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ALS・2010年10月〜12月の報道等

ALS 2010 (English)
ALS

last update:20100227


 *以下、寄せられた情報を掲載。webmaster@arsvi.comまで情報をいただければ掲載いたします。

  ◆ALS・2010
 
新聞記事見出し
◆2010/10/01 「稲刈り:大潟村農協・初代組合長、難病の松本さん 米作り、変わらぬ情熱 /秋田」
 『毎日新聞』2010-10-01
http://mainichi.jp/area/akita/news/20101001ddlk05040003000c.html
◆2010/10/02 「iPS細胞「10年内に臨床研究を」 山中教授が講演」
 『日本経済新聞』2010-10-02
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E2E0E2E1E38DE2E0E3E2E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2
◆2010/10/03 「山中教授講演、iPS臨床研究、「10年以内に開始」」
 『日本経済新聞』2010-10-03
◆2010/10/04 「【いきいき】日本ALS協会理事・川口有美子さん 死の議論の前に介護を思え」
 『MSN産経ニュース』2010-10-04
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/101004/wlf1010040809000-n1.htm
◆2010/10/06 「ブックウオッチング:新刊 『命尽くるとも 「古代の心」で…』=篠沢秀夫・著」
 『毎日新聞』2010-10-06
◆2010/10/07 「記録映画に共感の輪 難病ALS・三鷹の塚田さん スイスの映画祭で特別賞 /東京都」
 『朝日新聞』2010-10-07
◆2010/10/08 「えひめリポート:中谷・ALS協会県支部長“情報難民”防ぎたい/愛媛」
 『毎日新聞』2010-10-08
◆2010/10/08 「ケアのかたち 医療のちから:3 便のサイン、見逃さぬ ペア介助で質向上」
 『朝日新聞』2010-10-08
◆2010/10/10 「希少糖:知って 肥満・動脈硬化・難病にも効果 研究者が講演――観音寺/香川」
 『毎日新聞』2010-10-10
◆2010/10/13 「シンポジウム:ALS患者ら、介護行政の遅れ指摘――在宅生活支援のNPO/千葉」
 『毎日新聞』2010-10-13
◆2010/10/16 「[ふしぎ科学館]脳波を調べ 診断・介護」
 『読売新聞』2010-10-16
◆2010/10/17 「完全な人間を目指さなくてもよい理由 [著]マイケル・サンデル」
 『毎日新聞』2010-10-17
http://book.asahi.com/business/TKY201010190263.html
◆2010/10/21 「ALS:療養環境改善要望に県回答 協会県支部に /島根」
 『毎日新聞』2010-10-21
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20101021ddlk32040549000c.html
◆2010/10/24 「ALS患者らが支援呼びかける 宮崎の街頭で /宮崎県」
 『朝日新聞』2010-10-24
◆2010/10/24 「ALS患者ら窮状訴え 宮崎で街頭キャンペーン=宮崎」
 『読売新聞』2010-10-24
◆2010/10/25 「演劇:33の変奏曲(ル・テアトル銀座) ベートーベンの本質に迫る」
 『朝日新聞』2010-10-25
http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20101025dde012200068000c.html
◆2010/10/26 「[ALS・選択のいま](上)家族を思い「延命しない」(連載)=青森」
 『読売新聞』2010-10-26
◆2010/10/27 「野村進さんが選ぶノンフィクション10冊「重いからこそ、おもしろいっ」」
 『朝日新聞』2010-10-27
http://book.asahi.com/special/TKY201010280387.html
◆2010/10/27 「医学書院刊行本、相次ぎ受賞 「身体」の豊かさ 言葉に」
 『朝日新聞』2010-10-27
http://book.asahi.com/special/TKY201010280388.html
◆2010/10/27 「[ALS・選択のいま](中)「生きる」心から伝える(連載)=青森」
 『読売新聞』2010-10-27
◆2010/10/27 「こんにちは広島:ALS患者の訪問演奏を続けるバイオリニスト・津田芳樹さん /広島」
 『毎日新聞』2010-10-27
http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20101027ddlk34040603000c.html
◆2010/10/28 「[ALS・選択のいま](下)ヘルパー「たん吸引」着々(連載)=青森」
 『読売新聞』2010-10-28
◆2010/10/28 「映画『私の愛、私のそばに』韓国中が悲涙したNO.1ヒット、ラブストーリー、いよいよ日本公開。」
 『CINEMA TOPICS ONLINE』2010-10-28
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=11137
◆2010/10/28 「iPS細胞、「再生医療」まだ遠く、まず新薬研究で利用進む――希少疾患解明に期待。」
 『日本経済新聞』2010-10-28
◆2010/10/31 「ALS患者サロン立ち上げに奔走 地元テレビ局記者」
 『日本海新聞』2010-10-31
http://www.nnn.co.jp/news/101031/20101031008.html
◆2010/10/31 「消防団員は女子大生 横浜で最年少 「地元に恩返しを」」
 『朝日新聞』2010-10-31
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201010310161.html
◆2010/11/01 「【NEC報道資料】「NEC難病コミュニケーション支援講座」、船橋で開催!〜“NPO×医療機関×企業”で、ITコミュニケーション支援の可能性を探る〜」
 『Web担当者Forum (プレスリリース) 』2010-11-01
http://web-tan.forum.impressrd.jp/r/n2u/items/77352
◆2010/11/04 「コラム「南風」 デイゴを見て思うこと」
 『琉球新報』2010-11-04
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-169644-storytopic-13.html
◆2010/11/05 「ALS患者ら初交流会」
 『読売新聞』2010-11-05
◆2010/11/05 「「声あげて医療変えよう」ALS患者・家族、米子で集い」
 『朝日新聞』2010-11-05
http://mytown.asahi.com/areanews/tottori/OSK201011040100.html
◆2010/11/05 「ALS患者初の交流会 7組の患者家族ら意見交換」
 『日本海新聞』2010-11-05
http://www.nnn.co.jp/news/101105/20101105008.html
◆2010/11/05 「ALS:情報共有サロンが初開催 患者ら12人参加――鳥取大病院 /島根」
 『毎日新聞』2010-11-05
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20101105ddlk32040655000c.html
◆2010/11/06 「24時間介護「不要」」
 『朝日新聞』2010-11-06
http://mytown.asahi.com/wakayama/news.php?k_id=31000001011060001
◆2010/11/09 「訪問介護:24時間対応、難病患者家族ら事業所開設 「夜間支援」人材不足 /滋賀」
 『毎日新聞』2010-11-09
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20101109ddlk25040519000c.html
◆2010/11/09 「韓国:[連続企画]サムスンが捨てたもう一つの家族(5)」
 『レイバーネット日本』2010-11-09
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/issue/samsung/1289375862464Staff
◆2010/11/13 「天国のキャディ [著]フェインスタイン」
 『朝日新聞』2010-11-13
http://book.asahi.com/saidoku/TKY201011120165.html
◆2010/11/15 「第33回神経研シンポジウム」
 『週刊医学界新聞』2010-11-15
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02904_04
◆2010/11/16 「女子大生が地域の消防団で奮闘、「人の役に立ちたい」と門たたく/横浜」
 『カナロコ(神奈川新聞)』2010-11-16
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1011160015/
◆2010/11/18 「行政ニュース : 「介護職が何センチ入れたら医行為か。バカげた議論だ」検討会」
 『ケアマネジメント オンライン』2010-11-18
http://www.caremanagement.jp/news+article.storyid+8197.htm
◆2010/11/18 「言葉なき叫び 届いた 「意思伝達装置 販売続けて」」
 『朝日新聞』2010-11-18
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201011180086.html
◆2010/11/19 「『私の愛、私のそばに』」
 『ムービーネットインターナショナル』2010-11-19
http://www.movienet.co.jp/movie_data/2011/02/closertoheaven/
◆2010/11/22 「【NEC報道資料】「NEC難病コミュニケーション支援講座」、北陸地方で初の開催」
 『News2u.net』2010-11-22
http://www.news2u.net/releases/78450
◆2010/11/24 「ALS患者介護訴訟、始まる=全国初、和歌山市相手に−地裁」
 『時事通信社』2010-11-24
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201011/2010112400090
◆2010/11/24 「和歌山市ALS訴訟・第1回弁論」
 『和歌山放送』2010-11-24
http://www.wbs.co.jp/news.html?p=21905
◆2010/11/25 「予告編ですでにウルッ! 韓国で220万人動員『私の愛、私のそばに』予告編解禁」
 『cafegroove』2010-11-25
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/release/2010/11/9544/
◆2010/11/25 「県、富大附属病院を難病医療拠点病院に指定」
 『KNBWEB(北日本放送株式会社)』2010-11-25
http://www2.knb.ne.jp/news/20101125_26234.htm
◆2010/11/25 「ALS介護訴訟:和歌山市側、争う姿勢−−第1回口頭弁論 /和歌山」
 『毎日jp』2010-11-25
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20101125ddlk30040396000c.html
◆2010/11/28 「ALS患者に歌の贈り物 メサイアを歌う会が来月コンサート」
 『河北新報社』2010-11-28
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/11/20101128t15002.htm
◆2010/12/02 「団体の活動に広がり 【医のかたち】」
 『asahi.com』2010-12-02
http://mytown.asahi.com/yamaguchi/news.php?k_id=36000001012020001
◆2010/12/06 「神経病理診断の新しい潮流 日本神経病理学会・神経病理コアカリキュラムセミナーの創設」
 『医学書院』2010-12-6
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02907_05
◆2010/12/08 「地域医療のあす : 第5部 (3)挑戦/「在宅」24時間支援」
 『山陰中央新報』2010-12-08
http://www.sanin-chuo.co.jp/health/modules/news/article.php?storyid=523426240
◆2010/12/09 「「文化庁メディア芸術祭」の受賞作品決まる」
 『日経BP社』2010-12-9
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20101209/1029028/
◆2010/12/11 「「いのち・愛・人権」展:人権や共生考えて あす趙博さんライブも−−益田 /島根」
 『毎日jp』2010-12-11
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20101211ddlk32040697000c.html
◆2010/12/15 「ひと彩々/NPO法人理事長 高橋昭夫さん」
 『asahi.com』2010-12-15
http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000001012150001
◆2010/12/17 「佐賀県議会、全議員で難病議連 国への政策提案視野に」
 『佐賀新聞』2010-12-17
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1787806.article.html
◆2010/12/21 「ヘルパーからの医行為相談に訪看も悲鳴――都福祉学会レポート2」
 『介護支援専門員サイト ケアマネジメントオンライン』2010-12-21
http://www.caremanagement.jp/news+article.storyid+8315.htm
◆2010/12/21 「脳制御型エクソスケルトンの第1歩!? 脳でPC動かすサル、運動フィードバック込みのBCIで制御力アップ」
 『GIZMODO JAPAN』2010-12-21
http://www.gizmodo.jp/2010/12/1pcbci.html
◆2010/12/27 「伝わった強い意思 「伝達装置」の生産続行」
 『北國新聞』2010-12-27
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/HT20101227401.htm
◆2010/12/28 「【NEC報道資料】「NEC難病コミュニケーション支援講座」、中国地方で初の開催! 〜“NPO×行政×企業”でITコミュニケーション支援の可能性を探る、NECの社会貢献活動〜」
 『News2u』2010-12-28
http://www.news2u.net/releases/80243
◆2010/12/28 「支局長からの手紙:瞳は語る /高知」
 『毎日新聞』2010-12-28
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20101228ddlk39070436000c.html
◆2010/12/30 「ALS患者らの意思伝達装置 開発・普及を仙台市が支援」
 『河北新報』2010-12-11
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/12/20101231t15007.htm



催しもの、その他
□「地域生活を考える―その5
――コワくないかもしれない医療的ケアの話」
関連HP:http://www.arsvi.com/a/20101023.htm
チラシ:◆チラシ表〔GIF〕
    ◆チラシ裏〔GIF〕
日 時:2010年10月23日(土)15時〜18時(14時30分 受付開始)
ところ:渡文岩神ホール/永原診療会「自在館」嬉楽家
◇京都市上京区浄福寺上立売上ル大黒町686
◇市バス 51・59・203・201系統「今出川浄福寺」/ 6・46・206・59系統「千本上立売」徒歩5分
◇地図→渡文岩神ホール(自在館から北に徒歩10秒) 地図〔外部リンク〕
◇地図→永原診療会「自在館」嬉楽家 http://www.nagahara.or.jp/sst.html#map
時 間: 14:30〜 受付開始 ※事前予約は不要です 15:00〜 「在宅における医療的ケアの現状と課題」@渡文岩神ホール(自在館から北に徒歩10秒) ★講師 杉本健郎さん(日本小児科学会代議員,日本小児神経学会理事・社会活動委員会委員長,NPO法人医療的ケアネット理事長,すぎもとボーン・クリニーク所長)
川口有美子さん(日本ALS協会理事,ALS/MND国際同盟会議理事,NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会理事,訪問介護事業所ケアサポートモモ・代表取締役)

★司会 立岩真也さん(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授)
    18:00〜 懇親会(夕食付)@永原診療会「自在館」嬉楽家 参加費:無料/懇親会 2000円
主 催:地域生活を考える勉強会実行委員
共 催:立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点     立命館大学生存学研究センター     医療法人 永原診療会     NPO法人「ある」
企画趣旨:
 近年の医療技術の進展や医療・福祉制度の改革に伴い、たん吸引や経管栄養などの医療的ケアを必要としながら、地域で生活する人たちが増えてきています。医療的ケアは、重度障害児から難病患者、中途障害者から高齢者まで幅広い方々にとって大きな問題となっています。厚生労働省は、2003年からヘルパーによるたん吸引の容認に向けた分科会を立ち上げ、その後、医療的ケアの容認に対象を拡大する通達を数度出し、2010年においては実施できる行為の範囲に胃ろうも加え、看護師の指導や介護職への研修などの実践的な議論がされ始めました。今まさに在宅医療と福祉にとっては大きな節目を迎えようとしています。
 そこで、今回は重度障害児の医療的ケア問題に取り組んできた杉本健郎先生と、現在国の検討会議論に加わっておられる川口有美子さんをお招きし、それぞれの立場から医療的ケアの現状や課題などを御講演いただきます。

 

◆2010/11/22 「【NEC報道資料】「NEC難病コミュニケーション支援講座」、北陸地方で初の開催」
 『News2u.net』2010-11-22
http://www.news2u.net/releases/78450

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 <NEC難病コミュニケーション支援講座のURL>
 http://www.nec.co.jp/community/ja/it/communication.html
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平成22年11月22日
NECはこのたび、NPO法人ICT救助隊(注1)および日本ALS協会石川県支部と協働し、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィー等の神経筋難病患者を中心とした重度身体障がい者のITコミュニケーション支援を目的とした「NEC難病コミュニケーション支援講座」を開催いたします。詳細は以下の通りです。
日 時:平成22年11月27日(土)10:00〜16:00
         11月28日(日)10:00〜16:00 
会 場:石川県リハビリテーションセンター4階大研修室
 金沢市赤土町ニ13−1 TEL:076−266-2860
主 催:ICT救助隊
共 催:日本ALS協会石川県支部
協 賛:NEC
協 力:石川県難病相談・支援センター
参加者:医療従事者を中心に約50名
内 容:文末別紙をご参照ください。

本講座は、NECの社会貢献活動の一つで、すべての人に優しい情報社会の実現を目的としたプログラム“NEC IT CONNECTION”(注2)の一環として、2008年度にスタートしたプログラムです。なお、本講座修了後も、最終受益者である重度身体障がい者が実際にITコミュニケーションが出来るようになるような、継続的フォロー(受講者からの相談対応・アドバイスやコミュニケーション機器の貸し出し等の人的・物的サポート)を実施してまいります。
NECでは、今後も全国各地域の医療機関で「NEC難病コミュニケーション支援講座」を開催し、1人でも多くの重度身体障がい者が自由にITコミュニケーションすることができ、社会とつながることを目指していきます。
以 上

(注1)ICT救助隊 http://rescue-ict.sakura.ne.jp/
NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会(注3)を中心に、IT支援ボランティア団体で活動をしたり、訪問看護事業等に従事している者が、横断的に情報を共有し活動を推進していくために2010年1月17日に結成。活動内容は、主にICT (Information & Communication Technology - 情報通信技術) を活用した難病患者や重度障害者のコミュニケ―ション支援。
(注2)NEC IT CONNECTION
NECは、さまざまな要因によって社会的に孤立している人たちが、「IT」を活用することで自由にコミュニケーションがとれ、これによって「人」や「社会」とのつながりを持つことができるようになると考えています。このような、NECが「デジタルデバイド解消」を目的として取り組む社会貢献活動を総称して「NEC IT CONNECTION」と呼ぶ。
(注3)NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
http://www.sakura-kai.net/

<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>
NEC CSR推進部社会貢献室 池田
電話:(03)3798−9555 
E-mail:s-ikeda@cw.jp.nec.com

<別紙>
【1日目(10:00〜16:00)】
10:00 開会にあたり
10:10 コミュニケーションについて(ICT救助隊 仁科恵美子氏)
 透明文字盤の実習と携帯型会話補助機器体験
 (レッツチャット、ペチャラ、トーキングエイド)
11:30 伝の心 (ICT救助隊 今井啓二氏)
12:15 昼食
13:00 オペレートナビ (NECスタッフ講師 鈴木信幸氏)
14:00 スイッチの適合(川村義肢 日向野和夫氏)
15:45 まとめ
16:00 終了
《希望者》
16:00 工作実習「ゲームパッドの改造」(ICT救助隊 今井啓二氏)
18:00 終了

【2日目(10:00〜16:00)】
10:00 オペレートナビの応用(NECスタッフ講師 鈴木信幸氏) 
11:00 フリーソフトの活用HeartyLadder(ICT救助隊 仁科恵美子氏)
12:15 昼食
13:00 工作実習「オリジナル入力スイッチ製作」(ICT救助隊 今井啓二氏)
15:00 まとめ 質疑応答
16:00 終了

【補足資料】(当該WEBサイトでダウンロードできます。)







 
 
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◆2010/10/01 「稲刈り:大潟村農協・初代組合長、難病の松本さん 米作り、変わらぬ情熱 /秋田」
 『毎日新聞』2010-10-01
http://mainichi.jp/area/akita/news/20101001ddlk05040003000c.html

 「稲刈り:大潟村農協・初代組合長、難病の松本さん 米作り、変わらぬ情熱 /秋田
 ◇5年ぶり稲刈り
 全身の筋肉が萎縮(いしゅく)する難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者で、日本ALS協会名誉会長の松本茂さん(78)が30日、大潟村の水田で5年ぶりにコンバインに乗り、稲刈りをした。フォークリフトでつり上げられバンドで固定して運転席へ。あごが動かせる程度で呼吸器は欠かせないが、米作りへの変わらぬ情熱を見せた。【坂本太郎】
 松本さんはALS発症後も、新しいコンバインを購入するたびに稲刈りをしており今回が3回目。ヘルパーらの協力を得てコンバインに乗り込むと、農家仲間の操作で田を1往復した。
 稲刈りを終えた茂さんは文字盤を通して「みんなのおかげ」「うれしかった」と感想を表現した。
 松本さんは村への入植1世。高知県で高校教諭をしながら農業をしていたが、モデル農村の取り組みに関心を持ち妻のるいさん(80)と66年に入植した。村農協の初代組合長を務め、その後国の減反政策反対派の先頭に立った。
 次第にボタンが留められなかったり、靴が履けなかったりする症状が出始めた。症状は悪化をたどり田んぼで転ぶようになった。83年には右足を引きずるようになり、小豆の収穫作業中にダンプから転落したことも。その翌年には歩くのも困難になり、ALSを告知された。
 るいさんは茂さんを「頑固な現役の経営者」と評する。今でも車椅子を押してもらって田んぼの見回りを欠かさない。稲の写真を撮ってもらい、施肥の時期などを指示。今回のコンバインの購入も、自らがパソコンを通じて業者と価格交渉した。
 「男のロマンなんだろうけど、心配で怖くて仕方がなかった」と話するいさんは、涙ぐみながら「良かったね」と茂さんの頭を何度も優しくなでていた。
毎日新聞 2010年10月1日 地方版」(全文)

 
 
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◆2010/10/02 「iPS細胞「10年内に臨床研究を」 山中教授が講演」
 『日本経済新聞』2010-10-02
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E2E0E2E1E38DE2E0E3E2E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

 「iPS細胞「10年内に臨床研究を」 山中教授が講演
 2010/10/2 19:49 (2010/10/3 4:00更新)
 京都大学iPS細胞研究所は2日、東京都内で講演会を開き、所長を務める山中伸弥教授が様々な細胞に成長するiPS細胞(新型万能細胞)の研究状況や今後の取り組みを語った。山中教授はiPS細胞を活用して「10年以内に創薬や再生医療の臨床研究を1つでも2つでも始めたい」と述べ、医療を大きく変える可能性を持つiPS細胞の実用化に意欲を示した。
 講演会で山中教授は一般市民向けに研究の最新動向などを紹介した。全身の筋肉が衰えるALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィーなど「難病の治療にiPS細胞が将来役立つ可能性がある」と強調。難病患者の細胞からiPS細胞を作り、病気がなぜ起こるかなど様々な研究を進めていることを説明した。
 iPS細胞を使った治療法の開発時期については明言しなかったが、「何らかの病気で10年以内に臨床研究を始める目標を掲げながら研究に取り組んでいる」と語り、実際の患者を対象にした治療を目指していることを紹介した。
 山中教授は2006年に世界で初めてマウスのiPS細胞を作製、翌年にはヒトでもiPS細胞を作ることに成功した。4日に発表されるノーベル生理学・医学賞の有力候補に挙げられている。」(全文)

 
 
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◆2010/10/03 「山中教授講演、iPS臨床研究、「10年以内に開始」」
 『日本経済新聞』2010-10-03

 「京都大学iPS細胞研究所は2日、東京都内で講演会を開き、所長を務める山中伸弥教授が様々な細胞に成長するiPS細胞(新型万能細胞)の研究状況や今後の取り組みを語った=写真。山中教授はiPS細胞を活用して「10年以内に創薬や再生医療の臨床研究を1つでも2つでも始めたい」と述べ、医療を大きく変える可能性を持つiPS細胞の実用化に意欲を示した。  講演会で山中教授は一般市民向けに研究の最新動向などを紹介した。全身の筋肉が衰えるALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィーなど「難病の治療にiPS細胞が将来役立つ可能性がある」と強調。難病患者の細胞からiPS細胞を作り、病気がなぜ起こるかなど様々な研究を進めていることを説明した。  iPS細胞を使った治療法の開発時期については「何らかの病気で10年以内に臨床研究を始める目標を掲げながら研究に取り組んでいる」と語り、実際の患者を対象にした治療を目指していることを紹介した。  山中教授は2006年に世界で初めてマウスのiPS細胞を作製、翌年にはヒトでもiPS細胞を作ることに成功した。4日に発表されるノーベル生理学・医学賞の有力候補に挙げられている。」(全文)

