
ある。国連でも昨年12月、全面禁止を求める米国やカトリック諸国と、治療応用に
含みを残す日本や英国、ドイツで意見が割れ、結論を1年先送りした。
 韓国では昨年末、クローン人間作りを禁止する生命倫理法が成立したが、難病研究
目的のクローン胚作りは認めている。日本はクローン技術規制法の指針でクローン胚
作りは当面禁止としているが、総合科学技術会議の生命倫理専門調査会の2年半に及
ぶ検討作業の中でも、解禁派と慎重派の意見は平行線のままで、昨年末の中間報告は
異例の両論併記となった。
 治療面での「恩恵」と、人間の尊厳を脅かしかねない「クローン人間作り」。これ
らを同時に可能とするクローン技術は、生命科学の進展が突き付ける重い課題だ。
(科学部 杉森 純)
 ◆体細胞クローン技術=皮膚など体細胞の核を、核を除いた未受精卵に移植。化学
的刺激などにより細胞分裂させて個体に育つ可能性のある細胞の塊「クローン胚」な
どを作る技術。この胚は体細胞の提供者と同じ遺伝子を持つ。移植が必要な患者の体
細胞からこの胚を育てて組織や臓器にすれば、遺伝子が同一のため、移植しても拒絶
反応を起こさない。しかし精子と卵子が受精してできた通常の胚に比べ、出生に至る
可能性は低い。

[2004-02-12-18:24]


11 02/12 18:05 NH: ヒトクローン胚研究 位田京大教授 急がずに徹底議論を

NHKニュース速報

 ヒト・クローン研究の倫理問題に詳しい京都大学法学部の位田隆一(イダリュウイチ
)教授は「クローン胚の研究はヒトの生命の根源に関わる上、クローン人間を作り出す
ことにつながる恐れがあるため、非常に慎重に扱う必要があるが新しい治療法の開発に
つながる可能性も持っている。海外でクローン胚の研究が始まったからといって日本は
急ぐ必要はなく、ヒトの胚を使ってどこまで研究を行ってよいのか徹底的な議論を先に
すべきだ。また研究を認めるにしても、国などの管理のもとで他に治療法のない難病な
どの研究に限ることや、安全性を十分に確認することなどが必要だ」と話しています。

[2004-02-12-18:05]

> 4 02/12 13:04 NH: ヒトクローン胚から組織や臓器ができる細胞作成に成功

NHKニュース速報

 同じ遺伝子を持つ生物を人工的に作り出すクローン技術を使ってヒトの胚を作り出し
、そこからヒトの様々な組織や臓器ができる可能性のある細胞を作ることに成功したと
、韓国などの大学の研究グループが発表しました。
 この研究を行ったのは、韓国のソウル大学とアメリカの大学の研究グループで、アメ
リカの科学雑誌サイエンスの電子版に発表しました。
 それによりますと、研究グループでは、十六人の女性から合わせて二百四十二個の卵
子を取りだし、それを同じ女性から取り出した体の細胞と融合させてクローン胚を作り
出しました。
 そして、このうち三十個のクローン胚を胎盤になる細胞と胎児になる細胞とに分かれ
る胚盤胞(ハイバンホウ)と呼ばれる段階にまで成長させることに成功しました。
 さらに研究グループでは、この中からヒトの様々な臓器や組織を作り出せる可能性の
ある細胞を作り出したということです。
 ヒトのクローン胚は三年前、アメリカのベンチャー企業が数個の細胞まで分裂させる
ことに成功していますが、数十個以上の細胞からなる胚盤胞にまで成長させたのは初め
てです。
 クローン胚の研究をめぐっては、パーキンソン病などの難病の新たな治療法の開発に
つながるという期待がある一方で、クローン胚を女性の子宮に戻せば、クローン人間が
できる恐れもあるため、研究を認める国と禁止する国があり、日本では当面、禁止にな
っています。

[2004-02-12-13:04]


