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ALS・2009年4月〜6月の報道等

ALS 2009 (English)
ALS

last update:20091219


2009/02/21土 「東アジアALS患者在宅療養研究シンポジウム」
 於:立命館大学衣笠キャンパス

 *以下、寄せられた情報を掲載。webmaster@arsvi.comまで情報をいただければ掲載いたします。

  ◆ALS・2009
  ◆ALS・2009年1月〜3月の報道等
  ◆ALS・2009年7月〜9月の報道等
  ◆ALS・2009年10月〜12月の報道等

◆2009/04/01 「呼吸機能障がい者に希望の光」
 『公明新聞』2009-4-1
 http://www.komei.or.jp/news/2009/0401/14167.html
◆2009/04/02 「キム・ミョンミン、ALS患者役のため13キロ減量へ」
 『中央日報』2009-4-2
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=113495&servcode=700§code=710
◆2009/04/05 「シンポジウム:「患者の人権」 ALS患者らパネリスト−−金沢で12日 /石川」
 『毎日jp』2009-4-1
 http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20090405ddlk17040391000c.html
◆2009/04/07 「静岡地裁:「信頼失わぬよう」 福田所長、就任の記者会見 /静岡」
 『毎日jp』2009-4-7
 http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20090407ddlk22010296000c.html
◆2009/04/12 「支局長からの手紙:生きていればこそ /高知」
 『毎日新聞』2009-4-12
 http://mainichi.jp/area/kochi/news/20090412ddlk39070425000c.html
◆2009/04/14 「医療ナビ:介護職の医療的ケア。どこまで可能?」
 『毎日新聞』2009-4-14
 http://mainichi.jp/life/health/news/20090414ddm013100098000c.html
◆2009/04/14 「ALS:金沢で患者の人権シンポ 自分らしく生きて…患者の橋本さんが訴え /石川」
 『毎日新聞』2009-4-14
 http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20090414ddlk17040564000c.html
◆2009/04/14 「リビングウィルの法制化で議論−厚労省」
 『キャリアブレイン』2009-4-14
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/21559.html
◆2009/04/15 「夢をありがとう 木下大サーカス終了」
 『大分合同新聞』2009-4-15
 http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_123975812556.html
◆2009/04/15 「第二部自分らしく(1) 「余命5か月」激しく動揺」
 『読売新聞』2009-4-15
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/feature/tohoku1237996744030_02/news/20090415-OYT8T00603.htm?from=yolsp
◆2009/04/16 「第二部(2) 自問重ね「呼吸器拒否」」
 『読売新聞』2009-4-16
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/feature/tohoku1237996744030_02/news/20090416-OYT8T00730.htm
◆2009/04/17 「第二部(3) 生きる意味、生徒に問う」
 『読売新聞』2009-4-16
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/feature/tohoku1237996744030_02/news/20090416-OYT8T01343.htm
◆2009/04/18 「第二部(4) 奇跡 今年の桜見られた」
 『読売新聞』2009-4-18
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/feature/tohoku1237996744030_02/news/20090420-OYT8T00431.htm
◆2009/04/19 「iPS細胞の研究競争激化、日本は米に「1勝10敗」」
 『読売新聞』2009-4-19
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090419-OYT1T00363.htm?from=navr
◆2009/04/21 「英物理学者ホーキング博士が入院」
 『AFPBB News』2009-4-21
 http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2593955/4054520
◆2009/04/22 「「死なせて」大統領に訴え 難病で全身まひの伊男性」
 『47NEWS』2009-4-22
 http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009042201000031.html
◆2009/04/24 「ALS患者が厚労省に要望 治療薬の保険適用求める」
 『47NEWS』2009-4-24
 http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009042401000807.html
◆2009/04/25 「24時間在宅療養充実へ 介護事業所設立をALS滋賀支部が総会 」
 『京都新聞』2009-4-25
 http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009042500125&genre=C4&area=S00
◆2009/05/03 「「ALSマニュアル決定版!」(国立病院機構新潟病院副院長・中島孝監修)」
 『読売新聞』2009-5-3
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/info/book_item/20090503-OYT8T00254.htm
◆2009/05/11 「在宅療養支援施設3周年 記念の祭りにぎわう」
 『読売新聞』2009-5-11
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukuoka/news/20090510-OYT8T00889.htm
◆2009/05/15 「金沢大保健学類:患者の声に学ぶ 図書室に闘病記ライブラリー設置 /石川」
 『毎日jp』2009-5-15
 http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20090515ddlk17040547000c.html
◆2009/05/17 「筋萎縮性側索硬化症の患者らが交流」
 『信濃毎日新聞』2009-5-17
 http://www.shinmai.co.jp/news/20090517/k-2.htm
◆2009/05/21 「おひとりさま 死に方も自分で決めよう」
 『毎日jp』2009-5-21
 http://mainichi.jp/select/wadai/everyone/news/20090521mog00m040020000c.html
◆2009/05/22 「あす習志野でライブ 難病の舩後さん作詞の歌など 額センサーでパソコン操作」
 『東京新聞』2009-5-22
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20090522/CK2009052202000107.html
◆2009/05/23 「ライブ:ALS障害持つ舩後さん、習志野できょう /千葉」
 『毎日jp』2009-5-23
 http://mainichi.jp/area/chiba/news/20090523ddlk12040233000c.html
◆2009/05/27 「本はともだち:難病の父が書いた、わが子らの成長 泉さん「やさしさのまほう」出版」
 『毎日jp』2009-5-27
 http://mainichi.jp/enta/book/news/20090527ddm010040125000c.html
◆2009/05/28 「慶応大チームがサルの遺伝子組み換え成功、霊長類で初」
 『Reuters』2009-5-28
 http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-38261720090528
◆2009/05/28 「アル・パチーノ、死の医師と呼ばれたジャック・ケヴォーキアンを演じる?」
 『シネマトゥデイ』2009-5-28
 http://cinematoday.jp/page/N0018232
◆2009/05/31 「命の尊さ伝えたい ALSと闘う金城元校長/「負けても勝也」夫婦で執筆」
 『沖縄タイムス』2009-5-31
 http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-05-31-M_1-023-1_001.html?PSID=6c87e2d041347353e1258a3fe1788cf3
◆2009/06/02 「AIMSPROにオーファン指定、ダバルのALS治療薬」
 『Fastening journal』2009-6-2
 http://www.nejinews.co.jp/news/business/archive/eid2135.html
◆2009/06/04 「ALS:難病理解して 患者・家族の団体県支部、10年間の活動記録を本に /島根」
 『毎日jp』2009-6-4
 http://mainichi.jp/area/shimane/news/20090604ddlk32040700000c.html
◆2009/06/08 「ALS協が設立10周年で総会」
 『中國新聞』2009-6-8
 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200906080006.html
◆2009/06/08 「ALS協会 介護家族への支援求める 県支部設立10周年記念総会」
 『読売新聞』2009-6-8
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20090607-OYT8T00831.htm
◆2009/06/08 「ファンコム社長 松尾 光晴さん(43)(1)父親の介護」
 『産経関西』2009-6-8
 http://www.sankei-kansai.com/2009/06/08/20090608-010832.php
◆2009/06/09 「ファンコム社長 松尾 光晴さん(43) (2)研究者時代」
 『産経関西』2009-6-9
 http://www.sankei-kansai.com/2009/06/09/20090609-010891.php
◆2009/06/09 「 健康・医療 : ALS協会県支部 患者の実態訴えへ、闘病映像上映」
 『山陰中央新報』2009-6-9
 http://www.sanin-chuo.co.jp/health/modules/news/article.php?storyid=512808075
◆2009/06/10 「ファンコム社長 松尾 光晴さん(43)(3)最初の商品」
 『産経関西』2009-6-10
 http://www.sankei-kansai.com/2009/06/10/20090610-010941.php
◆2009/06/11 「特養「医行為」でモデル事業を了承――厚労省検討会」『医療・介護情報CBニュース』」
 『キャリアブレイン』2009-6-11
 https://www.cabrain.net/news/article/newsId/22492.html
◆2009/06/11 「岐大にiPS研究施設 京大と連携」
 『中日新聞』2009-6-11
 http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009061102000150.html
◆2009/06/11 「県難病相談・支援センター:開設4周年 熊本市で記念講演会 /熊本」
 『毎日新聞』2009-6-11
 http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20090611ddlk43040584000c.html
◆2009/06/15 「遺伝子改変霊長類作出、導入遺伝子第2世代まで伝達」
 『知財情報局』2009-6-15
 http://tech.braina.com/2009/0615/bio_20090615_001____.html
◆2009/06/16 「ALSへの理解訴え 協会島根県支部」
 『中国新聞』2009-6-16
 http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200906160261.html
◆2009/06/18 「終末期医療を考える…「どう生きる」医師と話そう」
 『読売新聞』2009-6-18
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090619-OYT8T00599.htm
◆2009/06/21 「ALS:患者の決断、苦悩紹介 高松医療センター・松下愛子さん実態講演 /香川」
 『毎日新聞』2009-6-21
 http://mainichi.jp/area/kagawa/news/20090621ddlk37040221000c.html
◆2009/06/22 「島根ワイド : ALS患者の高橋さん、再び舞台演出に挑戦」
 『山陰中央新報』2009-6-22
 http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=513094004
◆2009/06/27 「ルーゲーリック病と戦って7年、パク・スンイルさん(1)」
 『中央日報』2009-6-27
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117210&servcode=400§code=400
◆2009/06/27 「ルーゲーリック病と戦って7年、パク・スンイルさん(2)」
 『中央日報』2009-6-27
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117211&servcode=400§code=400
◆2009/06/27 「ルーゲーリック病と戦って7年、パク・スンイルさん(3)」
 『中央日報』2009-6-27
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117212&servcode=400§code=400
◆2009/06/27 「ルーゲーリック病と戦って7年、パク・スンイルさん(4)」
 『中央日報』2009-6-27
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117213&servcode=400§code=400
◆2009/06/29 「窓ノ外ノ世界」
 『シネマトゥデイ』2009-06-29
 http://www.cinematoday.jp/movie/T0007732
◆2009/06/29 「神経切断防ぐ遺伝子、アルツハイマー防げる?」
 『読売新聞』2009-6-29
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090628-OYT1T00911.htm
◆2009/06/29 「ALS治療に希望をもたらす新しい知見」
 『健康美容EXPOニュース』2009-6-29
 http://news.e-expo.net/world/2009/06/post-25.html

 
 
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◆2009/04/01 「呼吸機能障がい者に希望の光」
 『公明新聞』2009-4-1
 http://www.komei.or.jp/news/2009/0401/14167.html

 「在宅酸素療法の人に 今月からスタート 1台4万2000円が上限 公明市議が積極的に推進
パルスオキシメーターを公費助成
大阪市
 大阪市は今月から、在宅酸素療法を行う重度の呼吸機能障がい者を対象に動脈血中酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)の公費助成をスタートさせる。市議会公明党(待場康生幹事長)が積極的に推進してきたもので、呼吸器疾患患者の支援団体などから喜びの声が寄せられている。
 パルスオキシメーターは、呼吸器疾患患者などが心肺機能が正常であるかどうかを確認するための必需品。指先に光を当てることで脈拍や血液中の酸素飽和度が瞬時に表示される。
 同市では、これまで筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの難病患者で人工呼吸器装着者を対象に同機器の公費助成を行ってきたが、対象者が限られていたために2007年度は4台の助成にとどまっていた。
 「対象者の枠を広げてほしい」。特定非営利活動法人(NPO法人)・日本呼吸器障害者情報センターの谷本舜一関西支部長から要望を受けた市議会公明党の西ア照明議員は、辻義隆、島田真理の両議員とともに、直ちに市に働き掛けた。
 昨年12月の市議会決算特別委員会で辻議員が、「難病患者だけでなく、在宅酸素療法が必要な呼吸器疾患患者にもパルスオキシメーターの公費助成を行うべきだ」と強く主張。
 これを受けて市当局は、同機器を重度障がい者の日常生活用具の給付品目に追加し、在宅酸素療法などを行う呼吸機能障がい者が公費助成を受けられることに。
 東一久恵・同市障害福祉企画担当課長によると、今回、公費助成の対象となるのは、心臓機能障害3級または呼吸機能障害3級以上で、在宅酸素療法などを行う人。
 助成額は1台当たり4万2000円を上限とし、耐用年数は6年。同課長は「今後、市広報などを通し、広く市民に周知徹底していきたい」と意欲を見せていた。

患者守る福祉の公明党に感謝
NPO法人・日本呼吸器障害者情報センター関西支部長 谷本 舜一氏
 大阪市で在宅酸素療法を行う慢性呼吸器疾患患者を対象にパルスオキシメーターの公費助成が実現したことは大きな喜びです。障がい者の日常生活用具としてのパルスオキシメーター給付は市町村の判断に委ねられており、給付対象とする自治体はまだまだ少ないのが現状です。大阪市の事例が全国的な普及への足掛かりとなることを期待します。私たちの要望に迅速に対応していただいた公明党議員の皆さんには心から感謝しています。
[写真]市当局からパルスオキシメーターの公費助成について聞く(左から)島田、西ア、辻の各議員」(全文)

(公明新聞:2009年4月1日)

 
 
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◆2009/04/02 「キム・ミョンミン、ALS患者役のため13キロ減量へ」
 『中央日報』2009-4-2
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=113495&servcode=700§code=710

 「 俳優のキム・ミョンミンがこの2カ月間、キャベツと豆腐だけ食べて13キロも減量した。
ドラマ「ベートーベンウイルス」に続き、出演中の映画「私の愛、私のそばに」(パク・ジンピョ監督)のためだ。
キム・ミョンミンは同作品で難病のALS(筋委縮性側索硬化症)患者、ジョンウ役を演じているが、全身の筋肉がなくなるALSを事実的に表現するため、「殺人的な」体重減量に挑戦した。
釜山(プサン)と晋州(チンジュ)で撮影中の「私の愛、私のそばに」の関係者は「食事の度、スタッフが申し訳ない気がするほど、ミョンミンさんがやせている」とし「クランクアップ以降、ミョンミンさんが倒れるのではと懸念されるほどだ」と伝えた。
「私の愛、私のそばに」は、難病に冒された男性と彼を愛するようになる葬式担当者(ハ・ジウォン)の涙ぐましいラブストーリー。
中央日報 Joins.com
2009.04.02 10:58:23 」(全文)

 
 
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◆2009/04/05 「シンポジウム:「患者の人権」 ALS患者らパネリスト−−金沢で12日 /石川」
 『毎日jp』2009-4-1
 http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20090405ddlk17040391000c.html

 「 県保険医協会(金沢市)は12日、同市堀川新町のホテル金沢で、シンポジウム「患者の人権」を開く。日本ALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)協会会長の橋本操さん(56)や社会保障が専門の井上英夫・金沢大教授、小川滋彦医師ら3人がパネリストとして出席。それぞれの立場からどのように患者を守っていくかを考える。
 ALSは全身の筋肉が動かなくなる進行性の難病で、症状が進むと自力呼吸も難しくなる。橋本さんは32歳で発病。現在は人工呼吸器を付け、ヘルパーの手を借りながら自宅で1人暮らしをしている。
 シンポジウムでは通訳が付き、橋本さんの思いを代弁する。
 県保険医協会は「患者が自宅で生活していくには、医療機関との連携が不可欠。患者が置かれている状況を知ってもらいたい」としている。
 午前10時〜午後0時半。特に医療関係者の参加を呼びかけている。定員140人。無料。申し込みは(076・222・5373)。【澤本麻里子】」(全文)
(毎日新聞 2009年4月5日 地方版)

 
 
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◆2009/04/07 「静岡地裁:「信頼失わぬよう」 福田所長、就任の記者会見 /静岡」
 『毎日jp』2009-4-7
 http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20090407ddlk22010296000c.html

 「 静岡地裁の福田剛久所長(57)が6日、就任の記者会見を開き、「国民の信頼を失わないように努力していきたい」と抱負を語った。3月25日付で就任した福田所長は裁判員制度の導入に触れ、「裁判所が信頼されていなければ成り立たない。信頼を守るために裁判官だけでなく、職員全員で取り組んでいきたい」と述べた。
 山口県出身で、東京地裁判事などを歴任。筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者に、選挙での代筆を認めないのは違憲と判断した02年の東京地裁判決にかかわり、判決はその後の法改正につながった。【山田毅】」(全文)

 
 