 
 
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◆2010/10/04 「【いきいき】日本ALS協会理事・川口有美子さん 死の議論の前に介護を思え」
 『MSN産経ニュース』2010-10-04
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/101004/wlf1010040809000-n1.htm

 「【いきいき】日本ALS協会理事・川口有美子さん 死の議論の前に介護を思え
2010.7.4 07:52
□6月18日、東京・内幸町の帝国ホテル
 ■文壇の巨人の下を巣立った新人、皆りりしく
 大宅壮一、松本清張の名を冠した2つの文学賞の贈呈式には今年、司馬遼太郎という名前が意外な形で絡み合った。
 キリシタンの弾圧を描いた歴史小説「マルガリータ」で第17回松本清張賞を受けた村木嵐(らん)さん(42)は、司馬家11代目の「お手伝いさん」にして、司馬夫人、福田みどりさんの個人秘書。みどり夫人や歴代のお手伝いさんとともに大阪から駆けつけた村木さんは、大宅壮一ノンフィクション賞の受賞者2人とともに、喜びを分かち合った。
 “司馬家出身”の新人作家という境遇を「文壇の観光地のような立地条件なので…」と照れた表情で語る村木さん。自身のペンネームは「ムラがある」との性格と、京都西部を走る路面電車「嵐電(らんでん)」にちなんだことを明かし、「嵐電のような一部の人になくてはならない存在を目指したい」と抱負を語った。
 司馬家12代目お手伝いさん(30)は「めっちゃうれしい。お手伝い同士とても仲が良くて、姉妹みたいな関係」と先輩に温かいまなざしを向ける。村木さんが大勢の関係者に囲まれる中、同伴した「同僚」が代わる代わるみどり夫人を気遣う姿が目にとまった。  今年41回目を迎えた大宅賞は上原善広さん(36)の「日本の路地を旅する」と、川口有美子さん(47)の「逝かない身体−ALS的日常を生きる」の2作に。被差別部落地域の今昔を追った上原さんは「ノンフィクションは冬の時代といわれているが、志を忘れず頑張っていきたい」と力を込めた。
 スタイルは違えども、歴史を媒介に現代日本のありようを読者に問い続けた大宅、松本、司馬の3氏。文壇の巨人の名の下を巣立った新人作家の表情はみな、りりしく見えた。(三品貴志)


【写真説明】第17回松本清張賞を受賞した村木嵐さん(左)、第41回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した川口有美子さん(中央)、上原善広さん=18日、東京・内幸町」(全文)

 
 
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◆2010/10/06 「ブックウオッチング:新刊 『命尽くるとも 「古代の心」で…』=篠沢秀夫・著」
 『毎日新聞』2010-10-06

 「◇『命尽くるとも 「古代の心」で難病ALSと闘う』
 (文芸春秋・1500円)
 テレビでおなじみの篠沢教授が筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)を発病。声を失い、自宅のベッドでワープロで本書をつづった。他人と比べるのではなく、今日の体を楽しもう、古代の心で生きようと説く。」(全文)

 
 
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◆2010/10/07 「記録映画に共感の輪 難病ALS・三鷹の塚田さん スイスの映画祭で特別賞 /東京都」
 『朝日新聞』2010-10-07

 「記録映画に共感の輪 難病ALS・三鷹の塚田さん スイスの映画祭で特別賞 /東京都
 神経系の難病、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者、塚田宏さん(77)=三鷹市=を描いた記録映画「動かない体で生きる私の、それでも幸せな日常」が、9月にスイス・バーゼルで開かれた映画祭「ルック&ロール」で特別賞を受けた。塚田さん本人も現地入りして同じ病気の患者と交流、上映会場で盛んな拍手を浴びた。(松村康史)
 ALSは徐々に全身の筋肉が動かなくなり、自力呼吸もできなくなる病気。塚田さんは気管を切開して人工呼吸器をつけており、わずかに動く眼球を使って文字盤を介して会話をする。家族にストレッチャーを押してもらって外出し、進んで人前に出ることでALSのことを知ってもらおうとしている。
 2年前には記録映画「動かない体で……」を自費制作した。鹿児島県の徳之島を訪れた塚田さんの姿を、監督の内田英恵さんが追った。  「ルック&ロール」は障害者をテーマにした短編映画を集めた映画祭。内田監督のもとに「上映したい」と連絡があり、塚田さんの希望でスイス訪問が実現した。
 塚田さんの妻公子さんによると、スイスには341人のALS患者がいるが、人工呼吸器をつけている人は3%と、日本の30%に比べて低い。背景には、長期療養する患者への保障制度や「尊厳死」への考え方の違いがあるという。
 患者団体が開いてくれた催しで、6人の患者と会った。中には人工呼吸器をつけた塚田さんの姿を見て泣き崩れる患者もいたという。同行した内田監督は「同じ病気の重症の人が、スイスまで来てくれたことに感激したのだと思う」と話す。
 映画祭でも、上映後に多くの人に囲まれた。「(作品は)私のハートを何度もたたいた」「塚田の生き方がすばらしい」と、口々に語ったという。
 塚田さんにとって、スイス行きはこの10年間で6回目の海外だった。今回、またパスポートを更新した。大好きなジャズの本場ニューヨークに、もう一度行きたいと考えている。
 映画のDVDに関する問い合わせは塚田さん(0422・44・5713)へ。


【写真説明】スイスの映画祭に出席した塚田宏さん(左端)。寄り添うのは妻の公子さん(中央)と内田英恵監督=塚田さん提供」(全文)

 
 
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◆2010/10/08 「えひめリポート:中谷・ALS協会県支部長“情報難民”防ぎたい/愛媛」
 『毎日新聞』2010-10-08

 「◇結成1年半
 ◇自らも闘病、懸命の訴え
 厚生労働省の特定疾患に指定されている進行性の難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」の患者や家族などで作る当事者団体「日本ALS協会」の県支部は、結成から1年半がたった。支部長の中谷祐子さん(51)は、自らも闘病しながら、患者の療養環境の改善などを訴え続けている。運動神経細胞が侵され徐々に体が動かなくなっていくALS。病状が進行するなかで苦悩する心情や、県内の患者を取り巻く環境などについて取材した。【村田拓也】
 食育に興味があった中谷さんは、学校給食の調理師だった。しかし03年に入り、指がうまく動かずに仕事で使うナイロン袋を結べなくなったり、マンションの階段も下りにくくなった。「あれっ、おかしいな」と思い病院へ行くと、その時は「過労」と診断された。
 中谷さんは毎日10キロ走る運動好きで、体力には自信があった。それでも階段の上り下りができないのは「体力不足」、袋を結べないのは「けんしょう炎」だと思い込んでいた。
 病院を転々としたが異常はみられなかった。原因が分からないまま、病状は進んでいき、小さな障害物でもつまずいて転んだり、洗濯バサミで洗濯物を干すのも一苦労するようになった。
 03年8月、血液検査でALSを含め10近くの病気の候補を挙げられた。同年12月に病気特定のため検査入院し、04年2月に医師からALSと宣告された。それと同時に、「そのうち食事が取れなくなり、気管切開し呼吸器を付けることになる」と医師から今後の病状を説明された。
 中谷さんは医師の話を聞きながら「あまりにショックで自分のことと実感できず、言われたことを受け入れられなかった」。病室へ帰り、「中谷さん若いのにつらいね。大変な病気にかかってしまったね」と看護師の泣く姿を見て、ようやく自分のことだと認められたという。最初に病院にかかってから1年以上がたっていた。

   ◇

 中谷さんは現在、気管切開をしない非侵襲的人工呼吸器をつけ、栄養は24時間の点滴。薬は、胃に直接常時つないだチューブから送り込んでいる。
 介助職員の長男(27)と愛犬1匹と生活しているが、仕事をしている長男は日中、家にいない。訪問看護は週6回、1回1時間半から2時間。訪問介護は毎日、午前8時から午前0時までの16時間受けている。
 それでも、現在の病状ならば何とかやっているが、病状が進み、気管切開して人工呼吸器を付けなければ命が危ない状態になれば24時間のケアが必要となり、現在の介護態勢では足りない。「子供に負担がかかる。もし心肺機能が衰え、気管切開の人工呼吸器が必要になっても、付けないかもしれない……」。苦しげにつぶやくのは、呼吸器を付けているからではない。

   ◇

 病状の進行や悩みの相談などは誰と相談すればいいのか――。動けず室内にいることが多いALS患者は、病気に関する情報はインターネットか医師からがほとんど。中谷さんも闘病を続けるうえで、情報の少なさに困ったという。
 特に、年齢が進むとともに発病率が上がり50〜60代でピークを迎えるALS患者は、インターネット利用が苦手な高齢者が多く、「“情報難民”になりかねない」という。
 そんな中、07年7月にALSの情報と、当事者の気持ちを共有しようと、患者や家族など約10人で家族会を設立。より公式な団体にするため09年3月、日本ALS協会の県支部になり、会員は約60人に増えた。
 活動は主に月1回、交流や勉強をする定例会。リハビリや制度などの情報を交換し、不安を抱える新たな当事者の相談を受ける。
 また、患者の医療の環境の改善も大きな仕事だ。人工呼吸器をつけたALS患者は、訪問介護や訪問看護の事業所に敬遠される事が多く、患者が医療を選べない状況が続いているという。中谷さんは、積極的に県庁や保健所にも足を運び、改善を働き掛けている。
 中谷さんは「訴えられる現場にはできる限り行きたい。動けない患者を見て、私たちが生きるためには他人の手が絶対に必要だと感じてもらう。そのためには、何が必要か理解してもらわなければいけない。生きてる限りは訴え続けたい」と、言葉に力を込めた。

………………………………………………………………………………………………………  ■ことば
 ◇筋萎縮性側索硬化症(ALS)
 知識や判断、感覚などは正常のまま、運動神経細胞が侵され、全身の筋肉が萎縮していく、進行性の難病。症状が進むと全身が動かなくなり、自力呼吸もできなくなる。厚生労働省が、原因不明で治療法未確立の「特定疾患」に指定しており、08年度末の特定疾患医療受給者証の交付者は、全国で8285人、県内では92人。40代から60代での発症が多い。有効な治療法はほとんどなく、人工多能性幹細胞(iPS細胞)など医学の進歩が待たれる。
」(全文)

 
 
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◆2010/10/08 「ケアのかたち 医療のちから:3 便のサイン、見逃さぬ ペア介助で質向上」
 『朝日新聞』2010-10-08

 「ケアのかたち 医療のちから:3 便のサイン、見逃さぬ ペア介助で質向上
 「あー、すっきりした。この時が一番気持ちいい」
 訪問看護師と介護福祉士の介助を受けながら、ベッドの上で排便を済ませた筋萎縮(きんいしゅく)性側索硬化症(ALS)の男性患者(82)が満足そうに話した。「2人があうんの呼吸で介助をしてくれるので、すぅーっ、と出る」のだという。
 福岡県宗像市の宗像医師会訪問看護ステーションでは、看護師と介護士が2人1組で訪問ケアをしている。2年前から、県のモデル事業として始めた。
 寝たきりの人をベッド上で排便させるには、腹部のマッサージと背中側から便をかき出すという二役を1人でこなさなければならない。排便を促すため利用者の姿勢を支える必要もある。用具の準備や後片づけも含めれば、1時間半の訪問ケアもたちまち終わる。
 それが2人1組なら、介護士がおなかをマッサージしながら緊張をほぐし、看護師が背中側からの介助に集中できる。時間が短縮でき、残った時間でリハビリもできるという利点もある。
 下半身がまひ状態で、昨年5月からここの訪問ケアを利用している谷川和雄さん(66)は「1人だけだと忙しそうにしているので、声を掛けることがはばかられるし、こっちも緊張してしまう。2人だと安心して任せられるので、便も出やすくなった」。宗像市の訪問看護ステーションの阿部久美子所長は「共同作業でケアが充実するうえ、介護士の優しさや心配りが加わることでケアの質も大きく向上する」と語る。
   *
 自宅で寝たきりの人への医療ケアには、訪問看護師の役割が大きい。しかし、東京23区の9割近い広さ(約540平方キロメートル)がある広島県安芸高田(あきたかた)市には、訪問看護事業所が一つしかない。
 その唯一の事業所である「安芸高田市医師会訪問看護ステーション」では、約120人の在宅患者を担当する。このうち、20人程度が末期がんなど高度な医療ケアを必要とする。こうした利用者は、2年前から倍増した。
 利用者の一人である男性(70)は7年間、ベッドに横たわったままだ。認知症の一種であるピック病のせいで、家族が目を離したすきにパン1斤丸ごとかぶりつき、のどを詰まらせ脳に酸素が行かなくなった。意識は戻らず、のどに管を入れて空気を送り、胃にも管を通して栄養を注入する「胃ろう」をつけている。
 家族が「愛着のある家で」と望み、男性は施設に入る冬場以外はヘルパーや医師、看護師の訪問を受けながら自宅で暮らす。口で意思表示できない男性にとって、便からのシグナルは重要だ。
 同ステーションに所属する訪問看護師の沼津理恵さんは、ある日、この男性の下痢に気がついた。排便介助をする前の晩は、腸の中の便を肛門(こうもん)のあたりまで動かすために下剤を服用する。寝たきりだと、腸の働きが弱いためだ。「効き過ぎかもしれない」。下剤の量を減らすと、下痢は治った。
 訪問看護師の仕事は、排便介助にとどまらない。たんの吸引に脈拍・血圧の測定、体ふき、口腔(こうくう)ケア……。沼津さんは訪問介護ヘルパーの手も借りて、これらすべてをほぼ1時間でこなす。
 脈拍が速ければ発熱や脱水を疑う。医師にすぐ連絡し、対応を聞いたり、必要なら往診を頼んだりする。体をふく時には、尻やかかとに床ずれがないか、折れ曲がったままのひじの内側がただれていないか、常にチェックする。
 同ステーションの管理者、近村美由紀さんは「ヘルパーと看護師の仕事は同じに見えるかもしれない。でも、体に表れる病気の兆しを見つけたり、家族に医療的な助言をしたりするのは看護師でないとできない」と強調する。
   *
 介護保険制度が始まり、同ステーションと地元の介護施設や事業所、職員との関係はかなり密になった。男性を担当するヘルパー向けに、沼津さんがたん吸引の講習を開いたこともある。介護に疲れた家族を休ませるため、末期がんの70代女性を地元の特別養護老人ホームに数日間預けた時は、訪問看護師が毎日ホームを訪ねた。
 ホームでは、体の痛みをとる薬の効き具合をみたり、点滴を管理したり。発熱に備え、職員に医師が処方した解熱剤を渡して服用のタイミングを教えた。女性は自宅に戻った2日後、家族にみとられながら息を引き取ったという。
 近村さんは、こう言う。
 「都会と違い、この地域の医療と介護の資源は限られている。あるものを最大限有効に使わないと、在宅患者は支えられない」
 (角津栄一、錦光山雅子)


【写真説明】介護ヘルパーに手伝ってもらいながら、訪問看護師の沼津理恵さん(右)が男性の便を出した後、体をふいて服を着せる=広島県安芸高田市」(全文)

 
 
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◆2010/10/10 「希少糖:知って 肥満・動脈硬化・難病にも効果 研究者が講演――観音寺/香川」
 『毎日新聞』2010-10-10

 「自然界に少量しか存在しない単糖で、香川大で研究が進む希少糖を地域資源として県民に広く知ってもらうため、「希少糖講演会」(希少糖生産技術研究所など主催)が、観音寺市坂本町1の観音寺市民会館で開かれた。今年度中に計5カ所で開く予定。
 講演会ではまず、この分野の第一人者で、希少糖の生産方法を示したイズモリングを完成、大量生産を可能にした何森健・同大客員教授が講演。微生物が出す酵素を香川大のキャンパス内で発見したことで、安価なブドウ糖から酵素反応で、すべての希少糖を作ることができるようになったことなどを話した。
 また、同大希少糖研究センター長の徳田雅明・同大医学部教授が、これまでの研究成果を説明。希少糖の一つ、D―プシコースが、食後の血糖上昇や、肥満、動脈硬化などに効果があることを、実験データを示しながら話した。D―アロースでは、ラットを使った研究の映像を見せて、「難病の筋萎縮性側策硬化症(ALS)への有効性なども分かってきた」などと解説。参加者からは「どんな味」「いつぐらいから、手に入るのか」などの質問が出た。【吉田卓矢】」(全文)

 
 
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◆2010/10/13 「シンポジウム:ALS患者ら、介護行政の遅れ指摘――在宅生活支援のNPO/千葉」
 『毎日新聞』2010-10-13

 「◇千葉で
 全身の筋力が低下する難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症」(ALS)の患者の在宅生活を支援するNPO法人「リターンホーム」が、千葉市でシンポジウム「進化する介護in千葉」を今月開き、介護関係者や識者、ALS患者やその家族らが活発に意見交換した。
 ALS患者には、痰(たん)の吸引や呼吸器具使用など医療的ケアを伴う24時間の見守り介護が必要だが、障害者自立支援法の定める「重度訪問介護事業」を引き受ける事業所は少ない。このため患者が地域生活を送るのは難しく、長期入院を強いられるケースが大半だ。
 父親が今年ALSを発症した県内の男性は「父は呼吸器を付け命ある限り生きたいと願っているが、家族介護には限界がある」と悩みを吐露した。
 討論では、立命館大の立岩真也教授(社会学)が「難病患者に必要な介護保険法と障害者自立支援法の両方を熟知する人材は圧倒的に少ない。地域差もあり、千葉は遅れている」と指摘。介護事業所代表の伊藤佳世子さんは「県内で在宅24時間介護が実現したのは千葉市など3市のみ。自治体の裁量次第だが、担当者には家族が介護すべきだとの考え方が根強い」と介護行政に疑問を表明した。【中川聡子】」(全文)

 
 
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◆2010/10/16 「[ふしぎ科学館]脳波を調べ 診断・介護」
 『読売新聞』2010-10-16

 「[ふしぎ科学館]脳波を調べ 診断・介護
 ソファに寝(ね)そべってテレビを見るイカ丸。「念力(ねんりき)でチャンネルを変えられたら楽でござる」。理科子先生は「最近、脳波(のうは)で車いすなどを動かす技術が研究されていると聞いたわ。調べに行きましょう」と、イカ丸を連れ出した。
 ■集中力測定
 まず向かったのは、おもちゃ販売(はんばい)のセガトイズ(東京都渋谷区)。同社は7月、脳波で小さなボールを動かすおもちゃ「マインドフレックス」を発売した。脳波計測装置(けいそくそうち)を手がける米ニューロスカイ社の技術を生かした「脳波トイ」という新しいタイプのおもちゃだ。
 使い方は簡単。額(ひたい)にセンサーを装着(そうちゃく)、ボールに意識を集中させると、本体下のファンが回りボールが浮かぶ。集中の度合いを変化させるとファンの強さも変わり、ボールが上下する。「新手(あらて)の忍術(にんじゅつ)みたいでござる」と驚(おどろ)くイカ丸。「脳波の波形(はけい)を分析して、どのくらい集中しているか測定します」と、同社の松本百合子(まつもとゆりこ)さん(30)は説明する。
 ■家電を操作
 「おもちゃが登場するなんて、脳波の活用は身近になってきたのかしら?」。詳(くわ)しく知りたい理科子先生は、国立障害者(しょうがいしゃ)リハビリテーションセンター研究所(埼玉県所沢市)をイカ丸とともに訪れた。
 同研究所は、脳波でテレビや電灯(でんとう)をつけたり消したりする技術を開発している。「本当にできるのでござるか」とイカ丸。神作(かんさく)憲司(けんじ)脳神経科学研究室長(41)は「ワープロで文章を書いたり、インターネット経由(けいゆ)で電話をかけたりもできますよ」と答えた。
 パソコン画面に映した小さなイラストの色が一瞬(いっしゅん)変化すると、注視(ちゅうし)していた人の脳波に特別な波形が現れることを利用した。この波形を「スイッチを入れて(止めて)ほしい」という意思と判断しパソコン経由で自分が望む電化製品を操作(そうさ)する仕組みだ。
 実際、首から下を動かせなくなった脊髄損傷(せきずいそんしょう)患者や、全身の筋肉(きんにく)がどんどん衰える筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)(ALS(エーエルエス))患者に試してもらい、うまくいっているという。「特別な訓練は必要ありません。体を動かせない人でも、自分で出来ることを増やせるようにしたいですね」と神作室長。
 研究室では、脳波でロボットを動かし、取り付けたカメラ越しに、電化製品を操作する技術も開発中だ。
 一方、理化学研究所などのチームは、脳波を使い、自分が乗る車いすを動かすことに成功した。足を動かす様子をイメージすると前進し、右手や左手をイメージするとそれぞれ右や左に曲がることができるという。
 ■病気診断も
 2人は最後に、東京工業大学発のベンチャー企業「脳機能(きのう)研究所」(横浜市緑区)を訪ねた。同社では、アルツハイマー病やうつ病などの患者を脳波で見分ける方法を研究している。脳に病気があると、健康な人に比べ脳波の出方が不安定になることに着目(ちゃくもく)し、脳のどの部位で脳波が不安定になっているかを調べる。診断(しんだん)を行う際の参考データになるかもしれない。  通常、アルツハイマー病は問診(もんしん)や磁気共鳴画像(じききょうめいがぞう)(MRI(エムアールアイ))などで診断されるが、脳波は安価で安全に計測できる利点がある。同社の武者利光(むしゃとしみつ)会長(79)は東工大を退職後も18年以上、脳波の研究を続けている。「面白いことが次々わかっています。研究はやめられませんよ」と笑う。
 「拙者(せっしゃ)も脳波を使った新しい忍術を編み出すでござる」と、なにやら一心不乱(いっしんふらん)にうなり始めたイカ丸。理科子先生は「その集中力を勉強にも発揮(はっき)してね」と念押しした。(木村達矢)
 ◆簡単に計測広がる用途
 「人間の脳の活動を見たい」という脳科学者らの願いは、脳波計をはじめ、多くの装置を生み出してきた。
 脳血流(けつりゅう)の状態から、神経(しんけい)活動が活性化(かっせいか)した場所を推測できる「機能的MRI」や「光トポグラフィー」は、脳の活動場所が、専門家以外でも一目で見分けられる。その結果、「ある脳部位を活性化すれば、その部位に関係する能力を鍛(きた)えられるのでは」との考え方も一般に広まった。だが、科学的根拠(こんきょ)は乏(とぼ)しく、脳科学者らでつくる日本神経科学学会(にほんしんけいかがくがっかい)も今年1月、俗説(ぞくせつ)の拡大を警告(けいこく)する声明を出した。
 脳波は計測が比較的簡単(ひかくてきかんたん)で、今後も普及(ふきゅう)する可能性が高い。ただ、うそ発見器としての利用など、本人も知らない情報が他人に読み取られる恐れがある。脳科学の倫理(りんり)的な規制(きせい)についても議論していく必要がある。
 〈脳波〉
   脳の神経細胞は電気信号で情報をやりとりしている。頭皮(とうひ)に電極(でんきょく)を置くと、神経活動にともなう電気的な変化が計測できる。脳波には周波数(しゅうはすう)の違う波形が混ざり合っており、リラックスしているときに比較的出やすいα波(アルファは)などに分類されている。また、就寝中は、睡眠(すいみん)の深さによっても脳波パターンは異なる。
 〈ALS〉
 全身の筋力が低下し、最終的には自発呼吸(じはつこきゅう)さえもできなくなる原因不明の難病(なんびょう)。体は動かせなくても意識は鮮明(せんめい)で、まぶたの動きなどで、家族らと意思疎通(いしそつう)を図ることはできる。まぶたも動かせなくなった場合、意思を確認する手だてはなかったが、最近、脳活動の変化を計測し、意思を読み取ろうという研究が行われている。
 〈MRI〉
   人体を傷つけることなく、体内の様子を3次元的に観察(かんさつ)できる装置。内臓(ないぞう)や脳の変化などを鮮明に観察できるため、医療現場では診断に広く使われている。放射線(ほうしゃせん)など人体に有害な物質を使わない。


