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ヒト細胞・組織/ES細胞/クローン… 2001

ヒト細胞・組織/ES細胞/クローン…

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last update: 20160526


◆2001/02/02 首相 クローン人間で対策指示
 NHKニュース速報
◆2001/02/07 万能細胞の臨床研究で指針 厚生労働省、年内めどに
◆2001/02/16 「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(案)」
◆2001/02/17 「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(案)」の意見公募(意見公募は0319まで)
 A HREF="http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2001/010217.htm
◆2001/02/20 科学技術政策担当大臣・文部科学大臣「クローン人間の産生禁止について」
 「クローン人間の産生禁止について」[報道発表]
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/02/010223.htm
◆2001/03/17 国際宗教研究所主催公開シンポジウム
 「生命操作はどこまで許されるのか?──〈人のいのちの始まり〉と科学の介入」
◆2001/03/28 人クローンで公聴会開催へ 計画の真意ただす目的 米下院
 共同通信ニュース速報・他
◆2001/04/02 「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(案)に対する意見募集の結果について」
 A HREF="http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2001/010402.htm
◆2001/04/18 クローン人間に9割が反対 NYの博物館が調査
 共同通信ニュース速報
◆2001/04/19 ヒトES細胞の研究指針案を諮問、文科省
◆2001/04/21 万能細胞の研究で予算支出見直し…米厚生省
◆2001/06/06 クローン規制法 きょうから施行
 NHKニュース速報
◆2001/06/07 <万能細胞>ヒト胚性幹細胞の国産化を申請へ 京都大研究G
◆2001/06/08 人の受精卵で「万能細胞」作製 京大で計画案
 朝日新聞ニュース速報
◆2001/06/13 国内初、ヒトES細胞作製計画を京大倫理委で審議
◆2001/06/20 クローン禁止法案審議へ フランス
 共同通信ニュース速報
◆2001/06/22 ヒトクローン胚作製禁止含む指針案公表 法施行で文科省
 朝日新聞ニュース速報
◆「特定胚の取り扱いに関する指針(案)に対する意見募集について」(意見公募:平成13年6月23日〜7月23日)
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/2001/hai/index.htm
◆2001/07/02 <ES細胞>ドイツで輸入の動き
 毎日新聞ニュース速報 [2001-07-02-15:10]
◆2001/07/10 提供精子と卵子で万能細胞 受精卵使わず、米グループ
 共同通信ニュース速報 [2001-07-11-11:52]
◆2001/07/31 人のクローン胚、研究にも反対 米政府が禁止法案支持
 朝日新聞ニュース速報
◆「特定胚の取扱いに関する指針(案)に対する意見募集の結果について」
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/2001/hai2/010801.htm
◆2001/08/01 「米下院で法案通過、ヒトクローン禁止へ」
 読売新聞ニュース速報 他
◆2001/08/02 ES細胞の研究拠点設置へ 京大
 NHKニュース速報
◆2001/08/16 「「クローン人間」是か非か、米で激論・先鋭化」
 読売新聞ニュース速報
◆2001/08/20 <クローン人間>60日以内に着手可能と米の元大学教授が表  毎日新聞ニュース速報・他 ◆2001/08/26 <ニュース展望>クローン人間 問題が多い不妊治療応用
 北米総局・斗ヶ沢秀俊 『毎日新聞』
◆2001/08/27 連邦資金供与の64株公表 万能細胞研究で米政府
 共同通信ニュース速報 [2001-08-28-09:51]
◆2001/08/29 「<クローン牛>精子のテロメアの長さ通常の牛とほぼ同じ」
 毎日新聞ニュース速報
◆2001/08/30 <ES細胞>国産化が解禁 総合科学技術会議  毎日新聞ニュース速報 [2001-08-30-20:00]
◆2001/09/01 「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/2001/es/010901.htm
◆2001/09/04 ヒトES細胞から血液細胞を培養 米ウィスコンシン大  CNN
◆2001/09/07 <特定胚>クローン研究用胚1種類だけ容認へ 科学技術会専門委員会
 毎日新聞ニュース速報
◆2001/09/25 「<万能細胞>文科省が取り扱い指針を施行 日本でも研究本格化」 毎日新聞ニュース速報 ◆2001/09/28 11:52 信州大 ES細胞使用し人工臓器研究へ
 NHKニュース速報
◆2001/10/02 通常細胞の「初期状態化」に成功=ES細胞との融合で−京都大学再生医科学研究所
 時事通信ニュース速報 他
◆2001/10/29 ヒトES細胞、国の指針に異議=「滅失」は不適切−京大再生研
 時事通信ニュース速報
◆2001/10/29 <社説>生命操作 「人間の尊厳」が問われている
 『毎日新聞』
◆2001/11/04 ヒトES細胞、国内初の作製へ 京大で承認
 各社報道
◆2001/11/05 動物性集合胚研究の解禁 臓器再生へ一歩前進 豚の胚に人の細胞も
 『日本経済新聞』2001年11月5日(月)朝刊
◆2001/11/06 ヒトES細胞―受精卵への畏れを大切に
 『朝日新聞』社説
◆2001/11/06 クローン研究用の胚作製は「動物性集合胚」に限定
 各社報道
◆2001/11/15 国の指針厳守定める ヒト受精卵からES細胞の作成計画
 共同通信ニュース速報
◆2001/11/16 <ES細胞>宗教法人「大本」が「ES計画反対」の要望書
 毎日新聞ニュース速報
◆2001/11/19 クローン人間禁止へ 国連で条約づくり目指す
 『朝日新聞』2001-11-20
◆2001/11/25 ヒトクローン胚作成に成功 移植治療研究が目的と米社
 ワシントン25日共同
◆2001/11/26 特定胚指針、来月5日施行=ヒトクローン禁止、動物性混合のみ容認
 時事通信ニュース速報
◆2001/11/27 米大統領、ヒトクローン胚作製に「反対」
 読売新聞ニュース速報
◆2001/11/28 <クローン人間>バイオ倫理審議の機関創設令に署名 米大統領
 毎日新聞ニュース速報[2001-11-30-12:20]
◆2001/11/28 人間のクローン胚作製、米で疑惑の声相次ぐ
 読売新聞ニュース速報
◆2001/11/28 作製は動物性集合胚に限定、総合科学技術会議が特定胚に関する指針承認 読売新聞ニュース速報・他
◆2001/11/29 クローン問題討議、米大統領直属の生命倫理会議が発足
 読売新聞ニュース速報
◆2001/11/29 京大倫理委、ES細胞で血管再生する研究計画を承認
 読売新聞ニュース速報・他
◆2001/11/29 国のES研究審査は非公開 知的所有権の保護など重視
 共同通信ニュース速報
◆2001/12/01 ヒトES細胞から脳神経作成=マウスへの移植で成功−米ウィスコンシン大など
 時事通信ニュース速報
◆2001/12/04 難病治療に有効と米社 クローン胚、議会で論戦
 共同通信ニュース速報
◆2001/12/15 ES細胞研究へ受精卵提供を承認…日本産婦人科学会
 読売新聞ニュース速報
◆2001/12/20 クローン人間づくりを5年間禁止へ=ロシア
 時事通信ニュース速報
◆2001/12/27 京大が「万能細胞」作り申請
 読売新聞ニュース速報


 

◆2001/02/07 万能細胞の臨床研究で指針 厚生労働省、年内めどに
 共同通信ニュース速報

 「万能細胞」とも呼ばれ、どんな細胞にも成長できるヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や、特定の役割を担う組織幹細胞など、人間の幹細胞を使う臨床研究について、厚生労働省は七日、研究が適切に行われるよう、安全面や倫理面の指針をつくることを決めた。専門委員会を厚生科学審議会に設置、年内をめどに具体的内容をまとめる。
 幹細胞研究では、ES細胞を神経細胞に成長させてパーキンソン病治療に用いたり、骨髄に含まれる組織幹細胞から神経細胞や心筋細胞をつくるなど、基礎実験が内外で進んでいる。
 傷ついた臓器や組織を修復する再生医療への幅広い成果が期待されているが、感染など安全面のほか、人の受精卵からつくるES細胞の使用をめぐる倫理的な問題が指摘されている。
 専門委は当面、組織幹細胞を中心に、研究者や研究機関が守るべき課題を議論するが、文部科学省によるES細胞に関する指針の作成作業を待って、ES細胞関連についても検討する。
 組織幹細胞を利用した技術の中でも、白血病患者らを対象にした骨髄移植や末しょう血幹細胞移植など、既に日常的に行われている医療は、個別の実施指針などがあるため、今回は作業の対象としない方針。
[2001-02-07-16:55]

 

◆2001/04/19 ヒトES細胞の研究指針案を諮問、文科省◇
 『朝日新聞』

 文部科学省は19日、人間の組織や臓器をつくることができる「
ヒトES細胞(胚(はい)性幹細胞)」の研究指針案を総合科学技
術会議に諮問した。同会議は6月までに答申する方針。指針ができ
れば、再生医療研究が本格化し、新たな治療法開発につながる。
 ES細胞は受精卵(胚)からつくる。神経や臓器、筋肉、皮膚な
どあらゆる細胞・組織に変化する性質を秘め、「万能細胞」とも呼
ばれる。
 文科省は旧科学技術会議・ヒト胚研究小委員会での議論に一般か
らの意見を反映させ、指針案をまとめた。
 案の柱は、ES細胞の「材料」は不妊治療で余った受精卵に限る
▽受精卵の提供者に使用目的を説明して、同意を得ておく▽胎児や
生殖細胞にまつわる研究にES細胞を使わない▽研究機関と国の2
重のチェックを受けるなど。
 アメリカではすでに、複数の研究機関がヒトES細胞の実験を進
めている。これまで慎重だったヨーロッパ諸国でも、最近、研究を
認める流れになりつつある。日本では、人の受精卵を扱う点が倫理
的なネックとなり、事実上、ヒトES細胞の研究は自粛状態にある。
[2001-04-19-16:36]

 

◆2001/04/21

万能細胞の研究で予算支出見直し…米厚生省
読売新聞ニュース速報
 【ワシントン支局21日】体内のどんな細胞にも変化できる能力を持つ万能細胞の研究について、米厚生省は、国立衛生研究所(NIH)に対し、連邦予算を支出することを定めたガイドラインの見直しを命じた。さらに来週開かれる予定だった、この研究の予算支出を検討するNIHの会合も中止するよう命じた。二十一日付の米紙ワシントン・ポストが報じた。
 万能細胞は、あらゆる細胞に分化する能力を持ち、パーキンソン病や糖尿病などの新たな治療法につながる可能性がある。一方、人の受精卵などを材料に作るため、米国内では、政府予算で万能細胞を研究することの倫理面での是非をめぐり、議論の的となってきた。
[2001-04-21-23:07]

◎万能細胞研究向け予算に待った=米、前政権の決定見直し−Wポスト紙
 時事通信ニュース速報
 【ワシントン21日時事】21日付の米紙ワシントン・ポストによると、ブッシュ米政権は、万能細胞と呼ばれる人間の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)に関する研究への連邦予算支出を検討するため、国立衛生研究所(NIH)が来週開く予定だった会合を中止させた。
 あらゆる組織に分化するため、万能細胞とされるES細胞の研究に関しては、クリントン前政権時代の昨年8月、厚生省の下部組織であるNIHが倫理基準を定めた指針を発表し、連邦予算の支出に道を開いた。しかし、同紙によると、トンプソン厚生長官はこの決定の見直しを命令した。 
[時事通信社]
[2001-04-21-16:33]

 

◆2001/06/06
 クローン規制法 きょうから施行
 NHKニュース速報

 いわゆるクローン技術を使って同じ遺伝子を持つ人間を作り出すのを禁止する「クローン規制法」が、きょう(六日)から施行されました。
 「クローン規制法」はクローン技術を使って同じ遺伝子を持つ人間を人工的に作り出すことを、人間の尊厳や社会の秩序に重大な影響を与えるとして禁止する法律です。
 違反した場合には十年以下の懲役か一千万円以下の罰金を科すことになっています。
 法律はその一方で、クローン技術を使うとヒトの臓器を試験管の中で作ることが可能になるのではないかといわれているため、文部科学大臣に届け出た場合は研究を認めるとしています。
 こうした研究をどこまで認めるかは指針で定めることになっていて、文部科学省では今年中に指針をまとめることにしています。
 ヒトのクローンをめぐっては、海外の不妊治療の専門家グループや宗教団体などが実施を計画していることから、アメリカやカナダなどでも規制する法律の検討が始まっています。
[2001-06-06-10:51]

 

◆<万能細胞>ヒト胚性幹細胞の国産化を申請へ 京都大研究G
 毎日新聞ニュース速報

 京都大再生医科学研究所(京都市)の中辻憲夫教授(発生工学)らの研究グループは7日、体を作るどんな組織にも変化出来るヒト胚性幹(はいせいかん)細胞(ES細胞)の国産化の承認を、13日に学内の倫理委員会に申請することを決めた。認められた場合、来春にも、国内初の国産化研究が始まる。
 ES細胞は万能細胞とも呼ばれ、既に米国などが開発に着手。機能を失った臓器や神経などの再生医療のカギとされ、パーキンソン病やせき髄損傷などの治療への応用も期待されている。生殖医療で使われる体外受精卵から分離・培養して作られるため、提供者のインフォームド・コンセントを義務づけるなど倫理面での審査が重要で、政府が今夏をめどにガイドライン作りを進めている。
 中辻教授は「輸入細胞を使えば特許使用料の支払いが必要となり、患者の負担が増す。早期の国産化で日本の再生医療推進に努めたい」と話している。 【高田房二郎】
[2001-06-07-22:55]

NH: 国内初のヒトES細胞製造を申請 京大研究所
NHKニュース速報
 受精卵が分割する途中でできる特殊な細胞でさまざまな組織や臓器を作り出せるといわれているES細胞を、京都大学の再生医科学研究所のグループが国内で初めてヒトの受精卵から作ることをこのほど申請しました。 研究を申請したのは、京都大学再生医科学研究所の中辻憲夫(ナカツジノリオ)教授のグループです。
 日本国内では、サルの受精卵から造られたES細胞だけが研究に使われていて、ヒトの受精卵は使わていませんが、研究グループでは、ヒトの受精卵を使ってES細胞を作ることを国内で初めて申請したものです。
 研究所では、研究を認めるかどうかを検討する専門の倫理委員会を設けて、今月十三日に最初の委員会を開くことになりました。
 ES細胞をめぐっては現在、文部科学省などでヒトの受精卵を使うための指針作りが行われていて、倫理委員会では、研究を認めるかどうかについて国の指針ができるのを待って決めることにしています。
 ES細胞をめぐっては、アメリカのベンチャー企業が特許を取得していますが、京都大学再生医科学研究所では、国内で制限なしで研究に使えるようにして、再生医療や医薬品開発に応用できるようにしたいとしています。
[2001-06-07-18:36]

 

◆2001/06/08 人の受精卵で「万能細胞」作製 京大で計画案
 朝日新聞ニュース速報
 [2001-06-08-07:52]

 「万能細胞」と呼ばれる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を国内で初めて人間の受精卵から作る計画案が、京都大学再生医科学研究所でまとまった。同研究所の倫理委員会が13日に初会合を開いて審議を始める。
 ヒトES細胞の作製計画を立て、倫理委に承認を申請したのは同研究所の中辻憲夫教授ら。中辻教授らは、ネズミや霊長類でES細胞作製の実績を積んでいる。
 計画案では、不妊治療施設に凍結保存してあった受精卵のうち、両親が不要と判断したものを両親のインフォームド・コンセント(説明と同意)を得た上で提供してもらう。提供する施設は複数になる予定で、その施設内の倫理委員会で承認を受けなければならない。プライバシー保護のために、受精卵の所属は分からないように提供する。
 ES細胞は、受精卵を特殊な条件で培養して作る。できたES細胞は、染色体異常などをチェックした後、基本的に無料で他の研究者に配る。分配を受ける機関は、文部科学大臣から研究計画の認可を受ける必要がある。
 ES細胞の研究指針案は国の総合科学技術会議で審議中で、7月ごろにまとまる予定だ。京大再生研の倫理委員会は国の指針決定後、正式な計画案審議を開始する。
[2001-06-08-07:52]

 

◆2001/06/13

国内初、ヒトES細胞作製計画を京大倫理委で審議
読売新聞ニュース速報
 さまざまな臓器や組織の細胞に変化し得る能力を持つ人間の万能細胞(胚(はい)性幹細胞、ES細胞)を作製する研究計画が、京都大再生医科学研究所の「ヒト幹細胞に関する倫理委員会」(星野一正委員長)に申請され13日、審議が始まった。米国の研究機関から提供された人間のES細胞を使う研究計画は大阪大や東京大医科学研究所も既に申請しているが、作製計画は国内で初めて。
 計画を申請したのは、同研究所の中辻憲夫教授らのグループ。計画によると、不妊治療で不要になった凍結受精卵を、患者から十分な説明にもとづく同意のもとに提供してもらい、ES細胞を培養する。
 倫理委員会で計画が承認されれば、文部科学大臣の確認を経て、受精卵の提供施設に協力を依頼。早ければ来年初めにも研究をスタートさせる。
 ES細胞の作製については、生命の萌芽(ほうが)である胚を利用することから、国が研究指針を策定中で、今夏にも運用が始まる見込み。同研究所の倫理委員会の星野委員長は「指針が策定された段階で速やかに本格的な審査に入りたい」と話している。
[2001-06-13-22:30]

06/13 ヒト万能細胞」作成を審査へ=国産で初、京大研究所の倫理委
 時事通信ニュース速報
 京都大学再生医科学研究所(山岡義生所長)は13日、東京都内で倫理委員会を開き、中辻憲夫教授らの研究グループが申請した人間の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の作成について、同細胞に関する国の指針が7月末にもまとまるのを待って、審査に入ることを決めた。国産ES細胞の作成を目指すのは同研究所が初めて。
 ES細胞は人体のあらゆる細胞・組織に分化する能力がある「万能細胞」で、患者に移植する再生医療に道を開くと注目されている。米ウイスコンシン大で初めて作成されたが、ヒトの受精卵から作られるため、倫理上の問題があり、国の総合科学技術会議が作成・使用についての指針策定を急いでいる。
[時事通信社]
[2001-06-13-19:45]

 cf.星野一正

 
◆2001/06/20
クローン禁止法案審議へ フランス
共同通信ニュース速報
 【パリ20日共同】フランスのギグー雇用・連帯相は二十日、クローン細胞をつくることの禁止などを盛り込んだ生命倫理法案を閣議に提出した。来年初めにも国会に上程する方針。
 ジョスパン首相は昨年、「医療研究に限ったクローン研究の解禁を検討する」と述べたが、保守派の反対などに大幅に譲歩、解禁を見送った形となった。
 一方で首相は二十日、「国会審議をきっかけに国民の議論が継続することを望む」とも述べ、技術的状況の変化次第では法案の修正なども視野に入れていることを示唆した。
(了)
[2001-06-21-08:26]