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◆2009/04/12 「支局長からの手紙:生きていればこそ /高知」
 『毎日新聞』2009-4-12
 http://mainichi.jp/area/kochi/news/20090412ddlk39070425000c.html

 「 「こんにちは〜」。声を掛けると、「こんにちは」が返って来ました。原因不明の難病と闘う竹本近子さん(55)=仁淀川町竹ノ谷=がベッドで柔らかい笑みを見せています。発声は無理ですが、口パクで会話できるのです。
 00年の初夏のことです。愛犬を連れ、夫の文直さん(58)と日課の散歩に出掛ける時、「しんどいき、よう行かん」。全身のけん怠感は日に日にひどくなります。何度も病院で受診しますが、医者は決まって「どこちゃ悪ない」。
 翌年1月、包丁が持てなくなります。調理師の仕事を休職し、3カ月後に退職しました。体重が1カ月に5キロ減り、がんを疑いましたが、検査で異常は見つかりません。02年2月、近くの開業医が専門外の症状も調べて、ついに病名を突き止めました。「ALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)です」。筋肉が衰え、全身が動かなくなっていく難病です。10万人に2〜6人が発症し、県内の患者は約40人です。
 「命にかかわります。気管切開を決断してください」。入院先の県立中央病院(当時)の医師が迫ります。人工呼吸器をつければ、体は楽になる半面、たんの吸引が常時必要になります。文直さんは本人に決断を任せました。近子さんは「つける意思はない。限界が来たらそれでええ」。
 その意思は後で撤回されます。きっかけは、呼吸器をつけ在宅で暮らす先輩患者との面会です。夫婦で訪ねたところ、その男性の顔には表情がありました。病状ゆえ、顔の筋肉も動かせないと勝手に想像していたのです。帰りの車中、近子さんは「あんな生活ができるなら呼吸器をつけてもいいよ」。最後の決め手は、2人の娘の切実な言葉でした。「どんな形でもいいから生きとってほしい」
 症状が悪化した同年7月末、気管切開をしました。6月に介護のため郵便局を退職した文直さんは「おらが見らぁや」。以来、文直さんが足の手術で入院した時を除き、在宅療養を続けています。文直さんは料理も一から勉強し、「上手になった」と近子さんのお墨付きです。
 取材日は週2回ある外出日でした。近子さんは女性ヘルパー2人の介助で車いすに移り、近くを約1時間散策しました。「呼吸器をつけてよかったですか」と尋ねると、懸命に答えてくださいます。「普通の生活ができる……家族も理解してくれた……」。そして涙をこぼします。重い質問を何気なく聞いた自分に気づきました。
 車いすに英語のサインが書かれていました。「ミッキーマウス」。03年秋、半年準備をして車で行った東京ディズニーランドでもらったものです。「楽しいことしていると、疲れんねぇ」。文直さんにそう漏らしました。
 来月、サインがもう一つ増えるかもしれません。病気をしてから生まれた2人の幼い孫と再訪するのです。「孫と一緒に行ける」。そう言ってほほ笑むおばあちゃんの顔を、ベッドの正面に置かれたパソコンから、かわいらしい2人の孫の画像が見つめています。【高知支局長・大澤重人】
 shige.oozawa@mbx.mainichi.co.jp」(全文)
(毎日新聞 2009年4月12日 地方版)

 
 
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◆2009/04/14 「医療ナビ:介護職の医療的ケア。どこまで可能?」
 『毎日新聞』2009-4-14
 http://mainichi.jp/life/health/news/20090414ddm013100098000c.html

 「 ◆介護職の医療的ケア。どこまで可能?

 ◇簡単な処置のみ容認 実態は看護師不足で幅広く実施
 ◇現場に不安の声も…研修義務化、範囲見直し不可欠
 愛知県安城市の会社員、加藤克助さん(62)は認知症の母親(93)を介護している。脳内出血で体が不自由になり、食事の飲み込みもできない。胃に管を通す胃ろう法で栄養補給しているが、朝昼夜の1日3回、栄養剤の注入が必要だ。
 胃ろうは「医療行為」とされ、医師、看護師、家族に限られる。看護師の訪問は週1回のため、昼は職場から帰って注入。自由に動けるのは、月2回利用している介護施設の短期滞在(2泊3日)のときだけだ。加藤さんは「在宅介護では、毎日訪問してくれる介護士の存在は欠かせない。医師や看護師の指導や管理のもと、胃ろうなどを介護士ができるようにしてほしい」と訴える。
    *
 介護職の医療行為の問題はこれまでもたびたび議論になった。厚生労働省は現在、特別養護老人ホーム(特養)での介護職による医療行為の是非を検討している。2月の検討会初会合では、厚労省が昨秋、特養6083施設に実施した「医療的ケアに関する実態調査」結果が公表された。
 それによると、午前9時〜午後5時に看護師が勤務している施設は全体の99・8%だが、午後8〜10時は3・4%、午後10時〜翌午前6時は2・6%に過ぎない。しかし、医療行為とされるたんの吸引の約20%は、看護師がほとんどいない夜間に行われていた。
 たんの吸引や経管栄養は介護職が行えば医師法などに抵触する。しかし、看護師がいなければ、介護職が実施せざるを得ないのが実態だ。背景には、生活の場である特養でも医療的管理を必要とする人が増えていることがある。日本介護福祉士会の木村晴恵副会長は「特養で医療職の配置が十分なら問題はない。しかし、現実にはそうした態勢が整っておらず、実情を踏まえた対応が必要だ」と話す。
 厚労省は介護職の医療行為をまったく認めていないわけではない。03年、在宅療養のALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)患者に限り、家族以外によるたん吸引を「当面のやむをえない措置」として認める通知を出した。その後、ALS以外の在宅療養患者も容認した。
 04年には養護学校などで、児童・生徒のたん吸引、経管栄養など一部の医療行為を教員が行うことを認めた。いずれも家族の負担軽減や、看護師の配置が十分でない実情を踏まえた措置だ。また05年、血圧測定、軟膏(なんこう)の塗布、つめ切りなどを「医療行為でないと考えられる行為」として、介護職に認める通知をした。
    *
 八戸大の篠崎良勝准教授が実施した07年の調査では、厚労省の05年通知で認めていない医療行為を介護職が行っている実態が浮かぶ。在宅では褥瘡(じょくそう)(床ずれ)のガーゼ交換を28%が経験。介護施設ではたん吸引を30%、経管栄養処置を24%、インスリン注射を20%がそれぞれ行っていた。
 その一方で、医師や看護師などには介護職による医療行為に対し、慎重な声が根強い。検討会では「たんの吸引は窒息を起こす場合もある命にかかわる行為。医療行為ができる施設を増やすべきだ」「行為の安全性を考える必要がある」などの意見が出た。
 介護職にも戸惑いや不安がみられる。八戸大調査では、「技術も経験も未熟で行っている。利用者を傷つけないか心配」「介護職がどこまでできるかを利用者が理解しておらず、(医療行為を)強要される」などの声が寄せられた。
 篠崎准教授は「介護職は研修の義務化もないまま、業務を超えた仕事を担わされている。利用者、介護職の双方の安全のためにも、充実した研修制度が不可欠。現場の実情に合わせて医療行為・介護行為の範囲を定期的に見直せる検討会を国は設置すべきだ」と指摘する。【下桐実雅子】

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 ■厚生労働省が05年通知で介護職に認めた行為
・検温
・自動測定器で血圧測定
・動脈血酸素量を測定するパルスオキシメーターの装着
・軽い切り傷、すり傷、やけどなどの処置
・軟膏の塗布(床ずれの処置を除く)
・湿布の張り付け
・目薬の点眼、鼻粘膜への薬の噴霧の介助
・薬の内服
・座薬挿入
・つめ切り
・歯ブラシや綿棒などを使った口の中の清掃
・耳あか除去
・人工肛門(こうもん)のパウチ(袋)にたまった排せつ物の廃棄
・排尿補助でのカテーテルの準備、体位の保持
・市販の器具を用いた浣腸(かんちょう)」(全文)

(毎日新聞 2009年4月14日 東京朝刊)

 
 
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◆2009/04/14 「ALS:金沢で患者の人権シンポ 自分らしく生きて…患者の橋本さんが訴え /石川」
 『毎日新聞』2009-4-14
 http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20090414ddlk17040564000c.html

 「 患者の人権を考えるシンポジウムが12日、金沢市内のホテルであった。県保険医協会主催で、日本ALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)協会会長の橋本操さん(56)らがパネリストとして参加。自分らしく生きることの大切さを語った。
 ALSは全身の筋肉が動かなくなる進行性の難病。橋本さんは32歳で発症した。人工呼吸器を付け、ヘルパーの手を借りながら一人暮らしをしている。
 言葉を発することはできない。会場では、唇のわずかな動きとまばたきを組み合わせ、介助者が意味を読み取り、来場者に伝えていた。橋本さんは自身を「好奇心旺盛で買い物好きな普通のおばさん」と称し、「世界の誰よりも自分が好き。自分を大切に思わないと前には進めない。自己肯定はとても大切なこと」と話した。
 参加した井上英夫・金沢大教授(社会保障法)は「人間の尊厳とは自己決定ができること。介護の現場では在宅か施設かの二者択一の強制された決定しかなく、本来のものではない」などと指摘した。【澤本麻里子】」(全文)
(毎日新聞 2009年4月14日 地方版)

 
 
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◆2009/04/14 「リビングウィルの法制化で議論−厚労省」
 『キャリアブレイン』2009-4-14
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/21559.html

 「厚生労働省の「第4回終末期医療のあり方に関する懇談会」(座長=町野朔・上智大大学院法学研究科教授)が4月14日に開かれ、林章敏委員(聖路加国際病院緩和ケア科医長)と樋口範雄委員(東大大学院法学政治学研究科教授)がリビングウィルについて報告を行った。

 林委員は「緩和ケアの潮流と輸液・リビングウィル」と題して、この20年間の緩和ケアの変化を示し、緩和ケアが終末期だけでなく、疾患の早期から行われるようになったり、癌の治療などと同時並行的にケアが行われるようになったりしたことなどを説明。緩和ケアの治療体制は、緩和ケア病棟などの専門施設だけでなく、初期的なケアは、診療所や訪問看護ステーションでも行われることが望ましいとした。

 樋口委員は法律家の立場から、リビングウィルの法制化に積極的になれない根拠を示した。亀田総合病院(千葉県鴨川市)の倫理委員会が、ALSの患者から意思疎通ができなくなった場合には人工呼吸器を外してほしいとの意見書を受け、その意思を尊重するよう院長に提言し、院長が現時点では要望は受け入れられないとしたケースを挙げ、「人の生死の判断にためらいや悩みがあって当然で、それを不要にする法律なら危険」として、「いかに死ぬか、いかに生きるかの問題は、法律ではなく、医療倫理と個人の問題意識の在り方で、それは変化していくもの」と述べた。

 報告の後、川島孝一郎委員(仙台往診クリニック院長)は、ALS患者にとって人工呼吸器はただの機械ではなく、個人と一体化した生死のカギを握る融合的なものとし、「医者が人工呼吸を中止することを法律的に認めてほしいというのであれば、『人工呼吸を中止します』と言ってはいけない。その患者を『死なせます』と言わなければならない」と訴えた。
 一方、中川翼委員(定山渓病院院長)は、「まず、医療側と本人・家族とのコミュニケーションが大事。(リビングウィルの)紙だけ渡して、意思表示してくれとは考えていない。十分なコミュニケーションができてから再確認の意味でリビングウィルが必要。やはり法整備は必要」と述べた。
 委員から法整備が必要な理由について質問されると中川委員は、最近の意識調査でも治る見込みがなくなった場合は過剰な延命治療を嫌う意見は多いとし、そういった考えも尊重すべきと説明した。

[写真]4月14日に開催された「第4回終末期医療のあり方に関する懇談会」では、2人の委員がリビングウィルについて報告した

更新:2009/04/14 23:08   キャリアブレイン 」(全文)

 
 
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◆2009/04/15 「夢をありがとう 木下大サーカス終了」
 『oita-press』2009-4-15
 http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_123975812556.html

 「 木下大サーカス大分公演(大分合同新聞、大分合同福祉事業団主催)は十四日、最終日を迎えた。小雨が降るあいにくの天気だったが、大分市の大分スポーツ公園H駐車場特設会場には多くの人が訪れ、スリリングな曲芸や笑いを誘うコミカルな演技を楽しんだ。
 会社の同僚という同市豊町の後藤朱美さん(26)と同市光吉の馬男木(まなき)芙沙(ふさ)さん(31)は「感動した。空中ブランコなどの超人技には思わず息をのんだ。来て良かった」と満足した様子。両親と来場した同市生石の吉武凜ちゃん(2つ)は「ライオンさんがいた」とにっこり。父浩さん(46)=会社員=は「大分で再びサーカスが開催されたら、必ず見に行きます」と話した。
 大分公演は二月十五日に開幕し、約二カ月の期間中に延べ二十万人が来場した。木下サーカスの木下唯志社長は「不況といわれる中で、多くのお客さまに来ていただき、大変感謝している。思い出づくりのお手伝いができたと思う。内容をさらに充実させ、また大分で公演したい」と話した。

ALSと闘う武生研辞さん 念願かない会場へ…涙
 「生きていてよかった」―。筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)患者の武生(たきゅう)研辞さん(58)=大分市美し野=は、木下大サーカス大分公演を見て、生きている喜びをかみしめた。
 研辞さんがALSを発症したのは一九九九年。現在は寝たきりの生活で、人工呼吸器が不可欠。それでも呼吸器を取り付けた車いすで、妻洋子さん(58)らと積極的に買い物や旅行に出かけている。「外出する姿をアピールすることで、ほかの患者を勇気づけたい」と研辞さん。そんな研辞さんが「ぜひ見たい」と楽しみにしていたのがサーカス。開幕前の二月初旬から洋子さんが木下サーカスに相談し、日程などを調整した。
 念願がかなったのは四月十一日。洋子さんと長男雅人さん(36)に付き添われて演技を見た研辞さんは、「空中ブランコやバイクを使った曲芸に感動した」と涙を流して喜んだ。
 公演終了後には、団員から色紙に書いたサインをもらい、記念写真も撮影した。この二つは研辞さんの“宝物”になり、いつでも見ることができるよう自宅のベッドのそばに置いている。洋子さんは「サーカスが再び大分に訪れたら、また夫婦で見にいきたい」と話した。

ALS 
 全身の筋肉が萎縮し、次第に力が入らなくなる難病。感覚や知能はそのままだが、進行すると食事や呼吸もできなくなる。有効な治療法は見つかっていない。」(全文)
(大分合同新聞)

 
 
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◆2009/04/15 「第二部自分らしく(1) 「余命5か月」激しく動揺」
 『読売新聞』2009-4-15
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/feature/tohoku1237996744030_02/news/20090415-OYT8T00603.htm?from=yolsp

 「「あなたは、どれぐらい生きられると思いますか」
 目の前の男性医師は真っすぐな視線で尋ねた。
 「5年」。願望も込め、そう答えた。
 「単位が違います」。単刀直入な言葉。
 「5か月ですか」。こう問い直すのが、精いっぱいだった。
 「そう、あなたは(体の)上の方から弱くなっているから(進行が)早い」
 色麻町高根の佐々木すみ子さん(65)は、自らの病気が神経難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)と判明し、主治医から告知を受けた時の様子をよく覚えている。昨年4月のことだ。
 ALSは、運動神経に原因不明の障害が起き、全身の筋肉が衰えていく。いずれ寝たきりとなり、呼吸筋が麻痺(まひ)する。残念ながら完治を期待できる治療法はない。10万人に1人の割合で見つかり、50〜60歳代で発症する人が多い。
 厳しい現実を突然、突きつけられ、激しく揺れた心情を手元のノートに記した。
 「涙があふれる。声がワーと出る。なんで。何百回も問いかけた」
 「人はいずれ死ぬ。私は急行で死に近付いている」
 「孫たちの成人する過程を私は何も知ることはない。何度も、あれは間違いと言ってほしいと思った。悪夢なら目を開ければ朝なのに」
 体の異変に気付いたのは2005年3月ごろだった。保母として働いていた保育所で、昼寝のために子守歌を口ずさもうとした。歌詞は頭の中にはっきりと浮かんだ。だが、まるで自分の口ではないように、言葉が出なかった。
 当時は軽い脳梗塞(こうそく)と診断された。だが、徐々に言葉のもつれは、ひどくなった。背筋を伸ばして歩いたつもりでも、体は傾いた。握力も弱くなり、ペットボトルのふたを開けるのが難しくなった。ALSと正しい診断がついた時には、3年がたっていた。
 告知の際、医師からはこう決断を迫られた。
 「もっと生きたいなら、急いで胃ろうをすること。どうしますか」
 胃ろうは腹部に穴を開け、体外から直接、胃に栄養を入れる医療処置だ。まだ自分で食べ物をのみ込む力はあったが、誤って気管に入れば、重い肺炎や呼吸困難につながる心配があった。体力のあるうちに手術を受けることが望ましかった。
 「頭の中は大混乱。何もしないことも頭をよぎったけど、即答を迫られ、やりますと言ってしまった」
 約3週間後、手術のため、入院した。
(全4回、つづく)
 [写真]今、佐々木すみ子さん(左)の一番の楽しみは、孫の日向ちゃん(2)と遊ぶことだ(佐々木さん宅で) 」(全文)
(2009年4月15日 読売新聞)