【写真説明】
◇イラスト カサネ治
◇キャラクター 唐沢なをき
 図=脳波を利用した技術」(全文)

 
 
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◆2010/10/17 「完全な人間を目指さなくてもよい理由 [著]マイケル・サンデル」
 『毎日新聞』2010-10-17
http://book.asahi.com/business/TKY201010190263.html

 「完全な人間を目指さなくてもよい理由 [著]マイケル・サンデル
 [掲載]2010年10月17日 [評者]森健(ジャーナリスト)
 ■生命科学産業の「善」とは
 今月8日米バイオ企業のジェロン社は、世界初の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使った臨床試験を開始した。対象は胸部脊髄(せきずい)損傷の患者でES細胞の発達で運動機能を再生させる計画。うまく行けば、パーキンソン病やALSなど神経系疾患を改善する希望の光となる。
 今世紀花開くと言われる再生医療は、世界のバイオ系企業が注視する大マーケットだ。だが、ES細胞が不妊治療での余剰受精卵を使用することでも明らかなように、先進的な生命科学のヒトへの適用は倫理的な議論が欠かせない。
 この種の議論に深く関(かか)わってきたのが、『これからの「正義」の話をしよう』のサンデル教授だ。本書は、発展する生命科学の技術はどこまで適用されるべきかを同氏が考察した論考集である。
 すでに米国ではヒトの生命や身体を操作するビジネスは数多くある。髪や肌の色から身長や知能まで「理想」の子どもをつくる精子や卵子を選択できるサービス、スポーツ選手がドーピングで手を出す薬剤、その先には遺伝子操作まで見据えられている。こうしたサービスが普及することがよいのか、悪いのか、また、それはなぜなのか。「正義」の本でも見られた、わかりやすい具体例と丁寧な論理展開で論考を進める。
 従来的な優生学の流れも踏まえて進む議論は生命科学ビジネスでの「善」とは何かを考えさせる。
 林芳紀・伊吹友秀訳」(全文)

 
 
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◆2010/10/21 「ALS:療養環境改善要望に県回答 協会県支部に /島根」
 『毎日新聞』2010-10-21
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20101021ddlk32040549000c.html

 「ALS:療養環境改善要望に県回答 協会県支部に /島根
 県は20日、筋力が低下する難病・筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者らでつくる「日本ALS協会県支部」(景山敬二支部長)が9月に提出した療養環境改善の要望に回答した。
 症状が進むと気管切開を要する人工呼吸器の装着が必要で意思疎通が難しくなることから要望していたコミュニケーションボランティアの派遣や養成について、県は養成講座を9月から開催したことを報告し、派遣は受け入れる医療機関の調整などを検討課題とした。たん吸引ができる訪問介護員養成は「技術が向上するよう検討したい」とした。
 錦織厚雄健康福祉部長は「情報や(患者の)気持ちを聞き、少しでも良くしていきたい」と述べた。景山支部長は前向きな回答を歓迎した一方で「細かな面では不十分な所があり、協力していきたい」とコメントした。【御園生枝里】
毎日新聞 2010年10月21日 地方版」(全文)

 
 
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◆2010/10/24 「ALS患者らが支援呼びかける 宮崎の街頭で /宮崎県」
 『朝日新聞』2010-10-24

 「ALS患者らが支援呼びかける 宮崎の街頭で /宮崎県
 運動神経が侵され全身の筋肉が動かなくなり、会話や呼吸も困難になる原因不明の難病、筋萎縮性側索(きんいしゅくせいそくさく)硬化症(ALS)の患者や家族らでつくる日本ALS協会県支部が23日、宮崎市中心部で街頭キャンペーンを行った。
 約30人のボランティアがALSについて紹介するチラシを配ったり、支援のための募金を呼びかけたりした。
 同支部によると、県内にはALSに苦しむ患者が約100人いるという。約20年にわたり闘病生活を送る同支部長の平山真喜男さん(58)=宮崎市佐土原町=は「ALSについてより多くの人に知ってほしい」と自身も車いすに乗ってチラシを配った=写真。
 県難病相談・支援センターの首藤正一センター長(76)は「啓発活動を通じて県民に関心を持ってもらい、支援の輪を広げられれば」と話した。募金などの問い合わせは同支部(0985・74・0529)へ。


【写真説明】山真喜男さん(58)=宮崎市佐土原町=は「ALSについてより多くの人に知ってほしい」と自身も車いすに乗ってチラシを配った」(全文)

 
 
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◆2010/10/24 「ALS患者ら窮状訴え 宮崎で街頭キャンペーン=宮崎」
 『読売新聞』2010-10-24

 「原因不明の難病の一つ、筋萎縮(いしゅく)性側索(そくさく)硬化症(ALS)への理解を促す街頭キャンペーンと募金活動が23日午後、宮崎市中心部で行われた。
 日本ALS協会県支部が主催。ALSは、突然運動神経が侵され、手足などの自由が徐々にきかなくなる難病。発病後3?5年で寝たきりになることが多く、最悪の場合、人工呼吸器なしには生きられなくなる。国の特定疾患治療研究事業の対象として研究が進められているが、有効な原因や治療法は見つかっていない。
 ALS患者は県内に約100人、全国には約9000人いるとみられるが、大半が車いすか寝たきりの状態だという。県難病団体連絡協議会の首藤正一会長は「状態が状態だけに、街頭で窮状を訴えたくてもできない患者が多い」とそのジレンマを説明する。
 また同支部などによると、ほとんどの都道府県で難病患者への医療費負担が重くなっていることから、同支部の平山真喜男支部長は「私たちが声を上げなかったら、医療費の助成を削られてしまうのではないか」と不安を隠せない様子だ。
 平山支部長は、20年間ALSの闘病生活を送っており、この日は車いすから呼びかけた。「ALSは、誰がかかってもおかしくないので人ごととは思わないで。残された人生のなかで、誠心誠意この病気のことを訴えたい」と話していた。


【写真説明】宮崎市中心部で行われたALSの啓発キャンペーン
」(全文)

 
 
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◆2010/10/25 「演劇:33の変奏曲(ル・テアトル銀座) ベートーベンの本質に迫る」
 『朝日新聞』2010-10-25
http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20101025dde012200068000c.html

 「黒柳徹子主演による「海外コメディ・シリーズ」は24作目となるが、音楽など芸術家を扱ったものにマリア・カラスを演じた「マスター・クラス」(毎日芸術賞受賞)など佳品が多い。今回も、楽聖ベートーベンの本質に迫って飽きさせない。モイゼス・カウフマン作、丹野郁弓訳、高橋昌也演出。
 ニューヨークに住む音楽理論学者キャサリン(黒柳)=は、難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症に侵されながら、ベートーベンが最晩年、なぜ「33の変奏曲」に取り組んだか研究を続け、娘クララ(朴瑠美)の反対を振り切り、ドイツ・ボンのベートーベンハウスに行った。
 現代と交錯する形で、19世紀初頭のベートーベン(江守徹)=の行動が描かれる。やり手の楽譜出版者ディアベリ(大森博史)は自作のワルツを元に変奏曲集の出版を企画した。ベートーベンは一度は断ったものの、平凡なワルツの原曲に「豊かな鉱脈」を見いだし、結局、33曲にわたる大変奏曲を完成させた。彼は耳の障害に悩みながら、自由な作曲活動のため、安易な貴族の庇護(ひご)を嫌っていた。
 キャサリンはベートーベンハウスで、手書きの譜に触れ、彼の素顔を見る思いがするが、病状は進む。
 頑固でわがままで、ユーモアもある大作曲家を江守が存在感を持って演じた。死の予感を持ちながら、「音楽の喜びとは何か」を突き詰めるキャサリンの思いを黒柳がうまく出している。「33の変奏曲」などピアノ生演奏の浅井道子を特筆したい。31日まで。(高橋豊)
毎日新聞 2010年10月25日 東京夕刊」(全文)

 
 
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◆2010/10/26 「[ALS・選択のいま](上)家族を思い「延命しない」(連載)=青森」
 『読売新聞』2010-10-26

 「青森市の康子さん(50)=仮名=は、県立中央病院神経内科の診察室で男性医師と向き合った。2009年1月。筋萎縮性側索硬化症(ALS)が進行し、明瞭な発音も難しくなってきていた。
 「そろそろ人工呼吸器のことを考えないといけません。どうしますか」
 「つけません」
 医師の問いに、ひと言ずつゆっくりと、だが決然と言い切った。延命を求めず自然死を受け入れると、宣言した瞬間だった。
 「やっぱりな」。立ち会った夫の陽介さん(51)=仮名=は新婚当初の約束を思い出していた。お互い延命治療はしない??。
 ALSは意識と感覚がはっきりしたまま、呼吸筋を含む全身の筋肉が衰えて指1本動かせなくなる過酷な難病だ。呼吸器をつければ10年以上の延命も可能だが、二度と外せない。病状が進むにつれ、意思疎通も難しくなる。
 康子さんが異常に気づいたのは03年秋。食事中に口の中や唇をかむようになり、ろれつも回らなくなった。
 かみ合わせが悪いのか。ストレスなのか。歯科に始まり、心療内科に整形外科。九つの病院を回ったが原因がわからず、診断がついた時には2年がたっていた。
 「発病から数年で呼吸困難になります。延命には呼吸器が必要です」
 医師の淡々とした説明に、最初に頭に浮かんだのは夫と2人の娘のことだった。「私がいなくなったら、ご飯は誰が作るのかな」
 呼吸器を拒む覚悟を最初から決められたわけではない。家族との時間を自ら断ち切る選択の重さに心は揺れた。
 ALSに関する本を読みあさり、闘病が想像以上に厳しいと知った。呼吸器を装着すれば、痰(たん)の吸引などで24時間の介護が必要となる。夫が仕事を辞める事態にもなりかねない。
 「家族に迷惑はかけられない」。半年ほど悩み抜いて出した結論だった。
 県内の患者数は約120人。しかし長期の受け入れ態勢が整っている病院は2か所に過ぎない。県が月7時間の訪問看護を無料提供しているが、その程度では負担軽減は到底無理だ。
 「ALSをめぐる医療も介護もすべて、マンパワー不足」。県ALS協会事務局の竹内千賀子さん(53)は、患者が生きたくとも生きられない現状を嘆いた。日本ALS協会によると、呼吸器装着を拒む患者は全国で約7割に上る。「家族への負担」がその最大の理由だ。
 康子さんの病状はいまも確実に進行している。高校生の次女(16)の弁当を作るのに、2時間もかかるようになった。はしを持つ手がままならず、何度もおかずをこぼしてしまう。
 若い頃の約束があるとはいえ、陽介さんはまだ、妻の決断を完全には受け止めきれていない。最近も、夕食後にさりげなく尋ねた。
 「もう一度呼吸器のこと考えたら」
 だが、すぐに返ってきた言葉に迷いはなかった。
 「もう決めたことだから」
       ◇
 呼吸器で命をつなぐか、自然死を選ぶかの過酷な選択を迫られるALS患者。県内初の「ALS患者・家族の集い」が開かれて今月で13年を迎えたのを機に、その現状を報告する。


【写真説明】ゆで卵の殻を、時間をかけてむく康子さん。次女の弁当づくりにかかる時間はかつての2倍になった
」(全文)

 
 
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◆2010/10/27 「野村進さんが選ぶノンフィクション10冊「重いからこそ、おもしろいっ」」
 『朝日新聞』2010-10-27
http://book.asahi.com/special/TKY201010280387.html

 「〈秋の読書特集〉人生にいつも本を/生と死描くノンフィクション
 生死不明高齢者の問題、幼児虐待死事件……。私たちの社会は何を見落とし、失ってきたのだろうか。生と死を考えるうえで基本になるノンフィクションの名作を、ノンフィクション作家の野村進さんにあげてもらった。また身体と心にかかわる秀作を数多くつくり続けている医学書院の仕事を紹介する。
 現代の「生と死」を描いたノンフィクションって、これ読んだだけで、若いヤツはぜったい「オモッ!」て言うだろう。「気持ち悪い」を「キモッ!」て言うみたいに。
 でも「重い」だけでは片付けてもらいたくない。重いけれど、おもしろい。いや、重いからこそ、おもしろいって、そんなふうに誘い込みたい。
    *
 それにしても、いきなり(1)『心臓を貫かれて』じゃハードすぎるかな。著者の兄ゲイリー・ギルモアは、1976年に2人を射殺したあげく、自ら志願して銃殺刑に処せられた。その生涯と一家の呪われた歴史を、たまたま有名な音楽ライターになっていた実弟が、徹底的に取材してえぐり出した。凄(すさ)まじい暴力と背中合わせの愛がぎっしり詰まった、奇跡みたいな作品だ。
 日本にも、連続ピストル射殺事件の死刑囚・永山則夫を描いた(2)『死刑の基準』がある。獄中結婚をした妻や裁判長までが、永山の人生に吸い寄せられながら、法廷を変えていく。その緊迫感たるや、並大抵じゃない。
 戦場も処刑場のようなものだ。(3)『そして戦争は終わらない』を読めば、イラク戦争が皮膚感覚でわかる。たとえば、自爆テロが起きる。自爆犯の首だけが、現場から大皿に載せられて運ばれてくる。顔を見ると、驚愕(きょうがく)の表情を浮かべている。そこで著者は思う、この男は次に何が起きるか知らないまま死んだんじゃないか、と。
    *
 ちょっと息抜きをしよう。と言っても(4)『人間臨終図巻』だけど(笑)。15歳で火あぶりにされた八百屋お七から、自称121歳まで生きた泉重千代まで、900人以上もの死に際が描かれている。で、著者がどうやら一番幸福な死に方と思っているらしいのが、恋人・阿部定との“愛のコリーダ”でアレをちょんぎられちゃった石田吉蔵なんだ(笑)。
 死に際とくれば、当然(5)『臨死体験』である。人が死に瀕(ひん)したとき、「まばゆい光に包まれた」「三途(さんず)の川を見た」「魂が肉体から抜け出した」といった不思議な体験をすることがある。それは現実の体験なのか、それとも単なる脳内現象なのか。著者は脳内現象説に与(くみ)しかけるが、体外離脱をして見たとしか考えられない臨死体験者の証言が、最後の謎となる。よくぞまあこれだけ調べあげたものだ。
 やっぱり脳は不思議である。(6)『壊れた脳 生存する知』の著者は、度重なる脳卒中による高次脳機能障害のせいで、物を見るときの遠近感がない。階段を目の前にしても、それが上りなのか下りなのかがわからない。ところが、医師の著者は障害を逆手に取り、自分の脳を研究対象にして、神経心理学を深めていくのだ。
 自身の病を対象化しつつ、おびえたり打ちひしがれたりする我が心からも目をそらさない。47歳で卵巣がんに冒された(7)『がん患者学』の著者も、その姿勢を貫いた。彼女は、がんの長期生存者たちを訪ね歩き、問いかける。あなたは、どのようにして生き延びてきたのか、と。渾身(こんしん)の作とは、この一冊のことだ。
 (8)『逝かない身体』は、難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)に罹患(りかん)した母を、12年間介護した末に看取(みと)った記録。あるとき、意思の伝達すらできない病母の身体から、声なき声が聞こえてくる。「あなたたちといたいから、別れたくないから生きている」。かくも生きる意味が結晶化されたかのような言葉が、本書にはきらきらとちりばめられている。
    *
 最後は、意外な視点からの2作を――。(9)『肥満と飢餓』は、怒りの書だ。なぜ世界中で10億人以上が肥満に悩む一方で、同じく10億人以上が飢餓に苦しめられているのか。追及の矛先は、世界の食糧貿易の4割を支配する「多国籍アグリビジネス」や、市場統合と貿易自由化を推し進めてきた国際通貨基金(IMF)に向かう。
 そして、私のお気に入りの一冊(10)『シャドウ・ダイバー』。沈没船の捜索ダイバーが、深海の底に沈んでいるナチスの潜水艦「Uボート」を発見する。そこから始まる生者と死者の邂逅(かいこう)は、長い旅路の果てに、かつての敵と味方の抱擁にたどりつく。文句なしにおもしろい海洋冒険ノンフィクションの金字塔である。
    ◇
 のむら・すすむ 1956年生まれ。ノンフィクション作家、拓殖大学教授。著書に『コリアン世界の旅』『日本領サイパン島の一万日』『千年、働いてきました』ほか。

 ◆野村さんが薦める10冊
 (1)『心臓を貫かれて』(上下)(マイケル・ギルモア著、村上春樹訳、文春文庫・上700円、下740円)
 (2)『死刑の基準』(堀川恵子著、日本評論社・2625円)
 (3)『そして戦争は終わらない』(デクスター・フィルキンス著、有沢善樹訳、NHK出版・2625円)
 (4)『人間臨終図巻』(1〜3)(山田風太郎著、徳間文庫・各760円)
 (5)『臨死体験』(上下)(立花隆著、文春文庫・上700円、下740円)
 (6)『壊れた脳 生存する知』(山田規畝子著、角川ソフィア文庫・780円)
 (7)『がん患者学』(1〜3)(柳原和子著、中公文庫・1、21200円、31100円)
 (8)『逝かない身体』川口有美子著、医学書院・2100円)
 (9)『肥満と飢餓』(ラジ・パテル著、佐久間智子訳、作品社・2730円)
 (10)『シャドウ・ダイバー』(上下)(ロバート・カーソン著、上野元美訳、ハヤカワ文庫・各735円)


【写真説明】野村進さん」(全文)

 
 
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◆2010/10/27 「医学書院刊行本、相次ぎ受賞 「身体」の豊かさ 言葉に」
 『朝日新聞』2010-10-27
http://book.asahi.com/special/TKY201010280388.html

 「〈秋の読書特集〉人生にいつも本を/生と死描くノンフィクション
 医学書院から刊行された本が今年、ノンフィクションの賞を相次ぎ受賞し、話題になっている。野村進さんのお薦めにもある『逝かない身体』が大宅壮一ノンフィクション賞、『リハビリの夜』(熊谷晋一郎著)が新潮ドキュメント賞に選ばれた。医療業界だけでなく、一般読者ともつながり、快進撃を続けている。
 医学書院(東京都文京区)は、医学や看護学の本を刊行している出版社。『逝かない身体』は日に日に体が動かなくなっていくALSの母を介護した記録。『リハビリの夜』は脳性まひの東大医学部卒の医師が、自由にならない身体とつきあってきた三十数年の思考と経験をユーモアを交えてつづる。
 両作を担当したのは同社の白石正明さん(52)。看護出版部4課長として看護の雑誌や参考書づくりで多忙な日々だが、その合間をぬって、10年ほど前から「ケアをひらく」という単行本のシリーズの編集を手がけている。受賞の2作もこのシリーズだ。〈「科学性」「専門性」「主体性」といったことばだけでは語りきれない地点から《ケア》の世界を探る〉ことを目的に始めたシリーズは執筆陣も多彩で、内田樹、上野千鶴子、中井久夫、立岩真也、広井良典の各氏らの名が並ぶ。
 「うちの本は医学書の棚に並べられることが多いのですが、このシリーズは一般書の棚に並べられることもあるようで、特に受賞2作は一般の方からの反応が多いんです」と白石さん。
 〈治ること〉や〈何かができるようになること〉を目的とした場所からはみえてこない面白さが、介護や看護の現場にはある。ままならないことが多いからこそ感じられる、その豊かさを言語化したかったという。
 「例えば〈老い〉って治るもんじゃないですよね。でも、どんな風になっても最後まで見届けるよって無責任にも宣言してしまう……。そんな“受けの豊かさ”を感じられる本を出したいんです。勝ち負けの本には興味がない。勝つ人なんて少ししかいませんし」
 白石さんは、2人の文章を読んだり会ったりするなかで、「受けの豊かさ」に感銘を受け本の執筆を依頼したという。「問いを与えられていかに早く答えるかを競うのが普通の世界だとしたら、この2人は、そもそも問いがおかしいんじゃないの、と〈問いへの問い〉を提示してくれるような力がある。問いにこだわっていた自分がばかばかしく思えてくる。2人の作品からはそんな明るさが感じられるんです」  社会派のルポでない、身体を扱った本がノンフィクション賞で評価されたことは、「〈身体〉や〈自分〉の中にすでに社会が溶け込んでいるということが広く認知されたようで本当にうれしいです」と語る。(加来由子)


【写真説明】近藤悦朗氏撮影 医学書院の白石正明さん」(全文)

 
 
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◆2010/10/27 「[ALS・選択のいま](中)「生きる」心から伝える(連載)=青森」
 『読売新聞』2010-10-27