7 02/12 10:28 共: 再生医療の本命技術 生命倫理の問題消えず クローン

共同通信ニュース速報

 クローンは再生医療の本命技術。患者の体細胞をもとにしたクロ
ーン胚(はい)から胚性幹細胞(ES細胞)を作って臓器や組織に
分化させれば、患者と同じ遺伝子を持つため、拒絶反応なしに移植
できるとみられるからだ。韓国のグループの研究は、この実現にス
テップを進めた。
 一方で、クローン技術には生命倫理の問題がつきまとう。卵子を
生殖以外に使うことの是非や、クローン人間誕生につながる恐れだ

 日本は、ヒトクローン胚作りを禁止している。研究解禁をめぐっ
て総合科学技術会議の専門調査会が議論を続けたがまとまらず、昨
年末、結論を棚上げにした。
 フランスは禁止、英国は容認と、世界では判断が分かれている。
韓国では昨年末、難病治療の研究などに限ってクローン胚作りを認
める法律が成立していた。
 胚を子宮に戻して誕生させるクローン人間の禁止は、世界の共通
認識になっている。しかし、クローン胚研究を認めると技術が進歩
し、クローン人間を作りやすくなるとの危ぐも指摘される。
 韓国のグループは今回、ヒトクローン胚を比較的高率で胚盤胞と
いう段階に発育させる方法も示した。不妊治療の分野では、受精卵
を胚盤胞まで育てて子宮に戻すと妊娠率が高いとされている。(了)
[2004-02-12-10:28]

8 02/12 10:26 共: ヒトクローン胚で万能細胞 世界初、再生医療に前進

共同通信ニュース速報

 【ワシントン11日共同=井田徹治】ヒトの体細胞と卵子を融合
させ、受精卵のように分裂を続けるクローン胚(はい)を作り、こ
こから、人体のあらゆる細胞に成長する万能性がある胚性幹細胞(
ES細胞)を作ることに韓国ソウル大医学部の文信容(ムン・シン
ヨン)教授らのグループが世界で初めて成功し、米科学誌サイエン
スの電子版に十一日、発表した。
 患者と同じ遺伝子を持ったES細胞から、拒絶反応のない移植用
臓器や組織をつくるという再生医療の実現に向け、大きく前進した
ことになる。
 だが、このクローン胚を女性の子宮に戻せば、クローン人間の誕
生につながる可能性がある。日本ではこの種の研究は禁止されてお
り、米国も政府研究費の支出を認めていない。今回の研究が倫理面
で議論を呼ぶことも確実だ。
 文教授らは、女性十六人から無償で提供を受けた二百四十二個の
卵子の核を除去。この卵子と、同じ人から提供された体細胞の一種
の卵丘細胞とを融合させ、ヒトのクローン胚を作った。
 胚のうち三十個は、分裂を続けて胚盤胞という段階にまで達した
。細胞が八―十個になるまでヒトクローン胚を培養したとの報告は
これまでもあるが、百個以上の細胞からなる胚盤胞に成長させたの
は初めて。
 文教授らは、胚盤胞の一つから取り出した細胞を特殊な方法で培
養し、ES細胞を作るのに成功。このES細胞をマウスに移植し、
さまざまな種類の細胞に分化することも確かめた。
 韓国の法律は、クローン人間作りを禁止しているが、研究目的で
ヒトのクローン胚を作ることは認めている。
(了)
[2004-02-12-10:26]

