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障害受容



田島明子 「障害受容」
 http://www5.ocn.ne.jp/~tjmkk/syougaizyuyou.htm

◆上田 敏 1980 「障害の受容――その本質と諸段階について」,『総合リハビリテーション』8-7
 この文献の紹介 by 田島明子
 http://www5.ocn.ne.jp/~tjmkk/hon004.htm

 「障害の受容とはあきらめでも居直りでもなく、障害に対する価値観(感)の転換であり、障害をもつことが自己の全体としての人間的価値を低下させるものではないことの認識と体得を通じて、恥の意識や劣等感を克服し、積極的な生活態度に転ずること」(上田[1980])
 「障害が不便であり制約的なもの(inconveniencing and limiing)として認識しており、それを改善するための努力も続けているが、今や障害が自分の人間としての価値を低めるものではない(nondevaluating)」(上田[1980])

◆上田 敏 19830615 『リハビリテーションを考える――障害者の全人間的復権』,青木書店,障害者問題双書,327p. ISBN-10: 4250830187 ISBN-13: 978-4250830181 2000 [amazon][kinokuniya] ※ r02.

 第3章 障害者の心の世界 
 四 障害の受容――その本質と初段階について
 1 障害の受容とはなにか  (1) 「あきらめ」とはどう違うか
 (2) 「いなおり」とはどう違うか
 (3) 受容の本質としての価値の転換
 「ここで、以上の各種の議論を参考にしつつ筆者自身の定義をのべておこう。すなわち、障害の受容とはあきらめでも居直りでもなく、障害に対する価値観(感)の転換であり、障害をもつことが自己の全体としての人間的価値を低下させるものではないことの認識と体得を通じて、恥の意識や劣等感を克服し、積極的な生活態度に転ずることである、というのが筆者の定義である。」(上田[1980:209])

◆上田 敏 19940830 『目でみるリハビリテーション医学 第2版』,東京大学出版会,111p. ISBN-10: 4130624024 ISBN-13: 978-4130624022 3990 [amazon][kinokuniya] ※ r02.

 「障害のある人々の多くは「自分は家族の足手まといで、社会の厄介者で、生きる資格のない人間だ」と自分を責め、あるいは「そうなるのではないか」と不安と恐怖をいだく。しかし実はこれが「障害者」に対する本人自身の偏見の産物にほかならないことは先に述べた通りである。しかし人間は強いもので、このどん底からも立ち直り、立ち上がってくる人が決して少なくない。これを援助することがリハビリテーションの重要な第4のアプローチ(前ページ参照)である。これを障害の受容と呼ぶ。これはよく「あきらめ」とまちがわれるが、実は正反対で、現実から目をそらさず、直視することができるようになることであり、障害の心理的克服に他ならない。その本質は障害についての価値観の転換である。他人との比較でしか意味のない(相対)的価値観から脱却して人間の様々なありかた(存在)そのものに価値を見出す存在(絶対)的価値観に到達することである。
 障害の受容を促進するのに必要なのは直接的な心理的働きかけだけではない。むしろ客観的QOLの向上と周囲の人々(家族・専門家・社会)が障害のある人を受容する(尊重し尊敬する)ことが重要である。逆に本人による受容(立ち直り)は周囲の人々の障害に対する偏見からの脱却を大きく促進する。」(上田[1994:5])

◆上田 敏 19960420 『リハビリテーション』,講談社,ブルーバックス,244p. ISBN-10: 406257117X ISBN-13: 978-4062571173 900 [amazon][kinokuniya] ※ r02.

第8章 心の立ち直り―障害とともに強く生きる
 1 障害をもつことによる心の悩みの本質
  一面的な価値観が原因
  障害は人間のごく一部で、多くのプラス面が残されている
 「しかし、障害をもったとしても、障害というものは、その人の全体の中のごく一部にすぎない。その人自身の価値(存在価値)は、まったくそこなわれていない。それなのに、障害によって失ったものにだけ目を向けてしまうのは偏った価値観に支配されているからである。
 そのような状態から立ち直るということは、結局、価値観を転換するということが基本になる。単に、弱い気持ちを強い気持ちにするということではない。これまでの人生観そのものを根本から変えるわけであるから、これが実は、一番難しいことなのかもしれない。
 身体的能力と知能、収入という社会に支配的な物差しで人間を見るというのは、一人一人の人間を、さまざまな価値をもつ存在と見ないで、ひどく単純化して表面だけを見ることと同じである。ということは、自分をも単純化して表面しか見ていなかったことになる。
 自分をもっと多面的・総合的に見ることができれば、自分の価値も決して全部がそこなわれたわけではないことに気がつく。それは同時に、ほかの人に対しても、そのような多元的な見方ができる価値観に転換することでもある。
 このようなことが達成できた状態を「障害の受容」と呼んでいる。受容というのは、決してあきらめでもないし、居直りでもない。屈辱感や劣等感をもたずに、自分がおかれている障害の現実を正しく認識して、それに冷静に対処できるようになることなのである。障害はあっても、それによって自分の人間としての存在価値が、根本的にそこなわれたのではないと心から納得できることが、この障害の受容を支えているのである。」(上田[1996:182-183])