 「「お父さん、庭のマルメロがきれいな実をつけたよ」
 10月下旬の昼下がり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)で青森市の国立青森病院で入院生活を送る至朗さん(67)=仮名=に、妻の絹子さん(62)=仮名=が自宅の庭の様子を伝えた。
 至朗さんののどには人工呼吸器。声は出せない。だが左ほおを何度かかすかに動かすと、顔近くのセンサーが感知し、目の前のパソコンの画面に返事が浮かんだ。
 「写メで送って」
 庭いじりが大好きだった至朗さんにとって、季節の移ろいを絹子さんから聞くのは一番の楽しみだ。
 至朗さんは1998年にALSを発症。翌年入院し呼吸器をつけて以降、長らく文字盤に頼る日々を送った。意思は何とか伝えられても、外界とは切り離された生活。「どうしてこんな人生を送らなきゃいけないんだ」。絶望しかけたのも、1度や2度ではない。
 そんな毎日が一変したのは8年ほど前。ALS患者向けに開発されたパソコン「伝の心」と出会い、「心が一気に晴れた」。インターネットに電子メール、ワープロ機能。スムーズに意思疎通できる喜びに心が踊った。
 伝の心を開発したのは、日立製作所の技師小沢邦昭さん(63)だ。ALSの先輩を見舞い、衝撃を受けたのがきっかけだった。
 のどには呼吸器がつけられ、声が出せない。機能が残る右手をかすかに動かして意思を伝えていた。
 「相手の言うことはわかるのに言いたいことは言えないなんて、どれだけつらいだろう」
 先輩のために??。5年の試行錯誤を経て97年に完成させたときには、先輩はすでに他界。それでも、「以心伝心」の願いを込めた伝の心は、ALS患者に生きる希望を与える貴重な存在となった。
 至朗さんの今の目標は、伝の心を普及させること。伝の心の魅力を伝えきれず、ひとりの患者が自然死を選んでしまったとの悔いがあるからだ。
 2004年10月。至朗さんの病室を50代の夫婦が訪れた。夫はALS。自然死か、呼吸器をつけての延命かを選びかねていた。  「呼吸器装着では迷ったが、今ではつけて良かったと思っている」。伝の心で精いっぱい伝えたつもりだった。しかし数年後、男性が呼吸器の装着を拒んで亡くなったと知った。
 「伝の心を使えば、簡単に気持ちを伝えることができる。でも、それを伝えきれなかった」。贖罪(しょくざい)の思いを込め、その価値を体験に基づいて書きつづった紙はB4で3枚。青森病院はもちろん、ALSの診断ができる県立中央病院のロビーにも置き、看護師を養成する県立保健大でも配布してもらった。
 「多くの人に関心を持ってほしい。たとえ動けなくても、私たちは生きているし、生きていけるのだから」。病床から発信を続ける至朗さんの、心からの願いだ。


【写真説明】かすかな筋肉の動きで文字を打てる「伝の心」。症状が進んだALS患者には、生きる希望となっている」(全文)

 
 
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◆2010/10/27 「こんにちは広島:ALS患者の訪問演奏を続けるバイオリニスト・津田芳樹さん /広島」
 『毎日新聞』2010-10-27
http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20101027ddlk34040603000c.html

 「◇喜び共有、どこへでも−−津田芳樹さん(47)=佐伯区
 「こちらが元気をもらっているんです。こんなに喜んでもらえるならどこへでも」
 広島交響楽団でバイオリンを担当し、休みの日には筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者らでつくる「日本ALS協会県支部」の会員宅を訪れたり、公共施設で演奏を続けている。今月9日には、福山市内で患者や家族ら約20人を前にコンサートを催し、シンセサイザー奏者の妻典子さん(48)と、バリトンのボーカルで義理の弟、岡村正史さん(45)と共演した。
 京都府出身。高校時代にバイオリンと出会い、大阪音楽大学に進んだ。大学卒業後、京都の室内楽団を経て、91年に広島交響楽団に入団した。99年から、典子さんと2人でミニコンサートを開くようになった。
 日本ALS協会広島県支部とのかかわりは05年。典子さんと南区の教会で演奏をした時、県支部の会員が演奏を聴きに来ていた。終演後に「病院や自宅に来られますか」と尋ねられ、「どこへでも行きます。150センチ四方あればコンサートができます」と答えた。
 その年の5月、患者の自宅を初めて訪問した。寝たきりの鈴木喜久正さん=安芸区=で、「表情の筋肉は動かないのに、口をぱくぱくして一緒に歌ってくれました」と振り返る。06年1月に亡くなった鈴木さんは、妻の加代子さんのために「愛しき人よ」と題した自作の曲を残した。鈴木さんが筋力を失ってからパソコンで作った曲を、バイオリンで演奏できるようにアレンジした。今月の福山でのコンサートでも披露し、加代子さんは「夫がそばにいるよう」と感動していた。アレンジを加えながらも「作曲者の意図をなるべくよく伝えられるように演奏している」と言う。
 鳥羽一郎「兄弟船」、松田聖子「抱いて」、コブクロ「蕾(つぼみ)」、松任谷由実「春よ、来い」、さだまさし「精霊流し」−−。バイオリンで弾くようには思えない曲も、リクエストに応えてアレンジして演奏する。最初のあいさつで反応が無かった人が、演奏を聴くと号泣することもあったという。
 「音楽はコミュニケーションのツール。喜びを分かち合える。これからも頑張っていきたい」【北浦静香】
毎日新聞 2010年10月27日 地方版」(全文)

 
 
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◆2010/10/28 「[ALS・選択のいま](下)ヘルパー「たん吸引」着々(連載)=青森」
 『読売新聞』2010-10-28

 「弘前市田町の訪問看護ステーション「たまち」。訪問看護師の三奈美さん(58)=仮名=の手元に5枚つづりの資料がある。昨年秋、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の介護のために系列の介護事業者のヘルパー18人を対象に開いた、たんの吸引の研修会で配ったものだ。
 人体の構造に、呼吸器をつけた患者の体位変換のやり方、吸引の手順などが三奈美さん手書きの図入りで説明してある。
 「休日の講義だったのに、3か月の期間中、欠席者はいなかった。何度も質問に来る人もいて熱意を感じた」
 呼吸器をつけたALS患者は、たんの吸引が欠かせない。だが吸引技術を身につけたヘルパーは県内では、まだ少ない。
 三奈美さんが吸引法の指導を始めたのは、訪問看護していた同市内の女性患者、敦子さん=仮名=の訴えがきっかけだった。
 担当のヘルパーが帰った直後のこと。呼吸器を装着して声を出せない敦子さんが、文字盤を目で懸命にたどって三奈美さんに訴えた。
 「い や だ」
 女性患者はそれから数十分かけ、ひらがなを一文字ずつ追った。
 「たんとうのかいごへるぱーがたんのきゅういんをしてくれない」
 顔の筋肉をほとんど動かせず、表情だけでは不快な気持ちは分からない。それでも、懸命に気持ちを伝えようとしているのを痛いほど感じた。
 「何とかしてあげたい」。看護師は激務だが、土曜日なら時間が取れる。ボランティアで講師を務めようと決めた。
 ヘルパーによる在宅ALS患者のたんの吸引は2003年に認められた。だが、吸引には医療知識が必要とあって、実際に吸引しているケースはあまりない。宮城県では保健所がヘルパー向け講習会を開いているが、本県ではそれもなく、三奈美さんのような民間頼みなのが実情だ。
 「家族に吸引を頼まれても、医療知識がないヘルパーでは対応できない。研修などで、技術を身につけたヘルパーを増やす必要がある」。県ホームヘルパー連絡協議会の成田時江会長(54)はヘルパー対象の講習の重要性を訴えた。
 三奈美さんのもとには今でも、研修に参加したヘルパーが質問に訪れる。
 40代の女性ヘルパーが手応えを語る。
 「最初は不安だったけれど、ヘルパーが吸引することで患者さんや家族が少しでも楽になれば、これほどうれしいことはない」
 「患者さんに合わせたヘルパーを私たちが作りましょう」を合言葉に始まった地道な試みは、確かな実を結びつつある。
 敦子さんの元にも、吸引を学んだヘルパーが出向くようになった。たんを吸引すると、敦子さんが目尻にかすかなしわを作りながら、文字盤に視線を送った。
 「あ り が と う」(おわり)(この連載は野口季瑛が担当しました)。


【写真説明】5枚のプリントには、たんの吸引の手順などが詳細に記されている」(全文)

 
 
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◆2010/10/28 「映画『私の愛、私のそばに』韓国中が悲涙したNO.1ヒット、ラブストーリー、いよいよ日本公開。」
 『CINEMA TOPICS ONLINE』2010-10-28
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=11137

 「パク・チンピョ(『ユア・マイ・サンシャイン』)監督最新作
 キム・ミョンミン(「白い巨塔」)、
 ハ・ジウォン(『TSUNAMI-ツナミ-』)競演。
限りある命と知りながら彼女を愛した。永遠の愛を信じて彼を支えた。
韓国中が悲涙したNO.1ヒット、ラブストーリー、いよいよ日本公開。
『ユア・マイ・サンシャイン』のパク・チンピョがメガホンをとり、ドラマ「白い巨塔」のキム・ミョンミン、『TSUNAMI-ツナミ-』のハ・ジウォンが主演を飾る、観る者の想いの分だけ切なさが募る『私の愛、私のそばに』。韓国では、同年公開のラブ・ストーリーとしては年間No.1の大ヒットを記録し、主演のキム・ミョンミンは韓国で最も権威ある映画賞、大鐘賞と青龍賞の主演男優賞を独占、ヒロインを演じるハ・ジウォンも青龍賞の主演女優賞に輝くなど数々の快挙を成し遂げている本作が、2011年2月5日(土)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国順次公開いたします。
原因も有効な治療法も見つかっていない難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患うジョンウ。唯一の肉親である母親が亡くなった日、ジョンウは幼なじみの葬祭ディレクターのジスと再会し、恋に落ちる。一年後、結婚式を挙げた二人の新居は病院。ジョンウはスプーンを握ることも精一杯だが、いつもそばで見守ってくれるジスのお陰で、誰よりも闘病意志は強い。しかし、ジョンウの状態は悪化の一途を辿り、日々、変貌していく自分の身体を受け入れ難い。ジスの優しさにさえ冷たくしてしまう。そして絶対避けたかった言語障害が始まった・・・。監督は『ユア・マイ・サンシャイン』のパク・チンピョ。主演は、本作のために20kg以上の減量をして役作りに挑んだ「白い巨塔」「ベートーベン・ウイルス」のキム・ミョンミン。ヒロインのジス役には『恋する神父』『TSUNAMI-ツナミ-』のハ・ジウォンが演じている。


【写真説明】映画『私の愛、私のそばに』」(全文)

 
 
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◆2010/10/28 「iPS細胞、「再生医療」まだ遠く、まず新薬研究で利用進む――希少疾患解明に期待。」
 『日本経済新聞』2010-10-28

 「毒性試験や病態モデル
 細胞を使って人体の機能を回復させる再生医療。次世代の医療技術として世界的に注目され、なかでも京都大学の山中伸弥教授が発見したiPS細胞(新型万能細胞)は様々な組織に成長する特徴に加え、日本発の技術として国内での実用化が期待される。ただ実用化へのハードルは多く、企業による再生医療事業の表舞台に登場するには時間がかかりそうだ。
 再生医療に使う万能細胞を事業化するために設立したリプロセル(横浜市)。iPS細胞から分化した心筋細胞の販売や、この心筋細胞を使った新薬候補の毒性試験の受託に取り組んでいる。
 昨年、タカラバイオと共に第1号企業として京大からiPS細胞の使用許諾を得て事業化。心筋細胞は5社程度に販売、毒性試験は10社程度から受託した。顧客の多くは国内外の製薬会社だ。
 新薬研究へのiPS細胞の利用形態は大きく2通りある。1つは新薬候補の毒性を調べる試験。動物の代わりにヒトの細胞で調べた方が臨床試験(治験)に移った後で副作用による開発中止などを減らせる可能性がある。
 だが試験の手段として定着するまでに時間がかかりそうだ。リプロセルの横山周史社長は「まだ試験受託や細胞購入の継続利用は見られない。顧客はiPS細胞の本格利用に向け、試験の実効性などを評価している段階のようだ」と指摘する。
 京大がiPS細胞を使った事業化で使用許諾を与えているのはリプロセルを含め国内外のベンチャー6社。ほかに国内を中心に製薬会社10社程度に研究目的の使用を許諾しており、大半は毒性試験での利用とみられる。
 先端医療開発特区(スーパー特区)の指定を受けてiPS細胞の実用化プロジェクトに参加する武田薬品工業は「試験に標準的に使えるかを評価している段階」と話す。
 もう1つの利用形態は病気の発生の仕組みを分析するための病態モデル作製だ。病気になった患者の皮膚細胞などからiPS細胞を作製し、病気の発生部分の組織に細胞が分化する過程から病気の仕組みを探る。
 現状の病態モデルは遺伝子組み換えなどで病気を発現させた動物を使っているが、iPS細胞ならヒトでの病気発現の仕組みが分かり、新薬の研究開発に役立つとみられている。
 特に先天的な遺伝子異常を原因とする希少疾患の仕組みの解明に役立つと期待される。米国ではALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者のiPS細胞から運動神経細胞を作製し、症状を発現させた例がある。
 とはいえ「ヒトでも病気の発現までに何十年もかかることがあるだけに、病態モデルの作製には時間がかかる」(山中教授)のが課題。新薬の研究現場に生かされるのはまだ先だ。
 京大は今月、再生医療への事業化では初めてとなる使用許諾を仏ベンチャーに供与したが、「細胞の分化に時間がかかって移植治療前に患者の症状が進行したり、移植後に腫瘍(しゅよう)化する恐れが残ったりするなど課題は多い」(山中教授)とも指摘する。新薬研究への利用が当面の実用形態になりそうだ。(小木曽由規)

iPS細胞の研究・事業化に参加している企業 
      iPS細胞の使用許諾を受けている
タカラバイオ(日)
   作製受託サービスのほか、解析サービスや作製用試薬の販売
リプロセル(日)
    毒性検査サービスや、神経細胞に分化させるキットの販売。iPS細胞から分化した心筋細胞も販売
   ディナベック(日)
iPS細胞の作製キットの販売
    セルラー・ダイナミクス・インターナショナル(米)
    分化した細胞の販売
アキシオゲネシス(独)
    分化した細胞の販売や毒性検査サービス
    セレクティス(仏)
    分化した細胞を移植する再生医療を実用化へ
    iPS細胞の実用化研究に参加
武田薬品工業、アステラス製薬、島津製作所
先端医療開発特区の指定を受け、効率的なiPS細胞の作製や計測装置を共同で開発
東レ、第一三共、味の素、川崎重工業など
新エネルギー・産業技術総合開発機構の支援を受け、効率的な作製法や安定供給法を研究」(全文)

 
 
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◆2010/10/31 「ALS患者サロン立ち上げに奔走 地元テレビ局記者」
 『日本海新聞』2010-10-31
http://www.nnn.co.jp/news/101031/20101031008.html

 「ALS患者サロン立ち上げに奔走 地元テレビ局記者
2010年10月31日
 全身の筋力が低下する神経系の難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)。患者組織がない鳥取県内で患者や家族の交流、情報交換の場をつくろうと、地元テレビ局記者が奔走している。自らも病と闘いながら療養環境の向上を訴え、初めての交流会が11月4日に鳥取大学医学部付属病院(米子市西町)で開かれることになった。
 参加を呼び掛けているのは、山陰放送記者の谷田人司さん(49)=米子市出身=。2008年8月にALSと診断された。現在は松江市内で在宅勤務。ニュースや特別番組の企画、構成を練りながら、患者会活動に取り組んでいる。「ALSは原因不明の病気。誰がかかるか分からず、みんなの問題。社会的なサポートを求める声を結集したい」と訴える。
 ALSは身体を動かすための神経が徐々に壊れていく原因不明の疾患。筋力の低下とともに、手足が動かなくなる▽食物を飲み込めなくなる▽発音障害▽呼吸障害-などの症状が生じる。治療法は確立されていない。
 谷田さんは人工呼吸器を装着しており声を出せない。わずかに動く右手の中指と左手の親指でパソコンのキーボードを懸命に打ち、五十音カードを指し示して意思を伝える。ホームヘルパー、訪問看護師の支えで在宅療養を続けているが、国の支援制度は複雑。ベッドに寝たきりの患者は少なくない。「患者と家族が孤立するのが一番心配」と憂える。
 鳥取県内には約40人のALS患者がいる。これまで交流は少なく、情報過疎も想像される中、鳥大病院の協力で試みとして患者サロンを開くことになった。
 県内初めてのサロンは同日午後1時から、同病院第2中央診療棟1階のカンファレンス室(あすなろサロン)で。谷田さんの呼び掛けで患者4人が参加する予定。「患者や家族がそれなりに集まれば、正式なサロンを立ち上げたい」と機運の盛り上がりに期待している。


【写真説明】闘病生活を送りながら患者組織の立ち上げを呼び掛ける谷田さん=29日、松江市内中原町の自宅」(全文)

 
 
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◆2010/10/31 「消防団員は女子大生 横浜で最年少 「地元に恩返しを」」
 『朝日新聞』2010-10-31
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201010310161.html

 「消防団員は女子大生 横浜で最年少 「地元に恩返しを」
2010年10月31日14時51分
 消防団で活躍する女子大生がいる。鎌倉女子大2年の松山千春さん(20)=横浜市西区=は、市内で最年少の女性団員だ。高校時代に父親を亡くし、近所の人に温かく見守られた経験から、「人の助けになりたい」と、この4月に地元の西消防団に入った。年長者に囲まれて、消火の訓練をしたり、花火大会の警備にあたったりしている。
 市消防局によると、市内の消防団員は7414人で、うち女性は809人(4月1日現在)。団員のほとんどは社会人で平均年齢は49.2歳。18〜25歳は全体の約1%にとどまる。松山さんは「同年代がやらないことを、あえて挑戦したかった」と話す。
 母親と2人暮らし。高校1年の時、父親を難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)で亡くした。母親が自宅で懸命に介護する姿を見ていた。父親のことは誰にも話さなかった。「母子家庭だと同情されたくなかった」。それから友達との遊びに夢中になったという。授業を休むなどして、「お母さんに心配ばかりかけた」。母親が警察に相談していたことも、のちに知った。
 「心配をかけた分、人の助けになることをしたい」。大学に進学し、考えが変わったという。危機管理を学ぶ講義で消防団の活動を知った。「地元の役に立てる」と思い、講義後すぐに自宅近くの消防署を飛び込みで訪れた。「困った時に近所の人が助けてくれたり、スーパーや病院で声をかけてくれたり。温かい人ばかりの生まれ育った町に恩返しができれば」
 3月に面接を受け、採用が決まった。採用担当者は「根性もあり、彼女の入団したいという熱意におされた」と話す。母親も喜んだという。
 現在は勉強やアルバイトをこなしながら、月に数回活動する。火災現場での消火活動は未経験だが、ホースを持っての放水や応急措置の訓練などに参加した。「責任も、やりがいもある。訓練を積んで、優しかったお父さんに、しっかりした姿を見せたい」(毛利光輝)


【写真説明】「先輩に負けないように頑張りたい」と語る松山千春さん=横浜市西区の西消防署」(全文)

 
 
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◆2010/11/01 「【NEC報道資料】「NEC難病コミュニケーション支援講座」、船橋で開催!〜“NPO×医療機関×企業”で、ITコミュニケーション支援の可能性を探る〜」
 『Web担当者Forum (プレスリリース) 』2010-11-01
http://web-tan.forum.impressrd.jp/r/n2u/items/77352

 「【NEC報道資料】「NEC難病コミュニケーション支援講座」、船橋で開催!〜“NPO×医療機関×企業”で、ITコミュニケーション支援の可能性を探る〜
企業リリース情報 - ソフトウェア・システム開発 - 2010年11月01日(月)
[日本電気株式会社]
NECはこのたび、ICT救助隊(注1)および社会医療法人 社団 千葉県勤労者医療協会船橋二和病院と協働し、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィー等の神経筋難病患者を中心とした重度身体障がい者のITコミュニケーション支援を目的とした「NEC難病コミュニケーション支援講座」を開催いたします。詳細は以下の通りです。

日 時:平成22年11月7日(日)10:00〜16:00
会 場:
 社会医療法人 社団 千葉県勤労者医療協会船橋二和病院
 千葉県船橋市二和東5−1−1 TEL:047−448-7111
 ※新京成電鉄「二和向台」駅から徒歩約6分
主 催:ICT救助隊
共 催:社会医療法人 社団 千葉県勤労者医療協会船橋二和病院
協 賛:NEC
参加者:医療従事者を中心に約40名
内 容:文末別紙をご参照下さい。

本講座は、NECの社会貢献活動の一つで、すべての人に優しい情報社会の実現を目的としたプログラム“NEC IT CONNECTION”(注2)の一環として、2008年度にスタートしたプログラムです。なお、本講座修了後も、最終受益者である重度身体障がい者が実際にITコミュニケーションが出来るようになるような、継続的フォロー(受講者からの相談対応・アドバイスやコミュニケーション機器の貸し出し等の人的・物的サポート)を実施してまいります。
NECでは、今後も全国各地域の医療機関で「NEC難病コミュニケーション支援講座」を開催し、1人でも多くの重度身体障がい者が自由にITコミュニケーションすることができ、社会とつながることを目指していきます。

以 上

(注1)ICT救助隊 http://rescue-ict.sakura.ne.jp/
NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会(注3)を中心に、IT支援ボランティア団体で活動をしたり、訪問看護事業等に従事している者が、横断的に情報を共有し活動を推進していくために2010年1月17日に結成。
 活動内容は、主にICT (Information & Communication Technology - 情報通信技術-) を活用した難病患者や重度障害者のコミュニケ―ション支援等。
(注2)NEC IT CONNECTION・・・
NECは、さまざまな要因によって社会的に孤立している人たちが、「IT」を活用することで自由にコミュニケーションがとれるようになり、これによって「人」や「社会」とのつながりを持つことができるようになるだろうと考えています。このような、NECが「デジタルデバイド解消」を目的として取り組む社会貢献活動を総称して「NEC IT CONNECTION」と呼んでいます。
(注3)NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
    http://www.sakura-kai.net/

<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>
NEC CSR推進部社会貢献室 池田
電話:(03)3798−9555
E-mail:s-ikeda@cw.jp.nec.com

<別紙>
[カリキュラム]
※スケジュールは変更になる場合がございます。
10:00 開会にあたり
10:10 コミュニケーションについて
透明文字盤の実習と携帯型会話補助機器体験
(レッツチャット、ペチャラ、トーキングエイド)
11:30 伝の心
12:00 昼食
12:50 伝の心

13:40 オペレートナビ 14:20 フリーソフトの活用HeartyLadder
15:10  新しい入力方法について
  視線入力マイトビー
脳インターフェース
16:00 終了

News2uリリース詳細へ
News2u.net
」(全文)

 
 
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◆2010/11/04 「コラム「南風」 デイゴを見て思うこと」
 『琉球新報』2010-11-04
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-169644-storytopic-13.html

 「コラム「南風」 デイゴを見て思うこと
2010年11月4日
 アンビシャスは首里城公園内で売店を運営しています。その首里城公園内にも大きなデイゴの木があり、通るたびに見上げるのが楽しみなのですが、今年はそのデイゴの花が少なかったのです。あの赤い花を見られずに残念な思いと異常気象からくる不安な思いで初夏を過ごしました。
 デイゴの花が少ない年は台風が少ないと聞いたことがあるのですが、なるほど今年は少ない。発生はしているものの沖縄本島に接近していないのでしょう。観光を主要産業としている沖縄としては台風が少ないことは良いことなのですが、珊瑚(さんご)の育成にとっては白化減少につながるらしく台風が少なすぎても困ってしまう。悩ましいところですね。
 そんな台風で生死にかかわるほど困るのは、人工呼吸器など医療機器を使用している筋萎縮性側索硬化症など難病の方々で、大勢います。難病を患い呼吸ができずに機械で呼吸を補っているのですが、その機械は電気で営まれているので台風による停電で命を絶たれてしまう恐れがあるのです。
 電力会社や消防署、一時避難をする病院やホームなどの協力もあってなんとかこれまで対応できているのでしょうが、避難先でも集中して大勢が来ると細やかな対応ができていないのが現状だと思います。どうすれば良いのでしょうか。
 自家発電機の導入や自家用車のシガーライターからの引き込みなどがありますが、電圧の安定性がなくメーカーの保証はされていないのであくまでも緊急時の一時対応でしょう。台風が少なくなって危機は減少しているのでしょうが、危機感も薄くなってしまうのは困るし、どうにか台風接近のたびに不安になる人たちを減少させたいですね。
 だけど結局は多くの人は人ごとなので、何も変わらないだろうとあきらめている自分が卑しいです。
(照喜名通(てるきなとおる)、認定NPO法人アンビシャス事務局長)」(全文)