02/13 02:30 読: 2月13日付・読売社説(2)
読売新聞ニュース速報

 [クローン技術]「立ちすくむだけではいけない」

 人間の生命は胚(はい)に始まる。この胚をクローン技術で人工的に作製し、成長
させて、「万能細胞」と呼ばれる特殊な細胞を作ることに、韓国と米国の研究陣が、
世界で初めて成功した。
 万能細胞は胚性幹細胞(ES細胞)とも呼ばれ、人体の様々な組織の細胞に変わる
能力を持つ。これを使えば、病気で傷んだ神経組織や臓器を再生させる「夢の治療」
が可能、と期待されている。
 この際、クローン技術で患者自身の体細胞から万能細胞を作れば、患者の体内に移
植しても拒絶反応が起きない。しかも、患者の万能細胞は、病気の原因を解明する研
究にも貢献する。
 医学を大きく飛躍させる可能性を秘めた成果だ。脊髄(せきずい)損傷や糖尿病な
どで苦しむ患者にとっても、朗報だろう。
 ただ、生命の始まりに人為的に関与するこの技術については、倫理面や安全性を巡
り、議論が百出している。
 クローン技術では、まず、女性から卵子を提供してもらい、患者などの体細胞の核
を卵子の核と入れ替えて育てる。
 卵子の採取は女性に負担がかかる。生殖以外の目的で実施していいのか、という意
見がある。人間の生命を人工的に操作することや、クローン人間作りにつながること
を心配する声もある。
 安全性については、万能細胞を移植する治療で、患者ががんにかかる可能性などを
懸念する専門家もいる。病気治療の研究より先に、動物実験で研究を深めるべきだ、
という主張もある。
 韓国では、こうした声を踏まえ、難病治療の研究目的に限って、国がクローン技術
の人間への応用を許可している。共同研究者がいる米国では、禁止か解禁かで、議会
の意見がまとまらず、なし崩しで研究が進んでいる。
 国連も、クローン技術を国際的に規制すべきかどうか審議しているが、クローン人
間作りを禁止することでは一致したものの、治療への応用については、各国の意見が
割れ、結論が出ていない。
 日本は、クローン技術規制法の指針で人間への応用を全面禁止している。これを解
禁すべきかどうか、総合科学技術会議の生命倫理専門調査会が二〇〇一年から二十一
回に及ぶ審議を重ねてきた。
 だが、意見はまとまらず、昨年末にまとめた中間報告書も、両論併記にとどまった。
この技術の有用性をどう考え、利用すべきか判断するための科学的なデータも、ほと
んど記載されていない。
 審議が倫理面に偏り、実証的な詰めを欠いたのが原因だ。研究の成果を踏まえ論議
を加速しないと、新たな生命科学の前で立ちすくむだけになってしまう。
[2004-02-13-02:30]

 

◆2004/07/13 「<ヒト胚研究>法規制せず穏やかな国の指針で 総合科技会議」
 毎日新聞ニュース速報

 人間の受精卵(ヒト胚(はい))やヒトクローン胚を使う研究のあり方を検討している政府の総合科学技術会議生命倫理専門調査会(薬師寺泰蔵会長)の最終報告書案全文が12日、判明した。焦点となっているヒト胚の作成と利用に対する規制は、法律では
なく国の指針(ガイドライン)を新たに整備し、実際の審査は大部分を日本産科婦人科
学会(日産婦)にゆだねることにした。報告書案は13日の会合に報告されるが、強制
力のある法律で規制すべきだとの意見も多く、委員からの反発が必至だ。
 同調査会はこれまで、不妊治療研究でのヒト胚作成を認め、6月23日の会合ではヒトクローン胚作りも難病などの基礎研究に限り容認した。薬師寺会長はこれを受け、研究の規制の枠組みを中心に報告書案を作成した。
 ヒト胚研究の規制について、報告書案は「強制力を有する法制度として整備するのは、倫理観や生命観の押し付け的な側面があって、極めて難しい」と判断し、強制力のない指針で十分とした。
 規制方法は「問題の性質上、専門家の知見が重要」だとして、日産婦を念頭に「生殖補助医療技術の専門家の団体が指針に基づく審査を行い、定期的に国に報告する」と規定した。国は日産婦に属さない研究者や、日産婦が判断できない問題の審査のみに対応すべきだとし、事実上、日産婦に規制を「丸投げ」した。
 ヒトクローン胚作成は現在、クローン技術規制法に基づく指針で禁止されており、作成を認めるための指針改正を検討する。クローン胚から作ったヒト胚性幹細胞(ES細胞)は、輸出入を認めないとしている。【江口一】