 
 
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◆2009/04/16 「第二部(2) 自問重ね「呼吸器拒否」」
 『読売新聞』2009-4-16
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/feature/tohoku1237996744030_02/news/20090416-OYT8T00730.htm

 「 筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)と診断された色麻町高根の佐々木すみ子さん(65)は昨年5月、胃に栄養補給の穴を開ける胃ろうの手術を受けた。手術の2日前、日々の思いをつづるノートに書き加えた。
 「朝食を食べながら思った。口から食べられる幸せ。奪われる悲しさ。やはり、のどを切開し、人工呼吸器をつけるのは絶対いやだ。一つずつ自由を奪われ、私の幸せは残るのだろうか。命のあり方って、ただ守るだけなんだろうか」
 既に意思疎通は、筆談に頼ることが多くなっていた。しゃべり、食べる楽しさを失い、生きる意味に悩んでいた。そんな中で当時の主治医からは「呼吸器をつけなければ、正月は越せない」と告げられ、次の決断を迫られていた。
 胃ろう手術の入院中、実際に呼吸器をつけた人の様子を知る機会があった。13年間、寝たきりで世を去った母の姿も頭をよぎった。床ずれに苦しみ、時折、涙を浮かべていた母は、何を思ったのか。病室の天井を見つめながら自問を重ねた。
 「いずれ寝たきりになって生き続けることに、私は耐えられるだろうか。いったんつけてしまった呼吸器は、簡単には外せない。外した人は、罪に問われるかもしれない。自分のことは自分で決めたい」
 国内では、尊厳死に関する社会的合意は成立しておらず、医療現場が延命治療を中止できる線引きも、はっきりしない。患者本人の求めに応じて中止した場合でも、刑事訴追の可能性は残る。苦悶(くもん)の末、主治医に伝えた言葉は「つけない」だった。
 主治医は、周囲の人に迷惑をかけたくないとの配慮から拒んでいるのではないかと懸念し、何度も翻意を促した。だが、最終的には「同じ病気で苦しむ人に勇気を与える生き方をしてほしい」と、その決意を尊重し、送り出してくれたという。
 佐々木さんは6月、在宅緩和ケアを支援する「穂波の郷クリニック」(大崎市古川米倉)を初めて訪れた。
 「自宅で家族や友人に囲まれ、自然に時を過ごしたい。呼吸器はいらない」
 まなざしには、強い意志がみなぎっていた。三浦正悦院長は「本当にいいのですか」と尋ねることはなかった。代わりに「あなたの決めた生き方を全員でとことん応援します」と応え、手を握った。
 同クリニックは、患者が生きる目標を見つけ「今」を大切にできるような総合ケアを理想に掲げている。大石春美ゼネラルマネジャーらスタッフは、佐々木さんに地元色麻中学校で自らの体験を講演することを提案した。
(つづく)
 [写真]話すことが難しくなってから、日々の思いを書き留めてきた。友人からの励ましの手紙なども大切に保管している
(2009年4月16日 読売新聞)」(全文)

 
 
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◆2009/04/17 「第二部(3) 生きる意味、生徒に問う」
 『読売新聞』2009-4-16
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/feature/tohoku1237996744030_02/news/20090416-OYT8T01343.htm

 「 「人工呼吸器をつけなければ正月を越せないと、医師に言われた。でも、私らしく生きるために、つけないことを選んだ」
 色麻町高根の佐々木すみ子さん(65)は昨年9月、地元の色麻中学校で3年生と保護者、教員ら計100人余りを前に、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)と向き合う日々を語った。
 講演会のタイトルは「いのちを輝かそう 1%の可能性を求めて」。
 水を飲むだけで、むせてしまう。腕は肩より上にあがらず、30センチ先の物を手に取ることもつらい。歩くと今にも転びそうだ。病に侵され、筋力が弱っていく姿を、思い切ってさらした。
 「私らしい生き方って何だろう。希望を持つ私とあきらめの私。いつも2人の自分が話し合っている」
 「でも、病気になった不運を嘆くのは、時間がもったいない。一日一日を大切に生きたい」
 包み隠すことのない日頃の胸の内。最初はケアスタッフに代読してもらった。途中から、握力が弱くなった右手で必死にペンを持ち、手元の透明フィルムにつづった。スクリーンに投写された文字が、大勢の胸に突き刺さった。
 「大人になると、楽しいことより、苦しいことの方が多くなる。私のような人間を知ってもらうことで、くじけそうになった時の糧になれば」
 佐々木さんの思いは、多感な世代の心に届いた。その中には、かつて保育所で世話をした“教え子”もいた。生徒たちは、素直な思いを感想文に記した。
 「ふざけ半分で言う『死』という言葉。生きる時間が限られている人を知り、恥ずかしくなった」
 「今日できることが明日できないつらさは、とても大きいと思った」
 「どんなに毎日がつらくても、逃げずに一生懸命、生き抜く」
 生きる意味を正面から問いかけられ、戸惑いながらも少し成長した証し。「子どもたちの心の中で、私は生き続ける」。届けられた感想文は、大切な宝物になった。
 生徒たちは「頑張って春を迎えて」との強い願いを込め、10月、自宅の庭にチューリップの球根を植えてくれた。彼女もお礼に球根を贈り返した。
 講演会は同中関係者の心にも深い余韻を残し、佐々木さんは秋の文化祭、そして春の卒業式に招待された。
 「春まで生きられるかな。それが難問。でも、みんなからたくさん力をもらった。チューリップと一緒に頑張るよ」
 余命宣告に挑戦し、卒業式に出席するという大きな目標ができた。(つづく)
 [写真]佐々木さん宅の庭に中学生たちが植えたチューリップも、つぼみがふくらんできた。春を迎えたいという強い意志を支えてきた
(2009年4月17日 読売新聞)」(全文)

 
 
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◆2009/04/18 「第二部(4) 奇跡 今年の桜見られた」
 『読売新聞』2009-4-18
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/feature/tohoku1237996744030_02/news/20090420-OYT8T00431.htm

 「 筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)と向き合う色麻町高根の佐々木すみ子さん(65)には、今年3月の色麻中学校の卒業式に出席するという大きな目標ができた。人工呼吸器の装着を拒否し、正月を越せないと言われていた彼女を支え励まそうと、大勢の人の輪が広がった。
 旅行や外出に付き添ってくれる親友夫婦。次々と見舞いに通う20年以上も昔の同僚や子育て友達。交友関係や不登校などの悩みを打ち明けに来る中学生。毎日のように顔を出す「穂波の郷クリニック」のスタッフ。そして、話せないばあちゃんの口元を一生懸命見つめ、意思を読み取ろうとする幼い孫娘と家族。
 「難病のおかげで気付いたこともある。たくさんの人たちから無限の愛情をもらえる幸せ。何事も前向きに受け止めることができるようになった」
 3月7日、同中卒業式。会場には、佐々木さんと生徒たちの交流の象徴となったチューリップが、色鮮やかな花をつけて並んだ。校内で開花が早まるように工夫し、式に間に合わせた。ひと足早い春の使者は、医師の予想を超えた奇跡を告げていた。
 佐々木さんは、64人の卒業生全員にボールペンを贈った。話すことが難しくなって以来、日々の思いを書き留め、自分を見つめてきた。ノートは5冊目に入った。「つらい時、心のままをつづってほしい」。そんな願いを込めた。
 3月31日、30人ほどの旧友が少し遅いひな祭りを開いてくれた。大勢の笑顔に囲まれ、佐々木さんも満面の笑顔。昔、得意の宴会芸だった民謡「千恵っ子よされ」がかかると、座るのがやっとのはずの車いすから立ち上がり、リズムを取ろうとして、周囲を驚かせた。
 4月16日、旧友たちの音頭で今度は花見。一年前、見られないとあきらめていた桜が、地元でも満開になった。甘酒で乾杯し、佐々木さんが書いた歌を全員で合唱した。チューリップを題材に今の心境を詩に表現し、ピアノの先生が明るい曲をつけてくれた。
 「正月を越し、桜を見られた奇跡は、みんなが背中を押してくれたから。呼吸器をつけない気持ちに変わりはないけれど、毎日、精いっぱい楽しんで生きている姿を見てもらう。それがみんなへのお礼」
 次の目標は、来月14日の誕生日。みんなと、どうやって楽しもうか。
(おわり、佐藤俊彰)
     ◇
 今後も終末期医療に関する記事を掲載していきます。ご感想や意見、体験を読売新聞東北総局までお寄せ下さい。はがき(〒980―0021仙台市青葉区中央2の3の6)またはファクス(022・222・8386)、Eメール(tohoku@yomiuri.com)でお願いします。
 [写真]待望の春を迎え、佐々木さん(先頭)は、いつも励まし支えてくれる旧友たちと花見を楽しんだ(4月16日、色麻町コミュニティーセンターで)
 (2009年4月18日 読売新聞)」(全文)

 
 
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◆2009/04/19 「iPS細胞の研究競争激化、日本は米に「1勝10敗」」
 『読売新聞』2009-4-19
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090419-OYT1T00363.htm?from=navr

 「 山中伸弥・京都大教授が世界に先駆けてつくった新型万能細胞(iPS細胞)は、アルツハイマー病や骨髄損傷などの治療を可能にする再生医療につながるとして、世界中で研究競争が激化している。
 しかし、日本は米国に押され気味だ。さらに再生医療に力を入れるオバマ政権誕生で、日本発のiPS細胞も、その果実はさらわれつつある。  「オバマ大統領は生命科学に理解が深く、これで再生医療が前進すると、業界は沸き立ってますよ」。全身の筋力が徐々に失われる筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)(ALS)患者に対し、世界初の再生医療の臨床試験を、今夏にも始めるニューラルステム社(米メリーランド州)のリチャード・ガー社長(56)が語る。
 同社は、神経の元になる特殊な細胞(神経幹細胞)を中絶胎児から採取し、培養・凍結保存する技術を確立。この細胞を患者18人の脊髄(せきずい)に注射し、失われた神経の働きを取り戻す方針だ。
 ALSは往年のメジャーリーガー、ルー・ゲーリッグが発症した病気として知られ、治療法がない。ガー社長は「毎日のように、世界中から研究の進み具合を尋ねる電子メールが届きます」と誇らしげだ。
 ブッシュ前大統領は生命倫理の観点から、人間の受精卵を壊して作る胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究への連邦政府助成を禁じていた。iPS細胞とほぼ同じ性質を持つ万能細胞のことだ。これに対し、オバマ大統領が3月9日、助成を解禁する大統領令に署名すると、経済危機で低迷していた同社の株価は反転上昇した。
 ジェロン社(カリフォルニア州)も今夏、人間のES細胞を使って、脊髄損傷患者8〜10人を治療する世界初の臨床試験をスタートさせる。オバマ大統領が就任した3日後、米食品医薬品局が臨床試験を承認したと、同社が発表した。日本の患者団体「日本せきずい基金」の大浜真理事長は、「日本でも早く同様の治療を始めてほしい」と期待する。日本では、米国のような動きはまだないからだ。

 ◇悲壮感◇
 「研究競争は非常に激しいが、iPS細胞というと必ず日本が出てくる状況を5年後、10年後も何としても維持したい」。3月31日、優れた医学研究者に贈られるガードナー国際賞の受賞記者会見で、受賞の感想を聞かれた山中教授の発言には悲壮感すら感じられた。
 主要科学誌に昨年掲載された国別のiPS細胞関連の論文数は、日本の1本に対し、米国が7本、ドイツが1本。日本オリジナルだったはずのiPS細胞研究はすでに、「1勝10敗」(山中教授)と、苦戦を強いられている。

 ◇米の研究者・予算、日本の10倍◇
 こうした日米格差は、なぜ生まれるのか。一つは研究者数の違いだ。ES細胞やiPS細胞などの研究者が集まる国際幹細胞研究学会の会員数は米国人1128人。日本人は118人で10倍の開きがある。
 研究予算も差がある。米国は再生医療研究に、国立衛生研究所だけで年間約940億円の予算を組む。オバマ大統領は科学技術予算の上積みを決めており、研究費はさらに増える見通し。カリフォルニア州が10年で3000億円、メリーランド州が1年で23億円など、各州政府も独自に助成する。
 日本政府もiPS細胞を将来の産業の柱として位置づけ、今年度に55億円の研究費を支出する。再生医療全体では200億円を投入。景気対策の補正予算でも大幅な上積みをめざすが、「日米の研究費には10倍以上の差がある」(内閣府)のが実情だ。
 大学での研究成果を産業につなげる手法も確立されていない。ニューラルステム社のような再生医療関連の企業数は、米国内で80社超。対する日本は10社余りしかない。京大は昨年9月、マウスや人間のiPS細胞作製方法について国内特許を取得した。しかし、世界の医薬品市場(66兆円)の半分を占める米国で、誰がiPS細胞の特許を握るかは米特許商標庁が審査中で、まだ見えてこない。
 米国の研究者たちは、山中教授とは別の手法で、より効率的で安全性の高いiPS細胞を作製したり、iPS細胞を心筋や神経など様々な細胞にして治療に活用したりする技術の特許化を狙う。カリフォルニア州にあるアイズミ・バイオ社は、製薬大手のバイエルが山中教授とは別手法でつくって特許出願したiPS細胞を使い、臨床応用を急ぐ。
 このままでは山中教授のノーベル賞受賞はあっても、政府が膨大な予算を投じる研究成果の大半がさらわれかねない。ガー社長は、「山中教授は研究以外の雑務にも忙しいはず。日本型モデルは大学に頼りすぎているのではないか」と指摘している。
(ワシントン支局 山田哲朗、科学部 木村達矢、米山粛彦)
(2009年4月19日11時18分 読売新聞)」(全文)

 
 
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◆2009/04/21 「英物理学者ホーキング博士が入院」
 『AFPBB News』2009-4-21
 http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2593955/4054520

 「2009年04月21日 07:01 発信地:ロンドン/英国
【4月21日 AFP】英ケンブリッジ大学(Cambridge University)は20日、物理学者スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士(67)が同日、救急車で近くの病院に運ばれたと発表した。
 大学によると博士は病院で検査を受けた。容態は安定しているが症状は重く、20日はそのまま入院するという。
 米国のアリゾナ州立大学(Arizona State University)は5日、ホーキング博士が肺感染症にかかり医師から渡航を止められたとして6日に予定されていた同大への訪問を中止したと発表していた。
 ホーキング博士は世界的に著名な理論物理学者で、ビッグバンやブラックホールといった難解な概念を分かりやすく解説した『A Brief History Of Time(ホーキング博士、宇宙を語る)』(1988年)は世界的なベストセラーになった。筋萎縮性側索硬化症(myotrophic lateral sclerosis、ALS)を患っており、移動には車椅子を、話をするにはボイスシンセサイザーを使うことでも知られている。(c)AFP
[写真]英ケンブリッジ大学(Cambridge University)で式典に出席したスティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士(2008年6月23日撮影)。(c)AFP/SHAUN CURRY」(全文)

 
 
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◆2009/04/22 「「死なせて」大統領に訴え 難病で全身まひの伊男性」
 『47NEWS』2009-4-22
 http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009042201000031.html

 「 【ローマ21日共同】体を動かすための神経が徐々に侵され、全身がまひ状態となる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)にかかったイタリア人男性パオロ・ラバジンさん(49)が安楽死を求めるビデオメッセージを作成、21日にナポリターノ大統領と上下両院議長に送った。イタリア主要メディアが伝えた。
 イタリアでは2月、交通事故で植物状態となり、家族の要請で延命措置を停止された女性が死亡した事件が国民に衝撃を与え、安楽死を認める法律制定が議論された。しかし、ローマ法王庁(バチカン)の反発などから、国会では逆に安楽死を明確に禁じる法律が提出され先月上院を通過した。
 ラバジンさんは約10年前からALSにかかり、現在は口と目以外は動かせず寝たきり状態。ビデオでは「(死にたいとの)自分の意思を尊重してほしい」と述べ、栄養補給を停止する権利を与えるよう求めている。