 
 
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◆2010/11/05 「ALS患者ら初交流会」
 『読売新聞』2010-11-05

 「闘病の山陰放送社員谷田さん企画
 筋肉が徐々に動かなくなる進行性の難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症」(ALS)とたたかう山陰放送テレビ社員谷田人司さん(49)(松江市)が4日、米子市の鳥取大病院内で、患者や家族らが交流会を初めて開いた。谷田さんは9月に島根県内の患者らと交流するサロンを開設しており、「鳥取でも、不安や悩みを語り、励まし合える場を持ち続けたい」と話している。
 谷田さんは記者などを務めたが、2008年8月にALSと診断され、昨秋から在宅勤務に。右手中指と左手親指でパソコンを操作してニュースや特別番組を企画・構成。人工呼吸器を常時装着し、声を出せないため、カードに書かれた文字や数字を指して意思を伝えている。
 初の交流会には、鳥取県内の患者4人やその家族ら計約30人が参加、在宅療養の方法やALSと告知された時の心境を語り合った。妻が患者という米子市の男性(58)は「他の患者や家族と触れ合う機会はなかった。どんな支えが必要かなどの具体的なアドバイスをもらえて心強かった」。谷田さんは「患者や家族が前向きに生きられる世の中にしていくのが生きがい。その一歩を踏み出せた」と笑顔を見せた。
 交流会は当面、毎月第1木曜日の午後2時から開く。問い合わせは谷田さんの電子メール(taniyan@earth.ocn.ne.jp)か、鳥取大病院内の県難病相談・支援センター(0859・38・6986)。
(2010年11月5日 読売新聞)


【写真説明】闘病経験を伝える谷田さん(右、米子市の鳥取大病院で)」(全文)

 
 
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◆2010/11/01 「「声あげて医療変えよう」ALS患者・家族、米子で集い」
 『朝日新聞』2010-11-05
http://mytown.asahi.com/areanews/tottori/OSK201011040100.html

 「「声あげて医療変えよう」ALS患者・家族、米子で集い
2010年11月5日
 運動神経細胞が侵されて筋肉が縮む難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」の患者と家族の集いが4日、米子市西町の鳥取大学医学部付属病院であった。呼びかけの中心となった自らもALSと闘う山陰放送テレビ社員の谷田人司さん(49)は「行政や医療機関だけに任せていてはままならない状況を打破したい」と話している。
 谷田さんが体の異変に気づいたのは2007年夏。右手の指に力が入らずホチキスが留められなくなった。首が上がらず、足の運びが遅くなるなど症状は悪化。08年にALSと診断された。今は自宅で介護を受けながら、左手親指と右手中指でパソコンのキーをたたき、番組の企画や構成をする。気管を切開したので声も出せない。
 谷田さんは06〜09年、がん患者が集うサロンの取材に携わり、悩みを吐き出せる場所の大切さを痛感した。患者が結束して制度や行政を動かす姿も目の当たりにした。「患者の声こそが医療を変えると実感した」
 4日はALSの患者と家族約20人が集まった。参加者は意見や悩みを語り合い、谷田さんは50音が書かれた文字盤を指で示しながら「病気でも一人ひとりに役割があり、存在意義がある」と伝えた。
 ALSと闘病中の妻と参加した米子市の公務員の男性(58)は「進行性の病気なので今後のことも知りたいが、実際はいま困っていることを調べるのに精いっぱい。他の人の体験は最も有効な情報で生の声が聴けて良かった。また参加したい」と話した。
 鳥取大病院にはパーキンソン病などの難病患者や家族が集う「あすなろサロン」がある。今回の集いはあすなろサロンを「間借り」して開かれた。谷田さんは「今日が第一歩。患者や家族が孤立しないで前向きに生きるには心のよりどころを設けることが重要」とし、県内でALS患者のサロンを定期的に開きたいと意欲を見せる。
 問い合わせは谷田さん(taniyan@earth.ocn.ne.jp)へ。(中村瞬)


【写真説明】サロン参加者と話し、笑顔を見せる谷田人司さん(中央)=米子市西町」(全文)

 
 
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◆2010/11/05 「ALS患者初の交流会 7組の患者家族ら意見交換」
 『日本海新聞』2010-11-05
http://www.nnn.co.jp/news/101105/20101105008.html

 「ALS患者初の交流会 7組の患者家族ら意見交換
2010年11月05日
 全身の筋力が低下する神経系の難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者組織がない鳥取県で、患者や家族の交流を深める場を設けようと、初めての交流会が4日、米子市西町の鳥取大学医学部付属病院で開かれ、療養面での不安などを話し合った。
 ALSは身体を動かす神経が徐々に壊れる難病。筋力の低下とともに、手足の機能障害▽摂食障害▽発音障害▽呼吸障害-などが現れる。県難病医療連絡協議会によると、県内患者は約50人。
 会合には7組の患者や家族らが出席。日常生活には支障がないという人から、家族が人工呼吸器を装着して介護を受けている例まで進行状況はさまざま。「症状が軽いうちにケアマネジャーに意向を伝え準備しないと立ち往生する」とアドバイスがあったほか、うまく言葉が伝わらないことによるストレスの相談もあった。
 当面は同病院で毎月第1木曜日に開かれる難病患者らの「あすなろサロン」を拡大して意見交換を続けることを確認。集まりを呼び掛けた山陰放送記者の谷田人司さん(49)は「患者や家族が孤立せず、前向きに生きられる世の中にならないといけない」と話した。


【写真説明】療養に関する情報などを話し合う谷田さん(右から2番目)ら=4日、米子市西町の鳥取大学医学部付属病院」(全文)

 
 
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◆2010/11/05 「ALS:情報共有サロンが初開催 患者ら12人参加――鳥取大病院 /島根」
 『毎日新聞』2010-11-05
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20101105ddlk32040655000c.html

 「ALS:情報共有サロンが初開催 患者ら12人参加――鳥取大病院 /島根
 筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者や家族が悩みを打ち明けたり、治療や介護の情報を共有するサロンが4日、鳥取大医学部付属病院(米子市)で初めて開かれ、患者や家族計12人が参加した。
 ALSは全身の筋力が低下する難病で、鳥取県難病医療連絡協議会によると、同県内のALS患者は52人(9月末現在)。サロンはALS患者で、療養環境改善に取り組んでいる山陰放送記者の谷田人司さん(49)=松江市=が企画した。介護の態勢や人工呼吸器を付けた時期などの質問があり、それぞれの経験を語り合った。谷田さんは「横につながって前向きに生きましょう」とあいさつした。
 サロンは同病院で毎月第1木曜日午後1時から4時ごろまで。問い合わせは谷田さん(メールtaniyan@earth.ocn.ne.jp)へ。【御園生枝里】
毎日新聞 2010年11月5日 地方版」(全文)

 
 
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◆2010/11/06 「24時間介護「不要」」
 『朝日新聞』2010-11-06
http://mytown.asahi.com/wakayama/news.php?k_id=31000001011060001

 「24時間介護「不要」
2010年11月06日
◎ALS訴訟 和歌山市が意見書
 24時間介護が必要なのに和歌山市が決めた重度訪問介護サービスの時間は短すぎるとして、難病の「筋(きん)萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」の男性患者2人が同市を相手に決定の取り消しなどを求めた裁判で、和歌山地裁は5日、第1回審尋を開き、双方の意見を聴いた。市側は「患者2人には24時間介護の必要性がない」とする意見書を提出した。
 患者2人は今年9月に提訴した際、判決を待たず直ちに24時間介護を提供するよう市に命じる「仮の義務付け」を申し立てていた。市側は意見書で「患者の容体や介護者の状況などからみて緊急性がない」として、申し立ての却下を求めた。
 市側は意見書で、患者2人の妻による介護について「介護のために妻の生活に制限が加わるのは社会通念上許容される」と述べた。
 さらに、市側は2人に対する介護サービスの提供時間決定の根拠について説明。介護者の睡眠時間として1日8時間(月248時間)を認め、緊急時の対応のために月20時間を加算したと述べた。併用している介護保険分と合計で1日約12時間の公的介護サービスが提供されているため、「妻による介護は可能」と主張した。
 介護保険と併用する場合、1日当たりの重度訪問介護サービスの提供時間を8時間とする上限を市が設けていると患者側が主張していることに対し、市側は「上限ではなく一応の目安」と述べた。」(全文)

 
 
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◆2010/11/06 「ALS:治療や介護情報を 患者や家族12人参加――鳥取大でサロン /鳥取」
 『毎日新聞』2010-11-06
http://mainichi.jp/area/tottori/news/20101106ddlk31040439000c.html

 「ALS:治療や介護情報を 患者や家族12人参加――鳥取大でサロン /鳥取
 筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者や家族が悩みを打ち明けたり、治療や介護の情報を共有するサロンが4日、米子市の鳥取大医学部付属病院で初めて開かれ、患者や家族計12人が参加した。
 ALSは全身の筋力が低下する難病で、県難病医療連絡協議会によると、県内患者は52人(9月末現在)。サロンはALS患者で、療養環境改善に取り組んでいる山陰放送記者の谷田人司さん(49)=松江市=が企画した。介護の態勢や人工呼吸器を付けた時期などの質問があり、それぞれの経験を語り合った。谷田さんは「横につながって前向きに生きましょう」とあいさつした。
 サロンは同病院で毎月第1木曜日午後1時から4時ごろまで。問い合わせは谷田さん(メールtaniyan@earth.ocn.ne.jp)へ。【御園生枝里】
毎日新聞 2010年11月6日 地方版」(全文)

 
 
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◆2010/11/09 「訪問介護:24時間対応、難病患者家族ら事業所開設 「夜間支援」人材不足 /滋賀」
 『毎日新聞』2010-11-09
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20101109ddlk25040519000c.html

 「訪問介護:24時間対応、難病患者家族ら事業所開設 「夜間支援」人材不足 /滋賀
 ◇県が実態調査開始
 難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者を介護する看護師や遺族らが、大津市内に24時間対応の訪問介護事業所を開設し、家族から好評を得ている。難病に限らず、夜間介護は重度障害や末期がん患者らにとっても必要だが、ヘルパー不足からサービスを提供できる事業所は乏しい。県は訪問介護の実態調査を始め、ニーズの把握に乗り出した。【安部拓輝】
 設立された事業所は大津市石場の「もも」(077・535・0055)。患者宅の倉庫を事務所とし、看護師や社会福祉士ら10人が登録。家族らの要請に応じてヘルパーを派遣し、たんの吸引や体位を変えるなどの介助をする。
 野洲市の会社員、江畑眞一さん(57)は妻明美さん(57)を介護しており、就寝後も2時間に一度は寝返りを手伝う。疲れて起き上がれないこともあったが、10月から週2回の夜間支援を受けるようになり、「妻を支える余裕ができた」と喜ぶ。文字盤で意思を伝える明美さんも「家族が休めると私も安心できる」と話す。
 ただ、ヘルパーは京都市内から車で1時間かけて通っており、負担は大きい。ももに登録している社会福祉士の葛城貞三さん(71)は「どこの事業所も人材不足。地域でヘルパーを確保するには、重度障害など他の要介護者を支援する事業所との連携が重要だ」と語る。
 運営には採算を維持するだけのニーズも不可欠だ。実態を把握しようと県は先月21日から各地の訪問介護の事業者と意見交換会を開始。介護が必要な高齢者宅や在宅介護を希望する入院患者らにも対象を広げ、ヘルパーが効率よく訪問できる体制づくりを進める方針だ。県医療福祉推進室は「障害や疾患を超えて介護資源を活用できるネットワークを作りたい」と話している。

==============

 ■ことば
 ◇ALS
 運動神経の疾患。意識ははっきりしていても呼吸不全になったり手足が不自由になる病気。日本ALS協会滋賀県支部によると、患者数は全国で約8000人、県内には90人以上。訪問看護などを利用していても、夜間や休日は家族が付き添うことが多い。
毎日新聞 2010年11月9日 地方版」(全文)

 
 
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◆2010/11/09 「韓国:[連続企画]サムスンが捨てたもう一つの家族(5)」
 『レイバーネット日本』2010-11-09
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/issue/samsung/1289375862464Staff

 「邪魔な労働者の健康権、軽い人間の尊厳
[連続企画]サムスンが捨てたもう一つの家族(5)
ヒジョン(執筆労働者) 2010.11.09 12:00

 人々と会って、サムスン半導体白血病被害者の話をすると、よくこんな言葉を聞く。

「それで彼らはたくさん金をもらっていたんじゃない?」

何百パーセントにもなるというサムスンの成果給についての言葉だ。その言葉を 聞くときは、私は逆に訊ねたくなる。

「いくら金をもらえば、自分がガンにかかって、身体障害者になって、子供の 先天障害の可能性を甘んじて働きますか?」

そう思う一方、彼らの言葉も理解できる。数年前より著しく低下した賃金と作 業環境のためだ。この前、九老工業団地で会った40代の中年女性は、携帯電話 工場で12時間働く。3か月の短期派遣職なので、彼女は大黒柱だがアルバイトと 呼ばれる。携帯電話の部品は2秒ごとにベルトで運ばれてくる。初めはアザがで きた爪が3か月後にははがれてしまった。そうして1ヶ月働いて彼女が受け取る 金は100万ウォンちょっとだ。
こんな事情なので、150万ウォンを受けとる労働者は腕が折れてもよく、200万 ウォン以上の労働者は何か大きな病気になってもいいと思われるのではないだ ろうか。悪くなった労働環境を考えてみる。
それで彼・彼女たちに尋ねた。サムスン半導体でどのように働いていたのか、 どんな作業環境で働いていたのかを。果たしてサムスンでは、自分の残りの人 生を抵当に入れる程いい待遇を受けてきたのかだ。


人に有害なクリーン産業

人々はしばしば『半導体工場』で白い服を着た人々が働く実験室のような風景 を思い出す。すべてが白く清潔に見える。実際に半導体のクリーンルームは、 清浄だ。どんなホコリも許さない。

「ホコリをパーティクル(particle)と言いますが、普通半導体クリーンルーム のパーティクルは、2クラス程度です。2クラスとは、1mの範囲内にホコリが一 つです。これはホコリが一つもないということでしょう。」

サムスン半導体工場で設備エンジニアとして働いていたキム・ギヨン氏(彼はウェ ゲナー肉芽腫という貴重病にかかり、今年5月に労災を申請した)が作業環境を 語ってくれた。ホコリは半導体製品にとって致命的なので、作業場内のホコリ は徹底して統制される。労働者はクリーンルームに入るためにエアーシャワー をあびて防塵服で身を包む。
クリーンルームで半導体ウェハーは「清浄」になる。しかし働く人々にとって クリーンルームは『クリーン』ではない。

「ウェハーにとって清潔とはホコリがない、少ないと判断しますね。それはウェ ハーが基準です。ウェハーを薬品に漬けるのですが、その薬品は硫酸、フッ酸、 そんなものが多いです。ウェハーは、人の立場から見ればとても汚いのです。 化学薬品にウェハーを漬けたり出したりするので、化学反応を起こしますが、 それを吸入するのは人です。」

半導体製造は化学薬品産業だ。半導体を作るために使われる化学薬品がは一工 程だけで99種類だという(ソウル大諮問報告書で明らかになった器興工場5ライ ンで使われた化学薬品数に基づく)。化学薬品といえばよく知っているベンゼン、 アセトン、塩酸、硫酸なども有害性を持っている。半導体工程で使われる数百 種類の化学薬品に、どんな危険物質があるのかもわからない。
しかし半導体工程のオペレーター(生産職)の女性たちは、危険物質について話 を聞いたことがない。管理者がきて受けもしない安全教育をしたという内容の 書類に印鑑を押せと言われ(チョン・エジョン、器興工場)、安全教育の時間に 生産量と新製品についての話を聞いた(イ・ユンジョン、温陽工場)。
サムスン電子温陽工場で6年間働いて、脳腫瘍にかかったハン・ヘギョン氏に尋 ねた。

「一度も危険だとは思いませんでしたか?」

「サムスンは良い会社だから、当然そんな(危険な)ものは使わないだろうと思っ ていたようです。」

オペレーターの労働者たちは、安全についての教育も受けられず、化学薬品に ついての情報も知らなかった。彼女たちはほとんどがやっと高校を卒業した二 十才序盤の女性たちだ。若い彼女たちは無知の中で働いていた。
そして『理由なく』病気にかかった。


労災ということを知りながら…

「3ラインで女子社員二人が死んだでしょう。白血病かかって。その作業場は、 化学容器の液体にウェハーを漬けます。化学容器には蓋がありません。それが 恐ろしいということは分かりますが、その状況で使わないことはできません。 硫酸やフッ酸のようなものは『あれに近づくとインポになる』みたいにエンジ ニアどうしが話していました。それでもあれが危険だ、あれには蓋が必要だな んて話すことはできませんでした。設備を変えるのにかかる金は安くありませ ん。危険だろうと思いながら、会社が使うのだから安全だ、みたいに考えてい たのです。」

キム・ギヨン氏が言う3ラインで働いて白血病にかかった女子社員二人は、 故ファン・ユミ、イ・スギョン氏だ。

「それではエンジニアはユミ氏とスギョン氏の死が労災ということを知ってい たんですか?」

彼はそうだといった。しかし彼らを恨むことはできなかった。彼らは危険なと ころで働かざるを得ない単なる労働者だった。工程から化学ガスが漏れたり設 備工程が問題を起こすたびに投入されるのはエンジニア、彼らだった。
ガスが漏出した時は、鼻でにおいをかいで見つける
9月、サムスン半導体ガス漏出問題がソウル大諮問報告書で明らかになった。報 告書によれば、6か月間一本のラインで46回もガス検知器警報が鳴った。しかし 実際の問題はこれよりさらに深刻だという。器興工場で工程エンジニアとして 働いていた李スヒョク(仮名)氏に話を聞いた。

「(ガス漏出が)もっとよくあります。上から問責されるかと思って隠すことも 多いです。ささいなことは報告もしません。」

「どれくらいの頻度でしたか?」

「それはとてもわかりません。一日に何回もそんなことがあったりもしました し。正確にはわかりません。ラインも古くて設備も長く使っていますから。車 も同じでしょう? 10年以上転がせばポンコツでしょう。引っ張っていくことも できません。全く同じです。いくら管理しても、老朽化は防止できないんです。 初めはいいんです。ところが使っているとゴムなどが腐食して、隙間ができる でしょう? それで漏れるんです。機械が古くなれば。半導体機械はものすごく 高いでしょう。ですから止まるまで使うんです。」

「ガス漏れを止めるのにどれぐらい時間がかかるんですか?」

「時間は特定できません。実は一日中においがしていても、そのままにしてお くこともあります。女子社員(オペレーター)が電話で『先輩、何かにおうんで すが、ここではないでしょうか』、それで『何の臭いか』と聞きます。そうす ると、向うで想像力を働かせて説明します。それで『こちらではないみたい?』 ということもあります。ところが後になって、ここだった、そんな場合もよく ありました。一日中放置されていたり、そんなことが多かったんですよ。」

「ガス警報機が鳴らないのですか?」

「あるにはあるんですが。すべてのガスで警報機が鳴るわけではありません。 簡易ディテクター(detector)のような検知器があります。可燃性物質や、毒性 ガスなどは測定できますが…その中でも測定できないものがあります。本当に 困るんです。においがすれば、かえってありがたいのです。『ああ、ガスが漏 れているんだ』と分かるでしょう。ところが無色無臭、臭いがないことがあり ます。そんな時は答がありません。」

「ガス漏れを点検する時、保護装備は着用するんですか?」

「保護装備ですか? つけていたマスクも下ろして見つけます。ほとんど直接、 においをかいで探さなければなりませんから。」

「からだに害になるガスもあると思うんですが?」

「あります。ディボランやホスフィンのようなものはよく使っていました。ホ スフィンなどは、昔、2次世界大戦の時にアウシュビッツで使った毒ガスがある でしょう? それです。ディボランも有害で(呼吸器刺激、肺水腫、肺炎、気管支 に影響する毒性物質で、反復して露出すると神経系中毒が現れる)。それでなく とも、副産物で出てくるガス成分はわかりません。互いに混ざっているから、 どんな成分なのかもわかりませんよ。」

「漏れたとき、点検しに入りたくなかったでしょう。」

「そんなところに入りたい人がどこにいますか? 私たちがマルタかよ、と私た ちの間で言っていました。それでも問題が起きれば、とにかく解決をする人が 必要ですから。またあまり頻繁に起きると無感覚になるんです。初めはショッ クを受ますよね。ところがショックを受け続けると、そのうち『当然そうじゃ ないの?』こうなるんです。」

「安全規則遵守の話はなかったんですか?」

「事故対策みたいなことを考えることはします。規則遵守を変えて新しくした りします。することはあるのですが……。」

彼は言葉を切った。しばらく何かを考えているようだった。

「すべてのことがみんな生産、生産をどうするか、この言葉でご破算になりま す。こんな形で手続きを複雑にすると、生産が遅れますから。根本的な問題は、 あまりにも生産性を上げようとすれば危険があってもそのままやり過ごすこと になるんです。問題が起きても『静かにして、静かにして』といいながら、適 当にするんです。」


『ナノ』より軽い労働者の健康な権利

成果給で生産量を上げようとする管理者、壁に貼り出された組別生産量比較表、 設備が止まりでもすればエンジニアを探して、あちこちを飛び回るオペレーター の姿がよぎる。このすべてはサムスン半導体白血病被害者が情報を提供した内 容だ。
サムスン器興工場で10年働いたチョン・エジョン氏が話した。

「成果給や人事考課は、どれだけたくさん捌いたかで決定されます。ところが 作業は機械でするので、マニュアルのとおりにやれば、誰が早いということは ありません。ですからマニュアルのとおりにできませんよ。装置が止っても手 動で解除して、機械が止っていないのに製品を取り出して。そうすれば同僚よ り一つでも物量を捌けますから。」

