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老い・2008/後期高齢者医療制度

老い


 2008年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

◆守田 憲二 200805- 「終末期医療費」
http://www6.plala.or.jp/brainx/elcost.htm


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 ▽2008/01

立岩 真也 2008/01/07 「「障老病異」と暮らす社会を目指して」(インタビュー),『京都新聞』2008-1-7,「確かさを求めて・ニッポンのゆくえ第4回

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 ▽2008/02

立岩 真也 20080201 「有限でもあるから控えることについて」,『現代思想』36-2(2008-2):48-60
 はっきりした早くよくわからない変化 // 短絡 // 老人病院批判 // 寝たきり老人がいない国 // もう一つの発見  →資料

小松 美彦・荒川 迪生 20080201 「尊厳死をめぐる闘争――医療危機の時代に」(対談),『現代思想』36-2(2008-2):62-87
 荒川 迪生:あらかわ みちお・医師/日本尊厳死協会

石井 暎禧 20080201 「「医療崩壊」 の真実――戦後医療の制度疲労」,『現代思想』36-2(2008-2):88-100(特集:医療崩壊――生命をめぐるエコノミー)

向井 承子 20080201 「超高齢社会と死の誘惑」,『現代思想』36-2(2008-2):101-109

 「なにより残念なのは、重箱の隅をいじりまわすような「操作」でいのちをも奪う制度の倫理性を語る専門家をほとんど知らないことである。
 脳梗塞の後遺症のリハビリを打ち切られようとして指一本の執筆活動で厚労省に闘いを挑んだ免疫学者の多田富雄氏は、医療費削減政策下での診療報酬制度の操作を「まるで『毒針』(『わたしのリハビリ闘争』)と鋭く指摘された「毒針」の意味を歴史を踏まえて分析評価する専門家の登場を、二〇年以上、ただ当事者として書き続けてきた私は待ち焦がれている。」(向井[2008:109]、最後の部分)

◆大竹進 2008/02/02〜 後期高齢者医療制度は「団塊うば捨て山」『インターネット新聞JanJan』
(1)なぜ75歳以上なのか
 http://www.news.janjan.jp/living/0802/0802010949/1.php
(2)2030年には47万人の終末期難民が出現
 http://www.news.janjan.jp/living/0802/0802010960/1.php
(3)ミスリードされた終末期医療の議論
 http://www.news.janjan.jp/living/0802/0802030089/1.php
4)逆進性強い負担増で弱者切り捨て
 http://www.news.janjan.jp/living/0802/0802040159/1.php
(5)医療が介護保険に吸収される
 http://www.news.janjan.jp/living/0802/0802050246/1.php
(6・終)感謝と誇りを持って最期を迎えたい
 http://www.news.janjan.jp/living/0802/0802050253/1.php

◆キャリアブレイン(新井裕充) 2008/02/14 16:40 「フリーアクセスの制限と「尊厳死」」『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=14515&freeWordSave=1

 「4月からスタートする75歳以上の後期高齢者医療の診療報酬について、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=土田武史・早稲田大商学部教授)は2月13日の総会で、後期高齢者の外来医療や在宅医療などで地域の開業医らが受け取る個別の点数を決定した。高齢者の健康状態などを継続的に管理する「後期高齢者診療料」を600点と高く評価し、在宅医療を進める。「医療費抑制の大本命」とも言われる後期高齢者医療制度は、2008年度診療報酬改定の緊急課題である「病院勤務医の負担軽減」の陰に隠れながら着実に進んでいる。しかし、在宅移行の先にある「終末期医療」が見えない。(新井裕充)

 今回、新設された「後期高齢者終末期相談支援料」(200点)は、終末期の治療方針を患者や家族と話し合って「書面」にまとめた場合に算定できる。意識不明などで患者の自由意思を確認できない場合は、主治医や看護師らの「医療・ケアチーム」が家族と話し合って終末期の方針を決定する。
 後期高齢者医療の個別点数を決定した2月13日の総会で、勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、終末期における意思確認の難しさなどを指摘した。
 「いろいろなガイドラインがあり、医療機関の倫理委員会で真剣な議論が続けられている。『一度は意思表示をしたが、話をしているうちに意思が変わることもある』とか『どのタイミングで情報を提供していくのか』という議論がされている中、この制度が始まる。『今後どうなるのか不安だ』という現場からの声がある」
 「私も気になっていた」と、大島伸一委員(国立長寿医療センター総長)が続けた。「死の問題は聖域。尊厳ある死、理想的な死が“絶対値”で議論される」として、終末期医療の制度化に伴う“悩ましさ”を語った。
 「現実には110万人が亡くなっていて、2万人が孤独死、3万人が自殺という状況が起きている。孤独死の予備軍が高齢者に増えているという現実もある。尊厳ある死と現実がかい離していることを軽く考えるべきではない」
 土田会長も「終末期における情報提供の在り方は検証部会で取り上げて検証していただきたい」と理解を示した。
 08年度診療報酬改定の答申書には、「後期高齢者診療報酬体系の創設に伴い創設された診療報酬項目については、高齢者の心身の特性に応じた医療提供に資するものとなっているかという観点から、実施後の状況について検証を行う」との意見が付されている。」(全文 図表等略)

勝村久司 http://homepage1.nifty.com/hkr/
◇医療情報の公開・開示を求める市民の会 http://homepage1.nifty.com/hkr/simin
◇大島伸一(国立長寿医療センター総長) http://www.ncgg.go.jp/greeting.html

老人の専門医療を考える会 第30回全国シンポジウム 2008/02/23 どうする老人医療 「これからの老人病院 ご存知ですか? 後期高齢者医療制度 (PartU)」 於:大手町サンケイプラザ.
 http://ro-sen.jp/sympo/sympo30info.html

◆2008/02/28 野党四党が共同で「後期高齢者医療制度廃止法案」を衆議院に提出

◆全国保険医団体連合会 2008/02/29 「後期高齢者医療制度の実施中止・撤回を改めて要求します――野党四党の廃止法案提出を受けて」
 http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/080229kourei.html

 「後期高齢者医療制度の実施中止・撤回を改めて要求します――野党四党の廃止法案提出を受けて
2008年2月29日 全国保険医団体連合会 会 長  住江 憲勇
 昨日2月28日、野党四党は共同で「後期高齢者医療制度廃止法案」を衆議院に提出しました。衆議院への法案の野党共同提出は、昨年の参議院選挙以降、初めてです。
 後期高齢者医療制度は、生活保護世帯を除き、従来の被扶養者も含めた75歳以上の全国民から保険料を徴収し、給付が増えれば負担も増えるという過酷な制度です。病気に罹りやすく、ケガをしやすい高齢者だけを集めた保険制度を多くの国民の反対を押し切って創設し、その結果生じる負担を地方自治体と国民の自己責任に帰すことは断じて許されません。
 また、この制度の実施に伴い、4月1日から実施される診療報酬改定では75歳以上のみを対象にした診療報酬が設定されます。医療費「適正化」路線のもと、今後、後期高齢者の医療が現役世代に比べて限定的・抑制的になる危険性が高いのです。すでに、療養病床の削減・廃止計画により、高齢者は病院からの退院を余儀なくされています。
 多くの国民が、後期高齢者医療制度の具体的な内容について十分に知らされていません。事態を知った高齢者からは、「わずかな年金から、本人の同意もなく保険料を天引きするのはひどい」「私たちの医療はどうなるのか」「これからも同じ先生に診てもらえるのか」など、悲痛な訴えをされています。
 福田首相は、「年を取って良かったなあと言うことが実感出来るような社会にしたい」と1月28日の衆議院予算委員会で答弁しています。国の責任において明るく、豊かな高齢期を保障する立場に立って与党にはすみやかに本法案の審議に応じることを求めるとともに、改めて後期高齢者医療制度の実施中止・撤回を要求します。
以上」

◆土佐 和男 編著 20080200 『高齢者の医療の確保に関する法律の解説――付・高齢者の医療の確保に関する法律』,法研,461p. ISBN-10: 487954714X ISBN-13: 978-4879547149 4725 [amazon][kinokuniya] ※ d01.a06.

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 ▽2008/03

立岩 真也 20080301 「有限でもあるから控えることについて・2」,『現代思想』36-3(2008-3):20-31 資料

天田 城介 20080301 「死の贈与のエコノミーと犠牲の構造――老い衰えゆく人びとの生存という戦術」,『現代思想』36-3(2008-3):82-101

武藤 香織 20080301 「「ピンピンコロリ」 をめぐる物語――私たちが欲しいものはこれなのか?」,『現代思想』36-3(2008-3):116-125

◆2008/03/12 「後期高齢者医療制度の中止・撤回をめざす」3・12国会内集会

◇2008/03/14 「国会・政府の動向 : 「後期高齢者医療制度の中止・撤回をめざす」3・12国会内集会」
 日本自治体労働組合総連合HP 投稿者 : webmaster 投稿日時: 2008-03-14
 http://www.jichiroren.jp/modules/topic/index.php?page=article&storyid=737

 「野党4党が提出した「後期高齢者医療制度廃止法案」が4月実施を目前にして、いまだに審議日程が決まっていないという状況を打開するため、医療団体連絡会議と中央社保協の主催による国会内集会が開かれました。
 主催者挨拶として、全日本民医連鈴木代表は、「全国各地で地域医療崩壊がこれ以上進行したら高齢者が公園にあふれ、映画のシッコ以上の社会となる。いま525自治体が反対決議を上げ、署名は350万、全体では500万筆となっている。こんなひどい制度を作っておいて、厚労省の役人は滞納する人は悪質だと言っている。民医連は仮に4月に実施された場合には、75歳以上の方5000人の訪問実態調査をして、中止・撤回の運動をさらに進めていく」との挨拶がありました。
 国会議員参加者全員から連帯のあいさつを受け、自民党議員は、「一昨年の厚生労働委員会でも、後期高齢者医療制度の詳細については説明されてなかった」と発言。この集会に自民党議員が参加したのは初めてで、後期高齢者医療制度のもつ大問題が与党にも浸透してきたことの現われです。国会議員からは年齢で区切ることにより差別を持ち込むのは問題という発言が相次ぎました。引き続き衆議院で審議をするよう要請しましょう。

 老人は、はよ死ねいうんか!地域から怒りの声を集めて必ず後期高齢者医療制度の廃止を!

 参議院での審議入りに向けて、波乱含みで推移している国会状況の中、なんとしても野党4党で提出した「後期高齢者医療制度廃止法案」を成立させようと、衆議院第二議員会館前には、今国会行動最高の450人が結集しました。
 各地の代表5人から決意表明が行われ、「老人は、はよ死ねいうんか!」との横断幕をもって参加した大阪の社会保障推進協議会の事務局長の寺内さんは「わたしはこの1年間で120回の学習会の講師を行いました。終末期医療の問題など、本当のことを知ったお年よりは、『死んでたまるか』の怒りの声をあげています。中止・撤回の日まで奮闘したい」「23日には、後期高齢者医療制度の廃止を求めて東京大集会が開催される。地域から怒りを集めて必ず成功させる(年金者組合)」「誰もが豊かな老後が送れるように、大企業中心の今の税金の使い方を変えよう(東京土建)」「50万の署名目標に対して48万5千筆まで迫った。老人会の中でも年寄りを差別するこの制度に怒っている(長野民医連・医療生協)」など、世論を高める各地の運動の報告がありました。」

◆2008/03/23 「後期高齢者医療制度」の中止・撤回を求める3・23東京大集会
 主催:後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める東京連絡会主催

◆2008/03/24「後期医療制度「入山料℃謔驩W捨て山」」
 CBニュース http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15208.html;jsessionid=544BEB8B869

 「4月1日から実施される「後期高齢者医療制度」の中止・撤回を求める「3・23東京大集会」(後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める東京連絡会主催)が3月23日、東京都三鷹市の井の頭公園で開かれた。医療・介護関係や高齢者団体などから約1万2千人が参加。東京都の62区市町村議会の8割近い49議会で同制度の中止・撤回を求める意見書が採択されている状況などを踏まえ、「年齢で医療を差別するという世界に類を見ない悪法を即時に、政府・与党に中止・撤回させる」ことを確認した。
 同制度は、75歳以上の国民が加入を義務付けられるほか、生活保護世帯を除き、子どもの扶養家族となっている人や寝たきり等で障害認定を受けた65歳〜74歳も対象となる。これまでは被扶養者として保険料を払っていなかった人も制度の対象となった時点で、75歳以上なら後期高齢者医療、74歳以下なら国民健康保険等に加入し保険料を支払う。
 保険料は介護保険料とともに、毎月の年金が一定額以上あれば天引きされ、医療内容も病名によって1か月の医療費が決められる「包括制」に。窓口負担は原則として掛かった医療費の1割だが、現役並みの所得があれば3割負担となる。保険料を滞納すると、国保と同様に保険証が取り上げられ「資格証明書」が発行されるなどの制裁がある。
 大集会では、八王子市の老人会からの出席者が「これまでは扶養家族となっていても、75歳以上になると独立して保険料を払わなければならなくなることには納得がいかない。1か月当たりの医療費が決められ、医者に掛かることを控えることに追いやられる。まだ制度のひどさを分かっていない人も多く、仲間を通じて周知させていきたい。撤回しかない」と主張。また、障碍(がい)者団体の発言者も「差別医療は許せない」と訴えた。
 さらに、現場の医師は「年齢によって医療を切り離す根拠は医学的に全くない。あるのは医療費の削減だけ」と批判。「例えば、お金が掛かるからという理由で75歳以上の国民を別の選挙制度、いわゆる選挙権に制限を加えることにしたら、どういうことになるだろうか。政権が吹っ飛ぶほどの大騒動になるはず。しかし、このような悪しき制度が医療で起きているということだ」などと、制度を打破する必然性を強調した。
 同制度をめぐっては、民主、共産、社民、国民新の野党4党が共同で後期高齢者を廃止する法案を国会に提出。このような対応を踏まえ、大集会では4野党の国会議員と賛同する無所属議員が連帯のあいさつを行った。
 民主党議員は「後期高齢者という名前そのものが問題で、これ自体を廃止すべき」と指摘した。野党が提出した法案については「与党(自民・公明)は全く審議を進める気配がない」と批判。政府・与党が制度の根拠≠ニしている財源の問題に対しては「『埋蔵金』という特別会計がある。これを見直せば財源はある。今、(道路特定財源などにみられる)道路か命かの闘いになっている」などと訴えた。共産党議員は「75歳以上の特徴として、国は治療が長期化するとか、いずれ死は避けられないなどと言っているが、自分の親にこのようなことを言えるだろうか。この制度は(保険料という)入山料を取る姥(うば)捨て山だ。日本はかつて長寿を祝う社会だった。高齢者が肩身の狭い社会にしてはダメだ」と強調した。
 続いて、大集会では「昨年の参院選で、悪政に怒った国民が自民・公明を歴史的な大敗北に追いやり、慌てた政府与党が(制度の)一部の見直しをしたが、4月実施を強行しようとしている。命は平等であり、年齢の差別は許せない。野党が提出した廃止法案の早期成立を求める」などとする決議を採択した。
 大集会を主催した連絡会によると、3月7日現在、制度の中止・撤回を求める署名は全国で500万筆を超え、意見書は全国1,800議会の3割近い530議会に達している。東京では62区市町村議会の約79%に当たる49議会が採択している。」(全文 更新:2008/03/24 10:04 キャリアブレイン)

◆大竹進 2008/03/29 「スタート間近の後期高齢者医療制度――低い診療報酬で医療崩壊が加速?」
 『インターネット新聞JANJAN』http://www.news.janjan.jp:80/living/0803/0803240464/1.php

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 ▽2008/04

◆後期高齢者医療制度開始

◆後期高齢者のみに適用される診療報酬

◇医学管理料等
後期高齢者診療料 600点(月1回) 新設
後期高齢者外来継続指導料 200点(退院後初日) 新設
後期高齢者終末期相談支援料 200点(1回限り) 新設
薬剤情報提供料の「手帳記載加算」 5点(月1回)
後期高齢者退院時薬剤情報提供料 100点(退院日1回) 新設
後期高齢者退院時栄養・食事管理指導料 180点(退院日1回)新設
◇在宅
在宅患者訪問看護・指導料の「後期高齢者終末期相談支援加算」 200点(1回限り) 新設
居住系施設入居者等訪問看護・指導料の「後期高齢者終末期相談支援加算」200点(1回限り) 新設
◇処遇
後期高齢者処置 12点(1日につき) 改定前の名称は「老人処置」 点数・取り扱い変更なし
後期高齢者精神病棟等処置量 15点(1日につき) 改定前の名称は「老人精神病棟等処置料」 点数・取り扱い変更なし
◇入院
一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟)、専門病院入院基本料、障害者施設等入院基本料の「後期高齢者特定入院基本料」 928点(特別入院基本料は790点)(1日につき) 改定前の名称は「老人特定入院基本料」
後期高齢者外来患者緊急入院診療加算 500点(入院初日) 新設
後期高齢者総合評価加算 50点(入院中1回) 新設
後期高齢者退院調整加算 100点(退院時1回) 新設
診療所後期高齢者医療管理料 1,080点(14日以内)、645点(15日以上)(1日につき) 改定前の名称は「診療所老人医療管理料」

◆後期高齢者医療制度の中止・撤廃を主張する団体・業界(の幾つか)

◇日本高齢者運動連絡会  日本高齢者大会 http://nihonkouren.cocolog-nifty.com/blog/
◇医療団体連絡会議(医団連)
◇全国保険医団体連合会(保団連) http://hodanren.doc-net.or.jp/
◇日本生活協同組合連合会医療部会(日生協医療部会) http://www.jhca.coop/
◇全日本民主医療機関連合会(全日本民医連) http://hodanren.doc-net.or.jp/link/index.html
◇新日本医師協会(新医協) http://homepage3.nifty.com/shinikyo/
◇日本医療労働組合連合会(医労連) http://www.irouren.or.jp/
◇日本患者同盟 http://www.nanbyou.or.jp/dantai/kanjyadoumei.html
◇日本高齢・退職者団体連合 http://www8.cao.go.jp/kourei/shirabe/kourei-taishoku.pdf
◇労働者住民医療連絡会議 http://park18.wakwak.com/~roujuiren/index.htm
◇日本高齢・退職者福祉推進委員会 http://www.adwa.jp/
◇全日本年金者組合 http://www2.odn.ne.jp/~aae41550/
◇全国老後保障地域団体連絡会 http://www16.plala.or.jp/altej/index.html
◇全国老人福祉問題研究会 http://www1a.biglobe.ne.jp/roumon/index.html
◇福祉介護オンブズネットおおさか http://www.eonet.ne.jp/~ombudsman/inde-ombudsman-home.htm
◇全国生活と健康を守る会連合会 http://www.zenseiren.net/
◇医療費窓口負担ゼロの会 http://www.iiiryou.com/zero/
◇全国労働組合総連合(全労連) http://www.zenroren.gr.jp/jp/index.html
◇中央社会保障推進協議会 http://www.shahokyo.jp/
◇日本自治体労働組合連合 http://www.jichiroren.jp/
◇年金者組合東京都本部 http://www.aa.alpha-net.ne.jp/nenkinto/
◇後期高齢者医療制度の中止撤回を求める東京連絡会
◇日本難病・疾病団体協議会 http://www.nanbyo.jp/
◇NPO法人 埼玉県腎臓病患者友の会 http://hp.kanshin-hiroba.jp/jinzou/pc/index.html
→NPO法人埼玉県腎臓病患者友の会 2007/09/18 NPO法人埼玉県腎臓病患者友の会西ブロック主催「私たち透析患者の命にかかわる後期高齢者医療制度を考える」
 http://takei.sakado-gr.org/diary/07/dt070918.htm
◇全国パーキンソン病友の会 http://www.jpda-net.org/

立岩 真也 20080401 「有限でもあるから控えることについて・3」,『現代思想』36-(2008-4): 資料

◆日野 秀逸 20080405 『医療構造改革と地域医療 新版――後期高齢者医療と財政問題から日本の医療を考える』,自治体研究社,134p. ISBN-10: 488037508X ISBN-13: 978-4880375083 1400 [amazon][kinokuniya] ※ a06.

◆愛知県保険医協会 2008/04/05 「高齢者を邪魔者扱いする後期高齢者医療制度が発足  中止・撤回の声急速に広がる」
 http://aichi-hkn.jp/undo/iryokaizen/20080405koukikourei.htm

 「現代版「姥捨て山」と呼ばれ、医療費がかかる高齢者を邪魔者扱いする世界でも例をみない後期高齢者医療制度が、四月からスタートした。
 中止・見直しを求める多数の高齢者の声と、全自治体の三割近い五百三十を超える自治体意見書を黙殺しての制度開始である。
 なぜこれ程までに後期高齢者医療制度への批判や不満が広がったのか、全貌が明らかになった後期高齢者の診療報酬問題を中心に、改めてその問題点を考え、今後の廃止・撤回の運動に繋げてみたい。

75歳で切り離す矛盾
 高齢者やその家族が、後期高齢者医療制度について、最も怒りを集めているのが、「なぜ七十五歳になると、今までの医療保険から脱退させられ、別の医療保険制度に囲い込まれ、受けられる医療も差別されなければならないのか」という点である。
 国民皆保険制度のある国で、このような特定の年齢で差別される仕組みを設けている国はどこにも存在しない。
 そのため、高齢者からは、実施が迫るに従い、受けられる医療内容への不安や怒りが広がってきた。
 こうした声に対し、厚労省は「医療内容は決して差別されることはない」と、その否定に躍起になっている。
 しかし、そうであるなら、「何故わざわざ後期高齢者独自の診療報酬を設けなければならないのか」という疑問が生まれる。
 それもそのはず、後期高齢者医療制度の根拠法を見ると、その理由は一目瞭然である。
 後期高齢者医療制度は、従来の老人保健法が名称変更され、今年四月一日から施行される「高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)」が根拠法となる。この法律の目的(第一条)、国の責務(第三条)、地方公共団体の責務(第四条)には、いずれも「医療費の適正化を図る」ことが位置づけられている。(資料1参照)
 いくら厚労省が、「受けられる医療に変わりがない、後期高齢者の特性に配慮したもの」と差別医療を否定しても、医療費抑制を目的にした法律が根拠法である以上、後期高齢者のみに適用される診療報酬が、高齢者に手厚い医療を提供できるように配慮したものだとは、誰も信じないであろう。

後期高齢者独自の診療報酬は10項目
 こうした中で、四月から始まる後期高齢者医療の診療報酬がどのように設定されるのか注目されていた。
 最終的に差別医療を許さない世論と運動が反映し、後期高齢者向けの別建て診療報酬点数表の新設は阻止された。そして、後期高齢者のみに適用される診療報酬項目は、(資料2)「後期高齢者のみに適用となる点数一覧」のように、最小限に留めさせることができた。
 このことは、高齢者医療に差別を持ち込ませない運動の貴重な成果だといえよう。
今回の診療報酬改定で、後期高齢者にのみ適用された診療報酬項目は、従来の老人保健の時から定められている項目で、実質的に名称変更だけの項目を除くと、十項目に限定された。その内、要件を満たした時に一回限り算定する項目が九項目で、継続的に算定する診療報酬は、「後期高齢者診療料」(月六百点)の一項目のみとなった。
しかし、新規項目が最小限に限定されたとはいえ、後期高齢者独自の診療報酬を設けたという点では、枠組みはつくられたといえる。今後の改悪を許さず、後期高齢者独自の診療報酬をなくす取り組みを強めるとともに、根本的な解決のためには後期高齢者医療制度そのものを廃止に追い込むことが重要である。

大混乱を招く後期高齢者診療料
 厚労省が、高齢者医療費を抑制するための問題意識は、外来の重複受診の制限、入院抑制・早期退院、在宅医療の誘導、終末期医療の削減の四点にある。
 ここでは、外来医療での「後期高齢者診療料」と、終末期医療での「後期高齢者終末期相談支援料」の二項目についてのみ、言及しておきたい。
 「後期高齢者診療料」は、後期高齢者のみに適用される独自診療報酬の目玉というべき項目である。患者一人につき「一医療機関のみ」と限定し、複数の病気を抱える高齢者が複数医療機関に受診しないようにすることを目指している。今回はその手始めというべき位置づけで登場したものといえる。
 指導管理等、検査、画像診断、処置が包括された定額点数としては、極めて低点数で設定され、後期高齢者に安上がりの医療を押しつけることになりかねない。

算定しないよう呼びかける医師会も
 全国各地の医師会では、後期高齢者診療料を算定しない、あるいは届出をしないよう会員に呼びかけるところが広がっている。
 現在分かっている範囲でも、県レベルで山形、茨城、兵庫、長崎各県医師会が会員に通知したり、伝達講習会で、会長が呼びかけたりしている。地区レベルでは、青森県青森市・弘前市、山形県鶴岡地区医師会、群馬県高崎市、神戸市、鳥取県西部医師会(米子市など)、山口県岩国市、長崎県南高医師会(雲仙市及び南島原市)などの各地区医師会が同様の呼びかけを行っている。

終末期相談支援に名を借りた延命治療の抑制
 終末期医療では、「後期高齢者終末期相談支援料」という診療報酬点数が新設された。
 「回復を見込むことが難しい」と判断した後期高齢者に、医師・看護師等が共同して患者・家族とともに、終末期の診療方針を話し合い、文書にまとめた場合の点数だが、なぜ七十五歳以上のみの独自点数が必要なのか厚労省は説明不能状態に陥っている。
 今回の支援料が機能するか否かは別にして、延命治療の抑制が真の狙いであることは明白である。厚労省の高齢者医療制度施行準備室の土佐和男室長補佐編著の「高齢者の医療の確保に関する法律の解説」がそのことを雄弁に物語っている。
 土佐氏は、後期高齢者の診療報酬に、七十五歳以上にだけ適用する診療報酬を新設した理由として、「年齢別に見ると、一番医療費がかかっているのが後期高齢者」「この部分の医療費を適正化していかなければならない」と述べている。そして、家族が延命治療を求めることが医療費膨張の原因であるとし、抑制する仕組みを検討するのが終末期医療の評価の問題であり、後期高齢者の新たな診療報酬体系の意図が「延命治療の制限」にあることを強調している。

四月の年金天引き開始で後期高齢者医療は焦点に
 三月十五日付け朝日新聞は、「四月十五日支給の年金から、保険料の『天引き』が始まるが、制度がよく知られておらず、高齢者の反発も予想され、後期高齢者医療が国政の焦点に浮かび上がってくる」と報道している。
 野党四党は、二月二十八日に後期高齢者医療制度等廃止法案を国会に共同提出し、その後、二回にわたって野党共同の集会も開催している。
民主党の菅直人代表代行は、野党共同開催の大集会で「七十五歳以上だけを切り分けた制度策定について、ある種の差別的な扱いをしても仕方ないという本音が厚労省に見える。これは人間の尊厳を冒す制度であり、我々は何としても制度そのものを止めさせる」と訴えた。
 また、共産党の小池晃政策委員長は、後期高齢者医療制度のことを「家族一緒に暮らしていた母屋から、七十五歳を過ぎた人だけ離れに移すようなやり方であり、人の道に反する」と厳しく批判している。
 「年金天引きで国民の怒りが沸点に達する」(社民党阿部知子政審会長)日は間近に近づいている。」

(資料1)高齢者の医療の確保に関する法律の目的、国・自治体の責務
(目的)
第1条 この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もつて国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。
(国の責務)
第3条 国は、国民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組が円滑に実施され、高齢者医療制度の運営が健全に行われるよう必要な各般の措置を講ずるとともに、第一条に規定する目的の達成に資するため、医療、公衆衛生、社会福祉その他の関連施策を積極的に推進しなければならない。
(地方公共団体の責務)
第4条 地方公共団体は、この法律の趣旨を尊重し、住民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組及び高齢者医療制度の運営が適切かつ円滑に行われるよう所要の施策を実施しなければならない。

◆日本臨床内科医会 2008/04/13 「日本臨床内科医会は後期高齢者医療制度の見直しについて意志表明を行いました。」
http://japha.umin.jp/info/2008/ketugi.htm

 「―決議文―
 日本臨床内科医会は、第一線の地域医療を担う医師集団の立場から、永年に亘って築き上げてきた患者と医師の信頼関係を崩壊させ、ひいては医療現場を無視した地域医療の崩壊をもたらす平成20年度診療報酬改定に対して、理事会・代議員会において以下の決議をおこなうものである。
1、後期高齢者診療報酬体系の見直し
 後期高齢者の外来での医学管理を評価する「後期高齢者診療料」は「1人の患者の主病を診る1医療機関が算定」との要件があり、病態が変化することの多い高齢患者にとって最良の医療選択の余地をなくす医学管理料である。 さらに、複数の疾患を合併している高齢者にとっては、専門性の異なる複数の主治医が連携して治療にあたる体制が好ましく、疾患名が異なる場合は複数の医療機関でも算定可能と、要件を変更すべきである。
2、外来管理加算の時間要件撤廃
 厚生労働省の通知では、再診料の外来管理加算要件について、「医師が実際におおむね5分を超えて直接診察を超えて直接診察を行っている場合に算定できる。」この場合「診察を行っている時間とは、患者が診察室に入室した時点より診察終了時間までとし、その間一貫して医師が患者に対して問診、身体診察、療養上の指導を行っている場合の時間に限る。」としている。
 以上のように、新要件では終始医師が診察・診療をした結果の「5分」を要すると規定しているが、外来診療は医師単独で行っている場合は少なく、むしろ医師と看護師等を中心とするチーム医療で成り立っている場合が多い。 従って、今次の「5分要件」は医療機関が努力して作り上げてきた チーム医療の否定に繋がる要件であることは明白であり、外 来管理加算の算定要件「5分の時間要件」は、撤廃すべきである。 
 以上の項目に付き理事会・代議員会において決議するものである。
 平成20年4月13日
 日本臨床内科医会」(全文)

◆社団法人日本看護協会 2008/04/14 「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)に対する日本看護協会の声明」
 http://www.nurse.or.jp/home/opinion/newsrelease/2008pdf/20080414.pdf

 News Release 報道関係者各位
 社団法人 日本看護協会 広報部 2008年4月14日
 健やかに老い、安らかに眠るために―長寿医療制度(後期高齢者医療制度)に対する日本看護協会の声明

 平成20年4月から開始された、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度。初日に名称が「長寿医療制度」と変えられたり、保険証が届かなかったり、制度の複雑さもあり、保険料負担への不安など高齢者医療の混乱が指摘されています。
 社団法人日本看護協会(会長・久常節子)は、後期高齢者医療制度創設の本質に立ち戻り、高齢者の尊厳を守り総合的な療養生活を支援する職能団体の立場から、4月14日付けで、「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)に対する日本看護協会の声明」を公表いたしました。
 声明の中では、新制度について「退院から在宅での看取りまで、切れ目なく安心して必要な医療が受けられるようになるための基盤整備の第一歩である」と、制度の始まりであることを指摘。さらに、20年度の診療報酬改定における訪問看護のさまざまな加算などの評価が、多職種連携による支援体制や訪問看護機能の充実を後押しすること、また、職能団体として本制度の整備に参画し、国民が願う「健やかに老い、安らかに眠る」ことが実現できる社会づくりに貢献したいと、表明しています。
 報道関係者におかれましては、本会の趣旨にご理解をいただき、さまざまな機会にご紹介いただきますよう、よろしくお願いいたします。

<関連資料>
□ニュースリリース
2008年2月28日「平成20年度診療報酬改定に関する日本看護協会の意見」
http://www.nurse.or.jp/home/opinion/newsrelease/2008pdf/20080228-1.pdf
□要望書
2007年9月20日「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子案についての意見
http://www.nurse.or.jp/home/opinion/teigen/2007pdf/20070914.pdf
<リリースのお問合せ先> 社団法人日本看護協会 広報部
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 5-8-2 電話:03−5778−8547 FAX:03-5778-8478
Eメール koho@nurse.or.jp ホームページ http://www.nurse.or.jp/

News Release 報道関係者各位
社団法人 日本看護協会 広報部 2008年4月14日

長寿医療制度(後期高齢者医療制度)に対する日本看護協会の声明

 平成20年4月より長寿医療制度(後期高齢者医療制度)が実施されました。
社団法人日本看護協会(以下本会という。)は、高齢者の尊厳を守り、暮らしの中での総合的な療養支援を強力に推進する立場から、以下のことを表明します。
 1.この制度の創設は、慢性疾患やターミナル等の高齢者が必要な医療を、外来・入院、そして退院から在宅での看取りまで、切れ目なく安心して受けられるようになるための基盤整備の第一歩であると考えます。
 2.特に、在宅療養の支援については、住み慣れた地域で身近な人に囲まれて最期を迎えたいという希望を実現できる24時間365日のスムーズな多職種連携による支援体制が求められています。
 3.このたびの診療報酬改定においては、生活の場へ出向いて療養を支援し、安らかで尊厳のある死を支える訪問看護の技術が評価され、「訪問看護基本療養費」や「ターミナル療養費」が拡充されるとともに、「24時間対応体制加算」、「長時間訪問看護加算」、「後期高齢者終末期相談支援療養費」等が新設されました。
 このような見直しは、全国の各地域における医師、 薬剤師等多職種との連携強化と、訪問看護機能の一層の充実を後押しするものであります。
 本会は、この期待に応え、訪問看護のさらなる発展のために訪問看護推進事業を強力に進めて参ります。
 4.訪問看護の拡充策を確実に進めることによって、介護保険制度との連携を含めた長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の更なる整備に参画し、国民が願う「健やかに老い、安らかに眠る」ことが実現できる社会づくりに貢献します。
 以上

<リリースのお問合せ先> 社団法人日本看護協会 広報部
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 5-8-2 電話:03−5778−8547 FAX:03-5778-8478
E メール koho@nurse.or.jp ホームページ http://www.nurse.or.jp/

◆2008/04/15 「高齢医療の報酬設定を評価――日看協」」
 『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://news.cabrain.net/article/newsId/15600.html;jsessionid=C4B816B76CA00D5C0A8FB587966FC3F8

 「日本看護協会(久常節子会長)はこのほど、4月からスタートした後期高齢者医療制度に関し、今回の診療報酬改定で訪問看護に対する報酬が充実した点について評価する声明を発表した。
 声明は、必要に応じて緊急の訪問看護を実施できる体制を評価する「24時間対応体制加算」や、回復が難しい後期高齢者の終末期の診療方針を医師や看護師など関係職種が話し合い、文書にまとめた場合に算定できる「後期高齢者終末期相談支援療養費」などが新設された点について、「訪問看護機能の一層の充実を評価するもの」との受け止め方を示している。」(全文 更新:2008/04/15 21:14)

◆2008/04/16 「療養病床なくさないで」『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)http://news.cabrain.net/article/newsId/15617.html

 「療養病床削減問題の解決を目指す「療養病床問題を考える国会議員の会」(会長・中山太郎自民党衆院議員)は4月16日、自民党本部で会合を開き、入院患者の家族らからヒアリングを行った。家族らは「どうか療養病床をなくさないで、最後まで面倒を見てほしい」などと訴えた。
 京都市内の介護療養型医療施設「嵯峨野病院」に入院する山崎佳子さん(89歳)の夫、英治さん(67歳)は「医療と介護、看護をしてくれるこの病院がなければ、妻はとっくの昔にさんずの川を渡っていた」と、療養病床の必要性を訴えた。佳子さんは認知症や糖尿病による壊疽(えそ)から左下腿(かたい)を切断しており、頻繁に体位交換しなければ褥瘡(じょくそう)ができるため、医療区分2の状態だ。スタッフのケアによって以前に比べ状態が良くなり、最近は「ありがとう」と言えるようになった。英治さんは「療養病床がなくなると思うと、ぞっとする。最後まで面倒を見てもらわないと、(家族としては)どうしようもできない」と語った。
 佳子さんの主治医の金岡俊治医師は、佳子さんの状態について、「命にかかわるのは嚥下(えんげ)困難の方で、それによる誤嚥性肺炎」だが、褥瘡に対するケアがなくなると「状態が安定している」医療区分1になると指摘した。これを受け、自民党の飯島夕雁衆院議員は「(医療提供が)足りないということを厚生労働省は認識してほしい」と、来場していた厚労省の担当者に呼び掛けた。
□「後期高齢者の二の舞い演ずるな」
 また、自民党の木村義雄衆院議員はあいさつで、2012年度末までに療養病床を15万床にまで削減する方針について、「13年4月になれば、多くの高齢者が路頭に迷う。受け皿をつくってからやるべき」と訴えた。4月に始まった後期高齢者医療制度が、保険料徴収の不備などの問題を引き起こしていることにも触れ、「(制度開始が決まった)2年前も後期高齢者医療制度には反対があったが、少数の自民党の幹部に押し切られた。療養病床も少数によってそうされたことを反省し、真摯(しんし)に議論して受け皿をつくり、高齢者の不安がない形に持っていかないと、多くの反発を受けることは目に見えている」として、同制度の二の舞いを演じてはならないと主張した。
 同会は、療養病床削減に関連し、医療や介護が必要な人への受け皿を確保することを目的に、国会議員約100人が参加。この日の会合には32人の国会議員が出席した。今通常国会の会期中に、療養病床削減に対する提言をまとめる予定だ。」(全文)

◆2008/04/18 「老後は安心か 検証・後期高齢者医療制度 <下> 」
 中国新聞 http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200804180374.html

 「▽浸透せぬ「主治医」―診療の質低下を懸念 報酬頭打ちに医師反発
 広島市安佐南区の山本歳丸さん(86)は、糖尿病を患って十五年になる。後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に伴う、主治医制度の対象者の一人だ。
 主治医制度は糖尿病や高血圧症、脂質異常症といった七十五歳以上の慢性疾患患者が対象。診療報酬のうち「検査」「画像診断」「処置」「医学管理等」をまとめて定額月六千円とする仕組みである。患者の自己負担は一割の六百円で済む。
 山本さんはいま、月二回、かかりつけの診療所へ車で約三十分かけて通う。うち一回は血液検査で血糖値を調べる。高血圧もあるため血圧も測る。医療費の自己負担は月額約二千五百円。山本さんが主治医制度に移行すれば、「再診料」や「投薬」が別途かかっても負担は減りそうだ。
 長年続く医療費は年金収入の身に軽くない。「支払い金額が減るに越したことはないが…」と山本さん。しかし「病気と長く付き合っていくしかない」だけに何より病状の悪化を心配する。
 主治医制度を採用するには患者と医師の同意がいる。望まない患者は、かかった診療報酬の一割を負担する従来通りの出来高制となる。移行すべきかどうか。山本さんは「定額診療で十分な診療をしてもらえるのか。当分、様子を見ないと判断できない」と話す。

過剰抑制が狙い
 厚生労働省が主治医制度を導入したのは、医師の過剰診療やお年寄りの重複受診を抑制し、財政難の医療保険制度を適正化するのが狙いである。
 しかし、中国地方でも地域の医師会で拒否反応が広がる。福山市医師会は制度採用の見合わせを会員に呼び掛けた。定額診療は「報酬点数の頭打ち」を意味し、それが「粗診粗療」へとつながる懸念を主な理由に挙げる。
 「糖尿病で血液検査と尿検査をすれば、それだけで定額の六千円にほぼ達する」と、広島県内の男性開業医(48)。コストのかかる患者を他の医療機関に回し、利益率が高い患者を囲い込む動きが出るとも指摘し「開業医の死活問題と同時に、選別される患者が不幸」と訴える。

対応は1割未満
 現状では、患者が望んでも主治医制度に対応する医療機関は少ない。広島を除く中国地方の社会保険事務局への医療機関からの届け出は、十一日現在で計約二百件と全体の一割未満。統計処理が遅れる広島社会保険事務局は「把握していない」という。
 今月から始まった後期高齢者医療制度と、具体策の一つである主治医制度。「膨らんだ医療費を適正化し、将来世代にも保険制度を維持する」との狙いは一定には理解できる。
 しかし、患者の「安かろう悪かろう」への不安や、医師側の「死活問題」との反発は強い。今後、二年ごとに七十五歳以上の医療費総額に応じて見直される保険料が、上がり続ける懸念も消えない。
 大きな混乱を招いた以上、分かりやすい安心な制度にいち早く見直す責務が、国にはある。(上杉智己)」(全文)
 【写真説明】血糖値を記録した山本さんの自己管理ノートとインスリンの注射キット。安心できる医療制度を願う

◆中国新聞 2008/04/16 「老後は安心か 検証・後期高齢者医療制度 <上> 」
 http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200804160441.html