2009/04/22 07:02 【共同通信】」(全文)

 
 
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◆2009/04/24 「ALS患者が厚労省に要望 治療薬の保険適用求める」
 『47NEWS』2009-4-24
 http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009042401000807.html

 「 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者らが24日、渡辺孝男厚生労働副大臣と面会し、脳梗塞の治療薬エダラボンをALSの治療薬としても保険適用を認めるよう求める要望書を提出した。
 面会したのは東京、静岡、愛知の3都県の患者6人と家族ら。患者でALSを考える会代表の石川みよ子さん(53)=静岡県富士宮市=が「エダラボンの効果を実感している患者は多いが、保険が使えないため投与には平均して毎月10万−15万円かかり、あきらめる患者は多い」とし、早期の保険適用を求めた。
 これに対し、渡辺副大臣は「治験の結果では効果が十分に証明されておらず、保険適用は難しい。別の方法で費用の軽減ができる方策を検討したい」と述べた。
 ALSは体を動かすための神経が徐々に侵され、全身が動かなくなる病気。エダラボンは進行を抑制する効果が報告されている一方で、脳梗塞患者の中には因果関係が否定できない副作用として腎不全などを発症し、死亡者も出ている。

2009/04/24 19:51 【共同通信】」(全文)

 
 
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◆2009/04/25 「24時間在宅療養充実へ 介護事業所設立をALS滋賀支部が総会 」
 『京都新聞』2009-4-25
 http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009042500125&genre=C4&area=S00

 「 急速に全身が動かなくなる神経難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者や家族らでつくる「日本ALS協会滋賀県支部」(前田重一支部長)が本年度、24時間の在宅療養充実に向け、独自に介護事業所の設立を目指して動き出す。訪問看護師やヘルパーらの協力で、運営主体となるNPO法人(特定非営利活動法人)を立ち上げ、事業所設立の方法や時期について検討を始める。
 25日に大津市の大津市民病院であった本年度総会で活動方針が了承された。
 ALS患者は、呼吸困難から人工呼吸器が必要になるケースが多く、24時間態勢の介護が不可欠。昼間は訪問看護やヘルパーらの支援があるが、夜間に訪問する事業所はほとんどなく、介護する家族の負担軽減が課題になっている。
 2年前に発足した同支部は、県難病連絡協議会の構成団体として県などに療養環境の改善を求めてきた。しかし、家族の介護疲れをいやす一時入院の受け入れ先は少なく、昨年度は4人の会員が死亡した。先が見えない中、患者や支援者が力を合わせ、自らが具体的に動くことになった。
 同支部運営委員の葛城貞三さんは「全国で7割の患者が人工呼吸器を付けずに亡くなっている。24時間介護の負担があるからだ。関係者の協力で本年度中に発起人会を立ち上げ、NPO法人が設立できれば」と話している。
 [写真]独自の介護事業所設立を目指し、活動することを決めた総会(大津市・大津市民病院)」(全文)

 
 
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◆2009/05/03 「「ALSマニュアル決定版!」(国立病院機構新潟病院副院長・中島孝監修)」
 『読売新聞』2009-5-3
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/info/book_item/20090503-OYT8T00254.htm

 「 ALS(筋萎縮性側索硬化症)は神経細胞が侵され、進行すれば日常動作だけでなく自発呼吸もできなくなる難病だ。ALS患者が在宅で療養を続けるために必要な、「治療」「痛みへの対処」「入浴」「口腔ケア」「リハビリ」などの情報が網羅的に紹介されている。
 月刊誌「難病と在宅ケア」の掲載記事を改訂し、各分野の専門医ら約100人が執筆した。A4判394ページの充実した内容だ。(日本プランニングセンター=(電)047・361・5141。1800円=税抜き)
(2009年5月3日 読売新聞)」(全文)

 
 
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◆2009/05/11 「在宅療養支援施設3周年 記念の祭りにぎわう」
 『読売新聞』2009-5-11
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukuoka/news/20090510-OYT8T00889.htm

 「 行橋市行事の在宅療養支援施設「ひと息の村」で10日、開設3周年を記念した祭りが開かれ、利用者やその家族らでにぎわった。
 施設は、末期がんや筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症などの重病を抱える患者の介護を、自宅で行っている家族らを支援するため、2006年5月に設立。介護のノウハウを家族に伝えたり、一時的に患者を預かって家族の負担を軽減したりしている。
 祭りは、施設でボランティアとして患者の身の回りの世話をしているNPO法人・北部九州ホスピスケアの会(森口順司理事長)が企画。会員や地元住民が持ち寄った日用品約200点をバザーで売り出したり、カレーやうどんなどの出店を出したりしたほか、児童らによる太鼓の演奏、マジックショーで来場者を楽しませた。収益は、毎月行っている勉強会に招く講師への謝礼金などに充てるという。
 夫婦で施設を利用しているという行橋市の男性(71)は「地元住民にとって、施設は大切な存在。祭りも、孫を連れて来るのが楽しみになっています」と笑顔を見せていた。
 [写真]多くの家族連れらでにぎわった「ひと息の村」の祭り
(2009年5月11日 読売新聞)」(全文)

 
 
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◆2009/05/15 「金沢大保健学類:患者の声に学ぶ 図書室に闘病記ライブラリー設置 /石川」
 『毎日jp』2009-5-15
 http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20090515ddlk17040547000c.html

 「 ◇学生の教育、研究に活用
 看護職員などを養成する金沢大保健学類(金沢市小立野5)の図書室に「闘病記ライブラリー」が設けられた。患者やその家族らの深く切実な声が記された書籍約100冊が置かれ、学生の教育や研究などに活用している。大学ではライブラリー充実に向け、一般から自費出版本を含めた書籍の紹介や寄贈も期待する。【野上哲】
 同学類助教の榊原千秋さん(地域看護学)が中心となり、今春設置。小松市を拠点に難病患者の支援活動などを実践してきた榊原さん。「何より患者さんの声に学ぶことが大切と考えた」と言う。
 看護教員らに声をかけて推薦してもらったところ、幅広い書籍が集まった。がん患者となった医師の記録、小児がんの息子をみとった母の手記、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者がつづった小説、ダウン症の子を育てる一家の物語、大学教員などとして活躍する自閉症の女性の自伝−−。それぞれ「生きる」ことへの深い思いが込められている。
 天野良平・同学類長は「生と死のこと、患者と家族のこと、学生はぜひ読んで理解を深めてほしい。市民や患者さんにも開かれたものにしたい」と話している。一般への閲覧や貸し出しもする。
 書籍紹介や寄贈などの問い合わせは、榊原さんの研究室(076・265・2577)。」(全文)
毎日新聞 2009年5月15日 地方版

 
 
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◆2009/05/21 「おひとりさま 死に方も自分で決めよう」
 『毎日jp』2009-5-21
 http://mainichi.jp/select/wadai/everyone/news/20090521mog00m040020000c.html

 「 死は必ずだれにも訪れる。いよいよ最期を迎えるとき、自分はどのように死にたいだろうか。精神科医の香山リカさんがゲストを迎えて意見交換する勉強会「ハッピー孤独死マニュアル」(主催・フォーラム神保町)が東京都内で行われ、日本尊厳死協会の松根敦子副理事長(76)と「ひとりだって自分らしく世を去りたい!」をテーマに話し合った。【浜田和子】
 「もはや助からないのなら無意味な延命措置をせず、安らかに自然な死を迎えたい」と“人間らしく死ぬ権利”を求めているのが日本尊厳死協会だ。子どもたちは独立し現在一人暮らしの松根さんは、夫や義父母らをみとった経験から死について考えてきた。「日本では安楽死はできず、病院でつながれた呼吸器を外したら殺人罪になってしまう。眠ったまま何本もの管がつけられている人の『生』と『死』って何だろう」。末期がんやALS(筋萎縮=いしゅく=性側索硬化症)など重い病気ばかりでなく、突然の事故など、年齢に関係なく死は身近にある。ところが、自然な死を望んでいても治療により延命されるケースはよくある。
 同協会は1976年、医師や法律家、政治家などが集まって設立された。入会するには「リビング・ウイル」と呼ばれる「尊厳死の宣言書」に署名押印し登録される。「尊厳死」とは、人工呼吸器を外す行為などを含む延命治療の中止を指す。(1)死が不可避な末期状態(2)患者の意思表示(家族による推定も含む)(3)自然の死を迎えさせる目的に沿って中止を決める−−ことが手順として挙げられる。
 尊厳死を希望する場合、同協会の会員証を提示すればいいわけだが、本人に意識がなかった場合、「医者は患者をとりあえず助ける方向で動いてしまう」(香山さん)。松根さんは「だから常に周りにアピールしておくことが大切。死にゆくときの問題なので、遺言状に書いて公証役場に保管していても遅い」と応えた。実際、松根さんは自宅玄関に、「延命治療お断り」という趣旨の札を下げ、ふだんから協会の会員証を身につけている。そのほか入院用具を常に準備し、死後の散骨の段取りなども子どもたちに伝えてある。
 では、家族が反対したらどうなるのか。松根さんは「その人を大切に思うのなら、本人の意思を尊重してあげてほしいと協会では言っている」という。しかし法制化されているわけでなく、「どんなことをしてでも生きていてほしい」と願う家族の気持ちを前に、医師が治療をやめるわけにもいかない。本人が「やっぱり死にたくない」と気持ちを翻し、意思表示できる状態なら、たとえ会員証を持っていても医療を尽くしてもらうことも可能だ。
 香山さんが「老人会などでは『元気な生き方』についての話ばかり。この人はこうやって死んだという話はしにくいものだ」と向けると、松根さんは、宗教、とりわけキリスト教の盛んな国や地域では、小さいころから死後のことを学ぶ機会があると紹介。「日本では病院で亡くなる人が多く、日常生活から死が見えなくなってきているところが問題だ。特に一人暮らしの人は、自分がどのように死にたいかを考えた方がいい」とアドバイスした。
[写真]尊厳死について語る日本尊厳死協会の松根敦子副理事長(奥左)と香山リカさん(奥右)」(全文)
2009年5月21日

 
 
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◆2009/05/22 「あす習志野でライブ 難病の舩後さん作詞の歌など 額センサーでパソコン操作」
 『東京新聞』2009-5-22
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20090522/CK2009052202000107.html
 写真
 「 運動神経が侵され、全身の筋肉が衰える難病の筋委縮性側索硬化症(ALS)と闘う舩後(ふなご)靖彦さん(51)=千葉市美浜区=が作詞した歌や詩の演奏会「舩後ファミリーライブ」が二十三日、習志野市の茜浜ホールで開かれる。
 舩後さんは、専門商社社員だった一九九九年に突然ALSを発症。今は全身まひの状態で、人工呼吸器を着け、眼球や額、ほおの筋肉しか動かない。視聴覚に不自由はなく、額につけたセンサーでパソコンを操作するのが唯一の創作手段だ。
 体がまひしてから「自ら精いっぱい生き抜くことで誰かの励みになれば」と、パソコンを使い闘病生活や日々の思いを詩や短歌、作詞で表現し始めた。県内外で講演を依頼されるが、しゃべれないためパソコン音声ソフトを使っている。
 県内のライブは今回で八回目。舩後さんの歌詞をバンド仲間が演奏し、詩に合わせてフラメンコの舞いも披露する。今回のライブでは短歌▽花もゆる 春はどこぞと 土みれば 地の殻割り芽 『此処(ここ)よ』と笑みす−など十六の新作も発表する。
 「年間に短歌二十首、歌詞三十曲分はつくっている」という舩後さん。「人間どんな姿になろうと、エンジョイできることを知ってもらいたい」と病気などで悩む人たちにエールを送る。
 ライブの入場料はドリンク付きで千五百円。問い合わせは金子さん=(電)090(2733)3695=へ。 (那須政治)
[写真]額やほおの筋肉を動かしパソコンを操作する舩後さん=千葉市で」(全文)

 
 
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◆2009/05/23 「ライブ:ALS障害持つ舩後さん、習志野できょう /千葉」
 『毎日jp』2009-5-23
 http://mainichi.jp/area/chiba/news/20090523ddlk12040233000c.html

 「 ALS(筋萎縮性側索硬化症)障害のある舩後(ふなご)靖彦さん(51)=千葉市美浜区=が23日午後1時から、習志野市茜浜の「茜浜ホール」で「第8回舩後ファミリー・ライブ」を開く。
 舩後さんは全身まひの障害のため人工呼吸器をつけて生活し、わずかに動く額の筋肉でパソコンに文字を入力して詩や短歌などの創作活動を続けている。
 ライブには舩後さんも出演する。舩後さんの詩をメロディーにのせてバンド仲間が演奏し、詩の朗読もある。チケットは1500円。【斎藤有香】」(全文)

 
 
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◆2009/05/17 「筋萎縮性側索硬化症の患者らが交流」
 『信濃毎日新聞』2009-5-17
 http://www.shinmai.co.jp/news/20090517/k-2.htm

 「 運動神経が侵され全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、筋萎縮(きんいしゅく)性側索硬化症の患者や家族、医療関係者ら約70人が16日、長野市のもんぜんぷら座で交流会を開いた。専門医の助言を交え、病気の進行への不安や、手探りで続ける介護の悩みなどを打ち明けた。
 交流会は、患者の和田光雄さん(69)=長野市豊野町=や家族、支える人たちが企画。10人ほどのグループに分かれ、病気と向き合う思いや、進行とともに難しくなる意思疎通での工夫、患者と関係者の間のネットワークなどについて話し合った。」(全文)

 
 
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◆2009/05/27 「本はともだち:難病の父が書いた、わが子らの成長 泉さん「やさしさのまほう」出版」
 『毎日jp』2009-5-27
 http://mainichi.jp/enta/book/news/20090527ddm010040125000c.html

 「 来月21日は「父の日」。最近はお父さんを取り上げる絵本も増えている。昨年12月に出版された「やさしさのまほう〜たったひとりのお父さん」(PHP研究所、1260円)は、幼い2人を主人公に家族の温かさを描いている。【木村葉子】
 絵本の著者は、長崎県職員の泉清隆さん(38)=長崎市在住。8年前、左手の指に力が入りにくくなり、翌年、長男健翔(けんしょう)君(8)の1歳の誕生日に、「余命7年」と告知された。全身の筋肉が次第にまひする難病、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)だった。「自分がいなくなったら母子2人では寂しいだろう」と、悩みながらも家族を増やそうと願い、2年後に長女千優(ちゆう)ちゃん(5)が生まれた。
 病気が進行すると手足は動かなくなり、声も出にくくなった。子どもを抱き上げることも遊ぶこともできず、「父親失格だ」と思い詰めた。だが、健翔君と千優ちゃんは父を思いやり、明るく接してくれた。
 子どもたちの成長を書き留めようと、わずかに動く右手でパソコンを使い、半年かけて絵本にまとめた。昨年、NPO主催の絵本コンテストで入選し、リメークを経て出版された。泉さんは「精いっぱい愛していることを、子どもたちに伝えていきたい」と話した。
 ◇絵本の中のお父さん
 父親をテーマにした作品からは、実直で不器用な愛情が伝わってくる。最近出版された本から紹介する。
 ▽「とうちゃんなんか べーだ!」(伊藤秀男/文・絵 ポプラ社 1260円) お父さんと子どもの幸せな時間を応援する「おとうさんだいすき」シリーズ1冊目。朝から宝探しをして、公園の池まで自転車競走したり、オタマジャクシをとったりしたけど、もっと遊びたい。でもとうちゃんは「昼寝する」だって。
 ▽「おとうさん」(シャーロット・ゾロトウ/文 ベン・シェクター/絵 みらいなな/訳 童話屋 1417円) 生まれたときにはいなかったお父さん。お父さんが生きていたら、毎朝一緒に家を出て、ぼくが見えなくなるまで見送ってくれただろう。友だちを名前で呼び、みんなの誕生日も知っているだろう。怖い夢を見たときも失敗したときも、勇気づけてくれただろう。=「本はともだち」は毎月第4水曜日に掲載します。」(全文)
(毎日新聞 2009年5月27日 東京朝刊)

 
 