 2 障害の受容へのプロセス

◆南雲 直二 19981031 『障害受容―意味論からの問い』,荘道社,179p.ISBN:4915878163 ISBN-13:978-4915878169 1575 [amazon] aod

◆上農 正剛 20031020 『たったひとりのクレオール――聴覚障害児教育における言語論と障害認識』,ポット出版,505p. ISBN-10:4939015556 ISBN-13: 978-4939015557 \2835 [amazon][kinokuniya] ※ c02

◆立岩 真也 20031225 「『たったひとりのクレオール』」(医療と社会ブックガイド・33)『看護教育』44

 「聴覚障害者に限らず、障害受容という言葉にむっとくる障害者はとても多いのだが、そのことも知らない人もまた多い。あるいは、こうした否定こそ障害が受容できていないことだと言ってしまう。そう言われる相手は、そのように言いくるめられてしまう言葉としてのこの言葉が不快であるというのに、である。
 著者はこの言葉が機能するメカニズム、言われる当人が納得できない理由を第8章「障害「受容」から障害「認識」へ」で解析する――この章は『紀要』の論文がもとになっている。さらに、一方で「障害受容」を言いながら、他方で聴覚口話法を教えることがダブル・バインドを引き起こすことを述べている。病者や障害者に関わる仕事をしているなら、そんなことを毎日しているかも、と思わない人は少ないはずだ。
 そのことを確認した上で著者は、「障害認識」を対置させる。つまり先に私が述べた、「結局たくさん勉強しろってことかい」という疑問に「障害を受容しなさい(それに関わる不利についてはがまんしなさい)」というのでない障害の捉え方、認識をもつことが必要なのだと答える。その中味は本に書いてある。私は基本的にそれに異論がない。「認識すれば(認識を変えれば)それでよいのか」と言う人もいるかもしれないが、それに対しては「そんなことは誰も言っていない」とまず答えられる。その上で、見方を変えることの大切さはそれはそれとして確実にあると言えるはずだ。たださらにその上でなお考えることがあると思う。こうしてこの本は現に存在する(があまり詰められることのない)課題を私たちに示していく。」

◆2005 http://www.arsvi.com/0r/2005jsds.htm#115

◆田島 明子 200601 「障害受容――リハビリテーションにおける使用法」,立命館大学大学院先端総合学術研究科 2005年度博士予備論文
 http://www5.ocn.ne.jp/~tjmkk/yobironbun.htm

◆田島 明子 200608 『障害受容――リハビリテーションにおける使用法』 ,<分配と支援の未来>刊行委員会 2006年8月

◆田島 明子 200610 「リハビリテーション臨床における「障害受容」の使用法――臨床作業療法士へのインタビュー調査の結果と考察」,『年報筑波社会学(第二期)』創刊号:78-100

◆田島 明子 200600 「リハビリテーション領域における障害受容に関する言説・研究の概括」,『障害学研究』2:207-233

青木 慎太朗 20081110 「なぜ障害受容は中途障害に限定されるのか?」,『リハビリナース』1-6:40-44(特集:障害は“受容”できるか?)
 http://challenged.sakura.ne.jp/aoki/genko/20081110.html

◆田島 明子 20070331 「社会受容論考――「元の身体に戻りたい」と思う要因についての検討をめぐる「社会受容」概念についての一考察」『Core Ethics』3:261-276 [PDF]

◆田島 明子 20070331 「「障害受容」は一度したら不変か――視覚障害男性のライフストーリーから考える」『Core Ethics』3:409−420 [PDF]

◆立山 尚 200709 「精神障害の受容(理解)の事例の一考察」, 障害学会第4回大会 20070916-17 於:立命館大学

◆韓 星民 2007/11/20 「情報支援技術開発における技術者の『障害受容』」
 科学技術社会論学会第6回年次研究大会 ワークショップ〈病気や障害をもつ身体を介した技術知と生の技法〉 於:東京工業大学

◆田島 明子 20090625 『障害受容再考――「障害受容」から「障害との自由」へ』,三輪書店,212p. ISBN-10: 4895903389 ISBN-13: 978-4895903387 1890 [amazon][kinokuniya] ※

◆立岩 真也 2010/12/01 「社会派の行き先・2――連載 61」,『現代思想』38-(2010-12): 資料


UP:20101113 REV:20101114
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