管理者の制裁はなかった。むしろ管理者は物量を催促し、これを容認した。彼 らは危険について口を閉ざした。生産量を上げるために邪魔になることは除外 された。開閉装置、保護装備、安全規則遵守が除外された。結局、邪魔だとい う理由で除外されたのは、労働者たちの健康だ。
彼・彼女らは頑張って働き、人事考課で良い点数を受けただけだ。会社が知ら せないことは知らず、危険だと知っていても他人の金を受け取る境遇では、好 き嫌いを言えなかった。そして白血病、ルー・ゲーリック病(筋萎縮性側索硬化 症)、脳腫瘍、黒色腫にかかった。死んで、病気にかかって、残された人生に耐 えている。
チョン・エジョン氏は社内カップルだった夫を白血病で失った。彼女が追慕祭 で言った言葉を思い出す。

「半導体清浄ラインの主演はウェハーで、助演は現場労働者です。ウェハーで 作業事故がおきれば原因を明らかにするために非常勤務に突入しますが、作業 者が怪我をしたり病気にかかれば隠すのに汲々とするだけです。」

330gもない半導体ウェハーよりさらに軽い彼・彼女たちの健康についての権利 はいつになれば尊厳の重みを獲得するのだろうか。
[パノルリム]半導体労働者の健康と人権守備 (http://cafe.daum.net/samsunglabor) サムスン半導体など電子産業で従事して予期できない疾病が生じる方々の情報提供を受けます。

原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)


【写真説明】サムスン半導体白血病被害者、サムスン器興工場で10年働いたチョン・エジョン氏」(全文)

 
 
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◆2010/11/13 「天国のキャディ [著]フェインスタイン」
 『朝日新聞』2010-11-13
http://book.asahi.com/saidoku/TKY201011120165.html

 「天国のキャディ [著]フェインスタイン
[掲載]2010年11月13日朝刊be
 秋はゴルフに最適の季節。でも「友がいれば、四季を問わず、そこがブエノスアイレスでも、ぼくは行く」。ゴルフ好きの作家がそうつぶやいていたのを思い出す。ただの遊び事と思うなかれ。(春山陽一)
■リブロ池袋本店・矢部潤子さんに聞く
〈1〉天国のキャディ [著]フェインスタイン
〈2〉夢のゴルフコースへ〜スコットランド編 [著]伊集院静
〈3〉笑うゴルファー [著]ウッドハウス

 ▽記者のお薦め
〈4〉城山三郎 ゴルフの時間 [著]城山三郎

 その作家とは2009年に59歳で亡くなった海老沢泰久さん。エッセー『ぼくの好きなゴルフ』(朝日新聞出版)も残している。こうも言っていた。「早朝に会ってあいさつしてから、プレー中はもちろん、終わってからの風呂や食事まで一緒につきあう。だから、ゴルフは人間観察にうってつけなんだ」
 人生や仕事のこつなどのたとえに使われるゴルフ関連の言葉も多い。例えば、追い風と向かい風は交互に来る、不運を嘆かず我慢を重ねていれば幸運に恵まれる、など。管理(マネジメント)こそが肝要という警句は、仕事の極意に結びつく。
 (1)『天国のキャディ』は、全米ベストセラーになったノンフィクション。副題は「世界で一番美しいゴルフの物語」。主人公はプロゴルファー、トム・ワトソンのキャディーだったブルース・エドワーズ。
 03年の全米オープンゴルフは、優勝者のジム・ヒューリクでもトム・ワトソンでもなく、ブルースの名前が残る特異な大会となった。最終日、最終18番ホールで、観衆はブルースのために総立ちで拍手を送った。難病のALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)を発症したブルースにとって、最後のメジャー大会になるとわかっていたからだ。
 「真摯(しんし)に生きる男たちの友情を描くノンフィクション。華やかな舞台の裏にこんな人間臭いドラマがあったとは。ゴルフはわからないけれど、その深さに号泣です。ゴルフ売り場に置くのはもったいないくらい」と、矢部さんは薦める。
 (2)『夢のゴルフコースへ〜スコットランド編』は作家の伊集院静さんが、世界の名門ゴルフコースをカメラマンと歩いた紀行。美しい写真と丹念につむいだ言葉が緊張感を生んでいる。
 「仕事よりゴルフが大切なんて間違い、と伊集院さん。まずは仕事に励み、つらさを一度ならず知ってから、大人ならもう一つ打ち込めるものがほしい。それがゴルフならなおいい、と思わせられる」と矢部さん。04年から刊行のシリーズは米東海岸、同西海岸、ハワイの3編もあるが、市中在庫のみ。
 (3)『笑うゴルファー』は、英国のユーモア作家ウッドハウス(1881〜1975)の「おかしなシリーズ」のゴルフ編。恋愛小説の短編集で、マナーやルールが面白く描かれる。
 記者のお薦めは(4)『城山三郎 ゴルフの時間』。故城山さんがゴルフについて語ったり書いたりしたものをまとめた。対談、エッセー、格言、詩などが収録される。自分の属する組織や群れから離れ、「無所属の時間を持つこと」を勧める。


【写真説明】著者:ジョン フェインスタイン  出版社:日本経済新聞社 価格:¥ 1,995」(全文)

 
 
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◆2010/11/15 「第33回神経研シンポジウム」
 『週刊医学界新聞』2010-11-15
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02904_04

 「第2904号 2010年11月15日
最新の神経科学研究成果を臨床現場へ
第33回神経研シンポジウムの話題から
 シンポジウム「神経科学研究の新たな展開」が10月29日,新宿明治安田生命ホール(東京都新宿区)にて開催された。本シンポジウムは東京都神経科学総合研究所が,都民や研究者,医療従事者を対象に年1回開催しているもの。来年4月に東京都臨床医学総合研究所,東京都精神医学総合研究所との統合が予定されている同研究所としては,最後のシンポジウムとなった。
 シンポジウムでは,同研究所において行われているプロジェクト研究9題(学習記憶,神経可塑性,神経回路形成,神経細胞分化,パーキンソン病,運動失調,ALS,網膜・視神経,こどもの脳)と,特別研究課題「がん・認知症対策」について,最新の研究の動向が語られた。本紙では,そのなかから2題を紹介する。

リハビリ効果の評価法を提示
 「運動失調プロジェクト」からは筧慎治氏が登壇し,運動失調の病態解明と「神経疾患治療ナビゲーター」の開発について紹介した。氏はまず,従来の神経疾患の診断は,局在的で定性的な観察にとどまっており,筋運動を司る脳機能自体の評価が不足してきたと指摘。これを踏まえ,氏らは筋活動を分析して脳の運動指令を抽出することで患者の病態を簡便かつ非侵襲的に評価する「定量的運動指令解析システム」の開発を行った。その結果,筋活動のための指令を出す予測制御器とフィードバック制御器の状態を個別・定量的に分析できるようになったという。
 予測制御器は,経験に基づいて予測的な運動指令を生成し,一方のフィードバック制御器は,予測制御器の指令による筋活動の誤差を修正する働きを担っている。氏は,脊髄小脳変性症の患者の場合,予測制御器からの運動指令がうまく機能しないためにフィードバック制御器による大幅な誤差の修正が必要となり,滑らかな筋活動が阻害されていると解説した。
 氏らは現在,この定量的分析指令解析システムを脳卒中患者のリハビリテーションに応用すべく,病態の可視化・定量化に関する研究を行っている。多数の患者を経時的に追跡してデータベース化することで,機能回復の予測や病態に最適なリハビリテーションメニューの提案が可能になり得るとの展望を氏は述べ,この「神経疾患治療ナビゲーター」システムについて今後も研究を進めていくとした。
 さらに氏は,リハビリテーションの効果を定量的かつ精密に分析できるようになったことで,脳機能システムの総合的な評価が可能になりつつあると強調。現在世界中で進んでいる神経難病の治療法開発の必須のツールとして発展させていきたいと語った。

発達障害のメカニズム解明へ
 近年の分子生物学的研究の進展により,AD/HDや自閉症などの発達障害に対する神経伝達物質代謝やシナプス形成の異常の関与が明らかになってきた。さらに,睡眠・覚醒リズムの乱れなどが行動的あるいは情緒的な問題を引き起こす危険性も指摘されている。このようななか,薬物治療などの対症療法は行われているものの,根本的な治療法は見いだされていないのが現状だ。
 「こどもの脳プロジェクト」の林雅晴氏は上記の事情を踏まえ,氏らが現在取り組んでいる「脳内物質表出と病態変化の解析を通じた新たな治療法,予防法,療育システムの構築」について報告した。氏らはまず,難治てんかん患者の剖検脳を用いた脚橋被蓋核の解析に着手。この研究結果から,知能障害に脚橋被蓋核のアセチルコリン・ニューロンの関与が示唆されたという。
 続いて,知的障害の原因となる脳炎・脳症と酸化ストレスの関連性についての研究を実施。氏は,脳炎を引き起こすヒトヘルペスウイルス6型でDNAや脂質に対する酸化ストレスの関与がみられたほか,自閉症に似た知能障害を呈するRett症候群でも酸化ストレスマーカーの異常を確認したと述べた。
 さらに氏は,霊長類を用いた脳内物質表出の電子脳アトラス化と,明暗環境の乱れと発達異常の関連性を解明する研究について概説。発達障害につながるメカニズムを明らかにし,臨床現場に貢献していきたいとの決意を示した。


【写真説明】シンポジウムの模様」(全文)

 
 
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◆2010/11/16 「女子大生が地域の消防団で奮闘、「人の役に立ちたい」と門たたく/横浜」
 『カナロコ(神奈川新聞)』2010-11-16
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1011160015/

 「女子大生が地域の消防団で奮闘、「人の役に立ちたい」と門たたく/横浜
2010年11月16日
 横浜市に住む女子大生が地域の消防団で奮闘している。鎌倉女子大2年の松山千春さん(20)=同市西区。「人の役に立ちたい」と入団を決意し、家族に成長した姿を見せるのが目標だ。若い団員が減っている消防団にとっても希望の存在になっている。
 松山さんは高校1年生の時、運動機能が急速に衰える難病、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)で父を亡くした。母が2年半以上介護を続けていたが、アルバイト先の先輩と遊ぶことを優先して帰宅しなかったり、授業を休んだり。母とけんかし、自宅を飛び出したこともあった。「もっと父と一緒にいてあげればよかった。母にも迷惑ばかり掛けてしまった」
 転機となったのは大学への入学。「少しは大人になったかな」。両親への後悔の念もあり、人の役に立つことがしたいと思うようになった。ちょうどそのころ、大学の危機管理の授業で出合ったのが消防団の活動。その日のうちに西消防署の門をたたいた。
 ことし3月の面談に合格し、4月から西消防団に入団。面談した副団長の原口幸多夫さん(65)は「受け答えもてきぱきしていて根性と熱意を感じた」と太鼓判を押す。
 消防団にとってもその存在は大きい。横浜市消防局によると、消防団員は若い人が減少傾向。市内の消防団員数は7414人(4月1日現在)で、うち18〜25歳は95人(1・3%)にとどまる。女子大生の消防団員は市内で2人目だ。
 これまで花火大会の警備などを担当。ホースの扱い方や救命救急法などを学び、実際の消火活動にも備えている。同年代の女性が増えてほしいと松山さん。「応急措置などを学ぶことで、友達がけがしたときも冷静に対処できる。人の役に立ちながら、私も成長していきたい」と話した。


【写真説明】消防団に入団した松山千春さん=横浜市西区の西消防署」(全文)

 
 
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◆2010/11/18 「行政ニュース : 「介護職が何センチ入れたら医行為か。バカげた議論だ」検討会」
 『ケアマネジメント オンライン』2010-11-18
http://www.caremanagement.jp/news+article.storyid+8197.htm

 「厚生労働省は11月17日、「第5回介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」を開催した。事務局側からは、介護職員等にたんの吸引など医行為を行わせる訪問介護事業所、施設を特定し、都道府県へ登録する見通しが示された。医行為を行ううえでの安全確保にも基準を設け、その遵守についての指導監督も都道府県が行うとされた。
会議では管総理が9月22日に指示した、介護職員が「医療的ケア」を適切に実施できるよう研修事業を本年度中に前倒しするよう求めた文書も示され、同省は現在、国会審議中の補正予算に研修機材購入費用などを含め2億8,200万円を計上していると報告。
介護職員による医行為は、2012年(平成24年度)の実施を目指し、現在一定の条件下で、たんの吸引等を行っているのが、新制度によって阻害されないよう経過措置も設けることが示された。
また、医行為を実施する介護職への研修場所としては、これまでの会議で示された特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、訪問介護・訪問看護事業所などのほかに、医療機関である介護療養型医療施設や障害児施設も実地研修の場と認めるが、医療機関での介護職による医行為は看護職員配置を理由に認めないとした。
意見を求められた委員の中で、三上裕司委員(日本医師会常任理事)は、「現在行われている特別養護老人ホームでの介護職による医行為モデル事業では、たんの吸引はリスクの少ない範囲だが、在宅での介護職による実施範囲を鼻腔内や気管カニューレ内部までとすると、50時間の基礎研修で習得できるのか」と、解禁する医行為の範囲に懸念を示した。
これに対し、三上委員の意見に違和感があると挙手した黒岩祐治委員(ジャーナリスト・国際医療福祉大大学院教授)は、「家族でもやっていることを、のどに何センチ入れたら医行為かというバカげた議論はやめたい」と発言。三上委員は「医行為が何か論じるのはナンセンスというなら現行の法とは何なのか」と反論したが、黒岩委員は「医行為とは何か論じていると、この話は進まないから棚上げしておこうと決めて委員はここに集まっているのではないか」と述べ、三上委員の医行為範囲をめぐる議論の再燃を抑えた。
日本介護クラフトユニオン政策顧問の河原四良委員も、「現場の介護職は(医行為を)やっていいのか悪いのか悩んでいる。0か100か、右か左かハッキリさせる必要がある」と、まったなしの切迫した状況を訴えた。
因利恵委員(日本ホームヘルパー協会会長)は、「黒岩委員は“家族でもやっている”と表現したが、家族のたんの吸引をしていても“仕事ではやりたくない”と言うヘルパーもいる。特別養護老人ホームでの試行事業でもヒヤリハットの報告がなかなか出てこないことが課題だが、安全確保の体制を作るべき」と述べ、「ヘルパーに医行為をやらせたくないとは今さら言えないが、基本的には介護福祉士がすべきと思っている」と発言した。
事務局側が、医療機関での介護職による医行為は認めないとしたことについて、内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)は、「介護福祉士の本来の業務は医療でなく介護。やみくもに医行為の実施場所を広げるのは困る」と述べ、医行為を認められた介護職が、看護職員の代替要員になることを危惧した。
川島委員(NPO法人さくら会理事長・日本ALS協会副会長の橋本操委員代理)は、現状こうした医行為を受ける立場から、その維持の重要性を訴え「将来的には導尿介助、摘便、気管カニューレなどのガーゼ交換など行為を拡大することも視野にいれてほしい。介護職への研修は指導看護師が行うとされているが、指示もとであるかかりつけ医が直接行うことも認めてほしい」と要望した。
白江浩委員(全国身体障害者施設協議会)は、「基礎研修の講義50時間は長すぎる。ここまで必要かと思う内容や重複箇所もあり精査する必要がある。研修場所が施設や事業所の外部での講習では受講者負担が大きいので、指導者である指導看護師が施設や事業所へ出向いて受講できるようにすべき」と提案した。


【写真説明】「第5回介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」」(全文)

 
 
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◆2010/11/18 「言葉なき叫び 届いた 「意思伝達装置 販売続けて」」
 『朝日新聞』2010-11-18
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201011180086.html

 「言葉なき叫び 届いた 「意思伝達装置 販売続けて」
2010年11月18日
 重い病気や障害などで言葉を話せない人たちが言いたいことを伝える「意思伝達装置」のメーカーが今年解散し、危機感を募らせた利用者の親たちが、装置の存続を求めて10万人分にのぼる署名を集めた。事業を引き継いだ別の会社が新製品を発売すると決定し、利用者らはひと安心する一方、「代替がきかない必需品」として、故障対応など従来通りの支援体制を望んでいる。
 装置の名は「レッツ・チャット」。頭や指など身体の動く部分でスイッチを操作し、文章をつづれる。同種の装置はほかにもあるが、操作が簡単なことから、脳性マヒなどの障害者や、筋肉の力が衰える筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)などの難病患者らが利用し、これまでに約2千台が出荷された。1台12万円で、購入にあたっては国などから給付金が受けられる。
 だが、製造元でパナソニックの社内ベンチャー企業「ファンコム」(大阪府守口市)が、ホームページで6月に解散すると発表。販売は在庫品限りと紹介された。
 「レッツ・チャットは使用者にとって希望の光。なくなるのは困る」と立ち上がったのが、奈良市の主婦池原惠子さん(58)だった。脳性マヒの息子、久豊さん(25)はレッツ・チャットを駆使して家族やヘルパーと「会話」していたが、今の装置が故障したら二度と使えなくなる、と落胆してしまった。
 池原さんは発売継続や故障対応を含むきめ細かい支援体制の確保を求め、8月末から障害がある家族を持つ仲間に口コミで署名を依頼。インターネットを通じて全国から賛同者が増え、署名は約1カ月で10万1244人に達した。
 池原さんは9月末、パナソニック(本社・大阪府門真市)社長あてに署名を送付。その2日前、子会社「パナソニックヘルスケア」(愛媛県東温市)が新製品を来春発売すると発表した。同社は「署名集めは知っていたし、レッツ・チャットを大事に考える利用者がいることも把握しており、安心してもらうため、早めに後継機種発売をお知らせした。支援体制についても検討する」としている。
 池原さんは「1人の主婦が始めた署名だったが、たくさんの方が支えてくれた」と感謝しながらも、「販売継続と支援体制、どちらが欠けても利用者にとっては深刻。署名された方の思いが届くよう願っています」と話している。(角谷陽子)


【写真説明】  全国から届いた署名と手紙の一部=池原惠子さん提供
 レッツ・チャット利用者の池原久豊さん。ひらがなの50音が並ぶディスプレーから文字を選び、文章をつづる=池原惠子さん提供」(全文)

 
 
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◆2010/11/19 「『私の愛、私のそばに』」
 『ムービーネットインターナショナル』2010-11-19
http://www.movienet.co.jp/movie_data/2011/02/closertoheaven/

 「『私の愛、私のそばに』
原題:Closer to Heaven
 配 給 :ブロードメディア・スタジオ  公式HP:別ウィンドウで公式HPを表示http://www.sobaniite.com/index.html
 公開日:2011年02月05日
 映画館:新宿武蔵野館、 ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
Cast≫
 キム・ミョンミン
 ハ・ジウォン
Staff≫
 監督:パク・チンピョ
Data≫
 2009/韓国/シネマスコープ/ドルビーデジタル・SRD/121分
Introduction≫ 限りある命と知りながら彼女を愛した。永遠の愛を信じて彼を支えた。
 「ユア・マイ・サンシャイン」のパク・チンピョがメガホンをとり、ドラマ「白い巨塔」のキム・ミョンミン、「TSUNAMI-ツナミ-」のハ・ジウォンが主演を飾る、観る者の想いの分だけ切なさが募る本作「私の愛、私のそばに」。韓国では、同年公開のラブ・ストーリーとしては年間No.1の大ヒットを記録し、本作のために20kg以上の減量をして役作りに挑んだ主演のキム・ミョンミンは韓国で最も権威ある映画賞、大鐘賞と青龍賞の主演男優賞を独占、ヒロインを演じるハ・ジウォンも青龍賞の主演女優賞に輝くなど数々の快挙を成し遂げている。
Story≫
 原因も有効な治療法も見つかっていない難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患うジョンウ。唯一の肉親である母親が亡くなった日、ジョンウは幼なじみの葬祭ディレクターのジスと再会し、恋に落ちる。一年後、結婚式を挙げた二人の新居は病院。ジョンウはスプーンを握ることも精一杯だが、いつもそばで見守ってくれるジスのお陰で、誰よりも闘病意志は強い。しかし、ジョンウの状態は悪化の一途を辿り、日々、変貌していく自分の身体を受け入れ難い。ジスの優しさにさえ冷たくしてしまう。そして絶対避けたかった言語障害が始まった・・・。


【写真説明】  私の愛、私のそばに メインイメージ
『私の愛、私のそばに』場面写真1
『私の愛、私のそばに』場面写真2
『私の愛、私のそばに』場面写真3」(全文)

 
 
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◆2010/11/24 「ALS患者介護訴訟、始まる=全国初、和歌山市相手に−地裁」
 『時事通信社』2010-11-24
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201011/2010112400090

 24時間の介護が必要なのに公的な介護時間に上限があるのは問題として、和歌山市内に住む筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の70代の男性患者2人が、同市を相手に、24時間の介護と慰謝料各100万円を求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、和歌山地裁(高橋善久裁判長)で開かれた。原告側弁護団によると、ALS患者が24時間介護を求めた訴訟は全国初。
 原告側弁護団は意見陳述で「途切れることのない介護が保証されないと生きていけない。(介護を行う)妻が体調を崩したらどうなるのか」と訴えた。
 訴状によると、2人は人工呼吸器を装着、寝たきりの状態で、ほとんど体も動かすことができないが、市はほかのALS患者と同様、1日約12時間の介護サービスにとどめている。介護する妻らも高齢で持病があることなどから、患者の個別事情に合わせ、24時間介護を認めるよう求めている。
 和歌山市側弁護団によると、市は違法性はないと主張し、全面的に争う方針。(2010/11/24-12:15)

 
 
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◆2010/11/24 「和歌山市ALS訴訟・第1回弁論」
 『和歌山放送』2010-11-24
http://www.wbs.co.jp/news.html?p=21905

全身の筋肉が動かなくなる難病「ALS」の男性2人が、和歌山市に対して、24時間体制で介護を受けられるよう訴えている民事裁判の第1回弁論が、きょう(24日)午前、和歌山地方裁判所で開かれ、 原告側は「地域で生きるための最後のセーフティーネットは和歌山市の役割だ」と主張しました。ALS患者が原告となって介護サービスの支給量を増やすよう求める訴訟は、全国で初めてです。訴えを起こしたのは、筋肉を動かす神経が徐々に冒されていく「ALS・筋萎縮性側索硬化症」という難病の患者で、ともに和歌山市に住む70代の男性2人です。訴えによりますと、2人は、たんの吸引や人工呼吸器の管理のため24時間介護が必要なのに、和歌山市は障害者自立支援法に基づいて、介護サービス費用を1日におよそ8時間分しか負担していないということです。きょう(24日)の弁論では、原告代理人の弁護士が意見陳述を行い「原告の男性2人には妻がいるがいずれも70歳を超えていて、今後妻が体調を崩したらどうなるのか。国連は2007年に障害者権利条約を採択し、日本政府も間もなくこれを批准する。地域で生きるための最後のセーフティーネットは、言うまでもなく和歌山市の役割だ」などと主張しました。
これについて和歌山市は「裁判中なのでコメントは差し控えたい」と話しています。第2回弁論は来年(2011年)2月2日に開かれる予定です。


 
 