 

◆2001/06/22
ヒトクローン胚作製禁止含む指針案公表 法施行で文科省
朝日新聞ニュース速報

 文部科学省は22日、今月施行されたクローン技術規制法に基づき、人のクローン胚(はい)の作製禁止などを盛りこんだ指針案を公表した。先端医学の研究に役立つ場合にのみ、受精卵の核の移植などによる胚づくりを認める内容だ。
 人クローン胚は、体細胞の核を卵子に移植する。英国でクローン羊のドリーが誕生したのと同じ技術だ。「拒絶反応のない移植用臓器につながる可能性がある」と英国は作製を容認している。
 同法は「クローン人間」の誕生を防ぐため、クローン胚を子宮に入れることを禁じた。しかし、クローン技術そのものは生命科学や再生医療の研究に大切なので、この技術を使う枠組みを行政指針で定めることになっている。
 指針案は、臓器再生など特定の研究目的に限って、人の受精卵の核を卵子に移植するなど3タイプの胚づくりを認めている。
 研究に使う受精卵は不妊治療目的の体外受精で作られ、廃棄が予定されているものに限る。提供者から書面で同意を得て、無償で譲り受けることも求めている。
 さらに、研究者は大学など所属機関の倫理審査委員会に計画を提出したうえ、文部科学大臣に届け出るよう義務付け、研究を国の監視下に置く。
 文科省は23日から1カ月間、この案について一般から意見を聞いた後、年内に指針を発表する。 人クローン胚づくりは仏独で禁止されており、米ブッシュ政権も20日、全面禁止の意向を議会で明らかにした。
[2001-06-22-21:39]

ヒトクローン胚の作成禁止 容認は3種類の研究 文科省が指
共同通信ニュース速報

 今月六日施行のクローン人間禁止法に基づく研究指針案を文部科学省がまとめ、二十二日公表した。クローン人間の誕生を確実に防止するとともに、医学的に有用な研究を国の監視下に進めるのが狙い。
 ヒトの体細胞を、核を除いたヒトの未受精卵に移植するヒトクローン胚(はい)の作成を「クローン人間の誕生につながる危険性が大きい」として禁止する一方、ヒトの細胞が絡むがクローン人間づくりにつながらない、三種類の胚をつくる研究を認める内容になっ
ている。
 同省は二十三日から一カ月間、指針案に対する一般からの意見を受け付けた後、総合科学技術会議に諮問。正式な指針は十二月五日までに告示される。
 指針案が認めるとした研究はいずれもクローン人間の誕生にはつながらず、医学的な有用性があると認められたもので、@ヒトの胚の核を、核を除いたヒトの未受精卵に移植するAヒトの体細胞の核を、核を除いた動物の未受精卵に移植するB動物の胚にヒトの体細
胞を混ぜ合わせる―の三種類。
 ミトコンドリア異常症の予防や、再生医療の開発を目的とする研究に限定し、人間や動物の母体への移植は禁止する。
 研究に用いるヒトの受精卵や卵子は無償提供とし、提供者から書面で同意を得ることや、また文部科学省で審査を受ける前に、施設内の倫理委員会の意見を聞くことなどを求めている。
 クローン人間禁止法は、ヒトクローン胚などを人間や動物の母体に移植する行為を罰則付きで禁じる一方、試験管レベルの研究も国に届け出るよう義務づけている。指針案は、法律の禁止対象以外の研究を規制するもので、これに沿わない研究は、届け出ても国が実
施を認めないことになっている。
 指針案は二十三日に文科省のホームページ(http://mext.go.jp)に掲載される。問い合わせは同省生命倫理・安全対策室。電話03(3581)5271内線5451へ。
(了)
[2001-06-22-18:01]

<クローン研究>文科省が指針案 有用性なければ禁止
毎日新聞ニュース速報

 クローン技術を使った研究について、文部科学省は22日、有用性が認められなければ実施してはならないことや、提供者から同意を得ることを柱とした指針案をまとめた。今後、一般の意見を聞き、総合科学技術会議の審議を経て年内に決定する方針。指針は官民を問わず国内のあらゆる研究が対象となる。
 指針案では、クローン研究で作成されることが想定される9種類の胚(はい)のうち3種類について、特定の目的に限定して研究を認めた。ヒトの細胞核の遺伝子と細胞質の遺伝子が異なる「ヒト胚核移植胚」は神経性疾患などの原因となるミトコンドリア異常症の研究に、核がヒトで細胞質が動物の「ヒト性融合胚」はミトコンドリア異常症と再生医療の研究に、ヒトの細胞が動物の胚と結合した「動物性集合胚」は動物の体内でヒトの臓器を作る研究に、それぞれ限定した。これ以外の胚は研究を禁止した。
 一方、研究者に対し、胚の提供者から文書で同意を得ることや、提供は無償で行われることを求めた。さらに、胚の輸出入は作成過程や管理があいまいになる可能性があり当面禁止としている。
 今月6日に施行された「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」(クローン規制法)は、元の人間と同じ遺伝子を持つ「ヒト・クローン胚」など4種類について、人間や動物の胎内に戻すことを禁じたが、指針案では、それ以外の胚も胎内に戻すことを禁止した。 【田中泰義】
[2001-06-22-23:10]

 

◆<ES細胞>ドイツで輸入の動き 研究禁止の法律空洞化も
 毎日新聞ニュース速報 [2001-07-02-15:10]

 【ベルリン斎藤義彦】人間の胚を妊娠以外の目的で利用することを法律で禁じているドイツで、発生途中の胚から細胞を取り出して作るヒト胚性幹細胞(ES細胞)を、ボン大学が今年12月をめどにイスラエルから輸入し研究を始める。同大のオリバー・ブリュストレ神経病理研究所教授が毎日新聞に明らかにした。他の研究機関にも追随の動きがあり、法律空洞化の恐れがあると同時に、各国にも波紋を広げそうだ。
 ブリュストレ教授は「国内で入手したヒトES細胞の利用は違法だが輸入すれば合法」と判断し、6月にイスラエルの研究機関を訪問、輸入研究の準備を済ませた。研究費助成を国内の公的財団に申請しており「12月にも研究を開始する」という。
 教授はマウスのES細胞から脳の細胞の一部の作成に成功している。ヒトES細胞の研究は、難病のパーキンソン病などの治療に応用するのが目標という。
 ドイツのキール大の研究者も6月、豪州からのES細胞輸入の可能性を示唆。法律の抜け穴を狙う動きに、キリスト教系野党が輸入禁止の法制定を求めている。
 ドイツは90年制定の「胚保護法」で、妊娠でなく研究が目的の胚の作成のほか、クローン人間づくりなどを5〜3年以下の禁固や罰金などの罰則付きで禁止している。だが、この法律は元来、輸入ものの胚を想定していないことなどから、事実上黙認される可能性が高いとみられる。
 ヒトES細胞の研究に関する方針は、各国で揺らいでいる。日本では国がヒトES細胞の作成や使用を条件付きで認める方向で指針づくりを進めている。
 受精数日後に受精卵内部から取り出して培養した細胞で、理論上あらゆる臓器や組織に分化できるため「万能細胞」とも呼ばれる。ヒトES細胞は米ウィスコンシン大の研究チームが98年に初めて作成した。作り出した組織を移植することで難病治療に使えると期待されているが、ヒトの胚を使うため倫理的な問題が議論されている。
[2001-07-02-15:10]

 

◆2001/07/10
提供精子と卵子で万能細胞 受精卵使わず、米グループ
共同通信ニュース速報
 【ワシントン10日共同】人体のあらゆる臓器、組織に成長する能力を持つ「ヒト万能細胞(ES細胞)」を、米国のイースタンバージニア医科大などのグループが、ボランティアに提供してもらった卵子と精子を基につくり出していたことが十日、分かった。
 ES細胞は、胚(はい)性幹細胞と呼ばれ、初期の受精卵(胚)からつくられる。神経細胞の再生など画期的な医療に結び付く可能性が指摘されているが、不妊治療で余った体外受精卵を利用するため、倫理的な問題が指摘されていた。
 グループは「研究の目的や利用方法などを十分理解した提供者からの卵子や精子なので、倫理的な問題は生じない」としているが、逆に、研究目的だけに受精卵をつくることの是非が問題になる可能性もある。
 同グループが、米国の専門誌「受精と不妊」の最新号に発表した論文によると、十二人の女性が提供した卵子と、二人の男性が提供した精子を使って受精卵をつくり、これを基にES細胞を得る方法を確立した。
 米国のブッシュ政権は、人間の受精卵を使ったES細胞の研究に反対する姿勢を表明。政権内部では、ES細胞の研究に連邦政府の予算を拠出するかどうかの検討が最終段階を迎えている。(了)
[2001-07-11-11:52]

 

◆2001/07/31
人のクローン胚、研究にも反対 米政府が禁止法案支持
朝日新聞ニュース速報

 米政府は30日、人のクローン胚(はい)について、生殖医療への応用だけでなく、研究することにも反対するとの声明を発表した。
 クローン胚は核を除いた卵子に、別の体細胞の核を移植してつくられる。声明は「人のクローンは難解な道徳的、倫理的問題を提示しており、科学的探求においても無視することはできない」とし、下院で審議されているクローン人間禁止法案のうち、全面禁止案の支持を表明した。
[2001-07-31-11:24]

 

◆2001/08/02 12:40 ES細胞の研究拠点設置へ 京大
 NHKニュース速報

 受精卵が分割する途中でできる特殊な細胞で、さまざまな組織や臓器を作り出せるといわれているES細胞について、京都大学は、ヒトのES細胞を作って全国の研究者に提供し、利用を進めるための研究拠点を来年春にも設けることになりました。
 ES細胞は現在、日本国内では動物の受精卵から作られたものだけが研究に使われていますが、京都大学再生医科学研究所の研究グループが国内で初めて、ヒトの受精卵を使ってES細胞を作る研究を申請し、倫理委員会で検討されています。
 こうしたことから、京都大学では、ヒトのES細胞を作って、全国の研究者に提供し、利用を進めるための研究拠点となる「幹細胞(カンサイボウ)医学研究センター」を来年春にも再生医科学研究所の中に設けることになりました。
 センターでは三人の研究者がヒトのES細胞を作って培養し、全国の研
究者に提供する予定だということです。
 ヒトのES細胞をめぐっては、きのう(一日)国の専門委員会がES細胞を作るために使う受精卵を、不妊治療を目的としたもので、使われずに廃棄されるものにかぎるなどとする指針の案をまとめていて、京都大学ではこの指針案に沿って、今後センターでの具体的な研究の進め方を検討することにしています。
[2001-08-02-12:40]

 

◆2002/08/20 60日以内に可能と米学者 クローン人間論争広がる
 共同通信ニュース速報

 【ワシントン19日共同】クローン人間づくりを予告している米国のザボス・ケンタッキー大元教授は、十九日放映の米CBSテレビの番組討論で「六十日以内にも着手可能。成功率は30―40%」と言明、国内外から批判が沸き上がる中、計画を実施する方針を表明した。
 ザボス氏は「(クローン人間が)米国で禁止されたとしても世界のどこかで行われる」と述べ、不妊に悩んでいる日本人を含む女性約二百人のうち、十人を最初のグループとしてクローン人間づくりを随時進める予定。実施場所は明らかにしなかったが「米国では行
わない」と語った。
 番組討論で共和党のウェルドン下院議員は「倫理に反する」とザボス氏に計画を中止するよう警告し、クローン人間を世界規模で禁止する措置を提唱した。
 ブッシュ大統領は今月九日、「万能細胞」と呼ばれるヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の研究に対する連邦予算支出を限定的に認める決定を下した。治療優先か倫理尊重かで大論争となった直後だけに、クローン人間計画の是非をめぐる論争も米国内で広がっている。計画に批判的な声が多いが、米国は世界の医療研究に大きな影響力を持つだけに、ザボス氏の計画の行方が注目される。
 下院は七月末、クローン人間を含むクローン全面禁止法案を可決している。
(了)
[2001-08-20-08:41]

◆2001/08/20 <クローン人間>60日以内に着手可能と米の元大学教授が表
 毎日新聞ニュース速報

 クローン人間づくりを予告している米国のザボス・ケンタッキー大元教授は、19日放映の米CBSテレビの番組討論で「60日以内にも着手可能。成功率は30―40%」と言明、国内外から批判が沸き上がる中、計画を実施する方針を表明した。
 ザボス氏は「(クローン人間が)米国で禁止されたとしても世界のどこかで行われる」と述べ、不妊に悩んでいる日本人を含む女性約200人のうち、10人を最初のグループとしてクローン人間づくりを随時進める予定。実施場所は明らかにしなかったが「米国では行わない」と語った。
 番組討論で共和党のウェルドン下院議員は「倫理に反する」とザボス氏に計画を中止するよう警告し、クローン人間を世界規模で禁止する措置を提唱した。
 ブッシュ大統領は今月9日、「万能細胞」と呼ばれるヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の研究に対する連邦予算支出を限定的に認める決定を下した。治療優先か倫理尊重かで大論争となった直後だけに、クローン人間計画の是非をめぐる論争も米国内で広がっている。計画に批判的な声が多いが、米国は世界の医療研究に大きな影響力を持つだけに、ザボス氏の計画の行方が注目される。
 下院は7月末、クローン人間を含むクローン全面禁止法案を可決している。(ワシントン共同)
[2001-08-20-12:00]

 

◆2001/08/26 <ニュース展望>クローン人間 問題が多い不妊治療応用
 北米総局・斗ヶ沢秀俊 『毎日新聞』

 欧米の不妊治療専門家グループが年内にもクローン技術を使った不妊治療計画に着手する方針を打ち出し、クローン人間の是非をめぐる論議が活発化している。同グループは「安全に赤ちゃんを誕生させることができる」と自信を示しているが、実現の見通しは不透明だ。
 計画は、イタリアのアンティノリ医師やザボス米ケンタッキー大名誉教授らが1月に明らかにした。男性の無精子症などを原因とする不妊夫婦を対象に、体細胞クローン技術を用いて赤ちゃんを誕生させる。この技術は96年のクローン羊「ドリー」の誕生で初めて成功した。不妊治療に使う場合、夫の皮膚などの細胞から核を取り出し、核を除去した卵子に移植する。刺激を与えて受精卵と似たクローン胚にして、子宮に戻す。
 クローン人間計画は新興宗教団体「ラエリアン・ムーブメント」が最初に表明した。その後、専門家グループが「不妊治療への応用」を掲げて取り組み始めたことで、現実味を帯びてきた。
 クローン人間づくりは「生命操作がどこまで許されるか」との倫理的問題をはらんでいる。特定の人間のコピーをつくる印象があり、感情的反発が強いが、ザボス氏は「マイケル・ジョーダン(米フットボール選手)のクローンをつくるつもりはない」と言明する。遺伝的に同一の一卵性双生児が違う個性を持つように人間の個性は遺伝子だけでは決まらない。また、クローン赤ちゃんは卵子内のミトコンドリアの遺伝子を受け継ぐため、体細胞提供者と完全に同じ遺伝子構成にはならない。
 ザボス氏は「多くの女性は夫以外の精子を使う人工授精よりも、夫の遺伝子を引き継ぐクローンを希望している」とも指摘する。「精子と卵子の受精を経ない生殖は倫理的に問題があるのか」「法律で禁止する必要があるのか」といった点がより深く論議されるべきだろう。
 現時点での問題は、こうした社会的倫理以前の技術的安全性にある。クローンは5種類の動物で実現しているが、出産する確率は平均2、3%程度にすぎない。無事に出産したように見えても、遺伝子の発現に高率で異常が生じていることが柳町隆造ハワイ大教授らの研究で判明している。
 ザボス氏は「クローン胚を母数に計算すると、成功率は30%前後になり、体外受精の成績に匹敵する。胚の培養方法の工夫や遺伝子検査による胚の選別を通じて、安全性を高めることができる」と主張する。
 しかし、ドリーの生みの親のひとりである英ロスリン研究所のウィルムット博士は「ヒトでも動物と同様に流産や死産、異常出産が多発するだろう。ヒツジのクローンで、深刻な呼吸器欠陥のため安楽死させたケースがある。人間が同じような欠陥を持って生まれたら、どう対応するのか」と危険性を指摘する。多くのクローン研究者は「臨床応用できる段階にない」と明確に臨床応用に反対している。
 ザボス氏は「数十人のグループの中に、クローン研究者もいる」と語るが、計画を発表して半年以上経った今も、研究者の氏名、研究データなどを公表していない。協力する研究者が本当にいるのかどうか疑問だ。
 アンティノリ医師は着手時期について、「年内」「2カ月以内」「すぐにでも着手できる」など一貫しない発言を繰り返している。実施国も秘密にしたままだ。ザボス氏は1月に「計画の全容を公表し、透明性を確保する」と明言したが、それを実行していない。
 動物での研究で安全性を確かめることは、臨床応用の大前提だ。強行した場合、人体実験との批判を免れないだろう。
(北米総局・斗ヶ沢秀俊)

 

◆2001/08/27 連邦資金供与の64株公表 万能細胞研究で米政府
 共同通信ニュース速報 [2001-08-28-09:51]

 【ワシントン27日共同】米国立衛生研究所(NIH)は二十七日、ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の研究を限定的に認めるブッシュ大統領の新方針に従って、連邦政府の研究資金を受け取ることができる計六十四の細胞株の詳細を公表した。
 NIHによると、資金拠出が認められるのは、スウェーデンのイエーテボリ大学など二機関(二十四株)、米国のカリフォルニア大など四機関(二十株)、インドの二機関(十株)、オーストラリアの一機関(六株)、イスラエルの一機関(四株)のそれぞれが持つ細胞株を使った研究。
 大学など公的機関の持つ細胞株が多かったが、米国では二企業が計十三の細胞株を保有しており、今後、研究材料へのアクセスと企業の所有権や特許との関連も議論になりそうだ。
 万能細胞とも呼ばれるES細胞は、さまざまな細胞や組織に分化する力を持つが、ヒトの受精卵から作られるため、倫理的な批判も強い。ブッシュ大統領は、現存する細胞株に限って、連邦政府の予算支出を認める妥協案を打ち出した。
(了)
[2001-08-28-09:51]

