「例えば、摂食嚥下障害、高齢者に対する栄養摂取のあり方は大きな問題である。西洋では食べられなくなったら死ぬのが当たり前という考え方であるが、日本人は、高齢者が、「どうして食べないんですか。鼻腔栄養しても死ぬんですか」と質問される場合が非常に多い。」(天本[1999:89])
歴史的にみると、スウェーデン、イギリスなど諸外国は
without them→for them→to them→with them
with them:「これは、"we"(年齢、障害に区別なく人間として一緒に生きる)現在のノーマライゼーションという考え方で、障害者も年寄りも同じく、「自立」をキーワードに、できないことだけを助けることにした。ある意味では、冷たい位に徹底的に、合理的な生活支援スタイルをとることである。[…]
いまの日本のお年寄りにとって、自我はむしろ否定されてきたわけで、自我の抑制こそ、3世代が仲良く同居生活する基本原則であった。急に「自立」が目標と言われても困って質うことは理解できる。<0092<
我々も「寝たきりゼロ作戦」で、お年寄りをどんどん起こすようにしたが、評判は良くなかった。「起きて、私は何をするんでしょう」ということで、お年寄り自身の方向性がはっきりせず、何をしたいという意思がないことに、一番困っているのが実態である。」(天本[1999:92-93])