 「▽新たな「罰則」―滞納なら保険証没収 無年金者に広がる不安
 年金支給日に合わせ、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に加入する七十五歳以上の保険料の天引きが十五日、始まった。届かない新保険証、保険料を誤徴収した自治体…。四月の制度開始以来、混乱は続く。滞納ペナルティーへの不安も膨らむ。政府が言う老後に安心をもたらす制度設計なのか。広島県内の現場をみた。
 「万が一、保険料を払えなくなったら」。広島市中区のマンションに一人で暮らす坪井隆夫さん(79)は、新保険証を見つめた。一昨年、営んでいた小料理店を病気でたたんだ。貯金と娘の仕送りが頼り。年金収入はない。「店の経営に追われ、年金を掛けなかった」
 新制度は、年金の振り込みと同時に保険料を差し引く仕組みで滞納をなくした。一方で、坪井さんのように無年金で天引きできない高齢者には納付書での支払いを求める。
 「国に迷惑を掛けたくない。生活を切り詰めてでも保険料は払う」と気を張る坪井さん。それでも、何かトラブルがあれば生活も、保険料の支払いも立ちいかなくなる現実がある。
 一年以上滞納した場合、制度を運営する都道府県の広域連合に保険証を原則取り上げられる。従来の国民健康保険法は、保険証を取り上げる対象から七十五歳以上の滞納者を外していた。新制度ではしかし、法律から年齢規定が消えた。

請求400万円にも
 事実上の「罰則」の新設…。坪井さんの脳裏には、昨年見舞われたつらい経験がよぎる。二〇〇七年一月、急性肺炎と腹膜炎を併発し、路上で意識を失った。闘病は四カ月に及び、約四十万円の医療費を支払った。保険証がなければ四百万円を請求されていた。
 保険料の滞納者に発行される「資格証明書」。それを医療機関に提出しても、窓口で医療費をいったん全額払わなければならない。その後、保険料を納めて初めて九割の返金がある。
 坪井さんは「あの時もし、保険証がなかったら…」と険しい表情をみせた。滞納者が、医療費を一時的にも全額用意する金銭的、精神的な負担は大きい。
 広島県後期高齢者医療広域連合によると、年金受給額が月一万五千円未満などの理由で納付書払いになる人は約六万九千人。県内の被保険者約三十二万四千人の二割を占める。
 同広域連合は、一年以上の滞納者から保険証をすぐに取り上げるかどうかはまだ、決めていない。榊谷博孝業務課長は「高齢者の不利益を最小限にとどめる慎重な運用が必要」と話す。

受診にためらい
 深刻な事態を招いた先例もある。全日本民主医療機関連合会(東京)が系列医療機関を調べた結果、国民健康保険証を失って受診をためらい、亡くなったとみられる人は〇七年に全国で二十八人に上ったという。
 政府が言う「安心で公平な制度」に加わったペナルティー。福島生協病院(広島市西区)の医療ソーシャルワーカー刀山(たちやま)泰子主任は「保険証がなくなれば、倒れるまで受診を我慢する人が増えるだろう。健康不安を抱える高齢者には厳しすぎる」と批判している。(石川昌義)」(全文)
 【写真説明】新保険証を手に、厳しい表情を浮かべる坪井さん(撮影・天畠智則)

◆2008/04/17 「75歳未満重度障害者、後期高齢医療に強制加入…10道県」
 読売新聞 2008年4月17日02時07分 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080416-OYT1T00720.htm(掲載終了)

◆全国保険医団体連合会 2008/04/20 「高齢者への医療を制限する後期高齢者診療料と終末期相談支援料の撤廃を要求する」
 →「後期高齢者診療料の撤廃と不算定を求めます」(2008/04/21)
 http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/080421kourei.html

高齢者への医療を制限する後期高齢者診療料と終末期相談支援料の撤廃を要求する
2008年4月20日

全国保険医団体連合会
08-09年度第3回理事会

 4月1日より実施された「後期高齢者医療制度」をめぐっては、「説明もなく年金から保険料が天引きされた」「これまでの国保料より負担増となっている」「保険証が届かない」など全国で怒りと不安の声が巻き起こり、制度の廃止・撤回を求める世論が沸騰している。政府与党内からも抜本見直しを求める動きが起こっている。
 そもそもこの制度は、「医療費の適正化を推進するため(高齢者の医療の確保に関する法律)」に作られたものであり、75歳以上のすべての高齢者に保険料負担を課した上で、死ぬまで保険料の負担増と医療費抑制のための差別医療を強いるものであり、保団連は改めて「後期高齢者医療制度」の廃止・撤回を要求する。
 高齢者の医療費抑制のために新たに設定された診療報酬の代表的なものが、「後期高齢者診療料」と「後期高齢者終末期相談支援料」である。
  前者は、後期高齢者の病気だけでなく心と体の全体を診るなどの名目で、開業医に対し安上がりな外来医療の提供と入院を含めた高齢者の医療費全体の管理を担わせるのがねらいである。「主病は1つ」などという医学的根拠のまったくない概念を持ち出して慢性疾患の管理を1つの医療機関に限定することは、実質的なフリーアクセスの制限であり、「人頭登録制」につながる危険性をはらむものであり断じて容認できない。さらにこれを合理化するために、厚労省の担当課長が「(これまでも)A診療所で特定疾患療養管理料を算定している患者に対して、B診療所がウィルス疾患指導料を算定できない」などと、告示・通知にもなく、これまでの算定ルールとも異なる解釈を示すことは言語道断であり、直ちに撤回すべきである。
  後者は、終末期の医療費抑制の役割を医師、看護師等に押し付けるものである。終末期をどこで迎え、そこでどのような医療行為を望むかは本人と家族の意思によって決められるべきものであり、政府が意思表示を求める仕組みを作り、それを診療報酬で評価する性格の問題ではない。まさに、医療費抑制のためには手段を選ばない、人間の尊厳を踏みにじる点数設定である。
 高齢者への医療提供の制限と医療費抑制を目的とした「後期高齢者診療料」と「後期高齢者終末期相談支援料」を直ちに撤廃することを政府に求めるとともに、全国の医師、医療担当者に対しては不算定を呼びかけるものである。
合わせて、全国の会員の先生方には、患者さんとともに「後期高齢者医療制度」の廃止・撤回運動へのさらなる参加・協力をお願いしたい。
 以上」(全文)

◆2008/04/23 「転換老健の利益率、マイナス7.3%と試算」
 『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)http://news.cabrain.net/article/newsId/15733.html

 「「療養病床問題を考える国会議員の会」(会長・中山太郎自民党衆院議員)は4月23日、国会内で会合を開き、東京医科歯科大大学院の川渕孝一教授からヒアリングを行った。この中で、川渕氏は国が5月に創設する転換型の介護老人保健施設(介護療養型老健)の収支シミュレーションを示し、患者6人に対し介護職を1人配置(6:1)して、余った職員の雇用を続けた場合、総利益率が7.3%のマイナスになると説明。その上で、「赤字にしてまで転換するとは思えない」と述べ、介護療養型老健への転換政策はうまくいかないとの見通しを示した。
 川渕氏は昨年6月に中央社会保険医療協議会が示した医療経済実態調査の結果を基に、療養病床が病床全体の6割以上を占める一般病院のケースのシミュレーションを提示した。今年3月現在で、医療療養病床の総利益率は4.3%だったのに対し、介護療養型老健は、介護職員を6:1で配置(多床室)し、余った職員の人員整理をしない場合はマイナス7.3%にまで落ち込んだ。人員整理をする場合でも3.3%と、医療療養病床に比べて低かった。介護職員を4:1で配置した場合は、人員整理をしなければマイナス6.1%、人員整理をすれば1.3%となった。
 川渕氏は「介護療養型老健への転換は損」と指摘、転換は現実的ではないとの見方を示した。また、厚生労働省が3月に示した基本施設サービス費の収入見込みで、介護型療養病床が約41万円、介護療養型老健が約33万円とされたことについて、「(収入が)高い所から、低い所に変わろうと思うだろうか」と述べた。
 さらに、独立行政法人福祉医療機構が公表した療養病床の転換意向に関する調査結果にも触れ、「介護療養型から医療療養型に転換しようというところが増えている。今回の措置はうまくいかないのではないか」と語った。」(全文)

◆2008/04/24 「後期高齢者医療制度:終末期の「抑制」重要 厚労省本音」
 毎日新聞 2008年4月24日

 「後期高齢者(長寿)医療制度を担当する厚生労働省の職員が、自ら執筆した解説書の中で、死期の近づいたお年寄りの医療費が非常に高額として終末期医療を「抑制する仕組み」が重要と記していたことが分かった。23日の衆院厚生労働委員会で長妻昭議員(民主)が指摘した。制度導入の本音の一端が浮かんだ形だ。
 解説書を書いたのは高齢者医療企画室長補佐。今年2月刊行の「高齢者の医療の確保に関する法律の解説」(法研)で、75歳以上への医療費が「3日で500万円もかかるケースがある」としたうえで、「後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が1時間でも1分でも生かしてほしいといろいろ治療がされる」「家族の感情から発生した医療費をあまねく若人が負担しなければならないと、若人の負担の意欲が薄らぐ可能性がある」などと記述、医療費抑制を訴えている。
 また、補佐は今年1月に金沢市内で開かれた一般向けフォーラムで講演し、独立型の保険とした理由について「医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者が自ら自分の感覚で感じ取っていただくことにした」とも発言していた。【野倉恵】」

→土佐 和男 編著 20080200 『高齢者の医療の確保に関する法律の解説――付・高齢者の医療の確保に関する法律』,法研,461p. ISBN-10: 487954714X ISBN-13: 978-4879547149 4725 [amazon][kinokuniya] ※ d01.a06.,

◆2008/04/25 「終末期医療:「延命治療有無」への意思表示、択一書式案に患者団体反発」
 毎日新聞 2008年4月25日 東京朝刊
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080425ddm002040093000c.html
 http://mainichi.jp/select/science/news/20080425k0000m040135000c.html

 「後期高齢者(長寿)医療制度で、終末期医療におけるリビング・ウイル(生前の意思表示)作成が診療報酬化されたことについて、日本ALS協会(橋本操会長)は24日、「患者本人が意図しない意思表示を迫られる恐れがある」として見直しを求める見解を公表した。【大場あい】
 ◇複雑な思い、反映されず
 報酬化は終末期と診断された75歳以上の患者らが医療チームと話し合い、治療方針や延命治療の希望の有無などを文書や映像にまとめると、診療報酬200点(2000円)が算定される。
 見解は、終末期についての議論が不十分としたうえ、患者個人の自己決定よりも病院や家族の都合が優先されると批判。報酬化により、生前の意思表示作成が政策的に推進されると指摘している。
 また、長妻昭議員(民主)が23日の衆院厚生労働委員会で示した全日本病院協会作成の意思表示の文書を厚生労働省が例としたことにも触れ、選択を迫るものになると批判した。
 この文書は終末期と判断したことを示した上で、人工呼吸器や蘇生術などの医療を「希望する」「希望しない」の二つの選択肢から選ぶ方式を取っている。
 同省は「(希望の有無を)はい、いいえで答えなくてもいい」としているが、二者択一の書式では患者側が選ばなければならないととらえてしまう可能性がある。話し合いの経過を記載する欄もないため、患者や家族の複雑な思いが反映されなかったり、医療者からの情報提供が適切であったかを検証できない。
 日本ALS協会の川口有美子理事は「ALSなどの難病患者の場合、病名などを伝えられ精神的に弱っているときに意思表示を迫られたり、一度意思表示をすると、医師がそれ以降治療方針を相談しなくなることがあった。こういった問題が後期高齢者に拡大することを懸念している。また、例示されたような文書では、終末期医療の方針を医師と患者が十分に話し合うという本来の目的から離れたものになってしまう」と批判した。
 □ことば
 ◇リビング・ウイル
 死期が迫ったときの治療方針などについて、本人の意思を、事前に示した書面。日本尊厳死協会は「尊厳死の宣言書」と訳し「いたずらに死を引き延ばすための延命措置」などを拒否する、独自の書面を作成している。03年の厚労省調査では、リビング・ウイルの考え方に賛成する人は国民の約6割。同協会によると、米国では約3割が所持している。」

 cf. 全日本病院協会 http://www.ajha.or.jp/
 終末期医療の指針 http://www.ajha.or.jp/about_us/activity/zen/071219_1.pdf

◆2008/04/29 「後期高齢者医療制度:地方の医師会が反乱」
 毎日新聞 http://mainichi.jp/select/today/news/20080430k0000m040064000c.html

 「後期高齢者医療制度がスタートし、約1カ月。新制度の柱の一つ、「後期高齢者診療料」に反対する動きが全国20以上の府県医師会に広がっている。厚生労働省は鎮静化に躍起で、日本医師会も同診療料の導入を認めた手前、「身内」の説得に乗り出しているが、地方の反乱はやみそうにない。
 「高齢者の医療を制限する萎縮(いしゅく)医療だ」。反対派の急先鋒(せんぽう)、茨城県医師会(原中勝征会長)は後期高齢者診療料にとどまらず、新制度自体の撤廃を求めている。15日の関東甲信越医師会連合会で原中氏は、反対運動への協力を訴えた。
 新制度で厚労省は、糖尿病などの慢性病を抱える75歳以上の人を、かかりつけの「高齢者担当医」に診察させる方針を打ち出した。患者の年間治療計画を作成し、継続的に診察した担当医は月に1度、後期高齢者診療料(月6000円、患者の負担は原則600円)を算定できる。ただ、一部の検査や治療は何度しても6000円しか払わない「定額制」で、その狙いは過剰診療をなくし、12兆円に及ぶ老人医療費を抑えることにある。
 ただ、複数の地方医師会は「必要な治療をしない利益優先の医師が現れる」との危惧(きぐ)を表明。愛知、大阪、兵庫などの各府県医師会も会員に自粛や慎重な態度を求める通知を出したほか、下部組織の郡市医師会単位でも拒否が広がっている。
 地方医師会は、高齢者担当医が同診療料を算定すれば、他の医療機関が同じ患者を診ても、同診療料を請求できない点にも強く反発している。医師による患者の囲い込みが進み、患者から自由に医療機関を選ぶ権限を奪う、というわけだ。
 これに対し、厚労省は「後期高齢者診療料を算定するかしないか、患者がどこの医療機関にかかるかは自由。誤解に基づく反対だ」(保険局医療課)と説明しているが、27日の衆院山口2区補選で自民党候補が敗れた要因の一つは新制度にあるとみなされ、与党内に制度見直し論が起きていることも同省への逆風となっている。【吉田啓志】」(全文 毎日新聞 2008年4月29日 20時09分(最終更新 4月30日 9時32分))

◆2008/04/30 「後期高齢者医療:低所得層に軽減策 激変緩和の延長も視野」
 毎日新聞 http://mainichi.jp/select/today/news/20080430k0000e010046000c.html

 「政府は30日、後期高齢者医療制度について、自治体による補助がなくなって保険料が急激に上がり生活が苦しくなった人への補助など、低所得層への負担軽減策を導入する方向で検討に入った。09年3月で切れる激変緩和措置の延長も視野に入れている。2回目の保険料天引きとなる6月までに制度運営の実態調査を終え、社会保障国民会議に新たな分科会を設置するなどして具体策を詰める。
 実態調査は30日午前、福田康夫首相と舛添要一厚生労働相が会談し、実施を決めた。自治体ごとに(1)新制度の加入者がこれまで払っていた国民健康保険料(2)新たに払うことになった保険料との差額(3)市町村による保険料徴収ミスの原因−−などを調べる。
 後期高齢者医療制度の保険料に関し、政府は「7〜8割の人は下がる」と説明してきたが、住民一人一人の負担がどう変化したかは把握していない。自ら運営する国保に補助金を支出していた政令市などが都道府県単位の新制度に補助できなくなり、結果的に保険料がアップした人も少なくない。
 舛添氏は30日午前の閣議後会見で「改善策は本当に困っている人にどういう手立てをするかがポイントになる」と述べた。【吉田啓志】(全文 毎日新聞 2008年4月30日 12時00分(最終更新 4月30日 13時58分))

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 ▽2008/05

立岩 真也 20080501 「有限でもあるから控えることについて・4」,『現代思想』36-(2008-5): 資料

◆2008/05/02 「日本看護協会「後期高齢者医療制度、整備に参画し貢献したい」」 2008-5-2
 『ケアマネジメントオンライン』http://www.caremanagement.jp/news+article.storyid+2171.htm

 「4月1日から始まった後期高齢者医療制度。保険証が届かない、制度が複雑でわかりにくい、初日に名称が「長寿医療制度」と変えられるなど混乱が生じている。日本看護協会は後期高齢者医療制度創設の本質に立ち戻るべきとし、4月14日付けで声明を公表した。
 声明では新制度について、「退院から在宅での看取りまで、切れ目なく安心して必要な医療が受けられるようになるための基盤整備の第一歩」と制度のスタートであると位置づけ、今年度の診療報酬改訂での訪問看護の加算などの評価が、他職種連携による支援体制や訪問看護機能の充実を後押しするものだとしている。また、職能団体として制度の整備に参画し、「健やかに老い、安らかに眠る」ことが実現できる社会作りに貢献したいと表明した。
 訪問看護の加算については、具体的には「訪問看護基本療養費」「ターミナル療養費」が拡充され、「24時間対応体制加算」「長時間訪問看護加算」「後期高齢者終末期相談支援療養費」が新設された。」(全文)

◆2008/05/02 「『長寿医療』で診療報酬減額 長期入院打ち切り懸念」
 東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008050202008210.html

 「後期高齢者(長寿)医療制度導入に伴う改定で、脳卒中や認知症から重度障害を負った後期高齢者の入院日数が九十日を超える場合の診療報酬が、十月から減額される。リハビリや在宅介護へ移行させ、医療費を抑えることが狙いだが、患者が行き場を失う懸念も出ている。
 現在、後期高齢者が一般病棟に九十一日以上入院すると、九十日までの患者の入院基本料より低い「後期高齢者特定入院基本料」が算定され、点数が最大約三分の二に引き下げられている。加えて投薬や注射、画像診断検査などもこの中に含まれるようになるため、その費用は医療機関の負担となっている。
 ただ特例として、人工呼吸器を使用するなど特別な治療が必要な場合は、九十一日以降も九十日以前と同じ診療報酬が算定されている。脳梗塞(こうそく)など脳卒中の後遺症や、認知症による脳機能・運動機能の衰えで重度障害を負った人などが受ける治療も同様だったが、同改定で減額対象になる。このため医療機関から受け入れを拒否されたり、退院を迫られる懸念が指摘されている。
 厚生労働省は「療養病棟でリハビリを行ったり在宅などふさわしい場所に移行してほしい」との見解だ。
 特例対象者は全体で「一万人程度」(同省)だが、今回特例から外される「対象人数は把握していない」と話す。
 だが、脳卒中はがん、心臓病と並ぶ死亡者の多い疾病で、患者数は年間百三十七万人いる。認知症も増加傾向で、高齢化で対象患者も増えそうだ。こうした重度障害者の治療は長期にわたることが多く、事実上の治療中止にもなりかねない。
 脳卒中患者の会「虹友会」の新木昌昭会長(79)は「患者はいつ、また発病するかも分からない不安を抱えているのに、治療を十分に受けられないのではと、さらに不安が増す」と話している。」(全文)

◆2008/05/03 「重度障害の高齢者“退院勧告”も 後期高齢者医療制度」
 琉球新報 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131723-storytopic-1.html


 「後期高齢者(長寿)医療制度導入に伴う診療報酬改定で、重度障害のある入院患者のうち、75歳以上の脳卒中後遺症や認知症患者の診療報酬が、入院日数90日を超えると減額されることから、県内の障害者らに「回復していなくても退院を強いられるのではないか」と不安が広がっている。診療報酬は4月1日に改定され、10月から実施されるが、当事者に周知が進んでいない現状を問題視する声も上がった。
 後期高齢者の入院が90日を超えると、診療報酬の入院基本料点数が最大約3分の2に減額されるが、重度障害を負った人は減額されない特例がある。しかし今回の4月改定で重度障害者のうち、重症の意識障害を除く脳卒中の後遺症患者と認知症患者は特例から除外された。
 脳卒中などによる失語症の回復を目指して活動する県失語症友の会(通称ゆんたく会、大城栄徳会長)は結成後初の会合を2日、浦添市内で開いた。診療報酬改定について大城貴代子事務局長は「(91日以降は)自分でどうにかせよと言われても、患者は寝たきりになってしまう」と説明したが、参加者から「制度が複雑すぎてまったく理解できない」「自分たちにどう影響するのか分からない」「役所に問い合わせても保険料のことしか説明されなかった」などの声が相次いだ。大城事務局長は「制度成立までに後期高齢者の意見を聞く場はなく、成立後も説明が十分ではない。当事者にとってどんな影響があるか、想像することも難しい状況がある」と周知の進まない現状を問題視した。
 失語症の夫と共に参加した西原町の女性(66)は「3カ月で退院しなければならなくなるという話は聞いたことがあるが、診療報酬改定の内容を自治体などから説明されたことは一度もない。わたしたちは入院していなくても、いつまた倒れるか分からない中で暮らしている。大変な問題だ」と不安を訴えた。
 診療報酬改定について沖縄医療生協人事教育部の新垣潔さんは「患者に回復前でも退院を迫らざるを得ない事態は予測できる。改訂後、これまではそういった事例の情報はないが、後期高齢者診療料の届け出など、制度の選択を現場に迫っている状況自体が問題だ」と批判した。(後期高齢者医療制度取材班)」(全文)
 写真:後期高齢者医療制度について話し合う「ゆんたく会」の参加者ら=2日午後、浦添市の「サン・アビリティーズうらそえ」

◆2008/05/06 「後期高齢者医療:10道県で重度障害者に「強制」」
 毎日新聞 http://mainichi.jp/select/today/news/20080430k0000e010046000c.html

 「後期高齢者医療制度への加入が任意となっている65〜74歳の重度障害者に対し、10道県が制度加入を医療費助成継続の条件にしたため、計3418人が拒否していることが分かった。加入した場合に保険料負担が増えるためとみられる。自治体にとっては同制度加入者の方が財政負担が軽くてすむが、一部の障害者は負担増か医療費助成打ち切りかの選択を迫られている。
 毎日新聞の調べでは、10道県と加入拒否者数は▽福岡1423人▽北海道666人▽愛知318人▽青森280人▽茨城275人▽栃木180人▽山口86人▽富山70人▽山形、徳島各60人。
 障害者への医療費助成は全都道府県が実施しており、身体障害1〜2級など一定の障害があれば、都道府県と市町村が折半するなどし本人負担をなくしたり軽減したりしている。その際の自治体の負担は、後期高齢者医療制度の加入者は1割だが、国民健康保険や企業の健康保険なら65〜69歳で3割、70〜74歳で2割(08年度は1割)。このため10道県は、市町村も含めた自治体の持ち出しを減らそうと、同制度への加入を助成の条件とした。
 同制度への加入を拒否した人の多くは、障害を抱えながら職を持ち、家族を扶養している人とみられる。会社の健康保険に入って家族を養っている人の場合などは、同制度に移れば、自分以外の家族全員が個別の国民健康保険などに加入し、それぞれの保険料を支払わなければならなくなるため、負担が増えることがある。軽減措置のため被扶養者の実際の保険料負担は今年10月から。
 10道県の多くは「医療費負担と新制度の保険料負担を比べた本人の判断」として、特別な対応をしていない。厚生労働省は「助成制度は自治体独自の判断で行っているもの」として指導などはしていないが、実態の把握を進めている。【野倉恵、秋山信一】
 ▽北野誠一・東洋大教授(障害者福祉論)の話 10道県の制度運用は、自治体の財政力や方針の違いにより障害者の生活基盤が揺らぎかねないことを意味している。保険料を負担するか医療費助成を受けられなくなるリスクを取るか。選択を迫られた障害者の多くは、ぎりぎりで自立し、家族も養う人たちだろう。助成がなくなれば、受診の自粛も心配される。新制度導入に当たり、国は自治体の障害者福祉の担当と十分連携したのか。極めて疑わしい。」(全文 毎日新聞 2008年5月6日 2時30分(最終更新 5月6日 2時30分))

◆2008/05/07 「訪問看護の拡充求め要望書――日看協」
 キャリアブレイン
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15881.html

 「「病気や障害があっても自宅で療養したい」「住み慣れた地域で最期まで過ごしたい」−。こうした在宅療養への希望は多くの国民の共通の願いだとして、日本看護協会(日看協、久常節子会長)は5月7日までに、訪問看護事業の基盤整備と2009年度予算編成についての要望書をそれぞれ阿曽沼慎司厚生労働省老健局長に提出した。
 日看協によると、訪問看護は制度の創設以来、15年が経過しているものの、訪問看護ステーションの数や利用者が伸び悩んでいるという。この背景について、日看協では「同ステーションの経営基盤の弱さや整備状況の地域格差、訪問看護師確保の困難さなど、多くの課題がある」と指摘している。
 こうした問題を踏まえ、日看協では「本格的な“他死”時代の到来を前に、盤石な二十四時間対応の体制づくりに向けて、訪問看護事業の基盤整備と拡充が欠かせない」などとして、要望書を提出することにした。
 訪問看護事業の基盤整備についての要望書では、「訪問看護が必要な対象者に円滑なサービス提供を開始できる新たな体制の整備が重要」として、同年度の介護報酬改定で訪問看護の適切な評価を行うことや、目標年度を定めた訪問看護サービス整備計画を策定することなどを求めている。
 また、同年度の予算編成に対する要望書では、地域全体で二十四時間対応の訪問看護サービスの提供を可能とする仕組みの構築を要請。また、サービスには訪問看護師の確保が欠かせないとして、看護師学校養成所などと訪問看護事業所との協同による訪問看護への就労支援や、訪問看護事業所への「専門看護師」「認定看護師」の派遣など、11のモデル事業を提案している。
 モデル事業は、計画的、組織的に実施して確実に成果を挙げられる公益法人や団体などに委託。5か年計画で、単年度当たり10か所程度、事業規模は5000万円程度を上限に実施するとしている。」(全文 更新:2008/05/07 12:53)

◆2008/05/08 「終末期支援料、患者の希望「不明」でも」
 『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15925.html

 「厚生労働省は5月8日までに、終末期の後期高齢者(75歳以上)の診療方針などを患者や家族と話し合い、その内容を文書などに記録して患者・家族に提供した場合に算定できる「後期高齢者終末期相談支援料」の取り扱いについて、病状急変時の治療方針などに対する患者の希望を確認できなくても、算定を認めるとの通知を都道府県などに出した。
 後期高齢者終末期相談支援料は、今年4月の診療報酬改定に伴い新設されたもので、病状が急変したときの治療や搬送先に関する希望などについて患者や家族と話し合い、その内容を文書や映像などに記録して提供した場合に、医療機関は200点(1点は10円)を算定できる。
 同相談支援料について、厚労省は「終末期を迎えた患者が安心して療養生活を送れるようにするのが狙い」と説明しているが、患者が終末期医療に対する意思決定を迫られることで十分な医療を受けられなくなる可能性を懸念して、廃止を訴える患者団体もある。
 通知ではこれを踏まえ、病状急変時の希望が確認できず「不明」や「未定」としていても、「差し支えない」と明記。患者が意思決定できていなくても、相談支援料の算定を認める方針を示した。
 今回の措置について、厚労省では「(同相談支援料は)あくまでも医療機関による情報提供を評価するもので、もともと患者の希望を必ず確認しなければならないわけではない。今回の通知で、従来の解釈を明確にした」と説明している。」(更新:2008/05/08 21:43 全文)

◆2008/05/08 「脳卒中連携搬送、患者の行き場は?」
 『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15926.html

 「「患者の入り口の議論をしたときには、必ず出口の議論をしなければならない」―。東京都脳卒中医療連携協議会の有賀徹座長(昭和大学病院副院長)は、急性期治療の体制整備には、慢性期の受け入れ先が整っていることが必要だと強調している。しかし、東京都では2005年度までに約5200人の慢性期患者が都外に転院しており、急性期に患者が流入する搬送体制が整えば、受け入れ先の状況が厳しくなることは目に見えている。都はこのほど、来年3月からスタートする予定の脳卒中医療連携による救急搬送体制の構築に向けた議論を開始。委員からはさまざまな意見が噴出し、予定時間を超える議論が交わされた。(熊田梨恵)
 「救急病院が(脳卒中患者の受け入れを)『できる』『している』と言いたくても、後ろの部分(後方病床)の議論がある程度煮詰まっているということを心の中で信じなければ、受けるわけにはいかないが、どうなのか」。有賀座長が事務局の都に尋ねた。
 都は協議会での検討事項について、脳卒中医療連携に加われる医療機関の認定基準の策定や数の調査などの優先順位を高めに設定したが、地域連携クリティカルパスについては回復期や維持期の過程も盛り込まれるため、有賀座長は「慢性期病床など急性期の受け入れ先となる土台を固める議論も同時にすべき」と考えた。都側はこれに対し、「基盤がなければ動かないので、その土台を固めるのは順番として一つあるが、それだけで終わるのではなく、運用などがある」と答え、まずは急性期の医療連携を固めながら、発生した問題を議論していくと、協議会の検討事項を整理した。
 東京都は慢性期治療を担う療養病床の数が高齢者10万人当たり939.2床で、全都道府県中41位と少なく、1位の高知県とは約4倍の開きがある。05年度までに約5200人の患者が都外の療養病床に転院したと推計されており、都の地域ケア整備構想でも「療養病床は重要な社会資源」として必要量の確保をうたっている。
 国は医療費抑制を目的に、国内に37万床ある療養病床を12年度までに15万床にまで減らす方針(介護型12万床は全廃)を打ち出し、介護療養型老人保健施設などへの転換を勧めている。
 しかし、医療現場からは慢性期の受け入れ先となる病床が減ることへの懸念が強く、介護型を医療型に、または医療型を回復期リハビリテーション病棟に転換するなど、慢性期の病床を確保しようという動きが全国各地で見られる。
 都も保健医療計画で療養病床について、現状より約7000床多い約2万8000床を12年度末の目標値として据えた。「国の政策と逆行するような形かもしれないが、実際の地域のニーズを聞いていくとこうなった。必要な病床は確保していかなければならない」と担当者は話している。

□リハや救急体制整備などに意見噴出
 同協議会の意見交換で、安藤高朗委員(東京都医師会理事)は、回復期と維持期それぞれのリハビリテーションについて、「一般病棟や亜急性期病棟、医療保険の療養病床、廃止になる介護療養病床、転換老健など非常に幅が広い」と指摘。必要度に応じたリハビリテーションを提供する体制を地域連携クリティカルパスに盛り込んでいくべきとした。
 救急搬送体制についても意見が出た。高里良男委員(国立病院機構災害医療センター副院長)は、「二次救急の輪番体制をカレンダーにして示し、救急車の中に張って活用しているが、救急医療情報システムがリアルタイムで更新されていない」と苦言を呈し、システムの更新頻度を上げるよう要望した。救急隊が確実に脳卒中患者に対応できるように、日本臨床救急医学会が策定した「PSLS(脳卒中病院前救護)」活動の内容を整理するよう求める意見もあった。
 搬送体制の運用範囲については、二次医療圏ではなく各消防本部の活動範囲や、在宅復帰後の福祉などを考えて市区町村も考慮すべきとの主張もあった。
 連携体制に加われる二次救急医療機関を調査する際には、今回の診療報酬改定で加わった脳卒中の「地域連携診療計画管理料」の算定に名乗りを上げている医療機関を再調査すればリストアップに役立つとの意見も出た。民間非営利団体(NPO)の「医療の質に関する研究会」が作成した、医療機関の自己評価に使用する「救急評価管理スタンダード」を利用して、脳神経系疾患の項目を認定医療機関の評価に使う案も挙がった。
 協議会ではこれらの意見を参考に、7月中に開く次回会合で認定医療機関の基準の素案を事務局から示す予定だ。

□急性期は「工夫」で乗り切れるが・・・
 有賀座長はキャリアブレインの取材に対し、「急性期の体制整備は『工夫』で何とかできる。しかし、急性期後の受け入れ先の病床については、もともと数がないのだから乗り切れないことは目に見えている。各都道府県が連携体制を構築していけば、慢性期の受け入れ先がないことは全国的な問題になってくるはずだ。その時にどうするかが次の議論のポイント」と語った。都の医療療養病床を増やす政策についても、「厚生労働省や日本医師会には『現場』はないが、自治体や地区の医師会には『現場』がある。患者が困らないように考えて政策を立てるのだから、本当に現場があるところは強い」との考えを表明。今後はいかに都民の理解を求めていくかが課題になると指摘した。
 都の担当者も、「問題を11年度末に検証し、出てきた問題については協議会内で随時議論する。問題点については必ず話し合っていかなければならない」としている。
 厚生労働省が医療計画作成指針の中でうたうように、急性期の患者を「円滑に」搬送する体制を整備した場合、回復期から維持期、在宅への流れも同時に整えなければ、急性期のベッドがパンクして、患者の受け入れ先がなくなることは目に見えている。
 国は脳卒中の急性期患者の搬送体制の確立と、療養病床削減という矛盾する難題を突き付けてきた。困惑しながらも、患者のための医療を提供しようと奮闘する医療機関と自治体―。連携体制構築に向けた議論は緒に就いたばかりだ。」(全文 更新:2008/05/08 22:06)

◆2008/05/08 「後期高齢者医療制度 14日 中止求め座り込み 労組・市民団体 医療関係者 国会前などで訴え労組 派遣法改正要求と結んで」
 しんぶん赤旗 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-09/2008050905_01_0.html

 「七十五歳という年齢で差別する後期高齢者医療制度は、実施とともに国民の怒りが広がり、制度の中止・撤回を求める声が高まっています。十四日には、労働組合、市民団体、医療関係団体などが国会や厚労省前に座り込み訴える一大行動を実施します。
 後期高齢者医療制度は四月十五日に年金からの天引きが始まり、市町村に問い合わせや抗議が殺到。保険証が届かないなどの混乱も加わり国民の中で同制度への怒りが沸騰しています。
 七十五歳以上への医療差別や同制度の診療報酬「後期高齢者診療料」の算定について、全都道府県医師会の半数を超える二十七医師会が「反対」「慎重な対応」など批判的な態度を表明しています。
 同制度の廃止・撤回や見直しを求める意見書の可決数は増え続けており、中央社会保障推進協議会(中央社保協)の集計では五百七十六(一日現在)となっています。
 新聞各紙の社説には「医療の助けをもっとも必要とする人たちを年齢で区切っていいのか、という根源的な問題も横たわる」(秋田魁新報、四月十六日付)という論調が目立ち始めています。
 「もう中止・撤回しかない」の声は強まる一方です。
 十四日には、中央社保協が午前十一時から国会前で座り込みを実施します。
 また、全日本年金者組合が並行して同時刻から厚生労働省前で千人規模の座り込み行動をします。
 労働法制中央連絡会などは同日午前十時から、「労働者派遣法の抜本改正と後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める5・14国会座り込み行動」を実施します。
 各団体、各地方からの参加者は、地元選出の全議員に要請をすることにしています。」

◆2008/05/09 「高齢者いじめの制度は許せない」
 『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15939.html

 「高齢者いじめの制度は許せない」
 【特集・第10回】 後期高齢者医療制度 茨城県医師会会長・原中勝征さん
 75歳以上の高齢者を「後期高齢者」と呼び、健康保険や国民健康保険から追い出して強制加入させ、保険料を年金から天引きするだけでなく、保険料を払えなければ保険証を取り上げる―。厚生労働省は「長寿医療制度」という呼称を使用したポスターやチラシなどで「後期高齢者医療制度」への理解を求めたが、保険証の未着や保険料の天引きミスなど、混乱は続いた。制度の廃止を求める動きも活発化している。制度開始前、茨城県医師会は都道府県レベルの医師会では初めて同制度の廃止を求める声明を発表。「みなさん、こんな高齢者いじめの制度が許せますか!」と題するポスターを作成し、反対の署名活動を展開している。後期高齢者医療制度をめぐる問題について、同医師会会長の原中勝征さんに話を聞いた。(新井裕充)

 ―制度がスタートする前の3月下旬の理事会で、反対する方針を決定したそうですね。
 全会一致で決めました。主治医が受け取ることができる「後期高齢者診療料」(患者一人につき月6000円)の届け出をしないで、従来通り出来高払いで算定するように会員医師に呼び掛けています。また、「後期高齢者診療料」の届け出条件である研修会を開催していません。厚労省は慌てて「介護保険の主治医研修会に出席した場合でも主治医として認める」とか、「研修を受講したという自己申告でも認める」などと言いだしました。おかしな話です。
 ―県民からの反対署名も集まっているようですね。
 4月下旬、新聞の折り込み広告で制度の廃止に関する署名を求めました。ものすごい反響で、毎日のようにファクスなどが届いています。そのほとんどは生活苦で、例えば、「高級官僚や政治家に不正な使い方をされて生活が苦しいです」「余生を寂しく過ごしています」「官僚を野放しにすることは国民いじめです」といった内容です。
 ―「長寿」ではなく、「末期」高齢者医療制度と言う人もいます。
 終末期の診療方針について、主治医が患者の家族と話し合って署名をさせれば、その主治医に手数料が入るなんて、そんなばかな制度がありますか。食う物も食えずに戦時中を生き抜いた、戦後の高度経済成長を支えたご老人を“うば捨て山”に追いやるような制度は断じて許せません。老人を大切にしない国の姿勢が問われていると思います。
 ―なぜ、このような制度をつくったのでしょうか。
 「新たな財源を生み出す」「老人医療費を抑制する」という二つの目的が考えられます。医療費の財源が不足していますから、現在の国民皆保険制度を守るためには新しい財源を生み出す制度が必要です。しかし、目的税(消費税)は財務省の管轄になりますから、集めたお金を財務省がハンドリングしてしまう。これは厚労省にとって好ましくないので、自分たちで使えるお金を集めることができる制度として、後期高齢者医療制度をつくったのです。
 ―「老人医療費を抑制する」という目的ですが、老人医療費は伸びているのでしょうか。
 老人医療費が伸びているとは必ずしも言い切れません。東北大の病院管理学の教授は、医療費の伸びの一番大きい部分が「高額医療費」であるとして、医学や科学の進歩によって高度な治療方法や高額な薬剤が開発されたことを医療費増加の主な原因に挙げています。厚労省の医療費の推計もでたらめです。1995年の予測では、医療費が2025年に141兆円になると言っていました。しかし、2005年に出した予測では69兆円に下方修正しています。せめて10兆円ぐらいの変更ならいいですが、半分以下になるというのはおかしいでしょう。でたらめな数字を出して、国民に「大変だ」という意識を持たせて洗脳しようというやり方はいけません。

□75歳以上の老人医療費を無料に
 ―テレビなどで原中会長が発言している内容に対して、厚労省は反発しているそうですね。
 (後期高齢者医療制度を設計した)保険局医療課の原徳壽課長は、わたしの発言が「間違っている」と反論しているようです。「フリーアクセス(自由な受診)は制限していません。好きな病院に自由に行くことができます」と言う。それなら、どうしてこんな制度をつくったのでしょう。なぜ、主治医の報酬を高くしたのでしょうか。(主治医である)内科の先生が耳鼻科や眼科の先生に患者を紹介したとき、耳鼻科や眼科の診療報酬の方が安くなっています。自分が主治医の報酬をもらっていて、紹介先の先生が安い診療報酬になることを承知で、「当院の患者さんをお願いします」と言えますか。つまり、後期高齢者診療料はフリーアクセスを阻止するための手段なのです。
 ―しかし、主治医が高齢者の心身の状態を総合的に把握して、重複投薬や重複検査を減らすという厚労省の考えにも理解できる部分があります。
 確かに、患者の健康状態などを把握した上で、適切なアドバイスをする医師は必要です。老人になると、足や目が悪くなり、病気も増えます。「老老介護」の世帯や独居老人もいます。そこで、近所の診療所の先生が医師の立場から面倒を見てあげる必要があります。これは、「かかりつけ医」という呼称で日本医師会も主張しています。そこで、厚労省は「日医も認めているじゃないか」と言いますが、日医が主張している「かかりつけ医」と厚労省の「主治医」は違います。日医の言う「かかりつけ医」は、医師の社会的な奉仕を広げた内容であって、ほかの病院に行くことを阻止する制度ではありません。
 ―厚労省は「主治医は一人」とか、「主病(主な病気)は一つ」と言っていますから、やはりフリーアクセスを制限しますね。
 老人になるといろいろな病気を持っていますが、「主な病気は一つだけ」ということが、この制度の根本にあります。ですから、主病を扱った医師だけが高い診察料を受け取ることができて、副病を扱った医師は安くなるようにしたのです。内科医は心臓や血圧は診ることができますが、目の病気や前立腺肥大、脳出血後のリハビリ、外科手術が必要な胃がんなどは診れませんから、専門の医師に頼む必要があります。しかし、これらのうちどれが主病であるか、医学的に一つに決められるのでしょうか。「主治医は一人」「主病は一つ」という言い方をすることは、「高齢者を総合的に診る」という考えとは違います。高齢者を総合的に診るための制度であるなら、高齢者が気軽に何度も病院に行けるような制度にすべきです。わたしは、75歳以上の老人医療費は無料にすべきだと考えています。

