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医療行為/医療的ケア・年表



医療行為(吸引)に関する年表
188606  「藥局方」公布
19480730 医師法(法律第201号)
19480730 医療法(法律第205号)
19480730 保健師助産師看護師法(法律第203号)
19580423 臨床検査技師等に関する法律(法律第76号)
19600810 薬事法(法律145号)
19600810 薬剤師法(法律第146号)
19650629 理学療法士及び作業療法士法(法律第137号)
19810521 「昭和56年5月21日 医事第38号」
1986   日本ALS協会設立
19870526 社会福祉士及び介護福祉士法
19921110 富田功一『コ・メディカルの医療行為と法律』南山堂
19971217 「在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業実施要綱」(健医発第637号)
     最終一部改正平成16年(2004)4月20日健発第0420002号
     http://www.nanbyou.or.jp/pdf/kousei16_3.pdf
20000401 介護保険法施行
20010809 参議院議員の渡辺孝男氏「咽喉部や気管カニューレ,気管内チューブなどの中の痰や分泌物を吸引する行為をヘルパーに特例として認めることに関する質問主意書」を国会に提出
20010919 疾病対策部会第1回難病対策委員会
20011105 疾病対策部会第2回難病対策委員会
20011207 疾病対策部会第3回難病対策委員会
20020121 疾病対策部会第4回難病対策委員会
20010315 疾病対策部会第5回難病対策委員会
20020401 在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業の実務上の取扱いについて(健疾発第0401002号)
     http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/2073H1604200020.pdf
20020523 疾病対策部会第6回難病対策委員会
20020531 「新たな看護のあり方に関する検討会(第1回)」
20020624 「新たな看護のあり方に関する検討会(第2回)」
20020701 大内尉義・村嶋幸代監修『退院支援―東大病院医療社会福祉部の実践から』杏林書院
20020731 疾病対策部会第7回難病対策委員会
20020819 「新たな看護のあり方に関する検討会(第3回)」
20020819 「新たな看護のあり方に関する検討会(第4回)」
20020823 今後の難病対策の在り方について(中間報告)
20020906 「新たな看護のあり方に関する検討会(第5回)」(中間まとめ)
20021028 「新たな看護のあり方に関する検討会(第6回)」
20021119 「新たな看護のあり方に関する検討会(第7回)」
20021127 医師ブログ記述
     Dr山本の診察室 Dr Yamamoto's Clinic for ALS patients and families
     救命士の気管内挿管と,ヘルパーの吸引行為
     http://tenjin.coara.or.jp/~makoty/column/021127column.htm
20021220 「新たな看護のあり方に関する検討会(第8回)」
20021225 篠崎良勝『どこまで許される?ホームヘルパーの医療行為』一橋出版
20030120 「新たな看護のあり方に関する検討会(第9回)」
20030203 「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第1回)」
20030210 「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第2回)」
20030218 「新たな看護のあり方に関する検討会(第10回)」
20030219 「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第3回)」
20030227 「新たな看護のあり方に関する検討会(第11回)」
20030310 「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第4回)」
20030313 「新たな看護のあり方に関する検討会(第12回)」
20030324 「新たな看護のあり方に関する検討会(第13回)」(報告書)
20030326 「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第5回)」
20030415 「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第6回)」
20030422 「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第7回)」
20030513 「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第8回)」
20030717 「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」(医政発第0717001号)
     http://www.kaigoseido.net/horei/zaitaku/is0717001.pdf

200404  大平滋子・野崎和義共著『事例で考える介護職と医療行為』NCコミュニケーションズ
20040531 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第1回)
20040602 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第2回)
20040630 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第3回)
20040701 「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」(医政発第0701001 号)
20040701 宮田和明・近藤克則・樋口京子編著『在宅高齢者の終末期ケア―全国訪問看護ステーション調査に学ぶ』中央法規出版
20040707 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第4回)
20040722 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第5回)
20040917 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会報告書
20041020 「盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の取扱いについて(協力依頼)」(医政発第1020008号)
     http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/horei/html/b2_h160917_03.html
20041115 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第6回)
20041115 立岩真也 『ALS不動の身体と息する機械』医学書院
20041126 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第7回)
20041126 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第8回)
20041126 人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)の会長大塚孝司氏より「非医療従事者による気管内吸引等のケアの実施について」
20050124 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第9回)
20050207 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会(第10回)
20050310 在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会報告書(2)
20050310 「在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会」より,「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いに関する取りまとめ」
20050314 「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いについて」(医政発第0324006号)
     http://wwwsoc.nii.ac.jp/jpta/pdf/cost_050324.pdf
20050410 山崎摩耶『患者とともに創める退院調整ガイドブック』中央法規出版
20050726 「医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」(医政発第0726005号)
     http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p0729-1.html
20051209 「気管吸引のガイドライン(成人で人工気道を有する患者のための)」
     http://square.umin.ac.jp/jrcm/page021.html
20051222 「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(医政発第1222001号)
     http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/180130-a.pdf
20060331 「在宅医療の推進のための麻薬の取扱いの弾力化について」(薬食監麻発第0331001号)
     http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/180420-b0.pdf
2006    鈴花ちゃん事件
20061220 社団法人全国訪問看護事業協会監修・篠田道子編集「ナースのための退院調整−院内チームと地域連携のシステムづくり」日本看護協会出版会
20070110 見藤隆子・石田昌宏・大串正樹・北浦暁子・伊勢田暁子執筆『看護職者のための政策過程入門―制度を変えると看護が変わる!』日本看護協会出版会
20070730 坂本すが監修『ナースのためのつくれる・使えるクリティカルパス』学研
20080618 「安心と希望の医療確保ビジョン」
20090210 疾病対策部会第8回難病対策委員会
20090210 「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会(第1回)」
20090610 「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会(第2回)」
20090610 特別養護老人ホームにおける介護職員の『医行為』に関する問題」についての日医の見解
20090721-31 モデル事業実施施設の募集
20090730 疾病対策部会第9回難病対策委員会
20090901-02 指導看護師養成研修
特別養護老人ホームの介護職員による口腔内吸引など一部の医行為に道を開くため,厚生労働省が進めている「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関するモデル事業」.9月初旬から,モデル事業実施施設の介護職員による一部の医行為の試行が始まる.対象となる約130施設の看護職員は9月1,2日の両日,東京都内で「指導看護師養成研修」に参加し,吸引などのやり方を介護職員に指導するノウハウなどを学んだ.
研修は,モデル事業実施施設の介護職員に対して口腔内吸引や経管栄養の技術指導を行う「指導看護師」を養成するのが目的.厚労省の担当者は1日の研修で,モデル事業について「(介護職員による一部の医行為が)実際にどういった条件の下でならできるかを調べる,とても重要な事業」と強調し,看護師らに協力を求めた.研修では,口腔内吸引と胃ろうによる経管栄養のプロセスの中で,介護職員が行える業務の範囲などを示した「実施ガイドライン」が示された.また,介護職員への指導を想定したロールプレーも実施.医療的ケアの法的な位置付けやリスクマネジメントに関する講義も行われた.特養では利用者の重度化が進んでおり,看護職員の配置が手薄な時間帯を中心に,介護職員が吸引など一部の医行為を行わなければならないところもある.厚労省は今年2月,この問題について議論するため,医療関係者や介護関係者,法律の専門家などを集めて「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」を開催.6月の第2回検討会では,介護職員が口腔内の吸引と胃ろうによる経管栄養を行う「モデル事業」の実施を了承した.その後,特養の看護や介護の専門家,施設長,嘱託医などから成る「専門委員会」で,モデル事業の詳細を検討.モデル事業実施施設の募集が行われ,要件を満たす約130施設が決まった.研修後,看護師らは各施設で介護職員への指導を行い,12月中旬まで介護職員らが口腔内吸引や経管栄養を実施する.同時に,試行状況の施設内評価や事例検討会も行う.来年の1月中旬には,他のモデル事業実施施設をそれぞれ訪問し,他施設の状況を見学する.指導看護師の有志による意見交換会も開く.2月下旬には,「専門委員会」がモデル事業の評価を行い,報告をまとめる.検討会がその後,この報告内容を基に,特養の介護職員による吸引や経管栄養の可能性,介護職員への研修方法の検討などを進める見通しだ.
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/24089.html
200909-12 施設内での研修・試行
200909-12 モデル事業の施設内評価
201001   モデル事業実施施設間での相互訪問
201002   専門委員会でモデル事業を評価

■ 厚生労働省関係審議会議事録等 厚生科学審議会
・疾病対策部会難病対策委員会(第1回〜第7回+中間報告)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/kousei.html
委員 小川秀興委員   順天堂大学学長(委員長)
   金澤一郎委員   東京大学大学院医学系研究科教授
   木村陽子委員   総務省地方財政審議会委員
   小池将文委員   川崎医療福祉大学医療福祉学科教授
   小泉明委員    社団法人日本医師会副会長(第6回から澤委員と交代)
   小堀鴎一郎委員  国立国際医療センター病院院長
   齋藤英彦委員   国立名古屋病院院長
   笹月健彦委員   国立国際医療センター研究所長
   猿田享男委員   慶應義塾大学医学部教授
   中西好子委員   東京都衛生局医療福祉部特殊疾病対策課長
   本田孔士委員   京都大学大学院医学研究所教授
   山本一彦委員   東京大学医学部教授
   本委員会は医療,福祉,行政等の関係者12名の先生方を委員とし,厚生科学審議会疾病対策部会の専門委員会として設置された.

20010919 第1回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会議事録
下田健康局長
 難病対策につきましては昭和47年に示されました難病対策要綱を踏まえまして,現在では調査研究の推進,医療施設等の整備,医療費の自己負担の軽減,地域におけます保健・医療・福祉の充実・連携,生活の質の向上を目指した福祉施策の推進といった5本の柱で各種の施策を展開をいたしておるところでございます.
 とりわけ特定疾患治療研究事業につきましては医療費の自己負担を軽減することによりまして事業の対象といたします疾患に対しての治療法の確立を図ることを目的としてまいったわけでございます.
 しかしながら,この事業は制度の発足以来,約30年を経過をいたしておりまして,この間の医療技術の進歩による対象疾患の生命予後の改善,生活の質の向上が見込まれてきましたことから,現状に即しました特定疾患治療研究事業のあり方について見直すこととしたわけでございます.
 そこで大変お忙しい中,各先生にお集まりいただいたわけでございますが,本事業のあり方につきまして自由闊達なご議論をいただきまして貴重なご意見を拝聴し,今後の事業の運営に反映させてまいりたいというふうに考えておるわけでございます.

金谷補佐
 本委員会の設置の目的ということでございますが,特定疾患治療研究事業でございますが,これは原因が不明であって,治療方法が確立していない,いわゆる難病のうち,特定の疾患について極めて治療が困難であり,また,かつ,医療費も高額であるということを考慮しまして,この特定疾患に関する医療の確立,普及を図ると.さらに患者さんの医療費の負担軽減を図るということを目的に昭和47年よりこの事業が実施をされているところでございます.
 しかしながら,医療の技術の進歩に伴いまして,がん,寝たきりの原因疾患等の他疾患との不公平感の増大を是正するということで平成10年度より重症難病患者さんを除きます難病患者さんに対しまして医療費の一部自己負担を導入をしたところでございます.
 現在,特定疾患治療研究事業は46疾患,こちらの方は3頁目の別紙でございますけれども,ベーチェット病から最近,加わりましたライソゾーム病まで46の疾患を対象としておりまして,平成12年度末の医療受給者の数は計47万件というふうになっております.
 また,予算額につきましては約226 億円と.これは12年度でございます.平成13年度につきましては201 億円となっているところでございます.

金谷補佐
 難病対策要綱,これは昭和47年10月に設定されたものでございます.こちらの方につきましては疾病の範囲ということで原因不明,治療法未確立であり,かつ,後遺症を残す恐れが少なくない疾患ということと,もう1点が経過が慢性にわたり,単に経済的な問題のみならず,介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く,また,精神的にも負担が大きい疾病と,こういう2点に沿って難病対策を進めてきたというところでございます.最新の難病対策の5本柱ということでございますが,これが現在の難病対策の中心になっております.まず,1が調査研究の推進.これは特定疾患調査研究事業等の研究補助と.今日は厚生科学研究費補助金特定疾患対策研究というふうになっております.2番でございますが,医療施設等の整備と.これは重症心身障害児(者)施設等の整備ということで進めているところでございます.3番目でございますが,医療費の自己負担分の軽減と.これは特定疾患治療研究事業による医療費の補助でございます.4番目でございますが,地域における保健,医療,福祉の充実と連携.これは平成元年からこれが加わっておりまして,主に訪問相談,医療相談等の各種事業の実施でございます.5番目でございますが,これはQOL,生活の質の向上を目指した福祉施策の推進ということで,これは平成7年に設定をされておりまして,基本的にはホームヘルパー等の事業等がこの中に含まれております.多少,ちょっと字が多いようですけれども,特定疾患治療研究事業の概要ということで,医療費の公費負担制度についてでございますが,この目的なのですけれども,いわゆる難病のうち,特定の疾患については治療が極めて困難であり,かつ医療費も高額であるということを考慮しまして,特定疾患に関する医療の確立,普及を図るとともに,患者の医療費の負担軽減を図るということを目標にしております.そこで問題になりますのが対象疾患の選定ということでございますけれども,今日,この次のスライドに示しておりますが,4要素を選定の基準として決定をしております.特定疾患対策研究事業の対象疾患のうち,診断基準が一応,確立し,かつ,難治度,重症度が重く,さらに患者数が少ないために公費負担という制度を用いなければ受療を促進できないということ,原因究明と治療方法の確立がなかなか難しいという疾患を対象に,この有識者からなる「特定疾患対策懇談会」ということの意見を聞いてこの疾患を決定をしてきたという経緯がございます.さきほどお示ししましたとおり,平成13年5月につきましては46疾患がこの対象になっております.

中西委員
 さきほどの県単で何か福祉サービスをやっておられるかということですけれども,私は東京都のことで例にしますと,何を福祉サービスと言うかですけれども,例えば難病患者さんの緊急一時入院病床確保事業として都内に13病院を確保してレスパイトのミドルステイを行っているほか,吸入吸引器の貸与事業と訪問看護事業をやっています.

中西委員
 東京都で人工呼吸器をつけていらっしゃる在宅で療養されている方を調査をいたしましたけれども,神経難病で在宅人工呼吸療法者は142名いらっしゃいましたが,指定されていますALSにつきましては78名ですが,進行性筋ジストロフィーでも41名が在宅で人工呼吸器を装着され療養されているのですね.在宅重症患者であっても,この方々には何も国の施策がないということなのですね.そういうこととか,例えば特発性拡張型心筋症につきましては難病指定がされていますが,同様に心移植の対象になるような肥大型心筋症の拡張相難病指定されていない.医療費助成がないわけですね.この辺の差があまりにも極端であるということがあります.
 希少性とかというような立場ではなく,障害者福祉やいわゆる高齢者施策等々での支援だけでは足りないもの,やはり真に医療依存度が高くて療養上特別に配慮が必要なものというのはやはり行政の責任として法律に格上げし対策を推進する方がいいのではないかと思うのです.
 今までどおりの治療研究事業というスタイルで治療研究を推進していく.将来的に難病対策をきちんとやっていくためには,少しここらへんで,群で分けて対策をやっていかれたらどうかなというのは,これはあくまでも東京都の試案ではなくて,これは私がずっと現場でやってきての思いなのですけれども,今までみたいなやり方ではもう限度があるのではないかなというふうに思っております.

小川委員長
 中西委員の話の中で重要な課題で多分,この委員会で何らかの回答を出さなければいけないだろうと思われるのは,疾病間の格差と言いますか,認定されている疾病とそうでないものとのバランスをどういうふうにとるかということを本委員会では討議されなければいけないと思います.

金谷補佐
 いわゆる公費負担という範疇で,申し訳ございません.そちらはやはりないという回答を得ております.具体的にはやはりどの国もこういうふうな形で国が患者さんについて公費で負担していくというところはどうもないようでございます.

小池委員
 福祉サービスの関係で今,法律上の制度ではなくて難病の関係というのは通知とか要綱のレベルで行われているのですけれども,それぞれ,ホームヘルプサービスとショートステイですか,福祉関係でやられているものは.

金谷補佐
 そうです.

小池委員
 それの利用状況みたいなものを,なかなか県別は出ないのでしょうけれども,なかなかホームヘルプサービスなども現実にはホームヘルパーさん,難病,今,ホームヘルパーの資格を取るときに難病の関係もカリキュラムには入っているはずですけれども,実際にそういうできるような,本当にいるのかどうか,担当の人がですね.そういうふうなところもなかなか個々の市町村までいくと実態というのは難しいのでしょうけれども,トータルの計画と利用状況みたいなものについてホームヘルプサービスとショートステイについて資料を出していただければと思います.

麦谷疾病対策課長
 あまりにも言わずもがなのことだったので目的のところに書いてないのですが,私どもは,これから会を重ねてご議論いただくときに,ぜひ,委員の先生方にお願いしたい観点がございます.それは何かと申しますと,難病に限らず病気をお持ちの方はどなたもお困りなのですが,私どもといたしましては疾病対策の中での難病対策における国の責務は何かということも議論して欲しいのです.国は何をしなさいということです.例えば糖尿病にしても,生活習慣病,がんについても国が直接,患者さんにアプローチしていることはあまりたくさんございません.ところが,難病は国が直接,アプローチしていますので,さきほど本田先生からもトータルの疾病対策の中でのプライオリティということをご指摘いただきましたけれども,そういう観点から国が何をすべきかということを,ぜひ,ご議論いただきたいと思います.

200101105 第2回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会議事録
伊藤オブザーバー
 日本患者・家族団体協議会の代表幹事をしております伊藤たておといいます.よろしくお願いをいたします.今委員長がおっしゃいましたように,大変に難しいことの議論になるかと思いますが,全国の患者が大変に固唾を飲んで見守っているということでございますので,今後ともよろしくお願いいたします.

小川委員長
 よろしくお願いします.次に全国難病団体連絡協議会を代表されて,日本ALS協会の常務理事・事務局長をなさっておられます熊本雄治様です.よろしくお願いします.

熊本オブザーバー
 ご紹介いただきました熊本と申します.私は日本ALS協会の事務局長という立場でございます.6つの団体で組織しております全難連の一員でもございます.私どもALSが最も危急の面で厳しい立場にあるということを,私ども全難連の中でご案内させていただきましたように,本席に加わらせていただくことになりました.どうぞよろしくお願い申し上げます.

名越補佐
 特定疾患(難病)の定義については,これまでの公衆衛生審議会の検討を踏まえ,「希少性,原因不明,効果的な治療法未確立,生活への長期にわたる支障」という4要素に基づき取り扱ってきたところであり,定義の大幅な変更は混乱を招く恐れがある.そういう意見をいただいております.平成9年3月に出された「特定疾患対策懇談会 特定疾患治療研究事業に関する対象疾患検討部会報告」における「希少性(概ね5万人)」の取り扱いについては,国民にとっての重要性で判断すべきである.という意見をいただいております.またこれに関連する形で,「原因不明で治療法が未確立」との条件を満たすが,希少でない疾患との公平性を考慮すべきである. また現在の難病の定義から外れている「感染症」「がん・成人病」などとの費用分配も考慮するべきではないか,というご意見をこれまでいただいております.

小池委員
 難病というのは,難病奇病といわれる普通の言葉です.一般名詞で学術的な用語ではありません.恐らくいろいろな政治の世界とかに持ち込んで予算をとるというときにわかりやすいと思うのです.それでそういう言葉が使われて,特定疾患なんです.むしろ特定疾患対策要綱よりも難病対策要綱のような形のほうが,世の中にマスコミとかも含めてアピールしやすいということで,難病という用語は,定義も医学的な面からみると希少だけの枠がつくのは難病というのは,医学のレベルでみるとおかしなことが世の中に通用しているという状況があると思います.そこが医療費の問題なども含めて,なかなかこの問題が整理されてない原因ではないかと思います.その意味で,皆さまの議論の,もう少し研究班の対象にする疾患というものはきちんと明確に別の名称で明確にしたほうがいいというのには賛成です.

小川委員長
 金澤先生,調査研究と治療研究と分けるというのと,いま小泉先生がおっしゃったのは調査研究,治療研究,そして福祉,少なくともこの3つの中で福祉の問題は違う制度とか仕組みで,これを今までこの制度が何とかカバーしてきようとしてきたことを,思い切って違う制度で行おう.そして治療法の開発ということにかかりますと,それに必要な疫学の調査とかいろいろなことが入ってきますので,調査研究,治療研究という言葉が正しいかどうかわかりませんが,一つそれはグループにして,福祉の問題,ある症状がかたまった方,あるいは大変に社会的にも厳しい方は,ちょっと違う制度を知恵を絞って考えてはいかがかという小泉先生のご提案であったと思います.先生それでよろしいですか.

小泉委員
 基本的にはそうです.もしそうなった場合には,望むなら調査研究と治療研究というものを一体化して,治療研究も含めた調査研究というものがなされればいい.大きくわけて2本になります.

小川委員長
 取りあえずは福祉のところをなんとか分けて,その後調査研究は,先生はそのうち分けないといけないがということですね.しかし取りあえずは福祉と研究(調査を含む治療研究)に分けるというのはよろしいですね.他の先生方はいかがですか.
 皆さんの中でとにかく福祉という議論の中で,福祉という点は絶対に捨ててはいけない.患者さんのためにも何とかしないといけない.大変QOLの悪い方々を何とか救っていかないといけないということは,希少難治性だけではなく,全体的な仕組みの中で,何かよい方法が考えられないかというご意見が多かったと思います.他の先生方よろしいでしょうか.本田先生もそういうことでよろしいでしょうか.

本田委員
 その通りです.今はゆがんでしまっているので,この際,整理したほうがいいと思います.

小池委員
 恐らくこの福祉という視点から見たときに,難病の患者さんというのは本当に福祉のある意味では制度の谷間にいた方々です.行政のほうは非常にいろいろな知恵を絞って難病対策という一つの体系で難治性の人に,そこにいろいろな福祉的な措置も加えた一つの体系を要綱の形で作って推進してきた.ところが要綱であるのではっきりした法律上の制度ではない.権利としては明確ではない.だから予算がなくなると1/2の補助というものも出せなくなるとか,出さなくても別に責任は問われないという仕組みになるわけです.ここは本当に公平性です.逆にいえば,長いこと難病患者の人の福祉法を作れという意見は随分あったわけですが,なかなかできないというのは,それだけ作る難しさがあったのです.ひとつはなかなか定義が難しい.すると本当に公平の視点からいくと,どうしても一方で法律上の制度としてある身体障害者福祉法とかの中で救えるものというか,該当する人たちは入って,厚生医療であるとか,障害者として認定されると,今度は障害年金の対象になり所得保障の対象にもなってくるというようないろいろな既存の福祉の体系にうまく乗った難病の患者は,いろいろな福祉サービスの恩典が受けられるが,そうでない人は受けられない.そうでない人をでは明確な基準で作れる福祉法というのが,恐らく非常に難しかったのであろうと思います.そこでできなかった.その分がどんどん矛盾としていま広がってきて,予算面では公費負担医療の予算が圧倒的に多いわけです.さらに保険の財政も厳しくなって,今度は3割負担ということになると,ますますここの予算が膨らむが,実際にはシーリングがかかったりしてなかなかそれだけの予算を認めてもらえない.これは制度として仕組まれてないので,予算の範囲内で,何とか財政当局と折衝してという形でなってくる.この辺でさっきから議論の出でいるこの矛盾は従来からずっとその場しのぎできておりますが,やはり研究の分野と福祉とか医療費助成も含めて,分けて仕組みを作らないと,どうにもならなくなってくる.その辻褄合わせというか,毎年毎年何とかという形で乗り切っていくと,非常に大変で,患者さんの数の少ないものしか指定しないとかということになって,矛盾がどんどん広がっていって公平という観点からみると,ますますおかしな仕組みになっていく危険性が非常に大きくと思います.ただそうすると,こういう形で医療費のほうでいうと,福祉のサイドの公費負担の医療というのはほとんど所得に応じた費用徴収があるのです.こういう難病のものも定額の負担には入りましたが,財政的に医療費の増大というものを押さえないとどうしょうもないという状況があることは間違いがなく,その辺は所得に応じた福祉サイドをきちんと入れていくとかということも,一方で入れていかないとだめです.とにかく既得権のようなものだけは守って,あといろいろな大変な状況に置かれていることは確かですが,その中でどんどん制度的にいろいろな福祉サービスとかを拡大していく余地はいまはないということも確かであろうと思います.以上です.

麦谷課長
 昭和47年にできた制度です.いろいろ紆余曲折はあるものの30年やってきたというのは,なかなかよい制度であると皆さんが認めていたと思います.47年当時は恐らく第一義的には患者救済だった.学者はあまりコスト的なことは考えませんので,こんなふうな仕組みにしたのは恐らく役人であろうと思います.治療研究という名前にして患者救済をし,研究費でやるということです.これがよい制度であると思ったのは,おそらく,これに遅れて,子どもの小児慢性疾患の治療研究が発足したということでも明らかです.なかなかうまいことをやったなと子どものほうでも思ってやったと思います.それが30年たって,ひずみが生じてきたということです.いい制度であったコンポーネントは先生方が今日ご議論なさったように二つあると思います.一つは患者救済,一つは研究です.研究もこれは皆さんがご存じかどうかわかりませんが,金澤先生がいわれたように,オールジャパンでほとんどの学者が入っておりました.ほとんど日本全国のそれぞれの分野の研究者が一丸となってやった.だから班長を選ぶにもあまり困らない,次はあなたが班長,その次はあなたという具合で,なかなかうまくできた制度であったと思います.
 そこで最後にお願いです.急に大きな玉をそっちに投げて恐縮ですが,患者救済と研究というのはよくわかりました.そのとおりであると思います.研究のほうは研究費でいきますが,では患者救済をどのようにするのかということを,また役人に玉を投げるのではなく,ここでぜひご議論していただきたいと思います.よろしくお願いいたします.

200101207 第3回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会議事録
小川委員長 
 前回の議事録でも残してございますし,また冒頭で申し上げましたように本日の会はヒアリングを主体としております.患者団体の方々,それから研究班の先生方のご意見をお聞きしたいということです.そして,そのご意見を今後の委員会での議論の糧にしていきたいと思っております.本来であれば,すべての疾患についてご意見をうかがうべきですが,時間的問題があるために,前回までの議論を踏まえて,治療研究事業の対象疾患として20年以上経過したことにより,一般的に一定の考え方が定着していると思われる疾患群を選び,その中から長期医療が必要なため,福祉面に配慮すべきと思われる疾患,それから症状が一定しないなどの理由により社会的に弱い立場に置かれている疾患を中心に,医療受給者の数にも配慮したうえで,次回の委員会までに計6疾患程度のヒアリングを予定しております.

名越補佐
 「諸外国における難病対策」という資料をお付けしております.これについて簡単に説明をさせていただきます.調査時期は平成9年の9月ということでございますけれども,当時の疾病対策課から代表的な国ということで,必ずしも全世界をカバーしているというわけではございませんが,アメリカ,イギリス,ドイツ,スウェーデンに対してアンケート調査を行った結果,いわゆる難病対策として,いずれの国においても特定の疾患を指定いたしまして,恒常的に医療,福祉に関する公費負担を行ったり,継続的な研究事業を行っているという例はないという回答を得ております.

本田委員
 向こうでは寄付に対して免税措置がありまして,これはすごく寄附集めに大きいです.誰かが亡くなると,遺族が基金として億というお金を寄付して,そのための病院まで作ってしまいます.要するにアメリカの場合は国に頼るというのではなくて,患者さん,あるいはそういうオーガナイゼーションが自分たちでこの病気をなんとかやっつけようというところがあります.

小川委員長
 すぐ,国が出せと言うだけではなくて,そういういろんな,多面的な活動をされているということですね.

本田委員
 そういう意味では非常に熱心ですね.

小池委員
 それと,世界中で障害者の国際比較というのはなかなかできないのですけれど,国連ではだいたい全人口の1割,10%ぐらいが障害者というふうに言われているのですけれど,日本の場合は身体障害者福祉法とか知的障害者福祉法とか,それから精神保健福祉法という中で,障害者という形で認定されている人がだいたい人口の5%強です.これは本当に国によって違うのですが,日本は先進国の中では障害者というふうに認定されている人の比率が非常に低い.スウェーデンなどは10数%になっているとかで,これに比べるとかなり低いわけです.これは障害者の定義をどうするかということによるのですが,日本の場合は非常に機能障害と障害の永続性ということがきちんと定義に入っていて,一時的な障害者とか,症状が固定していない,変動があるというふうな人はなかなか障害者として認定されていないということがあります.これは国によるのですが,たとえばドイツの介護保険というのは介護ニーズのある人は20歳以上であればみんな適用されるわけですが,日本の場合は介護保険というのは老化に起因するものだと40歳以上なのですけれど,そういう形で非常に障害者のとらえ方が狭い.もう少しそのあたりを,新しいものさしをつくるというのは,なかなかたいへんなことなので,そう簡単ではないのですけれども,そういうところから福祉ニーズに対して……まあ,公費負担医療をやっているかどうかというのはちょっと置いておいて,ホームヘルプサービスだとか,そういう点を考えたときに,いわば障害者施策だと施策の中で難病の患者さんもそういうニーズがあれば対象になるようなことが必要で,私も細かくは調べていないのですけれど,難病の患者さんでニーズがあれば福祉施策の中で対象になっているということが海外ではあると思います.

中西委員
 私はこの第1回のときもやはり,スモンは薬害であるということはもう認められていることですし,治療研究事業とは別立てにすべきだということを言ってきたわけです.

木村委員
 ひとつ,一般論として教えていただきたいのです.今,高橋さんがおっしゃってくださったように,いろんな経緯はわかりました.それで,これは本当にスモンを離れた一般論として教えていただきたいのですが,同じ難病であっても,その原因によって被害者として難病になった場合とそうでない場合というふうに二分法で分けたとしますと,同じ難病でありながら対策としては,どういうふうに違うのが望ましいとお考えですか.

高橋参考人
 どこが分担するかということですか.

木村委員
 いえ,もう少しわかりやすく言いますと,薬害の被害者としてこの難病になった,だからこれこれまでの対策をしてほしいという場合と,それから薬害被害ではなくて難病にかかった場合もございますね,その場合に対策として,何らかの形の線引きをどこまですべきなのかということです.

小川委員長
 ちょっと一言だけ,おうかがいしたいのですが,患者さんのいろんな心のケア,それから体のケア,いろんなことに対してスモン研究班というのはやはりかなりの助けにはなりましたか.

高橋参考人
 ええ,そうですよ.スモン研究班というのは単なる研究だけをするのではなくて,患者さんの相談相手ですし,とくに神経をやられていますから,専門家でないとわからない部分があるのです.だから研究班員に相談に乗ってもらうということで,とくに介護保険は認定の問題が出てきます.ところが,あれなども国のほうでは神経疾患の,スモンのようなものは適用条項が文章の中にないのです.だから結局,研究班の先生方に,専門家としてやってもらうと正確な判定が出てくるので,できるだけ判定を正確に受けるためには研究班の先生から診断書をもらえということを私たちは言っています.そういうことがありますし,それから単なる治療法の研究だけではなくて,今言った個々のケアも相談の問題もありますし,それから検診の問題もやっていますので,普通の研究班とは違うと思うのです.研究成果があがらないとか,点数にしてどうだとか言うけれども,それはスモンの研究班についてはあてはまらないし,そんなことを言っては先生方に酷だと私は思いますけれどね.

畠澤参考人
 ご紹介いただきました,全国膠原病友の会会長をやっております畠澤と申します.まず私のほうから,患者会から見たSLEの現状と課題ということで発言させていただきます.
 現在,SLEの認定患者数はほぼ5万人.会員は6,500名でその半数がSLE,9割が女性です.再発,緩解を繰り返す病であり,対症療法がある程度確立したからといっても,定期的な受診は欠かせず,合併症を持つ者も多く,複数の医療機関への受診により,一部負担でもかなりの額になってしまいます.とくに精神障害や腎臓は深刻です.また地方には専門医が少なく,地域格差があり,専門医にかかるために前日に宿泊しての受診,また交通費等が大きな負担になっています.このように軽症患者としてQOLが保たれているのは,公費負担以外にも患者の金銭的・身体的負担に依存しているところが大きいと思います.重傷者に対しては医療費の全額補助,その他のサービスが受けられるので,問題はむしろ軽症と言われる患者にかかってきます.難病は事前のチェックでコントロールして,ひどくなる状況を避けられることと思います.緩解期にも定期的な検査を受けられる制度も必要ではないでしょうか.特定疾患治療研究事業は福祉事業ではなく,研究事業として始まったものですが,現実にはこの事業の医療費助成により,難病患者を経済的に支えているという福祉的意義が大きいのです.この助成が希少性によってなくなることは患者にとって経済的に大きな負担となり,受診を手控え,重症化することも考えられ,長期的に見ればさらに医療費の増加を招くのではないでしょうか. 病歴が長くなればなるほど,高齢社会で難病と共存していく厳しい現実があり,生涯,治療が必要なことには変わりありません.いつ入院の状態になるのか,1人暮らしの不安を抱えている人も多く,通院自体がとても困難になってきます.後発年齢は20〜40歳,病歴25年以上が約15%を占めています.抱えている不安としては病気に対する不安,家族に対する不安,経済面での不安が約4割を占めています.女性に発病率が高いことから,独身のまま,あるいは親の扶養になっている人,そして発病後の離婚も約14%あり,難病での就労は厳しく,女性が病を抱えながら生きていくにはとても厳しい現実がおわかりいただけると思います.病人が両親を見るという高齢社会をどう生きていけばよいのか,病気への不安とともに経済的な生活面での不安がつのるばかりです.対症療法がある程度,確立したといっても,原因,治療も未確立な現状で,完治することがなく,認定患者の数ばかりが増え,患者の心が癒されることはありません.予算減の中,希少ということだけで対象疾患から外されれば,医療費の負担から通院をやめたり,必要な検査や薬もやめてしまい,受診を抑圧し,結局は重症化し死亡率の上昇につながるとも思われます.現に主治医から医療費の患者負担を考えれば,必要な検査や効果のある高額な薬を出すことを控えてしまうだろうということもお聞きします. 最後に私たち患者は,個々の先生方とは個人的に治療や相談事でお世話になり,また友の会活動におきましてもご講演や医療相談等をお願いするなどして,ご理解・ご協力をいただいております.今日,ここに研究班班長の小池先生がいらしてくださっていますので,これを期に,先生方の班会議等が開催される場に,私たち患者も何らかの形で参加させていただければと思いますので,よろしくご検討のほど,お願いしたいと思います.課題といたしましては,医療の面からは専門医を養成し,地域差なく,適正な医療が身近で受けられるような体制づくり,福祉や自立の援助の面からは,内部障害者としての雇用や公共住宅への優先入居等の制度,また,今の公費負担に見合う額を補助する等の制度の確立が必要かと思います.私たちは難病患者とその家族が生きていてよかったと言える社会を望んでいます.先生方には,早期発見,そして1日も早く完治できる病となりますよう研究を続けていただきたく,また難病患者として治療研究に役立てていただけますよう,協力していきたいという思いには変わりはございません.国と行政の方々には,病を抱えながらも1人でも生活できる社会の体制,安心して通院・治療できる制度をつくってくださるようお願いして,私の発言を終わらせていただきます.

平岡参考人
 ALS協会の理事の平岡と申します.今まで2つの患者会からは,患者さんである当事者からの発言がありましたけれども,残念ながらALSの場合は最も厳しい難病と,衆目の一致するところでして,患者さんはほとんど在宅で人工呼吸器をつけていらっしゃいますので,こちらにはいらっしゃることができません.なるべく患者さんの声を代弁するという立場でお話をしたいと思います.今日,私に与えられたお話としては,今までの研究事業についての患者会からの評価なり意見を話してほしいということと,現在の医療費補助制度についての意見を話してほしいという2つでした.この2つに絞ってお話をさせていただきます.まず,研究事業についてということですが,近年では,佐藤先生が研究班をなさった時代に,ALS全国医療情報ネットワーク事業というものを立ち上げられまして,全国の医療機関と,それから神経内科医,あるいは地域保健を担当する保健所などでの関心は非常に高まってきたという印象がございます.それから患者さんの生活の質,いわゆるQOLの向上に向けての援助の体制も,地域ケアの部分でかなり整えられてきたというふうに実感しております.今後も研究事業はぜひ医療と生活の両面にわたる研究を進めていただきたいと思います.そして,それらの結果が実際の臨床と,それから患者さんの生活に確実に反映されるように望みたいと思います.それからもう1つですが,研究班と患者会との共同作業ということで申しますが,たとえば今日,資料として提出しました,今井先生が班長をなさっています診療指針作成に関する研究事業の中の,「ALSとともに生きる人からのメッセージと病名告知検証草案」という資料,この白い冊子ですが,これらの研究に関しましては,ALS協会の理事が数名,協力をしまして,告知に関する患者さんからの実際の声を反映させるという形で共同作業をしております.今後はますます,これらのことだけではなくて,様々な治療研究に関する協力体制が進められていくものと期待しております.以上が研究事業についての,今,考えられる意見でございます.
 次に,現在の医療費の補助制度についてということで,いくつかまとめました.まず,診断から治療経過の中で,現在の医療費補助制度というものは,この病気に関して言いますと確実に進行すると言われておりますので,その経過を医療機関が把握して,危機的な状況に着実に対応できるためにも,あるいは患者さんがその病態に応じて地域の専門医療機関,あるいは地域の援助機関を有効に活用できるためにも受診の機会が必ず必要になりますので,その機会を奪わないためにも医療費の補助制度というのは非常に有効だと思います.これらの事業が欠かせない事業だというふうに評価しております.それから病気が進行しますと,最終的には人工呼吸器を装着しないと生命を維持できないという形になりますが,これは1991年に保険点数化されることによりまして,在宅人工呼吸指導管理料ということで,人工呼吸器をつけて在宅生活が可能になるという方法がつくられました.これによりまして,人工呼吸器装着患者は実際に増加傾向にありますし,とくにつけて積極的に生きようという方については在宅生活を希望する患者さんが増えてきていると思われます.これらの状況から考えますと,今後,医療と福祉という両面から療養生活の質を確保する,あるいは向上させる,患者さんの社会参加を進めていくという,様々な面にわたっての連携が必要になってくると思います.
 現実に今,生活している患者さんの課題と今後の問題点について,最後にお話ししたいと思います.まず診断から進行に応じたケアについてですが,1番目に,リハビリテーションの訓練があります.この病気については,いまだに病気は進行するのでリハビリをやっても無駄だという先生も中にはいらっしゃるとうかがいますが,実際には身体の機能訓練だけではなくて,とくに呼吸器リハビリテーションという分野の訓練も,呼吸器の障害の進行を少しでも食い止めるという意味で必要だと思われます.それらを充実するための,より積極的な研究が必要ではないかと思われます.それから2番目には心理的なケアをより充実させていただきたい.まったく先に希望がない病気というふうに受け止めて絶望する患者さんもたくさんいらっしゃいますが,とくにその部分については専門家によるケアだけではなく,その危機を乗り越えた患者さんが患者さんをケアできる,いわゆるピアカウンセリングのような体制,これらを医療あるいは福祉の場からつくっていただきたいというふうに思います.
 それから治療は必要ですけれど,危機的な時期には入院治療が必要であるし,先生方もそういう判断をされると思いますが,一時,落ち着けばやはり在宅での生活を希望する患者さんが多くいらっしゃいます.その場合に,在宅生活での問題点がいくつかございます.まず第1点は,介護保険優先によるデメリットということが指摘できます.障害者福祉も利用できる状態になりますけれど,あくまでも介護保険優先のために,障害者福祉の上乗せが十分に行かないという部分があったり,個別に必要なものの優先順位が,たとえば車椅子などの特別な処方が必要な場合でも,まず介護保険優先と言われてしまうというような現状がございます.それから在宅生活やあるいは介護施設で生活をする患者さんに対する吸引行為が必要な場合ですが,これについての解釈が医療行為であるために,なかなか介護施設や在宅でのヘルパーでは吸引が認められないという問題があるということが指摘されております.これによって吸引がどうしても必要な場合は家族がそばにいなくてはいけないので,家族の介護力にすべて頼るという問題点がございます.それから最後に,在宅に訪問する訪問看護事業がございますけれども,これらの事業の利用については,訪問看護ステーション1カ所に絞るということで複数は利用できないという問題がございまして,現実にはマンパワー不足のために訪問看護が1カ所から来たとしても週3回しか来られないというような現実的な不利益を被っているという問題がありまして,これらについてもかなり法的な解釈の問題もあるとは思いますが,QOLの向上にまつわる研究として,何らかの打開策が出るような研究も望みたいと思います. 以上,患者さんからいろいろうかがってきた範囲で代弁をいたしました.よろしくお願いいたします.

小川委員長
 ありがとうございました.それでは班長先生,お願いいたします.

田代班長
 神経変性疾患を担当しております北大の田代と申します.資料1の,準備されているものを今,拝見しましたので,まず,見ていただきたいと存じますが,私の与えられましたこの筋萎縮性側索硬化症につきましては,これは昭和48年に椿忠雄先生が筋萎縮性側索硬化症調査研究班としてスタートされまして,そのあと,豊倉康夫先生になりまして,そのときに変性疾患という名前が変わりまして,以降,中西孝雄先生,万年徹先生,それから柳沢信夫先生,それから6年前から私が,まず3年間は厚生省特定疾患の班としてやりまして,今,厚生科学になりまして,最終年度の3年目をやっております.この治療研究対象の指定当時の交付件数という,この資料をご覧になっていただければと思うのですが,昭和50年,257というふうな数でありますが,これは当時の研究班がつくられたときにこの数であったとしましても,この平成11年,12年の交付件数をご覧いただきますと,だいたい今,5,000〜6,000人の交付件数がございまして,ほぼ一定の数というふうに考えられます.ただ,ここに表れている数につきましては,この病気自体がいったん症状が始まりますと,少なくとも2〜5年で,何もしなければ確実に死亡するという病気でありまして,結局,このあたりが専門医が診ますと病名の診断がつくのですけれども,その時点で告知をして申請書を出すということが,たいへん難しい問題になります.そこで,私はこの数はまだ,実数を全部表してはいないであろう,と.ある時点でお話をし,そして申請を出すわけですが,その数がこの申請交付件数として出ていると考えていただきたいというふうに思っております. それから治療につきましては,治療法はまったく確立されておりません.それから保険の関係でリルゾールが適用というふうになっておりますが,このリルゾールにつきましては,この病気そのものの改善のための治療としての効果はございません.実際に資料にございますように,生存期間の延長ということが25件,試験で欧米のデータでできておりますけれども,この生命延長期間は平均3カ月ぐらいの延長というのが現状でございます.したがいまして,薬物治療としては効果はほとんどないに等しいかと思いますが,少なくとも少しでも進行を遅らせる可能性ということと,可能性としては非常に早期に診断告知ができて投与すれば,あるいはもっといい効果が出る可能性はあると思われるということでご 理解いただいて,現在,この病気につきましては治療薬があるということで,ひとつの治療薬があるのだというふうな形で,適用薬はありますけれども,お考えいただくとたいへん難しい問題が出てくるだろうと思います. そこで,スライドを使いながらご説明したいと思います.筋萎縮性側索硬化症と,通常,申しますけれども,広い言葉で運動ニューロン疾患という言葉で表しております.実はALSという告知をできない場合に運動ニューロン疾患というふうな告知を最初にしながら,ある時点でALSという診断をして,申請書を書くという場合が結構,多いかと思いますが,その中で大部分が本当に後発性の筋萎縮性側索硬化症,ALSでありまして,その間,ちょっと特殊な起こり方をしますので別の名前がついております.あとは遺伝子レベルの話が先ほど出ておりましたけれども,この運動ニューロン疾患につきましても,今,家族性の筋萎縮性側索硬化症,ALSにつきましては,これはALSの患者さんの約10%は家族歴があって家族性である,と.しかし,そのうちのわずか2割が,この21番染色体にありますSOD1という遺伝子の異常が見つかっておりまして,現在,これを使いながら動物モデルをはじめいろんな研究,治療の問題も含めた研究が進んでおります.つい今年になりまして,ALS2という遺伝子が見つかりました.これは劣勢遺伝のものでありまして,日本の研究者によって同定されたものであります.これは今後の研究課題の中の非常に大事なことになってくるかと思います. 筋萎縮性側索硬化症のお話をする場合には,まずこれは海外のほうのことも含めまして,ルー・ゲーリック病という名前がございます.これはベーブ・ルースと並んでアメリカの大リーグの大時代を築きましたルー・ゲーリックがこの病気にかかって亡くなったということでありまして,これは現役時代の写真ですが,右手に既に委縮が出ている写真として,広くこういうときに説明に使われております.結局,ルー・ゲーリック病という形で,実は先ほどお話がありましたように患者会,あるいは支援団体,これが非常に大きなキャンペーンをしておりまして,多くの基金を集めております. ALSの頻度につきましては,そちらの資料についておりますけれども,この病気は地域差とか国差がありません.先ほどちょっと多発性硬化症というお話が出ましたけれど,その多発性硬化症もわれわれ神経内科の専門病域でありますが,これはもう,海外に比べて日本は10分の1の頻度であったり,北の寒いところに多いという地域差があったりというような特殊なものでありますけれど,むしろこのALSにつきましては世界的にまったく均一の頻度で起こってまいります.発病は人口10万に対して1〜2人,発病いたします.それから有病率としては,少しばらつきがありますけれど0.4〜0.7というふうなことになっておりまして,申請のことは資料に既にございましたので,除きたいと思います.原因につきましては,いろいろな説がございますけれども,ひとつ注目されていたのは紀伊半島とかグアム島にALSが多発するということで,要するに地域環境因子というものが非常に注目されておりましたが,これにつきましても実は多発性の地帯が消滅したというようなことが言われていますが,再調査してみますと依然として紀伊半島,グアム島にはまだALSが多発しているということがわかっております.私たちの研究班では,こういった環境問題も含めて研究をしている班員の先生もござます.まったくこれは細かいものでして,ALSの病因・病態につきましては,本当にたくさんのいろんな説がありまして,神経細胞が死亡するにあたっての説がございます.とくにこのグルタミン酸毒性ということとかフリーラジカルといった問題,あるいは先ほどからお話があるようにウィルスとか自己免疫等,いろんなことが言われておりまして,下に並べてありますような臨床的あるいは神経病理,あるいは電気生理,画像,動物,その他を含めた多数のアプローチで現在,われわれの研究班でアプローチをしております.しかしながら,治療法につきましてはまったくと言っていいほどすべての試みが失敗に終わっております.これは現在,欧米と日本とを対比させたものでありますが,グルタミン酸関連のリルゾールが唯一,承認されておりますが,日本でもそうですが欧米でもリルゾールのみであります.その他に,神経疾患関連,その他,いろいろな治療の試みがなされております.欧米は非常に積極的にこの治療に取り組まれておりますけれど,その中で,ほとんどが失敗に終わっております.したがって,欧米も日本のリルゾールのみというのが現状であります. 結局,そういうことでリルゾールが承認されましてからは,この99年の3月からでございますが,最初はどっと処方されましたけれども,その後はむしろ何か,低く押さえられたといいましょうか増えない形での処方があがっております.累積しますともちろん,こういう形で増えておりますし,私たちが患者さんにお話しするにあたってもやはりこういう治療法があるという話をすることはたいへん重要なことであり,本人にも励みになるということもありまして,もちろん処方をさせていただいております.しかしながら,いろいろな難病の中でも,とくにこのALSにつきましては,今お話ししたようなことで,本当に病気の進行を止める方法はありませんので,結局,そういう患者さんに対して治療のガイドラインをつくっていかなければいけないということになります.これは1999年のアメリカ神経学会のガイドラインでございまして,現在はこのアメリカ神経学会のガイドラインを中心にしまして,イギリスのガイドラインもありますし,現在,日本で日本人に合ったガイドラインをつくろうということで,ガイドライン委員会が日本神経学会のもとにつくられ,いろいろな,私たちの研究班あるいはその他,あとでお見せしますALS関連の研究班が一緒になりながら,現在,作成にあたっております.このいちばんの問題点は,告知という問題であります.先ほどのように米国のほうのところでは,診断結果は必ず本人に詳細に伝えるというのがあちらの原則でありまして,患者さんの同意を得たうえで家族に伝えるということになっております.イギリスの場合には,経験のある医師によってプライバシーを守りつつ,家族やケアスタッフが同席のうえで行うというふうな,少し,一緒に行うという形のガイドラインになっておりますが,日本の場合には,従来はやはり,まずご家族にお話をしまして,そしてご家族にどうでしょうか,こういうふうにお話ししてよろしいでしょうかと言うと,だいたいは,どうぞ話さないでくださいという形で,今までやられてきたわけでありますけれども,そういうことによって患者さんが非常に重要な時期をいろんなところへ回っていったりして無駄に使うというようなことがあってはいけないということで,現在,ガイドライン委員会では告知はどうあるべきかということを検討している最中であります.先ほどご紹介があった今井班も,その中の大きな役割を果たしてくださっておりまして,あとでその関連の研究班のご紹介もしたいと思っております.もうひとつは,今,平岡さんからもお話があった人工呼吸の問題でありますが,これはアメリカのガイドラインでありますけれど,呼吸不全になりまして,そうしましたら患者さんに,実は補助呼吸をしなければならない場合には,マスクによる非身体的な人工呼吸を導入するということになっております.だいたいはそれ以上のことには進みませんで,あとは緩和ケアという形になります.中に,実際に気管切開して人工呼吸器をつなぐという方が,希にはいらっしゃいます.しかしながら,そのときには,アメリカのガイドラインでは必ずご本人に,ご本人がやめたいというときには外していいという,そういう承認をとったうえでの気管切開,人工呼吸というふうになっておりまして,外すことが許されていて緩和ケアに行くというパターンであります.しかし,これは日本の現状にはまったく馴染まないということもありまして,いろいろ,まだ検討しているところであります. 治療薬にも,たくさんの記載がありますが,その中で,このリルゾールについては,では欧米はどのように考えているか.米国のガイドラインにはまったくリルゾールは記載されておりませんし,末期にはホスピスでのケアを行うというふうなことが記載されております.イギリスの場合には,症状の改善は認められず,死亡を防ぐ効果がないことなどを患者や介護者に知らせる必要があるというふうに,ガイドラインに明記するということになっておりまして,非常にこの病気に対するアプローチというのは,国によって異なるということもあるかと思います.そこで,日本神経学会は現在,6つの疾患につきまして,ガイドライン委員会というものを発足させまして,昨年12月から6つの委員会に分かれて検討しております.血管障害,てんかん,パーキンソン,痴呆性の疾患,それからALS,頭痛であります.私は,このALS担当の小委員長として現在,20名の委員の先生方とともに,ほぼ原案がつくられた形ですが,さらに検討しているところであります.これがALSの担当小委員会のメンバーで20名おりますが,これはできあがりましたら関連のアドバイザーの先生,あるいはいろいろな倫理的な問題も絡んでくると思いますし,たとえば大阪大学の柏木先生その他,ご専門の先生方の査読を受けるという予定になっております.このALSのガイドラインの担当委員会は,これは神経学会として担当しておりますけれども,病因・病態から鑑別診断,あるいは最も難しい病名の告知の問題,それから先ほどお話のあった佐藤先生が始められました全国のネットワークは,今は山形の国立療養所の木村格先生の支援ネットワークという研究班になっております.在宅ケア,QOL,栄養呼吸管理,対症療法,緩和ケア,薬物治療,そして介護,福祉というふうにグループが分かれまして,現在,資料をつくって,それを全班員で見ながらディスカッションをしておりまして,従来,この神経変性疾患に関する研究班,私たちのこの研究班が長い間ALSを中心に見てきた研究班でありましたけれども,今のようないろんな問題がありまして,つい最近からは先ほどお話があった今井先生の診断指針の研究班というのが国立病床を中心として発足いたしまして,そして今,3年目が終わるということになっておりますが,この研究班,療養所を中心とした研究班,これは非常に重要な研究班として,今後,活躍していただきたいとは思っております.その支援の研究班もたいへん重要でありまして,その他により基礎的にやる,もうひとつの研究班が,これは東北大学の糸山教授を中心として,基礎医学の先生方がたくさん入っておられた研究班もできあがっております. 今までの活動状況ですが,昨年12月に発足しまして,いろいろ今,検討中でありまして,この11月にほぼ原案をまとめております.来年の5月に札幌で日本神経学会総会を開催いたしますけれど,それまでに最終的な結論が出るというタイムスケジュールになっております.そういうことで,ルー・ゲーリックの名前をとりまして,これはALSMNDというふうに,運動ニューロン疾患とALSを組み合わせた形で国際的な,患者さんはもちろん医者や研究者を含めたシンポジウムが毎年行われておりますが,そういった場所では必ずそういう,ゲーリックの名前をつけて,そして皆さんに認知していただく,あるいは寄付をしていただくというようなアピールが,あちらは盛んにやられておりまして,そういう意味での,研究班という形ではないのですけれど,患者団体,あるいはそういった支援者の強力な資金集めとアピールというものがなされているわけであります. このALSMNDと言われているシンポジウムは毎年,行われていまして,今年は第12回がサンフランシスコ,オークランドでございました.実際に昨年のやはり11月に,デンマークで学会がございまして,そのとき日本のALSの患者さんとご家族がいらっしゃいまして,4人,4家族の方が昼なお暗いというぐらいの11月のデンマークに参加されております.今年もこのオークランドに気管切開をした患者さんを含めまして,やはり4人の患者さんとご家族が参加されまして,学会発表もなさっておられます.これについての反応といいますか,とくにアメリカでは,まず気管切開をするということすら行われない,レセプターをつけるということはもちろん行われないという環境から見まして,日本でなぜこれができるのかという,素晴らしいというふうな評価を得ているということをお話しして,ご説明を終わらせていただきます.

小川委員長
 研究班を代表しまして田代班長からの,きわめて詳細なご報告をいただきました.かなり時間が押してまいりましたので,枢要な,この場でどうしてもというご質問をいただきたいと思います.

小池委員
 ALSの患者さんは本当にたいへんだと思うのですけれど,身障手帳はほとんどの人がもらわれているのか,さっきおっしゃったように,告知がないとなかなか手帳の申請なども難しいのでしょうけれど,そのあたりを教えてください.

平岡参考人
 協会では,毎週土曜日にALS相談室というものも行っておりますけれども,告知を受けた患者さん,あるいはご本人ではないのですが家族が告知を受けた場合には,だいたい1〜2年で下肢の障害あるいは上肢の障害から始まっているので,もう車椅子が必要だという現実的な問題もございますので,それに対応して障害者手帳は申請しているという方がほとんどです.

小池委員
 申請するとほとんど重度になるので,障害基礎年金の対象にだいたいなっているのですか.

平岡参考人
 当初はやはり,4級,3級から始まると思うのですけれど,あっという間に1級になってしまいますので,その間に仕事も辞められるというようなこともございますので,必ず障害者手帳のあとの年金の申請ということもアドバイスしております.受けている方がほとんどだと思います.

田代班長
 医師側としましては,先ほどお話ししましたように診断は容易につくのですけれど,告知の時期というのは非常にやはり,一人ひとり慎重に考えておりまして,したがってある時期になりましたら,もちろん告知の問題,申請の問題はやっておりますけれども,最初の診断についてすぐに申請ということはいたしておりません.

小川委員長
 ありがとうございました.素晴らしいガイドラインといいますか,インフォームドコンセントのまとめですね.非常に感銘を受けました.それでは,この場での質疑はこれで打ち切らせていただきます.どうもありがとうございました.ALSはきわめて重い疾患として受け止められたと思います.本日,発表戴きましたスモン,エリテマトーデス,ALS,数ある難病の中での3つの代表的典型像ではなかったかと思います.3疾患について,患者さんから,あるいはその研究班を統括されている班長の先生からご意見をうかがいました.最後に,オブザーバーをしていただいておりますお三方から,少しずつコメントなりご意見なりをうかがってみたいと思います.まず,日本患者・家族団体協議会代表の伊藤さんからお願いいたします.

伊藤参考人
 今日は3団体および3つの研究班の先生方からのご報告をいただいたのですが,やはりたいへんな状況にあるということはご理解いただけると思います.どの病気が軽くてどの病気が重いということもなくて,それぞれなりに,それぞれの困難を抱えているということですので,この委員会の結論を出されるにあたっては,ひとつは課のほうでは年度内ということをおっしゃっていましたけれども,とてもそういう短い期間に出せるものではないのではないかということで,ひとつご配慮をお願いしたいということと,第1回からずっと様々な議論を積み重ねてこられておりまして,なかなか核心に迫った,あるいは日本の医療制度や福祉の制度の根幹に関わる話もいっぱいあったと思います.それを無にしないで,もっとよりよい方向での結論を出すためには,今少し時間をかけて,いろいろとご討議いただければというふうに感じております.必要に応じて私どものほうでも,様々な資料も出し,あるいは私どもの考えなり提言なりもさせていただく機会をいただきたいというふうに思っております.それからもう1点,今日のスモンのお話でありますけれども,様々な団体から,医療被害,薬害も既に起こっただけではなくて防止するという観点からも含めて,そういう新たな医療被害,薬害に関する救済の法律が必要ではないかという提言が,様々な団体から実は出されております.そういうことにつきましても,この機会に,この委員会からもご提言いただければさらにその部分では進むのではないだろうかというふうに考えております.それから福祉施策の面につきましてはいろいろあるわけですけれど,この事業は必ずしも研究の事業だけではなくて,福祉に関わる非常に広範囲,多岐にわたる制度だということをご理解いただきたいと思いますが,それを有効に使うためにはどうしたらいいかということで,様々な試みも実はあちこちの自治体でされております.次回,あるいは今回も持ってきておりますので,先生方のほうでご必要でしたらお持ちいただければと思いますが,次回にも配布し,この制度をさらに有効に使うために努力している自治体もあるということも念頭に置いて,この福祉面でのご討議もしていただければというふうに思います.なお,先ほどからの発表といいますか提言とそれに対するご質問を承っていまして,少し感じたことなのですが,患者会といいましても専門家がやっているわけではありません.患者自身,あるいはその家族が,まったく医学的な知識も福祉の知識もない中で,日常生活も犠牲にしながら頑張って患者会の運営をやっているわけです.そういう意味で専門的なご質問にはお答えしかねる場合もあると思うのです.そういう意味では患者会の発言に対して専門的なご質問をされるのはちょっと酷かということと,もし必要があれば私どものほうでサポートする発言の権利といいますか,そういう機会を与えていただければ私どものほうからもお答えすることは可能かと思いますので,今後,ぜひご配慮いただければありがたいというふうに思います.以上です.

小川委員長
 ありがとうございました.続きまして全国難病団体連絡協議会,全難連の熊本さん,お願いいたします.

熊本参考人
 2つだけ感想を申し述べさせていただきます.私はALS協会でございますが,先ほど平岡理事と田代先生からご説明がございましたので,全難連の代表という立場で2つ申し上げますと,1つは冒頭,委員長がおっしゃいましたように,この対策委員会といいますか,この会合が本当はきちんとした予算のバックアップがあって,そしてより患者さんのためになる知恵を出しあう場であれば,こんなに素晴らしいことはないなあというふうに思うのですが,その点がきわめて残念でございます.つまり,聖域なき見直しというのはやむを得ないと思いますけれども,やはり見直しの中でもプラスで見直さなければならない部分もあるのではないかというのが,今の国政全体の中で常々感じていることでございます.どこの予算が余っているかというか無駄であるのかということは詰めていただく必要があるでしょうけれど,現に難病に苦しんでいる,あるいは障害を持って苦しんでいる人たちを救えるような国づくりというのがぜひとも必要なのではないかということがございます. それから2番目でございますが,実は先ほど平岡理事からも申しましたとおり,気管支内にたまりました痰の吸引というのが非常に問題になっております.介護保険のホームヘルパーではこれは医療行為であるので違反である,と.つい先般,秋田でしたでしょうか,救命救急士の方が,意識を失った患者さんを救急車で運ぶ際に気道を確保するということをやって,それによって命を救われた方が何人もいらっしゃるわけですが,それに対して日本医師会ではやはり医師法違反であるという答えを出していらっしゃる.実際に自分が呼吸が止まった状態で救急車に乗せられた立場で考えたときに,そばにいる人が医療行為であるからといって手をこまねいて病院に駆けつけ,その時点で残念ながら手遅れで重い障害を持つとか命を失うということを考えたら,果たしてそういう答えが出せるものかどうか.皆さんが救急車に乗って運ばれているという状態でお考えいただきたい.当事者の身になって考えるということが大事なことではないかというのが私のお願いでもあります.

小川委員長
 ありがとうございました.それでは最後に希少難病者全国連合会,あせび会の佐藤さん,お願いいたします.

佐藤参考人
 疾患を問わず,3団体から発言されて,スモンの薬害ということを抜きにすれば,病状とか生活不安とか医療費の不安とか高齢化とか,それは国民全般に共通して言えることだと思います.ここで難病対策について,皆さんのお話を聞きながら感じましたことは,今までやってきた難病対策を見直すときに,今ある疾病対策課は,患者当事者がもう既に福祉として考えられている治療研究の窓口として疾病対策課が残るのか,あるいは当初,この難病対策がスタートしたときに,この課は研究者の先生方の課であると言われた一言が,私は非常に胸に残っております.だから,お医者さんたちの治療研究の場所として今後残っていくのか,非常に医療が,先ほどエリテマトーデスのときに発言されましたけれど,遺伝子解析とかDNAとか,先端研究費というのは疾病対策課の予算ではなくてよそからも出ていますし,通産省からも機械の研究費とか,いろんなところからたくさん出ていますけれど,そういうものも含めて,お医者さんの医学研究のための難病対策になっていくのか,そこを明確にしていただけたら,私どもとしても考えられるというような感じを受けました.ただし今,欲しているのは,先ほど東京都の課長さんが,エリテマトーデスの方に質問なさったように,個人がどんなニーズを持っているかというのは,今日のニーズと来年のニーズは変わっていきます.ですから,ドイツの福祉のように,制度で縦割りにしたり横割りにするのではなくて,その人が必要とするものを与える,そういう柔軟性を持った福祉を考えていただきたい,そのように思いました.時間がないようでございますから,簡単でございますが,これで終わらせていただきます.ありがとうございました.

小川委員長
 3人のオブザーバーの方から,たいへん貴重なご意見をいただきました.ありがとうございました.それでは委員の方,何か特別なご意見がございましたら,ここで発言していただければと思いますが,もしないようでしたら一応,この会における本日の議事はすべて終了といたします.それでは次回の開催等について,事務局より連絡していただきたいと思います.

小川委員長
 それでは事務局のほうは次回,また3団体・3研究者からのヒアリングの準備にかかっていただきたいと思います.それが終わったあと,また今年度末,来年の3月ですか,3月末までには一応の方向性が示せるように,ご討議の収斂のほどをお願いいたします.また,同時に今日,オブザーバーの方からご提言がありましたように,せっかくの機会ですので,プラス思考で,あるいはこのような方向にあるべきというような提言も含めて,できるかぎり,受け止めていきたいと思います.そして,時間の許すかぎり,本委員会での検討を続けていきたいと思います.本日はどうもありがとうございました.

20020121 第4回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会議事録
小川委員長
 それでは本日の議事ですが,「特定疾患治療研究事業対象疾患の現状」についてということで,前回同様,ヒアリングを行いたいと思っております.ヒアリングは患者団体の方々および研究班の先生方のご意見をお聞きすることにより,今後の委員会での議論の糧にしたいということで行っております.どのような研究班から事情をお聞きするかということに関しましては前回同様でございまして,選考基準といたしましては治療研究事業の対象疾患として20年以上経過したことにより,一般的に一定の考え方が定着していると思われる疾患を選びまして,その中から長期医療が必要なために,福祉面に配慮すべき点が多くなってきていると思われる疾患,症状が一定しないなどの理由により社会的に弱い立場に置かれている疾患を中心にしております.また,その中で医療受給者にも配慮して決定しております.そのようなわけですが,前回もお話ししておりますが,発言の機会がない疾患の方々に対しては,今後の議論において不利な影響を与えることのないように注意していきたいと思っております.従って,必要があれば別途,機会を設けることも考えたいと思います.以上が骨子の説明でございます.

