last update: 20160526
◆2001/02/02 首相 クローン人間で対策指示
NHKニュース速報
◆2001/02/20 科学技術政策担当大臣・文部科学大臣「クローン人間の産生禁止について」
「クローン人間の産生禁止について」[報道発表]
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/02/010223.htm
◆2001/08/01 「米下院で法案通過、ヒトクローン禁止へ」
読売新聞ニュース速報 他
◆2001/08/16 「「クローン人間」是か非か、米で激論・先鋭化」
読売新聞ニュース速報
◆2001/08/20 <クローン人間>60日以内に着手可能と米の元大学教授が表
毎日新聞ニュース速報 他
◆2001/02/02 12:36 首相 クローン人間で対策指示
NHKニュース速報
森総理大臣はきょう、笹川科学技術担当大臣と町村文部科学大臣に対し先週、アメリカやイタリアの不妊治療の専門家グループが世界で初めてクローン人間を誕生させる計画を発表したことに関連して、国内の研究者や医師がこうした動きに同調しないような対策を講じるよう指示しました。
アメリカやイタリアの不妊治療の専門家グループは、先月二十六日にアメリカで開かれた学会で、無精子症の夫を持つ妻の卵子から細胞核を取り出し、かわりに夫の細胞を移植する方法で、遺伝的には父親とそっくりなクローン人間を誕生させる計画を発表しました。
これに関連して森総理大臣は、きょうの閣議のあと、笹川科学技術担当大臣と町村文部科学大臣に対して、「クローン人間を作ることは、人の尊厳の保持という観点から好ましくない。この計画に日本人の医師やカップルが参加しているという報道もあり、事実関係を調査したうえで、国内の医師や研究者がこうした動きに同調しないような対策を講じてもらいたい」と述べました。
日本国内では、クローン技術を用いて同じ遺伝子を持つ人間を作り出すことを禁止する「クローン規制法」が去年成立しており、違反した場合には十年以下の懲役か一千万円以下の罰金が科されることになっています。
[2001-02-02-12:36]
◆2001/02/20
クローン人間の産生禁止について
文部科学省ホームページ
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/02/010223.htm
1.クローン人間の産生は、人の尊厳の保持等に重大な影響を与える可能性
があるため、我が国では厳にこれを禁止することとし、昨年11月、「ヒト
に関するクローン技術の規制に関する法律」が成立したところです。
2.最近海外でクローン人間を産生する計画が進められているとの報道がな
される中、去る2月2日(金)、森総理から、私どもに対し適切な対応をと
るよう指示がございました。
3.また、2月15日(木)に開催された総合科学技術会議においても、重
ねて総理から、「クローン人間の産生は容認できないとする国際的な認識に
従って、国際的な協調のもとで、世界各国が適切な措置をとっていくことが
重要です。引き続き、我が国として、このことを国内外に向けて、はっきり
と発信していく」という考え方が示されました。
4.私どもとしては、このような総理の指示に基づき、連携を取りながら、
クローン人間産生禁止という我が国の強い方針を国内の関係機関に発信して
参りました。また、国外に対しても、本件に係わる我が国の考え方、法律の
趣旨などを外交ルートを通じて各国に説明しているところです。この状況に
応じ、私どもからも各国に更にお知らせするなど必要な措置を講じる考えで
す。
5.先の報道において、日本の夫婦がクローン人間計画に参加しているやの
情報も伝えられていますが、たとえ、海外であっても、日本の方々がクロー
ン人間産生に関わることは適当ではないと考えております。
6.したがって、国民の皆様方におかれましては、クローン人間産生禁止と
いう我が国の方針について、是非とも十分ご理解をいただき、国内はもとよ
り、海外における「クローン人間産生計画」に関わることのないようお願い
いたします。
平成13年2月20日
科学技術政策担当大臣 文部科学大臣
笹川 堯 町村 信孝
(研究振興局)
■2001/03/28
◆人クローンで公聴会開催へ 計画の真意ただす目的 米下院