□後期高齢者医療制度は廃止すべき
 ―75歳以上の老人医療費を無料にするとして、財源はどうしましょうか。
 国家予算の一般会計83兆円に対し、各省庁が資金の使い道を握る特別会計は240兆円あるといわれています。この240兆円の中の1兆円を回せばいい。後期高齢者の医療保険料は全部で約8100億円、やがて1兆2000万円にまで増えるといわれていますが、240兆円の中から1兆円ぐらい出せないわけないでしょう。特別会計を一般会計に回して国民のために使わなければ、どんなに間接税を上げようと国民は幸せになれません。後期高齢者の保険料なんて、必要ないのです。国の無駄遣いや利権に染まった国家予算を減らせばいいのです。
 ―年金記録の問題も解決していないのに、お年寄りの少ない年金から天引きする。批判が噴出するのは当然ですね。
 後期高齢者医療制度が社会保障制度であるなら、年金の少ない高齢者に対して保険料を免除するなど、何らかのセーフティーネットが必要です。憲法25条(生存権)により、国は国民の最低限度の生活を保障する義務がありますから、生活が苦しいお年寄りを保護する責任があるはずです。それなのに、戦後の荒廃から今日の日本をつくったご老人の年金から税金を取って、介護保険料を取って、さらに後期高齢者保険料を取る。これは、国の老人に対する基本的な姿勢が間違っているとしか言いようがありません。やはり、後期高齢者医療制度はいったん廃止して、改めてお金の出し方を国民全体で考えるべきでしょう。厚労省が本当の数字を出した上で、「医療費が足りませんから、この方法しかありません」ときちんと提案すれば、わたしたちも協力します。しかし、現在のままでは、厚労省はますます国民の信頼を失うでしょう。こんな高齢者いじめの制度は許せません。」(全文)

◆2008/05/09 「高齢者診療料、72医師会で不算定」
 『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15940.html

 「日本医師会はこのほど、都道府県11か所と郡市区61か所の合わせて72か所の医師会が、「後期高齢者診療料」を算定しないよう会員に呼び掛けていることを明らかにした。また、算定について慎重な対応を求めているのは都道府県14か所と郡市区36か所の医師会で、都道府県22か所と郡市区36か所の医師会では「対応を検討中か、対応しない」という。
 日医が各医師会を対象にアンケートを実施し、同診療料への対応を聞いた。アンケートは現在、回収中で、5月8日時点の状況をまとめた。
 後期高齢者診療料は、後期高齢者(長寿)医療制度の創設に合わせて4月の診療報酬改定を機に導入された。「主病」である糖尿病などの慢性疾患を診る診療所の「担当医」が、患者の同意を得た計画に基づいて必要な指導や診療を行った場合に、毎月一律600点(1点は10円)を算定する仕組み。
 処置や検査などの費用が包括されるため、「必要な処置を受けられなくなる」といった懸念もある。
 日医の竹嶋康弘副会長は8日の定例の記者会見で、同診療料について私見と前置きした上で、「あまりにもがたがたすると、国民は混乱するばかりだ。見据えるところは見据えるということもないといけない」と強調。その上で、各医師会の意向を踏まえながら、同診療料に対する日医としての見解を近くまとめる方針を示した。」(全文)

◆2008/05/09 「<終末期支援料>患者の希望確認なしでの算定認める 厚労省」
 5月9日18時3分配信 毎日新聞

 「厚生労働省は9日の民主党厚労部門会議で、終末期の75歳以上の人の診療方針を患者らと話し合い、内容を文書などに記録した場合に算定できる診療報酬「後期高齢者終末期相談支援料」(2000円)について、病状急変時の診療方針などで患者の希望を確認できなくても、算定を認めると都道府県などに通知したことを明らかにした。
 支援料は、08年度の診療報酬改定で新設された。終末期を迎えた75歳以上の人の病状急変に備え、あらかじめ診療方針を患者や家族と話し合い、文書や映像で記録した場合に算定できる。しかし、野党は「延命治療の中止など、患者に意思決定を無理強いする」と批判しており、厚労省は自治体などへの通知文に、患者の希望を「不明」や「未定」としていても、差し支えないと明記した。【吉田啓志】」(全文)

◆2008/05/09 「後期高齢者の終末医療 「延命やめたら医師に〈お手当〉2千円」 団塊世代はやがて47万人が斬り捨てられる」
 『週刊ポスト』2008年5月9/16日号 http://www.zassi.net/mag_index.php?id=51

天田 城介 2008/05/09 「老い衰えゆくことをめぐる人びとの実践とその歴史――私たちが自らを守らんがために現われてしまう皮肉かつ危うい事態について」
 上野 千鶴子・大熊 由紀子・大沢 真理・神野 直彦・副田 義也編『ケアすること』(『ケア――その思想と実践(全6巻)第2巻),岩波書店.**-**.
 http://www.josukeamada.com/bk/bp17.html

◆2008/05/09 全国保険医団体連合会政策部作成資料

○厚生労働省は「長寿を国民皆が喜ぶことができる仕組み」「ご安心下さい。今までと同じ医療を受けることができます」と言うが・・・

○「今までと同じ医療を受けることができる」なら、わざわざ新しい制度をつくる必要はありません。

○本当のところは後期高齢者に、保険料を上げ続けるか、医療サ−ビスを削るか、あるいはその両方か―究極の選択を迫る制度。
 *これまでの老人保健法第1条「目的」にあった「健康の保持」が削られ代わりに「高齢者の医療の確保に関する法律」では、「医療費の適正化の推進」の文言が加わる。

○目標は、後期高齢者を含む国民全体の医療を“粗悪化”し、国の医療費支出を削ること。

 後期高齢者医療制度−6つの焦点
1.保険料が上がり続ける仕組み。だから、
2.医療サービスの制限に向かわざるをえない
 ○入院ベッドの削減
 ○終末期医療の抑制
 ○月額定額で患者を管理する医療の導入
3.医療は保険料負担と引き替え
 ○本人の同意もないまま年金から天引き 
 ○保険料を滞納すれば保険証取り上げ
 ○医療が良くなれば保険料が増える
4.65〜74歳の障害者への加入強制
 ○任意加入と言いながら、加入強制
5.負担軽減にならない新しい窓口負担上限制
 ○欠陥だらけの合算制
6.公費負担だけが軽減される財源の仕組み

後期高齢者医療制度の問題点

Q1 1人ひとりが負担する保険料は上がり続けるのですか?
A1 この制度は、保険料が医療費の動きにリンクして変動する仕組みになっています。

1−厚生労働省は、基礎年金(月額66,000円)だけの場合、月額2,800円→1,000円。平均的な厚生年金(月額167,000円)の場合、月額7,700円→5,800円と試算していますが、制度開始時の保険料水準で比較するなら、国保保険料自体が元々高いですから、後期高齢者医療の保険料が下がるケースもあります。
 しかし、例えば神戸市国保では、基礎年金の受給者(単身世帯・寡婦控除26万円・社会保険料控除8万円)で月額1,448円→1,100円と350円下がりますが、平均的な厚生年金の受給者では月額4,837円→6,116円へと逆に1,300円も上がります。低所得者でも保険料が上がる具体的な事例です。
2−保険料が上がるのか下がるのかだけを見ていては、この制度の本質的な欠陥を明らかにしたことにはなりません。
 この制度は、高齢者数と医療費の動きにリンクして保険料が変動する仕組みになっています。何もしなければ、保険料は2年ごとの改定時に、高齢化の進行や医療費増に合わせて上がることになります。
3−県内の後期高齢者の医療給付費が増えると見込まれれば、その伸び率に比例して保険料は上がります。
 医療給付費の増加は、県内の後期高齢者の人口増加、インフルエンザ等の感染症の流行、新たな医療技術の健康保険導入、などによっておきます。
 介護保険の保険料はこの8年間で1.4倍も上がりましたが、この二の舞になりかねません(介護保険料月額:2000年2,911円→2008年4,090円)。
4−国庫負担は医療給付費の見込額に対する定率負担で、見込み以上に給付が伸びた場合の上乗せ補助はありません。
 広域連合は県内の後期高齢者の医療給付費見込みを計算し、それをもとに保険料を算出します。2008年度は医療給付費の10%、1人当たり平均保険料は年額72,000円です。定率国庫負担は医療給付見込みの約25%です。
 インフルエンザが大流行し、見込んだ医療給付費を上回って伸びても、定率国庫負担は増やしません。広域連合が都道府県の「財政安定化基金」から借り入れを行って収支の帳尻をあわせます。ところが、この借り入れは、必ず保険料収入から返済しなくてはいけません。返済分を上乗せした保険料はさらに上がることになります。
5−厚生労働省は、2015年度の保険料は医療給付費の10.8%、年額85,000円と試算しています。7年後には年額13,000円の増加です。
 東京都広域連合が示した2012年度の保険料試算では、2008年度に比べ1.29倍に上がります。
 高齢化のピークを迎える2025年度の保険料は、国が用いた計算式で試算すると、医療給付費の13.2%、年額160,000円まで上がります。
6−2008年度は9都道府県が補助金を広域連合へ投入しましたが、自治体の努力に任せるだけでは、今後、自治体間の財政力格差が、そのまま医療格差や保険料格差になって持ち込まれることになります。

Q2 保険が利く医療サービスは制限されるのですか?
A2 医療サービスの制限に向かわざるを得ません!

1−医療費増にあわせて保険料が上がる仕組みになっていても、それにあわせて2年ごとの改定で保険料を上げ続けることは、後期高齢者の所得実態からみて限界があります(75歳以上の高齢者は、年金が主な収入。75歳以上高齢者が受給している年金額は、国の調査によると年間で80万円以下の人が、受給なしの人も含めて、45%と半数近くにのぼる)。
 保険料を上げることが困難になれば、医療サービスを抑えることに向かわざるを得ません。そうなれば、医療サービスが次第にレベルダウンし、平均寿命の伸びにもストップがかかるおそれがあります。後期高齢者の医療サービスに事実上のキャップがかぶさることになります。
2−厚生労働省が「後期高齢者にふさわしい医療」として示した中に、「安らかな終末期を迎えるための医療」があります。終末期医療費が年間に9,000億円かかると試算し、「それを抑制する仕組みを検討する」としています。長期入院とその延長線上にある終末期の医療サービスを制限する方向です。
3−制度創設に対応して、定額制の高齢者診療料が新設されました。将来は一人幾らという定額制にすることを企図しています。その定額の中で何でも治療せよと言うことにはムリがあります。また、長期入院より「追い出し」を勧める退院調整加算も新設されました。
4−あわせて、「医療費適正化計画」が作られ、自治体が療養病床の削減や高齢者医療費削減のための施策を強めるよう義務づけられています。
5−加えて、保険料抑制の切り札としてこれから実施されそうなのが、県内の医療機関に支払う診療報酬(保険が利く医療の公定価格)の削減です。その県だけは診療報酬単価を1点10円から8円に削減する、半年以上入院している後期高齢者の診療報酬を3割カットする、などによって医療費(ひいては保険料)が削減できる仕組みになっています。
 第1期の「医療費適正化計画」が終了した翌年の2013年度に、47都道府県を実績評価の上、高齢者医療費の高い特定の都道府県だけにこうした特例診療報酬を認めることが可能となっています。このような事が実施されれば、医療機関経営は大打撃を被り、地域の医療サービス水準はさらに低下します。

Q3 入院中の患者をそのまま「追い出し」ていくのですか?
A3 入院できるベッドが削られています!

1−厚生労働省は、入院日数を抑え、入院できるベッドを削ることをすすめています。
2−慢性的な症状で長期に入院する療養病床は、37万床を20〜22万床に削ります。精神病床も7万床程度削るとしています。
3−病院での終末期の医療を抑えて、自宅・居住系施設での終末期医療・看取りを増やす計画です(厚生労働省は、在宅終末期の割合を4割にして、医療給付費を2015年度で2000億円削減、2025年度で5000億円削減と試算)。
4−高齢者の入院が多い療養病床は、入院料が減額されました。後期高齢者のみに、入院後に症状が落ち着いたらすぐに退院計画をつくると報酬が出ます。
5−入院から在宅までの医療の流れは必要ですが、入院医療費をどう削るかと
いう議論から始め、在宅医療の体制づくにかかる費用の議論はほとんどありません。
6−独居や高齢者のみの世帯、働く家族が増えている中、在宅医療や介護サービスがあっても、介護してくれる家族がいなければ成り立たないのが在宅生活です。
 居住系施設は、特養ホーム待機者数は全国で30万人とも推計され、有料老人ホームもある程度費用が負担できる人でなければ利用は難しいです。施設をたらい回しされる傾向がますます強まります。
7−厚生労働省は、病院から在宅、そして介護という「一方通行の流れ」を想定していますが、高齢者個々のケースにより、入院が必要な場合、在宅がよい場合があり、病院でも在宅でも、どちらでも対応できることが必要です。

Q4 不安なく終末期の医療が受けられますか?
A4 厚生労働省は「抑制する仕組みを検討する」と説明しています!

1−2008年診療報酬改定では、後期高齢者のみを対象に、脳卒中や認知症から重度障害を負った患者の入院日数が90日を超えると診療報酬が最大約3分の2に減額されます。
 脳卒中や認知症は増加傾向で、後期高齢者の対象患者も増えてきます。治療は長期にわたることが多く、事実上の治療中止にもなりかねません。
2−終末期の医療内容について医師・看護師(及び歯科医師・薬剤師)と患者との合意内容を文書などに記録すると、退院時もしくは死亡時に1回のみ2千円の報酬(後期高齢者終末期相談支援料)が医師・看護師等にそれぞれ支払われます。
 自分の意思で延命治療をどうするのか決めておくことは悪くありませんが、文書を作成すると報酬が支払われるシステムは、延命治療を制限することを暗に求められているようです。高齢者がおかれている心理状態や経済的な状況からすると、意思表示や治療制限・中止をすることを強制されることにつながりかねません。
3−終末期医療の定義やそのあり方についての社会的合意はなされていません。しかし厚生労働省は、75歳以上の高齢者と65〜74歳で一定の障害をもった人のみを対象に、医療費抑制のために経済的誘導をはかろうとしています。

Q5 高齢者を総合的に診る医療は実現しますか?
A5 総合的に診ることがゆがめられてしまいます!

1−複数の病気を同時にもつ高齢者の生活を支えるために、主治医を位置づけ、総合的な診療を行うという方向性自体は重要です。
2−「後期高齢者診療料」(担当医)では、高齢者を総合的に診るという考え方がゆがめられ、後期高齢者の医療を生涯にわたり「担当医に管理」させることになってしまいます。
  いわゆるドクターショッピング(紹介状なしの他医受診)、投薬や検査の重複などの「ムダ」をなくすには、患者さんの理解を得ながら医療連携をもっと強化することが必要です。
3−総合的に診ることを義務づけていますが、医学管理や基本的な検査・処置・画像診断(腹部エコー等)については、月額6,000円が上限とされたため、必要な治療を何回行っても報酬は変わりません。
 「担当医」が手厚い治療をしたいと思っても、医療機関の持ち出しになってしまいます。高齢者はとくにきめ細やかな対応が必要ですが、その医療内容が乏しくならざるを得ません。
4−1人の「担当医」に、該当患者の「主病は一つ」とし、他院での指導や検査状況などを含む患者情報を一元化し、継続的・総合的に管理をさせることで、なるべく複数の医療機関に受診させないようにしようとしています。 
○栃木県医師会
「1人の後期高齢者については主病は一つとし、1人の患者を1つの医療機関が診るという考え方に基づいた登録医制度につながる」
  ○秋田県医師会
「一つの医療機関を『主治医』と決めるのは現実的に難しく、現状に即していない」
5−診療報酬の改定は2年ごとに予定されている診療報酬改定を通じて、月額上限制となる医療行為を拡大し、報酬も減額していくならば、必要な医療はますます制限されることになります。
6−フリーアクセスの制限も、以下の厚生労働省幹部の発言にあるように、今回は先送りしただけです。「担当医」の登録制度が再燃することが懸念されます。
○「病院に行くことを制限することは、今すぐやる方策ではない」(07.7.14 日本医事新報)
 ○「アクセスを自らセーブしてもらうことを考えていたが、そこへは行きつけなかっ
た 」(08.3.17メディファクス)
○「今すぐに登録医制度を導入するのは、時期として早い」(07.10.15国保実務)

Q6 年金からの保険料天引きは、利便性を考えてのこと?
A6 年金からの天引きで、最低生活費が強制的に引き下げられる!

1−天引きについても厚生労働省は、これまで窓口で払っていた手間を省くものであり、利便性が高まると言っていますが、これは生活実態を無視した詭弁です。多くの自治体は、窓口でこれまで、急な出費などで生活が苦しくなった人に対する納付相談に応じ、その時に払えるだけの保険料を払ってもらったり、分割納付に応じたりして急場を凌いでもらってきました。広域連合による年金天引きは、このきめ細かな対応をできなくしてしまいました。
2−基礎年金からさえも保険料を課すこと自体が、生計費非課税の原則に抵触する問題です。それを天引きすることは、手法としても、最低生活費を強制的に引き下げるもので、生存権否定にも等しいものです。

Q7 保険証1枚で医療を受けられると言いますが?
A7 保険証が取り上げられる制度に変わりました!
1−保険証1枚で医療は受けられますが、保険料が払えなくなると、保険証が取り上げられます。今年の3月末までは保険証を取り上げていませんでしたが、これからは、医療機関の窓口で、その日にかかった治療代を全額支払うことになってしまいます。
2−1人ひとりに保険証がある代わりに、後期高齢者のみに、扶養家族が認められなくなりました。したがって、後期高齢者は全員、亡くなるまで年金から保険料を天引きされるのです。
3−高齢者の生活からみて、窓口一部負担が支払えずに保険証はあっても、受診できない人が増えています。窓口負担の軽減が必要です。
 8月からは、窓口負担がこれまでの1割から3割に上がるケースが出てきます(夫が後期高齢者医療制度、妻が国民健康保険にそれぞれ加入している場合、7月までは前年度の世帯年収で判定した負担割合だが、8月からは夫と妻でそれぞれ年収の判定が実施され、新たな負担割合が適用される)。
 また、2009年4月からの70〜74歳の「2割負担」は、受診を控えさせ、75歳以上の健康状態を悪化させ、より医療費増につながります。

Q8 65〜74歳の重度障害者は、任意の加入ですね?
A8 事実上の加入強制です!

1−後期高齢者医療制度への加入が任意となっている65〜74歳の一定の障害を持つ人に対し、10道府県が制度加入を医療費(窓口負担)助成継続の条件にしました。助成が受けられなくなるリスクを回避するには、制度加入の選択肢しかありません。事実上の加入強制です。
2−こうした制度運用は、暮らしている自治体の財政力や方針の違いにより、経済的に困窮している人が多い障害者の生活基盤が揺らぎかねないことを意味します。厚生労働省が、都道府県への指導などをおこなわずに容認していることは、この制度が抱えている欠陥を示しています。

Q9 医療と介護の合算制度で負担が軽減されますか?
A9 制度を改めないと本当の軽減にはなりません!

1−「高額医療・高額介護合算制度」は、夫が後期高齢者医療制度、妻が国民健康保険に加入しているなど、家族でも加入している保険が異なると合算することができません。保険制度が違っても家族単位で合算できるようにすべきです。
2−75歳の誕生日を迎える月は、誕生日の前後では加入する医療保険が異なるため、合算することができません。本人単位で合算できるようにすべきです。
3−年間の負担上限の設定ではその間の経済的負担が大変です。負担額が確定するときは、1月単位の負担上限とすべきです。
4−加入者が請求する方式ではなく、保険者の職権による支給にすべきです。

Q10 医療費財源をどう捻出しますか?
A10 公費の投入で財源を安定化できます!

1−医療給付費に対する定率国庫負担25%を増やし、弾力的に公費投入ができる仕組みにすべきです。見込んだ医療費が上回って伸びたときは、国民健康保険のように超過分については公費負担で精算し、借入金を保険料に上乗せして返済する仕組みは廃止すべきです。
2−保険料の算出は、負担能力に応じた保険料の割合を高めて応能割の保険料を中心としたものに変更するともに、保険料の報酬上限を引き上げる(或いは撤廃する)ことで財源を捻出することができます。高所得者には応分の保険料を負担してもらい、低所得者の保険料は減免を拡充すべきです。
3−「現役並み所得者」には公費負担がないので、公費の割合は46%に下がり、一方、「支援金」の割合が44%に増えます。この仕組みを改めるべきです。
4−国民医療費に占める事業主負担を1990〜95年の水準に戻すことで財源を捻出することができます(1990〜1995年度:25%前後→2005年度20.2%)。
5−都道府県単位の収支決算ではなく、全国的な財政調整の仕組みを導入して、ここに大幅な公費の投入を行うべきです。仕組みとしては従前の老人保健法のもとでも行われていたことですから、実施できるはずです。
6−“道路よりも医療”を優先し、道路特定財源を一般財源化した上で、公費負担に回すことで財源が捻出できます。たばこ税をヨーロッパ並みに引き上げることも検討が必要です。

◆2008/05/10 「後期高齢者医療制度の廃止訴える(11日)」
 北陸朝日放送 http://www.hab.co.jp/headline/news0000001158.html

 「4月から始まった後期高齢者医療制度の廃止を訴える抗議活動が11日、金沢市内で行われました。抗議活動は制度の問題点を若い人にも知ってもらい、廃止を訴えようと連合石川のOBでつくる県退職者連合などが行いました。後期高齢者医療制度は75歳以上の人全員に保険料の支払いを義務付け、年金から天引きするほか、医療機関の診療報酬に「定額制」を導入したため十分な医療を受けられないという批判も出ています。退職者連合の荒島勝夫さんは「若い人も30年後、40年後には高齢者になる。医療費がかかるからとじゃま者扱いされるような社会でいいのか」と制度の廃止を訴えました。 」(全文 14:17)

◆2008/05/12 「『終末期相談料』廃止も 後期高齢者医療 政府延命抑制批判受け」
 『東京新聞』2008年5月12日 朝刊

 「政府は十一日、七十五歳以上が加入する後期高齢者(長寿)医療制度の診療報酬体系の一つである「後期高齢者終末期相談支援料」について、廃止を含めて見直す方向で検討を始めた。患者団体などが「延命治療の中止を迫られ、治療を受けられなくなる」と強く反発したことに加え、同支援料が制度全体への批判の一因となっているとして、見直しが避けられないと判断した。
 同支援料は、医師や看護師らが、回復の見込みが薄いと判断した患者と、▽現在の病状と予想される病状の変化▽介護などの生活支援▽病状急変時の治療の希望内容▽救急搬送の希望の有無−などについて話し合い、医師らがその内容を文書や映像などにまとめた場合、診療報酬二千円を支払う制度。厚生労働省は患者団体などの批判を受け、四月二十八日付で都道府県などに、病状急変時の治療方針などについて患者の希望が「不明」「未定」でも診療報酬の算定を認めると通知し、延命治療に関する意思決定を強要することはないと強調していた。
 しかし、野党に加え、与党内からも「医療費抑制のために支援料を導入したと思われている。お年寄りに早く死ねと言うことにつながる」との懸念が強まったため、廃止も含めて見直すことにした。」(全文)

◆2008/05/12 「「終末期相談料」廃止も 後期高齢者医療政府延命抑制批判受け」
 東京新聞 2008年5月12日 朝刊 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008051202010579.html

 「政府は十一日、七十五歳以上が加入する後期高齢者(長寿)医療制度の診療報酬体系の一つである「後期高齢者終末期相談支援料」について、廃止を含めて見直す方向で検討を始めた。患者団体などが「延命治療の中止を迫られ、治療を受けられなくなる」と強く反発したことに加え、同支援料が制度全体への批判の一因となっているとして、見直しが避けられないと判断した。
 同支援料は、医師や看護師らが、回復の見込みが薄いと判断した患者と、▽現在の病状と予想される病状の変化▽介護などの生活支援▽病状急変時の治療の希望内容▽救急搬送の希望の有無−などについて話し合い、医師らがその内容を文書や映像などにまとめた場合、診療報酬二千円を支払う制度。厚生労働省は患者団体などの批判を受け、四月二十八日付で都道府県などに、病状急変時の治療方針などについて患者の希望が「不明」「未定」でも診療報酬の算定を認めると通知し、延命治療に関する意思決定を強要することはないと強調していた。
 しかし、野党に加え、与党内からも「医療費抑制のために支援料を導入したと思われている。お年寄りに早く死ねと言うことにつながる」との懸念が強まったため、廃止も含めて見直すことにした。」(全文)

◆2008/05/12 「後期高齢者医療の保険料、与党が免除延長を検討」
 日経新聞 http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080512AT3S1100O11052008.html

 「75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で与党は、今年9月末までとなっている一部の高齢者の保険料の免除措置を10月以降も延長する検討に入った。今年度いっぱいもしくは来年度中まで延長する案が出ている。ただ、延長に伴う財源も必要で、社会保障費の伸びを抑制する政府目標との調整も課題になりそうだ。
 後期高齢者医療制度の導入前の今年3月末まで、会社員の子供に扶養されていた200万人が対象。こうした人は今年9月までは本来払うべき保険料が免除されている。与党はこの免除措置を10月以降も延長する方向で検討を進める。」(全文 12日 07:03)

◆2008/05/13 「「後期高齢者医療制度中止を」 名古屋で署名活動」
 中日新聞 夕刊 http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008051302010970.html

 「愛知県社会保障推進協議会は13日、名古屋市昭和区八事本町の興正寺前で、後期高齢者(長寿)医療制度の中止と撤回を求める署名活動をした。14日に、この日と最近集まった約3000人分以上の署名を国会へ提出するとともに、県選出国会議員に要請書を手渡す。
 加藤瑠美子事務局長ら約15人が街頭に立ち「高齢者に冷たい制度。与党内から見直し論も出ているが、小手先のことでは解決しない」などと呼び掛けた。興正寺は縁日で屋台も出るなど、高齢者らの参詣でにぎわい、次々と署名に応じた。
 春日井市から来たという男性(85)は「医者にもかかれんようになる。むちゃくちゃで、このままだと早く死ねということ」と話した。署名活動は昨年末から月1回ペースで実施。既に21万人分を提出しており、毎回、高齢者の反応も敏感になる一方という。」(全文)
 写真:後期高齢者医療制度の中止、撤回を求める署名をするお年寄り=13日午前、名古屋市昭和区八事本町で

◆2008/05/14 「新医療制度に反対し厚労省前で抗議」
 テレビユー福島 http://tuf.co.jp/i/news/mori/Auto/20080514122729.htm

 「厚生労働省前では、雨の中、およそ500人のお年寄りたちが後期高齢者医療制度の廃止を訴えて、抗議行動を行っています。
 午後には、高齢者の尊厳を奪う医療差別だとして、制度の中止・撤回を求める4万人分の請願書を厚生労働省に提出するということです。」(14日11:32)

◆2008/05/14 「ついに高齢者がアクション」『どさんこワイド180』
 札幌テレビ http://www.stv.ne.jp/news/streamingWM/item/20080514190323/index.html

 「批判が高まっている後期高齢者医療制度ー。ついに高齢者が行動を起こしました。札幌に住む6人が制度の廃止を求めて、道に不服審査を請求しました。
 道庁を訪れた高齢者たちー。後期高齢者医療制度に不服があるとして、制度の廃止を求めました。
 (請求者)「年金からの天引きに怒りを感じる。適正な審査をお願いしたい」
 審査を請求したのは、札幌に住む6人の高齢者です。保険料の年金からの天引きや75歳以上を医療で差別するのは、憲法に反するなどと訴えました。
 (会見)「速やかにこの制度を、廃止に追い込むことを呼びかけます」
 不服を申し立てた1人、本間コトさん80歳です。本間さんは、夫と障害を持つ息子など7人で暮らしています。2人の年金が、家計の大きな支えとなっています。新しい制度によって、保険料が上がったと怒りをあらわにします。
 (本間さん)「これじゃ食っていけない」
 本間さんは、輸血が原因で肝炎を患い、夫の國男さんもがんやアスベストによる病気を 患っています。診療代は、月に数万円かかるといいます。
 (本間さん)「自分たちがいなければ国がいいんであれば私たちの姿を見てくださいといって国会の前で死のうと」
 不満が高まる後期高齢者医療制度ー。高齢者を支援している市民グループは、来月、数百人規模で不服審査を請求することにしています。」(2008年5月14日(水)「どさんこワイド180」)

◆2008/05/14 「8割超の市町村が人間ドック助成廃止−後期高齢者医療制度」
 『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16029.html

 「4月に始まった「後期高齢者(長寿)医療制度」に伴い、75歳以上を対象にした人間ドック助成事業を行ってきた市町村の8割超が同事業を終了していることが、厚生労働省の調べで明らかになった。
 同事業では、市町村が運営する国民健康保険組合が主体になり、国保加入者の人間ドック受診費用の一部を補助していた。厚労省によると、2007年度は全国1162市町村が同事業を実施し、このうち723市町村では75歳以上の高齢者も対象にしていた。
 しかし、同制度が始まった08年度は、国保からの助成は行われず、582市町村が事業を終了。国保以外の衛生部門などで事業を継続するのは、141市町村にとどまっている。
 都道府県別の状況を見ると、50市町村で実施していた北海道が5市町村、63市町村だった埼玉県が6市町村と、それぞれ大幅に減少したのが目立つ。また、大阪府や滋賀県、長崎県などでは、事業を実施する市町村がなくなった。
 同制度の廃止を求めている神奈川県保険医協会副理事長の池川明医師は、「今回の問題の背景には、75歳以上が国保から脱退させられ、同制度に移行したことがある。従来の補助は削って当たり前という心理が市町村に働いている」と指摘。「健康の維持や病気の早期発見に欠かせない健診事業の衰退を意味し、同制度の問題点の一つが表れている。国は医療費抑制で同制度を導入したが、病気の発見が遅れれば、それだけ医療費が掛かるので、大きな矛盾」と批判している。」(全文)

◆2008/05/14 「後期高齢者医療制度:大企業社員に負担 健保組合の支援金8.3%増」
 毎日新聞 2008年5月14日 東京朝刊 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080514ddm002010020000c.html

 「後期高齢者医療制度に対する08年度の各医療保険の支援金額が13日、明らかになった。厚生労働省によると、旧老人保健制度への拠出金(07年度)に比べ、自営業者らが加入する国民健康保険は23・9%減の1兆7099億円、中小企業の政府管掌健康保険は16・9%減の1兆4293億円と減少。これに対し、大企業の健康保険組合は8・3%増の1兆2266億円で、突出して増加した。一部の健保組合は保険料を引き上げる方向だ。新制度の目的の一つは「現役世代の負担軽減」だったが、大手企業の従業員にはあてはまらないことが明確になった。
 08年度、後期高齢者医療制度(1300万人)への支援金総額は、07年度比13・2%減の4兆7487億円。新制度では、これまで保険料を払っていなかった被扶養者も含め全加入者が負担するため、総額は減少する。厚労省は、総額が減る点をもって「健保組合も負担が減る」と説明してきたが、その見通しは外れた形だ。
 これまでの高齢者医療は、75歳以上も既存の医療保険に加入し、各医療保険が自らの老人医療費に準じて拠出する老人保健制度で運営。老人医療費の割合の高い国保(3800万人)や政管健保(3500万人)は、拠出額が膨らむ仕組みだった。
 これに対し、新制度は各医療保険の支援金額を0〜74歳の加入者数に応じて決める仕組み。75歳以上が少なく扶養家族の多い健保組合(3000万人)や公務員の共済組合(900万人)は負担増となった。共済の支援金額は07年度比4・5%増の3765億円。
 健康保険組合連合会によると、08年度は全体の9割にあたる1334組合が赤字となり、141組合が保険料を引き上げるという。【吉田啓志】」(全文)

◆2008/05/14 「医療制度の強制 改善へ「検討を」 厚労事務次官」
 北海道新聞 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/92661.html

 「厚生労働省の江利川毅事務次官は十四日、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に関し、十道県で本来は任意加入の六十五−七十四歳の重度障害者に、加入を医療費助成の条件として義務付けたことについて、「事実上の強制との批判があることを勘案し、どんな対応が良いのか、検討してほしい」と、見直しを求めた。同日開いた制度を運営する全国四十七広域連合の事務局長らの会合で伝えた。
 医療費助成は都道府県などの独自事業との位置付けから、厚労省はこれまで十道県に、是正指導などは行っていなかった。 」(全文 05/14 13:52)


◆2008/05/14 「高齢者医療「終末期相談支援料」見直しを検討…厚労相」
 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080514-OYT1T00618.htm?from=main2

 「舛添厚生労働相は14日の衆院厚生労働委員会で、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の導入に伴って4月に始まった新たな診療報酬「終末期相談支援料」について、「どういう形で改善できるか検討課題としたい」と述べ、見直しを検討する考えを表明した。
 長妻昭氏(民主)の質問に答えた。
 終末期相談支援料は、医師が、回復の見込みが薄いと判断した75歳以上の患者について、本人の同意を得たうえで終末期の診療方針などを文書などに記録した場合、2000円の診療報酬を受け取る新制度だ。
 野党などは、「生き永らえたいという患者の延命治療の打ち切りにつながりかねない」などと反発している。
 舛添氏は「『遺言を書きなさい』みたいにとられてしまう。高齢の方々の気持ちを痛めた面があるのではないか」と述べた。また、75歳以上を対象とした人間ドックなどの助成事業を打ち切る市町村が相次いでいることに関し、「救いの手を差し伸べられるかどうか検討する」と述べ、事業再開に向け、国として支援の可能性を探る考えを示した。」(全文 2008年5月14日22時24分)

◆2008/05/15 「低所得者の申請あれば保険料減免 長寿医療制度見直し案」
 朝日新聞2008年05月15日 http://www.asahi.com/health/news/TKY200805140318.html

 「75歳以上が対象の後期高齢者医療制度で、低所得者層の保険料を減額・免除する厚生労働省の負担軽減案が明らかになった。新制度に移行後、相当数の低所得者が負担増になったと批判されているが、法改正など制度の抜本的見直しはせず、新制度にある仕組みを活用する。減免を受けるには高齢者本人が申請する。
 新制度を運用する各都道府県の広域連合は、保険料徴収の方法などを条例で定めている。加入者が災害に遭ったり、病気になったりして収入が激減するなど特別の事情がある場合は、本人からの申請を受けて保険料を減免する規定がある。この規定を拡大解釈し、低所得者も「特別の事情」に該当すると見なす。どのような人が対象となるか、国が大枠の基準を示す。
 対象者は、近く調べる各市区町村ごとの保険料負担の変化をもとに決めるが、基礎年金(年額79万円)以下の収入で、生活保護とほぼ同じかそれに満たない所得水準の人たちが含まれる可能性がある。
 軽減に伴って保険料収入が減り、広域連合の財政難につながることから、国が交付金を支給することなども検討する。収入が基礎年金以下の低所得者二百数十万人の保険料(月額平均千円)を全額免除すれば、300億円程度の財源が必要となる見通し。
 本人の申請を待たずに、広域連合が職権で減免する方法もあるが、法改正が必要で、保険料徴収のシステム改修に時間がかかる。広域連合の条例の規定を用いれば、現場の運用で対応が可能だ。厚労省は「条例減免によらざるを得ないのではないか」としている。ただし、高齢者本人の申請が必要なため、対象者への周知が不可欠。病気などで申請が困難な人も多いとみられ、運用上の課題もある。
 政府は制度の廃止や抜本見直しは否定する一方で、「必要があれば運用を改善する」としており、厚労省案が見直し案のたたき台となる見通し。ただ、6月中に見直し案をまとめる与党内では年金天引きの見直しや、保険料ゼロだったサラリーマンの被扶養者らの負担軽減拡大など、厚労省案より踏み込んだ対応を求める声が強く、調整が難航する可能性がある。

◆2008/05/15 「後期高齢者医療改善策 ハードルは財源」
 MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/080515/wlf0805150011000-n1.htm

 「75歳以上が対象の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)について、政府は6月中に運用面での改善策をまとめるが、低所得者に対する激変緩和策の拡充が柱となる見通しだ。最大のハードルは財源。拡充には巨費が必要で、「別枠予算」として新たな財源を確保できなければ、政府の社会保障費抑制路線がなし崩しになりかねないためだ。福田康夫首相は4月30日の会見で、「道路特別会計などのムダを排除する中で捻出(ねんしゆつ)する」と述べており、一般財源化される道路予算をどの程度回せるかが焦点となりそうだ。
 「基本的には市町村の仕事だが、何らかの救いの手を差しのべることが可能か検討していい」。舛添要一厚生労働相は14日の衆院厚労委員会で、新制度導入に伴い約8割の自治体が75歳以上への人間ドック助成を打ち切ったことについて、見直しが必要との考えを示した。終末期治療方針を作成した医師に支払われる診療報酬「終末期相談支援料」の改善も約束した。
 厚労省の江利川毅事務次官も同日、65〜74歳の重度障害者に対し医療費助成の条件として新制度加入を義務付けた10道県に対し、見直し要請を行った。
 政府・与党内で有力なのが激変緩和策の拡充だ。子供や夫などの扶養家族でこれまで保険料を負担してこなかった約200万人に対する「今年4月からの半年は保険料無料、その後の半年は9割免除」という軽減策の期間延長や、保険料軽減の判定基準を世帯所得から個人所得に変更する案が浮上している。
 だが、これらの案はいずれも巨額な費用がかかるのが課題だ。例えば、約200万人への免除をさらに半年から1年延長させる場合、対象者を現在の75歳以上のままとしても最低40億円、来年75歳になる人も含めると350億円程度は必要となる見通しだ。
 収入が基礎年金だけの人の保険料を全額免除する案は年約2000億円かかる計算で、「介護保険などの制度も一緒に免除すると必要額は4000億円を超える」(厚労省幹部)。70〜74歳の窓口負担2割への引き上げ凍結の延長案も年1400億円を要する。
 ただ、政府は基礎的財政収支黒字化のため、平成19年度からの5年間で1・1兆円の社会保障費の自然増抑制も行ってきており、「社会保障費抑制方針を外してもらわないと、財源捻出できない」(自民党厚労関係議員)のが実情だ。
 厚労省では、年金天引きの選択制や終末期相談支援料の廃止など数億円のシステム改修で済む案も検討されている。だが、与党内には「中途半端な改善では、国民の反発を招く」(自民党中堅)との見方も強い。
 揮発油(ガソリン)税に対する国民の批判が根強いこともあり、「国民の理解を得るためにも、道路予算の一部を後期高齢者医療制度の負担軽減策に回すべきだ」(自民党若手)との声も広がりつつある。
 6月にまとめる21年度予算案の「骨太の方針」で、福田政権が改善策に伴う経費を「別枠予算」とするかどうかが、当面の焦点となりそうだ。」(全文 2008.5.15 00:11)

◆2008/05/15 「期高齢者医療制度 現役世代の支援金額明らかに 大企業サラリーマンと公務員に負担」
 FNN http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00132776.html

 「後期高齢者医療制度に対する現役世代の支援金額が明らかになり、大企業のサラリーマンと公務員が、大幅な負担増になることがわかった。
 厚生労働省によると、自営業者や中小企業のサラリーマンの負担は減少するが、大企業のサラリーマンが加入する健保組合には、1兆2,266億円の支援を求めるということで、前の老人保険制度と比べ、8.3%増となっている。
 また、公務員が加入する共済組合も4.5%の負担増となる。
 厚生労働省は、「前の制度は医療費で負担割合を決めていたが、今回から現役世代の人数で決めたため増加した」としている。
 一方、厚生労働省前には、数百人の高齢者が集まり、自分たちの保険料が上がったことに対し、抗議の声を上げている。」(全文 05/14 13:11)