 ◇実質審議なく結論=解説

 総合科学技術会議生命倫理専門調査会の最終報告書案は、ヒト胚(はい)の作成や研究を法律では規制せず、強制力のない指針で対応する方針を打ち出した。しかも、指針に基づく審査を日本産科婦人科学会(日産婦)へ丸投げしようとしている。「なぜ規制が必要か」の原点に立ち返り、法律で規制すべきだ。
 ヒト胚やヒトクローン胚を作るには、女性から未受精卵を提供してもらわなければならず、女性の肉体的、精神的な負担が避けられない。このため、「女性を保護するための枠組み整備」「国による国内すべての研究者に対する規制」が必要という点で、調査会委員の意見は一致していた。
 こうした経緯にもかかわらず、ほとんど実質審議しないまま「法規制せず」の結論が出されたのは疑問が残る。また、日産婦の会告(学会規則)は自主規制にすぎないため、着床前診断の実施など、会員が意図的に規則違反をして社会的に物議をかもす事例が後を絶たない。「学会任せ」は適切ではない。
 市民団体「フィンレージの会」の鈴木良子さんは、ヒト胚には精子、ヒトクローン胚には体細胞の入手が必要だが、これらはまったく議論されていないと指摘、「終了の期日を重視するあまり、議論が尽くされない不十分な報告書案になってしまった」と批判する。
 報告書は日本の生殖補助医療や再生医療の研究にとって大きな意味を持つ。調査会はそれにふさわしい、説得力のある報告書をまとめることが求められる。【江口一】
[2004-07-13-03:00]

◆2004/07/14 「<ヒト胚>難病研究か、生命倫理か 研究目的容認」
 毎日新聞ニュース速報

 病気で苦しむ人のためなら、人の生命の萌芽(ほうが)である受精卵(ヒト胚(はい))や、クローン人間にもつながるヒトクローン胚を研究目的で作ることは妥当なのか――。総合科学技術会議生命倫理専門調査会(薬師寺泰蔵会長)は13日、この重い課題をいずれも容認する最終報告書をまとめ、再生医療研究に新たな道を開いた。しかし、約3年の審議を経ても、研究の推進に慎重な委員と積極的な委員の溝は埋まっていない。最終盤は丁寧な審議を放棄し、議論不足の印象が強く残った。【江口一、永山悦子】

 ◇重い課題 議論は不足

 最終回の審議は予定を大幅に超え3時間以上に及んだが、最後まですれ違ったままだった。
 この日は、研究の規制を法律で縛るか指針(ガイドライン)にすべきかで対立が続いた。最後に位田隆一京都大教授が、6月23日の会合でヒトクローン胚容認を「強行採決」したことについて、「採決を事前に知っていた委員と知らなかった委員がいた。非民主的な手続きで決められたのは極めて残念だ」と発言。薬師寺会長は会議後、「結果的に不公平と見られた点があった」と運営の誤りを認め、後味の悪さが残る幕切れとなった。
 了承された最終報告に対し、島薗進東京大教授や位田教授ら慎重派委員5人は共同意見書を提出することを発表した。「ヒト胚作成は、研究の必要性や法的制度の審議を尽くした上で是非を決定すべきだ。ヒトクローン胚の作成は、研究が必要な科学的な根拠を示し、社会の理解が得られるまで認めるべきではない」との対案を示した。
 また、生命倫理の観点から「結論は性急で、人間の手段化、人の生命と体の道具化につながる恐れがあり、妥当性は疑わしい」と指摘した。また、生命倫理の問題を専門的に検討する恒久的な独立した機関を新設するよう求めた。
 島薗教授は調査会終了後会見し、「人の生命に科学や医療がどうかかわるべきかという、極めて重いテーマにもかかわらず、議論が打ち切られたことは問題。この方法以外に難病患者を救う道はないのか、女性の負担が大きい未受精卵採取をどうするのか、など審議が足りない課題ばかりで、説得力を欠く最終報告書だ」と批判した。