共同通信ニュース速報
【ワシントン27日共同】米下院は二十八日、人間クローンづく
りを計画している学者らを証人として招き、計画の真意をただす公
聴会を開催する。計画に実現性があると判断すれば、米国内での実
施を阻止するために、禁止法案作成に着手したい考えだ。
公聴会に出席するのは、事故で死亡した男児のクローンづくりを
目指す新興宗教団体ラエリアンのラエル教組と同団体の科学責任者
、不妊治療の一環としてクローンを提唱しているパノス・ザボス前
ケンタッキー大教授、イタリアのセベリノ・アンティノリ医師ら。
現在、世界で人間クローンづくりを公言しているのはラエリアン
とザボス前教授らの二グループしかなく、公聴会には人間クローン
計画の関係者全員が集まることになる。
一方、人間クローンに反対する多数の倫理学者や生物学者も証言
する予定で、公聴会は賛成派、反対派の対決の場になりそうだ。
(了)
[2001-03-28-11:28]
◆<米下院>クローン人間の是非をめぐり公聴会を開催 ワシントン
毎日新聞ニュース速報
【ワシントン28日斗ケ沢秀俊】米下院は28日、クローン人間の是非をめぐる公聴会を開催した。クローン赤ちゃんを誕生させる計画を進める2グループの代表が証言した一方で、クローン羊「ドリー」を誕生させた英の科学者グループが「クローン技術は発育異常などの問題を避けられず、人間への応用は危険過ぎる」と、クローン人間計画を強い調子で非難した。
公聴会は下院エネルギー商業委員会が開催。不妊治療へのクローン技術の応用計画を打ち出したパノス・ザボス元ケンタッキー大教授、医療事故で子供を失った両親から50万ドルの拠出を受けて子供のクローンをつくる試みを進める宗教団体「ラエリアン・ムーブメント」代表のラエル氏、ドリーの研究グループの一員であるルドルフ・ジャエニッシュ博士らが証言した。
ザボス元教授は「ヒトの生殖技術は動物の生殖技術よりも進んでいる。遺伝子検査で、適切なクローンを選別すれば、安全に出産させられる」と主張。ラエル氏も「体外受精が始まった時、多くの人が反対したが、現在では受け入れられている」などと述べた。
これに対し、ジャエニッシュ博士は「ほとんどのクローン動物が胎児段階や出産時、または誕生後まもない時期に死亡している」と指摘し、クローン動物出産の試みには陰に隠れた失敗例が非常に多い点を強調した。そして、流産や発育異常がクローン技術に避けられない問題である可能性が高いと強調した。
クローン人間作りについては日本やドイツなどが法律で禁止している(日本は6月施行)が、米国は食品医薬品局(FDA)などが禁止方針を出しているだけで法律はない。下院は、禁止を法律化するかどうかの検討を始める見通しだ。
フライシャー米大統領報道官は同日、「大統領は人間へのクローン技術応用は母体と子供の双方に大きな危険が伴うと考え、倫理的に反対している」と語り、米政府として下院に同調する方針を示した。
[2001-03-29-19:20]
◆米「クローン人間」で公聴会
NHKニュース速報
人の体の細胞をもとに遺伝的に全く同一の人間、人の「クローン」を誕生させるというアメリカの医師らの発言を受けて、アメリカでは、この問題をめぐる公聴会が二十八日ワシントンで開かれました。
公聴会は、二十八日アメリカ議会下院で開かれ、人のクローンを誕生させることが倫理的に受け入れられるか、技術的に安全かなどについて専門家が意見を闘わせました。
このうち、人のクローンを誕生させると宣言したアメリカなどの不妊治療の医師や研究者グループの代表らは、法による規制に反対する立場から発言し、クローン技術によって健康な子どもを誕生させることは可能であり、すでにその技術はあると主張しました。
これに対して大学や企業のクローン技術の研究者は、動物実験では多くの異常が見つかっていると説明し、今の段階での人への応用は危険で無責任な行動だと批判しました。
アメリカでは、人のクローンの誕生はもはや時間の問題ではないかという受け止めも広がっていて、早急に法による規制を求める声が上がっています。
しかし、クローン技術の人への応用が全面的に禁止されれば難病の治療などにこの技術を使う研究も出来なくなるとの懸念もあり、法規制に向けての論議は難しいものとなることが予想されます。
[2001-03-29-10:56]
◆人クローンは失敗の危険大 「ドリー」の英博士ら警告