◆2008/05/15 「後期高齢者医療制度:重度障害者8万人が加入せず 新たな負担を敬遠」 毎日新聞 2008年5月15日 東京朝刊

 「75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度に任意加入できる全国の65〜74歳の重度障害者約66万9000人のうち、今年3月末現在で8万7217人(13%)が加入しなかったことが分かった。14日、自治体の担当者を集めて開かれた会議で厚生労働省が明らかにした。加入によって新たに保険料負担が生じるなどを理由に見送った人が多いとみられる。
 加入しない65〜74歳の重度障害者が最も多かったのは、大阪府の1万6063人。続いて、▽埼玉県7527人▽東京都6290人▽兵庫県4940人−−などだった。
 65〜74歳の重度障害者の加入は、本来は任意だが、北海道、福岡など10道県では、加入を自治体による障害者医療費助成の条件としていたことが明らかになっている。「事実上の強制加入」との指摘も強い。
 この10道県の加入しない人の総数(3348人)は、全体の3・8%にとどまる。加入しない人が100人以下の自治体(山形、富山、徳島、山口)は、10道県にすべて含まれていた。
 大阪府などの自治体側によると、加入しない理由は、▽本人の加入で、国民健康保険や健康保険の被扶養者の家族それぞれの保険料が新たに生じる▽子供や配偶者の被扶養者で、保険料負担のなかった人が、加入で負担が生じる、などのケースが多いとみられる。
 旧老人保健制度に加入していた同世代の重度障害者は、手続きをしなければ自動的に後期高齢者医療制度に加入する。
 このため、制度による変化を熟知した場合、なお加入が減る可能性がある。【野倉恵】」(全文)

 ◇重度障害者(65〜74歳)の未加入者
※北海道666/※青森280/岩手873/宮城2048/秋田1728/※山形63/福島 675/※茨城 275/※栃木 180/群馬2374/埼玉7527/千葉2313/東京6290/神奈川3961/新潟3370/※富山27/石川1561/福井1622/山梨1034/長野1245/岐阜 187/静岡1099/※愛知288/三重2120/滋賀1271/京都2881/大阪16063/兵庫4940/奈良1025/和歌山1983/鳥取499/島根912/岡山1076/広島3034/※山口86/※徳島60/香川1245/愛媛2053/高知1187/※福岡1423/佐賀 767/長崎 905/熊本 356/大分1029/宮崎756/鹿児島559/沖縄1301計87217/※は制度加入を医療費助成継続の条件にする自治体

◆2008/05/15 「後期高齢者医療制度廃止へ医師が国会前集会」 キャリアブレイン
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16055.html

「福田首相は『制度の説明が不十分』などと言っているが、内容が知られれば知られるほど、国民に怒りが広がっている」−。4月に始まった「後期高齢者(長寿)医療制度」の中止・撤回を求め、全国から集まった医師や歯科医師ら約80人が5月15日、衆院第二議員会館周辺で「白衣の国会前集会」を開いた。参加者は、同制度が始まってから医療現場で起きている問題などを訴え、同制度の廃止へ向けて、国民とともに活動していくことを確認した。
 同制度については、4月になっても保険証が届かないなどの混乱が各地で続出。制度に伴う新たな診療報酬として設定された「後期高齢者診療料」が、高齢者に必要な医療の提供を損なう危険性が高いなどとして、各地の医師会が算定の自粛を呼び掛ける動きを進めている。また、制度に反対する署名は全国で550万人を超えたほか、570以上の地方議会が見直しの意見書を提出している。
 集会では、千葉県の内科医が「最近、診察室に入ってくる高齢者に元気がない。制度のことを気にしているからで、『医療を今まで通り受けられるのか』といった不安を抱えている。『必要なことは行うから安心して』と話しているが、4月以降、診察に掛かる前に、こんなやりとりが目立つようになった」と、現場で起きている問題を指摘した。
 大阪府の歯科医師も「『新しい入れ歯ができた』と患者に伝えると、『ちょっと待ってほしい』と言われたことがある。理由を尋ねると、保険料が年金から天引きされるため、医療費を払えないかもしれないと心配していたことが分かった。負担だけでなく、患者に不安を与える制度は決して認められない」と、廃止を強く訴えた。
 また、タレントの稲川淳二さんが「制度は現代の姥(うば)捨て山だ。まじめに生き働いてきた人が、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。国民は血の通った政治を期待している」というメッセージを寄せ、精神科医の香山リカさんも「多くの人の心と体と生活を傷つける制度は反対。好きで病んだり、好きで高齢になる人は、誰一人いない」と、集会にエールを送った。
 このほか、制度の廃止法案を国会に提出している民主、共産、社民、国民新各党の国会議員が駆け付け、制度の問題点などを示した上で、廃止に向けて野党が共闘していくことを誓った。

 【後期高齢者診療料】
 「主病」に対する一医療機関での管理、年間診療計画の作成、医師の4日間の研修を要件に、診療料を月6000円に設定。これには、医学管理、検査・処置、画像診断の費用が包括されている。同診療料の病名は、高血圧、糖尿病、不整脈、脳血管疾患などの老人性慢性疾患と認知症や便秘症が入り、すべての後期高齢者(75歳以上)が対象になる。
 更新:2008/05/15 21:19   キャリアブレイン

◆2008/05/16 「後期高齢者医療制度:診療料、担当医届け出わずか10% 機能不全の危険性も /鳥取」
 毎日新聞 2008年5月16日 地方版

 「後期高齢者医療制度に伴って創設された定額制の「後期高齢者診療料」で、診療を担う「高齢者担当医」の県内の届け出が4月14日現在42件にとどまっていることが15日、分かった。県内に420ある開業医のわずか10%。厚労省は、全国約3万7400の開業医ほぼすべてが届け出るものと当て込んでいた。【武内彩】
 内訳は東部25件▽中部5件▽西部12件。
 後期高齢者診療料制度では、糖尿病など慢性疾患の高齢者がかかりつけの担当医を決め、月額6000円(自己負担は原則600円)を支払うとそれ以上の検査費や治療費は払わなくて済む。
 これまではかかった実費(自己負担は原則1割)を支払う出来高払いが原則だった。新制度では、出来高払いか定額払いかは、患者の同意を得て医療機関が選択できる。定額制で診療を受けるには医師が高齢者担当医の届け出をしていることが前提で、届け出が制度のいわば土台。届け出がこのまま増えなければ、制度そのものが機能不全に陥りかねない。
 この新診療報酬については、患者がかかりつけ医以外の医療機関に行きづらくなる▽診療料を受領しながら必要な治療をしない医師が出る可能性がある−−などの問題点が指摘されており、県西部医師会(魚谷純会長)を含め全国の医師会が相次いで導入反対を表明していた。」(全文)

◆2008/05/16 終末期治療の「相談支援料」に廃止論 後期高齢者医療
 朝日新聞 2008年05月16日

 「後期高齢者医療制度で、患者と家族と医師らが終末期の治療方針を話し合い、書面にした場合に支払われる診療報酬「終末期相談支援料」に批判が強まっている。「延命治療にかかる費用を抑制するのが目的」という野党の主張に、与党内からも廃止を求める声が上がり、見直しは避けられない情勢だ。
 15日の参院厚生労働委員会で、制度の問題点を指摘された舛添厚労相は「(支援料は)意図はたとえ善意でも、結果としてむしろ終末期医療を後退させる危険性がある。実情をしっかり調査して改革する」と答弁した。
 自民党厚労族の有力議員、丹羽雄哉元厚相も同日朝、民放のテレビ番組で「国民感情を著しく害したなら廃止したって構わない」と発言。厚労省の「終末期医療で、患者の意思を確認するため地道で手間のかかる取り組みをしている医師を下支えするための仕組み」(同省幹部)との主張は、かき消されがちだ。
 支援料制は、回復が難しい患者本人に、医師が今後予想される病状を説明し、病状が急変した時に病院に搬送するか、人工呼吸器を使うか、などの希望を聞く。入院患者の場合、説明に1時間以上かけることが条件で、医療機関に支払われる診療報酬は2千円。「医師が割に合わない報酬を稼ぐため、患者に終末期の意思決定を迫ることはあり得ない」と同省幹部は言う。
 だが、同省職員による新制度の解説本には「家族が1時間でも1分でも生かしてと要望し、色々な治療がかさむと500万、1千万円になる」との記述がある。民主党はこれを引用し、「支援料は医療費抑制のためのもの」と批判を展開している。
 終末期医療の診療報酬については、厚労省の審議会や中央社会保険医療協議会(中医協)で06年秋から検討してきたが、支援料には「非常に微妙な問題。事後の検証が必要」との意見が委員から出ていた。同省の別の幹部も「最初に意思確認の仕組みだけを決め、何年か様子をみて診療報酬をつける方法もあった。先走り過ぎたかもしれない」と話す。
 来週開催する中医協では急きょ、相談料の問題を取り上げる予定だ。厚労省は「結論は出さない」としているが、議論の行方次第では廃止の可能性も現実味を帯びてきた。

◆2008/05/16 「後期高齢者医療、来年4月廃止で合意・野党4党」
 日経新聞 2008年5月16日

 「民主、共産、社民、国民新の野党四党の政策責任者は16日、国会内で会談し、参院への共同提出をめざす後期高齢者医療制度の廃止法案について協議した。四党は同制度を来年4月に廃止、以前の老人保健制度に戻すなどの内容で大筋合意。20日の会談で細部を詰め、来週にも法案を提出する。今国会中に参院を通過させて衆院に送り与党に対応を迫る。
 年金からの保険料天引きは10月に前倒しして廃止すると明記する方向。年金記録問題の解決のメドが立たない中での天引きには批判が根強いためだ。民主党の鳩山由紀夫幹事長は16日の記者会見で廃止後の新制度について「時間をかけて議論して決めていく必要がある」と指摘。与党が検討中の低所得者の負担軽減策は「運用の改善ですむ話ではない」と批判した。」(全文 16日 22:02)


◆2008/05/16 「後期高齢者医療制度:内容の正当性強調 自民・長岡支部大会で伊吹幹事長講演 /新潟」
 毎日新聞 2008年5月16日 地方版

 「自民党の伊吹文明幹事長が15日、長岡市で開かれた党支部大会で講演し、後期高齢者医療制度について「名前が悪い」と述べ、内容の正当性を主張。政府を支えて制度を継続させる方針を強調した。
 伊吹幹事長は、制度を「ゴールド医療とか言っておけば、光輝いて見えた」と述べ、名称が「年輩の方の誇りを逆なでした」ため、国民に誤解が生じているとの見解を示した。
 その上で、75歳以上にかかる総医療費の約9割は「現役世代」の負担と税でまかなわれている点を指摘。「長寿者に安心、現役に希望と期待、子供には夢を持たせる制度だ」と訴えた。
 また、制度の廃止を求める医師については「収入が減るから不満なのだろう」と退け、道路特定財源問題なども含めた民主党の態度を「財源のあてもない手形を乱発しているだけだ」と批判。次期総選挙では、新潟5区と比例で「長岡の力で2人の自民党衆院議員を誕生させよう」と述べた。【根本太一】」(全文)

◆2008/05/16 「特集:老人を殺すな!――後期高齢者医療制度」, 『週刊金曜日』,702: 10-17.  http://www.kinyobi.co.jp/KTools/mokuji_pt?v=vol702
◇稲毛 由佳, 20080516, 「政財官の一挙三得で生まれた「後期高齢者医療制度」(特集:老人を殺すな!――後期高齢者医療制度)」, 『週刊金曜日』, 702: 10-11.
◇本山 美彦, 20080516, 「米国の要求で進む医療制度「改悪」(特集:老人を殺すな!――後期高齢者医療制度)」, 『週刊金曜日』, 702: 12-14.
◇桑原 史成, 20080516, 「写真・談:老いた両親の暮らし(特集:老人を殺すな!――後期高齢者医療制度)」, 『週刊金曜日』, 702: 15-17.

◆2007/05/17 「終末期相談支援料を再検討 後期高齢者医療制度で厚労省」
 中国新聞 2008/5/17

 「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で厚生労働省は十六日、回復の見込みが難しい終末期の治療方針を患者や家族と医師らが話し合って文書にまとめた場合、医療機関に診療報酬二千円が支払われる「終末期相談支援料」について、厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)で再検討してもらうことを決めた。
 野党や難病患者団体に「延命措置の中止を強制されかねない」として廃止を求める意見もあることを考慮した。二十一日に中医協総会を開き、見直しも含め検討をあらためて委ねる。診療報酬は中医協の答申を経て四月に改定されたばかり。二カ月足らずで個別項目を再検討するのは異例だ。
 併せて、高齢者のかかりつけ担当医(主治医)としての継続的な医学管理に対し月六千円の定額報酬が支払われる「後期高齢者診療料」についても、地域の医師会で反発の声が上がっており、再検討の対象とする。
 厚労省はいずれの見直しにも否定的だが、中医協の判断によっては廃止の可能性もある。中医協は(1)健康保険組合など支払い側(2)医師会など診療側(3)学者ら公益代表―で構成、委員は二十人。
 終末期相談支援料は「在宅診療に熱心な医師らを評価しようと導入した」(厚労省)とされるが、民主党は「終末期の医療費抑制が目的」と批判。舛添要一厚労相は十五日の参院厚労委員会で「意図は善意でも、終末期医療への取り組みが後退する危険性がある。見直すべき点は調査を踏まえ改革する」と答弁した。」

◆2008/05/22 「「後期高齢者医療」廃止法案を23日提出−野党4党」 キャリアブレイン
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16184.html

 4月に始まった「後期高齢者(長寿)医療制度」について、民主、共産、社民、国民新の野党4党は5月23日、同制度の廃止法案を参院に共同提出する。廃止法案は、同制度を来年4月1日に廃止して元の老人保健制度に戻すことを柱とする内容で、参院で参考人招致や地方公聴会を行い、徹底的に審議する方針。
 野党関係者によると、「後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者に適切な医療を確保するものではなく、一日も早く廃止すべき」として、廃止法案を参院で早期に可決して衆院に送る予定だった。しかし、衆院では、与党が十分な審議に応じないことが予想されるため、まず参院で徹底的に議論することにしたという。
 廃止法案には、同制度の来年4月1日の廃止のほか、後期高齢者保険料を年金から天引きする特別徴収を遅くとも今年10月1日までに停止することや、同制度の導入前に被扶養者だった人の保険料徴収を政府が6か月間「凍結」している措置について、これを1年間に延長することなどが盛り込まれている。
 更新:2008/05/22 19:08   キャリアブレイン

◆2008/05/23 「後期高齢者医療:野党4党、廃止法案を参院に提出」
 毎日新聞 2008年5月23日 19時13分(最終更新 5月24日 1時46分)
 http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080524k0000m070171000c.html
 「民主、共産、社民、国民新の野党4党は23日、後期高齢者医療制度廃止法案を参院に提出した。同制度を09年3月末で廃止して従来の老人保健制度に戻すもので、野党が多数を占める参院で6月6日までに採決し、衆院に送付することを目指す。これに対し政府・与党は、保険料減免など制度の運用見直しで対応する方針。野党側が「75歳以上」と年齢で区切る点を「差別につながる」と問題視するのに対し、与党側は「医療制度の破たんを避けるため」と、財源問題を中心に反論する論戦となる見通し。6月15日の会期末まで衆院では採決されない可能性が高い。
 民主党は廃止法案への政府・与党の対応を見極めながら、福田康夫首相問責決議案の参院提出の是非を判断する。同法案は制度廃止のほか、保険料の年金からの天引きを遅くとも10月に中止▽現行制度で9月までとされている被扶養者の保険料免除措置を09年3月末まで延長−−などが柱となっている。
 法案は27日に参院厚生労働委員会で審議入りする見込み。野党は6月5日の委員会採決まで、地方公聴会や参考人質疑などを通じて、法案審議を通じて制度の問題点をあぶり出す戦略だ。
 また野党4党は、法案提出に先立って幹事長・書記局長会談を開き、委員会審議期間中の6月4日に東京・巣鴨の「とげぬき地蔵尊」近くの商店街で合同演説会を開くことを決めた。演説会では各党幹部をはじめ、「後期高齢者」となった75歳以上の党首OBクラスがマイクを握り、制度廃止を世論に訴える。【田中成之】」(全文)

◆2008/05/23 「新高齢者医療で公費負担減 厚労省試算 民主徹底追及へ」
 朝日2008年05月23日22時12分
 http://www.asahi.com/life/update/0523/TKY200805230298.html
 「75歳以上が対象の後期高齢者医療制度で、医療費に充てる公費の割合が旧制度より少ないことが、厚生労働省の試算で明らかになった。政府は「税金を重点的に配分し、国民全体で支える」と説明しており、廃止法案を提出した民主党は「国はウソをついた」として国会で追及する。
 厚労省が21日に民主党に示した試算によると、後期高齢者医療制度を導入しなかった場合、08年度の75歳以上の医療費は11兆8700億円。財源は公費6兆5300億円、財源全体の55%なのに対し、新制度は11兆3700億円の財源のうち公費5兆9100億円、52%だ。
 この試算をもとに、民主党側は「これまでの説明と違う」「これでは国の丸もうけだ」と批判している。
 福田首相は20日、「前の制度では、高齢者が増えて(医療費を)支えていくのが無理。今度は高齢者に集中的に税金を投入していこうと決めた」と述べていた。
 厚労省によると、公費負担が減った理由は、国民健康保険を通じて高齢者の医療費に拠出している税金が新制度では旧制度より減るためだという。「税の重点配分」という説明も「高齢者の医療費は、旧制度と同じく主に税金で支えるという意味」とし、矛盾はないとする。
 一方、民主党は新制度廃止法案の審議でも追及し、政府・与党にゆさぶりをかける方針だ。
 だが、民主党などの廃止法案にも弱みがある。新制度では、低所得の夫婦世帯の保険料が負担増となる傾向が強い一方で、自治体間の保険料水準の格差は5倍から2倍へと縮小し、負担減になった人も相当数いる。旧制度に戻せば再び格差が広がるが、「差別的な新制度よりはまし」(直嶋正行政調会長)としてあくまでも廃止を求めるという。
 また、民主党は新制度の導入を決めた06年の国会審議で、旧制度について「(健康保険組合など)保険者の我慢も限界」「高齢者への拠出金が3割、4割いってしまう不満を払拭(ふっしょく)できていない」と批判。00年には鳩山由紀夫代表(当時)が「高齢者を対象とする新しい医療保険制度を創設する」と発言している。審議では、こうした過去の発言を与党に突かれる可能性もある。(中村靖三郎)」(全文)

◆2008/05/24 「社説:野党の廃止法案 「75歳」線引きの是非こそ論じよ」

 毎日新聞 2008年5月24日 0時22分
 http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080524k0000m070171000c.html
 「医療制度のあるべき姿とは何なのか。後期高齢者医療制度が混乱したのは、その答えをあいまいにしたまま走り出したためだ。この失政を認めたうえで、政治家には「高齢者を切り捨てるのか」という声を正面から受け止めて、国会で医療改革の議論を早急にやり直すことを求めたい。
 民主党など野党4党は23日、同制度の廃止法案を参院に提出した。来年4月に制度を廃止して、その後は元の老人保健制度に戻すという。これに対して、与党は新制度の改善策を近くまとめる。低所得者への保険料軽減策などが盛り込まれる予定だが、制度の骨格は変えない方針だ。
 問われているのは75歳以上を独立の医療保険制度に入れたことの是非だ。そもそも病気になるリスクの高い高齢者だけを対象にした制度は保険原理にはなじまない。多くの元気で健康な人が病気の人たちを支えるというのが保険制度だが、後期高齢者制度はそうはなっていない。
 75歳以上を独立させて医療制度を作ったことをどう判断するのか。与野党は、まずここの問題から議論をし直すべきだ。医療改革を政争の具にすることが絶対にあってはならない。
 廃止法案を出した野党に注文がある。新制度を廃止した後の対案を早く示してもらいたい。行き詰まりつつあった従来の老人保健制度に代わる高齢者医療制度の創設を検討すると与野党で決めていたはずだ。廃止して元の制度に戻すという案では国民は納得しない。野党の医療改革への熱意が感じられないからだ。民主党は記者会見で「できるだけ早く党内で新制度を議論して制度設計したい」との考えを示したが、対案の提出時期は明らかにしなかった。対案を出さなければ、議論は深まらない。
 与党は負担軽減策など、改善策を細切れで出すことで新制度の骨格は維持したいという考えだが、その場しのぎの対策では高齢者の不信を払しょくできるとは思えない。
 高齢化によって増えていく医療費は、現役、高齢世代と公費でまかなうしかない。高齢者にも保険料を負担してもらわなければ、その分は現役世代が背負うことになる。公費をどこまで入れるかも含め、医療費負担のあり方を議論することが必要だ。
 日本の総医療費を対国民所得比でみると、先進国のなかでは低い水準だ。しかし、政府・与党は医療費水準の抑制を続け、医師不足をはじめ医療崩壊ともいえる現象が起きている。
 政府・与党の医療費抑制に危機感をもった高齢者は「早く死ねというのか」と本質を突いた批判をした。これに応えて、与野党は本気で議論をすべきだ。」(全文)

◆2008/05/24 「野党4党が廃止法案提出 後期高齢者医療制度」
 中日2008年5月24日 朝刊
 http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2008052402000058.html
 「民主、共産、社民、国民新の野党4党は23日、後期高齢者(長寿)医療制度廃止法案を参院に共同提出した。6月4日にも参院で可決し、衆院に送付する。併せて党首級による街頭演説も行い、国会外でも制度廃止を訴えていく。 法案は、後期高齢者医療制度を来年3月末で廃止し、4月1日から従来の老人保健制度に戻す内容。年金からの保険料天引きは、今年10月までに停止することも盛り込んだ。 4党幹部は提出後の記者会見で「75歳以上だけ切り出して、別の制度をつくることは差別的だ」(民主党の直嶋正行政調会長)などと廃止の必要性を強調した。 4党は提出に先立つ幹事長・書記局長会談で、6月4日に「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる東京・巣鴨のとげぬき地蔵通りで民主党の小沢一郎代表らが参加して街頭演説を行うことを決定。土井たか子元衆院議長ら「高齢」の元野党幹部にも参加を呼び掛けている。 民主党の鳩山由紀夫幹事長は23日の会見で、廃止法案の参院採決で与党が反対したタイミングなどを挙げ、福田首相の問責決議案提出を「視野に入れたい」と指摘。問責決議案については、参院民主党などに提出慎重論が根強いが、同党幹部は「内閣支持率がこれだけ低迷しているのに出さない手はない」と強調する。 こうした野党側の力の入れようは、国民の批判が強い同制度廃止をアピールすることで、「消化試合」とも言われる今の国会を再び盛り上げる狙いからだ。このまま国会が閉じて主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)になれば、野党は埋没しかねないとの危機感もある。 これに対して政府・与党は、廃止法案の審議で、野党が同制度に代わる仕組みを提示していないことを追及する構え。自民党の伊吹文明幹事長は会見で「与野党のやりとりを聞けば、(野党は)無責任と分かるのではないか」と指摘した。」(全文)

◆2008/05/24 「後期高齢者医療 混乱を増すだけの廃止法案」(5月24日付・読売社説)
 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080523-OYT1T00833.htm
 後期高齢者医療制度はその呼称を含め、配慮を欠く面が目立つ。
 不備や欠陥など問題点が多いことも確かだ。 しかし、新制度のすべてを否定して白紙に戻すというのは、混乱をさらに広げ、長引かせるだけだろう。
 野党4党が後期高齢者医療制度の廃止法案を参院に提出した。ところが、新制度を撤廃した後にどうするのか、対案がない。とりあえず、従来の老人保健制度を復活させるという。これでは、あまりにも無責任ではないか。
 生じている混乱の原因は、厚生労働省や自治体の対応のまずさにある。主に75歳以上が対象の大きな制度変更なのに、高齢者に配慮した説明や準備を怠ってきた。
 そのため、感情的な反発が先行している。まずは冷静に、制度の長所と短所を検討の俎上(そじょう)に載せるべきだろう。ともかく廃止せよ、議論はそれからだ、という野党の姿勢は、拙劣の上に拙劣を重ねるようなものだ。
 新制度が周知されていないのと同様、従来の老人保健制度に大きな問題があったこともまた、十分に知られていない。政府・与党はそこから説明が不足している。
 これまでも75歳以上の人は、主に市町村の国民健康保険に加入しながら、老人保健制度の枠組みに入っていた。その医療費が膨らんだ分は、企業の健保組合などが拠出金で支援していた。
 ただし、現役世代がどこまで支援するかが明確ではなかった。後期高齢者の医療費が必要以上に膨らまぬよう、誰が責任を持って取り組むかも判然としなかった。保険料も、市町村の財政事情によって大きな格差が生じていた。
 老人保健制度の歪(ゆが)みが限界にあるのは与野党の共通認識だったはずだ。2000年の医療制度改革で参院が関連法案を可決した際、共産党を除く各党で「早急に新たな高齢者医療制度を創設せよ」との付帯決議を採択している。 新制度で老人保健制度の問題点は改善しており、再び後退するのは望ましくない。利点は適切に評価してさらに磨き、欠点を迅速に改めていくべきだろう。 野党の攻勢に、政府・与党は大あわてで制度の見直し作業に入った。ところが、負担増になる高齢者の救済策として、バラマキのように幅広い減免措置を検討している。これもまた拙劣だ。
 政治が右往左往する間にも高齢化は進む。必要なのは建設的な議論であり、目先の人気取りで拙劣な対応を競うことではない。」(全文)(2008年5月24日01時50分 読売新聞)

◆2008/05/24 「<療養病床>削減を断念「25万床維持必要」 厚労省」
 『毎日新聞』2008年5月24日 東京夕刊
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080524-00000045-mai-pol

 「長期入院する慢性病の高齢者向け施設である医療型「療養病床」(25万床)を11年度末までに4割減らす計画について、厚生労働省は削減を断念し、現状維持する方針に転換した。都道府県ごとに需要を調査した結果、25万床前後の確保が必要と判断した。厚労省は療養病床削減により医療給付費を3000億円削減する方針だったが、今回の計画断念で高齢者の医療費抑制政策全般にも影響を与えることは必至だ。
 政府は06年2月、「入院している人の半分は治療の必要がない」として、当時38万床あった病床のうち介護型療養病床(13万床)を全廃し、医療型療養病床を4割減らして15万床にする方針を決定。達成に向け、「医療の必要度が低い」と判定された人の入院費を減額し、そうした入院患者を多く抱えていた場合は病院経営が成り立たなくなるようにした。
 しかし一連の病床削減策は、入院先を求めて住み慣れた地域をやむなく離れたり、自宅にお年寄りを引き取った家族が介護に悲鳴を上げるケースなどを生んだ。「患者追い出しを誘導し、行き場のない医療難民を大量に生む」との強い批判も招いた。
 このため厚労省は07年4月、医療型療養病床のうち回復期リハビリ病棟(2万床)を削減対象から外したうえで、都道府県を通じて実情調査。必要とする療養病床数を積み上げたところ、当初計画を7万床上回る約22万床に達することが判明した。一方で削減対象から外したリハビリ病棟は今後少なくともいまの1.5倍、3万床程度は必要になるとみられている。需要数を合わせると現状と同じ25万床前後となり、削減計画の見直しに追い込まれた。【吉田啓志】
 【ことば】療養病床
 慢性病の高齢者向け長期入院施設。ピーク時の06年2月には、医療保険が適用される医療型(25万床)、介護保険適用の介護型(13万床)の計38万床あった。双方の入院患者や施設の実態に違いはないと指摘される。厚労省は、医療の必要性がない社会的入院の受け皿となっているとみて、高齢者の医療費抑制のため削減する考えだった。」(全文)

◆2008/05/29 「高齢者医療制度は「保険」でなく「保障」で」 キャリアブレイン
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16281.html

 後期高齢者医療制度の見直し論議が高まる中、日本医師会は5月28日の定例記者会見で、「高齢者(75歳以上)のための医療制度」を公表した。同制度への「対案」とも言うべきもので、政府・与党にあらためて提案・説明している。
 中川俊男常任理事はまず、現行の後期高齢者医療制度について「わたしたちは『保障』であるべきだと考えているが、現実は『保険』になっている」と批判。その上で、▽75歳以上を手厚くする▽今までと同じ医療の提供▽医療費の9割は公費(国)で負担▽高齢者の負担は保険料と一部負担を合わせて1割─の4項目を柱とした制度を提案した。
 案では、公費9割負担について、現在公的医療保険に投入されている公費の総額10兆円をすべて高齢者に集中し、不足する約1兆円は国の歳出見直しや新たな財源で対応するとした。その場合、一般医療保険に投入されている公費4兆8000億円が高齢者医療制度に回ることになるが、後期高齢者支援金4兆7000億円がなくなるため、全体として見れば当面収支が均衡する。国保、政管健保、組合健保、共済の保険者間で財政調整を行う。
 被用者保険では、事業主負担や保険料上限の見直しを行い、増収を図る。
 非正規雇用や無職世帯の増加を背景に、医療費に占める事業主の負担割合は年々低下している。このため、非正規雇用にも被用者保険加入の道を開くなどの方策を講じるべきとしている。また、現在保険料率は年収約2000万円で比例が終わり定率となるが、この限度を引き上げて増収を図るべきと主張した。
 国保についても、保険料の付加限度額の上限を引き上げるなどの方策を求めている。
 こうした増収策を取った上で、特定財源の見直しや消費税引き上げ分を新たな財源とすると主張している。
 さらに、2008年度を後期高齢者医療制度のスタートラインと位置付け、老人保健法改正時と同様、公費負担割合を段階的に引き上げていくとした。
 更新:2008/05/29 12:12   キャリアブレイン

◆2008/05/29 「後期高齢者医療制度廃止法案が審議入り」 キャリアブレイン
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16289.html

 民主、共産、社民、国民新の野党4党が提出した「後期高齢者医療制度廃止法案」は5月29日、参院厚生労働委員会で趣旨説明が行われ、審議入りした。
 発議者である民主党の直嶋正行議員は趣旨説明で、同制度について「国民の高齢期に適切な医療を確保するものとなっていない」と述べ、年齢で区切る合理的な理由がなく、低所得層で従来よりも保険料負担が高くなった例もあるなどの問題点を指摘した。
 同法案は▽後期高齢者医療制度を2009年4月1日に廃止し、老人保健制度を同日に再導入する▽年金から天引きする特別徴収を今年10月1日までに廃止するなど、高齢者の医療負担を軽減する―などの内容。
 更新:2008/05/29 15:46   キャリアブレイン

◆守田 憲二 200805- 「終末期医療費」http://www6.plala.or.jp/brainx/elcost.htm


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 ▽2008/06

立岩 真也 2008/06/01 「有限でもあるから控えることについて・5」,『現代思想』36-(2008-5): 資料

◆2008/06/03 「後期高齢者医療制度廃止法案が実質審議入り」 キャリアブレイン
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16371.html

 民主、共産、社民、国民新の野党4党が提出した「後期高齢者医療制度廃止法案」は6月3日、参院厚生労働委員会で質疑が行われ、実質審議入りした。
 自民党の尾辻秀久氏は、同法案が後期高齢者医療制度を廃止し、老人保健制度を再度導入するとしていることについて、「老人保健制度が限界になっているという認識は、与野党共通のものだと思っていた。また戻すというのは、これまでの評価を変えたということか」と疑問を呈した。
 これに対し、民主党の福山哲郎氏は老人保健制度への認識は変わっていないとしながらも、後期高齢者医療制度が「不安定な制度」と指摘。「新しい制度の提示も検討していくが、同制度による混乱を止めるには、足りない部分がある老人保健制度を持ち出してでも対応することが重要だ」と反論した。
 同法案は5日、参考人質疑が行われる。
 更新:2008/06/03 19:30   キャリアブレイン

◆2008/06/04 「野党4党、後期高齢者医療制度廃止を訴え街頭演説」 キャリアブレイン
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16414.html

 民主、共産、社民、国民新の野党4党が今国会に提出した後期高齢者医療制度廃止法案の参院での審議がヤマ場を迎えた6月4日、東京都豊島区の巣鴨地蔵通商店街前で4野党の党首クラスが街頭演説を行い、同制度の廃止の必要性を訴えた。街頭演説には500人を超える聴衆が集まり、盛んに拍手を送っていた。
 後期高齢者医療制度は2006年の通常国会で、野党の反対を押し切り、自民、公明両党が強行採決して導入された。しかし、今年4月の制度開始後、70−74歳の窓口負担が従来の1割から2割に引き上げられたり、終末期医療の意思決定に診療報酬が支払われたりすることで、「終末期医療を崩壊させる」との批判が上がるなど、さまざまな問題点が指摘されている。
 こうした問題による混乱を受け、4党は「70−74歳の医療費自己負担引き上げの廃止」「75歳以上の被扶養者への保険料徴収の廃止」「年金からの保険料の天引き中止」を柱とした廃止法案を5月23日、参院に提出した。
 演説で、民主党最高顧問の渡部恒三衆院議員は出身地の福島県について触れ、「会津の農村の高齢者は月6万円の年金で生活しており、そのお金が天引きされる。こんな制度は一日でも続くことは認められず、つくった政権は倒すべきだ」と訴えた。
 国民新党副代表の自見庄三郎参院議員は、「医療が皆に平等ということが国家の原則だったから、日本は世界一の長寿国となった。お金の切れ目が命の切れ目。こんな間違えた制度は廃案に持ち込まなくてはならない」と同制度を批判した。
 社民党党首の福島みずほ参院議員は、「年齢で区切る制度は世界にはない。与党は制度の見直しをすると言っているが、根本を変える気はない。この制度は、今の政治が高齢者をどう扱っているかを端的に表している。与野党逆転した参院で可決して衆院に送り、今国会で何としても成立させたい」と、廃止法案成立への決意を述べた。
 共産党委員長の志位和夫衆院議員は、「最大の問題は、75歳というだけで別の保険に強制的に加入させ、差別医療へ追い込む現代のうば捨て山だ。老人保健制度は完璧な制度ではないが、まずはこの差別的な仕掛けを生んだ後期高齢者医療制度を撤廃し、その上で国民と議論して新しい医療制度をつくっていくことが筋だ」と、廃止法案への理解を求めた。
 街頭演説には、民主党代表の小沢一郎衆院議員も駆け付け、聴衆の声に耳を傾けていた。
 演説を熱心に聴いていた区内の68歳の男性は、「今、何か所も病院を回っている。これまで一生懸命に働いてきたのだから、老後はゆっくり安心して生活したいし、しっかりとした医療も受けたい」と話した。また、80歳の女性は「新聞を見て演説を聴きに来た。高齢者いじめの制度は廃止した方がいい」と、後期高齢者医療制度を批判した。
 同法案は5日、参院厚生労働委員会で参考人質疑が行われる。
 更新:2008/06/04 23:06   キャリアブレイン

◆2008/06/04 「クローズアップ2008:後期高齢者医療 線引き譲らぬ与党、将来像示せぬ野党
『毎日新聞』 2008年6月4日 東京朝刊
 http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20080604ddm003010123000c.html

 「75歳以上の切り離し」との厳しい世論を追い風に、野党4党が国会に提出した後期高齢者医療制度廃止法案は3日、参院厚生労働委員会で実質審議入りした。新制度を廃止し、当面は旧老人保健制度へ戻すことを訴える野党に対し、与党は「無責任」と反論し、同日に正式合意した負担軽減策で乗り切る方針だ。しかし与野党ともに、国民が求める安定した医療制度の将来像を描けていないのが現実だ。【吉田啓志】
 ◇どう変わった?旧老人保健制度→後期高齢者医療
 かつての老人保健制度と、今回導入された後期高齢者医療制度にはどのような違いがあるのか。
 
 ■世代格差是正狙うが
 旧老人保健制度は10・8兆円(06年度)の老人医療費のうち、半分を税金から、残りを企業の健保組合や市町村の国民健康保険などからの拠出金でまかなっていた。
 拠出金は現役、高齢世代とも、自分の保険料のうちいくらが老人医療費に回されているのかが分からない仕組みで、健保組合などから「現役の保険料が『青天井』で老人医療費に回されかねない」との批判を招いた。民主党も問題視し、00年11月、参院国民福祉委員会に「新しい高齢者医療制度が必要」とする付帯決議を共同提案している。
 後期高齢者医療制度は医療費の5割に税を投入する点は旧制度と同じだが、1割は高齢者が負担し、勤め人の扶養家族としてこれまで保険料を払っていなかった人にも負担義務を課した。一方で74歳以下の負担(支援金)は4割を上限とした。
 高齢者の負担は当初は1割だが、その割合は徐々にアップし、個人の保険料の金額は7年で40%弱上がる見通し。負担を1割で固定すれば、少子化で減少する現役1人当たりの負担が重くなりすぎるためだ。医療費の透明化を高めるとともに、高齢者全員に保険料負担を求めて世代間格差をならそうというのが、新制度導入のもう一つの側面だ。
 
 ■健保組合は負担増に
 厚労省は、新制度の導入などで2025年の老人医療費は25兆円に抑制できる一方で、老健制度を存続させた場合には30兆円に達すると試算する。08年度に75歳以上が払う保険料総額は約1・1兆円。老健制度に戻れば、うち数千億円は現役世代がかぶる計算だ。新制度を廃止すれば、75歳以上の大半は市町村の国民健康保険に戻る。06年度の国保財政は3236億円の実質赤字だ。高齢者の多い市町村では保険料が大幅に上昇する可能性がある。3日の参院厚労委で、自民党の尾辻秀久参院議員会長は「旧制度に戻すのは時間と金のムダになりませんか、と言いたい」と皮肉を込めた。
 しかし世代間格差の是正という新制度の目的は、初年度から揺らいでいる。厚労省は06年時点で、健保組合の08年度に必要な保険料額は、新制度の導入で1・1%減らすことが可能と試算していた。ところが実際に08年度に健保組合から新制度へ支援した金額は、07年度時の旧制度への拠出金より8・3%増の1兆2266億円に達する。老人医療費が想定よりも増えたことが一因で、1人当たり3000円強の負担増だ。
 
 ■「保険料だけでは…」
 08年度は141組合が保険料を引き上げる。その一方で、高齢者には与党主導でさまざまな軽減措置が導入される。厚労省幹部は「見通しが甘かった」と認めながらも、「保険料だけで支えていくのは難しい。消費税率をアップして税の投入割合を高めるしかない」と本音を漏らす。
 
 ◇厚労省幹部「痛み共有を」/中曽根元首相「機械的で冷たい」
 小林正夫氏(民主)「(新制度は)75歳以上の人はやっかい者で、いない方が助かるとのメッセージを与える」
 舛添要一厚生労働相「75歳以上は慢性疾患が増えるなど(線引きには)意味がある」
 3日の参院厚労委。野党は新制度が75歳以上だけを切り離すという、世界でも例のない仕組みであることを強調する戦術に出た。対する政府・与党は「75歳以上には、年齢にふさわしい医療が必要」と、防戦に終始した。
 後期高齢者医療制度の特徴の一つは、すべての高齢者に負担を求め、自分が住む地域の医療費が増えれば、保険料も上がる仕組みとしたことにある。
 その意図について厚労省の担当幹部は1月、講演で「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自らの感覚で感じ取っていただくことにした」と語った。
 この幹部は、法律の解説書でも「後期高齢者が亡くなりそうになった時、家族が1分でも生かしてほしいと、いろいろな治療がなされ、(結果として医療費が)500万円とか1000万円の金額になってしまう」と書いた。新制度の主な目的が、医療費の抑制にあることは否定できない。
 こうした新制度の「根本理念」に、高齢世代から批判が強まっている。自民党内でも堀内光雄元総務会長(78)が「うば捨て山だ」と怒り、中曽根康弘元首相(90)はテレビ番組で「名前が機械的で冷たい。至急元に戻し、考え直す必要がある」と述べた。
 れでも与党の対応は、制度開始直後に保険料アップが集中的に批判されたことへの修正策に多くを費やす。厚生族の間には「75歳以上を独立させる案は、10年以上議論した末に決めた結論」との思いが強い。
 与党は3日、全員が一定額を一律に負担する「均等割り」について、年金収入が基礎年金水準(年間80万円)の場合は保険料を9割軽減するなど、保険料の負担軽減策で合意した。また、国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行して、保険料がどのように増減したかの全国調査も、先週の発表予定が遅れた。「沖縄だけ保険料が上がっている」(自民党幹部)ことから一時、8日の沖縄県議選の後に先送りする案が浮上したためで、目先の取り繕いが目立つ。
 こうした与党の対応には厚労省内からも「批判は制度の本質に向いているのに、与党はずれている」(幹部)との不安が漏れる。与党が検討する軽減策をすべて実現するには、最大3000億円が必要なのに、財源措置は未定だ。
 ただ、野党も展望は描けていない。廃止法案は、多数を握る参院で可決し、衆院で与党を揺さぶることに狙いがあり、そもそも成立する見込みは薄い。老健制度に戻す場合の財源も不明だ。民主党は対案として全医療保険を一元化する案を検討し始めたが、一元化案は「現役の負担が増え過ぎる」として、政府内の議論で既に6年前に否定されている。
 