◆<万能細胞>世界5カ国に計64の細胞株 米国立衛生研が発
 毎日新聞ニュース速報

 【ワシントン斗ケ沢秀俊】米国立衛生研究所(NIH)は27日、再生医療などへの応用が期待されるヒトの胚性幹細胞(万能細胞)を保存している、世界の研究機関名を公表した。5カ国10機関に計64の細胞株があるとしている。
 NIHによると、細胞株は米国4機関に20株、スウェーデン2機関に24株、インド2機関に10株、豪州1機関に6株、イスラエル1機関に4株存在する。いずれも不妊治療で余った凍結受精卵に由来する細胞株という。
 胚性幹細胞は生体のあらゆる組織、器官になる能力を持つ細胞。ヒト胚性幹細胞は米ウィスコンシン大が98年、初めて安定した培養(細胞株の樹立)に成功したが、受精卵を破壊して作るため、宗教団体などが反対している。ブッシュ大統領は9日、既存の細胞株を使ったヒト胚性幹細胞の研究への助成を認める一方、新たに細胞株をつくっての研究には助成しない方針を示した。
 これに対し、米国最大の科学団体である米科学振興協会は17日、「大統領は、既存の細胞株数が60個以上と言ったが、もっと少ないのではないか」と疑問視する声明を発表し、保存機関名の公表を求めていた。
 NIHは「64の細胞株はいずれも助成の基準を満たしている。遺伝子の多様性も確保されており、既存の細胞で十分に研究できる」と説明している。
[2001-08-28-10:20]

 

◆2001/08/29 「<クローン牛>精子のテロメアの長さ通常の牛とほぼ同じ」
 毎日新聞ニュース速報

 「大分県畜産試験場で98年11月と99年4月に生まれたオスの体細胞クローン牛について、農業技術研究機構畜産草地研究所(茨城県茎崎町)と農業生物資源研究所(同県つくば市)は29日、この2頭から2歳時に採取した精子のテロメアの長さが通常の牛とほぼ同じだったと発表した。
 テロメアは細胞の核にある染色体の両端にある遺伝子配列で、細胞分裂のたびに短くなり、寿命に関係するといわれる。クローン羊「ドリー」ではこのテロメアが短かったとされ、クローン動物の寿命が、普通の動物とは異なるのではないかという考えも出ている。
 今回の2頭は、誕生時の体重や発育曲線、精液の性状などが正常なうえ、精子のテロメアの長さも普通の牛と変わらなかった。また、98年に生まれた体細胞クローン牛の精子を通常のメス牛に人工授精して昨年秋生まれた9頭も、白血球のテロメアの長さが通常牛とほぼ同じだったという。」
【中山信】[2001-08-29-20:35]

 

◆2001/08/30 20:00 <ES細胞>国産化が解禁 総合科学技術会議
毎日新聞ニュース速報

 国の総合科学技術会議(議長、小泉純一郎首相)が30日開かれ、ヒトの「万能細胞(ES細胞)」の取り扱いに関する指針案を了承した。文部科学省は9月中に指針を公布する予定で、ヒトES細胞の国産化が解禁されることになる。
 ES細胞は体のさまざまな細胞に変化できる能力を備えており、臓器の再生などの応用が期待されている。指針ではES細胞に変化させる細胞を、不妊治療の体外受精を目的に作られたが使用予定のない受精卵(余剰胚)に限定。ES細胞の作製、使用とも、事前に施設内の倫理委員会での審議を経た上で、文科省に報告、確認を受ける二重の審査を義務付けた。
[2001-08-30-20:00]

 

◆ヒトES細胞から血液細胞を培養 米ウィスコンシン大
 2001.09. 5
 http://www.cnn.co.jp/2001/TECH/09/04/stemcell.bloodcells/index.html


 ジョージア州アトランタ(CNN) 人間の胚(はい)性幹(ES)細胞から血液細胞をつくることに成功したと、米ウィスコンシン大グループが全米科学アカデミー紀要(PNAS)で発表した。マウスのES細胞では報告されていたが、人では初めて。輸血や骨髄移植への応用が期待される。
 ウィスコンシン大のグループは、マウスの骨髄細胞を培地に使って人間のES細胞を培養したところ、様々な血液細胞の元になる血液前駆細胞が発生し、さらに白血球や赤血球、血小板などが得られた。生化学的な特徴などは、通常の細胞と変わらなかったという。
 研究を指導したダン・カウフマン氏は、ES細胞から培養した血液細胞が、体内でそのまま成長するかはまだ不明だとして、「ES細胞からつくった血液細胞などが実際に使われるようになるのは、数年以上先のこと」と慎重な姿勢を見せている。
 ES細胞は、神経や筋肉などあらゆる組織や臓器の細胞になる可能性のある「万能細胞」とも呼ばれ、再生治療・移植治療での活用が期待されている。

 

◆2001/09/07 <特定胚>クローン研究用胚1種類だけ容認へ 科学技術会専門委員会
 毎日新聞ニュース速報

 クローン人間につながるヒトクローン胚(はい)など9種類の胚(特定胚)の取り扱いについての指針案作りを進めている国の総合科学技術会議の専門委員会「特定胚指針プロジェクト」は7日、動物性集合胚を除く8種類の作製を禁止する方針をまとめた。文部科学省が「たたき台」として示した案が研究目的で作製を容認した3種類のうちの2種類についても作製を禁じた。学会には研究を広く認めるよう求める声もあるが、国の指針論議はヒト胚のより慎重な取り扱いを求めている。
 同委員会は今後、研究の審査手続きなどを議論し、10月末にも指針案をまとめ、上部組織の生命倫理専門調査会に報告する。
 同委員会が、新たに作製禁止としたのは、ヒトの細胞の核を、核を除いた動物の未受精卵に移植する「ヒト性融合胚」と、ヒトの初期胚の核を、核を除いた別のヒトの未受精卵に移植する「ヒト胚核移植胚」。
 ヒト性融合胚は、どのような細胞にも変化できる胚性幹細胞(ES細胞)をヒトの卵子を使わずに作り出せる可能性があるが、当面は動物実験で対応すべきだとの意見が多かった。ヒト胚核移植胚は、卵子の細胞質に原因のある病気の予防・治療の研究などに役立つ可能性があるが、ヒト胚を研究に使用することについて議論が不十分であることから「改めて検討すべきだ」とした。
 作製が認められた動物性集合胚はヒトの細胞を動物の胚に入れて作る。動物の体内で移植用の臓器を作るための基礎研究に役立つという。ただ、母胎へ戻すことは、他の8種類と同じく禁止される。
 特定胚については、日本ヒト細胞学会が8月下旬、ヒトクローン胚の作製を条件付きで認める学会指針案を発表して、国の指針内容の緩和を求めている。 【青野由利】
[2001-09-07-21:20]

クローン技術 臓器移植のための研究一部認める方針
NHKニュース速報

 クローン技術を使った研究をどこまで認めるかを検討している内閣府のプロジェクトチームはきょう、臓器移植に使うためにヒトの細胞をもった動物をつくる基礎的な研究を認める方針を決めました。
 クローン技術を使って、同じ遺伝子をもつクローン人間をつくり出すことは、今年六月に施行された法律で禁止されました。
 その一方で、クローン技術などを使った基礎的な研究は、新たな治療法の開発につながるといわれていて、内閣府のプロジェクトチームがどこまで認めるか検討しています。
 そしてきょうの会合で、動物の臓器をヒトに移植できるようにヒトの細胞を動物の受精卵の中に入れる研究について認める方針を決めました。
 一方、ヒトの細胞の遺伝子を別のヒトの卵子に入れて同じ遺伝子をもった「クローン胚」をつくる研究などは、クローン人間をつくることにつながるとして認めないことにしました。
 この方針は、今後さらに内閣府の専門調査会で議論したうえで、今年十二月に指針としてまとめることにしています。
[2001-09-07-19:05]

◆09/07 20:10 時: ◎総合科技会議、「動物性集合胚」しか認めず=クローン法の
 時事通信ニュース速報

◎総合科技会議、「動物性集合胚」しか認めず=クローン法の指針案
 今年6月施行されたヒトクローン規制法に基づく特定胚(はい)の取り扱い指針案を審議している総合科学技術会議のプロジェクト(座長・位田隆一京都大教授)は7日、ブタなどの動物の胚に人間の細胞を混合する「動物性集合胚」しか、研究目的での作成を認めない修正案を固めた。人間と動物の細胞や胚の組み合わせによって作成可能な胚は9種類あるが、一つに限定した。文部科学省の原案は、このほかに2種類の胚の作成を認めていたが、生命倫理の観点から慎重に対応することにした。
 動物性集合胚は、人間または動物の子宮に入れた場合、「人間の細胞や臓器を持つ動物」が生まれるが、子宮への移植は禁止した。しかし、移植用臓器をつくる研究に役立つため、試験管での同胚の作成を認めた。 
[時事通信社]
[2001-09-07-20:10]

◆8種類の胚研究を禁止 クローン技術で専門家ら
 共同通信ニュース速報

 クローン人間禁止法に基づき文部科学省がまとめたクローン関連研究の指針案を検討中の総合科学技術会議のプロジェクト会合(座長・位田隆一京都大教授)は七日、同法が規定する九種類の「特定胚(はい)」研究のうち、一種類の基礎研究だけを認め、残り八種
類は当面すべて禁止すべきだとの意見をまとめた。
 計三種類の基礎研究を「医学的に有用」として容認していた文科省の指針案より、許容範囲は大幅に狭くなる。同会合は近く上部組織の生命倫理専門調査会に報告する。
 同会合が認めたのは、ヒトの細胞を動物の受精卵に入れる「動物性集合胚」の作成。動物の体内で移植用の臓器をつくる研究に役立つとされる。この胚をヒトや動物の母体に戻すことは指針案通り、禁止する。
 指針案はこの胚に加え、ヒトの受精卵の核を、除核したヒトの未受精卵に移植する「ヒト胚核移植胚」と、ヒトの細胞核を動物の除核未受精卵に入れる「ヒト性融合胚」の基礎研究も認めていた。
 しかし、同会合はこの日、総合科学技術会議で始まったヒト胚研究全般についての議論が終わるまではヒト胚核移植胚の作成は認めないことで一致。ヒト性融合胚については八月末、既に禁止方針を決めていた。
(了)
[2001-09-07-19:18]

 

◆2001/09/24 「<万能細胞>文科省が取り扱い指針を施行 日本でも研究本格化」
 毎日新聞ニュース速報

 「文部科学省は25日、ヒトの「万能細胞」(ES細胞)の取り扱いについての指針を告示し、施行する。ES細胞は体のさまざまな細胞に変化できる能力を備えており、米国ではすでにヒトのES細胞作成に成功している。取り扱いに関するルールを定めた指針の施行を受け、日本でもヒトのES細胞の作成や研究が本格的に始まる。
 指針ではES細胞に変化させる細胞を、不妊治療の体外受精を目的に作られたが使用予定のない受精卵(余剰胚(はい))に限定。施設内の倫理委員会で審議して文科省に報告、確認を受ける二重の審査を義務付けた。またES細胞の使用を基礎研究に限定し、医療現場での使用は認めない。」[2001-09-24-19:20]

◆2001/09/25 「万能細胞の研究指針施行 京大など研究着手へ」
 共同通信ニュース速報

 文部科学省は二十五日、ヒトの受精卵からつくられ「万能細胞」とも呼ばれる、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の研究に関する指針を施行した。
 ES細胞は人体のあらゆる臓器や組織に成長する能力を秘め、パーキンソン病治療のための神経細胞を生産するなど、将来の画期的な再生医療に結びつくと期待されている。
 指針の施行を受け、京都大など複数の大学が研究に乗り出す見通しだが、英国や米国などで既に研究が始まっており、日本はこれらの国を追う立場になる。
 指針は、ES細胞をヒトの受精卵からつくる研究と、既にできたES細胞を国内や海外から入手して使う研究の両方を容認した。
 ただし@ES細胞をつくれるのは、不妊治療で余った受精卵からのみで、提供は無償A当面は基礎研究に限定し、個体をつくるなど倫理的問題の大きい研究は禁止B研究計画の妥当性について、施設と国が二重に審査する―など、厳しい条件を付けた。違反者は文科省が公表し、指針は三年以内に見直すとしている。
[2001-09-25-07:52]


 

◇10/02 22:55 <ES細胞>体細胞との融合で再プログラム化に成功 京大再

毎日新聞ニュース速報

 京都大再生医科学研究所のグループが、皮膚や神経などさまざまな細胞に分化できる胚性幹(はいせいかん)細胞(ES細胞)と通常の体細胞を融合させ、ES細胞と同様の能力を持つ新しい細胞を作る動物実験に成功した。分化を終えたはずの体細胞が、融合によってES細胞のような増殖・多分化能力を取り戻したことになる。拒絶反応の少ない細胞移植に道を開く可能性を秘めた成果で、2日発行の米科学誌「カレント・バイオロジー」に掲載される。
 この研究は中辻憲夫教授と多田高助手らのグループが実施した。マウスの体細胞(リンパ球細胞)とES細胞を電気融合法という手法で融合、双方の染色体を持つ融合細胞を作った。融合細胞は染色体の数が通常の細胞の倍になる「4倍体」となるが、体細胞の核にあった染色体が、既に失っているはずの増殖・多分化能力を持つようになっていることが判明。マウスの皮膚に融合細胞を移植すると、軟骨や筋肉、神経などの細胞にばらばらに分化した。今後、必要な細胞に分化を誘導できるよう、研究を進める。
 ヒトES細胞に人間の体細胞を融合させ、それを分化させることが出来れば、心筋細胞や肝臓細胞などを作ることも可能という。ヒトES細胞は、第三者の受精卵から作るため、拒絶反応が問題になる。あらかじめES細胞の免疫機能を遺伝子操作で壊した後に、患者の体細胞と融合させれば、免疫的に患者の体細胞に近い融合細胞となり、拒絶反応を大幅に減らした細胞移植治療が出来る可能性もある。
 体細胞の核を、核を取り除いた未受精の卵子に移植すると、遺伝的に元の体細胞と全く同じクローンが生まれる。体細胞核に増殖・多分化能力を取り戻させる「初期化」を起こす因子が卵子の中にあるためだが、今回の成果でES細胞にも同様の初期化因子があることも証明された。
 中辻教授は「マウスならば2〜3年で細胞移植の実験が出来るだろう。世界中で続けられている初期化因子を探す研究にも大きく役立つはず」と話している。
【高田房二郎、奥野敦史】

 ■野瀬俊明・三菱化学生命科学研究所主任研究員(発生学)の話 体細胞に自己増殖能と多分化能力を取り戻させる「初期化」のメカニズムを分子レベルで解明する研究に世界中が注目する中、大きなインパクトを与える成果だ。培養細胞であるES細胞は遺伝子操作が簡単で、実験材料として使いやすい。たとえ部分的であったとしても、ES細胞に卵子と同様の初期化因子があることが証明されたことは、今後の初期化因子研究にとって大きな突破口となるだろう。

 初期化:受精卵は生体を構成するあらゆる細胞に分化する能力を持ち、ES細胞も条件次第で同様の能力を備えている。一方、受精卵から分化して最終的にできた体細胞は、こうした能力を失っており、他の細胞へ変化することができない。体細胞になるまでの分化を逆戻りさせて受精卵に戻すかのように、さまざまな細胞に変化できる能力を取り戻させることを初期化という。
[2001-10-02-22:55]

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50 10/02 18:48 ◎通常細胞の「初期状態化」に成功=ES細胞との融合で−京
時事通信ニュース速報

◎通常細胞の「初期状態化」に成功=ES細胞との融合で−京大グループ
 京都大学再生医科学研究所の中辻憲夫教授らの研究グループは2日、さまざまな組織や細胞に分化する能力を持つ胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と通常の体細胞とを融合させた細胞では、通常細胞のゲノム(遺伝情報)もES細胞と同様にさまざまに分化し得る「初期状態」になっていることを、マウスを使った実験で確認したと発表した。中辻教授は「融合細胞を使えば、将来的には拒絶反応を起こさない移植用臓器をつくることも可能になるのではないか」と話している。研究成果は同日発売の米科学雑誌に掲載された。 
[時事通信社]
[2001-10-02-18:48]

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◇10/02 17:09 新しい「ES細胞」を作成 卵子使わない画期的手法
 共同通信ニュース速報

 固有の機能を持つように成長した体細胞を、再び受精卵と同じ未分化の状態に戻し、どんな臓器や組織にも成長しうる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と同じ機能を持つ細胞をつくることに、京都大再生医科学研究所の中辻憲夫教授(発生分化)らがマウスの実験で成功し、二日発表した。
 ES細胞はこれまで、受精卵から培養する手法や核を除いた卵子に体細胞核を移植したクローン胚(はい)を使う手法があったが、倫理的な批判が強かった。
 今回の方法は卵子を使わない画期的なもので、移植しても拒絶反応が起きない臓器の開発も期待できる。また、ES細胞に比べ簡便につくれるという。
 中辻教授らはマウスのリンパ球細胞とES細胞とを混ぜ、電流を流すことでそれらの融合細胞を作成。この細胞は染色体が通常の倍の四倍体ながら、ES細胞のように、あらゆる臓器や組織に成長する「万能性」を持つことを確認した。
 ES細胞に、体細胞を元の未分化状態にリセットする因子が存在するとみられるが、詳しいメカニズムはまだ分かっていない。
 ES細胞は培養可能で、この方法を人に応用すれば、必要な患者のES様細胞を簡単につくれる。ただ、体細胞とES細胞の遺伝情報を半分ずつ持つため、この融合細胞からつくった臓器を移植しても、そのままでは拒絶反応が起きる。
 しかし、拒絶反応を引き起こす抗原をES細胞から除去する技術を開発すれば、拒絶反応を起こさない臓器づくりも可能という。研究チームの多田高・助手は「その技術は数年で開発可能」としている。
(了)
[2001-10-02-17:09]

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22 10/03 02:13 読: クローン技術使わず、体細胞を初期状態に