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◆2009/05/28 「慶応大チームがサルの遺伝子組み換え成功、霊長類で初」
 『Reuters』2009-5-28
 http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-38261720090528

 「 [ワシントン 27日 ロイター] 慶応大医学部の研究チームが27日、遺伝子組み換え技術を使って、特殊なライトを当てると毛根、皮ふ、血液が緑色に光るサルの作成と、そのサルから同じ遺伝子を受け継ぐ次世代の子の作成に成功したと発表した。ヒトが属する霊長類での成功は初めて。
 佐々木えりか博士と岡野栄之博士のチームでは、ウイルスを使って、クラゲから抽出した緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子をコモンマーモセットという小型のサルの受精卵に注入。その結果、4匹のサルが同遺伝子を体全体に受け継いで生まれたほか、そのうちの1匹を父として、同じ遺伝子を受け継いだ2世代目の子も生まれたという。
 研究チームでは、今回の成功がパーキンソン病や筋萎縮側索硬化症(ALS)の研究に役立つことを期待している。
 研究の詳細は、28日発行の英科学誌「ネイチャー」に掲載される。」(全文)

 
 
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◆2009/05/28 「アル・パチーノ、死の医師と呼ばれたジャック・ケヴォーキアンを演じる?」
 『シネマトゥデイ』2009-5-28
 http://cinematoday.jp/page/N0018232

 「 [シネマトゥデイ映画ニュース] これまで何度も実在の人物を映画で演じてきたアル・パチーノが、末期病患者の積極的安楽死を推進しているアメリカの病理学者ジャック・ケヴォーキアンを演じるかもしれない。
 ハリウッド・レポーター紙が伝えたところによると、HBOフィルムズが製作するジャックの伝記映画『ユー・ドント・ノウ・ジャック』(原題)へアルが出演交渉中とのこと。作品は、映画『バンディッツ』のバリー・レヴィンソン監督がメガホンを取り、脚本はアダム・メイザーが手掛ける。
 ジャックは、末期病患者の自殺幇助(じさつほうじょ)を行い、自作の自殺装置により130人にもおよぶ患者を死に至らしめた元医師で、彼は「殺人医師」や「死の医師」と呼ばれタイム誌の表紙も飾っている。1998年には、筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患の筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)の患者を自殺装置で死亡させた記録がアメリカCBSテレビの番組「60ミニッツ」で放送され、これにより第二級殺人罪で告訴された。1999年に有罪判決が下されジャックは刑務所に収監されていたが、2007年に健康状態の悪化により仮釈放され、翌年には下院選挙へ出馬している。映画では、ジャックの自殺装置や安楽死推進について描かれる予定で問題作になるのは間違いないだろう。
 以前、ジャック役にはベン・キングズレーが候補に挙がっていた。ジャックはアルとよく似た彫りの深い特徴的な目を持っていることから、外見的にそっくりで演技派のアルに白羽の矢が立ったのかもしれない。」(全文)

 
 
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◆2009/05/31 「命の尊さ伝えたい ALSと闘う金城元校長/「負けても勝也」夫婦で執筆」
 『沖縄タイムス』2009-5-31
 http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-05-31-M_1-023-1_001.html?PSID=6c87e2d041347353e1258a3fe1788cf3

 「「今の幸せに感謝」次回作へ構想
 【名護】「命の大切さを知ってほしい」―。元小学校校長の金城勝也さん(65)=名護市=が全身の筋肉が萎縮していく難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘いながら、教え子や子どもたちへのメッセージを込めた本を出版した。妻のけい子さん(55)との共著「負けても勝也 ALSを生きる」(沖縄タイムス社、税込み1260円)だ。「病気が進行しても挑戦し続けたい」と前向きに生きる勝也さんの姿に「希望を与えてもらった」などと読者から反響が寄せられている。(知念清張)
 大宜味村出身の勝也さんは本島北部の小、中学校で勤務後、定年退職。2004年の夏、食欲がうせ、50キロ近くあった体重は、1年近くで35キロに落ちた。けい子さんが、呼吸のリズムが違うことに気づき、多くの病院で検査したが結果は「異常なし」。県立病院で「ALS」と診断されるまでに1年もかかった。
 「子どもたちに健康の大切さを伝える本を書きたい」。人工呼吸器に慣れたころ、看護実習生が「弱くなった指でもパソコンが打てるように」とマニキュアのケースで作ってくれた「パソコン用指キャップ」を使って1日2時間、原稿を書き始めた。それでも、指の力は徐々に失われていった。
 小学校養護教諭だったけい子さんは、勝也さんを在宅介護するため退職。「ALSや障害のある人を理解するきっかけになれば」との思いから、勝也さんの意思を文字盤で確かめながら二人三脚で執筆を続けた。
 勝也さんは、病気の進行を遅らせようと自らベッドで、自転車こぎ100回を課したが、それも難しくなった。顔の筋力も弱まり、笑顔を見せることも少なくなった。でも、孫の梨里ちゃん(2歳)と真央ちゃん(4カ月)がそばにいると、笑顔が浮かぶ。
 テレビで県出身プロゴルファーに声援を送る。「何より教え子の活躍を新聞や手紙を通じて知ることがうれしい」という。
 「ベッドの上でも多くの喜びを味わえる。今ある幸せに感謝し、薬が発明されるまでヌチカジリ(命の限り精いっぱい)生きたい」
 勝也さんは指が動かなくても体の一部が動けば入力できる重度障害者用意思伝達装置を注文し、次回作へ構想を膨らませる。
[ことば]  筋萎縮性側索硬化症(ALS) 厚生労働省指定の難病。感覚や知能ははっきりしたまま、全身の筋肉が徐々に動かなくなる。進行すると食事や呼吸もできなくなる。県内でも100人近くの患者がいるとみられている。」(全文)

 
 
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◆2009/06/02 「AIMSPROにオーファン指定、ダバルのALS治療薬」
 『Fastening journal』2009-6-2
 http://www.nejinews.co.jp/news/business/archive/eid2135.html

 「 【ロンドン1日PRN=共同JBN】英国の株式非公開のバイオテク会社ダバル・インターナショナル(Daval International Limited; http://www.davalinternational.com)は同社の革新的な抗炎症剤AIMSPRO(登録商標)が筋委縮性側索硬化症(ALS)の治療薬としてオーファン医薬品指定を受けたとオーストラリアの治療用品管理局(TGA)から通知を受けた。
 ALSは最も一般的なタイプの運動ニューロン疾患(MND)で、ルー・ゲーリッグ病としても知られている。AIMSPROはすでにクラッベ白質ジストロフィー(クラッベ病)の治療薬としてTGAのオーファン医薬品指定を受けている。ダバルは現在、呼吸機能が低下した後期段階のALS患者がダブルブラインドの状況でこの薬剤から恩恵を受けられるかどうかを判定するため国際的なマルチセンター、偽薬方式の無作為臨床試験の評価を行っている。
 AIMSPROは新世代の生物学的製剤でオーストラリアで供給、製造されている。免疫亢進性ヤギ血清から抽出され、進行した強皮症と二次進行多発性硬化症によるぼうこう機能不全について欧州で第2相試験が行われている。両試験とも2010年第1四半期に結果が報告できる見込みである。期間を延長した追加的なオープンラベルのAIMSPRO試験の結果からダバルは癒着性くも膜炎、治療耐性重症筋無力症、乾癬性関節炎について概念実証研究を考慮することになった。
 AIMSPROはオーストラリアの治療用品登録に「輸出限定」として記載されており、バイオテック・ディストリビューション(ウェールズ)が臨床試験用、「指定患者用」に欧州に輸入している。
 この製品の獣医学向けタイプのセレンベン(登録商標)はスタンダードブレッド、サラブレッド馬の生死にかかわる重病についての研究で効能、安全性、受容性を示している。オーストラリアの規制当局APVMAはこのほどセレンベンについて研究許可を与え、これによって確認のための馬の実地試験を敏速に完了できることになった。セレンベンは犬、猫の抗炎症剤としても開発されている。
 http://www.davalinternational.com」(全文)

 
 
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◆2009/06/04 「ALS:難病理解して 患者・家族の団体県支部、10年間の活動記録を本に /島根」
 『毎日jp』2009-6-4
 http://mainichi.jp/area/shimane/news/20090604ddlk32040700000c.html

 「 ◇「苦しみ次世代に残したくはない」
 原因不明の難病、筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)(ALS)を理解してもらおうと、「日本ALS協会島根県支部」は10年間の活動や、患者の闘病生活を振り返った手記などを集めた「JALSAしまね 支部設立10周年記念誌」を発行した。【御園生枝里】
 ALSは全身の筋力が低下する原因不明で治療法のない難病。県によると、特定疾患医療受給者証を交付されているALS患者は全国で7695人(07年3月末)、県内は90人(3日現在)。孤独な闘病生活を乗り越えようと、1999年に設立された、県内の患者や家族をつなぐ「日本ALS協会島根県支部」の10周年を記念した。
 1988年3月にALSと診断されてから、闘病生活を続ける松浦弥生支部長(69)の夫和敏さん(76)=松江市宍道町=が中心となって編集、600部を印刷した。20年間使っていたワープロが壊れ、弥生さんを介護する島根大の学生ボランティアらに、パソコンの使い方を教えてもらいながら作成した。
 記念誌には、県支部の設立準備から現在までの経過や発行した機関誌などを掲載した。
 患者や家族らの寄稿では、患者は介護してくれる家族への感謝や、治療薬ができることを信じて「一日一日を大切に生きよう」という思いを、家族は延命処置の決断の難しさなどをつづっている。
 ある女性患者は、パソコンで意思表示ができるようになり、「私は、夫に元気をもらいます。生きがいは、家族の一員としての役目。生きがいは、お互いの存在 楽しみは、人とのふれあい 夫の生きがいは、私たちの生きがいです」と、夫婦で支え合いながら前向きに生きる姿を伝えている。
 和敏さんは「県支部ができ、ALSの悩みを共有し、行政に声を上げることができるようになったが、治療法は10年たっても確立されていない」と振り返り、「不幸な病気を次の世代に残したくない。国が本気になって、治療薬の研究を充実させてほしい」と話している。
 問い合わせは日本ALS協会島根県支部(0855・65・2244)へ。また、09年度総会が7日午後1時から、松江市殿町のサンラポーむらくもで開かれ、小林祥泰・島根大医学部付属病院長が「病とどう向き合うか(生きるを支える)」と題し、講演する。
毎日新聞 2009年6月4日 地方版」(全文)

 
 
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◆2009/06/08 「ALS協が設立10周年で総会」
 『中國新聞』2009-6-8
 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200906080006.html

 「 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者や家族、支援者らでつくる日本ALS協会島根県支部の設立10周年総会が7日、松江市のサンラポーむらくもであった。約70人が出席し、情報発信の大切さを確認した。
 一昨年ごろ発症した同市の会社員谷田人司さん(47)は、市内の患者の療養や家族の介護の姿を自ら取材し、制作した番組を放映。患者の声が行政を動かした「がん」を引き合いに「当事者が情報発信して環境を変えなければならない」と訴えた。「1人が10人に伝えよう」などの声が相次いだ。
 ALSは運動神経の障害や筋肉の萎縮が起きる難病で、原因は分かっていない。体調不良で出席できなかった松浦弥生支部長(69)は「医療や福祉の環境は良くなったが、家族の介護の負担は大きい」とするあいさつを寄せた。」(全文)

 
 
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◆2009/06/08 「ALS協会 介護家族への支援求める 県支部設立10周年記念総会」
 『読売新聞』2009-6-8
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20090607-OYT8T00831.htm

 「 全身の筋肉が衰える難病、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者らでつくる日本ALS協会県支部の設立10周年を記念する総会が7日、松江市内のホテルであった。患者の家族ら約60人が出席し、原因不明の病気への理解と、介護する家族らへの支援などを呼びかけた。
 県支部は1999年に設立、現在、患者や家族ら会員約80人が病気への理解などを求めて活動している。
 総会の冒頭、体調不良で出席できなかった患者で、支部長の松浦弥生さん(69)のあいさつ文が紹介され、松浦さんは「このような不幸な病気をなくすのが、私たちの最大の夢」と訴えた。その後、病院で療養生活を送る松浦さんを約20年間、ボランティアで介護している島根大教育学部特別支援学級課程の学生や卒業生らに感謝状が手渡された。
 患者や家族の日常生活を紹介したビデオ上映や、島根大医学部付属病院の小林祥泰院長の講演などもあった。新治弘念事務局長は「今後は、教育関係者にも理解を広めて、多くの人にALSを知ってもらえるようにしたい」と話していた。
(2009年6月8日 読売新聞)」(全文)

 
 
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◆2009/06/08 「ファンコム社長 松尾 光晴さん(43)(1)父親の介護」
 『産経関西』2009-6-8
 http://www.sankei-kansai.com/2009/06/08/20090608-010832.php

 「ニーズつかみ福祉機器開発
 身体障害者、高齢者向け生活支援機器を開発・販売するファンコム(大阪府守口市)は、平成15年にパナソニック(当時は松下電器産業)の研究者だった私が社内ベンチャー制度を活用して設立しました。
 起業のきっかけはいくつかありますが、最大の理由は父親の介護に携わったことです。父親は3年に筋力が衰えて手足の動きや自発呼吸が次第に難しくなる難病の筋委縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)を発症。そのとき「福祉分野でパナソニックにもできることがあるのでは」という考えにたどり着きました。
 障害者や高齢者が本当に求めるニーズをつかみ、パナソニックの持つ製品開発力、コストダウン力を組み合わせれば、新しい福祉機器を生み出すことができると考えたわけです。
 パナソニックに入社以来、冷凍空調関連の研究に携わり、父親が病気になるまでは福祉機器には全く関心がなかったのですが、それでも同じモノづくりということで何とか形にする自信はありました。
 幼少時からモノを作ることは大好きでした。小学生のときにラジカセの調子が悪くなり、自分で分解したものの、元に戻せなくなり、父親に怒られたことを覚えています。
 同時にだれもができないことを、やることに興味を持っていました。難解なパズルを解くのが好きで、ルービックキューブが流行したときは、自分で解析したりしましたね。今でも覚えていますから、簡単に色をそろえることができますよ。
 大阪府立大学大学院ではシステム工学を専攻。さまざまな機械を集合体としたときの最適化やシミュレーションなどを研究してました。実は大学3年生のころから就職先はパナソニックと決めていました。
 というのは、3年生のときに家電量販店でアルバイトをしたのですが、各社の家電製品を見たり、触ったり、セッティングしたりする中で、パナソニックの製品が実に良くできていることに感心したからです。
 使う人のことを配慮した設計であったり、取扱説明書も分かりやすくて「買った人はうれしいだろうな」と思うことが何度もありました。このため、就職はパナソニックだけを受験しました。
 でも、このときは自分が福祉機器の会社を立ち上げるとは夢にも思ってませんでした。
(聞き手 島田耕)

【プロフィル】松尾 光晴
 まつお・みつはる 昭和40年、大阪府吹田市出身。大阪府大院修了。平成4年松下電器産業(現パナソニック)入社。生活システム研究センター(現在のくらし環境開発センター)に配属され、空調・冷凍技術の研究に取り組む。14年に社内ベンチャー制度に応募し、翌年(15年)に福祉機器メーカー「ファンコム」(資本金8000万円)を設立。パナソニックグループでは唯一の福祉機器メーカーで、現在までに3種類の生活支援機器を開発・販売している。
(2009年6月 8日 15:28)」(全文)

 
 
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◆2009/06/09 「ファンコム社長 松尾 光晴さん(43) (2)研究者時代」
 『産経関西』2009-6-9
 http://www.sankei-kansai.com/2009/06/09/20090609-010891.php