石井参考人
 ベーチェット病友の会の石井光雄でございます.私,ご覧のとおり目が見えませんので,10分間の中で言いたいことを言えということでしたが,全然,原稿は用意してございません.ただ,点字でちょっとメモってあるだけなので,10分たったらやめろと言われればやめますので,ぜひ,そこまでは話させていただきます.第一に,現在の医療補助についてという話になりますと,当然,われわれベーチェット病をぜひそのまま続けてもらいたいということが,まず第一にございます.それから福祉に関してもやっていただきたいということがありますので,ポイントについてはもう,お願いしますとしか言いようがございませんので,ぜひよろしく,委員の先生にお願いいたします.
 ベーチェット病については,これから大野先生のほうから医療的なお話があると思うのですが,患者自身としましては,特定疾患の中でベーチェット病が全面的にわれわれ難病の中で,特定疾患の中で重い人から軽い人と言うと語弊がありますけれど,どんどん進んでいって死んでしまう人から,障害を残してその障害がたいへんな人とか,意外と軽くすんでいる人とかという意味ですと,ベーチェット病はちょうど真ん中にあてはまるのではないかと思います.というのは,中学生ぐらいから発病しまして今,80歳ぐらいまで生きていますし,私みたいに失明してみたり中枢系の神経をやられて亡くなった方から,血管が切れて亡くなる方,腸が破れてそのままの方など様々です.私みたいに見えなくなってもそれなりに仕事ができている人,目がちょっとやられた程度で生活に支障がない人というのもございますので,特定疾患の中ではちょうど真ん中にあてはまるかなあと感じております.ということで,ベーチェット病は私自身が,前の会長が亡くなったので全難連のことも少しお話ししたいと思います.それからベーチェット病の中で,私自身がちょうど真ん中にあてはまるのではないかということで,メモをとっただけで,言いたいことをどのように表現したらいいのかわからなかったのですが,私は今,昭和15年生まれの61歳です.ちょうどこれぐらいの人が20代から10代に発病して,私が失明して社会復帰してここまで来たというあたりが,ベーチェット病の中でも真ん中ではないかと思います.そうしますと,私の生い立ちを話しますと,その前後,ひどくなってしまった人,先ほど言った命を取られるような転機をとる方から,平気に助かって,意外とベーチェット病と言われても平気で「あんた,病人か?」と言われるような人たちもございますので,私のことをちょっと聞いていただきたいということを,ぜひお願いいたします.
 先ほどお話ししたように,私自身は昭和15年,埼玉県大宮市で生まれました.父親は鉄道職員でございました.それで次男坊です.長男は3歳で疫痢で死んで,私が生まれたときには,かわいい子が生まれたということで,ぽっちゃりした子だったそうです.今もぽっちゃりしておりますが,当時のことですから,太ったら健康優良児だったわけです.それで10番以内に入ったのですけれど,5番以内には漏れて入賞できなかったというのが母親の自慢でしたが,子どものときから,できものはできておりました.それから当時,小学校に上がった頃は,当然,できものだらけで,病院通いを一生懸命やっていました.それで小学校ぐらいまでは学校に皆勤したことはございませんでした.やはり,生まれつき何かあるのでしょうか,あまり丈夫ではありませんでした.それが中学生ぐらいになりましたら,スポーツを始めまして,サッカーとか野球とかバスケットとかをやりはじめたら,それなりに丈夫になりまして,高校のときにしっかりと,競技選手になるような形で,埼玉の場合はボートがさかんだったので,ボートの選手になりました.それでインターハイや国体に出て,それなりに頑張っておりました.それが18歳で大学受験の頃になりましたら,盲腸だということで調べてみたら,やはりこれは切ったらいいかなあ,たいしたことないかなあという話で,そこで大学受験にうかったら切ろうかと思って,うかったということで切りました.そうしたら,盲腸の手術をしたあと,くっつかなくなってしまったわけです.それで普通の人の3倍も4倍も入院しておりました.よく考えますと,その頃,ベーチェット病を発病したのではないかと思います.18ぐらいでした.それから大学に入って,ボートの選手をやっていたのですけれど,2年生ぐらいになったら体がついていきませんでした.そこでマネージャーという形で4年間を過ごしたあと,卒業しまして,東京オリンピックの年,昭和39年に教授会の推薦で,零細でしたけれど建材メーカーに就職しました.「これからオリンピックで道路や建物をしっかり建てるから,建材メーカーは儲かるぞ,おまえ行ってこい.これは必ず大きくなるぞ」と言われまして,お陰様で私の友達は,私が大卒の2期目なものですから,後輩までみんな,一部上場会社の重役になっております.残念無念です.私も目が見えていれば,一部上場会社の重役かなあというふうに残念がっております.家内からは,それはないだろうと言われていますが,そういうことで,見えなくなったことに残念無念でおります.それはともかく,会社に入りました.そのときに,実はこの前のときにもスモンが戸田病と言われて,キノホルムを戸田のあたりで市民に配ってしまったために発病したという噂があって,ベーチェット病もそれに近いのではないか,と.高校,大学とボートをやっていたものですから,そういう噂があった時代でございました.あの頃,昭和37〜38年から39年頃に何か,難病というものを発病したような気がします.昭和38年に学校を卒業して会社に入り,さあこれから頑張ろう,売りまくってやろうと張り切っていたのですが,そうしたら朝,起きたら目が見えない.左目が全然,見えなくなっていました.それがベーチェット病の発病でした.そういうことがありました. 私の叔父が病院で内科医だったものですから,そこに飛び込みましたら,たまたま東大系の先生で,眼科の先生からすぐ,これはベーチェット病だと一発で言われてしまって,叔父の本を見たら難しいことがいっぱい書いてあるわけです.これはたいへんだと思ったのですけれど,当時はまだ23歳でしたから,たいしたことはないだろうと思って,ぶらぶらしている間に4年……5年ぐらいで失明したでしょうか.この間が訴えたいところなのです.つまり勤めていても,どんどん休んでしまうわけです.休んでしまうから会社の中で出世できないし,「おまえ休めよ」「会社を辞めたらいい」「このままでは,めくらになってしまうじゃないか」というふうに脅かされ続けました.でもそこはいい会社で,失明しても面倒を見てくれまして,保険まで最後に面倒を見てもらいましたけれど,そういう意味では障害者になる前の,医療費がただになってもそれ以外の生活費の問題,そのあたりがものすごくたいへんになると思います.当時,私が失明するまでの間には,腸管などのベーチェット病で死んでいる方や,それから失明した人もいるし何でもない方もいるということで,あのあたりで何か,初期の頃の病気がたいへんだったような気がします.しかし今はお陰様で,大野先生たちのお力で失明しなくなりました.ただ,手帳制度の問題があります.現在の福祉法で言いますと手帳がないと福祉のサービスが受けられなくて,失明は助かってくれたのですけれど,ぶらぶら病みたいなことになっている,これが今,いちばん困っております.それからもうひとつは,私みたいに失明して社会復帰できた人間ならいいのですけれど,社会復帰できない,中枢神経をやられて人格が変わってしまったような人もいます.私は4年ぐらいかかって失明して,訓練所に入れてもらおうと思ったら,健康な盲人でなければ入れないということで,ベーチェット病は入れてもらえませんでした.当時の国立東京視力障害者センターというところですけれど,これが今の国立リハビリテーションセンターに移っておりますが,そこは入れてくれませんでした.健康な盲人だけをとる.そこで,われわれ患者の会と医者たちとが手をつなぎまして,医療を受けながら治療を受けるというような施設を埼玉県の江南につくるという運動を行いました.その中で,実はベーチェット病が真ん中だというのは,ベーチェット病はうつるということで,埼玉県と神奈川県で施設づくりのときに村なり町なり県なりがパニック状態になりました.そういうことで,難病の中でもわれわれは社会的な迫害というのでしょうか,「うつるから寄ってくるな」「めしも一緒に食いたくないよ」というような形もございました.そういうことで,うつる病気ではないのですが,うつるという形の批判も受けました.それで,やっと国立の東京視力障害者センターへ入れてくれて,卒業しまして,今度は友の会をつくろうではないかということになった頃,当時の研究者の第一人者だった東大の眼科教室の鹿野教授の部屋に,われわれの事務所を置かせてもらいまして,それで始まりました.秘書の人を職員として使って,つまり医師とわれわれとの関係,福祉とわれわれの関係ということで始まりました.そのうちに帝京大学が新設されたので,物療内科の講師だった清水先生が帝京をつくるために移ってきて,そこにたまたま部屋を貸してくれるということで,30年間,月に10万円ずつ,年に100数十万円の寄付をしていただいております.今年で30年目です.多分,3,000万円の寄付をされたと思います.私たちの患者は2万人弱ですから,全国組織を持つほどの力はないと思いますので,ボランティア的にやっておりましても,医者たちのフォローがなければ,とてもではありませんが患者の会はやっていけないというのが事実でございます.これが地方に行きますと,地方の支部ですと県からの補助金がありまして,私も埼玉県の支部長も兼ねておりますので,これはお金をもらって,県難連ということで県の中で,事業をやるためには県からの補助金が出ます.しかし全国レベルの組織としてはお金が出ませんので,会費だけでやるということになりますと,お医者さんたちは病気を治せばいい,あなた方は病気のことを考えてと言っても,私たちも言いたいことを言いたいけれど,なかなか組織力をつくるのがたいへんです.ぜひ,先生方には応援していただきたいと思います.それから江南施設をつくるときに,うつるということを言われた.これも実は今,江南施設でマッサージを,医療を受けながらできる学校をつくる……反対を受けましたけれど,埼玉県の当時の知事が県立病院の中でやってもいいと言って,許されてつくりました.これも先生方にお願いなのですけれど,どうしても先生方が,「おれが中心だ」と言って出てきてしまうのです.それは違うのではないかと思うのです.患者が中心.それはどういうことかというと,患者個人ではないのです.患者を団体としてつくる,団体を組織化するという意味で,江南施設の場合も理事を入れて,先生たちに「しっかりわれわれと一緒にやりましょう」と言ったのですが,「いや,あなた方は面倒を見てもらう側,私たちは面倒を見る側」ということで,実は江南施設の中でも理事長になった先生,それから理事になった先生が,患者をボイコットするというと,ちょっと語弊がありますけれど,そういう形で始まりました.あそこもそろそろ30年になりますけれど,「ざまあ見ろ」と言っては悪いのですが,そこにいた先生たちが理事を下ろされてしまって,ベーチェット病には関係のない会社の社長が今,理事長になっています.これはこれで埼玉県に行って,これはちょっとおかしいのではありませんかとうふうに,この前も文句を言ってきたばかりなのですけれど,ベーチェット病のための厚生施設をつくったのに,何か違う人が入ってきてしまって,お医者さんが唯我独尊で,患者のためと言いながらも結局,自分たちのためになっているような気がして…….大野先生が隣におられるのに,先生の批判をしているようで悪いのですけれど,実際は先生たちとぜひ手をつないで,先生たちに助けてもらわなければならないのは百も承知のうえで,私たちは大きな声を出しております.
 最後になりますが,盲人が社会に支えられていたということを,先生方にはぜひ,過去にさかのぼって考えていただきたいと思うのです.障害,難病者が江戸時代から現在までにかけて考えたとき,むしろ江戸時代のほうがよかったのではないかということで考えてもらいたいと思います.皆さんは,こういう音を聞かれたことはありますか.これはあんまの笛です.昭和30年代まではこの笛1本で,盲人に社会的な支えがあって,杖とこの指で生活できました.今,それができなくなりつつあります.それは私が難病で見えなくなったからできないのではなくて,これができなくなった.盲人というのは障害者の原点でございますので,ぜひ先生方にお考えいただきたいと思います.ここにいらっしゃる先生方は福祉より医療のほうが中心だと思いますので,ぜひ,江戸時代のこともご研究願いまして,お考えいただきたいと思います.それは,今の比較論で言えばおかしい福祉かもしれませんけれど,これで食べられていたということを,ぜひお考えいただいて,ベーチェット病が今,難病で失明し,それから障害者になって,その障害者の中でも手帳を持てない人たちが苦労しているということをぜひお考えいただいて,医療と福祉はぜひ,合体しなければどうしようもございませんので,江戸時代より悪かったというふうに私が大きい声を出すようなことのないように,ぜひ,よろしくお願いいたします.

大野参考人
 ベーチェット班の大野重昭でございます.どうぞよろしくお願いいたします.今,石井会長からもお話がございましたが,われわれの研究班はスモン,SLE,重症筋無力症と並びまして,いよいよ今年で発足以来満30年という,非常に大事な節目を迎えることとなりました.私はたまたま,卒業間もなくで第1回目の班会議,昭和47年の会以来,ずっと参加しておりまして,この30年間の流れを振り返ると非常に感無量であります.いまだにこのベーチェット班でも,幸い学問的に非常に手応えのある進歩を感じております.一応,私は6年間,班長を務めさせていただきまして,つい先々週,最後の班会議を開いたのですけれど,病因,治療,非常にまだまだ期待の持てるデータがたくさん出ておりました.とくに最近の3年間ないし6年間の,われわれの班としましては,大きく2つの目標をつくりまして,1つは発症機構の解明というテーマで取り組みました.その発症機構の解明をベースに,なんとか新しい治療法の開発ができないだろうかというのを2つ目の目標にいたしました.その,実際の成果でありますけれども,まず発症機構の解明に関しましては,1つはHLAを中心とした内因の検索であります.これは既に27〜28年前にわれわれがHLA,当時のHLA-A5,今のHLA-B51ですが,その周囲も非常に詳しく,分子遺伝学的に解析いたしまして,TNF-αあるいはMICAとかMICBとか,いろんなマイクロサテライトその他を使いまして,結局,またもとに戻ってHLA-B51そのものである,と.ないしはB51011ですね,今のところは.しかもそれが日本人だけではなくて,この病気は非常にシルクロード沿いに発病するのですが,私自身もイラン,サウジアラビア,ヨルダン,イスラエル,エジプト,トルコ,ウズベキスタン,アゼルバイジャン,モンゴル,中国などほとんどの国へ行きまして,それらから全部,DNAを採ってきて,日本とまったく同じであるということがわかっています.人種を越えた,この分子遺伝学的な発症機構が非常に大事な役割をしているということがはっきりいたしました.もう1つは,今度は外因に関してでありますけれども,ベーチェットさんそのものはウイルス説を唱えたのですけれど,どうもウイルス説ははっきりいたしません.現在でもHSV説がまだ残っておりますけれども,むしろわれわれは,水島班長時代に少し取り上げたのですけれど,サングイス連鎖球菌というストレプトコッカス,口腔内の常在菌ですが,これが川崎病と並んで,どうしてもベーチェット病には関連がありそうだ,と.それが直接関連しているのか,あるいはHSPなどを介しているのかはっきりしませんけれど,この内因と外因の究明が今,かなり進んでおります.もう1つは動物モデルの確立.これもまったく,いい自然発症動物モデルがなかったのですが,われわれは3つのモデルをつくることに成功いたしまして,1つは以前から網膜抗原というものを使って,これは脊椎動物,もちろんサル,ウサギ,モルモット,ラット,その他の動物でまったく目に触れずに,強い両眼性の網膜ぶどう膜炎をつくれるというモデルができましたし,先ほどのHLAないしはMICA,MICBを使ったトランスジェニックモデルも成功いたしました.もう1つは,先ほどのサングイス連鎖球菌を使ったノトバイオートマウスにおけるモデル.この3つができあがりましたので,非常に今後も,新しい薬剤の検索の参考になるだろうと思っております. これまでの30年間の実際の患者さんの経過を見ますと,ひとつは1980年代以前に発症した患者さんと90年代以降の患者さんを比べますと,0.1以下の視力不良例が有意に減少した,逆に0.7以上の患者さんが有意に増加した,それから外陰部潰瘍の出現率が有意に減少した,もう1つはシクロスポリンの使用頻度が,むしろ90年代に入って減ってきている,ということがわかりまして,全体に予後が良好になってきているということがわかりました.患者数は全国で1万8,000人ぐらい.特定疾患の給付を受けていない方もおられますので,私どもはだいたい2万人ぐらいと思っておりますけれど,患者数としては少しずつ,非常に急性の,若年者の重症例は減ってきていると見ています.ただ,相変わらず一定の患者数が発症しておりますので,まだまだ今後,日本にとっては大きな問題であろうと考えております.今後の見通しでありますが,先ほどの内因に関する分子遺伝学的な発症機構を6番目の短腕のHLA領域からさらにパンジェノミックに進めるということも,既にわれわれは始めております.CTLA4ジーンですとか,その他,いろんなサイトカインジーンの研究を始めたところです.もう1つ,外因につきましては,先ほどのサングイス連鎖球菌のいろんなジーンの研究,あるいは実際に,タンパクのどういう部分が発症に関与しているのか,しかもこのサングイス連鎖球菌のあるアミノ酸は,網膜のブルン3Bという,網膜抗原と共通性があるということもわかりまして,ひょっとするとモレキュラーミミクリー的にこの病気を起こしているのではないかということも考えておりまして,これはぜひ,さらに進めたいと思っております.3つ目に,治療に関する今後の見通しでありますが,今回の資料にも少し書かせていただきましたが,抗TNF-αの単クローン抗体治療,これは既にフェイズ2を終わりまして,現在,厚生労働省にオーファン申請をしているところです.これがもし認められますと,明らかにこの単クローン抗体治療中に繰り返して起こる,しかもシクロスポリン抵抗性の眼炎症がきれいに抑えられるということがわかりましたので,なんとかこの抗TNF-α,単クローン抗体治療というものを保険的にもお認めいただきたいと考えております.またさらに,まったくのパイロットでありますけれども,後ほど炎症性腸疾患でも出てまいりますが,いわゆるアダカラムを使った顆粒球,あるいは単球除去療法というのも,ベーチェット病でもひょっとすると可能性があるだろう,と.あるいはステロイドに関しては,全身投与をするのではなくて眼内インプラントという形で小さな新しいDDSを手術的に目の中に投与します.そうしますとこれが3年間,持続的に有効であるという,新しい治療法も今,始まっておりますので,これはぜひ,またこのあと,新しい班でも継続したいと思っている次第です.最後に社会的な意味ですが私どもの研究班はかなり以前から,伝統として患者さんにも公開しています.つねに研究班の班会議は,患者さんとわれわれが一緒に公開してやっているという伝統がございます.しかも班会議の最後には,きちんとしたオフィシャルなプログラムとして患者勉強会というものをつくっております.そこで患者さんから,どんどん質問をいただく,われわれも単にサイエンティフィックな面だけではなくて医療的な,社会的なこともそこでディスカッションするというふうにしておりますし,逆にそういうものをもとに,既に2年前になりますけれど2000年の5月には第1回の国際シルクロード病患者の集いを開催しました.別名,シルクロード病とも呼ばれていることもあって,このような集いを実施したのですが,麦谷課長さんにもご出席いただきまして,葉山で,世界の患者の集いをしまして,とくにシルクロード沿いの国,18カ国から患者さんにおいでいただきました.当然のことながら,まったく同じ病気なのです.そういうわけで,私どもは患者さんとの連携を非常に重視しております.とくにこの研究事業に関しましても,患者さん側の協力がなければまったく不可能でございます.そういう意味で,私どもの研究の中でも1つはSF36を使ったQOLの研究,あるいは保健医療福祉サービスの調査.これは順天堂の稲葉教授に主にお願いしているのですが,そういうものを見ましても,いちばん有用性が高くて利用度が高いのは地域の保健婦さん,看護婦さんということです.コミュニティーの情報だとかマスコミの情報だとか,あるいはドクターからのお話も必ずしも,それほど有用に使われていない.いちばん有用性も高く利用度も高いのは地域の看護婦さん,保健婦さんの意見であるということも判明いたしました.そういうわけですので,やはりこのベーチェット病の場合も友の会を通じて福祉,サービス,介護,いろいろなそういう研究を進めていく必要があります.ただ1つだけ,今回から個人調査票が,どういういきさつで変わったのかわからないのですけれど,6カ月以内の症状を記載しなさいということになりました.あれがちょっと,私ども臨床現場では困っております.6カ月以内に症状が出ない人はそこに○がつかなくて,ひょっとするとベーチェット病から外れてしまいかねません.そうしますと,間違いのない典型的な症例を対象として,いろいろなそういう医学的な調査をするときにも,この典型例の方に必ずしも研究に加わっていただけないということがありますので,個人調査票は何か工夫が必要ではないかと思っております.これは自己評価で申し訳ないのですが,いずれにいたしましても私どもの班は幸いこの30年間,非常に順調な歩みを続けてまいりました.治療法に関してもシクロスポリンの導入,さらには抗TNF-α抗体の導入,今後もまだ,こういう単球,顆粒球除去,あるいは眼内ステロイドインプラントというものも待ち構えておりますので,今後さらに,典型的な患者さん,間違いのない患者さんをこの疾患対象に加えていただいて,さらにこの病気の視力予後,ないしは全身病ですので生命予後を改善できればと思っております.とくに今,問題となっているのは神経ベーチェット病です.これがやはり大きな問題でございますので,そのあたりについてもさらに治療研究を進め,あるいは病因に関する情報を集めてまいりたいと思っております.

小川委員長
 しかし患者さんの側としても,軽症の人を外さないでほしい,しかし間違った人が入って同じようにというのも,これもおかしい.しかし,ずっとやっていって,治療研究法が開発されてきて,治っていくというか,昔はもう,難病というのは治らない,本当に希望が少ないというのが,だんだん治っていく班,あるいは原因が明らかになっていく班も出てくると思うのです.そのようなものを的確に拾っていって,何をもってその疾患における寛解とするか,何をもってその疾患における治癒とするかというのは,疾患によって少し違ってくるように思いますが,そのあたり,ベーシックに共通する部分,疾患によって特別に考慮すべき部分とを,ぜひ聴取して,一応検討してください.せっかくできた調査票ですから,あれはいけないからやめてしまおうというのではなくて,ぜひ,改善して使っていけるようにしていただければと思います.

伊藤参考人
 日本患者家族団体協議会の伊藤です.今,調査個人票の記載内容についておっしゃっていましたが,実は他の研究班の班長の先生も同じようなことを言っておられました.私ども患者会としては,あのような個人調査票というのは当然,研究のためのものですから,研究班の先生方と協議をしてつくられたのではないかと思っていたのですが,そこは実際,どうだったのでしょうか.それからもう1点,シルクロードの国際会議は私どもも注目して見ておりましたけれど,その中でオフィシャルなプログラムとしても患者と一緒にやる部分があったということですが,その部分,患者と一緒に取り組む学会と,この研究班との関係というのは,どのようになっているのでしょうか.

大野参考人
 最初の点でございますが,私どもはまったく存じませんでした.ある日突然,こういう形に変わりますので,これで来年度から書いてくださいということで,それで慌てて,私どもの班の中で検討して,要望書を厚生労働省に出させていただきました.それからたしか石井会長,それから北海道友の会の患者団体のほうからも要望書が,やはり提出されたというふうにうかがっております.ですから事前には,私どもの班にはまったく相談はございませんでした.それから2点目ですが,2000年の5月に開かせていただいた会は,まさに患者さんだけのための会でございました.そこにはもちろん,ドクター側からもいろんな医療講演ですとか,そういうこともありましたけれど,基本的には患者さんがそれぞれの国でどのような状況に置かれているのか,どんな治療を受けているのか,家族はどんなふうに参画しているのかというようなことで,合計4日間にわたりまして,それぞれの国の代表の方から全部,お話をいただいたということです.幸い,それが非常に成功裏に終わりましたので,2年たちまして今年は今度,ドクター側の第10回国際ベーチェット病会議というのがベルリンであるのですが,今回はいよいよ2年後で,同じ会場の中で,そちらのお部屋では患者さんの第2回の患者の集い,こちらの部屋ではドクターの,あるいは研究者の会議としての第10回の国際ベーチェット病会議ということで,2日目に患者からのベーチェット病研究者への提言という合同のシンポジウムを組みます.それ以外はそれぞれが,患者さんは患者さんのいろんな発表,ディスカッション,ドクター側は研究者としての発表をするということで,今後これは定期的に,恐らくドクター側と患者さんが一緒に開いていくことになると思います.

名越補佐
 今,大野先生のお話の中では突然,決定事項として伝えられたというふうに認識されているようですけれど,これにつきましては意見照会という形で,来年度以降,こういう形でいきたいということでお示ししたというふうに引き継いでおります.その際,各研究班からも意見をいただきまして,修正し得るところは修正すべく検討をしたのですけれど,今回の臨床調査個人票の導入にあたっては,基本的な考え方として6カ月以内のデータの入力ということを一律という形で導入し,その中でその対応方法として医師の意見書について記入することで対応していただきたいということでお願いをして,現在の形式での導入となっているということで,当方ではそういう認識を持っております.

山本委員
 前回の議論も含めて,このように企業が興味を持っていただくことについては,これはもちろん結構なことで,それをなしにやれということではないのですが,企業が興味を持たない,しかしながら患者さんにとってはいいという治療をどのようにやっていくか,それがこの研究班の1つの柱だと思いますので,それについてちょっと意見を聞けたらと思うのですが.

小川委員長
 そうですね,薬価があまりにも低くなっているために使いたくないとか,そういう薬すら出てきているということで,そういう,研究班からの要請を製薬企業の人が受けて,しかも双方が心をひとつにして,役に立つというか益するような研究ができればいいですね.先生の提言は前々回でしたか,ありましたね.

齊藤参考人
 全国脊髄小脳変性症友の会,会長をしております齊藤でございます.よろしくお願いいたします.私どもの会は昭和52年に発足いたしまして,現在,患者の約1割の1,800名がこの会に会員として参加しております.患者の中には遺伝性ということで,外へ出るということを恐れてこの会には入っておられない方も多数いらっしゃいますけれど,私どもが出しております会報その他を通じてこの会と,会員にはならないけれど関係を持っているという方も非常に多くおります.私もちょっと言語障害がありますので,言葉の不明瞭な点があると思いますけれど,よろしくお願いいたしたいと思います.今日は事務局のほうからヒアリングについて,ポイントとして3つの点をあげられておりますので,この3つの点について私どもの意見を述べさせていただきます.1つは,現在の医療費公費負担についてということでございます.この病気の患者というのは,体幹機能の不全であるとか,言語障害があるというようなことで,仕事につくというのは非常に難しい方が多くおります.私どものところで平成11年度に会員に対してアンケートをとりましたところ,約1,500名のアンケートでございますけれど,このうちの約半数というのが年収が300万未満という方がいらっしゃいました.経済的にも非常に困難な方が多くおられます.現在の医療費補助というものは非常にありがたい制度でございますので,これはぜひ今後とも続けていただきたい制度ではございます.ただ,現在の制度の中で,やや問題点かと思われるのが2点ございまして,1つは障害の程度によって医療費補助の額に差があるというところでございます.はっきりとしたことはわかりませんが,障害等級の3級以下といいますか,それよりも軽いほうになりますと,診療報酬については補助がなく,全額,自己負担しなければなりません.それ以上,1級,2級という方に対しては無料となっているようでございますけれど,同じような病気の方に対して,こういう差があるというのは,ひとつ大きな問題ではないだろうかというふうに思っております.それから,この病気になりますと,この病気だけではなくて,それに伴う疾患というものが多々出てまいりますけれど,これに対しては特定疾患では補助が受けられないというようなことがございます.ただ,障害者医療費制度というものを利用すれば,その面での補助ということもあるようでございますけれど,これについては患者はよく知らないということがございます.ひとつは,特定疾患については保健所が窓口になっていますが,障害者の医療費については市区町村の役場が窓口になっているということで,このあたりの徹底ということをひとつ,お願いしたいというふうに考えております.とくにこの医療費の補助ということがあることによって,患者がこの病気の研究ということに対して積極的に参加していくというような意識というものがひとつはできあがっているのではないかと思っております.以上,この医療費に対する考え方でございます.それから次のポイントとしまして,現在の研究事業に対する考え方というものがございますが,これにつきましては,この研究事業を進めるということで,必要であるならば,患者個人の情報を提供するということもやぶさかではございません.大いにこの研究事業に患者自身が参加して,1日も早くこの病気の解明,治療法の開発ということを進めていきたいというふうに考えております.ただ,プライバシーの問題ということで,この情報が他の目的のために使われるといったことがないように,このあたりは十分にご配慮いただかなければならない点ではないかと思っております. その他,福祉関係ということでございますが,現在,福祉の切り下げというものが非常に行われております.切り下げあるいは打ち切りというようなことが行われますと,最初に申し上げましたように,非常に経済的に困窮している患者が多いということを考えていただいて,このあたりの配慮を十分にしていただかなければならないだろうと考えております.それから,この病気につきましては,40歳以上について介護保険の適用ということがありますけれど,介護保険についてケアマネージャーの方々は,この病気に対する認識というものが非常に少ないということで,介護度の判定におきまして,非常に不利といいますか,低い介護度に認定されているという人が多いようでございます.さらに,再度申請をし直して,その上に行ったというような声もよく聞いておりますので,このへんのところは,非常にこの病気についての理解が難しいところもあろうかと思いますけれど,ケアマネージャーの方に対する教育という面も徹底していただきたいというふうに思っております.それからバリアフリー法というものができまして,これはこの病気だけではなく他の障害者もすべてそうだと思いますけれど,バリアフリーということの徹底が非常に重要でありますけれど,鉄道などにおきまして介助をするというのが,駅員の数とか,そういうこともあろうと思いますけれど,介助をする時間の制限といったものを設けているところもあるようでございますので,このへんもひとつ,ご配慮をいただきたいと考えております.

辻参考人
 新潟大学の神経内科の辻でございます.私は運動失調症に関する調査および病態機序に関する研究班ということで,ちょうど3年前から担当させていただきまして,今回,その3年間のちょうど区切りの段階に来ているという状況にございます.対象とする疾患は主として脊髄小脳変性症で,運動をスムーズに行うための調節をしている小脳,あるいはその周辺に何らかの機能障害が出て,歩行失調,歩行障害や様々な運動障害を合併してくるということでございます.治療法に関しましては,現在,進行をいくらか緩和するという経口薬というものが認可されていて,それは広く使われているわけですが,まだまだ病気をよくするというほどのレベルには至っていないということで,根本的な治療法はまだ確立されていません.対症療法,リハビリ,それから進行を少し緩和する薬剤の服用というところが治療の現状でございます.小脳を中心に,少し委縮してくるという病気なのですが,運動失調症に関しましては,昭和51年からスタートしたようでございまして,資料によりますと当時237名ということですけれど,平成12年度では1万9,901件の交付件数ということです.今まで言われていましたことは,約40%が遺伝性のもので60%が非遺伝性のものであるということで,その中には様々な疾患がございます.わが国は,この領域では非常に貢献しているところがございまして,どのように数えるかによって多少違いますけれど,日本発で原因となっている遺伝子というのは5つぐらいの疾患で同定しておりまして,現在,わかっている中の約半分ぐらいは日本の研究者が貢献しているというところで,原因解明というところでは一定の貢献をしている領域ではないかと思います.治療法の確立というのがいちばんの目的なわけですが,オーソドックスな考え方で言いますと病気の原因を解明して,どうして神経細胞が障害を受けるかという病態機序を解明して,それで細胞レベルでの治療あるいは動物モデルを用いた治療,そういったものを基盤として,臨床試験の研究を行って実用化に持っていくという流れで進むと,いちばん理想的ではないかと思います.遺伝性の脊髄小脳変性症に関しては研究がかなり進んでいまして,疾患によっては細胞レベルでの障害緩和というものが様々な方法によって可能になってきていて,また,日本発でも動物モデルというのはかなりいいものがつくられていて,細胞レベル,試験管の中の研究成果を,動物モデルを使ったレベルで,個体レベルでの治療研究にこれから持っていきたいという,そういうところに,一部,最先端のところはあるだろうと思います.もちろん一部の疾患はまだ原因もわかっていないというものもございますので,そういう研究も同時に並行して進めているということでございます.いちばん頻度の高い,非遺伝性の脊髄小脳変性症に関しましては,これはなかなか研究が難しいというところがあって,それほど進んでいるわけではありませんが,ある種のタンパク質が特定の細胞に沈着するというようなことがわかってきていて,そのタンパク分子がわかってきて,その集積の内容もわかってきたということで,少しそういう,病態機序の解明に向けての手がかりが出てきているという段階にはありますけれど,まだまだ困難な領域であることは間違いない,そういう状況にございます. 先ほどから臨床調査個人票のことがずいぶん話題になっておりますけれども,私どものところでも様々な検討をしまして,これは疾病対策課のほうともいろいろ相談をさせていただきまして,新しい試みを行っております.それは将来,治療研究が実現してくるときに,やはりこの病気の自然死といいますか,どのような形で病気が進行していくかという,そういう基礎データは必須であろうということを考えて,今の段階でそういった病気の進行に関する基礎的なデータを確立すべきではないかというふうに考えて,前向きの全国規模,英語で言うとプロスペクティブなオペレーションベーストというふうに計画を持って,今後何年かでそれを始めて,全国規模で病気の経過を把握したいということをテーマとして設定して,国際的な評価基準はたった1つしかないのですけれど,それを採用することで,従来型の診断を確定するというところの調査票と,それからあとは機能的なところを評価する評価項目という,2本立てでスタートしました.先ほども話題になりましたけれど,たいへん煩雑な作業を現場に強いることになりますので,果たして協力が得られるかどうかという心配も非常にありまして,現にお叱りをかなり受けたこともあったわけですけれど,それでもかなりの協力をいただいているような状況にございます.詳細は略しますけれど,失調症状を中心に評価項目を設定して,100点満点のスコアリングで100点がいちばん悪いのですけれど,そういうものが提唱されています.ただ,この評価方法自体も評価者間のばらつきであるとか,実際の症状との関連とかという,そういう標準化の作業がされていない,まだ始まったばかりのスコアです.疾病対策課のほうにご協力いただきまして,サンプルデータとして1,179件のデータを,これは本当にサンプルということで,まだもう少し検討する必要があるのですがご提供いただきました.その中で研究に用いることの承諾をいただいていない例が152例,12.9%ございましたので,それを除外する形で,承諾の得られている1,027例について今年度,予備的に検討を行ったわけです.やはりいろいろ重要な項目において記載不十分という例がかなりありまして,実際に解析に使用できたのは936例ということでございます.これは電算化されていますので,そういう形でもってご提供いただきましたので,私たちのところで簡単なプログラムをいくつかつくりまして,それによって解析するということで,きわめて短時間のうちに解析することができました.わかりましたことは,遺伝性のものについては,このサンプルデータについては22.6%と,従来,常識として神経内科医では40%という数字が言われてきたわけですけれど,それよりも,ひょっとしたら少し少ないのかもしれません.一方,孤発性が74.3%ということでございました.遺伝性の中では,これはちょっと細かくなりますけれど,だいたい神経内科医の予測するような形で数字が出てきておりますけれど20〜30%,30%近くが,まだ原因のわからない疾患としてその中に存在するということでございます.孤発性のほうについては,オリーブ橋小脳萎縮症が約半数,それから皮質性小脳萎縮症が37%という形で,これもほぼ予測どおりかもしれません.発症年齢の分布としては,だいたい60代前後が多いのですけれど,これも従来から知られていることを裏づけるような形かと思います.評価項目のほうですけれど,やはりいろいろ問題点はございまして,無記入というのがかなりありました.これはまだ詳細に検討していないので,ひょっとすると以前の書式を使われていた部分がサンプルデータの中に入っていて,まったく記載がなかったということかもしれません.それから1項目だけ非常に多いのがございまして,これはアルキメデスのらせんを書いてもらうというものですけれど,見本が裏のページに書かれていて,ちょっとそこのところの説明が不十分で,それで抜けてしまうことがあるのかもしれません.これは私たちがいちばん求めたいことだったわけですけれど,点数が病系別に,罹病期間とともにどう変化するかというところを出したグラフがあります.2年刻みに書いてありまして,白がオリーブ橋小脳萎縮症で,ピンクが皮質性小脳変性症ですけれど,そうしますとオリーブ橋小脳萎縮症のほうが少し高い点数で,経過とともにこのような形で進行するということが出てきて,割合,このスコアが臨床経過を反映しているのではないかというふうに思われます.少しわかりやすい形に変えてみますと,たとえば杖歩行が不能であるとか自力立位が不能であるとか,そういったところをエンドポイントとして設定して,何%の方が年度とともにそういう形になるかということを出したのがこちらで,ある程度,経過については平均的な値は出せます.もちろん患者さんによってばらつきはありますから,これが個々のケースにすぐに該当するわけではございませんけれど,全体としてはこのような傾向であるということで,そうしますとたとえばこのスコアを,たとえばどれだけ上げるためには……たとえば2年間なら2年間で,治療でもってよくしようとすると,どのぐらいの点数を期待しなければいけないかとか,様々,得点化と治療というところで,非常に大切な基礎データになっていくのではないかというふうに希望しております. 個々の項目について,罹病期間との関連がどの程度,相関があるかということも全部調べてありまして,概ねいい相関が見られますが,中にはあまり相関の見られない項目もあって,そういう項目がこの臨床調査個人票の中に必要かどうかという点も,また今後,検討していかなければいけない点かもしれません.問題点としましては,この調査個人票の無記入項目が結構あったり,いちばん大切な問題が抜けていたり,あるいは生年月日がどうも年号を間違えられたらしくてコンピュータで計算すると発症年齢が116歳になっていたりというような例が一部にあったりということで,わかる例はいいのですが逆にわからないで間違っているという例も入っているかもしれませんので,そういう問題が少しあるかもしれません.ですけれど,全国で神経内科医だけではなくて多くのドクターに書いていただいたと思われますが,全体として見て,割合きれいな相関が出ますから,全国レベルの調査としては一定の成果があるのではないかと思っております.私たちの立場からすると,この評価項目については信頼性や経過との相関といった点で検討をして,さらに改訂していく必要も同時にあるだろうと思っています.それから,研究のことをこの場で詳しく述べるのもやや不適切かもしれませんが,たとえば脊髄小脳変性症の動物のモデルマウスというのが今,非常にいいものがいくつかできておりまして,ヒトの病気を非常によく反映するものができております.一部の病気についてはその機序が,神経細胞の核の中に変異タンパクが集積して,特定の遺伝子群の転写を障害することで神経細胞が少し栄養不全状態に陥るというところまでわかってきていまして,試験管の中では,たとえばこのように紫の色が濃くなっていくような,遺伝子転写の発現が落ちていくわけですけれど,それが,たとえばここではサイクリックNTを加えることによって,その低下が完全に是正できるということであるとか,あるいは試験管の中で細胞が死ぬような状況をつくっておいて,そこでそれを回復させることをやっているわけですけれど,白のバーとブルーのバーを見ていただきますと,下のほうで見てわかりますように,30%近く死ぬところが10%以下にまで落とすことができるということで,試験管の中でこうした障害緩和ができる状況になってきていて,今の課題としては最先端のところでは,こういった成果を動物モデルでいかに実現するかというところに来ているのではないかと思います.私たちの立場から,特定疾患の調査研究への提言ということで,いろいろ考えてみたわけですけれど,やはり前向きの,全国規模の調査研究というのが,研究の立場からは最も大切ではないかというふうに思います.それから電算化されたことに関しては,様々な意見があるところだと思いますけれど,こういう前向きの全国規模の調査研究をするうえでは,電算化されたデータというのはたいへん有効であるということは今回,実感いたしました.疾患の自然死といいますか経過,それから治療のプロトコールの評価とか,そういったものをエビデンスベーストの立場で進めるためには,こういう基盤が何よりも大切ではないかというふうに考えております.先ほどもベーチェット病で出ましたけれど,やはり国際的に見てみても,こういう組織というのは日本独自のものでございますし,やはりその利点を大いに活かす形で工夫が必要ではないかと思っています.一方で,そのマイナス面といいますか,課題はいろいろあると思いますけれど,特定疾患の調査研究の目的や意義というものが,必ずしも現場に十分伝わっているわけではないというのは実感するところでございます.やはり現場で書いていただくドクターに,どのような目的でこれをやっているかということを,よく知っていただくということは,ぜひ必要であろうと思いますし,そういうパンフレットをお配りすることも必要だと思います.またドクター,患者さんを含めた協力をいただいた方々に,やはりこういった研究成果なり,とくに現場にとって大切なものをフィードバックしなければいけないということは痛切に感じていまして,データをいただいているけれども,その成果をわかりやすい形で十分にお示しできていないというのは,私たちの班においても大きな課題だというふうに思っております.

齊藤参考人
 なぜ,そういうふうに重症と重症とないのとで差をつけなければならないのかということなのです.

阿部補佐
 10年の5月に,やはりこういった委員会の中で,一部,自己負担制度を導入されまして,そのときに重症の方と軽症の方をお分けして,ご負担願うという形で整理されております.

齊藤参考人
 だからなぜ,重症と軽症で差をつけなければならないのかということです.そのへんの説明は全然お聞きできていませんよね.

阿部補佐
 ですから今の委員会の中で,そういったことも含めて,見直しをお願いしておりますので,今後の委員会の動向を齊藤さんもじっくり聞いておいていただきたいというふうに考えております.

齊藤参考人
 よろしくお願いします.

齊藤委員
 辻先生のお話をうかがって,この班は基礎的な病因あるいは病態の解明レベルから臨床個人調査票を使ったいわゆるQOLの研究まで,非常によくやられていると思います.この委員会で,今までにいろんな疾患のヒアリングをうかがっておりますし,まだうかがっていないところもあるのですが,逆に先生にうかがいたいことがあります.今のお話でもなぜ重症度の違いで自己負担の部分が違うのかというお話がありました.いわゆる難病が110疾患ぐらいでしょうか,その中で,治療研究事業の対象となっているのは40数疾患のみで,まったく医療費の公費負担が導入されていない病気もあるわけですね.それからもっと言えば,難病として非常に重症な疾患でも,この制度の外にある疾患もある.したがっていちばんの問題は,どんどん予算があればいいのですが,予算には当然,限りがあるわけです.その中でどのようにお金を使っていくかということが重要と思います.もちろん先ほどからお話にありますように,この医療費の自己負担制度以外にも障害者福祉であるとか介護保険であるとか,いろんなことを組み合わせて難病の患者さんをサポートしなければいけないと思います.しかしお金に限りがあるというのもこれは非常に明白なことで,残念ながら実態はそうなのです.それでは,どうしたらいいというふうに先生はお考えですか.

辻参考人
 非常に難しいご質問で,なかなか答えられないのですけれど,福祉の立場から考えますと,たしかに様々な不公平感というのはあると思います.たとえば先ほども話題になりましたパーキンソン病というのは認定されていますけれど,類縁疾患というのがいくつかございまして,血管障害ではなくても,たとえば進行性拡張性麻痺とか変性疾患はいくつかございますが,入っていないわけです.なぜパーキンソン病だけが入っているのかということもあるわけで,そういう問題は必ずあって,福祉の観点からすると難病はもっとたくさんあって,やはり一様にサポートしていただきたいという声は切実なものだというふうに思います.それから研究といいますか病気の治療研究といいますか,そういった立場から考えますと,理想的にはやはり全国規模で積極的に意義のある臨床研究ができるような,そういう設定のものについて積極的に推進したほうがいいのではないか,と.すべてのものを同じように横並びで推進する必要は必ずしもないのかもしれませんけれど,やはり意味のある,いい成果の出る,治療法が進んで患者さんに還元できるようなものをより推進すべきだというのはあると思います.研究面の立場と福祉面の立場をどうすりあわせるかというのは,やはり非常に大きな問題で,それぞれの立場にとって,意見は必ずあるはずだと思います.ただ,お金に限りがあるということはよくわかるのですけれど,やはりこういう全国規模での,それを基盤としての様々な臨床研究,治療研究というのはわが国独自のものですし,また,こういう比較的希少疾患といいますか,難病と言われているものは概ね数の少ない病気が多く,製薬企業があまり積極的に入ってこられないところでもありますから,やはりそういったところで意義のある,成果の出るものについては,ぜひ積極的に推進していただきたいというふうに,お答えになっていないかもしれませんけれど,そのように考えております.

齊藤参考人
 それに関して,一言述べさせていただきます.予算に限りがあるということですけれど,この病気というのは進行していって重症になっていくということで,進行をできるだき延ばすということで自助努力といいますか,自分で努力をしながら進行を遅らせているという人もいるわけです.そういう人たちへの配慮といいますか,今のこの説明では重症とそうでないということで差がついているということで,こういう自助努力ということに対する評価というものが何もなされていないのではないか,と.そういうことによって医療費が抑えられていくという面もあると思いますので,そのへんの配慮ということが必要ではないだろうかと思います.

中西委員
 この脊髄小脳変性症は今回,臨床調査個人票もいちばん大きく変わった疾病で,非常に記載が多いのですけれど,案外に評価はチェックで簡単で,概ね好評でございますし,現場で見ていますと,やはり非常に出来がいいと思います.ぜひ他の疾病も,こういった前向きな全国規模の調査ができるように,そして評価ができるような仕組みにしていただければいいのではないかと思っております.他の疾病も,なかなか問題のある疾病もありまして,認定基準上必要な項目が記載されていないようなものから評価できないようなものまで,目につくものもありますので,そういった中でもいちばん出来がよく,いちばん前回の調査票と変わったものではいるけれども現場としても混乱は起こしていません.また,今後も患者さんにもこのデータをフィードバックできるという仕組みができあがっているということから,ぜひ,他の疾病にもこの視点での調査票のスタイルを広げていただきたいと,これも要望です.

小川委員長
 中西委員からのご要望ということでした.時間が押しておりますが,たいへんホットディスカッションをいただきましてありがとうございました.それでは次の議題に移りたいと思います.事務局のほうから,よろしくお願いいたします.

阿部補佐
 それでは,本日の最後になりましたけれど,炎症性腸疾患関係でございます.北海道潰瘍性大腸炎・クローン病友の会会長でいらっしゃいます萩原英司様にお願いしたいと思います.続きまして兵庫医科大学第四内科教授で難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班長でいらっしゃいます下山孝先生にお願いしたいと思います.

萩原参考人
 北海道IBDの萩原と申します.このような発言の機会をいただきまして,ありがとうございます.初めてこういう場に出ますので,うまく発言できないかと思いまして,先生方のお手元に「特定疾患事業について考えるIBD患者会連絡会 賛同会」という紙が表紙になった資料をお配りしております.この中の発言案に沿って発言させていただきます.また,それ以外の資料についても適宜,ご参考になさっていただければと思います.私は特定疾患事業について考えるIBD患者会連絡会の幹事を行っている北海道IBD会長の萩原と申します.IBDというのは特定疾患の潰瘍性大腸炎とクローン病を総称した名称です.IBDの患者会は全国各地に約50ありますが,中央組織はございません.今回の難病対策の見直しという動きに対して危機感を持って,その中で各地の31会で連絡会を結成しております.私自身は1988年に潰瘍性大腸炎を発病し,以後,寛解と再燃を繰り返しております.過去7回,入院しておりまして,そのうち2回はポリープの切除を行っております.就職,結婚後の発病ということで,幸いにして職場の理解もあり,離職せずに至っております.ステロイドの副作用で緑内障となっており,左目のほとんどの視野は失われております.本日はIBDで,とりわけ潰瘍性大腸炎を中心に発言させていただきます.なお,状況はクローン病でも同じです.疾患の特徴や治療法については後ほど下山先生から詳しくお話があるかと思いますので,私は患者の現状を中心に発言させていただきます.潰瘍性大腸炎が特定疾患に指定されて26年たっております.この間,かなりの研究や治療法の開発が進んでおります.これも特定疾患であったためだと思っております.しかし患者をとりまく医療や社会環境は,いまだ厳しいものがあります.とくに潰瘍性大腸炎は10代,20代前半の若年好発で根治療法がないため,闘病は長期化しております.そのため,人生の出発点でつまずくことになり,その後の進学や就職,結婚に大きく支障を来しております.また,非常に症状の寛解と増悪の差が激しく,多くの場合,それを何回も繰り返すという特徴がございます.あるときは軽症でも,いつ再燃するか,つまりいつ増悪するかわからない疾患でもあり,再燃すれば軽症と分類される直腸炎型などであっても,頻回な下痢や腹痛,発熱に悩まされます.入退院を繰り返したり,入院をしなくても不安定な体調のため,就学や就労など,安定した社会生活の維持が困難になっております.病気による退職や転職も少なくなく,一方,就労率も一般より低めで,就労しても正社員の割合も低めになっております.日本障害者雇用促進協会障害職業総合センターの調査報告書によりますと,IBDの患者の病気の影響による退職や転職が40〜50%台,就労率も一般より低め,たとえ就労しても正社員の割合が潰瘍性大腸炎は53.1%,クローン病は73.3%にとどまっております.患者は社会のセーフネットからも漏れる傾向があります.たとえば潰瘍性大腸炎であるがために保険に入りづらいということはよくある話ですし,どんなに症状が激しくても,また,大腸をすべて摘出しても,身障福祉法の対象とはなっておりません.永久ストマで直腸膀胱機能障害の4級とされるのみです.IBDだけに限ったことではありませんが,本人はもとより家族にとっても通院や入院,その他による経済的負担,加えて精神的負担も大きいのが実情です.医療に関しても残念ながら地域間,病院間でのばらつきが見受けられ,これが患者を困らせています.少し古い資料ですが,平成10年度の疫学班の研究で,潰瘍性大腸炎の専門医の数は大学病院に1人ぐらいの人数との調査結果がございます.医師や病院も大都市圏に集中しており,たとえば北海道では事実上,札幌と旭川のみという状態で,月に1回,通院のため,420キロ離れた別海町から札幌に通うという患者さんもいらっしゃいます.また本州では,新幹線に乗って関東や関西の病院に定期的に通ってくる患者も少なくなく,体力的かつ経済的にもたいへんになっております. 一方,研究班の先生方のご努力もあり,自覚症状が出てから確定診断がつくまでの期間はかなり短縮されました.病気を知るドクターも増えてきました.しかしその一方で,何年も適切な医療や情報を提供されないまま,病状の悪化を繰り返さざるを得ない患者もまだ少なくありません.病名の言いっぱなしや,さらには単に「大腸を全摘すれば治る」と簡単に言うような医師もいまだ少なからずおります.専門知識を持つ医師,看護士,栄養士の数が今より格段に増えなければ,せっかくの最先端の研究成果の恩恵をあずかる患者は限られたままです.私たち患者会のつながりで,そのような患者にも情報の提供をする努力をしておりますが,患者会のみの活動では限界があります.潰瘍性大腸炎の認定患者数は6万6,000を超えており,特定疾患の中では患者数が最も多い疾患の1つです.しかし人数が増えてきているからといって,一人ひとりの患者が受ける肉体的,経済的かつ精神的な負担が変わるわけではありません.また,6万人程度では,残念ながら先に述べたセーフネットなど,社会的問題が解決するわけではありません.現在の特定疾患治療研究事業は以下の点で患者の役に立っています.まず,経済的な支援の面.国保や健保等の一般の医療保険の自己負担では,通院や入院による医療費はかなりの負担になります.また,医療保険等に加入しにくいこともあり,入院時の負担は本来,かなりのものになるところ,少なくとも医療費面では助かっております.たとえば患者の中には,病状が再燃しても「なかなか夫に言いにくい」「我慢する」というような方もいらっしゃって,医療費の補助はこういった方たちにとって,ひとつの生命線になっているという意見もあります.次に研究班の存在です.詳しくはことあと述べますが,研究事業による研究班の存在も,こんなにたくさんの先生方が自分の病気を治そうと頑張ってくれているし,国もそれを応援してくれているという安心感となっています.つまり精神的に孤立しがちな患者を引き留める手段のひとつになっています.また,たとえ寛解期にあって医療費が少額の軽症患者でも,治っているわけではなく,いつ再燃するかわからない状態です.軽いからといって病名が消えるわけではなく,保険などのセーフネットからは閉め出されたままです.公費負担制度がなければ,将来への不安を抱え,何の援助もなく寛解状態を維持しなければならないという状況に陥るところです.以上のように,患者の救済という面で,難病福祉の「谷間」を埋める制度として,非常に有効であると考えます.ですから,さらに研究の充実と患者の支援を図っていく必要があるのではないでしょうか.とくに若者に多い疾患であるだけに,その必要性は高いと思います.しかしながら,この委員会では議論があったように,就学,就労を安心して継続できるよう,特定疾患制度だけでない,より包括的な社会的な支援策の必要性を実感しています.研究班の先生方には,それぞれの患者会での勉強会や医療行為にご理解をいただき,とくに講師などをお願いした場合,可能なかぎり快く受けていただいており,とても感謝しております.また,各会の顧問を引き受けていただいている先生も少なくありません.研究事業の一環として,無料公開講座を開いてくださっていることにも感謝しております.連絡会に結集していない患者会を含め,平成9年度より,研究班報告書を事務局より毎年いただき,研究成果を知るとともに,役員や会員で勉強させていただいております.これを機会に,先生方の班会議等が開かれる際に,私たち患者会も何らかの形で参加させていただければと思っております.患者会としまして,患者のQOL向上にこれまで以上に励んでいく所存ではありますが,その範疇を超えると思われる下記要望をあげさせていただきます.医療の面からは「(1)専門医を養成し,地域差なく適正な医療を受けられる体制の確立」「(2)社会制度に精通したソーシャルワーカー,食事療法を適切にアドバイスできる栄養士の配置」「(3)新治療薬等の開発促進,早期認可.GBF等の税金控除」「(4)心の面の専門カウンセラーの養成:食べ物の選択や悩み事への対処を助言するだけでも体調の改善につながっている事例はかなり多いです.現在は主にドクターと患者会が担っておりますが,多い需要にとても応えきれないと痛感しております」.福祉や患者の自立援助の面からは「(1)内部障害の適用範囲の拡大,雇用の促進」「(2)最新の医療や療養情報の公開」「(3)都道府県単位での福祉施策の格差是正.先の公開講座などをもっと地方でも開催していただきたいと思います」「(4)保健所などが主催している医療講演会など,患者向けイベントをぜひ,参加しやすい日曜日に」行っていただきたいです.前回のヒアリングで,SLE患者会の方がおっしゃったように,私たちは難病患者・家族であっても生きていてよかったと言えるような社会を望んでおります.ある患者は次のように言っています.「医療や社会制度のサポートが充実していれば,体調も安定し,それによって就学や就労機会が増大し,さらにそれによって就労が継続でき,納税者にもなれるという,よい循環が考えられます.しかし最初のところ,つまりサポートの充実のところでつまずくと,若いうちから入退院続きで体調が不安定なため職にも就けず,家族の収入に頼って……という悪循環に陥ります.学校に行きたい,スポーツをしたい,仕事に就きたいと思っている患者は多いはずですから,1人でも多くの患者を,よい循環に乗せてほしいと思います.これは就職が遅かった私の実感でもあります」. 私たち患者も,治療研究事業に対して積極的に協力するとともに,患者会活動を通じて患者による患者への癒しや学習,広報活動などを進めていく所存です.先生方には,従来どおりの研究を進め,QOLをさらに上げていただき,一方,行政の方々にも病を抱えながらも学業を修め,就業でき,患者であっても自立して生活できる社会の体制,安心して通院・治療できる制度をつくっていただくことを望みます.特定疾患治療研究事業は今後も拡充を進めていくことが肝要です.専門委員会では患者の実情を踏まえた判断をお願いしたいと思います.また,効果的な研究のためには初期軽症,寛解者も研究対象とする必要は本当にないのか,十分に検討していただきたいと思います.

下山参考人
 兵庫医科大学病院長の下山です.今日は資料を持ってまいりました.難治性炎症性腸管障害に関する調査研究の内容を書いてございます.疾患は潰瘍性大腸炎とクローン病,つまり原因がわからない,腸の慢性の炎症でございます.潰瘍性大腸炎は大腸で,クローン病は消化管全般ですが,とくに小腸,大腸,あるいは小腸・大腸の両方が侵されます.潰瘍性大腸炎は血便が主症状です.ですから血便が起きないようになって下痢がなければ緩解というふうに考えております.クローン病はリンパ管系の疾患で腸管全層を冒します.腸壁が厚くなって狭窄を来します.同時に粘膜の機能が悪くなるので,栄養不良になる.この2つがクローン病の問題点です.潰瘍性大腸炎は血便,貧血,下痢が問題です.私どもの研究班は,なんとか患者さんを少しでも治そう,社会に復帰させよう,というのを主眼目に頑張っております.病因増悪因子をできるだけはっきりさせたい,本年度で少しははっきりしてまいりました.それと,全国の先生方に診断基準を理解してもらわなければいけません.それから治療指針も理解してもらわなければいけない.これを盛んに言いはじめまして,毎年,本を出すことにしました.今年はもう出したのですが,そういたしまして全国の消化器を専門とする先生方から多少なりとも理解してもらえるようになりました.皆さんがおっしゃっているように,地域差が相当ありますけれども,これからはだんだん差を縮めなければいけないと考えております.潰瘍性大腸炎に関しましては急性の非常に重症な時点から,患者さんを軽症にまで早期に改善できる,そういう治療法を私どもの班で世界に先駆けて開発いたしました.それが保険診療にも採用された細胞成分除去療法(顆粒球または白血球除去療法)でして,この治療法で重症の難治性潰瘍性大腸炎の患者さんのQOLは著しく改善しました.これからやらなければいけないのは再燃の予防と,それから潰瘍性大腸炎に関しましては直腸炎型という軽症の症例を,早期に血便を改善できる薬を開発しなければいけません.今,それをやりつつありますから,近い将来,潰瘍性大腸炎はそう怖くない病気になると思います.それからクローン病の場合は,どうしても患者さんが普通の食事ができないものですから,食べられる食事をはっきりさせなければいけません.これが研究班の,これからやらなければならない,しかも現在やりつつあってかなりいいところまで来ている研究内容であります.研究の方法をプロジェクト別に,逐次,申し上げます.資料に書いてございますように,われわれの研究班は今から10年前,16のプロジェクトを樹てて,プロジェクト別に研究することにいたしました.つまり研究者個人の研究ではなくて,班員全員が協力し合って研究を続けているわけでございます. プロジェクトの倫理面への配慮は,2ページの最初にありますようにやっておりますので,それはご覧いただきたいと思います.潰瘍性大腸炎とクローン病のデータベースでございますが,これは実は今から10年前に私どもの班で始めました.厚生労働省は昨年から全部の疾患について,都道府県毎にデータを打ち込んでおられますが,私どもはいちばん最初に麦谷課長,金谷課長補佐のご協力を得て,全国の医療課から調査票を,平成10年と11年度に送っていただいて揃えています.全国の患者さんがどれくらいいるのかというのを調べたいと思ってお願いいたしまして,東京都と大阪府を除いた全部の都府県からいただいています.東京都と大阪府以外の患者さんで,潰瘍性大腸炎は1万6,730例,クローン病が5,405例です.東京都と大阪府はデータが多いから提出できないということで今はもらっていませんので,残念ながら全国のすべての患者数はわかりません.ただ,6万とか7万と言われるほど多くはありません.多分,重複している患者が相当ありますので,実際に患者数を調べるのはこれからの厚生労働省でやっている調査で出てくるのだろうと思っております.それから,先ほど委員の中西先生からお話がありましたが,私どもは現在の時点で患者がどのような状況にあるのかというのを知らなければ意味がないわけです.いちばん具合の悪かったときと,現在の時点で症状を書いてもらっていますから,この患者さんは主症状と所見,それから検査成績を見れば,緩解に近いのか,相変わらずうんと具合が悪いのか,そういうことがわかるわけです.しかし,個人情報でありますから取り扱いをどうするか,目下検討しているところでございます.それから両疾患の原因ですけれど,やはり疾患関連遺伝子がございます.潰瘍性大腸炎ではHLA-DRB1で,TNFの遺伝子に関係があるわけです.潰瘍性大腸炎の患者さんでもクローン病の患者さんでも同じですが,TNF,Tumor necrosis factorに関する遺伝子は異常です.クローン病の患者さんはTNF・レセプター関連の遺伝子に異常がございます.したがってTNFが出てきますと,ものすごい反応を起こします.それから潰瘍性大腸炎のほうはTNF遺伝子が異常に相関があって,それで粘膜障害が起きるということがはっきりしております.さらにクローン病の方はIL-18,(Interleukin-18),つまりインターフェロンγを誘導してTNF-αを産生する,そういうサイトカインでございますが,このIL-18に対してクローン病の患者さんというのは非常に強く反応いたします.すなわちマクロファージがIL-18に強く反応するので,Tリンパ球が反応するところが非常に強いのです.そこを抑えていかないかぎり,あるいはTNFのところを抑えていかないかぎり,クローン病の患者さんでは,ものすごく強く粘膜障害が起きるのがはっきりしてきました.したがって,このポイントで治療を開始する,そういうことを考えている段階でございます.既にTNFに対する抗体が,先日,単回投薬で保険診療に通りました.現実に6月からクローン病の患者さんを治療できるようになりました.現在,長期投与,長期に反復して投与するやり方を班で検討し,去年の12月までで終わりました.今,解析をしております.もうひとつ日本で開発されたIL-6受容体に対する抗体も今検討している段階でございます.遺伝子の異常がある程度存在し,関連遺伝子によって起きる免疫異常がございますので,それに対して治療しませんと,患者さんはよくなりません.潰瘍性大腸炎については,自己免疫疾患かという観点でも検討しました.全国の患者さんの血清を集めまして,抗トロポミオシン抗体という自己抗体を,初回発作型に約28%認められました.それから抗好中球抗体は病変がどんどん広がっていく患者さんの25%に認められました.それと抗ムチン抗体というのは非常に長い間,病変がずっと慢性に持続している患者さんの15%に出てまいりました.そういうことがあるので,少なくともこの3抗体だけでも15〜30%ぐらいの患者さんは自己免疫的な特徴を持っているということがわかっています.前述の如く潰瘍性大腸炎では,細胞障害性Tリンパ球,これが遺伝的に多少おかしいのではないかと思うのですが,大腸粘膜障害に非常に強く関わるTリンパ球を,潰瘍性大腸炎の患者さんはお持ちでございます.これをどう調節するかが問題です.それから潰瘍性大腸炎の患者さんがなかなかよくならない,慢性化する,というのはなぜかということです.これは潰瘍性大腸炎の患者さんの腸粘膜では盃細胞が非常に少ない,そうするとこの盃細胞から出てくるIL-7というサイトカインが少なくなる.このサイトカインは粘膜障害性のTリンパ球にアポトーシスを起こすサイトカインです.したがって,粘膜障害性のT細胞が潰瘍性大腸炎の患者さんの粘膜ではなかなか消失しないということが問題です.したがって,こういう患者さんに対しては大腸の血行を改善しなければいけません.そういうことでHGFを使って,目下検討を進めている現状でございます. クローン病でも,同じように粘膜障害性のT細胞がありますが,こちらはもともと細胞自体がアポトーシスに対して抵抗性を保有しているようです.多分,遺伝的なものかもしれません.それからクローン病ですとTNF以外にTNF/TNFR(受容体)の分子群が病変の発生に直接関連しているようです.おまけにそれを誘導するIL-18の血中濃度が高く,粘膜にはIL-18+CD8+のマクロファージが非常に多いです.そういうことがございまして,リンパ球増殖と炎症の慢性化に関係していろんなことが起こっているというのがわかりました.そうしますと,これに対して抗サイトカイン療法が必要です.直接働くのはたしかにTNFに対する抗体ですが,ヒューマン由来ではないですから,多少,患者さんの中に抗体も出てきて,いろいろ問題が出てくることが予想されます.先述の如く私どもの班では,潰瘍性大腸炎に対して白血球除去療法を確立いたしました.これはまだ,日本でしか認められていません.スウェーデン,あるいはヨーロッパの北部で現在治験中です.また,アメリカのFDAでも治験中です.日本では既に顆粒球除去療法,それからリンパ球も含んで除去する白血球除去療法が認められています.顆粒球除去療法では,顆粒球と単球だけが選択的に取り除かれます.それも活性化されて表面抗原が露出しているものが選択的に取り除かれますので,粘膜障害はきわめて早期に改善いたします.それから白血球除去療法というのはその他にリンパ球の30%,あるいは血小板の一部が除去されます.そういうことで,難治例で見ますと60日で,白血球除去療法で緩解するのが85%,従来のステロイド治療法でいきますと43%しか緩解に至りません.また重症例では55日で白血球除去療法をいたしました患者の90%が緩解に導入されます.従来のステロイド療法では57%が緩解導入できます.明らかに50ないし60日の間に,患者さんたちを緩解に導入できるというクリニカルパスがつくれます.そういう段階に来ているわけです.先ほどベーチェット病の先生もおっしゃいましたが,これは私どもの班で始めた新しい治療法でございます.プロジェクトの5番目では,診断基準・治療指針を毎度,作成しております.重症の認定基準ですが,先ほど委員の中西先生がおっしゃったのですけれど,私どもは重症度判定をするために,必要なデータをその中に組み込んでいるわけです.細かいところは時間がありませんので省略させていただきます.潰瘍性大腸炎の難治性の患者さんは,皆さんが指摘されたように,ステロイドばかりやって,副作用ばかりが目立つということがございます.白血球除去療法が効かない,あるいはシクロスポリンが使えるようになったら,それを使ってもだめな患者さんを手術しようと,総プレドニン量を10グラムというところで手術適応を決めてやりつつございます.それからクローン病の患者さんは,腸内に蛋白の抗原がございます.つまり食物のタンパクに由来する抗体が血中にございまして,それが抗原抗体反応を介して病変を発生させます.その抗体をランダムペプチドライブラリから選び出して,4種類のペプチドを決め,これで75%の患者を診断できました.そういう特異性を持っている診断試薬を今,つくりあげました.

石井参考人
 そこで関連質問なのですけれど,実際は,クローンも助けていただいてありがたいのです.ベーチェットも私みたいに失明しなくなりました.これは助かっています.そこで麦谷課長にお願いなのですが,今日,特定疾患のこの調査研究班の勉強会というか見直し論の中だけですまされてしまうと,46だか48の中の研究班のとりっこになってしまって,残りの118はどうするのか,と.さっき伊藤さんが言ったように,伊藤さんのほうの会ではもっと他の難病,他の障害者も含めた障害家族会というのをやっていますが,私たちはとくに難病だけ,とくに特定疾患だけを主に強調していますので,できれば……助けてくれたのはありがたいのです.これはもう,本当に助かるのです.先生に悪態をつきながら助けてもらっているのですから.そこでぜひ福祉的な部分,今言ったように指定疾患受給者証が,今の手帳制度が生きているならば……変えてくれるならありがたいのですけれど……障害者基本法に言う難病も,障害者であるというならば,ぜひ……私みたいな者ははっきり言えば,難病で助けてもらっているのではありません.身体障害者で助けてもらっているわけです.だから,そこでぜひ,さっきのクローン病の連中も助けてもらっている,ベーチェット病も見えなくならなくなった,それから膠原病の連中もあまり死ななくなった,そうなった場合は,ぜひ魂を入れてもらいたいと思うのです.先生方にお願いしたいと思います.手帳制度がだめなら受給者証を手帳と同じに扱って,基本法はどうでもいいから,対策を絶対につくっていただきたい.そうすれば,この中で仮に医療補助が少々減っても,医療費をわれわれから取ると言っても我慢できると思うのです.それから患者どうしのピアカウンセリングというような格好いいことを言いますが,実は先生たちが100%治せない病気において,患者の会は傷のなめあいをやるための,大事な社会的な資産だと思うのです.そちらのほうも,厚生労働省および研究班の先生方が,ぜひ……個人的なレベルは当然ですが,団体を育てる,団体をなんとかする,これをともにやっていただきたいと思うのです.よろしくお願いいたします.

小池委員
 患者の皆さん方からいろいろ話を聞いて,自分がそういう立場になったときに,今の制度で本当に助けてもらえるのかというふうな強い思いを私も持ったのですけれど,ただ一方で,さっき財政の問題が出ました.福祉というのは基本的には医療とは違う,いろんな問題を生活に抱えている,そういう方の困難を支援していく仕組みということで,最も大きな柱が経済的負担の軽減ということです.福祉の制度の仕組みの中では経済負担の軽減は,多くの場合,所得に応じて応能負担という形で,所得のある人には相応の負担をしていただく,そうでない場合には無料でというふうな仕組みです.それと,福祉の世界で生活の困難には,市場では提供されない,市場の成り立たないようなサービスがたくさんあるわけで,そういうものは公の立場で提供していく,その場合も負担は能力に応じてというふうな仕組みで出発しているわけですけれど,今の時点で白いキャンバスに制度の設計をできるわけはないので,既存のできあがった仕組みの中で,いかにして公平な制度をつくっていくかというのは,これはなかなか至難の業だと思います.先ほどちょっとあった,たとえば自分でいろんな努力をして,寛解の状態を維持している,こういうのはきちんと制度の中で評価してくれてもいいのではないかというふうなお話がありましたけれど,これはたとえば介護保険などをつくるときにも,自分が一生懸命,健康づくりに努力して,保険料を払うけれども介護サービスのお世話にはならない,そういう人たちは評価して保険料を安くすべきだとか,いろんな議論があるのですけれど,やはりここの部分は,いい状態を自分の努力で保っているというのは,それは幸せなことなので,そこをさらに何か,制度の仕組みの中で評価しろというふうな要望が出てくると,これは本当になかなか,何が公平かの議論とも絡んでくるのですけれど,非常に制度づくりというのは難しいだろうなあということを痛感するわけです.老人医療を無料化したときにいろんな問題が出て,その後,老人保険法で有料化に移っていったときに,無料化を有料化にするというのは,これは本当に,たいへんなことだったのです.同じように,結局,難病患者さんの公費負担医療というのは,医療の面でもささやかなのか大きな貢献になるのかはわかりませんが,治療研究でしているにしても,やはり福祉的な措置であることは間違いないので,これを公平な仕組みにしていくためには,やはりどうしたらいいのか,みんなで考えないと,なかなか実現しない問題であり,その場合にやはり,要するに経済負担の軽減ですから,負担能力のある人は相応の負担をしていただくという仕組みにしていかざるを得ないのではないかという感じが私は強くします.

20020315 第5回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会議事録
小川委員長
 よろしゅうございますか.資料はお手元に全部ございますでしょうか.本日は,前回の委員会の終了後に強い要望のございました,全国パーキンソン病友の会からのヒアリングを行いたいと思います.なお,ヒアリングは各種疾患で本来ならば全部やるということが妥当かもしれませんが,この委員会も時間がたっておりますので,ヒアリングは今回をもって一応,終了させて戴き,その他の希望される患者さんの団体については,アンケートによる対応をさせて戴きたいと思っております.詳細については後ほど,事務局より説明させたいと思っております.早速ヒアリングに入りたいと思います.

馬場氏
 ただ今紹介されました,私,全国パーキンソン病友の会の会長をしております馬場富雄と申します.本日,こういう会に出席させて戴き,ご報告させていただく機会を戴きまして,厚く御礼申し上げます.私は言うまでもなくパーキンソン病患者でございます.この数年間,歩行障害が強く出まして,車椅子生活が多くなってまいりました.それから言語障害が出まして,これはもともと,私はどもるのですが,それに言語障害が加わりまして,言葉がはっきりせず,お聞き苦しい点もあるかと存じますが,お許し願いたいと思います.それから緊張するとジスキネジアが出まして,ガタガタ,グニャグニャ致します.それもご容赦願いたいと思います. さて,先ほどまいりまして資料を読ませて戴きました.この資料でもって,パーキンソン病の概要がほとんどつかめるのではないかということで,私がこれに何を加えたらいいかわからないのですけれども,会長になっていろいろ経験したことについて述べさせて戴きます.去る平成7年,今から7年前でございます.ある町で72歳の,パーキンソン病に罹り,寝たきりになりました奥さんがおられまして,ご主人が全面的な介護をしておられたのですが,奥さんがこれ以上夫に世話になるのは申し訳ないということかもしれませんが,夫妻でもって,心中を企てたわけでございます.夜,奥さんが睡眠中にご主人が首を絞めて殺し,その次にご主人が自ら首をくくって死ぬつもりでいたのですが,これがどうしても死にきれないということで,心中未遂事件というものを起こしたわけでございます.このようなショッキングな出来事は,友の会としては初めて経験することでございまして,本部としていろいろ,どうするか検討いたしましたが,結局,減刑嘆願書を裁判長宛にお送りするということになりました.何ヵ月かのちに,判決が出ました.それは懲役3年執行猶予4年ということで,これはわれわれが予想したよりも軽い刑だと考えました.これに対して,友の会の本部へ,賛否両論の手紙がたくさんまいりました.冒頭にこのようなショッキングなことを申し上げましたが,パーキンソン病は残念ながら,まだ完全に治る方法,根治する方法がありません.年をとるとともに,徐々に進行していく,長期にわたる難病でございまして,この2人も十何年か療養して,疲れ果てたうえでの犯行であったと存じます.こういうことが二度と起きないように,根治療法の完成を友の会としては切にお願いするところでございます.それと会長になりまして,これは私の最初の試練でございました.私がパーキンソン病と診断されましたのは16年前で,現在,年齢は80歳.年とともに徐々にではありますが,本に書いてあるように症状が進行いたしまして,だんだん体が不自由になりまして,毎日,苦しい闘病生活を送っております.しかし,現在まで7年間,曲がりなりにも会長として任務を果たせていることは,薬のコントロールがよかったのだろうということで,主治医にはこのことを感謝いたしておるところでございます.パーキンソン病とはどういう病気かということに移りたいと思いますが,既にいただいた資料に十分詳しく書いてありますので,私があえて上乗せする必要はないと思いますが,とくに申し上げますと,病気の進行は一人ひとり違いまして,健常者と見分けがつかない状態から,寝たきりの全面介護する状態まで,5つの段階に分けられ,これをHoehn & Yahr重症度分類といいます.これが最も広く用いられております.だいたい60歳以上の老人に多く出る病気で,10万人に対して100名ぐらいと言われておりますが,40歳未満でも発病し,若年性患者もかなりいることがわかってきました.若年性の患者はまだ働いておりますが,職場の理解を得られないとリストラの対象になったりすることが多く,このような人は身体的苦痛に加えて経済的苦痛が重なりまして,家庭崩壊にまで至る場合があると聞いております.治療費が自己負担になりますと,医師の診察も受けにくくなり,若年性の方は非常に困るのではないかということで,このような場合,若年性の患者がいるということをお忘れないようにお願い致します. 現在の,パーキンソン病の治療につきましては,これも詳しく資料に出ておりますので,あえて申し上げる必要はございませんが,根本的な治療はまだ完成しておりません.外科療法も発達しておりますが,これも,外科療法をやったらおしまいだというものではなく,その後も服薬する必要があります. 最も広く行われているのが,薬物療法です.その中の主役といいますか,最も広く使われているのがドーパミンをつくりだす補給薬としてのL-DOPAでございます.これが使われた当初は,非常に効果が素晴らしく,これでパーキンソン病は解決したと,誰もが思ったそうでございますが,長期間の試験の結果,これは5〜6年たつと効果が薄れ,副作用が大きくなってきました.しかし,現在でもこれに優る薬剤は出ておりませんで,薬物療法の主役となっていると考えております.薬物療法の問題点について述べますと,普通一般に,一般論として,薬を飲みますと消化器系統の食欲不振とか吐き気とか,そういうものが出てまいりますが,パーキンソン医薬はそういうことが出ましても我慢しているうちに,だんだん慣れてくるということで,消化器系統にはそれほど大きな影響はないだろう,と.循環器系統では胸の痛み,動悸,不整脈等が起きます.今の私のようはジスキネジアは,循環器系の副作用かどうかわかりませんが,これは非常に自分自身,気分の悪いもので,悩んでおります. 最も注意が必要な問題点というのは,精神的なものでございまして,興奮,錯乱,幻覚,妄想,そして最後にぼけというものがございまして,パーキンソンからのぼけは65歳以上で5〜6%と言われておりますが,これはアルツハイマー型のぼけとは性質が違うものであると言われております.また,突然,パーキンソン病の重篤な症状が表れて,まったく動くことができなくなり,数時間するとそれが急に消えまして,動きだすという現象があります.電気のスイッチのようなものだということでオン・オフ現象と言っておりますが,これは病気が進行してくると出てくるものと言われております.それから自律神経障害に関しまして,多いのは便秘でございます.80%以上の人が便秘に悩まされている.この他,頻尿,排尿障害,起立性低血圧等がありますが,ここで嚥下障害について述べます.飲み込む障害でございます.約40%の患者に見られる現象でございます.この嚥下障害は,元来,食道に入るものが気管のほうに入ってしまうということで,肺炎,気管支炎をたびたび起こし,これが致命的な例になる場合もあると聞いております.対策としては鼻の穴からパイプを胃袋まで入れて,栄養を補給する経鼻栄養,それからおなかに穴を開けて,胃袋までパイプを入れる胃瘻増設という方法で栄養を補給することが行われておりますが,これは経鼻栄養とともに食事の味などもわかりませんで,ただ,栄養を補給するだけということで,この状態に至らない方法が何かないものかということが求められている状態です. また,副作用ではありませんが,L-DOPAの服用を急にやめますと,悪性症候群という状態になり,発熱,意識障害で,時として致命的になることもあると聞いております.この薬は絶対にやめてはいけないということで,薬を食事と同じと考えて,とることが必要だということになっております.以上,簡単に,パーキンソン病について,いろいろなことを申し上げましたが,言語障害のために言葉が足りず,申し訳ありませんでした.