読売新聞ニュース速報

 さまざまな臓器・組織に変化しうる段階を過ぎてしまった体細胞を、細胞核の入れ替えというクローン技術を使わずに、臓器・組織に変化しうる発生初期の状態まで戻すことに、京都大再生医科学研究所チームがマウスの実験で世界で初めて成功、2日発表した。
 受精卵から少し成長した段階の細胞をもとにした胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と体細胞を融合させることで実現した。
 現在の再生医学では、核を抜いた卵子に体細胞の核を移植した「体細胞クローン胚」から、臓器・組織に変化しうるES細胞を作る研究が進められているが、今回の手法はクローンを経ないでES細胞と同じ状態になるため、人間の細胞の場合でも倫理上の問題がない。
 将来は、患者自身の細胞から必要な臓器などを作り出す技術に生かせる可能性もあり注目される。
 研究チームは、目印として光る物質を組み込んだマウスの血液細胞(リンパ球)とES細胞を電気ショックで融合。これを胎児になる前のマウスの初期胚に戻して経過を観察すると、軟骨や筋肉、神経細胞などがまざった細胞塊に成長した。
 塊のいたるところに光る物質が混入していたことから、血液細胞がいったん発生初期の状態に戻り、他の細胞にその後、変化したと確認した。
[2001-10-03-02:13]

 

◆2001/09/28 11:52 信州大 ES細胞使用し人工臓器研究へ
 NHKニュース速報

 信州大学医学部は、ヒトのさまざまな組織や臓器を作り出すことのできる能力を持つ「ES細胞」と呼ばれる細胞を使って人工臓器の開発などに向けた研究を本格的に始めることになりました。
 これはきょう、信州大学医学部の小宮山淳(コミヤマアツシ)学部長と佐々木克典(ササキカツノリ)教授などが、記者会見して明らかにしたものです。
 「ES細胞」は、受精卵のように一つの細胞から分裂して皮膚や筋肉、臓器など生物のあらゆる組織や臓器になる能力を持ついわば「万能な細胞」です。
 通常の細胞はこうした能力をもっていないことから「ES細胞」の研究は人工的に皮膚や筋肉、臓器などを作り出せる可能性があるとして、注目されています。
 信州大学では、このほど国がヒト「ES細胞」の研究の倫理基準などを定めた指針をまとめたことから、本格的に研究を始めることにしたものです。
 信州大学医学部では、すでに今年六月に佐々木教授からヒトの「ES細胞」を使った研究の申請が出されているということで、大学では細胞の提供者の同意を得るなど、国が定めた指針に基づいて研究を進めていくことにしています。
 小宮山学部長は「人工臓器の開発につながるこの研究には大きな意義がある。生命倫理に配慮しながら今後医学部をあげて取り組んでいきたい」と話しています。
[2001-09-28-11:52]

 

◆2001/10/29

◎ヒトES細胞、国の指針に異議=「滅失」は不適切−京大再生研
時事通信ニュース速報

 人間のさまざまな組織に分化する能力を持つ胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を扱う研究者に対し、文部科学省が今年9月に倫理上守るべき項目を定めた研究指針を施行したことをめぐり、京都大再生医科学研究所(京都市左京区)の倫理委員会は29日、「条文に『滅失』という不適切な用語が使われており、このままでは指針を守れない」と、異例の発表を行った。同倫理委には、中辻憲夫教授がES細胞をつくる国内初の計画案を申請中だが、用語を読み替えて承認する方針。
 ES細胞は、不妊治療で余った受精卵を利用してつくられる。記者会見した星野一正委員長によると、問題としているのは、医療機関が不妊治療の患者から受精胚の提供を受ける際、受精胚を「滅失」させる了解を得るよう求めた条文。この「滅失」という用語は、当初の指針案では「廃棄」とされていた。同委員長は「滅失と廃棄は全く別の意味の言葉だ」と話した。 
[時事通信社]
[2001-10-29-20:56]

 

◆2001/10/29 <社説>生命操作 「人間の尊厳」が問われている
 『毎日新聞』
 2001/10/28 23:55 毎日新聞ニュース速報

 「21世紀は生命科学の世紀」と言われて久しい。その感はこのところ深まるばかりだ。いまや科学者は「生命の神秘」にも迫ろうとしている。
 ヒトゲノム(人間の全遺伝子)がほぼ解読された。どんな組織や臓器にもなるとみられるヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)が登場した。クローン羊「ドリー」の誕生でクローン技術の研究も進む。
 当然、夢が語られる。ゲノムの解読でオーダーメード医療や論理的な創薬が可能になる。遺伝子治療も病気の根本的な治療法になると見込まれる。ES細胞が再生医療の道を開き、臓器移植に取って代わるという期待もある。
 21世紀の医学・医療は間違いなく一変し、恩恵を被る人は多いだろう。だが、希望を与える話とは裏腹に、科学による生命操作が社会に難問を突きつけている。

クローン人間の誕生も

 遺伝子診断が日常化すれば、将来に言いようのない不安を抱く人が増えるに違いない。個人の最大のプライバシーの遺伝情報が漏れて、雇用や結婚、生命保険加入に影響を与えることも大問題だ。
 遺伝子治療が進んで体細胞から生殖細胞に広がっていくと、赤ちゃんを夫婦の好みに沿ってデザインすることや人間改造にも結び付く。遺伝子改変を受けた人だけが社会の支配層になるという近未来の姿を描いたSFも出ている。
 動物のクローン誕生は学問上意義があっても人間となると話は違う。多くの国がクローン人間産生を法律で禁止したが、世界にはクローン人間誕生を目指す人々もいる。いつ我々があっと驚く事態になってもおかしくない。
 受精卵が分割し始めた段階の胚はいつから生命なのか、クローン胚からES細胞を作っていいのかなどの問いも重くのしかかる。
 このまま研究者や医師が興味のおもむくままに研究や臨床を行っていいのだろうか。立ち止まって考える最後の機会ではないか。
 フランスには生命倫理法、英国にはヒト受精・胚研究法がある。日本では生命倫理絡みの法律はクローン技術規制法ぐらいで、ヒトゲノム・遺伝子解析研究や遺伝子治療、ヒトES細胞研究などは国の指針で規制を受ける。これらに遺伝子診断や生殖医療を含めて包括的な生命倫理法を作り、可能なら憲法で新たな時代の理念をうたうのも一つの方法であろう。
 その際のキーワードは「人間の尊厳」だろう。生殖細胞への遺伝子治療、クローン人間産生などの生命操作は人間の尊厳を冒すとして認めないのだ。ユネスコの「ヒトゲノムと人権に関する世界宣言」もクローン個体産生は人間の尊厳に反すると述べている。
 人間の尊厳についての解釈は分かれるが、次のような考え方が最も共感を呼ぶのではないか。
 人間は両親の精子と卵子から半分ずつ遺伝子を引き継ぐ。それによって遺伝子情報が多様化し、各個人は唯一無二の個性ある存在、予想されにくい存在となる。これが人類の生存にも有利に働く。この基本を科学の力を借りて破ることこそが人間の尊厳を冒すことになるというものだ。
 議論を深めて「人間の尊厳」の意味をもっと明確にして法律や憲法にうたえれば、安易な生命操作への有力な歯止めになり、研究者に自覚を促すことができるだろう。
 これに対し、法学者や生命倫理担当の政府関係者からは「個人の尊重をうたった憲法13条から人間の尊厳は導き出される」「安易に生命倫理のことを憲法に書くと度々憲法を変えざるを得なくなる」といった反論が聞かれる。
 現憲法ができたころ生命科学のこれほどの進展は予想できなかった。今でも憲法学者の間で生命倫理の議論はほとんどない。生命倫理学を米国から借用した日本ではもともと本格的な議論はされず、多分野の学者が集まっても議論がかみ合わないのが実情だ。特に宗教的観点からの検討が弱い。
 お寒い日本の実情だが、00年12月の衆院憲法調査会に参考人で出席した村上陽一郎・国際基督教大教授(科学史)の話は示唆に富んでいる。ナチスの人体実験への反省から生命問題に厳しいドイツの基本法(憲法)1条が「人間の尊厳は不可侵である」とうたったことに関してこう述べた。
 「人間の尊厳というものの持つ意味合いをいわば国家の理念として掲げることは、基本的人権よりも前にあってしかるべきものではなかろうか」

「学問の自由」との絡みは

 クローン人間づくりを教義とする宗教団体、ラエリアン・ムーブメントの学者は米科学アカデミーの討論会で「クローン人間づくりは基本的人権」と述べた。村上教授の考え方が支持されれば、こうした基本的人権や幸福追求権を強調した主張が説得力を失う。
 科学技術は学問や研究の自由を保障することによって進歩し、憲法23条も学問の自由を保障している。このことから「生命科学へのさまざまな規制は望ましくない」という問題提起もある。だが、学問の自由は当然尊重されても、人間の尊厳には道を譲らざるを得ないとする意見が強い。
 生命科学は50年後に社会をどう変えているのだろうか。病気ばかりか人間の心までもが遺伝子レベルで解明され、新たな生命体が出現しているかもしれない。
 こんな時代を生きるには、一人一人が遺伝子や進化を正しく理解する必要があり、教育が重要になる。「生命倫理とは情報公開のこと」と言う学者もいる。生命を操るのに国境はなく、国際的な議論に基づく対処も課題である。
[2001-10-28-23:55]

 

■2001/11/04

◆京大倫理委、ヒトES細胞の作製を承認
 読売新聞ニュース速報

 京都大再生医科学研究所の「ヒト幹細胞に関する倫理委員会」(星野一正委員長)は4日、人間の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を作製する国内初の研究計画を承認した。ES細胞は様々な臓器の細胞に変化し得る「万能細胞」として臨床応用が期待される一方、生命の源である受精卵を材料に作るため、倫理面からの計画の妥当性、提供者への説明のあり方などが検討されていた。倫理委の決定を受け、近く同研究所が文部科学省に計画を申請。国の承認を得て、早ければ来春にも研究がスタートする見込み。
 計画を申請していたのは同研究所の中辻憲夫教授らのグループ。不妊治療で不要になった凍結受精卵の提供を受け、それをもとにES細胞を作り、培養する。
 計画によると、提供候補者の夫婦に対し、ES細胞の作製方法や意義を説明。後日、提供意思を文書で確認する。国内の公立病院3施設から、近く受精卵提供の最終的な同意を得る。
 米国では今年8月、ブッシュ大統領が既存の細胞に限り研究に公的資金を出す方針を発表。日本では文科省が9月25日付で作製と使用に関する研究指針を告示、施行している。
[2001-11-05-00:29]

◆11/04 22:02 朝: 日本初の「万能細胞」作製へ 京大再生研
 朝日新聞ニュース速報

 京都大学再生医科学研究所の倫理委員会(委員長=星野一正・京大名誉教授)は4日、さまざまな臓器や組織になる可能性を持ち、「万能細胞」と呼ばれるヒト胚(はい)性幹(ES)細胞を、人間の受精卵から作る国内初の計画を了承した。今後、文部科学省の専門委員会での審議などを経て、早ければ来春にはヒトES細胞作製が始まる予定だ。
 ES細胞をねらい通りの細胞に変化させて体内に移植することにより、アルツハイマー病やパーキンソン病、糖尿病など根本的な治療法のなかった病気を治すことができると期待されている。欧米では、すでにヒトES細胞から神経細胞や血液細胞、筋肉などを作ることに成功している。
 ただし、ES細胞は生命の芽である受精卵を壊して作るため、作製や使用の是非をめぐり各国で議論になっている。日本では今年9月、文部科学省が、厳しい条件付きで認める「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」を出した。
 この指針に基づき、京大再生研の中辻憲夫教授が計画を申請した。これまでのサルやネズミのES細胞を作った実績を生かし、不妊治療目的で作製されたが使われず廃棄が決まった凍結受精卵の提供を受けて、特殊な条件で分離、培養してヒトES細胞を作る。受精卵の提供は慶応大学病院など国内の3施設を想定している。
 作製された細胞は、文部科学省から承認を受けた施設に無料で配布される。対象には民間企業の研究所も含まれる。
 今後、受精卵の提供施設とES細胞の利用施設の倫理委員会で了承後、文部科学省の専門委員会で議論され、総合科学技術会議に報告される。
[2001-11-04-22:02]

◆2001/11/04 日本初の「万能細胞」作製へ 京大再生研
 京都大学再生医科学研究所の倫理委員会(委員長=星野一正・京大名誉教授)は4日、さまざまな臓器や組織になる可能性を持ち、「万能細胞」と呼ばれるヒト胚(はい)性幹(ES)細胞を、人間の受精卵から作る国内初の計画を了承した。今後、文部科学省の専門委員会での審議などを経て、早ければ来春にはヒトES細胞作製が始まる予定だ。
 ES細胞をねらい通りの細胞に変化させて体内に移植することにより、アルツハイマー病やパーキンソン病、糖尿病など根本的な治療法のなかった病気を治すことができると期待されている。欧米では、すでにヒトES細胞から神経細胞や血液細胞、筋肉などを作ることに成功している。
 ただし、ES細胞は生命の芽である受精卵を壊して作るため、作製や使用の是非をめぐり各国で議論になっている。日本では今年9月、文部科学省が、厳しい条件付きで認める「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」を出した。
 この指針に基づき、京大再生研の中辻憲夫教授が計画を申請した。これまでのサルやネズミのES細胞を作った実績を生かし、不妊治療目的で作製されたが使われず廃棄が決まった凍結受精卵の提供を受けて、特殊な条件で分離、培養してヒトES細胞を作る。受精卵の提供は慶応大学病院など国内の3施設を想定している。
 作製された細胞は、文部科学省から承認を受けた施設に無料で配布される。対象には民間企業の研究所も含まれる。
 今後、受精卵の提供施設とES細胞の利用施設の倫理委員会で了承後、文部科学省の専門委員会で議論され、総合科学技術会議に報告される。(22:01)

◆11/04 19:25 毎: <ヒトES細胞>京都大再生医研の研究承認 来春にも国産化
 毎日新聞ニュース速報

 京都大再生医科学研究所のヒト幹細胞に関する倫理審査委員会(委員長、星野一正・京大名誉教授)は4日、同研究所の中辻憲夫教授から申請されていたヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の作成研究を承認した。国内の施設でヒトES細胞の作成研究が承認されたのは初めて。ヒトES細胞は人間の受精卵から作り出されるため、倫理的な配慮が必要とされる。今後、受精卵を提供する施設の倫理委と国が研究計画を承認すれば、来春にもヒトES細胞の国産化が始まる。
 ヒトES細胞は98年に米国で初めて作り出された。体のどのような細胞や臓器にも分化できることから、「万能細胞」とも呼ばれる。ES細胞を培養して、狙った細胞や臓器を作り出せば、移植治療に使える可能性がある。このため、パーキンソン病やアルツハイマー病、せき髄損傷などを対象とする「再生医学」の切り札として注目されるようになった。日本では9月に施行された国の指針で、ヒトES細胞の作成と使用が基礎研究に限って認められた。
 京大の研究計画によると、不妊治療の目的で作り出され、妊娠が成功したなどの理由で廃棄される凍結受精卵を、カップルの同意を得て提供してもらう。この受精卵が分割を始めて5日程度たった時点で、中の細胞の塊を取り出して培養し、ES細胞を作る。国内の大学病院など3施設から、それぞれ最大10個ずつ受精卵の提供を受けることを計画している。
 研究計画は今後、受精卵を提供する施設の倫理委の承認を得たうえで、文部科学省に申請され、科学技術・学術審議会の専門委員会で審議される。結果は総合科学技術会議にも報告される。
[2001-11-04-19:25]

◆11/04 18:49 共: ヒト万能細胞づくりを承認 京大倫理委が国内初
 共同通信ニュース速報

 京都大再生医科学研究所の「ヒト幹細胞に関する倫理委員会」(委員長・星野一正京大名誉教授)は四日、都内で会合を開き、中辻憲夫教授が申請していた、ヒトの受精卵から胚(はい)性幹細胞(ES細胞)をつくる研究計画を国内の研究機関で初めて承認した。
 ES細胞は、人体のあらゆる細胞に成長する能力がある万能細胞。成長させた細胞を人体へ移植するなど将来、再生医療への応用が期待されており、文部科学省が九月、研究機関と国による二重審査を定めた研究指針を策定している。
 既に国内の三病院が受精卵の提供を検討中。京大再生研は今後、これらの病院の承諾を得た上で、国に承認を申請し、来春にも研究に着手する方針で、日本のES細胞研究が大きく動きだすことになる。
 研究計画によると、不妊治療目的でつくられた凍結受精卵のうち、妊娠の成功などで不要になった受精卵を、治療を受けた夫婦から十分な説明と同意のもと無償で提供してもらう。その一部の細胞を培養してES細胞をつくり、国内の研究機関に無償で供給し、医学
研究に役立てるという。
 京大再生研では、国の最終的承認を得た上で、研究をスタート。来年中には「国産」のヒトES細胞を供給する態勢を整えたいとしている。
 倫理委は、この計画が国の指針に適合し、倫理的にも妥当と判断した。
 星野委員長は会合後に記者会見し「提供者に対する説明の仕方や、同意を得るまでの手順も十分な配慮がなされており、中辻教授の計画に問題はないと判断した」と話した。計画書は近く公表するとしている。
 ヒトES細胞の研究をめぐっては、心筋や肝臓細胞に成長させる研究を予定している信州大や、ES細胞を速く増殖させる手法の開発を目指す東京大など、国内の複数の大学が研究に乗り出す見通し。
 ただ、いずれも米国から既にできた細胞を入手することを前提としており、作成を目指す大学は今のところ京大以外にない。
(了)
[2001-11-04-18:49]

◆研究者からは国産化に期待 問われる提供者への説明 ES細
 共同通信ニュース速報

 ヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)は既に米国の大学などが世界に供給しており、国内でも一部の大学はそれを輸入して研究を進める計画だが、多数の研究者の間では、京都大による「国産」ES細胞供給への期待が強い。
 海外のものは、取得された特許権の関係などで、研究成果を実用化する際に何らかの制約がつく可能性が指摘されているほか、培養の条件やES細胞の詳しい性質について情報を入手しやすいことも国産であることの利点だ。将来の医療応用の可能性を考えると、日
本人の細胞を使うことに意味があるかもしれない。
 だが生命の始まりである受精卵を“材料”に、将来は人体への移植を含め、さまざまな治療に使われる可能性がある特殊な細胞をつくりだす研究だけに、慎重な配慮が求められる。
 特に重要なのは、受精卵を提供する夫婦が提供の意味をよく理解し、完全な自由意思によって提供の有無を決められる仕組みになっているかどうかだ。
 京大では、ES細胞のつくり方や研究の可能性についてビデオを使って分かりやすく説明し、返事は郵送で送ってもらうなど、提供者側が圧力を感じない仕組みを工夫したという。
 だが提供者に対する説明の詳細な内容は現時点では公表されていない。この点は、今後予定される国の審査でも重要なポイントになるため、内容を公表したうえで、幅広い立場からの検証を行うべきだ。
(了)
[2001-11-04-19:14]