 「満を持し社内ベンチャー応募
 パナソニックには平成4年に入社しました。配属先は「生活システム研究センター」(現在のくらし環境開発センター)。冷凍空調関係のグループで、エアコンや冷蔵庫などの研究に取り組みました。
 私は仕事において、自分の存在意味が示せる仕事がしたいと思っていました。少なくとも会社生活の中でいくつかは「この商品、この技術は松尾がいたから実現した」と言われるような仕事がしたかったのです。
 入社当時は代替フロンを使ったエアコンや冷蔵庫の研究を担当。それが一段落すると「地球温暖化」「省エネ」がグループのテーマとなり、地球環境にかかわる研究に携われたことは幸せでした。
 ただ、「こんな研究をしてみたらどうでしょう?」とグループの中で何度もアイデアを出したのですが、大半がすでに研究し尽くされ、採用されませんでした。当時の上司は大きな成果を出しており、その秘訣(ひけつ)をたずねると「社内で、まだ誰もやってないことを見つけて1人で研究した。そのうち世の中の流れに合うようになり、大きな成果になった」と教えられました。
 入社5、6年目にこの話を聞き、「今の研究分野をきわめるのか。少し異なる専門領域で第一人者となるか。それとも会社が全く手がけていない分野に挑むか」と問い直しました。そんな中、父親が難病に侵され、苦労しているのを目の当たりにして、未知の世界だった「福祉」という領域でも、パナソニックにできることがあるのではという考えにたどり着いたのです。
 そこで新規研究テーマの検討委員会に「福祉」を提案してみたのですが、当時は福祉機器の販売ルートがなく、結果は不採用。その後4年間は、これまで通り冷凍空調関係の研究に取り組んでいました。
 そんな中、13年1月に当時の中村邦夫社長(現会長)が社内ベンチャー制度「パナソニック・スピンアップ・ファンド」を創設すると発表、同年4月に制度がスタート。私は約1年間かけて、どのようなビジネスが可能なのか、福祉機器の会社を立ち上げるには何が必要なのかを病院関係者や父親と同じ筋委縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者さんの話を聞き、調査を進めました。
 そして14年3月に制度に応募し、翌年(15年)6月に「ファンコム」を設立しました。
(聞き手 島田耕)
(2009年6月 9日 15:03)」(全文)

 
 
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◆2009/06/09 「 健康・医療 : ALS協会県支部 患者の実態訴えへ、闘病映像上映」
 『山陰中央新報』2009-6-9
 http://www.sanin-chuo.co.jp/health/modules/news/article.php?storyid=512808075

 「 難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)とたたかう日本ALS協会県支部(松浦弥生支部長)の設立10周年記念総会が7日、松江市殿町のサンラポーむらくもであった。患者自らALS患者と家族の姿を追ったドキュメンタリー映像が上映され、闘病の実態を訴えた。
 ALSの原因は不明で、運動神経が侵され全身の筋力が次第に低下する。
 ドキュメンタリーは、2007年に自分も発症した同市内中原町の会社員、谷田人司さん(47)が、難病への理解を広げたいとメーリングリストで出演者を募集。同市米子町の景山敬二さん(48)、玲子さん(41)の一家が名乗りを上げ、今年5、6月にビデオカメラで撮影した。
 約15分の映像では、人工呼吸器をつけた敬二さんの24時間介護の様子、幼い2人の娘のために生きる夫婦のきずななどを描いた。在宅介護の負担の重さとともに、交互に3病院を利用するレスパイト(息抜き)入院で、何とか介護生活を維持している現状が伝わる。
 総会では、患者や家族ら約60人が映像を観賞。玲子さんは「それぞれの家族が家族らしく生きていけるのが大切。私たちも頑張っていきたい」と話した。
 席上、松浦支部長(69)に代わり夫の和敏さん(76)が、ALS患者の介護ボランティアに約20年携わってきた島根大学教育学部の学生、卒業生らに感謝状を贈った。
 [写真]ドキュメンタリーに出演した景山玲子さん(奥)手前は夫の敬二さん 」(全文)

 
 
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◆2009/06/10 「ファンコム社長 松尾 光晴さん(43)(3)最初の商品」
 『産経関西』2009-6-10
 http://www.sankei-kansai.com/2009/06/10/20090610-010941.php

 「使う人の視点にこだわり
 「ファンコム」という社名にはFun Communication(楽しいコミュニケーション)という意味を込めました。障害者や高齢者に「人と人」「人と機械」の楽しいコミュニケーションを交わしてもらうための生活支援機器を提供したいと思ったからです。
 父親はテレビで野球を見るのが好きでしたが、筋委縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)で手が不自由になり、チャンネルを操作できなくなると、家族に「チャンネルを変えてくれ」と言ってました。そのうち話すこともできなくなり、何かを伝えようとしても、うまく伝わらず、周りも何をしてあげてよいのかわからなくて…。父親本人も周りの家族もつらく、コミュニケーションの大切さを痛感しました。
 父親にパソコンを使った会話補助装置を借りたのですが、操作が複雑で、支援する側にとっても設定や操作が難しく、不便でした。ファンコム設立から3カ月後の平成15年9月に発売した第1弾商品の「レッツ・チャット」は、徹底的に使う人の視点にこだわり、障害をもつ人や高齢者の生活が豊かになることを目指した携帯用会話補助装置です。
 自分の身体に合った入力スイッチをタイミングを取りながら「押す」「離す」を繰り返せば、文章を作成することができる仕組みで、言語障害と上肢障害の両方の障害を持つ方に適しています。これまでの「指で押す」タイプの装置と、パソコンに特殊なソフトウェアを組み込んだ「意思伝達装置」の間に位置する新しい装置といえるでしょう。
 《この年、このからだでレッツ・チャットと出合って、チャレンジ、いきがいをみつけた》
 発売後、全国からこうした手紙を何通もいただきました。脳梗塞で倒れ、会話のできなかった人にレッツ・チャットを渡すと、延々と文字を打ち始め、家族に感激されたことなど、こうした一通、一通が次の開発の励みとなっています。
 ただし、会社設立時にパナソニック側から言われたのが「15年上期中に製品を発売して売り上げを計上すること」。しかも当初はパナソニックの力を全く借りることができず、短期間でモノづくりを行ったため、コストダウンができませんでした。商品を売れば売るほど赤字となるという状況に陥り、本当に大変でしたね。
(聞き手 島田耕)
(2009年6月10日 16:14)」(全文)

 
 
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◆2009/06/11 「特養「医行為」でモデル事業を了承――厚労省検討会」『医療・介護情報CBニュース』」
 『キャリアブレイン』2009-6-11
 https://www.cabrain.net/news/article/newsId/22492.html

 「 厚生労働省は6月10日、「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」(座長=樋口範雄・東大大学院法学政治学研究科教授)の第2回会合を開き、特養の介護職員による口腔内の吸引や経管栄養の実施について「モデル事業」を行うことが最終的に了承された。しかし、現行法では介護職員によるこうした医行為は禁止されており、モデル事業で喀痰吸引や経管栄養を行う介護職員は「違法行為」を行うことになる可能性があるため、一部の委員が「違法なのにモデル事業をやるのは問題」と反発し、議論は紛糾した。
 会合ではまず厚労省側が、特養の中で行われている医療的なケアの中でも、実施数や所要時間、危険性などを考慮して、「口腔内の吸引、それから胃ろうや経管栄養について優先的に検討してはどうか」と述べた。その上で、「看護職員と介護職員の連携によるケアの実施に係る事務局たたき台」と題した資料を提示。吸引(口腔内)と経管栄養(経鼻経管栄養および胃ろうによる栄養管理)を介護職員が行うことを、条件付きで認めることを提案した。
 さらに、「資料の内容について賛同が得られれば、それについて具体的にモデル事業を今後実施していってはどうかと考えている」と述べた。モデル事業では、介護職員が医行為を行うに先立って受けるべき研修の内容や、実際のケアの方法について検討したいとした。
 また厚労省側は、「盲・聾・養護学校における教員によるたんの吸引等の実施に関する法的整理」と題する資料を示し、過去の判例などを考慮すると、一定の条件の下であれば、無資格者が痰の吸引などを実施しても「違法性が阻却されるものと整理している」とした。
 これに対し、三上裕司委員(日本医師会常任理事)が反論。有資格者以外が行う医行為では、ALS患者に対して家族が行う吸引や、家庭内で本人や家族が行う「家庭透析」などがあるが、これらは「家庭内で行うから認められている」のであり、「なりわいとして行うのとは分けて考えるべき」と指摘した。また、口腔内の吸引や経管栄養の準備は「介護職の方にやっていただかないと回らない実態がある。考え方としては、医行為の範囲を見直すという形で、これを医行為から外すのが一番分かりやすいのではないか」と述べた。その上で、法律の解釈通知を出すことで、口腔内の清掃や爪切りが医行為から外されたことを挙げ、モデル事業に先立ち、口腔内清掃に口腔内吸引を含めるなどの通知を出すべきとの見解を示した。さらに、「一定の研修を受ければ医行為ができるようにするのは、賛成しかねる。医師や看護師の資格試験の価値の問題にもなる」と指摘した。
 これに対し樋口座長は、この検討会が「連携」のための検討会であり、「この連携は利用者のためのものだ」と指摘。「法的な垣根をつくることで連携ができなくなるのは問題」と述べ、理解を求めた。木村光江委員(首都大学東京法科大学院専攻長)も、「最近、特養に訪問したが、特養は『生活の場』だと感じた。ここに入れないことは生存権にかかわる」と指摘。教育を受ける権利を保障するために、養護学校で教員が生徒に対し痰の吸引などを行うことが認められていることを挙げ、「目的の正当性が教育よりも劣るとは言えないのではないか」と述べた。しかし三上委員は、医療や介護こそ最も生存権にかかわるものだと強調した上で、「医療や介護をする所で無資格者が医行為をやっていいとは思えない」と反論した。
 検討会に出席していたほかの介護関係者らからも、現場でのニーズなどを指摘してモデル事業の実施を後押しする意見が相次いだが、溝は埋まらなかった。樋口座長はモデル事業について、「今ある状態を単に追認するのではなく、検証するもの」と述べ、「まずこういうモデル事業をさせてほしい」と述べた。しかし三上委員はあらためて、「違法なのに」モデル事業を行い、「なし崩し的」に無資格者が医行為を行えるようになることが非常に問題だと懸念。「安心してモデル事業をできるようにする状況をつくることがこの検討会の目的だと思う」と述べ、医行為の範囲の変更を優先すべきだとの考えを強調した。また、介護職員は介護技術にたけたスタッフではあるが、医療的には「無資格者と同じ」と述べた。
 結局、議論では折り合いが付かず、樋口座長は三上委員に対し、医行為の範囲の問題は厚労省に課された「宿題」とし、「どういう形でどう行動するか決めてほしい」と発言。その上で、今回のモデル事業については「了解してくれないか」と述べた。
 これに対し三上委員は、「医行為であろうがなかろうが、モデル事業という形で連携して協働するということは大切なことなので、やって構わないと思うが、やはり前提をはっきりしていただきたい」と発言。その上で、検討会に出席していた宮島俊彦老健局長に対し、「できそうか、できなさそうなのか」と尋ねた。
 宮島局長は、医行為の範囲については医政局が所管していると前置きした上で、「警察が実際に動く時は、いっぺん厚労省に照会が来る」と述べ、モデル事業で医行為を行った介護職員が罪に問われることは現実的にはないとの見方を示した。
 また、医行為には危険度の高いものから低いものまで「濃淡がある中で、あらかじめここは医行為から外しましょう、ここは医行為に残しましょうということを決めなくても、とりあえずこのモデル事業の中で、じゃあ実際にはどういうふうな形で現場が動くのかということを確認してから、またあらためてそこのところの整理をさせていただくということで、今の段階としては、ご了解いただけないか」とした。最終的には、介護職員による吸引と経管栄養についてモデル事業を行うことが了承された。
 厚労省は今後、モデル事業実施の指針や介護職員の研修のための教材などについて有識者を交えて決める予定で、モデル事業について「今年度中に実施したい」としている。
 医政局の担当者はキャリアブレインの取材に対し、医行為の定義を変える予定は現段階ではないとしている。ただし、「モデル事業はいろいろ制限を設けて行うもの」であり、有資格者以外が医行為を行っても違法性が阻却されることもあるため、モデル事業は「違法行為ではない」としている。ただ、モデル事業で事故が起こった場合、どのような対応をするかは「まだ分からない」という。また、モデル事業実施に際しての条件などはまだ決まっていない。  更新:2009/06/11 06:55   キャリアブレイン」(全文)

 
 
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◆2009/06/11 「岐大にiPS研究施設 京大と連携」
 『中日新聞』2009-6-11
 http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009061102000150.html

 「 人体のあらゆる細胞に変化できる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)の基礎研究などを担う施設が、岐阜大(岐阜市)に完成した。iPS細胞開発に初めて成功した山中伸弥教授らが所属する京都大物質−細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)の国内唯一のサテライト機関と位置づけられ、がん化の仕組みを解明するなど安全性の高いiPS細胞づくりを目指す。
 施設の運用は、岐大の主任研究者である木曽真教授(62)のチームが中心となって行う。木曽教授は、糖が鎖状につながって細胞膜に結合している「糖鎖」の研究で世界的な先駆者。糖鎖には多くの種類があり、動物の種や血液型の違いなどに強いかかわりがある。iPS細胞にも特異な糖鎖が結合しており、構造を解明し、がん化に関連する糖鎖がないかなどを調べる。
 研究施設は、連合農学研究科棟の4階に設置。安全な化学実験をするためフード付き実験台をそろえるなど、国内有数の設備を整えた。iPS細胞のほかに、5〜100ナノメートル(ナノは10億分の1)の範囲を指す「メゾスケール」で細胞膜の分子の動きも研究する。
 木曽教授は「岐阜大医学部の再生医科学の研究者らとも協同したい。iPS細胞を生かして難病のパーキンソン病やALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)の治療法確立につながるような基礎研究も展開したい」と話している。
 26日には施設の披露式があり、アイセムスの中辻憲夫拠点長らが出席する。」(全文)

 
 
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◆2009/06/11 「県難病相談・支援センター:開設4周年 熊本市で記念講演会 /熊本」
 『毎日新聞』2009-6-11
 http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20090611ddlk43040584000c.html

 「 ◇「能力引き出し自立を」
 県難病相談・支援センターの開設4周年記念講演会が10日、熊本市東町の県健康センターであり、国立病院機構宮城病院(宮城県山元町)の今井尚志診療部長が、患者の自立に向けた医療機関や支援者の連携のあり方について発表した。
 今井部長は、運動機能が奪われていく難病ALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)の女性が入退院を繰り返す中、在宅療養の計画を立て、家族の介護負担を減らすため自分で介護者を募集して育てたケースを紹介した。「患者本人が主体的にやることで、介護者も逆に勇気をもらって支援の輪が広がっていく。患者の能力を引き出し、力を発揮できるようにする視点の支援が自立のために必要だ」と訴えた。
 センターによると県内には、国が治療研究対象としている45の難病(特定疾患)の患者が1万1000人いる。センターは、県の委託を受けたNPO「難病支援ネットワーク」が平日午前9時〜午後4時に電話や面接、メールによる相談に応じるほか、職業相談や患者・家族同士の交流拠点として活動している。【結城かほる】」(全文)
(毎日新聞 2009年6月11日 地方版)

 
 
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◆2009/06/15 「遺伝子改変霊長類作出、導入遺伝子第2世代まで伝達」
 『知財情報局』2009-6-15
 http://tech.braina.com/2009/0615/bio_20090615_001____.html

