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老い・2007

老い


天田 城介 20070130 『〈老い衰えゆくこと〉の社会 普及版』,多賀出版,606p. ISBN: 4-8115-6362-X 5250 [amazon][boople] ※ b a01

◆村瀬 孝生 20070225 『おばあちゃんが、ぼけた。』,出版社,172p. ISBN-10: 4652078250 ISBN-13: 978-4652078259 1260 [amazon] ※ b a06
◇立岩 2007/04/** 「書評:村瀬孝生『おばあちゃんが、ぼけた。』」,『北海道新聞』2007/04/

◆社団法人日本老年医学会 20070313 「後期高齢者の医療および医療保険制度に関する日本老年医学会の考え方」(平成19年3月13日) 
 http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/b439b6a5ee444ea4492572bf0005b4a5/$FILE/20070416_1shiryou1.pdf

◆三浦 久幸・太田 壽城 200703 「高齢者の終末期医療――倫理ジレンマを乗り越えるために」『日本老年医学会雑誌』44巻2号 162-164 .
 http://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/44/2/162/_pdf/-char/ja/

老人の専門医療を考える会 第29回全国シンポジウム 2007/03/24 「どうする老人医療これからの老人病院(Part29) ご存知ですか?後期高齢者医療制度」 於:大手町サンケイプラザ

 http://ro-sen.jp/sympo/sympo29.html
 http://ro-sen.jp/sympo/sympo29.html#sympo
http://ro-sen.jp/sympo/sympo29.pdf

◆社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会.20070411.「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」(平成19年4月11日) http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/b439b6a5ee444ea4492572bf0005b4a5/$FILE/20070416_1shiryou1.pdf

◆社会保障審議会医療保険部会 20070412 「07/04/12 第26回社会保障審議会医療保険部会の議事録」
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/txt/s0412-1.txt
 「原課長 医療課長でございます。前回、3月1日の医療保険部会で、後期高齢者医療のあり方に関する特別部会での、医療のあり方に関する基本的考え方のたたき台をお示しいたしまして、委員の方々から御意見をいただきました。私どもで、委員の方々の御意見を取りまとめた上で、おおむね、たたき台の流れの中で読めるというふうに考えておりまして、今回、この基本的考え方の中では、前回のたたき台での柱立ての項目を、さらに説明する形で、今回、この考え方を作成いたしました。おおむね先生方の意見を取り入れられたものと考えております。」

◆井口 高志 20070630 『認知症家族介護を生きる――新しい認知症ケア時代の臨床社会学』,東信堂 335p. ISBN-10:4887137680 ISBN-13: 978-4887137684 4410 [amazon] ※

◆前田 由美子・福田 峰 20070702 「後期高齢者の死亡前入院医療費の調査・分析」,日医総研ワーキングペーパーNo.144(日本医師会総合政策研究機構)http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=351http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=351(要約)

◆日本尊厳死協会東海支部 編 20070720 『私が決める尊厳死――「不治かつ末期」の具体的提案』,日本尊厳死協会,発売:中日新聞社,159p. ISBN-10: 4806205486 ISBN-13: 978-4806205487 1000 [amazon] ※

 「高齢者」 井戸豊彦・益田雄一郎(日本尊厳死協会東海支部編 2007:61-91)からの引用
 「今まで「末期医療」で議論されてきたのは、主に65歳未満の若年者の悪性腫瘍j(ルビ:しゅよう)患者(以下、悪性腫瘍は「がん」と表記)を対象としたものが多かったと思います。高齢者もがんで死亡する場合が少なくないのですが、やはり若年者と異なった病態・経過・転帰(行き着く先)を示す例が多く、また高齢者の場合、がん以外の疾患で死亡する患者も少なくありません。やはり、高齢者の「末期医療」は、若年者の末期医療と比較して相違点が存在するのです。
 この章では、高齢者の末期を考えるにあたり、対象となる疾患に「脳血管障害」「パーキンソン病」そして「認知症」の中のアルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)を選択しました。
 認知症全体をとり上げずアルツハイマー病と限定したのは、脳血管性認知症の場合は、脳血管障害と内容が重複すること、また他の神経編成疾患は比較的まれえだること、さらには全身性疾患によるものは早期の診断で治癒するものがほとんどであること、を考慮したからです。
 認知症そのものでの死亡はありませんが、アルツハイマー病を高齢者に特有な疾患として、議論の対象としました。
 「老衰」については不治とか末期といった項目は設けず、一部言及するにとどめました。その理由は「老衰」が疾患概念を意味する言葉ではないこと、かつては「老衰」を死因としてきましたが、近時は死因とはできないとする意見のあることを考慮したからです。
 脳血管障害の不治、末期とは、様々な機能障害を引き起こし、すでに全面介助状態となった人が、合併症として肺炎や心不全、あるいは褥瘡(ルビ:じょくそう)(床ずれ)から敗血症などの感染症を引き起こし、それ<63<らの合併症が治癒せず不治、末期となった状態に陥ったときです。
 一般的にいえば合併症の多くは治癒が可能です。しかし高齢者の場合、治療を実施に行なってもその効果はなく、末期の状態に陥ることが少なくありません。
 一方、合併症がなく、比較的全身状態がよい状態であれば、嚥下(ルビ:えんげ)機能(飲み込むこと)が傷害され、食事がとれなくても、また意思疎通の能力を喪失して会話が全くできなくても、いわゆる不治、末期とはいえないと思います。
 パーキンソン病やアルツハイマー病については、病態が進行し全身状態が悪化してくると、薬物療法の効果も限定的となり、いわゆる寝たきりとなります。その際、嚥下機能や意思疎通能力も喪失することがほとんどです。そしてその末期ですが、肺炎や心不全、敗血症などの感染症に侵され、それらの合併症の治癒が見込めないときに、不治、末期である、といえます。
 これらの経過とは別に、全体としてみれば特定の疾患や臓器不全によるものというより、固体全体の「老化」の結果というべきものである場合も多いと思います。老化によって寝たきりや全面介助状態に至ることも少なくありません。いわゆる「老衰」ですが、この状態に陥った場合も、「末期」と考慮すべきです。(筆者注は略)<64<」(日本尊厳死協会東海支部編 2007:63-64)