◆11/04 17:08 時: ○ヒトES細胞の作成計画承認=初の国産化スタートへ−京大
 時事通信ニュース速報

○ヒトES細胞の作成計画承認=初の国産化スタートへ−京大再生研
 さまざまな組織や臓器などに分化する可能性を持った胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の研究をめぐり、京都大再生医科学研究所のヒト幹細胞に関する倫理委員会(星野一正委員長)は4日、東京都内で会合を開き、同研究所の中辻憲夫教授が申請していたヒト受精卵を使ってES細胞を培養する国内初の計画を承認した。文部科学省の審査を経て、ヒトES細胞の国産化研究がスタートする。 
[時事通信社]
[2001-11-04-17:08]

◆ヒトES細胞、国内初の作製へ 京大で承認
 朝日新聞ニュース速報

 京都大学再生医科学研究所の倫理委員会(委員長=星野一正・京大名誉教授)は4日、さまざまな臓器や組織になる可能性を持ち、「万能細胞」と呼ばれるヒト胚(はい)性幹(ES)細胞を、人間の受精卵から作る国内初の計画を了承した。今後、文部科学省の専門委員会での審議などを経て、早ければ来春にはヒトES細胞作製が始まる予定だ。
 ES細胞をねらい通りの細胞に変化させて体内に移植することにより、アルツハイマー病やパーキンソン病、糖尿病など根本的な治療法のなかった病気を治すことができると期待されている。欧米では、すでにヒトES細胞から神経細胞や血液細胞、筋肉などを作ることに成功している。
 ただし、ES細胞は生命の芽である受精卵を壊して作るため、作製や使用の是非をめぐり各国で議論になっている。日本では今年9月、文部科学省が、厳しい条件付きで認める「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」を出した。
 この指針に基づき、京大再生研の中辻憲夫教授が計画を申請した。これまでのサルやネズミのES細胞を作った実績を生かし、不妊治療目的で作製されたが使われず廃棄が決まった凍結受精卵の提供を受けて、特殊な条件で分離、培養してヒトES細胞を作る。受精卵の提供は慶応大学病院など国内の3施設を想定している。
 作製された細胞は、文部科学省から承認を受けた施設に無料で配布される。対象には民間企業の研究所も含まれる。
 今後、受精卵の提供施設とES細胞の利用施設の倫理委員会で了承後、文部科学省の専門委員会で議論され、総合科学技術会議に報告される。
[2001-11-05-10:08]

◆ヒト細胞・組織/ES細胞/クローン… 2000
 毎日新聞ニュース速報

 科学の世界に西洋流、東洋流の接近法はあっても、米国の科学や日本の科学はあるまい。「真実は一つ」が前提だから、科学は昔からグローバルだ。が、技術と結んだ科学技術がグローバルで激烈な商品競争をする時代だ。落とし穴はないか。
 今日、受精卵を使ったヒト胚(はい)性幹細胞(万能細胞)の利用が注目され、国産化が近く始まる。輸入依存では特許の壁で研究が遅れるためだ。「難病治療は再生医学で」という人々の願望もある。
 が、どこかわだかまりが残る。一連の狂牛病事件の発源地・千葉県白井市で、酪農家が巻き添えで処分された牛たちのため「乳牛感謝碑」を建てた。慰霊、そんな気持ちが忘れられないことを。
[2001-11-05-15:00]

◆11/04 19:14 共: 研究者からは国産化に期待 問われる提供者への説明 ES細
 共同通信ニュース速報

 ヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)は既に米国の大学などが世界に供給しており、国内でも一部の大学はそれを輸入して研究を進める計画だが、多数の研究者の間では、京都大による「国産」ES細胞供給への期待が強い。
 海外のものは、取得された特許権の関係などで、研究成果を実用化する際に何らかの制約がつく可能性が指摘されているほか、培養の条件やES細胞の詳しい性質について情報を入手しやすいことも国産であることの利点だ。将来の医療応用の可能性を考えると、日
本人の細胞を使うことに意味があるかもしれない。
 だが生命の始まりである受精卵を“材料”に、将来は人体への移植を含め、さまざまな治療に使われる可能性がある特殊な細胞をつくりだす研究だけに、慎重な配慮が求められる。
 特に重要なのは、受精卵を提供する夫婦が提供の意味をよく理解し、完全な自由意思によって提供の有無を決められる仕組みになっているかどうかだ。
 京大では、ES細胞のつくり方や研究の可能性についてビデオを使って分かりやすく説明し、返事は郵送で送ってもらうなど、提供者側が圧力を感じない仕組みを工夫したという。
 だが提供者に対する説明の詳細な内容は現時点では公表されていない。この点は、今後予定される国の審査でも重要なポイントになるため、内容を公表したうえで、幅広い立場からの検証を行うべきだ。
(了)
[2001-11-04-19:14]

 

◆2001/11/05 動物性集合胚研究の解禁 臓器再生へ一歩前進 豚の胚に人の細胞も
 『日本経済新聞』2001年11月5日(月)朝刊

 動物の胚(はい)に人間の細胞を混ぜた「動物性集合胚」を使って臓器再生を目指す研究が動き出そうとしている。人や動物の胚を使う研究について検討する総合科学技術会議の専門会合が10月末に研究を解禁する結論を出したためだ。
 明治大学の長島比呂志助教授のもとに豚と人の動物性集合胚を使う共同研究の依頼がすでに来ている。長島助教授らは豚に人の遺伝子を組み込み拒絶反応を起こさない臓器作りの研究を進めているが、動物性集合胚は「豚の胚を器と考え、立体構造をもつ臓器を作るのに利点がある」とみる。
 動物性集合胚は動物の受精卵が成長した胚の中に人の細胞を入れる。できた胚を動物や人の子宮に戻すことは禁止だが、試験管の中などで成長させれば、臓器のもとを作れる。
 人の骨髄細胞は血球や神経、心臓の筋肉や肝臓など様々な細胞・組織に成長する能力があることがわかってきているが、これをマウスなどの胚に入れて成長させることで、実際に移植できるような臓器のもとを作れる可能性がある。骨髄細胞だけを試験管の中で育てると、平面に広がったりこぶ状になったりして本物の臓器のような構造に成長させるのは難しい。
 あらゆる臓器や組織になる胚性肝細胞(ES細胞)を動物の胚に入れることも可能となり、動物性集合胚の研究解禁は「移植用の臓器の再生研究にとり第一歩」とされる。
 専門会合の指針案はクローン技術規正法の当面の実施ガイドラインとして人クローン胚などの作製は禁止する。文部科学省が12月初旬までに施行する予定。

 

◆2001/11/06 ヒトES細胞―受精卵への畏れを大切に
 『朝日新聞』社説

 「人類の月面着陸に匹敵する成果」といわれたヒトゲノムの解読より、影響は大きいのかもしれない。あらゆる臓器や組織に育つ可能性のあるヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)のことだ。
 これを作りたいという研究計画を、京都大学再生医科学研究所の倫理委員会が了承した。国の専門委員会の審議を経て、来春にも作製が始まる。
 政府は、失われた体の一部を医療技術で再び作り出す「再生医療」を、21世紀の医療として推進する。ES細胞はその土台となるものだ。これを、必要な機能を持った細胞に育てることができれば、アルツハイマー病やパーキンソン病、糖尿病などを治せると期待されている。移植用の臓器を作り出すことも考えられている。
 ただ、受精卵、つまり人間になりうる細胞から作られるため、国際的に議論を呼んできた。もっとも日本では大きな反対はなく、国が作った研究指針に沿って今回の計画はスタートしようとしている。
 研究者は、国の指針さえ守ればよいと安直に考えるのでなく、実験の内容を積極的に公表し、社会と対話しながら再生医療の方向を考えていく姿勢をとってほしい。
 この研究は、受精卵の提供がなければできない。提供するかどうかは、カップルが自由意思で決断すべきだ。そのためには、研究者側が正確で公平な情報をわかりやすくカップルに説明しなければならない。
 米国で「ヒトES細胞ができた」と報告されたのは、98年だった。これで再生医療の可能性が一気に開け、世界中の研究者や製薬会社が色めき立った。
 患者にとっては、根治療法の開発は切実な願いである。だからといって、どんな手段をとってもいいわけではない。
 人間になりうる細胞を利用することは許されるのか。この難問に対し、首相の諮問機関である科学技術会議(現在の総合科学技術会議)の小委員会は昨年3月、条件付きで許されると答えを出した。
 キリスト教社会には「受精した瞬間から人間である」という考え方が根強くある。フランスやドイツは、受精卵を使う研究を法律で禁止している。
 米国でも受精卵を傷つける実験に連邦資金を使うことは禁じられていた。しかし昨年夏、米政府は条件付きで認めると方針転換した。研究は急速に進み、関連特許を数多く取得する企業も現れている。
 これでは米国に技術を独占されてしまうと、日本の研究者や産業界はあせる。研究を急ぐ必要はあるだろう。ただ、あくまで透明性を確保し、社会への十分な説明責任を果たしたうえで進めてほしい。
 再生医療に対してどこまで特許を認めるか、各国が協力して世界共通の判断基準を築き上げていく必要もある。なによりも人間になりうる細胞を使っていることへの畏(おそ)れを失ってはならない。
[2001-11-06-00:30]

 

■2001/11/06

◆クローン研究用の胚作製は「動物性集合胚」に限定
 読売新聞ニュース速報

 総合科学技術会議の生命倫理専門調査会は6日、クローン技術規制法に基づき、基礎研究に使用できる胚(はい)について定めた指針に関する答申案を了承した。人間の細胞と動物の胚を結合して一体となった「動物性集合胚」だけ作製を認めるとしている。
 同法では、クローン人間につながる胚やそれに類似した胚など、人間や動物の胚・細胞のさまざまな混合体(特定胚)を9種類想定。このうち生命倫理の観点から、1種類だけを認める判断に落ち着いた。答申案は、同会議の本会議に報告後、文部科学省が12月5日までに指針をまとめて施行する。
 答申案では、動物性集合胚の作製は人間の細胞からできる臓器作りに関する研究に限定。胎内に入れることは認めていない。作製にあたっては、慎重な審査を条件に、人間の胚性幹細胞の使用も認め、本人の同意を得られない死体や中絶胎児の細胞は使用できないことを細則などに盛り込む。
 人間の体細胞の核を未受精卵に移植して作る「人クローン胚」など他の特定胚の作製は、現在進めている胚に関する包括的な議論の結論が出た段階で検討するとした。
[11月6日23時56分更新]
[2001-11-07-00:19]

◆2001/11/06 22:36 クローン研究一部解禁、ヒト胚は禁止
 朝日新聞ニュース速報

 クローン関連技術をめぐり、総合科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)の生命倫理専門調査会は6日、文部科学省から諮問されていた研究指針案について答申案をまとめた。これを受けて同省は指針を12月初旬に公表する。凍結されていた研究が一部解禁されることになる。
 6月に施行されたクローン技術規制法は「クローン人間」作りを厳しく禁止する一方、医学研究の対象として9種類の「特定胚(はい)」を挙げ、文科省が研究指針をまとめることになっていた。
 文科省案はこのうち3種類を認める内容だったが、同調査会が受け入れたのは、動物の受精卵に人の細胞を混ぜる方法だけ。できた胚は移植用の臓器をこしらえる研究に使う。人や動物の子宮に戻すことは禁止される。
 ヒトのクローン胚を含む8種類については当面、禁止対象となる。
 文科省案より厳しい制限をかけたのは、審議中に「ヒト胚の操作を基本的に認めるべきではない」から「研究の自由を制限すべきではない」までさまざまな意見が出て、「さらに議論を深める必要がある」(委員の位田隆一・京都大教授)と判断したためだ。 しかし、今後、ヒト胚をめぐる議論を続けて「03年秋ごろを目標に結論を出す」としており、指針が修正される可能性もある。
 英国は政府の監督下で医学研究目的のヒトのクローン胚作りを認めている。米国では民間レベルの研究は規制されない。一方、仏独は倫理的な理由からクローン胚作製を禁じている。
[2001-11-06-22:36]

◆11/06 22:15 毎: <クローン>8種類の胚作成を禁止する方針 総合科学技術会
 毎日新聞ニュース速報

 クローン人間につながるヒトクローン胚(はい)など9種類の胚(特定胚)の取り扱いを審議している国の総合科学技術会議の生命倫理専門調査会は6日、「動物性集合胚」を除く8種類の作成を禁止する指針案をまとめた。指針案は本会議で承認された後、文部科学省が正式な指針として12月5日までに告示、施行する。
 動物性集合胚は動物の胚とヒトの細胞を混ぜて作る。基本的に動物の胚で、うまく制御できれば移植用臓器の研究に役立つ可能性があるとして作成を認めた。ただ、人間や動物の母胎に戻すことは禁止している。もとになるヒトの細胞には、どんな細胞にも分化し「万能細胞」とも呼ばれる胚性幹細胞(ES細胞)も含まれる。
 同省の原案は、「ヒト性融合胚」「ヒト胚核移植胚」についても、細胞質にあるミトコンドリアの異常で生じる病気の治療に有用だとして作成を認めていた。しかし、専門調査会は「ヒト胚の取り扱いは厳密にすべきだ」として、この2種類も含めた残る8種類の作成を禁じた。
 特定胚の指針は昨年12月に成立したクローン規制法に基づいてまとめられるもので、文科相への届け出などの規定に違反すると、最高で1年以下の懲役または、100万円以下の罰金が科される。 【田中泰義】
[2001-11-06-22:15]

◆ヒト・クローン技術 基礎的な研究の指針案まとまる
 NHKニュース速報

 ヒト・クローン技術の研究をどこまで認めるかを検討していた国の専門調査会はきょう、移植に使うためにヒトの臓器を持った動物をつくるための基礎的な研究を認めました。
 クローン技術を使って同じ遺伝子を持つ人間をつくり出すことは、今年六月に施行されたヒト・クローン規制法で禁止されました。
 しかしクローン技術は新たな医療技術の開発に役立つ可能性もあり、国の専門調査会が基礎的な研究をどこまで認めるか指針案をまとめました。
 それによりますと、ヒトの細胞の遺伝子をヒトの卵子に入れて受精卵のように分裂させ、同じ遺伝子を持った「クローン胚」をつくる研究はクローン人間につながるおそれがあるとして禁止しました。
 また、ヒトの受精卵に別のヒトの細胞を入れる研究なども倫理的な問題が大きいとして禁止しました。
 その一方で、動物の受精卵にヒトの細胞を入れる研究は生まれてきた動物の体の中にヒトと同じ臓器ができる可能性があり、将来、ヒトに移植できるとして認めました。
 こうしたクローン技術の基礎的な研究をめぐっては、イギリスが「クローン胚」の研究を認めていますが、今回の指針案は、より厳しい規制になっています。
 この指針案は来月告示されることになっています。
[2001-11-06-18:23]

◆1種類の胚に限り研究容認 総合科技会議が答申案
 共同通信ニュース速報

 クローン人間禁止法に基づく研究指針について検討していた総合科学技術会議の生命倫理専門調査会(会長・井村裕夫京都大名誉教授)は六日、同法が規定する九種類の「特定胚(はい)」のうち、当面は一種類の基礎研究に限り認める、とする答申案をまとめた。
 十一月中に開く同会議本会議で承認後、文部科学省に答申。同省は答申内容に沿って指針を策定し、十二月五日までに告示する。
 認められたのは、ヒトの細胞を動物の胚に入れてつくる「動物性集合胚」。ただし、動物の体内で移植用臓器をつくる研究目的に限定し、動物胚の中にヒトの胚や未受精卵、死亡した胎児の細胞を入れることは倫理面から当面禁止した。死体の細胞を使うことは、生
前に提供者の同意を得ている場合に限って認めた。
 クローン人間禁止法は、動物性集合胚やヒトクローン胚など九種類の胚を特定胚と定義、その取り扱いを指針で定めるとした。
 これを受けて文部科学省は、クローン人間づくりにつながらない動物性集合胚など三種類の胚研究を「医学的に有用」と認める指針案をまとめ、同会議に諮問した。
 しかし、同会議は「ヒト胚全体の研究利用についてさらに議論が必要」と判断。文部科学省の指針案より研究範囲を限定し、今後、追加すべき特定胚が出てきた場合に、臨機応変に指針を修正すべきだとした。
(了)
[2001-11-06-18:11]

◆「動物性集合胚」以外の作成禁止=クローン法の指針最終案
 時事通信ニュース速報

○「動物性集合胚」以外の作成禁止=クローン法の指針最終案−総合科技会議
 ヒトクローン規制法に基づく特定胚(はい)の取り扱い指針案を審議している総合科学技術会議の生命倫理専門調査会(会長・井村裕夫京都大前学長)は6日、ブタなどの動物の胚に人間の細胞を混合する「動物性集合胚」以外の特定胚の作成を禁じる最終案をまとめた。特定胚は、人間と動物の細胞や胚などの組み合わせにより9種類あるが、ヒトクローン胚などその他の胚については生命倫理上の問題が残ると判断。一方、動物性集合胚は基本的に動物の胚であり、移植用臓器の研究に役立つとして、作成を認めた。
[時事通信社]
[2001-11-06-15:21]

 

