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成年後見制度(Adult Guardianship)

意思決定支援 [English]

last update:20160308

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■成年後見制度とは
 認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分でない方(本人)について、本人の財産と権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで、ご本人の意思を尊重した生活を法律で支援する制度です。

種類
1.任意後見制度
 本人に十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、予め自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を、公証人の作成する公正証書によって結んでおくものです。
 なお、任意後見契約は、本人の生活状況や健康状態によって、以下の3つの形態から選べます。
@即効型――任意後見契約締結後、直ちに家庭裁判所において任意後見監督人の選任の申立てを行うもの(本人に任意後見契約が締結できるだけの意思能力がある場合に活用)
A将来型――任意後見契約のみを締結するもの(本人の判断能力が低下後、任意後見契約により本人を支援する)
B移行型――任意後見契約の締結と同時に、療養看護・財産管理についての代理権を与える委任契約を併せて締結するもの(任意後見契約発効前は委任契約で、任意後見契約発効後は任意後見契約により本人を支援する)

任意後見人に対する報酬
 任意後見契約を締結する段階で、報酬の有無や報酬を支払う場合はその金額について、任意後見人と話し合って決めます。
 なお、成年後見人が後見事務を行うための費用(交通費・通信費等)については、その必要額を本人の財産から支出できます。

必要書類
@ 本人の印鑑登録証明書・戸籍謄本又は抄本・住民票
A 任意後見人となる人の印鑑登録証明書・住民票
B その他(特定の財産管理であれば対象となる土地建物の登記簿謄本等)

費用
@ 公正証書作成の基本手数料(11,000円)
A 登記嘱託手数料(1,400円)
B 法務局に納付する印紙代(2,600円)
C その他本人・任意後見受任者・法務局に交付する正本・謄本の印紙代
D 登記嘱託書郵送代
※ 同時に見守り・財産管理等委任契約、死後事務委任契約等を締結した場合には、@の手数料と証書代が必要です。
※ 上記費用については、変更される場合があります。

効力
・ 本人の判断能力が低下した場合は、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されて初めて任意後見契約の効力が生じます。
 この手続きを申し立てることができるのは、本人やその配偶者、任意後見受任者、四親等内の親族などです。
・ 任意後見監督人選任の申立てをする必要が生じた場合は、家庭裁判所を訪ねること。
※ より詳しい情報については、公証役場において、無料で相談することができます。

2.法定後見制度
 認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方を支援する制度です。利用するためには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に審判の申立てをします。
 本人の判断能力に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つの類型のいずれかを利用できます。どの類型に該当するかは、提出された医師の診断書や鑑定等により家庭裁判所が判断します。

法定後見制度の3種類
- 後見保佐補助
判断能力の程度 全くない著しく不十分不十分
申立てができる方 本人、配偶者、四親等内の親族(※1)、検察官、市区町村長など本人、配偶者、四親等内の親族(※1)、検察官、市区町村長など本人、配偶者、四親等内の親族(※1)、検察官、市区町村長など
成年後見人等に与えられる権限財産管理に関するすべての法律行為 (代理権の範囲)
本人の行った法律行為(同意権・取消権の範囲)
申立ての範囲内で与えられた法律行為
※本人の同意のもとで補助人・保佐人に権限が与えられる(代理権の範囲)
民法13条1項所定の行為及び申立ての範囲内で与えられた法律行為(同意権・取消権の範囲)
申立ての範囲内で与えられた法律行為
※本人の同意のもとで補助人・保佐人に権限が与えられる(代理権の範囲)
民法13条1項の範囲内であり、かつ申立ての範囲内で与えられた法律行為
※本人同意のもとで補助人に権限が与えられる(同意権・取消権の範囲)
制度を利用した場合の資格などの制限印鑑登録の抹消

医師、税理士等の資格や会社役員、公務員等の地位の喪失など
医師、税理士等の資格や会社役員、公務員等の地位の喪失など-
※1 四親等内の親族とは、主に次の方たちです。
   ・親、祖父母、子、孫、ひ孫    ・兄弟姉妹、甥、姪
   ・おじ、おば、いとこ       ・配偶者の親、子、兄弟姉妹