「老衰による死について
 高齢者の病態を全体としてみれば、特定の疾患や臓器不全によるものというより、個体全体の「老化」の結果というべきものである場合があります。寝たきり、全面介助状態に至ったときのことです<65<<66は表1のみ掲載<が、この状態をわれわれは老衰といい、「末期」に準じて考えるべきだ、と思います。
 この場合、寝たきり、全面介助状態は6ヶ月を超えることが少なくありません。老衰の過程で生じる「摂食不能」を放置すれば死に至りますが、この老衰死は主に脱水死であり、通常、苦しみは少なく、死亡までの期間も短く、治療による苦痛もない、ある意味で受け入れやすい死に方といえます。
 一部のヨーロッパ諸国では、このような場合に人工栄養を施さないで安らかに「死を迎えさせること」が社会的合意となっているようです。しかしながら、わが国ではこのような場合に、補液などどの医療措置を施さない例はあまり多くないと思います。それは、ひとつにはこの場合の摂食不能が「不可逆的」であると判断することが困難だからです。老衰の経過中に生じる摂食不能は肺炎などの急性疾患が原因のことが多く、これを治療すれば摂食可能となる場合が少なくないからです。
 もう一つ大事な点は、一部のヨーロッパ諸国と異なり、日本ではこのような場合の医療措置に対する国民的合意が成立していないことです。一般国民を対象にしたアンケートによれば「たとえ持続的植物状態に陥ったとしても、人工栄養などの医療措置を希望する」が少数ながら存在し、しかも高齢者ほどその比率が増加します。医療における「自己決定権」の行使が、慣習としても制度としても成熟しているとはいえない日本社会では「老衰の過程においては医療措置を施さない」という社会的合意の形成は容易でない背景があります。<67<」」(日本尊厳死協会東海支部編 2007:65-67)

 「末期を定義するにあたっては、生命予後を目安に定義していく考え方があります。生命予後6ヶ月以内の状態を「末期」と定義する場合がその例です。しかしながら死亡期間を正しく予測できないことは既に指摘されています。
 清水哲郎は末期医療を考える際に予後の長さが本質的要素ではないとし、末期の基準を「治療方針を決める際に、患者がそう遠くない時期」に死に至るであろうことに配慮するかどうかにある」と考えるのが適当としています(文献)。高齢者の場合は具体的定義がさらに困難と思われます。その理由は病態の多様性が背景にあるからです。」(日本尊厳死協会東海支部編 2007:73)

引用文献、参考文献(日本尊厳死協会東海支部編 2007:90-91/文献は同書の表記の通りに記す)
今堀和友:老化とは何か 岩波新書(1993)
Christakis NA, Lamont EB. Extent and determinations of error in doctors' prognoses in terminally ill patients: prospective cohort study. BMJ 2000; 320: 469-473.
Fox E et al. Evaluaton of prognostic criteria for determing hospice
eligibility in patients with advance lung heart, or liver disases JAMA 1999; 282: 1638-1645.
清水哲郎:終末期医療としての高齢者医療―患者・家族・医療者間の倫理をめぐって― Geriatric Medicine 2006; 44: 51-56
村井淳志:第7章終末期医療. 1.救命・延命の医療と終末期医療.新老年学(第2版)(折原肇編).pp1273-1275 東京大学出版会(1999)
横内正利:高齢者の終末期とその周辺、みなし末期は国民に受け入れられるか.社会保険旬報 1999;1976:13-19.
大友栄一:長寿社会総合研究平成3年度研究報告4:245-247(1992).
植村和正:「高齢者の終末期の医療およびケア」に関する日本老年医学会の「立場表明」.日老医誌:41(1),45-47.2004.
AGS Ethics committee: The care of dying patients; A position statement from
the American Geriatric Society: JAGS 43:577-578, 1995
WHO編:がんの痛みからの解放(第2版).金原出版(1996)
森田達也、角田純一、井上聡、千原明:高齢者癌患者の緩和ケアの特徴.Geriatric
Medicine 1997; 35: 1505-1511
星野一正:医療の倫理.岩波新書(1999)
益田雄一郎、井口昭久:米国の死ぬ権利の現状―Advance Directiveに焦点をあてて― 海外社会保障情報 1997;118:29-41.
Masuda Yuichiro, Iguchi Akihisa et al.. Physicians' reports on the impact of living wills at the end of life in Japan. Journal of Medical Ethics 2003; 29: 248-252

◆森 幹郎 20070915 『老いと死を考える』,教文館,253p. ISBN-10:476426904X ISBN-13: 978-4764269040 1575 [amazon][kinokuniya] ※ b a06

◆清水 哲郎 編 20071020 『高齢社会を生きる――老いる人/看取るシステム』,東信堂,208p. ISBN-10: 4887137915 ISBN-13: 978-4887137912 1890.[amazon] ※ b a06


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