共同通信ニュース速報
【ワシントン28日共同】世界初の体細胞クローン動物である羊のドリーをつくった英ロスリン研究所のイアン・ウィルムット博士らが、クローン技術は流産や異常発育の危険が大きく人間に試みるのは無責任な行為だと、人間クローン計画を発表したパノス・ザボス前ケンタッキー大教授らを名指しで非難した意見書を三十日付の米科学誌サイエンスに発表する。
科学誌にはクローン動物の成功例ばかりが紹介されがちだが、失敗が多いことをあえて明らかにし、人間への応用を防ぐ狙いだ。
ウィルムット博士らによると、体細胞の核を移植した卵子で子宮に戻せるものは全体の数%しかない。子宮に戻すことに成功しても、多くは誕生前に死亡。誕生にこぎ着ける例はごくわずかな上、しばしば通常より体が大型化しており、関係者の間では「大型子症候群」という専門用語さえある。
健康に見えても免疫不全、腎(じん)不全、脳機能不全を起こすこともあり、人間でも同じ結果になるだろうと警告している。
ザボス前教授らは遺伝子診断で異常を防止できると主張しているが、ウィルムット博士らは「クローンに伴う異常は現在の技術では事前には分からない」と強調している。
(了)
[2001-03-29-08:01]
◆2001/04/18 クローン人間に9割が反対 NYの博物館が調査
共同通信ニュース速報
【ニューヨーク17日共同】ニューヨークの自然史博物館が行った遺伝子研究に関する世論調査で、回答者の九二%が「好きな人のクローンでも認められない」と答え、圧倒的多数がクローン人間に反対していることが分かった。
世論調査はことし二―三月ハリス社の協力で千人を対象に実施。九七%が「遺伝子研究は病気を克服する新しい治療法につながる」と遺伝子研究の必要性を認めたが、クローンへの抵抗は強く、愛するペット動物のクローンにも八六%の人が「いや」と答えた。
また「遺伝子組み換え作物」をめぐっては、五一%は食べても気にならないと答えたのに対し、四六%は気になると真っ二つに評価が分かれた。
(了)
[2001-04-18-09:48]
◆2001/08/01 「米下院で法案通過、ヒトクローン禁止へ」
読売新聞ニュース速報
「【ワシントン31日=館林牧子】米下院は31日、クローン人間の作製を禁止する法案の採決を行い、賛成265票、反対162票で可決した。クローン人間を作ることだけでなく、子宮に戻す前の段階の胚(はい)を作ることも禁止する内容も含んでいる。法案は今後米上院で審議されるが、ブッシュ政権は法案を支持することを表明しており、米国の人間のクローン胚研究は禁止の方向に大きく傾いた。
イギリスでは法律で医療研究目的に限り認めている。生命科学の先進国の足並みが乱れ、指針を作成中の日本にも影響を与えそうだ。
可決された法案は、クローン人間や胚の作製を禁止。違反した場合、10年以下の懲役か100万ドル(約1億2500万円)以上の罰金が科される。クローン胚を他人に送付したり、受け取ったりした場合も同様だ。
今年1月に米国人研究者がクローン人間作りを「宣言」したことなどを受け、米議会には複数のクローン技術規制法案が上下院に提出された。クローン人間の作製の禁止では全法案が一致したが、研究段階の人のクローン胚の作製については、パーキンソン病や糖尿病などの新たな治療法の開発に有用として容認すべきだという意見と、研究用として作った人の胚が流通するようになると、クローン人間作りに悪用されかねないという反対派の意見が激しく対立していた。
医療研究の最前線では、人のクローン胚をもとにES細胞(万能細胞)を作り、患者と同じ遺伝子を持つ拒絶反応の少ない臓器や組織を作る試みが浮上。米国内のベンチャー企業の中には人のクローン胚を作ろうとする動きも出ていた。今回の法案を提出したデーブ・ウエルドン議員(共和党)は採決後の会見で、「この法案はバイオ産業に対する米国民の意思だ」と語った。
人のクローン胚は、卵子の核を取り除いて、体細胞の核を移植して作製するが、米国では現在、通常の受精卵を分裂させた人の胚から作る万能細胞の研究に対し、公的助成金を拠出するかどうかで、論議が巻き起こっている。この問題については、ブッシュ大統領が近く結論を出す予定。」
[2001-08-01-14:07]
◆2001/08/01 米下院 クローン禁止法案を採択
NHKニュース速報