 ■ことば
 ◇均等割りと所得割り
 後期高齢者医療制度の保険料は、原則として加入者数に応じて1人当たりいくらと決められ、全員が一定額を一律に負担する「均等割り」と、年金収入が153万円を超す人から、収入に応じた金額を徴収する「所得割り」の合計額で計算される。

◆2008/06/04 「後期高齢者医療制度:廃止法案・参院委審議(詳報」)
『毎日新聞』 2008年6月4日 東京朝刊
 http://mainichi.jp/select/science/news/20080604ddm005010009000c.html
 
 野党4党が提出した後期高齢者医療制度廃止法案をめぐる与野党の論戦が3日、参院厚生労働委員会で始まった。与党が制度を説明しながら野党に対案を求めたのに対し、野党は「混乱を止めるためにはいったん戻すことだ」と繰り返した。
 ◇老健制度に戻せ−−民主・福山氏
 ◇10年議論したが−−自民・尾辻氏
 ◆後期高齢者医療制度
 尾辻秀久氏(自民) 一番大きい批判は「年齢で線引きするのは差別だ」というものだ。75歳という年齢がいけないのか、線を引くことが差別なのか。
 桜井充氏(民主) 医療現場からすると、75歳で区切らなければいけない理由がまったく分からない。
 尾辻氏 公費を全体につぎ込むのか、75歳以上で線を引いて特につぎ込むのかの議論だ。保険で成り立たないところに思い切って税金をつぎ込むために独立方式を選んだ。所得の低い皆さんへの配慮が不十分だったことは反省点だ。
 舛添要一厚生労働相 与党の見直しの結果を踏まえて、政府・与党一丸となって対応していきたい。
 山本博司氏(公明) 高齢者に配慮した準備や説明の不足は反省すべきだが、目指す方向は高齢社会を見据えており、運用改善をすべきだ。野党は無責任な態度だ。
 
 ◆旧老人保健制度
 尾辻氏 民主党は「老健制度は廃止」と言ってきた。一度戻すという法案だが、制度の評価を変えたのか。
 福山哲郎氏(民主) 一度戻すことが重要。新制度の提示を含めて考えないといけない。老健制度の評価は変わっていない。
 尾辻氏 老健制度には三つの「不」がある。勘定が不透明、拠出金がどこまで増えるか分からない、市町村が節約努力をしているのか不信の三つ。
 大塚耕平氏(民主) 同様の認識だ。しかし、問題は医療のあり方だ。戻したうえで、老健制度が持つ医療制度の問題点是正に全力を尽くしたい。
 尾辻氏 与野党で10年間議論した揚げ句の「緊急避難」とは分かりにくい。
 鈴木寛氏(民主) 国民が求めるのは医療費削減至上主義を撤回し、議論をやり直すこと。必要なところに真水を投入する議論が必要だ。
 
 ◇医療保険一元化−−民主・桜井氏
 ◇財源はどうする−−自民・西島氏
 ◆民主党対案など
 西島英利氏(自民) 民主党の対案は桜井氏がとりまとめていると聞いたが。
 桜井氏 我々が政権を取れば医療保険の一元化に向け走り出す。無駄遣いを洗い出していくことが大事だ。
 西島氏 無駄を全部足し合わせてもまかないきれない。消費税論議をしないといけないが、民主党は全部基礎年金にあてると言っている。現実には4兆数千億円の老人医療費が消費税から出ているが、財源はどうするのか。
 桜井氏 今後国民にどれぐらい負担をお願いできるか検討しないといけない。

◆2008/06/05 「後期高齢者医療制度廃止法案、参院委で可決」 キャリアブレイン
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16426.html

 民主、共産、社民、国民新の野党4党が提出した「後期高齢者医療制度廃止法案」は6月5日、参院厚生労働委員会で、岩本司委員長(民主)が同日に採決を行うことを職権で決めたことに反発した与党側が欠席する中、野党の賛成で可決された。6日の参院本会議で可決、衆院に送られる見通し。
 委員会の冒頭、自民、公明両党は岩本委員長の不信任動議を提出したが、野党の反対多数で否決された。与党側は退席し、午前中の参考人質疑、午後の締めくくり質疑と採決を欠席した。
 更新:2008/06/05 19:54   キャリアブレイン

◆2008/06/07 「後期高齢者医療制度:不満と不安、浮き彫り 「困る」4割超−−民医連調査 /京都」
『毎日新聞 2008年6月7日 地方版
 http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20080607ddlk26010642000c.html

 後期高齢者医療制度について、京都民医連は6日、加盟医療機関などを受診する75歳以上の高齢者を対象にした実態調査の結果を発表した。回答者の41・1%が「制度開始で困ったことがある」とし、53・7%が「保険料の天引きは困るのでやめてほしい」と答えるなど、制度への根強い不満と将来への不安が浮き彫りになった。
 4月15日〜5月末、病院・診療所などの職員による聞き取り方式で調査。患者や保険薬局の利用者ら計387人が回答した。
 制度の内容については「知っていた」が60・5%に上ったが、37・2%が依然「知らなかった」と答えた。「送られてくる書類も目が悪く読めない」などの声もあり、京都民医連は「行政が十分な時間と人をさいて制度を理解してもらうことが必要」と指摘している。
 具体的な「困ったこと」としては、「天引き」に関する不満や不安が目立った。「夫婦それぞれで天引きされたら生活していけない。なるべく医療機関にかからないようにしようと思う」との戸惑いや、「新しい制度に連動して私たちの生活が変わっていくような気がして恐ろしい」といった声もあった。
 京都民医連は「高齢者の医療費削減」を目的とした制度自体が高齢者に「さびしい気持ち」を広げているとも分析。「保険収納率の向上を図るとした行政の一方的な理由はほとんど受け入れられていない」と指弾している。【武井澄人】

立岩 真也 2008/06/09 「節約への熱情について」,『京都新聞』2008-6-9夕刊:2 現代のことば,

◆2008/06/10 「与党PTが後期医療制度の改善案」 キャリアブレイン
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16531.html

 与党の高齢者医療制度に関するプロジェクトチームは6月10日、低所得者の保険料負担を軽減することなどを盛り込んだ「高齢者医療の円滑な運営のための負担の軽減等について」と題する文書をまとめた。
 保険料の新たな軽減措置は、▽後期高齢者医療制度の被保険者全員が年金収入80万円以下の世帯については、一律に支払う「均等割」を現行の7割軽減から9割軽減にする▽年金収入が210万円以下の人について、所得に応じて負担する「所得割」を50%程度軽減する―などの内容で、来年度から実施する。
 また、年金からの保険料徴収は、国保の保険料を確実に納付していた本人、世帯主や配偶者など連帯納付義務者がいる年金収入180万円未満の人からの申し出により、口座振替による納付に切り替えるようにする。
 このほか、4月の診療報酬改定で新設された「後期終末期相談支援料」については、当面の凍結も視野に中央社会保険医療協議会(中医協)で議論し、これを踏まえて必要な措置を速やかに取るとしている。「後期高齢者診療料」についても、中医協で具体的な検証作業に速やかに着手するとした。
 更新:2008/06/10 22:29   キャリアブレイン

◆2008/06/11 「高齢者医療制度、保険料肩代わり容認」
『読売新聞』2008年6月11日 読売新聞
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20080611-OYT8T00220.htm

 収入180万円未満も与党改善案発表
 
 75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の見直しに関し、与党の作業チームは10日、低所得者の保険料負担軽減や保険料納付の肩代わり容認など、改善案を決めた。政府・与党は12日にも正式決定する。
 この日新たに決まったのは、保険料の支払いについて、年金からの天引きと口座振替との選択ができる加入者の基準。具体的には、同制度導入まで入っていた国民健康保険(国保)で、保険料の滞納がなかった人については、本人の口座からの振替も認める。年金収入が年180万円未満の人についても、世帯主や配偶者の口座から引き落とすことができるようにもする。いずれも本人の申し出に基づく措置とする。
 また、同制度と関係ない65〜74歳の国保加入者約350万人についても、国保保険料の年金天引きが始まったことを踏まえ、滞納がなければ口座振替との選択を可能にする。
 一方、保険料を1年間滞納した場合に保険証に代わり交付される資格証明書については、窓口での医療費自己負担がいったん全額となって負担感が重いため、「相当な収入があるにもかかわらず納めない悪質な人」に限って交付するとした。「相当な収入」について、作業チーム幹部は「年収1000万円程度」とし、方針を徹底するため、厚生労働省が各都道府県の広域連合に通知するとした。

◆2008/06/13 「後期高齢者医療制度、見直し策決定」
『読売新聞』2008年6月13日 読売新聞
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20080613-OYT8T00282.htm?from=nwlb

 政府・与党は12日、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の見直しに関する協議会を首相官邸で開き、低所得者の保険料負担軽減の拡大や保険料納付の肩代わり容認を柱とした改善策を正式決定した。
 必要な財源は今年度が560億円、来年度以降は毎年330億円。今年度分は補正予算で対応するとみられるが、財源が焦点となる。
 
 後期高齢者、改善策 保険料の軽減拡大、天引き見直しも
 政府・与党が12日に決定した後期高齢者医療制度の改善策の柱は、保険料の負担軽減の拡大と、保険料の年金からの天引きの見直しなどだ。
 保険料軽減策では、今年度は、年金収入が年168万円以下の人は10月から半年間、保険料徴収を凍結する。この結果、保険料のうち定額負担の「均等割」は実質8割5分の減額となる。対象者は約470万人で、費用は約300億円。来年度以降は、同80万円以下の人について均等割を9割減額とするため、適用対象は約270万人となる。費用は約230億円。
 比較的所得が多い同153万円超〜210万円以下の人も、保険料のうち所得に比例して負担する「所得割」の減額措置を新設。今年度は、所得割の一律50%減額の実施の可否は、各広域連合の判断に委ねる。減額措置は来年度から本格実施され、減額割合は50%程度を目安に各広域連合が所得別に設定する。約90万人が対象で、約100億円かかる。
 来年度からは、国民年金モデル額(80万円)以下の低所得者に9割減額を適用し、月額保険料は軽減策導入前と比べ、全国平均で約700円安い350円程度となる。年金収入が年201万円の平均的な厚生年金受給者が所得割の50%減額を受けた場合、月額保険料は軽減策導入前と比べ、全国平均で約1500円安い4300円程度になる計算だ。
 厚生労働省は、新たな軽減策導入で、国民健康保険の保険料と比べ、保険料が減少する世帯割合は全体で導入前より6ポイント増の75%となると推計している。
 保険料の年金天引きは原則維持するが、年金収入が年180万円未満の人は世帯主や配偶者の口座から引き落とせるようにする。国民健康保険で、保険料の滞納がなかった人は本人の口座からの振替も認める。いずれの措置も本人申請が必要。実施時期は早くても今年10月以降と見られる。
 
 「駆け込み決着」課題多く 財源論置き去り
 政府・与党が後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の改善策を決定したのは、福田首相が見直しを指示してから1か月半後の12日だった。13日に2度目の年金からの保険料天引きが行われることをにらみ、その前日に「駆け込み決着」した感も強く、積み残した課題は多い。〈本文記事1面〉
 制度には自民党内でも、「姥(うば)捨て山だ」(堀内光雄・元総務会長)などといった抜本的な見直し論が強かったが、党執行部は11日の厚生労働関係合同会議、12日の総務会で改善策の了承にこぎつけた。谷垣政調会長が制度を公然と批判していた議員らと事前に会談、「(天引きのある)13日までにまとめられなかったら、首相は立っていられない」と政権の危機を訴えたことが奏功した面もある。
 ただ、総選挙に向け、制度凍結を求める声はなおくすぶる。「75歳以上」で区別する制度の根幹に対する疑問に、今回の改善策が対応していないからだ。
 また、財源の議論は置き去りにされたままだ。町村官房長官は12日の記者会見で、今年度の措置に必要な560億円に関し、「何とか対応できる」と語るのみだった。首相は12日、社会保障費を毎年度2200億円抑制する方針を堅持する考えを改めて表明しており、財源を巡り、政府・与党のせめぎ合いが予想される。
 
 後期高齢者医療制度の主な改善策
  【保険料軽減】
 ・今年度は、年金収入が年168万円以下の人は10月から半年間、保険料徴収を凍結し、保険料の「均等割」を実質8割5分減額
 ・来年度以降は、同80万円以下の人は9割減額。同210万円以下の人は保険料の「所得割」を50%程度減額
 ・軽減しても保険料を支払えない人は、個別に減免
 
 【保険料徴収】
 ・〈1〉年金収入が年180万円未満で、口座振替できる世帯主または配偶者がいる〈2〉国民健康保険(国保)の保険料の滞納がなかった――人は、申し出により、年金天引きでなく、口座振替の選択も可能に
 ・65〜74歳で国保に加入する世帯主も、滞納がなければ選択可能に

 【診療報酬】
 ・「終末期相談支援料」は当面凍結を含め、取り扱いを中央社会保険医療協議会(中医協)で議論
 ・「後期高齢者診療料(かかりつけ医)」も中医協で速やかに検証作業に着手

 【資格証明書】
 ・相当な収入があるにもかかわらず保険料を納めない悪質な人に限り交付

 【検討課題】
 ・保険料の年金天引きの対象要件(年金収入が年18万円以上)の引き上げ
 ・70〜74歳の医療費窓口負担の1割据え置き措置、会社員の被扶養者の保険料負担軽減措置の延長

◆2008/06/17 「後期高齢者医療:人材派遣健保組合の医療費支援金が急増」
『毎日新聞』 2008年6月17日 17時56分
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080618k0000m010016000c.html

 政府は17日、後期高齢者医療制度の発足に伴い、人材派遣健康保険組合(約48万人)の75歳以上の医療費に対する08年度の支援金が、前年度より3.57倍の223億8094万円に急増したとする答弁書を閣議決定した。民主党の山井和則衆院議員の質問主意書に答えた。
 旧老人保健制度では、各組合の老人加入率に応じて老人医療費の拠出金を算定していた。このため、老人加入率が低い人材派遣健保は拠出金が少なくてよかったが、後期高齢者医療制度では組合員数の頭割りに変わり、負担が急増した。同健保の年収に占める保険料率も1.506ポイント増の7.468%(使用者負担分含む)に増えた。【堀井恵里子】


◆2008/06/20 「国立病院における後期高齢者終末期相談支援料の算定状況について」 厚生労働省保険局医療課
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-10.html

 国立病院における後期高齢者終末期相談支援料の算定状況について
標記について、下記のとおり取りまとめましたので、お知らせいたします。



1. 調査の概要
(1) 調査項目
平成20年4月診療分の診療報酬請求における後期高齢者終末期相談支援料の算定件数
(2) 調査対象
国立高度専門医療センター及び独立行政法人国立病院機構の病院

2. 調査結果の概要
国立高度専門医療センター 0件
独立行政法人国立病院機構 0件

※調査結果の詳細は別紙参照


◆2008/06/22 「【論壇時評】7月号 論説委員・小林毅 袋小路を抜け出せるか」 MSN産経ニュース
 http://sankei.jp.msn.com/culture/books/080622/bks0806220936006-n2.htm

 後期高齢者医療制度」批判がとまらない。与党は衆院補選、沖縄県議選での相次ぐ敗北を受けて見直し案をまとめ、野党は制度廃止法案を国会に提出した。しかし、議論は高齢者の負担をどうするかに集中し、少子高齢社会での医療の姿といった問題は置き去りにされている。
 袋小路に入った感さえある後期高齢者医療制度だが、諏訪中央病院名誉院長・鎌田實の「老人を嘲笑(あざわら)った福田総理へ」(文芸春秋)が、この問題に別の視座を加えている。 鎌田は長野県茅野市などで地域住民に食事指導から要介護老人のデイ・ケア、ホスピスまで一貫したシステムづくりに取り組んでいる。その結果、今では同市の1人当たり年間医療費は全国平均より約7万円、老人医療費は20万円以上安い。
 その鎌田が、批判の多い今回の制度の中で見つけた「おもしろい仕掛け」というのが、かかりつけ主治医を1人選び、月600円の自己負担で何度でも検査や処置を受けられる高齢者担当医制度だ。 鎌田は保険証だけで、どの医療機関でも受診できる「フリー・アクセス制」と「出来高払い制」が大病院の過重労働を招き、検査・投薬の重複でむだな医療出費を誘発した面がある、と指摘する。
 担当医制度は実際の治療費に関係なく、請求額は一定なので粗診粗療がはびこるとの指摘もあるが、機能すれば、茅野市が推進した継続医療システムにつながるだけでなく、現行制度の問題点を改善し、長期的な医療費抑制も期待できるという。
 後期高齢者医療制度で猛反発を受け、政府が廃止検討に入ったものに「終末期相談支援料」もある。回復困難な患者に生存期間などを説明した上で、延命治療の有無を確認したら医師に報酬を払う仕組みだ。
 医師で作家の久坂部羊は、廃止検討を「コストのかさむ終末期医療の抑制であると見抜かれ」「重要な診療行為を評価する機会をつぶした」(「現代医療神話に取り憑(つ)かれるな」中央公論)と嘆くが、鎌田は「かかりつけ医が二〜三年をかけて、その方の人生観などを聞きながら(略)、最期までかかりつけ医として支えてあげればいい」とし、担当医制度で対応できるという。
 鎌田は、後期高齢者医療制度自体は「ふざけた制度」と激しく批判している。それでも、その中にある「新しいチャレンジ」が日本の医療風土にあうのかあわないか、やってみるべきなのだと説いている。
 福田康夫首相が、熱心に推進している政策に消費者庁の設立がある。「話題のテーマに賛否両論!」(Voice)が、この消費者庁を扱った。賛成側は衆院議員・後藤田正純、反対側は慶大教授・岸博幸だ。
 消費者保護の重要性に加え、企業不祥事の続出、霞が関の縦割り機構の弊害など、消費者庁の必要性には事欠かず、反対しにくい雰囲気がある。しかし、岸が挙げた(1)各省庁の消費者行政ルールの検証が必要(2)官僚の悪乗りと暴走を許すな(3)日本をお上頼みの甘えた社会にするな−の論点は無視してよいものではない。「行政組織は一度つくられると肥大化する」(岸)ものだからだ。
 同時に、官僚は規制すべき事例を見逃すと自身の責任を問われるため、“拡大解釈”に走りがちになる。これが積み重なると本来の目的を逸脱しかねない。実際、「必要最低限の規制」として制定された法律が、同様のプロセスで肥大化し、法が守るべき対象を逆に圧迫した例は多い。消費者庁は強い権限を持つ。チェックし、抑制する仕組みの整備を忘れてはならない。=敬称略

◆2008/06/23 「読む政治:士気低下…漂流する厚労官僚 今や「負担増の伝道者」」
『毎日新聞』2008/06/23 東京朝刊
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080623ddm003010150000c.html

 ◇「大学教授に」転身願望広がる
 年金記録漏れ問題に続き、後期高齢者医療制度でも厳しい批判を浴びた厚生労働省の官僚たち。今後は国家プロジェクトと言うべき医療、年金、介護の総合的な社会保障政策の立案を担わねばならない。ところが官僚たちは社会保障も聖域としない小泉改革の継承と、少子高齢化による必然的な負担増のはざまで方向性がつかめず、漂流している。省内には早めに退職して大学教授になろうという転身願望も広がる。厚労官僚の今を報告する。

 ◇「与党批判」に喝采
 首相問責決議が可決された11日の夜、首相を囲む有志議員の会が開かれた。福田康夫首相の激励が目的だったが、実は首相にとっては極めて不愉快な出来事が起きていた。
 首相が会場に到着する前、松浪健太・厚労政務官は「後期高齢者医療制度 与党PT案の問題点」と題するA4判のペーパー2枚を出席者に配った。
 「将来世代の負担に歯止めをかけるために制度を導入しながら、今年だけで(負担軽減策で)560億円ものツケを(国民に)負わすのは本末転倒だ」
 そこには与党があわてて作った「低所得者の保険料9割軽減」を柱とする見直し案への批判が並んでいた。
 首相と親しい衛藤征士郎衆院議員が回収を求めた。松浪氏は渋々応じたものの、遅れてきた首相にはペーパーを直接、手渡した。
 首相は無表情に「読んでおきます」と言っただけだった。
 松浪氏の直訴に官僚たちは、自分たちの気持ちを代弁してくれた、と喝采(かっさい)を送った。
 今、省内では大学教師への転職願望が広がっている。04年以降、大学教師に移った幹部は少なくとも11人。局長手前の審議官クラスにあたる78年入省組はキャリア組15人のうち、既に5人が大学教授に転じた。将来の次官候補と言われる若手官僚の中にも、「先生の職を探したい」と口にする人が複数いる。
 医事評論家の水野肇氏は「かつて大学に行くのは将来的に組織の主力になる人ではなかった。今や、一番優秀なのが教授になりたがる」と憂える。

 ◇「弱者の味方」が…
 96年末に大物官僚と言われた岡光序治厚生事務次官(当時)による収賄事件が起きた。
 04年には年金などの保険料を、福祉施設から職員の練習用ゴルフボール代にいたるまで、約6兆円流用していた事実が発覚。その後も国民年金保険料の不正免除、年金記録漏れなどと信用を失墜させる不祥事が次々と明るみに出た。
 ただ近年の士気低下は、むしろ被害者意識に基づいている。それは消費税率引き上げを封印し、年間2200億円の社会保障費抑制を打ち出した小泉改革路線と無縁ではない。
 後期高齢者医療制度とセットで出されたのが、高齢者の長期入院施設、療養病床を6割減の15万床に減らす方針だ。厚労省は入院不要の患者もおり15万床まで減らすことが可能だと説明し、結果的に3000億円が圧縮できると試算した。
 ところが、当時保険局に財務省から課長補佐として出向していた村上正泰氏は、中央公論3月号で「医療費削減ありきだった」と暴露。3000億円削減のために療養病床をどれだけ減らすか、というつじつま合わせをしたというのだ。
 当時、保険局にいた幹部は「マイナスシーリングの予算を作るのが最優先。哲学はその次になった」とこぼす。
 04年の年金改革。厚労省は年金に「マクロ経済スライド」を導入した。従来は、物価が1%上がれば年金も1%増えた。だが、同スライドでは物価が1%増でも年金は0・1%しか増えない。
 改革に関与した元幹部は「物価がどんどん上がったらどうなるのか。弱者の側に立つ厚生官僚として、私はやってはならない政策に手を染めた」と話す。
 以前は族議員と組んで、増えるパイを利害が対立する関係者に配分するのが主な仕事だった。低成長の今、給付カットという我慢をだれに強いるか、その説得が中心となった。

 ◇「役所の殻」破れず 細りゆく現場感覚
 削減を強いられる中で、現場感覚がますます先細ってしまったのではないか。
 「こんなことを書いてだれが喜ぶか。当事者の身になってみろ」
 4月9日、国会内で自民党の尾辻秀久参院議員会長は、保険局担当の官房審議官ら幹部に声を荒らげた。
 後期高齢者医療制度には、患者の病状急変時の治療方針を文書化すれば、医師に報酬が出る「終末期相談支援料」が新設された。
 厚労省が持参した説明文には、75歳以上の人に関して「避けることができない死を迎える」と書かれていた。尾辻氏が怒ったのは、3月末にその表現を削除するように注文したにもかかわらず、官僚が無視したためだ。
 関係した官僚は「高齢者とて、自らの死は直視できないという想像力に欠けていた」と反省の弁を口にする。しかし、その感覚の鈍さが保険料の年金天引きに如実に表れた。
 後期高齢者医療制度で保険局は「低所得者は保険料が下がり、高所得者は上がる」と説明。ところが、低所得者の方が負担増となった割合が多いと分かった。自治体に調査さえしなかったためだ。
 保険、年金両局は次官への登竜門となる部署だ。社会保険庁という現場の実動部隊を持ち、仕事の中心は制度設計。「現場を知らないのがエリート」という思い違いを生んだ。
 旧厚生省はエイズや肝炎などの薬害を引き起こした。その反省は省全体の共通認識になかなかならない。保険、年金両局の文系エリートは「薬は技官の世界の話だ」と対岸の火事を決め込む傾向があるからだ。

 ◇「昔のままの感覚」
 福田首相は17日、消費税増税の必要性をにじませた。一方、翌18日、津島雄二党税調会長は「首相は税制は頭に入れず、政策をどんどん打ち出すのがいい」と増税には否定的な見解を示した。選挙を控えた福田自民党政権の方向性も定まらない。
 70年度には国民所得の5・8%に過ぎなかった社会保障給付費は、25%近くに達した。旧厚生省の掌中にあった社会保障の制度設計は、税制論議を軸にした大きな政府か小さな政府かという、国家のあり方の議論なしに成り立たなくなった。
 「これだけ社会保障は大きくなったのに、感覚は昔のまま。みな、その溝を埋められずにいる」。あるOB官僚は漂流感が生まれるのは、役所だけで完結できない限界を感じているためだという。
  ◇ 「読む政治」は吉田啓志、堀井恵里子、佐藤丈一が担当しました。毎日新聞 2008年6月23日 東京朝刊


◆2008/06/24 「後期高齢者医療制度の撤廃求め街頭行進 神戸」
『神戸新聞』2008/06/24
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001167588.shtml

 四月に始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の撤廃を求め、県内の高齢者ら約百五十人が二十三日、神戸市中央区の繁華街を練り歩いた。参加者は「異議あり 後期高齢者医療制度」と書かれた色とりどりの風船を手に、同制度の問題点を訴えた。
 兵庫高齢・退職者連合と県労働者福祉協議会などの主催。同制度の対象となる七十五歳以上が約三分の一を占めた。
 参加者は元町商店街や大丸前、元町駅前などを行進。「議論不足の制度撤廃を」などと抗議の声を上げ、通行人から拍手が起きる場面もあった。同制度に移行した高齢者からは「今は緩和措置があっても、いずれ保険料が値上げされるのは目に見えている」などの不満も聞かれた。
 同連合の浜上力会長(74)は「戦後の日本を築き上げた育てた世代をなぜ分断するのか。年金の管理もできないのに、年金から天引きする制度も許せない」と話していた。(石沢菜々子)

◆2008/06/25 「答申書(後期高齢者終末期相談支援料等の凍結について)」 中央社会保険医療協議会
 
  平成20年6月25日

 厚生労働大臣
 舛 添 要 一 殿

 中央社会保険医療協議会
 会 長 遠藤 久夫

 答 申 書
(後期高齢者終末期相談支援料等の凍結について)

 平成20年6月25日付け厚生労働省発保第0625001号をもって諮問のあった件について、下記の通り答申する。

 記

1.後期高齢者終末期相談支援料は、社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会において取りまとめられた「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」(平成19年10月10日)や、同著議会医療保険部会・医療部会において取りまとめられた「平成20年度診療報酬改定の基本方針」(平成19年12月3日)に基づく診療報酬の改定を行うべきとの厚生労働大臣からの諮問を受け、本協議会において真撃な議論を重ね創設したものであり、終末期における診療方針等について、患者本人、家族、医療従事者とが十分話し合いを行い、その内容を文書等にまとめた上で患者に提供することを評価したものである。
 この相談支援料は、患者が、本人の納得のいく診療方針で、尊厳と安心をもって充実した環境の中で残された日々を過ごすことができるようにすることを目的としたものである。医療費の抑制を目的とするものでないことはもちろんのこと、患者に対して意思の決定を迫るようなものではなく患者の自発的な意思を尊重するものであるにも関わらず、その趣旨・内容 が国民に十分周知されず、国民に誤解と不安を与え、その結果として、算定凍結の措置を講ずるに至ったことはやむを得ないこととはいえ、誠に遺憾である。

2.本協議会では、診療報酬改定後のしかるべき時期にその実施状況等について調査・検証を行い、必要があれば見直しを行うということを基本としている。そのような中で、必要な調査・検証が行われないままに、凍結との諮問が行われたことは、極めて異例なことであると言わざるを得ない。
しかし、本協議会としては、相談支援料に対する誤解とそれに基づく不安がある現状において、相談支援料の算定をこのまま継続することは、当初の相談支援料の意図の実現が十分に期待できない可能性があるとの判断をした。
 今回の措置は、このような特別な事情に基づき実施するものであり、確固としたエビデンスと検証を踏まえて十分に議論した上で対応するという、これまでの診療報酬改定の基本的な考え方を変更するものではないことを確認する。 
なお、本協議会としては、国民の誤解と不安を解消するとともに、終末期における情報提供と相談支援に関する実態について情報収集や検証等を早急に行い、その結果を踏まえ、算定の再開を含めた総合的な議論をしたいと考えている。

3.今回の措置は、国民の理解を得るための努力不足がその大きな原因となっている。厚生労働省は、再びこのようなことが起こることのないよう、診療報酬改定を行うに当たっては、その趣旨や内容を国民に対して十分に説明するものとするほか、誤解を生じさせるような指摘等に対してはしっかりとした対応をとることを強く望むものである。また、これを契機として、終末期医療について開かれた国民的議論が行われるよう望むものである。



◆2008/06/25 「後期高齢者終末期相談支援料:延命治療の相談料、来月から凍結了承――中医協」
『毎日新聞』2008年6月25日 東京夕刊
 http://mainichi.jp/select/science/news/20080625dde001010029000c.html

 終末期を迎えた75歳以上の患者に、医師が「容体急変時に延命治療をするかしないか」などをあらかじめ相談し、治療方針を文書にすると算定できる診療報酬「後期高齢者終末期相談支援料」(2000円)について、舛添要一厚生労働相は25日、厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)に凍結を諮問した。7月からの凍結が了承された。ただ、厚労省は今後、対象を後期高齢者に限らず成人患者全般に広げる考えで、舛添氏も中医協で「年齢を問わず終末期医療を考えた方がいい」と述べた。
 同支援料は、終末期の患者が意識を失って意思を確認できなくなった場合に備え、事前に本人に「人工呼吸器は装着しない」などの意向を確かめ、記録しておくことにより、医師に報酬が出る仕組み。
 今年4月、後期高齢者医療制度の発足に伴って導入されたが、野党などは「延命治療の手控えにつながる」「医療費削減ありきだ」と廃止を主張。対象を75歳以上だけに限った方法については与党からも批判が相次いだため、政府・与党は12日にまとめた同医療制度の見直し策に、同支援料の凍結などの検討を中医協に促すことを盛り込んでいた。【佐藤丈一】

◆2008/06/25 「「終末期相談支援料」3か月で凍結」
『読売新聞』2008年6月25日
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20080625-OYT8T00453.htm

 舛添厚生労働相は25日午前の「中央社会保険医療協議会」(中医協、遠藤久夫会長)総会で、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)導入に伴って4月から開始した新たな診療報酬「終末期相談支援料」について、7月1日から運用を凍結するよう諮問した。中医協は諮問通り答申することを決めた。
 舛添氏の諮問に対し、総会では委員から、「厚労相から支援料を設けるよう諮問を受けて答申したのに、ハシゴを外されたようなものだ」「あしき前例になる」などの反対意見が出た。舛添氏は「参院で通った後期高齢者医療制度廃止法案は大変重い。無理な審議(諮問)だと(分かって)お願いしており、異例なことだ」と理解を求めた。
 同支援料を巡っては、野党や一部の患者団体が「患者が望む延命治療を医療費抑制のために打ち切ることを狙っている」などと反発。政府・与党は今月、同制度の改善策として、「当面凍結を含め、取り扱いを中医協で議論し、速やかに必要な措置をとる」と決めていた。支援料は、4月の運用開始からわずか3か月でストップする異例の展開となる。

 終末期相談支援料 医師が回復の見込みが薄いと判断した患者について、人工呼吸器を付けるかどうかなどに関する診療計画を患者と相談し、本人の同意を得て文書や映像に記録した場合、医療機関に患者1人当たり2000円の診療報酬が支払われる。後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の一環で、75歳以上の患者が対象。
 入院中の患者については、連続して1時間以上にわたり話し合いを行った場合に限り、診療報酬を支払うとしている。


◆20008/06/25 「後期高齢者医療制度:県民主医療機関連合会アンケート 不評くっきり /福井」
『毎日新聞』2008年6月25日 地方版
 http://mainichi.jp/area/fukui/news/20080625ddlk18010709000c.html

 ◇「保険料安くなった」6%、「天引きやめて」39%
 県民主医療機関連合会が、県内の加盟病院や介護施設を利用する75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度のアンケートで、「保険料が安くなった」との回答は6%に留まった。今月4日発表された厚生労働省調査の「7割で負担減」とする結果とは、大きくかけ離れている。
 アンケートは4月1日から実施。全日本民主医療機関連合会参加の組織が全国一斉に同様の調査を6月末まで行うが、「制度廃止法案が議論されているさなかに」と中間報告した。
 今月12日までに回答を得たのは300人。保険料が高くなったと回答した人は、「安くなった」の6倍以上となる39%に上った。厚労省の調査について、県民主医療機関連合会は「全員が資産を持っているとした前提や、負担増となる可能性の高いモデルを計算から省くなどしているためだ」と疑問視した。
 また、制度の内容については、41%が「知らなかった」と回答。保険料の天引きは「困るのでやめてほしい」との回答が全国調査で過半数を占め、県内でも39%に上った。「お金のかかる付き合いを減らし、外出が少なくなった」「食費を切りつめて対応している」など、生活への影響を訴える声も多かった。【高橋隆輔】

◆2008/06/25 「半数以上が「負担増えた」 中信地区で後期高齢者医療制度調査」
『中日新聞』2008/06/25
 http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20080625/CK2008062502000017.html?ref=rank

 中信地方の22の病院、福祉施設が加盟する県民主医療機関連合会中信地域連絡会は24日、75歳以上を対象に今年4月から始まった後期高齢者医療制度について、同地方の高齢者を対象に実施したアンケート結果を発表した。半数以上が、保険料負担が「以前より増えた」と答え、年金からの保険料天引きを「やめてほしい」と考えていることが分かった。
 アンケートは同制度の問題点を調べようと同連絡会が実施した。4月から6月にかけて松本、塩尻、安曇野市など中信地方の住民約1万2000世帯にアンケートはがきを配布。約1300件の回答が寄せられ、うち75歳以上の663件についてまとめた。
 保険料が以前に比べ「高くなった」と答えた人の割合は52・9%で、「安くなった」の6・9%を大きく上回った。
 また年金から保険料を天引きされることについて「困る、やめてほしい」が55・7%と反発が強いことが分かった。また39・4%が同制度の内容を「知らなかった」と答え、制度の周知不足が露呈した。
 また制度開始で困っていることを自由に記述する項目では、「少ない年金から引かれ生活に困る」「今の状況はうばすて山だ」「死にたいと思うことがある」などと不安や怒りの声が並んだ。 同会はアンケート結果から、「高齢者に『死にたい』と言わせるこの制度に疑問を抱かざるを得ない。制度の廃止を要求する」と結論づけた。
 (坪井千隼)

◆2008/06/25 「唐突な国保料アップ、不満が噴出 「後期医療」の余波」
『神戸新聞』2008/06/25
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001169246.shtml

  兵庫県内各地で、二〇〇八年度の国民健康保険(国保)の保険料が通知される中、七十五歳以上が後期高齢者医療制度(長寿医療制度)へ移行したことなどに伴い増額となる自治体が相次いでいる。窓口には負担が急増した住民からの問い合わせが殺到するなどし、説明のない突然の増額通知に不満が噴出している。
 神戸市内で妻と暮らす男性(69)は今月中旬、市から届いた保険料の通知を見て目を疑った。昨年度は年間約二十四万円だった保険料が二割増の三十万円近くに上がっていた。「これだけ負担が増えたのに説明がない。一方的すぎる」と憤る。
 神戸市には、通知が届き始めた十七-二十日の四日間だけで計一万四百八十六件の問い合わせがあった。長田区役所では最多で一日四百人が窓口に殺到。電話相談も加わり、担当者は「複雑な仕組みの説明で閉庁時間後も対応に追われた」という。
 国保料アップの背景には、六十五-七十四歳の前期高齢者が増えるなど高齢化に伴う医療費の増加がある。加えて、同医療制度との関連では、国保の加入者数の大幅減▽夫婦の片方だけが同医療制度に移行した世帯への緩和措置実施▽同医療制度への支援金-などがあげられる。
 神戸市は「同医療制度だけでなく、医療改革全般の財政調整の結果」と説明。保険料算出時の均等割と世帯割の比較だけで、一加入者あたり年間計約九千円の増額となった。他市町でも、「例年より大幅なアップになった」(姫路市)、「十年ぶりに保険料を上げざるを得なかった。加入者平均で年八千五百円増」(明石市)などとなり、窓口には住民からの相談が相次いだ。
 神戸学院大大学院の品田充儀教授(社会保障法)は「国保加入者に多い前期高齢者の負担が増えている。この世代で二割増は大きく、今後も増額が予想される。七十五歳以上を独立させた同医療制度は早く見直すべきだ」と指摘している。(石沢菜々子)

◆神戸新聞 2008/06/25 「国保料増、障害者ら困惑 後期医療とどちらを選択?」
『神戸新聞』2008/06/25
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001169248.shtml

 国民健康保険(国保)の通知を受け、各自治体の窓口に問い合わせが殺到する中、保険料増額の一因となった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に入るかどうかを選べる六十五歳以上の障害者にも混乱を招いている。兵庫県内では約四千九百人が従来の国保などにとどまったが、国保の保険料通知や国の軽減措置を見て、同医療制度へ移る動きも。障害者からは「制度の中身がよく分からないまま振り回されている」との嘆きが漏れる。
 同医療制度は七十五歳以上が対象だが、一定の障害がある六十五歳から七十四歳までの人は任意加入でき、この間は国保や社会保険(社保)などにとどまることもできる。対象となる障害者は県内で約三万八千人。
 だが「後期高齢者医療制度の保険料見込み額が高かった」「六十歳代で後期高齢者とされるのは納得できない」などの理由で約12%が国保や社保にとどまり、多くが国保という。県内には対象者の約43%が同医療制度を選ばなかった町もある。
 そこへ本年度の国保の保険料通知が届いた。国保を選んでいる神戸市の女性(72)は、保険料値上げや、政府が次々と打ち出す同医療制度の軽減措置に戸惑い、「保険料は安い方がいいが、制度が難しく手続きも面倒」。兵庫障害者連絡協議会(神戸市)の井上義治事務局長(60)は「一連の問題で障害者団体と懇談会を開き、県に申し入れたい」と話す。
 県医療保険課は「どちらを選ぶかは本人の自由意志だが、制度の周知徹底に努めたい」としている。(中島摩子)

◆2008/06/25 「6月25日の中医協」 キャリアブレイン(新井裕充)
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16794.html

 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は6月25日、総会(第130回)を開催し、75歳以上を対象にした「後期高齢者医療制度」の新設に伴って導入した「終末期相談支援料」を7月から一時凍結することを決めた。凍結を求める諮問書の趣旨を説明するため出席した舛添要一厚生労働相に対し、中医協で一度決定したことを覆すことへの批判が委員から相次いだが、舛添厚労相は政治的な状況を踏まえた上での「異例の措置」であることを強調し、凍結の答申を得た。この日、開催を予定していた薬価専門部会(第47回)は時間不足のため、次回に延期された。(新井裕充)