 ◇両派かみ合わず 審議3年31回

 「難病で苦しんでいる人の治療法開発のために有用だ」「人の生命の萌芽を、幸福追求の手段として使うべきではない」――丸3年、計31回に及ぶ審議は、研究推進派と慎重派の意見がかみあわないまま、最後は「時間切れ」で終わった。
 調査会がヒト胚やヒトクローン胚の議論を開始したのは01年8月。同年6月施行のクローン人間作りを禁じたクローン規制法が「3年以内に受精卵の扱いを検討し、必要な措置をとる」と定めたためで、03年秋までに結論を出す予定だった。
 審議の焦点は、ヒト胚やヒトクローン胚の研究は許されるか▽許されるならどんな条件か▽ヒト胚の法的保護は必要か――など。21人の委員の意見は割れた。調査会は宗教、科学、医学などの専門家や市民団体の延べ約60人から意見を聴いたが、議論は空回りした。
 期限とされた03年秋を過ぎると、調査会の議事運営に「荒っぽさ」が目立つようになる。同年12月の中間報告は、委員を対象としたアンケートで多数が容認したとして、会合で合意もなされていないヒト胚の作成容認を盛り込んだ。着床前診断も中間報告で容認したが、その後、委員から「審議もされていない」との批判が相次いだ。
 さらに今年6月23日にはヒトクローン胚の作成容認を薬師寺会長の判断で「強行採決」する。最終報告も同様だ。研究の規制は、ほとんど議論せずに「法律では規制しない」とした。「ボランティアからの卵子提供を禁止する」など、議論を経て合意されたことはわずかしかなく、ヒト胚に必要な精子や、クローン胚に必要な体細胞の提供に関する問題は全く審議されなかった。
 具体性のない「ゴーサイン」に、研究推進派の委員からも「これではいつまでたっても実際の研究は始められない」と、不満の声が漏れている。

 ◇組織、臓器再生に期待

 ヒト胚やヒトクローン胚の作成は、生命倫理的な問題をはらむ一方、失われた組織や臓器を再生させる研究に有望と期待されている。
 再生医療の実現に向けて、体のいろいろな細胞に分化できる能力を備えたヒト胚性幹細胞(ES細胞)を用いた研究が進められている。ES細胞は、分裂が始まったヒト胚を壊して取り出すが、現在は不妊治療で使われなかった余剰胚で作られている。このES細胞から臓器を再生しても、他人の遺伝子が組み込まれているため、移植すれば拒絶反応が避けられない。
 一方、ヒトクローン胚は核を抜いた他人由来の卵子に、患者の体細胞の核を移植して作る。このためクローン胚から作ったES細胞を再生医療に使えば拒絶反応は起こらない。
 理化学研究所の豊島久真男・遺伝子多型研究センター長は「再生医療の実現を目指すなら、どこかでクローン胚の研究は認めなければならなかった」と話す。
 余剰胚から作成されたES細胞からは、既に神経細胞、血管などを再生させる研究が進んでいる。患者の遺伝子を組み込んだクローン胚によるES細胞ができれば、再生医療が一挙に進むという期待もある。しかし、豊島さんは「本当の難病治療が実現するのは、まだまだ先の話だ」と過度な楽観論にくぎを刺す。
 理研発生再生科学総合研究センターの西川伸一・グループディレクターも「クローン技術は極めて専門性が高く、誰でもできるものではない。研究者の人数も限られており、ヒトクローン胚を使った再生医療研究がすぐに進むという環境ではない」と指摘している。」
[2004-07-14-01:34]

◆2004/07/14 「<ヒト胚>作成を生殖補助医療に限り認める 生命倫理調査会」
 毎日新聞ニュース速報

 「人間の受精卵(ヒト胚(はい))やヒトクローン胚を使う研究のあり方を検討していた政府の総合科学技術会議生命倫理専門調査会(薬師寺泰蔵会長、21人)が13日、開かれ、薬師寺会長が最終報告書案を提示し、了承された。01年8月以来、実質31回の会合を重ねた同調査会の審議はこれで一区切りとなる。薬師寺会長は今月23日に最終報告書を総合科学技術会議の本会議(議長・小泉純一郎首相)に報告する。
 最終報告ではヒト胚の作成を生殖補助医療目的で認め、ヒトクローン胚も難病などの基礎研究に限って容認した。ヒト胚の研究は、当面は法律ではなく指針(ガイドライン)で規制するが、規制の状況によっては法整備に向けた検討を続ける。報告書案で示された日本産科婦人科学会に実際の審査をゆだねる点は撤回され、国が審査の枠組みを整備する。
 クローン技術規制法に基づく指針で作成が禁じられていたヒトクローン胚は、同指針を改正する。これらの具体的な指針作りや改正は、厚生労働省と文部科学省が担当する。また総合科学技術会議内に、クローン胚研究を科学的に検証するための審査機関を設置する。【江口一】[2004-07-13-20:47]」