◆2001/11/15 国の指針厳守定める  ヒト受精卵からES細胞の作成計画
 共同通信ニュース速報

 ヒト受精卵からあらゆる細胞に成長する能力のある胚(はい)性幹細胞(ES細胞)づくりを計画している京都大再生医科学研究所の中辻憲夫教授は十五日、計画概要を公表した。同計画は国内初で、同研究所の倫理委員会が四日承認していた。
 計画では、受精卵提供者の十分な同意やプライバシー保護のほか、研究目的以外に使用されないよう厳重に管理するための具体的な手続きを明記、国が九月に策定した指針の厳守を定めている。
 また提供の意思のある人に研究目的などを分かりやすく説明することや、研究者に提供者の個人情報が分からなくすること、一度提供に同意した人も一カ月間は取り消せるようにすることなどを決めている。
 ES細胞の作成方法は既に研究に着手している米国などとほぼ同じ。
 ES細胞は、傷んだ組織を修復する再生医療への応用が期待されるが、研究にあたって倫理的な問題などが起きないよう十分な配慮が求められている。
 中辻教授は、不妊治療目的でつくられた凍結受精卵のうち、不要になった受精卵からES細胞の作成を計画。国などの承認を得た上で、同教授ら研究者計五人で三年以内の作成を目指す。
(了)
[2001-11-15-18:56]

 

◆2001/11/16 <ES細胞>宗教法人「大本」が「ES計画反対」の要望書
 毎日新聞ニュース速報

 京都大学再生医科学研究所によるヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の作成研究について、宗教法人「大本」(本部・京都府亀岡市)は16日、「『ヒトES細胞作製計画』不承認を求める要望書」を遠山敦子文部科学相に送った。「命を軽んじる非人道的研究であり、社会に与える悪影響が大きい」などと、計画を承認しないよう訴えている。
 同研究所の倫理委が今月4日、作成研究を承認した。今後、国と受精卵を提供する施設の倫理委が研究計画を承認すれば、国産化が始まる。ヒトES細胞は人間の受精卵から作り出されるため、倫理的な配慮が必要とされている。
[2001-11-16-22:50]

 

◆2001/11/19 クローン人間禁止へ 国連で条約づくり目指す
 『朝日新聞』2001-11-20

 国連総会第6委員会(条約・法律問題)は19日、クローン人間禁止条約づくりを求める決議案を採択した。総会でも採択は確実で、国際社会はクローン人間禁止に向けて足並みをそろえることになる。
 決議案はフランスとドイツが中心に提出。「一部の研究所や研究者が近くクローン人間づくりを実行すると表明したことは、深刻な問題を引き起こしている」として、条約づくりのため、倫理問題を検討する委員会を設けるよう求めた。
 合意を得やすくするため、目的を「生殖目的のクローン人間づくりの禁止」に絞り、「03年には条約の文案交渉に入ることが望ましい」(フランス)としている。
 第6委員会の討論では「人類の尊厳を損なう。法的拘束力のある手段(条約)が必要だ」(ドイツ)、「社会秩序の維持からも深刻な問題で、国際社会は決して許してはならない」(日本)など、賛同が相次いだ。
 イタリアや米国の不妊治療専門家グループ、カナダに本拠を置く新興教団がクローン人間を誕生させると宣言。各国で歯止めの必要性が議論されている。日本では6月に施行されたクローン技術規制法で禁止された。
[2001-11-20-20:48]

 

◆2001/11/25 ヒトクローン胚作成に成功 移植治療研究が目的と米社
 【ワシントン25日共同】米国のアドバンスト・セル・テクノロジー社は二十五日、ヒトの未受精卵にヒトの体細胞(生殖細胞以外の細胞)の核を移植するクローン技術を使い、六個の細胞に分割した胚細胞をつくることに初めて成功したと発表した。
 胚細胞から人体のあらゆる細胞に成長する能力がある胚(はい)性幹細胞(ES細胞)をつくることができ、同社がインターネット上に掲載した発表は拒絶反応を起こさない移植用臓器つくりに道を開き、糖尿病などの治療の可能性を拡大する研究成果と意義を強調している。
(了)

◆クローン人間になり得るヒトの胚を作製 米バイオ企業
 朝日新聞

 米バイオ企業アドバンスト・セル・テクノロジー(ACT)は25日、クローン人間に成長しうる人のクローン胚(はい)の作製に成功したと発表した。米誌「再生医学」に論文を発表した。専門誌にヒトクローン胚作りの成功が発表されたのは初めて。
 ACTの発表によると、核DNAを除いた未受精卵に、体細胞の核を入れる「核移植」を行い、6つの細胞まで分割、成長したクローン胚を作るのに成功したという。クローン胚を作ったのは、さまざまな組織になり得る胚性幹細胞を作り、拒絶反応のない移植用の臓器を作るのが目的という。
 ロバート・ランザACT副社長は25日朝、米メディアに対して、「倫理問題があるとされていることは承知しているが、他方、人のクローン胚を使った研究は病気の人たちにとって大変な価値がある」と述べ、あくまで医学研究のためでクローン人間づくりが目的ではないと強調した。
 米国では、下院が人のクローン胚を全面禁止する法案を可決したが、クローン胚の医学研究を求める声も根強く、上院では議論がまとまっていない。

    ◇

 【ヒトクローン胚】クローン胚は、核を除いた卵に体細胞の核を移植して作られる。子宮に戻すとクローン人間作製につながるが、特殊な条件で培養すると、胚性幹細胞(ES細胞)を作ることができる。ES細胞は、心臓や肝臓などさまざまな組織になりうる可能性を持った細胞。患者の体細胞からクローン胚を作製してES細胞を作れば、拒絶反応がない移植用臓器ができる可能性がある。
 日本では12月初めまでに発表予定の指針で、作製が禁止されている。(01:43)


http://www.cnn.com/2001/TECH/science/11/25/human.embryo.clone/index.html

Firm says it created human embryo through cloning
November 25, 2001 Posted: 12:11 PM EST (1711 GMT)

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WASHINGTON (CNN) -- In a move certain to raise new questions of science and ethics, doctors have created human embryos through cloning, scientists announced Sunday.

The cloning was performed by Advanced Cell Technology Inc. of Worcester, Massachusetts. The company said the experiment was aimed not at creating a human being but at mining the embryo for stem cells used to treat disease, Reuters reported. Stem cells are a kind of master cell that can grow into any kind of cell in the body.

"We've taken the first hulking steps toward what we think is going to be a new area of medicine," said Dr. Michael West, the company's president and CEO. "It's been called regenerative medicine."

Speaking on NBC's Meet the Press, West disputed the suggestion that the work amounted to the creation of human life.

"Biologically, scientifically, the entities we're creating are not an individual," West said. "They're only cellular life. They're not a human life."

West said the breakthrough could lead to advances in fighting a variety of ailments, including Parkinson's disease and diabetes.

Exciting? Or troubling?
The news drew immediate criticism from some lawmakers.

"I think that people are concerned about the ethical problems here," said Sen. Richard Shelby, Republican of Alabama. He said he expected lawmakers would soon take up the issue.

"I believe it will be a big debate, but at end of day I don't believe we'll let
cloning of human embryos," Shelby said.

"I find it very, very troubling, and I think most of Congress would," said Sen.
Patrick Leahy, Democrat of Vermont.

Michael D. West, president of Advanced Cell Technology
In the study, which was published in the Journal of Regenerative Medicine, scientists removed the DNA from human egg cells and replaced it with DNA from a human body cell. The egg cells began to develop "to an embryonic state," according to a press release from the company.

Of the eight eggs, two divided to form early embryos of four cells and one progressed to a six-cell stage before it stopped dividing. This breakthrough occurred October 13, 2001.

"These are exciting preliminary developments," said Robert P. Lanza, vice president of medical and scientific development at ACT and an author on the paper.

"This work sets the stage for human therapeutic cloning as a potentially limitless source of immune-compatible cells for tissue engineering and transplantation
medicine. Our intention is not to create cloned human beings, but rather to make lifesaving therapies for a wide range of human disease conditions including
diabetes, strokes, cancer, AIDS and neurodegenerative disorders, such as Parkinson's and Alzheimer's disease."

The White House had no immediate reaction to the news, but President Bush has previously voiced his opposition to human cloning. This summer, the House of Representatives voted to ban human cloning and set penalties of up to 10 years in prison and a $1 million fine for those convicted of attempting to clone humans.

The measure was never taken up by the Senate, so it never became law.

◆社会ニュース - 11月26日(月)1時25分 ヒトのクローン胚を作製

 米バイオベンチャー企業「アドバンスト・セル・テクノロジー」は25日、ヒトのクローン胚作製に成功したと発表した。ロイター通信が伝えた。
 クローン胚は、ヒトの体細胞の核を未受精卵に移植して作るもので、体細胞提供者と同じ遺伝情報を持つ。このためクローン胚から、様々な組織に成長する可能性のある胚性幹細胞(ES細胞)を取り出せれば、拒絶反応が起きない移植用臓器などを作り出す道が開ける。
 しかし、クローン胚をそのまま子宮に戻せば、クローン人間が誕生する可能性がある。同社は、あくまで移植医療用のES細胞を取り出すことが目的としているが、クローン研究の是非に再び議論を投げかけることは必至だ。
 ヒトのクローン胚は98年に韓国の研究者が、また昨年には中国の研究者が作製したと発表したが、その後、詳しい情報は判明していない。(読売新聞)

◆<クローン>ヒトの体細胞使い胚細胞づくりに成功 倫理論議確実
 毎日新聞ニュース速報

 米国のアドバンスト・セル・テクノロジー社は25日、ヒトの未受精卵にヒトの体細胞核を注入するクローン技術を使い、人体のあらゆる細胞に成長する能力がある胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の元となる胚細胞をつくることに初めて成功したと発表した。
 同社はインターネットで発表した声明で、拒絶反応を起こさない移植用臓器づくりに道を開く研究成果と意義を強調しているが、ヒトの体細胞を使ったクローンには倫理上の問題もあり、論議を巻き起こすことは確実だ。
 ES細胞は、人体のあらゆる細胞に成長する能力がある万能細胞。成長させた細胞を人体へ移植するなど将来、再生医療への応用が期待されている。(ワシントン共同)
[2001-11-26-01:45]

◆11/26 <クローン>米企業の成功 最も慎重な取り扱いが必要なケース
 毎日新聞ニュース速報

 日本では国の総合科学技術会議の生命倫理専門調査会が今月上旬、クローン人間につながるヒトクローン胚の作成を禁止する指針案をまとめている。クローン研究に関連する特定胚と呼ばれる細胞には9種類あるが、今回、米の企業が作成に成功したのは、ヒトの子宮に戻せば、クローン人間の誕生につながるもので、最も慎重な取り扱いが必要とされる。
 ヒトクローン胚は、核を除いたヒトの未受精卵に、ヒト体細胞の核を移植する。世界初のクローン動物となった羊の「ドリー」も同じ方法で作られた。子宮に戻して育てれば、体細胞の提供者と同じ遺伝情報を持つ個体ができる。一方、子宮に戻さず、組織や臓器にまで培養できれば、拒絶反応のない移植に役立つと期待される。
[2001-11-26-01:45]

◆2001/11/26 ヒトのクローン胚を作製
 『読売新聞』ニュース速報

 米バイオベンチャー企業「アドバンスト・セル・テクノロジー」は25日、ヒトのクローン胚作製に成功したと発表した。ロイター通信が伝えた。
 クローン胚は、ヒトの体細胞の核を卵子に移植して作るもので、体細胞提供者と同じ遺伝情報を持つ。このためクローン胚から、様々な組織に成長する可能性のある胚性幹細胞(ES細胞)を取り出せれば、拒絶反応が起きない移植用臓器などを作り出す道が開ける。
 しかし、クローン胚をそのまま子宮に戻せば、クローン人間が誕生する可能性がある。同社は、あくまで移植医療用のES細胞を取り出すことが目的としているが、クローン研究の是非に再び議論を投げかけることは必至だ。
 ヒトのクローン胚は98年に韓国の研究者が、また昨年には中国の研究者が作製したと発表したが、その後、詳しい情報は判明していない。
 米国では、下院が今年7月にクローン胚の研究を認めないクローン人間禁止法を可決。ブッシュ政権も8月、ES細胞研究に対する連邦予算の支出を、現存する約60の細胞株に限定して認める決定を下している。
 一方、英国は医療面での有用性を尊重し、今年1月にクローン胚の研究を認める法律を成立させた。
 日本は当面ヒトクローン胚の研究を凍結しており、総合科学技術会議の生命倫理専門調査会が、今月6日、人間の細胞と動物の胚を結合した「動物性集合胚」に限って作製を認める指針案を了承している。
[2001-11-26-02:13]

◆ヒトクローン胚作製に成功、病気治療目的と米社
 読売新聞ニュース速報

 【ワシントン25日=館林牧子】米バイオベンチャー企業の「アドバンスト・セル・テクノロジー」(ACT、本社・マサチューセッツ州)は25日、人間のクローン胚(はい)の作製に成功したと発表した。子宮に戻せばクローン人間ができてしまう可能性もあるが、ACTは「病気の治療に役立つ胚性幹細胞(ES細胞)を作るのが目的で、胚を子宮に戻してクローン人間を作るのが目的ではない」と強調している。米下院では今年7月、クローン胚の作製禁止を含めたヒトクローン規制法案を可決、上院での審議が注目されていた。
 この成果は、米医学誌「再生医学」に発表された。ヒトのクローン胚は、1998年12月に韓国の研究者、2000年1月には中国の研究者が「作製した」と発表しているが、科学論文の形で発表されたのは今回が初めて。
 発表によると、ACTは24歳から32歳の女性7人からボランティアで未受精卵71個の提供を受けた。このうち8個について、卵子の核を除去した上で人間の卵子の周囲にこびりついた卵丘細胞という体細胞を注入したところ、2個の卵子が4つに分割、1つが6つまで分割した。
 一方、受精させていない未受精卵を、あたかも受精したかのように分裂させる「単為発生法」という技術を応用し、22個の未成熟卵のうち6個で、分裂を始めさせることにも成功。
 今後は2つの方法で作った胚から、ES細胞の作製を目指す。
 日本では今月6日、総合科学技術会議の生命倫理専門調査会が、ヒトクローン胚の作製を当面禁止とする指針案を了承した。
[2001-11-26-13:33]

◆ヒトクローン胚、禁止前の研究急ぐ
 読売新聞ニュース速報

 米バイオベンチャー企業「アドバンスト・セル・テクノロジー」(ACT)による、人間のクローン胚(はい)作製成功は、クローン人間作りの懸念がいよいよ現実味を帯びてきたことを示した。この胚は子宮に戻せば、クローン人間の誕生につながる。米国は核移植技術では世界のトップを走るだけにクローン胚の作製は時間の問題だったからだ。
 ACTは研究に着手した際、「我々はマイケル・ジョーダンのような人間を何人も作る気はない」としてクローン人間の作製を強く否定していた。同社が当初から目標にしていたのはクローン胚からの胚性幹細胞(ES細胞)作製だ。
 医療面でクローン技術を応用すれば、拒絶反応のない究極の移植が可能になる。遺伝的には自らの組織と全く同じものを作り出すことが可能になるからだ。
 このため、英国では、今年1月に、クローン胚の研究を認める法律が成立。一方、米国では下院が今年7月にクローン人間禁止法を可決し、クローン胚の研究をも併せて禁止した。
 しかし、ACTは、法成立前の“猶予期間”を狙って胚作製に着手していた。「禁止されてからでは遅い」(ACT関係者)と研究を急いでいたようだ。この点について、同社は今回の研究を始めるにあたり、約1年間をかけて施設内の倫理委員会で議論しており、「研究は正当に行われている」と主張している。
 日本では、研究に慎重な意見が多かったことなどから、クローン人間を禁止する法律に基づく指針で胚の作製を禁止する方針を決めている。最先端の生命科学が生みだした技術の利用は、倫理と有用性のはざまで、各国の対応がばらついているのが実態だ。
 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)国際生命倫理委員会委員長を務める京都大学法学研究科の位田隆一教授は「米国ではルールが明確になっていないだけに、卵子の提供のあり方など倫理的な問題への対応が正しかったのか、はっきりしない面がある。一般の人が納得できるルール作りが国際的に必要な時期に来ているのではないか」と話している。(科学部 行成 靖司)
[2001-11-26-13:36]

◆ヒトクローン胚づくりに成功=病気治療が目的−米バイオ企業
 時事通信ニュース速報

 【ワシントン25日時事】米バイオ企業アドバンスト・セル・テクノロジー社(ACT、マサチューセッツ州ウスター)は25日、クローン人間に成長し得るヒトのクローン胚(はい)をつくり出すことに成功したと発表した。移植などの治療研究のために胚性幹細胞(ES細胞)を得るのが目的で、クローン人間をつくる計画はないとしている。しかし、クローン技術でヒトの胚を作成したことは倫理面で論議を呼びそうだ。
[時事通信社]
[2001-11-26-07:33]

◆ヒトクローン胚作成に成功 移植治療研究が目的と米社
 共同通信ニュース速報

 【ワシントン25日共同=上田泉貴】米国のアドバンスト・セル・テクノロジー社は二十五日、ヒトの未受精卵にヒトの体細胞(生殖細胞以外の細胞)の核を移植するクローン技術を使い、六個の細胞に分割した胚細胞をつくることに初めて成功したと発表した。
 胚細胞から人体のあらゆる細胞に成長する能力がある胚(はい)性幹細胞(ES細胞)をつくることができ、同社がインターネット上に掲載した発表は拒絶反応を起こさない移植用臓器つくりに道を開き、糖尿病などの治療の可能性を拡大する研究成果と意義を強調している。
 しかし、この胚は、女性の子宮に戻せばクローン人間の誕生にもつながる可能性があるという倫理上の問題をはらんでおり論議を巻き起こすことは確実だ。
 同社は実際にES細胞ができたかどうかは明らかにしていない。
 発表によると、同社は胚細胞クローンに関し二つの初期的な研究を行った。最初は単為生殖技術で未受精卵を活性化し着床前の胚細胞を作った。第二に必要なDNAを含むヒト体細胞の核を着床前の胚細胞に移植してクローン胚を作り、六つの細胞になる段階にまで育てることに成功したという。
 ES細胞は人体のあらゆる細胞に成長する能力がある万能細胞。成長させた細胞を人体へ移植するなど将来、再生医療への応用が期待されている。
 アドバンスト・セル・テクノロジー社は医療・治療関連のクローン技術の開発を主に手がけているバイオテクノロジー企業。本社は米マサチューセッツ州ウースターにある。
(了)
[2001-11-26-07:23]