田代班長
 神経変性疾患研究班の班長をしております田代と申します.私たちの研究班は,筋萎縮性側索硬化症とパーキンソン病を大きな柱とした研究班でございまして,第3回のときには筋萎縮性側索硬化症のことで,この委員会にまいりました.本日はパーキンソン病についてということで,お話しさせて戴きたいと思います.今,会長の馬場さんから,パーキンソン病の症状あるいはご本人のご経験も含めまして,お話がございました.ここに詳細な資料もございますが,話を短くするためにスライドを用意してございますので,このあとスライドを使ってお話しさせて戴きたいと思いますが,今,お話がありましたように,パーキンソン病の交付件数は,数のうえからいきますと5万近いという,増えている状況で,何かこの件数のことがかなり問題になっているというお話もうかがいましたけれども,今,馬場さんのお話にございましたように,治療法としてはたしかにL-DOPAが出て,劇的な効果が最初はありましたけれども,本質的な病気は進行していく変性疾患である,と.しかも治療薬は多種,現在,承認されておりますけれども,いろいろな治療薬を組み合わせながら治療していかなければいけないという疾患でございます.それではスライドを使いまして,簡単な歴史も含めましてお話をさせて戴きたいと思います.パーキンソン病につきましては,ご存じのように1817年にジェイムズ・パーキンソンによる,この疾患を記載いたしました本が出ておりますが,世界で8冊ぐらいしか残っていないという,豊倉康夫先生のお話でございますが,これは復刻版でございます.パーキンソン病につきましては1919年に既に知られておりました.右側のほうは正常の方の中脳というところに黒質というものがございまして,メラニンを含んだ神経細胞がございますので,目で見ると黒く見えるということで黒質と申します.しかしパーキンソン病の場合には,この神経細胞が脱落するために,色が薄くなって消えてしまう.これはもう,1919年に既に知られていたことであります.結局,この黒質から線状体,ドーパミンの経路が障害されますので,そのドーパミンを補充するという意味で,L-DOPAが効果的な薬として登場してきたわけであります. 神経の細胞というのは,とくにこの黒質の細胞は,年齢とともに減っていくということが,加齢の症状として言われておりますけれども,決してこれが,普通の段階では神経症状を出すようにならない.たとえばこれは年齢80となっていますけれど,パーキンソン病の症状は出てこない,と.ところがある時期,原因が不明であって徐々に細胞が減ってきまして,正常な場合から考えますと,この黒質の神経細胞の40%程度以下になりますと,症状が発症するという研究がございます.脳炎のあとで起こるなどというのは,こういう形をとりますけれども,現在のパーキンソン病はこれにあたるわけであります.今,馬場さんからもお話がありましたように,パーキンソン病につきましては,症状の段階によって,Hoehn & Yahrの分類ということで,1度から5度までございます.1度は一側性の障害のみです.2度になりますと両側性になりますが,まだ体のバランスは保たれておりまして,3度は今度はバランスの障害や歩行障害が出てまいります.4度は辛うじて起立,介助が必要ですが5度になりますと車椅子あるいは寝たきりになる.特定疾患の認定は,このHoehn & Yahrの3度以上の方で,障害度が2度以上というふうに決まっております.これは有名な,ネッタという方の絵ですけれども,Hoehn & Yahrの1度は片側,Hoehn & Yahrの2度は両側性ですが歩行も可能,バランスも問題ありませんが,3度になりますとバランスの障害が出ます.4度は介助が必要で5度は車椅子になる.この絵が,非常によく,教科書にも使われているようであります. このパーキンソン病の特定疾患の,全国の各都道府県から出ている数でございますけれども,これは人口10万に対してどのぐらいの申請があるかということで見たものでありますが,北海道と鳥取,島根が少し突出しているように見えますが,パーキンソン病はだいたい全国ほぼ同じ率で患者さんがいらっしゃるというふうに考えております.南北の差というのはございません.英語で書いてあって申し訳ございませんけれども,これはわずか15年ぐらい前の教科書で,1987年の教科書に載っておりまして,白人と黒人とアジア人ということでの,パーキンソン病の有病率を比較した表でございます.実際に白人の場合は人口10万に対してだいたい100あるいは180ぐらいの,非常に多い数が出ていますが,黒人の方は実は10以下のデータが2つほど出ていまして,アジア人は日本のデータも含めて,だいたい50あたりではないかという話が出ておりました.皮膚のメラニンで,たしかに白人,アジア人,黒人という話が,実はこういう話で出てくるのですけれど,中枢性のメラニンはまったくそれとは無関係である,と.しかしながら白人に多くて黒人に少なくてアジア人が中間であるということでありますが,実はこの表を見ましても,ミシシッピで詳しく調べますと白人と変わりないはずのデータが既に,1978年に出ておりまして,日本も鳥取の米子では80いくつという数字が出ております.実際に,米子の1980年のときには人口10万に対してだいたい80でした.それが米子の鳥取大学で92年に再度,調べられましたところ,だいたい130近い有病率だったという結果が出ています.私たちは北海道の岩見沢で2回,行いましたが,やはりだいたい100ぐらいであるという結果を出しております. これは鳥取と米子の2年間のデータを,年齢別に分けましたけれども,馬場さんのお話にもあったようにパーキンソンは若年者で起こる方ももちろんありますけれども,ほとんどはやはり60歳を過ぎると非常に増えてまいりまして,80代になりますと人口10万に対して800人ぐらいになります.要するに高齢化に伴って,この疾患は増えるということが言われております. 先ほどの,日本のパーキンソンの有病率は欧米と比べて人口10万に対して50ぐらいであろうというデータは以前に厚生省の研究班で出されたものでありました.そこで再度,現在の私たちの厚生省研究班において,米子と北海道の他に,以前に行われました京都府と鹿児島でやって戴きましたところ,やはり北も南もなく,だいたい人口10万に対して100から130前後ぐらいのパーキンソンの患者さんがおられるという実態をつかむことができました.これはひとつには,私たちの研究班の特徴としましては,北は北海道から鹿児島まで,神経内科のパーキンソン,あるいは筋萎縮性側索硬化症の専門家を集めた研究班で調査ができるという利点もございまして,そういうことで,こういった共同の研究ができて,日本のパーキンソン病の有病率はだいたいこのぐらいであるという値を決定することができたというふうに考えております.そうしますと増えたのかということになりますが,最初に調査が行われた時期は1987年でございますけれども,この頃の神経内科の専門医は今の3分の1程度でした.現在,神経内科専門医はどんどん増えてまいりまして,3倍以上の専門医が今,活躍しているという状況であります.それから,やはり今,高齢化が進んでおりますので,高齢化になりますとこの疾患は増える,そういった要素があります.それから治療法が今,非常に発達しておりますので,そういったことも含めまして,有病率が増えているということは言えるかと思います.治療につきましては,それこそ最初に馬場さんがお話しになりましたように,ドーパミンが減少することで,L-DOPAができて非常に画期的な治療となったと言いましたが,やはりパーキンソン病は治療を5年もしておりますと,効果減弱,副作用がいろいろ出てくるということもありまして,このドーパミンの受け止める受容体側を刺激する薬,あるいはドーパミンの分解を抑制する薬,あるいはドーパミンの放出を促す薬,その他に抗コリン薬とかノルアドレナリンの前駆物質のドロキシドーパというような,こういった薬剤をうまく組み合わせながら,患者さんの調子を整えていって,コントロールしていくということが重要になってくるわけでありまして,そういうことからしますと,まだ根治的な治療法ということはなく,症状をいかにしてうまくコントロールし,そして生活のレベルを高めて活躍していただけるかということが,大きな治療の目的となります.実際にこのパーキンソン病の治療をどうしていくかということにつきましては,アメリカの神経学会のほうで治療方針のアルゴリズム……今,いろんな疾患の治療方針についてのアルゴリズム,治療指針というものが出ておりますが,パーキンソン病につきましても,まず,とくに軽症の方は薬を使わない,しかし薬を使う場合には,どのように使っていくかというような,ひとつの流れができておりまして,日本も順天堂大学の水野教授が,日本神経学会のパーキンソン病についての治療指針の委員長をされて,日本のアルゴリズムを作成して,現在,日本神経学会のホームページで公開しております.これは神経学会の会員がいろいろ意見を述べ,最終的に本年の5月の総会で決定するということになっておりまして,治療薬としてはL-DOPAを今まで第一に使っておりましたけれども,ドーパミン受容体刺激薬を非常に重要視するという動きが今,出てきているところであります.実際に私たちの研究班では,臨床と基礎とが一緒になりまして,パーキンソン病あるいはALSの研究をしておりますけれども,この研究の成果の中では,とくに家族性パーキンソン病に関する分子生物化学研究が順天堂の水野教授を中心としてなされまして,パーキンたんぱくの異常ということがつきとめられまして,今,これをもとにした研究が進展しております.その他に家族性のパーキンソン病は現在まで世界で8つのタイプが見つかっておりまして,その8番目が相模原にあります家系で,これは班員の長谷川先生がその遺伝子の場所を見つけたという成果があがっております.今のような,パーキンソン病の疫学の検討があります.それからパーキンソン病の難しさは,パーキンソン病に非常に類似した疾患がいろいろと重なってくるということもありまして,その中の,私たち研究班としましてはひとつ,大脳皮質基底核変性症という名前でありますが,これをいろいろ分離できるかどうかの研究を進めてまいりました.これはもう既にご存じと思いますが,1998年に順天堂大学の北田先生,水野先生たちがパーキンソたんぱくの異常を発見されたときの「ネイチャー」に掲載された論文であります.次のスライドは,そのタイトルです.これも他のときに使ったスライドで,英語で申し訳ありませんけれど,パーキンソン病というものがありますと,それに非常に類似した他の疾患が,いろいろ混ざってきているということになります.私たちは,こういった中で,とくに進行性核上性麻痺と言われているものと,それから大脳皮質基底核変性症,これはやはりパーキンソン病と分けられて,そしてこれも可能であれば特定疾患として新しく,こういったものを中心とする疾患を検討する場が与えられればよろしいのではないかというふうに思っております.パーキンソン病につきましては,その他のことでたくさんの類似の症候を起こしますが,これは神経内科の専門医であれば鑑別していけると思っております. パーキンソン病にかかった有名人ということがよく話題に出てまいりますが,ローマ法王のヨハネ・パウロ2世は現在,パーキンソン病でありまして,しかし現在,本当に世界的に活躍しておられます.ヨハネ・パウロ2世につきましても,やはり重症なパーキンソン病と思われますが,現在の治療を受けられながら,こういった世界的な活動をされていると思いますし,昨年の4月に京都で国際シンポジウムがございまして,そのときにイスラエルのリバーマン教授が,アメリカの雑誌の「タイム」の表紙を飾った有名な方々の中でパーキンソン病が非常に多いというようなお話をなさっていました.つまりパーキンソン病の方は,そういうことになったとしても,きちんとした治療によって,そして社会的に活躍されるということもありまして,このパーキンソン病につきましては治療法も重要であるし,かつ,数は増えているかもしれませんが,なんとかさらにいい治療法を見つけていきたいというふうに考えられているものであります.とくに,このパーキンソン病につきましては,患者会が全国で頑張っていらっしゃいます.全国パーキンソン病友の会はもちろんでありますが,各地域にも友の会がありまして,非常によく頑張っていらっしゃいますが,アジアと大洋州のパーキンソン病の集まりというものがございます.3年前に水野教授が日本で第2回の大会をなさいまして,昨年の12月は香港で第3回の大会がございました.馬場会長以下,日本からたくさんの患者さんが参加されまして,そして他の国の方々との交流,あるいは医学的ないろんな発表を拝聴されておりました.そういうことで,パーキンソン病そのものは,たしかに多くなってきていると思いますが,まだ100%こうすれば治せるという治療法は確立されていない.いろんな方法をもって,これからさらに研究を進め,そういったところへ持っていかなければいけない病気であるということをご説明して,私の話を終わりたいと思います.

小川委員長
 他にございませんか.予定した時間が2時10分までということだったのですが,もう,ずいぶん超過いたしましたが.しかし今,重要な点が2つ出たと思います.対象疾患になった疾患と,極めて近いが対象となっていない疾患との公平性,取り扱いをどうするかという提案がひとつあると思います.もうひとつは非常に障害の強い方に対する福祉面での対応方です.他の福祉制度との絡み合いというのがひとつ問題になってきたと思います.何か御意見はありませんか. それでは,これらはまた後で討議するということで.

名越補佐
 それでは資料3につきまして,「難病対策委員会アンケート(案)」ということでご説明をさせて戴きたいと思います.本日まで,パーキンソン病も含めまして数種類の疾患の患者会および研究者のヒアリングを行ってきたところでございますけれども,一応,難病対策委員会の審議もここまでずいぶん長く時間をかけておりまして,今後の検討にも時間を割かなければいけないという状況もございまして,発言の機会を求めておられる患者団体の方々に対応をさせていただくために,委員会としてのアンケートを準備させていただくということを,前回の委員会でのご提案もありましたことから,今回の会議でお諮りをさせて戴きたいと思います.

伊藤オブザーバー
 患者会の側からの感想を少し述べさせてもらいたいと思うのですけれども,全体に,今,名越補佐がおっしゃったように予算が限られているということを前提にするというのであれば,そのことをぜひ書いていただかないと,この中からということだけだとちょっと,選択肢がかなり恣意的に固まっているのではないかとか,既定事実がそのままの認識として刷り込みされるのではないかというおそれがあります.ですから,予算がないということを仮定するのであれば,ということであれば,この設問も多少わかるのです.

中西委員
 患者会の言われるとおりだと思います.予算は非制度的補助金ということで,だんだん下がってきているわけですが,担当部局も努力して獲得されてはいるのでしょうけれど,やはり増やしたとしても限度がありますよね.健康保険法のほうがどんどん変わっている,老人保健法も変わっているということから,やはりこの公費負担制度というのは,なかなか維持していくのは難しいというのは患者会も納得されていると思うので,まずそのあたりの前置きをやはり,わかりやすく平易に書かれたほうがいいと思います.

麦谷課長
 ちょっと,議論が錯綜していますので,整理をさせて戴きます.このアンケートは手続きなのです.この会そのものは公開されていますし,現にここにお見えになっていない各都道府県,3,000市町村も議論して,県議会,市議会によっては要望書を既に議長名で提出されてきています.したがって全国に,この議論は既に公表されているのです.いかなる患者会といえども,手をあげればここへ来て,意見は陳述できるわけです.したがってアンケートをしなくても実はいいのですけれど,手続き的に私どもは,これをつくってお配りしよう,と考えたわけです.個々の患者さんにアンケートを出すのではないのです.したがって定率,定額は,患者会の代表がご覧になれば100%わかるのです.かみくだいて説明する必要はまったくないのです.そういう制度があることはもう,津々浦々わかっていますから,一人ひとりの国民にアンケートするのではありませんから,あるいは患者さん一人ひとりにアンケートするのではありませんから,手続きとしてはこれで十分なのです.そこを混同されて,これが不十分だという意見はもちろんお受けして書き換えます.書き換えますが,趣旨はそういうことで,これは手続きの一環として行うのであって,これで何か意見封じをするとか,これで何かを決めようとか,そういうことではないので,そこはご理解戴きたいと思います.

佐藤オブザーバー
 では課長さん,お尋ねします.難病対策は,すべて他方優先ということでずっとやってきましたけれど,今後もその原則には変化はないわけですね.他方他施策優先でやってきた予算事業だと私は理解しているのですけれど.

麦谷課長
 それはたとえば保険優先という意味ですよね.

佐藤オブザーバー
 では,身体障害者1級になった人が,特定疾患の治療研究対象を選ぶのか,身体障害者福祉法のマル障医療を選ぶのか.そのへん,今後はどのように考えたらよろしいのでしょうか.

麦谷課長
 そこは決まっておりませんので,これまではおっしゃるとおり,たとえば保険優先,あるいは他の制度優先ということでございましたが,そこも含めてご議論いただいて,それから分離して,これだけで制度をつくれというメニューもあり得るべしです.それからあえて申しますが,平成9年とか,過去の検討委員会で,たとえば希少疾患というのは5万人が目安だというのはもちろん出ておりますが,ここで一度も5万人以上は切るといったような議論はしたことがありませんので,そういう報告書がありますということです.希少疾患はこうで,何万人ですかと言われたら5万人ですとは言っておりますが,では,それ以上の患者数があるものは切りましょうとか,外しましょうといった議論は一度もしていませんので,そこを前提に全国からいろいろ実は要望は来るのですが,それは一度もそのような方向で議論したことはありませんので,そういうことも含めて,ここでお決めくださいということを申し上げています.

熊本オブザーバー
 たしか私,第2回目のこの委員会の場で,感想として予算ありきでその予算の中身をどのように配分するかについて知恵を出すかという集まりであることがたいへん残念でありますということを申し上げたと思います.先ほど中西先生からのお話にもありましたように,患者も,それから国民の皆様方も,これしかお金がないのだということを,納得はしていないと思います.つまり今,いろんな報道で伝わって皆さんご存じでしょうけれども,やはりお金のあるところにはあるといいますか,私どもからしますと,たいへん無駄なお金が国家予算として使われているということを皆さんひしひしと感じております.人間の命,とりわけ難病であるとか障害で苦しむ方々を支えるためのお金がどうしてないのだろうか,どうして削っていかなければいけないのだろうか,ということに大きな疑問を抱いているというのが実態ではないかというふうに思っております.ですから,この委員会は見直しということでスタートしておりますけれども,見直しの中にはマイナスの見直しだけではなくてプラスの見直しもあっていいのではないかというのが私の考えでございます.

小川委員長
 麦谷課長,当然,それはそういうことですよね.

麦谷課長
 予算のことは,ご説明として非制度的補助金で構造改革の対象になっていますということは,事実の説明として申し上げて,制度的に都道府県と国がそれぞれ2分の1を負担するといった制度でありながら,実際は都道府県のほうにずっとしわ寄せが行っていまして,最近では都道府県が130%,国が70%まで行っているのです.これが健全な制度と言えますかということも含めて,これをご議論いただくということで,予算を減らすためといいますか,減らした予算に合わせて制度をつくるというような趣旨はまったくございません.

小川委員長
 減らしたのがまずあって,それを納得させるための委員会というのではないということでございますね.

麦谷課長
 ええ,違います.

小川委員長
 これはそうしていただかないと,われわれも困るわけです.

中西委員
 前回の,平成7年の公衆衛生審議会のときには難病基本法の論議をどうしましょうかというところで終わっているわけですけれど,要は「難病とは」から始まって,要するに難病と定義する疾患は本当は何なのかというところ,そしてどういったサポートをしましょうというと,案外にないわけです.とくに今,熊本オブザーバーがおっしゃったように,神経変性疾患というのはやはり進行性ですしとてもたいへんですし,既存の障害者施策だけではやはり足りないのだろう,と.また医療保険制度だけでも足りないのだろう,と.そういうことで,今回,診療報酬の改定があったりして,多少は改善した部分があるのですけれど,そういうトータル的にサポートする法律がないというのは,ちょっと寂しい気はしまして,できれば今後,そういう難病基本法みたいなものに向けて考えていくべきであろうとは思うのです.ただ,そういう法律をつくるにしても対象は何なのかから始まると,今のこの治療研究事業の対象とはやはり若干ずれるだろうということがあります.とりあえず,そういう難病基本法をつくるにしても,やはりそういう理念とか対象とかを考えていくと,こんな半年ぐらいの議論ではなくて,相当に長い議論をしていって,つくっていくべきであろうとは思います.もうひとつ,ではこの治療研究事業がだめなのかというと,今までの議論の中でも,やはり世界に冠たるこういう研究事業できちっとしたデータが出てきたということも事実ですから,この治療研究事業というスタイルはやはり残すべきであろうと,個人的には思っています.治療研究事業というスタイルの中で,実際には医療給付をしているというところでギャップがあるので,他のところに無駄金が使われているとか,そういうことをいろいろとおっしゃいますけれども,やはり予算があって事業というのは動いていきますから,やはりそこは理解して戴きたいと思います.麦谷課長のほうからも言われましたけれども,国がどんどん,ここのところ毎年10%ずつ,数年間で予算を削減しても,都道府県の難病の医療費助成に関わる金額というのはどんどん膨らんでいるのです.東京都で言いますと,東京都単独の事業もございますが,それを差し引いて国事業だけのものでも50億です.国は全部で来年度予算はたしかこの事業は180億だと思います.東京都は人口が10分の1ですから,全国的に試算すると本当は500億で,スモン事業は国の補助金が10分の10と言っているから,本当はこの事業に国の配分としては55%ぐらい,都道府県にお金が下りてこなければいけないのに,実質は30%しか都道府県には下りてきていないというのは非常に問題なのです.都道府県にしても打ち出の小槌ではないですから,予算を組めないという現状がある.ぜひそこを理解して戴きたい,と.私ども都道府県のほうも,予算当局にかけあって必死でやっているわけです.ですけれども,もう,もたないというのが率直なところで,担当課だけの努力で予算が獲得できるような時期ではないのです.ですから,削減ありきではなくて,どうやっていい制度をつくっていくかということでこれを論議しているわけですから,やはり見直すべきところは見直し,つけるところはしっかりつけるというスタンスは大事ではないかと思うのですけれど.

小川委員長
 かなり核心的な部分のご発言だったと思いますが,患者さんのオブザーバーとして佐藤さん,どうぞ.

佐藤オブザーバー
 ここで私が参加するたびに,ずっと悩んでまいりましたのは,治療研究事業,調査研究事業をどうするかという前提で論議すると,予算措置であるということでぶつかってしまいますけれど,日々,私たちが患者の相談窓口として受けますと,患者が求めているものは特定疾患に認められても,今,中西先生がおっしゃったように,福祉の面が非常に多いわけです.そうしたら今度,来年,15年度から,障害者基本法が5年たって見直しに入るわけです.せっかく私は,前回の身体障害者から障害者基本法に変わるときに,難病を必死で訴えて,身体障害者と同等のものをやるという付帯決議をつけって戴きました.それを新10年計画の中に入れてもらうとか,福祉はそちらに入れて,それから議論する,それでここは治療研究はいかにあるべきか,と.福祉と分けて考えるとか,そういうふうに,今後の方針を明確にしていただくということなら,発言できるのですけれど,福祉と医療とごちゃごちゃになっていて,ではここの課から,たとえば厚生労働省の社会援護局に言ってくださるとか,公衆衛生局の上に言ってくださるとか,そうだったら話しやすいのですけれど,そのへんを少しご説明戴きたいと思います.

小池委員
 難病の定義というのは非常に難しい.難しいというのは,福祉的な要素を入れて,難病の患者さんへの福祉として,基本法の中で難病も障害者の福祉の対象として,というふうなことを言ったときに,本来,福祉というのは生活にいろいろ困難を抱えている人の支援というのが福祉なのです.そうすると,そこになぜ希少性がいるのかといったら関係ないのです.希少であろうと多くの患者さんのいるものであろうと,福祉的なニーズのある人に福祉のサービスというか支援をしていくというのは必要なことなので.ところがこういう治療研究とか調査研究という,要するに研究を進めるために,民間ではなかなか症例数が少ないと採算ベースに乗らないというか,そういうことでインセンティブが働かないものについて,行政というか国が手がけていく,いろんな形で予算を取って研究を進めていくというときに,その希少性ということが加わってくるのだろうと思うのです.だから,いったいこの難病を定義して,何をそこから政策的に進めようかということで,定義のあり方が違ってくると思うのです.

金澤委員
 こういう項目を検討することはきわめて大事だと思います.ただ,これを見ておりまして,私自身はそれぞれ定義を持っているのですが,難病研究,調査研究,治療研究の3つの区別がよくわからないのですが.私自身は調査研究と治療研究を分けているのですけれど,ただ一方で治療研究事業の中に調査研究も入っているようなことですし,そのあたりの区別をはっきりさせて戴きたいと思います.

名越補佐
 では,ここで用語の整理をさせて戴きたいと思います.難病対策全般の話をしているわけでございますけれども,現に難病というものはいっぱいありまして,その中で希少性,原因不明,効果的治療法未確立,生活面への長期にわたる支障を持っているものをとくに絞り込んで,まず研究の対象にしましょう,と.その研究の対象の中から,治療法の開発に向けて取り組むべき疾患ということで,46の疾患を選びまして,その中で治療研究事業ということで医療費の公費負担を行っております.そういう2層の構造になっておりまして,単に調査の研究対象としての難病,特定疾患として118の疾患が指定されているところでございます.用語といたしまして難病全般というものがありまして,その中でセレクトされた118の調査研究事業の疾患,さらにその中からより対策が必要な治療研究事業を行っているという構造でございます.

麦谷課長
 これはいかようにもできます.仕組み方も金額の増やし方も,それから先ほど言われた基礎と臨床といいますか,in viboとin vitroと言ってもいいのですけれど,いかようにもできますが,そこの境界,どこまでが基礎でどこまでが臨床かというのは当然,不分明ですから,逆に省庁縦割りで,あなたのところはここ,厚生労働省はこっちというのではなくて,もっと大きな目で,医学教育課をうちにもらえれば一貫しますので,そういうことも可能なのです.それは冗談ではなくて,そういうことも含めて取り組むべきだというふうに思っております.

02/05/23 第6回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会議事録
宮原補佐
 それでは事務局からご報告をさせていただきます.お手元に資料2として配布させていただいております「難病対策委員会アンケート」,これは前回の委員会でのご意見を元にアンケートの内容の表現等について補強を行いまして,最終的に委員長のご確認をいただき,各患者団体のほうに送付をさせていただいたものでございます.本日,参考ということで,最終的なものということでお手元のほうに配布させていただいております.それではそのアンケートに基づきまして,各団体にご協力をいただいたアンケート結果の集計の結果をご報告させていただきます. まず,アンケートにご協力をいただいた団体数としまして,前回の会議のご意見を元に本日ご参加いただいております全国規模の3団体のご協力をいただきまして,アンケート先を決めさせていただきました.加えまして,その後,幾つかの団体からも申し出がありましたので,それにつきましては合わせて追加をさせていただいているところでございます.現在のところ,集計の集まりましたそれぞれの団体,個別に集計をお願いしまして総数で73の患者の団体からご意見をいただいております.このアンケートの集計にあたりましては,それぞれ先ほどご説明しましたように,各患者団体ごとに集計をいただいたものを,こちらの事務局側で全体を集計させていただきました.それと各項目ごとにそれぞれ整理をいただいているところでございます.この場をお借りしまして,改めて各患者団体の方々のご協力に対しましてお礼を申し上げたいと思います.どうもありがとうございました.それでは早速集計結果の内容について簡単にご報告をさせていただきます.1枚めくっていただきまして,下のほうにページ1と書いてございますが,アンケート項目の1.対象疾患の選定方法についてでございます.これにつきましては,予め3つの案を例示をさせていただいておりまして,それ以外の案につきましては,その他ということで整理をさせていただいております.まず,Aの呈示した案につきまして簡単に内容をご説明します.対象疾患の考え方につきましては,現在の4つの要件を基本とする.既存の疾患については,定期的に見直しを行い,疾患の追加については予算の財源等の範囲内で追加をしていく,患者さんの一部負担につきましては,現状をそのまま維持するという意見が全体で18の団体からご回答をいただいております.Bの案につきましては,4つの要件を基本はそのままで,既存の疾患については現状をそのまま堅持すると,それと疾患の追加につきましては追加をしていく,一部負担については,予算の不足につきましては患者さんの負担ということで増加もあり得るという案でございます.回答をいただいた数は10ということになっております.Cの案につきましては,対象疾患の考え方につきましては4つの要件を基本に,既存の疾患については現状をそのまま維持,疾患の追加については追加をしないと,一部負担については現状維持ということで,回答ありました数は2つの団体でございます.上のAからC以外の案ということで,Dの中にいろいろな案を示させていただいております.4つの要件を基本という若干提示した案の少し変わった,一部が変更したもので,それぞれ追加的なコメントもいただいているものを事務局のほうで整理をさせていただきまして,その他の欄というところで整理をさせていただいております.1ページから2ページ,3ページというところで,項目1の全体の整理をさせていただいております.とりあえず1の検討項目につきましては以上でございます.

齋藤委員
 聞き逃したかもしれませんが,この回答を寄せられた団体の方が全部で70ぐらいでしょうか,その内訳が例えば現在治療研究の対象になっている疾患なのか,そうでないのかというそのへんの内訳はわかりますでしょうか.各回答枝ごとに.

宮原補佐
 ちょっとその集計はしてございませんが,73の団体の中には治療研究の対象になっている患者の団体のものもございますし,治療研究以外の調査研究を対象とさせていただいています疾患の患者の団体もございます.ちょっとそのへんの集計はしていませんのでこれは改めて集計しようと思います.

小川委員長
 よろしゅうございますか,治療あるいは調査の対象になっている疾患の患者さんの団体からの回答と,対象から外れている方々(団体)のご意見に分けて下さい.後者の御意見があまりうまく入っていない可能性がありますね.大変重要なご指摘です.

名越補佐
 予算が厳しいという前提で,アンケートを出すのをけしからんというご意見多々いただいたところでございまして,アンケート作成するにあたって敢えて予算的なところは苦しいというところ書かせていただいたわけですけれども,その説明部分につきましては,ややこのアンケート用紙上では不足していたかというふうに思いますけれども,この会議に注目していただいている皆様方におかれましては,これまでの議事録が公開されておりまして,その中で経緯が示されてございますので,そちらを参照していただければということで,今回アンケートのほうはやや記載を省略した形で出させていただいた次第であります.

宮原補佐
 はい.それで設定としましては,例示をしておりますのは,重症度の扱い・患者さんと所得との関係・一部負担の方法,追加等の意見につきましては,その他という形で整理をしております.Aのところは,重症者については,一般の方と同様に負担を願うし,所得に関係なく定額ということで例示をしています.これについては回答数は2でございます. Bのところは,同様に重症者の扱いにつきましても他の方と同様に負担をお願いし,所得に応じて定額の一部負担をお願いするというところで,10という回答をいただいております.Cにつきましては,重症度の扱いにつきましては一般の方と同様に,所得に関係なく低率でという例示でございます.これは回答は1でございます.Dにつきましては,重症者につきましては一部負担を免除いたしまして,所得に関係なく定額で一部負担をお願いする.これが9でございます.Eにつきましては,重症者につきましては一部負担を免除いたしまして,所得に応じて定額で一部負担をお願いするというところが,一応例示した中で一番数の多い15でございます.Fとしましては,重症者につきましては一部負担を免除いたしまして,所得に関係なく定率でというところの例示が意見を含むということでいただいております.Gにつきましては,その他ということで34の回答をいただいております.例示と似て少しそのへんに加わったものもございますし,幾つか意見をいただいている部分は個別にその他の欄ということで整理をさせていただいております.以上でございます.

伊藤氏(日本患者・家族団体協議会代表)
 些細なことですが,今宮原さんが同じじゃないかと言ったのですがこれ違うと思うのです.一部負担制度の廃止というのは,今ある特定疾患の中の一部負担について廃止ということで,全ての難病患者の医療費を無料へというのは,そうでなくて今,医療費公費負担になっている疾患以外のも無料にすべきだという意見だということで,この2つは似ているようだけれども一回り大きさというか視野が違うというふうに私たちは思うのですが.

小川委員長
 さあ,所得に応じて,所得に関係なくとか全部負担を解除してほしいというのは良く解るのですが,所得に応じてというとどういうことになるんですかね,この委員のところで述べられていますが,所得制を導入するにあたり手続の事務が繁雑にならないようにすべきだ,重症者,低所得者は軽減すべきとか,このへんで山本先生のご意見とか我々が,もう今まで公平感あるいは何か縛りをつけるとすれば,こういう縛りを検討しなければいけないということもディスカッションしましたね.この辺が入ってきているのですが.

山本委員
 なかなか難しい問題だと思いますけれど,所得ということをまた前面に出すとご本人なのか家族なのかを含めて非常に難しい問題になってくると思うのです.そのへんを一つディスカッションしなければいけないと,それと同時にやはり難病ではあるけれど,今ほとんど症状がない方で,普通に元気に仕事されている方が結構いらっしゃるわけです.そういう方と,それから難病に指定されていない類縁疾患でかなり重症の方がいらっしゃる.片やほとんど支障なく働いていらっしゃる方が全額負担を受けていて,そうでない難病類縁疾患の方が全く公費でカバーされてないということは,何かやはり矛盾を感じているということが事実だと思うのです.それをなんとか100%でないにしても,先ほどから言っている公平感の是正という意味では,それを少しでもイーブンにするような方向になんとかできないものかというのが一つの考え方だと思います.

佐藤氏(あせび会会長)
 アンケートに答える上で,私の考えたこと,非常に悩みましたことは今の所得なんでございます.所得ですと,ここにも書いてありますようにプライバシーという問題もありますけれど,もう一つ世帯単位でと考えるといった場合には,父親が病気で子どもが働いている場合に,むしろ大学に行かないで就職したという場合,その犠牲になった.犠牲という言葉はどうかちょっと問題がありますけれど,そんな家族も巻き込んで負担をするということになってしまうと思うのです.そのへんをどう考えるべきかということをアンケートに答える上で非常に考えました. 行政側が提示する所得制限とは,どういうことをもって所得というふうに見るのかその視点の問題のように思いました.たいてい所得の場合には,前年度の所得を提示することになりますから,病気になって収入が減って前年度の収入で申告するという形になるので,そのへんも所得制限導入を取り入れる場合にはご配慮というか考慮していただきたいと思いました.以上です.

小川委員長
 他に如何でしょうか.結局,佐藤さんなかなかうまく棒引きが難しいということですね.

佐藤氏
 よろしいですか,現実的な問題として今山本先生がおっしゃられたように,私のところにはボーダーラインの特定疾患に入っていない人がいらっしゃるわけです.片や働いて収入がある人,その人たちを抱えてますから,本当に公平な負担とは何かということ常に悩んで,難病対策がどうしていただいたら本当に平等になるのか,国民的な医療の中のなぜアンケートを読んでいたときに,ある疾患を最善のなんとかと,「最善」という言葉が1疾患についていたのを見まして,私はとても悲しく思ったのです.自分の病気だけを最善にしてくれという発想であったら,これから日本の医療の中で平等性はますます失われていって力関係で医療が決まってしまうのではないかと,私のところに集まっているように全国で30人とか50人とかいう数少ない人は,声が私がここに来て言わない限り絶対に反映しなくなってしまいます.ですからそういう点も,是非私は念頭に置いて山本先生がおっしゃられたような類縁疾患ですね,それを含めて今後の難病対策の一貫指定には配慮していただきたい.アンケートを書きながら痛切にそう思いました.一番最初にまず予算ありきの議論から入っていくと,非常にこれは消極的な回答になりませんし,じゃあ全体的に疾病対策課に何か言ってくれと言われると,私自身,今もう陳情する元気がなくなっている状況なので,疾病対策課に委員の先生方は,これから本当にもっと頑張ってほしいという,私たち当事者が出せない声を是非出していただきたいと感じました.

澤委員
 医師会の立場といたしましても,今の意見と全く同じでございます.最初から予算削減ありきでいくのは,本当に弱者の切り捨て以外なにものでもない.今の医療行政の非常に悪いところがでているわけで,それに対してここは,まあきちんと最後のところはいろいろなアイデアを考えるにしろ,あまり最初からここを削減してここを調整してというよりも,全体的にこのアンケートを基にして今日でているたたき台の中で,いかに新しいものの捉え方をしていくかということで逆に切られなくても済むということも考えていいのではないかと思うのです.それは,医師会としても声を大にして言っていきたい.

齋藤委員
 これは非常に難しい問題ですが,今澤委員のご意見に私も賛成なんですが,ただ予算が一定だということは無視できないわけでして,もし際限なくあれば限りなく手を広げて限りなく当然国としてやるべきだと思います.しかしそれはもう今の日本全体の経済状況から見てあり得ないことだと考えれば,この中だけでどんどん厚くすればそれ以外の人,外にいる人たちに対する不公平,不平等というのは必ずおきてくるわけですから,それをやはり前提として,私は予算が際限なくあるという考え方はやや現実的ではないと思うのです.

熊本氏(日本ALS協会全難連代表)
 私は今までの議論を伺っておりまして,2つだけ申し上げたいと思います.確かに予算に限界があるという問題は重要なファクターですので念頭に置く必要がございますが,例えば,今ここに1億円のお金があるといたします.この1億円を難病で苦しむ人たち全体にどういうふうに有効活用するかということで考えた時に,公平を保つためにはどうしても3億円お金が必要であると,2億円不足するというときに,3億円予算がたまらない限りは手をつけないでいるのかどうかという問題だと思います.難病患者の皆さんは大変毎日苦しみながら闘っているわけですから,今1億円しかない予算だとするならば,それをいかにどういうふうに有効活用するかということに知恵をといいますか,考え方を巡らすというのが一つだと思います.それからもう1点は,予算を取ってくるというお話がございました.確かに財務当局が国全体の懐を握っているわけですから,そういう予算交渉ということがあることは承知しておりますけれども,私はこの問題を解決していくためには以前にも申し上げたことがありますが,本当に国の予算の使い道としてムダがないのかどうか,そこが徹底的に検証されているのかどうかということも踏まえて,国全体の予算配分の在り方,国民の健康とか生命を守るということに対して,予算によってそのレベルが変わっていくというような状態は将来の日本にとってもゆゆしき問題だという認識を持っております. したがいまして,これは厚生労働省とりわけ疾病対策課さんがご苦労なさって予算を獲得するという話ではなくて,オールジャパンとかオール厚生労働省という観点で予算がどうあるべきなのかというところにスポットを当てないと,どこか財布の紐を握っているところに行って話をつけて予算を獲得するという話ではなくて,もう一歩踏み込んで国民全体の理解を得,国会全体の理解を得るような形でこの難病施策ということを展開していく方向になるのが望ましいですし,本筋ではないかと思っております.

宮原補佐
 それでは座ったままご説明させていただきます.項目3の特定疾患治療研究事業のあり方についてということで,例示としてましては,3つの例示とその他の意見ということで分けております.Aとしまして,医師からの研究の内容の説明をした上で,資料の活用については原則差し支えないというAの案が31.Bとしまして,医師からの研究内容の説明をした上で,患者さんの同意を得た上であれば資料として活用して差し支えないというのが32回答がございました.Cにつきましては,治療研究事業に参加する場合でも資料の提供はできないという形で例示をしました.これについては回答は1件もございませんでした.あとは3つの例示以外の案ということで,Dとして10の回答がございました.重複の回答もございますが,下のところに※印で主な意見としていただいたものを例示してございます.以上でございます.

宮原補佐
 それではご報告いたします.項目4の障害者プランに基づく「難病患者等居宅生活支援事業」のあり方についてということで,ここの項目につきましては,各患者団体のほうから自由記入ということでアンケートをお願いしたものでございます.この項目について回答をいただいた患者さんの団体については62団体,特段のコメントがなかった団体さんについては11ということになってございます.各それぞれいただいたご意見を事務局のほうの整理ということで幾つかのカテゴリーに分けさせていただきまして,7ページ,8ページにそれぞれ5つのカテゴリー,事業の対象範囲に関する事項,施設面に関する事項,ヘルパー等の人材面に関する事項,周知,広報といったことに関する事項,そしてそれ以外のその他の支援策といったことに関する事項ということで,大きく5つの分類にして整理をさせていただいております.それぞれの事項ごとに,特にご意見の多かったものについて一番上に整理をするという形で整理をさせていただいてございます.以上でございます.

小川委員長
 ありがとうございます.これは自由記入でお願いしたものでありまして,各項目の中でも付言として自由記入されているのですが,ここでは全体的に,その他として自由に記入して戴いたものです.よろしいですか,上のほうでいきますと,対象の拡大,所得制限,手続き等の緩和を図り,対象を拡げる方向でしかも利用しやすくすべきだと記されております.いろんなところに行って患者さんがいろんな書類を求め,呈示を求められたり,実際に困っている現場があるのだということは,中西委員がこの会でもかなり指摘されてきたと思います.次にある緊急時での対応が可能な施設の整備を増やすべき,あるいは各疾病に対するヘルパーの理解度,介護のレベルアップを図るべきとか,当然のご意見と受け止めます.このその他の項目も,基本的な答申案をまとめる上で十分考慮して,できるだけうまくくみ取ってあげて戴きたいと思います.よろしゅうございますか,それでは5番目のその他ですね,医療制度の中の難病対策や,難病事業に関連してお考えの点などがあれば示してください,これも自由記入ですね.

宮原補佐
 それでは簡単に事務局のほうからご報告させていただきます.項目5につきましては,アンケートの項目の最初のところも含めて,全体としてご意見をいただくというような趣旨で自由記入でお願いをしているものでございます.回答いただいた団体の数としまして65団体,特段のコメントのなかったものが8団体ということで,こちらにつきましても項目4と同様に,事務局側のほうで7つの項目に分けさせていただいております.対象疾患等の基準等に関する事項,施設等に関する事項,研究に関する事項,最後の10ページですが,専門医に関する事項,それとここは事項というかここだけ例示がございませんが難病対策の基本法の制定に関する事項,支援や救済策に関する事項,あとはそれ以外でその他という形で整理をさせていただいております.これも項目4と同様に,比較的意見の多かったものを集約した形で一番上に整理をするというような形でまとめさせていただいております.以上でございます.

金澤委員
 この「その他」を拝見しておりまして,大変驚いています.一番最初の1とか2に対するご意見とはちょっとまたニュアンスの違うお話がでてまいりまして,例えば軽度で働けるような人を対象から外すべきとか,重症度や何々は対象選定基準に考慮すべきとか,今までの全体としてのご意見とまたちょっと違うニュアンスがでております.佐藤さんのおっしゃるように,なんとか不公平感のないようにというお気持ちといいましょうか,お考えがいろいろでてきているように思いますが,これはその他の部分も団体としての統一ご意見ということでお書きになっているのですか.

名越補佐
 それではお手元の資料3の説明をさせていただきたいと思います.今後の難病対策の在り方(中間報告)骨子(案)ということでお手元に示してございます. 前回の第5回の会議の時に論点整理をしていただきまして,その時に分けられた各項目ごとに論点,今後のあり方,それからそれを補足する形の委員からの意見という形で1から5まで,合計5ページにわたってまとめさせていただいております. 順に説明をさせていただきますが,まず1.今後の難病(特定疾患)の定義ということでございますけれども,論点といたしまして,特定疾患の定義をどうしていくのか,これまで,「希少性,原因不明,効果的な治療法未確立,生活面への長期にわたる支障」の4要素を満たす疾患への対策として定着してきました特定疾患(難病)の今後の取扱いについて,ということでございます.今後の在り方,これが考え方の中心となるものであります.特定疾患の定義につきましては,これまでの4つの要素を継承していくと.それから「希少性」につきましては,平成9年3月に「特定疾患対策懇談会,特定疾患治療研究事業に関する対象疾患検討部会の中の報告」で出されました概ね5万人を一応の目安として今後も使用すると.これを補足するもの,もしくはこれに対する意見として並びで書かれるものといたしまして,(1)特別疾患を定義するにあたって,がん等の他の研究事業の対象となっている疾患と明確に区分する定義というのを行う必要があるという点.それから「希少性」については,「原因不明で治療法が未確立」との条件を満たし,希少でない疾患というのもありますけれども,いわゆる患者が少なくて研究者の目がなかなか向かない疾患に対して効率的な研究体制を構築するという趣旨に基づいて,原因の究明や治療法の開発に貢献してきたという点は評価できるのではないかという委員のご意見がありました.また,先ほど5万人を目安とするという話が出てまいりましたけれども,特定疾患に指定となったあと5万人を超えた疾患の取扱いについては別途定める必要があるという意見を委員からいただいております.続きまして2.今後の難病研究の在り方でございます.この部分の論点といたしましては,今後の研究の推進方策についてというものと,研究の評価を行うシステムの必要性についてという2つの点がございます.今後の在り方といたしましては,難病研究の在り方を明確にし,研究内容等について,大幅な充実を図る.今後も研究は推進していくべきだと,それから調査研究については,神経系・免疫系・血液系等のグループ分けを行って類縁疾患を網羅して研究対象を増加していく.その他,検討事項ということでございますけれども,重点研究,目的達成型で取り組むプロジェクト研究,患者を公募してする研究等の新たな研究の在り方と実施について検討していく.それからこれまで長らく研究班と患者会の間で良好な関係が保たれてきたわけですけれども,今後もそれを継続できる研究体制を維持していく. これに補足する,もしくは並べて記載する委員からの意見といたしましては,文部科学省との連携をとって,総合的な研究推進を図るべきである.研究の中身といたしまして,環境因子が,難病の発症予後に与える影響に関する研究への取り組みというのも望まれている.新たな研究に関しましては,新たな治療法の開発のための研究というのは,研究費の使い方というのものも一つ考えるべきではないかという意見がございました.それから研究班と患者さん,患者本人を結んでおります臨床調査個人票の内容を見直して,より有効に活用すべきであるという意見をいただいております. それから研究そのものの評価のシステムにつきましては,国内の大多数の患者さんを把握できる制度というのは大変貴重なものであり,これを維持していく.それから疾病ごとに研究の評価システムを再構築し,研究の進捗状況,罹患している患者の実態を把握するというシステムを今後作っていく.これが今後の在り方のところで示されております. 続きまして3の今後の治療研究事業の在り方の部分でございます.事業の性格付け,制度の安定化,一部自己負担のあり方という論点に対しまして,まず1つ目の事業の性格については,現在の治療研究事業を見直して研究推進を念頭に置いた考え方,患者の福祉を念頭に置いた考え方,それらを組み合わせた考え方,いずれかに整理する.従来の非制度的補助金の安定化につきましては,事業の性格を前述の通り整理を行った上で,疾患の特性,患者の重症度,患者の所得等を考慮し,事業を制度化する.それから3番目の論点につきまして,一部自己負担のあり方ですけれども,この事業の趣旨に合わせて見直していくと.それを補足する委員からの意見ですが,事業の性格については,希少疾患のうちの多くの患者さんに参加してもらうために,これまでの医療費助成というのが有効であった点というのも念頭に置く必要がある.それから治療研究事業対象外の疾患に対しての不公平感について配慮する必要があるのではないかという点.それから,難病の診療は本来ある程度高度な医療機関で行われるべきではないかという意見がございました. 事業の安定化に対しましては,重症度の設定というのが重要であるという意見があったほか,制度の安定の際に法制化についても検討すべきではないかという意見がございました.一部自己負担のあり方につきまして,現在の医療事情・医療保険事情に即した自己負担とすることを考えるべきでないかという点.それから患者の障害度を把握して,自己負担について検討すべきではないか,それから所得に応じた費用負担を検討すべきではないかという意見をいただいております.4の今後の研究対象疾患,治療研究対象疾患の選定の考え方でございますけれども,その選定方法についてそれから見直しの必要性について,それから現在の対象疾患の定義になじまない疾患についてというそれぞれの論点に対しまして,今後の在り方としては,個々の疾患を一番必要と思われる疾患を対象とするということ.それからその疾患の選定にあたりまして,対象疾患の整理それから対象疾患の入れ替えについても検討を行うと.さらに特定疾患の定義から判断して,対象外と思われる疾患につきしましては,これまでの経緯を尊重して,別の制度を設立し,受け皿を整備した上で移行することも検討の対象となるということです.今後の在り方といたしまして,これを補足する意見といたしましては,治療研究事業の対象疾患として,真に必要と思われる疾患の推進を図るべきという意見. それから見直しの必要性につきましては,各疾患ごとに疾患の実態と研究の成果について評価を行って入れ替え.それからほとんど症状の同じ類縁疾患の取扱いを考慮いたしまして,不公平感を生じさせないように配慮する.それから疾患の名称,分類も研究の進捗に合わせて現状に即したものに改める.治療研究の対象疾患から外れることで生じるデメリット,これにも留意する必要があるという点を補足,もしくは並列したところで書く必要がある.続きまして,5番目の今後の難病にかかる福祉施策の在り方でございますけれども,論点といたしまして,介護保険,障害者福祉施策等との効果的な連携を図って,利用者の利便性やサービスの効率性を配慮した福祉施策の在り方というのを今後まとめていかなければいけないのですけれども,今後の在り方ということで,治療研究事業の性格というのを踏まえた上で,これをサポートする事業といたしまして,患者の日常生活における自立状態を十分に勘案して福祉施策を検討する.その際,介護保険,障害者福祉施策との整合性も考慮する.変動する患者の重症度に応じたサービスの提供を考慮する.難病患者が制度を利用するにあたって,患者の利便性を考慮する.そういった福祉施策の在り方を検討していく.それから委員からの意見,これを補足するものと致しまして,身体的負担や経済的負担の軽減というのを考える.それから障害者基本法を念頭に,福祉のあり方を検討すべきである.患者のサービスにあたっては,市町村に窓口を一元化することも検討すべきという補足もしくは付け加えるべき意見というのが挙がっております.以上5つの項目に関しまして,論点ならびに今後の在り方というのを示しておりまして,あとこれに付随する委員からの意見,これを組み合わせまして中間報告の骨子とさせていただいております.以上でございます.

齋藤委員
 追加ではないのですが,今まで本委員会5回やりましてずいぶん議論されて明確になったと思うのですけれども,我が国のこの難病対策は非常に成果上げた一番の理由は,やはり組織的に研究を行ったということだと思うのです.したがってやはり私は調査研究事業というのは,ますます強化するというか充実するというかここにありますように,例えば類縁疾患も入れるとなればどんどん数も増えますので,是非それは予算をたくさん取っていただいて研究にもっと予算を投入していただきたいと思うのです.それが一番患者さんのために,またフィードバックされますし一番お金の使い方としては効果的だと思うのです.もちろん治療研究事業というのも必要ですし,それを通じて研究が進んできた面もありますのでそれも大事だと思うのですが,特に強調したいのは,調査研究事業を強化充実していただきたいということです.

澤委員
 治る,もしくは症状がとれることというのはやはり患者さんにとっては一番なんで,例えば今同じ厚生労働省の科学技術部会で「ヒト幹細胞を用いた臨床研究」に関する専門委員会のほうでも検討されています.たとえばバージャー病ですが,自己幹細胞移植で,非常に治癒効果が高くて,わが国でもすでに70―80例,治療としておこなわれているわけです.ヒト幹細胞専門委員会のほうでも,この治療法はもうすでに完成度の高い信頼できる治療法であるという認識をもってみています.今回これも1つ(3)の今中西先生がおっしゃったのと同じ意味かもしれませんが,どちらを重点的にやるのではなく研究をやる上においてはどちらも重要なの当たり前です.

金澤委員
 たぶん私がいないときに議論があったのではないかと思ってちょっと遠慮をしていたのですけれども,本来,法制化と申しましょうか,難病の方々を救う対策の基本法があってしかるべきだと前々から思っていたので,いないときにそういう議論があったら残念だなと思っていたのです. 私は例えば結核にしろ何にしろ,ある疾患に対してどうしても国でサポートしなければいけないことというのは当然でてくるわけでありまして,やはり難病はその際たるものではないかと思っていました.現実に,疾病対策課の方々もそういう国としての本当の制度化されたサポートがあれば,ルールがあれば非常にやっていただきやすいと思いますし,今までの議論を知らなかったので遠慮していたのですが,是非それは議論していただきたいと思います.

小池委員
 多少5番とも絡んでくるのですけれども,基本法というのは今障害者基本法や環境基本法といっぱいあるのですが,基本法が基本的にはあまり国民の権利義務みたいなものを明確に書かない,努力義務とそれからいろんな国としての方針のようなものを書くもので,もちろんあるにこしたことはないのですが,それだけで難病の患者さんの福祉がきちっと制度として明確になるというものではないのです.そのためのまた別途法律というのは必要になってくると思うのです.今までできなかったやっぱり一番大きな定義というのは,難病の定義が非常に難しいというところにあったのだと思うのです.特に公費負担というのは医療費の保障というのは多くの場合医療保険という制度で国民総てに対して,負担能力の低い人には高額療養費制度とかそういうのがあって,通常の国民であるととりあえずその保険の中で負担できる範囲内での仕組みというのは医療保障として,少なくとも医療費の保障としては仕組みができていてその上でさらに公費負担医療という形でやるのは,これは政策医療なのです.一定の政策目的を達成するために全額を保険外で見る場合もありますし,それから保険の残り分を見る場合があるわけですけれども,例えば原爆の医療などは国に責任があるということで全額国費で見ているわけです.そういうものがあったり,精神障害者の措置入院などは,最初は社会防衛という結核などもそうですが,本人の意向に関わらず社会を守るためにということで入れるからということで公費優先であったのですが,だんだんそれだけではない本人の治療ということも大きな要因であるということで,保険優先に変わっていったとかいろんな歴史があるわけです.いずれにしても一般的な医療費の保障の上に政策医療として政策目的があるのですが,この治療研究は政策目的としておそらくいろんな要因があったと思うのですが,もっと戦略的にとにかく原因がわからない治療法もわからない疾病を,戦略的にというか重点的に治療方法とか原因究明に力を注いでいくという意味で,そういう症例を集めるということがあったのだと思うのですが,それが現実には非常に負担軽減で,私も自分が難病の患者であったらと思うと,こういう医療費の経済負担は公費負担で医療負担を軽減してもらえるというのはすごいたぶんありがたいと思うし,ですけれどもただ公費負担のという政策医療の目的からいくと,どんどん患者数が増えていってさっき言ったほとんど普通の生活,少なくとも薬とかちゃんと飲んでいれば生活できるような場合でも,いったん公費負担の対象になるとはずせないという状況が生まれてくるとなかなか本来の政策医療の目的以外にというか,そこに投入できないでどんどん医療費が膨らんでいくということでいいのかなという感じがするので,いずれにしても公費負担の在り方というのはなかなか難しいのですが,その他の福祉サービスについては,障害者基本法ができた時に自閉とか難病の患者さんも障害者と同じようなサービスが必要だというふうになっているので,障害者基本法をもう少し難病も含めたものに改正するか,別途基本法を作ることに別に異を唱えるわけではないのですが,それ以外に福祉サービスについてはとにかく同じような生活上の困難のニーズがあれば受けられるような仕組みを作るべきで,そういうものは今福祉の分野というのは全部在宅の福祉サービスというのはいろんな形で市町村に権限を持たせて進めていくとなっているので,そういう方向で福祉的なニーズ,ホームヘルプサービスとかそういうものがきちっと受けられるような仕組みを制度としてきちっと作るべきだとは思います.以上です.

小川委員長
 わかりました.ちょっと議論が交差しましたが,整理しますと重症度の基準が各疾患群によって違うと,そしてそれをある程度横断的に見るスコア化をするというか,整合性を持たせて福祉の既存の制度とマッチするような仕組みを考える機構を作るべきだというようなことを提言として入れたらどうかということですが,如何ですか.

澤委員
 いや,委員長(1)のAが要するに政策医療ですね,疾患に対して今までどおりの研究体制重視していくやり方,Bが患者の福祉を念頭においた考え方,いずれかを整理する必要があるということは,Bというのは,これは法制化も含めた患者の福祉を念頭に置いたというふうにとったのですが違うのですか.

伊藤氏
 最後一言だけというかお願いをしておきたいと思います.ここであります介護保険,障害者福祉施策との整合性というのがありますが,この整合性という場合十分気をつけないと,例えば重い病気で身体障害者手帳の1級,2級に該当するような人であれば例えば医療費でもそちらで見ることができるわけです.それと医療費でそちらイコールそのまま特定疾患の登録しないと研究の対象にならなくなってくる,これはこの制度の当初の頃ずいぶん見られたことでして,そういう意味での整合性という捉え方だけをしていきますと,逆にこの対策から外してしまうことになりかねませんので,むしろ充実とか更に上積みして,今中西先生おっしゃったように,従来の制度で不足な分を上積みしてできるというような捉え方でここのところを考えていただければと思います.それから市町村の窓口の一元化についても若干注意をしていただきたいのは,人口の少ない市町村ですとプライバシーの保持に非常に難しい,勤めている人も行く人もみんな顔を見ただけでどこの誰かわかってしまうという町では,そのことによって実際あるのですがいろんな福祉の制度も利用しに行かない,それはなぜかというとみんな知っている人だからというようなこともありますので,そこのところも十分に配慮しなければいけないちょっと難しいのです.保健所は遠くになっているし,市町村は逆に近すぎるしというところでもしもそうされるのでしたら慎重にというところがあるかと思います.それから法制化の問題につきましては,小池先生がおっしゃったように基本法というのは一つ理念法に過ぎませんから,実際に法制化する,実際に福祉に役立てるのだったらこの基本法を作って良いとするのではなく具体的な法律が必要ですが,それをやるぐらいでしたら今の障害者基本法をきっちりと実行する,そして障害者福祉施策に難病患者も入れるような改善をしていくというほうがより現実的ではないかということと,生活面では年金のことに触れないとどうしても一見健康に見えていて仕事ができない難病患者というのは,収入の手段がなくなって,これはむしろ外見から判断する今の障害年金や障害福祉法の谷間にあるわけですから,そこのところも同時に考慮しないとまずいのではないかということと,それをなぜ言うかというとむしろ軽度の人は逆に苦しい面もあるわけです.重度の人ももちろん大変ですが,障害や病気さまざま持ちながら働かなければならない,家庭も維持しなければいけない,周囲から理解されない,更に制度からも外されるそしてなんの福祉の制度も利用できないということであれば,従来の様々な不幸な事件の経過から見れば非常に症状の重い方よりもむしろ軽度というか,非常に中途半端で理解がされない支援の手が差し伸べられない層に様々な悲劇が起きておりますので,そういう面からもこれは慎重に配慮していただきたいということをお願いしたいと思います.

小川委員長
 今日患者さんの現場の声がアンケートで示され,それを礎に委員の方々から活発な御討議を戴きました.それらを踏まえて,最後に一言凄いことを付け加えてしまいますが,むしろこの予算ありてというよりは,予算を更に前向きに考えて頂きたい.この制度,せっかく我々が行ってきた厚生労働省の難病研究班事業,世界的にも先駆的なこの事業を再整備して,より積極的にこの制度の運用をしていくためにむしろ予算を増やしてやっていきたいというような印象を受けました.この次までに先生方も何かそのようなことも頭に入れながら6月の会議宜敷く御提言・御討論の程,お願いいたします.以上でございます.

20020731 第7回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会議事録

事務局
 それでは資料1の説明をさせていただきます.今後の難病対策の在り方,中間報告(案)という形で,現時点で事務局の方と各委員の先生方とやりとりをする中で資料1の方をまとめさせていただいております.報告書の概要について簡単に説明をさせていただきます. 表紙をめくっていただきまして,まず1頁目に「はじめに」,それから1として「難病対策の現状」,2頁目に「今後の特定疾患研究の在り方について」,そして3頁目に3で「今後の治療研究事業のあり方について」(費用負担を含む),それから4番目に「今後の特定疾患の定義と治療研究事業対象疾患の選定の考え方」とあります.骨子案の段階では特定疾患の定義が一番最初にありましたが,文章の構成上4の方に移しております.それから6頁ですが,5番目に「今後の難病に係る福祉施策の在り方について」,そして最後の章,6番目に「今後について」という形で各章の項目だてをしております.概ね前回お示しした骨子案の項目を使う形になっております.一部修正がございます.8頁目以降ですが,参考資料として難病対策委員会の方で検討をしていく中でいくつか示させていただいた資料,それから追加をしてみていただいた方がよろしいのではないかと思われる資料につきまして添付しております.具体的には8頁目に難病対策の概要,9頁目に平成14年度の特定疾患対策研究の研究班の一覧を載せております.それから10頁目に特定疾患対策研究事業の対象疾患,11頁目に特定疾患治療研究の対象疾患一覧,12頁目に特定疾患医療受給者数交付件数の推移,16頁目に特定疾患治療研究事業予算額の推移,続きまして17頁に特定疾患治療研究事業の各対象疾患の現状ということで,これはこれまでの会議の中でお示しした研究班からいただいた各疾患の現状についての資料をお示ししております.それから18頁目に特定疾患治療研究事業をとりまく事業ですが,難病特別対策推進事業の概要,同じく19頁目には難病患者等居宅生活支援事業の概要という資料を添付させていただいております.また議論の際に必要な際にはお目通しいただければと思います.それでは続きまして本文について簡単に説明をさせていただきます.まず1頁目でございます.「はじめに」ですが,本委員会にお集まりいただいた経緯につきまして簡単にふれた後,この中間報告のとりまとめについてふれております.続きまして「難病対策の現状」でございますが,これまでに厚生労働省の方が進めてまいりました難病関連事業の紹介と経緯につきまして簡単に御紹介させていただきまして,事業以来30年を経過し,状況が大きく変わってきたことから,事業のあり方を検討することが必要ということで,今回の検討の必要性についてふれております.続きまして2頁目ですが,「今後の特定疾患研究の在り方について」ということで,これは治療研究事業のみならず,いわゆる難病という括りになっておりますが,特定疾患の研究そのものの今後の在り方についてこの章で述べております.(1)の「今後の特定疾患研究の推進方策について」でございますが,対策研究事業,これは特定疾患対策研究事業,厚生科学研究でやっております事業,それから治療研究事業,これは特定疾患治療研究事業のことでございますが,この研究の推進の結果,多くの特定疾患で大幅な予後の改善がみられているが,一方で完全に克服されたという評価がなされた疾患が存在しないのも事実であり,さらなる研究の推進が求められる. 今後の特定疾患研究については,個別の疾患の克服を目指し,治療法の確立や予後の改善等,明確な目標を設定した上で大幅な充実を図ることが必要である.ここでこれまでの特定疾患対策研究事業などの評価もありますが,個別の疾患についての明確な目標を設定した上で,これを達成するための研究,これを充実させる必要があるということについて述べております.さらに検討すべき内容といたしまして,目的達成型で取り組むプロジェクト研究や,患者公募の治療研究など,検討すべきであるということにふれております. また,特定疾患研究事業のみならず,厚生科学研究には,免疫アレルギーやこころの健康科学等の研究事業がございますが,こうした他の研究事業の成果についても適切に把握,活用して,効率的な研究の推進が図られるよう配慮すべきとされております. 現在の研究の対象について次にふれておりますが,選定されている特定疾患の類縁疾患でありながら,特定疾患となっていなかった疾患や,特定疾患の条件を満たす新たな疾患についても,今後,可能な限り網羅して研究が進められるよう柔軟な対象疾患の設定を行うとともに,新たな研究課題として環境因子が疾患の発症や予後に与える影響等,最新の知見をふまえ,その研究の対象を適宜設定していくことが求められているということが示されております.その他,臨床調査個人票といいまして,特定疾患治療研究事業で得られる患者さんからいただくデータ,これの活用,そしてこれまで長年研究班が活動する中で培われてきました患者団体との関係についてふれております.続きまして(2)ですが,「研究の推進と成果の評価について」でございます.厚生科学研究でやっております対策研究事業につきましては,厚生科学研究として評価というのが行われておりますが,治療研究事業の評価に関しては,特定疾患対策研究の厚生科学研究の方の評価結果から間接的に判断せざるを得なかったという現実がございまして,今後は特定疾患対策の観点から,疾患ごとに研究の進捗状況,治療成績,罹患している患者の実態に関する評価システムを構築し,治療研究事業の成果の定量的な評価を行うことが必要である.続きまして3頁目ですが,今後の治療研究事業,特定疾患治療研究事業の在り方についてここでふれさせていただいております.まず?事業の性格についてでございますが,治療研究事業は,これまで医療費助成を行うことで極めて患者数の少ない疾患について多くの症例を確保して,一方の対策研究とあいまって研究の推進に非常に効果的であったという指摘がある.一方で本事業の対象疾患と同様に非常に困難な疾患,特定疾患治療研究事業の対象外の疾患に罹患している患者からは不公平感がぬぐえていないという指摘もございます.一般に医療につきましては,国民の皆保険制度の下,原則的に全国民が対象となって疾病の区別なく一定の負担と給付を行う公的医療保険制度が整えられておりますが,さらに高額療養費制度などの経済的な負担についても配慮を行って施策を行っているという現状があります.医療費の公費負担を行う制度というのは,医療保険制度の上にさらに上乗せをして行うものでありまして,たとえば福祉施策としての「生活保護」,「更生医療」,「療育医療」,「育成医療」や精神や結核の「措置入院」などがありますが,「治療研究事業」いうのは,患者の医療費負担の軽減という福祉的な側面はありますが,主たる目的は難治性の疾患を克服するための研究体制の整備にあり,2の「今後の特定疾患対策研究の在り方」についてに示したように,特定疾患の治療成績は年々向上しているものの,未だ研究推進の必要性を残していることや,新たな難治性疾患に対して同様な対応を行う必要があることを考えると,今後も研究事業としての性格を維持した上で,事業の性格づけを行うことが適当である.それをふまえて特定疾患を対象に医療費の公費負担を行う事業としてのあり方を明確に整理する必要がある.そういう議論がこの委員会の中であったということでここに示しております.あわせて前述の「研究の在り方」の方で示しております通り,研究事業としての明確な目標の設定,事業評価というものを行っていくことも必要とあります.なお,治療研究事業に行う診療,主にこれは診断を指しているのですが,対象疾患の性質に鑑み,ある程度の医療技術を要する医療機関で行われるべきではないかという意見があったので,ここで追加して記載をしております.続きまして(2)の制度の安定化と自己負担のあり方についてということでございますが,現在の治療研究事業は,国及び都道府県の厳しい財政状況や医療保険制度全体の見直しの中で,制度の適正化や安定化が急がれているところでございますが,今後の事業の再構築に当たっては,事業の性格の見直しに併せまして,疾患の特定,患者の重症度,患者の経済的側面等を考慮し,一部負担の考え方,それから効果的な事業実施の方法についても整理する必要がある.また,治療研究事業を含む難病対策の安定化に向けて,法制化についてもこの委員会で御議論がなされていたところでありますが,これについては法制化によって特定疾患対策の根拠が明確化するという長所が指摘されている一方で,法制化によって制度の柔軟性が失われてしまうのではないかという意見もありまして,賛否両論があったということで,今後も継続した検討が必要であるということで,こちらをまとめております. 続きまして4の「今後の特定疾患の定義と治療研究事業対象疾患の選定の考え方」でありますが,まず特定疾患の定義につきましては,従来症例が比較的少ないために全国的な規模で研究を行わなければ対策が進まない原因不明,効果的な治療法未確立,生活面への長期にわたる支障という,この4つの要素を満たす疾患の中から,原因究明の困難性,難治度,重症度及び患者数等を総合的に勘案し,特定疾患対策懇談会において総合的な意見をふまえて決定されているところでございますが,これまでの研究成果,実績等をふまえまして,これまで患者数が少ないために研究体制の構築が困難な難治性疾患に重点した特定疾患対策が疾患の原因究明や治療法開発に貢献してきたことというのが評価に値するものという御意見もありまして,今後の難病対策を考える上でも難治性疾患の原因や治療法の開発に関する施策,特定疾患対策に関しては上記(1)〜(4),先程の4要件でございますが,これを基本的に継続していくのが適当ではないかという意見をいただいております.それから関連する難病特別対策推進事業や難病患者等,居宅生活支援事業等の施策につきましては,今後も引き続き特定疾患を中心に対象疾患を選定することが必要であるというふうにされております.一つ,話題となりました希少性,患者数が比較的少ないという要件につきましては,平成9年の特定疾患対策懇談会の特定疾患治療研究事業に関する対象疾患検討部会報告において,患者数が概ね5万人未満を目安とすることが適当という考え方が示されておりますが,重点的効率的な研究への投資の観点から,これを引き続き基本として難病特定疾患の対象疾患の選定を行うことが適当であるという議論があったということでございます.なお,5万人につきましては,選定を行う時の目安ということでございますが,対象となったあとで患者数が5万人を上回った疾患や,特定疾患に指定された当時と比較して治療成績等の面で大きく状況が変化したと考えられる疾患については,当該疾患に対する治療成績をはじめ,患者の療養環境の改善等,総合的な観点から引き続き特定疾患として取り扱うことが適当かどうかについて,再評価を行うことが必要になるのではないかという意見がありまして,これについても検討する必要があるということでございます.続きまして(2)ですが,「治療研究事業の対象疾患(対象者)の選定方法について」でございますが,委員の先生方はすでにご承知の通り,上記の特定疾患の選定基準をもとに,原因究明の困難性,難治度,重症度及び患者数等を総合的に勘案し,特定疾患対策懇談会の意見をふまえて,現在45疾患が対象となっているところでありますが,治療研究事業につきましては,前述した通り,患者の医療費負担の軽減として福祉的な側面を有するものであるが,その主たる目的は難治性の疾患を克服するための研究事業の整備にあるということから,今後の対象疾患の選定にあたっては研究の効率的な推進というものも考えなければいけない.さらにこの非常に難しい疾患から,だんだん治療研究が進んでいって,最後にどうなるかということについて議論があったということをふまえて,ここに示しておるわけですが,いかに難治性疾患といっても,研究の進捗に伴い原因の解明や有効な治療法が開発され,最終的には一般的な医療の範疇に移行していくということが考えられるわけですが,現行の対象疾患についても,これまでの研究の成果等をふまえ,個々の疾患について,疾患そのものの概念,原因,治療法,患者のQOL等の観点で検証を行い,治療研究事業の対象とする必要性が著しく減ったと考えられるものについては,特定疾患たる要件において相当の改善が見られる等,本来の目的を達成したものというふうに考えられるのではないかということで,そうしたものについてはこれまでの治療研究事業とは違った考え方に基づく事業に移行してもいいのではないかという意見があったということを示させていただいております.なお,その際に治療研究事業という事業の対象からはずれることによって,また別制度に移行することによって,治療研究事業以外の福祉的事業の対象からも同時にはずれるといったサービスの低下が生じないような配慮が必要であるという指摘も同時にあったということでここに示させていただいております.また,特定疾患の要件を踏まえると,原因者が明確な健康被害に関する疾患につきましては,治療研究事業の対象外としてこれまでも整理されるという意見が出たところでありますが,その疾患なりの経緯を尊重いたしまして,目的を明確化した別の制度を確保し,患者に対するサービスの低下が生じないよう,目的を明確化した別の制度を確保して,これに移行するということも検討する必要があるのではないかということでございます. 特定疾患治療研究事業の部分につきましては概ねここまででございまして,続きましてなかなか今回の委員会の中では議論に至らなかった部分でございますが,「今後の難病に係る福祉施策のあり方について」ということで,第5章を起こさせていただいております.今後の難病に係る福祉施策のあり方に関する議論は必ずしも十分といえなかったために,今後,最終的な報告書をまとめるまでには委員会においてさらに十分な議論を尽くす必要があるでしょう.今回の中間報告の段階ではまとめられる部分には限りがありまして,今後の検討に向けた論点整理をさせていただくに止めることとさせていただく. 論点整理の主な柱といたしましては3つありまして,難病対策の一環として福祉施策を考える際に,介護保険制度や障害者基本計画,障害者プラン等の整合性に留意した施策について検討を行う必要がある.それから申請窓口の一本化等,利用者の利便性やサービスの効率性について配慮した福祉施策のあり方について検討を行う必要がある.それから難病の患者さんというのは変動する重症度という特徴がありまして,こういったものに十分留意した福祉政策というのを検討する必要がある.この3点につきましては中間報告をまとめていただいた以後,継続してまたこの委員会の中で検討していただかなければいけないということでございますが,こちらにまとめさせていただいております.それから「今後について」でございますが,本中間報告をとりまとめたとなっておりますが,これはまだ会議を経ないとこういうことは書けないわけでございまして,無事にとりまとめられた時にこの部分が実行に移るという形になると思いますが,委員会の中間報告につきましては,これがとりまとめられて各方面に出された後,積極的な御意見をいただいた上で,まだ専門的な立場をお願いしていきたい.また,この中間報告を踏まえて,行政についても可及的速やかに対応,可能な項目について取り組むようにという内容を示していただきまして,今後,この委員会の報告につきましては,この上の親委員会でございます厚生科学審議会疾病対策部会の方に中間報告の方を一旦ご報告しなければいけないかということがございまして,あわせてここに示させていただいている次第であります.本報告書の概要につきましては以上でございます.