◇2004/07/13 「作成容認、指針で規制へ=ヒト受精卵・クローン胚−生命倫理調査会が最終報告書」
 時事通信ニュース速報
 「政府の総合科学技術会議の生命倫理専門調査会(会長・薬師寺泰蔵慶大法学部客員教授)は13日、ヒトの受精卵(胚=はい)やクローン胚を医療研究目的で作ることを認め、国の指針で規制することを柱とする最終報告書をまとめた。一部の委員が強制力の強い法律による規制を主張したため、当面は指針の順守状況を見守り、引き続き法整備を検討することにした。」[時事通信社][2004-07-13-22:41]

◇2004/07/13 「規制は国の行政指針で=ヒト受精卵・クローン胚作成−生命倫理調査会最終報告書案」
 時事通信ニュース速報

 「ヒトの受精卵(胚=はい)やクローン胚を医療研究目的で作成することを条件付きで認めた政府の総合科学技術会議の生命倫理専門調査会が13日にまとめる最終報告書の案が12日、明らかになった。胚の安易な作成を防ぐため、複数の委員が包括的な「ヒト胚基本法」の制定を求めたのに対し、「法制度は倫理観や生命観の押し付け的な側面もあり極めて難しい」として、国の行政指針を規制の基本とした。」[時事通信社][2004-07-13-05:01]

◇2004/07/14 「ヒト胚研究を限定容認、生命倫理調査会が最終報告書」
 読売新聞ニュース速報

 「科学技術における国の最高意思決定機関である総合科学技術会議の生命倫理専門調査会(薬師寺泰蔵会長)は13日、厳しい条件つきで研究用に生命の始まりであるヒト胚(はい)の作製・利用を容認するとした最終報告書をまとめた。
 23日の同会議本会議で報告する。研究規制の新たな法律は作らず、従来の指針の改定や新たな指針で対応する。ヒト胚の作製・利用に関する初の包括的見解となるが、反対する委員が調査会直後に記者会見するなど賛否が割れたままの決着となった。
 最終報告書は、受精胚、クローン胚といったヒト胚を「人の生命の萌芽(ほうが)」と位置づけ、研究目的で作製・利用するのは原則的に許されないとした。ただ、研究によって得られる生命科学や医学の恩恵が大きく、ヒト胚を使うことでしかその恩恵が得られない場合、例外として認める。研究規制に新たな法整備を求める意見もあったが、最終報告書では「国民の意識も多様である」とし、強制力をともなわない国の指針で対応すべきだとしている。
 そのうえで、ヒト受精胚の作製は、不妊治療研究に限って認めた。日本産科婦人科学会も容認の見解を出している。最終報告書は学会の見解を追認した形だが、今後、文部科学省と厚生労働省が研究指針を作り、個別の研究を審査する体制の基準を定める。一方、再生医療に貢献するヒトクローン胚は基礎研究に限定して作製を認め、総合科学技術会議を中心に科学的検証を行う組織の整備を求めた。今後、クローン胚作製を禁じているクローン技術規制法の特定胚指針を改正する一方、必要に応じて新たな指針で補完する。
 薬師寺会長の話「クローン胚研究の解禁という方向性を打ち出したのは、患者に対するメッセージを与えなければならないと考えたからで、重責を果たせた」
 ◆ヒト胚=人間が誕生する初期の段階で、最終報告書では、精子と卵子が受精してできる「受精胚」や、体細胞の核を卵子に移植して作る「クローン胚」などを含めた総称として用いている。細胞分裂が始まってから約2週間までを研究に使うことができる。
[2004-07-14-02:04]

