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犯罪/刑罰・文献 法学


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last update: 20160526


 作成:大谷通高*(立命館大学大学院先端総合学術研究科・2005入学)
 *http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/g/om03.htm


団藤重光 1949 「刑事責任の本質」、『法哲学四季報』2、朝倉書店
◇西村克彦 『刑罰の心理』1956年、酒井書店
◇青柳 文雄 1957 「カトリックの刑罰観」,『法学研究』30-2 →青柳文雄[1972:158-180]
◇青柳 文雄 1957 『犯罪と証明』,有斐閣
◇木村亀二 『法律学全集40 刑法総論』1959年、有斐閣
◇法制史学会編 『刑罰と国家権力』1960年、創文社
◇日本刑法学会編集 『刑法講座1 犯罪一般と刑罰』1963年、有斐閣
◇小川太郎編 『矯正論集』1968年、矯正協会
団藤重光・平場安治・平野龍一・宮内祐・中山研一・井戸田侃 『佐伯千仭博士還暦祝賀 刑罰と犯罪(上・下)』1968年、有斐閣
◇沢登 桂人 1976 『刑事法における人間の虚像と実像』,大成出版社 ◇安部純二編 『刑法〔総論〕』1980年、同文館出版
◇矢崎光圀編 『現代の法哲学』1981年、有斐閣
◇石原一彦・佐々木史郎・西原春夫・松尾浩也編 『現代刑罰大系 第七巻 犯罪者の社会復帰』1982、日本評論社
◇町野 朔 1983 「犯罪論と刑罰論」 長尾・田中 (編) [1983:133-157]
◇石原一彦・佐々木史郎・西原春夫・松尾浩也編 『現代刑罰大系 第一巻 現代社会における刑罰の理論』1984年、日本評論社
◇平井宣雄 『岩波基本法学5−責任』1984年、岩波書店
◇瀧川政次郎 『日本法制史(上)・(下)』1985年、講談社
◇芝原邦爾・堀内捷三・町野朔・西田典之 『刑法理論の現代的展開――総論T』1987年、日本評論社
◇中谷 瑾子 編 198710 『女性犯罪』,立花書房,351p. 4000 千葉社3656共通 ◇藤木英雄他 『法律学小事典(増補版)』1988年、有斐閣
◇竹内昭夫・松尾浩也・塩野宏編 『法律学小事典 第三版』1989年、有斐閣
◇青柳 文雄・安富 潔 編 198906 『刑事裁判と国民性――医療編』,信山社出版,232p. 7674 
◇ハンス・ケルゼン/尾吹善人訳 『法と国家の一般理論』1991年、木鐸社
◇伊東研祐 『刑事法学の総合的検討(上)』1993年、有斐閣
◇田中成明 『法的空間――強制と合意の狭間で――』1993年、東京大学出版会
◇渥見東洋 『罪と罰を考える』1993年、有斐閣
◇西川洋一・新田一郎・水林彪 『罪と罰の法文化史』1995年、東京大学出版会
◇田中成明 『現代社会と裁判』1996年、弘文堂
◇来栖三郎 『フィクションとしての法』1999年、東京大学出版会
◇小泉輝三郎著・磔川全次校訂 『明治黎明期の犯罪と刑罰』2000年、批評社
◇大野真義 『刑法の機能と限界』2002年、世界思想社
◇生田勝義・上田寛・名和?朗・内田博文 『刑法各論講義 第三版』2003年、有斐閣ブックス
◇三井誠・酒巻匡 『入門 刑事訴訟法 第三版』2004年、有斐閣
◇長尾龍一・田中成明編 『現代法哲学第3巻 実定法の基礎理論』

◇山口 幸博 20010510 『「精神障害者の犯罪」を考える――精神障害者の触法問題諸論』,鳥影社,259p. 1800

 
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■古典学派(あるいは旧派)(前期古典学派/後期古典学派)/近代学派(あるいは新派)
  法学史では、刑法論は大きく2つ、あるいは3つの学派に分けることができるとされる。すなわち、古典学派(あるいは旧派)――これは前期古典学派・後期古典学派に分けられることがある――と近代学派(あるいは新派)である。ここでは3つの区分をとることにする。(10)
  前期古典学派の刑法理論は18世紀後半から19世紀初頭にかけて形成され、その源流はアンシャン・レジームの刑法制度に対する強い批判として展開された啓蒙主義思想にあるとされる。代表的な論者としてはC. Beccaria(1738-1774)、A.v. Feurbach(1775-1833)があげられる。彼らは「刑罰権の根拠と限界を社会契約によって基礎づけることができることから出発して、罪刑法定主義、罪刑均衡主義、苛酷な刑罰の廃止、合理的・目的論的刑罰観を採用した」(内藤謙[1979:122])。また彼らは、犯罪による利得と刑罰による損失を比較考量できる合理主義的な人間観に基づき、刑罰の機能を一般予防、すなわち刑罰の存在によって社会の成員に犯罪を思いとどまらせることに求めた。
  「前期・古典学派の刑法理論は、とくにドイツにおいて、1840年以後、[…]後期・古典学派の刑法理論へと変容を示しはじめる。注目に値するのは、形而上学的な応報思想が強調されるようになったことである。そこには、啓蒙思想の合理的個人主義に対して超個人的民族精神の本源性・創造性を強調したロマン主義、法を民族精神の所産とみてその歴史的研究を重視した歴史法学派、ことに形而上学的自由意志論を基礎に絶対的応報刑論を主張したカント、ヘーゲルの観念論哲学があったといえよう」(内藤[同:124-125])。後期古典学派は1870年代、近代学派との理論的対立の過程で確立される。K. Binding(1841-1920)、K. v.Birkmeyer(1847-1920)、E. Beling(1866-1932)らが代表者であり、彼らの理論内容は一様ではないものの、「形而上学的な自由意志の存在を肯定し、自由意志によって犯罪行為をなしたことについて道義的責任を認め、その道義的責任のある犯罪行為に対する応報として刑罰を加えるとする点では、ほぼ一致していた」(内藤[同:120])。
  近代学派は、「19世紀後半、資本主義の発達がもたらした社会変動にともなう犯罪の激増、ことに累犯や少年犯罪の増加に対する対策として、後期・古典学派が犯罪と刑罰を法律現象としてみるだけで応報刑を主張するのは無策であるとして批判して生まれた」([同:120])。代表的な論者としてC. Rombroso(1836-1909)、E. Ferry(1856-1909)、F. v.List(1851-1919)があげられる。彼らは犯罪を生理学的要因(特にRombroso)・社会的要因によって生起するものと考え(11)、――自由意志が否定される――刑罰を社会のための防衛手段として考える。排除・隔離とともに、犯罪者の改善、社会復帰のための刑(特別予防主義)を主張する。
 「後期・古典学派は形而上学的な自由意志を前提とする応報刑論を中核として、応報としての刑罰が法秩序の維持機能ないし一般予防機能を果すとし、犯罪理論においては個々の犯罪行為とその結果を重視する点で客観主義をとった[…]。これに対して、近代学派は、形而上学的な自由意志を否定する立場から、教育刑ないし社会復帰刑を中心とする刑罰の特別予防機能を強調し、犯罪理論においては行為者の危険性、反社会的性格を問題とする意味で主観主義と結びつく可能性をもっていた。」(内藤[同:134])

 *立岩作成の文書(1985)より

 
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UP:20050730 REV: 20160526
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