 この日の総会は、会場を厚労省17階の会議室から東京都千代田区の「如水会館」に移して開催。開場2時間前から多数の傍聴希望者が列をつくり、診療報酬改定前のような混雑ぶりを見せた。 冒頭、遠藤会長が「本日、終末期相談支援料に関する諮問の件で舛添厚労相にご出席いただくことになっている。大臣は10時ごろに到着すると聞いているので、あらかじめご了承願いたい」と伝え、議事に入った。
 総会の議題は、▽医療機器の保険適用▽臨床検査の保険適用▽先進医療専門家会議の報告▽終末期相談支援料等の凍結(諮問)▽その他―の5点。
 「医療機器の保険適用」では、新規の機能区分(C1)として、大動脈瘤への血流を遮断するために使用する「ゴアTAG胸部大動脈ステントグラフトシステム」(ジャパンゴアテック社)と、膝関節の機能を代替するために大腿骨側に使用する材料である「ジェネシスUオキシニウム フェモラルコンポーネント」(スミス・アンド・ネフュー オーソペディックス社)を承認。
 このほか、区分A2(特定包括)として医科27件、区分B(個別評価)として医科25件、歯科9件の保険適用を承認した。「臨床検査の保険適用」では、区分E3(新項目)として、アトピー性皮膚炎を主な対象とする「血清中ヒトTARC 量の測定」(塩野義製薬)を承認した。以上の議題について、質問や意見は出なかった。
 「先進医療専門家会議の報告」では、▽多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術▽先天性難聴の遺伝子技術▽フェニルケトン尿症の遺伝子診断▽培養細胞による先天性代謝異常診断▽腹腔鏡下子宮体がん根治術―の5つの先進医療技術について、保険給付との併用を認めることを承認した。
 質疑で、藤原淳委員(日本医師会常任理事)が「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」について、「選定療養のニュアンスが強い」と指摘。混合診療との関係で、先進医療として保険適用する場合の基準をただした。医療課の宇都宮啓・企画官は「これが保険適用されるかどうかは、最終的には中医協での議論」と回答するにとどまった。遠藤会長も「これらはいずれ保険適用されることが前提になっている」と理解を求め、了承された。
 午前9時半にスタートした総会は、以上3つの議題の審議を20分程度で終了。5分間の休憩を入れ、舛添厚労相の到着を待った。

■終末期相談支援料の凍結で議論
 報道関係のカメラが委員の席を取り囲む中、舛添厚労相が10時に入室。患者の家族と医療関係者が終末期の診療方針を話し合って文書にまとめた場合などに算定できる「終末期相談支援料」を凍結する諮問書の趣旨について説明した。
 舛添厚労相は、同支援料が国民から誤解されているとして遺憾の意を示しながらも、国民からの批判を受けて政府・与党が同支援料の凍結を決めたことを強調。これを契機に、終末期医療の在り方が国民的な議論に広がることに期待を寄せながら、「今回の一時的な凍結は(終末期の医療を)大きく羽ばたかせる意味を持っている」と述べ、同支援料の凍結に理解を求めた。 続いて、原徳壽・医療課長が「凍結」の具体的な内容について、同支援料を7月1日から算定できなくなること、6月30日までに同支援料に関する文書などを提供した場合は例外的に算定できることなどを説明した。 質疑では、中医協で一度決定したことを覆すことに対する批判が相次いだ。対馬忠明委員(健保連専務理事)は「こんなことができるなら、3年後、5年後、10年後、いったん中医協で決めたことをエビデンスがないまま凍結することが起きる。(今回の凍結は)あしき前例とならないか」と追及した。
 舛添厚労相は、野党4党が先の通常国会に提出した後期高齢者医療制度の廃止法案が参院で可決されるなど、政治的な状況を踏まえた上での「異例の措置」であることを強調。「民主主義の下では、国権の最高機関である国会の決定は非常に重い。これに勝る権威はない。国会の意思に従わなければならない」と理解を求めた。
 これに対し、「中医協も医療に関しては権威がある」との反論があったが、舛添厚労相は厚労省の広報体制の在り方に問題があったと指摘。「総理も『5つの安心プラン』の中で『厚労省改革をやれ』と言っている。わたしは、広報体制がきちんとできなかったことなどについて、改革の大なたを組織、人事含めてやらなければいけないと思っている」と強い口調で語った。
 午前11時、舛添厚労相が退席した後、同支援料の凍結を認める答申書の原案について議論。「今回の見直し」を「今回の措置」とするなど、委員からの指摘を受けて若干の修正を加えたが、意見がまとまらなかった部分が1か所あったため、会長一任とする形で大筋了承した。
 遠藤会長は「後ほど、修正したものを成文として答申する。皆様のご協力で当日に答申を出すことができた」と謝意を示して、総会は閉会した。
 最後まで議論になった個所は、「誤解を生じさせるような指摘などに対しては(厚労省は)毅然(きぜん)とした対応を取ることを強く望む」とした部分の「毅然とした対応」の表現ぶりだった。この日の午後に厚労省が公表した答申書では、「しっかりとした対応」に修正されている。


◆2008/06/25 「終末期相談支援料の凍結を諮問 後期高齢者医療で中医協に」
『共同通信』 2008年6月25日
 http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062501000226.html

 舛添要一厚生労働相は25日、中央社会保険医療協議会(中医協)に対し、後期高齢者医療制度導入に伴い4月の診療報酬改定で新設された「終末期相談支援料」について、7月から当面の間の「凍結」を諮問した。
 相談支援料は、回復が難しい終末期の治療方針を医師らが患者や家族と話し合い、合意内容を文書にまとめると2000円の報酬が医療機関に支払われる仕組み。
 「延命措置中止の強制につながる」との批判もあり、政府、与党が12日にまとめた新医療制度の運用見直し策では「凍結を含め中医協で議論して速やかに必要な措置をとる」とされていた。
 諮問書は、医療機関からの相談支援料の支払い請求を7月以降は受け付けないとの内容。当面の凍結で、廃止はしない。
 中医協は厚労相の諮問機関で、委員は健康保険組合など支払い側、医師会など診療側、学識者ら公益代表の3者構成。


◆2008/06/25 「長寿を支える@/「食べる力」で元気回復」 医療ルネサンス'08第2部
『読売新聞』2008年6月25日 大阪朝刊1,2面

 「急速な高齢化で、2025年には65歳以上の人口が30%を超える。寝たきりなどの患者も急増している。長寿時代の健康をどう支えればよいか。
  ◇
 東口高志・藤田保健衛生大教授は2000年、三重県の病院に赴任し、入院患者の状態に息をのんだ。約160人の高齢患者の3割以上に床ずれがあった。
 骨折、がんなど入院当初の病気はとっくに治っているのに、院内感染による肺炎などで寝たきりになっていた。その多くは、点滴で栄養補給をしていた。
 「点滴は医療者にとっては楽だが、合併症の危険が高まる。これは病院で作られた病気だ。」
 医師や看護師らによる飲み込む訓練を始め、口からの食事に切り替えていった。約1年後に床ずれの割合は8%に減り、院内感染も3分の1に激減した。多くの患者が退院できた。
 2005年、宮崎県門川町の田中病院を受診した男性(84)は、ボーッとし、家では失禁もしていた。整形外科など5医療機関にかかかり、睡眠剤など十数種類の薬をのんでいた。渡辺正明医師(35)が、薬の種類や量を減らすと、自力でトイレに行き、掃除機をかける日課も始めた。
 管による安易な栄養補給や過剰な投薬が活力を奪う。逆に「食べる力」は高齢者を元気にする。…(1面)
  ◇
「改革へのポイント(2面)
 @「口から食べる」ケアを充実させる
 重病などで食事が取れなくなった患者に、1968年、静脈からの栄養補給法(中心静脈栄養)が確立され、多くの命を救った。90年代には、胃に付けた管で栄養補給する「胃ろう」が普及、、2005年に国内での利用者は20万人を超えた。
 …病状の回復とともに、経口摂取へ戻すことが望ましいが、管理の手軽さから、点滴や管をはずさない医療機関は少なくない。
 医師や看護師、管理栄養士らが協力し、患者に適切な栄養管理を行う「栄養サポートチーム」の活動で、床ずれや院何感染の発生率がへり、治療用の抗菌薬の使用が2割減ったとの全国調査がある。だがこうしたチームのある病院は、2割に満たない。
 A医師、患者への栄養教育を進める
 …「従来の医学教育では、栄養についての授業はほとんどんなかった」(東口高志・藤田保健衛生大学教授)。医学部と卒業後の臨床研修で、栄養に関する教育を充実させることが急務だ。
 患者側にも「胃ろうは一度付けたら、再び口からはたべられない」などの誤解もある。…(医療情報部山口博弥)」


◆ 2008/06/26 「終末期相談支援料を一時凍結」  キャリアブレイン(新井裕充、兼松昭夫)
『医療・介護情報CBニュース』(株式会社キャリアブレイン
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16783.html

 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会は6月25日の総会で、今年4月の診療報酬改定で新設した「後期高齢者終末期相談支援料」の算定を7月以降、当面凍結することを決めた。即日、舛添要一厚労相に答申する。総会で一時凍結を諮問した舛添厚労相は、これが政治状況を踏まえた措置であることを強調し、中医協側の理解を求めた。厚労省によると、いったん創設された点数が中医協による検証を経ないで凍結されるのは初めて。【新井裕充、兼松昭夫】
 同支援料は、回復が見込めないと医師が判断した75歳以上の後期高齢者が対象。医師や看護師などが共同で患者や家族と終末期の診療方針を話し合い、その内容を文書にまとめて提供した場合に、医療機関は患者一人につき200点(1点は10円)算定できる。しかし、患者に終末期の医療方針の選択を迫ることで、それ以外の必要な医療を受けられなくなりかねないと懸念する声がある。
 中医協では、こうした懸念が誤解に基づくものであるとする一方、このまま算定しても十分な効果が見込めないとして、一時凍結を了承した。今回の見直しに伴い、7月1日以降に文書提供した患者については、同支援料を当面算定できなくなる。ただ、中医協は同支援料を算定する医療機関の文書提供の状況などを年度内に検証。厚労省は早ければ来年度から再開したい考えだ。
 舛添厚労相は、同支援料について国民への周知に注力する考えを説明した。また、後期高齢者に限らず、国民全体に終末期医療の対象を拡大する方向で検討する必要性を強調し、今後、検討の場を設ける方針を明らかにした。
 更新:2008/06/25 13:42 キャリアブレイン


川口 有美子 2008/06/25 「65歳から始まる後期高齢者医療制度?」『季刊福祉労働』119


◆毎日新聞 2008/06/26 「クローズアップ2008:終末期相談支援料凍結 「75歳」「報酬」、反発招く」 
『毎日新聞』2008年6月26日 東京朝刊
 http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20080626ddm003010158000c.html

 ◇厚労省、対象拡大し復活意向
 75歳以上の患者を対象にした「後期高齢者終末期相談支援料」の凍結が25日決まった。制度開始からわずか3カ月での凍結決定は、死生観にかかわるデリケートな問題を「報酬2000円、説明連続1時間以上」と形式的にさばくやり方に批判が高まったためだ。ただ、終末期医療のあり方は後期高齢者に限らず、医療現場の切実な問題となっており、厚生労働省は対象を全世代に広げて復活させる考えだ。
 支援料は4月に後期高齢者医療制度の一環として始まった。医師が75歳以上の終末期の患者や、その家族と病状急変時の治療方法について連続1時間以上話し合い、本人に説明した場合に2000円の報酬を受け取る仕組みだ。患者に意識があるうちに「人工呼吸器は装着しない」などの意向を確認し記録しておくイメージだ。
 意向確認は医療現場で以前から行われているが、本人の意思にかかわらず延命治療が施されたり、家族から懇願され、医師が治療を控える事例もある。厚労省は「治療の開始、中止にかかわるトラブルに歯止め策を」という医療現場の要請で、制度化に踏み切ったと説明する。
 しかし、診療報酬という金銭の介在は医師と患者、家族との関係を微妙に変えた。後期高齢者医療制度そのものに「老人切り捨て」などの批判が強まったこともあり、国会でも「延命治療の中止を強制する制度だ」などの批判が噴き出した。
 さらに厚労省が後期高齢者医療制度の立案過程で、死亡前1カ月の終末期医療費が約9000億円に及び、在宅死を2倍にすれば20年後の医療費を5000億円削減できるとの試算を公表していたことから、「(支援料は)医療費削減が狙い」との疑念が広がった。野党は「医療費削減ありき」と批判を強め、高齢者の反発をおそれた与党も凍結に傾いた。
 「廃止を一番おそれていた。終末期医療がタブーになるのが怖い。そうさせないための凍結」。25日の中央社会保険医療協議会で舛添要一厚労相は凍結に理解を求めた。
 厚労省は元々、支援料を全年代に導入する考えだった。後期高齢者差別との批判を逆手にとり、来年4月以降は対象を成人の末期がんや一部の難病患者らにも広げ、当初の目標達成を目指す。しかし、病状の進行に応じ患者の意向が変わることもある。がんの場合は、若いと進行が早く、本人の意向が変わっても確認作業が追いつかないなど、新たな難題も予想される。【吉田啓志】

 ◇終末期議論にプラス−−日本尊厳死協会理事長の井形昭弘・名古屋学芸大学長の話
 今回の相談支援料は、「高齢者は早く死ねという意味か」との誤解を生んだ。ただ、「自分の死にざまは自分の意思で決めるべきだ」という考え方自体が否定されたわけではない。終末期に自ら関与する重要性が話題になったことは、終末期を議論する上でプラスになった。

 ◇主治医や環境で左右−−日本ALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)協会の川口有美子理事の話
 相談支援料が廃止にならず、対象が拡大されるのはおかしい。患者の気持ちは主治医の主観や療養環境で左右される。自己決定の名の下に患者が治療中止を迫られる恐れがある。2000円という報酬では、医師らが熱心に情報提供する動機付けになるとは思えず、簡単な同意文書にとどまる可能性もある。

 ◇どう生き、どうケア とまどう現場−−「直前聴取だけでは困難」
 終末期医療をめぐっては06年に、富山県の射水市民病院で50代から90代の末期がん患者など7人の人工呼吸器外しが発覚した。患者本人の意思が不明なままの治療中止は相次いでおり、延命治療の是非は75歳以上の患者に限った問題ではない。
 国立長寿医療センター(愛知県大府市)は07年5月、通院患者に終末期の医療に対する希望を書面化してもらう制度を始めた。今年5月末までに51〜88歳の64人が提出した。終末期相談支援料と異なるのは、ある程度元気で判断能力がある段階で、患者・家族と医療者のコミュニケーションの一助としている点だ。
 三浦久幸・同センター医長(老年医学)は「文書を『患者の結論』としては使わない。患者の意思が確認できるうちは本人と話し合う。確認できなくなったときに、患者の意図をくみ取りながら、家族と医療者が話し合うきっかけにする」と説明する。
 希望者は終末期に想定される医療の利点と限界などを説明した文書を読んだ上で、ソーシャルワーカーと面談。終末期を迎える場所など基本的な希望▽心肺蘇生の実施、人工呼吸器装着など終末期になったときの希望▽自分で判断できなくなったときに主治医が相談すべき代理の人−−を記入する。希望は原則1年ごとに再確認する。
 本人が病気や治療内容を理解できないなど判断能力がないと判断されれば文書は受理しない。提出を断った例もあったという。
 「早く死にたいわけではない」と断ってから書く患者も多いという。三浦医長は「最期までどのように生きたいかを考える機会になるようだ。こういった積み重ねなしに、死の直前だけの希望を正しく把握するのは難しい」と話す。
 延命中止の指針や患者の意思確認の制度化の難しさを指摘する医師は少なくない。
 厚労省研究班(主任研究者、林謙治・国立保健医療科学院次長)が07年11〜12月、全国1032病院を対象に実施した末期がん患者の治療中止、差し控えの考え方に関する調査(回答率38%)によると、「余命判定に科学的根拠が十分でない」との見解が65%。意思表示に関しては「元気なときと実際に病気になったときの患者、家族の意思は異なる」との回答が87%だった。
 林次長は「患者の判断能力の評価、インフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)のあり方など、終末期の指針作りや事前指示の制度化に際し検討すべき課題は多い。いずれも終末期だけでなく医療全体の問題で、幅広い議論が必要だ」と話す。【大場あい】
 
 
◆2008/06/26 「終末期相談支援料 異例の凍結」
『読売新聞』2008/06/26
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20080626-OYT8T00328.htm

 終末期の患者に対する治療方針などの相談への対価として支払われる新たな診療報酬「終末期相談支援料」を、7月から凍結することを正式決定した。
 舛添厚生労働相が同日の中央社会保険医療協議会(中医協。厚労相の諮問機関)の総会に諮問、中医協が即日答申した。
 後期高齢者医療制度が4月に始まったことに伴って導入された同支援料の見直しの是非は、当初は検証作業を行ってから判断するとしていたが、同制度への批判の高まりから、検証結果を待たずに、3か月足らずで凍結する「異例の事態」(厚労省幹部)となった。
 中医協の答申書でも「国民に誤解と不安を与え、凍結措置はやむを得ないとはいえ、誠に遺憾」と、不満をにじませた。政府・与党が同制度見直し案で同支援料の凍結方針を打ち出したことを受け、結果的に診療報酬の実施状況を検証せずに凍結を諮問したことも、「極めて異例と言わざるを得ない」と付言。「国民の理解を得る努力が不足した」として、厚労省に、診療報酬改定時の趣旨や内容の周知徹底を強く求めた。(2008年6月26日 読売新聞)

◆2008/06/26 「終末期相談支援料の「凍結」 後期医療 破たん示す」
『しんぶん赤旗』 2008/06/26
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-06-26/2008062602_03_0.html

 七十五歳以上を別建てにした診療報酬は、政府・与党が「後期高齢者の心身の特性にふさわしい医療が受けられる」などと、後期高齢者医療制度の“売り物”にしていたものです。
 「後期高齢者終末期相談支援料」については、「ご本人の希望に沿って看(み)取ってもらえる医療」(自民党のQ&A)などと大宣伝していました。にもかかわらず、実施からわずか三カ月で凍結に追い込まれるという事態になったことは、制度の破たんぶりを改めて示しています。
 「支援料」に対しては、国民から「七十五歳を過ぎれば、治療を打ち切って“早く死ね”ということか」などの批判が噴出。週刊誌などでも「“安楽死”を勧める医療だ」(『週刊朝日』五月十六日号)と取り上げられました。
 実際、厚労省の担当者は解説書のなかで「後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が一時間でも、一分でも生かしてほしいと要望して、いろいろな治療がされる。それが、かさむと五百万円とか一千万円の金額になってしまう」などと指摘。「延命治療」を制限して、こうした医療費を抑え込みたいという本音を示しています。
 厚労省の調査では、四月に同支援料を請求した国立病院は一つもありませんでした。
 この日の中医協で舛添要一厚労相は、終末期医療の重要性を指摘。「来るべき時には、全国民に広げることになると確信している」と述べ、あくまでも一時的な凍結だとの考えを強調しました。
 同相は参院での後期高齢者医療制度廃止法案の可決を重く受け止めるといいました。ならば、一時的な「凍結」で終わらせるのではなく、制度そのものの廃止に踏み出すべきです。(秋野幸子)

◆2008/06/26 「後期高齢者医療 終末期相談料を凍結 中医協了承批判受け来月から」
『しんぶん赤旗』 2008/06/26
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-06-26/2008062601_02_0.html

 四月から始まった後期高齢者医療制度の診療報酬(「医療の値段」)の一つである「後期高齢者終末期相談支援料」について、中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)は二十五日の総会で、七月一日から運用を一時凍結することを了承しました。 新設された診療報酬が凍結されたのは「前例のない」(厚労省)ことです。導入からわずか三カ月で凍結に追い込まれたことは、後期高齢者医療制度の破たんを示すものです。 同支援料は、医師が回復の見込みがないと判断した七十五歳以上の患者や家族と、延命措置をとらないことなどを文書で確認すると、患者一人あたり二千円の報酬が医療機関に支払われる仕組みです。後期高齢者医療制度の発足に伴って導入されました。 国民や医療関係者からは「患者に、事実上の延命治療打ち切りを迫るものになりかねない」といった批判が続出。政府・与党は十二日にまとめた同制度の「見直し」策に、同支援料の凍結を中医協に求めることを盛り込んでいました。 総会に出席した舛添要一厚労相は、同支援料を継続させたい意向を強くにじませつつ、「国民の批判が高まっている。参院では野党が提出した後期高齢者医療制度廃止法案が通った。国会の一つの院の意思として、大変重いものがある」と発言しました。 終末期相談支援料の問題は、日本共産党の小池晃議員が三月十四日の参院予算委員会で初めて取り上げ、「尊厳ある死を迎えたいという願いは、年齢とは関係ない。七十五歳以上の方は“あまりお金をかけることはしないでくれ”ということになるのではないか」と政府を追及していました。

◆2008/06/26 「後期高齢者 終末期相談料を凍結 中医協、厚労相の諮問了承」
『北海道新聞』 2008/06/26
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/101132.html

 舛添要一厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は二十五日、四月の後期高齢者医療制度導入に伴い新設された「終末期相談支援料」を、七月から当面凍結すると答申した。わずか三カ月での変更は異例だが、舛添氏が同日の中医協に凍結を諮問し、「やむを得ない」として了承した。
 同支援料は、医師らが終末期の治療方針を患者や家族と話し合い、合意を文書にまとめると二千円が医療機関に支払われる制度。本年度の診療報酬改定で導入されたが、野党や患者団体は「延命治療の中止につながる」などと批判していた。
 舛添氏は中医協で、凍結を「七十五歳以上だけでなく、終末期医療を国民全体で考えるステップにしたい」と述べ、支援料自体は廃止せず、国民全体への適用や終末期医療のあり方を含め検討するよう要請。中医協は本年度末の結論をめどに検証を進める。
 ただ委員からは「データもなく凍結するのは、あしき前例になりかねない」など政治主導の凍結に異論も出た。

◆2008/06/27 「後期高齢者医療:国費総額、老人医療費より増、割合は減少」
『毎日新聞』 2008年6月27日 18時31分(最終更新 6月27日 20時40分)
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080628k0000m010025000c.html

 厚生労働省は26日、08年度に後期高齢者医療制度に投入する国費は総額4兆2512億円で、07年度に75歳以上の老人医療費に充てた総額より4.9%(1985億円)増えるとの見通しを示した。ただ、これは75歳以上の医療費自体の伸びが大きいためで、国費が占める割合は0.82ポイント減の35.65%となる。
 26日に閣議決定した山井和則民主党衆院議員の質問趣意書への答弁書で明らかにした。
 高齢化に伴い、08年度老人医療費は前年度比7.3%(8141億円)増の11兆9250億円となる見通し。これを税のほか、高齢者の負担と大企業の健保組合など現役による支援金でカバーする。支援金は国庫補助を受ける市町村の国民健康保険なども負担するため、支援金にも国費が混じる。
 08年度の支援金のうち、国費は8807億円。07年度の老人医療費への拠出金より10.8%(1065億円)減る。支援金の多くを国庫補助のない健保組合が支えるためだ。一方、制度に直接投入する国費は9.9%(3050億円)増の3兆3705億円で、国費の総額は4.9%増となる。【吉田啓志】


◆2008/06/26 「長寿を支えるA/介護施設玉石混交」 医療ルネサンス'08第2部
『読売新聞』2008年6月26日 大阪朝刊1,2面

 「入所者に暴言や暴力を加えたうえ、向精神薬を投与し、意識をもうろうとさせている」。
 昨年10月、日本高齢者虐待防止センター(東京)に、特別養護老人ホームで働く看護師から告発のメールが届いた。
 同センター昨年度寄せられた相談は210件。「特養ホームにいる80歳代の母親は歯を磨いてもらえず、つめも伸び放題」「グループホームで入所者を部屋から出さず軟禁状態にしている」など、職員による虐待と見られる例は38件に上った。
 梶川義人事務局長は「手厚いケアが必要な高齢者が増えているのに、きつい職場環境で優秀な職員が次々辞めていく。モラル低下や教育不足が虐待につながっている」と指摘する。
 福祉施設の介護職員が、1年以内に離職する割合は20.3%と、全労働者(16.2%)に比べて高い。介護福祉士を養成する大学、短大などの入学者も昨年度13%減少し、人手不足の深刻化が予想される。平均年収が約286万円(昨年)と全労働者(約453万円)の7割に満たないことなどが背景だ。
 東京都内3ヵ所で認知症高齢者向けグループホームを営む「ミニケアホームきみさんち」の林田俊弘理事長の悩みは、入所者の容体が急変した時の対応だ。
 月に2回、近くの診療所の医師が往診するが、日常的な健康管理を行う看護師はいない。入所者が風邪をこじらせ、診療所に駆け込むこともある。
 神奈川県の東海大病院に1年に搬送される心肺停止の患者約300人のうち、7割が高齢者だ。
 回復が遅く、治療終了後も、受け入れる療養病床や介護施設は容易に見つからず、常に満床だ。…
 岡山県倉敷市の介護付き有料老人ホーム「まいらいふ倉敷」。…このホームには、難波玲子医師(61)をはじめ、…14診療所の医師が、定期的な訪問診療や緊急時の往診を行う。手厚い体制で、75人の定員のうち29人が難病患者だ。
 施設長の垣本和子さん(37)は「医療処置の必要な高齢者を最後までケアしてこそ、介護施設として存在価値がある。そうした施設が足りない」と話す。…」
  ◇
「改革へのポイント(2面)
 @介護施設を地域に開放し、ガラス張りに
 特別養護老人ホームの定員は全国で36万人、老人保健施設で28万人ある。介護施設や高齢者住宅の定員が高齢人口に占める割合は4.4%で、英国の11.7%、デンマークの10.7%の半分に満たない。
 介護施設は、介護技術の水準も格差が大きい。…要介護高齢者の増加に伴い、現在約100万人いる介護職員は、今後10年で40万〜60万人増やす必要がある。低賃金で成り手が減っており、介護報酬アップで待遇改善が求められる。
 A医療機関と連携し、介護の質を向上
 …高齢者が共同生活するグループホームのうち、看護職員を配置するか、訪問看護ステーションと連携している施設は全体の6割しかない。訪問した場合の介護報酬がホームに入り、「割に合わない」ステーションの協力を得にくいためだ。(社会保障部阿部文彦)」


◆2008/06/27 「長寿を支えるB/延命治療意思が大事」 医療ルネサンス'08第2部
『読売新聞』2008年6月27日 大阪朝刊1,2面

 「…厚生労働省の国民意識調査(03年)では、死期が半年以内で痛みを伴う場合、74%が「延命治療はやめた方がよい」と答えた。最後まで積極的な治療を望む人も望まない人も、意思が尊重される仕組みが必要だ。
 「動物は最期の時、苦しまずに静かに逝く。人間も同じだと、医師として初めて実感した。」
 埼玉県社会保険病院の鈴木裕也(ルビ:ゆたか)名誉院長は(65)は、14年前に86歳で亡くなった母の最期を振り返る。
 …延命のために多量の水分や栄養を投与する行為は、「患者をおぼれ死にさせるようなものだ」。一昨年、禅僧から医師となり、緩和医療などに取り組む対本宗訓(ルビ:つしもとそうくん)さん(53) (帝京大溝口病院)は、宗感じる。
 過剰投与で、たんが多くなり、のどに詰まって苦しむ。体はむくみ、肺は水浸しになる。「最期は緩やかな脱水状態で、枯れて死を迎えるのが自然で班ないか」と体本さんは言う。
 高齢化で、現在約100万人の年間死者数は、2040年に166万人に増えると予想される。多くの人が死が身近になる「少産多死」社会。終末期の医療について、普段から考えることが必要になる。
  ◇
「改革へのポイント(2面)
 @「終末期の意思表示」をカード化して携帯
 厚生労働省の国民意識調査(2003年)では、回復の見込みのない終末期に受ける医療について、あらかじめ書面で意思表示を行う「リビングウィル」の考え方に、国民の59% 、医師の75%が賛成している。患者や家族が納得した最期を迎えるには、リビングウィルの作成は有効だ。
  @患者が求めた場合に限るA実施の際は家族の同意が必要――などの条件をつけ、臓器移植の臓器提供意思表示カードのように、リビングウィルの書面をカード化して携帯してはどうか。人生や死について考え、時間をかかけて最期の時に備えるきっかけにもなる。
 A緩和医療の研修を医師らに義務化
 がんなどによる痛みや苦痛を和らげる緩和医療は、患者が残された時間を心身とも良い状態で過ごすのに欠かせない。
 だが、終末期医療の現場では、普及が遅れている。厚労省研究班が昨年、約2400人の意思らを対象に行った調査(回答率27%)では、緩和医療について「自信を持って対応できる」と答えたのは、病院勤務医17%、開業医15%だった。
 …ことに在宅医療では、十分に活用されていない。患者の「みとり」にかかわる医師、看護師に、緩和医療研修の義務化を求めたい。(医療情報部鈴木敦秋)」


◆2008/06/27 「県単独医療費助成:県内の障害者団体、請願取り下げ /富山」
『毎日新聞(富山県)』2008年6月27日 朝刊
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080627-00000200-mailo-l16

 県が、高齢の重中度障害者への医療費助成で後期高齢者医療制度加入を支給条件にしている問題で、県内の7障害者団体は、全員の助成を求めた県議会への請願を取り下げた。26日の県議会厚生環境委員会で了承された。
 助成費を県と折半している全15市町村が「条件を変更する必要はない」との意向を示し、採択は困難と判断したため。この日、県庁で記者会見した県障害者(児)団体連絡協議会の山崎乙吉会長(78)は「今後は国への要望活動を全国に広げる」と話した。【茶谷亮】


◆2008/06/28 「長寿を支えるC/「個性」に合わせた治療」 医療ルネサンス'08第2部
『読売新聞』2008年6月28日 大阪朝刊2面

 「今春、糖尿病の治療を巡り、専門医に衝撃を与える研究結果が発表された。
 米国で、高血圧や肥満などを併せ持った40〜82歳の糖尿病患者1万人余を対象に、血糖値を強力に下げる薬物療法の臨床試験を実施したところ、緩やかに下げる標準的な治療に比べ、死亡する危険が2割も高くなったのだ。このため、試験は打ち切られた。
 この原因は不明だが、高齢者は糖尿病の薬で低血糖を起こし、昏睡状態に陥るなど重症化しやすい。腎臓の排泄能力が低下して薬が強く作用する、食事を十分とらずに薬を使う、などが理由だ。
 東京都老人医療センターの井籐英喜院長は「特に高齢の糖尿病患者の場合、治療は慎重に進めるべきだ」と話す。
 …今春スタートした後期高齢者医療制度について、厚生労働省は「高齢者にふさわしい医療」を提供するため、と説明してきた。しかし、その中身は明らかではない。
 鳥羽研二・杏林大医学部教授(高齢医学)は「高齢者に必要な医療サービスを明示するのが今後の課題」と指摘する。」
  ◇
「改革へのポイント(2面)/「老化の症状」と共存必要
 @高齢者に適した医療の研究を進める
 …全国80の大学医学部のうち、「老年学」講座は24大学にしかなく、研究は欧米に後れをとる。
 国立長寿医療センター(愛知県)や医学会が中心になり、高齢者にふさわしい医療の研究、実践を進める必要がある。
 A「老年総合医」を養成する
 後期高齢者医療制度では、開業医の「かかりつけ医」を決めると、全般的な健康管理を行う「後期高齢者診療料」が新設された。
 複数の病気を持つ高齢者にとって、かかりつけ医に診てもらう利点は大きい。
 高齢者には、病気だけでなく、日常生活の状態や家族との関係などを把握し、一人一人に適した医療を行う必要がある。だが、高齢者を総合的に診療できる医師は少ない。こうした能力をもつ老年総合医を、各地域で養成すべきだ。(医療情報部山口博弥)」


◆2008/06/29 「後期高齢者医療制度:「公的給付制限が本質」 松本大で問題点考える住民集会 /長野」
『毎日新聞(長野県)』 2008年6月29日 朝刊
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080629-00000143-mailo-l20

 ◇松本市医師会長、制度厳しく批判
 4月から実施された後期高齢者医療制度の問題点を考える住民集会(松本地区社会保障推進協議会主催)が28日、松本大(松本市)で開かれ、松本市医師会の須澤博一会長が「制度の狙いと国民の願い」と題し講演した。この中で須澤会長は、公的給付の制限が今回の改革の本質だと指摘し、「戦後の価値観は効率の悪いものを排除してきた。制度はその最たるもので、効率主義は老人を排除する」と同制度を厳しく批判した。
 須澤会長は「国の誤った政策が医療崩壊を導いた。経済に医療を合わせる政策が続いている」と指摘。高齢者に対しては運動、食事などの予防教育の充実と地域の交流を促すことで医療費の抑制を目指す一方、公共事業や防衛予算の見直しを訴えた。
 集会には医療・福祉関係者ら約230人が集まった。同医師会理事会は5月9日に、県医師会と日本医師会が同制度の廃止に向け行動するよう求める決議を採択している。【高橋龍介】


◆2008/06/30 「終末期医療 みんなで考える契機に」
『信濃毎日新聞』 2008/06/30
 http://www.shinmai.co.jp/news/20080630/KT080627ETI090015000022.htm

 後期高齢者医療制度に伴い新設された「終末期相談支援料」が、わずか3カ月で凍結された。きわめて異例の方針転換だ。
 自分はどのような終末期医療を望むのか、延命治療を希望するのか−。それを事前に意思表示する「リビングウイル」について、医師らが患者や家族と話し合って文書にまとめると、2000円の診療報酬をつける。それが終末期相談支援料の仕組みだ。
 厚生労働省の2003年の国民意識調査では、リビングウイルの考え方に6割が賛成している。
 にもかかわらず、相談支援料に対しては、高齢者らから猛反発が起きた。人の生き死ににかかわるデリケートな問題を、お金を介在させて後押しした厚労省の無神経さゆえである。
 ただ、これで終末期医療をタブー視してはいけない。医療の進歩によって、経管栄養や人工呼吸器など延命治療の選択肢は増えている。本人の意思が分からなければ、いざというときに医師の独断が入ったり、動揺している家族に悔いの残る選択を強いたりすることにもなりかねない。
 なによりも大事なのは、最期までどう生きたいのか−という患者本人の意思だ。そのために、一人一人が日ごろから終末期の医療について自らのこととして考え、家族と対話していくことが欠かせない。延命治療の選択は、なにも75歳以上に限らない。
 本人の意思決定を尊重し、支える環境を整えていくことも、あわせて必要だ。
 多くの人は、住み慣れた場所で最期を迎えたいと望んでいる。だが、現実には在宅医療に踏み切れず、病院で亡くなっている。
 終末期を在宅で過ごすためには、在宅療養や介護サービスの手厚い態勢が前提となる。苦痛を除いて、残された人生の質を高める緩和ケアの充実も求められる。
 相談支援料のあり方について、厚労省に再検討を求めたい。
 相談支援料が導入された背景には、老人医療費が膨らむなかで、終末期の医療費を少しでも抑えたい、という思惑が透けてみえる。筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)などの難病患者や、重度障害者の間には、相談支援料が「無言の圧力」となって、延命措置を望まない−と意思表示せざるを得ない状況に追い込まれるのではないかという懸念も広がっている。
 いのちにかかわる選択を、診療報酬で画一的に促すやり方はなじまない。患者本位の仕組みを、時間をかけて探るべきだ。

◆厚生行政情報センター 「国立病院、後期高齢者終末期相談支援料の算定施設はゼロ 厚労省-WIC REPORT Jun 20, 2008」
 http://www.wic-net.com/search/search.cgi?mode=search&linktype=index&issue=852&No=4

 国立病院における後期高齢者終末期相談支援料の算定状況について(6/20)《厚労省》
 厚生労働省は6月20日に国立病院における後期高齢者終末期相談支援料の算定状況を公表した。これは、「国立高度専門医療センター」と「独立行政法人国立病院機構の病院」を対象に、平成20年4月診療分の診療報酬請求における後期高齢者終末期相談支援料の算定件数を調査したもの(P1参照)。
 結果として、算定件数は0件となっており、がんセンターや長寿医療センターにおいても算定している施設はなかった(P1〜P4参照)。


◆YOMIURI ONLINE 読売新聞
 医療ルネサンス http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/

◇2008/0630 後期高齢者医療制度1 「受ける医療に変化なし」(2008年6月30日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080630-OYT8T00235.htm

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 ▽2008/07

◆2008/07/01 「2200億円削減は困難―日看協が「骨太」に見解」 (医療介護キャリアブレインニュース)
 7月1日19時19分配信 
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080701-00000003-cbn-soci

 「日本看護協会(久常節子会長)は7月1日、「骨太の方針2008」に対する見解を発表した。社会保障費の2200億円削減に対し「既に実現は困難」として、09年度予算は「国民が安心・納得できる社会保障制度の確立を基本に」編成するよう求めている。
 見解では「これまでの社会保障費の削減により、医療従事者が過重な勤務環境にさらされている」「医療の高度化・複雑化により疲弊は限界」として、多様化する地域医療ニーズだけでなく、人命に直結する医療の安全にも支障を来すと主張している。
 さらに、08年度予算では、政府管掌健康保険の国庫負担削減や後発医薬品の普及で何とか2200億円の削減にこぎつけたとの認識を示した。
 その上で、09年度には後期高齢者医療制度の見直しに伴う歳出増や、介護サービスや訪問看護の充実などへの重点的な歳出増が求められているとした。「2200億円歳出削減の帳尻を合わせるために無理な歳出削減を行えば、結果として、医療や介護を利用する国民の生活を脅かす」と指摘。09年度予算は「国民が安心・納得できる社会保障制度の確立を基本に」編成すべきだと訴えている。」

◇2008/07/01 後期高齢者医療制度2 「かかりつけ医定着狙う」(2008年7月1日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080701-OYT8T00223.htm

 「…4月から、後期高齢者医療保険になった薬袋さん。「後期高齢者診療料」という新たな診療報酬の項目ができたと、新田さんから知らされた。保険料の年金天引きが論議の的となっている後期高齢者医療制度だが、医療現場では、これが改革のひとつとされる。「かかりつけ医」制度の定着を狙った試みだ
 高血圧や糖尿病といった高齢者の患者が多い13種類の慢性病が対象。開業の主治医を1人に定めれば、検査や指導などの費用の支払いが、月6000円(患者負担は1割で600円)一律になる。受診時に必要な再診料や薬代などは別に必要だ。
 通常の医療費は、血液やエックス線検査などを行うと、個別に費用が加算され、75歳以上の高齢者は原則1割を負担する。「調べておきましょう」と医師が検査を増やすほど支払いは増える。新方式では、検査が増えても、追加負担はない。
 同じ症状で複数の医療機関を受診し、その都度の検査や、薬の重複投与などの無駄をなくし、かかりつけ医が患者をしっかり診ていく仕組みを目指している。
 とは言え、この扱いを利用するかどうかは、患者が選べる。一見、費用の面で患者に得がありそうだが、現状の価格設定では、再診料などを含めた費用は、変わらないか、やや増える場合もある。
 一方、検査を多く行えば、診療所側の“持ち出し”になるため、「いざという時、十分な検査が行われないのではないか」という懸念を指摘する声もある。」


◇2008/07/02 後期高齢者医療制度3 「終末期相談「中止は残念」」(2008年7月2日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080702-OYT8T00242.htm

 「4月に始まった後期高齢者医療制度の目玉のひとつに、「終末期相談支援料」という診療項目の新設があった。75歳以上で回復が難しいと判断された患者に対し、いざという時に人工呼吸器をつけるかどうかなど終末期の対応を患者と医師で話し合って文書に残しておくものだ。
 患者の同意の下で、無駄な延命治療は望まないといった意思を生かそうという趣旨で生まれた。しかし、「高齢者という理由で治療が打ち切られるのでは」との懸念から、大きな反発を浴び、わずか3か月後の先月、中止された。
 日本尊厳死協会副理事長で医師の荒川迪生(みちお)さんは、「人工呼吸器をつけることで回復する場合もある。それなのに、事前につけるかつけないか聞くこと自体おかしい。私の考える尊厳死とは、十分手を尽くしたうえで、無駄な延命ならしないでほしいということ」と厳しく批判する。また、75歳以上に年齢を限定したことも、“後期高齢者差別”との批判の的になり、制度設計上の問題として、感情的な反発も招いた。
 一方で、医療現場も否定一色というわけではない。在宅医療が専門の東京都・新宿ヒロクリニック院長の英(はなぶさ)裕雄さんは、「制度が中止されたことは、終末期について考えようという最近の機運に水を差されてしまったようで、残念な思いもある」と話す。
 …英(ルビ:はなぶさ)さんは「問題点が多かったのも確かだが、最期の迎え方について事前に話し合うことを制度にしたこと自体は評価されても良いのではないか」と話す。」

◇2008/07/03 後期高齢者医療制度4 「つきまとう転院の不安」(2008年7月3日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080703-OYT8T00225.htm