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◆2010/11/25 「予告編ですでにウルッ! 韓国で220万人動員『私の愛、私のそばに』予告編解禁」
 『cafegroove』2010-11-25
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/release/2010/11/9544/

韓国で2009年に公開されたラブストーリーの中で、最大のヒット作となったラブストーリー『私の愛、私のそばに』の予告編がいち早くシネマカフェに到着した。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)――別名“ルー・ゲーリック病”とも呼ばれる難病を抱えた男性・ジョンウと、彼に寄り添い、常に支え続ける妻のジスの愛を綴った本作。徐々に運動神経が侵され、筋肉が収縮していくALSに対しては、いまだ有効な治療法も発見されていないが、そんな状況を知りつつもジスはジョンウのプロポーズ受け入れ、彼をそばで見守り励まし続ける。
「1日を1年と思って何倍も幸せに生きよう」――そんな言葉で彼を励まし、永遠の愛を信じるジスと、限られた時間と知りつつも全力で彼女を愛するジョンウの姿に予告編を見ただけでも思わずホロリ…。
また、入念なリサーチを行ったうえで、ジョンウ役を作り上げたキム・ミョンミンの迫真の演技にも注目。まずはハンカチを用意して予告編を見るべし!
『私の愛、私のそばに』は2011年2月5日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。

※こちらの予告編映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。
MOVIE GALLERY
http://www.cinemacafe.net/moviegallery


 
 
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◆2010/11/25 「ALS介護訴訟:和歌山市側、争う姿勢−−第1回口頭弁論 /和歌山」
 『毎日新聞社』2010-11-25
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20101125ddlk30040396000c.html

 神経が侵されて筋肉が徐々に動かなくなる難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)を患う70歳代の男性2人=いずれも和歌山市=が24時間態勢の介護を同市に求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、和歌山地裁(高橋善久裁判長)であった。市側は「24時間介護の理由がない」などとして全面的に争う姿勢を示した。
 弁護側は「途切れることのない付き添い介護が保証されなければ、原告は生きていけない。地域で生きるための最後のセーフティーネットは市の役割だ」などと意見陳述。また、原告本人に裁判官が面会するよう求めている。
 訴状などによると、同市は障害者自立支援法に基づき月268時間(1日8時間)の介護を公費負担している。しかし、原告に24時間介護が必要なのは明らかであり、サービス時間拡大と費用の全額公費負担を求めるなどとしている。【岡村崇】

毎日新聞 2010年11月25日 地方版


 
 
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◆2010/11/25 「県、富大附属病院を難病医療拠点病院に指定」
 『KNBWEB(北日本放送株式会社)』2010-11-25
http://www2.knb.ne.jp/news/20101125_26234.htm

 原因が不明で治療方法が確立していない、いわゆる難病の医療体制を充実させるため、県は富山大学附属病院を難病医療拠点病院に指定することを決めました。
 これは、25日開かれた県議会の厚生環境委員会で県が報告しました。
 難病医療拠点病院に指定される富山大学附属病院では来月1日に「難病医療支援室」が設けられ、専門員2人が難病に関する医療相談などに対応します。
 難病とは、原因が不明で治療方法が確立していない病気です。
 このうち国が医療費を助成している特定疾患には、体がふるえる症状が出るパーキンソン病や筋肉が萎縮していくALSなど56の病気が指定されていて、県内には今年3月末現在で6281人の患者がいます。


 
 
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◆2010/11/28 「ALS患者に歌の贈り物 メサイアを歌う会が来月コンサート」
 『河北新報社』2010-11-28
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/11/20101128t15002.htm

 全身の筋肉が徐々に衰える「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症」(ALS)の患者らに音楽でクリスマスを楽しんでもらおうと、仙台市の「メサイアを歌う会」(柿崎六郎会長)が12月18日、青葉区の市青年文化センターで開くコンサートに患者とその家族らを招待する。コンサートは今回が28年目で、メンバーは「新たな気持ちを歌に込めて、プレゼントにしたい」と練習に励んでいる。
 メサイアはキリスト生誕を祝って歌われるヘンデルの名曲。歌う会は東北で唯一、メサイアを毎年歌い続け、100人を超える市民有志の合唱は仙台の暮れの風物詩となっている。
 歌う会が招待するのは日本ALS協会宮城県支部の会員たち。会話の力を失う患者に対するコミュニケーション支援や行政への要望活動、在宅で孤立しがちな会員の交流に取り組んでいる。
 会員を招いたクリスマス演奏会は2年前まで11年間、仙台市出身のソプラノ歌手菅英三子さんがチャリティーで催し、患者と家族の楽しみになっていた。
 菅さんに共感してステージに参加した歌う会メンバーも多く、その志を受け継いで「自分たちの演奏会を贈り物にしよう」と招待を決めた。
 長年指揮者を務める工藤欣三郎さん(69)が協会県支部長で患者の和川次男さん(60)方=泉区=を訪れ、「寒い季節ですが、心から温まる音楽をぜひ聴いてください」と招待状を贈った。
 和川さんの妻はつみさん(57)は「人工呼吸器を着け、行楽もままならない患者と家族にとってコンサートは最高の楽しみ。仲間たちに参加を呼び掛けたい」と話した。
 メサイアは3時間を要する大曲。歌う会は今月初めからメンバーが練習に取り組み、今回は演奏機会が少ない全曲版に挑戦する。菅さんもソリストとして参加し、クリスマスの聖歌も披露する。
 コンサートは18日午後2時から。前売り券は一般3000円、中高生500円。連絡先は歌う会の伊達さん022(245)6567。
2010年11月28日日曜日

【写真説明】和川さん方を訪れ、コンサート招待を伝える工藤さん(右)


 
 
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◆2010/12/02 「団体の活動に広がり 【医のかたち】」
 『asahi.com』2010-12-02
http://mytown.asahi.com/yamaguchi/news.php?k_id=36000001012020001

  病気になったとき、同じ病気を患っている仲間と出会うことで、不安から少し解放されたり、引きこもりがちな生活から外に出るきっかけになったりします。最近は、支え合いだけでなく、病気をもっと理解して欲しいという思いから、患者や家族以外にも門戸を広げ、発言する動きも出ています。この秋、相次いで誕生した団体の取り組みから、患者がつながる力を考えます。
(広川始、下地毅)
◆ALS患者らサロン
  筋肉が次第に動かなくなる難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症」(ALS)の患者たちが9月、松江市内に、だれでも立ち寄れる「だんだんサロン松江」をつくった。月2回、病院や公園で、近況報告や相談、情報交換をしている。
  まとめ役は、市内で暮らす山陰放送社員、谷田人司さん(49)。自身もALSの患者だ。報道記者だった2008年夏に病気が見つかった。自力での呼吸が難しくなり、のどに開けた穴から酸素を取り込んでいるため、声が出せなくなった。毎日16時間の介護を受けながら、自宅で番組を企画・構成する仕事をこなす。かすかに動く右中指と左親指を使い、文字盤やパソコンのキーで意思を伝える。
  11月27日のサロンには、患者や看護学生ら15人が集まった。
  初めて参加した50代の女性患者は、昨年2月に病気が判明。自力呼吸はできているが、体の自由がきかなくなって車いすの生活だ。自宅に他人が入る在宅介護を受けるのに、ためらいがあるという。夫が勤務先から1時間ごとに電話をくれるが、自宅に1人でいることもあるという。
  参加者から意見が出た。
  谷田さんの妻佳和子さん(49)は、体の自由がきくうちから介護を受けるなど、早い準備が必要とアドバイスした。時間とともに症状が進んで意思表示が難しくなるALS患者は、介護スタッフが自分の意思を正しくくみ取れるくらいになるまで、密な関係を時間をかけて作ることが大事だからだ。
  谷田さんを介護する女性ヘルパーは「最初は大変だったけど、(意思疎通が十分にできる)今なら、どこにでも一緒に行ける」。脳性まひで介護を受ける男性は「自分が判断して指示を出さないと、ヘルパーも困ってしまう」。
  谷田さんは、里芋をのどに詰まらせた経験がある。文字盤を一つ一つ指さしながら「食事の時は、集中して(気を緩めないで)食べて」と助言。女性の傍らにいた夫が一生懸命メモを取っていた。
◆孤立防止へ情報交換
  谷田さんが、サロンを開いたのは、外出もままならないALS患者と家族が、そろって孤立しがちになるのを防ぐためだ。「勇気を持って患者が声をあげれば、よりよい医療につながる」
  谷田さんが患者をつなぐ活動を始めた背景には、記者時代、島根県内のがん患者の団体を取材した経験があった。
  きっかけは、大腸がんで亡くなった仕事仲間のカメラマン、佐藤均さん(05年6月死去)の存在だった。
◆がん治療の格差解消
  「都会の病院では受けられる最先端の抗がん剤治療が、同じように島根で受けられないのは、納得できない」。佐藤さんは格差の解消に向け、患者活動の先頭に立った。
  その訴えは、死後も受け継がれ、がん対策の充実をめざす全国初の県条例が06年に施行。さらに、がん治療の医療機器を買うための基金が07年、県民らの募金で始まった。7億円近くまでたまった基金の一部で今年、がんの早期発見に役立つ最新型の検査機器が導入された。それまで県内に1台しかなかったものだ。がん患者が集うサロンも県内で20を超えるなど、患者による活動が盛んな、全国でも有数の「先進地」になった。
◆行政へ働きかけ先頭
  患者の行動が行政すらも変える。取材で見聞きしたことを、今度は当事者として生かす番がきた、と谷田さんは思っている。
  鳥取市では11月26日、「若年性認知症問題にとりくむ会『クローバー』」が設立された。
  代表は、3年前に若年性認知症と診断された元看護師の藤田和子さん(49)。現職の看護師だった07年6月に若年性認知症とわかった。
  治療には早期診断が必要なのに、「知能が低下して物事が理解できない人」として見られるなどの社会の無理解が、それを妨げていると感じる。自身も周りの視線を気にして病院に行くのをためらった。そんな経験から、「変だと思ったら気軽に受診できる社会にするため、患者本人が患者の目線を発信していく」と言う。
  取り組むのは、まず「認知症に対する偏見や無理解をなくすこと」。ほかに患者や家族を支え、医療や福祉を充実させていく活動もしていくという。
【追伸:記者より…】
  東京の女性歌手「すなほ」さんが、ALSへの理解を求めるチャリティーコンサートを今年、島根県で開いている。伸びのある高音と爆笑トークが売り物だ。「母をALSで亡くしました。コンサート手伝います」と、聴衆からメールも届く。谷田さんやすなほさんがもたらす出会いは、患者や家族の気持ちを前向きにさせるようだ。
(広川)
◆ ◇ コミュニケーションの問題 体験募ります ◆ ◇
  患者になったときの、医師や家族、友人らとのコミュニケーションのとり方について体験談をお待ちしています。いつもならお便りをたくさんいただくのですが、今回は1通も来ていません。小さなことでも結構です。首を長くしてお待ちしています。年齢、職業、電話番号を明記し、メール(hiroshima@asahi.com)か郵便(〒730・0017 広島市中区鉄砲町10の12広島鉄砲町ビルディング4階)、ファクス(082・223・7606)で朝日新聞広島総局(中国取材センター)医療係へ。掲載時はプライバシーに配慮します。

【写真説明】文字盤を指さし、読み上げてもらって意思を伝える谷田人司さん(左)=松江市西浜佐陀町


 
 
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◆2010/12/06 「神経病理診断の新しい潮流 日本神経病理学会・神経病理コアカリキュラムセミナーの創設」
 『医学書院』2010-12-6
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02907_05

第2907号 2010年12月6日
【視点】

神経病理診断の新しい潮流
日本神経病理学会・神経病理コアカリキュラムセミナーの創設
新井信隆(東京都神経科学総合研究所・神経発達再生研究分野 日本神経病理学会・神経病理コアカリキュラム委員会)

 「パーキンソン病」と耳にして,「レヴィ小体」を思い出し,「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」を目にして「ブニナ小体」を思い浮かべたレジデントは,国試の勉強の余韻がまだ続いている記憶力のよいドクターに違いない。これらはこれまで変性疾患と呼ばれ,症候や検査で診断は可能であってもいまだ原因は不明の,いわゆるブラックボックスであった。しかし,最近の数々の研究により,多くの疾患で蛋白のコンフォメーション(構造)異常が解明され,ボックスの内部が明らかになってきた。
 α-シヌクレインという蛋白がリン酸化され細胞内に凝集する現象が,パーキンソン病,レヴィ小体型認知症,多系統萎縮症の共通基盤であることが明らかとなり,シヌクレイノパチーという疾患カテゴリーが生まれた。また,運動ニューロン疾患の代表格であるALSと前頭側頭型認知症という,臨床的にはこれまでかなりギャップのあった2つの疾患群は,2006年に発見された蛋白TDP-43の異常凝集現象を共有していることが明らかとなり,TDP-43プロテイノパチーに包含されつつある。
 その他,タウ,ポリグルタミン,アミロイド,プリオンなど,蛋白コンフォメーションの異常という観点から,多くの神経疾患が再整理されてきている。アルツハイマー,パーキンソン,ハンチントン,ヤコブといった先達の名前が疾病名から消えることはないものの,生涯教育として分子基盤による病態機序にキャッチアップしておくことも求められるだろうし,それらの情報にアクセスしやすい環境を提供することも,専門家集団の責務である。
 日本神経病理学会(理事長=新潟大脳研究所・高橋均氏)では,ホームページに「脳・神経系の主な病気」のコーナーを設け,各種神経疾患の病理学的な見方を発信してきている。また2004年からは,学術総会の事務局主催の教育企画を続けており,今春の企画では受講者が300名を越える盛況ぶりであり,関連領域の非会員の参加も多かったようである。これは,臨床重視のコアカリキュラムで学んできた若手ドクターに潜在的にある「やっぱり基礎的な病態もちゃんと学びたい」という気持ちの現れではなかろうか。
 それらの期待にいっそう応えるため,この夏新たに神経病理コアカリキュラム委員会を立ち上げ,神経疾患の病理学的知識のミニマム・リクワイアメンツを勉強してもらう教材を策定してゆく予定である。さらに,来年京都市で開催される日本神経病理学会学術総会(会長=京府医大・伏木信次氏)において,委員会主催の第1回目の教育セミナーを開催する(2011年6月2日)。詳細は今後,学会ホームページやその他の媒体を通じて発信してゆくが,基本的なスタンスとしては,初心者大歓迎であり,予備知識がなくとも1日のセミナーに喰らいついていただければ,これまで心の中でブラックだったかもしれない神経病理への印象がパッと明るくなる,そのようなセミナーにしたい。興味ある方はレジデントならずとも,喰らいついてほしいと願っている。

 
 
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◆2010/12/08 「地域医療のあす : 第5部 (3)挑戦/「在宅」24時間支援」
 『山陰中央新報』2010-12-08
http://www.sanin-chuo.co.jp/health/modules/news/article.php?storyid=523426240

第5部 なぜ、かかりつけ医は望まれるのか
      診察室持たぬ契約医師

 「お変わりは、ありませんか」。出雲市大社町の閑静な住宅街にある民家の一室。ベッドに近寄ると、「ホームクリニック暖」の奥野誠院長(35)が、自宅療養中のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の男性(65)に笑顔で話し掛けた。
 全身の筋力が衰えるALS。3月に確定診断を受け、毎月1回、同市内の島根県立中央病院の神経内科に通う。
 会話は文字盤が頼り。「はい」「いいえ」の意思は、首を振って示す。自立歩行する手足の力は奪われてしまった。
 夫婦が寄り添う二人暮らし。「24時間対応が何よりも安心。本当に助かります」。夫の介護に専念する四つ年下の妻が、実感を込めて言う。
 看護師が血中のヘモグロビンの割合を測る機器の端末を患者の指にセットすると、奥野院長はそのデータに見入った。
   ※  ※
 奥野院長は、診察室を持たない在宅医療専門の医師だ。今年6月、出雲市白枝町にクリニック事務所を構えた。スタッフは看護師1人と事務員を含めて3人。自宅療養の患者11人と契約し、定期的に往診する。
 休診日は週2回。緊急時には夜間・休日問わずに即応し、入院が必要だと判断すると、受け入れ先を紹介する。
 出雲市平田町出身。2002年、島根医科大(現、島根大医学部)を卒業後、出雲市内の病院の勤務医になった。もともと自然の成り行きで入った医師の世界だったが、なぜか専門分野化された病院勤務にはなじめなかったという。
 医師生活の転機になったのは、地元の医療生協が運営する診療所。今年3月まで勤務した経験が、在宅医療専門のクリニック開業への思いを駆り立てた。奥野院長は言う。
 「家で過ごしている姿は、顔つきが違い、表情が生き生きとしている。そんな人たちをサポートしたい。在宅医療には魅力がある」
   ※  ※
 ホームクリニック暖のように24時間態勢で往診や訪問看護を提供する「在宅療養支援診療所」が今、全国的にクローズアップされている。
 厚生労働省によると、その数は約1万2500カ所(10月1日現在)。このうち、島根県内は122カ所。06年4月の改正医療保険制度に伴って新設されて以降、急速に伸びている。
 その背景には、病院中心から在宅中心へと大きくかじを切る国の医療施策が呼び水になっているが、住み慣れた自宅で療養し、できることなら心安らかに最期を迎えたいという患者側のニーズもある。
 だが、課題もある。支援診療所の条件を満たすには、緊急入院などに即応できる病院との連携や情報共有、さらに医療と介護福祉との橋渡し役を担うケアマネジャーとの連携も求められる。
 いわば支援診療所を側面からサポートできる医療・福祉資源が、その地域になければ容易に成り立たない。
 奥野院長は緊急時の対応を考え、事務所から半径2〜3キロ圏内に住む患者を中心に在宅医療サービスを提供する。合間には、介護付き有料老人ホームに通い、病状に応じて定期的に診療を行う。
 開業から半年余り。在宅医療サービスを提供するだけでなく、患者やその家族との人間関係づくりにこだわってきた。時には、悩みにも耳を傾け、腹を割って話す。
 「専門がないのが専門」と言い切る若きホームドクター。疾患だけでなく、患者を取り巻く生活環境にも目配りして寄り添う「全人的医療」が叫ばれて久しい医療現場で、患者と医師の新たな信頼関係を紡ぐ。

 〜データ〜
 在宅療養支援診療所 24時間態勢で往診や訪問看護を実施する診療所のこと。島根県内では122カ所(10月1日現在)ある。内訳は▽安来市6▽松江市43▽雲南市3▽奥出雲町2▽出雲市25▽大田市3▽川本町1▽邑南町1▽江津市8▽浜田市18▽益田市7▽津和野町1▽吉賀町1▽隠岐の島町2▽海士町1。

【写真説明】在宅療養支援診療所を開設し、往診先で患者に話し掛ける奥野誠院長。患者や家族との信頼関係を紡ぐ=出雲市大社町


 
 
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◆2010/12/09 「「文化庁メディア芸術祭」の受賞作品決まる」
 『日経BP社』2010-12-9
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20101209/1029028/

2011年2月には国立新美術館などで受賞作品展を開催
増谷 彩=日経パソコン

 文化庁メディア芸術祭実行委員会は2010年12月8日、第14回文化庁メディア芸術祭の受賞24作品などを発表した。文化庁メディア芸術祭とは、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門に分かれている応募型のコンテスト。14回目となる今年度は、49の国と地域から2645作品の応募があった。受賞作品と審査委員会推薦作品など171作品は、国立新美術館(東京都港区)と東京ミッドタウン(東京都港区)にて2011年2月2日から2月13日まで展示される。
 今年度、アート部門で大賞に選ばれたのは、スイスの兄弟ユニットMichel DECOSTERD/Andre DECOSTERD(Cod.Act)の「Cycloid-E」。水平方向に連結した5本の金属管にはスピーカーが備えられており、回転に応じて音の反響も変化する。予期せぬ動きと音響をもたらすダイナミックな作品となっている。優秀賞となった4作品のうち、「The EyeWriter」は最後まで大賞と競り合った作品。筋肉の委縮と筋力低下をもたらす神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患ったグラフィティライターが、眼球の動きで再び絵を描くまでのプロジェクトを追ったドキュメンタリー映像だ。
 同じく優秀賞の「The Men In Grey」は、グレーのスーツに身を包んだ2人組の男性が登場する映像作品。スーツケース型の“装置”を持ち歩き、カフェでインターネットをしている人が見ている画面など、日常にあふれる情報を収集。ときには反対に、他人の通信に入り込み、勝手に画像を送りこむこともある。この作品を通して、通信の脆弱性などへの気付きを与えるという。また、優秀賞を受賞した田村友一郎の「NIGHT LESS」は、自分で画像を一切撮影することなく、Google ストリートビューの画像だけでロードムービーを完成させた。Google ストリートビューには夜撮影された画像がないことがタイトルの由来になっている。ほかに優秀賞が1作品、奨励賞が1作品ある。
 エンターテインメント部門の大賞は、auのスマートフォン「ISシリーズ」のプロモーション用アイテムとして公開された「IS Parade」。TwitterのIDを登録すると、フォロワーがキャラクターとなってパレードするというコンテンツだ。発表会には製作者の林智彦氏、千房けん輔氏、小山智彦氏が登場。千房氏は、「Twitterを利用していて感じたのは、みんな自分が大好きだということ。自分のお祭りをできるコンテンツがあればいいのではないかと思った」と発想の着眼点を語った。優秀賞の「アルクアラウンド/サカナクション」は、歌手サカナクションのミュージックビデオ。歩く速度と歌詞の出現が絶妙なタイミングでシンクロしており、1カットで撮りきったスタッフの工夫や労力が評価された。ほかに優秀賞が3作品、奨励賞が1作品ある。
 アニメーション部門の大賞は、フジテレビで放送されたアニメ「四畳半神話大系」。バラ色のキャンパスライフを夢見る主人公が、「あのとき別の道を選んでいれば……」と人生の選択をリセットし続けるストーリー。京都の風景を忠実に取材しつつ、独特のデフォルメが施されている点など、湯浅政明監督の映像マジックが評価された。ほかに、優秀賞4作品がある。奨励賞の短編アニメーション「The Wonder Hospital」は、整形手術を受けようとする主人公が訪れた、謎めいた病院での超現実的な体験を描いた作品。映像自体がずれていたり、歪んでいたりすることで、不安な雰囲気が伝わってくるところなどが評価された。
 マンガ部門の大賞は岩明均氏の「ヒストリエ」。紀元前を舞台とし、アレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの人生を描く歴史大作だ。同氏は受賞にあたり、「一般の人には興味の薄い題材でありながら、開始から7年、評価されてうれしい」と感想を寄せた。

