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ALSとHGF

ALS 


■HGF と脊髄損傷(Spinal Cord Injury:SCI) PDFファイル

SCI とは?
事故などにより脊髄が傷を負うと、神経伝達路が遮断され、傷の部分より下の体の部分で運動麻痺、知覚麻痺、自律神経障害が起こる。
脊髄は、首(C)、胸(T)、腰(L)、骨盤(S)の4 つの領域に分けられ、損傷部位が脳に近いほど麻痺が広範囲に至り、重度になる(部位によっては致死性)。国内の患者数は約10 万人(年間5,000 人以上)。

SCI の治療・・・根本的な治療法なし。再建手術・リハビリテーション・医療器具など。
HGF による治療研究の成果
傷を受けた脊髄にHGF を投与すると、神経の死が抑えられる(神経が保護される)のと同
時に、神経の再生が誘導された。また、HGF の投与により、脊髄が再生され、運動機能が
改善された。(慶應義塾大学医学部、岡野先生らの研究による結果)

損傷した脊髄の再生(写真あり) 運動機能の改善(表あり)

実験動物でのHGF の治療効果(SCI)

試験
ラットSCIモデルに対するHGFの治療効果
動物
ラット
(T10圧挫損傷モデル)
治療法
遺伝子治療、又はタンパク質を脊髄腔内持続投与
効果
・運動機能の改善
・脊髄神経の保護
・運動神経の再生 脊髄の再生
・血管新生

試験
サルSCIモデルに対するHGFの治療効果
動物
サル
(C5圧挫損傷モデル)
治療法
タンパク質を脊髄腔内持続投与
効果
・運動機能の改善

■HGF と筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS) PDFファイル

ALS とは?
運動ニューロンが失われ、全身の筋肉がやせ細り、筋力がおちていく疾患。(知能には影響しない)
主な症状は、体が動かない、声が出ない、飲食ができない(飲み込めない)、呼吸が苦しい、など。
病状は進行性のため、少しずつ悪くなり、死に至る。
5 年生存率は約20%(*)

(*)作成者注:原文ではこのように書かれているが、適切な治療介入により 長期にわたって生存することがじゅうぶんに可能である。

ALS になる原因:90%以上の場合で原因不明。(遺伝性10%以下)

ALS の治療方法:根本的な治療法なし。対症療法のみ。

HGF による治療研究の成果
ALS モデル動物にHGF を投与すると、神経細胞死(アポトーシス)が抑えられるととも
に、神経細胞が保護され、ALS の発症が遅れた。また、HGF は神経細胞を再生し、ALS
モデル動物の生存期間を延ばした。(東北大学医学部、糸山先生らの研究による結果)
神経細胞死を抑える(写真あり) 生存期間の延長(表あり)

実験動物でのHGF の治療効果(ALS)

試験
ALS モデル動物へのHGF遺伝子の治療効果
動物
ALSモデルマウス
方法
神経細胞でのHGF遺伝子治療
効果
・脊髄神経細胞の死を抑制
・筋萎縮や歩行機能の改善
・発症を遅らせる
・生存率の延長

試験
ALS モデル動物へのHGFタンパク質の治療効果
動物
ALSモデルラット
方法
HGFタンパク質を脊髄腔内に投与
効果
・運動神経細胞死の抑制
・発症を遅らせる
・平均生存期間の延長

■クリングルファーマ株式会社とHGF(1) PDFファイル

企業理念
NK4ならびにHGFの研究開発を介して、
   病に苦しむ患者さん、世界のガン患者さんを
         新しい治療法によって救済します。

ご挨拶
代表取締役社長
岩谷邦夫
 癌の治癒率は年々僅かながら上昇を続けておりますが、日本では1981年以来癌が依然として死因のトップを占めており、今や日本人の3人に1人が癌で亡くなっています。従って癌撲滅を目的とした新しい概念や革新的技術に基づく制癌法の確立には社会全体の期待が高まっています。
 クリングルファーマ株式会社は大阪大学発バイオベンチャーで癌の撲滅を主たる目標として2001年12月に設立された企業です。
 従来の制癌剤は癌細胞を直接殺す事を目的に開発されており、それ故に副作用として著しい臓器不全や免疫力の低下をきたし実質的な延命、或いはQOLの改善といった患者さんのニーズに合わないことが過去に多く見られました。
 弊社の目指す癌治療は、大阪大学の中村教授、松本助教授によって発見されましたNK4という蛋白質を用いて行うものです。私は、このNK4が癌細胞の他臓器への転移を止め“凍結状態”にすると共に、癌組織に酸素や栄養素を補給する血管新生を抑制し“休眠状態”にするという作用を持つ事から21世紀の新しい癌治療法を開くものになる、と信じています。
 NK4は中村教授の20年来の研究テーマでありますHGF(肝細胞増殖因子)から生まれたものですが、弊社はこのNK4とHGFの研究開発を介して病に苦しむ患者、世界の癌患者の方々を新しい治療法によって救済することを、そして更に独創性の高い創薬に
つながる日本発のシーズを掘り起こし世界に発信出来る治療法に育成する事を事業理
念としております。
 一日も早く病で苦しむ患者の方々に朗報を届ける事が出来るよう、頑張って参りますの
で皆様方のご支援をよろしくお願い申し上げます。