◆保守派や宗教団体の反発も 米、生命倫理で論争
 共同通信ニュース速報

 【ワシントン25日共同】米ブッシュ政権はことし八月、ヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究に対する連邦予算支出を、現存する約六十の細胞株に限定して認める決定を下し、生命倫理をめぐって国内で大きな論争が起きた経緯がある。
 今回の技術は、移植医療が必要なさまざまな病気に悩む人々にとって朗報となるのは間違いないが、一方でこうした生命技術について「神の領域を人間が侵すものだ」と批判する一部保守派や宗教団体などからの反発も予想される。
 ブッシュ政権は二十五日午前現在、特にコメントを発表していない。
 アドバンスト・セル・テクノロジー社は、今回の技術は医療用で、クローン人間をつくるためではないとしている。ブッシュ大統領は、ES細胞への予算支出を認めた際に「ES細胞から臓器などをつくり出すことはクローンではない」との見解を示していた。
 ローマ法王ヨハネ・パウロ二世は、七月にブッシュ大統領と会談した際、ES細胞を使った研究の禁止を求めており、クローン技術の進展に対する懸念は世界的にも根強い。
(了)
[2001-11-26-07:26]

◆拒絶反応ない臓器に期待 クローン胚、日本は禁止
 共同通信ニュース速報

 米アドバンスト・セル・テクノロジー社が作成したヒトの体細胞クローン胚(はい)は、そのまま子宮に戻すとクローン人間になり得るが、特殊な方法で体外で培養を続ければ、あらゆる臓器や組織に成長する能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)をつくることが可能
とされている。
 こうしてできたES細胞は、他人から提供された受精卵からつくるES細胞とは違い、体細胞の提供者と同じ遺伝子を持つため、拒絶反応を起こさない移植用の臓器や組織が開発できるとして研究者らの期待が大きい。
 同社の発表によると、核を除いた未受精卵に「卵丘(らんきゅう)細胞」という体細胞を核移植した結果、八個のうち三個のクローン胚が受精卵のように分割を始め、最高六つの細胞にまで分割した段階で成長が止まったという。
 この段階はES細胞ができる「胚盤胞(はいばんほう)」という段階よりは手前だが、同社は「技術的には手の届くところまできた」と自信を見せている。
 だがヒトクローン胚の作成が、クローン人間の誕生につながるのではないかとの懸念は根強い。日本では、クローン人間禁止法に基づき、来月初めまでに施行される文部科学省の研究指針で、ヒトクローン胚の作成を当分の間禁止することが決まっている。
 欧州ではフランス、ドイツがヒトクローン胚づくりを禁じているが、英国は今年初め、クローン胚からのES細胞培養に道を開く法改正を実施した。
(了)
[2001-11-26-11:46]

◆クローン人間になり得るヒトの胚を作製 米バイオ企業
 朝日新聞ニュース速報

 米バイオ企業アドバンスト・セル・テクノロジー(ACT)は25日、クローン人間に成長しうる人のクローン胚(はい)の作製に成功したと発表した。米誌「再生医学」に論文が掲載された。専門誌にヒトクローン胚作りの成功が報告されたのは初めて。また、精子なしに人の卵を分割、成長させる「単為発生」の初期実験にも成功したという。
 ACTの発表によると、核DNAを除いた未受精卵に、体細胞の核を入れる「核移植」を行い、六つの細胞まで分割、成長したクローン胚を作るのに成功したという。
 クローン胚を作ったのは、さまざまな組織になり得ることから「万能細胞」とも呼ばれる胚性幹(ES)細胞を作り、拒絶反応のない移植用の細胞や組織、臓器を作るのが目的としている。
 ロバート・ランザACT副社長は25日朝、米メディアに対して「倫理問題があるとされていることは承知しているが、他方、人のクローン胚を使った研究は病気の人たちにとって大変な価値がある」と述べ、あくまで医学研究のためでクローン人間づくりが目的ではないと強調した。
 米国の報道によるとクローン胚が作られたのは10月ごろ。ACTは「6分割の段階で廃棄した」と述べているという。
 米下院は7月に人のクローン胚研究を全面禁止する法案を可決した。しかし、「先端科学技術にわくをはめるべきではない」と研究を求める声も根強く、上院では議論がまとまっていない。ブッシュ政権はクローン技術の禁止を支持している。
 一方、単為発生は、22個の卵を特殊な化学物質にさらしたところ、うち6個が分割、成長を始めた。将来、体になる部分と胎盤になる部分が分かれた「胚盤胞」という状態まで進んだという。
 マウスや牛で子宮に入れた実験があるが、育たなかった。哺乳類(ほにゅうるい)では単為発生から赤ん坊まで育てるのは無理というのが定説になっている。
    ◇
 ヒトクローン胚 核を除いた卵に体細胞の核を移植して作られる。子宮に戻すとクローン人間づくりにつながる一方、特殊な条件で培養すると、胚性幹(ES)細胞を作ることができる。
 受精卵を壊して作られたこれまでのES細胞は、移植すると患者に拒絶反応が起こる。しかし、患者の体細胞からクローン胚を作り、ES細胞にすると、拒絶反応のない移植用臓器ができる可能性がある。
 日本では6月に施行されたクローン技術規制法に基づき、指針が12月5日に施行されるが、この中でヒトクローン胚作製が禁止される。
    ◇
 単為発生 卵と精子が受精することなく、新しい個体ができること。ミツバチなどでは自然状態で見られる。哺乳類(ほにゅうるい)の卵に化学物質などによる刺激を与えると、分割が始まり、発生の第一歩が開始されることが報告されている。
[2001-11-26-03:04]

 

◆20011126 ヒトクローン胚作製を米大統領批判、バイオ株軒並み上げ
 朝日新聞ニュース速報

 米バイオ企業アドバンスト・セル・テクノロジー(ACT)が人のクローン胚(はい)作製を発表したことについて、26日、ブッシュ大統領が厳しく批判する一方、バイオ企業の株価が軒並み上昇するなど、反響が相次いだ。
 大統領は「破壊するために人の生命を育ててはならない。現在起きていることはまさにそうしたことだ。道徳的に誤りだと考える」と述べた。「胚はすでに人の生命」との立場から、研究や操作に反対している。
 フライシャー大統領報道官は記者団に「大統領は下院で可決されたクローン研究全面禁止法案を上院も可決することを希望している」と話した。下院のディレイ共和党副院内総務も「人クローンは科学に常道を踏み外させるものだ」とした。
 プロライフ(生命尊重=人工中絶反対派)の市民団体や宗教保守派なども相次いで批判、カナダ政府やローマ法王庁も非難した。
 これに対し、進歩的な宗教家などから「病気で苦しむ人を助けるために幹細胞研究を進めることに賛成」との声も出た。
 一方で、ACT株は公開されていないものの、クローン胚の産業応用を期待して、公開されているバイオ産業株は軒並み上昇した。
 ACTのウエスト社長は「かつて体外受精は倫理的に大問題だと非難されたが、今は広く認められている。非難は過剰反応だ」と反論した。
[2001-11-27-11:38]

◆11/27 10:57 NH: “ヒトクローン研究に反対”
 NHKニュース速報

 アメリカの民間企業が同じ遺伝子を持つヒトを複製することも理論上可能な、いわゆる「クローン胚」を作ることに成功したと発表したのを受けて、ブッシュ大統領は生命の倫理を冒す取り組みだとして、こうした研究を一切認めない考えを示しました。
 アメリカ・マサチューセッツ州にある民間企業「アドバンスト・セル・テクノロジー」社は、同じ遺伝子を持つ生物を人工的に作り出せるとされるクローン技術を使って、ヒトのクローン胚を世界で初めて作り出すことに成功したと発表しました。
 この企業では、胚が成長する過程でできる「胚性幹細胞」を使って臓器などを作り、難病の治療に役立てることが目的だとしていますが、この胚を使って同じ遺伝子を持つヒトを複製することも理論上可能なため大きな論議を呼んでいます。
 これを受けてブッシュ大統領は二十六日、記者団に対し「生命を奪う目的で命を育てることは許されない。胚性幹細胞を取り出して、その胚を死なせてしまうことは倫理的に誤った対応だ」と述べ、政府として、こうしたクローン胚作りの研究は一切認められないとする考えを示しました。
 ブッシュ政権は、クローン技術をヒトに応用する研究を禁止するためには厳格な法の枠組みが必要だとしており、議会の下院に続いて、上院も必要な法案の可決を急ぐよう働きかけを強めたいとしています。
[2001-11-27-10:57]

◆11/27 10:20 毎: <クローン>米企業によるヒトの胚作成を批判 米大統領
 毎日新聞ニュース速報

 【ワシントン斗ケ沢秀俊】ブッシュ米大統領は26日、マサチューセッツ州のバイオ企業、アドバンスト・セル・テクノロジー社がヒトのクローン胚(はい)を作成したことについて、「道徳的に間違っている」と批判した。
 大統領は会見で、「社会として、破壊するための生命を育てるべきではない」と語った。生命のもとであるクローン胚を作成し、研究後に廃棄することは、倫理に反するとの見解を示した。
 米下院議会は7月、研究目的の胚作成を含めてクローン人間づくりを全面的に禁止する法案を可決し、上院も同様の法案を審議している。
 フライシャー米大統領報道官は「大統領は今回の問題が上院の審議を促進することを期待している」と述べた。
 しかし上院は下院とは違って民主党が多数派で、医療の進展につながるヒト・クローンの研究を条件付きで認めるべきだとの意見も根強い。
2001-11-27-10:20]

◆11/27 09:51 共: クローン停止法提出へ 医学専門家には容認論も
 共同通信ニュース速報

 【ワシントン26日共同】米バイオ企業がクローン技術でヒト胚(はい)細胞をつくったことにブッシュ大統領は二十六日「悪いことだ」と強く反対した。これを受け、共和党のブラウンバック上院議員(カンザス州)は二十六日、論議の時間を得るため半年間クローンを禁止する法案を提出すると発表した。
 一方、医学専門家らは移植用臓器など治療目的のヒトクローン胚づくりは容認できるとテレビ討論番組などで支持を表明、医療と倫理をめぐる論議が広がり始めた。
 大統領はホワイトハウスで記者団に「破壊するための生命をつくるべきではない。胚細胞をクローン(研究)に使うことは悪いことだ」と述べ、クローン技術でヒトの胚細胞をつくったアドバンスト・セル・テクノロジー社を批判した。
 共和党が多数の下院は七月、研究のための胚細胞づくりも含め、クローンを全面禁止する法案(違反者は十年以下の禁固刑と百万ドル以下の罰金)を可決。上院も同様の法案を審議中だが、多数派の民主党には医療上の価値を認める議員も多く、法案の行方は不透明だ。
[2001-11-27-09:51]

 

◆2001/11/26 特定胚指針、来月5日施行=ヒトクローン禁止、動物性混合のみ容認
 時事通信ニュース速報

 政府は26日、ヒトクローン規制法に基づく特定胚(はい)の取り扱い指針を12月5日に施行することを決めた。
 この指針については、総合科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)の生命倫理専門調査会が、ブタなどの動物の胚に人間の細胞を混合する「動物性集合胚」しか作成を認めず、ヒトクローン胚などその他の特定胚の作成を禁止する案をまとめている。まだ本会議での決定、遠山敦子文部科学相への答申という手続きが済んでいないが、指針の施行期限が同法公布から1年以内の12月5日までとされていることから、先に施行日を決めた。 
[時事通信社]
[2001-11-26-12:48]

◆クローン指針は5日に施行
共同通信ニュース速報

 政府は二十六日、クローン人間禁止法に基づく研究指針を十二月五日に施行することを決めた。
 指針は、クローン人間の誕生を確実に防ぐとともに、医学的に有用な研究に実施の道を残すのが狙い。
 ヒトの細胞を動物の胚(はい)に入れる「動物性集合胚」の作成は、動物の体内で移植用臓器を生産できるようになる可能性があるとして認める一方、クローン人間づくりにつながるとの懸念が強いヒトクローン胚など、計八種類の胚の作成は禁止する。
 指針の内容は今月六日、総合科学技術会議生命倫理専門調査会が案としてまとめており、今月中に開かれる本会議で正式決定される。
(了)
[2001-11-26-17:47]

◆<クローン胚>取り扱い指針の12月5日施行を決定 政府 
 毎日新聞ニュース速報

 政府は26日、クローン規制法に基づくヒトクローン胚などの取り扱いに関する指針を12月5日に施行することを決めた。人間の細胞を動物の受精卵に入れて作る動物性集合胚の作成を認める一方で、クローン人間につながるヒトクローン胚などを禁じる内容となる。
 指針については、国の総合科学技術会議の生命倫理専門調査会がクローン関連技術を使った9種類の胚について倫理的な観点から検討し、今月初めに案をまとめている。今月末の同会議で了承される見通しだ。
 動物性集合胚は、移植用臓器を作る研究に役立つ可能性があるという理由で作成が認められた。ヒトや動物の子宮に戻すことは認められず、研究に際しては国への届け出が義務づけられる。他の胚についての研究は当面禁止される。 【松村由利子】
[2001-11-26-13:35]

◆ヒトクローンはい作り 日本は当面禁止
 NHKニュース速報

 「クローン胚(ハイ)」は、ヒトの体の細胞に含まれる遺伝情報を、核を抜き取った女性の卵子に移植して作るもので、子宮に戻すと細胞を提供したヒトとまったく同じ遺伝子を持ったクローン人間になる可能性があります。
 その一方で、特殊な条件下で培養すると、ヒトのさまざまな組織や臓器を作り出すことができるといわれていて、拒絶反応のない移植用の臓器作りや、パーキンソン病などの難病の治療法の開発といった医療への幅広い応用が可能だといわれています。
 日本では、倫理的な議論が進んでおらず、「ヒトクローン規制法」に基づいて来月初めに出される指針で、クローン胚作りを当面禁止することにしています。
[2001-11-26-11:22]

 

◆2001/11/27 米大統領、ヒトクローン胚作製に「反対」
 読売新聞ニュース速報

 【ワシントン26日=館林牧子】ブッシュ米大統領は26日午前の会見で、米バイオベンチャー企業「アドバンスト・セル・テクノロジー」社が人間のクローン胚(はい)を作製したと発表したことについて、「倫理的にまちがったことだと思う。社会はこうしたことを許容すべきでない。私は(人間のクローン胚作製に反対するとの)意見を変えないだろう」と明確に反対する姿勢を示した。
[2001-11-27-01:38]

 

◆2001/11/28 <クローン人間>バイオ倫理審議の機関創設令に署名 米大統領
 毎日新聞ニュース速報[2001-11-30-12:20]

 ヒトにかかわるクローンに強い反対を表明しているブッシュ米大統領は28日、米バイオ企業がこのほど作成に成功したヒト胚(はい)クローンなどの倫理上の問題を審議する諮問機関を創設する大統領令に署名した。
 ホワイトハウスによると、18人の委員で構成される「バイオエシックス(生命医学倫理)評議会」は、バイオ医療と生命倫理の関係についての権威として知られるシカゴ大学のレオン・カース教授が委員長を務め、ヒト胚クローンや胚性幹細胞(ES細胞)の作成の倫理上の問題を討議し、大統領に諮問する。(ワシントン共同)
[2001-11-30-12:20]

 

◆2001/11/28 人間のクローン胚作製、米で疑惑の声相次ぐ
 読売新聞ニュース速報

 【ワシントン27日=館林牧子】世界的なクローン研究で知られる米バイオベンチャー企業「アドバンスト・セル・テクノロジー」社(ACT)が、人間のクローン胚(はい)の作製に成功したと発表したことに対し、「不十分な成果」など研究の信頼性に疑問を投げかける声が相次いでいる。
 一部には同時テロの影響で遠のいた投資家を引き戻すための宣伝手段ではないか、との見方も出てきた。
 発表などによると、ACTは広告で募集した女性から有償で卵子提供を受け、まず卵子の核を除去して、別の人の皮膚の細胞核を注入した。しかし、11個の卵子すべてが育たず失敗。次に卵子の周囲についている卵丘細胞と呼ばれる細胞を注入したところ、8個のうち2個が4つに分割し、1個が6つにまで分割した。しかし、いずれもそれ以上は育たず死んでしまった。
 これに対し、米紙ワシントン・ポストは「数時間しか培養していないものが、果たして胚と呼べるのか、どこまで倫理的な論議に値するものなのか」と疑問を投げかけ、米紙ニューヨーク・タイムズは「注入した遺伝子が働かなくても、卵子は数回分割することがあり、今回の実験はクローン胚作りに成功したとは言えない」「研究は完全な失敗」などとする専門家の意見を掲載した。
[2001-11-28-14:33]

 

◆2001/11/28 <ヒト・クローン胚>取り扱いに関する指針を承認
 毎日新聞ニュース速報

 国の総合科学技術会議(議長、小泉純一郎首相)は28日、ヒト・クローン胚(はい)などの取り扱いに関する指針を正式に承認した。指針は、「特定胚」と呼ばれる9種類の胚のうち、クローン人間につながるヒト・クローン胚など8種類は作ることを禁止し、基本的に動物の胚である「動物性集合胚」だけを認めた。
 この日の会議で小泉首相は「米国でもヒト・クローン胚の作成が問題になっている。生命倫理の重要性を十分認識し、この指針にのっとって研究を進めてほしい」と話した。指針は今年6月に施行されたクローン規制法に基づくもので、来月5日に施行される。
[2001-11-28-20:05]

◆作製は動物性集合胚に限定、政府がクローン指針
 読売新聞ニュース速報

 政府の総合科学技術会議(議長・小泉首相)は28日、「クローン技術規制法」に基づいて取り扱いが検討されていたヒトクローン胚などの特定胚に関する指針を決め、遠山文科相に答申した。
 指針では、人間の細胞を動物の受精卵に入れて作る「動物性集合胚」だけは、移植用臓器を作る研究に役立つとして作製を認めた。施行は来月5日でクローン人間作りは禁止の一方、凍結されていたクローン研究が解禁される。
 特定胚を使った研究は、拒絶反応のない臓器移植への応用などに期待が高まっている一方、クローン人間の誕生や人間か動物かはっきりしない個体が誕生する危険をはらんでいる。米バイオベンチャー企業が25日にクローン技術を使ったヒト胚の作製に成功したと発表したが、ブッシュ大統領は翌26日にただちに反対の姿勢を示した。
 文部科学省は今年6月、難病研究に役立つ3種類の特定胚の作製を容認したが、同会議では、胚全体の議論が十分でないとして、作製できるのは動物性集合胚に限った。人間や動物の子宮に戻すことは禁止しているが、慎重審査を条件に、人の胚性幹(ES)細胞の使用を認めている。
 小泉首相は「人類全体にかかわる生命、倫理問題の重大さを十分理解し、答申のルールに従って研究が行われることを期待する」と語った。
[2001-11-28-21:58]