木村委員
 3頁目の(1)の下から6行目で,医療費の公費負担を行う事業としての考え方も明確に整理する必要があるというところに一つのことを加えていただきたいと思います.それは地方公共団体の超過負担なんですが,私は先生方と違って専門が社会保障と財政なんです.国も地方も大きな流れでいいますと財政赤字で大変なことは大変なんですが,いま現状の足元を見て,この制度がどういったところの踏ん張りで維持されているかというと,地方公共団体の踏ん張りである.どういうことかと申し上げます.患者さんの自己負担を軽減するための補助制度というのがありますが,あれは国と地方の2分の1ずつで負担されることになっておりますが,これが研究のための補助金というので出てますし,シーリングの対象になりますので,国の方は年々削られてまいります.国の方が削られてきたところで,その制度を実施している自治体というのは実際の患者さんたちを抱えているわけですし,それを削ることなんてというのは到底できません. それで国が大体本来来るべきである,いま7割ぐらいしか来ていないんですが,その分は地方が超過負担ということでもっていて,大体80億ぐらいになるんじゃないかと言われています.性格が曖昧なために,そういうしわ寄せのようなものが自治体に来ているわけで,私はその事実というものもここにぜひ書き込んでいただきたいと思います.

中西委員
 やはり何回も言うようですが,患者さんの数だけではなくて,今回も健康保険法の関連法案が国会を通過しましたが,医療保険の改正に伴うことによる財政的な困難というのは非常に大きいんですね.もう来年は自己負担の額が一般の方々は非常に多くなりますが,そこを公費で見てますから,もう老人保険にしても,社会保険の本人が2割から3割になるという現状,全部公費にはね返ってきますので,ぜひ入れていただいて,逆に言えば報告書に書いていただいて,ぜひ財政当局と疾病対策課はやりあって,その分きちんと財政的な裏付けをしていただきたいと地方自治体は思っております.以上です.

事務局(麦谷)
 地方自治体に超過負担があるということ,ここは御指摘はその通りなんで,それはいいのですが,医療保険による負担というのは,おっしゃる通り医療保険で3割負担になるとこの予算が増えます.かなり増えます.何十億という金額です.おっしゃる通りなんですが,これは保険予算でやってますので,医療保険というのは全体にかかってますから,そうするとじゃあどうしようと言われると,難病だけ医療保険からはずしてくれといっても,別制度にしないとダメですから.

中西委員
 性格は不明確じゃないんですよ.要するに国としては治療研究事業という研究事業に位置づけて公費負担をしているから,シーリングがかかっておりますよということなんですよね.一方,地方ではそうじゃないよということなんですけども,いままでやはり私も本田先生と同じで,前半の部分,地方自治体においては多額の超過負担を余儀なくされている状況というのは明確にここに書いていただきたいけれども,それと事業の位置づけの不明確さ云々というのは連動させない方がいいのかな,実態だけを書いていただいておけばいいのかなと思っておりますが.

中西委員
 日本語をどう直すかですが,やっぱり最初のところ,現在の治療研究事業は国及び都道府県の厳しい財政状況や医療保険制度全体の見直し云々のあたりに,先程のところを何とか日本語でうまくつなげたいなと思います.いますぐは言えませんが.やっぱり最初の財政状況等,この事業の性格で,財源的には本当に確保が急務だよということですね,いまの現状のままでは.そこをとにかくほり込んでいただきたい.

小池委員
 ここは本当に難しい部分ですし,議論も十分ではなかったので,これでいいと思うんですが,問題は,非常に難しいというのは,これは福祉というのはやっぱり生活の困難に対してどういうふうにいろんなサービスを提供していくかということなんですけれども,身障法の障害の定義というのが,いまどちらかというと機能障害という,医学的判断を中心に障害の程度みたいなものが認定されていて,もともとは,しかも症状固定という,疾病から後遺症が残って,その症状が固定した段階で障害というふうに認定するというふうになったんですが,これはだんだん変わってきて,内部障害なんかが入ってきたことによって,病気を持ちながらでも生活の困難のある場合には身体障害者として認定するという,これはさらに免疫不全なんかも入ってくるという形できて,本来はここの中できちっと難病であっても,その病気で指定するのではなくて,生活の困難度で障害を認定するというふうな仕組みができれば一番いいんですけれども,そうすると本当にもっと公平な制度になっていくと思うんですが,これは正直言いまして大変な作業です.いまの障害の程度の等級とか見直して.ただ,世界の潮流で見ると,日本はどちらかというとそういう医学的判断が中心になっていて,アメリカなんかでは一時的な障害であっても,障害があって生活の困難があればいろんなサービスが受けられるというふうな仕組みになったりしているので,本当はそういうふうにしないとなかなか公平な制度ができなくて難しいと思うんですが,これは本当に厚生労働省の中で,ここの難病対策をやっている課だけで取り組める問題でもないので,本当に障害の部分も含めて,きちっといずれかの時点ではしないとダメなんです.それでないと本当に手帳を貰えるかどうか,身体障害になるかならないかで大きな年金が出たり,手当てが出たり,それから税金の控除もあったりという,それが認定を受けられないとそういうサービスがまさに谷間というふうな状況が生まれるので,その辺は本当に取り組んでほしいと思うんですが,これはそう簡単な話ではないということです. それと公費負担の問題も議論に出た,研究という,本当に目的がはっきりしている,研究の推進ということですが,果たしている機能はそうではなくて,経済負担の軽減が中心になっているわけですね.要するに目的と果たしている機能にすごいギャップがあるわけですね.だからここも本来研究費としてやるのなら,もっと戦略的にかなり治療方法の確立が見込められるころに重点的に配分するとかということが必要なんだろうと思うんですが,研究費といいながら実際に果たしている機能は経済負担への軽減で,そこはできるだけ負担軽減のレベルというのを維持していきたいということが働くものですから,なかなか正直いって,クリアな整備の仕方が難しくなってきているというふうなことで,これももう少し検討が必要なんですが,なかなか簡単ではないということを痛感しました.以上です.

中西委員
 私も小池委員と全く同じ意見で,前段の福祉施策のあり方なんですが,現場でやっぱり見てますと,やはりこの難病対策ではなく,むしろ身体障害の方の評価について非常に矛盾を感じておりまして,もうこの疾病対策だけではできることではないな,特に内部障害の方々の評価というのが,もうちょっと作り直した方がいいんじゃないかなというふうに感じておりますが,まあここでの議論では当然ないわけですが,そういうことから考えると,あと半年間この中間報告以後,そのあたりを若干検討しても,ここではなかなか結論は出せないんですよね.5番の(1)というのは.そういうことを思っております.

小川委員長
 わかりました.そうしたら中間報告ですし,ここはしかしそうはおっしゃるものの,語尾だけはきちっとしているんですよ.必要がある.とどめることとする.検討を行うこと.検討を行うこと.検討すること.なぜか最後が「すること」なんですが,行うことでも統一しちゃいますか.回答は出なくても,やはりこういう問題提起をこの委員会でしたということは大切なことなので,もしこの中で専門委員の方々がよろしいとおっしゃるのなら,これで一応中間報告ということにしたいと思います.

オブザーバー(伊藤)
 少し質問があるのですが,いま小川先生が検討をというところが,行うというふうにしたらどうかというお話がありましたが,これは検討とか,検討する必要があるとかとなっているのですが,役所の用語はわからないんですが,検討するとか検討する必要があるというのは,またこの委員会みたいなものが検討するということなんですか.それともどこで?.

オブザーバー(熊本)
 確認させていただきたいのですが,この委員会がスタートしましてから今日までの時間の経過の中で,たとえば民主党さんが難病対策について何らかの法制化ということを具体的に打ち出す,これは超党派で打ち出してくださって,いま検討をさらに深めているという状況が見えております.それから先般,自由民主党の議員連盟でもその難病対策委員連盟という形で,私ども難病患者会のヒアリングというようなことで,津島議員が会長になって動き出してくださっております.そういう変化といいますか,世の中の注目,関心が法制化ということに動いているように思うんですが,この中間報告では賛否両論があったという表現にとどまっているんですが,この辺について厚生労働省としてといいますか,私は先程中西委員他から御指摘のありました,やはりそのシーリングの対象になっているということは,法律というバックボーンがない,いわゆる義務であるとか,責務であるとか,そういうところが確たるものがない結果ではないかということを前にも申し上げたことがございますが,その辺について現時点でのお考えをお聞かせいただければと思います.

猿田委員
 議論ももう少し,不当だったらそうしなきゃあいけない.議論が尽くされてないということですね.

小川委員長
 尽くされてないということですね.だから法制化の可否について引き続き慎重に検討していきたいということ,そういうことですね.どの患者さんがどうのということはアレだけれども,もしそういうことだったら,そういうふうに・・・.よろしいですか.そうしたら事務局としてはそういうことでよろしいですか.

事務局
 例示のところを加えるという話がありましたが,過去の議事録等も見ながら,もしよろしければ委員長の指示で必要な修文をしたいというふうに考えております.

小川委員長
 はい,わかりました.それでは他にございませんか.大変重要な会で,答申でございますので,先生方の委員の方,あるいはオブザーバーの方の意見も十分取り入れて,あとで問題のないようにやりたいと思います.しかし,これはあくまでも中間報告ですので,これをもとに建設的な御意見をどんどん寄せていただきたいというのが大きな目的の一つです.よろしいですか.

20020823「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」
今後の難病対策の在り方について(中間報告)概要

1.今後の特定疾患研究の在り方について
 ◯特定疾患を克服するため,治療法の確立や予後の改善等,明確な目標を設定した上で,研究内容・研究体制の大幅な充実を図ることが必要.
 ◯疾患ごとに研究の進捗状況,治療成績,罹患している患者の実態に関する評価システムを構築し,研究成果についての定量的な評価の実施が必要.

2.今後の治療研究事業の在り方について(費用負担を含む)
 ◯治療研究事業は,今後も研究事業としての性格を維持することが適当.
 ◯研究事業としての明確な目標の設定と事業評価の実施が必要.
 ◯制度の適正化や安定化に向けて,疾患の特性,患者の重症度や経済的側面等を考慮するとともに,一部自己負担の考え方や事業規模等についても整理が必要.
 ◯法制化については,事業の根拠が明確となる長所や柔軟な制度の運営が阻害される短所等から賛否両論があり,今後も検討が必要.

3.今後の特定疾患の定義と治療研究対象疾患の選定の考え方
 ◯今後も(1)症例数が少ない,(2)原因不明,(3)効果的な治療法未確立,(4)生活面への長期にわたる支障(長期療養を必要とする)の4要素を維持することが適当.
 ◯研究対象とすることが必要な疾患を治療研究事業の対象とし,必要性が相対的に大きく減った疾患については,見直しを行うべきとの意見があった.
 ◯原因者が明確な健康被害に起因する疾患については,これまでの経緯を尊重して,目的を明確化した別の制度を確保するなど,患者に対するサービスの低下が生じないよう配慮の上,移行することを検討すべきとの意見があった.

4.今後の難病にかかる福祉施策の在り方について
 ◯今回の中間報告では最終報告に向けた論点整理を行うにとどめる.
(1)介護保険制度や,見直しに向けて検討が行われている「障害者基本計画」や「障害者プラン」との整合性を考慮した福祉施策の検討が必要.
(2)利用者の利便性やサービスの効率性にも配慮した福祉施策の在り方について検討が必要.
(3)難病患者の日常生活における自立状態や変動する患者の重症度を十分に勘案した福祉施策の検討が必要.

厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員名簿

○ 小川 秀興  順天堂大学学長
  金澤 一郎  国立精神・神経センター神経研究所所長
  木村 陽子  総務省地方財政審議会委員
  小池 将文  川崎医療福祉大学医療福祉学科教授
  小泉  明  社団法人日本医師会副会長(平成14年3月まで)
  小堀鴎一郎  国立国際医療センター病院長
  齋藤 英彦  国立名古屋病院院長
  笹月 健彦  国立国際医療センター研究所所長
  猿田 享男  慶應義塾大学医学部教授
  澤 倫太郎  社団法人日本医師会常任理事(平成14年4月から)
  中西 好子  江東区保健所長
  本田 孔士  京都大学大学院医学研究科教授
  山本 一彦  東京大学医学部教授
五十音順(○印は委員長)
平成14年4月30日現在

厚生科学審議会疾病対策部会
難病対策委員会の開催状況

開催日時と主な議事内容
平成13年 9月19日(第1回)
・ 難病対策委員会の設置について
・ 難病対策の概要について
平成13年11月15日(第2回)
・ 難病対策の概要(過去の委員会等の報告内容及び対応状況)について
平成13年12月 7日(第3回)
・ 特定疾患治療研究事業対象疾患の現状に関するヒアリング
 * スモン
 * 全身性エリテマトーデス
 * 筋萎縮性側索硬化症
平成14年 1月21日(第4回)
・ 特定疾患治療研究事業対象疾患の現状に関するヒアリング
 * ベーチェット病
 * 脊髄小脳変性症
 * 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病)
平成14年 3月15日(第5回)  (論点の整理と討論)
平成14年 5月23日(第6回)
・ 今後の難病対策の在り方についての中間報告(素案)について
・ 難病対策委員会アンケート結果報告
平成14年 7月31日(第7回)
・ 今後の難病対策の在り方について(中間報告)(案)について

はじめに
 本委員会は,難病対策に関する専門的事項を調査審議することを目的として,平成13年9月に厚生科学審議会疾病対策部会内に設置され,難病対策の今後の在り方について,広く患者団体や研究班からの意見聴取を含め7回の審議を行ってきた.
 委員会においては,「難病対策の現状」,「今後の特定疾患研究の在り方」,「今後の特定疾患治療研究事業(以下,「治療研究事業」という.)の在り方」,「今後の特定疾患の定義と治療研究対象疾患の選定の考え方」,「今後の難病に係る福祉施策の在り方」の各々の項目について議論を行い,論点・課題の整理を行った.
 今般,これまでの検討結果を「今後の難病対策の在り方について(中間報告)」としてとりまとめたので報告する.

1.難病対策の現状
 難病対策については,平成7年12月に公衆衛生審議会成人病難病部会難病対策専門委員会において示された,(1)希少性,(2)原因不明,(3)効果的な治療法未確立,(4)生活面への長期にわたる支障(長期療養を必要とする),という4要素に基づく特定疾患を中心に,これまでに原因究明や治療方法の開発などを目指した厚生労働科学研究特定疾患対策研究事業※(以下,「対策研究事業」という.)及び治療研究事業,保健所を核とした地域における保健医療の推進及び保健医療と福祉の連携に基づく難病特別対策推進事業,患者及び家族の生活の質(QOL)の向上を目指した難病患者等居宅生活支援事業等の各施策が推進されてきたところである.
 難病対策の中で重要な役割を担ってきた治療研究事業については,治療が極めて困難であり,かつ,必要とする医療費も高額であることを考慮し,特定疾患に関する医療の確立と普及を目指すとともに,患者の医療費の負担軽減を図ることを目的に実施されてきたものであるが,事業発足以来30年を経過し,医療技術の進歩に伴い対象疾患の中に原因の解明が進んだものや一定の治療法が確立したものが生じてきているなど,事業を取り巻く環境が大きく変化してきており,今後の事業の在り方を検討する事が必要となっている.

※: 特定疾患対策研究事業は,昭和47年度に開始された特定疾患調査研究事業が平成11年度に厚生科学研究に編入された際に名称変更されたものである.

2.今後の特定疾患研究の在り方について
(1)今後の特定疾患研究の推進方策について
 これまで,わが国では対策研究事業と治療研究事業により,症例数の少ない疾患についての患者数確保などによる独自の研究を推進した結果,いくつかの特定疾患で,根治療法は確立されていないものの,その悪化を遷延させる効果的な治療薬剤や手術法が確立されるなど,大幅な予後の改善がみられており,十分に評価されるべき成果をあげてきた.一方でこうした疾患の患者の中にも,なお緩徐に進行する症例があり,また,原因の解明すら未確立の疾患が多く認識されているのも事実であり,さらなる研究の推進が求められている.
 また,最近の欧米での産・官・学を合わせたゲノムや創薬の動きを考えると,我が国においてもこれに対峙していくために,より高水準の研究体制を構築していくことが必要である.
 こうした状況の中,今後の特定疾患研究については,個別の疾患の克服を目指し,治療法の確立や予後の改善等,明確な目標を設定した上で,研究内容・推進体制ともに大幅な充実を図ることが必要である.
 その際,より効率的な研究成果を得るため,大型の研究費を投じて期間限定の目的達成型で取り組むプロジェクト研究や,患者を公募して実施する治療研究など,従来とは異なる形での研究の推進方策についても検討を行うべきである.
 また,こころの健康科学研究や免疫アレルギー予防・治療研究等,特定疾患研究以外の研究における成果についても適切に把握・活用し,効率的な研究の推進が図られるよう配慮すべきである.
 さらに,選定されている特定疾患の類縁疾患でありながら特定疾患となっていなかった疾患や,特定疾患の条件を満たす新たな疾患についても,今後,可能な限り網羅できるよう,柔軟な対象疾患の設定を行うとともに,環境因子が疾患の発症や予後に与える影響等,新たな研究課題に関しても最新の知見を踏まえ適宜設定していくことが求められている.
 なお,対策研究事業には,治療研究事業の臨床調査個人票の活用による国内の患者の動向把握という独特の研究内容が存在するが,今後もこの研究手法の改善を図りつつ,その特徴を生かした研究の推進が望まれる.今後の研究の企画に当たっては,これらを活用したゲノム研究と疫学研究の充実や,細胞バンクやDNAバンクなどの難病研究に必要な資源の確保・整備など,近年の疾病研究の方向性にも留意した検討が必要である.

 また,対策研究事業の研究班については,シンポジウムや学習会を通した交流により患者団体と良好な関係が得られているケースが多く存在し,本研究事業の特徴として特筆されるものであり,その活性化が望まれる.

(2)研究の推進と成果の評価について
 これまで,対策研究事業については,厚生労働科学研究の一事業として客観的な事前評価及び中間・事後評価が実施されてきたところであるが,治療研究事業の評価に関しては,対策研究事業の評価結果から間接的に判断せざるを得なかったところである.今後は,特定疾患対策の観点から,疾患ごとに研究の進捗状況,治療成績,罹患している患者の実態に関する評価システムを構築し,治療研究事業の成果の定量的な評価を行うことが必要である.

3.今後の治療研究事業の在り方について(費用負担を含む)
(1)事業の性格について
 治療研究事業は,医療費助成を行うことできわめて患者数の少ない疾患について多くの症例を得ることが可能となり,対策研究事業と相まって研究の推進に非常に効果的であったという指摘がある一方で,本事業の対象疾患と同様に経済的,精神的な負担を抱えるがん等の対象外の疾患に罹患している患者からは不公平感がぬぐえないという指摘もある.
 医療については,国民皆保険の下,原則全国民を対象として疾病の区別なく一定の負担と給付を行う公的医療保険制度が整えられている.また,医療保険制度においては,さらに高額療養費制度など経済的負担の軽減を図る施策も設けられている.医療費の公費負担を行う制度は,特定の政策的目的のために医療保険制度に上乗せを行うものであり,例えば福祉施策としての「生活保護における医療扶助」「更生医療」「療育医療」「育成医療」などが挙げられる.
 これに対し「治療研究事業」は,患者の医療費負担の軽減という福祉的な側面を持つものの,その主たる目的は難治性の疾患を克服するための研究体制の整備にある.「2.今後の特定疾患研究の在り方について」に示したように,特定疾患の治療成績は年々向上しているものの,未だに研究推進の必要性を残していることや,新たな難治性疾患に対して同様な対応を行う必要があることを踏まえれば,治療研究事業は,今後も研究事業としての性格を維持した上で,事業の性格付けを行うことが適当であるが,特定疾患を対象に医療費の公費負担を行う事業としての考え方も明確に整理する必要がある.併せて,前述の研究の在り方でも示したように,研究事業として明確な目標の設定を行うとともに事業評価も行っていくことが必要である.
 なお,治療研究事業における診断については,対象疾患の性質に鑑み,一定の高度な医療技術を擁する医療機関において行われる事が望ましいという意見があったので附記する.

(2)制度の安定化と自己負担の在り方について
 治療研究事業の対象疾患の数とともに,対象患者が増加の一途をたどる一方で,国の関連予算は平成13年度から削減されており,事業を実施する地方自治体においては多額の超過負担を余儀なくされている.こうした国及び都道府県の厳しい財政状況の中,平成14年度の医療制度改革による医療保険の一部負担増により,公費負担がさらに増加することが予測されていることから,本事業については制度の適正化や安定化が急務である.
 今後の事業の再構築に当たっては,事業の性格の見直しに併せて,疾患の特性,患者の重症度,患者の経済的側面等を考慮し,一部自己負担の考え方や効果的な事業実施の方法等についても整理する必要がある.
 また,治療研究事業を含む難病対策の安定化に向けて,法制化についても議論がなされたところであるが,これについては法制化により特定疾患対策の根拠が明確化するという長所が指摘される一方で,「難病」の定義が困難であるという意見や,法制化によって対象疾患や施策の固定化が生じ,柔軟な制度の運用ができなくなる可能性があるという意見もあるなど,賛否両論のあるところであり,今後も引き続きその必要性及び可能性を検討していくことが適当である.

4.今後の特定疾患の定義と治療研究事業対象疾患の選定の考え方
(1)特定疾患の定義について
 現在,特定疾患については,(1)症例が比較的少ないために全国的な規模で研究を行わなければ対策が進まない,(2)原因不明,(3)効果的な治療法未確立,(4)生活面への長期にわたる支障(長期療養を必要とする)の4要素を満たす疾患の中から,原因究明の困難性,難治度,重症度及び患者数等を総合的に勘案し,健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会における専門的な意見を踏まえて決定されており,神経,筋,血液,循環器,消化器,呼吸器,腎,皮膚,骨・運動器,感覚器などほとんどの医学の領域が網羅されている.
 平成14年7月現在,特定疾患としては,厚生労働科学研究の一分野である対策研究事業において118の対象疾患が選定され,約60の研究班において病態の解明や治療法の開発に関する研究が行われている.さらに,これらの特定疾患の中で,診断基準が一応確立している疾患の中から原因究明の困難性,難治度,重症度及び患者数等を総合的に勘案し,特定疾患対策懇談会の意見を踏まえて45疾患が順次選定され,研究とともに患者の医療費の負担軽減を行っている.

 なお,がん,脳卒中,虚血性心疾患,進行性筋ジストロフィー,重症心身障害,精神疾患などのように既に組織的な研究が行われているものについては,研究への効率的な投資の観点から本事業の対象から除外されている.

 これまで,患者数が少ないために研究体制の構築が困難な難治性疾患に重点化した特定疾患対策が,疾患の原因究明や治療法開発に貢献してきたことは評価に値するものであり,今後の難病対策を考える上でも,難治性疾患の原因解明や治療法の開発に関する施策に関しては,上記(1)〜(4)の要件を基本とすることが適当である.
 なお,難病特別対策推進事業や難病患者等居宅生活支援事業等の施策については,他の施策の対象となりにくい難治性疾患への福祉的事業という性格を勘案し,今後も引き続き特定疾患を中心に対象疾患を選定することが適当である.

 また,「希少性」の要件については,平成9年3月に出された「特定疾患対策懇談会 特定疾患治療研究事業に関する対象疾患検討部会報告」において,国内の患者数が概ね5万人未満を目安とすることが適当という考え方が示されているが,重点的・効率的な研究への投資の観点から引き続きこれを基本として対象疾患の選定を行うことが適当である.

 なお,対象となった後で患者数が5万人を上回った疾患や,特定疾患に指定された当時と比較して治療成績等の面で大きく状況が変化したと考えられる疾患については,当該疾患に対する治療成績をはじめ患者の療養環境の改善等総合的な観点から,引き続き特定疾患として取り扱うことが適当かどうか定期的に評価を行うことについて検討する必要がある.

(2)治療研究事業の対象疾患(対象者)の選定方法について
 治療研究事業対象疾患の選定方法については,平成9年3月に出された「特定疾患対策懇談会 特定疾患治療研究事業に関する対象疾患検討部会報告」においても具体的な基準の設定には至らなかったところであるが,上述のとおり,これまで,特定疾患の中で診断基準が一応確立しているものから原因究明の困難性,難治度,重症度及び患者数等を総合的に勘案し,特定疾患対策懇談会の意見を踏まえて45疾患を対象としている.
 治療研究事業については,3.(1)にも示したとおり,患者の医療費負担の軽減という福祉的な側面を有するものではあるが,その主たる目的は難治性の疾患を克服するための研究体制の整備にあることから,今後の対象の選定に当たっては研究の効率的な推進を念頭に実施する必要がある.
 なお,いかに難治性疾患といっても,研究の進捗に伴い原因の解明や有効な治療法が開発され,最終的には一般的な医療の範疇に移行していくと考えられることから,現行の対象疾患についても,これまでの研究の成果等を踏まえた評価が必要である.その際,個々の疾患について,疾患の概念,原因,診断法,治療法,患者のQOL等の観点で現状の検証を行い,治療研究事業の対象とする必要性が相対的に大きく減ったものについては,本来の目的を達成したものとして,疾患の特性,患者の重症度,患者の経済的側面等を考慮したこれまでの治療研究事業とは異なった考え方に基づく事業に移行するべきではないかという意見があった.なお,その際,治療研究事業から移行する疾患の患者が治療研究事業以外の福祉的事業の対象からも同時に外れるといったサービスの低下が生じないよう配慮が必要であるという指摘も同時にあった.
 また,特定疾患の要件を踏まえると,原因者が明確な健康被害に起因する疾患については,治療研究事業の対象外となるが,これまでの経緯を尊重して,目的を明確化した別の制度を確保し,患者に対するサービスの低下が生じないよう配慮の上,移行することを検討する必要があるという意見が大勢を占めた.

5.今後の難病に係る福祉施策の在り方について

 今回の中間報告に至るまでの委員会の検討において,「今後の難病に係る福祉施策の在り方」に関する議論は必ずしも充分とは言えないため,今後,最終報告をまとめるまでに,委員会においてさらに充分な議論を尽くす必要がある.
 今回の中間報告では今後の検討に向けた論点整理を行うに留めることとする.
 (1) 難病対策の一環として福祉施策を考える際,平成12年度に導入された介護保険制度や,平成15年度の見直しに向けて検討が行われている「障害者基本計画」や「障害者プラン」との整合性に留意した施策について検討を行うこと.
 (2) 申請窓口の一本化等,利用者の利便性やサービスの効率性を配慮した福祉施策の在り方について検討を行うこと.
 (3) 難病患者の日常生活における自立状態や変動する患者の重症度を十分に勘案した福祉施策を検討を行うこと.

6.今後について
 本委員会は,平成13年9月から11か月の期間をかけて,患者団体や研究班といった関係者の声に広く耳を傾け,特に治療研究事業の今後の在り方を中心に審議を行い,本中間報告をとりまとめた.

 本委員会の中間報告に対して,各方面,各分野からの積極的な御意見を期待するところであり,本委員会としても,難病に係る福祉施策等の問題について,さらに専門的な立場から検討を続けていきたい.

 なお,行政関係者におかれては,この中間報告に記載された事項について,対応可能な項目については可及的速やかに取り組んでいただくよう要請する.

 今後,本委員会としては,これまでの審議経過を踏まえ,厚生科学審議会疾病対策部会へ報告を行い,さらに事務局より検討課題及び手順についての整理を得た上で検討を進め,平成14年度を目途として,本委員会としての最終的な報告を厚生科学審議会疾病対策部会に提出することとしたい.

■ 厚生労働省関係審議会議事録等 その他(検討会,研究会等):医政局
・新たな看護のあり方に関する検討会(第1回〜第13回:報告書)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#isei

委員 井 部 俊 子    聖路加国際病院副院長・看護部長
   上 野 桂 子    聖隷福祉事業団在宅サービス部長
   内 布 敦 子    兵庫県立看護大学助教授
   川 越 厚     ホームケアクリニック川越院長
   川 村 佐和子   東京都立保健科学大学教授(座長)
   國 井 治 子    (社)日本看護協会常任理事
   西 澤 寛 俊  (社)全日本病院協会副会長
   平 林 勝 政  國學院大学学長特別補佐・教授
   藤 上 雅 子  (社)日本薬剤師会常務理事
   宮 武 剛     埼玉県立大学教授
   柳 田 喜美子  (社)日本医師会常任理事

20020531 第1回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
田村看護課長
 時間になりましたので,ただいまから「第1回新たな看護のあり方に関する検討会」を開催いたします.委員の皆様方におかれましては,本当にご多忙の中,本検討会にご出席いただきましてありがとうございます.本来ならば医政局長がご挨拶を申し上げるところでございますが,ただいま国会用務のためにそちらの委員会に出席しておりますので,代わりに大谷総務課長からご挨拶を申し上げます.

大谷総務課長
 委員の皆様方におかれましては,本検討会委員へのご就任を快諾いただきましてありがとうございます.また,本日はご多忙の中ご参集いただきまして,重ねて御礼申し上げます.もともと大臣が参りまして,挨拶を申し上げたいといった次第だったわけでありますが,いま健保法の審議が大詰でして,大臣,局長以下,国会に出席しておりますので,失礼ながら私からご挨拶を申し上げたいと思います. 我が国の医療は,世界保健機関が行った国際比較において,世界のトップと位置づけられるなど,高い水準を達成してきています.これは我が国の誇るべきものであり,これまでの関係者の方々のご努力に深い敬意を表するものであります.しかしながら,少子・高齢化の進展,医療技術の進歩,国民意識の変化等を背景として,医療提供体制全般の見直しが求められているわけです.厚生労働省においても,これらの課題を解決すべく,医療制度改革を推進しておりますが,この施策の1つとして,質の高い効率的な医療提供体制といったものの構築に取り組んでいるところでございます.特に看護分野において,近年の在宅医療の普及あるいは看護教育水準の向上など,社会情勢の変化に対応した看護が求められていると深く認識しており,今般,このような検討の場を設けさせていただいた次第でございます.本検討会は,実は坂口厚生労働大臣の強いご指示によって設置することとなったものです.大臣は,このご著書『タケノコ医者』という本の中で,「現在は看護婦さん自身が主体的にできる仕事,自分の判断でできる仕事が少なすぎる.看護婦さんが自分の判断でやれることを明確にする必要がある.それはナースのためではない.日本の医療水準を上げるためにだ」と述べておられますが,このような大臣のお考えも踏まえた検討の場であると考えております.具体的な検討事項としては,1つは「訪問看護などの医療現場における医師の指示のあり方」,またもう1つには「医療技術の進歩等による看護業務の見直し」といったものを中心に検討していただきたいと考えております.委員の皆様方におかれましては,当検討会の趣旨をご理解いただきまして,高い見地から広範なご議論を賜りますように,よろしくお願い申し上げます.

武田企画官
 企画官の武田でございます.どうぞよろしくお願いします.まず,お手元の資料確認からさせていただきたいと思います.「議事次第」という1枚の紙がありまして,そのあと新たな看護のあり方に関する検討会メンバー表で1枚のもの,資料1として検討課題(案)のこれも1枚のもの,資料2として,関連資料20頁のものがお手元に置かれていると思いますので,ご確認をお願いしたいと思います.それでは早速ですが,お手元の資料の説明をさせていただきたいと思います.まず資料1「検討課題の(案)」をご覧いただきたいと思います.これは,本検討会でこれからご検討をお願いしたいと私どもとして考えている検討課題を列挙させていただいたものです.1については「訪問看護の推進」ということで,「訪問看護における医師の包括指示のあり方」,それから「訪問看護に関連する諸制度」ということです.これについては後ほど関連資料をいくつか用意しています.訪問看護においては医師の指示書の下に訪問看護が実施されるという制度になっておりますが,この指示のあり方について,個別的な指示,包括的な指示ということがありますが,訪問看護の一層の推進のために,こういったものをどのようにこれから考えていったらいいか,ご検討を賜りたいと思っております.それから訪問看護に関連する諸制度ということで,本検討会においては,大変在宅医療の現場に詳しい専門の先生方にご参加いただいておりますので,幅広く関連する制度についてもご意見をいただいてまいりたいと思います.本日の提出資料の中で申し上げければ,例えば麻薬の取扱いだとか,診療報酬上の取扱いなどといったことについての資料も用意しています.2については,「医療,技術の進歩等に伴う看護業務の見直し」ということです.具体的なテーマとして,「看護師等による静脈注射の実施」について,本日,若干の資料を用意しています.2つ目が「医療機関における医師の包括指示のあり方」です.静脈注射以外について,1は訪問看護ということで対象を絞っておりますが,より広く医療機関における指示のあり方についてもご議論をいただければと思っております.3については,「これらを推進するための方策」ということで,これまで様々な取組みが進められてきましたが「標準的なプロトコールの策定」についてや,「入院診療計画」,いわゆる「クリティカルパス」と言われているものなどの推進だとか,「看護基礎教育,卒後研修の改善」といったテーマが今後議論を深めていかなければならないテーマであると思っています.この3については,本日特に資料は用意しておりませんので,後ほどご議論をいただければと思います.なお,この検討課題は,あくまで私どもとしての案ですので,後ほどこのテーマでよろしいかどうか,またほかに付け加えることがあるかどうか,ご議論をいただければと思います.それでは資料2に移りたいと思います.「関連資料」という表紙がありますが,下に頁数が振ってありますので,1頁目をご覧いただきたいと思います.「I 訪問看護ステーションの現状」について,概括的な数字をいくつか拾っています.まず訪問看護ステーションの数ですが,平成12年9月1日現在活動中の訪問看護ステーションは4,730か所で,前年に比べ1,160か所の増加です.ご承知のように,平成12年から介護保険法が施行になっておりまして,その影響もあろうかと思いますが,非常に大きな数の増加を見ているところです.これを開設者別に見ると,「医療法人」が2,521か所で53.3%と最も多くなっています.次いで「社会福祉法人」492カ所,「医師会」が330カ所など,ここに示しているとおりです.2頁目は「職種別の従事者数」で,1訪問看護ステーション当たりの従事する方々の数です.1訪問看護ステーション当たりで6.1人,それから常勤換算では4.7人となっています.職種別の内訳ですが,グラフや下の表に書いてあるように,基本的に看護師が非常に大きな活動を占めていて,従事者数,常勤換算それぞれ3.5人,それに次いで准看護師,さらに理学療法士,作業療法士という方々も配置されています.続いて3頁目に「利用者数の推移」を掲げています.訪問看護ステーションの利用者数ですが,平成11年までの調査と,平成12年からの調査と,若干訪問看護の統計調査の名前が異なっておりますが,利用者数の推移をたどってみると,このように年々増加していることが窺えると思います.ちなみにこれも皆様よくご存じだと思いますが,老人保健法において,訪問看護ステーションの制度が導入されたのが平成4年,健康保険法で訪問看護ステーションが導入されたのが平成6年ということで,健康保険法の対象者,いわゆる高齢者ではないけれども,難病,精神,がんその他,様々な疾患で在宅医療を受けられている方々が,数の上でも割合の上でも増えていることがご覧になっていただけるかと思います.4頁は「利用者の寝たきり度の状況」を見たものです.これはランクJ,A,B,Cということで,ランクJがほぼ自立の割合で,Cが最も重いということです.今はもちろん介護保険法で要介護認定がなされていて,より細かな介護度が認定されていますが,歴史的に過去から振り返ってみると,このランクで傾向を見ることができるので,それで今回お出ししています.その訪問看護ステーションが増えている,さらに利用者が増えている,さらに健康保険法の利用者が増えているということで,非常にどのランクも増えていますが,割合でいうと自立の方の割合も増えているということが1つ言えると思います.逆に重さでいうと,いちばん重いランクCの方々が,実数の上でもかなり大幅な伸びを示していることに着目できると思います.ただ,本検討会ではむしろ医療行為,医療の必要度に着目をしてご議論いただきたいと思いますが,あくまでこれは寝たきり度の状況ということですので,必ずしも医療の必要度が高いかどうかまでは実はわかりませんが,1つの参考としてお出しをしています.5頁は「利用者が受けている医療処置」です.これも実は私ども,旧厚生省時代から現厚生労働省に至るまで,若干調査項目が年によって変わっておりまして,必ずしもきちんと連続したトレンドが把握できるもの,できないものがあります.可能なかぎり連続できる形で拾ってみたわけですが,現時点でいちばん高くなっている赤のいちばん右でいちばん上にある四角で伸びているのが「浣腸・摘便」ということで,大変伸びていることがおわかりいただけると思います.それから褥創関係ですが,かつては「創傷の医療処置」の項目しかありませんでしたが,最近はむしろ褥創の処置ということで,非連続ですが,緑のラインがかつての「創傷の医療処置」で,青のラインが新しく取っている「褥創の処置」ということで,いずれにしても右肩上がりで増えているということが窺われると思います.その下のピンクから紫,三角の所が「経管栄養」です.それからいちばん下の青のバツの所が「中心静脈栄養(IVH)」です.これが新しい統計では合算されて,平成12年の所は*だけになっていますが,ここにきています.連続しなくて恐縮ですが,いずれにしても在宅の方でも栄養を経口摂取できずに,経管または中心静脈ラインで栄養を摂っている方々,なかなかこれまでは在宅が難しいと言われていた方々の利用も増えていることが窺われるところです. そのほか,注目できるところとしては「終末期ケア」です.これも新しく平成11年から「がんの在宅(緩和)ケア」という項目で取っていますが,非常に大きく伸びてきていることが,数字の上でもグラフの上でも明らかになっているのではないかと思います. 続いて6頁は,平成11年の訪問看護統計調査で上がってきた訪問看護ステーションのどういう看護行為が行われているかという統計です.ちなみに前の頁,または後ろの頁もそうなのですが,統計の制約がありまして,あくまで訪問看護ステーションの看護内容ということです.医療機関から派遣されている訪問看護は,残念ながら詳しい統計はありませんので,今日の資料には含まれておりません.大きく「I.病状観察」「II.療養上の世話」「III.医療的な処置」と分けられていますが,多いのは「症状観察・情報収集」,それから「療養指導・相談」といった症状観察や心理的支援などの行為について,99%を超える看護内容となっていますが,「整容・衣服の着脱の援助」「リハビリテーション」などの療養上の世話についても94%になっています.この統計の取り方,分類の仕方にもよるのですが,この統計で「医療的な処置」とされている「浣腸・摘便」「褥創の処置」「カテーテル」「疼痛の看護」等々,医療的な処置が行われているものは50.6%ということですので,必ずしもすべての訪問看護ステーションで,医療的な処置が行われているわけではないということが窺われます.一方,次の7頁ですが,訪問看護ステーションにおいても,実際どの程度の医療処置をやっているかどうか,非常に差が大きいというのが実態だろうと思われます.これは平成9年度の厚生労働省の補助に基づく調査研究で,座長の川村先生にご尽力いただいた研究ですが,医療行為について積極的に実施をしている16の訪問看護ステーションから,どういう行為を実施しているのか,どういう行為を実施する意思があるのか,さらにこういう行為は訪問看護ステーションとしては実施しないと考えているのかを調査した結果です.左の上から右の下にかけて,実施経験の多い順に並べているわけですが,実施の多い医療行為としては「女性の導尿」「人工肛門管理」「吸入」「在宅酸素療法の管理・指導」「服薬管理・指導」「血糖測定」という項目については,全16訪問看護ステーションが実施をしていたということになります.それからだんだん右に行くにしたがって,実施経験ありのステーションが下がってきて,いちばん右下の「今後とも実施する意思がない」が多かった項目としては,「動脈採血」「気管内洗浄」「抗癌剤のワンショット注入」が挙げられています.「その他」にも非常に多彩な項目が挙がっておりますが,実際に平成9年度の時点で行われている実態を表すものとして,本日資料の中に付け加えさせていただきました.8頁に「訪問看護時間」のデータも出されています.介護保険法の適用対象者で,要介護度別の分類が数字としてまとまっています.訪問1回当たりの平均訪問時間は「要支援」が46.7分,いちばん介護度の高い「要介護5」の場合が61.1分で,見ていただくとわかりますように,要支援から要介護5まで,要介護度が高いほど,平均の訪問時間が長くなるということが見ていただけると思います.それから健康保険法等の対象者ですが,平均で見ると介護保険が平均58分,健康保険法が63.4分と,平均訪問時間が長くなっています.比較的医療行為が多いことによるものかもしれませんし,また点数設定の問題で,特定の場合に健康保険法は長時間の看護が認められていることなどもありますので,単純な比較は難しいかと思いますが,実態としてこういう数字になっています.9頁は「緊急時の対応」の状況です.これも特に医療ニーズの高い方,それからターミナルになると救急時の対応の必要度が非常に高くなると思われますので,特に今回付けております.下の表を見ていただきますと,上の緊急時訪問加算の届け出,特別管理加算の届け出は,介護保険法に基づく届出制度ですが,「緊急時の対応をしているかどうか」という調査項目で見ると,「緊急時の対応をしている」と答えている訪問看護ステーションは4,203ということで,総数4,730のうちの88.9%と,非常に高いパーセンテージの訪問看護ステーションで緊急事態をやっているということが窺われます. それから「特別な管理を要する利用者に対応ができるステーション」.これは在宅酸素療法指導管理」または「在宅中心静脈栄養法指導管理」など,厚生労働大臣が定めた特定のものについて特別な管理を行うと届出がされているステーションで3,792か所,これも8割のステーションがこのような体制を取っているということです.その他,「24時間計画的な訪問看護をしているステーション」は1967か所,41.6%ということになっています.ちなみに,グラフのほうは「医療法人」が非常に数として多くなっていますが,「地方公共団体」「社会福祉法人」「医師会」「看護協会」,それぞれ左のブルーのラインが総数で,そのうちどれぐらいがそれぞれの加算なり,その対応を取っているのかを比較したものです.10頁は「訪問看護の指示書」です.ご案内のとおり,訪問看護は利用者の主治医が交付する訪問看護指示書に基づいて実施されるものでして,示されている様式がここに若干縮小した形で付けてあります.いちばん最後に「上記のとおり,指定訪問看護の実施を指示いたします」ということで,医療機関の名前,医師の名前を書いていただくことになりますが,上に「指示期間」がありまして,「平成○年○月○日から○年○月○日まで」と,最長6カ月間の範囲で指示書が発行されます. ただ,もちろんその患者の状態に変化があれば,指示書自体修正,または新しい指示書が出されるわけですし,急性増悪の場合に,特に頻回訪問が必要になった場合には,「特別訪問看護指示書」というものが出されることになります.急性増悪,終末期の場合,頻回訪問ができることになり,「14日間,毎日訪問看護を行うことができる」.この場合は介護保険ではなくて,健康保険の適用対象になるという制度になっているわけですが,実際の訪問看護の現場においては,この指示書だけでは不十分ということで,さらに細かい指示または細かい取決めがなされているということがあります. そういう指示のあり方について,ご議論いただければと思っているわけですが,具体的に在宅酸素や在宅末期のがんの患者さんの場合の疼痛管理,モルヒネ投与などの場合が,実際問題として問題になってくるのではないかと思っているのですが,その1つの場合として,在宅酸素療法のケースを掲げています.先ほどの訪問看護指示書の様式で言いますと,酸素療法の場合は1分間何リットルということで通常埋めていただく形になっているわけですが,1分間何リットルという具体的な指示をすると,左の個別指示の例の所にありますが,「鼻カニューレ2リットル/分」となると,場合によっては非常に酸素が必要になり,酸素不足の兆候が,例えば口唇四肢末梢のチアノーゼという形で現れた場合であっても,患者さんの家族,また訪問看護師が医師にこの状態を報告して,改めて指示の出し直しをしていただかなければ,この「2リットル/分」を変えられないということになるわけですが,右のような包括的指示または包括指示ですと,どういう場合にどういう酸素流入量の調整が可能かという指示であれば,活動による酸素消費量,また実際の患者さんの状況に応じて,ある程度実際現場で酸素流入量の調整ができるのではないか.そういう個別指示の例,包括指示の例ということで掲げています.在宅の場合も,または場合によっては院内の場合も,この個別指示,包括指示はあろうかと思いますが,こういうことをどう考えていったらいいかということだろうと思います.12頁,13頁は「在宅医療における看護婦の麻薬の取扱いについて」ということで,平成12年の問合わせと,これに対する平成13年の医薬局からの回答です.詳しいご説明は省略しますが,宮城県保健福祉部長からの照会は,麻薬診療施設に所属する看護婦が,麻薬処方箋により調剤された麻薬を家族に運んでいいかどうか.自分の所の看護婦ではなくて,訪問看護ステーションの看護婦に運ばせることはできるかどうか.またできたとしたら,どういう点に注意しなければならないのか.こういう照会で,13頁が厚生省からの回答となっています.照会1の(1),(2)について,貴見のとおりとなっておりますが,「医療機関の看護婦が,麻薬を患者宅まで運んで行くことは現行法上可能である.それから訪問看護ステーションの看護婦についても,これを運ばせることが可能である.ただし,実際に当該患者の看護に当たっている看護婦に限る」という解釈が示されています.留意事項もいろいろ示されています.例えばホでは,「あくまで訪問看護ステーションの看護婦は,医師の指示を受けて運搬をするということなので,これをステーションの中で留め置いたり,保管したり,ためておくことはできない」というような留意事項が示されているわけです.14頁が「医療保険における取扱い(在宅医療で使用できる薬)」です.いまの通知でも問題になりました在宅がん末期の疼痛管理でよく使われる麻薬製剤,この( )の中で申し上げれば,「塩酸モルヒネ」ですが,「塩酸モルヒネ」とか「抗悪性腫瘍剤」を含め,限定された医薬品が禁止から除外されるという保険の扱いになっています.在宅医療で使用できる薬が在宅医療で使用できるとするためには,「除外をされる薬」としてここに書いていかなければならないことになります.また,保険の取扱いとしては,「通院不可能な診療中の患者に注射薬を投与することは原則できない」.それから「患者が通院が不可能な場合はまず内服薬を投与すべきであって,注射が必要欠くべからざるものである場合は,往診して治療すべきものである」.(1)のいちばん最後の3行ですが,そういう保険の取扱いになっているということで,これも在宅医療に関係の深い制度,運用ということでご紹介させていただきました.15頁から検討テーマの2つ目ですが,「看護師等が行う静脈注射」の資料です.これについては平成13年度に,緊急に静脈注射の現状その他について研究事業をお願いしました.現在,大まかな集計までできているところですが,「医師の認識」,それから「看護管理者の認識」,それぞれ調査をしました.全国の病院から,病床規模に応じて無作為抽出した900病院ということで,特に小さい病院,大きい病院と偏りがないように調査していただきました.その結果ですが,15頁は「医師の認識」です.94%の医師が,「看護師・准看護師に静脈注射を現に指示している」,95%の医師が,「看護職員の静脈注射の実施は,看護師に指示をして,医行為を行わせることができる相対的医行為と受け止めている」ということでした.それから看護師ができる静脈注射の範囲としては,静脈注射88%,点滴静脈注射93%,輸血49%という数字が上がってきています.ちなみに,静脈注射を実施する看護職員の能力についての問い合わせをして,その能力が不足であると考えている選択肢の中の割合ということですが,特に「薬剤知識について不足面があるのではないか」という回答が多くなっています.その次に「感染安全対策」,その次に「法的責任」ということになっています. 16頁は「看護管理者の認識」です.看護管理者ですので,調査対象となった病院の看護の責任者,看護部長相当の方々の認識です.90%の看護師・准看護師が,「日常業務として静脈注射を実施している」という結果です.それから60%の施設では,「静脈注射マニュアルを看護部で作成している」ということ.それから「静脈注射は診療の補助業務の範囲内である」というお答えが52%の看護管理者です. そういうことで言うと,非常に看護の現場でも静脈注射がやられているということだろうと思いますが,能力不足の認識並びに内容を聞いています.やはり「薬剤知識についての能力不足があるのではないか」という回答が,医師の認識と同じようにトップになってきておりますが,「法的責任」の数字も非常に大きくなっています.法的責任を薬剤知識と並べて「能力」ということで括っていいのかどうかわかりませんが,法的責任能力がないということ,逆に言えば法的に認められていないということを認識していらっしゃる方々が,看護職のほうは多いということだろうと思います. 「訪問看護ステーションの認識」が17頁です.訪問看護ステーションの60%では,静脈注射が実施されています.「利用者ニーズとして必要だ」というのは85%ということで,必要だと思っているけれども,実際には実施していない訪問看護ステーションが20〜30%あるということです.ここは指示が出ているのかどうか,またその訪問看護のほうで受けているかどうかという問題があろうかとは思います.いずれにしても,「法的,教育的条件の整備がなされれば静脈注射の実施に賛成」と回答した方が非常に多くなっているということです.この静脈注射についての医行為としての解釈の過去の経緯を,18頁でお付けしています.昭和26年に国立鯖江病院で起きた注射事件,注射薬剤の取違い事件で患者が死亡した事例ですが,当時の厚生省の解釈として,薬剤を静脈の中に注入をするという行為は,医師,歯科医師が自ら行うべき業務で,看護婦の業務範囲を超えるという回答をしています.ところが,これが裁判で争われたわけですが,2つ目の○にあるように,名古屋高裁金沢支部の判決においては,「看護婦が医師の指示により静脈注射をなすことは,当然の業務上の行為」という判決が出され,さらに上告に対して最高裁は上告棄却ということで,静脈注射が看護師の業務であるということを前提として,医師法違反ではなく,刑法211条の業務上過失の責任で判決が確定しているという状況にあるわけです.こういう判例もありますので,清水嘉与子著の『私たちの法律』という本の中で,「かつて厚生省内でも解釈変更が検討されたものの,行政解釈が改められていない」という経緯も紹介されていましたので,併せてご紹介させていただいています.この具体的な通知そのものについては,19頁,20頁に付けておりますが,内容が重複するので説明は省略させていただきます.

平林委員
 何点かご質問をさせていただきたいと思います.まず第一に,11頁に包括的な指示の例が挙げられているのですが,この検討会では,「包括的指示」という言葉をこういう意味で使う,ということを改めて確認させていただきたいのです.というのは,「包括的指示」という言葉にいろいろな意味合いを含ませて使われている方がいらっしゃいます.本検討会では,「包括的指示」とはこういう意味である,ということをきちんと確認をして議論をしないと,議論が混乱するだろうと思いますので,ご質問というよりも,その点の確認をさせていただきたいということが1点です.
 2点目は,15頁で「法的な責任」という言葉が出てくるのですが,私には「法的責任」という意味がよく理解できません.これは適法な行為であるか,違法な行為であるか,ということについて,それを「法的責任」と表したのかどうかということをお聞きしたいということです.
 3点目は,18頁で「看護婦が行う医療行為,静脈注射の解釈について」とありますが,「医療行為」なのか,「医行為」なのかという点について,少し厳密に言葉を使うとすれば,むしろ「医行為」と言ったほうがいいのではないか.これはご質問というよりも意見です. それから同じ頁で,先ほどのご説明の中で,3つ目の○の所で,確か医師法違反ではなくて,業務上過失致死の責任が問われたとおっしゃられたと思うのですが,これはもともと医師法違反は問われてなかったと思います.少しそれはミスリーディングになると思いますので,その点で私のご意見を申し述べさせていただきました.

武田企画官
 逆に後ろからさかのぼってお答えいたしますと,最高裁の判決は,医師法そのものは起訴されておりませんので,先生のおっしゃるとおりです.それから「医療行為」という言葉ではなく,「医行為」ということだろうということですが,これもおっしゃるとおりでして,タイトルは「医行為の解釈」としたほうが正確だったと思います.そこはお詫びを申し上げます.それから2つ目の「法的責任」という問が,適法なのか違法なのかという意味ではないかということなのですが,これは「法的責任」ということで調査票を回したようですので,人によっては取り方が若干違ったケースがあるのではないかと思うのです.したがって,どこまで正確な調査になっているかというところは,若干問題があるかもしれません.おそらく「法的責任能力」ということで,懸念があるということでそこにマルを付けた方が多かったのではないかというところまでしか,この調査結果からは言えないのかなと思います.1番の「包括指示」については,1つの例としてお出ししております.これを踏まえた議論をしていただければと思うのですが,私どもは,あまりその議論に限定をかけるつもりもありませんので,少しその点について,「包括指示」ということをどういう範囲の中で考えたらいいのかということについて議論があるのであれば,そこはこの検討会で,少し荒ごなしをしていただいたほうがよろしいかと思います.

井部委員
 先ほど平林委員がおっしゃったように,「包括指示」とは一体どういうことなのかということがはっきりしないので,そこがまずポイントかなと思います.包括指示は医師が出す指示ですので,看護の独自の機能という点で主張すべきなのか,あるいは医師はどうのように指示を出したらいいのかという方向で議論を進めていったらいいのか,その辺が少し迷っているところです.

平林委員
 井部先生が最初におっしゃられた,保助看法の改正まで視野に入れるのかどうかという点について,少なくとも私の考えは,現行法の保助看法の中でどこまでできるのかということをまず検討すべきで,その中でここまでしかできなくて,しかし実際やりたいことは違うことがあって,そのためにはやはり法改正が必要だ,ということになるのだと思います.この検討会でどこまで検討するかどうかはともかくとして,少なくとも現行法の枠の中で,どこまでできるかということをぎりぎりのところまで検討するというのが,1つの議論の進め方としてはあるのではないかと思っています.それからその包括的な指示ないし包括指示について,先ほどいろいろな考え方があるのではないだろうかと申し上げましたが,例えば先ほどの訪問看護指示書の中で10頁でしょうか,「留意事項及び指示事項」の2に「1リハビリ」「2褥創の処置等」「3装着・使用医療機器等の操作援助・管理」「4その他」という番号があって,例えば「褥創の処置等」にマルを付けて,それが包括指示であるという理解の仕方もあるやに私には思われます.そうすると,先ほどの例として出された包括指示とはやや中身が違うので,従来そういういろいろな包括的な指示の捉え方があったので,そこをきちんと整理して,どの範囲であれば現行法の保助看法の37条の指示の中に入り得るかどうかということを議論するというのが,おそらくこの指示のあり方についてのポイントではないかと理解はしているのですが.

上野委員
 訪問看護ステーションは,平林先生がおっしゃったように確かにこの指示書で仕事をしますので,ある意味の包括的指示を受けて,その中で看護婦がアセスメントしながら対処していくという方法を取っています.包括指示では少し心配かなという対象者がいらしたときには,個別指示をいただいて仕事をしていく.ですから,ステーションの場合はそういう意味合いで「包括指示」という捉え方を今はしているのです.

柳田委員
 指示の出し方等については,いま皆様がおっしゃったとおりのことが行われていると思います.そういういわゆる包括的指示をどのように捉えるかとか,あるいは保助看法でどこまでやるかとか,そういう議論はいまからおいおい深めていく必要があろうかと思います.全体的なことでもいいでしょうか.全体的に眺めて私が持った印象としては,やはり時代がこのように移り変わりまして,改めて看護とか医療を考えてみるときに,やはり消費者である国民が,必要としている医療・看護サービスが本当に提供されているのか.どのようなニーズがあるのかということを,このあたりで供給者の視点ではなくて,国民側の視点で捉える必要があると思います 本日のこのような在宅看護の問題は,そのような方向へシフトするということは避けられない,やむを得ない現実だろうと思いますし,またそのためにはやはり医師と看護婦の信頼関係というか,そういう非常に緊密な連携の下に厳重な指示書,これがどの程度どのようになるのかは今からだと思いますが,その下に施行されなければならない.そうなると,当然医師も看護婦も,やはり法的な責任が必要となってくるのかなと思っています.それともう1つ,医師と看護婦,それから患者との信頼関係に努めて,ここで問題となってくるのはやはりちょっとした不注意が,即不幸な,重大な結果をもたらすことになるということにむしろ思いをいたさなければならないだろうと思っています.ですから,そうすることによって,やはり看護婦が自信を持ち,優しさを持ち,また自覚を持ってやっていけるのだろうと思いますが,そのあたりはやはりそのときの看護水準に基づいて,きちんとした知識を持って,そして生涯研修を行うということでしっかりした体制を作っていけば,可能になるだろうという感じをいま持っています.今からおいおい皆様方のご意見を下に議論が深められていくと思いますが,少しそのような印象を持ちました.

井部委員
 川越先生にお聞きしたいのですが,先ほど11頁の在宅酸素の例で,個別指示を今は出しているということですが,それでは鼻カニューレ1分間2リットルという指示でまずいって,訪問看護師が「患者の状態が呼吸困難でチアノーゼがあります」ということを電話連絡か何かしてくる.それならばこういうふうにしましょう,というようなことをいちいち指示をする.看護師が判断をして酸素流量を上げたり下げたりすることは,基本的にはしていないということですね.

川越委員
 私は今は,建て前の話をしただけで,現実にそう指示を出しても,特に私は,がんの末期の方をたくさん見ておりますので,呼吸状態は変わってきますから,その都度いちいちこられたら,私のほうではたまりませんし,実際問題は,現実には現場でやっているのは,すでに包括的指示のような格好になっています.ただ,グループを組んでいて,私の考え方を理解している方はいいのですが,やはり別の訪問看護ステーションと組んだ時は,医師の指示を非常に忠実に受けて,忠実にやるという訪問看護婦さんたちもいらっしゃいますので,いま井部さんがおっしゃったように,いちいち報告をしてこられることもあります.酸素は4時間という指示になっているが,長く続いているので,例えば「6時間にしてもいいでしょうか」とか,「どうも4リットルでは足りないようなので,もう少し上げることはできませんでしょうか」という相談があったりすることもあります.しかし現実は,私たちチームを組んでやっているのは,この包括指示という格好で動いています.酸素のほうはあまり問題にならないと思うのですが,例えば疼痛のことでモルヒネの量を変えたりするという,現実にはそちらのほうが非常にシリアスな問題なので,その辺をどうしたらいいのかということを,ちょっと考えているのです.

井部委員
 11頁のこの例だけでもいろいろなことが考えられるのです.例えば高度の慢性閉塞性呼吸不全の人ですと,2リットルという酸素の流量そのものが,ちょっと多いのではないかと思ったり,また酸素飽和度を見たり,場合によってはガス分析をしたりする高度な情報収集をして,現場で判断をして,それで流量を上げたり下げたりするということを,実際にベテランの訪問看護師はできるし,また実際にやっている人もいるわけです.非公式に今までやっている私たちの現場でのやり方を,今回この検討会で公にする,認めるというようなことの作業が1つあるのかなと思っています. 少なくとも,この11頁の右側の「包括的指示」に関しては,決して私たちにとって目新しいことではないわけです.現場で行われていることが,建て前と本音がかなり乖離している部分があって,本音の部分を公にして承認していくというような作業をやるのが,この検討会の1つの役割かもしれないというふうにも思います.

中村審議官
 あらゆる行為について,実はどっちかという話があると思うのです.たまたま聞かれたから答えているというところもあると思うのですが,地雷みたいなもので,事件になった時に「それは困る」ということですね.日ごろ踏んでいるはずなのですが,爆発していないだけということもあるかと思います.そういう考え方が1つあるかもしれませんし,先ほど井部さんがお話になりましたように,そういうことというのは,ある意味で現場できちんとやられているわけで,それを黒白つけることは,現場を混乱させることになるのではないかというのが,井部さんが言われたことではないかと思うのです.

井部委員
 私は公にしたほうがいいと思っているのです.

中村審議官
 しないほうが良いという人もいると思うのです.そこの問題になると思います.

○武田企画官
 私の資料説明が言わんとすることがなかなか言いづらい部分もありまして,分かりにくかったかもしれませんが,法律の解釈をして,現場をそのとおりに指導するというのも役所の仕事ですが,逆に現場に合わない解釈を,その現場に合わせて適宜直していくというのも,私はやはり行政の仕事ではないかと思っています.本日の資料で説明いたしましたのは,訪問看護というのは平成4年にスタートしているもので,その後に法律でも在宅が医療の場所だということが位置づけられているわけで,それにもかかわらず,いくつか法解釈を直さずにきているところがあります.これが実際の現場の妨げになっていないかどうか.今日は資料でお出ししていませんが,病院の場合は病院の院長が最終責任をとるということですが,訪問看護ステーションになり,所長が責任を持つといった時に,やはり訪問看護ステーション側で法律論になった時にどうするか,というところで躊躇がある.それがゆえに,もし在宅医療が進まないということであれば,それは解釈の問題なのか立法論の問題なのか,いずれにしてもここで議論をして,問題を明らかにし,解釈の方向を考えなければならないということではないかと思います. 静脈注射は1つの例としてお出ししていますが,ほかに似たようなことがあるかもしれないので,その点も踏まえて,広くご議論をいただきたい.検討会のタイトルが非常に幅広くなっておりますし,冒頭に大谷課長のご挨拶の中にもありましたが,大臣の指示で始まった検討会で,その中ではやはり看護職が自分の判断でやれることを非常に狭く解釈されているが,どこまでやるか,まず明確にしろというようなことが書いてあります.明確にするというのは,広げるとか狭めるとか,解禁するとかいうこととは,若干違うような気もいたします.もし明確にすることで現場がうまく進むのであれば,それはそれで1つの検討結果としての成果だと思います.それが法解釈なのか,例えばここの報告書として明らかにすること自体でもいいのかもしれませんし,こちらとしては役人的な資料をお出しするしかないわけですが,それにとらわれずにご議論いただければありがたいと思います.

川越委員
 具体的な話になってしまうのですが,ご存じのようにIVHというのは,中心静脈まで入れますので,どうしても陰圧になります.ですから空気塞栓というのが非常に怖いわけです.点滴のラインのとり方によっては,空気塞栓が起きる可能性はすごくある.三方括栓を使ってラインを組んでしまっているので,三方括栓が外れた時にどうなるかということは考えていなかった.これは私が作ったラインではないのですが,事故は起きませんでしたが,1,000例ぐらいやったら1例か2例起きる可能性は十分あるわけです.ですから,そういうことも含めて,きっちりやっていかなければいけないということだと思います.

藤上委員
 在宅でのIVHというのは,当院の場合は三方括栓は全く使わないという形でやっています.なるべく簡単に,患者あるいは家族,あるいは訪問看護に行った方たちが管理しやすい形で,という形でやっています.

川村座長
 ほかに,地雷として挙げられることは,例えばどんなことがありますか.

川越委員
 1つは,やはり疼痛緩和の件で,痛みの緩和は難しいケースはどうしても微妙な調整をしなければいけない.ですが,今は調整できるものを家で使ってはいけないという1つの縛りがありますので,あれを何とか検討していただきたいと思っています.また,患者が亡くなった時に,余ったモルヒネをどうするかというのが,実は現場では非常に大きな問題なのです.一応マニュアルが出来ていて,私の所では全部院外処方でやっていますので,モルヒネがうちにあるということはあり得ないのです.しかし,現実に患者が亡くなって,余ったモルヒネ,例えばカディアンという経口の徐放剤が余った時にそれをどうするかというと,原則は患者の家族がどこか薬局へ持って行き,薬局で処分していただくということになるわけですが,そういうところも,その廃棄をもう少し簡単にしていただけないかということを思ったりするわけです.また,薬の搬送の問題も,実は非常に大きな問題で,ここに法的な事例が書いてありましたが,現実にがんの患者が1人いて,家族はおばあさん1人しか見ていないということが結構あり,薬をとりに行くのがなかなか難しいことがあるわけです.特に,急に痛みが出てきた時,坐薬を届けなければいけない.取りに来てもらうわけにはいきませんので,現実には看護婦が急いで処方箋を薬にかえてもらってそれを持って行くということが普通に行われているわけです.私は勉強不足で,その辺はいいと書いてあるのかもしれませんが,そういうことをはっきり保障していただければ,非常にありがたいと思っています.

川村座長
 それでは,これを整理していただき,次の討論をうまく進められるようにお願いしたいと思います.

20020624 第2回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
田村看護課長
 ただいまから,第2回「新たな看護のあり方に関する検討会」を開催いたします.委員の皆様方におかれましては,ご多用のところ当検討会にご出席いただきまして,誠にありがとうございます.本日は宮武委員,西澤委員がご欠席という連絡を受けております. 本検討会は,坂口厚生労働大臣の指示で設置をいたしましたが,本日は大臣も「是非委員の皆様方に直接ご挨拶を申し上げ,また,委員の皆様方の忌憚のないご意見を拝聴したい」ということで,検討会にご出席いただけるというので,時間を確保しております. それでは最初に,大臣からご挨拶を申し上げたいと思います.よろしくお願いいたします.