NK4による癌の凍結・休眠療法
 HGFは、傷害を受けた臓器の修復・再生を促す一方、腫瘍組織に対しては成長・浸潤・転移・血管新生を促進し、その悪性化の要因ともなっています。NK4はHGFのアンタゴニストとして中村・松本ら(大阪大学)によって発見されたタンパク質で、癌の浸潤・転移を抑制します。さらに、その活性とは独立に血管新生阻害作用をも有しており、他に類のない2機能分子であることが明らかとなっています。このNK4の機能によって、癌の凍結(浸潤・転移の抑制)・休眠(血管新生抑制による腫瘍組織成長阻害)療法が可能となります(左図)。

NK4投与による癌の治癒・改善
 癌患者の約90%は、原発腫瘍ではなく、原発巣から全身に転移した腫瘍によって命を落とすと言われており、癌治療においては転移を抑制することが重要であります。中でも膵
臓癌は非常に悪性度の高い癌の一つです。そこで、マウスに膵臓癌細胞を移植し、転移巣が形成された末期膵臓癌モデルマウスを作成し、NK4タンパク質の作用を検討しました。
 NK4を投与していないマウスの腹腔内には多数の転移結節が形成され、直径1mm以上の結節は平均約180個に及びました。また、癌性腹水の貯留も約4ml(体重60kgのヒトに換
算すると12lに相当)に達していました。これに対して、NK4を投与したマウスでは直径1mm以上の結節数が平均約29個と抑制され、腹水の貯留も約1mlと強く抑制されました(右図上)。その結果、NK4を投与しない群では癌細胞移植後70日で全てのマウスが死亡するのに対し、NK4投与群においては60%のマウスが生存していました(右図下)。
 また、NK4による制癌作用は、NK4遺伝子を遺伝子医薬として用いる遺伝子治療法によっても再現されます。これらの研究成果についてまとめたものを下表に示しました。このように、様々な癌に対して、NK4が優れた制癌作用を示すことが明らかとなっています。

実験動物においてNK4の制癌作用が認められた癌
(表あり)

内因性再生・修復因子HGF
 HGF(hepatocyte growth factor; 肝細胞増殖因子)は、成熟肝細胞に対する増殖促進因子として中村ら(大阪大学)によって世界に先駆けて発見・単離・クローニングされました。HGFは肝細胞のみならず様々な細胞に対して、細胞増殖促進、細胞運動促進、抗アポトーシス(細胞死)、形態形成誘導などの多才な生理活性を有し、肝臓、腎臓、肺、心・血管系、神経系など様々な組織・臓器の再生・保護を担う内因性因子であることが明らかにされています(左図)。

HGF投与による肝硬変の治癒・改善
 肝硬変や慢性腎不全といった慢性線維性疾患に対しては対症療法か臓器移植という選択肢しかなく、根本的な治療法が存在しないのが現状です。これらの疾患においては、HGFの分泌量が低下していることが知られており、HGFの補充により症状を改善する可能性が考えられました。
 そこで、ジメチルニトロサミン(DMN)投与により肝硬変を発症したモデルラットを用いてHGFの再生治癒作用を検討しました。DMNは肝臓毒の一種で、連続投与を行うと約3週間で肝硬変を発症し、投与開始後6週間後には90%のマウスが死に至ります。しかし、肝硬変発症マウスにHGFタンパク質を継続投与すると、50μg / k g の投与で約6 0 % 、200μg/kgの投与でほぼ全てのマウスが生存していました(右図上)。また、肝組織について詳細に検討したところ、HGFを投与していないマウスの肝臓では線維性組織の沈着がみられるのに対し、HGF投与群では線維性組織の顕著な減少が認められました(右図下)。
 このほか、各種疾患モデル動物を用いた研究により、HGFは様々な難治性疾患に対し、顕著な再生治癒作用を示すことが明らかとなっています(下表)。

HGFの臨床応用が期待される疾患(表あり)

現在、当社は、NK4タンパク質、NK4遺伝子、HGFタンパク質の臨床開発に取り組んでいます。

NK4,HGFの臨床開発プロジェクト
NK4
遺伝子
HGF
医薬品形態対象疾患開発段階提携先
タンパク質各種固形癌前臨床試験中未定
難治性線維化疾患、
皮膚潰瘍、神経疾患など
各種固形癌前臨床試験中未定
タンパク質前臨床試験中未定