全く同じ遺伝子を持つ生物を作り出す「クローン技術」のヒトへの応用について、アメリカの議会下院は、医療目的での応用も含めて全面的に禁止する法案を採択しました。
クローン技術は、全く同じ遺伝子を持つ生物を人工的に作り出す技術で、羊や牛などの動物では、すでにこの技術による「クローン」が誕生しています。
しかし今年に入ってアメリカやヨーロッパの医師や研究者のグループがヒトの「クローン」を数年以内に誕生させると宣言したことから、生命倫理に反するとして、アメリカでも法的な規制を求める声が高まっていました。
三十一日アメリカの議会下院で採択された法案は、クローン技術のヒトへの応用を全面的に禁止するもので、ヒトのクローンを誕生させることを禁止するだけでなく、医療への応用も認めない内容になっています。
「クローン技術」は、ヒトの臓器や組織を人工的に作り出すことができると言われている「ES細胞」いわゆる「万能細胞」を使った難病治療への応用が期待されています。
それだけに、医療への応用に限って認めるという修正案も出されましたが、保守派の賛成多数で法案は原案のまま採択されました。
今回の法案は、今後アメリカの「ES細胞」の研究の方向にも影響を及ぼす可能性があり、法案をめぐる議会上院での論議が注目されています。
[2001-08-01-15:39]
◆2001/08/01 「クローン人間全面禁止法案を可決=違反には禁固刑など厳罰−米下院」
時事通信ニュース速報
【ワシントン31日時事】米下院本会議は31日、クローン人間づくりを全面的に禁止する法案を賛成265、反対162の大差で可決した。同法案は違反者に対して、最高10年の禁固刑と100万ドル(約1億2000万円)以上の罰金という厳しい罰則を設けており、倫理的な側面からクローン人間づくりに反対する多くの議員の見解が反映された。
下院本会議ではこの日、長時間の審議に続いて、万能細胞とよばれる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の研究にクローン技術の応用を認めようとした修正案を賛成178、反対249で否決。アルツハイマー病など難病治療へのクローン技術利用も禁止することが決まった。
[時事通信社]
[2001-08-01-09:29]
◆2001/08/01 「<ヒトクローン>研究目的の胚含めた全面禁止法案を可決 米」
毎日新聞ニュース速報
「【ワシントン中井良則】米下院は31日、人間のクローンを作ることを全面禁止する法案を賛成265、反対162で大差で可決した。これに先立ち、ヒトの胚性幹細胞(ES細胞)研究目的の胚クローンに限って例外を認める修正案を賛成178、反対249で否決した。胚も含めたクローン人間を全面禁止する法案が下院段階で可決されたことになる。ブッシュ大統領は同法案を支持しており、上院で審議される。
法案によると、クローン人間を誕生させた者は最高禁固10年、罰金100万ドル(約1億2000万円)の刑事罰を課せられる。法案はES細胞以外の細胞、臓器、動植物のクローンについては触れていない。
審議では、万能細胞と呼ばれるES細胞研究に限った受精卵に関し、生命科学研究と倫理のいずれを優先すべきかについて長時間の議論になった。「医学実験のスペア部品を作るために人間のクローンを認めてはならない」(ディレイ共和党議員)とクローン反対派は主張。一方、研究容認派は「病人に対し、細胞の方が大事だから、どうぞ死んでくださいというのか」(ナドラー民主党議員)と反論した。
バイオ技術企業や研究者は、不妊夫婦のためにクローン人間を作る技術開発や、難病治療のためES細胞の研究を計画していた。ブッシュ大統領は、受精卵からではなく胎児の細胞からつくる万能細胞研究に連邦資金の使用を認めるかどうか、決断を迫られている。妊娠中絶された胎児を使うため、中絶反対の保守派が抵抗している。」
[2001-08-01-13:30]
◆2001/08/16 「「クローン人間」是か非か、米で激論・先鋭化」
読売新聞ニュース速報
クローン人間計画の是非をめぐる論争が、米学界で先鋭化してきた。全米科学アカデミーがワシントンで開いた討論会では、クローン人間づくりを自らの“使命”とする女性科学者らが初めて出席、怒号が飛び交う激しい議論が展開された。科学者の暴走を恐れる各国政府の間では、国内法だけでなく、国際条約でクローン人間づくりを阻もうとする動きも出てきた。(ニューヨーク 勝田 誠)