坂口大臣
 委員の先生方には,お忙しいところを何回かにわたりましてご出席を賜りまして,心からお礼を申し上げたいと存じます.本来ならばいちばん最初の検討会に出席させていただきまして,委員の皆様方にご挨拶を申し上げるのが本意でございますが,最初の検討会と国会とが重なりまして,出席させていただくことができませんで,申し訳なかったと思っている次第です.また,今日は参議院の本会議がございましたので,私の時間に合わせていただいて,少し遅い時間で皆様方にお願いしたのではないかと思いますが,ひとつお許しいただきたいと存じます. 先日来ご議論いただいております,新たな看護のあり方について,是非とも新しい角度からいろいろご意見を頂戴しまして,新しいあり方をお示しいただくことができればと思っております.看護婦から看護師に名前が変わりまして,新しく出発いたしました.名前は変わりましたが,その中身に規定されている内容を見ましても,診療の補助と療養上の世話となっております.診療の補助はお願いしなければならないと思いますが,やはり私は看護師さんには看護師さん独自の分野というものがあるのが当然ではないかと思っている1人です.そういう意味で,療養上の世話という言葉が漠としておりまして,もう少し明確な看護師さんの任務のあり方を示す言葉があってもいいのではないかと,私自身そう思っている1人です.しかし,法律まで触わるということになりますと,大変なことだと心配されると思います.法律に触わらないとしましても,「世話」という中身は一体何なのかということをもう少し現代的に,21世紀にふさわしい内容のものに規定していただくことが必要ではないかと,私はかねてから思っておりまして,実は皆に働きかけをいたしまして,委員の先生方にご出席をいただくことになりました. 私の友人が老健施設に行っておりまして,その人は以前大学の先生をしていた人間で,介護学なるものを確立させたいので,執筆にかかったので是非見てもらいたいということで,先日彼がまいりました.ご承知のとおり,介護のほうは軸足を片方福祉のほうに置いておりますから,比較的そういう論理構成がしやすいのではないかと思っております.片や看護のほうは,片方は医療,医学というのがあって,仮にこちらのほうに介護学なるものが確立されますと,その間に立って余計に漠としてくる可能性が無きにしも非らずです.今日はプラスの例等でお話を頂戴するようですが,実際に看護学なるものがあったとしても,現場においてそれが示されていないと申しますか,それにふさわしい形になっていないと私は思っております.私も医療現場に若干関わっていましたが,その経験からいたしましても,そんなふうに思えてなりません.そうした意味で,診療の補助というのは当然大事ですが,併せて看護師さんならではの,看護師さんの独自の分野というものが,もう少し明確にならないといけないのではないかと思います.そんなことで,今日はいろいろなご意見を拝聴できると思いますので,大変期待をしてお邪魔をさせていただいた次第であります.今後ともひとつお世話になると思いますが,よろしくお願い申し上げます.

看護課長
 本日は通常の検討会の委員に加えて,兵庫県立看護大学教授でいらっしゃいます,山本あい子先生にもご参加いただいております.山本先生におかれましては,厚生労働科学研究の主任研究者として,13年度に「諸外国における看護師の新たな業務と役割について」という研究を取りまとめていただきました.後ほど,その研究結果の概要についてお話をいただきたいと思います.それでは,川村座長,議事の進行をお願いいたします.

川村座長
 お手元のものはそれでよろしいでしょうか.議事に入る前に,前回の討論についてのまとめと,今後の会議の方向性などについて説明をさせていただきたいと思います.前回の会議では,検討課題に関連した内容について,委員の先生方からご自由にご発言をいただきました.それを私なりに要約してみますと,第1としましては,在宅医療の推進関連について,医師の指示のあり方,医師と看護師との信頼関係,役割分担のあり方,薬剤師と看護師との連携のあり方など,多くの議論を深めなければならない議題が出されました. 第2として,静脈注射のあり方については,法解釈と現場との乖離の実態が明らかになり,委員の先生方のご意見から推察いたしますと,おおよそ方向性は一致しているのではないかと考えられます.第3として,このほかの新たな看護のあり方に関し,この2点に留まらず,幅広い議論をいただくことも必要だ,というご意見もいただきました.したがって,今後のこの検討会の進め方については,今回は看護の全体像を見渡した議論を行ったうえで,次回の検討会では静脈注射のあり方と現場における教育の課題について整理し,それ以降は在宅医療を含め,議論を進めていきたいと,このように考えております.これでよろしいでしょうか.では,おおよそこのような方向で進めさせていただきたいと思います.本日は坂口大臣の検討会への期待もいただきまして,さまざまな角度から,さらに幅広く看護のあり方を検討するために,諸外国の看護業務の動向をはじめとして,3人の先生方からご意見をお聞きし,議論してまいりたいと考えております.山本教授から「諸外国における看護師の新たな業務と役割について」お話をいただきます.そのあと,井部委員と國井委員からも資料をいただいておりますので,それについてご説明をいただきます.質疑のあと,最後に意見交換という次第で進めてまいります.それでは山本先生,よろしくお願いいたします.

川村座長
 続きまして井部委員から「看護の独自の機能」についてお話をいただきたいと思います.20分程度でお願いできればと思います.

坂口大臣
 井部委員,國井委員と,お2人からお話を伺って,これだけ立派なことがやれているなら,別に新しいことを付け加えることはない,じゃあ,もう日本の看護は足りてるじゃないの,十分じゃないのという気がしたのです. いまおっしゃった,井部委員にお示しいただいたこの「看護診断」のたくさんある内容を拝見させていただいて,この看護診断というのを,先ほどの療養上の世話とは,この看護診断のことだと置き換えて読めば,もうこれは十分すぎるくらい十分な中身である.けれども,私が認識している,どちらかといえば地方の小さな病院の看護婦さんの,廊下を走りながらやっている人たちと,大きい病院でおやりになっている,いわゆる看護業務というものとは,かなり違いがあるのかもしれないという思いもしながら,いま聞かせていただいておりました.それで,この看護診断なるものが,これは,たくさんの看護に対する学説があって,先日も私は,紀伊國屋へ行って,看護とは何かという本をあちらこちらめくっていたら,随分たくさんいろいろな学説があって,こんなにたくさんいろいろな説があるのかと思いながら拝見してきたわけです.それで,この看護診断なるものが出てきて,これが医療の現場で役立っているなら,もう言うことはないぞという気持になりつつあるわけです.ドクターは忙しいものですから,患者さんといちばん長い間接している人というのは看護師さんだと私は思うのです.ですから,この看護師さんが,その患者さんから何を読み取り,そしてそのことを医師が診断することに,そこに何を材料として提供しているかということは,大変大事なことだと私は思います.しかし,いまのままで,これはもうできているというなら,私はもう何も言うことはありませんし,しまったな,こういうお忙しい先生方に寄っていただいて,わざわざするまでもなかったかなというふうに一面では思いながら,一面においては,しかしそうは言うものの,現場はそうなっているか.率直に言ってそういう心配も実はあるわけです.先ほどから聞きながら,それだったらと,こちらへ心が揺れてみたり,どうも先ほどから私の心はあちらこちらへ揺れながらこのお話を聞いているというのが率直な気持です.それでお聞きしたいのは,現状でいいのか.それとも看護師さんの立場で考えれば,いやそうだ,こういうことなんだけれども,もう少し足りないことがあるんだというふうにおっしゃるのか.そこについて,率直なご意見を私はお聞きしたいのです.

井部委員
 私は冒頭に非常に意味深い言葉を申し上げたのですが,看護界が「ありたい」と考えていること,あるいは,このようなことが「あるべき」として基礎教育を行っている内容について申し上げたいと言いました.必ずしもこれが現実に行われている,あるいは行われる環境であるというふうにはなっていないということがあります.あるべき論と実態との乖離というのは明らかにあると思います.大臣がおっしゃるように,検討会を開く意義はあると思います.

井部委員
 結局,理想は高く現実は低いというようなご指摘なのですが,そのようになっている現実は一体どうしてなのかということについて,是非私はいろんな立場の方にご意見を出していただきたいと思っています.それが,裁量権なのか,保助看法の診療の補助と療養上の世話という,いわゆる包括的な内容の文言なのかどうかわかりませんが,川越委員のような医療職が対等に話合いをすることを容認する医師ばかりではない現実があるので,それはなぜそうなっているのか.医師法が優位にあるのか,医療法がどうなのか.何かそういう制度による規定があって,なかなか私たちの理想やあるいは目標としているものが実現できないのかどうかというところは,是非教えてほしいと思います.

川村座長
 いまのお話は,どなたかに質問ということですか.

井部委員
 そうです.ボヤキですが,平林先生,教えてください.

平林委員
 全部についてお答えすることはもちろんできないのですが,法制度の問題かというふうに井部委員はおっしゃいましたので,法律を勉強しているの者として,私が日頃考えているところをちょっと述べさせていただきたいと思います.確かに保助看法の5条で,看護師の業務が療養上の世話と診療の補助というふうに規定されております.そして,「療養上の世話」というのが,本当に看護師の業務内容として適切な言葉であるのかどうかということも,最初に大臣がおっしゃったように,私も問題があろうかと思います.しかし,その法律があるから,看護の現実がこうなっているんだというふうにはならないだろうと思います.というのは,昭和23年に,現行の保助看法ができたときに,それ以前の看護の業務内容が医師の介助を中心としたものであって,それではまずいので,療養上の世話というものを看護本来の役割としてきちんと位置づけて,これこそが看護の業務であるというふうな形で,確か入ってきたと思うのです.そうであるとするなら,まさにその療養上の世話という業務内容,その業務の中にどういう内容を詰めていくか.それがまさに看護に問われていたのではないか.もちろん,現実は,にもかかわらず川越先生のようなお医者さんばかりではなくて,法律が変わったにもかかわらず,従前の「医師と看護師との関係」という意識をもったお医者さんが少なからずいたという,現実もあっただろうと思います.しかし,その法律があったから,現実とあるべき看護論が食い違ってしまったというふうには,当然には言えないと思っております.その点だけ,お答えになったかどうかはわかりませんが,申し上げさせていただきます.

平林委員
 私はそのほうが動きやすいと思います.お医者さんたちでも,別に「医行為とは何か」ということが法律で規定されているわけではなくて,「医師でなければ医業をなしてはならない」という医師法17条があって,その解釈の中で「医行為とは何か」ということが議論されていくわけですが,具体的な医行為の内容は医学の進歩に従って決まっていくわけですから,看護についても同じような枠組みができれば,そのほうがずっと看護としてはやりやすいのではないか.法律で決めなければ何も動けないというのは,私はやはりおかしいというのが,いつも申し上げていることです.

柳田委員
 私も,先ほど川越先生がおっしゃったご意見と,同様なことを思っているのですが,いま医学の世界では,EBM(Evidence Based Medicine)に基づいた診療の必要性が論議されていますが,
 今のお話を聞くと,もう医師は要らないのではないかというような感じもあります.第三の医療の場と言われる在宅医療者の看護が始まったのは,大体1970年代半ば頃からで,そこそこ20年くらいであるわけです.そこで,訪問看護を行う場合に,どのような行為を決めていかなければならないかということですが,現在の状態は,訪問看護者ごとに,また訪問看護ステーションごとに行われていて,ときには許容範囲を逸脱している事例もあるというふうにお聞きしています.それで,平成元年の「厚生科学研究」に「医療行為及び医療関係職種に関する法医学的研究」というのがあります.参考までに申し上げますと,「医療施設外の医行為は,医療施設内の場合よりも指示の期間を含め,より個別的,具体的に行われる必要があるとしている」.そしてさらに医学的な検討が必要としながらも,医行為の具体例を挙げています.これは原文のままですが,これと,フランスの例とか外国の例を比較すればよいのではないかと思うのです.「医師の指示を必要とする医行為」というのが,包括的指示による医行為,これが安静度(入浴,排便など),食事指導,理学療法,浣腸,経管栄養管理,バルーンカテーテル交換,膀胱洗浄,導尿,人工肛門管理,吸引,ネブライザー,包帯交換,褥瘡管理となっています.また,具体的な指示による医行為として,静脈採血,心電図,与薬(経口,経鼻,経皮膚,膀胱内),注射(皮下,筋肉),点滴の交換,生命維持管理装置の操作(在宅酸素,人工呼吸器,CAPD). それから,医師の指示を必ずしも必要としない医行為例(包括指導監督は必要である)として,バイタルサインの検査(脈拍,体温,呼吸数,血圧),採尿,褥瘡の予防,内服薬管理となっています.これは1つの研究報告であって,国の公式の見解ではありませんが,ある地方では訪問看護制度モデル事業を始めるに当たって,これを基準として,医行為を始め,現在も継承して用いているところもあるようです.ですから,やはりどうしても訪問看護師さんが行う医行為というものを,やはり具体的に検討する必要があるわけで,まさにそれをいまやっているわけですが,また,ある所で,例えば,ちょっと具体的になりますが,養護学校が,医療法の17条とか保助看法の31条,37条に抵触するおそれがあることから,養護教諭を含めた教職員が,なかなか対応できないということで,在宅医療では,患者本人による自己注射とか,家族による経管栄養,酸素療法などの操作が許されているのですが,大部分の養護学校において,原則的には保護者によって対応がなされているのですが,学校に看護師を配置したり,訪問看護を利用している事例も出てきているわけです.それで,秋田県で,「養護学校における医療的ケアのあり方に関する調査研究報告」ということで,「医療的ケアが必要な通学児童生徒学習支援事業」として,学校で看護師による医療的ケアの実施が可能と学校医が判断して校長が認めて,主治医の適切な指示の下に実施できる場合に限って行う.そして看護師は緊急事態を除き,指示書以外の医療行為をすることは許されていない.こういうようなことですが,こういうことでも現在,議論が行われているような状態であるということで,こういう問題もあるということを一応ご報告申し上げておきたいと思います.

平林委員
 私が申し上げたのは,療養上の世話についての議論で,いま柳田委員がおっしゃったのは,むしろ診療の補助と医行為との関係の議論ですので,その点だけ申し上げておきます.

井部委員
 いまの議論の中で,療養上の世話と診療の補助というのは,二極分化で,並列で論じられるのですが,実は現場はそういうことではなくて,療養上の世話の中に,かなり医行為が入るし,医学的な判断をしなければならない.病人ですから,そういうことがたくさん含まれているのです.これは療養上の世話なのか,診療の補助なのかという,二極分化して考えること自体が非現実的であるわけです.ですから,「世話」の中に「医行為」が入り,「医行為」の中に「世話」が入るというような,非常に込み入った現実があって,そこが私たちのフラストレーションになっている部分かもしれないと思います.

柳田委員
 私が情報をもっている限りでは,医行為というものは,医師の医学的判断及び技術をするのでなければ,人体に危害を及ぼし,または及ぼす恐れのある行為と定義されているわけです.それで,医行為のうち,医師または歯科医師が常に自ら行わなければならない高度な医行為を「絶対的医行為」といい,その他は「相対的医行為」と言っています.ですから,相対的医行為は医師以外の医療従事者にも行わせることができますが,個々の行為を行わせるか否かということは,医療従事者の能力を勘案して医師の判断によるというふうにされているという,現在はそういう状況であるということを,情報としてはもっております.

上野委員
 いまの論点とちょっとズレるかもしれませんが,今回は指示の問題だと思うのです.これは本当に些細な事例ですが,訪問看護ステーションが抱えている問題で,1つは,ちょっと知能レベルが低い方が独居でいらっしゃったのですが,その方は糖尿病があって,管理ができなくて入院された.それで退院されるに当たって,病院の医師が入院中にインスリンで治療を行って,インスリンは自己注射ができないので内服に切り換えて,内服の管理を訪問看護ステーションに依頼をしたという状況だったのです.ところが在宅に戻るので,その後は開業医の先生にお願いするという形になったのですが,その方は,何とかバスで開業医までは行くことができるという状況で,開業医の先生は,バスで来れるので,「訪問看護は必要がない」とおっしゃるんですね.ところが,この方の生活レベルとか,生活歴から見ると,訪問看護がきちんと入って,内服をきちんとチェックしていかないと,保健指導,健康管理のことができないだろうという予測ができるわけなのですが,ところが医師は,それが医師法と保助看法違反だとおっしゃるんですね.それがどういうことかと言うと,例えば,在宅療養の指示を出す,老人の場合は寝たきりまたは寝たきりのおそれにある人という条文がありますし,それから1つは医師の指示によるというのもあるのですが,寝たきりでもなくて,寝たきりになるおそれもあるわけではなくて,バスで通って来れるのではないかと.そういう人には私は指示は出せないとおっしゃるのです.そうすると,訪問看護としてはどうしてもその人にとって看護は必要なんだと言っても認めてもらえなければ,みすみす悪化してまた再入院することが予測されるのに,手を引かなければいけないのかという現実の問題が出ているわけです.ですから,医師が例えば訪問のステーションに指示を出すというところの指示のあり方とか,それからそれを医師法と,保助看法の違反などと言われたら非常に困ってしまうのですが,その辺りをどのようにこれから捉えていくのかと.本当にローカルではありがちな情報提供なのですが,現場はそういうところでも困っているということです.それと,柳田先生が先ほどおっしゃっていた「訪問看護における,許容範囲を逸脱した行為」と言うのは,例えばどのようなことだったかをちょっとお伺いしたいと思いますが.

柳田委員
 その内容は詳しくはわからないのですが,そういうようなものもあったとお聞きしているのですが.ですから,例えばしてはならない行為とか,そういうことだろうと思うんですが,現在のその基準といいますか.例えば,医療的ケアというのは何を示すのかというのは,実際あいまいであるわけで,明確な定義がないわけですね.例えば,全国の養護学校におきまして医療的ケアとして実施されているのは,癲癇の発作時の坐薬の挿入であるとか,あるいは経管栄養であるとか,鼻腔,口腔の吸引というのが多いのですが,これが果たして医行為に相当するのか,これもはっきりしていないわけです.これらの行為を医療行為とみなした所は看護師をまず秋田県辺りでは配置して,そうでない場合は教員に行わせているという状況が現実にあるわけでして,その辺がまだあいまいですから,これからまた議論を押し深めていかなければならないことだろうと思いますが,そのような現実があります.

川村座長
 大変ありがとうございました.これから議論する課題が見えてきたというところがあります.最後に折角大臣がおいでくださいましたので,何かこの検討会に対してのご期待なり,また何か感想をお聞かせいただければ幸いです.

坂口大臣
 いろいろな角度からご議論いただいて,かなり話はつまってきたという感じがいたします.厚生労働省の考えでなく,私個人の考えを失礼ですが申し上げますと,私は看護婦さんというのは決してリトルドクターになることではないと思っております.先ほど申しましたように,ベッドサイドで最も患者さんに近い存在でありますので,やはりナースの皆さん方がお持ちになる情報というのは医師の診断にとりまして,これは大変な存在であり,そして大きなものであると,私は率直に思っております.先ほど川越先生がおっしゃったように,チーム医療になってまいりますと余計でありまして,これからどういうチームを作って,その中の役割をどうしていくかということが問われるのではないかと思います.そのときには,柳田先生がおっしゃったように,いわゆる行き過ぎてしまうと申しますか,リトルドクターの分野に入り過ぎてしまうといけないので,むしろいろいろの医療上の補助はやりながらも,しかし看護師さんに必要な分野というのは私は大きいというふうに思っていまして,そこをこれからどのように確立をしていただけるのか.それはあるいは厚生労働省をはじめ役所の側にもいろいろ問題があるのかもしれない.それは我々も考えて行かなければならないだろうと思っております.しかし,そうしたことをそうしたこととしながら,現場におきましては,やはり大きなことでなくてもいいからこういうことをやろうという現場の積み重ね,医師なら医師に対してこういったことを主張していこうという何か積み重ねみたいなものも私は必要ではないかという気がしております.いままで看護婦さんの運動と聞いて,私が知っている範囲は限られていますが,かつて,時間内に早く帰る運動であるとかいろいろ運動があったように思いますが,しかし,看護師さんとして何をして行くかという前向きな,これを1つ我々は取り組んで行く,これを1つやって行こうというところを,不幸にして私はいままで聞いて来なかったものですから.いや,それはたくさん皆さん方の中にはあるのだと思いますが,その辺のところも今後お考えをいただけるように役所の側も協力をしていかなければならないと思っております.医師のやりますことには,例えば,診療報酬には点数が付いておりますし,薬剤師さんは薬剤師さんで処方していただく処方料というのでしょうか,点数が付いているし,あるいは検査技師さんには検査技師さんとしての点数が付いている.看護師さんの場合も付いてはいるのでしょうが,頭数で処理されていると言ったら少し語弊がありますが,そういう面もある.これらの点は若干我々も考えて行かなければならない今後の課題ではないかと,先ほどから思いながら少し聞いています.柳田先生がご指摘になりますように,医師の行うことの範囲の中に入り込んで行くというのは,私はいろいろの問題があると思いますので,そうではなくて「助言する」という言葉がいいのかどうかわかりませんが,医師に対して患者さんの状況について常に報告する,あるいは状況を伝える,そうした中に私は看護師さんの本来の仕事というのは育っていくような気がしております.これは私の個人的な意見でありますから,ひとつその上でお聞きいただきたいと思います.今日はいろいろと平林先生からもご意見いただきました,「療養上の世話」という言葉をあまり具体的にしてしまうと,できにくくなってしまうというご意見も,なるほどそうかなという新しい角度からお話をいただいて,大変参考になりましたし,そうしたことも私もこれからまだまだ充分ではありませんので,皆さんと一緒に考えさせていただきたいと思っております.今後ともお世話になりますが,どうぞよろしくお願いいたします.

20020819 第3回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
勝又補佐
 資料ですが,「検討会議事次第」,「新たな看護のあり方に関する検討会メンバー表」と,資料を1から4まで準備しております.資料1が「看護師等による静脈注射の調査結果」,資料2が「聖隷福祉事業団の運営する訪問看護ステーションの取り組み」,資料3が「在宅ホスピスケア専門チーム(グループ・パリアン)による在宅ホスピスケアの実践」,資料4が「看護師等による静脈注射の実施について」という4部の資料です.

川村座長
 皆様のお手元にいまのものがおありでしょうか.それでは,議事に入らせていただきます.本日は,ご案内にもありましたように,「看護師等による静脈注射の実施について」を検討していきたいと思います.まず,事務局から,「看護師等による静脈注射に係る調査」について資料が提出されておりますので,ご説明をお願いいたします.

武田企画官
 資料1で説明させていただきます.一部第1回の資料と重複がありますので,ごく簡単にお話申し上げたいと思います.1頁目ですが,「看護師等が行う静脈注射についての調査結果」で,1つ目が「医師の認識」」です.900病院から回答があった247の対象病院に勤務する医師に対する調査です.この1頁目は第1回の本検討会で出させていただいたものと同じです.前にご説明申し上げたとおりですが,94%の医師が看護師・准看護師に静脈注射を指示していること,95%の医師が,看護職員の静脈注射実施は相対的行為と受け止めていること,静脈注射の範囲は,静脈注射が88%,点滴静脈注射が93%,輸血が49%であること,静脈注射を実施する看護職員の能力について,今後必要なものとして,薬剤知識,感染・安全対策,法的責任という回答が多かったことなど,ご説明させていただいたとおりです.2頁目も同様に,「看護管理者の認識」ということで,前々回にお出しした資料と同様ですが,看護管理者の認識としても,90%の看護師・准看護師が日常業務として静脈注射を実施していること,60%の施設で静脈注射マニュアルを看護部で作成していること,52%の看護管理者が,静脈注射は診療の補助業務の範囲というふうに認識していること,今後の能力の問題については,基本的に医師の認識とそれほど大きな差はありませんが,薬剤知識や法的責任,患者の状況の判断が必要という回答が多く寄せられました.3頁目が「訪問看護ステーションの管理者の認識」で,300の訪問看護ステーションを抽出して,その中から回答があった171の訪問看護ステーションの管理者の認識を集計したものです.60%の訪問看護ステーションで静脈注射を実施しているということで,若干,病院におけるパーセンテージよりも低くなっておりますが,これは,実際にやるべきかどうか,ニーズがあるかどうかということでは,85%の訪問看護ステーションでは,そのニーズとして,利用者ニーズがあるという回答でした.法的・教育的条件の整備がなされれば,看護師の静脈注射を実施することに賛成という回答が86%でした.これについては,後ろに出てきます.4頁は,調査自体は同じ調査ですが,第1回の検討会の時点では集計が途中であったため,今回新たにお出しする資料です.「静脈注射の実施前後の関連業務を個々に見た場合に誰がやっているか」,医師,看護師,准看護師それぞれのパーセンテージをとったものです.グラフを見ていただきますと,左から「医師の指示受け」,「患者・家族への説明」,「アセスメント」,「薬剤混合」,「注射刺入」と,大まかに申し上げれば,左から右のほうに時系列的に並んでいるようなことで,「注射刺入」から「経過観察」,「抜針」,「記録をとる」とか,そのほか,「医師の介助」,「抗癌剤注射」,「輸血」について,それぞれまた別途項目を立てているわけです.冒頭の資料にありますように,ほとんどの現場で,看護師による静脈注射業務が行われているということがありますが,個々に見れば,いくつか看護師による行為が低くなっているものがあります.特徴的なところをいくつか箱の中に挙げております.いちばん左の部分ですが,「医師の指示うけ」は看護師の90%が実施しておりますが,ほかと比べて,看護師と准看護師の実施率の差が比較的明らかに出ているのは,この分野で,看護師の90%に比べて,准看護師の実施は44%になっております.右のほうの「抗癌剤注射」については,36%の看護師,28%の准看護師により実施されておりますが,医師の実施は61%で,非常に高い割合になっております.いちばん右の「輸血」の実施は58%の看護師,46%の准看護師が実施しておりますが,医師により47%実施されています.逆に申し上げれば,「抗癌剤注射」,「輸血」という領域についてであっても,3割から4割,あるいは5割の現場で,看護師業務として実施される,というふうに見ることもできるのではないかと思います.それ以外については,看護師・准看護師により実施されている割合が非常に高くなって,准看護師による実施率が若干看護師よりも低いという共通の傾向が見られます.「刺入」と「抜針」を見ると,入れる時は医師の関与が高い所もありますが,抜く時には関与が低いとか,さまざま,それぞれ細かく見ていくと,興味深いデータなのかもしれません.5頁は,「看護職員の静脈注射教育」で,先ほど薬剤知識その他について,看護師の能力が問われるというデータもありましたが,同じ調査でして,306の対象病院に勤務する看護実務管理者,301の対象病院に勤務する看護管理者などからご回答いただいたものです.まず上のほうの「静脈注射の教育実施状況」ですが,ベッド数で分けてとったものです.ベッド数が多くなるほど,院内教育の実施割合が高くなっております.400ベッド以上ですと,いつも教育実施をしているのは56.3%,大体が20.3%,時にというのが12.5%で,400床以上で言えば,9割を超える病院が静脈注射の教育実施をやっている結果です.下のグラフは,「静脈注射を行うための望ましい教育」で,回答については,いちばん左からいきますと,「看護基礎教育のみ」,いわゆる看護師になるまでの看護教育の中で行うことが望ましいという回答が約4分の1,25%ぐらいですが,「卒後教育を行い全員実施」ということで,学校を出たあと,看護師資格を取って現場に入ったあとでも,教育を行うべきだという回答が41%,52%,62%で,最も多い回答がここのところにきております.「公的認定資格」または,「その他」,「無回答」という状況になっています.6頁は,「訪問看護ステーションが静脈注射を実施するために必要と考えること」で,「法的整備」という回答が多かったことのみを前回お示しさせていただいておりますが,個々の項目に沿って見ますと,「法的整備」が171の回答のうち155,「医師との連携整備」が141,「診療報酬への反映」が92で,先ほど見ていただきましたように,現場では非常にニーズを感じているけれども,実施している訪問看護ステーションが若干低くなっている.そのためには,「法的整備」,「医師との連携の整備」,「診療報酬への反映」が課題となっていることが窺われるものと考えられます.そのほかとしては,「看護基礎教育」,「看護師の施設内教育」が課題となっているということで,私どもとしても,検討項目,検討対象としては,こういうところが主要なポイントになるだろうと考えている次第です.7頁ですが,これも第1回目の検討会でお出しした資料ですが,「医療保険における取り扱い」として,「在宅医療で使用できる薬」が個別列挙になっているということ,在宅医療が中心になる前の通知ですので,そういう時代背景もあってのことかと思いますが,「非常に通院中心,また通院できない場合も内服薬が優先される云々」の記述がありまして,こういった点を含めて,現時点で見直しの必要があるかどうかの議論が必要ではないかということで,添付させていただきました.事務局から,資料1については以上です.

上野委員
 聖隷福祉事業団の上野です.ステーションの状況を簡単にお話しましたが,私の関連している訪問看護ステーションにおいては,14のステーションともに静脈注射,点滴注射等は行っています.ただ,それは,いずれに関しても,医師の指示の下にということですが,医師とのきちんとした指示関係があって初めて行っているという状況です.ただ単に,指示があれば全部行うというのではなくて,一応,実施に当たっては,取り決め事項を決めているということで,まず第1点は,医師と利用者,ステーションの関係の中で信頼関係があることということです.例えば,利用者や家族がどうしても在宅で生活したいとか,在宅で死にたい,在宅で生活させてあげたいという思いがあって,それをサポートする医師からの指示があった場合行うということです.
 第2点目は,医師との関係で,何らかの約束事をしているということです.プロトコールができる前は,点滴の依頼があって,医師との信頼関係の下に,「じゃあ,先生,何かの時,責任もっていただけますか」などということを言いながら,きちんとお話をして,指示を受けていた現状があったわけですが,いま実際にはプロトコールは,老人保健健康増進推進等事業で,川村先生が主任研究者として行っていて,もう3年目で,昨年度のまとめも出来上がったわけですが,そのプロトコールに基づきながら,実際,医師と契約書と言いますか,協定書を交わして行っている状況です.
 3点目は,実施する場合は,初回は必ず医師と同行訪問して,必ず医師が実施し,その場で指示を受けて,注意事項とか安全性の確認をしていく,というふうにしています.指示があればすべて実施するのかと言うと,そうではなくて,どのような場合に指示を受けるかということですが,本人,家族が最後まで在宅希望して,脱水だけの目的で,入院を回避できるというところには実施しようと.やはり,これは本当に医師との信頼関係がなければ駄目ですので,医師との信頼関係があって,プロトコールを提示して,契約ができた場合と,介護者が,やはりキーになってきますので,判断できる介護者がいる場合と,ステーションが状態をきちんとアセスメントして対応できると判断した場合と一応決めています.
 責任の所在に関しては,考えていかなければいけないと思います.先ほどの報告書の中にありましたが,薬剤の入手,調剤薬局との関係,手技料をどうするかという課題があると思います. もう一つは,500ccだったら2時間ぐらいだと思うのですが,抜針する時に,受ける時間の確保も必要かと思っています.例えば,一旦,帰ってもう一回訪問に行くという体制がとれるかということと,その時間をどう確保するかということが大事ではないかと思います.癌末期等ですと,復数回訪問があるのですが,そうでない場合は,復数回訪問はありませんので,復数回訪問をどう考えていくかということも一つの課題かと思っています.点滴中,ずっと看護師が付いていられるかどうかというところも一つ考えていかなければいけないのではないかと思っています. いろいろな課題があると思いますが,訪問看護は在宅ケアの中核をなすと言われていますので,私たちも精一杯頑張っていきたいと思いますし,どう支援すれば,在宅療養者が安全で安心な生活ができるかを考えていければと思っています.以上で終わります.

井部委員
 川越先生に伺います.大変貴重なお話をありがとうございました.最後のまとめの2つ目,未来を見据えた法整備が必要,という説明の中にモルヒネの話が出ました.そのほかに,未来を見据えてどんな法整備が現在考えられるでしょうか.

川越委員
 私は一般的な話はできませんので,その点ご勘弁いただきたいのですが,例えば死亡診断.現実に私は20人診ておりますと,月に平均7人,多いときは12〜13名について死亡診断書を書かなければいけないのです.もちろん,いまの法的な規制に沿った形で死亡診断書を書いております.悪くなったら必ず患者さんの所へ行くようにしておりますから,診察は24時間以内にしておりますが,この辺の死亡診断の規制というものを,もう少し緩和していただけたら,ありがたいなと思っております.癌の方の在宅死は6%ですから,いま全国で年間,大体2万人亡くなっているわけですが,このパーセントをもっともっと増やせば,医療経済的にも非常に効果がありますし,患者さんもそう望んでおります.実際に私たちのような形の在宅ホスピスケアの提供を考えていった場合には,やはり死亡診断をどうするかという1つのことでも,ある意味で非常に大きなネックになっているわけです.そういうことも含めて,もちろんモルヒネのこともありますね.あとはどういうことかな.いま思い付くのは,そんなところですが,例えば在宅で公共機関でやるといったとき,その分野ではここを,もうちょっとこうして欲しいなというものがあるのではないかと思って,そのようなことを表現いたしました.

平林委員
 少しきつく言えば,それで話が済むのであれば,この問題はもっと早く話が済んでいただろうと思います.今回のこの問題は,いわゆる1つの行政解釈を厚生労働省が改めましょうということであって,法律改正でも何でもないわけです.医療安全の問題は,各病院の自助努力に委ねるというのが,厚生労働省の基本方針であるということは,私も少しは承知しておりますが,今回の問題は事の良し悪しは別として,静脈注射には人体に対する危険性があって,技術的に困難であるという理由で,保助看法の業務の範囲には入らないという行政解釈を,厚生労働省が示したことによって,看護界が一方でその解釈に従って,静脈注射を看護師が行うことは違法であるというように認識しつつ,他方,現実問題として静脈注射をやらざるを得ない状態にあって,あるいは押し付けられる状態にあってやってきているという問題を,どう解決するかということにあるわけです.
 私自身の自論は,ここではあまり言わないほうがいいのかもしれませんから,差し控えますが,厚生労働省としてそういう行政解釈を変更する場面において,これまでの状況を考えると,私としてはいま少し踏み込んだ形での指針をこの中で出したほうが,問題の解決はずっとスムーズにいくだろうと思っておりますから,先ほど言ったようなことを申し上げました.私がいつも言っていることの途中を抜かして,結論だけ申し上げましたので,分かりづらいと思いますが.

井部委員
 2点質問があります.1つは,静脈注射の内容についてです.中心静脈と末梢静脈の確保ということでは,最近ではIVHということで,中心静脈がかなり多く使われているという説明が先ほどありましたが,静脈注射には中心静脈の確保まで入るのかどうかが1点です.静脈注射というと,静脈点滴注射と,ワンショットで入れる静脈注射と,中心静脈からの点滴注射というのが,現状ではあると思うのですが,それら3点を含んでいるのかどうか.最後の中心静脈点滴注射というのが,もしこの中に含まれているとすると,かなりの技術教育をしなければならないのですが,その辺はいかがでしょうか.

看護課長
 装着というか,中心静脈ルートの設定のことをおっしゃっているのですね.

井部委員
 ええ.

看護課長
 挿入して,ちゃんと確認もして,縫合もするということまで含めて考えていらっしゃるわけですね.

井部委員
 このままでいくと,中心静脈の刺入も入る可能性があるのです.

看護課長
 ただ通常,切開をして縫合もしなければならないということを考えると,いまの段階で私たちが,ここまでナースの仕事にしてもいいと考えているわけではありません.そこは従来どおり医師がやるべきものではないでしょうか.またいろいろな技術レベルでの発展,あるいは看護教育や継続教育のあり方など,20年後,30年後にどのようなことが起こるかは想像できませんが,そういうことも含めて,考えておくべきことかなとは思っております.

井部委員
 そのことは通知変更の範囲からは除外する,といったことは書かれるのでしょうか.

看護課長
 明示はしません.

井部委員
 そうすると私は,疑義照会があるのではないかと思うのですが.

武田企画官
 そういうことは,何らかの形で明らかにしなければならないのかもしれませんが,静脈注射という1つの業務があって,その中に先ほどご指摘いただいた,いくつかのパターンがあって,さらにその行為でIVHを分解して,ここからここまでいく手順のうち,どれとどれが良くて,どれとどれが駄目だというような細かい議論を1つ1つしていくことが妥当かどうかということも,議論としてはあるのではないかと思います.また,そういう1つ1つの手順を通知の上で明確化しなくても,当然医行為に当たるものは,絶対的医行為に当たるという認識です.先ほど「切開」とか「縫合」という言葉で出ましたが,従来から考えられている医行為は除外しなくても,これまでの絶対的医行為というジャンルに入るということで,整理は可能だと思いますが,現実にはQ&Aのような形で出さなければいけないのかもしれません.基本的な考え方としては,そういうことです.

中村審議官
 平林委員からも井部委員からも,ほかの委員の方からも,いろいろなご意見をいただいておりますが,基本的にいままでナースの方は,一切できないとされていたという解釈問題で,黒か白かという話ですので,それを変えるとなりますと,資料4にありますように,「看護師等が静脈注射を実施できるものとする」ということで,何ら身も蓋もないじゃないかとお思いになるかもしれません.そういう解釈にきちんと立ったとして,実際に看護の卒前の教育や国家試験を受けられて,実際に現場で研修されるという問題もあると思いますし,そこのところがスムーズにいくということと,実際に今日も現場でやられているということも踏まえた上で,解釈をこういうように改めたことにより安全に.しかし解釈を変更することで,その実態が変わるわけではありませんので,私は安全の問題は生じないと,個人的には思っていますが,厚生労働省としては,解釈を改めるわけですから,それによって万が一,安全に欠けるようなことがあってはいけませんので,そういうことについて,きちんといろいろな意味での説明をするとか,体制の整備を図るという努力は,精一杯しなければならないと思っております.ただ,それについては平林委員がおっしゃる意味での,ガイドラインという方法が適切なのか,内布委員がおっしゃっていたように,例えば一定期間はやってはいけないというような行政指導が適切なのか,という議論はあると思います.先ほど企画官が申し上げたように,医療現場は非常に複雑多岐で,さまざまなレベルがあり,さまざまな状況で行われておりますので,解釈通知なり,どんな解釈をしても必ずその先の議論が出てきて,この場合はどうだ,この場合はどうだという話になると思います.私どもの基本的なスタンスとしては,医療の現場の複雑性,それぞれの現場で,まさに患者さんのために最善と思ってやっておられることは,基本的に尊重してやるべきではないかと思っております.ここまではどう,ここまではどうというように細かくやればやるほど,常に静脈注射の次は何で,その静脈注射のAは良くてBはどうで,ある所ではBは良くてCはよくてというように,無限にいってしまうのではないかと考えております. 基本的な安全対策なり,今回の解釈の変更なりは,資料4の2頁にありますように,「具体的対策」をやっていく中で,いま先生方から出たご意見を踏まえて,看護課のほうで是非いちばんうまい形で,まとめてもらいたいと思っております.基本的な哲学としては,事の性格上,黒か白かというところで,今まではそういうライン引きを黒としていたものを白とするということで,現象面から見ると,それでは何でもありなのだなととらえてしまって,不安なり,ナースの方たちに対して,余分なプレッシャーがかかるのではないかというご懸念もあると思いますが,解釈通知の変更の際もそういうことがないよう,基本的にそれを補充するような何らかの文言を入れるとか,それぞれの教育内容の提示とか,そういうことを総合的に講ずる中で,いま委員の方々からいただいたようなご意見は,極力反映したいと思っているということを,ご説明させていただきたいと思い,発言させていただきました.

西澤委員
 この案についてですが,「静脈注射」と言ったときのとらえ方が,まちまちだと思うのです.広く中心静脈までとらえる場合もありますし,例えばこの調査で見ても,静脈注射,点滴静脈注射,輸液というように,静脈注射の範囲を分けているのですが,これを広くとらえるか狭くとらえるかで,全く違うわけです.ここら辺は今回出すにしても,やはりもうちょっと定義付けをしたほうがいいと思います.というのは,昭和26年ごろに中心静脈注射などはなかったわけですから,そういうことでは今の時期に合わせたものが必要かなと思います.そこでお聞きしたいのは,案の中の「看護師等」の「等」の意味です.文章の中で2と3は,「看護職員」という言葉を使っております.この具体的な範囲内だけを教えていただければと思います.

看護課長
 私どもが「看護師等」と申しますときも,「看護職員」と申しますときも,保助看法に定められている保健師,助産師,看護師,准看護師の4職種を指しております.

西澤委員
 では,この「等」と「職員」は同じですね.

看護課長
 同じです.「看護師等の人材確保の促進に関する法律」という法律がありますが,そのときにも4職種を指しますし,それ以外に役所で出しているさまざまな文章に,「看護職員」と書いてある場合も,全く同じです.

西澤委員
 はい,わかりました.

内布委員
 この委員会には直接関係ないのですが,いまは実習のときに注射ができない状況にあるというお話を先ほどしました.外国の例を見ていますと病院に関しては,教員の指導の下に,学生がやりますということをちゃんと明示して,実習している所も結構あって,ナースボードがそれをちゃんと書いている所もあるのです.ですから,そういうことがさきほどの「臨床能力の向上に関する検討会」のほうで,検討できないでしょうか.薬理の時間に関しては,私は非常に少ないと認識していたのですが,あれはスペシャリストの教育の時間だったので,ジェネラリストのほうをもう一度調べましたら,日本は遜色ないどころか,大学での薬理の時間は少し多かったのです.私は,1回目にそういう発言をしたので,ここで訂正させてもらいたいと思います.

20020819 第4回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
川村座長
 皆様,こんにちは.本日の議事に入る前に,前回ご議論をいただきました静脈注射の取扱いに関して,國井委員が一言ご発言されたいということですので,どうぞよろしくお願いします.

國井委員
 議論の中で,いままでは静脈注射は法的には認められていないけれどもずっと隠れてなされていたということで,その辺の安全確保というところでは非常に心配な面があったわけですが,今回,この法解釈によって安全確保ということがさらに厳しく求められ,それを整えることが我々に非常に求められているのだと思います.本協会でも,その辺は先頭に立って会員を初めいろいろな施設に働きかけて,その確保に努力していこうと思いますが,一方,安全を確保していくというところでいろいろな要員の確保や教育にかかる費用など,必ず費用的なことも伴ってきます.それがゆえに,そういう高い基準で要員配置をしている所や教育を整えている所は診療報酬で評価を高くするとか何なりの経済的な評価ができるような検討を是非載せてもらいたいということ.我々の所では専門看護師や認定看護師の育成をしておりまして,特に危険の高い化学療法等に関しては,がん化学療法認定看護師というものを育成しております.薬剤の知識,取扱い等,それによる副作用等の管理にも非常に体系的な知識と技術ということで,しっかりした教育を受けた認定看護師が世の中に出ております.是非,そういう人たちを配置して化学療法等の所に活用しているような施設をきちっと評価するとか,患者さんの安全のために努力している所を評価するような制度の所に是非反映させてほしい,という要望です.以上です.よろしくお願いいたします.

川村座長
 本日は,緩和ケアにおける疼痛管理等についてご検討いただきたいと思います.まず,事務局から,麻薬の取扱いの現状について説明をお願いいたします.

平賀部長
 4頁目の照会事項に対する麻薬課長の通知の所で「直接の監督又は指示の下に」という,この「直接の」という意味はどうなのですか.この「直接の」というのが非常に引っかかってくるのだと思います.要するに,現場にドクターがいなければいけないものかどうか,ということがちょっと疑問に感じてしまうのです.この表現も「直接の」という文字がなくて「監督又は指示の下に」というのであれば,今まで私は,そのようにしておりましたが.

看護課長
 いま私の所で,この「直接の」という意味合いをどのように解釈するかということを十分に説明できる準備がありませんが,通常,この通知を出していた時期であれば病院内,医療施設内ということを想定して考えられていたのではないか,とは思いながらいまこれを見ますけれども.

武田企画官
 麻薬課長通知なので基本的に麻薬課のほうに正式なご回答をいただかなければならないと思いますが,もし立会いを必要とする場合は「立会い」というふうに明示的に書くと思いますので,「直接の監督又は指示」と書いてありますが,それほど必ず目の前にいなければならないということではないだろうと思います.

川村座長
 よろしいでしょうか.それでは,次のプログラムに進ませていただきます.本日は,ゲストスピーカーとして国立がんセンター中央病院手術部長の平賀先生に,「がん疼痛管理治療ガイドライン」についてお話をしていただくことになっております.どうぞ,よろしくお願いいたします.

平賀部長
 お配りしてある資料に従って説明していきます.田村課長からのリクエストは,作成の背景,主な構成,ガイドラインの効果,普及に向けてという4項目でした.作成の背景に関しては,WHOのがん疼痛治療ガイドラインが発刊されましてから10年目の1996年に,日本緩和医療学会が北海道で開催されました.
 私があるときにぎっくり腰になり,ロキソニンを飲みましたら,蕁麻疹が出て痒みが出ました.痛いときに,ただ寝ていてもつまらないですから,「痛み」,「痒み」の他にないかと一生懸命考えているうちに,「苦しみ」,「悩み」,「妬み」,「僻み」,「憎しみ」と次々と思いつきました.これはみんな情動を伴います.こういう言葉というのは非常に面白くて,日本語は語尾でいろいろと変化していきます.英語では,3つのSというふうに頭文字で表現していますが,日本語は末尾の変化ではないかと思います.末尾に「み」がつく言葉の中の「痛み」と「痒み」は,身体的な感覚が加わります.身体的なものには医学的な対応,情動的なものには社会のバックアップを含めていろいろやらなければいけないのではないかと思います.「み」が付くポジティブな言葉は何があるかということですが,「微笑み」,「親しみ」という言葉がすぐ浮かんでくる人は,将来病気になっても非常に明るい人生を送れると思います.多分,病院の中では「親しみ」という段階にしかならないのではないか.なぜならば,諺に「親しき中にも礼儀あり」という言葉があります.では,「馴染み」は何かというと,「幼な馴染み」ということで,医療の世界に「馴染み」ということがあるとすれば,それは家庭医の先生と患者さんの付き合いしかないのではないか.がん患者さんの場合にも医師と患者さんの関係が馴染みになる可能性がありますね.がんの経過が長いですから.患者さんの馴染みの人は,馴染みの味は,馴染みの環境は?などが満たされたときに痛みは軽減することでしょう.がん患者さんは在宅の方が痛みが少ないとの報告がありますが,当然の帰結であるような気がします.以上です.

内布委員
 それでは,「症状マネジメントにおける看護師の役割」ということでお話を15分間させていただきます.最初の頁ですが,看護の質を構成する技術について,私どもは1995年に1度調査をいたしました.兵庫県立看護大学の片田教授を中心とした班で始めましたが,そのときにがん性疼痛に限らず,いろいろな痛みがあります.例えば小児などの場合は,注射をすることが痛い.IVHを入れることが痛い.そういう痛い処置というのは,医療現場では非常にたくさんあります.そういう痛みを緩和していく看護師が持っている技術とは何だろうかということを調査したことがありました.それは質的な調査で,参加観察をいたしまして,そのデータの内容を細かく分析していきました.看護師は,患者さんがどのような痛みを持っていらっしゃるかということを,読み取っていく技術が非常に優れておりまして,確かにそういう技術を具体的に持っております.それから,患者さんが痛んでいらっしゃる場の読取りということがありまして,例えばその場に母親がいたり,重要他者がいたりする状況がありますが,そういうことを読み取っております.患者さんがそれに耐えていく力.がんの場合は取れませんので耐えることはできませんから,痛みを取るという方向にいくわけですが,例えばちょっとした処置などは,少しの痛みを耐えなければいけない.そういう場合は,患者さんがそれに耐えていくために,いま何を行っていますよとか,お薬を投与しましたが,あと20分ぐらいで効いてきますよとか,そういうふうに先を見せていくことを盛んに行っている姿が観察されました.実際に痛みの介入技術として,お薬を投与するとか,暖める,マッサージなどを実際にやっておりました. そういうことが看護の技術としては実際にあるわけです.これはPatricia J.Larsonという方がつくられた,インテグレーテッド・アプローチ・フォア・シンプトム・マネージメントという,統合的なアプローチで,看護に焦点を当ててつくられたアプローチのモデルです.これはがんの患者さんを中心につくられたものです.こういう手順を踏んでいくと,うまくいくのではないかと.この方は兵庫県立看護大学の元教授で,アメリカで開発したものを私どものところに持ってこられて,いま淀川キリスト教病院などで実際にこのモデルを使っていただいています.最初に痛みの定義自体が共有できていないと,痛みというのはその人が感じるとおりのものでありというのがあるのですが,痛みというのは,もちろん主観的なのですが,その人はわがままで言っているのではないかとか,プラシーボは効くかもしれないとか,そういう定義で迫られてしまいますと,とても共有してやっていけない.それからすごく大事なのは,患者さんは服薬等に関して自己管理能力というのをお持ちなのです.もともと患者さんはそういう能力をお持ちなのですが,やはり教えてもらわないとわからないということはたくさんございまして,それをわかりやすく教えていくということが必要で,この方がどれぐらいその事がおできになるのかということを細かく見ていく必要があると思います.それから家族がどこまでできるのか,それで医療者がどこを支えればこの人の麻薬の管理はうまくいくのか,ということを査定する技術を看護師は教育されていると思います.

川村座長
 どうもありがとうございました.引き続いて藤上先生に薬剤師さんの立場からお願いいたします.

藤上委員
 それではご紹介いたします.平成6年の10月から調剤法の中に在宅訪問薬剤管理指導が認められまして,在宅医療に対する薬剤師の活動が本格的に始まっております.今日は「在宅医療における薬剤師の役割」ということで,疼痛緩和医療を中心にご紹介したいと思います.

川越委員
 2つのことをお話したいと思います.1つは全国調査のことと,もう1つは私の個人的なことで,末期がんの方を診ていて,特に看護師さんたちがこういう仕事をやっていただけたら助かるんだなということです.簡単にまとめますと,やはり無床診療所が末期がん患者の在宅ケアを担っているということは間違いないと思いますが,そこでの疼痛管理ということがまだまだであるということが言えると思います.それから,私のほうでやっている経験の中で,いろいろ「新たな看護を考える」ということで,いろいろな現場からの注文がありますので,その話をしたいと思います.場でやっていますと,問題はいくつかあります.是非検討していただきたいのは,順不同になりますが,1つは廃棄の問題です.麻薬の廃棄というのは結構面倒くさいので,私たちの希望としては,患者さんが自宅で処分するという方法を何とか検討していただけないかと思います.例えば,私たちは,患者さんが亡くなった時点で,必ず家族の方に往診したり,訪問看護をするわけですが,私達医療者その立会いの下でトイレにカプセルを開いて粉を流す,そういうことを認めていただく.ちゃんとした記録に残してやるというようなことがあれば,すごく助かります.
 あと,CSIという持続皮下注の件です.これはバルーン式のみが認められているのですが,たぶんシリンジ式にすると,家族が動かしてしまうということを心配されているのではないかと思います.そんなことをいうと,これは実は経口薬についても同じことが言えるわけです.1錠と言っているところを2錠飲むということも当然考えられるわけです.もし,そういうことが理由だとしたら,シリンジ式のポンプも使えるような形で検討していただきたいということでございます.
 それから,看護師さんのほうに是非やっていただきたいことがあります.法的に今後検討していただきたいことですが,その前に医者の占有権でこれはちょっと譲れないということについて話しておきます.1つは麻薬の開始についてであります.これは,やはり医者が決定しなければ,絶対に無理だと思います.もう1つは,麻薬の種類の変更です.容量の変更については,後で話しますが,一定の条件のもとで,看護師の裁量に任せてよいと思います.例えば,MSコンチンからカディアンに変えるということは,あまり問題ないわけですが,いわゆるDDSといわれている変更ですね.例えばMSコンチンからアンペックに移すとか,あるいは経口モルヒネから皮下注,それから硬膜外にやるという場合です.もう1つは製剤とDDS変更です.例えば,モルヒネからフェンタニールパッチへ移行する,しないという問題ですね.こういうものは,やはり医者が絶対にやらなければいけないと考えています.ただ,規制緩和していただきたいのは,用量変更(主に増量)の件なのです.これは実際にやってみたらよくわかりますが,かなり頻繁に量を増やさなければいけないのです.その理由は,主に2つあるのですが,1つは病院から家に帰ってくるとき,必ずしもいい状態で帰ってきていないですね.症状緩和をきっちりするために,帰ってきたときに,増やさなければいけないということがしばしばある.それに,もちろん症状の進行に伴うモルヒネ量の増量ということが必要ですので,これはある一定の包括的な指示を出したときに,看護婦さんがその判断で量を増やすというようなことを認めていただければ,スムーズに,かつ細かい対応が可能になるのではないかと思っています.そのほか,まだ言いたいことが沢山ございますが,全くの現場の話で申しわけないのですが,お願いしておきます.

上野委員
 麻薬のことで,いまの先生の裁量権のことは,私もお願いしたかったのです.そうではなくて,訪問看護ステーションでは衛生材料を扱うことができないという問題がありまして,医師は在総診を取っている場合は,出せないですね.在宅寝たきり患者処置指導管理料を取っていれば,もちろん出せるというのがあるのですが,なかなかそれがないと出せないという状況がありまして,そうすると,利用者が買うかステーションがそれをどうにか調達しなくてはいけないという,いろんな問題があるのです.そこら辺のところは,調剤薬局さんのほうでは,例えば,カテーテル類から,どの程度まで準備ができるのかというところを,今日はちょっと無理かとも思いますので,訪問看護ステーションへの法整備ということもあると思います.次回の検討でも構わないのですが,考えていただければと思います.

川村座長
 これはそう簡単にはいかない話ですね.個別的な話と,法制度の話というのもあると思います.事務局のほうにお預けする形にしまして,よろしいでしょうか.それでは,大変活発なお話をいただきまして,充実した2時間であったと思いますが,時間になりましたので,これで終わりにしたいと思います.大変ご苦労さまでした.

20020906 第5回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
坂口厚生労働大臣
 それでは一言だけご挨拶を申し上げたいと思います.第2回のときにご出席をいただきました皆様方に,私,ご挨拶を申し上げさせていただきましたが,以来,今日で5回目ですか,大変なご議論をいただき心からお礼を申し上げたいと存じます.今日は非常にお忙しい中でございますが,こうして「中間取りまとめ」というところでご出席をいただきましたことにお礼を申し上げたいと存じます.いちばん最初に,この場でご挨拶を申し上げましたときに,看護師の業務というのは保健師助産師看護師法に定められている診療の補助と療養上の世話という,やや漠とした表現になっておりますのは,少し私は気掛かりになっております,ということを申し上げさせていただきました.委員の先生方のほうからは,そこをあまり詰めすぎると幅が狭くなるのではないか,というようなご意見をいただきましたことを記憶をいたしております.それから何回も先生方でご論議をいただいたというふうにお伺いをしているところです.いずれにいたしましても,この会議の結論といたしまして,少しでも新しい看護のあり方について一歩を踏み出していただくことができれば,というふうに思っております1人でございます.
 今日,中間的な取りまとめのお願いを申し上げ,そしてまた,そのあと最終的にお話を詰めていただくものというふうに存じております.看護師さんが出来る限りお仕事をやりやすいようにするにはどういう方法があるのか,といった観点からお話をいただきたいと思います.また,そのことが結果として国民の皆様方からご覧をいただいて,それが良かったというふうに言っていただけるような体制がなされましたら,大変光栄だと思っている次第です.本日またいろいろとお世話になりますが,どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います.私も40分までお邪魔させていただきますので,よろしくお願い申し上げます.

川村座長
 それでは議事に入らせていただきます.それでは議事に入らせていただきます.本検討会におきましては,今まで看護の役割,静脈注射の取扱い,麻薬の取扱いなどについて議論してまいりました.その中で,静脈注射については現在の医療事情に合わせた早急な対応が望まれるものです.その他の検討課題については,今後の議論を深めるために,この辺で「中間まとめ」を行うことがよろしいかと考えたところです.各委員のお手元には事前に事務局案が届いていると存じますが,本日の資料はそれに若干の修正を加えてありますが,これを基に議論をしていきたいと思います.

新たな看護のあり方に関する検討会中間まとめ

 新たな看護のあり方に関する検討会は,平成14年5月31日から,少子高齢化の進展,医療技術の進歩,国民の意識の変化,在宅医療の普及,看護教育水準の向上などに対応した新たな看護のあり方について検討を行うことを目的とし,(1)医師による包括的指示と看護の質の向上による在宅医療の推進 (2)医療技術の進歩に伴う看護業務の見直し(3)これらを推進するための方策等についてを検討課題として,これまで5回にわたり精力的に審議を行ってきたところである.

 今回の中間まとめは,これまでの議論を踏まえ,論点の整理を行うとともに,看護師等による静脈注射の実施について意見をまとめたものである.
 今後,残された論点について議論を深め,平成14年度中には最終報告書をとりまとめる予定としている.

1 これまでの議論を踏まえた論点の整理
(1)時代の変化と新たな看護の役割
 ○看護知識の増大,看護技術の発達,看護教育の高度化等により看護師等の知識・技能は大きく向上してきている.
  一方,医療に対する国民のニーズは拡大・多様化し,看護師等に期待される役割は拡大しつつある.

 ○平成13年度厚生労働科学研究「諸外国における看護師の新たな業務と役割」によれば,諸外国においても看護師の役割・業務は変化し拡大してきている.
  フランスでは看護師独自の判断で行う活動,医師の指示で看護師単独で実施する活動,医師のそばで実施する活動とに分けられ,自由開業看護師が数多く活動している.アメリカでは専門看護師(CNS)やナースプラクティショナーが一定の薬剤の処方を含めてその判断で行える業務が規定されている.
 ○一方,看護の独自の役割についても,多くの看護理論が現れてきており,アメリカの看護診断分類も我が国に紹介され活用されつつある.
 ○我が国においても,看護師等の能力を可能な限り活用することにより,患者の視点に立った医療の提供を推進することは重要な課題である.特に,今後ますますニーズが拡大する在宅医療において,身体状況の変化などに対応し,患者が適切な看護ケアを迅速に受けられるようにするため,看護師等が行うことができる業務や関連諸制度などの見直しを行うことが必要である.

(2)看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進
 ○住み慣れた地域の中で療養生活を送りたいという患者のニーズに対応するためには,医療依存度の高い在宅療養者に対する看護ケアや増加するがん末期患者に対する在宅での疼痛緩和ケア等に対応できる訪問看護ステーションが少ない現状にある.
 ○また,訪問看護の開始や継続は,医師の訪問看護指示書に基づいて行われるが,指示の内容や範囲が必ずしも明確でない場合があり,患者の病態等の変動があった場合,新たに個別具体的な指示を必要とすることが多い.このため,多くの在宅療養者の主治医と連携して活動している訪問看護ステーションでは,必要なケアの提供までに時間を要している.
 ○医師の指示は,医師と看護師等との連携の下,患者の病態の変化を予測した事前の「包括的指示」により,看護師等が柔軟に対応できるようなものであることが望ましい.看護師等は患者の状態を観察し判断して,その事前の「包括的指示」の範囲内で最も適切な看護が行えるようにする必要がある.
 ※本検討会で用いている「包括的指示」とは,例えば在宅酸素療法を受けている患者の場合安静時鼻カニューレ2リットル/分活動時(排便・散歩など)鼻カニューレ2リットル/分〜5リットル/分まで状況に合わせて調節可といった内容を指すものである.
 ○また,在宅医療を取り巻く関連諸制度の再検討の課題として,例えば,在宅における注射の取り扱いの見直し,在宅がん末期患者の疼痛を緩和するための麻薬製剤の適切な使用の促進,必要な衛生材料の供給体制,さらには,在宅患者の死亡時における看護師等の関わり方などの検討が必要との意見もあった.
 ○今後,高齢化の進展や在院日数の短縮等を考えると,さらに在宅医療を推進していく必要がある.そのため看護師等は,医師,薬剤師等その他の職種と緊密な連携を図り,その専門性を発揮していくことが重要である.

2 看護師等による静脈注射の実施について
 ○看護師等による静脈注射の実施については,厚生省医務局長通知(昭和26.9.15医収517)において,(1)薬剤の血管注入により,身体に及ぼす影響が甚大であること (2)技術的に困難であるとの理由により,看護師等の業務範囲を超えているとの行政解釈が示されてきた.
 ○一方,平成13年度に実施された看護師等による静脈注射の実態についての厚生労働科学研究の結果では,(1)94%の病院の医師が看護師等に静脈注射を指示している,(2)90%の病院の看護師等が日常業務として静脈注射を実施している,(3)60%の訪問看護ステーションで静脈注射を実施しているということが明らかになった.
 ○この行政解釈が示されて以来50年以上が経過し,その間の看護教育水準の向上や,医療用器材の進歩,医療現場における実態との乖離等の状況も踏まえれば,医師の指示に基づく看護師等による静脈注射の実施は,診療の補助行為の範疇として取り扱われるべきであると考えられる.
 ○ただし,薬剤の血管注入による身体への影響が大きいことには変わりがなく,医療安全の確保は何よりも優先されるべきものであり,解釈変更で患者の安全性が損なわれることのないようにすべきことは言うまでもない.本検討会においても,医療機関によっては,人員配置を手厚くすべきではないか,静脈注射を実施できる看護師等の条件を定める必要があるのではないか,ガイドライン等が必要ではないかなど,様々な意見が出されたところである.
 ○このため,まず,厚生労働省においては,医師の指示に基づく看護師等による静脈注射の実施について,行政解釈を改めることが必要である. また,看護基礎教育における教育内容や卒後の医療機関等における研修内容についても,その骨子を示し,教育現場や医療機関における取組みを促進することが必要である.
  併せて,医療機関においては,本年10月から病院等に医療安全管理体制の確立を図ることが義務づけられること等も踏まえて,医師の指示に基づいて看護師等による静脈注射が安全に実施できるよう,静脈注射の実施や注射薬の取扱いに関して,施設内基準や看護手順の作成,見直しを行い,また,個々の看護師等の能力を踏まえた適切な業務の分担を行うことが求められる.
医政発第0930002 号
平成14年9月30日
各都道府県知事殿
厚生労働省医政局長
看護師等による静脈注射の実施について
 標記については,これまで,厚生省医務局長通知(昭和26年9月15日付け医収第517号)により,静脈注射は,医師又は歯科医師が自ら行うべき業務であって,保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5条に規定する看護師の業務の範囲を超えるものであるとしてきたところであるが,今般,平成14年9月6日に取りまとめられた「新たな看護のあり方に関する検討会」中間まとめの趣旨を踏まえ,下記のとおり取り扱うこととしたので,貴職におかれては,貴管下保健所設置市,特別区,医療機関,関係団体等に対して周知方お願いいたしたい.なお,これに伴い,厚生省医務局長通知(昭和26年9月15日付け医収第517号)及び同通知(昭和26年11月5日付け医収第616号)は,廃止する.
1 医師又は歯科医師の指示の下に保健師,助産師,看護師及び准看護師(以下「看護師等という.)が行う静脈注射は,保健師助産師看護師法第5条に規定する診療の補助行為の範疇として取り扱うものとする.
2 ただし,薬剤の血管注入による身体への影響が大きいことに変わりはないため,医師又は歯科医師の指示に基づいて,看護師等が静脈注射を安全に実施できるよう,医療機関及び看護師等学校養成所に対して,次のような対応について周知方お願いいたしたい.
(1)医療機関においては,看護師等を対象にした研修を実施するとともに,静脈注射の実施等に関して,施設内基準や看護手順の作成・見直しを行い,また個々の看護師等の能力を踏まえた適切な業務分担を行うこと.
(2)看護師等学校養成所においては,薬理作用,静脈注射に関する知識・技術,感染・安全対策などの教育を見直し,必要に応じて強化すること.

20021028 第6回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
川村座長
 本検討会も,これまで5回にわたって検討をさせていただいてきました.前回は皆様のご協力を得まして,これまでの論点整理と看護師等の静脈注射についての考え方を整理し,当検討会の「中間まとめ」として公表をいたしました.その後,9月30日に「医師等の指示に基づき,看護師等が静脈注射を行うことができる」とする旨の厚生労働省医政局長通知が発出されました.これについては皆様のお手元にも届いているかと思います.今後の検討課題としては,在宅療養者に対する麻薬の取扱い,包括的指示のあり方,療養上の世話に係わる医師と看護師の連携のあり方,在宅患者の死亡時における看護師等の関わり,医薬材料の取扱いなどがあるかと考えております.そこで,本日は,まず麻薬の取扱いの現状と包括的指示について検討していきたいと思います.麻薬の取扱いについては第4回の検討会において,事務局からの現状説明や,国立がんセンターの平賀手術部長から,「がん疼痛治療ガイドライン」についてお話を伺い,内布委員及び藤上委員からご意見をいただいた後,議論をいたしました.本日は,それに引き続き,さらに議論を深めていきたいと思います.それでは,まず事務局から資料が提出されておりますので説明をお願いいたします.

土生企画官
 それでは配付資料について事務局からご説明をいたします.まず資料1ですが,標題が「麻薬の取扱いと包括的指示について」となっていて,1頁目が「第4回の検討会における主な意見」です.ただいま座長からご紹介がありましたように,8月19日に開催されました検討会において,がんセンターの平賀部長からお話をお伺いするとともに,内布委員,藤上委員の両委員からもご意見をいただいたものです.その後,若干のお時間をいただきご議論をいただいたわけですが,その中で主な意見を整理したものです.「論点整理」というサブタイトルが付いておりますが,括弧書きにありますように「病院内に関する論点」,それと1頁目の下のほうですが「在宅に関する論点」,それと「共通事項」の3つに分けて整理をしたものです.論点を逐一申し上げませんが,主なものだけを申し上げますと,まず病院のところでは,がん疼痛治療の普及に妨げになっている要因について,医療者の認識の問題とかガイドラインの普及の問題等々,ご意見を賜ったところです.また,医師と看護師の役割分担ということについても,ご意見を賜っております.また,在宅については幅広いご意見を賜ったわけですが,訪問看護師の認識の問題とか,医療保険の取扱いの問題,さらに麻薬管理上の手続の上での課題,在宅における医師・看護師の役割分担についても,いくつかのご意見を賜ったところです.また,麻薬の管理については,それぞれのご意見,これには両論あるわけですが,どういった管理が適当かというようなことで,ご意見をいただいたところです.3頁は,「在宅での麻薬使用に係る課題の整理」です.ただいまご紹介いたしました第4回で出された意見の中で,特に麻薬の使用ということに関して,具体的な意見があったものを事例に即して,ご意見を整理したものです.事例の内容については,いちばん上の□囲みの中にありますように,末期がんの患者で在宅において疼痛のために麻薬の内服を開始しており,病気や症状,予後,麻薬の内服方法,副作用についても,本人への説明は済んでいるという前提です.資料の左のほうに「患者の病状の変化」をフローチャートで示しております.右のほうには,関連する部分について委員の皆様方からご意見があった事項を並べております.まずフローチャートのいちばん上ですが,MSコンチン内服薬を服用しており,アンペック座剤も併用しているということですが,疼痛が増悪した際には内服薬を増量するということが考えられるわけです.右のほうにご意見として整理しておりますが,一定の条件の下で麻薬の増量について看護師に任せられないか,というご意見を賜ったわけです.なお,その左に麻薬の搬送についての通知の要約が示しております.特別の理由があって,患者への麻薬の交付がなければ医療上支障が生じる場合においては,患者宅に看護師が麻薬施用者の指示で麻薬を搬送するということは,通知上可能とされているということです.フローチャートの3番目は,内服が困難で注射薬に変更するということです.注射をするということですが,その下に小さな字で通知の要約が掲げてあります.看護師は麻薬施用者の直接の監督または指示の下に麻薬を注射する等ということは,麻薬取締法に違反しないという解釈が示されているところです.この点に関連しては,右のほうにご意見として示しておりますが,バルーン式のディスポーザブルタイプのように,麻薬施用者が設定した注入速度を変更できないようなものではなくて,注入速度が簡単に変更できるようなシリンジポンプの使用ができないかということです.バルーン式云々というタイプですが,その次の頁に写真を示してありますので後ほどご説明いたします. 次は3頁に戻っていただき,関連するご意見です.そうしたことで疼痛緩和が得られるわけですが,残念ながら患者さんが死亡されたという場合に,こうした指示を前提としますと麻薬の残薬があるというケースがあり得るわけですが,その廃棄処分について,手続を簡略化できないかというようなご意見を賜ったわけです.これは出された意見を事実として整理したものですので,こうしたことが適当かどうかということは,医師・看護師の役割分担,あるいは麻薬の適正管理など,さまざまな観点からご議論があろうかと思っております.4頁は,包括的指示の例を2つ示しております.あくまで幾つかの例示ということですが,まず先ほど申し上げましたバルーン型のディスポーザブルタイプの連続注入器持続点滴を使用した例ということです.現行の指示ということで,いわばそのベースとなる指示ですが,4%塩酸モルヒネ0.5ml/hrということです.これを包括的指示,包括的指示という呼び方自体も,これまでさまざまな議論がありましたが,一応ここでは,そういう言い方で引き続き使っております.包括的指示ということで考えますと,いま申し上げました現行の指示のベースに加えて,疼痛時にレスキュードーズを使用することが考えられるわけです.このタイプの場合は,薬液投与ボタンが手首の所に付いており,この中にリザーバーが内蔵されておりますので,この薬液投与ボタンを押すことにより一定量がさらに注入されるということです.こうした疼痛時にはレスキュードーズを使用することによって,注入量を増加させるということが考えられるということです.5頁は,「内服薬の包括的指示の例」です.現行のいわば単独の指示ということでありますと,そこに書いてありますような薬剤を,それぞれ決められた量を通常服用するということですが,包括的指示ということですと,やはり疼痛時にはレスキュードーズとして塩酸モルヒネ錠を1回1錠,追加的に内服するというような指示の仕方があり得るのではないかということです.6頁は,2つの例示のうちの最初のバルーン式ディスポーザブルタイプの連続注入器に関して,麻薬注射薬の取扱いについて医薬安全局のほうから出されている通知です.1の(1)にありますように,注入速度については麻薬施用者が設定するということですが,患者の痛みの程度に応じた追加投与ということで,レスキュードーズの設定についても麻薬施用者が設定をするということになっており,患者を含む他の者が変更できないという仕組みになっているということです.以上が資料1の麻薬の取扱いと包括的指示ということです.
 次は資料2の1枚紙です.さきほどの資料は「麻薬の使用と疼痛の緩和」というところに焦点を当てていたわけですが,この資料は「一般的な症状の緩和のための与薬における包括的指示の例」ということで,3つの例が示してあります.便秘,不眠,呼吸困難ということですが,それぞれ表の2番目の欄にありますような患者さんの状態を想定しているということです.現在といいますか現行の指示ですが,それぞれ決められた与薬の量というものがあるわけですが,これを包括的指示のあり方ということで考えてみますと,それぞれ患者さんの症状の変化に応じて追加的に薬を使うということです.まず便秘の例で申し上げますと,現在の指示でありますアローゼンを内服しても排便がない場合には座剤を使うということですし,さらに,無効時には浣腸を行うということです.こうしたことで医師の指示を待たずに苦痛から解放されるということで,患者さんの生活の質の向上に資するのではないかという考え方です.2番目の不眠の例も同様で,アモバンを内服しても眠れない場合に,リスミーと言われる薬を1錠追加するということで,夜間の睡眠を確保するなどの生活の質の向上が得られるのではないかということです.呼吸困難の事例については,これは第1回の検討会での資料として提出したものですが,在宅酸素療法を受けている患者さんの例ということで,活動時に酸素の吸入量を状況に合わせて増加させるということで,活動時にも呼吸困難に陥ることなく,日常生活に支障を来たすことがないというようなことになるのではないかということです. 次は参考資料についてご説明いたします.まず1つ目は,「在宅療養支援のための医療処置管理看護プロトコール」です.出典については4頁の下のほうに記載されておりますが,旧厚生省の平成10年度の老人保健事業推進費補助金により,社団法人全国訪問看護事業協会に補助をして策定をされたものです.委員長は竹中先生で川村先生が主任研究者を務められ,日医からは西島先生,日本看護婦協会からは山崎先生,そして平林先生にも委員としてご参画をいただいたと承っております. この経緯ですが,当時は老人保健法が制定されていたわけですが,訪問看護ステーションが当初虚弱で自立生活を営むことが困難な高齢者を対象としていたということですが,さらに終末期にある方々,あるいは人工呼吸器を装着している方々等,比較的医療依存度の高い患者さんが居宅で療養生活を送るという場合,医師の指示と看護師の業務範囲をより明確化できないかという問題がありましたし,また医師の側からは,ステーションの運営方針,サービス内容,あるいは訪問看護師の力量などが不明瞭で指示を出す際の判断材料がないというようなご意見もあり,こうした補助金を活用して,全体で14項目のプロトコールを作成したものです.これは本日の議論に関連いたしまして,特に2頁以降ですが,癌末期の疼痛管理についての医療処置管理看護のプロトコールということで,その一部を概要版ということですので,ご議論の際にご参照いただければということです.参考資料の2つ目は,先ほどご質問のありました緑色の冊子です.EBMに沿った「がん疼痛治療ガイドライン」ということで,これも本日のご議論の参考としていただければという趣旨です.この作成の経緯あるいは効果などを中心に,先ほど申し上げました第4回の検討会で平賀部長からご紹介いただくとともに,ご意見を賜ったガイドラインの要約版ということです.表紙のあと2枚ぐらいめくっていただきますと,前書きの後に「目次」ということで構成をご覧いただけるわけですが,このガイドラインの作成手順,あるいは臨床場面での使い方,痛みのアセスメントということに引き続きまして,がん疼痛に対する薬物療法ということで,それぞれの痛みの程度などにより,薬物を使用する際のガイドラインというものが示してあるというものです.ご議論の際に適宜ご参照いただければということです.以上,雑駁な説明で恐縮ですが,資料の説明とさせていただきます.