 「…国は、手術のような急性期の治療を担う一般病院と、慢性期の高齢者を診る療養型病院の役割分担を進めている。一般病院は患者の入院日数が長くなるにつれて収入が減る仕組みで、なかでも高齢者の入院料金は2000年から、90日間を超えるとがくんと減らされた。患者側にしてみれば、病院を「追い出され」、「たらい回しされる」ということにもなった。
 …今年4月入院した際、家族は「もう自宅では限界」と病院に必死で訴えた。紹介されたのはバスで1時間ほど離れた埼玉県のみさと協立病院。転院し、3か月後のために再び入院先を探さなくてはと病院の相談室を訪れたところ、病院から「その必要はない」と言われ最初は訳が分からなかった。そこが療養型の病院で、一般病院とは違って、病状が回復しない限り、3か月で追い出されることはないとわかった。「もうここを出たくない」。家族は安堵(あんど)のため息をついた。
 そんな療養病床も、国の方針で4年後には半減する方針。2年前には、病状の軽い患者から重い患者まで5段階に入院料金の差がつけられた結果、料金の安い軽度の患者は入院できないケースが増えた。
 受け入れてくれる福祉施設や在宅で過ごせる体制作りが進む前に、病院をなくすことを先行させる。急激な医療改革の波に、ほんろうされてきた高齢者や家族。75歳以上を区別する新制度への反発には、そんな背景がないだろうか。」

◇2008/07/04 後期高齢者医療制度5 「まずは納得いく説明を」(2008年7月4日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080704-OYT8T00193.htm

 「後期高齢者医療制度」について、読者から読売新聞に届く質問は、やはり保険料に関するものが多い。年金収入が頼りの世帯にとって、保険料の負担増は切実だからだ。
 神奈川県厚木市の無職男性(76)は、県営住宅で妻(63)と二人暮らし。収入は年金のみの約220万円。昨年度、国民健康保険の保険料は夫婦で11万6000円余りだった。それが今年度、夫は後期高齢者医療保険、妻は国保と2種類になり、保険料負担は合わせて3万円近く増える計算だ。年収210万円以下の低所得者は減額されるが、これにも当たらない。
 男性は、後期高齢者医療保険の事務局である「広域連合」や市役所に問い合わせたが、「計算式を示され、『国で決まったことですので』、というばかり。どうしてうちのような低所得者で負担が増えるのか」と、納得がいかない。
 後期高齢者医療保険の、保険料計算は複雑だ。一人ひとりの定額部分(均等割)に、年収に応じた上乗せ分(所得割)を足すが、それぞれの額や料率は都道府県で異なる。もともとの国保の保険料が市区町村によって異なり、世帯構成によっても変わってくる。
 制度への不満は、収入が少ない人に限らない。東京都の自営業男性(83)は、「保険料を払いたくないのではない。なぜそれだけ必要なのか、国の言う数字に信頼性がなく、きちんとした説明がないから怒っている」と話す。
 男性は67歳で会社をやめた後、経験を生かしたコンサルタント業を始めた。医療費の窓口負担は、現役並み所得者(年520万円以上)の扱いで、3割を払っている。
 昨年10月に肺がんの手術を受けた。通院のたび、待合室にあふれかえる高齢者を目にし、「これでは国の医療も持たないよなあ」と同い年の妻とも話した。「高齢者も自立して、負担すべきは負担が必要」と考えてきた。
 しかし、今回の制度には、合点がいかない。「広域連合だとか、保険料率だとか、だれが責任を持っているのかはっきりしない。年60万円前後の年金しかない人から天引きするなど、『年寄りからは黙ってお金を取ればよい』という姿勢に映る」と話す。
 高齢者自身が納得できる説明がなければ、制度への信頼は得られない。(田村良彦)」


◆2008/07/06 「神奈川、26市町村が無料継続/県補助金打ち切りの重度障害者医療費」 
『カナロコ』7月6日23時30分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080706-00000013-kana-l14

 「県が十月から重度障害者の医療費を有料化する前提で市町村への補助金を二〇〇八年度予算でカットしたが、障害者の負担増を懸念して無料を継続する基礎自治体が約八割に当たる二十六市町村に上ることが、神奈川新聞社の調べで分かった。十月以降の対応が未定なのは七市町で、うち四市町が無料継続の方向で検討中のため、有料化を見送る自治体はさらに増える見通し。県内のほとんどの市町村が県の有料化への制度変更に異議を唱えた形だが、県は「補助金の復活は考えていない」としている
 有料化の内容は、通院では受診一回ごとに二百円(調剤は除く)、入院は一日ごとに百円。
 二十六市町村のうち、十月以降に続いて〇九年度以降も無料を継続するのが十市町、〇八年度は無料継続を決めたのが十六市町。未定の七市町のうち小田原、海老名、綾瀬市、大磯町は無料継続の方向で検討している。
 方向性が定まっていないのは三市で、うち横須賀は重度障害者に負担増をもたらす県の手法に懐疑的。秦野は「関連条例改正に議決が必要なため、(有料化の)十月開始は難しい」。対象者が最大の四万七千人近くに上る横浜市も後期高齢者医療制度への対応に追わているとして、十月からの有料化導入は「難しい」との受け止め。三市の動向次第では、十月から有料化する市町村が皆無になる可能性もある
 県は有料化と同時に年齢制限も導入する。六十五歳以上で新たに重度障害になった人は補助金の対象から外す方針だ。これに対し、有料化と同様に年齢制限の導入も見送る自治体は二十四市町村に達している。検討中の残り九市町のうち四市町が〇八年度は年齢制限を設けない方向で検討中。
 県は有料化と年齢制限の導入を見込み、市町村への補助金を前年度より約四億千八百万円減の六十七億四千四百万円にした。県の削減分は、市町村が自主財源で賄うことになる
 ◆重度障害者の医療費 県と市町村が負担しており、県の補助対象者は約12万人(07年4月現在)。現行の負担率は県と政令・中核市(横浜、川崎、横須賀、相模原)の場合、県3分の1、市3分の2で、ほかの基礎自治体は県と市町村が折半している。07年度の事業費は、10年前の約2倍の約184億円(うち県の補助額は約72億円)。制度創設時の1972年には県が100%負担していたが、県は負担割合を徐々に減らしてきた。

◆2008/07/07 「地域で違う保険料 高齢者医療制度の不思議」
『産経新聞』7月7日12時33分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080707-00000924-san-soci

 「■同じ所得でも大きな差 老人医療費が地域差生む
  4月から始まった後期高齢者医療制度の保険料では、保険料に地域差があるのを、ご存じですか。平均保険料の差は2倍にも上りますが、注目したいのはむしろ、同じ所得でも、地域によって保険料に差が出る点。平均的な所得層で保険料を比べたところ、地域によって年間5000円近い差が出ることが分かりました。その理由を探りました。(横内孝)
  「保険料が多少違うというのは知っていたが、こんなに違うの…。東京は安い方なんだ。しかし、福岡や高知はずいぶん高いね」
  東京都中野区の住民説明会に参加した1人暮らしの男性(83)は手渡された資料を見て、そんな感想をもらした。
  資料は、全国の保険料が一覧できるもの。加入者が原則、等しく負担する「均等割額」だけを見ても、地域によって年間1万5000円以上もの開きがある。「(所得によって負担する)所得割部分が違うのはなんとなく分かる気がするが、だれもが負担する均等割額で、こんなに差があるのはおかしいんじゃないか」
  新制度の対象者約1300万人のうち、最も多くの人が属する所得層は、「公的年金収入が153万円以下」とされ、全体の3〜4割を占める。その層をモデルに、年間保険料を比べると、最高の福岡県は1万5280円。最低の新潟県の1万500円より約5000円高く、1・45倍に上った。
  保険料は各都道府県の広域連合が、国の算出方法に基づき、今後の高齢者人口と医療費の伸びなどから決める。加入者が原則、“割り勘”で払う均等割額と、所得に応じて払う所得割の合計。最も多くの人が属するとされる「年金収入が153万円以下」の層では、所得割はゼロで、世帯収入を基準にした軽減幅が現在の7割から今年度は8・5割に拡大される。
  「5000円でも、年金生活には響く。この差はばかにならない。これだけあれば、1週間分の食費が浮くよ」
  なぜ、同じ所得層でも、保険料に地域差が生じるのか−。厚生労働省は「最大の要因は老人医療費の差。老人医療費が高い都道府県ほど、そこに住む高齢者の保険料は高くなる」と説明する。75歳以上の高齢者の医療費が高い地域ほど、保険料も高いというわけだ。
  新制度では、高齢者が医療機関で払う窓口負担(原則1割)を除き、5割が公費(税金)、4割が現役世代の保険料、残り1割が高齢者の保険料。また、高齢者(被保険者)への健康診断費用や葬祭費なども原則、保険料で集める。
  高齢者の保険料は、半分を均等割、残りを所得割で賄う。しかし、所得の低い地域では、所得割額で半分を集めきれない。所得水準が全国平均を下回る広域連合は実に36と、47都道府県の4分の3を占める。こうした地域には、国が“仕送り”(調整交付金)を増やして格差を埋める。東京、神奈川など、所得水準の高い11の広域連合は所得割額を多く集められるので、その分、交付金が減らされる。
  表で保険料の高い都道府県を見ると、1人当たりの老人医療費の高い地域が並び、保険料が低い都道府県は老人医療費が安い。
  保険料が最高の福岡県は1人当たりの老人医療費が平成14年度以降、4年連続で全国トップ。県内のある市の担当者は「深刻な状況を被保険者にもご理解いただき、老人医療費の適正化を進める必要がある」と話す。福岡県に次ぐ高知県は「長期療養に利用される療養病床が多く、入院医療費が高い。保険料が高いのは、老人医療費が全国で3番目に高いのが主因」(広域連合の担当者)と分析する。
  一方、保険料の低い都道府県には、厚生労働省が「地道な保健指導などで、医療費の適正化に努めている」と評する長野県はじめ、老人医療費の低い都道府県が名を連ねる。新潟、長野、静岡の3県は19年の「厚生労働白書」で健診の受診率や高齢者の就業率も高いと指摘されており、医療費増に頭を痛める自治体の指針ともなりそうだ。
  香川大学の小松秀和准教授(社会保障)は「75歳以上の高齢者全員を被保険者とすることで老人医療の給付と負担を明確にし、老人医療費の地域格差を保険料に反映させることで、増加の一途をたどる医療費の抑制につなげようとの意図がある」と解説する。」


◆2008/07/11 「長寿医療制度、「PRが不十分だった」( 医療介護CBニュース)
 7月11日12時47分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080711-00000000-cbn-soci

 「厚生労働省はこのほど、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)のQ&Aを公表し、「長寿医療制度について改めてご説明させてください」と理解を求めている。同制度に対する批判などが出た原因として、「PRが不十分だった」「間違った情報が流れた」の2点を挙げたほか、6月に一部見直された「低所得者の保険料」と「年金からの保険料の支払い」についても説明している。
 Q&Aで示したのは、▽批判に対する政府の対応 ▽長寿医療制度の仕組み ▽ 受けられる医療 ▽日本の医療制度が外国に優れている点 ▽制度の一部見直し―の5項目。
 「さまざまな意見や批判に対する政府の対応を教えてください」との質問に対しては、「低所得者の保険料負担を軽くする対策などを講じることとしました」と回答。その説明の中で、同制度に対する意見や批判が出た原因として、「PRが不十分だったこと」「間違った情報が流れたこと」の2点を挙げている。
 一方、「75歳以上の方々が受けられる医療が制限されることはないのか」との質問に対しては、「ご安心ください。今までと同じように、また今まで以上に多様な種類の医療が受けられます」と回答。高齢者の担当医については、「他のお医者さんにかかってはダメ、ということでもありませんので、安心して必要な医療は遠慮なく受けていただきたい」としている。
 6月に一部見直された「低所得者の保険料」と「年金からの保険料の支払い」については、具体例を挙げて説明している。」

◆2008/07/11 「後期高齢者医療制度:保険料の軽減措置、県も8.5割に拡大へ /宮崎」
『毎日新聞』地方版 2008年7月11日
 http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20080711ddlk45010641000c.html

 「政府の後期高齢者医療制度の見直しに伴い県広域連合は10日、今年度の保険料の均等割が7割減の世帯を対象に8・5割減に拡大すると発表した。条例改正が23日になるため、県内の27市町村で手続きが間に合わず、7月分は変更前の金額の納付書が送付され、8月分以降に正しい納付書が送られるという。
 同連合は「8月以降の納付で調整するため、総額で8・5割減が反映される。7月分は納付書の金額通りに納めてほしい」と呼び掛けている。7月分を送付するのは宮崎市や都城市など27市町村。対象者に7月分は送らず、8月から送付するのは三股町、高千穂町、諸塚村の3町村。
 政府の軽減措置は来年度から均等割は年金収入の低い世帯の7割減を9割減とする。今年度は暫定措置として8・5割減とし、年金からの天引き徴収は10月以降は行わない。【中尾祐児】」


◇2008/07/15 長寿を支える 「胃ろう」入所の足かせ(2008年7月15日)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080715-OYT8T00243.htm

 「…1DKのマンションで、87歳の母親を介護する愛知県の女性(57)は、そう憤る。
 母は脳梗塞(こうそく)のため寝たきりで、意思の疎通ができない状態だ。2006年、母は4か月入院した病院から退院を求められ、長期入院が可能な療養病床を探すことになった。
 当時、鼻から胃に通した管で栄養を取っていたが、腹部に開けた穴から栄養剤を入れる「胃ろう」を作った。病院から「療養病床に受け入れてもらうために必要」と勧められたのだ。
 高齢になると、ものを飲み込む機能が落ちる。特に脳梗塞などになると、食べ物が誤って気管から肺に入り、肺炎を起こすことも少なくない。
 こうした患者にとって、鼻からのチューブ栄養は簡単に挿入できる利点があるが、患者が自分で引き抜いて食べ物が肺に入り、肺炎を起こしてしまうことがある。母が胃ろうを付けたのは、こうした危険性が少ないからだ。
 女性は、療養病床がある病院のリストを病院から渡され、36か所に電話した。ところが、どこも「満床」と、入院を断られた。
 次に、介護が必要な高齢者のための老人保健施設数十か所に当たると、今度は「胃ろうを付けている人は、管理が難しいので入所できない」と拒否された。
 胃ろうへの栄養剤注入や器具交換は、医師や看護師が行う「医療行為」。施設の介護職員は行えない。このため、医師や看護師が少ない老健施設では、胃ろうの患者を断ったり、受け入れ人数を制限したりする場合が少なくないのだ。
 在宅療養では、胃ろうへの栄養注入を家族が行うことが認められており、女性は在宅に切り替えた。
 利用している介護サービスは入浴介助だけで、ほぼ一人で母を介護する。たまには老健施設の短期入所を利用して母を預け、心身を休めたいが、胃ろうが原因で、短期でさえ受け入れ先が見つからない。
 国は、35万床ある療養病床を、2012年度末までに半減する方針だ。高齢者に退院を促すなら、栄養注入を行うことを介護職員にも認めて老健施設の機能を強化したり、在宅介護サービスを充実させたりする必要がある。」

◆2008/07/15 「医療政策「わが党は、こう考える」(医療介護CBニュース)
 7月15日19時14分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080715-00000006-cbn-soci

 「市民主体の医療政策の実現を目指すNPO法人(特定非営利活動法人)「日本医療政策機構」は、主要政党の厚生労働分野の担当者に実施した2008年度「政党インタビュー」を発表した。主に、医師不足対策、後期高齢者医療制度への対応、医療財源の確保など、医療政策の重要課題についての各党の見解を紹介している。
 インタビューには、自民党の衛藤晟一参院議員(党厚生労働部会長)、民主党の山田正彦衆院議員(党「次の内閣」厚生労働大臣)、公明党の渡辺孝男参院議員(党厚生労働部会長)、共産党の小池晃参院議員(党政策委員長)、社民党の阿部知子衆院議員(党政策審議会長)の5人が答えた。
 衛藤氏は、今の医療の最大の問題は医師不足とした上で、「医師養成については、過去最大の年間8300人まで増員することに今年度から手を付け、来年度から大幅にアップするよう、厚生労働省から文部科学省に申し込んでいる。7、8年かかるが、医師養成を進めていこうとしている」などとした。
 財源に関しては、社会保障費の2200億円の圧縮は困難と指摘。そのための財源では、「消費税に関しては、今の状況の中では国民の支持が十分ではなく、今すぐ来年に向けて上げるという議論にはならない。2、3年のスパンで消費税導入などについても考えるべきではないか」などと述べた。
 山田氏は、「弁護士ゼロ(不在)またはワン(1人)地帯に、『法テラス』という制度をつくり、国からお金を入れて弁護士を雇い、離島やへき地に送っているのと同じように、医師にへき地や中核病院に行ってもらう形を取ることなどを考えている」と、民主党の医師不足対策を説明。
 財源については、「道路特別会計で毎年5兆9億円。ほかにも空港整備特別会計など公共事業だけで、一般会計を入れて35兆円以上使っている。そういった特別会計の財源を一般会計に入れられるものは入れてしまうなどして、医療や介護をしっかり考えていきたい」などと、道路より「命」に財源を使う必要性を語った。
 渡辺氏は、医師不足の影響で地域によっては救急医療の受け入れ不能が問題になっていることを挙げ、「党としてドクターヘリなどの推進を図っている」などと発言。後期高齢者医療制度については、「運用の面でさまざまな課題があり、その改善を図るとともに、高齢者に対する所得保障という面で、年金などを充実させる対応を考えている」とした。
 財源では、「まず支出の無駄を排除することを徹底させる。医療費増大の原因の一つに生活習慣病と要介護者の増加があり、(受診が)遅くなって多くの医療費が掛かる。介護保険の費用を多く要することのないように、予防に力を入れていこうと考えている」などと説明した。
 小池氏は、後期高齢者医療制度を廃止して、どういう制度をつくっていくかが問われていると強調。日本の医療政策は2つの方向で転換を図る必要があるとして、「毎年2200億円の国庫負担の自然増を抑制する社会保障の抑制路線と、医学部定員を減らし続けてきた閣議決定を撤回し、医師を増やす方向に転換すべき」と指摘した。
 財源では、「日本の医療費は、サミット参加国で最低。国民医療費は1980年と2005年との比較で、国庫負担の比率が5%減り、事業主負担が4%減っている。これを戻すため、国庫負担を引き上げていく」などとした上で、「国庫負担の財源としては、消費税ではなく、7兆円規模の大企業・大資産家の減税を戻すのが先決」などと主張した。
 阿部氏は、1980年代前半に厚生省(当時)が出した「医療費亡国論」ではなく、「医療費立国論」に立つべきとし、「これからの少子・高齢社会をどう生きていくかという時に、医療ほど多くの可能性を秘めている分野はない。大きな飛躍を遂げる時期だと思う」と訴えた。
 財源に関しては、これ以上は絞り込めないとして後期高齢者医療制度が出されたと指摘。「国民皆保険制度の破壊で、『命の平等』や社会で一番大事なものを忘れた政策。『医療立国』にするため、どの分野に芽があるか。政治がどう答えを出せるのか。それが今の時代だと思う」などと、医療政策を国としてきちんと位置付ける重要性を語った。」

◆2008/07/15 「後期高齢者医療制度:低所得者は軽減 県広域連合、措置導入へ /福井」
『毎日新聞』地方版 2008年7月15日 
 http://mainichi.jp/area/fukui/news/20080715ddlk18010669000c.html

 「政府・与党の後期高齢者医療制度の見直しに伴い、県後期高齢者医療広域連合は13日開いた広域連合臨時議会で、低所得者を対象に新たな保険料負担軽減措置の導入を決めた。広域連合は14日、県内の加入世帯に軽減措置を知らせるパンフレットの発送を始めた。
 保険料のうち加入者が一律に支払う「均等割」では、現行の7割減の軽減措置(世帯内の加入者と世帯主の合計所得額33万円以下の世帯が対象)を、8・5割減に拡大する。対象者は県内で約3万人で、8・5割減になると均等割額は現在の年間1万3110円から6300円になる。
 所得に応じて支払う「所得割」は、基礎控除後の総所得金額等が58万円以下の人を対象に5割減とする。
 広域連合は「届いたパンフレットで保険料の減額が受けられるか、確認してほしい」と話している。【大久保陽一】」


◆2008/07/16 「<医療費助成>重度障害者の制度加入条件、5道県が見直しへ」
『毎日新聞』7月16日2時31分配信 
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080716-00000015-mai-soci

 「後期高齢者医療制度への加入が任意とされている65〜74歳の重度障害者に対し、全国の10道県が制度加入を医療費助成の条件にしている問題で、5道県が条件見直しの検討を始めたことが分かった。このうち山口県は8月から条件を撤廃。徳島県は制度加入で保険料負担が増えた障害者に対し、増額分を県費で全額助成する制度を今年度中に始める。一方、愛知など残り5県に条件見直しの動きはなく、対応が分かれている。
 重度障害者への医療費助成は、全都道府県にある制度で、公的医療保険加入者の医療費の自己負担分の全部または一部を、都道府県と市町村が折半して負担している。
 医療費の自己負担分は、65〜69歳は3割、70〜74歳は2割(今年度は暫定的に1割)だが、後期高齢者医療制度に加入すれば1割に減り、自治体側の負担は減る。だが障害者の側は、サラリーマンの被扶養者など制度加入により保険料負担が増える人もいる。65〜74歳の加入は任意とされており、10道県の条件設定には「加入の強制」という批判もある。
 山口県は「今まで受けてきた医療を安心して受けられるように」と条件撤廃を決めた。徳島県は条件を維持しながらも、保険料増額分を全額助成して障害者の負担を軽減する。茨城、栃木両県は市町村と見直しに向けた協議中。北海道は見直しの必要性を検討するため、6月から制度未加入の重度障害者の実態調査を始めた。
 一方、条件見直しの動きがない愛知、福岡、青森、山形、富山の5県は「自治体の支出が増えると、医療費助成制度の維持が困難になる」「後期高齢者医療制度の未加入者にも医療費を助成すれば、助成額は加入者の2〜3倍になり不公平が生じる」などと説明している。ただこの5県も障害者の負担増を懸念しており、「障害者の保険料負担を軽減する国の制度が必要だ」(富山)と国に対策を求める意見もある。
 日本身体障害者団体連合会の森祐司常務理事は「事前の説明不足が一番の問題。条件を見直す自治体も障害者に丁寧に説明してほしい」と話している。【秋山信一】」

◆2008/07/16 「<医療費>07年度は33兆4千億円 高齢者の割合43%に」
『毎日新聞』7月16日19時45分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080716-00000082-mai-pol

 「厚生労働省は16日、07年度の概算医療費総額が33兆4000億円だったと明らかにした。保険料と税金による給付に、患者の自己負担を合わせた総額で、前年度より3.1%(約1兆円)増え、過去最高を更新した。要因は70歳以上の高齢者医療費が5.4%増の14兆5000億円に膨らんだことで、医療費全体に占める割合も43.4%となった。厚労相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」に同日、報告した。
 06年度は診療報酬の減額幅が過去最大となり、概算医療費総額はほぼ横ばいだった。07年度は診療報酬の減額改定や給付抑制を意図した制度改正がなく、高齢化などによる影響がそのまま医療費の伸びに反映した。
 概算医療費総額は01年度の30兆4000億円から6年で9.9%増だが、高齢者医療費はその間に23.9%増えた。医療費全体に占める割合も01年度の38・5%から04年度に4割を突破し、加速度的に増えている。
 1人当たり平均医療費は26万2000円。70歳未満の会社員などが12万8000円(前年度比1.7%増)に対し、70歳以上は約6倍の75万7000円(同2.0%増)に上る。07年度は9月までは74歳以上、10月以降は75歳以上が、後期高齢者医療制度の前身となる旧老人保健制度の対象だったが、この対象者で見ると1人当たり87万1000円(同4.4%増)に達した。
 患者の受診延べ日数は26億7000万日で前年度比0.9%減。一方で医療の高度化などで受診者1人1日当たりの平均医療費は4.1%増の1万2500円と増加傾向が続き、総額を押し上げた。
 概算医療費は、診療報酬明細書(レセプト)を集計したもの。約1年後に厚労省が公表している、労災保険の医療費などを加えた国民医療費(総医療費)の98%程度に当たる。【堀井恵里子】」

◇2008/07/16 「「延命」患者の意思は…」(2008年7月16日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080716-OYT8T00194.htm

◇2008/07/16 「望む最期 家族と考える」(2008年7月17日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080717-OYT8T00202.htm


◆2008/07/17 「後期高齢者医療制度:低所得者保険料、最大85%軽減へ /北海道」
『毎日新聞』7月17日11時1分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080717-00000001-mailo-hok

 「政府の後期高齢者医療制度の見直しに伴い、道後期高齢者医療広域連合は16日、臨時議会を開き、低所得者の保険料負担を最大85%軽減することなどを柱とした関連条例の改正を行った。道内では全被保険者の46%に当たる28万7000人が負担軽減の対象となるという。
 同制度の保険料は、加入者が一律に支払う「均等割」(道内は4万3143円)と、収入に応じた「所得割」の組み合わせで決まる。
 均等割は、年金収入が168万円以下の世帯は70%減としていたが、条例改正により85%減まで軽減幅を拡大。所得割(年金収入153万円から発生)も年金収入が211万円以下の人は半額免除する。
 具体的には、夫の年金収入が80万円の夫婦(妻の所得は0円と仮定)の保険料は、均等割額が各自6600円減って6300円となり、163万円の夫婦(同)の場合は、所得割の軽減も加えて夫が1万1400円減の1万1100円、妻が6600円減の6300円となる。【横田愛】」

◆2008/07/17 「凍結の延長」を正式決定 70〜74歳の医療費窓口負担上げ 
『産経新聞』7月17日21時6分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080717-00000976-san-pol

 「与党高齢者医療制度プロジェクトチーム(PT)は17日、運用改善の追加策として、70〜74歳の窓口負担率2割への引き上げを凍結し1割で据え置く措置を、平成21年度も継続することを正式決定した。75歳以上の後期高齢者医療制度導入で新たに保険料負担することになった扶養家族の保険料を9割軽減する措置についても延長を決めた。
 それぞれ1年間延長した場合の必要額は、窓口負担凍結が約1400億円、保険料9割軽減が約340億円。6月に政府・与党が決めた後期高齢者医療制度の保険料軽減など一連の運用改善策をすべて20年度補正予算で手当てした場合、総額約2500億円が必要となる。」

◆2008/07/17 「70−74歳の自己負担、来年度も1割に−与党チーム」(医療介護CBニュース)
 7月17日22時36分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080717-00000006-cbn-soci

 「与党の高齢者医療制度に関するプロジェクトチームは7月17日、高齢者医療の負担の在り方への当面の対応として、70-74歳の医療費自己負担を来年度も現行の1割に据え置くことで一致した。また、政管健保など被用者保険加入者の被扶養者だった人の保険料負担軽減も来年度まで継続する。
 具体的な内容は、今後の状況を踏まえながら結論を得る。来年度の予算措置については、補正予算による対応も視野に予算編成過程で検討する。「国の責任において適切に対処する」としている。
 後期高齢者医療制度の保険料負担をめぐっては、政府・与党が6月に、▽被保険者全員が年金収入80万円以下の世帯について、一律に支払う「均等割」を現行の7割軽減から9割軽減にする▽年金収入が210万円以下の人について、所得に応じて負担する「所得割」を50%程度軽減する―などの措置を来年度から取ることを決めている。
 今回、据え置きが決まった70-74歳の自己負担については、「さらに検討すべき課題」と位置付けていた。」


◆2008/07/18 「後期高齢者医療 県、低所得者に負担軽減策」
『産経新聞』7月18日7時50分配信 
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080718-00000032-san-l10

 「群馬県後期高齢者医療広域連合は、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の保険料について、低所得者を対象に、新たな負担軽減策を講じる方針を決めた。年金収入が211万円以下の被保険者に対し、所得割を5割削減する。31日に臨時議会を開き、条例改正を行う。
 軽減策は、政府が6月に負担軽減に向けた見直し方針を示したことを受けた措置で、県内で削減対象となる人は、被保険者全体の約9%に当たる約2万人。保険料は、3万9600円(年額)に削減割合をかけた均等割に、収入額から算出される所得割を加えた額になる。今年度の低所得者層の均等割については、7割から8・5割削減することも盛り込む。
 このため、単身で年金収入が211万円の被保険者の保険料は、現在の8万2200円から6万900円に、168万円の被保険者は2万2900円からほぼ半減となる。財源は国の特別調整交付金が充てられ、平成21年度以降については今後、検討する。
 また、10月分の保険料支払いから、被保険者の希望により、年金の天引きから口座振り替えに変更できるようになり、各市町村で8月中旬まで受け付けるという。 」

◇2008/07/18 「在宅看取り 山間部の試み」(2008年7月18日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080718-OYT8T00204.htm


◇2008/07/21 「信頼するホームで最期」(2008年7月21日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080721-OYT8T00275.htm

 「…厚生労働省が今年3月に発表した調査では、全国約590か所の有料老人ホームのうち、約4割が「入所者の看取り希望に応じる」と答えた。だが、06年中に死亡退去した2922人の約6割がホームでの看取りを希望していたものの、実際にホーム自室で亡くなったのは約2割だった。」


◆2008/07/23 「社保費削減撤回をあらためて決議−自民部会」(医療介護CBニュース)
 7月23日22時5分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080723-00000006-cbn-soci

 「自民党厚生労働部会は7月23日、社会保障制度調査会、雇用・生活調査会と合同で会議を開き、来年度予算の概算要求基準(シーリング)で、社会保障費の自然増2200億円の削減方針の撤回を求めることをあらためて決議した。24日に谷垣禎一政調会長に申し入れる。政府は29日にもシーリングを閣議了解する。
 合同会議では、社会保障費の削減方針の撤回以外に、社会保障分野の緊急対策として政府が月内に取りまとめる「5つの安心プラン」の実現や、後期高齢者医療制度の見直し、医師不足解消策を盛り込んだ医療ビジョンの実現などに伴う費用をシーリングの枠外とすることも要望。
 さらに、基礎年金の国庫負担割合2分の1への引き上げに伴う経費全額を要求できるよう、特段の配慮を求めている。
 決議では、「財政健全化に向けた努力は重要」とする一方、医師不足などの問題が深刻化する現状では、国民にさらなる負担を強いる社会保障費の自然増の削減を行うことは許されないと指摘。安定した社会保障財源の確保策を検討し、国民に安心を与える諸施策のための予算を確保することが必要と訴えている。
 自民厚労部会が社会保障費の削減方針撤回を決議したのは、5月27日に続き今回が2度目。
 この問題は7月22日午後の党政調全体会議でも話し合われ、厚生労働関係議員から「2200億円(の削減)は何年続いていると思っているのか」「もう我慢の限界」など、削減の撤回を求める声が相次いだ。
 これに対し、谷垣政調会長は方針転換に難色を示す一方、必要な財源をどう確保するか、年末までに検討する考えを説明。最終的に、調整は谷垣政調会長に一任された。
 同日夕に開かれた経済財政諮問会議では、福田康夫首相が来年度の予算編成で歳出削減を堅持する考えをあらためて示しており、シーリングの策定に向け、社会保障費の削減をめぐる議論は大詰めを迎えた。
 ■公明党部会も社保費削減撤回を決議
 公明党の社会保障制度調査会、厚生労働部会も24日に同様の決議を行い、額賀福志郎財務相に申し入れた。決議では、年金制度に対する不信が増大する一方、医師や介護労働力の不足などで医療・介護制度への不安も高まるなど、「(社会保障)制度の根幹が大きく揺らいでいる」と指摘。
 その上で、一定水準の社会保障の確保は「国民の安心の基盤」だとし、「これが損なわれることがあってはならない」などとしている。」


◆2008/07/24 「医療保険 民主「一元化」検討、後期対案へ課題は財源」
『産経新聞』7月24日8時1分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080724-00000067-san-pol

 「民主党は23日、新設した医療制度調査会(会長・枝野幸男元政調会長)の初会合を国会内で開き、政府の後期高齢者医療制度への対案として、地域(健康生活圏)ごとに公的医療保険制度を一元化する抜本改革案作成に着手した。同党は早急な結論とりまとめを目指しているが、新制度導入の財源や健康生活圏の規模など課題は多く、新制度像を迅速に打ち出せるかどうかは不透明だ。
 民主党は先の通常国会で、他の野党とともに75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度を「高齢者切り捨て」と批判した。6月に同制度廃止法案を参院で可決したが、衆院で継続審議となっている。廃止法案は旧制度(老人保健制度)に戻す内容で、政府・与党は「民主党は対案がない」と批判していた。
 このため民主党は、医療制度調査会を設けて抜本改革案を作成し、政権担当能力を示したいとしている。
 枝野氏は、15日の役員会で「次の衆院選では医療政策が政権を取れるかどうかのポイントになる」と強調。初会合でも「衆院選でわが党の考え方は強い関心を持って迎えられる。財政負担などの問題を整理する必要がある」と述べた。
 民主党は平成18年当時、後期高齢者医療制度導入のための医療制度改革関連法に反対し、「崖っぷち日本の医療を救う」と題した医療改革案をまとめた。この中で「年齢リスク構造調整の究極の形は『医療保険の一元化』で、医療提供体制を計画する範囲と、保険がカバーする範囲が同一の『健康生活圏』にあることが望ましい」としていた。
 調査会はこの案を踏まえて新たな改革案をつくるが、健康生活圏の規模が詰まっていない上、「国の財布の中身は政権をとらないと分からない」(調査会役員)との声もある。「民主党が一番攻められやすい分野」(幹部)といわれる財政問題をクリアできるかどうかは微妙だ。 」

◆2008/07/24 「後期高齢者医療広域連合議会:軽減措置、条例改正の専決処分承認 /和歌山」
『毎日新聞』7月24日16時1分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080724-00000189-mailo-l30

 「◇軽減措置6万5524人に
 県後期高齢者医療広域連合議会定例会が23日、和歌山市内であり、国の制度見直しに伴い、低所得者を対象に負担軽減措置を図る条例改正の専決処分(6月20日、7月10日付)を承認するなどした。
 同連合によると、県内の後期高齢者医療制度の対象者は今月12日現在、13万6786人で、何らかの軽減措置がとられるのは半数近い6万5524人になる。保険料のうち、加入者が一律に支払う「均等割」では、7割減が8・5割減に拡大し、対象者は5万4311人(39・7%)。所得に応じて支払う「所得割」は5割減となり、対象者は1万1213人(8・2%)。双方の軽減を受けるのが2210人となる。
 議会では、議員から「弱者に対する10割減免はできないのか」「減免に対する国の補償は上限がないのか」などといった質問があった。同連合側は「独自の減免は考えていない」「市町村の負担ができる限りないよう努めたい」などと答えた。【最上聡】」

◆2008/07/24 「後期高齢者医療制度:障害者医療助成で通知−−厚労省」
『毎日新聞』東京朝刊 2008年7月24日 
 http://mainichi.jp/select/science/news/20080724ddm002010135000c.html

 「厚生労働省は23日、65〜74歳の障害者に対する自治体の医療費助成について、後期高齢者医療制度への加入を条件としないように促す通知を都道府県に出した。障害を持つ65〜74歳の人は同制度へ加入するか否か選べるが、当初、10道県が制度への加入を医療費助成の条件としていたため、「事実上の強制加入だ」との批判が出ていた。」

◆2008/07/24 「「後期医療」廃止を要望 島根の高齢・退職者団体連合」
『中国新聞』
 http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200807240531.html

 「連合島根に加盟する労働組合の退職者でつくる「島根高齢・退職者団体連合」(長光義郎会長)は二十三日、後期高齢者医療制度の廃止などを求める要望書を、県後期高齢者医療広域連合長を務める松浦正敬松江市長に手渡した。
 要望内容は(1)同制度を廃止する(2)七十歳以上の医療費自己負担を一割とする(3)保険料の年金からの天引きをやめる―の三点。長光会長は「なぜ七十五歳で画一的に線引きされるのか。高齢者側も(受診頻度など)考えなければならないことはあるだろうが、高齢者の医療制度については抜本的に見直すべきだ」と主張した。
 松浦市長は「廃止は困難だが、現制度でいろいろな主張にできるだけ近づけるようにしたい」と回答。六月上旬に広域連合として、低所得者に配慮するなど保険料を軽減し、制度見直しは市町村などの意見を十分反映することを国に要望したと報告した。
 要望書は溝口善兵衛県知事と県内八市の市長にも提出する。(加納亜弥)」


◆2008/07/25 「【夕刊キャスター】特例が招く財政規律のゆるみ」
『産経新聞』7月25日15時59分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080725-00000137-san-pol

 「高齢者医療制度の負担軽減策として、与党のプロジェクトチーム(PT)は、70〜74歳の窓口負担率2割への引き上げを1割に据え置く凍結措置を、来年度も継続する方針を決めた。引き上げは今年4月に予定されていたが、凍結が2年間続くことになった。あわせて、75歳以上の後期高齢者医療制度導入に伴って、新たに保険料を負担することになったサラリーマンの扶養家族についても、保険料軽減措置を延長することになった。
 2つの措置の延長が早々と決まった背景には、来年秋までに必ず行われる次期衆院選がある。来年3月で負担軽減策が終われば高齢者の反発を招き、野党の格好の攻撃材料となるためだ。そもそも2つの措置の導入が決まったのも、昨夏の参院選の与党敗北がきっかけだった。
 ただ、2つの措置を1年間延長した場合に必要な財源は約1700億円。政府・与党が6月に決めた後期高齢者医療制度の保険料軽減など一連の負担軽減策をすべて今年度の補正予算で手当てすると、総額は約2500億円まで膨らむ見通しだ。
 与党PTは、社会保障費を年2200億円抑制する政府方針との関係について「負担軽減策は制度の定着促進のための費用」として別扱いを強調するが、特例の連発は財政規律のゆるみを招きかねない。2年間も特例を延長するのならば、法改正も検討すべきだ。(政治部・桑原雄尚)」


◆2008/07/26 「<後期高齢者医療>未加入の重度障害者に補助 栃木県と市町」
『毎日新聞』7月26日2時31分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080726-00000009-mai-soci

 「65〜74歳の重度障害者が医療費助成を受ける際、一部の自治体が後期高齢者医療制度への加入を条件としている問題で、栃木県は25日、制度未加入者の医療費を県と市町で1割補助する方針を固めた。市町に理解を求め、今年中の実施を目指している。
 県によると、後期高齢者医療制度への加入を拒否している重度障害者は現在、県内に約40人。医療機関の診察などでは、窓口で2〜3割の自己負担を強いられている。新たに1割の医療費補助を行うことで、同県と県内31市町は合わせて約400万円を負担する見込みという。
 重度障害者の医療費助成を巡っては、栃木県など10道県が後期高齢者医療制度への加入を条件にしており、障害者団体などから「事実上の強制加入だ」と批判が出ている。【葛西大博】」

◆2008/07/26 「ニュースBOX:県医師会が後期高齢者医療制度の撤廃を厚労省に要請 /茨城」
『毎日新聞』7月26日13時1分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080726-00000084-mailo-l08

 「県医師会(原中勝征会長)は24日、後期高齢者医療制度の撤廃を求める要請書を約20万人の署名と共に厚生労働省に提出した。要請書では「政府は保険料の軽減対策で収束を図ろうとしている」と指摘。「(制度は)高齢者に負担増と差別医療を強いる」とした。県医師会は制度開始前の今年3月、都道府県の医師会で初めて反対を表明。その後、各地の医師会に広がった反対運動の旗振り役となってきた。
  7月26日朝刊 」

◆2008/07/26 「後期高齢者医療制度:拒否の重度障害者40人に1割補助 負担増批判に配慮 /栃木」
『毎日新聞』7月26日13時1分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080726-00000091-mailo-l09