会 社 概 要
社     名:   クリングルファーマ株式会社 (Kringle Pharma, Inc.)
資  本  金:   8億6250万円
代  表  者:   代表取締役社長 岩谷邦夫
設     立:   平成13年12月21日
本     社:   〒560-0082
           豊中市新千里東町1-5-3 千里朝日阪急ビル8F
           Tel: 06-6831-3330 Fax: 06-6831-3430
                 e-mail: info@kringle-pharma.com
           URL: http://www.kringle-pharma.com
研  究  所:   〒567-0085
     茨木市彩都あさぎ7-7-15 彩都バイオインキュベータ2F
           Tel: 072-641-8739 Fax: 072-641-8730
米国連絡事務所:   ワシントンDC アメリカ合衆国
           International Access Corporation, Inc.  代表 由岐友弘
           Tel: +1-202-223-7040 e-mail: info@iacdc.com
欧州連絡事務所:   フランクフルト ドイツ連邦共和国
           LifeScience Vision AG  Dr. Joerg Michel
           Tel: +49(0)6936-40-460 e-mail: contact@lsvision.com

■クリングルファーマ株式会社とHGF(2) PDFファイル

平成 19年 6月 12日
各 位
クリングルファーマ株式会社は初期の臨床試験に必要となるHGF組換え蛋白質の原薬製造を完了しました。
クリングルファーマ株式会社(本社:大阪府豊中市、代表取締役社長:岩谷邦夫、以下「クリングルファーマ」)は、肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor: HGF)の組換え蛋白質の医薬品開発の一環として、この度、初期の臨床試験に必要となるHGF組換え蛋白質の原薬製造を完了したことをお知らせいたします。
HGFは、成熟肝細胞に対する増殖促進因子として弊社科学アドバイザーである中村敏一教授(大阪大学)によって、世界に先駆けて発見・単離・クローニングされました。HGFは細胞増殖促進、細胞運動促進、形態形成誘導、抗アポトーシス(抗細胞死)などの多彩な生理活性を有し、肝臓のみならず、腎臓、皮膚、神経系など様々な組織・臓器の再生・保護を担う内因性因子です。現在、クリングルファーマは、皮膚潰瘍と急性腎不全の2つの対象疾患について、HGF組換え蛋白質による臨床試験を計画しています(本年2月21日および3月28日、弊社プレスリリース参照)。
HGF組換え蛋白質の原薬は、東洋紡バイオロジックス株式会社(本社:大阪市北区、取締役社長:清水伸、以下「TBI」)にて委託製造されました。TBIはGMP*に準拠した組換え蛋白質製造施設を持ち、これまでに多くの臨床試験用原薬を製造した実績があります。クリングルファーマの代表取締役社長岩谷邦夫は、次のようにコメントしています。「これまで約2年間を費やして、HGF組換え蛋白質の新規製造法を確立し、各種試験法の設定・バリデーションを行いました。この度、TBIにおいてHGF組換え蛋白質の原薬2バッチの製造が完了しました。これにより、2つの開発プログラム(皮膚潰瘍と急性腎不全)の初期の臨床試験に必要なHGF組換え蛋白質原薬を確保することができました。今後、製剤化ならびに当局との交渉を速やかに行い、臨床試験を早期に開始します。」
一方、TBIの取締役社長清水伸は次のように述べています。「TBIは、動物細胞培養法を用いる組換え蛋白質医薬品の開発と製造に多くの経験と技術を有しており、中でもチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いた生産系に関して優れた技術を有しています。これまで長年に渡り蓄積したノウハウを活かし、GMPに準拠するHGF組換え蛋白質原薬の製造に成功しました。

*GMP:医薬品の製造管理および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)の略。医薬品の製造段階において、より良質の医薬品の品質確保を図ることを目的に医薬品製造所における製造設備と製造管理の両面について規定したもの。

クリングルファーマについて:
クリングルファーマは、大阪大学発創薬バイオベンチャーとして2001年12月に設立されました。大阪大学医学部の中村敏一教授が発見したHGF、および同教授と松本邦夫助教授(現金沢大学がん研究所教授)が発見したNK4の医薬品開発を通じて、新規のバイオ医薬品の開発に注力しています。HGFは生体において内因性の修復因子として重要な役割を担っており、再生治療薬として大きな可能性を秘めています。また、NK4は癌の成長のみならず浸潤・転移を抑制し、様々な種類の癌に優れた制癌効果を発揮することが期待されています。より詳細な情報は、弊社ウェブサイト(www.kringle-pharma.com)をご覧下さい。

TBIについて:
TBIは、2001年11月に東洋紡績株式会社の医薬事業部からバイオ原薬の受託製造部門を分社化し、株式会社パシフィックバイオロジックスとして発足し、2007年4月に現社名に変更いたしました。TBIは受託企業として日本最大級の4000Lの培養精製設備と最新のGMPソフトを備え、海外での開発に対応できる体制を備えております。詳細な情報は、TBIのウェブサイト(http://www.toyobobiologics.com)をご覧下さい。
問合せ先:
安達喜一
クリングルファーマ株式会社
取締役副社長兼事業開発部長
電話 06-6831-3330、電子メール info@kringle-pharma.com


UP 20080317
作成:川口有美子野崎泰伸
ALS  ◇ALS:なおること/…
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