川村座長
 ありがとうございました.麻薬の問題については包括的指示との関係で議論を深めていくということで,包括的指示との関係を深く解き明かしていただいた説明をいただいたと思います.いまの事務局の説明内容についてのご質問,皆さまの自由なご意見をお伺いしたいと思いますが,いかがでしょうか.

宮武委員
 川村先生もお入りになったプロトコールですが,例えば医師との連携条件の中で「管理協定の締結」と書いてありますが,こうすることが望ましいということなのでしょうね.「療養者ごとに癌末期疼痛管理協定を書面で取り交わすこと」と書いてあるということは,要するに,書面を取り交わしている所は少ないということでしょうか.

川村座長
 この前,がん末期疼痛管理ではございませんでしたが,静脈注射について上野委員が,これをお使いになったことをご説明になりましたので,よろしくお願いいたします.

上野委員
 このプロトコールができて責任を持って看護に当たるというときに,特に癌末期に限らず,褥瘡のことに関しても,いろいろなプロトコールが14項目ありますので,そこで可能な限り医師と向かい合って協定書をもとに,このときどうしましょうかという形で,普通の指示のほかに協定書に基づいた指示を受けて,それをお互いに持ち合って仕事をする,ということを実際にいま始めています.このプロトコールができてまだ2年目ぐらいでしょうか,まだ普及は十分とは思わないですが,それによって安心した指示のもらい方ができると考えております.

宮武委員
 そういうものをなしにやっておられる例もよく聞いておりましたので,おそらく不可欠の条件なのかなと思いましたので.

上野委員
 先生方に理解していただき,その協定書を分かっていただくという形で進めていますので,全部の先生方と協定書を結んでいるわけではありません.利用者さんにどうしてもこの協定書が必要だという場合は主治医の先生と面談をしまして,こういうことがあるのですが先生いかがでしょうか,というところでいま始めている段階です.本当はもっと普及して,先生方も,ああ,これがいいね,というのがいちばん良いのですが,まだそういう段階です.

平林委員
 いまの点ですが,ご承知のように保助看法37条があるものですから,看護師が訪問看護において,当初処方されていない薬剤を使おうと思うと,医師の指示がなくてはならないし,処方が予めなされていなければならないというのが基本的な法の枠組みです.実際問題として家族がやる場合と看護師がやる場合とでは,少し法的な状況が違ってくるだろうと思います.むしろ医師がきちんと処方をして指示を出すというところに医師の責任の所在というものが明確になってくるので,そこをより明確にするために,"包"括的指示という言葉がいいかどうか私はこだわりたいですが,それはともかくとして,それが必要だということになるのだろうと思います.

川越委員
 いまの話はよく分かりました.ただ現実にはそういう解釈とは別に,現場では看護師さんの判断でやっております.便のことをいちいち私たち医師が把握しているわけではありません.それが法的な裏付けがないというところが,やはり問題だろうと理解してよろしいのでしょうか.

平林委員
 それでよろしいと思います.そういうときに医師が,いちいち判断できないとは思いますので,それこそ包括的にと言いますか,症状の変化を予測して,こういう状況が予想されるだろうから,そういう時にはこういう処置をしておきなさい,というようなことを言うことによって医師の責任を果たし得るということになるだろうと私は思っております.

川越委員
 ここに出されている例が便秘,不眠,呼吸困難ということですが,いまはこの3つに限らないですね,吐き気の問題等もありますし.

川村座長
 サンプルというふうに考えてよろしいのですね.

内布委員
 病院等で医師が常時いるような場所であっても20数年前から包括的指示は常識的に用いられていたわけです.在宅であれば医師はその場にいないわけですから,その方の変化のバリエーションを想定して包括的指示をしなければいけないと思うわけです.そうなければ現実に患者さんの苦痛をとることは難しいだろうと思います.臨床で呼べばすぐ医師が来れるような状況であっても私たちは包括的指示で動いているのに,なぜ在宅でリジッドな指示しか許されないのか,というのが非常に疑問です.

平林委員
 私が答える問題ではないだろうと思いますが,むしろ現実は,少なくとも私が訪問看護をされている看護師さんから聞くところによると,何ら具体的な指示が出ていないところに問題があるように思います.前にもお話をいたしましたように,訪問看護指示書の中の1,2,3のどれかに○を付けて,例えば,リハビリならリハビリに○を付けて,具体的に何をするかということについては指示を出さない番号に○を付けるだけで指示一丁上がりというお医者さんが少なからずいる,非常にいる,もしかしたら,半数以上いるというのが現状のようです.そういう状況の中で,きちんと指示を出してほしい,指示を出すべきだ.そうすることによって医師が医行為に対し最終的な責任をとるべきであるということを明確にすることができる.病院の中で行われていることがそうであるとするならば,それと同じことを在宅でもきちんとやってほしい,というのが包括的指示の議論の出発点だろうと私は認識しています.

西澤委員
 言い方を変えますと実はこういうことだったのです.これだけを見ると,医者が例えば不眠の場合アモバンしか投与していないのに,訪問看護師さんが行って,医師の指示が出ていないのに,処方もされていないのにリスミーを追加するというような解釈もできたので,それではないだろう,ということを確認したかったということを申し上げたいと思います.

内布委員
 包括的指示で事前に処方があるものに関して,それをいつ,どのように使うかということに関しては,1つ1つ医師の指示を仰がなければ看護の判断ができないということでは決してないと思うし,もしそういう縛りをかけてしまいますと,いまよりもっと動けなくなるということもあると思います.私たち看護師は症状緩和に関して教育も受けています.例えば,どういうときに浣腸が禁忌であるとかということも知っています.教育をきちんと受けておりますので,包括指示が出ておれば,いつ,それをどのように使うかの判断に関しては,これは看護師が行ってもよいということを私はどこかで明言されても結構ではないかと思います.

井部委員
 話が逸れますが,私はやはり包括的指示というのがさまざまなイメージを沸き起こして,議論が多少ずれてしまう危険性があるので,どこかできちんと定義をしたほうが良いのではないかと思います.もし定義をするのならどのようにしようかと考えていたのです.例えばこういうのはどうでしょうか.「起こり得る状況を想定して,事前に対処法を明示しておくこと」というような.対処法の中には薬もありますが,そのほかのこともありますので.事前に複数の対処法を明示しておくこと.

柳田委員
 「医師の指示もしくは,医師と看護師との密接な連携の下に」と.

井部委員
 それはそうですね.

柳田委員
 それはもう入っているのでしょうが,例えばその次の段階で勝手に独り歩きをするのが怖いと思うのです.だから1つ1つのプロトコールを作る場合には,すべてその1つ1つに医師の指示が入っているということなのでしょ.

井部委員
 事前にいくつかのスタンディングオーダーのようなものを作っておいて,それをお互いに了解し合って進めていくということが前提です.

川越委員
 麻薬の問題は,先ほどから出ている処方の問題と量を変える問題,これはまさにものすごく両方とも大事な問題になってくるのです.アローゼンをちょっと多めに出すというのは,医者としてはあまり神経を使いませんが,モルヒネを使う量よりもちょっと多く出すことに対してはすごく神経を使うわけです.ですから,処方を医者のほうに課せられている責務ということを,ある意味で緩和といったらちょっと悪いかもしれませんが,ただ量を増やしていいからという格好では解決しないのではないかなと.つまり処方の出し方,麻薬の取り扱いそのものに対しての緩和ということまでに踏み込んで議論しないと,十分ではないのではないかなと思っています.
 ここに注射薬の問題が出ていますが,例えばモルヒネの皮下注射をやっているときに,脊椎に転移したときなどはモルヒネの量をかなりの勢いでパッパと上げなければいけないときがあるのです.そういうときにバルーン式のものだったらどうしたって十分な対応が難しいです.足りなくなりますし,レスキューも限度があります.その辺にいつもジレンマを感じるのはものすごく細かい対応を要求されるということで,この辺はもっと簡単にならないかなと思っているのです.もっと卑近な例では,ちょっと細かいことですが経口モルヒネで始めるときに普通は20mgで始めるのです.MSコンチン20mg分2,あるいはカディアンという24時間のものを1カプセル飲んでいただく形で始めていくのですが,それはしばしば早い時期に増量しなければいけないということがあるのです.増量する場合には普通は30mgに持っていくわけですが,20mgだけを出していたら30mgという量が出せなくなってしまうのです.ですから現実には,もう一度また処方箋をきってということになります.麻薬の処方は結構面倒くさいのです.番号を書いて誰が持っていくかとか,そういう点がありますから,これは本当に現場の意見ですが,例えば最初から20mgと30mgというものを処方してもいいということですよね.そういうことをちゃんと法的に保障していただければものを用意しておけますから,そしたらものが20mgと30mgがあるから看護師さんの判断で行うようにできないか.最初のうちは私たち医者が見なければいけません.これは看護師さんだけの問題ではなく,新たな看護ではなくて新たな在宅医療ですから医師のほうの大きな問題でもあるわけなのですが,その辺のことも規制緩和の中に考えていただければと思います.

川村座長
 これは,どのように扱ったらいいのでしょうか.

宮武委員
 医学はわかりませんが,注射ではなくて飲み薬でも貼り薬というのですか,パッチでもあるわけですから,そのものを飲んだり貼ったりするときにいつもお医者さんがいなければいけないという時代ではないわけで,技術というのはある意味では封印できないわけですから,向上した技術に合わせた医療現場があっていいと思うわけです.おっしゃるとおり,1つ1つお医者さんが立ち会っていかなければいけない,1回ずつ電話をかけなければいけないことになれば,それこそいまの在宅の訪問看護ステーションが成り立たないのではないでしょうか.内布さんがおっしゃったように,経口薬を飲ませるのもパッチを貼らすのも,特別な看護師さんの資格が必要なのでしょうか.さっきから聞いていて,包括的指示の例を聞いて,もともと激痛を麻薬で痛みを取るために,言ってみれば中毒患者にさせるわけでしょ.中毒患者にさせるときに,それは便秘も起これば不眠も起きるわけで,どっちが大事かといったら痛みを取ってあげることがまず大事なわけで,そのことをまず利用者側というか患者側,家族側は望んでいる.問題は呼吸困難になって死期を早めることがあったら困るわけですが,そこのところは便秘や不眠と,呼吸困難と並べることは私もよくわかりません.むしろ逆にいえば,末期のがんの患者と認定される認定が本当に正しいかどうかが患者,家族は心配なわけで,認定されて正確であれば何よりも疼痛を取ってあげることに全力を注がなければならない.それに対して医療の側が患者と家族のために,どんな制度が便利かを考えなければいけないわけで,そこのところの原点をあまり忘れては困るような気がしました.

内布委員
 バルーンに関しては出始めはとても良かったということでしたが,使っていくうちに非常にきれいに入らないとか,濃度にばらつきがあるとかたくさん言われているので,私もシリンジポンプのほうが確実に正確に入っていると思います.患者さんの反応を見るときに,いまこの人は1時間に何mgで入っているからこの反応なのだという付き合わせが,バルーンだとやりにくいです.判断を間違ってしまうので,むしろシリンジに変えるほうをどうにかしてできないかと思います.法律をどうにかしてもらわないと,本当に看護師云々とかの問題ではなくて,患者さんは本当に困ってらっしゃると思うのです.

藤上委員
 それは,安全性が担保できるというところでバルーン式が認められているのかなと思うのですが,その安全性を担保することをどうするかを考えなくてはいけないのかなと思います.麻薬取締法という規制というのは,多分過去にいろいろなことがあって,ああいう形になっているのであって,それを患者さんのためにとか医療者側の利便性のためだけで変えていくのは,少し考えなくてはいけないのではと思います.患者さんの安全性を担保することと,もし仮に不正に使用された,流用された,盗難に遭ったというのがあるとするならば社会問題にも発展していきますよね.そういうところを考えていかないといけないのではないかなと思うのです.

川村座長
 では,今回もまた充実したご意見をいただきまして,ありがとうございました.そろそろ時間ですので,本日はこれで終了したいと考えます.

200/1119 第7回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
川村座長
 本日の議事に入る前に,藤上委員から前回のご発言に関連したお話があるということですのでお願いします.

藤上委員
 前回内布委員からご質問がありました薬局の24時間体制について,1点だけ補足させていただきます.現在保険薬局では調剤報酬点数における調剤基本料の基準調剤の届出を行う場合に,処方箋の受入体制が24時間体制であることが要件の1つになっております.この基準調剤の届出を行っている保険薬局においては,予め患者さんに夜間や休日の連絡先を伝えております.また薬局のシャッターなどに緊急時の連絡先を明示しておくなどの対応が取られております.ということで,すでに処方箋の受入体制は24時間体制になっています.また何らかの事情によって保険薬局が直接対応できない場合においても,その保険薬局と連携を取り合っている地域の保険薬局において対応するという形になっております.そのような保険薬局を選択していただければ,夜間や休日などの緊急時においても,薬剤師が対応できる体制になっていることを補足しておきたいと思います.

川村座長
 それでは本日の資料の確認を事務局からお願いします.

川村座長
 それでは本日は議題が2件ございますが,まず「生活の援助と医師の指示」について検討していきたいと思います.初めに法的な位置付けについて事務局からご説明をいただきます.

土生企画官
 事務局から資料1−1に基づき看護師の業務と医師の指示の関係について,これまでもご議論いただいたわけですが,改めて確認という意味でご説明させていただきます.保健師助産師看護師法第5条において看護師の業務の規定をしており,療養上の世話と診療の補助を行うという2つのカテゴリーに分類されているわけです.また第37条においては,主治の医師または歯科医師の指示があった場合を除くほか,診療機械を使用,医薬品を授与する等の衛生上危害を生ずるおそれがある行為をしてはならないということが規定されているわけです.こうした保助看法の趣旨から,診療の補助行為については,医師等の指示を受けて,看護師が行うということになっているわけで,これまでの議論でその指示のあり方が個別的であるとか,包括的であるとか,そうしたご議論をいただいてきました. 一方療養上の世話については,診療の補助とは異なり,基本的に医師の指示が必要でない看護師の業務ということになっています.もちろん療養上の世話についても医師の治療方針との整合性ということもあるわけで,何か指示があればそれと整合的にやっていくということも必要です.また実際の個別の行為を見ますと,必ずしも両者のカテゴリーが明らかであるかどうかはっきりしないという指摘もあるわけですが,法律的な整理としては療養上の世話,医師の指示が必要な診療の補助ということに分けられているということです.

川村座長
 ありがとうございました.法律的な整理については,ただいまの事務局の説明で確認をしていただきましたが,次に医療現場の現状について井部委員にお話をいただきます.よろしくお願いします.

井部委員
 資料1−2です.医師の指示と看護業務はどんな状況にあるのかということについて,現状と問題点を述べたいと思います.4つ挙げましたが,1つは「医師の指示を仰ぎ過ぎる看護職」といたしました.ただいまの説明にありましたように,療養上の世話の部分は医師でなく看護職の判断ができる領域であるという指摘がありましたが,現状はかなりの部分を医師の指示を確認すると言うか,私は敢えて皮肉っぽく「仰ぎ過ぎる」と書きましたが,「仰いでいる」という状況があります.これは1つは,医師の指示の範囲がどこまでを網羅していなければならないかということの解釈の相違,曖昧性という部分,あるいは一方では医師の指示というのはかなり広範囲なものを指しているという現場の認識の誤りと言ったらいいのでしょうか,認識の違いというのがあります.例えば食事はどうするのか,入浴はできるのかできないのか,安静度はどのくらいにするのかといったようなところも,かなりの部分医師の指示というのを確認せざるを得ないような状況があります.2つ目は,「医師の指示を催促しなければならない現状」ということで,これもよく看護職は話題にすることですが,例えば「何とかという薬は切れていますけれども,どういたしますか」とか,「このミリ数で多すぎはしませんか」とか,「訂正していただいたほうがいいのではないでしょうか」といったようなことを医師の指示を指示しているというような状況があり,医師の指示が必ずしも科学的な判断でスムーズに出されているわけではないという人間くさい部分がこの中には含まれています.3つ目は,「組織のルールを逸脱して出される医師の指示」というのがあります.特に若手の医師はなかなか判断がつかなくて,指示を出す前に文献を調べたり,上級の医師に相談したりしていると,肝心な指示が出されるのが夜になってしまうというようなことがあります.多くの病院は緊急でなければ定期的な指示は何時までというように決められていることが多いわけです.そういうことをほとんど無視して出されると,医師の指示1つを実行するのに物品管理センター,あるいは薬剤部,看護師のみならずすべての所が関連するわけであり,こうした医師の指示というのは現場の混乱をもたらすことにもつながりかねないということがあります.4つ目は,「医師の指示と看護職のジレンマ」ということです.これは医師の指示に基づいて死に至らしめるようなかなり過激な指示が出されることがあり,看護職はどの程度拒否をするのかということを問われることがあります.こうしたことは医師の指示と看護職のジレンマ,死に至る,至らないということはともかく,このまま検査を続けたら干し上がってしまうといったような検査計画などが出された場合,現場でやり取りするわけです.そうしたことで医師の指示と看護職のジレンマというのがつきまとっていることがあります.
 四角の中に書いたのは,看護実践の基準で,以前に國井委員から説明がありました日本看護協会の看護業務基準の抜粋です.その中に医師の指示に基づいて医療行為をするに当たっては,看護職は1,2,3のようなことをきちんと理解していなければならないということです.つまり,医療行為の理論的根拠とその倫理性,患者にとって適切な基準なのかどうかということ.医療行為による患者の反応の観察とその対応をしなければならないということです.2つ目は,「『医師の指示』と看護職の新しい関係を築く」ということで,ここに出したのは生活行動の援助ということです.生活行動の援助は,疾病の治療に直接関わらない,普遍的な援助と疾病の治療に関与する生活行動の援助というのが考えられますが,敢えてレベル1とレベル2というように整理してみました.レベル1は,基本的に看護職一般が実施可能な範囲で,レベル2は十分な知識・技術および経験を有する看護職が実施可能な範囲ということです.これは私の仮説です.生活行動の援助のプロセスは下に書いたように,ただ何かを実行するということではなくて,そこにはアセスメントをし,計画を立て,実施をして,評価をするというプロセスがあるということを書き添えました.次の頁は,以前に看護の独自の機能で紹介しましたヘンダーソンの理論に基づく14の基本的ニードを参考にいたしまして,私なりに整理したものです.1〜14までございますが,特に1〜8にかけて身体的なケアに関連しております.例えばレベル1に相当する範囲はどうなのか,レベル2に相当する範囲はどうなのかということで,書いてみたものです.まず「正常に呼吸する」ということに関しては,体位の工夫とか,空調を調整するとか,あるいは場合によっては疼痛の査定をするとかといったようなことは看護職がやることですが,さらに踏み込んで酸素療法の検討をするとか,疼痛のコントロールをするとかといったようなことは,経験のある看護職ならばかなりできますけれども,この辺りが包括的指示との関連で検討される内容かと思います.「適切に飲食する」ということに関しても,食事の形態や嗜好とか,水分量,食事時の体位,環境調整,誤嚥の予防,経管栄養とか胃ろう管理に関して看護職が行っておりますが,もう一歩踏み込んで糖尿病食とか腎不全食の内容を考える.それからインシュリン治療の方法,量についてもある一定の範囲で看護職が判断する.あるいは嚥下訓練についても計画を立てて行う.あるいは経管栄養からどのような食事が,その患者にとって最も適しているのかということを選定するというようなことも含まれます. 3つ目は,「排泄」です.排泄パターンの把握をする.それから摂取量/排泄量の測定をする.利尿の回数や便の性状の観察,排尿・排便様式の選定というようなことは看護職が行うわけですが,さらに薬剤を使用する,失禁の状況を査定し,どのように治療したらいいかといったことを検討する.人工肛門の管理の具体的な内容について詰めるといったようなことは,レベル2でかなりの部分を判断することができるのではないかと思います.「移動,好ましい肢位」というのが4番目にありますが,これは転倒・転落を防止して,安全な歩行をどういうふうに援助するか.あるいは良肢位をどう保つか.関節可動域をどのようにトレーニングするかといったようなことは普遍的な看護ですが,特別な装具を使うとか,腹臥位療法を始めるとか,特に整形外科の手術後の体位をどうするかといったようなことは,上級の判断ということになります.「眠る,休息する」に関しても,睡眠パターンとか,環境調整といったようなことは看護職が行えますが,適切な睡眠薬の選択といったようなことはレベル2に相当する判断かと思います.「衣類の選択,着脱」ということがありますが,これは一般的には麻痺のある,運動制限のある患者にも対応していることです.「体温の調節」ということは,衣類の調整とか環境の調整が一般的に看護として行われますが,薬剤の使用,あるいは補液の調整といったようなことはレベル2の範囲で行うことが考えられます.8番目の「清潔,身だしなみ,皮膚の保護」というのがありますが,これも入浴するか,清拭をするか,体を拭くかといったようなことや安楽な体位の工夫,皮膚の乾燥の予防とか,口腔ケアといったことは看護の領域ですが,さらに心肺機能が低下している患者さんの入浴もしくは清拭,あるいは口腔ケアをどうするかといったようなことや,人工呼吸器を装着している患者のバイタルサインをモニターしながら,こうしたケアを行うといったようなことはやや高度な範囲ということになります.9〜14は,これは看護師が計画をして,実施することができる範囲であると考えております.3頁に資料を添えましたが,これは聖路加国際病院で現在使っているもので,ケアガイダンスと命名しております.通常はクリティカルパス,あるいはクリニカルパスウェイと言われているものです.その中から白内障と脳血管造影の2つのクリティカルパスを用意しました. まず白内障ですが,基本的にこのパターンは決まっておりまして,縦軸にケアの内容あるいは項目が書かれております.横軸が時間軸になっておりまして,入院から手術前日,手術日,術後1日目,というふうにどういうことが行われるかということが示されております.上には基本情報で術式,同意書の有無,感染症,アレルギー,体重,身長,難聴があるか,義歯を使っているかといった基礎情報が書かれまして,その下にこのケアガイダンスに基づいて,ケアが行われるということになります.縦軸には,観察項目と処置として予め標準的な実施行為がそこに盛り込まれております.バイタルサイン,安全とケア,与薬に関すること,食事,指導,バリアンス,これはこの標準的な方法でできない場合がありますので,そのことについてはバリアンスの中で書くということです.下に担当のナースが署名をするということになります.3つ目のコラムのPhは,薬剤師が服薬指導したときに署名をするということになっております.前後しますが,真ん中のコラムの手術日の所のいちばん下は,OR,手術室の担当の看護師がここに署名をすることになっています.4頁目は,裏表になっている裏側になりますが,白内障の患者のこれまで家庭で服薬していた薬などがございますので,それを持参薬の所にリストアップし,継続して服薬されたということを確認して記録をとります.このケアガイダンスですと,白内障は1泊2日で退院になるわけですが,場合によっては高齢者等で「延泊」と書いてありますが,さらに継続して入院を希望する方がありますので,その場合の記録,特に薬に関する記録,食事に関する記録ということになります.5頁目は同じくケアガイダンスの2つ目で,脳血管造影です.これもパターンは似ており,上に基礎情報が書かれ,縦軸に実施されるケアの項目が書かれております.指導,処置,点滴,服薬,観察項目,ADLの制限もしくはケア,食事,バリアンス,アウトカムが入っております.それから看護師の署名ということになります.これは脳血管造影に関連しますので,病棟と検査室の記録が残されるということになります.6頁は,指導と処置,観察項目があり,点滴,食事,ADLの制限とケア,持参薬がこちらに入っております.このようなことで観察項目もどこをチェックするかということと,どれくらいの間隔でチェックをするかというようなことが予め医師との取決めで作られているということになります.クリティカルパスは,包括的指示が看護行為並びに医療行為で,特に看護職が実施するものについて,かなり包括的に盛り込まれていると考えられます.医師の指示と看護業務の関連性ということで述べました.以上です.

平林委員
 大変興味深いお話をありがとうございました.いくつかお聞きしたいことがあります.まず最初に2頁の試案において,レベル1とレベル2と分けてあり,レベル2に(包括的指示)という言葉が入っております.どの例でもいいのですが,例えば「正常に呼吸する」の疼痛のコントロールというところで,その疼痛のコントロールをするときに,看護行為と医行為との関係を先生はどのようにお考えになっているのかということをお伺いしたいのですが.

井部委員
 疼痛のコントロールは,当院では,ペインコントロールナースがかなりのところの疼痛コントロールに関与しております.痛みは全人的な痛みで,単なる肉体的な痛みだけではないといった考えからすると,精神的な対応も含めて,ペインコントロールナースが検討するわけです.その中で最終的にペインコントロールナースの範囲で取り扱えないものが,薬剤を使うということです.しかしペインコントロールナースは,どの薬剤を何ミリ使ったらいいかということに関しては言えるのですが,処方箋を切るという段になると,これは医師の範囲ということになります.そこは担当医と話をして,処方を出してもらうということになりますが,線引きがなかなか難しいところがあり,できる専門看護師などの場合は,最後の処方箋を切るというところだけが医師の業務ということになる場合もあります.もちろんこれは医師の力量,看護師の力量によって現場ではかなり流動的であるとは思います.

平林委員
 いまの先生のお話は基本的に了解できたのですが,そうするとレベル1とレベル2に加えて,実はもう1つ右側に医療行為なり,医行為という枠を設けて,そことの相関関係をクロスさせて考えるというようにしたほうが,いま先生がおっしゃったような考え方がもう少しくっきりと出てくるのではないかと思いました.したがってレベル2の所では,むしろ包括的指示というのではなく,看護師の判断によって,必要に応じて医師に対して指示を求めていくと言うか,処方をしてくれということを要請するという形になっていくのではないでしょうか.包括的指示という言葉をどう使うのかということで,前回いろいろな議論があったのですが,基本的に包括的指示というのは,診療の補助として医行為を行うプロセスの中で,一定の裁量権を看護師に与えられるという形で,考えていきましょうというふうに確か了解をしたように記憶しております.そうするとここで包括的指示というのをレベル2の看護の本来の業務の所に入れてしまうと,場合によってはここにも包括的指示が入ってくるのかという誤解を産む恐れがあるのではないかと思います.むしろレベル2の所では,個別的に看護師の判断によって,医行為として例えば薬剤の使用について言えば,処方をしてくれということを請求して,それに対して,医師が判断をして,医師は医師の独自の判断で処方をするという枠組みになるのではないかと私は思うのです.

井部委員
 確かにご指摘のとおりで,私がこの表を作るときに,「包括的指示」という言葉をこの線を跨いで書きたいと思ったのです.ですからご指摘のとおりです.よく私の気持がわかるなと思いました.

平林委員
 2つ目に,順序が逆になり申し訳ないのですが,1頁の所で,「曖昧な医師の指示の範囲で食事とか入浴とか安静度についても,医師が指示を出している」とか,「あるいはその医師の指示がなければ看護師が動けない現状がある」というような,両方のことを確か先生はおっしゃったと思うのですが,そこには,医師がそういう食事とか,入浴とか,安静度に対して,指示を出すことが,どういう意味を持っているのかということと,それに頼らなければ看護師がその世話ができないというのがどういう意味を持っているのかという2つの問題が私はあるだろうと思うのです.そしてその問題を考えるときに,看護のここで生活活動の援助とか,生活行動の援助とか,あるいは保助看法の傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話ということが看護本来の業務内容であり,それについては基本的な医師の指示は要らないのだという法的な枠組みについての一つの考え方と併せ考えてみると,私としてはいつも申し上げていることの繰り返しになり恐縮ですが,そういう看護本来の療養上の世話について,本来どういう療養上の世話行為を行うのか,あるいは具体的に生活活動の援助行為を行うのかということについてのイニシャティブは,基本的に看護師が持っているはずだろうと考えます.したがって食事とか入浴とか安静度について,医師の指示がなければ動けない看護師というのは,それは看護師として失格ではないかと思っております.しかしながら2番目に,療養上の世話ないしは生活活動の援助行為を行う中で,医師が食事とか入浴とか安静度について指示を出してくる場合も,それを医師の指示と捉えるかどうかは解釈の問題なのでしょうが,ひとつの参考意見として,看護は看護師としてそれを踏まえて,自分自身の判断で活動をしていくということをするべきではないか.ただそのように申し上げると,療養上の世話について,あるいは生活活動の援助行為を行うプロセスで医師の指示は全く要らないということになるのかと言うと,それは必ずしもそうではないだろう.例えば食事にしても,入浴にしても患者さんの状況においては医師の医学的な判断というものが必要とされる場合もないわけではないだろう.そういう場合に,医師の医学的な判断が必要だと判断した看護師にしてみると,自分のアセスメントをきちんと医師に伝えて,医師の指示を得る.これは,本来的には医師に対するコンサルテーションと言うべきだろうと思うのですが,我が国の法状況はそうなっておりませんので,敢えて現行法の枠組みを使って言えば,そういう医師の医学的な判断が必要だと判断した看護師が,医師に対していわば問い合わせをして,それに対して医師の許可的な指示を得るということになるのだろうと思います.このように看護師が医師とコミュニケーションをとって,医師の了解を取った上で看護活動を行っていくという構造もあると思います.そういうのもある意味で医師の指示だというのであれば,そういう状況においては,療養上の世話行為ないし生活活動の援助行為を行うプロセスにおいても,医師の指示が必要な場合は出てくるだろうと思います.したがってどういうシチュエーションで,どういう内容の医師の指示を考えていくかということを,少し区別して議論をしていかないと,この問題は大層混乱をもたらすのではないかなと常々思っておりますので,少しそのことを申し上げさせていただきました.

井部委員
 ご指摘は非常によく理解できますし,医師と看護師の関係はお互いの専門領域に関してアセスメントを伝え合って,コンサルテーションの関係を築くというのは近代的な医師・看護師関係であると思います.これからの医療の現場では,そうならなければいけないと思いますが,この現状と問題点の1に書きましたように,かなりの部分は広範囲に医師の指示がなければいけないといったような先入観が医療界の中にはあるということ.もう1点は医療監視,あるいは特定共同指導といったようなものが入りますと,医師の指示があるのかないのか,これは医師の指示に基づいてやったのかどうかということが徹底して問われますので,そういう点からしますと,私たちはかなり受身的にならざるを得ないような時代が続いてきたのではないかと思います.その意味で多少皮肉っぽく,仰がなくてもいいのではないかと,もう少し対等な関係でお互いのアセスメントを出し合いながら,話し合っていってもいいのではないかという願いを込めているわけでございます.

平林委員
 私もそうだと思いますし,まさにこの検討会というのは,いつか厚生労働大臣がお見えになった時におっしゃられたように,看護師は看護師として独自にできるところがあるのではないか.そこをもう少し明確にしたほうがいいのではないかとをおっしゃられたいくつかのうちの非常に重要な部分だろうと私は思っております.この検討会でいま先生がご指摘になった,あるいは問題提起された所は,まさにこの検討会が検討をしていかなければならない部分だろうと思っております.

國井委員
 もう1つ特別な教育を受けたという所で,前にもご紹介しましたが,本会に専門看護師制度とか,認定看護師制度というのがあります.いわゆる経験5年以上でしかもある特定の領域,がん疼痛コントロールとかの領域の経験を3年以上積んでいる人に,さらに教育をして,協会が行う認定試験をして,認定していくという制度が認定看護師制度です.また,大学院の修士課程を修めて,さらに経験を1年積んだ後に,認定を受けるというかなり豊かな経験と教育に裏付けられた専門的な技能を持っているナースを認定する制度が専門看護師制度です.こういう人たちに裁量権を認めていくということも,これから患者さんにとってはメリットがあるのではないかと考えています.

内布委員
 少し話が元に戻るのですが,療養上の世話に関する判断と実施に関しては,それを専門職として行うことを保証するために,教育の現場はそれを徹底的にやっているわけです.医学的な治療が必要であるという判断も,もちろんそれは教育の中に入っていて,これは医師に報告をしなければいけない状況であるとか,医師の医学的な治療が必要な状況であるので,医師と相談しなければいけないとか.そういうことは基礎教育の中で,かなりの時間数を割いて,むしろそこがいちばん看護の専門性の部分なので,療養上の世話に関する判断と実施に関してが,カリキュラムの大半を占めているのです.ですから大学にかぎらず,看護学校もそうですが,その専門性を保証するために,一生懸命教育をしているのですが,免許を取って実際に現場に入ってしまうと,先ほど井部先生がおっしゃいましたような状況が渦のように流れていて,巻き込まれてしまう.いつも言いますが,私たちはそのように教育していますが,学生は実際に就職をしてみるととんでもない状況が起こっているので,夏休みとかには帰って来て,「先生,教えられたことと全然違うのだけど」と言われるのです.でも私たちは看護の基本的な役割というのは違わず教えたいので,理想かもしれませんが現実とかなりかけ離れたことかもしれないけれども,徹底してそのことを保証するために教育をし,そのことを保証するために国家資格も与えているのに,現実には井部先生がおっしゃっているようになっています.もっと極端に言いますと,私は生活処方は看護が出すべきであると考えており,生活処方の指示は看護が医師に対して出すということも当然あるべきであると思うのです.例えばその方のクオリティオブライフが非常に治療のために落ちてしまうという状況があって,生活が非常に破綻を来す.だから病気はよくなったが,生活はできなくなってしまうというような状況は,これは看護師が適切に介入しなかったために起こってきたことであり,それは看護師が無責任な仕事の仕方をしているのだなと思います.やはり傘の下に入ってしまうと楽なのです.ですから看護職は逃げ道として医師の指示をもらう.医師も本当は迷惑をしているのではないかと思います.生活,療養上の世話の指示までなぜ医師が出さなくてはいけないのか.責任は最終的には自分たちがとらされるのに,看護師さんたちはいつも傘の下にもぐってくる.それは事件が発生したときに,そこを追及されるから,医師ならば矢面に立てるから,看護師は矢面に立てないから,立ったときに不利だからというようなことで,そういう状況になっているのだと思うのですが,先ほど説明があったように法律的にはあまり縛りはない.食事箋ぐらいで,もちろん薬剤の処方とか,医学的治療に関しては医師の指示はもちろんあるのですが,法律的に多くの縛りがあるわけでもないのに,何かしら暗黙の了解の中でそこは追及するのだということにどうもなっているというのはおかしいと思います.そこをどう変えたら,変わっていくのかわからないのですが,医師は生活の専門家ではありません.医学的な診断と治療が彼らの専門なのです.だから,その役割をきちんと果たしていただくということですから,では生活の専門は誰かと,特に傷病者に関する生活の責任は,ヘルパーさんはある程度固定した状況で,病気とは言えないような慢性的な状況での生活の世話,老化とかで機能の衰えた場合はヘルパーさんでももちろん可能かと思いますが,傷病者で医学的な治療を伴うような場合や,もしくは伴わない場合でも傷病者の生活療養上の世話というのは,看護の判断と実施が独自に行われて構わないのだと思うのです.医師は本当に迷惑をしているのではないかと私は思いますし,看護が責任をどこかで取っていくことをしなければ,この状況は変わらない.法律が縛っているわけでもないのに,こんな事が起きているというのは一体なぜそんな事が起きているのかよくわからないと思っています. もう一つは,看護は生活上の判断を行い,もし医学的判断が必要な場合は医師にコンサルテーションをするという形が当然と思いますが,一方で患者さんが何を求めておられるかということも重要であると思います.つまり,患者さんが看護だけを必要とされる場合もありますし,医師の治療だけが自分には必要であるという方もいらっしゃるのです.そういう場合は,やはり患者さんのニーズに応じて,医学的な治療や看護がそれぞれ提供されるということになります.

川村座長
 いまのご発言は,1つは看護職がもっと自覚を持って,責任を取るという態度を示していこうという内側の話ですよね.

内布委員
 そうなのですが,何かしら文化ではないけれど,それが何なのかわからないのですが流れているのです.先ほどから聞いていますと,法律がすごく縛っているわけでもないですよね.でも看護師さん自身の問題なのかなとも思うのです.医師が縛っているわけでもないと思います.医師は療養上の世話に関しては,かえってふられたら,自分は生活は専門ではないので困っていると思うのです.もう慣習的に自分が安静度なんかを指示するのだと思って,もちろん整形外科の場合は,僕に聞いてもらわないと困るという部分はあると思うのですが,医師も別に聞かなければ困るということを言っているわけでもなくて,やっていけばいいことなので,どうも医療文化の中でそういうふうになっているのではないかと思っているのです.それが何が原因でそういうふうになっているのか,誰も縛っていないのにそういうふうになっているのかがわからないのです.

川村座長
 それからもう一つのことは,医師と患者だけで医療が成り立つ,というご意見があるわけですね.

内布委員
 はい.

川村座長
 そうすると,いまの病院とか何かかなり変わった形を取っていくようなことを想定されていらっしゃるのですか.

内布委員
 いいえ,そうではなくて,医師と患者との間だけで行われる医療行為というのは,クリニックレベルでは,現実に今もあります.看護は介在しないで,お薬との関係だけで医師と患者が治療をされる,治療するという状況というのは現実にあるわけです.別に状況を変えるのではなく,今現実にそういうことがあって,それは私は,患者さんの選択なのではないかと思うのです.患者さんが看護を必要とされたり,私たち看護師も「あなたにはこのような看護が必要ですよ」というサジェスチョンはもちろん申し上げますし,「あなたの健康上,生活の上で看護としてこのような専門的なお手伝いをして差し上げられますがどうですか」ということのオファーだと思うのです.それを受けるかどうかというのは,患者さんがお決めになることだと思います.実際にはそこのところが言語的に明らかにならないまま動いてはいますけれども.

井部委員
 いまの内布委員の指摘はもっともなところがありまして,これは医師の指示以前の医療界における医師・看護師関係,あるいは医師と他職,コメディカルとの関係性がずっと引きずってきている部分ですので,大改革をするには誰か権限を持った人がやればできるのかどうかわかりませんが,権威構造が医療界にはあるのは確かだと思います.それから外来で医師と患者の関係だけで終えることができる.それは私も認めます.ですから,外来看護は必ずしもその間に看護師が割り込んで行かなければならないとは考えておりませんし,むしろ慢性疾患の人たちの場合は,医師がいなくても看護師と患者の関係で,外来における療養生活を続けていくということも可能でありますので,誰が自分にとって適切な資源なのかということは,賢い患者は選択していくことができると思います. 前者の問題に関しては,これも私の認識の違い,間違いだったなと自戒を込めて申し上げますが,これまで法律的な解釈で療養上の世話と,それから診療の補助とは両方とも医師の指示の傘下にある,というふうに遠い昔に聞いたことがありまして,そういうふうに解釈する人と,療養上の世話は看護の独自の領域だというふうに考えている人と2つありますよ,というような遠いころの覚えも私の中にはありまして,その辺で医師の指示がどの辺りまで掛からなければならないのかということに関して,きちんとした定説が現場に十分届いていなかったというのもあるのではないかと思います.

平林委員
 いまの医師の指示がどこまでかというのは,いろいろな説があるというご意見ですが,確かにそのとおりです.ある説によれば,病院で一旦看護活動に従事すれば,その看護師はすべて医師の指示のもとに入るのだ,というようなことを確かにおっしゃる方もおりますし,そういうふうに主張される方もいらっしゃると思います.先ほど申し上げたことと同じですが,その場合の医師の指示とは一体何だろうかということを私は考え直すべきではないかと思っております.医師と看護師が共同歩調を取って,その患者の治療に向けてお互いに共同していくのだということは明らかなわけで,その患者さんをどういう方法で治療しましょうかという,大枠のところは最終的には医師の治療方針としての指示とでもいうものがかなり効いてくると思います.医師の治療方針を決定していくプロセスの中で,看護師と医師とがどれだけコミニュケーションを取って議論できるかということはもちろん重要だと思いますが,最終的な医行為についての責任は医師が取るという構造になっておりますから,看護師は治療方針としての医師の指示に従わざるを得ないということによると思うのです.ただ,個々の具体的な療養上の世話なり,生活活動の援助というところでは,先ほど申し上げたような形で,それとはまた違った意味の考え方をすべきではないかというふうに思っております.それが医師の指示との関係で私が考えていることです. もう一つは,内布委員がおっしゃった患者と医師だけで治療行為が完結してしまうことがあって,そこにはあたかも看護師が介入できる余地がないかの如き,そしてそれでもいいかの如きご発言をされたのですが,確かに傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話という現行法の枠組みで考えると,そういうことがあるのかもしれませんが,看護本来のあり方ということを考えていく場合には,そういう患者さんのディマンドだけで看護が動いていいとは私には思えないわけです.そういう状況があるにもかかわらず看護が独自の機能をどうやって果たしていけるのかということが,むしろ本来考えられるべきであって,あるべきではないのだろうかというふうに考えておりますので,ちょっとそのことを申し上げたかったわけです.

川村座長
 ありがとうございました.会の始まりが遅れたということもありまして,この問題についてほぼ1時間取らせていただきましたので,第2番目の課題に移らせていただきたいと思います.「在宅患者の死亡時における看護師等の関わり方について」です.まず事務局から資料のご説明をお願いします.

土生企画官
 それでは事務局から資料2,「在宅患者の死亡時における看護師等の関わり方について」ご説明をさせていただきます.この資料は,第3回の検討会で在宅医療を継続中の患者さんがお亡くなりになられたときの死亡診断の法的な問題,あるいはその死後のケアの問題ということにつきまして,問題提起がございましたことから,事務局のほうで問題点と法律的な関係ということを整理したものです.まず,村松静子さんの著作から事例を2つ紹介してございます.著者は,長年,在宅看護,あるいは在宅における死ということにかかわってこられた方で,『そのときは家で開業ナースがゆく』というタイトルの著作から引用させていただいております.この事例はこの本の中の第1章ですが,家で死にたいという希望がかなえられない理由という中で,いくつか理由を整理して書かれております.その中で関係者間,家族や医療従事者の間の意思のずれというようなことが,その家で死にたいという希望がかなえられない理由の1つではないかという中で引用されている事例です.詳細のご紹介は省略させていただきますが,この事例の中で担当医のご発言として,線を引いてございますが,「24時間以内に往診していなくて死亡した場合には検死になります」ということをご発言されているわけです.この点,あとでご説明させていただきますが,厚生労働省の解釈が必ずしも周知されていないのではないかという問題がある,ということがうかがえるのではないかと思います.次に2頁目の2つ目の事例です.同じ章の中で別の理由として,ナースの役割意識の欠如,調整能力の未熟さという理由を挙げておられる中で紹介されている事例です.これも詳細は省略させていただきますが,2頁目から3頁目にかけて読んでいただきますと,死亡の場合に担当医の方が死亡確認をするということになっていたわけですが,担当医の方と連絡がなかなか取れないとか,さまざまな事情があったものと思いますが,結果として3頁の最初の行にありますが,警察医から電話が入って,警察の対応ということになったということで,非常にご家族の方が辛い思いをされたという事例です.こうした事例も参考にしながら,問題点と法的な整理ということで,4頁に「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」を載せております.6頁の下段に文献引用元が書いてありますが,これは厚生労働省で作成したマニュアルからの抜粋ということです.まず4頁の上には死亡診断書(死体検案書)の意義ということで,(1)「人間の死亡を医学的・法律的に証明する」ものであるということが記載されているわけです. 5頁にまいりまして,「2 死亡診断書と死体検案書の使い分け」ということです.その上欄に書いてありますように,次の2つの場合には死体検案を行った上で,死亡診断書ではなくて死体検案書を交付するということです.その2つの場合というのは,(1)診療を継続中の患者以外の者が死亡した場合.(2)診療継続中であっても,この傷病と関連しない原因により死亡した場合というようなことです.その下のフローチャートで見ていただきますと,ただいまの説明の逆に裏から読みますと,診療を継続中であった患者が診療にかかる傷病によって死亡したということになりますと,いずれも「はい」ということでいちばん左の欄にいくわけで,「求めに応じて死亡診断書を発行する」ということです.それから,死亡の原因が診療にかかる傷病と関連していないということになりますと,2つ目の欄で「いいえ」ということになりまして,「死体を検案して異状があると認められるか」どうかということが問題になるわけです.異状がない場合は「いいえ」ということで,これも「交付の求めに応じて死体検案書を発行する.」異状がある場合は警察署に届け出るということです.いずれにしても,まず警察の対応が必要になるのは異状があると認められる場合のみであると解釈をしているわけです. 次に6頁の2つ目の○に(参考)という枠囲みの中で医師法第20条のただし書の解釈がございます.この解釈につきまして厚生労働省としては,診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合ということで,この場合につきましては,その○の上に書いてあるように,改めて死後診察をしなくても死亡診断書を交付することを認めているということです.これは24時間を超える場合には,死体検案書を交付しなければならないとする趣旨ではないと解しておりまして,逆に言いますと,24時間を超えていても改めて死後診察を行った上で,生前に診療していた傷病が死因と判定できれば求めに応じて死亡診断書を発行できると解しているわけです.こうした2つのポイントで考えますと,先ほどの事例1にありましたように,24時間を超えて死亡した場合に,先ほどの事例では検死になるというような書き方がされておりましたが,こうした解釈によりますと,その点誤解と言いますか,必ずしも行政解釈が現場に周知されていないということがうかがえるのではないかと思っております.7頁はその解釈を示した昭和24年の通知です.8頁は,もう1つのポイントである死後のケアを適切に行うための法律的な整理ということで,ギリギリどこまで可能かということを事務局のほうで整理したわけです.先ほど申し上げたように,24時間以内に死亡した場合には,改めて死後診察をする必要がない.逆に24時間を超えた場合には,医師の死後診察を行うということです.まず24時間以内に死亡した場合に,死後のケアを開始するタイミングですが,そこの枠囲みの中に長々と書いてありますが,「在宅で継続的に治療していた患者」であるということ.それから,「事前に医師と看護師の間で死が近づいていること及びその場合の対応について確認がなされている」ことを前提にして,その死亡に際して「異状が認められない旨,医師の判断を得た場合」には,実際にその死亡診断書がいつ交付されるかということに関わりなく,交付する前であっても患者の尊厳や遺族への配慮として,訪問看護師等が死亡の処置を適切に行うということが望ましいし,また法律的にも可能ではないかというようなことです.24時間という問題がございますので,そこに但し書を付けているということです.そうした死が近づいていることのおよその予測ということで症状を整理しています.いちばん下に文献名が記載されておりますが,これから引用させていただいたものです. 9頁には,死を確認するための3徴候というものを整理したものです.また,一般に行われる死後の処置ということで,遺体を清潔にし,生前の外観をできるだけ保って死によって起こる変化を目立たないようにするための処置ということで,そこに書いてあるような処置が一般にとられているということです.以上です.

平林委員
 ちょっとしつこくて恐縮ですが,死亡の診断をするなり確認をするというのは,ある人が死亡するということを宣言するわけです.ある人が死亡するということを宣言するということは,その人が法的な主体として消滅し,権利義務関係の主体となり得ないという,極めて重要な法律上の効果をもたらすわけです.私はこの点については少し慎重な態度をとるべきだろうと基本的に思っております.それを前提として,どうも私は気が弱いものですから仮に8頁にあるような「死後のケア」を認めるとしたらということを考えてしまうのですが,そういう場合に,どうしても法律家というのは嫌な性格を持っておりまして,最悪の事態とか,状況とかを考えてみて,それに本当に対応できるのかということを考えてしまいます.そこでこの場合,確かに皆さんは非常に善意の人々を前提にして議論をされているわけですが,法律家は悪意の人も中にはいるだろうということを考えます.そうすると,一見すると,診療中の疾病の経緯で死亡したかの如くに見えるが,実は最後の最後になってどこかで犯意が,悪意が起きて,手を加えてしまったということが論理的にないとは言えない.実際上はないと思いますが,しかし論理的にはないとは言えない.そのことをどうやって,誰が責任をもって確認するのか,判断するのかということは,やはり私は問題点として残るだろうと思うのです.仮に先生がおっしゃったような形で,看護師は死亡確認ができるというような制度を新たに作ったとしても,そのときに看護師はどういうところをチェックして,どこをきちんと診なければいけないのか,という点について具体的な方法とかやり方に関するマニュアルでもいいですし,プロトコールでもいいのですが,そういったものをきちんと準備するということが,この問題を仮に100歩譲って進めるとした場合に,必要な作業になってくるのではないかと思います.ただ,8頁のように書かれていて,では現場が大変だからそれを認めましょうというふうには私はならないのではないかと思っております.

田村看護課長
 私どもが,8頁に提案させていただいた死後のケアをこういう状況で行えるというふうにするにいたしましても,やはり看護師が在宅療養患者の死後のケアをするに当たってのガイドライン的なものを作らないといけないだろうというふうに考えています.そのことだけはお伝えしたいと思います.

柳田委員
 これははっきり決まったわけではなくて.

田村看護課長
 はい,1回ごとの会で,これを引き続きというよりも最後のまとめのところでも,ご意見をまとめていただければと思います.

20021220 第8回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
川村座長
 本日の議題は3件あります.まず,検討課題である「在宅医療における必要な衛生材料等の供給の現状」と「在宅における注射の取扱いについて」を検討していきますが,初めに「衛生材料等の供給」について,上野委員からお話を伺い,意見発表の後に,事務局資料の説明をお願いいたします.

上野委員
 訪問看護制度ができたときには,介護を中心とする訪問看護ということでいろいろな報酬等が決められたと思うのです.今は在院日数の短縮化により,非常に医療依存の高い方が在宅に戻ってきている状況になっています.その中で,当初から衛生材料の供給に対しては課題になっていたのですが,そのまま「現状と課題」ということでまとめましたのでお話をしてみたいと思います.現状の問題として,1つは「医師側の問題」といいますか,本来,診療報酬体系の中で在宅医療処置に必要な医療器具,衛生材料等は保険適用という形になっており,医師が在総診(寝たきり在宅老人総合診療料や在宅療養管理指導料をとっている場合は出さなければいけないということがあるわけですが,そこのところが十二分に理解されていない.というよりも,先生方のほうが取り方がわからないで損をしているというのが事実だと思います.そういう意味で,十分な供給がされていないという現状があります.訪問看護へ行ったときに,これは必要だと思っても,なかなかすぐには対応ができない.生理食塩水やイソジン等々が欲しいといった場合に,これが,病院等との連携の場合で,比較的大きな医療機関だと出していただけるのですが,開業医の先生方の場合には非常に難しい部分があります.例えばカテーテル等は,病院などの場合にはロットで確保すると思うのですが,開業医の先生の場合にはロットで確保することによってロスが生じます.1人の利用者のために,30本入りのものを確保しなければいけないとか,1ダース手元に置かなければいけないということがあります.それは,仕入れの問題がありますので,単品では先生方が確保しにくいという問題が生じていると思います.医療費の請求ができるということを,よく在宅をやっている先生方はわかるのですが,訪問看護はいろいろな先生方と接しますので,先生方のほうが保険点数の取り方をわかっていない部分があるように聞いています.先生方でも,外科系の先生と内科系の先生では全然違います.外科系の先生は,フォーリーカテーテルが欲しいとか,マーゲンチューブが欲しいという場合でも手元にたくさん持っていますけれども,内科系の先生の場合にはそれがほとんど手元にはないという状況があります.そういうことで現実的には提供がされてなくて,看護師等が混乱しています.看護師側の状況とすると,初回訪問に行って褥瘡があったとしても,そのときには自分の手元には衛生材料がありませんのでどうするかというと,また医師の所に戻って「先生,こういう状況なのですがいかがいたしましょうか」という相談をします.「それでは何を使ったらいいのだろうか」「今の状況だとこれぐらいものはいかがでしょうか」ということを先生方と話をして,「今から業者に頼むので,午後から取りに来てくれ」という状況になって,またそこでロスが発生して,2回3回という往復になってくるということも実際に起きています.緊急時の対応ということがあります.夜間にフォーリーカテーテルが抜けたというような場合に,医師からは1本しか処方されていませんので,夜間に行っても手元にないということになります.そうすると,ステーションで何らかの形で確保しなければいけないという問題が生じています.その何らかの形で確保するということが,本当は薬事法に触れるのだということは重々わかっていながら,緊急時の対応のために何らかの形で確保する,というのが現在のステーションの状況ではないかと思います.利用者側にすると,病院に入院しているときはまるめの中に入っていますので自費が発生していてもほとんど気づかないと思うのです.ところが在宅に戻ってくると,自費が丸々見えますので,すごく負担感を感じます.本来,衛生材料等々はステーションでお金を取ってはいけないと言われています.県等の監査などでも,ステーションでガーゼ1枚取っているとなると,ガーゼ1枚を利用者から同意を得て取っているのか.同意書はどういうものを使っているのだ,という非常に厳しい行政のチェックの下に,緊急の場合はガーゼ1枚取っていますというようにするのですが,利用者とすれば,今までは負担したことがないのを,そういう形で負担しなければいけないという現状もあります. そういう現状がたくさんあるわけですが,今後の課題として言えることは,医師が取る指導管理料に,点滴などの輸液セットや絆創膏等々は含まれていないと聞いていますので,そういうものがきちんと提供できる制度上の手当てが必要ではないかと思います.訪問看護ステーション側では,薬事法の問題はありますけれども,そんなに大きなものではなくても,緊急時に対応できるだけのものを準備できないかと思います.今,在宅では,医療依存度が非常に高くなって帰ってきていますので,血糖測定やパルスオキシメーターのようなもの,それからアンビューのようなものもステーションでは準備しなければいけません.その辺のところをどう考えていくかという辺りが課題になるのかと思います.2頁に示しましたのは,平成12年3月に全国訪問看護事業協会が調査したものです.これは,医療の供給状況を示してあります.これは,ほとんどが吸引用カテーテルや,留置カテーテル,栄養セット等々の医療にかかるところに関しては,医師が提供しているという結果が出ています.ステーションが独自で調達したり,関連医療機関からいただいているものという形のものがあります.吸引をしなければいけないとか,フォーリー交換をしなくてはいけないというものに関しては,医師が取って出していただいているということです. 3頁に書いてあるのは「看護消耗品」と名付けてあります.ガーゼ,綿花,綿球といった看護に使える消耗品について,ほとんど利用者が購入しているのが46.1%になっています.この中で医師が出してくれているのが26%です.ステーションはお金を取れないということで,ステーションが無償で支給というのが7.4%です.ステーションが実費で支給しているのが16.4%というデータが出ています.このように,医療備品に関しては比較的医師が出してくれるのですが,看護消耗品に関しては出していただけないので,何らかの形で購入をしているという状況があります.4頁に書いてあるのは,看護用器具のところで,吸引カテーテル等医師が出している部分で,利用者への負担がどれぐらいになっているかという一覧表です.本来,診療報酬の中できちんと提供していただければ,私たちは本当にケアがしやすい状況になってきます.ただ,先生方が在宅総合診療料を取っているのか,在宅寝たきり患者指導処置料を取っているのか,訪問看護ステーションでは全然わからないです.それがわかっていれば,「先生,これは取れるのではないですか」ということもあるのですが,医師がどのような点数を取って診療に及んでいるのか,私たちの所では知るすべがないのです.訪問看護指示書に在総診を取っているとか記載があれば,「先生は取っておられるんですね.それでは,これは出していただけますか」と言うこともできるのですが,その辺のところはまだわかっていないということが実際問題としてあります.医療処置をもっている人の所に,在宅ケアがスムーズに行われるためにどうすればいいか,ということを考えていただければと思います.以上です.

川村座長
 非常に現実的なことを数字でお示しいただいたと思います.次に,事務局から説明をお願いいたします.

土生企画官
 資料2,資料3についてご説明いたします.資料2ですが,ただいま上野委員からさまざまな問題提起をいただきましたし,中間まとめにも検討課題として盛り込まれております衛生材料等の供給体制について制度上の仕組みを整理したものです.表紙をめくると「事例」ということで,四角の中に事例の概要と,それを図解したものがあります.これは,さまざまな衛生材料,医療機器の例を示すために,いろいろな処置を極端に示したものです.概要ですが,脳内出血で療養中の男性高齢者を前提とし,処置の内容としては褥瘡が発生していることに伴う処置,胃瘻を造設している,膀胱留置カテーテルを挿入している,痰詰まりを起こしているということで,気管切開呼吸管理をし,吸入吸引を行っている,合わせて抗生剤による点滴の静脈内注射といった5種類の処置を行っているという事例です.2頁には,ただいまご説明いたしました医療処置に対応した看護の内容,それに伴う医療機器,衛生材料,薬剤等々を幅広に整理したものです.左に医療処置の内容がそれぞれ種類別に示してありますし,真ん中にはそれぞれに必要な医療機器・衛生材料・消毒薬を整理しています. その診療報酬上の取扱いということですが,真ん中の医療機器・衛生材料・消毒薬については,表の下のほうに※で書いてありますように,在宅指導管理料の診療報酬の点数の中に含まれているということですので,在宅指導管理料を取っていれば,当然その医療機関としては供給すべきという整理になっています.一方,薬剤と特定保険医療材料については,こうした在宅の指導管理料とは別に,薬剤料と特定保険医療材料料が別途請求できるということになっています.いずれにしても,医療機関が適切に十分な種類・量の供給をする必要があるということです.3頁には,そうした取扱いを前提にして,在宅療養にかかわる医療機関,訪問看護ステーション,患者との関係を非常に機械的ではありますが整理しました.(1)の所で医師が診察を行い,必要な衛生材料・医療機器・薬剤などを提供する.その診察の結果に基づいて訪問看護の指示を訪問看護ステーションに出すということです.(3)訪問看護ステーションでは,必要な看護ケアを提供するということですけれども,その際に観察,患者からの相談の結果,さらにどういう衛生材料,あるいは医療機器等が必要かということを観察・相談するということです.その結果として(5)の上のほうにまいりまして,訪問の結果を医師・医療機関に報告する際に,利用者の状態に合った衛生材料等の不足や変更を伝えていただくことになるのではないかということです.その報告の結果に基づいて,さらに(6)で必要な衛生材料・医療機器・薬剤などを医療機関が提供する,という制度になっています.4頁は,診療報酬でポイントとなっている医療機関の在宅療養指導管理料の概要です.たくさん種類が書いてありますけれども,月1回,基本的にはこのうちいずれかを算定するということです.当然のことながら1点の点数は10円になっています.この指導管理料は,基本的な点数だけを列挙させていただいたものですので,この中でそれぞれ医療処置の内容,あるいは使う医療用具などの種類によって,当然のことながら加算されるものもたくさんあります.5頁はまとめです.衛生材料等について,必要なものが在宅療養の現場で十分供給されていない,という現状があるわけですけれども,整理をすると,今ご説明いたしました在宅療養指導管理料を点数として取っているということが前提ですので,ここに保険局医療課の通知をお示ししておりますが,下線部分にありますように必要かつ十分な量の衛生材料等を支給するということが通知上も明記されております.(10)のところも抜粋してありますけれども,その例示として指導管理に要する消毒薬,衛生材料,あるいは医療用具等は当該保険医療機関が提供するとされているところです.こうした取扱いを前提にすると,さまざまな現場でのお悩み,ご苦労はあろうかと思いますけれども,制度上の整理として私どもが問題点として考えると,こうした制度というか取扱いが医療機関や訪問看護ステーションにおいて,まだ十分周知されていない面があるのではないかということが1点あります.また,こうした制度を前提としても,訪問看護ステーションと医療機関の情報の流れといいますか,コミュニケーションの状況というもので,なかなかきめ細かな対応ができない面があるのではないか.こうした点について,まだまだ改善の余地があるのではないか,ということを考えている次第です.衛生材料等についての,健康保険上の取扱いを整理すると以上のようになります.資料3「在宅における注射の取扱いについて」ですが,この課題も中間まとめの中で,在宅に関する諸制度について取り上げられた最後の課題です.表紙をめくりますと,この検討会の中間まとめを踏まえ,「静脈注射が,医師の指示の下に診療の補助行為として実施できる」となったわけですけれども,健康保険上の取扱いとしては,「医師の指示を受けて看護師等が単独で訪問して静脈注射等を行っても,診療報酬を医師が請求できない」という仕組みになっているので,これを改善できないかという問題提起と承知しております.これを,ごく単純な例ということで図解したのがその下です.最初に医師が往診,訪問診療を行い,例えば3日間静脈注射が必要と判断した場合ということです.1日目は,当然医師が診察を行い,なおかつ注射を行うということですが,残りの2日間については看護師が単独で訪問して注射を行う,ということが保険上認められないかという問題です.これについて現在の取扱いを調べたものが2頁で,以下点数表の解釈から抜粋をしたものです.これも,保険局の通知です.注射薬剤の種類が長々書いてありますけれども,(1)の最後のところを見ますと,注射が必要欠くべからざるものである場合は,往診して治療をすべきものであるということで,医師が往診して注射を実施するということが,少なくとも現状では前提にされているということです.3頁も同様でして,保健師が注射をできないかということに対し,これも通知の末尾を見ますと,保険医が往診して治療すべきものであるということです.こうした点を今後改善していく必要があるのではないかという問題提起だということで,厚生労働省としても受け止めております.ただ,この点は中医協の審議事項ということですので,今後の改定などの際に十分検討していただくよう,私どもから,担当課である保険局医療課のほうに伝えているということです.事務局からの説明は以上です.

川村座長
 今,いただきました資料を2つに分けて,「在宅における注射の取扱い」の件ついては後ほど時間を取るようにいたしますので,まず「在宅における必要な衛生材料等の供給体制について」,上野委員のご意見や事務局の説明を踏まえ,皆様のご意見をお聞かせいただければと思います.