 「県が25日、後期高齢者医療制度の任意加入対象である65〜74歳の重度障害者の中で、制度への移行を拒否している約40人に対し、医療費の1割補助を決めたのは、経済的に弱い立場に置かれることの多い障害者への負担増を強いることへの批判が出ていたからだ。県は来週、31市町に対し方針を説明し、理解を求めていく。
 同制度への非加入者は、医療機関で2〜3割の窓口負担が必要だったが、県と市町が折半で1割補助することで本人負担は1〜2割に収まる。後期高齢者医療制度に移行した場合は、医療費が原則、全額助成される。ただ、その代わりに新たに同制度の保険料を支払う必要が出てくる。
 県が先月、31市町を対象に実施した制度見直しのアンケートでは、見直しに肯定的な市町と、否定的な市町が15ずつ(その他1市)と完全に対応が分かれた。県は再度アンケートを実施したが、前回アンケートとほとんど変わらない結果となった。
 ただ、秋には県・市町とも来年度の予算編成に向けて動き出すことから、早めに対応を決める必要があった。そのため県は、医療費助成を受けるには制度加入を条件とする原則を守りつつ、対象者の自己負担軽減を図る妥協策の導入で、事態打開を図ることにした。【葛西大博】
 7月26日朝刊 」


◆2008/07/27 「京都府内の4割市町、夫婦世帯は増額 後期高齢者医療の低所得層保険料」
『京都新聞』7月27日14時19分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080727-00000023-kyt-l26

 「京都府は26日までに、75歳以上を主な対象に4月に始まった後期高齢者医療制度の保険料について、府内26市町村ごとに移行前の国民健康保険と比較し、結果をまとめた。モデルとした年金79万円の低所得層は、単身世帯では全市町村で保険料が下がったが、夫婦世帯では約4割の市町で上がった。
 調査は厚生労働省の委託を受けて実施。75歳以上の「単身」「夫婦」「夫婦(妻のみ75歳未満)」「単身と子ども夫婦の同居」の4世帯で、それぞれ年金79万円、201万円、400万円の計12モデルで試算した。
 年金79万円で単身世帯の場合、全市町村で下がり、特に井手町は2万5000円も減額された。同じく夫婦世帯では、10市町で最大6000円(夫婦合計)増え、逆に15市町で最大1万9000円下がった。
 保険料の増加が目立ったのは同居世帯。年金79万円の場合、宮津市と井手町以外の全域で上がり、南丹市は2万2000円(子ども夫婦との3人分合計)の増。
 年金201万円でも井手町を除く全域で上がり、京田辺市は2万6000円増えた。
 このほか、年金201万円の単身世帯は、綾部市と京田辺市以外で、数1000円から最大2万8000円(井手町)下がっていた。
 保険制度に詳しい立命館大産業社会学部の松田亮三教授は「国保に比べると分かりやすくなったが、国民への説明は不足している。低所得者の負担増加にも設計段階でより注意が払われるべきで、今後も運営体制を検討することが必要だ」と話している。 」

◆2008/07/27 「後期高齢者医療制度:4割が「負担増」−−県民主医連アンケート /宮崎」
『毎日新聞』7月27日15時1分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080727-00000209-mailo-l45

 「◇年金天引き不満も4割
 県内の病院や介護施設でつくる県民主医療機関連合会は25日、後期高齢者医療制度の対象となる高齢者へのアンケート調査結果を発表した。制度開始前の3月と現在の保険料を比較して「負担が高くなった」の回答が36・4%を占めた。逆に「安くなった」は9・2%だった。同連合会は「新制度で厚労省は『保険料が7割軽減された』と発表しているが、実態とは違う」と反論している。
 調査は5〜7月に宮崎市と延岡市の男女計272人を対象に実施。主に病院の患者や介護施設の利用者から職員が選択式の回答と意見を聞き取った。
 保険料負担の問いでは、高くなった理由に「農家で収入があるため高くなった。だが、災害などで赤字経営で生活は苦しい」との意見があった。
 保険料の年金天引きの問いでは「やめてほしい」40・8%に対し、「便利で良い」の評価も22・1%あった。やめてほしいの理由は「いくら引かれたか分からない。明細もない」「口座を見るたびに心理的負担がある」と不信感や将来不安の声があった。【中尾祐児】
 7月27日朝刊」


◆2008/07/29 「後期高齢者医療制度廃止 来月22日県民大会」
『琉球新報』7月29日9時55分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080729-00000003-ryu-oki

 「県老人クラブ連合会(花城清善会長)は28日午後、那覇市首里の同連合会で役員会を開き、後期高齢者医療制度の廃止を求める県民大会を8月22日午後6時から、那覇市の県民広場で開催することを決定した。主催は県老連。賛同団体に県婦人連合会、県子ども会育成連絡協議会、青春を語る会、県青年団協議会、県社会保障推進協議会などを予定している。超党派の大会として、多くの参加を呼び掛ける意向。
 県老連の知花徳盛常務理事は「75歳以上で高齢者を切り離す制度はおかしい。沖縄の高齢者は、戦争を体験し、27年間米国に統治されるという特殊な事情があった。これは高齢者だけの問題ではないということを多くの県民に呼び掛けたい」と話している。
 県老連は、5月に同制度の即時撤廃と高齢者が安心して暮らせる社会を求めるアピールを発表。県議会にも廃止を求め陳情を提出、県議会は今月18日、廃止を求める意見書を野党の賛成多数で可決した。」


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◆2008/09/05 「後期高齢者医療制度の医療費、1人あたり7万円 4月 」
 NIKKEI NET(日経ネット)9月5日7:00更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20080904AS3S0401M04092008.html

  「国民健康保険中央会は4日、75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度の4月の医療費(速報値)が総額で9202億円だったと発表した。1人当たりの医療費は7万350円だった。後期高齢者医療制度が4月に導入されてから初めての発表となる。
  後期高齢者医療の対象となる被保険者数は1308万人。対象範囲が異なるため単純比較できないが、昨年4月の国民健康保険における74歳以上の1人当たり医療費(6万9897円)と比べると約450円の増加となった。」


◆2008/09/06 「窓口負担3割の夫婦、1割負担に戻す 後期高齢者医療で厚労省」
 NIKKEI NET(日経ネット)9月6日14:15更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20080906AT3S0502J05092008.html

  「厚生労働省は75歳以上が対象の後期高齢者医療制度で、夫婦の一方が同制度の対象者となることで、今年8月から医療費の窓口負担が1割から3割に増えた一部の高齢者について、元の1割負担に戻す方針を固めた。政令を改正し、来年1月から実施する。対象は全国で1万数千人とみられ、必要な財源は数億円の見通し。
  対象は夫婦のいずれかが75歳以上で後期高齢者医療制度に移り、一方が74歳以下で国民健康保険など既存制度に残ったケースのうち、夫婦のどちらかが「現役並みの所得」と判定されて3割負担に変更された人。与党からも「世帯全体の所得は変わらないのに、負担が増えるのはおかしい」との批判が出ており、見直すことにした。」


◆2008/09/09 「京樽健保組合が解散 高齢者医療の負担重く政管健保に移管」
  NIKKEI NET(日経ネット)9月09日12:19更新
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20080909AS3S0900F09092008.html

  「吉野家ホールディングス傘下で持ち帰りすしチェーンを展開する京樽の健康保険組合が、高齢者医療制度への拠出負担増などにより9月1日付で解散したことが9日わかった。社員とその家族ら約3500人の加入者は全員、国が運営する政府管掌健康保険(政管健保)に移った。8月の西濃運輸健保組合の解散に続く動きで、健保組合に依存する医療制度の持続性にも影響を与えそうだ。
  京樽によると、今年4月の医療保険制度改革に伴い、高齢者医療制度への拠出など前年度比2億円強の負担増が見込まれ、現行8.2%の保険料率を10%以上に引き上げる必要性が生じた。このため、健保組合を解散し、保険料率の面でも有利な政管健保に移ることを決めたという。
  政管健保の財源の一部は国庫負担によって支えられているため、今後も健保組合の解散が相次いで政管健保に移行すれば、国民負担の増大につながる恐れもある」


◆2008/09/10 「後期高齢者医療、積み残しの問題解消 与党見直し案 」
 NIKKEI NET(日経ネット)9月10日7:00更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20080909AS3S0902A09092008.html

  「自民、公明両党は9日開いた与党のプロジェクトチームで後期高齢者医療制度の追加見直し策を決めた。保険料が年金天引きになったことで世帯主の社会保険料控除の対象から外れてしまう問題を見直し、同控除の合算対象に戻すことで一致。負担軽減措置の延長など、制度導入後に検討課題として残していた項目も決定した。ただ政局混乱の中で、軸足の定まらない制度の行方に不透明感が残る。
  同制度では保険料は原則として年金からの天引き。被保険者が自分で保険料を払うことになるため、世帯主の所得税などでの社会保険料控除額に合算することができない。税負担が増える場合があるため「隠れた増税」との批判も出ていた。」


◆2008/09/20 「公明政調会長「聞いていない」 後期高齢者医療代替制度」
 NIKKEI NET(日経ネット)9月20日15:09更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20080920AS3S2000A20092008.html

  「公明党の山口那津男政調会長は20日のTBS番組で、舛添要一厚生労働相が後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の代替制度の検討を表明したことについて「事前に聞いていない。与党にしっかりと説明して欲しい」と語った。「自民党総裁が選ばれた後、しっかり協議をして国民に方向性を示すのが大事だ」とも述べ、与党内で話し合う必要性があるとの認識を示した。」

◆2008/09/20 「公明政調会長「聞いていない」 後期高齢者医療代替制度」
 NIKKEI NET(日経ネット)9月20日15:09更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20080920AS3S2000420092008.html

  「舛添要一厚生労働相は20日朝、出演したTBS番組で「後期高齢者医療制度に代わる新しい医療制度を創設する」と語り、後期高齢者医療制度を維持する政策からの方針転換を打ち出した。同相はこの考えを自民党総裁選での勝利が有力視される麻生太郎幹事長にも伝えたことを明らかにし、「麻生政権ができれば政策として実現する。所信表明演説にも盛り込まれる」と述べた。
  後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者を若い世代から切り離し独自の保障をする制度。だが年金からの保険料天引きなどが感情的な批判を呼んでいる。同相は新たに検討する医療制度は(1)年齢のみで対象者を区分しない(2)年金からの保険料天引きを強制しない(3)世代間の反目を助長しない仕組みを財源などで工夫する――という三原則に基づいて設計することを強調した。」


◆2008/09/22 「後期高齢者医療、自公が見直し協議へ 連立合意に盛る方針 」
 NIKKEI NET(日経ネット)9月22日13:38更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20080922AT3S2200M22092008.html

  「自民党の保利耕輔、公明党の山口那津男両政調会長と舛添要一厚生労働相は22日午前、国会内で会談し、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の見直しにむけて政府・与党で協議を進めることで合意した。
  自民党新総裁選出を受け自公両党は23日に党首会談を開く。後期高齢者医療制度の見直しはこの時まとめる連立政権合意に盛り込む。
  22日の会談では(1)75歳での年齢区分(2)年金からの保険料天引きの強制(3)現役世代の負担のあり方――などを検討課題にすることで合意。1年後をメドに結論を出すとしている。」


◆2008/09/24  「後期高齢者医療で受診抑制が深刻に」
 キャリアブレイン 9月24日 21:06更新
 http://news.cabrain.net/article.do?newsId=18361&freeWordSave=1

  「4月に始まった「後期高齢者医療制度」の影響で、後期高齢者の外来(通院日数)が8.47%減少していることが、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が9月24日に発表した「緊急患者動向調査」で明らかになった。高齢者の医療費が1割負担となった2002年の「健康保険法改正」による4.4%の受診減を大きく上回っており、全日本民医連では、「保険料の強制天引きなどが、高齢者の生計費を直撃し、受診抑制を加速させている」として、同制度の廃止を強く訴えている。
  調査は、全日本民医連に加盟する全国の医療機関を対象に実施し、66病院と147診療所が回答。同制度が患者の受診にどのような影響を与えているかについて、今年と昨年の4−6月の外来・入院(病院のみ)の総日数や総点数などを調べた。
  その結果、後期高齢者の外来の総日数が、病院で前年同期比10.48%、診療所で同7.84%、それぞれ減少しており、全体では8.47%減少していることが分かった。入院は3.31%減少していた。
  外来については、02年10月に施行された改正健保法で高齢者の窓口負担が定額制から1割負担(一定所得以上の高齢者は2割)になった際、受診日数が4.4%減少したことが衆院予算委員会に提出された厚生労働省の資料などで明らかになっているが、同制度に伴う減少率はその約2倍にも上った。
  また、患者が受けた診療について医療機関が保険者に請求する診療報酬明細書(レセプト)の総点数では、病院の外来が6.71%減と大きく減少したのをはじめ、診療所の外来が3.46%減、病院の入院が1.18%減と、いずれも前年同期を下回った。
  全日本民医連では、後期高齢者に加え、74歳以下の患者の動向も調査したところ、病院の入院についての総点数を除き、いずれも前年同期比で3−4%減少していた。
  これらの結果について、全日本民医連では、「同制度は、窓口負担そのものの割合に変更がないにもかかわらず、02年の『改正』による受診抑制をはるかに上回っており、異常というほかない。年金からの保険料天引きは、実質的には年金給付の削減を意味し、生活が厳しさを増す中、受診を控えざるを得ない高齢者が増えている」と指摘した上で、「10月15日には、これまで扶養されていた後期高齢者など新たに625万人が天引きの対象になるだけに、さらに受診抑制が強まる」とみている。
  74歳以下の受診抑制についても、「度重なる増税や物価高が国民生活に悪影響を及ぼしている結果だ」と指摘している。」


◆2008/09/25  「後期医療見直しで検討会―厚労相が方針」
 キャリアブレイン 9月25日9:50更新
 http://news.cabrain.net/article.do?newsId=18364&freeWordSave=1

  「舛添要一厚生労働相は9月24日、麻生内閣発足に伴う閣僚記者会見で、後期高齢者(長寿)医療制度の見直しに向け、検討会を新しく立ち上げる考えを明らかにした。
舛添厚労相は会見で、後期高齢者医療制度の見直しについて、「1年ぐらいの議論は必要だ」との認識を示した。
  その上で、「後期高齢者医療制度に関する直属の検討会をただちに立ち上げ、明日からでも改革の議論を始めたいと思っている」と述べ、設置に向けて準備を進めていることを明らかにした。
  後期高齢者医療制度について、舛添厚労相は「非常にいいものであっても感情的な反発がある」と、抜本見直しが必要だとするこれまでの主張をトーンダウンさせ、現行制度を軸に見直しを行う考えを強調。与党プロジェクトチームによる議論も並行して進め、国民の合意形成を図る必要があるとの認識を示した。
  民主党が後期高齢者医療制度の廃止による医療制度の一元化を主張している点については、「問題があるから変えようというところ(旧老健制度)にまで戻るということだ」と批判。「いいものをしっかりと守った上で、さらなる改善を目指すわれわれの政策の方がはるかに優れていると確信している」と述べた。」

◆2008/09/25 「厚労相、後期高齢者医療制度「制度の根幹は変えず」
 NIKKEI NET(日経ネット)9月25日16:21更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20080925AS3S2500U25092008.html

  「舛添要一厚生労働相は25日昼、与党の高齢者医療に関するプロジェクトチーム(鈴木
   一座長)に出席し、75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度の抜本見直しに関して「制度の根幹を変えるつもりはない」と説明し、凍結・廃止などは考えていないことを強調した。出席者からは厚労相の先の突然の見直し方針の表明に批判的な意見が続出。今後は与党の幹事長・政調会長級で協議する方針も確認した。」


◆2008/09/26 「厚労相「国民目線で」、後期高齢者医療見直しで首相指示 」
 NIKKEI NET(日経ネット)9月26日14:54更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20080926AS3S2600Z26092008.html

  「舛添要一厚生労働相は26日の閣議後の記者会見で、後期高齢者医療制度の見直しについて「言葉のニュアンスではなく、国民目線で見直すことが大事。それが麻生太郎首相の指示だ」と表明した。与党内には制度見直しに反発があり、これを反映する形で首相から厚労相への指示書の内容も「抜本的な改革」から「必要な改革」に修正された経緯があるが、厚労相の発言はあくまで必要な見直しを進める考えを強調したものだ。
  同時に厚労相は「都道府県単位の広域連合による運営は無責任だった」と述べ、運営を都道府県に移管することも一案との見解を示した。広域連合は財政状況による地域格差をなくし、財政を安定させる狙いから導入された仕組み。広報や説明責任などの面で当事者意識に欠け、制度の混乱に拍車をかけたとの指摘がある。」


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 ▽2008/10


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 ▽2008/11


◆2008/11/07 「後期高齢者医療、保険料6万5000円 厚労省、追加策で9%減」
 NIKKEI NET(日経ネット)11月07日0:16更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20081106AT3S0601H06112008.html

  「厚生労働省は6日、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度について軽減措置をとった後の今年度の1人当たり平均保険料を公表した。政府・与党が6月に決めた追加の保険料軽減策の結果、低所得者層を中心に保険料が都道府県ごとにどれだけ下がるか示したもので、全国平均の保険料は対策実施前の約7万2000円から9%程度下がり、約6万5000円となる。
  都道府県別にみると、最も高い神奈川県が5%減の8万8221円、最も低い秋田県が19%減の3万8151円となった。神奈川県や東京都では4―5%程度の減少にとどまるのに対し、山形県や秋田県では対策実施前と比べ2割近く低下する。
  追加対策として今年度にとった保険料軽減措置では、低所得者層の保険料の均等割部分の軽減率を7割から8.5割に拡大。このほか、年金収入が153万円から210万円程度の人の保険料の所得割部分を5割軽減することにした。」


◆2008/11/17 「前期高齢者医療制度に公費投入を 健保組合全国大会 」
 NIKKEI NET(日経ネット)11月17日 23:25更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20081117AS3S1701P17112008.html

  「健康保険組合連合会は17日、都内で全国大会を開いた。健保組合の財政悪化を食い止めるため、前期高齢者医療制度への公費投入などを訴える方針を決議した。
  健保連の平井克彦会長は基調演説で、高齢者医療制度への納付金や支援金が健保組合の財政を圧迫していることを強調。「前期についても後期と同様に公費を投入していただきたい」と述べた。
  このほか、医療制度間の財政調整の阻止と税・財政改革による社会保障財源の確保を訴えていく方針を決議した。中小企業の社員などが加入する旧政府管掌健康保険(現・全国健康保険協会)への国庫負担を肩代わりした今年度の財政支援については「今後することはない」と話し、来年度以降は支援しない方針を示した。」

◆2008/11/17 「前期高齢者制度に公費を―健保連が決議」
 キャリアブレイン 11月17日 19:16更新
 https://news.cabrain.net/article.do?newsId=19192&freeWordSave=1

  「健康保険組合連合会(健保連)は11月17日、「2008年度全国大会―健保組合存亡の危機突破総決起大会―」を開き、前期高齢者への公費投入の実現を求める方針を決議した。
  平井克彦会長は基調講演で、特に前期高齢者支援金による支出が、健保組合の財政を圧迫しているとの見方をあらためて示した。
決議は、前期高齢者への公費投入をはじめ、▽制度間の財政調整・一元化構想断固阻止▽税・財政改革による安定した社会保障財源の確保―の3項目で、健保連では同日、自民、公明両党や厚生労働、財務両省への要請活動を行った。
  基調講演で平井会長は、「前期高齢者医療に対する支援金などの過大な負担で、全国の健保組合は財政的に大変危機的な状況にある」と訴え、世代間の負担の公平性を担保するなど、制度の見直しを喫緊の課題に位置付けた。
 その上で、「後期高齢者医療制度と同じように前期高齢者にも公費を投入していただきたい」と述べ、今後も各方面への要請活動を行う考えを示した。
  厚労省が制度の見直しをめぐって、最初から75歳に着目しないことなどを基本原則に掲げている点については、「われわれの申し上げている主張と同じではないかと意を強くしている」と評価した。
  健保組合による旧政管健保の国庫負担肩代わりについては、「08年度に限り、苦渋の選択としてやむなしとしたが、今後はこうした支援措置に応じることはないと(1月に)宣言している」と指摘。その上で、社会保障費を毎年2200億円削減する政府方針が限度に来ているとの認識を示した。
 このほか、財政的に困窮する組合への緊急措置として、「負担軽減交付金」の交付などの対策を取る考えも明らかにした。
  対馬忠明専務理事は決議の趣旨説明で、「保険者にとって基本中の基本なのは、自主的な財政と自主的な運営だが、財政調整や国庫負担の肩代わりでは、わたしたちのコントロールの範囲外にお金を出すことになる」と述べ、こうした措置が取られれば、保険者による自律的な事業運営が難しくなると批判した。」


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 ▽2008/12


◆2208/12/03 「後期高齢者医療制度、来春までに自民が見直し案 」
 NIKKEI NET(日経ネット)12月03日7:00更新
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt233/20081202AS3S0202Y02122008.html

  「自民党は2日、75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度について、来春までに党独自の見直し案をまとめる方針を固めた。現在50%の公費負担の引き上げ案が浮上している。
  舛添要一厚生労働相も既に来秋までの見直し方針を表明しているが、次期衆院選を控え、党が先行して具体案を打ち出す必要があると判断した。今後策定する党のマニフェスト(政権公約)に盛り込む予定だ。」


◆2008/12/05 「後期高齢者医療:見直し「政府と与党」で」
『毎日新聞』2008年12月5日 22時35分
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081206k0000m010120000c.html

  「自民党の保利耕輔政調会長と鈴木俊一社会保障制度調査会長ら厚生労働関係議員は5日、東京都内で舛添要一厚生労働相と会談し、後期高齢者医療制度の見直しについては政府・与党一体で行うことを確認した。与党に相談なく見直し私案を公表した舛添氏に反発した自民党側が主導権の取り戻しを図った。
  4月に始まった後期医療制度は、75歳以上で線引きした点などに高齢者の強い反発が起きた。舛添氏は9月に突然、見直しを表明。直属の検討会を発足させ、市町村の国民健康保険を都道府県単位に再編し、後期医療と一体運営する私案を公表した。だが、自民党厚労族は現行制度の枠組みは維持すべきだとの意見が大勢で、両者の間に溝が生じていた。
  出席者によると、舛添氏は「検討会は一つの勉強。私のも私案だ」と説明したという。厚労族の一人は「与党の結論が政府の結論だ」と語り、党主導で見直す姿勢を示した。
  同党は3月をめどに見直しの基本方針をまとめ、マニフェスト(政権公約)に盛り込む考え。【堀井恵里子】」


◆2008/12/15  「『後期医療』は見直しではなく廃止を」
 キャリアブレイン 12月15日13:55更新
 http://news.cabrain.net/article.do?newsId=19662&freeWordSave=1

  「4月に始まった「後期高齢者医療制度」は、「国民を年齢で機械的に差別する人間の尊厳を無視した世界に例がない差別的医療制度」として、35を超える各種団体でつくる「後期高齢者医療制度の廃止を求める東京連絡会」が12月14日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で「12・14後期高齢者医療制度の廃止を求める東京大集会」を開いた。同制度の対象となっている高齢者や医療関係者など5000人以上が参加し、「同制度は、(政府・与党が示す)見直しではなく、廃止しかない」とのアピールを採択すると共に、同制度の廃止を訴えて銀座をパレードした。
  同制度に関する東京都内の情勢について、同連絡会代表の吉田万三さんが、廃止を求める署名が75歳以上の都民の半数を超える63万人余りに達していることなどを紹介。「野党4党による『廃止法案』が参院で可決された。現在、衆院に移されているが、審議はわずか一日にとどまり、"たなざらし"になっている。(政府・与党による)中途半端な見直しでは、問題は解決せず、廃止の結論を出すべき」などと訴えた。
  政党からは、民主、共産、社民、新党日本の国会議員が出席。鈴木寛参院議員(民主)は「『廃止法案』の参院での採決に、自民、公明は欠席した。衆院での審議でも、自民、公明の主張は破綻(たん)している。皆さんと共に自公政権を追い詰め、悪政をなくそう」と呼び掛けた。小池晃参院議員(共産)は、2兆円の「定額給付金」などを挙げ、「このようなばらまきではなく、社会保障費2200億円の削減を止めれば、後期高齢者医療制度を廃止できる。麻生政権は、(給付金の後に)消費税増税を表明しているが、国民負担ではなく、大企業・大資産家に応分の負担を求めるべきだ」と訴えた。
  また、福島みずほ参院議員(社民)は、2006年の通常国会で、同制度を含む「医療制度改革関連法」を与党が強行採決した経緯などを説明した上で、「当時、厚生労働省に『年齢で区切る医療制度が世界にあるか』と質問したら、『ない』と答弁した。同制度には政府・与党の高齢者の扱いが端的に表れており、命を粗末にする政治から、命を大切にする政治へ転換すべき」と強調した。
  田中康夫参院議員(新党日本)は「福祉や医療、教育は、人が人を世話することによって成り立つ。ここに予算を投入して雇用を生み出すことなどが、21世紀に求められている社会であり、(社会保障を切り捨てる)予算構造を変えなければならない」と訴えた。このほか、国民新党の自見庄三郎参院議員や無所属の川田龍平参院議員らが賛同メッセージを寄せた。
  この後、高齢者や医師らも発言。都内62市区町村の8割を超える51市区町村で廃止や見直しを求める決議が採択される中、「日の出町では、全国で初めて75歳以上の医療費の窓口負担が無料化された。確実に運動が広がっている。09年には、国民の手で本当の『医療改革』を進めよう」などと呼び掛けた。」


◆2008/12/16 「後期高齢者医療制度:「怒り」 廃止求めデモ−−金沢 /石川」
『毎日新聞』2008年12月16日 地方版
 http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20081216ddlk17010716000c.html

  「後期高齢者医療制度で年金から保険料が天引きされた15日、金沢市で県社会保障推進協議会が同制度の廃止を求めてデモ行進した。
  同協議会の寺越博之事務局長は「戦後間もないところから苦労してきた高齢者を邪魔者扱いする制度という声が強い。(75歳以上の)先輩の奮闘があったからこそ今の社会があるのではないか」と批判。参加者約50人が同市広坂2の中央公園から武蔵町まで行進した。
  参加した男性(70)は「年齢を限定して別枠を設けるのはおかしい。天引きは人のふところに政府が手を入れるようなもの。自分もあと5年で対象になり、人ごとではない」と憤っていた。【栗原伸夫】」

◆2008/12/16 「「無保険」の高齢者、十数万人の恐れ」
 キャリアブレイン 12月16日21:39更新
 http://news.cabrain.net/article.do?newsId=19687&freeWordSave=1

  「「後期高齢者医療制度」の保険料徴収で、年金受給額が年額18万円未満の人などを対象にした「普通徴収」の滞納率が福岡や青森県で10%を超えることが、両県の保険医協会の調査で明らかになった。舛添要一厚生労働相は、12月5日の衆院予算委員会で、同制度を運営している各都道府県の「後期高齢者医療広域連合」のうち18連合からの報告を集計した結果、「普通徴収」の滞納率が8.4%になっていることを明らかにしている。低所得の高齢者は全国で約200万人と見られており、この数値から推計すると、「無保険」の高齢者が十数万人に及ぶ可能性がある。
  同制度では、介護保険料と同様、保険料について年金からの天引きを原則にしているが、年金受給額が年額18万円未満の人や、介護保険料の天引き額と後期高齢者医療保険料の合計額が年金受給額の5割を超える人には、天引きではなく納付書や口座振替による「普通徴収」としている。「普通徴収」は7月から始まった。
  福岡県の「普通徴収」の滞納状況については、同県保険医協会が調査。システム未整備で回答できなかった17市町村を除く49市町村が回答し、9月時点で11万2868人の該当者のうち、滞納者が1万6372人で、滞納率が14.5%に上ることを明らかにした。滞納率は、市町村間で大きな開きがあり、福岡市などで20%を超える半面、星野村などでは1%未満だった。
  青森県では、40市町村(9月分について集計中など1市1町については、8月などの数値を代入して算出)の該当者3万3843人のうち、滞納者が4028人で、滞納率は11.9%だった。同県でも、滞納率が50%前後の市町村がある一方、5%未満の市町村もあり、地域差があった。
  「普通徴収」の滞納率については、18の広域連合で「普通徴収」の滞納率が8.4%になっていることを、舛添厚労相が衆院予算委員会で明らかにしている。
  従来の老人保健制度では、75歳以上の高齢者には「資格証明書(資格証)」を発行しないことになっていたが、「後期高齢者医療制度」では、保険料の一年以上の滞納者には「資格証」の発行を義務付けている。「資格証」を発行されると、医療機関の窓口で医療費の全額を負担しなければならず、福岡、青森の両保険医協会では、「経済的な理由から保険料を払えない人が、医療機関で全額の負担はできない。さまざまな負担増で保険料を払えない人が増加しており、医療を必要としながら受けられない高齢者が多数に上る恐れがある」として制度の廃止を求めている。」


◆2008/12/17 「社会保障費:圧縮財源に年金特会から1350億円」
『毎日新聞』2008年12月17日 2時30分配信
 http://mainichi.jp/select/biz/news/20081217k0000m010152000c.html

  「政府・与党は16日、09年度予算編成で大きな焦点となっていた、社会保障費の伸びを2200億円抑制する方針の見直しをめぐり、削減幅を圧縮する財源として年金特別会計の業務勘定から1350億円程度を流用する方向で最終調整に入った。いわゆる「霞が関埋蔵金」の一種。道路特定財源の一般財源化に伴う「地域活力基盤創造交付金」の削減で600億円、後発医薬品(ジェネリック)の利用促進で250億円程度を充てることが既に固まっており、圧縮財源問題はこれで決着することになる。
  形の上では7月に決めた概算要求基準(シーリング)の枠を達成するが、恒久的に一定の金額を確保できる安定財源とは言えず、つじつま合わせの側面は否定できない。
  年金特会の業務勘定は89年度に設置された。07年度時点で約1兆5111億円の積立残高があり、剰余金も626億円ある。企業の健康保険組合などが拠出する旧老人保健制度(現後期高齢者医療制度)の高齢者医療費への負担金を、積立金の運用益で軽減するのが設置目的だ。
  政府は概算要求段階で、新たに安定的な財源が確保された場合、社会保障費の抑制額を見直すことを決めていた。当初はたばこ税の値上げで1200億円程度を捻出(ねんしゅつ)する意向だったが、実現できなかったため、代替財源として年金特別会計に目をつけた。1350億円の流用を予定しているが、今後の調整で少なくなった場合はその分後発薬の利用促進で穴埋めする。【吉田啓志、清水憲司】」

◆2008/12/17 「財源確保 危うさ指摘も 日の出町 後期高齢者医療費無料に」
 『東京新聞』12月17日
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20081217/CK2008121702000077.html

  「「あれほど町民の皆さんに喜ばれた記憶はありません」。来年四月から、七十五歳以上の高齢者の自己負担分の医療費を無料化するという思い切った施策を実施する日の出町。青木国太郎町長は、構想を"サプライズ発表"した九月の敬老福祉大会での町民らの反応を振り返る。
  同町の後期高齢者医療制度の被保険者は約千八百七十人。町内に三年以上住んでいれば今まで自己負担していた医療費は全額、町が支払うことになる。全国でも珍しい取り組みだ。青木町長は「家庭や地域で尽力されたお年寄りに感謝の気持ちを込めて」とその狙いを話す。
  「日本一お年寄りにやさしい町づくり」を目標に掲げる町長の理念に真っ向から反対を唱える声は聞こえてこない。だが危うさを指摘する意見はある。十二月町議会では「将来も続けられる制度なのか」との疑問も出て、全会一致での条例案可決とはならなかった。
 町の試算では、来年度の医療費の自己負担分は約八千五百万円。町内の大型ショッピングモールなどから見込まれる固定資産税を財源に充てる。しかし、継続的に商業施設からの税収に頼ろうとする姿勢には、町民から「町の財政は大丈夫?」との声が聞かれるのも事実だ。
  青木町長は「お年寄りが元気であることが基本」と強調。条例には、お年寄りのスポーツ振興を進めることも記し、医療費が町財政を圧迫しないような政策も併せて充実させていくとしている。
  方針発表以降、同町には全国から視察団が訪れるようになった。「お年寄りに優しい町づくり」という理念は誰もがひかれる。それがどのような成果をもたらすのか、今後も検証を続けたい。
 (布施谷航)
  【お年寄りにやさしい福祉基本条例】 12月町議会で可決。後期高齢者医療費の自己負担分無料化を盛り込む。このほか75歳になる住民が受ける人間ドックの受診料を無料化▽「健康教室」でお年寄り向けスポーツを支援する−などが柱。」


◆2008/12/27 「見直しか、廃止か、国政の焦点に−2008年重大ニュース(1)「後期高齢者医療制度」」
 医療介護CBニュース 12月27日14時55分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000000-cbn-soci

  「…■対立深める与野党
  4月1日に始まった「後期高齢者医療制度」は、06年の通常国会で、自民、公明の与党が野党の反対を押し切って強行採決した「医療制度改革関連法」の柱の一つで、成立過程から与野党が激しく対立してきた。野党提出の「後期高齢者医療制度廃止法案」が今年6月に「ねじれ国会」の参院で可決され、衆院で継続審議となったが、臨時国会では審議はわずか1日しか行われず、来年の通常国会に持ち越された。政府・与党は「見直し」の姿勢を変えず、野党は「廃止」の一点で共闘する構えを見せており、対立をより深めている。
  同制度は、施行前の段階で、新たに保険料を負担することになる75歳以上の後期高齢者の保険料負担を6か月間「凍結」するなどの措置を取ったほか、「長寿医療制度」へと呼称変更するなど、厳しい状況下での船出となった。
  こうした中、施行直後の4月11日には、6万3000人余りに被保険者証が届いていないことが判明し、早くも問題が表面化した。また、保険料が初めて年金から天引きされた同15日には、全国の自治体や医療機関などの窓口に問い合わせや相談、苦情が殺到し、同制度に対する国民の不信感が一気に高まった。
  国会では、民主、共産、社民、国民新の野党4党が5月23日、「(同制度は)国民の高齢期における適切な医療を確保するものではなく、同制度を廃止し、元の老人保健制度に戻すための措置を緊急に講じるべき」などとして、「後期高齢者医療制度廃止法案」を参院に共同提出した。同法案は6月6日の参院本会議で、野党の賛成多数で可決された。衆院では継続審議となったが、臨時国会での審議は11月19日のわずか1日のみで進展がないまま、来年1月5日に召集される通常国会での継続審議となった。
  同制度について、麻生太郎首相は9月の所信表明演説で、「説明不足もあり、国民を混乱させた事実を認め、反省する」と、政府の責任を認めた。しかし、「制度をなくせば、(問題が)解決するものではない」として、現行の制度を軸にして今後1年をめどに「必要な見直し」を検討する意向を表明している。舛添要一厚生労働相も、麻生内閣発足に伴う閣僚会見で、「制度に関する検討会を立ち上げる」などとして、「見直し」の考えを明らかにしている。
  一方、野党各党は、「後期高齢者医療制度の廃止を求める東京連絡会」が12月14日に東京都内で開いた「12・14後期高齢者医療制度の廃止を求める東京大集会」に出席。医療団体や高齢者団体など5000人を超える参加者を前に、厚生労働委員会などに所属する各党議員があらためて「廃止」の一点で与党を追い込む考えを表明しており、今後の国政の焦点の一つとなっている。
    ■強まる各団体の反発
  同制度は、75歳以上の国民が加入を義務付けられているほか、生活保護世帯を除き、子どもの扶養家族となっていた人や寝たきりなどで障害認定を受けた65-74歳も対象になっている。保険料は、毎月の年金が一定額以上あれば、介護保険料と共に天引きされるが、滞納すると国民健康保険と同様に保険証が取り上げられ、「資格証明書」が発行されるなどの制裁がある。
  具体的な医療については、一人の患者に一つの「主病」を決めて一人の主治医が治療する「後期高齢者診療料」(月額6000円)などが定められている。
  こうした医療内容などに対し、各地の医師会が制度の反対や撤回に加え、同診療料の届け出や算定の自粛を呼び掛けた。茨城県医師会が4月、「医療費抑制のため、年齢により人間の価値を差別する制限医療を目的にしている」などとして制度の撤回を要求したのをはじめ、35都道府県の医師会が「廃止」や「見直し」など現行制度に否定的な態度を表明している。
  同制度への反発が強まる中、厚労相の諮問機関で診療報酬の改定などを協議する中央社会保険医療協議会(中医協)では6月、回復が見込めないと医師が判断した後期高齢者を対象に、同制度の一環として新設したばかりの「後期高齢者終末期相談支援料」の算定を当面「凍結」することを決めるなど、施行後に早くも見直しを余儀なくされた。
  また、同制度で問題視されていた国保から移行した後期高齢者の保険料負担問題について、厚労省は6月4日、「全国平均で69%の世帯で保険料が減少した」との結果を公表した。しかし、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が同11日、国会内で記者会見し、病院や介護施設で患者らを対象に実施した聞き取り調査について発表。「保険料の軽減は約7%にとどまり、増加している人が4割を超えている」という全く反対の結果を示した。9月には、制度の影響で後期高齢者の外来(通院日数)が8.47%減ったとの調査結果を示し、高齢者の医療費が1割負担となった02年の「健康保険法改正」時の4.4%を大きく上回る「受診抑制」が進んでいるとして、制度の廃止を強く求めている。
  さらに、全国の自治体にも同制度に「反対」する動きが進んでいる。中央社会保障推進協議会(中央社保協)の調べ(今年12月4日までの集計分)によると、同制度の廃止や見直しを求める意見書を採択したのは662議会で、昨年10月の約200議会から1年余りで3倍以上に急増している。この動きは、高齢化率が高い地方にとどまらず、東京都で62市区町村の8割を超える51市区町村で採択されたほか、日の出町では、全国で初めて後期高齢者の窓口負担の全額を負担することを決めるなどの動きも起きている。
  また、制度への不服審査請求を申し立てた人は、東京都の1000人余りを筆頭に全国で1万人を超えており、意見書採択を含め、こうした動きが今後もさらに広がるとみられている。」


◆2008/12/30 「社説:視点・未曽有08 厚労省の「罪」/ ◇猛省して国民の側に立て」
『毎日新聞』2008年12月30日 10時51分
 http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081230k0000e070016000c.html

  「今年ほど厚生労働省に対して国民の批判が相次いだ年はなかった。年金記録の改ざんなど、国民を裏切る問題が噴出し信頼は地に落ち、社会保障制度への信頼も根底から揺らいでいる。未曽有の混乱と不信を招いた厚労省の罪は重い。
  具体的な事実を検証してみたい。まずは5000万件にも上る、いわゆる「宙に浮いた年金記録」問題だ。政府・与党は3月末までに照合作業を終えると公約したが、無理だった。膨大な記録の照合が簡単にできるはずもなく、国民を失望させた。
  4月から始まった「後期高齢者医療制度」は75歳以上の高齢者から「うば捨て山にするのか」との猛反発が全国に広がった。批判の大合唱を目の当たりにした与党は、高齢者の保険料の大幅減免によってかわそうとしたが、高齢者らは小手先の収拾策だと見抜いてしまった。
  後期医療制度については、法律が成立して以降の2年間、厚労省は制度の説明責任を果たしてきたとはいえない。都道府県単位で全市町村が加入する寄り合い所帯の広域連合に運営を任せ、周知を怠った。この結果、大混乱が生じた。舛添要一厚労相が突然、同制度見直しの私案を打ち出したことも、スタンドプレーだとして批判を浴び、混乱に一層拍車をかけた。
  9月、今度は社会保険庁職員による厚生年金記録の改ざんが明らかになった。11月末には舛添厚労相が設置した調査委員会が、社保庁職員が組織的に改ざんに関与していた実態を公表した。保険料の算定基礎となる標準報酬月額の改ざんが「社保庁の仕事の仕方として定着してきた」と指摘したのだ。これは間違いなく犯罪行為だ。
  年金改ざんが組織的に行われていた事実は衝撃的だった。国家公務員が組織的に国民をだましていたのだから、許せないことだ。民間企業なら倒産するだろう。厚労省は倒産してはいないが、国民からはレッドカードを突きつけられたに等しい。
  厚労省の官僚は政治家の顔色をみて仕事をしてきた。厚労族議員への根回しで政治を動かしてきた。国会での法案成立に精力を注ぎ、法律を作った後の周知には熱心ではなかった。その弊害が医療制度改革で一気に噴き出したと指摘したい。
  厚労省は政治家ではなく、国民を見て仕事をすべきなのだ。不祥事を猛省し原点に戻る時である。国民と行政をつなぐものは信頼だ。年金や医療、介護など、暮らしの基盤が崩れ社会の底が抜けつつある今、厚労省には国民の側に立つ「暮らし省」として出直すしか道はない。(論説委員・稲葉康生)」


*作成:老い研究会
UP:20080329 REV:20080425 0514,15,18,0601,0604,23,0707,0801,20090227
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