◇2004/07/13 「ヒト胚の作製・利用を容認…総合科技会議最終案」
 読売新聞ニュース速報

 生命の始まりであるヒト胚(はい)の研究の是非を検討してきた総合科学技術会議・生命倫理専門調査会(薬師寺泰蔵会長)は13日、厳しい条件つきでヒト胚の作製・利用を容認するとした最終報告書案をまとめた。
 研究は法律では規制せず、従来の指針の改定や新たな指針で対応する。ヒト胚の作製・利用に関する初の包括的見解となるが、反対する委員が意見書を発表する動きを見せるなど賛否が割れたままの決着となる。
 最終報告書は、受精胚、クローン胚といったヒト胚を「人の生命の萌芽」と位置づけ、研究目的で作製・利用するのは原則的に許されないとした。ただ、研究によって得られる生命科学や医学の恩恵が大きく、ヒト胚を使うことでしかその恩恵が得られない場合、例外として認めている。
 研究規制に新たな法整備を求める意見もあったが、最終報告書では「倫理観や生命観の押し付け的な側面がある」とし、強制力をともなわない国の指針で対応すべきとしている。
 そのうえで、受精胚の作製は、不妊治療研究に限って認めた。日本産科婦人科学会も容認の見解を出しており、すでに実施されている。最終報告書は学会の見解を追認した形だが、今後、文部科学省と厚生労働省が受精胚に関する研究指針を作り、個別の研究を審査する体制の基準を定める。
 一方、クローン胚は基礎研究に限定して作製を認め、継続的に科学的検証を行う組織の整備を求めた。今後、クローン胚作製を禁じているクローン技術規制法の特定胚指針を改正する一方、必要に応じて新たな指針で補完する。

 <最終報告書の骨子>
▽、ヒト胚(受精胚、クローン胚)は「人の生命の萌芽」とする。
▽、ヒト受精胚の作製・利用は不妊治療研究に限り認める。
▽、ヒトクローン胚の作製・利用は基礎研究に限り認める。
▽、ヒト受精胚研究は法的拘束力のない指針で、ヒトクローン胚研究はクローン規制法指針の改正などで規制する。
▽、卵子の入手は手術で摘出した卵巣からの採取などに限る。
▽、ボランティアからの卵子採取は認
めない。
▽、着床前診断の是非は結論を示さない。
 ◆ヒト胚=人間が誕生する初期の段階で、胎児に成長する可能性を持つ細胞や、細胞の塊を指す。総合科学技術会議では、精子と卵子が受精してできる「受精胚」と、クローン胚のように人間の通常の受精過程を経ない「特定胚」を含めた総称として用いている。」[2004-07-13-20:10]

◇2004/07/13 「クローン胚利用、新指針で 解禁の報告書を正式決定」
 共同通信ニュース速報

 政府の総合科学技術会議生命倫理専門調査会は13日、クローン技術規制法に基づく指針で禁止しているヒトクローン胚(はい)作りを基礎研究に限って解禁し、作成と利用を新たな指針で規制するとした最終報告書を正式決定した。
 文部科学省などは、胚作成に必要な卵子の入手や胚を使った研究が適正に行われるよう審査体制の整備に乗り出す。
 ヒトクローン胚は再生医療への応用が期待されるが、有用性はまだはっきりしていない。このため最終報告書は、世界の再生医療研究を総合科学技術会議が継続的に検証することも盛り込んだ。ヒトクローン胚に有用性がないと判断すれば、国内の研究中止を勧告するとしている。
 最終報告書は、ヒトクローン胚は子宮に移植すればクローン人間になる可能性がある「生命の萌芽(ほうが)」と位置付けた。その上で、生命や健康維持が目的の研究で、科学、社会的に妥当な場合には、例外的に作成が認められるとした。
 クローン人間が作られることのないように、研究機関を限定、作成の可否を国が審査して歯止めをかける。輸出入は当分、行わないことにした。
 胚作りに使う卵子は、治療のために摘出された卵巣から取ったり、不妊治療で余ったものを使用するのが適切とした。ボランティアから卵子の提供を受けるのは、「女性の道具化や手段化」につながるとして禁止した。
 クローン胚とは別に、研究目的で通常の胚(受精卵)を作ることも生殖医療研究に限って認めた。」[2004-07-13-21:55]