【写真説明1】アート部門大賞に選ばれたMichel DECOSTERD/Andre DECOSTERD(Cod.Act)の「Cycloid-E」(C)Cod.Act
【写真説明2】アート部門優秀賞に選ばれたZach LIEBERMAN/Evan ROTH/James POWDERLY/Theo WATSON/Chris SUGRUE/Tony TEMPT1の「The EyeWriter」(C)Temp1,Evan Roth,Chris Sugrue,Zach Lieberman,Theo Watson and James Powderly
【写真説明3】アート部門優秀賞に選ばれたJulian OLIVER/Danja VASILIEV(The Men In Grey)の「The Men In Grey」(C)The Men In Grey
【写真説明4】アート部門優秀賞に選ばれた田村友一郎の「NIGHT LESS」(C)田村友一郎
【写真説明5】エンターテインメント部門大賞に選ばれた林智彦/千房けん輔/小山智彦の「IS Parade」(C)KDDI株式会社
【写真説明6】エンターテインメント部門優秀賞に選ばれた関和亮の「アルクアラウンド/サカナクション」(C)ビクターエンタテインメント株式会社/株式会社ヒップランドミュージック
【写真説明7】アニメーション部門大賞に選ばれた湯浅政明の「四畳半神話大系」(C)四畳半主義者の会
【写真説明8】アニメーション部門奨励賞に選ばれたBeomsik Shimbe SHIMの「The Wonder Hospital」(C)Beomsik Shimbe SHIM, all rights reserved
【写真説明9】マンガ部門大賞に選ばれた岩明均の「ヒストリエ」(C)岩明 均/講談社


 
 
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◆2010/12/11 「「いのち・愛・人権」展:人権や共生考えて あす趙博さんライブも−−益田 /島根」
 『毎日jp』2010-12-11
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20101211ddlk32040697000c.html

 第7回「いのち・愛・人権」展が益田市須子町の市人権センターで開かれている。12日まで。NPO法人や自治体などで作る実行委主催。
 高齢者の人権▽女性の人権▽ハンセン病問題▽障がい者の人権−−など、12コーナーがある。入場無料。
 多文化共生と人権コーナーでは、在日外国人の人権や在韓被爆者の問題などを展示。益田市の高校生たちが今夏、韓国を訪れて交流した旅の記録や、広島朝鮮学校と高津中学校との交流の様子などを写真や感想文で紹介している。障がい者の人権コーナーでは、介護者の手を借りながら自宅で暮らすALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者を紹介。障害者の自立を考えている。
 12日午後1時半からは益田市総合福祉センターで、日韓併合百年の今年、CD「百年目のヤクソク」を発表した在日コリアン2世のミュージシャン、趙博さんのライブと講演もある。問い合わせは人権センター(0856・31・0412)。【上村里花】

毎日新聞 2010年12月11日 地方版


 
 
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◆2010/12/15 「ひと彩々/NPO法人理事長 高橋昭夫さん」
 『asahi.com』2010-12-11
http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000001012150001

◇地道に森林整備、意欲衰えず
 筋肉の力が衰えていく難病の脊髄(せきずい)性進行性筋萎縮(いしゅく)症にかかりながら、子どもや障害者のための森林整備を寄居町の山林で進めている。治療法が確立されていない病気の進行に、不安がつきまとうという。
 小学校教員を5年、米国の日本人学校でも教壇に立った。渡米後にカナダのログハウススクールに興味を持ち、教員を辞めた。
 約20年前に帰国した。実家近くの寄居町金尾で、ログハウスを建築するログビルダーを始め、「自然の中で子どもたちが学べる場所を」と、約3300平方メートルの森林を借りた。
 体の異変を感じたのは、10年前。つま先で立つことができなくなり、病院で診断を受けた。医師から「将来、車いすや寝たきり生活になる可能性がある」と聞かされた。重い物が持てなくなり、今は長い距離を歩くこともできない。
 体調が伴わない中、6年前にNPO法人「森林活用研究会こぴす」を立ち上げた。自ら森林に入り間伐を進め、障害者に必要な木道などを整備をする。
 「ちょっとした体の変化が気になってしまう。(筋肉が動かなくなる)筋萎縮性側索硬化症(ALS)に移行するのが怖い。何とか進行を遅らせたい」と話す。それでも、一つでも多くの森を整備して、後継者もつくりたいと意欲的だ。
 来年4月には2年ぶりにログハウス教室も開く計画で、受講者を募っている。
 問い合わせは、「森林活用研究会こぴす」(048・581・8339)へ。


 
 
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◆2010/12/17 「佐賀県議会、全議員で難病議連 国への政策提案視野に」
 『佐賀新聞』2010-12-17
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1787806.article.html

 佐賀県議会の全40議員が超党派で参加した県難病対策推進議員連盟は16日、設立総会を開いた。難病患者の人権や生活、就学・就労などを支援するため、研修で理解を深めたり、政策提案を国に働きかける。同様の議連は九州では初めて。
 会長に篠塚周城議員(自民)を選出。篠塚会長は「患者との交流を深める中で法的整備の必要性を感じていた。政治がもっともっと手を差し伸べないといけない部分がたくさんある。難病患者に少しでも役に立つ活動ができれば」と語った。
 総会に続き研修会を実施。おそえがわ脳神経内科(佐賀市)の小副川学院長が「神経難病はわからない、治らない、手がかかるため一般病院で敬遠されがち」で、病院を転々として悪化して療養病院に入り、病状の進行でさらに診療が困難となる問題点を挙げた。
 パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの症例を説明し、理解を求めた。「患者だけでなく、介護する家族も疲弊する」ため、数カ月に1回、1週間程度入院して介護者を支援する体制が重要とし、そのための病院増床の規制緩和も訴えた。
 130の難病のうち、医療費の一部助成が受けられる特定疾患は56で、県内の医療受給者証発行の患者数は2009年度末で約5千人。
【写真説明】難病対策推進議連設立総会後、専門医から神経難病について説明を受ける県議=佐賀県議会棟


 
 
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◆2010/12/21 「ヘルパーからの医行為相談に訪看も悲鳴――都福祉学会レポート2」
 『介護支援専門員サイト ケアマネジメントオンライン』2010-12-21
http://www.caremanagement.jp/news+article.storyid+8315.htm

 12月17日、東京都主催の「第6回東京都福祉保健医療学会」が開催され、福祉・医療関係者が取り組んだ約80事例について各分野ごと会場に分かれて口頭発表が行われた。保健衛生分野のポスターセッションでは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)療養者を支援するための在宅療養支援計画・評価事業の経過を町田保健所が報告。現在、厚生労働省で検討されているたんの吸引など、介護職への医行為解禁にも関連して医療・介護の課題を検証した。
 発表に立った同保健所の加藤由紀氏は、はじめに、町田市全域約42万人を管轄している同保健所で把握したALS療養者全25人中、在宅療養支援計画策定評価会議の資料をもとに調査した22人の調査結果である旨を説明した。
 対象者は30代から70代(平均63.7歳)、療養期間は平均9.7年、発症から人工呼吸器装着までの期間は平均4.2年で、22人中20人が家族と同居し在宅で療養しているが、本人と主介護者との2人世帯が6割を占めており、主介護者は77%が配偶者だった。
 22人中、要介護者が17人で要介護4以上が12人。うち6人が訪問看護を利用しており、人工呼吸器を装着している人が半数近くいる。
 明らかになった課題を分析してみると、医療機関については管内には専門医療機関(拠点病院、協力病院)がなく、隣接する神奈川県の専門医療機関との連携が不十分であること、委託医療機関が遠かったり、本人や家族が入院中のケアに満足できないために家族の休息のための入院利用が少ないことなどがあった。
 管内に15カ所ある訪問看護ステーションのうち、現在ALS療養者を担当しているのは9カ所。ALS療養者への訪問看護は吸引、胃ろうなどの医療ケアが多く、ヘルパーが吸引を行っている療養者は6人(27%)いるが、呼吸・嚥下など生命にかかわることだけにケアの質が求められる。現場からはヘルパーへの指導や相談のニーズに対応しきれない悲鳴が上がっており、職員の退職などで体制を維持できず、訪看ステーションを変更したケースも報告された。
 長期療養者における現状では、高齢化による老々介護や主介護者が独自の介護スタイルを持ち、他の家族が介入できずに家族の中で孤立していく傾向が見られた。長期間、24時間という過酷な介護に疲弊して暴言や介護放棄に至るケースもあり、看護師やヘルパー自身が家族のような存在となり、やはり疲弊してしまっていた。その背景には、療養生活の長期的な展望や主介護者不在時の体制などが家族間で十分話し合われておらず、支援している介護関係者は、そのことに気付きながらも話し合う機会を設けていない事実があった。
 加藤氏は、こうした結果を統括し、医療機関には専門医療機関を持たないエリアの保健所として、近隣の同機関への働きかけや協力病院の開拓を、訪看ステーションには、連絡会を通じた複数ステーションの利用拡大による疲弊防止策を今後の取り組みにあげた。
 また、「医療依存度の高い療養者の長期療養を支えるため、ヘルパーによる吸引や夜間のサービス提供が地域で実施されているが、事業所が複数あり、看護師などから研修を受けたヘルパーがいても交替してしまうなどサービスの質に均一性がない。安全性を確保しつつケアが行われるために必要な支援のあり方は、今後の地域での重要な課題」と述べて、ケアマネジャーと定期的な関わりを持つなど、福祉分野との連携を図る必要性も訴えた。

■取材協力
東京都福祉保健局


 
 
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◆2010/12/21 「脳制御型エクソスケルトンの第1歩!? 脳でPC動かすサル、運動フィードバック込みのBCIで制御力アップ」
 『GIZMODO JAPAN』2010-12-21
http://www.gizmodo.jp/2010/12/1pcbci.html

 脳にコンピュータを繋いで操作するブレイン=コンピューター・インターフェース(BCI)。マインドで義手義足を動かす研究は何年も前からあるけど、これはそれを次段階に押し上げる発見かもしれませんね。
 サルに想念でコンピュータのカーソルを動かしてもらったら、エクソスケルトン(外骨格)を装着して知覚を強化した方が操作が速く正確になった! そんな新たな研究成果が今月15日の「The Journal of Neuroscience」に掲載になりました。
 脳でマシンを制御するBCI技術は視覚に頼ってるものがほとんどですけど、そこに腕の動きや位置なんかのフィードバック(固有受容感覚)をプラスしてやれば装置もググンと改善できそうですね。
 今は四肢麻痺の人でも脳制御の補助器具を使えばメールを送ったり、ビデオゲームを楽しんだり、ロボットの腕を動かすことができます。マインドでコントロールする車椅子はトヨタも作ってますよね。
 今回の研究でシカゴ大学のNicholas Hatsopoulos博士率いる研究チームが目指したのは、脊髄を傷めた患者さんや筋萎縮性側索硬化症(ALS)の人など、麻痺した四肢にまだ感覚が残っている人たちのための新技術です。
 北米神経科学学会の紹介記事にはこうありますよ。

  「生命体は複数の知覚(視覚・触覚など)からのフィードバックで体の動きを調整している。動きを正常に制御するには四肢の動きを感じる能力が不可欠だ。この知覚を失うと動きは緩慢になり、タイミングも外れ、かなり集中しないと体が動かせなくなる」(Hatsopoulos氏)
  そこで執筆者たちは2匹の成人のアカゲザルを使い、運動感覚を含めた装置の効果を測ってみた。各サルにはまず脳のシグナルだけ使ってカーソルを操作する訓練を行った。(頭の)電極でサルの運動皮層細胞からデータを集めて処理し、そこで得たコマンドをコンピュータに転送するのだ。基礎科学研究では、何か動かそうと考えると、その動きを起こすのと同じように脳細胞も活性化されることが分かっているので、サル的にはカーソルを動かそうと思うだけでカーソルは動かせる。
  その上で研究者たちは、各動物の腕全体にロボティックな「袖」を着せてみた。実験第1部ではサルにコンピュータの画面を見るだけでカーソルを動かしてもらう。そして第2部ではサルにカーソルの動きを時間・空間で感じてもらえるよう、力を抜いたサルの腕をカーソルの動きに合わせてロボット制御の袖で動かしてみた。するとサルたちの感度が高まり目標物にカーソルが当たる速度も速まり、もっとよく命中するようになったのだ。また、視覚オンリーのフィードバックの時に比べ、運動皮層細胞のアクティビティにも運動関連情報の増加が認められた。
  こうしたことからHatsopoulos氏は、自然なフィードバックや、人工生成した知覚フィードバックまで取り込める進化した脳制御デバイスに道を拓く発見ではないかと話している。「装着可能なエクソスケルトン型ロボットを着てもらえば、知覚が部分的あるいは完全に残っている患者さんに知覚情報を伝えることができる」、「あるいはまた、運動・知覚の両機能を失った患者さんでも皮層のしかるべき場所に直接刺激を与えてやれば体内に知覚フィードバックが再現できるかもしれない」(同氏)

 要するに、マインドで制御するエクソスケルトンの技術は揃ってて、あとは開発・実用化するだけってことですね。一番興味をそそるのは最後のところ...これって四肢に刺激を与えてやれば手足動かさなくても運動フィードバックが再現できるってことですよね? 興味深い。ロボコップまであと一歩かもね。


 
 
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◆2010/12/27 「伝わった強い意思 「伝達装置」の生産続行」
 『北國新聞』2010-12-27
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/HT20101227401.htm

 脳卒中の後遺症などで言葉が話せない人が使用する「意思伝達装置」の普及に向け、石 川県立医王特別支援学校の教諭宮田俊也さん(43)と同校小松みどり分校の教諭山元加 津子さん(53)が奮闘している。装置を使用する宮田さんと山元さんが製造元の解散を 知り、メールマガジンやブログで情報を発信。10万人以上の署名を集め、生産続行を後 押しした。2人は「誰にでも伝えたい思いがある。装置の存在も多くの人に知ってほしい 」と話している。
 宮田さんは昨年2月に脳卒中で倒れた。一命を取り留めたが、全身が動かなくなった。 「意識は戻らない」とされた中、山元さんは治ると信じて野々市町の病院に毎日通った。 治療とリハビリを経て宮田さんは徐々に回復し、半年後に意思伝達装置「レッツ・チャット」を使い始めた。
 装置はノート大でボタンを押して選んだ文字が画面に表示される。指1本で操作でき、 持ち運びもできる。パソコン無しで操作できる唯一の装置とされ、筋萎縮性側索硬化症( ALS)の患者らをはじめ、子どもから高齢者まで幅広い年代が使用することができる。
 装置のおかげで宮田さんは意思疎通が可能になり、山元さんは日々の回復の様子や装置 を使った会話の内容を自身のブログと全国に読者を持つメールマガジンで紹介した。
 「危機」が訪れたのは今年4月。装置の製造元でパナソニック傘下のファンコム(大阪 府守口市)が解散を発表。2人は「大事な装置がなくなったら困る」と衝撃を受けた。
 生産続行を求め、奈良県に住む利用者の保護者が8月に署名運動を始めると、2人もメ ールマガジンなどで協力を呼び掛け、半月で10万1224人の署名が集まった。ファン コムの業務を引き継ぐパナソニックヘルスケア(愛媛県東温市)が署名活動を知り、レッ ツ・チャット新モデルを来春発売することを9月に発表した。
 2人は24日に発売した共著「満月をきれいと僕は言えるぞ」(三五館)で装置につい て触れ、宮田さんは「誰もが言いたいことがあると分かってください」と訴える。山元さ んは「近眼だったら眼鏡を掛けるように、言葉を話せない人が装置を使うのが当たり前に なればいい」と願っている。
【写真説明】リハビリに励む宮田さん(左)と山元さん=野々市町の病院


 
 
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◆2010/12/28 「【NEC報道資料】「NEC難病コミュニケーション支援講座」、中国地方で初の開催! 〜“NPO×行政×企業”でITコミュニケーション支援の可能性を探る、NECの社会貢献活動〜」
 『News2u』2010-12-11
http://www.news2u.net/releases/80243

NEC難病コミュニケーション支援講座
http://www.nec.co.jp/community/ja/it/communication.html
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平成22年12月28日

NECはこのたび、NPO法人ICT救助隊(注1)および日本ALS協会山口県支部と協働し、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィー等の神経筋難病患者を中心とした重度身体障がい者のITコミュニケーション支援を目的とした「NEC難病コミュニケーション支援講座」を開催します。詳細は以下の通りです。
(1)日 時:平成23年1月8日(土)10:00〜16:00
         1月9日(日)10:00〜16:00
(2)会 場:講義・演習会場 彦島公民館
 (山口県下関市彦島江の浦町1丁目3番1号)
(3)主 催:NPO法人ICT救助隊
(4)共 催:日本ALS協会山口県支部
(5)協 賛:NEC
(6)協 力:下関市立下関保健所
(7)参加者:医療従事者を中心に約50名
(8)内 容:文末別紙
本講座は、NECの社会貢献活動の一つで、すべての人に優しい情報社会の実現を目的としたプログラム“NEC IT CONNECTION”(注2)の一環として、2008年度にスタートしたプログラムです。本講座修了後も、最終受益者である重度身体障がい者がITコミュニケーションを出来るようになるよう、継続的なフォロー(受講者からの相談対応・アドバイスやコミュニケーション機器の貸し出し等の人的・物的サポート)を実施してまいります。
NECは今後も、全国各地域の医療機関で「NEC難病コミュニケーション支援講座」を開催し、自由なITコミュニケーションを通じて一人でも多くの重度身体障がい者が社会とつながることを目指していきます。
以 上

<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>
NEC CSR推進部社会貢献室 池田
電話:(03)3798-9555
E-mail:s-ikeda@cw.jp.nec.com

<別紙>
【1日目(10:00〜16:00)】
10:00 開会にあたり
10:10 コミュニケーションについて(ICT救助隊 仁科恵美子氏)
    透明文字盤の実習と携帯型会話補助機器体験
    (レッツチャット、ペチャラ、トーキングエイド)
11:30 伝の心 (ICT救助隊 今井啓二氏)
12:15 昼食
13:00 オペレートナビ (NECスタッフ講師 鈴木信幸氏)
14:00 スイッチの適合(川村義肢 日向野和夫氏)
15:45 まとめ
16:00 終了
《希望者》
16:00 工作実習「ゲームパッドの改造」(ICT救助隊 今井啓二氏)
18:00 終了

【2日目(10:00〜16:00)】
10:00 オペレートナビの応用(NECスタッフ講師 鈴木信幸氏)
11:00 フリーソフトの活用HeartyLadder(ICT救助隊 仁科恵美子氏)
12:15 昼食
13:00 工作実習「オリジナル入力スイッチ製作」(ICT救助隊 今井啓二氏)
15:00 まとめ 質疑応答
16:00 終了

注1:NPO法人ICT救助隊(http://rescue-ict.sakura.ne.jp/)
NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会(http://www.sakura-kai.net/)を中心に、IT支援ボランティア団体で活動をしたり、訪問看護事業等に従事している者が、横断的に情報を共有し活動を推進していくために2010年1月17日に結成。活動内容は、主にICT (Information & Communication Technology - 情報通信技術-) を活用した難病患者や重度障害者のコミュニケ―ション支援等。
注2:NEC IT CONNECTION
NECは、さまざまな要因によって社会的に孤立している人たちが、「IT」を活用することで自由にコミュニケーションがとれるようになり、これによって「人」や「社会」とのつながりを持つことができるようになるだろうと考えています。このような、NECが「デジタルデバイド解消」を目的として取り組む社会貢献活動を総称して「NEC IT CONNECTION」と呼んでいます。


 
 
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◆2010/12/28 「支局長からの手紙:瞳は語る /高知」
 『毎日新聞』2010-12-28
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20101228ddlk39070436000c.html

 「魔法使いになってみませんか」。介護機器を販売している北岡剛(つよし)さん(39)=高知市春野町=が真顔で妙なことを言いながら、重さ5・3キロもする15インチのディスプレーをテーブルに取り付けたアームにセットします。
 最初に黒い画面が表示され、「動かずに見つめてください」と北岡さん。しばらくすると、画面に二つの白丸が現れました。私の目がまるで鏡に写ったような感じで、機械に認識されました。次に黄色の小円が上から下にジグザグに移動し、その円を視線で追うと、準備完了のようです。
 「聞きたい曲名をじっと見つめてください」。最初は音楽再生機能です。「崖の上のポニョ」という曲名を注視すると、文字の上に3センチ弱の赤い円が浮かび上がります。その間1・5秒。これで選択終了で、クリックに当たります。次に「▼」を見つめます。赤い円が浮かぶと、おなじみのポニョのテーマが突然鳴り出します。「!」。音が大きすぎたので、音量を下げるアイコンを直視すると、音が下がって行きます。「!」
 ただ見つめるだけで、操作できるとは。北岡さんに聞けば、スウェーデンのトビーテクノロジー社が開発した視線入力による意思伝達装置と言います。ディスプレー一体型のパソコンに近赤外線のセンサーが組み込まれ、眼球までの距離と角度を感知するのです。
 次に文字入力を試します。五十音表の画面が現れ、使いたい文字を順に見つめて行きます。「な・に・を・い・っ・た・ら・い・い・の・の・か」。不慣れなせいで、打ち(見)間違えました。「読み上げ」のアイコンを見ると、入力した文章が音声で読み上げられます。漢字変換はもちろん、インターネットへの接続やメール交換、ゲームなどもできます。
 全身の筋肉が徐々に衰えていく難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者らの利用を想定しています。従来の伝達装置の場合、「す」と言いたい時には、五十音表上をカーソルが「さ行」まで移動した時にまず合図し、次に、さ・し・す……とカーソルが3文字目に来た時に合図します。合図は体が動かせる間は指などで、それが無理ならまばたきなどで行います。
 「『体が動かなくなっていつ意志が伝えられなくなるかもしれない』。ALS患者が一番不安に思っていることです」と北岡さん。眼球さえ動けば、その不安を解消する夢のような装置です。北岡さんが営む「テクノクラフト」(088・803・2233)は四国で唯一の販売代理店です。先月、試してみた香川県内のALSの男性は購入を即決しました。
 北岡さんによると、国内では今年2月の発売以来、全国で十数台が売れました。ネックは170万円(税抜き)という価格です。従来装置は国などの補助制度がありますが、視線入力の装置は一部の県を除き、高知など大半の都道府県では全額自己負担といいます。
 「福祉にとどまっているのは今だけですよ」。北岡さんは声を強めます。テレビのチャンネルや車のオーディオなど、瞳で操作する時代が来るのでしょうか。まずは社会を凝視して、一人一人が「弱者に優しい社会」をクリックしなければなりません。【高知支局長・大澤重人】
 良いお年をお迎えください。新年最初の掲載は来月6日です。

 
 
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◆2010/12/30 「ALS患者らの意思伝達装置 開発・普及を仙台市が支援」
 『河北新報』2010-12-11
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/12/20101231t15007.htm

全身の筋肉が衰える筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、意思疎通が困難になる難病患者らに対するコミュニケーション支援に、仙台市が来年度から乗り出す。「家族のきずな、生きる希望をつなぎたい」という患者や家族の長年の悲願に応える。 ...



*作成:長谷川 唯山本 晋輔
UP: 20100227 REV:
ALS
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