 「【バイオ】発信:2009/06/15(月) 22:37:05
    実験動物中央研究所の佐々木えりか室長、慶応技術大学医学部の岡野栄之教授らは、霊長類であるコモンマーモセットで高効率に遺伝子改変動物を作り出す方法論を構築した。また、遺伝子導入した第1世代だけでなく、第2世代まで導入遺伝子が発現しており、世界で初めて、次世代まで導入遺伝子が受け継がれた霊長類の作出に成功した。霊長類の安定した実験動物系が構築されたことにより、これまでマウスやラットでは分からなかったヒト疾患の解明や脳の高次機能についての研究が進展し、日本のライフサイエンス研究が新たなステージに突入することになる。ネイチャー28日号の表紙を飾った。
  遺伝子改変マウスは、遺伝子機能の解析や様々な分子機構の解明など、ライフサイエンス研究分野に多くの貢献をしてきた。しかし、マウスとヒトでは系統学的に離れているため、生理学的、解剖学的、組織学的に違いが多く、マウスで得られた研究結果を直接ヒトに当てはめられない場合も多い。例えば、サリドマイドによる奇形はマウスでは発生しない。
  ところが、これまで霊長類では遺伝子改変動物の作出は成功せず、得られた遺伝子改変霊長類の体細胞における導入外来遺伝子の発現が科学的に証明されたことはなかった。さらに、これらの遺伝子改変霊長類の外来遺伝子の生殖細胞への伝達の研究報告はなく、遺伝子改変霊長類を使ったライフサイエンス研究は不可能だった。
  実中研では67年から10年間、フォード財団からの支援を受けてニホンザルの繁殖研究コロニーを作り、実験用サルの人工繁殖に取り組んだが、年1産1子の繁殖では不可能という結論が得られた。そこで、実験動物として理想的なサルとして、多産で取り扱いやすく、遺伝学的管理や微生物的なコントロールもでき、多数飼育可能、生産費用も比較的安価なマーモセットの安定供給体制を80年代半ばに構築。さらに91年には、再現性を保証した科学的実験のツールとして「規格化マーモセット」を確立した。実中研では現在、1500匹ほどのマーモセットを飼育している。
  研究グループは今回、この規格化したコモンマーモセットを用いて、初めて遺伝子改変マーモセット5匹を作出。さらに導入した外来遺伝子が次世代へも伝わることを霊長類では世界で初めて明らかにした。
  遺伝子組み換えには、前核期胚に前核を注入する方法、ウイルスベクターで導入する方法、胚盤胞にES細胞を導入してキメラを作る方法があるが、前核注入はマウスの場合でも成功率3%であるため大量の前核期胚が必要であり、胚盤胞注入ではキメラ作出能があるES細胞が存在しない。また、ウイルスベクターによる導入法は、受精卵と膜の間の隙間が狭すぎて、ウイルス濃縮液を少ししか入れられず、遺伝子組み換えの成功率が低かった。
  今回の作出では、前核期から桑実胚期の受精卵をスクロースPB1培地に懸濁することで、受精卵の水分が少し抜け、囲卵腔が拡がるため、そこに濃縮したウイルスベクターを注入して、GFPをコードする遺伝子を導入した。遺伝子を導入した受精卵は、数日間培養を行い、GFPを発現した受精卵だけを選んでマーモセットの仮親の子宮へ移植。受精卵のGFP発現率は97.7%と非常に高い。
  この方法で生まれてきた5匹のマーモセット全てが遺伝子改変マーモセットであり、うり4匹は毛や皮膚など様々な体細胞で外来遺伝子が発現していた。5匹のうち性成熟に達した2匹の精子と卵子を調べたところ、外来遺伝子が生殖細胞へも組み込まれていた。さらにこの精子と野生型のマーモセットの卵子とを体外受精させた結果、GFPを発現する健康な子供が生まれた。
  これにより、非常に効率的に遺伝子改変マーモセットを作出することが可能になった。作り出した遺伝子改変マーモセットの子供も遺伝子改変動物であったこと、マーモセットが高い繁殖能力を持つことなどから、ヒトに近い遺伝子改変霊長類を複数匹揃え、繰り返しの実験を行うことが可能になる。
  岡野教授は「パーキンソン病やALS(筋萎縮性硬化症)といった難病の原因遺伝子を導入することで、本当の病態モデルを作ることができ、治療法開発などにつながる。また、脳の連合野はマウスではあまり発達していないため、これまで十分な研究ができなかったが、コモンマーモセットを使うことでより深い理解が可能になる。いずれにしろ、ライフサイエンス研究が次のステージに進むことになる」と話す。(科学、6月5日号1面) 」(全文)

 
 
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◆2009/06/16 「ALSへの理解訴え 協会島根県支部」
 『中国新聞』2009-6-16
 http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200906160261.html

 「 ▽設立10周年で記念誌
 難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者や家族、支援者たちでつくる日本ALS協会島根県支部が設立10周年を迎え、記念誌を作った。理解の輪を広げたいとの思いや早期の治療法確立への願いが込められている。
 記念誌はA4判、53ページで800部作成した。ほとんど知られていなかった昔の思い出や県への働きかけ、支部設立の経緯などを紹介。支部設立前に発行して情報交換などした機関紙や新聞報道、投書、写真などを載せている。
 患者や家族、支援者が闘病の苦しみや支部設立で得た勇気、原因究明への期待などを書いた文章も掲載。松浦弥生支部長は、一日も早い治療法の確立と患者の希望を尊重した療養環境の整備へ運動する気持ちを記した。ある患者は「生きて、がんばる!」と題し、夫や周囲の支えへの感謝をつづった。
 ALSは運動神経が侵され筋肉が萎縮していく進行性の難病で、原因は分かっていない。新治弘念事務局長は「ただ『悲惨な病気』ではなく、患者たちが苦労しながらも前向きに生活していることを知ってほしい」としている。記念誌は、希望者には無料で配布する。県支部事務局Tel0855(65)2244。(和田木健史)
【写真説明】これまでの歩みを振り返った日本ALS協会県支部の10周年記念誌」(全文)

 
 
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◆2009/06/18 「終末期医療を考える…「どう生きる」医師と話そう」
 『読売新聞』2009-6-18
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090619-OYT8T00599.htm

 「医療ルネサンス 仙台フォーラム
 どうやって、自分らしい最期を迎えるか。納得できる理想的な最期とは――。「終末期医療を考える」をテーマとした「医療ルネサンス仙台フォーラム」が5月21日、仙台市青葉区の電力ホールで開かれた。終末期医療や在宅ケアに詳しい3人の専門家が、自らの取り組みや意見を紹介しながら白熱した議論を交わし、集まった600人余りの市民は、真剣な面持ちで聞き入った。

[基調講演]自然の摂理に従う尊厳死
名古屋学芸大学長、井形昭弘さん


 「願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月の頃」。西行法師の詠んだ和歌です。日本は長寿世界一を達成しましたが、死ぬ時に苦しまず、安らかで美しい最期を迎えたいと思うのは、今も昔も多くの人に共通するのではないでしょうか。
 従来の医学は延命至上主義で、死は医学の敗北を意味しました。しかし、医療技術が進歩して長寿が実現すると、延命措置がかえって患者に苦痛を強制し、尊厳ある生を冒す場面が多く見られるようになりました。このため、自然の摂理に従って死を迎えたいという尊厳死運動が、世界中で広がりました。
 日本尊厳死協会が提案する「リビングウイル」(書面による生前の意思表示)は、不治の状態で死期が迫ったり、植物状態が続いたりした場合に延命措置を拒否するものです。協会が保管し、必要な時が来れば、主治医に示します。
 毎年の遺族への調査では、95%前後は「主治医はリビングウイルに協力的だった」と回答しています。
 現代の医療では「インフォームド・コンセント」(納得診療)という考え方が定着しました。患者と医師が正しい情報を十分に共有した上で、最終的な選択は患者自身が行う「自己決定権」が尊重されています。
 動物実験では、心臓が止まりそうになると、脳の中でエンドルフィンなどの快感物質が増えるというデータがあります。臨死体験では、きれいな花畑を見て幸せだと思ったら、呼び戻されたという話が多数あります。
 死ぬ時に幸せになる仕組みが生物に備わっているとすれば、いたずらに延命措置を続けることは、神様が与えてくれた仕組みを無視して、命だけを長引かせていることになります。
 尊厳死は、医師が注射や毒物投与などで死期を早める安楽死とは根本的に異なります。尊厳死協会は、安楽死には反対です。自己決定権は「死に至る過程を選ぶ権利」であり、自殺を容認している訳ではありません。
 秦の始皇帝は不老長寿の薬を求めたと言われますが、50歳で没しています。今の日本では、彼らの考えた不老長寿の6〜7割は実現していると言えるでしょう。運動で体力作りに励み、食べ物に留意して、良い生活習慣を身につけ、健康寿命を延ばす。その上で医療と福祉の恩恵を最大限利用して、最期は安らかな死を迎える。みなさんの努力や考え方次第で決まります。

[写真]いがた・あきひろ 東大医学部卒。鹿児島大学長、脳死臨調委員などを歴任。現在、日本尊厳死協会理事長も務める。神経病学などが専門。80歳。

人工呼吸器、尊厳失われない
仙台往診クリニック院長 川島孝一郎さん


 人工呼吸器をつけている人に対して「尊厳がない」というイメージを持つ方がいますが、これは間違いです。人の尊厳は、増えたり減ったりするものではありません。QOL(生活の質)が低下することで、尊厳を失ったと錯覚しているだけです。
 私の患者には、全身麻痺(まひ)で一人暮らしを続ける60代の女性がいます。女性は医療・福祉制度を駆使することで、QOLを保ちながら、きちんと生活しています。
 医師は本来、患者に対し、病気の説明だけでなく、豊かな人生を送るためのアドバイスをしなければなりません。しかし、制度をよく勉強している医師は、少ないのが実情です。痛みなどの緩和治療もしかりです。
 終末期も、一律に定義することはできません。呼吸器をつけたからと言って終末期とは限りません。だが、よく分かっていない医師は、すぐに呼吸器を外そうとします。尊厳死という言葉を簡単に受け入れるべきではありません。
 これからの医療は、治らない患者を支えていく仕組みが求められます。患者も、最期までより良く生きるための説明を医師に求めていく姿勢が必要です。

[写真]かわしま・こういちろう 北里大医学部卒。在宅医療の草分け的存在で、東北大医学部臨床教授や国の終末期医療に関する懇談会委員も務める。55歳。

ささやかな願い、生きる力に
穂波(ほなみ)の郷(さと)クリニック・ゼネラルマネジャー(宮城県大崎市) 大石春美さん


 2005年にクリニックを開設して以来、患者であり、人生の先輩でもある150人以上の方々と出会ってきました。私たちが取り組んでいる「緩和ケアプロジェクト」の一部をご紹介します。
 悪性リンパ腫で余命3か月と診断された80代の女性は認知症の影響で、献身的に看病する5人の子供たちに乱暴な言葉を吐くようになりました。女性と子供たちの間で、気持ちがすれ違い始めました。女性に残された時間はわずかです。親子関係を修復する家族パーティーを企画しました。女性は「子供はみんなかわいい」と漏らし、子供たちに笑顔が戻りました。この一言でわだかまりが消え、家族は優しい気持ちで看取(みと)りました。
 肺がんで余命2か月となった70代の男性は、暗く沈むばかりでした。明るい気持ちを取り戻してもらおうと、男性が趣味で、木の枝を利用して作っていたカッパのオブジェ(造形物)の個展を開きました。地域の人に大好評で、男性は作品を写真集にまとめることを次の目標にしました。
 患者のささやかな願いを拾い上げて実現することが、明日を生きる原動力につながります。

[写真]おおいし・はるみ 淑徳大社会福祉学部卒。医療ソーシャルワーカー。独創的な在宅ケアを実践し、昨年、医療の質・安全学会から表彰された。49歳。

パネルディスカッション
パネリスト
 名古屋学芸大学長、井形昭弘さん
 仙台往診クリニック院長 川島孝一郎さん
 穂波(ほなみ)の郷(さと)クリニック・ゼネラルマネジャー(宮城県大崎市) 大石春美さん

コーディネーター
 前野一雄・読売新聞東京本社編集委員

医療の役割
 ――患者が死の間際に満足感を得られれば理想的ですが、医療はどんな役割を果たせるのでしょうか。

 井形 痛みが解決しても、死んだらどうなるのかなどの精神的な悩みは尽きません。健康寿命を全うして、その人なりの安らかな最期を迎えられるように支えるのが医療の責務でしょう。これからの医療倫理には、延命がその人の幸せにつながるのかという視点が必要です。

 ――医療が逆に最期の瞬間の満足を妨げているところはありませんか。

 大石 満足は、自分の運命を受け入れ、悔いのない生き方をした先にあります。でも、医師や看護師に遠慮して、意思表示ができなかったという話もよく聞きます。患者が胸の内を素直に伝え、新しい自分や感動を発見できるような環境作りが大切です。

 ――患者の希望を実現するために、どんな努力を心がけていますか。

 川島 死の瞬間は、自分では知ることができません。つまり満足な生は経験できても、満足な死かどうかは判断できない。だから、患者と腹を割って一生懸命話し合い「ああよかった」と共感できる生き方を探していく。その積み重ねの中で、ある日、死が訪れると考えています。

 ――「こんな最期を迎えたい」と自ら提案する患者はいますか。

 大石 きょう会場にみえた筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症の佐々木すみ子さんは、人工呼吸器をつけない道を選びました。地元の中学校で講演し、生の意味を問いかけるなど挑戦の日々を続けています。どう死ぬかではなく、どう生きるか。その勇気に感動するばかりです。

「在宅」支援
 ――自宅での最期を望んでも、現実には「やむを得ず病院で」という方も多いのでは。

 井形 高齢者は、最期はやはり住み慣れたところを望みます。国はこうした要望に応えるため、新しいタイプの高齢者住宅の充実を推進しています。高齢者住宅は医療と福祉を完備し、最期まで自分らしい生活をサポートする。みじめな死を迎えるような事態は、いずれなくなるはずです。

 ――在宅医療を普及させる上で課題は。

 川島 国は2006年に「在宅療養支援診療所」という制度を作りました。しかし、実際には、在宅医療にたどりつけずにいる人が大部分です。その原因は、生きることを十分に説明しない医者にあります。説明が不十分なまま、リビングウイルを作成するのは本末転倒で、安易に同意してはいけません。

 ――日本の家庭では、死は話題から遠ざけられがちです。本当にそれでいいのでしょうか。

 井形 延命を拒否するのではなく、徹底して続けてほしいというのも、またリビングウイルです。重要なのは本人の意思を尊重することです。考えが変われば撤回や変更もできます。みなさんが健康なうちに、家族ともよく話し合いながら、ぜひ自分の死について考えてみて下さい。

 主催 読売新聞社
 後援 宮城県、仙台市、宮城県医師会、仙台市医師会、ミヤギテレビ
(2009年6月18日 読売新聞)」(全文)

 
 
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◆2009/06/21 「ALS:患者の決断、苦悩紹介 高松医療センター・松下愛子さん実態講演 /香川」
 『毎日新聞』2009-6-21
 http://mainichi.jp/area/kagawa/news/20090621ddlk37040221000c.html

 「 医療現場の実態や苦悩を通して、命の大切さを考えてもらおうと、国立病院機構高松医療センターの松下愛子さん(44)=医療安全管理係長=の講演会が20日、高松市番町1の県社会福祉総合センターであった。福祉、医療関係者や学生ら約100人が、難病患者に寄り添ってきた松下さんの経験に耳を傾けた。
 県ソーシャルワーカー協会(川西基雄会長)が主催。松下さんは「医療の現場から生と死を考える〜ALS患者さんたちの決断と苦悩」と題して講演した。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、思考や知覚は正常のまま全身の筋肉が委縮する原因不明の難病で、患者は全国約7000人とされる。
 講演では、症状が進んで自力呼吸もできなくなった場合、病気の進行は止められなくても人工呼吸器をつけて延命するか、それとも尊厳死を選ぶかという患者の決断を紹介。「ただベッドの上で、天井を見上げた状態で生き続けることを、本当に生きていてよかったと思えるか。今の私には自信を持って言い切れない」という人工呼吸器を選択した患者の手記を読み上げるなど、患者や家族、看護する側の苦悩や葛藤(かっとう)について語った。
 「患者さんの症状は今日、明日、あさってと進行していく。今日できた笑顔が明日にはできないかもしれない。患者さんは一日一日をつなぎながら生きていくと感じている。もし患者さんに出会ったらそれを理解して接してほしい」と語りかけた。【三上健太郎】」(全文)
(毎日新聞 2009年6月21日 地方版)

 
 
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◆2009/06/22 「島根ワイド : ALS患者の高橋さん、再び舞台演出に挑戦」
 『山陰中央新報』2009-6-22
 http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=513094004

 「 全身の筋力が低下する原因不明の難病、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)を患う出雲市塩冶町の高橋賢耳さん(60)が、主宰する劇団「ギミック」の舞台指導に再挑戦している。発症で一度は遠ざかった演劇だが、周囲の求めに応えて発起した。演出する舞台は、これまでの人生で培った死生観を投影した時代劇「富姫の恋」。28日の公演に向け、熱を帯びる稽古(けいこ)に、高橋さんは熱い視線を注ぐ。
 体に変化が現れたのが2007年夏。左手の親指の力が弱くなり、ライターで火がつけられなくなった。検査を重ね、診断が確定したのは昨年1月。泉鏡花の名作「天守物語」と「夜叉ヶ池」を脚色した台本を書き上げたところで、やむを得ず劇団活動から離脱することになった。
 舞台に引き戻したのは団員の声。新たな台本をお蔵入りさせれば、次の舞台を待っていた団員を裏切ることになる、との思いもあった。昨年10月、妻典子さん(53)の車いす介助を受け、再び団員らと向き合う。
 「富姫の恋」は、理不尽であっても主従関係を重んじる若い武士と、掟(おきて)に縛られる人間界を冷ややかに眺める妖怪が、次第に恋に落ちていく物語。無常観と死生観を投影した舞台に、高橋さんは「病気になったことで、より演出に深みが出た気がする」と穏やかな表情を浮かべる。
 昨年10月に再開された稽古は、本番を間近に控えて今が佳境。「目先のことだけにとらわれず、宇宙を含め、もっと広く、日常的な生活観を見つめ直してみませんか、というメッセージを伝えたい」。言葉が出にくくなった高橋さんは、典子さんを介在し、団員の一挙手一投足に指示を出す。
 公演は、出雲市駅南町のビッグハート出雲で、午後3時と同7時からの2回。前売り券は2千円(当日2500円)。
 [写真]劇団員の演技に熱い視線を注ぐ高橋賢耳さん(テーブルの中央、左は妻・典子さん)=出雲市今市町、今市コミュニティセンター」(全文)