◇2004/07/13  「ヒトクローン胚作り容認 条件整備、行政指針で対応」
 朝日新聞ニュース速報

 国の総合科学技術会議の生命倫理専門調査会(会長=薬師寺泰蔵・慶応大法学部客員教授)は13日、研究目的のヒトクローン胚(はい)作りを条件付きで認める最終報告書をまとめた。23日に開く同会議本会議で議長の小泉首相らに報告。文部科学省と厚生労働省が、ヒトクローン胚作りを禁止している現行の指針の改定などに着手、研究推進の条件整備に動き出す。
 報告書は、体外受精でできる通常の胚(受精胚)も含め、ヒトの胚に関する国の政策の基本的な方向付けになる。
 クローン胚は、核を除いた卵子に体細胞の核を移植して作る。現在はクローン人間作りを禁じたクローン技術規制法に基づく指針で、作製が禁止されている。
 報告書は、胚を「生命の萌芽(ほうが)」と位置づけて尊重を求める一方、再生医療の基礎研究でのクローン胚作りは新たに条件付きで容認した。研究目的の受精胚作りは現在、生殖医療の研究で行われているが、現状を追認するとともに、それ以外の研究では必要性を認めず、審査体制作りを求めた。受精胚作りは現在、日本産科婦人科学会の自主規制に委ねられており、国としての容認や規制は初めてになる。
 胚作りのために卵子を提供する女性の保護、研究機関の限定などの条件と規制の大枠も示した。クローン胚研究については、同会議中心に科学的な検証をし、必要性が認められない場合は中止を勧告することとした。
 この日の調査会は、規制方法を中心に議論。細かい規制は法に基づかない指針で十分とする意見と、法に基づく規制が必要とする意見が対立。指針で十分とする多数派が押し切った。
 クローン胚作りの条件整備などは、文科省と厚労省が今後検討する行政指針で対応する。
 クローン胚作りの条件付き容認は6月に異例の多数決で決められた。採決に反対した5委員は「指針ではなく、あくまで法律で枠組みを定めるべきだ」などとする共同意見書をまとめ、近く提出する。報告書には、少数意見も添付される。」[2004-07-13-23:50]

◇2004/07/14 「ヒトクローン胚 「基礎的研究に限り認める」の最終報告」
 NHKニュース速報

 「ヒトの生命の始まりである受精卵やクローン胚を扱う研究について、生命倫理に関する専門調査会は、国が指針を整備することを条件に基礎的な研究に限って認めるとする最終報告をまとめました。
 国の総合科学技術会議の専門調査会は、ヒトの受精卵やクローン胚を扱う研究について、きのう、最終報告をまとめました。
 それによりますと、受精卵はヒトの生命の始まりであるとした上で、不妊治療の研究に限り、受精卵をつくることを例外的に認めるとしています。
 また、受精卵の取り扱いについては、個人の倫理観や生命観を反映するもので、法律で規制するのは難しいとして、国が指針を整備すべきだとしました。
 一方、体の細胞から取り出した核を卵子に移植してつくるヒトのクローン胚についても、拒絶反応のない移植用の臓器など画期的な医療につながる可能性があるとして、基礎的な研究に限って認めるとしました。
 クローン胚はクローン規制法に基づく指針で作成が禁止されていますが、国がこれを改正して、国内のクローン胚研究がスタートすることになりました。」
[2004-07-14-12:21]

◇2004/07/14 クローン胚最終報告 慎重派 倫理的に問題、議論は不十分
 NHKニュース速報

 最終報告には、クローン胚などを扱う研究に慎重な立場の委員の少数意見も記されるこ
とになりました。
 これは慎重派の委員たちが昨夜、記者会見して明らかにしました。
 この中では、クローン胚を安全に利用できるかどうかは動物実験で証明できておらず、研究を認めるのは倫理的に問題だとしたうえで、専門調査会の議論は結論を急ぎ過ぎ、十分ではなかったと主張するということです。
 これに対して、調査会の会長で慶応大学の薬師寺泰蔵(ヤクシジタイゾウ)客員教授は、「議論が十分尽くされていないという批判は甘んじて受けるが、結論を出さなければならなかった。患者がすぐに利用できる研究ではないが、治療につながりうる道が開けたと思う」と話しています。
[2004-07-14-12:21]


UP:20050720 REV: 20160526
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