民法13条1項所定の行為
@ 元本を領収し、又は利用すること。
A 借財又は保証をすること。
B 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
C 訴訟行為をすること。
D 贈与、和解又は仲裁合意をすること。
E 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
F 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
G 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
H 民法602条に定める期間を超える賃貸借をすること。

成年後見人に対する報酬
 家庭裁判所は、成年後見人等からの報酬付与の申立てに基づき、成年後見人等の職務内容や本人の財産状況等を鑑みて報酬額を決めます。その後、成年後見人等は、決められた報酬を本人の財産から受け取ります。
 なお、成年後見人が後見事務を行うための費用(交通費・通信費等)については、その必要額を本人の財産から支出できます。

必要書類―家庭裁判所で入手可(裁判所ウェブサイトからも入手可)
@ 必ず必要なもの
・申立書
・本人の戸籍謄本・住民票・登記されていないことの証明書
・親族関係図
・本人の診断書・主治医の方へのお尋ね
・本人の健康状態がわかる資料(障害者手帳や介護保険被保険者証の写し)
・本人の所有する不動産、預貯金、投資信託、株式、生命保険、損害保険、負債等がわかる資料
・本人の収入と支出が分かる資料
A 成年後見人等の候補者がいる場合に必要なもの
・候補者の住民票
・候補者に関する照会書
B 本人が相続人になっている遺産がある場合に必要なもの
・遺産目録
※上記書類については、変更される場合があります。

費用
@ 申立手数料800円(補助・保佐類型の申立てで、代理権や同意権を付与する審判を同時に申し立てる場合は、申立てごとに800円必要)
A 郵便切手(1,000円1枚、82円20枚、52円10枚、10円10枚、2円5枚)計3,270円
B 後見登記のための収入印紙2,600円
C (鑑定を行う場合のみ)鑑定費用 50,000〜100,000円
※上記費用については、変更される場合があります。

鑑定について
 本人の判断能力の程度を医学的に十分確認するため、医師による鑑定を行うことがあります。この場合は鑑定料が必要になります。
 鑑定料の額は個々の事案によって異なります。
 鑑定が必要となる事案では、申立ての時に鑑定料をあらかじめ納めることがあります。

 申立てに必要な費用は、鑑定料を含め原則として申立人が負担します。

一般的な手続きの流れ
家庭裁判所
【手続き案内】
・後見等の開始の手続きの流れや、申立てに必要な書類等について説明(説明用のDVDも用意)
                   ↓
【申立て】
・申立てには、申立書などの書類や、申立手数料などの費用が必要です。
・来庁する日時について、電話で予約をする家庭裁判所もあります。
                   ↓
【審問・調査・鑑定等】
・申立て後、裁判所の職員が、申立人、後見人候補者、本人から事情を聴いたり、本人の親族に後見人候補者についての意見を照会することがあります。また、必要に応じ、裁判官が事情を尋ねること(審問)もあります。
・本人の判断能力について、鑑定を行うことがあります。
                   ↓
【審判(後見等の開始。成年後見人等の選任)】
・家庭裁判所は、後見等の開始の審判をすると同時に、最も適任と思われる方を成年後見人等に選任します。
・審判は、不服申立てがなければ、成年後見人等が審判書を受領してから2週間後に確定します。審判に不服がある本人、配偶者、四親等内の親族(申立人を除く)は、この2週間の間に不服申立て(即時抗告)の手続きをとることができます。

成年後見人にはどのような方が選ばれるのですか?
・家庭裁判所が、最も適任だと思われる方を選任します。本人が必要とする支援の内容などによっては、申立ての際に挙げられた候補者以外の方(弁護士、司法書士、社会福祉士、税理士等の専門職や、法律又は福祉に関わる法人など)を選任して、後見事務を行ってもらうことがあります。また、本人に一定額以上の財産がある場合には、本人の財産を適切に管理するため、専門職を成年後見人に選任したり、後見制度支援信託(※1)を活用したりする運用が一般的になっています。
・本人に対して訴訟をしたことがある、破産者である、以前に成年後見人を辞めさせられたことがあるなど、一定の事由がある方は、成年後見人となることができません。
※ 成年後見人から請求があった場合には、家庭裁判所の判断により、本人の財産から報酬が支払われることになります。
※ 1 本人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのこと

成年後見人候補者以外の者が選ばれた場合は、不服申立てができますか?
誰を成年後見人等に選任するかという家庭裁判所の判断については、不服申立てをすることはできません。