 
 
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◆2009/06/27 「ルーゲーリック病と戦って7年、パク・スンイルさん(1)」
 『中央日報』2009-6-27
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117210&servcode=400§code=400

 「6700万ウォンを寄付
 23日午前、京畿道竜仁市パク・スンイルさん(38)の自宅。部屋のドアを開けると、彼が記者を眺めた。元気なさそうな目に黒い瞳だけが記者に向かって動いた。彼はルーゲーリック病を患って7年、元バスケットボールコーチだ。3年7カ月ぶりの再会だった。
 これまで多くのことが変わった。病気は彼の体をますます締め付けている。初めて彼を見たとき、彼はまず記者にあいさつした。「ようこそ」という字をモニターに浮かべた。眼球マウスで書いた文字だった。眼球マウスは瞳でマウスを動かし、コンピューターのモニター画面の文字をクリックする特殊装備だった。彼の唯一の楽しみだったコンピューターは、部屋の片隅に追いやられていた。目を動かす筋肉も無くしてしまったのだ。
 彼は瞳で文字を指して記者にあいさつした。「アンニョンハセヨ(こんにちは)」。看護人が文字盤の子音と母音を順に指すので、目をやや動かしては伝えたい文字を選ぶ方法だった。母親と看護人でなければわからないほど弱い目の動きだった。
 パク・スンイルさん再会したのは、彼が韓国ALS(ルーゲーリック病)協会に6700万ウォン(約500万円)を寄付したからだ。ルーゲーリック専門療養所を建てるのに足しにしてほしいというものだった。2004年以後、ベッドで起きてみたことがない彼が目で貯めたお金なのだ。インターネットコミュニティ(cafe.daum.net/alswithpark)を通じて「療養所を建てることができるよう支援してほしい」と訴えたのだ。6000人のコミュニティ会員が毎月2000〜2万ウォンずつ送ったお金が2000万ウォン。1年コミュニティ会員たちがオンラインバザーを開催して貯めた収益金が4000万ウォンほどだ。
 収入が全くない老父母とともに暮らす彼は、このお金をすべて協会に寄付した。「苦しむ患者たちを減らすために」寄付理由を問う記者に瞳を転がして彼が答えた。

 ◆ルーゲーリック病=正式な病名は「筋萎縮性側索硬化症」。運動神経細胞が破壊され筋肉が徐々にまひしてく病気だ。しかし触覚、聴覚、嗅覚などの感覚神経や意識はそのままだ。無欠な精神が、動かない体に閉じこめられているのだ。1930年代、米国の有名野球選手ルー・ゲーリックがこの病気で38歳で死亡すると、ルーゲーリック病と呼ばれるようになった。イギリス天才物理学者スチーブン・ホーキング氏もルーゲーリック病患者だ。

 [写真]心が体に閉じこめられた人。ルーゲーリック病患者のパク・スンイルさんは目を通じて心を表現することができる。「もう目を動かすこともできなくなる…」母親のため息に彼が涙を流している。

 イム・ミジン記者、写真=パク・ジョングン記者
 中央日報 Joins.com
 2009.06.27 13:16:10 」(全文)

 
 
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◆2009/06/27 「ルーゲーリック病と戦って7年、パク・スンイルさん(2)」
 『中央日報』2009-6-27
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117211&servcode=400§code=400

 「 記者がパク・スンイルさん(38)を初めて取材したのは2005年秋だった。彼はすでにルーゲーリック病と争って4年目だった。目を動かし「眼球マウス」で文字を入力しながら4カ月にわたって手紙を作成し、中央日報に送ってきた。病気の苦痛と、それでも生きるという意志、ルーゲーリック病患者のための専門療養所を建てたいという夢が書かれていた。この内容は<ルーゲーリック、目で書く>という記事で報道された。ルーゲーリック病専門療養所はパク・スンイルさんの長年の夢だった。彼はルーゲーリック病患者を「水の妖怪」と表現した。24時間、家族の助けを要する自分の境遇を「家族を巻き込んで一緒に死まで呼びこむ妖怪」と言った。少しも目を離せない弱い体だが、精神と感覚ははっきりと生きていて患者本人を苦しめる。じれったくて歯がゆい自分を「シャープペンの芯」のようだと表現した。彼は療養所があれば患者と家族たちが互いに頼って看病を手伝ってもらえると信じた。家族がしばらく息抜きもできるだろうと言った。

 彼の手紙は当時、金槿泰(キム・グンテ)保健福祉部長官の心を動かした。

 [写真]パク・スンイルさんを看病する友人、キム・チュンヒョンさん(35)が、パク・スンイルさんの瞳に合わせて文字盤を示している。伝えたい言葉の子音と母音を指すためにパク・スンイルさんのまぶたは細かく動く。母と看護人にしかわからないほどわずかに動く。この動きがまひしてしまったら、彼が世の中と疏通する方法はなくなってしまう。

 イム・ミジン記者、写真=パク・ジョングン記者
 中央日報 Joins.com
 2009.06.27 13:16:47 」(全文)

 
 
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◆2009/06/27 「ルーゲーリック病と戦って7年、パク・スンイルさん(3)」
 『中央日報』2009-6-27
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117212&servcode=400§code=400

 「 金長官はパク・スンイルさんの家を訪れ「難病患者たちのための憩い場を作る」と約束した。パク・スンイルさんのコミュニティ会員も大きく増えた。療養所設立の夢がかなうのは遠くないと思った。しかし昨年、政府の支援でソウル駅の前にオープンした「難治性疾患者憩い場」はルーゲーリック病患者のような重度の患者は利用できない構造だった。寝台車が入れるエレベーターも、応急状況に対処する医師もいない。当時毎月15万ウォン支給された看護費支援金は30万ウォンに上がったが、依然として患者たちは100万ウォン以上の看護費を追加で負担しなければならない。専門療養所設立のための募金活動も遅々として進まない。韓国ALS(ルーゲーリック病)協会は、療養所を建てるのに数十億ウォンが必要だとみているが、協会に集まったお金はパク・スンイルさんの寄付を足しても1億5000万ウォン程度だ。療養所設立を願う彼の力のない希望に応えてくれるのはコミュニティにいつもアクセスする数十人の会員だけだ。今回の寄付の大部分はこの会員たちが集めた。彼らは昨年、このコミュニティでオンラインバザーを行った。夫がシャンプー会社に通うある会員は300万ウォン分のシャンプーとリンスを寄贈した。田舎で農業をするという会員は刈り入れた米7袋を送った。贈り物でもらった化粧品や豚カルビを出品した会員もいる。この物品を会員たちどうしで売買して収益金を集めた。物品を送る手数料も、宅配費もすべて会員たちが自ら負担した。

 パク・スンイルさんは弱っていた。「呼吸するのがとても大変。できれば安楽死したい」近況を問う記者の質問に彼はこう答えながら涙を流した。

イム・ミジン記者、写真=パク・ジョングン記者
中央日報 Joins.com
2009.06.27 13:17:26」(全文)

 
 
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◆2009/06/27 「ルーゲーリック病と戦って7年、パク・スンイルさん(4)」
 『中央日報』2009-6-27
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117213&servcode=400§code=400

 「 首に人工呼吸器をつけているが、通した穴が緩くなるので、30分以上続けて眠れなくなった。深い眠りに入ると、首の周辺の筋肉が緩み、酸素が漏れるのだ。今年に入って2度酸素不足で緊急救命室に運ばれた。肉体的な苦痛以上に彼をいじめるのは眼球マウスも使うことができない状況だ。人工呼吸器で声を失った後、彼は眼球マウスを「自分が生きていく理由」と表現した。しかし最近、疎通の頼みの綱を逃すと生きる意欲をうんと失ったというのだ。「療養所を設立したいと頑張ってきたが、遅々として進まないからつらいんです」母親のソン・ボクスンさん(68)がため息をついた。看護人へのお金だけでも大変な毎日だが、6700万ウォンを寄付しようという息子の提案を拒絶できないのもこのためだ。「安楽死」を言及した彼も療養所の話をする時は力を振り絞った。最後の望みは何かと問うと「本を出して収益金を療養所設立の足しにしたい」と文字盤で伝えた。パク・スンイルさんの部屋のドアを閉めると、ちょうど国内初の安楽死施行患者が人工呼吸器をはずしたニュースが流れていた。「やれやれ、しきりにこんなニュースが出るからしょうもない話をするのか…」ソンさんが急いでテレビのボリュームを下げた。

 パク・スンイルさん
 延世大バスケットボール選手出身最年少コーチに抜擢されたパク・スンイルさんは、プロバスケットボール選手を経て国内最年少プロバスケットボールコーチとなった。選手としては光を見ることがなかったが、起亜(キア)自動車バスケットボール団としての短い選手生活を後にしてバスケットボール留学のため米国に向かった(2000年)。そして2002年春、31歳のとき、現代モービスのコーチに抜擢されて帰国した。彼が「人生の全盛期」とする年だが、その全盛期はとても短く終わった。その年の6月、彼はソウル大学病院神経科でルーゲーリック病の宣告を受けた。11カ月後に車椅子生活となり、20カ月後、ベッドに就くと起きることができなくなった。発病後も彼は希望を失わなかった。ルーゲーリック病の広報大使となって社会のあらゆる方面に支援を要請した。ルーゲーリック病の患者たちのための専門療養所を建てたいと訴えたのだ。2004年春、呼吸器官がまひし、彼は話すことができなくなった。しかし同じ年の年末、姉たちが購入した「眼球マウス」で再びインターネット広報活動を再開した。

 パク・スンイルさんの疎通方法
 現在:文字盤−瞳を動かして文字盤の5つ区画の中のひとつを指す。看護人が区画の中にある子音や母音を順に指し、望んだ文字だったときにまぶたを動かす。一つひとつ子音と母音を組み合わせて文章を完成させる。
 過去:眼球マウス−コンピューターの上端に付着したレンズを見つめれば瞳に従ってモニター上のマウスが動く。望む文字の上にマウスをおいてまばたきすることで文字が書けた。

 イム・ミジン記者、写真=パク・ジョングン記者
 中央日報 Joins.com
 2009.06.27 13:18:57」(全文)

 
 
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◆2009/06/29 「窓ノ外ノ世界」
 『シネマトゥデイ』2009-06-29
 http://www.cinematoday.jp/movie/T0007732

 「窓ノ外ノ世界
 公式サイト:http://www.wild-strawberry.com/ws/mado

チェック:原因不明の難病ALSに冒された女性と、彼女の描く絵に惹(ひ)かれた青年の交流を軸に、青年の葛藤(かっとう)や彼を支える仲間たちの友情を描く人間ドラマ。キャストには舞台「遙かなる時空の中で」の中村誠治郎や根本正勝ら若手イケメン俳優が勢ぞろいし、“オシリーナ”こと秋山莉奈がヒロインを熱演する。監督は、『一生の?お願い』の松村清秀。難病を患う状況をただ悲観するのではなく、患者本人も、周囲も運命を受け入れ前向きに頑張る姿が胸を打つ。

ストーリー:都内で小さな店を始めたばかりのジュン(中村誠治郎)は、あるサイトに掲載されていた絵が気になりメールを送る。描き手のミサ(秋山莉奈)とメールのやり取りをするうちに二人は打ち解け、ある日ジュンがミサのもとを訪れると、彼女は原因不明の難病ALSを患っていた。ジュンは難病に冒されながらも前向きに生きるミサに惹(ひ)かれていくが……。

製作年: 2009年
製作国: 日本
日本公開: 2009年7月18日
上映時間: 1時間0分
配給: モブキャスト
カラー/ビスタサイズ

スタッフ
監督・脚本・プロデューサー: 松村清秀
プロデューサー: 川端基夫 / 松村俊輔
エグゼクティブプロデューサー: 藪考樹
撮影: 沖芝和彦
スタイリスト: 古川由香
主題歌: 水越けいこ

キャスト
中村誠治郎
秋山莉奈
根本正勝
椎名鯛造
寿里
中村英司
松嶋初音
河野弘樹
あじゃ
他 」(全文)

 
 
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◆2009/06/29 「神経切断防ぐ遺伝子、アルツハイマー防げる?」
 『読売新聞』2009-6-29
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090628-OYT1T00911.htm

 「 脳や脊髄(せきずい)の神経が切れるのを防ぐ遺伝子を東京大学と理化学研究所、九州大学の共同研究チームが発見した。
 パーキンソン病などの治療に応用できると期待される。成果は29日付の科学誌ネイチャー・ニューロサイエンスに掲載される。
 人間の脳は、1000億個以上の神経細胞が結びつき、複雑な回路を構成している。赤ちゃんのころはいろいろな細胞同士が結合しているが、情報伝達の効率を上げるため、不要なつながりは切断されていく。
 だが、必要な神経まで切れてしまうと、パーキンソン病やアルツハイマー病、ALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)などの発症につながる場合があるとされる。
 同研究所の林悠研究員らは、モデル動物の線虫を用いて実験。「Wnt」と呼ばれる遺伝子が、必要な神経を切断から守っていることを突き止めた。
(2009年6月29日10時27分 読売新聞)」(全文)

 
 
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◆2009/06/29 「ALS治療に希望をもたらす新しい知見」
 『健康美容EXPOニュース』2009-6-29
 http://news.e-expo.net/world/2009/06/post-25.html

 「 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、衰弱性の症状が出現するかなり以前に始まると考えられ、この知見が最終的に有効な治療につながる可能性のあることが新しい研究によって示された。疾患発症前の、損傷発生後にのみ出現する細胞内の蛋白(たんぱく)凝集(protein clumps)が、ALSにおけるの麻痺(無力)化の経過原因であるという。
 米フロリダ大学マックナイトMcKnight脳研究所(ゲインズビル)のDavid Borchelt氏らの研究の結果、“蛋白集合体(protein aggregates)”と呼ばれる、欠陥蛋白質と細胞内容物の凝集体の形成が、ALSの急速な進行に実際的なシグナルを送ることが明らかにされた。
 ALSは約3万人の米国人にみられ、脳から脊髄、さらに筋肉へ伸びる神経細胞が死滅する。原因は不明だが、症例の最大20%では遺伝的な欠陥遺伝子が疑われている。Borchelt氏らは、これは脳内の蛋白集合体の原因となる正しく機能しない蛋白の形成異常、つまり“折りたたみ構造(misfolded)の異常”に端を発すると考えている。
 医学誌「Human Molecular Genetics(ヒト分子遺伝学)」オンライン版に5月30日掲載された今回の研究で、Borchelt氏らはスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)を産生する遺伝子を検討。SODは、身体の細胞を損傷させるフリーラジカルを撃退する酵素。遺伝性ALS患者では、すでに知られている146のSOD1遺伝子突然変異のうち1つが認められる。同氏らは、蛋白凝集を引き起こす可能性の最も高いSOD1の突然変異がより速い疾患の進行にも関連しているという。
 また、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」オンライン版に3月17日掲載された同氏らの別の研究では、遺伝子操作によりALSを誘発したマウスは、疾患の症状が出現する時期と一致する蛋白集合体の出現のかなり前に細胞の損傷がみられることが示された。
 Borchelt氏は「マウスでは疾患が症候性の段階になると、蛋白の増加が急速かつ劇的になるが、集合体の形成がすべてではない。神経系への有意な損傷は症状出現のかなり前に生じる。SOD1の制御できない折りたたみ異常は、症状が初めて出現する疾患後期に限られるため、この過程を標的とした治療が有益であると期待される」と述べている。(HealthDay News 6月15日)

http://www.healthday.com/Article.asp?AID=627972
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2009年6月29日 13:30 [医療全般]」(全文)


*作成:長谷川 唯山本 晋輔
UP 20090410 REV:20090427, 0525, 31, 0616, 22, 26, 0701,
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