土生企画官
 薬事法の取扱いについて補足して説明いたします。薬事法においては、それぞれ医療用具とか、極端な例でいうと医薬品は、それぞれ薬事法上の種類に応じて規制のやり方が異なっていると承知しております。医療用具でいうと、薬事法に基づいて届出が必要となっておりますので、そうした届出をしていただければ、医療用具を保管なり販売することは、一応薬事法上は可能だということになるのだと思います。ただ、一方では健康保険法上の取扱いとの問題があると承知しております。保険診療として医療用具なりを販売するということになると、健康保険で認められていないような自己負担を患者にお願いすることになりますので、これは健康保険上の取扱いとしては、先ほどご説明をいたしましたように、診療報酬上で手当てをされている医療機関が、保険診療の一環として医療用具なりを提供することになっています。そのほかのものの貯蔵ということになると、医薬品の場合は許可ということになっておりますので、当然薬剤師がいなければできないことになっていますので、訪問看護ステーションでは、通常そういうことはないのかということです。医薬品以外のガーゼといいますか、雑品といいますか、普通に売っているようなものは薬事法上の問題は特にないと理解していますが、健康保険上の問題としては、先ほどの医療用具と同じような問題があるのではないかと理解しております。

藤上委員
 衛生材料の中には、薬局方として指定されているガーゼとか脱脂綿があります。そういうものの取扱いは薬剤師がいないといけないことになると思います。

國井委員
 事務局から、この課題として医療機関に周知されていないのではないかということと、そのコミュニケーションが足りないのではないかという問題提起がありましたが、それだけで解決するのかということを疑問に思います。訪問看護事業財団という訪問看護事業をサポートしている財団がありますが、そこに衛生材料に関する問い合わせは非常に多いです。実際はその医療機関が提供しなければいけないのですけれども、先ほど上野委員がおっしゃいましたように、在宅医療をやっている先生方もいろいろ専門領域が違います。専門領域の違うところは無理なところがあって、適切な材料の判断や量のところでもナースが困り果てる状況があって、いろいろ細かい問い合せが非常に多いです。これは、システムとして何か整えられないのかということを非常に思います。

川村座長
 現行のやり方以上の、何か処置が必要ではないかということですか。

國井委員
 そうです。在院日数の短縮で、一方に在宅医療を推進しようという動きがあるわけですから、今までの医師の判断や能力だけに頼っていくのは結構難しいのかと思います。

川村座長
 何か具体的な提案がありますか。

國井委員
 訪問看護ステーションには、いろいろ法律の規制があるようですけれども、点数など法律の規制を課しながら、あるところでは衛生材料の管理も可能なようなことはできないのかということを、これは非常に乱暴な発言かもしれませんけれどもそう思います。

川村座長
 ご提案としては、今の制度上は無理かもしれないけれども、訪問看護ステーションなどが、こういう一部のものについて取扱いができるようにできないだろうか、というご発言でよろしいですか。

國井委員
 はい。

川村座長
 実際に、訪問看護の方は困っているのではないかと思いますが、ほかのご提案、ご意見はございませんか。本日いただいた数値を見ますと、利用者の負担もあるように思いますので、こういう点が利用者の立場から適切な医療を提供する、という坂口大臣の趣旨を踏まえると、こういうところはどうやったら改善できるかというのが1つのテーマかと思います。

宮武委員
 れは、医療保険の世界であるわけですから、介護保険の世界になると、当然ながら訪問看護ステーションが請求できるわけですね。

上野委員
 介護保険でも医療保険でも、訪問看護ステーションは制度の中では一緒です。

宮武委員
 そうすると、看護用の器具などについても全く同じ規制になっているのですか。

上野委員
 はい、それはすべて診療報酬の中で、という形になっておりますので、医師が出すことになっていますので、訪問看護ステーションではこれを取り扱うことにはなっていません。

宮武委員
 介護保険のほうの報酬点数1単位10円というところは全く別にして、この種の器具全部医療保険のほうで見て、介護保険のほうはソフトのほうの人件費だけに絞られてくるということですか。

上野委員
 医療保険の場合は、訪問看護療養費プラス管理療療費があります。その管理療養費に当たる部分が、介護保険でいうと1時間8,300円なのですが、5,300円プラスで8,300円になっているところが管理療養費に当たる部分と伺っておりますので、それがあるから材料費が入っているかというと、それは入っていません。

宮武委員
 介護保険ができたことによって、医療保険と介護保険とできちっと整理しなければいけない時代に来ているということも言えるわけですね。例えば訪問看護の場合に、褥瘡の手当ても当然ながらなさるわけですし、一定程度のいろいろな材料費はかかるわけです。材料費については込み込みに入っているわけですね。30分なら1時間単位で訪問看護の単位の中に入っているわけですか。

上野委員
 訪問看護は、介護保険だろうが、医療保険だろうが、訪問看護の内容は一切変わりません。ただお金は変わります。訪問看護を医療保険で行くと、30分から2時間の訪問で、平均で大体1万円です。それは、訪問看護療養費の基本部分にプラス管理療養費・重症管理加算・緊急時訪問看護加算等で平均すると1万円前後になります。介護保険では、1時間8,300円というところは、5,300円プラス医療保険でいう管理療養費が入っての値段と伺っています。そうすると、その管理療養費というところは何かということになると思うのです。訪問看護ステーションは病院と違いますので、医師がすぐそばにいるわけではないというところで、医療機関とも連絡を取りますし、いろいろなサービスとも連絡を取りますし、家族とも連絡を取りますし、その方をケアする上でいろいろなことにかかわるというところの療養費の算定になっています。訪問看護の内容そのものは訪問看護療養費の中に入りますので、それは訪問看護、例えば行って観察をして、ケアをしてというところの部分です。そのケアをするところには、こういう材料費は一切入りません。その材料費は、例えば消毒をしなければいけないというようなところに関しては、本来だと医師から家族が貰ってきていたものを使うという形になると思います。でも、各家族の所に必ず置いているわけではないので、便宜上は訪問看護ステーションが消毒薬を持っていって、そこでケアをしてくるというのが今の現状になっています。それは医療保険だろうが介護保険だろうが同じです。

宮武委員
 わかりました。ただ、介護保険の制度ができたことによって、例えばその中に材料費を含んだ包括点数みたいなものがあれば解決できるわけですね。

西澤委員
 厚生労働省の説明資料2の2頁ですが、診療報酬点数上は算定できるようになっているわけです。問題は、診療報酬のルール通りするということが大前提で、その上でどこかを変えなければ駄目なのかという議論、していないのだったら、ルール通りするためにはどうしたらいいかということを議論すべきであって、していないから別のほうを認めろという議論に行きかけているので、それは修正したほうがよろしいのではないかと思います。

川村座長
 西澤先生のご意見もありましたが、別の中身でも結構ですのでありますでしょうか。

上野委員
 基本的には西澤先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、どうなのでしょうか、フォーリーカテーテルの入っている利用者に、医師はフォーリーカテーテルを1本出します。しかし、予備のためにもう1本出されるでしょうか。私たちが困るのは、緊急時に対応できないというところが困るわけです。あらかじめ出してあれば、それは予備でいくらでも使えますけれども、緊急時に対応できるためにどうするかというところは、この中にはたぶん入っていないのではないでしょうか。2本あげなさい、ということはないと思います。 もう1つは業者の問題だと思うのですが大きいロットですよね。開業医の先生方向けに、在宅材料をコンパクトに少しずつ分けてあげられるようなシステムができていれば、少しでもそれだけの在庫は抱えられると思うのです。そうではなくて箱ごととなると、1人の利用者のために箱ごとというのは難しいです。大きな医療機関では全然問題ないと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

西澤委員
 あくまで個人的な考えですけれども、指導管理料を算定しているということは、材料を提供しているということを含めて包括的にいただいているのですから、その対応をするのは医療機関の役目だと思います。もし、医療機関のほうで、今言われたように大量に買えないとかいろいろな問題があるのでしたら、診療報酬上の改善を要求するぺきであって、訪問看護の立場から言うのはちょっと筋が違うのではないかということを今聞いていて思いました。その点を整理して議論した方がよいのではないかと思います。おっしゃる意味はよくわかります。

井部委員
 衛生材料というか、診療材料の供給については病院内においても、非常に遅れています。大量にドカッと来て、それで在庫が多くて、病院の経営を圧迫しているというようなことが医療機関では問題になっております。企業ではサプライチェーンということで、かなりコンパクトに、必要なものだけ必要な所に届けるといった体制がかなり確立されていて、ネジ1本でも届けるといった体制があると聞いております。医療機関では物品の供給が病院の中でも非常に窮屈ですし、在宅でもなかなか欲しいものが手に入らないといった制度の障害をうすうす感じたりします。ですからもっと飛躍して、しかるべき衛生材料の販売元から直接必要なものを、小さなパックでも届けるといったことを積極的に考えたらどうかと思うのですが、それはいかがでしょうか。制度をすべて突破することはできないでしょうか。

川村座長
 大変斬新なご意見ですね。上野先生のお話にちょっと付け加えますが、私が訪問看護をしておりましたころには、そういう材料の不備が多かったのかもしれませんが、例えばバルーンカテーテルや気管カニューレというのがときどき故障といいますか、事前のチェックをするためにバルーンを膨らませて、最初はいいのですが、もう一度やったときにリスが起こってしぼんでしまうということで、使えないものがたまたまその1本に当たってしまうときには大変困るのです。そういう配慮が、今はなかなかされていないということです。これは、訪問看護師のほうの問題ではないと思います。そういったところも含めて、供給の枠が広がるといいという思いがいたします。予備という考え方ではない、現実の問題もあるというところもお伝えしたいと思います。

内布委員
 これは、診療報酬に既に含まれているにもかかわらず、医師がそれを患者に与えていないがために起こってくるものと、それから緊急時の対応という2つの問題があると思います。緊急時のものは医師にも事前に供給しておく義務はないと思うのです。診療報酬を請求していて、供給する義務があるにもかかわらず患者が与えられていない場合は、請求すればすぐに滞りなく出していただけるのであれば、訪問看護ステーションの看護師は一生懸命言う。言っていけば改善していくかなと思います。それでも出し渋りがもしあるような場合は、出し渋りをした医師に関しては、管理料としての診療報酬を与えない、というような罰則があれば、医師もきちんと動くのだと思います。罰則がなければ、医師も脅かされませんので、出し渋りをした分自分は儲かるわけですから、その余剰分は自分の懐に入っていくわけです。そうすると、誰も見ていなければそういうことが起こってくるだろうと思いますので、きちんと罰則なりそういうものがあることが必要であると思います。 単に情報不足で、「そんなものを提供しなければいけないなんて知らなかった」というレベルのものであれば、情報を事前に行きわたらせることによってかなり改善できるのではないかと思います。現実的にはそのように迫まっていくのがいちばん妥当ではないかと思うのです。私は、アメリカでビジティングナースと一緒に訪問看護の研修をやらせていただいたことがあります。そのときの衛生材料の扱い方は、ビジティングナースアソシエーション(日本の訪問看護ステーション組織)に大きな倉庫があり、そこにパックで保管されていました。例えばIVHに必要な道具はワンパッケージになっていました。それも保険点数ごとになっていました。アメリカでは、保険料が高い人と、少ない人と、国が賄っている人があります。その中には、安い材料で、ガーゼもちょっと粗悪なものも用意されており、安い保険で賄われている人はそういうパッケージでというふうに全部用意されています。訪問看護師の車のトランクの中にはそういうものがビッシリ入っていて、そういうものは当然使うという状況になっていました。あとは医療用に必要なもので、その患者が在宅に置いておかなければいけないようなもの(カテーテルの管等)はデリバリー会社があって、その会社が1日1回必要なものを家の中の棚に補充していきます。ですから、患者の家の中の棚には、いつでも必要なものが補充されているので、看護師はそこへ来てそれを使う、患者も自分でそれを使う,というような形になっていました。私もシステムを勉強しに行ったわけではないので、そのデリバリー会社がどのようにして動いているのかというところまでは把握してないのですが、そういうふうにすると看護師は何の滞りもなく仕事ができます。私は、衛生材料でアメリカで悩んだことは一度もありませんでした。井部先生がおっしゃるようなことができれば、看護師は本当に動きやすいし、材料がないということで患者も不安になることもないのではないかと思います。長期的には、そういうことも考えなければいけないのではないかと思います。

川村座長
 元に戻りますけれども、この制度の周知の問題や、それの運用上の問題が少し改善できるのであれば、そういったところについてのご意見をいただきたいと思います。実際上はかなり周知の努力はされているということなのでしょうか。具体的には、主治医がおられる医療機関、または主治医がこれをどのように知っているかということと、もう1つは訪問看護師側の話があると思います。訪問看護ステーションのほうでは、こういうことの情報は伝わっているのでしょうか。

藤上委員
 事務局に質問します。医薬品は別として、衛生材料・医療用具に関しては、すべて診療側の医師の指導管理料の中にすべて含まれているのですか。そうではないものはないのですか。

土生企画官
 診療上必要なものは、2頁の図で在宅指導管理料の中に医療機器・衛生材料・消毒薬と必要なものはすべて含まれていると考えております。これは別だとおっしゃった薬剤等については別途請求できる、という仕組みですので、少なくとも現行の診療報酬の取扱いとしてはすべて含まれているという理解です。

藤上委員
 1つ疑問に思ったのは、上野委員から、医師が請求できることを知らないので請求していないのではないかというお話がありました。すべて指導管理料の中に、衛生材料、医療用具は含まれているということですね。

川村座長
 資料2の2頁の薬剤料、特定保険医療材料料というのは、例えばこれはどういうものになるのですか。具体的には訪問看護ステーションで使うようなものでは、どのようなものが含まれているのでしょうか。

看護課長
 資料2の2頁では、真ん中の医療機器、衛生材料、消毒薬がすべてこの在宅指導管理料の中に含まれていますというものです。衛生材料が片仮名でたくさん書いてありますが、こうしたものがすべて含まれているという整理です。

平林委員
 問題はいくつかに分かれると思うのです。衛生材料等についての制度が、診療報酬上の制度も含めて適切であるかどうかという問題が1つです。仮にそれが適切であったとしても、そのことについて関係者が十分に認識しているかという意識の問題が2つめです。その2つが仮に適切であり、十分に認識されているとしても、その供給システムがきちんと整備されているかどうかという問題があります。このような大よそ3つの問題がこの点についてはあると思うのです。その辺を整理して、一つひとつ検討していかないと、おそらく問題はなかなか解決できないだろうと思います。制度の問題で、先ほど来お話がありますような、資料2の2頁にあるような形で、医師がどちらにしてもある程度きちんと責任を持って衛生材料等について供給をするのだ、というのを是とするのであれば、医師のほうできちんと認識して、その責任を果たしてもらう、ということである程度問題は解決すると思うのです。ただ、そのように意識したとしても、これも井部委員からお話がありましたように、開業医レベルではその供給を自分の所ですべての在宅医療に対して十分できないという状況もあるとすると、社会的なシステムとして、もう少し広い地域の中で衛生材料等を、薬局・薬剤師等と連携を取りながら、直接医師から供給を受けるのではなくて、一定の所に行けば、一定の方式で材料を供給できる、というシステムをどう作っていくのか、ということが考えられるべきではないかと思っています。この問題は、かなり昔から議論されていて、先ほど来話を伺っていて、何も進歩していないので唖然としてしまって何もしゃべれないでいたのです。結局事柄は供給システムの問題に戻ってくるのではないかと思いますので、少し整理をして具体的な解決策を提示していかないとならないのではないかと思います。

藤上委員
 今、平林先生から提供のあり方に関して考えていかなければいけないという提案があったのですけれども、平成10年に介護保険が導入されたときに、医師会と、看護協会と、薬剤師会とで在宅医療介護のあり方に関して検討しています。その中で医薬品はもちろんのこと、衛生材料、医療用具に関しても薬局側で積極的に提供するべきではないか、という報告がなされまして、今薬局側ではきちんと提供できるように対応をしているところです。

川村座長
 この問題は、今平林委員が整理をしてくださったところでありますけれども、なかなか現実的には根が深いといいますか、今までになかったシステムをどうやって作っていくかというところになりますので、この場で一つの具体策というのはかなり難しいと思います。けれども、そういう新しい提供システムを作っていくために三者が、またはそれ以上に多くの社会の人たちがどのように努力をしていくか、というところにこれからの課題があるように思います。ここでは結論というふうにはならないかもしれませんが、一つの提案は出していけるのではないかと思います。

川村座長
 この問題は、人工透析といいますか、家庭透析の方の薬液の輸送の問題とか、人工呼吸器の貸し出しの問題とか、あちこちで具体的な解決を求める活動があると思います。基本的に今の日本の制度というのは、医療機関の中で医療を行うという制度になっていますので、今までのところでは使う人と、収入を得る機関が同一であったと思うのです。今度、訪問看護が始まる、在宅医療が始まったということで、それが分化しているところに齟齬があるのではないかと思ったりしています。いろいろな意見をたくさんいただきましたが、川越先生の所ではうまくいっているというのは周知徹底されていると思います。やはり、地方で訪問看護がポツンと1つあるような所とか、いろいろなサービスがまだまだ行き渡っていない所も含めた問題をここでは取り扱っていく、というところに今困難が生じているのかと思ったりしています。大変たくさんの建設的な意見をいただいたということで、これは終わりにさせていただきます。
 次に「静脈注射を看護師の診療補助業務の範疇として取り扱う」というところが認められたところですけれども、それについて診療報酬が請求できない。看護師だけが単独で訪問して、その報酬が請求できないという状況に対して改善できないか、ということで資料3で事務局からご提案をいただいた討論に移らせていただきます。まず、賛成とか反対とかのご意見はいかがでしょうか。これも現行の制度では、昭和26年の通知の影響もあるかと思いますけれども、資料3の2頁、3頁のような規制がかかっているところです。

川越委員
 現実にこういう格好をしているというのを、資料1で提示してあるわけですけれども、多くの開業の先生方はこういう格好で、例えば抗生剤の点滴が必要な場合、最初は行って診断して、3日間抗生剤の点滴投与をしようということで、こういう形でやっているのだと思います。ただ2頁、3頁を見ていてびっくりしたのは、平成12年の段階で、注射をするのだったら医者が行ってやらなければいけないというのが生きているわけです。看護師の責任で静脈注射などを行ってもよいという改定がなされたということですからそれを踏まえて言うと、この辺も変えていただきたいということを思っております。このままだと、実は違法をたくさんしているわけです。看護師だけでやるというのも違法ですし、こういう場合の請求の仕方がどうなるかという問題はどうしても出てきます。医者の立場からの発言になって恐縮なのですが、その辺をちゃんと整理していただきたいというのが希望です。

國井委員
 今回の法解釈の変更で、看護師等も静脈注射が可能になったわけですけれども、それに関してはそういう機能が拡大したということでいいことだと思います。それに責任が伴うわけですので、そういうことを引き受けていくときに、きちっと評価されるのかというのが私たちはすごく気になるところです。これは川越先生の意見より一歩踏み込んで、こういう法解釈の変更に伴って、いろいろな保険のところで看護師等が行うことも、きちっと診療報酬で評価してほしいと希望します。

平林委員
 投与日数の制限の緩和とともに、それとは別の問題として、先ほど来お話がありますように、静脈注射が診療の補助業務として認められたというこの検討会の流れを踏まえて考えていくと、在宅医療の場合、必ずしも医師が行かなくてもいい場合と本当に医師が行かなくてはいけない場合と両方あると思います。必ずしも医師が行かなくて、訪問看護師に注射等を行わせしめることが適切であると判断したときには、それが法制上はできることになってきたわけです。それに対して診療報酬上の評価の平仄が合わなくなってきているということになるわけですから、診療報酬上の医科点数表の解釈等についても当然解釈変更がなされてもいいのではないかと思います。ただ繰り返しますが、そう言ったからといって、なんでもかでも看護師が行けばいいということを私は言っているつもりは全くないのです。本来医師が在宅医療については最終的責任を負うべきだと考えておりますので、医師が本当に行かなくてはならないときは必ずある。そのときには、きちんと医師は医師として対応すべきだというのが前提となっての話であるということを申し上げておくことが必要だろうと思います。それともうひとつの問題は、先ほど國井委員からお話がありましたように、診療報酬上の評価の観点から、訪問看護師が注射をしても、訪問看護師の点数としてはね返ってこないというところは、診療報酬全体をガラガラポンしないといけない問題であるのかもしれません。これは将来の問題として、看護の技術料をどう診療報酬上に評価していくかという大きな問題と絡んでくるのですが、その点も私としてはこの問題を考えるときには看過すべきではないだろうと思っております。

井部委員
 訪問看護師が在宅で注射をしても、一切収入にはつながらないということですか。指示書を書いた医師の所へいくということですか。

上野委員
 今は、そうです。

井部委員 
 それはおかしいですね。なんとしても、それは早く変えないと、ただで注射の技術を提供してしまうことになるわけですから。

平林委員
 訪問看護料は全部丸めとして出されており、技術料も丸めの中に入っていますというのが従来からの解釈だと思うのですが、本当にそれでいいのかという疑問は残るだろうと思います。

西澤委員
 注射手技料はただではなくて、今おっしゃったとおり、訪問看護の包括の金額の中に入っているという感じです。看護師の技術料はすべて包括で、その中の1つの技術が注射ということに今はなっているのではないかと思っています。これはおかしい、という話もありますけれども、実際に病院の中でも看護師が注射したときの技術料はいくらかというと、本当に微々たる額だと思いますので、それが上乗せになろうがなるまいが、あまり問題になる額ではないのではないか。ただ、そういう技術として少しでも認められるというプライド的なものは残るかと思います。この例示を見たのですけれども、「医師が往診または訪問診療を行えるのは3日間必要」ということですが、これは急性というか緊急の場合に見えるので、このときは訪問看護師が行く場合と、ある医療機関の看護師が行く場合と2つのケースがあると思いますので、議論のほうではそれを分けてだしていただいたほうがわかりやすいかと思います。特に、今のような報酬の話になってくるとケースも違ってくるのではないかという気もしています。それから、最終的には医師がトータル的な責任を負う。例えば、指示を出した注射で何かが起きたときには責任を負う、というのは当然医師だと思いますから、その辺の責任がはっきりするし、手技に対する責任は当然看護師のほうで明確にしていただければありがたいと思います。

國井委員
 先ほどの「診療報酬の評価」のところですが、プライドの問題だけではなくて、いろいろな病院で看護師の要員などを決めていくときに、看護師の数が非常にいますので、診療報酬の評価ということは要員配置にもプラスに働くとか、いろいろなことがあります。現に、今は静脈注射をやっていない所もあるわけですが、それを引き受けていくことに関しては、いろいろな教育だとか、新たな業務量が増えてくるという問題があります。そういうことが、きちんと評価されるということは非常に大きい意味があります。

西澤委員
 全く技術を評価しないというのではなくて、看護師の仕事というのは静脈注射だけではなく、いろいろな専門の業務があるはずですので、すべてを評価すべきだと思うのです。そのときには、1つのところだけ取り上げて付けるやりかたで積み重ねてもおかしいので、トータル的に看護師の業務として評価する方法を考えていただくべきだと思います。おっしゃるとおりで、そのへんがきちんと評価されているかというと、私は評価されていないと思っておりますので、その点ではまったく一緒です。

川村座長
 宮武先生は、この点についてどうお考えですか。

宮武委員
 私が黙っていたのは、静脈注射を看護師がやってもいいということになったわけですから、単独でやった場合もきちっと診療報酬を請求できるのは当たり前のことですから、解釈を変えればいいだけのことで、当たり前すぎて意見を言う気がしませんでした。

柳田委員
 責任の問題がありますから、これはいろいろ意見が来ているところですが、やはりそのようになるべきではないかと思います。

川村座長
 本日の2つの議題に関しては終わりにさせていただきます。9月に中間まとめを出させていただきましたけれども、そこに「在宅医療を取り巻く関連諸制度の再検討の課題」として、「例えば、在宅における注射の取扱いの見直し、在宅がん末期患者の疼痛を緩和するための麻薬製剤の適切な使用の促進、必要な衛生材料の供給体制、さらには在宅患者の死亡時における看護師等の関わり方などの検討が必要との意見もあった」ということで、これらのことについて、この検討会としては討論をさせていただいてきたというプロセスになります。3番目の議題について事務局から説明をお願いします。

医事課長
 「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会の設置について」ということについて説明いたします。ALSというのは、筋萎縮性側索硬化症という難病です。これについては、最近は在宅での療養が可能になってまいりまして、そういった患者も相当数増えてまいりました。そういったなかで、ALSの患者が在宅で療養していくためには、口の中や気管内の痰を吸引するという行為が大体30分に1回ぐらいの頻度で必要であるということです。これに対しては、往診が得られた場合は医師が行ったり、あるいは訪問看護師が行ったりということであるのですけれども、訪問看護師については人数も非常に少なくて、なかなか利用できない。利用できたとしても週3回程度であって、短時間しかやっていただけないということから、必然的に患者家族の負担が重くなっているということで、患者そのものの生存権が脅かされているということなども踏まえて、ALS等の痰の吸引を必要とする患者に、医師の指導を受けたヘルパー等介護者が、日常の場で吸引を行うことを認めてください、という要望書が日本ALS協会から、この11月12日に出されております。これに対して、厚生労働大臣から、「この問題に対して検討の場を設けたい」ということと、「来年の桜の花が咲くころまでには結論を出したい」とお答えになったということもあり、これを受けて国会の場でも同様な質問が出されまして、その中で大臣から「関係者の皆様のお話し合いの中で検討する時期にきていると思っている」という答弁もされておりまして、そういうことを受けて今回この検討の場を分科会を設けたいということです。資料4に書かれておりますように、検討の課題としては「患者の療養生活の質の向上を図るための看護師等の役割」、それから「痰の吸引行為の医学的・法律的整理」という観点で検討をお願いしたいと思っております。スケジュールとしては、本年度末を目途に結論を得たいということですのでよろしくお願いいたします。

川村座長
 この件につきましては、事務局の説明の趣旨をご理解いただきまして、ご了承いただきたいと思いますがいかがでしょうか。

川越委員
 ALS患者に限定したということは、患者の会からの要望があったということに関係しているのでしょうか。

医事課長
 当面ALS患者に対する対応が急がれるということでこの問題を第一に取り上げていただきたいということです。

川越委員
 この医療行為に対しては、痰の吸引行為をしてもいいかという、そこに限定する予定なのでしょうか、それはまだこれからの課題なのでしょうか。

医事課長
 とりあえず、まずその問題を整理したいということです。

川村座長
 よろしければ、ご了解いただいたということで進めさせていただきます。事務局は忙しくなりますがよろしくお願いいたします。本日は、今まで懸案になりました検討事項について一通り済ませておりますが、この一言は絶対に言いたいということがあればお願いいたします。

國井委員
 これから、まとめのところでもうちょっと収斂されていくのかもしれないのですが、医師の包括的指示の下にというようなことで、いろいろな意見が出ましたが、それに伴って看護職にどういうことが可能になったということがもうひとつ明らかにならない。どういう能力を持っている人たちにはせめてここまでというような議論にはなかなかいかなかったのですが、「新たな看護」ということで看護職の能力を最大限活かしてという、この会の趣旨のところで、もう少しその焦点化して、この間、井部委員が医師の包括指示のところでレベル1とレベル2と分けたレベル2の辺りを、もうちょっと具体的に検討してほしいと思うのですがいかがでしょうか。

川村座長
 それは、かなり細部にわたったことになりますね。

國井委員 
 そうです。

井部委員
 この検討会は、「新たな看護のあり方に関する検討会」という、21世紀に希望に満ちた検討会のタイトルなので、看護界は非常に期待をしています。これまで検討した内容は、私の感触では過去の懸案事項をもう一度取り出して整理しようというような、過去の遺産に向かっていたような気がします。新たな看護ということで、検討会の名前どおりの内容をもう少し提示できることを期待しています。

川村座長
 もう少し具体的にいうとどういうことになりますか。過去のいろいろな問題を整理して、それを克服していくということが次に向かうステップという位置付けかと思うのですが。

井部委員
 克服した、ということがはっきり示すことができると一歩前進だと思います。

川村座長
 これからの取りまとめの中に、それをどう含めていけるかというところかと思いますが、事務局としては何かご意見があるでしょうか、よろしいでしょうか。

川越委員
 今までの中で、これを取りまとめされるわけですね。まだ言い残しているというか、是非言いたいことがあるのですけれども、それはどのような形にしたらいいでしょうか。

川村座長
 今、おっしゃられることでしたらどうぞ。

川越委員
 大きく2点あります。項目だけ申し上げておきますと、ひとつは死亡診断のことです。先ほど平林委員から、医者が絶対行かなければいけないということで、その辺のことを意識されているのかなと思いながら伺っていました。その死亡確認の問題と、死亡診断書の発行のことについてが1つです。もう1つは、麻薬の量の調整ということを、指示の出し方で看護師にある程度委ねていいのではないか。それを認めていただくということになれば、保険局から出ているいろいろな通達の中で変えていただかなければいけないものがいくつかあるように思いますので、それをちょっと言いたいなと思っていました。

川村座長
 今すぐには、おっしゃれないことですか。

川越委員
 通達のほうは持ってこなかったので、もし差し支えなければ後日文書で出しますのでよろしくお願いします。

川村座長
 是非そうしてください。これで、中間まとめに盛り込まれた検討事項の審議が一巡いたしました。次回は、私と事務局で相談をさせていただいて、論点整理のメモを提出して、それについてご議論いただきたいと思います。先ほどのような観点からの文言の整理とか、付加すべきことなどがありましたらそこでおっしゃってください。今の、川越委員のご意見のように、細かい問題があれば、それは直接事務局に連絡してください。 本日は、これで閉会させていただきます。大変お忙しいところ、長時間ありがとうございました。

20030120 第9回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
川村座長
 本日は私と事務局で相談し、これまでの検討会における論点と主な意見を整理したメモを作成し、提出しています。これをもとに、各論点について議論を深めていきたいと思います。一応、委員の皆様方には事前にお送りしていますので、ひととおり目を通していただいているかとは思いますが、大きな項目ごとに内容を確認しながら議論していきたいと思っています。まず、検討課題1「新たな看護のあり方、医師等との連携のあり方について」の論点1から論点3について、これまでの主な意見を事務局から読み上げていただけるでしょうか。お願いいたします。

柳田委員
 いままで、この「新たな看護のあり方に関する検討会」において、諸々のご意見を拝聴してきて、第4の医療提供施設と言われるいわゆる訪問看護ステーションを拠点とした在宅医療が加わってきたわけで、既に約11年たっているのに、これについてなかなか、曖昧な部分があったということでした。その中で、いろいろ、細かいことを聞くにつれ、これは「新たな医師のあり方に関する検討会」ではないか。在宅医療に医師が積極的に取り組むべきだ、ということを改めて感じた次第です。
 整理メモの1頁の3つめの○「平成13年度厚生労働科学研究「諸外国における看護師の新たな業務と役割」によれば…」というところですが、確かに看護技術は発達して、期待される役割も拡大しつつあることはよく存じています。ただ、結局アメリカやイギリスなど、先進諸国における例を主に持ってきてあるわけで、ほかにもいろいろ参考になる国々があるだろうと思います。少なくとも、日本の医療の供給体制というものがその医療供給体制に合った裁量の範囲や役割業務を構築していくべきではないか。この点を加えていただきたいと思います。それから2頁、「病院内における看護の実状を見ると、法的に医師の指示を必要としない『療養上の世話』を含めて…」という部分があります。少し理解し難いのですが、「療養上の世話」というのは何かということになるわけです。例えば入浴を始めてよろしい、あるいは清拭してもいいのではないかというのは、その患者の状態を見て判断し、医師が指示を出すわけです。このようにクリアカットに分けて、これは指示は必要ない、これは指示しなくてはいけないというように決められるものかどうか、少し疑問に思います。しっかり分けられるべきものではないのではないかと思います。その次に、「訪問看護指示書に基づいて行われる…」とあるわけですが、株式会社等が参入した訪問看護ステーションというものができると、主治医との連携がなかなかうまくいかないだろう。かかりつけ医との連携などをしっかり考えないといけないだろうと思います。3頁、「包括的指示」というのは解せません。この当たり私はあまりウエイトは置いておりません。一番下、「看護師等が患者の状態を観察し、医薬品等による症状緩和が適当と判断した場合においては、医師により処方された医薬品等の使用方法の範囲内において、患者の症状に応じて看護師等が医薬品等をどのように使用するかは、看護師等が判断できる…」とあります。これは少し本末転倒というか、やはりその都度報告して、これは医師の指示があるべきだろう。医師と看護師の連携をきちんとしなければならないということです。少なくとも、ここはしっかりと医師が裁量権を持って行うべきだろうと思います。 それから5頁、3番目の○「特定の領域についての認定看護師や専門的な技能をもっている…」について、資質の向上をしていくということは非常にいいことだと思います。ただ、これはそれぞれ一つの団体の行っていることですから、これがほかに発展していくということにはまだ問題があるのではないかと考えます。以上です。

川村座長
 いまのご意見について、ほかに何かご意見はあるでしょうか。

井部委員
 柳田委員の最後の指摘が聞き取れませんでした。5頁の最後の点をどのようにおっしゃったか、もう一度お願いします。

柳田委員
 現時点では、裁量権を拡大していくことまでには、まだ至っておりません。例えば、非常に専門的な機能を持った専門看護師制度を目指して、看護師の資質が向上するということは非常にありがたいことであるし、立派なことであると思います。ただ、まだ、これは一団体内のことですから、これが裁量権を拡大するということには今は議論にはならないのではないかと思います。

國井委員
 今日はここにいろいろな意見が羅列されてあるわけですが、これらのことについて議論をして、ある程度ここの検討会の考え方をまとめていくという作業をするわけですね。

川村座長
 はい。

國井委員
 わかりました。柳田先生のお考えを伺って、考えていらっしゃることはよくわかりました。この検討会が最初に検討を開始したとき、これだけ看護婦教育の現状、社会的ニーズが変わってきたときに、医師がリーダーシップを取ることはもちろんだけれども、もう少し効率的な医療、しかも質の良い医療を提供するために、看護師の能力をもう少し活用してもいいのではないかというところで始まったと理解しています。ですから、柳田先生がおっしゃっていることは本当に大前提ですが、その中でいま看護師が現実に持っている能力、本会(看護協会)が行っている専門看護師制度もそうですが、そのような人たちをもっと活かすことはできないかという視点で議論してきたと、私は理解していることをまず最初に申し上げたいと思います。これは意見なのですが、論点1のところ、基礎教育において看護師の専門機能、療養上の世話に関する判断、それに対する対策などという教育がきちんと行き届いているというところで、下から2つ目、「生活の質を…」というところと一番下の段落、「看護診断として教育されていること…」という表現があります。プレゼンテーションがあったときに、看護診断が必ずしもすべての教育機関で教育されているわけでもないという現状もあるので、これをまとめて「基礎教育」でその辺をきちんと、看護師の独自の機能の判断や教育が行われているということ、いまパッと文章を言えませんが、そのような表現にまとめたらいいのではないかと思います。

川村座長
 「療養上の世話」の部分はいかがですか。

内布委員
 いまのところ、専門看護師の部分なのですが、どのような名前か知らないのですが、緩和ケアの検討をされているところで、もう既にお答えが出ています。特定の講習会、セミナー等を受けた看護師を含めた緩和ケアチームを作って、その人たちがいることによって診療報酬を認めていくということは、14年度の6月ぐらいから診療報酬制度の中で認められています。専門看護師や認定看護師はその範疇に入っていて、既に認められて動いている段階だと思います。そうすると、いまさらという感じもします。この文言が不適切だということは、いまのこの時代にあっては当たらないのではないかと私は思いますので、そのように議論したのではないかと思います。カリキュラムのところの指摘がありました。論点1の下から2つ目の○、これは文章上の問題なのですが、「カリキュラム」という言葉の前に「看護基礎教育における」と入れていただいたほうがよろしいかと思います。それから、確かに教育の現場では徹底しているということは申し上げました。そのとおりなのですが、「教育の現場では重点的に教育が行われている」という言い方のほうがいいのかなと思いました。これは文言上の問題です。次に、國井委員から指摘があった「看護診断」という言葉ですが、看護診断というのは1つの看護過程の上でのツールなのです。このツールを使うか使わないかということは学校による選択が行われていて、看護診断に異論を唱える学者たちもたくさんいるわけです。そういうことを鑑みると、この文章は少しわかりづらいので作ってみました。「療養上の世話については、看護が専門的に判断できるものとして教育がされているにもかかわらず、現場では必ずしも看護師の判断で行える体制になっていないのではないか」というように変えていただいたほうがいいと思いました。「療養上の世話」に関しては、実は私たちが思い込みで「指示が必要」と思っていたことがこの検討会の議論を通して判明しましたので、これは元に戻るというか、正当に法律を解釈すれば、療養上の世話については看護が独自に判断できるというように議論がされたものだと考えます。それから、文章中の「自立」が「律」となっています。オートノミーの意味でお使いというか、議論上もオートノミーで議論していたと思っていたので、「律」を使っていただいたほうがよろしいかと思いました。

川村座長
 論点1だけではなくて、柳田先生からも広範にいろいろご意見をいただきましたので、議論が広がっていますが、かまいませんので、どうぞお願いいたします。

國井委員
 いまの「療養上の世話」で、柳田先生は「療養上の世話にも医師の指示が要るのではないか」というようなお話でした。この会の検討では、療養上の世話には法的に、医師の指示が要るという規定はないという確認がされたと思いますので、その点は合意いただければと思います。もう1つ、2頁のいちばん上の段落、「看護師等が責任を免れるために行っている面もあるのではないか」とありますが、確かにそのような発言がありました。ただ、実際診療報酬など、いろいろなシステムの中に食事箋を医師が書いていないという指摘があったりなど、これに関する周知がきちんとされておらず、診療上ではなく、療養上の世話にも医師の指示が必要と誤解している現場などがあるのも事実です。その辺、もう一回改めて法解釈を徹底することが必要なのではないかと思うので、その表現が入ったらいいかなと思います。

平林委員
 いま、療養上の世話についての法解釈が問題となっています。少なくとも私の考えによれば、療養上の世話に医師の指示が全く要らない、必ず要るなどという議論は、極めて不毛な議論だろうと思っています。療養上の世話については先ほど柳田委員がおっしゃられたように、基本的にどのような世話、清拭をするとか洗髪をするということについて、いちいち医師の指示を必要とするかというと、これは要らないだろうと思います。療養上の世話は、看護本来の業務であるから、看護師が自らの責任と判断でその業務を行うということが基本にあると思います。その限りにおいては医師の指示は要らないと思います。ただ、療養上の世話を行っていくプロセスの中で、これは、たしか前にどこかの回で申し上げたと思うのですが、医師の判断が必要になることは十分あるだろうと思います。そのことについて、看護師が自分の判断だけではなく、医師の判断を求めなくてはならないというように判断すれば、そのときはやはり医師の指示が必要になってくるだろうと思います。だから、一概に療養上の世話については全く医師の指示が要らなくて、全部できるというのも誤解だろうと思いますし、必ず医師の指示に基づかなければ療養上の世話ができないというのも誤解だろうと思います。 その辺、医師の指示の機能というものが、療養上の世話を行っていくプロセスの中でいろいろ、ダイナミックに変わってくるという言い方はあまりよくないのですが、指示の意味合いが微妙に変わってくると思います。その辺をきちんと区別して議論しないと、前から申し上げているのですが、療養上の世話について医師の指示が必要かどうかについての議論を大層混乱させることになるだろうと思っています。個人的な見解ですが、一言申し上げておきたいと思います。

内布委員
 そのことについて、論点2にコミュニケーションの問題がたくさん出てきています。4頁の上から2つ目の○「医学的な判断と分け難い」というところはいま平林委員がご指摘なさった部分だと思います。この前後で多少、いまの内容を反映するような文言を入れていただければよろしいかと思います。例えば、「医師の意見を求めるべき状況を判断できる看護師等の能力が必要である」という文言をこの前後に入れていただくことでもいいかと思います。論点2に関してはほとんどがその問題を列挙してありますので、これを読みますとその部分はかなり、平林委員がおっしゃったような内容で書かれているのではないかと思います。

川村座長
 平林委員のご発言としては、論点2の関係としてはどのようなお考えなのでしょうか。

平林委員
 細かく準備してきていません。4頁のところですか。

川村座長
 かなり細かく状況が書いてありますね。

平林委員
 「「療養上の世話」という用語が…」というところは、たしか私が申し上げたところだろうと思います。その問題と2番目の問題は、少し性格が違うだろうと思います。2番目の問題についてはいま内布委員がおっしゃられたような形で、療養上の世話行為を行っていくプロセスでの看護師の判断の重要性を少し強調し、その仕分けをきちんとできるような看護師がそのような能力を涵養することは重要なことだろうと思います。確かに、「療養上の世話」と「診療の補助」というように、法律の枠組みの中ではくっきりと分けてありますが、実際の看護活動を行っていくプロセスの中では「療養上の世話」なのか、「診療の補助」なのかわからないという場面は多々あるだろうと思います。その間を行ったり来たりしながら、看護として何をなすべきかということが今後考えていかなければならない問題だろう。前回申し上げたことはそのようなことだろうと思います。

川村座長
 ここの整理はまたあとで、十分皆さんのご意見を伺った上で整理をしていただければよろしいかと思います。ほかにはいかがでしょうか。

井部委員
 のちほど整理していただければよろしいかと思うのですが、第7回のときに「生活の援助と医師の指示」ということで試案を提出いたしました。あのあといくつか、指摘がありました。今回、もし時間が許すようでしたら、保助看法第37条の解釈をきちんとしておいたほうがいいと思います。改めてこれを読むと、結局指示がなければできないのは診療機械を使うことと医薬品を授与すること、医薬品について指示をすること、これは指示がないとできないということでした。もう1つ問題なのは、「衛生上危害を生ずる恐れのある行為」は指示が必要だとあります。この「衛生上危害を生ずる恐れのある行為」というのは非常に曖昧で、ここのところを包括してしまうと、食事箋もそうだし、お風呂に入るか入らないかということも、ひょっとしたら衛生上危害の生ずる恐れがあると解釈する人と、それは療養上の世話として、看護の独自の機能だというように解釈する人が出てくる。國井委員のように療養上の世話はもう看護独自だから私たちができるとスパッと言える人ともいますが、私は多少逡巡してしまいます。例えば、糖尿病で何カロリーの食事をするかということを決めてもいいと私は思うのですが、医師によっては勝手にカロリーを決められて、「衛生上危害を生ずる恐れのある行為」だというように判断されると、そこは初めから議論をし直さなければなりません。確かに療養上の世話と言っても、すっきりとは分けられないというのが実感として思っています。いま、特別治療食を指示するときには、医師の食事箋が必ず必要だと保険診療上も決められています。そういうことを現実的に考えると、第37条の解釈をはっきりしておいたほうが動きやすいと、第7回の資料を作って思いました。

平林委員
 少なくとも私の解釈しているところだと、第37条というのは大原則は保健師、助産師、看護師、准看護師は医行為を行ってはならないということです。井部委員がおっしゃられた「その他、医師または歯科医師が行うのでなければ、衛生上危害の生ずるおそれのある行為」というのは一般的に、いわゆる医行為であるというように解釈されているわけです。したがって、その前の「診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をする」というのは医行為の1つの例示である。そのような事柄に例示される、一般的に言うと「医師または歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為」、すなわち「医行為」をしてはならないと医師法第17条に規定されています。 ただし、その例外として「主治の医師、または歯科医師の指示があった場合を除くほか」という、この文章はおかしいと思うのですが、それはともかく主治の医師まはた歯科医師の指示があった場合は、例外的に指示内容の医行為を行ってもよろしい。これが本文の原則と例外なのです。 本文の原則と例外に対して、さらに但し書きでもう1つ例外が付いています。「臨時応急の手当をする場合」と「助産師がへその緒を切る等の行為」、これも例示で、「その他助産師の業務に当然付随する行為」については、たとえそれが医行為であっても、医師の指示なくしても例外的に行うことができるというように、3層の構造になっているというように解釈するのが適当ではないかと思っています。したがって、「医師または歯科医師が行うのでなければ、衛生上危害を生ずるおそれのある行為」というのはいわゆる「医行為」であり、医師法の第17条で言うところの「医師でなければ医業をしてはならない」という点も医行為を業として行うことというように解釈されています。それが具体的に、少しくだいて言い表すと、保助看法第37条のこの部分に当たるという解釈が一般的に行われているわけです。

井部委員
 確認ですけれども、「衛生上危害を生ずる恐れのある行為」というのは医行為のことを指しているわけですか。

平林委員
 はい、そうです。

土生企画官
 平林先生、どうもありがとうございました。一般的な解釈ということでご説明いただきました。行政としてもそのような解釈を取っています。いまおっしゃったように、少なくとも抽象概念としては整理をしているということだと思います。ただ、それが周知されているかどうかということは、また別の論点があろうかと思います。また、個々の行為を見たときに区分が必ずしも明確でないということは、抽象概念の整理とはまた別の問題としてあると思います。一応、事務局としてはそういう整理をしています。

井部委員
 第37条にこだわるのですが、私は法律上の役割・責任の範囲、それからコミュニケーションを良くしよう・連携を良くしようというところは切り分けて議論しておいたほうがはっきりするのではないかと思いました。

川村座長
 ほかにご意見はいかがでしょうか。

國井委員
 いまのお話とは違うのですが、3頁「包括的指示」に関する問題が下から4段目から反対意見のような形で並んでいます。先ほども言いましたが、4段目「「包括的指示」やプロトコールよりも、医師がもう少し積極的に参加し、必要な指示をきちんと行うとともに…」という意見があります。それは当然だけれども、やはり看護師等の力を活用するために、看護師が患者のために動きやすいことが大事かと思います。この辺は是非、そういった方向でまとめられたらと思います。

川村座長
 ということは、冒頭の「包括的指示やプロトコール」を否定していると読み取れるということですか。

國井委員
 そういうことを活用して、柔軟に動けるような体制が大事なのではないかと思います。医師とのコミュニケーションももちろんそうですが、一種の了解を得てやっていく構造は変わらないけれども、いま医師だけで完結できない状況にあるわけですから、もう少し看護師の機能を強調できるような表現にしてほしいと思います。

川村座長
 いまのご意見は伝わったでしょうか。間違っていたらご指摘いただきたいのですが、包括的指示やプロトコールも大切にするのだけれども、それ以上に医師がもう少し積極的に参加する。医師が積極的に参加するという部分と、包括的指示やプロトコールによって更に看護の機能を活用するということは並列だとというご趣旨だったと思いますが、いかがでしょうか。

土生企画官
 その部分、書きぶりが稚拙であればまたご指摘いただければと思います。包括的指示ということについては、先ほども柳田先生からご異論が出ているということがあります。そのことが1つあろうかと思います。プロトコールについてどうかというのはまた別かなと、いまお話を伺いながら考えていました。そういう意味では医師が積極的に参加することと、看護師が動きやすく患者のためにやっていくこととは別段対立することではありません。その意味では、いくつかの要素を1つに書いてしまったことが議論を混乱させたのかなと反省する次第です。

川村座長
 どなたかのご発言を縮めるとこのようになったのだと思います。

土生企画官
 できるだけわかりやすく、文章も変えた作業をしたつもりでしたが不十分だったと思います。

上野委員
 ここでの発言内容をまとめていただいたということなのですが、報告書になるときにはこのまままとめられると、結構否定的な要素にも感じ取れますので、できればプロトコールのことに関しては、5頁2つ目の○のところに「看護プロトコールの開発および普及」が入っています。特に在宅の訪問看護ステーション等においては、プロトコールをどう発展・普及させながら、医師と連携をとりつつ、在宅療養者を安心して見ていくことが重要であるという点をきちんと述べていただきたいと思います。

川村座長
 次のステップに入るときにはどうぞ、そのことをお汲み取りください。

平林委員
 まとめるときに1つ検討しておかなければならないというか、留意しておかなければならないことは医療機関、病院等における看護のあり方の問題と在宅医療、訪問看護における看護のあり方の問題と、少なくとも最初は問題を分けて議論していかないといけないのではないか。場面に応じて問題状況は違っているだろうと思います。そこを一応分けて議論をした上で、しかしながら問題を抽象的、一般的に解決しようと思うと、医療機関であろうと在宅訪問看護であろうと、両方に事柄が広がってくる。静脈注射がいちばんいい例だと思います。そういう側面があると思いますので、一方で場面を分けながら、しかし看護全体に影響する問題なのだ、ということを少し頭の中で整理しながら議論をまとめていかないと、どうも議論があちこちに行ってしまうような気がしています。まとめの中でも、あるときは病院の中での医療機関における看護を念頭に置き、あるときは在宅医療、訪問看護を念頭に置きという議論をしているように思えます。その辺をどう整理し、最後に問題の結論に導いていくかということは1つ考えていいのではないかと思います。「言うは易く、行うは難し」で申し訳ないのですが、そのように考えました。

川村座長
 難しいですね。

平林委員
 言うのは簡単なのです、「やれ」と言われればやりますけれども。いまの話はオフレコです。

川村座長
 それでは、そこもご配慮いただきながら進めていきましょう。

柳田委員
 個々の医療機関と看護師の関係、訪問看護ステーション・在宅医療と看護師の関係というのはやはり個々にあるべきであって、表面に全体として、普遍的に、このように文章化しなければいけないものではないような気がします。それは個々に連携して、何かプロトコールを作るのだったら作ればいいわけです。日本全体として、こうやってプロトコールを作りなさいというものではないのではないかと思います。

國井委員
 いまのご意見ですけれども、2頁のところにそのような表現があります。下から2段目、「医師等の指示の仕方、看護師等との連携のあり方は、…」です。個別の医師と看護師との関係というのは、すなわちその人のいろいろな能力・資格・経験ということによって、指示のあり方や連携のあり方は違うだろうというのは私もそのとおりだと思います。そのことをきちんと、まとめに表現していただけたらと思います。

宮武委員
 全体にかかわることなので遠慮したのですが、どうも患者、家族が医療や看護にどうかかわっていくのかという視点が抜けているのではないかという気がします。患者について、当然判断力のない場合は家族になることもあるかもしれません。そういう方たちがとりわけ、いま平林委員がおっしゃったように在宅の医療や訪問看護の内容について、患者、家族とサービス提供側とがやはり1つの約束を取り交わしていく時代が来ているのだと思います。 上野委員が第3回目に、「訪問看護ステーションの中でも管理協定、あるいは中心静脈栄養等について、医師と協定を結んでいる」とおっしゃっていました。本来、それは患者、家族にも説明はしているのだけれども、先行きは口頭ではなく、やはり文書化していくことが大事だとおっしゃっていて、私も同感に思いました。そのような形で全体的に、柳田委員がおっしゃるように、全国的に全部同じものはできないけれども、プロトコールのプロトタイプのようなものは必要なわけです。その中で、いま個別に出ている医療機関と患者との間で、一種の契約を結んでいくことが時代の要請ではないかという気がします。 静脈注射がまさにそうでしたが、法律ですべてを決めるわけにはいかないわけで、どうしても解釈の部分が出てくるのでしょう。一定の決められたルールの中で、どのような医行為や看護行為をやるのかを相手にきちんと伝えて、理解してもらって、納得して提供していくという関係が築けるのだろうと思います。それはまさに疼痛緩和の場合についても同じだと思います。医師の指示に基づいて、その中で看護師が一定の判断をして投薬をしていく。明らかに医師の指示の範囲の中でやるわけですから、柳田委員がおっしゃるように医師の権限を奪うような本末転倒を考えているわけではなくて、むしろ医師の指示の中で看護師が動いている、動きやすいようにすることが本来のあり方ではないかと思います。

川村座長
 ありがとうございました、そのようなトーンが最終的なまとめにあればと思います。

内布委員
 いまの宮武委員のご意見、本当にそうだと思います。私たちは医師と看護師の関係、コミュニケーションなどを盛んに言っていましたが、実は患者がいらっしゃるわけです。患者との三者の間で共有していったり、了解していったりというプロセスを踏むにはプロトコールが絶対大切になってくる。書いたものを見せていくことが必要になってくるわけです。スタンダードが必要になってくるので、そのためにもこれは必要ではないかと思います。これまでの検討会では患者の視点や患者の意見、了解を得ていくような看護の新たなあり方については、あまり深まった議論はしていないように思いますが、是非報告書の段階までにはそれを入れていただいたほうがいいのではないかと思いました。

川村座長
 全体にかかるご意見をありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

藤上委員
 2頁の(論点2)の1つ目の○「医師と看護師等がそれぞれの専門性を十分に発揮し…」となっています。ただ、看護ということは、医師とのかかわりの中だけで成り立つものではないのではないかと思います。「医師等、他の医療職種との連携の中で、それぞれが専門性を発揮し…」ということが必要なのではないかと思います。

川村座長
 そうすると、この「医師等」をどういう読み方をするかになるかと思います。

土生企画官
 「等」でするのか、あるいはもっと明確に「他の医療職種」ということで、報告書をまとめる際には十分そうすべきではないかと思っています。

井部委員
 2頁の「連携」ですが、いま何人かの方がおっしゃったように医療関係者の中の連携のみならず、患者及び家族、あるいは患者をサポートする体制との連携が非常に重要であると思います。今回、天皇陛下が手術され、皇后様と紀宮様が何泊か部屋で一緒に過ごされました。あれは典型として良かったなと思っています。いま、看護職はどちらかというと、家人を泊めることに関しては罪悪感を持っています。「家族付添許可申請書」のようなものを出さないと泊めてはいけないということがあって、私はいつも判を押すたびに愚かなことをしていると思いつつ、保険診療のために判を押しています。そのような、「家族付添許可申請書」というものを出している実態があります。患者や家族が「夜もそばにいたい。」と希望しても書類をだし「許可」を申請しなければなりません。今回、患者のケアを家族と役割分担をしながら、1つのまとまりを持ったケアを提供していくという点からすると、家族とかあるいは患者自身のセルフケア能力というのは非常に重要であり、医療者にはできない部分があるというスタンスを、是非、入れていただければと思います。

平林委員
 すべてが井部委員のように考えていただくのであれば、全くそのとおりだと思いますが、ただ、看護がやるべきケアを家族に任せてしまって、本来、看護がやるべきことをやっていなかったということも、また一方の現実としてあったのだろうと思いますので、そのことだけ一言申し上げておきたいと思います。

井部委員
 それは新たな看護の方向性だと私は思います。内布委員がいつも言っているように、学生はきちんと学んでいると。そういうところからすると、これからの新しい看護職はそうした判断がちゃんとできて、家族がやらなければならない領域というのがあって、私たちができない部分が必ずあるわけですから、そこをどうやって一緒にチームを組んでやっていくかということの判断ができる、新しい看護職に出てきていただきたいと思います。

川村座長
 ありがとうございました。今日の定められた時間の約半分を検討課題の1のほうに費やしてきましたが、次の検討課題の2に移りたいと思います。よろしいですか。

平林委員
 1つだけ、1頁のところで前から気になっていたのですが、2つ目の○のところで、「看護教育の高度化等により…」とあり、そして看護の教育は充実しているということを、この検討会でもしばしば聞かされたわけです。ただ、現場の看護師たちの話を聞いたり、あるいは現実に私の経験からすると、看護の実践能力というのでしょうか、あるいは医行為を行うについての実践的な能力についての教育が、果たして現在の看護教育の中で十分にできているのだろうかという疑問を、持たざるを得ないような状況に何回か当たっています。その辺の問題について、是非、看護の先生方にもう少しお考えいただければと思います。今後、具体的に医行為でプロトコールにしろ包括的な指示にしろ、看護師が責任を持って行っていかなければならない状況があり、典型的には静脈注射の問題ひとつ取ってもそうだと思いますが、そこら辺に1つ問題があるということは、忘れてはならないのではないかと思い、あえて申し上げさせていただきました。

井部委員
 それは新たな看護の方向性だと私は思います。内布委員がいつも言っているように、学生はきちんと学んでいると。そういうところからすると、これからの新しい看護職はそうした判断がちゃんとできて、家族がやらなければならない領域というのがあって、私たちができない部分が必ずあるわけですから、そこをどうやって一緒にチームを組んでやっていくかということの判断ができる、新しい看護職に出てきていただきたいと思います。

川村座長
 ありがとうございました。今日の定められた時間の約半分を検討課題の1のほうに費やしてきましたが、次の検討課題の2に移りたいと思います。よろしいですか。

國井委員
 ただ、確かにここでは議論されなかったのですが、いまのご指摘のそういう実践能力を現場でトレーニングしなければ、患者の人権意識などで、学校教育で行うことはなかなか難しい現状というのが、明らかになっている。それをどうしていくか、制度化ということもすごく重要な課題だと思いますし、今後、それらの検討も必要だということは大いにあると思います。

内布委員
 現在、看護課のほうで、「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会」が進められていて、そちらでお答えがそのうち出るのではないかと思います。

川村座長
 たくさんご意見をいただきました。次に移らせていただきます。検討課題の2です。読み上げをお願いします。

土生企画官
 検討課題2の論点1について読み上げます。検討課題2、6頁です。

藤上委員
 1つは言葉の問題ですが、随所に「調剤薬局」という言葉が出てきます。これは正式なものではありませんので、「調剤」という言葉を取って「薬局」としていただきたいと思います。薬局は調剤だけをやっているわけではないものですから。
 もう1つは、末期がん患者の適切な疼痛緩和ケアの推進ですので、当然、麻薬が中心になってくると思います。ということは、先ほども申し上げましたが医師と看護師等との連携だけではなくて、例えば論点1のところの4つ目の最後から2行目、「望ましい医師と看護師等の連携のあり方…」と書いてありますけど、これは是非、「医師、薬剤師、看護師等」というような形で明確にしていただけたらと思います。
 7頁の一番最後の○のところに、「シリンジポンプ式のもの…」ということがあります。確かにシリンジポンプ式のもので、つい最近までは、これに設定できるものが5cc、10ccのものしかなかったのですが、100ccあるいは270ccぐらいまで設定できるものができていることと、バルーン式のと同じように患者の安全管理ができるようなものが出てきています。ですから、この普及を図ることは賛成なのですが、ただ、100cc、270ccは点滴バッグを考えていただくと分かると思いますが、ああいうものを電動式のポンプに設定するという形になっています。
 1つだけ問題があるのは、バルーン式のものは風船の形になっていて、風船がしぼむ力を利用してやっていますから、中身を取り出すには風船を破らなくては取り出せないのです。このバッグ式のものは悪意を持ってするならば注射器で吸い出すことができるのです。1cc、40ミリの高容量のものを100cc、200ccという形で、もし充填するとすれば、そういうことも考えられますので、そこのところだけどういうふうにするかを、お考えいただければなと思います。

國井委員
 在宅のがん末期患者のケア提供というところでは、チーム医療が大前提だというのは、この検討会でもお話があったと思うので、是非、そのことを盛り込むことが必要だと思います。7頁のところに、麻薬管理は非常に慎重な検討が必要だということがあったのですが、実態としては麻薬を扱っている薬局が全国的に少ないという議論もあったと思います。だから是非、その検討は急ぐべきというか、患者に適正な疼痛管理のサービス提供をするための麻薬管理体制は、是非、検討が必要ということを盛り込んでほしいと思います。

藤上委員
 いま、薬局で麻薬管理をしている所が少ないというお話がありましたが、これは、あくまでも処方箋で麻薬が出たときに薬剤師は拒否をすることはありません。麻薬管理者届けというものはすぐに出せるものですから、医薬分業が進む中で院外処方箋が増えてきて、麻薬が処方箋で出てくるようになれば、それに対応を必ずしていくと思います。

國井委員
 その辺を書き込まないと、意外と現場は誤解しているかもしれないですね。

川越委員
 薬局が、よく対応してくださっているというのは非常にありがたいことなのですが、7頁の3つ目の○のいちばん下のほうで、24時間対応をやるべきだということ。私たちは、かなり一生懸命やっている薬局とやっているのですが、麻薬の出し入れというのは届出をしている人が鍵を持っていますので、現実にそんな簡単なことではないのです。ですから、この間、藤上委員が、例えば、廃棄のとき薬局が24時間でも対応しろということを言われましたが、現実に、もしそれを約束したら、大変なことになるのではないかと、心配したのです。

藤上委員
 大変なことになるということではなくて、やらなければいけないことだと私は思うのです。また麻薬管理者として届けた者が鍵を持っていて、それで出し入れを必ずしなければならないという形ではないと思うのです。例えば医療機関の中で麻薬管理者は1人です。でも薬剤師の資格によって薬を出して、調剤するということは行っているわけなのです。ただ、麻薬管理者が出し入れをきちんと管理して、不正に使われていないかを管理するというのが管理者だと思います。だから薬局で麻薬管理者として届けているのは、たぶんその薬局の開設者だと思いますので、そういったことはあまりないのではないかと私は思っています。

内布委員
 確認ですが、「死亡診断書(死体検案書)」になっていて、24時間を過ぎていれば「死体検案書」のほうに○をするけれども、警察への報告義務は異状死でなければ、しなくてもよいという解釈ですか。

土生企画官
 9頁の○の3つ目ですが、受診後24時間を超えていても改めて死後診察を行い、生前に診療していた傷病が死因と判定できれば、「死亡診断書」ということです。

内布委員
 「死体検案書」でなくて「死亡診断書」ですか。

土生企画官
 生前に診療していた傷病が死因と判定できれば、「死亡診断書」ということです。

内布委員
 超えていてもということですね。

土生企画官
 はい。

柳田委員
 8頁のいちばん下の「現行の医師法の下で、看護師が死亡確認することができることを法的に…」とありますが、これは医師がすべきであると解釈しています。9頁の最後ですが、医療機器・衛生材料の供給ですが、これは結局、訪問看護師と主治医との連携といいますか、主治医にフィードバックしたりといった連携もあまりよくない。現場から主治医に意見を具申してくるということは、あまりないようです。やはりこれは連携の問題であって、しっかりその先生と連携して衛生材料を提供してもらうということは、必要なことだろうと思います。一番最後の「診療報酬上の在宅の注射の取扱い」ですが、私はこれは中医協の問題であって、ここでは議論は避けたいと思います。いずれ中医協で出てくる問題であるかなと思います。

川越委員
 理想の医師がいて、理想の在宅ということであればいいです。しかし、私が耳にする話は、やはり夜中に行くのが大変だから、救急車を呼んですぐに病院へ行きなさいとかいう話です。医師会のほうでも、亡くなりそうだから救急車を呼ぶとか、そういうことがないように、やっていただきたいなということを1つ思います。 もう1つ、これは法律の文言にはならないのかもしれませんが、私たちは病院での死の看取りと違いまして、家族での死の看取りということをすごく大事にしているのです。これはカルチャーの議論になるかもしれませんが、要するに死というのは医師がいないと、すべて完結しないという面が、どうしても病院の場合はあるわけです。これは在宅でも基本的には同じなわけですが、死亡する瞬間に医師がいなければいけない、死亡直後に医師がいなければいけないという考え方は、あまり私自身は取ってない。つまり家族での別れというものを大事にするということ。どうしたって、私たちが行って死亡診断するまで看護師も触れない。家族も点滴がまだ落ちているのを止めてはいけないとかなると、これは在宅の場合にものすごく不自然な感じがしています。これを、どういう具合に持っていっていただいたらいいか難しいのですが、法的な面だけでなく、そういう死の社会的、文化的な面ということも考慮した、そういうものを考えていただきたい。あまり法的に堅い、リジッドなものにするということに対して、私は基本的に反対ということです。エビデンスは私は十分に出ていると思っています。

川村座長
 点滴とか何か医療的な処置をしていることに関しての対応というのもありますが、私の経験では嘔吐をしたり排泄物があったり、そういうことに関しても全く清潔にして差し上げられなくて、家中にその臭いがこもっていくとか、そういうことは非常にご家族も悲しい思いをされますし、ご本人もそれは本意ではなかったのではないかなと思うようなこともあると思います。そういったことが在宅は、また病院の中とも違うかもしれませんので、その辺を少し上手に、患者の視点に立ってという大臣のご意見を踏まえた形で、ここの文言をうまく考えていただければと思います。それについては平林先生、具体的なものを見ながらご意見を頂戴して、プロセスを共有していただきたいと思います。

平林委員
 いま、先生方が言われたことを基本的に了解した上で、あえて申し上げていますので、その点だけ誤解のないようにしていただきたい。

川村座長
 本日は長時間、ありがとうございました。

20030218 第10回新たな看護のあり方に関する検討会議事録
川村座長
 それでは議事に入らせていただきます.前回はこれまでの検討会における主な意見について,各意見ごとについて議論をしていただきました.そこで本日は,前回の議論を基に,事務局と私とで報告書の素案をまとめてみました.それについてご議論をいただきたいと思います.それでは事務局からお願いいたします.

土生企画官
 資料報告書(素案)1「患者の生活の質の向上のための専門性の高い看護判断とその実践に向けて」,(1)「看護をめぐる現状と課題」(読み上げ)

柳田委員
 他のことですが,一連の素案を見ていて,感じることですが,私は最初にこの検討会が行われたときに「新たな看護というのは一体どういうことなのか」ということは,はっきりとした意味がわからなかったのが事実です.一応皆様の意見に耳を傾けて理解に努めようとしてきましたが,納得のいかない,わからない部分があるので,一応それについて修正をしていただきたいと思います.1頁の4番目の○で,「法的に医師の指示を必要としない療養上の世話」とありますが,この点はいろいろと学説が分かれるところで,公の検討会の報告なので,これは断定すべきではないと思います.例えば入浴,歩行の介助,全身の清拭,洗髪,そういうような典型的に療養上の世話とされる行為であっても,患者の状態によってはそれらの行為を行っていいのか否か,そういう医学的判断が必要とされる場合があるわけです.したがって,この項は削除をお願いしたいと思います.それから,2頁の2番目の○です.「諸外国における看護師の新たな業務と役割」とありますが,日本と外国では医療システムが異なります.また,医療提供体制も異なりますから,看護についても当然異なることは考えられます.ですから,ことさらに諸外国の例を持ち出すべきではないということで,この項も削除していただきたいと思います.

川村座長
 いまの柳田委員のご意見なのですが,例えば療養上の世話についてどう看護師が働いていくかということは,その次の(2)のくだりに,「医師の指示を受けるのかどうか」について書き込みがあって両方で絡んでいますので,次の項も読んでいただいて,一緒に検討してはいかがかと思います.

内布委員
 柳田委員が指摘した2頁の2つ目の○で,「諸外国の状況について記載が必要ではない」ということですが,看護教育の比較から言うと,諸外国の看護教育については平成12年度に私どもが厚生科学研究費をいただいて研究をした範囲では,むしろ日本のほうが充実して,年数も長い場合もあります.オーストラリアなどと比べると1年長い年数で養成しています.カリキュラムも比較しましたが,日本のほうが時間数も多く,知識の量も非常に多く教育をしている状況にあります.ですから,日本のほうが教育は充実しているにもかかわらず,看護師の裁量権については諸外国のほうがやや勝っているということを考えると,「外国の状況を考慮する」ということについてはどのような審議においても必要なことですので,私はここに載せておくべきだと思いま.付け加えて言うと,「留意は必要である」と書いていただいたほうがいいかと思います.

川村座長
 いかがでしょうか.

井部委員
 1頁の4つ目の○ですが,「法的に医師の指示を必要としない療養上の世話」という書き方が法的に正しいのかどうかという確認をきちんとしないといけないと思います.私が保助看法の文章を見る限りは,これは言えるのではないかと思いますが,ここではっきり了解を得た上でそのことを書くことは大事なことだと思います. その3行目から「これらは法律や医師による要請があるというわけではなく,むしろ単なる慣習として」というくだりがあって,確かに私の発言の中にも「慣習」という言葉を使いましたが,なぜ慣習ができたかという点を考えると,療養上の世話は相手は患者です.病気を何らかの形で有している人たちを対象にしているので,そうすると診断,治療といった医師の領域に関わる問題を持っている人たちです.したがって,ここからの「療養上の世話」とスパッと線を引けない状況があります.その辺の曖昧さの中で,結局は医師の指示を得ると傾いてきているのではないかと思います.この件に関しては,3頁の上から2つ目の○で,「医学的な知識に基づく判断が必要となる場合もあり」と,そのことを「適切に判断できる必要がある」ということと,密接に関連しているので,私は3頁の2つ目の○と,1頁の4つ目の○は切り離さないほうがいいのではないかと思いました.もう1点は「療養上の世話」というのは医師の指示の傘下ではないことを,法的な解釈としてを明瞭にしておくことが必要だと思います.

柳田委員
 実質的に現場においてきちんと線引きができるものではないわけです.例えば清拭を始めていいのかどうか,入浴を始めていいのかということは,やはり主治医が判断をして,指示をして,それから行われるべきでものであると思います.両方の考え方によってするべきものですから,これは看護師の分,これは医者の分というのはおかしいのではないかと思います.それから先ほどの意見は,外国の例を持ち出すなというのではなくて,それは参考にはすべきでしょうが,必ずしもアメリカ,イギリス,フランスなどの先進国が素晴らしい医療をしているばかりではないので,東南アジア等いろいろあるわけですから,特別に先進国はいいということで特筆すべきではないということを申し上げました.

藤上委員
 いまの2頁目の2つ目の○で,「外国のことに留意が必要である」ということですが,これは外国の医療制度とか保険制度とか,いろいろなことを踏まえた上でのことでないと一概に論じられないのではないかと思うのです.「看護師の裁量の範囲,役割・業務が変化し拡大しつつある」というのは,外国の医療制度の中で,そうしなければ患者に適切な医療ができないことを踏まえてなってきていると思うのです.現状の日本の医療制度とは違ったところでの判断ではないかと考えています.

國井委員
 ただ,この検討会は医療提供体制見直しの中で,もう一回新たな看護のあり方を検討しようという視点なのではないのでしょうか.

藤上委員
 それはわかります.あくまでも諸外国の医療制度とか,なぜこういう形になってきたかをいろいろきちんと踏まえた上でのことならば,私はいいと思います.しかし,ただ「看護師の裁量の範囲,役割・業務が変化し拡大しつつ」というところだけを取り出して論ずるのはおかしいと思います.

川村座長
 1つは書き振りというか,このプレゼンテーションがあって皆様で討論をしていただいたときには,それが中心ではありませんでしたが,医療体制や社会のあり方が違うということはあるのだけれども,このように働いているという説明であったと思うので,そういったことをここに書き込むのはまずいでしょうか.誤解された使い方をされないようにということで,藤上委員のご意見はよろしいでしょうか.柳田委員,いかがでしょうか.書き振りについては検討をしていただくとして,まだ討論の機会がありますので見ていただくチャンスはありますが.

柳田委員
 そうですね.表現とか文言とか,その辺りがちょっと短絡的だと思うので,よろしくお願いします.3頁の1番目の○の3行目です.「医師の指示のあり方として」とありますが,これは「看護のあり方」を述べるもので,医師について記述していただくことはないわけで,この部分は削除していただきたいと思います.それから4行目で,「それぞれの資格,経験,専門性」とありますが,資格によって差別しなさいという感じを与えるので,こういう書き方は不必要だと思います.7行目の「専門性,自律性」というのは,看護は独立すべきであると考えられないこともないので,少なくともこれは公の報告書ですから,本文からは削除していただきたいと考えます.それから3頁の4番目の○の4行目で,「様々な看護技術を駆使して,患者の安楽を確保することが重要である」と書いてあります.後で出てきます麻薬の投与とか,そういうものと考え合わせると,「安楽」という言葉は安楽死を連想させるのです.ですから「症状の緩和」「鎮静」「鎮痛」とすべきだと思います.

平林委員
 柳田委員にお伺いしたいと思います.極めて総論的に伺いますが,柳田委員が考える「新たな看護のあり方」はどういうイメージを持っているのですか.

柳田委員
 最初に言ったように,「新たな看護」というのがどういう意味かということははっきり掴めませんでした.皆さんの意見を聞くうちに,こういうことだなということで今日の報告書が出たと思います.

平林委員
 しかしそうは言っても,いろいろとご意見を言われて,「ここを削除,ここを削除」とおっしゃっているわけですから,削除をする前提として柳田委員の考えている「看護のあり方」が当然あるはずで,そのことをお聞きしているのです.

柳田委員
 医師と看護師が離れてものを考えるという考え方がなされているような気がするのです.そして,そのほうが便利であるとか,効率がいいというふうな考え方が見られるものですから,そういうところの文言を少し直していただかないといけないということです.

平林委員
 「離れている」というのはどこにそれが表われているのでしょうか.この中で「連携」ということをたくさん謳っているわけです.その連携をすることでも,それは離れていると柳田委員はお考えなのでしょうか.

柳田委員
 一つひとつの文章は非常にきれいに流れていていいのです.しかし文言をよく見ると,「医師の指示のあり方」とか,医師に関して書かれているのであって,そういう点が少しおかしいのではないかと思います.

平林委員
 医師のあり方については,あくまでも看護のあり方との関連で必要最小限度触れているだけだと思うのです.医師の指示のあり方によって看護のあり方も違ってくるわけですから,そこの医師の指示のあり方を全然無視して看護のあり方だけを考えるというのは,そもそも看護のあり方を考えることができなくなってしまうので,ちょっとそれはいきすぎではないかと思います.あくまでも新たな看護のあり方を考えるコンテクストの中で,医師との連携をどう取っていけば,よりよい看護が国民に提供できるかという観点から,我々はここ何回か議論をしてきたつもりですので,その点について先生のお考えを伺いたいと思います.

柳田委員
 もちろん望むところはそうなのです.しかし文言の隅々に,医師のあり方を論ずるようなことが出てくるのです.やはり公文書ですから,そこはもう少し記述を考えていただきたいということを申し上げております.後でまた出てきますので,その辺りを参考にしていただければいいかと思います.

平林委員
 それはまたご意見をお伺いするとして,最初の1頁に戻ります.「しかしながら」以下の文章を削除したほうがいいという理由は何でしょうか.そこが理解できなかったものですから.

柳田委員
 「医療現場においては看護師の判断が重要である」というくらいに留めたらどうかと思います.