◆「ルールに従った研究を」と首相=ヒトクローン胚で指針答申−総合科技会議
 時事通信ニュース速報

 総合科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)は28日に開いた本会議で、同会議の生命倫理専門調査会がまとめたヒトクローン規制法に基づく特定胚(はい)の取り扱い指針案を了承、遠山敦子文部科学相に答申した。この結果、文科省は同指針を12月5日に施行する。
 特定胚は人間と動物の細胞や胚などを組み合わせる技術で作られる。指針では動物と人間の細胞を混合する「動物性集合胚」の作成を認め、ヒトクローン胚など、その他の特定胚の作成を禁止した。
 本会議の席上、小泉首相は「米国で問題になっているヒトクローン胚の研究は(日本では)当面禁止される。人類全体にかかわる生命、倫理の問題の重要性を十分理解して、ルールに従って研究がなされることを期待する」と述べた。 
[時事通信社]
[2001-11-28-20:16]

 

◆2001/11/29 クローン問題討議、米大統領直属の生命倫理会議が発足
 読売新聞ニュース速報

 【ワシントン28日=館林牧子】クローンや胚(はい)性幹(ES)細胞など、先端的なバイオ技術の倫理的な側面を検討する、米大統領直属の生命倫理会議が28日、発足した。ブッシュ大統領が同日、大統領令に署名した。米国ではベンチャー企業が人間のクローン胚を作製したと発表した直後。研究者が科学的な有用性を主張する一方で、倫理的な見地から疑問を投げかける声も相次ぎ、大きな論争となっているだけに、論議の行方が注目される。
 発足した会議は、米シカゴ大のレオン・カス教授を議長に、18人の専門家で構成。クローンだけでなく、人間の胚や遺伝子を使った研究、生殖補助医療、神経科学、終末期医療――など広範囲な問題について、さまざまな見地から倫理的意見を提出し、問題点を浮き彫りにさせるのが狙い。
 ブッシュ大統領は、今年8月、体の様々な細胞に変化し得るES細胞の研究に対する公的予算支出を限定的に認めた。この時、同時に生命倫理の専門家会議を作ることを表明していたが、同時テロの影響で作業が遅れていた。
[2001-11-29-14:17]

 

◆2001/11/29 京大倫理委、ES細胞で血管再生する研究計画を承認
 読売新聞ニュース速報

 京都大医の倫理委員会(赤林朗委員長)は29日、様々な臓器や組織の細胞に変化し得るヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使って血管を再生する研究計画を承認した。文部科学省が9月に告示したガイドラインを受け、ES細胞の使用研究に大学がゴーサインを出したのは信州大に続いて2例目。
 京都大学大学院医学研究科の中尾一和教授(内分泌代謝)らのグループが今年8月に申請。これまでにマウスのES細胞から、血管の内皮や壁細胞に分化できる細胞を取り出し、増殖因子を投入して血管を再生、成人マウスに移植することに成功している。
 国内では、同細胞の作製は今月、京都大で初めて計画が承認されたばかりで、国内ではまだ作製されていない。このため、今回のヒトES細胞は、オーストラリア・モナッシュ大のマーティン・ペラ教授から無償分配を受ける。この日の倫理委では、ヒト胚提供者のインフォームド・コンセントなどを審査し、文科省の指針に沿っていると認めた。文科省に承認されれば、研究がスタートする。
 外国からヒトES細胞を輸入して使用する研究は、東京大や大阪大などでも計画がある。信州大では、米ウィスコンシン大が作製したES細胞を使い心筋細胞などに分化させる研究計画が9月に承認されている。
[2001-11-29-22:15]

◆ヒトES細胞の輸入を承認 京大、年内にも国に申請
 共同通信ニュース速報

 京都大医学部の倫理委員会(赤林朗委員長)は二十九日、中尾一和医学部教授(内分泌代謝)らが申請していたヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の輸入と、この細胞を使って血管をつくる研究計画を承認した。年内にも国に申請し、承認が得られ次第、細胞を輸入、研究を始める。
 あらゆる細胞に成長する能力のあるES細胞の研究では、同じ京大で今月四日、細胞そのものを国産化する再生医科学研究所の計画が国内の研究機関で初めて承認されている。
 九月の国の指針策定で実質解禁されたES細胞研究が国産化と輸入の両分野で進むことになり、臓器や組織を修復する再生医療への応用が期待される。
 中尾教授らはこれまで、心筋梗塞(こうそく)や動脈硬化などの血管障害を修復する手掛かりを探る目的でマウスのES細胞を使って実験し、動物実験で血管の形成を確認したが、ヒトES細胞の国産化には時間がかかるため、輸入を計画した。
 計画によると、オーストラリアのモナシュ大がつくったヒトES細胞株を無償で輸入。マウスで可能だったES細胞を血管に育てる技術が、ヒトES細胞に応用できるかどうかを確かめる。
 赤林委員長は「受精卵提供者への十分な説明など、国が定めた手続きを厳守する。倫理的に問題はない」とした。今後、研究成果の特許権などについてモナシュ大と協議する。
 ES細胞の輸入は、東京大、信州大も計画している。
(了)
[2001-11-29-18:57]

◆ヒトES細胞研究を承認=豪州から輸入、血管再生−京都大
 時事通信ニュース速報

◎ヒトES細胞研究を承認=豪州から輸入、血管再生−京都大倫理委
 京都大医学部医の倫理委員会(委員長・赤林朗教授)は29日、オーストラリアから輸入したヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使い、血管を作ってネズミに移植するという中尾一和医学部教授(内分泌代謝)らの研究グループの計画を承認した。国のヒトES細胞研究指針に基づいて計画が承認されたのは初めて。
[時事通信社]
[2001-11-29-18:53]

◆11/29 18:24 NH: 海外提供のES細胞で血管 京大倫理委が研究を承認
 NHKニュース速報

 受精卵からつくられる特殊な細胞で、さまざまな臓器や組織を人工的につくり出せるといわれているヒトの「ES細胞」を海外から提供してもらい血管を作る研究について、京都大学の倫理委員会はきょう条件付きで承認しました。
 この研究は、京都大学医学部の中尾一和(ナカオカズワ)教授などの研究グループが申請していました。
 グループでは「ES細胞」をオーストラリアの大学から提供してもらって培養し、試験管の中で血管をつくり出して心筋こうそくや脳こうそくなど血管が原因の病気の治療に役立てたいとしています。
 これについて京都大学医学部の倫理委員会はきょう開いた会合で、今年九月にまとまった国の指針に大筋で沿った内容になっているとしたうえでES細胞を提供する施設との契約内容をより明確にすることなどを条件に承認しました。
 京都大学ではヒトの受精卵からES細胞をつくり出す京都大学の別のグループの研究について、今月初め国内で初めて承認していますが、実際に研究で使用できるまでには一年程度かかる見通しです。
 このため中尾教授らのグループでは海外から提供してもらったES細胞を使うことにしたということで、こうした研究は、すでに信州大学でも承認されています。
[2001-11-29-18:24]

 cf.赤林朗

 

◆2001/11/29 国のES研究審査は非公開 知的所有権の保護など重視
 共同通信ニュース速報

 人体のあらゆる臓器や組織に成長できるヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究の妥当性を国の立場から審査する、科学技術・学術審議会の専門委員会(主査・豊島久真男住友病院長)は二十七日、東京都内で初会合を開き、審査は非公開で行うことを決めた。
 研究者の知的所有権の保護や、研究に協力する個別の病院名が公表される不都合などに配慮した結果という。ES細胞は生命の始まりである受精卵からつくられるため、社会の理解を得ながら研究を進めるのが不可欠だが、決定は研究者側の立場をより重視した判断といえそうだ。
 初会合では、議事録は一定の時間をおき概要のみ公表することや、報道機関に対しては会合の終了後に事務局が内容を簡単に説明することなどが決まった。
 審査を非公開とすることに対し、複数の委員から、公表する議事概要の内容を充実させることなどを求める意見が出た。
 ES細胞をめぐっては、京都大再生医科学研究所の倫理委員会がヒトの凍結受精卵からES細胞をつくる研究を承認しており、近く国に審査を申請する予定。
(了)
[2001-11-27-18:29]

 

◆2001/12/01 ヒトES細胞から脳神経作成=マウスへの移植で成功−米ウィスコンシン大など
 時事通信ニュース速報

 人間の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)をマウスの脳に移植し、神経などの脳細胞に分化させることに、米ウィスコンシン大とイスラエルのハダッサ大付属病院の研究グループがそれぞれ成功し、1日発行の米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジーの12月号で発表した。人間に臨床応用できるようになるには、技術の進歩や安全性の確保のほか、生命倫理上の問題がないとの社会的なコンセンサスが必要だが、交通事故などによる脳の損傷や、パーキンソン病など脳神経機能が失われる難病の有効な治療法と期待される。
[時事通信社]
[2001-12-01-06:05]


◆2001/12/01 <ヒトES細胞>「脳細胞移植」研究促進に期待
 毎日新聞ニュース速報

 ES細胞は、受精卵が分割を始めて間もない、初期の胚(はい)から取り出した細胞だ。さまざまな条件を与えて培養することで、狙った細胞や臓器を作り出すことが可能になるといわれ、再生医学分野の柱として期待される。98年に米ウィスコンシン大がヒトのES細胞づくりに世界で初めて成功し、各国の競争が始まった。
 これまでに、イスラエルのグループが、ヒトES細胞から、初期の心筋細胞を作り出すことに成功。ウィスコンシン大も白血球や赤血球の培養に成功している。
 今回の成果は、移植可能な脳細胞を無尽蔵に供給できる可能性を秘める。パーキンソン病やアルツハイマー病など、脳細胞の異常が引き起こす病気の治療法として注目される「脳細胞移植」は、材料となる脳細胞の不足で、思うように進まない現状があったが、研究の進展によっては普及が期待できる。
 日本では、今年9月、国が「臨床応用は当面禁止する」との条件付きでヒトES細胞の作成と使用を認めた。現在、ヒトES細胞の「国産化」を目指している段階。信州大などが外国からの輸入を計画しているほか、京都大再生医科学研究所は11月、ES細胞の作成を学内の倫理委員会が承認しており、先行する米国などを追う形でES細胞研究が本格始動する。【元村有希子】
[2001-12-01-13:05]

 

◆2001/12/04 難病治療に有効と米社 クローン胚、議会で論戦
 共同通信ニュース速報

 【ワシントン4日共同】世界で初めて、ヒト体細胞クローン胚(はい)をつくった米アドバンスト・セル・テクノロジー社の最高経営責任者、マイケル・ウェスト博士は四日、米上院小委員会での公聴会で「クローン胚を基に、拒絶反応のない組織や臓器をつくるこ
とが間もなく可能になる」と、難病治療のためのヒトクローン研究の重要性を強調した。
 公聴会には、クローン研究の禁止を求めている米共和党のブラウンバック上院議員(カンザス州)も出席、論戦を交わした。
 ウェスト博士は「今後六カ月の間に、クローン胚から、(さまざまな組織に分化する能力を持ち、万能細胞と呼ばれる)胚性幹細胞(ES細胞)をつくり、心筋や神経細胞にまで分化させることが可能だ」と主張。移植用の臓器や組織をつくれば「死亡する多くの人の命を救うことができる」と、議会側に研究の規制を行わないよう求めた。
 一方、ブラウンバック議員は「人間がつくった胚も、神がつくった胚も同じ生命で、クローン研究は多くの倫理的な問題をはらんでいる」と、倫理問題などの議論が決着するまで、すべてのヒトクローン研究を禁止することを求めた。
 ブッシュ大統領はクローン胚研究に反対の姿勢を表明。米下院は八月、クローン人間づくりだけでなく、病気治療の研究目的のためのクローン胚づくりも禁止する法案を可決した。上院も同様の法案を審議中だが、多数派の民主党は、同社がクローン胚作成を発表した直後に、議論を年明けの会期に先送りする方針を表明している。
(了)
[2001-12-05-09:45]

 

◆2001/12/15 ES細胞研究へ受精卵提供を承認…日本産婦人科学会
 読売新聞ニュース速報

 日本産科婦人科学会(荒木勤会長)は15日、東京都内で理事会を開き、様々な組織や臓器の細胞に変化する能力を持つ「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)」の作製に、受精卵を利用できるようガイドライン(会告)を見直すことを決めた。
 ES細胞研究を巡っては、今年9月に国が指針を定めているが、ES細胞作りに不可欠な受精卵の提供を同学会が認めたことで、研究体制がすべて整うことになる。同学会は来年1月にも改定した会告を運用したいとしている。
 不妊治療で不要となった体外受精卵の研究利用について、同学会は1985年に出した会告で、「生殖医学の発展」と「不妊症の診断」にかかわる研究だけに限っていた。
 ところが近年、受精卵から作るES細胞を、心臓や神経の細胞に変化させて移植する再生医療研究が米国などで活発化。国内でも、こうした分野での受精卵の利用を求める声が高まっていた。
 子宮に戻せば子供に成長する受精卵を研究に使うには、倫理面を含め慎重な扱いが必要なため、同学会は、受精卵の提供機関に対し研究計画の報告を求め、不適切な利用への対応も今後検討していく。
 ES細胞研究では、すでに京都大の倫理委員会が、ES細胞を作り出す研究計画を国の指針に基づき承認。海外で作られたES細胞を使った研究は、信州大がすでに学内審査を終え国に申請しているほか、京都大や東京大なども準備を進めている。
[2001-12-15-20:54]

◆2001/12/15 ES研究への胚提供承認=「代理出産は認めず」と外部審議会−日産婦
 時事通信ニュース速報

 日本産科婦人科学会(荒木勤会長)は15日、東京都内で理事会を開き、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)作成のための受精卵使用を認める会告改正案を承認した。早ければ来年1月にも会員に通知され、これにより、再生医療に用いるES細胞の国産化が実質的にスタートする。
 ES細胞は、受精卵が分割した初期の胚からつくる特殊な細胞で、さまざまな細胞や組織に分化する可能性を持つ。これまで受精卵の利用は、不妊研究など生殖医療に目的が限られていた。京都大の研究グループが11月、学内の倫理委員会で国内初のES細胞作成計画の承認を受けた。
 また、この日の理事会では、外部有識者による倫理審議会から、代理出産に関する答申を受けた。答申は(1)妊娠・出産に伴う危険を第三者に引き受けさせることになる(2)生まれてくる子の福祉に反する−などの理由から、「認めるべきではない」とした。
[時事通信社]
[2001-12-15-19:16]

 

◆2001/12/20 クローン人間づくりを5年間禁止へ=ロシア
 時事通信ニュース速報

 【モスクワ20日時事】ロシア下院は20日の本会議で、クローン人間づくりを5年間禁止するとした政府提出の法案を圧倒的賛成多数で基本採択した。ロシアでクローン技術に関連した法案が採択されたのは初めて。まだ下院での審議は続くが、本採択、議会通過は確実とみられる。
 法案は、今後5年間にわたってクローン技術の進展状況を見極め、クローン人間づくりに対する道徳的、社会的、倫理的評価の推移を検討した上で、禁止措置の解除または継続を改めて決定するとしている。 
[時事通信社]
[2001-12-21-00:17]

 

◆2001/12/27 京大が「万能細胞」作り申請
 読売新聞ニュース速報

 京都大再生医科学研究所(京都市左京区)は27日、人間の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を作製する国内初の研究計画を文部科学省に申請した。来年2月から同省の専門委員会で審議を開始し、文部科学大臣の承認が得られれば、国産ES細胞の作製が始まる。
 同研究所の中辻憲夫教授らが作製を計画。受精卵から作るため、研究所の倫理委員会が胚の取り扱い、受精卵を提供するカップルへの説明方法などを審議し、11月に計画を了承した。
[2001-12-27-22:04]

◆<ES細胞>国産化計画を文部科学省に申請 国内初 京都大
 毎日新聞ニュース速報

 京都大再生医科学研究所(京都市左京区)は27日、ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を作成する研究計画を文部科学省に申請した。ES細胞をめぐっては、信州大医学部の研究グループが米国からの輸入細胞株を使った人工臓器などの開発研究を同省に申請しているが、国産化に向けての作成研究申請は国内初。同省の科学技術・学術審議会の専門委員会で審議される。
 人間の受精卵から作成されるES細胞は、体のあらゆる組識や臓器に分化できる可能性を持っていることから「万能細胞」と呼ばれ、移植治療のほか、脊髄(せきずい)損傷やパーキンソン病など難病治療の切り札として期待されている。既に米国やスウェーデン、インドなどで作成されており、心筋細胞などが出来たという報告もある。
 同研究所の中辻憲夫教授らの計画を、学識経験者らでつくる研究所内の倫理委員会が11月に承認。不妊治療で廃棄された凍結受精卵を提供してくれる二つの大学病院などの倫理委の承認を経て今回、申請した。中辻教授は「承認後は来年中にも国内研究機関へ分配できるよう研究を進めたい」と話している。 【高田房二郎】
[2001-12-27-19:45]

◆ヒトES細胞研究で国に計画書提出 京大再生医科学研
 NHKニュース速報

 受精卵から作られる特殊な細胞で、さまざまな臓器や組織を人工的に作り出せるといわれている「ES細胞」を国内で初めてヒトの受精卵から作る研究について、京都大学の再生医科学研究所はきょう計画書を国に提出しました。
 「ES細胞」は受精卵から作られる特殊な細胞で、さまざまな臓器や組織を作り出せるといわれ、臓器の移植や難病の治療への応用が期待されていて、中辻憲夫(ナカツジノリオ)教授らを中心とする京都大学の研究グループがヒトの受精卵から作る研究を計画しています。
 しかし、ヒトの受精卵を使った研究については生命の始まりにかかわる倫理的な問題をはらんでいることから、国内では、今年九月にまとまった国の指針で大学の倫理委員会の承認を受けたあと、国に研究の計画書を提出することなどが義務付けられています。
 計画書の提出を受けて文部科学省は専門の委員会を開いて内容を審査することにしていますが、認められれば、国内で初めてヒトの受精卵からES細胞を作り出す研究が始まることになります。
[2001-12-27-17:23]


REV:......20030106,0216,24, 20160526
生殖技術  ◇臓器移植 (organ transplantation)  ◇生命倫理[学]   ◇ヒト細胞・組織/ES細胞/クローン… 
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