関係者の証言や報道によると、科学アカデミー内ではクローン人間づくりの信奉者の出席に強い反発があった。その立場を認めることになりかねないからだ。
だが、7日に行われた討論会には、結局、クローン人間作りを11月から始めると宣言している米国のパナイオティス・ザボス元ケンタッキー大教授やイタリアの不妊治療医セベリノ・アンティノーリ医師らがそろって出席した。
中でも、過激な発言で出席者や聴衆の度肝を抜いたのは、新興宗教団体「ラエリアン・ムーブメント」(本部・ジュネーブ)のフランス人女性化学者、ブリジッド・ボワセリエ博士だった。
ボワセリエ博士は「クローン人間づくりは基本的人権の一部だ」と主張。核を除いた卵子に体細胞の核を移植する「クローン胚(はい)」の作製にすでに着手したことも明らかにした。
これに対し、クローン羊ドリーを誕生させた英国のイアン・ウィルムット博士ら、クローン人間反対派の研究者は大声で疑義を唱えた。同博士は「277の細胞を試し、わずか一つだけ成功したのがドリーだ」と語り、奇形や流産の危険性を訴えた。
ボワセリエ博士が「動物の研究は人間に当てはまらない」と強弁すると、反対派からは「何をバカなことを言っているのだ」と怒声が飛び交ったという。
ドリー誕生のニュースが世界を驚かせたのは1997年2月。その後4年余りで、マウス、牛、豚のクローンが次々と生まれた。
だが、こうしたクローン動物でも、「遺伝的問題は胚の段階で解明できない」のが研究者の常識だ。
クローン人間づくりでは、正常に発育しなかった胎児や赤ちゃんが、ひそかに投棄される恐れもある。
「人間の存在そのものへの挑戦だ」(出席した米国人科学者)など、倫理面からの批判が絶えないのは、このためだ。
日本や英国など先進国では、クローン人間禁止法が次々と制定された。最も研究が進んでいる米国では研究目的も含めた人クローン胚作製の全面禁止法案が7月末に下院で可決された。今回の討論を盛り込んだ科学アカデミーの報告書は9月末に発表され、今後の米上院審議に反映される。
討論会の後、ブッシュ米大統領はクローン人間に反対する意向を改めて表明。独仏両国もクローン人間禁止の国際条約づくりを国連に要請した。これは、クローン人間の誕生が、もはや絵空事ではなく、現実味を帯びてきたとの危機感を反映したものと言えそうだ。
◆「クローン人間」誕生は不可避…米のショーン教授◆
第一線の研究者は、クローン人間づくりをどう見ているのか。全米科学アカデミーの討論会にも加わった米コロンビア大医学部のエリック・ショーン教授(医学博士・遺伝学)に聞いた。(ニューヨーク 勝田 誠)
――ボワセリエ博士の発言をどう受け止めたか。
「人間のクローンづくりが基本的人権だとする発言には驚がくした。自然な出産とクローンを同一視しようとする点は、学界主流派の意見とも、一般社会の通念ともかけ離れている」
――クローン人間の本質的問題は何か。
「自然な出産でも、(出産後の死亡、奇形、重度の心臓疾患など何らかの)障害を招く場合がある。しかし、自然であれば受け入れられる。どうしようもないからだ。しかし、人工的なクローニングの場合、同じようには考えられない」
――クローンづくりと進化との関係は?
「なぜセックスは必要なのか。それは、2つの個体の交配で異なる遺伝子を掛け合わせ、遺伝子の劣化を防いで弱点を補うためだ。このため、ヒトは優秀な遺伝子を持っている相手を探す。しかし、クローン人間は単なるコピーだ。何度もコピーすれば原画の色があせるように、コピーは劣化が進むだけだ。進化上の問題は大きい」
――クローン人間づくりは技術的に可能なのか。
「2年前、同じ質問に『3―5年以内にできるだろう』と答えたが、今もその途上にあると思っている。ボワセリエ博士が潤沢な資金を持っていても、専攻が化学だったことを考えると、アンティノーリ、ザボス両氏のグループの方が早く成功するのではないか」
――規制は可能なのか。
「需要とそれにこたえる技術があれば、市場は生まれる。好むと好まざるとにかかわらず、近いうちにクローン人間は誕生しよう。1978年に体外受精が実現した時も社会の反発はあったが、今や当たり前になった。クローン人間に関しては自粛期間を設けるべきとの主張もあったが、うまく行かないだろう」」
[2001-08-15-23:10]