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アナリティカル・マルキシズム analytical marxism


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■人

Cohen, G. A.
Roemer, John E.

■本

Roemer, John E. ed. 1986 Analytical Marxism Cambridge University Press [品切]

◆Roemer, John E. 1994 A Future for Socialism Harvard University Press=19970225 伊藤 誠 訳 『これからの社会主義――市場社会主義の可能性』 青木書店,206+8p. 2400 ※

◆Roemer, John E. 1996 Theories of Distributive Justice Harvard University Press=20010320 木谷 忍・川本 隆史 訳 『分配的正義の理論――経済学と倫理学の対話』 木鐸社,388p. 4000 ※

◆高増 明・松井 暁 編 19990630 『アナリティカル・マルキシズム』,ナカニシヤ出版,244p. ISBN-10: 4888485054 ISBN-13: 978-4888485050 2600 [amazon][kinokuniya]

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内容(「BOOK」データベースより)
近代経済学や数学、論理学、ゲーム理論などの最新の成果を導入してマルクス主義の再構築を図り、新しい時代の社会理論を見通す。
内容(「MARC」データベースより)
1970年代末から新世代のマルクス主義者によって形成されてきたアナリティカル・マルキシズムの理論に則り、論理学、数学、主流派経済学などの最新の成果を導入して、新しい時代の社会理論を構築する。

■目次

高増 明 19990630 「アナリティカル・マルキシズムの全体像」
 高増・松井編[1999:003-022]
高増 明 19990630 「アナリティカル・マルキシズムの方法論」
 高増・松井編[1999:023-044]
高増 明 19990630 「歴史発展と社会進化:コーエン」
 高増・松井編[1999:045-065]
吉原 直毅 19990630 「搾取と階級の一般理論」
 高増・松井編[1999:066-085]
橋本 健二 19990630 「現代資本主義の階級構造:エリック・オリン・ライトとその周辺」
 高増・松井編[1999:086-109]
松井 暁 19990630 「国家の戦略的分析:プシェヴォスキの政治経済学」
 高増・松井編[1999:110-130]
松井 暁 19990630 「社会システムの倫理学:所有・福祉・平等」
 高増・松井編[1999:131-151]
吉原 直毅 19990630 「分配的正義の理論への数理経済学的アプローチ」
 高増・松井編[1999:152-175]
佐藤 隆 19990630 「市場社会主義の青写真」
 高増・松井編[1999:176-199]
松井 暁 19990630 「アナリティカル・マルキシズムとは何か」
 高増・松井編[1999:200-219]

◆松井 暁 20000320 「社会主義――基本理念からの再構築にむけて」
 有賀・伊藤・松井編[2000:105-125]*

◆Cohen, Gerald Allan 2000 If you're an Egalitarian, How Come you're So Rich?, Harvard University Press, 233p. ※ amazon=20061031 渡辺 雅男・佐山 圭司 訳,『あなたが平等主義者なら、どうしてそんなにお金持ちなのですか』,こぶし書房,409p. ISBN-10: 4875592116 ISBN-13: 978-4875592112 [amazon][kinokuniya] ※

 

 「……分析的マルクス主義派のR・アーヌソンが、資源の平等に対して、選好形成には本人の責任を越える社会的要因が関わっており、選好も保障の対象に含めねばならないと批判し、自らは「効用の機会の平等」を提唱している。効用の機会の平等とは、誰もが複数の選択肢からなる決定樹について、選択の期待値が等しいという意味での等価な決定樹に直面している事態である。コーエンは、アーヌソンによる選好形成の社会的要因の指摘を高く評価しつつも、自らは「利益(advantage)へのアクセスの平等」を唱えている。効用や資源ではなく利益とされるのは、それが効用と資源の対象領域を包括しているからである。また機会ではなく(p.113)アクセスとされるのは、機会はもっているが能力が欠如している場合を、機会の平等では扱えないからである。現実的になにかをもっていることがアクセスである。」(松井[2000:113-114])
 「コーエンが「機会」よりも「アクセス」を好む点に移ろう。私の見る限りでは、これは意味論上のもので、あまり本質的な違いではない。……アーヌソンの「機会」は実際にはコーエンの「アクセス」に等しく、この点では両者の不一致は存在しない。
 ……コーエンは厚生から優位へと対象を広げるべきだとする主張を証明ぬきで述べているだけであると結論づけたい。」(Roemer[1996=2001:316])
 「コーエンは……「遡ってその人の選択に帰することができず、かつその人が避けたいとする場合に限って不利益を補償する」というものである。残念ながら、この修正は行き過ぎている。というのは、これは飼い慣らされた主婦の状況を救済するなと社会に命じているから。」(Roemer[1996=2001:317])

 「アーヌソンの「厚生に対する機会の平等」論を踏まえて明示化されたのが、以下のような責任的補償原理である。すなわち、平等主義的正義論の目標は、帰結に及ぼす要因を、個人の統制できる、したがってその帰結に対して個人が責任を負うべき要因と、個人の統制を超えた、したがってその帰結に対して個人が責任を負う必要のない要因に区別し、後者に起因する機会の「不足」のみを社会的に補償することである。」(吉原[1999:170])

■言及

◆立岩 真也 2001/11/05 「自由の平等・4」 『思想』930(2001-11) *資料


REV: 20100525
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