申立てをした後に、取下げをすることは可能ですか?
申立てをすると、家庭裁判所の許可を得なければ取り下げることはできません。

成年後見人の仕事について
役割
・成年後見人の役割は、本人の意思を尊重し、かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人に代わって、財産を管理したり必要な契約を結んだりすることによって、本人を保護・支援することです。
・成年後見人の仕事は、本人の財産管理や契約などの法律行為に関するものに限られており、食事の世話や実際の介護などは、一般に成年後見人の仕事ではありません。

具体的業務
@財産目録の作成
成年後見人選任後1ヵ月以内に、家庭裁判所に財産目録を提出
A今後の予定を立てる
本人の意向を尊重し、本人にふさわしい暮らし方や支援の仕方を考えて、財産管理や介護、入院などの契約について、今後の計画と収支予定をたてます。
B日常生活での本人の財産管理
本人の預金通帳などを管理し、収入や支出の記録を残します。
C必要に応じ本人に代わって契約を結ぶ
介護サービスの利用契約や、施設への入所契約などを、本人に代わって行います。
D仕事の状況を家庭裁判所に報告する
家庭裁判所に対して、成年後見人として行った仕事の報告をし、必要な指示等を受けます(後見監督)。

※成年後見人は、本人の利益のために、本人の財産を適切に維持し管理する義務を負っています。保佐人、補助人も、与えられた権限の範囲内で同様の義務を負っています。
 そのため、たとえ本人と成年後見人が親族関係にある場合でも、あくまで「他人の財産を預かって管理している」という意識を持って、成年後見人の仕事に取り組むことが大切です。
 成年後見人が本人の財産を投機的に運用することや、自らのために使用すること、親族などに贈与・貸付けをすることなどは、原則として認められません。
 成年後見人が、家庭裁判所の許可なしに、本人の財産から報酬を受けることは認められていません。
 成年後見人が本人の財産を不適切に管理した場合は、成年後見人を解任されるほか、損害賠償請求を受けるなど民事責任を問われたり、業務上横領などの罪で刑事責任を問われたりすることもあります。

任期
・通常、本人が病気などから回復し判断能力を取り戻したり、亡くなるまで、成年後見人としての仕事は続きます。申立てのきっかけとなった当初の目的(例えば、保険金の受領や遺産分割など)を果たしたら終わりというものではありません。
・成年後見人を辞任するには、家庭裁判所の許可が必要となり、それも健康上の理由など正当な事由がある場合に限られます。
 また、家庭裁判所は、成年後見人等の監督者として、成年後見人等としての任務に適さない事由がある場合には解任します。

問い合わせ先(主に京都)
・京都弁護士会(法律相談・申立て手続きの代理など)
https://www.kyotoben.or.jp/
・公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート京都支部(京都司法書士会)(申立て手続きに関する相談、後見人候補者の紹介など)
http://www.ls-kyoto.jp/
・権利擁護センター・ぱあとなあ京都(京都社会福祉士会)(制度利用に関する相談、後見人候補者の紹介など)
http://jacsw.or.jp/01_csw/06_zenkokukai/index.html
・京都家庭裁判所後見センター(法定後見制度の申立て・申立て書類の配布)
http://www.courts.go.jp/kyoto/saiban/katei/l4/index.html
・日本公証人連合会(任意後見契約の手続きに関すること)
http://www.koshonin.gr.jp/index2.html
・京都公証人合同役場(任意後見契約の手続きに関すること)
http://houmukyoku.moj.go.jp/kyoto/table/kousyou/all/kyoto.html
・各市区町村の地域包括支援センター(成年後見制度の相談)
・日本司法支援センター法テラス(法的なトラブルを解決するために役立つ法制度情報や、最も適切な相談窓口の情報)
http://www.houterasu.or.jp/
・一般社団法人信託協会リーフレット「後見制度をバックアップ・後見制度支援信託」(後見制度支援信託)
http://www.shintaku-kyokai.or.jp/data/pdf/data04_01leafkouken.pdf


(家庭裁判所「成年後見制度―詳しく知っていただくために―」、京都市成年後見支援センター「成年後見制度のごあんない」を元に作成)


*作成:片岡 稔
UP: 20151207 REV:20160202, 0308
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