平林委員
 いや,事実の認識の問題として.そうするとここを削除するということは,柳田委員のお考えの中で,看護業務がそういう基礎教育に基づいた十全な看護が提供されているという認識をお持ちなのかどうかということです.

柳田委員
 「医療現場においては看護師の判断を活かした適切なケアが行われているとは,必ずしも言えない実情がある」と.これはこういう実情があるということですね.

川村座長
 ある意味では看護側の反省のような意味を込めているところかとは思われますが,いかがでしょうか.

藤上委員
 この報告書を読んで,この検討の場にいた方々は流れはわかると思うのですが,前提がすべて書かれていなくて,結果だけが書かれているところに誤解を生むところがたくさんあると考えました.

川村座長
 藤上委員のご指摘は,例えば前文のようなものを入れるということでしょうか.

藤上委員
 例えば3頁のいちばん最後の「更に医薬品等による症状緩和が必要である云々」のところですが,これは例が出されて,下剤の使い方とか,頓服的に使う解熱剤の使い方のようなものの範囲の中での形のものでした.それはもうすでに先生方の指示の中で行われていることであるからというお話もありました.ということは,改めてここに出す必要もないのかと思いながら考えていました.「患者の症状を観察した看護師等が必要に応じて医薬品等の量を増減する」とあって,医薬品の量を増減するのはあくまでも医師の指示だと思うのです.ただし,下剤とか,頓服的に使うものは例外だと思うのですが,それはすでになされているのではないかという話だと思うのです.例えば大衆薬や患者さんに売った薬では,患者の裁量で飲む範囲を決めているのは下剤だけなのです.1回に1ないし3錠の間で飲みなさいとなっています.ただし,他の薬はすべて1日2回,1回に何錠と限定されているのです.患者のほうで裁量するということは前提にしていないのです.それだけ使い方というのは危険で難しいものがあるのではないかと思うのです.

内布委員
 いまの文章はその前の行に「医師により処方された医薬品等の使用方法の範囲内において」とありますが,それがあっても駄目ということですか.

藤上委員
 医薬品等の内容が問題なのです.すでに看護師のほうで裁量ができる範囲のものは,下剤とか,解熱剤の頓服的な使用ということが例に出ていました.酸素の使い方に関しては別途考えなければならないとなっていたのではないかと思うのですが,そういうことに関してもきちんと書かれていないということは,あらゆる医薬品に対してこれができるということにつながっていってしまうので,これは危険ではないかと思うのです.

上野委員
 この文でいくと,あらゆるというよりは医師の指示があったものに関しての裁量ですので,私はこのままでいいのではないかと思います.

藤上委員
 ただ医師の裁量の範囲というのは,すでにできる範囲のものは行われて.

上野委員
 そうではなく,医師が処方したものの範囲という意味だと私はとらえています.例えば医師がAという患者に対して,これだけのものを処方したとします.その中で,これとこれに関してはということではなく,限定しているのだと思います.

藤上委員
 この文章から限定しているとは思えないのです.すでに医師の処方の内容に従って看護師が裁量で投与しているというのはあるはずなのです.確か,あると西澤委員がおっしゃったような気がするのですが,現実として出来上がっているものを新ためて書く必要はないかと思います.

川村座長
 3頁の下から2行目ですが,「医師により処方された医薬品等の使用方法の範囲内において」というのは,これが上野委員が説明されたことかと思いますが,これでは読み込めないのでしょうか.

内布委員
 すでに行われていて文言化されていなかったということで,静脈注射もそのようになりました.これもすでに行われていて明文化されていないので,ここに書いてあるという了解なのだと思うのです.

藤上委員
 静脈注射とこれとは違うのではないかと思います.例えば下剤の使い方とか,解熱剤の頓服的な使い方という形のものがはっきりわかる範囲ならばいいのですが,この文言が出てきた前提がきちんと書かれていないと,非常に拡大解釈がされていくような気がるのです.

内布委員
 藤上委員は処方されていない薬についてまでこういうことをするとお考えなのでしょうか.

藤上委員
 そうでなくてちょっと言い方がわかりにくかったかもしれません.

平林委員
 私は初めから一つひとつ潰していこうと思っていましたが,議論がもう3頁に入っていますので.いま問題になっているところは川越委員がおっしゃっていたと思うのですが,処方されているということと,それについてどういう指示が出ているかということの2つを区別をして議論をすべきだと思います.この議論は,この検討会の中でもあったと思うので,そこのところを少し丁寧に書き込めば,いま藤上委員がおっしゃったような懸念も解消されるのではないかと思います.これがいいとは思いませんが,例えば「処方された医薬品について使用方法に関する医師の指示の範囲内において」と言えば,「処方されている」ということと「医師の指示がある」という,その両方をきちんと確保した上で「患者の症状を観察した云々」とつながっていけば,それほど大きな誤解を招くことはないと思います.そのように私は考えています.

川村座長
 このご提案,事務局としてはいかがでしょうか.

田村看護課長 
 いままでのご議論を踏まえて,私どもとしてはこのようにまとめられるのかと思いましたが,いまのご議論を聞いていると,平林委員のおっしゃられたことも含めて,もう一度私どもでも座長とご相談をして,次回にこの辺りのことを提案させていただきたいと考えます.

川村座長
 西澤委員,何かご意見がありますか.

西澤委員
 いまの議論を聞いていて,「処方」というときに私たちは考え方によっては,当然医師の指示が入っているととらえていいのかと思ったのですが,その辺について誤解があるのであればちょっと丁寧に書き込んでもいいのかと思います.書いてある内容については委員全員で合意された内容だと思っています.

川村座長
 「医師の処方」というのは飲み方の指示まで入っているという考えでいましたが,平林委員の言うように,きちんと書き分けて丁寧にしておけば,誤解がないということであれば,それをご検討いただきたいと思います.

柳田委員
 4頁の2番目の○なのですが,「これからの医療においては,インフォームド・コンセントが重視されている現状を踏まえると,看護師等は,患者・家族と十分にコミュニケーションを行い,治療の内容や選択についてわかりやすく丁寧に説明する」とありますが,「治療の内容や選択」というのは書きすぎではないかと思います.ここは削除をしていただいたほうがいいのではないかと思います.

柳田委員
 その上の「看護の自律性,専門性」ですが,この自律性というのがよくわからないのですが,何となく一人歩きというか,そういうものを想像させます.これももう少し検討していただければいいかと思います.

國井委員
 先ほどもそういうご発言でしたが,看護師はそういう意味で独立した,自律した存在ではないということですか.

柳田委員
 そういう意味ではなくて,意味がよくわからないのです.もう少し表現方法があれば検討していただきたいと思います.

國井委員
 専門職としての自律性で,私は非常に重要なことだと思っています.

内布委員
 柳田委員は専門性と自律性のどちらも引っかかっておられるのですか.

柳田委員
 専門性はいいのですが,「自律性」という意味が.

内布委員
 オートノミーですので,自分で判断ができるということだと思います.誰かの指示などではなく,自分で物事を判断し,考え,行動することができることを「自律性」と言っていると思います.最初に会が立ち上がったときに,坂口厚生労働大臣が,「看護師の自律性をもう少し発揮していく形で検討をお願いしたい」ということを,この会でもおっしゃったわけで,そのことを受けての結果だと思うのです.「自律性」という言葉はこの会にとってはキーワードですから,これはぜひ残すべきだと思います.

川越委員
 先ほど柳田委員が指摘された3頁の下から2番目の○で,「患者の安楽を確保することが重要である」というところですが,ここを「患者の症状の緩和を確保する」という提案でしたか.

柳田委員
 はい.

川越委員
 「安楽」という言葉を英語で言うとコンフォートになります.それから柳田委員が言われたパリエーションということですが,これは同じと考えてはいけないと思います.看護で言う「安楽」,私も門外漢ですから偉そうなことを言ってはいけないと思うのですが,「パリエーションを含めた安楽」ということがあると思うので,私はこの言葉はそのままでいいのではないかという気がします.

柳田委員
 どう使われているかわかりませんが.

川越委員
 医者の用語ではないのです.あまり医者では「安楽」という言葉は使いませんが,私はよくわかる言葉なのですが.

柳田委員
 それによって麻薬の量を増やしたり減らしたりと考えると.

内布委員
 ここは「看護技術を駆使して」と書いてあるので,どう読んでも麻薬は範疇に入らないのではないかと思います.ですからここで「安楽」という言葉を使うことは何ら問題がないし,看護では安全とか安楽というのは,非常に原則的な言葉として,プリンシプルとして用いているので,教科書では1頁に何度も出てくるほど頻繁に用いる言葉なので,誤解されることはあり得ないと思います.

柳田委員
 ちょっと「安楽死」を連想させる感じがあったものですから申し上げたのですが,「症状の緩和」「鎮静」「鎮痛」ではどうかと思って申し上げたわけです.

上野委員
 「体位を楽に保つ」というときに,「症状の緩和」というよりは「安楽な体位を保つ」という言い方をすると思うのです.看護技術の面においては,「安楽な体位」「安楽な方法」という形で言うので,特に問題はないのではないかと私たちは思います.

川村座長
 宮武委員,一般社会常識を代表していただいている委員のご意見はいかがでしょうか.

宮武委員
 専門知識のない人間として聞いている限りは,1頁の3つ目の○の,柳田委員が削除したらどうかとおっしゃった「しかしながら」の部分ですが,教育は随分充実してきたのだけれども,それがそのまま医療現場で十分に実施されているならば,このような会を持つ必要はないわけで,問題意識としてこれを投げ掛けているのはそれでよいと思います.4番目の○も,「法的に医師の指示を必要としない」と書いて限定されているわけで,その場合の入浴や歩行介助や全身清拭というものは,3頁の2つ目の○で内容が書いてあって,「法的に医師の指示を受けないで済むものであったとしても,それが医学的に医師の判断を受けるかどうかということ自体がわかる看護師を育てていこう」と書いてあるので,むしろ医師にとって見れば,大変助かる看護師が増えてくるということで,反対する必要はないと思います.2頁の3つ目の○の諸外国のことですが,「諸外国における看護師の新たな業務と役割」という研究報告書を引用して言ってるわけなので,その内容を読まなければ理解できませんが,少くとも日本人は,諸外国というと,欧米先進国,具体的には欧米の主要先進国のことを言うのだと思いますが,どの国でも制度や報酬の支払い方は違っても,医師や看護師がする仕事は基本的には同じで,どういう形で患者の命や健康を守るかということを考えてやっているわけです.その中で看護師の裁量の範囲が,例えば具体的に欧米のどこの国と比べれば向こうのほうが拡大しつつあると書いてくだされば,よいと思います.あとは先ほどから議論になっている3頁のいちばん上の「専門性,自律性を発揮し」というところと,4頁のいちばん上の「看護の自律性,専門性を考えて」というところですが,3頁の1番目の○では,きちんと「医師等との適切な連携の下に」と書いてあるので,何も看護師が医師を振り切って独立しようというわけではないと思うので,むしろ患者や家族側にとっては専門性や自律性の高い看護師でないと困るわけですので,社会が望んでいることだと私は思います.

川村座長
 「安楽」ということについては.

宮武委員
 私はコンフォートという意味で取りました.

川村座長
 安楽死というイメージは持たなかったということですね.

宮武委員
 ただ柳田委員のご心配のような誤解はあるかもしれません.表現はもう一回考えたほうがいいかもしれません.

國井委員
 同じく3頁の2つ目の○ですが,「医療の現場において,療養上の世話を行う際に医師の意見を求めるべきかどうかについて」というくだりなのですが,上に書かれているように「療養上の世話と診療の補助」というのが我々の保助看法に謳れている業務ですが,診療の補助行為においても医師の指示を受けて,それが問題がないかどうかを判断する看護師の能力も非常に重要だと思うので,療養上の世話に限らないので,ここの「療養上の世話を行う際の医師の意見を求めるべきかどうかについて」というところを削除して,「医療の現場において適切に判断できる看護師等の能力,専門性を養っていくことが重要である」というのがいいと考えるのですが,いかがでしょうか.

平林委員
 ちょっといまの意見は私は賛成できないので,この流れとして読むと,療養上の世話の問題について,先ほど来柳田委員が問題とされているようなことをここで言っているわけですから,これは落とすべきではないと思います.國井委員がおっしゃっていることは別の論点ですので,書き込むとすれば別の○を作ってきちんと書かないと全体としてぼやけてしまうと思います.この○の部分では國井委員がおっしゃったようなことは削除すべきではないと思います.

川村座長
 この委員会の第1回目でも説明があったと思うのですが,「訪問看護の推進」という課題が最初に出ていました.訪問看護というのは主治医と看護師とが同じ建物の中にいないとか,常時一緒にケアをしていないとか,観察をしていないという条件の下で,どのようにきちんと医師の指示を実行していけるか,安全な医療を提供できるようにするか.または患者の意見を聞いて,それを取り入れた形での鎮痛,緩和,安楽を看護師ができるようにするかという観点がいちばん基礎にあったことを思い起こしていただきたいと思います.その上に立っていかがでしょうか.病院の中ですと両者が一緒に働いているということですので,非常に話ははっきりしてくるかもしれませんが.

柳田委員
 訪問看護の現場においては,おそらく皆かなり進んでいるわけです.静脈注射が行われていたように進んでいるのですが,この検討会では方向性を示すべきであると.訪問看護事業協会でもガイドラインができていると聞いていますが,初めて公文書として出るわけですから方向性は決めるべきだけれども,個々の小さなことについては,それぞれが対応すればいいと思います.そこは十分理解しているつもりです.

川村座長
 だいぶ討論が広範囲にわたっているので,最初のところに戻ります.1頁の3番目の○の「しかしながら」というところですが,これについては基本的趣旨ということでよろしいでしょうか.多少の文言を変更したほうがいいということがあれば,そのようにしていただければいいと思います.1頁の4番目の○ですが,「法的に医師の指示を必要としない療養上の世話についても」という辺りについてはいかがでしょうか.後ろのほうには実際的には医師の指示を得る必要があることなのか,得なくてもいい,ある意味では日常生活上の世話と解してもいいのかということを判断をするということを,もう一度改めて看護師が思い起こして,自分の責任をきちんとして仕事をすべきだといったようなところだったと思います.

川越委員
 先ほど柳田委員に「法的に医師の指示云々」というところで,いろいろな法的な解釈がなされているところだということを伺って,私も少しわからないので,平林委員のほうからコメントをいただければと思うのですが.

川村座長
 平林委員のほうからでも,行政解釈でもどうぞお願いします.

平林委員
 私は1回しゃべったような気がするのですが,もし厚労省のほうで公的な見解があればそちらをお聞きして,必要があれば私も若干お話をするというふうにさせていただきたいと思います.

土生企画官
 行政解釈以外にももちろん学説というのはあり得るので,唯一絶対ということではないかもしれませんが,厚生労働省の解釈としては,第7回の検討会の際に前提としてご説明したところです.

土生企画官
 第7回の資料1−1で,そこに保助看法の抜粋がありますが,第5条に看護師の業務として「療養上の世話と診療の補助」ということが併記されているわけです.それから一方第37条において,「保健師,助産師,看護師等は医師または歯科医師の指示があった場合を除くほか」というところで,診療の機械を使用する,医薬品を授与する等々ということで,医師または歯科医師が行うのでなければ,衛生上危害を生ずる恐れのある行為をしてはならないということです.この行為は「医行為」と解釈をしているわけです.そういうことから医行為の補助ということで,診療の補助については第37条ということで,「医師・歯科医師の指示があった場合を除くほか,してはならない」ということです.そういうことで,少なくとも法的にはその裏返しですが,「療養上の世話」というのはそこに含まれていないということですので,医師の指示は必要ないという解釈を取っているということです. 一方,先ほどからご議論があったように,3頁の2つ目の○で,一つひとつの行為を見たときにそれがどちらに入るのかということも,確かにクリアには分けられないということもあります.また,同じ行為であっても,それぞれの状況とか場合に応じて,ここにも書いてあるように,基本的には「療養上の世話」の範疇だけれども,医師の医学的な判断が必要だということもあるということも事実ですので,そういうことで,法的なことと実際上の話を区分して書いております.先ほどご議論がありましたように,場所が離れていることから,そのつながりが見えにくいということもありますので,書きぶりについてはさらにご議論を賜ればと思います.行政解釈については,いまご説明したとおりです.もちろん,そうではないという学説というのはあり得るのではないかということです.

井部委員
 確認をさせていただきたいと思いますが,保助看法の第37条の「衛生上危害を生ずる恐れのある行為」ということは,つまり医行為であるということですね.診断や治療というのは医行為であると解釈することができますね.つまり看護診断ではなくて,医学的な診断をしたり治療行為をする,あるいは治療の指示を出すといったことについては,医行為であるということですね.

土生企画官
 はい.

井部委員
 「衛生上危害を生ずる恐れのある行為」というのは,解釈が非常に多岐に及ぶ可能性があって,私はこの文言が混乱を招いているのではないかと思っています.

土生企画官
 医師または歯科医師が行うのでなければ,衛生上危害の生ずる恐れのある行為ということで,ある意味ではトートロジーというか,そういう規定ぶりにならざるを得ないといいますか,もちろん医療の専門性の高さとか範囲の広さから,法律として表現したときにこういう書き方になっているのではないかと思います.この行為というのは医行為であると理解しております.

平林委員
 補足をしたいのですが,この検討会に臨むに際しての私の基本的な立場は,ここは研究会でもないし学会でもないので,自説に固執することはしないつもりです.したがって,この問題を考えていくときには,基本的には厚生労働省の行政解釈の範囲内で,それが明らかに不当である場合には問題ですが,それがそれなりの一応の合理性,妥当性を持っている限りにおいては,その範囲内で議論を進めていくべきだと思いますので,別に私見に拘泥するつもりはありません.1つだけコメントを付けさせていただきますと,私も原則的に厚生労働省がいまご説明された基本的な考え方でよろしいと思っております.ただし,「医師の指示」というふうに言った場合に,「医師の指示」という言葉の中でどういう内容をそこに込めるかが,いろいろな場面で違ってきていることは確かだろうと思います.いま厚生労働省から出された法的な解釈については,例えばどういう内容の療養上の世話をすべきかとか,いつ患者に対してすべきかという判断については,これは看護師が自らの責任において,それこそ自律的に行うことができるという限りにおいては,私はそのとおりだと思っておりますし,それが大原則だと思います.したがって,それに賛成するわけです.柳田先生も少しおっしゃっていましたように,療養上の世話をしていくプロセスの中で,この報告書の中にも書いてありますように,医師の判断が必要になってくる場合があるわけで,そういうふうに判断をした看護師は改めて医師に対して許可を求めるとか,指示を求める,あるいはコンサルテーションをするという形で,そこに医師と看護師とが連携をして患者に対して対応をしていくということもあり得るだろうと思います.その場合も「医師の指示」という言葉を使いますので,そこで言っている「医師の指示」と最初に言っている「医師の指示」は同じ言葉を使っていますが,中身が違うものですから,そこでこの議論がすごく混乱をしてくるのだと思っております.3番目に,「療養上の世話についても医師の世話が必要だ」とおっしゃる,これは柳田先生もそうおっしゃるだろうと思います.それは医療の側に視点を置くのか,看護の側に視点を置くのかで,かなり医療と看護との関係が変わってくるだろうと思います.少なくとも私は,医師と看護師が連携をして,1人の患者に対してどういう治療方針でどういう治療をしていこうかということについては,最終的には医師が責任を持つべきだろうと思います.もちろん,方針を決定していくプロセスの中で医師と看護師が議論をして,コミュニケーションをして,意見交換をして,最終的にはそれを医師の責任で決定していく.医師の責任で決定された治療方針に反して,看護師が独自に動くことはまずいことだろうと思います.治療方針の決定という限りにおいては,最終的には看護師も,その意味の指示の中に入ると思います.したがって,それでも「医師の指示」という言葉を使いますと,前に申し上げた2つの「医師の指示」と中身が違ってきますので,どういうコンテクストの中で,どの内容の医師の指示かを言うかということは,この議論をするときには十分に注意をして議論をしていかないと,そこだけで非常に無用な混乱を来たすと思っております.結論から申し上げますと,原則的な枠組みとしては,先ほど企画官のほうからご説明されたような形で,「療養上の世話については医師の指示は原則的には必要ないんだ」というところから出発して,この報告書にあるいろいろなバリエーションを考えていくということで,私はそれでいいのではないかと思います.

川村座長
 例えば「法的に医師の指示を必要としない療養上の世話」に,その範囲に入るとしても,医師の方がこれは指示を出したいとお思いになった際は,OKであるということですね.

平林委員
 「療養上の世話」についてですか.

川村座長
 看護側が判断をしていても,それだけではなくて,医師のほうから,この方については足浴をするときには連絡をしてくださいとか,こうしてくださいとか,そういう指示を医師からお出しになることは,それはいいわけですね.

平林委員
 それはかまわないです.ただ,その前提として,足浴をするかしないかについてまでの医師の指示がなければ動けないというものではないということだと思います.むしろ足浴をすることについて,最初から医師の指示を出すことはまずいのではないかということです.ただ,状況に応じて,医師がその状況を見て,先ほど先生がおっしゃったような形で,連絡をしてくださいとかというコミュニケーションを取ることは,もちろん一向にかまわないと.むしろそうあるべきだと.

川村座長
 だいぶ整理がついてきたようですが,いかがでしょうか.

井部委員
 3頁の上から2つ目の○の件ですが,4行目の「医療現場において,療養上の世話を行う際に医師の意見を求めるべきかどうかについて適切に判断できる看護師等」ということですが,「医師の意見を求めるべきかどうかについて適切に判断できる」という表現を,たしか何回目かのこの検討会のときに,「療養上の世話の専門家として,医師と対等にディスカッションをして,どのようにしたらいいかを判断できるようになるといいですね」という,新たな看護に目指した発言が平林委員からありました.そのニュアンスを生かすとすると,表現を「医師の意見を求める」というと,主−従の関係になるような気がしますので,療養上の世話はこのようにやるべきだとか,いや,それは治療上こういうふうに工夫したらいいとか,意見を交換し合うような関係であるということの記述をするといいかなと,私は思います.

川村座長
 上野委員,実際に例えばこの方はこういうふうな世話をしていますといったような,治療方針に影響のあることについては,事前にご相談をしますよね,一般的な訪問看護としては.

上野委員
 訪問看護に行った場合に,例えば病状を見て,今日はこういう状況だから足浴していいなとか,お風呂に入れていいなと考えますが,例えばすごく咳込んでいる場合はしないという判断をします.それと,どうしてもわからない場合がありますが,そのときには必ず医師に,どうでしょうと伺います.療養上の世話に関しては,私たちは看護計画を必ず出しますし,毎月報告書も出してきますので,そこのところできちんと説明をして,先生がそれをご覧になって,さらに指示をくれるという形を取っています.そこでもし不要だという場合には,指示書の中にも書かれてきますし,連絡があります.いまはファックスがありますので,ほとんどファックスでやりとりをしていきますので.

川越委員
 いまの井部委員の話ですが,求めるべきかというのが主−従関係といいますか,従属関係になると.そういうことがあると思いますが,先ほどからの議論を伺っていますと,例えば療養上の世話は看護のすべてということではないし,ものによっては医師との相談あるいは指示が必要だということはコンセンサスが得られていると思いますので,4行目の最後の所の「療養上の世話を行う際に医師の指示あるいは意見を求めるかどうかについても適切に判断」という表現にしたら,医師会のほうからもあまりクレームがつかないかと.ものによっては医師の指示が必要だと.ただ,全部が医師の指示というと,逆に医者のほうとしてはえらい迷惑になりますので,その辺はやはり柔軟性を持ってやっていったほうがいいのではないかと思います.

内布委員
 もう一つ,「新たに○を1つつくったほうがいいのではないか」と先ほど國井委員が言われましたが,「療養上の世話」については,いまのようなご意見で私はいいと思いますが,「診療の補助においても医師の指示の適切性について看護の視点で判断を行い,医師と協議すべきであり,自らの責任のもとに指示を履行しないことも求められる」という文言をどこかに入れていただくと,もう1つの○ができるかと思います.

西澤委員
 平たく言いますと,「医師が指示を出しても看護判断でそれをしない」ということですか.

内布委員
 危険がある場合は.私も実際現場で,私の場合は助産師で働いていて,助産師はかなり裁量権が認められておりますので,妊娠の診断もするわけですが,一度新米の医師が浣腸の指示を経産婦に出しまして,私は浣腸してしまうと墜落分娩になるという判断をしたものですから,そういうときには危険なので指示を履行しないこともありました.看護師に求められるのは,1つは医師の指示をそのまま履行するということではなくて,指示が適切かどうかの判断も看護師には求められていると思いますので,療養上の世話だけが問題になっていますが,先ほどの○のもう一つというのも明確に書いておく必要があると私は思います.

西澤委員
 助産師の問題は今回は別だと思います.

内布委員
 助産師でなくても,私は看護師でも働いていましたので.

西澤委員
 いまの助産師の例は別だと思います.全く違いますから.それと,この例示は問題がありまして,先ほど平林委員がおっしゃったように,患者のすべての最終的な責任は医師にある中において,「看護師の責任のもとで」と言いますが,看護師の責任よりも医師の責任のほうが最終的にはあるはずですので.いままで全く議論はされていませんでしたので,別に考えていただきたいと思います.

内布委員
 議論をされていなかったので,新たに出したらどうかという意見があったので意見を言ったのですが,議論をしたほうがよければすればいいと思います.看護師が医師の指示を,これは非常に危険なので受けられないと判断して,そのことを医師に,看護師としての責任のもとにおいては,それをやるのは危険であるのでやれませんということを言うとします.そうしますと,医師は自分の責任のもとにそれを行えばいいと思います.看護師がしなくても医師がそれを行えばいいと思うので,医師の責任のもとに行うことについてはいいと思います.看護師は実行者としてそれを履行したものとして責任を問われますので,もしその指示が適切ではないと自分の中で判断した場合は,受けないこともあると思うのですが.非常に危険だと思っても受けなければいけないという西澤委員のご意見でしょうか.

西澤委員
 そういうことではありません.受けなくてはいけないではなくて,それはお互いに別の判断をして,医師がこう言ったけど私はしませんという問題ではなくて,すべて患者さんを中心に共同して医療を行っている中で,そういう問題があったら医師にそれをきちんと看護師のほうから説明して,最終的に,もし医師の指示が間違っているんだったらそれを医師がしっかり理解したうえで,改めて医師が適切な判断の上,指示を行う,そういう役割を看護師がするのであって,ただ間違っているからしないということで議論を終わられると,私は違うなと思います.

内布委員
 私もそれはそう思います.西澤委員のおっしゃるとおりだと思います.ですから,「医師と協議をすべきであり」というふうに申しました.

柳田委員
 ここの検討会で,「医師の指示がある云々」というのはおかしいと思いますので,わざわざ報告書に書く必要はないと思います.

井部委員
 医師の指示ではなくて,診療の補助業務に関しての意見だと思います.

内布委員
 看護師の業務の範囲内のことを申しております.

柳田委員
 あまり細かくする必要はないと思います.

川越委員
 内布委員の言われたことについての議論は,私の記憶ではなされていなかったと思います.たしかに大事な問題であることは間違いないと思います.というのは,医療事故が起きたとき医師の責任だけ問われておりましたが,いまは看護師の責任も十分問われる時代になておりますので,医師の指示をただ盲目的にやればいいという時代ではない.特にこれからは看護師の経験的な判断が必要になってくる時代だと思います.ただ,医師が出したけど自分は納得できないからやらないというのは,あまりに短絡的な発想で,気持はよくわかりますが,よりよい医療を提供するためにはどうしたらいいか.医師と看護師が喧嘩をすることはいちばんまずいわけで,そういう視点に立っていまの問題を考えていかなければいけないなという気がいたしました.

平林委員
 次回にじっくりと議論をするのかもしれませんが,内布委員がおっしゃられたこともいくつかのパターンがあると思います.例えば最高裁の判例にもあるように,静脈注射をしろと言われて,自分はできないと思ったけれども指示があったからやっちゃったという場合と,例えばカルテを改竄しろとか,安楽死の場合で致死に至るような注射をしろと言われた場合と,いろいろなパターンがあって,それを全部一律に議論することも,なかなかこれは難しいと思います.どういうパターンで,どういうケースを念頭に置いてこの問題を考えるかということを少し整理して議論をしないと,これまた混乱をすると思います.そのことだけ次回のために申し上げておきたいと思います.

田村看護課長
 2頁の最後の行から3頁の最初の行にかけて,医師の指示を受けて看護師がやった後に,包括的な指示の話が上のほうにありますが,「患者の状態についての観察結果や,看護の立場からの判断を医師に適切に伝えることが必要である」と書いてありますが,その辺りをもう少し丁寧に書き込むことでどうなのかと,いま思いました.

川村座長
 さらにご意見はありますか.

内布委員
 書き込んでくださればありがたいなと思います.

井部委員
 それともう一つ.日本看護協会の業務基準で國井委員が説明した中に,「医師の指示を実施するときには,その根拠をちゃんとわかっていなければいけないし,患者にとって適切であるかという問題と,倫理的な問題がないかというこの3つについては,看護師が判断して行うべきである」といったような説明がありましたので,それをうまく盛り込んでいただくとよろしいかと思います.

田村看護課長
 それもまた次回に少し私どものほうで案を提示させていただきたいと思います.

井部委員
 もう一つ.3頁の上から4つ目の「苦痛の緩和」のところに,便秘,不眠,発熱,呼吸困難等という例の中に,疼痛というものを入れて,最初に疼痛,便秘,不眠としたほうがいいのではないかと思います.

上野委員
 先ほどの「安楽」のところですが,いま井部委員がおっしゃったところを最初に疼痛から始まったとして,最後は「患者の安全・安楽の確保」としてはいかがでしょうか.

川村座長
 「安全」を入れるということですね.

國井委員
 4頁の2つ目の○ですが,先ほど柳田先生からご意見がありましたが,説明を行う所に「看護ケアの内容」も付け加えてほしいと.「患者家族と十分コミュニケーションを行い,治療の内容や選択及び看護計画について,わかりやすく説明する」という,看護の説明をほとんどしていないという現状があるので.

柳田委員
 「治療の内容や選択をわかりやすく説明する」を,これはちょっと書きすぎではないかと.

國井委員
 表現を変えればどうでしょうか.

西澤委員
 これはやはり表現を変えていただいたほうがよいかと思います.特にインフォームド・コンセントという言葉について,治療の内容や選択のところに結びつけますと,要するにインフォームド・コンセントは説明と同意ですから,それが看護師の仕事だととらえかねない.すなわち,「どういう治療法を選びますか」までが看護師がやるのかなと,これだと誤解される.これは柳田委員のご意見です.ですから,あくまでそれはドクターの仕事であって,それを補助的により患者さんの間に立って,よりわかりやすく説明することが看護師の役割.その辺りをもっと丁寧に書いていただければ結構かと思います.

川村座長
 もう1つは,看護の行為についてのインフォームド・コンセントが必要だということですね.よろしいでしょうか.

平林委員
 いまのところで,新たな看護のあり方にもかかわってくると思いますが,看護師の役割として患者の代弁者といいますか,ペイシェント・アグリーメントの問題を考えますと,むしろそのことを書き込んでおいたほうがいいような気がしますが,いかがでしょうか.

川村座長
 4行目の「患者・家族の意向を汲み取る役割」ではなくて,「汲み取り,代弁するような役割」ということですね.ここはこういう文章として適切にしていただきたいと.「自律性」という言葉を議論したほうがよろしいでしょうか.医師の指示の範囲の中での職業的な自律性ということは,既に説明されているということでしたが.

國井委員
 これは前書きみたいな前文が出ますよね.

川村座長
 どうでしょうか.

土生企画官
 通常ですと,検討の経過とか,こういう趣旨で検討会をつくり,例えば第何回までこういう議論をしとか,そういうものを付けるのは通常ですので,検討したいと思います.

川村座長
 次に,4頁の(3)をお願いいたします.

土生企画官
(3)「望ましい看護のあり方の普及に向けて」(読み上げ)

川村座長
 ありがとうございました.ここのくだりについては,かなりあちこちに議論が出ていたことをまとめていただいた中身かと思います.ご自由にご意見をいただきたいと思います.

上野委員
 5頁のいちばん下の・ですが,「相互の交流や連携を深かめていくことも有益である」ということよりも,「深めていくことが必要である」というふうに言い切ってしまったほうがいいのではないかと思います.

柳田委員
 それは私もそう思います.5頁の2番目の・の所ですが,「大学教育の更なる普及・拡大など看護基礎の教育期間を延長していくことも検討していく必要がある」と記載されておりますが,地域医療を守る立場からいいますと,看護大学のみ増やすことは反対です.やはり通常の3年課程であるとか,准看護師課程の更なる普及・拡大が必要だというふうに思います.したがって,この項は「ことから大学教育」以下を削除していただくとか,もう少し文言を変えていただきたいと思います.それから5頁の4番目の・のところで,「専門看護師とか認定看護師などの・・・」という記述がありますが,これは一団体が行っている資格について,このような公の報告書に書くことは不適当であると考えます.一番下の○ですが,「入院診療計画」以降の6頁からの1番目のところ,いまお読みになった所ですが,まさにこの辺りはチーム医療の話で,看護の分野だけの話ではありませんので,この辺の記述は不適当かなと思います.削除をしていただいたほうがいいのかなと思います.

川村座長
 ありがとうございました.いかがでしょうか.

井部委員
 ただいまのご指摘の5頁の黒ポツの2つ目ですが,ここは「大学教育の更なる普及・拡大など,看護基礎教育期間の延長ということも検討していったらどうか」ということを言っているわけでありまして,何回も出てきたように新たな看護のあり方を検討する上にあたっては,3年の基礎教育が基本だけれども,それが十分かどうかという点について,検討する必要があると私は思いますので,そういう意味では例えば准看とか,大学教育はいかんということを後ろ向きに書く必要は全くないと思っております.これだけ専門的な知識を学ばなければならないと言っているわけですから,この文言に関しては貴重な論点ではないかと思います.

柳田委員
 「大学教育の」と限定してあるものですから,これはどうかなと思います.

井部委員
 既に薬剤師は大学院を入れて6年教育を推進している段階で,大学教育を受けた者が出てきただけで批判されるという看護教育の現状そのものが問題だと私は思います.

柳田委員
 批判はしてないですけどね.

井部委員
 それを消せというのは私は反対です.

柳田委員
 「普及・拡大など」と,それだけが増えるということはどうかなと思うだけです.

内布委員
 私も大学教育は残していただいたほうがいいと思います.新しく看護師になる人で大学教育を受けて看護師になる人は,1割をちょっと超えるぐらいまでしかいっていないのです.大学教育を受けた看護師というのは.諸外国と比べますとまだまだ普及は必要かと思います.「など」も入っていますので,これは文言を残していただきたいなというふうに思います.

川村座長
 看護界からは大変強い要望がありますね.

西澤委員
 柳田先生は医師会の立場もございまして,なかなかつらい立場だと思いますが,かなりこれはそういうことにも配慮して,文章もすごく柔らかいなと思っております.本来であれば看護師の方はもう少し強く言いたかったのを,かなり押えた書き方になっているのではないかと.この委員会のある程度の妥協といいましょうか,そういう中ではこの程度でよろしいのかなという気がしております.

内布委員
 専門看護師や認定看護師についても,できるだけ残す方向で考えていただきたいと思います.たしかに特定の機関が認定しているものの,「日本看護協会」という言葉は特に出ていませんので,「特定の機関が認定した」とか,「日本看護協会」という言葉を出さない表現を工夫していただいて,できるだけ専門性の高い看護師や特定の認定を受けた看護師とか,特定のコースを修了したとか,特定の機関が認めたコースを修了したとか認定したとか,「そういう看護師にあっては」というような書き方で,できるだけ残す形で検討していただきたいと思います.

井部委員
 アメリカで用いられている,アドバンス・プラクティショナーでしたか,そういうような抱括的な表現をしたらいいのではないかと思います.

内布委員
 日本語に訳すときは上級看護師というふうに訳してありますが,そんなアドバンスのナースで特定のコースを受けた人たちを認めていますし,実際にそういう人たちが,かなり現場でケアの質の向上に貢献しているのです.いまデータが続々と出ている段階で,厚生労働科学研究等でも,専門看護師に関しては,癌看護,精神看護の領域の人たちが研究費をもらって自分たちの業績等について検証しています.実際に現場の人たちの声を聞きますと,検証するのは数字とかで出さなければいけないので大変ですが,あの少ない人数で厳しい認定制度を,日本の認定制度は世界でいちばん厳しいと言われていますが,厳しい認定制度を通過して出てきた人たちですから.全体で40人しかいないのですが,その人たちが入っている現場というのは明らかに,ほかの現場と看護ケアの質が変わってきています.それは実感としてあるわけで,それを数字に出していこうという動きを,厚生労働科学研究などで出している段階です.確実に彼らの働きというのはあると思います.ですから,是非,どういう形で書くにしろ,ここに残さないといけないのではないかと私は思います.

井部委員
 「専門看護師,認定看護師など」と,「など」という文言なので,これでいいかなと思いますが,例えば呼吸療法士,糖尿病療養指導士といった資格を持った人たちも仕事をしていて,専門看護師や認定看護師などと類似した力を発揮していることを実際に認知しておりますので,この2つだけに限定しないほうがいいのではないかと思います.様々な専門的な知識・技能を持った看護職の登場を期待する」といったようなニュアンスを含んだほうがいいかと思います.

平林委員
 「新たな看護のあり方を考える」ということですから,上のほうに向かって看護が充実していくということに私が反対するものではないし,看護の専門分科ということも必要だろうと思いますし,全体としてそういう形で看護を考えていくことは十分に了解しているつもりです.したがって,先ほど議論がありましたが,「大学教育の更なる普及・拡大」だけではなくて,「充実」というのも是非入れていただきたいと思っております.その真意は,看護の全体の問題として前にも申し上げたかもしれませんが,ピンからキリまでと言ったら怒られますが,看護全体の中の能力,あるいは意識のばらつきというのは,これは否定しえないと思うので,上のほうに伸ばすのもいいですが,下のほうをどうやってボトムアップしていくかということも,現実問題を考えた場合,新しい看護のあり方を考えるときには落とすことができない問題であろうと思っておりますので,その点についても是非何らかの形でわかるような文言を入れておく必要があるのではないかと思っております.

川村座長
 ちょっと言葉尻をとらえていて申し訳ないですが,「上のほうを伸ばすのはいいのだけれど」というのは,もうこれでいいのだというのではなくて,それはそれで必要なんだけれどもという意味ですか.

平林委員
 そういう意味です.

川村座長
 字面になってしまうと誤解があるかもしれません.

平林委員
 ですから,そのことには反対するつもりはないし,それを推進していくことには賛成いたしますが,それだけではなくて,ボトムアップを考えないといけないだろうと.

井部委員
 5頁の下の○のその上の黒ポツですが,ここの内容は,私の認識が間違っているかもしれませんが,「施設看護と訪問看護の交流」という話よりも,「教育の現場と臨床の現場との交流」という話が出たように思いますが,私はむしろ教育現場と臨床の現場との交流がもっと積極的に行われたほうがいいと思っている立場なので,バイアスがかかっているかもしれませんけど.

國井委員
 あのときの議論で,施設看護と訪問看護の連携のなさについて意見が出たと思います.私はこれに意見ですが,連携を深めていくことが有益であるし,さらに仕組みづくりが必要であるぐらいの,ひとつ進んだ表現がほしいなと思っているのですが.

川村座長
 この看護教育と臨床看護,臨床看護の中には施設と訪問看護と両方の現場が入っているという解釈ですね.前段のところが中身の話で,後段が相互交流のような形になっているので,この辺を揃えていただくと皆様方のご意見がしっかり入るのではないかと思います.

田村看護課長
 そうですね.もう少し言葉を足さなければ意図が伝わりにくいのかもしれませんので,工夫をして次回に提案させていただきたいと思います.ご意見は教育と現場の乖離がないようにということと,看護師同士の,まさに地域と,その施設における病院の看護との連携という,この2つがありましたので,それを踏まえてまとめとしたつもりです.

川村座長
 私が意見を言うのもどうかとは思いますが,福祉施設での看護職の問題を,当事者の方々から,看護のあり方の中に一緒に考えてほしいというような声もあります.陳情とか要望書という形ではありませんが.もし施設看護という場合には病院の話もありますが,福祉施設といった所も視野に入れていただけるような,どこに働いていても看護職全体が相互交流を図って,きちんとやっていけるということになっていくといいかと思いますが.最後に柳田先生からいただいた5頁の最後の○と,6頁の最初の○について,いくつかのご意見をいただいて終わりにしたいと思いますが,いかがでしょうか.先ほど,これは「医療関係の職種が全体で共通認識を持っていくものなので,ここに書き込まなくてもいいのではないか」というご意見であったと思いますが,ここに書いてきた理由としては,看護職もそれをきちんと意識をして,むしろその中で,責任を果たしていくということで,いままでは議論が進んできたように承っておりますが,いかがでしょうか.

内布委員
 医師の場合も,例えば胃癌治療のスタンダードとか,いまスタンダードをたくさん開発しています.そうすることによって医療の質の標準化というか,患者さんたちが行った病院によってとんでもない治療を受けることがないようにということも考えていたと思います.標準化というのはやはり国レベルで考えていく必要がどうしてもあって,標準化されたからそれを満たしていればそれ以上のことをしなくてもいいと,発達しなくてもいいということでは決してないと思いますが,標準化というのは医療の質を国民に保証していくときにすごく必要なのだと思います.5頁の最後では「看護プロトコールの普及」と言っていますので,特に医師の領分に侵しているような印象はありませんので,是非残していただいたらいいと思います.6頁の最初は,これは医療機関に関してと言っていますので,看護の領域も医師の領域も入ってくるのではないかと思います.看護がこのプロトコールで動くということが結構ありますので,私は両方とも医師の領分を侵して書いているというふうには思えなくて必要だと思います.そして国としても,こういう標準化したものを示していくということは,とても大事なことだと思いますし,医師の領域でも既にどんどん進んでいることだと思います.

柳田委員
 領域を侵すとか侵さないとかそういう次元の問題ではなくて,そういうものをどんどん普及させていきますと,看護師さんが考えることをやめてプロトコールのとおりに動くという結果を招きかねないということも,一方で懸念されるということで,これは本当にプロトコールが必要であるのかどうかというのを十分検討してかからないと.

井部委員
 柳田委員は,「診療ガイドライン」というのは医師を考えさせなくするというふうにお考えですか.

柳田委員
 そんな短絡的ではありませんが.

井部委員
 それと同じようなことをおっしゃっているのではないでしょうか.

柳田委員
 そういうことを全国的にもし公文書の中に入れるとすれば,やはり広まっていくということで,これはやはりその病院,病院でやればいいことであって,全国一律標準的なものをつくる必要があるのかなと.

井部委員
 「診療ガイドライン」というのはどういう位置付けになるわけですか.医師がやっている「診療ガイドライン」というのは.

柳田委員
 それとはちょっと意味が違うと思うのですが.

井部委員
 どう違うのでしょうか.

柳田委員
 そのとおりに動くということで,それがお気に触わったのかもしれませんが,そういうことではなくて.

井部委員
 医師は「診療ガイドライン」の全国的な普及版をつくっているわけで,それに関してはどのようにお考えなのでしょうか.

柳田委員
 いまはたしかにその傾向にありますが,まだこの段階でつくっていいのかどうかということは,先生方の意見を聞かないとわかりませんが.

平林委員
 プロトコールというものに対する誤解があるように私は思います.プロトコールができて看護師が判断をしないでもいいというふうにはならなくて,むしろ逆で,プロトコールというのはどういう部分で,どういう場面で看護師がきちんと判断をしていかなければならないかということを,類型別に明らかにしたものであるので,そこは是非誤解をなさらないでいただきたいと思います.プロトコールはあくまでも標準的な基準的なものですから,ここにもありますように各医療機関とか地域に適して,それを調整していくことができるわけですから,もちろんその中で医師との連携を踏まえて,その連携のあり方を踏まえながら,看護師がどういうふうに判断していくかということも盛り込めるようになっているのがプロトコールだと私は思っております.その辺の誤解を是非解いていただければありがたいなと思います.

西澤委員
 柳田委員がおっしゃったのは,実は医療の標準化とかEBMと言われている事について,これはある意味で非常にいいものだと思いますが,実際は医師の間で混乱をしております.標準化ができたら,それ以外の治療は駄目ではないかとか,あるいはほかの治療法だと診療報酬上,それは出来なくなるのではないか.そうすると,医師の裁量権はという議論が起きているのが実際です.そういうことを医師会を中心に懸念しておりますので,そういう誤解を解くようなことが必要だと思います.ここに書くときも,見方によって,これに則らないと,していけないとなるのではないかという懸念が片方ではあると思いますので,そのような誤解を解くようなことを是非何らかの形で示していただきたいと思います.もう1つ,看護プロトコールの上「入院診療計画や在宅療養者の支援をするための看護プロトコール」と書いてありますが,この入院診療計画も看護プロトコールの1つに見えますが,これはクリティカルパスは看護プロトコールとは別ですので,これは分離して書いていただいたほうがよろしいかと思います.

井部委員
 5頁の「入院診療計画」とありますが,「入院診療計画書」という診療報酬上の要件がありますが,それと一致しているのかというのは私は紛らわしいと思います.急性期医療の機関は入院診療計画書を要件としておりますので,そのことを指すのか,一般的なクリティカルパスを指すのか,ちょっと混乱しやすいかなと思います.

田村看護課長
 ここでは一般的なクリティカルパスのことを指して書いているつもりですが,そのことをどう明示的にしたらよろしいでしょうか.

井部委員
 クリティカルパスという言葉を使うか,あるいは標準診療計画というようにするかですが,あまり適切ではありません.クリティカルパスのほうが一般的です.

田村看護課長
 クリティカルパスというふうに,その言葉を先に出してもよろしいのでしょうか.

内布委員
 「いわゆる」を付けるとか.

田村看護課長
 それでは,それは工夫をさせていただきます.

川村座長
 そうしていただいて,次回はまたこの続きが残っておりますので,そこでまたご議論をいただければと思います.今回も有意義な議論をしていただきまして,大変ありがとうございました.今回はこれで終わりにしたいと思いますが,事務局のほうから,どうぞ.

勝又補佐
 次回は11回目の会議ですが,2月27日(木)の10時から,厚生労働省において開催させていただきたいと思います.第12回については,3月13日(木)の10時半から開催させていただくこととしております.さらに必要があれば3月24日(月)の15時から予定しておりますので,併せてよろしくお願いいたします.

川村座長
 何かお気づきのことでもあればお願いいたします.

田村看護課長
 次回は後半の6頁の2「看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進」以降のところから,引き続きご議論いただきたいと思っております.時間的に若干短いので,今日ご議論いただいたことを十分に修正しきれるかどうか,私どもも定かではありませんが,精一杯努力をさせていただきます.よろしくお願いいたします.

川村座長
 もし事前にご意見があれば,ファックスで伝えていただいたほうがよろしいかと思います.ありがとうございました.

20030227 第 11回 新たな看護のあり方に関する検討会議事録
川村座長
 資料は前回と同様ということで,全体を討論していただきたいということです.前回は「患者の生活の質の向上のための専門性の高い看護判断とその実践に向けて」について議論をいたしました.その中でいくつかご意見をいただきましたけれども,本日は残りの部分について議論をしていただきます.それでは,前回同様,項目ごとに順番に検討していきたいと思います.「2  看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進」の「(1)在宅がん末期患者の適切な疼痛緩和ケアの推進」について,事務局から読み上げをお願いいたします.

土生企画官
 「在宅がん末期患者の適切な疼痛緩和ケアの推進」読み上げ)

川村座長
 それでは,この件に関してご意見をいただきたいと思います.

柳田委員
 6頁の2番目の○の3行目に「在宅医療に対して医師が更に積極的に取り組むこととあわせて」という文がありますけれども,医師のことは,医師の新たなあり方に関する検討会で検討すればよいことでございまして,ここで触れる必要はないと思っておりますので,削除していただきたいと思います.もう一つ,「在宅がん末期患者の適切な疼痛緩和ケアの推進」の項についてはほとんど書き改めていただきたい.麻薬の量を多くすることが看護のすべてではないと思います.看護サイドでやることは薬ではなくて,ほかに方法があるはずだと思いますし,例えば家族が来た日は麻薬が少なくて済むとか,いろいろな方法もある.麻薬をただ増やせばいいという話ではありませんで,むしろエモーショナルなサポートが必要なのではないでしょうか.「患者のニーズの拡大」と書いてありますけれども,疼痛緩和の目的でドーズを上げるのは安楽死につながるものであると考えられ,患者のニーズ拡大にどう応えるかということと,ドーズのことを一緒に述べるのは非常に危険であると思っております.7頁の4番目の○の所でプロトコールについて述べられていますけれども,前回も申しましたように,これを普及することはプロトコールのとおりに動くということにもなりかねない.本当にプロトコールが必要であるのかどうかというのは,もう少し別に十分に検討すべきであって,軽々しくこれをつくっていいものかどうかということには私は反対です.5番目の○の本文です.診療所や医師について言及していますけれども,これは看護のあり方とは関係ないことではないかと思います.ですから,麻薬だけが疼痛緩和ではないということを十分に,私たちも留意する必要があるのではないかと思っています.

川村座長
 ほかにいかがでしょうか.

上野委員
 「新たな看護のあり方検討会」ということで看護に言及するとおっしゃいますけれども,看護が独自で勝手にこういうことをしていいのかというと,それはそうではないと思うのです.「医師との関係で看護を提供する」というようになっていくことが特に麻薬疼痛緩和等の行為に対しては非常に大事です. 例えば,6頁の先ほどの2つ目の○の所で「在宅医療に対して医師がさらに積極的に」と,医師が取り組むところで看護も一緒にという.その辺も医師だけが在宅医療をやるわけではありませんし,看護師だけが在宅療養者を支えているわけでもありませんので,「医師が一緒に」という所はこのまま置いていただいたほうがいいと思います.それと,プロトコールに関しては,安全にケアを提供するために医師との協定を結んでいくということですので,プロトコールが一人歩きをするというものではないだろうと思います.さらに安全な看護を提供するために,こういう場合は医師に連絡をする,というような形の内容になっていますので,このプロトコールの普及はぜひ続けていくべきだと思っています.

國井委員
 医師の検討会ではないというお話でしたけれども,医療は医師が重要な役割をとっていますけれども,看護職もそれとのかかわりで重要な役割をとっているわけなので,いろいろな看護の話をするときに,その連携のあり方は検討をしながら,お互いの役割を確認していくことが大事なのではないかと思います. 先ほどの疼痛コントロールの麻薬の件に関してですけれども,それも十分な教育をきちっと提供しながら麻薬をコントロールするというよりも,先ほどおっしゃったように,精神的なかかわりとか,いろいろなことで疼痛が軽くなったりするわけですから,生活状況に合わせて量をコントロールする.それはあくまでお医者さんの指示の下,連携の下という範囲の中ですけれども,そういう適切な使用の仕方をする判断がナースにはできるので,それを活用していくべきという今後のあり方に向けての検討だったように思うので,ぜひこれは盛り込んでおいてほしいと思います.

柳田委員
 医師との連携は当然前提でございます.これは申すまでもないことで,その辺は強調していただきたい.ドーズを上げるとか下げるとかいう問題は,これはあまり細かすぎる問題ではないかと思いますし,公文書にこういうことが再々細かに出てきていいものかどうかということで,もう少し表現を上手にしていただかないといけないのではないかなと思います.

藤上委員
 「看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進」の所を読んでいきますと,麻薬のことがかなり出てきています.麻薬及び向精神薬取締法上の規定にない表現もかなりあるということで,その言葉の使い方を先に改めなければいけないのではないかなと思いました.例えば,「麻薬を投与する」という言葉は成り立たないわけなのです.法規上は「麻薬を施用する」となっています.したがって,いろいろあるのですが,6頁の3つ目の○の5行目の「その一方で」の文章ですが,「在宅のがん患者の増加が予想されることから,医師が適当と判断した場合には麻薬製剤を適正に使用」,これは使用ではなくて施用です.「施用した疼痛緩和を看護師等ができるように」,できるようにというのは少しおかしいのではないか.「支援できるように」という言葉を入れることによって,そういう点がかなり打開できるのではないかと思うのです.それから,今の件の下の○の所で「EBMに基づく薬物療法を主体とするがん疼痛治療の実践的なガイドラインである『がん疼痛治療ガイドライン』の普及」ということになっていますけれども,このがん疼痛治療のガイドラインのオリジンは何なのか,ということもきちんと言っておかなければいけないと思います.そのガイドラインの位置付けはどういうものなのか,あるいはその内容を全面的に是として普及を図る必要があるということなのか.問題点や指摘事項が多分あったと思うのですが,そういうことに関してはどう解釈するのか.また,このガイドラインの内容については本検討会で説明は受けましたけれども,議論をしたわけではないということで,普及の必要性はあると思われますが,全面的に是として取り扱うかというのは問題外であろうかなと思います.7頁目のいちばん上の文章ですけれども,2行目で「患者の生活の質の向上を高めるということを基本的な視点としながら,麻薬の適正管理の必要性を考慮しつつ…」とあります.ここは「現行の麻薬及び向精神薬取締法を遵守し医師,看護ステーション…」と続いていくべきであろうと思います.というのは,これは麻薬の適正な使用ということではなくて,麻薬及び向精神薬取締法を遵守するということが前提で行われるべきであると思うからです.2番目の○の所の2行目で「その範囲内で,看護師等が患者の疼痛の状況に応じて適切な麻薬投与を行うとともに…」と,ここも麻薬の投与はまずいのではないのかなと.「適切な服薬等の補助を行う」というような表現に変えるべきではないのかなと思います.その次の文章ですが「麻薬による治療開始の決定や種類の選択については,医師が責任を持って判断すべき」とあります.ここで医師の責任についてあえて触れたのはどういうことなのか.治療開始や種類の選択は医師の責任ですけれども,万が一,麻薬投与の際に何か問題が生じた場合には誰が責任をとるのか,誰の責任になるのか,ということも明確にしておかなければいけないのではないかと思います. 7頁の下から4行目に「麻薬製剤供給のための薬局の24時間対応や麻薬製剤の廃棄の際の立ち会いを徹底すべき」とあります.薬局の24時間対応を徹底するのはよろしいと思うのですが,麻薬製剤の廃棄の際の立ち会いを徹底するといったことはかなりやられていることであって,これがやられていないとするならば,取締法の取締りの対象になるというようなこともあるのではないかと思いますので,「麻薬製剤の廃棄の際の立ち会いを徹底すべき」というのは消去すべきだろうと思います.4つ目の○のいちばん下の所に「医療機関の個別性に十分配慮しながら」と書いてあるのですが,医療機関の個別性というのがわからなかったのでお教え願いたいと思います.次の頁で,シリンジポンプの云々のことなのですが,前回のときに,シリンジポンプのことに関しては麻薬課のご意見をお聞きしてくださいと申し上げたのですが,それはどうなったのでしょうか.

土生企画官
 いくつかご質問と前回の宿題がありますけれども,8頁のいちばん上に関しましてシリンジポンプ式のものが書いてあるわけですが,ソフトバック式を使用したものはどうかということを担当部局に確認する,というご趣旨であったと思っております.聞いたところ,ソフトバック式のものについては,院内では麻薬の疼痛管理にも使用されていると伺っていますが,在宅での使用例は,現時点ではないということです.これは,一つは診療報酬上の評価以上にコストがかかるということもあって,ソフトバック式のものはそうした背景もあって現時点では使用例がないということです.したがいまして,今回,その普及を図ることが望ましいと書いてあるものは,あくまでシリンジポンプ式のものということで,ソフトバックのものはこの文章の中には含まれていないと理解しております.

藤上委員
 そのシリンジポンプ式のものでも何でも構わないのですが,在宅で麻薬を注射液として使用するときは診療報酬上の条件がありますよね.例えば,「以下のバルーン式ディスポーザルタイプの連続注入器等に」,等とありますからシリンジポンプ式のものでもいいと思うのですが,「必要に応じて生理食塩水等で希釈の上,充填して交付した場合に限る.薬液が取り出せない構造であること,患者等が注入速度を変えることができないものであること」というような注釈が付いています.ですから,それに対応できるものであれば構わないと思うのですが,ここの「シリンジポンプ式」という表現そのものが,ある一部のメーカーのことを行政があたかも推進しているような形になりますので,もしこれを残しておきたいのであれば,そこのところは考えなければいけないということと,これはなくても診療報酬上の中に,そういう条件で使ってもいいとなっているわけですから,それに対応できるシリンジポンプ式のものがあればそれはそれでよろしいのではないかと思います.これをあえてここに書いておく必要はないのではと思います.もう一つは,新たな看護のあり方について検討する所ということで,バルーン式だけではなくシリンジポンプ式も認めろというような内容は,別の所で検討すべき問題であるかと思いました.その次の「内服薬の場合も」云々という文章なのですが,ここの所はその前に「麻薬を適正に施用できるように支援する」といったようなところで盛り込まれていますので,この部分は要らないのではないのかなと思います.

川村座長
 このシリンジポンプ式のものが出てきたのは,その次の行のセーフティロックを備えた使用が安全にいくので,こういう安全性の高いものを普及させたらどうかというご趣旨で,教えてくださったところがあると思います.ぜひ安全にやるべきですので,その安全性が担保できるやり方を普及させたい,という趣旨を残しておくことはよろしいでしょうか.

藤上委員
 それはいいと思います.

川村座長
 では,そういうことをお願いいたします.

平林委員
 先ほどの柳田委員の話に戻らせていただきたいのですが,確かに,がんの疼痛緩和をするために麻薬を使うことだけが唯一の方法ではないということはそのとおりだと思いますし,この新たな看護のあり方検討会においても,そのことについては合意がされていると思います.それでもなおかつ,看護の技術でもなお疼痛緩和できないという患者さんがいらっしゃるわけです.そういう患者さんに対して,どういう対応を看護として新たにできるのか,ということが今まさに我々が考えていることなのです.そこのところを踏まえて議論をしていきますと,どうしても麻薬というものの施用がどこまで可能なのか,ということを検討せざるを得ないという流れになっているのだろうと思います.さらにもう一言申し上げれば,麻薬を使用することが即,安楽死をイメージさせるというのはいささか短兵急の議論であります.安楽死が違法であるというのは,いわゆる積極的な安楽死という,殺すという意思を持って麻薬等の薬剤を与えた場合に問題になるのであって,痛みを緩和するために麻薬を投与することが,当然に安楽死として違法であるという議論はされていないと思います.そこら辺,正確に議論をしていく必要があるのではないかと思っております.

川越委員
 平林委員が指摘されたことは私もこの間から気になっていたことです.,柳田委員がおっしゃった麻薬を増やすと死につながるのではないかということは,柳田委員個人の意見でしょうか.それとも,医師会の意見として理解をしていいのでしょうか.その辺を教えていただきたいのです.

柳田委員
 どちらもです.

内布委員
 平賀先生に来ていただいて疼痛緩和について講義をしていただいたときに,がんの末期の患者さん,疼痛のある患者さんに麻薬を使用する場合に,それが安楽死につながるようなことはなくて,もしセデーション,鎮静をかけるのであれば麻薬ではない薬を普通は使います.麻薬でセデーションをかけることはやらないし,ガイドラインにもそういうことは絶対に載っていないのです.私も緩和医療学会に属していますけれども,むしろ,麻薬は鎮静用の薬剤としては専門家の間では認識されていない.ですから,川越委員のご質問に対する回答で,医師会または柳田委員が麻薬を鎮静の薬剤としてあげておられること自体が,どうしてなのか私にはよくわからないのです.説明していただければありがたいと思います.

柳田委員
 これは一般に法律を変えないと.その前に,麻薬を使用すること自体を自由に「医師の指示の下に」みたいなことになっていますけれども,先ほど出ましたようにいろいろな問題が出てくるわけです.ですから,簡単にこういうふうに淡々としていいのかということで,この辺りについてはもう一遍議論を深めていただいて,麻薬課のお考え等もお聞きしあれしていただかないと,ここで簡単に決められる問題ではないのではないか.

田村看護課長
 私ども,ここに提案させていただいていますのは,医薬局の麻薬の担当課と協議をした結果を出させていただいていますので,それは踏まえているつもりです.

國井委員
 在宅で麻薬を使うというところも看護師が決定して使うわけではなくて,医師の指示の中で,麻薬はいろいろな飲み方とかタイミングを適切に調整することで非常に有効に効くというか,そういうことがあるので患者さんのQOLを保つには,いろいろな状況を見ながらコントロールすることはすごく大事ですし,在宅で暮らしていてすごく痛みが増強するときがあるのです.そこの不安を適切に対応することで,患者さんが在宅で頑張れるというメリットもあるわけです.その辺の判断は,あくまでも医師との連携や指示の下ですけれども,そういう柔軟性を看護職が持って働けることが在宅医療推進につながるのではないかと思います.

宮武委員
 ここは新たな看護職のあり方に関する検討会ですので,お医者さんのことを云々するのということはこの範囲外ではないのかもしれませんが,在宅医療に対してお医者さんがさらに積極的に取り組むというのは,日本医師会がずっと主張し抱えてこられた不動の大方針です.ので,それをについて書くいたことはで何のも問題もはないと思います. それから,ここでずっと議論をしている中で,私は素人だからではありますが,注射で麻薬を注入するときには危険度も高いかもしれませんが,ずいぶんさまざまな薬が出てきて飲み薬もあれば貼り薬もある.ということですが,それを貼るとき,飲むときに必ずお医者さんがいなければ飲めない,貼れないということでは現場はやっていけない.ということですから,そこのところはお医者さんの指示を受けながら,看護職が適切に指導をしていくということがなければ現場は困るわけです.逆に言えば,在宅医療,特に末期医療についてご熱心な開業医さんたちはむしろそのことを望んでおられる.私の知人,友人の医師たちに聞いてもそう言っています.ですから,これもまた日本医師会の方々がむしろ助けられる行為ものではないかと,私は素人なりにそう思います.自分自身が読んでいて少しだけ注文があるとすれば,7頁の4つ目の○の所で「医師,看護師と薬剤師,患者・家族等の関係者が相互の信頼関係の下に」と書いてありますけれども,現実には,実際にお医者さんの指示を受けながらも看護師が一定程度,麻薬についての投与をやることになると,そのことを患者や家族たちにきちっと説明をして同意を得ていくことが本来は必要なのだろうと思います.この「相互の信頼関係」だけではなくて,今すぐでなくてもいいですけれども「説明と同意を得ながら進めていく」という説明を加え件があったほうが前向きではないかなと思いました.

川村座長
 最後のところは,ともすればケア提供に偏りがちであった議論を,患者さんのご意見もきちんと踏まえるということをご指摘いただいたと思います.これはどこかに入れていただいたほうがいいですね.

柳田委員
 積極的に取り組んでいる方は,かなり積極的に取り組んでおられるわけです.一部にこの間の文章に出てきたような方もおられたのかもしれませんが,在宅医療が始まってから,介護保険制度が始まってから3年になりますので,かなり取り組んできていると思います.そうでないとやっていけないわけですよね.あとのおっしゃった部分はそのとおりではないかと思います.納得のいく医療,説明と同意,インフォームド・コンセントは絶対的に必要であるということです.これは非常に大事なことだと思います.

井部委員
 宮武委員がおっしゃることはいつも感心するのですが,医療の受け手側の視点が重要だなと思いつつ,ときどきそれが弱くなったりするのです.この7頁の4つ目の○につきましては,先ほど柳田委員が在宅療養プロトコールなどは要らないのではないかと,一貫して前回も看護プロトコールについて批判をされたので,一貫して批判をするというスタンスはさすがだなと思っています.そういう意味では,標準的な在宅療養プロトコールというものについて,関係者に提示をするという意味で,この関係者の中に医師,看護師,薬剤師だけではなくて患者や家族も踏まえてこうしたプロトコールを共有することが求められていくと思います.新たな看護のあり方としては医療提供者側だけがプロトコールを知っているのではなくて,これを共有して相互に診療や看護を続けていけるようにするという意味におきまして,標準的な在宅療養プロトコールを持つ,あるいは見直しをするということは極めて重要であると思います.

内布委員
 6頁の下から2つ目ですが,先ほど藤上委員からこれは是とするのか,ガイドラインを是としてここに書いているのかというご指摘がありました.私たちが資料でいただいたのは緩和医療学会がつくっているガイドラインだと思いますが,一つの特定の学会がつくったものということではなくて,これはWHOがつくっているガイドラインということだと思うのです.オリジンはWHOだと思うのです.私はそのように理解をして読んでいたのですが,WHOがつくっているガイドラインを是としないという議論があるのかどうかということもありますが,もしそれの根拠がおありになるようでしたらぜひお伺いしたいのです.

藤上委員
 WHOでつくられたものを基になさっているとおっしゃいましたけれども,その中に盛り込まれていることをすべて是とするのかということをきちんと議論した上で,やるということがいいのではないかと申し上げたのです.ここの検討の場で,そういうことが議論されたわけではないですよね.

内布委員
 ここでそれをするべきですか.

川村座長
 事務局側から準備していただいたところは我が国ではオーソライズされているものとしてお出しいただいたのでしょうか.

田村看護課長
 はい.

藤上委員
 オーソライズされたものとしてお出しになったとすれば,これはきちんとオーソライズされたものである,ということを盛り込んだ文言が必要なのではないかと思います.

川村座長
 わかりました.そこは書き振りを工夫すればいいと思います.

田村看護課長
 はい.

川越委員
 私が答えることではないかもしれないのですが,ガイドラインというのはWHOのことだけを言っているのではなくて,これは第4回のときにがんセンターの平賀さんが来て説明してくださいました.第4回の所をめくっていただいたら平賀先生の資料があるのですが,ここの所に「がん疼痛治療ガイドラインについて」というタイトルで,彼がある意味でレクチャーしてくれたわけです.ですから,ここで挙げているのはこのことを言っているのだと思うのですが,WHOそのものではない.骨子になっているのはWHOがある意味で骨子になっていますけれども,それを基にもっと具体的に,このガイドラインをつくったということを明記されたらいいのではないか.藤上委員もそのことをおっしゃっていたと思うのです.その前に,これが本当にいいのかなということも確かに問題があると思いますけれども,一応,専門家が集まってこれだけのものをつくったのだから,今の中ではかなり信頼していいといいますか,我々が使っていいものではないかなということを感じています.

川村座長
 では,その点を最終報告書に上手に盛り込んでいただけるようにお願いいたします.

藤上委員
 先ほど質問した中にあったと思うのですが,治療開始や種類の選択はもちろん医師の責任なのですが,万が一,在宅において看護師さんたちが支援をする過程の中で,在宅の中で麻薬を施用する中で,何か問題が起きたときは誰がどういう責任を持っているのか,ということを明確にしておくべきではないかなと思ったのです.在宅というのは,薬の服用に関しても,ほとんど患者さんが管理することが前提になっています.患者さん側が管理することが前提になっているところにそういう問題が起きたら,責任はすべて患者さんに行ってしまうようなこともあるのではないかと危惧するのですが,そういったときに誰がどういうような責任をとるべきなのか,とることができるのか,ということをお尋ねしたいのです.

國井委員
 看護職がそういう意味で,責任がとれないということではないですね.

藤上委員
 そういうことではないと思います.

平林委員
 藤上委員のおっしゃることは私もそのとおりだと思います.例えば7頁の3つ目の○の所では「麻薬による治療開始の決定や種類の選択については,医師が責任を持つべき」ということとのカウンターバランスで,その上の所で「看護師等が患者の疼痛の状況に応じて適切な麻薬投与を行う」というふうにあります.これは少し文言を変えるとしても,そういうふうに基本的に患者の疼痛の状況を判断するのは,看護師の責任において行うわけですから,少なくとも,看護師がその疼痛の状況について判断を誤れば,看護師が責任を負うべきだということになります.その医師の責任と看護師の責任それぞれが分担をしてこの問題に対応していくのだ,ということを少し具体的に書き込んでおけば藤上委員がおっしゃったことは解決されるのではないかなと思います.少しまとめてお話をさせていただいたほうがいいのか,実は,私の意見は既に厚生労働省に提出してありますので,それをもって代えるということでもいいのかなと思いますけれども,全体として検討会の議論に書けないといけないと思いますので,簡単に検討してきたことを申し述べさせていただきたいと思います.例えば,6頁の2の「看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進」以下の1番目の○です.これは(1)と(2)に対する総論の立場にあると思うのですが,総論であるにしては6頁の2番目の○の所では,「がん末期患者に対する在宅での疼痛緩和ケア」が少し強調されすぎているのではないか.それはむしろ(1)以下の所で議論をするので,総論であるならば個別的なところは削除して,総論としての位置付けを明確にすべきではないかというのが私の考えです.
 その意味で,6頁のいちばん下にあります「在宅がん末期患者の疼痛緩和ケアを含め…」とあるのも,いま申し上げたところを除けば,これは総論になるだろうと思いますので,そこを削除して上に上げたほうがいいと思います.全体として総論・各論という構成をとるのであればそのほうがいいのではないかなと思っています.それから,先ほどの看護師の責任について言ったほうがいいというのも申し上げたところですし,プロトコールについて,上野委員でしたか井部委員でしたか,おっしゃったようにプロトコールを活用することによって医師と患者,医師と看護師との関係がスムーズにいくだけではなくて,患者あるいは家族を巻き込んだ療養をしていく上でそのプロトコールを提示して,こういうプロトコールに従って処置を行いますよ,ということをすることがこの問題の解決に非常に役立つだろうということは私も全く同感ですので,そこのところを書き加えておくことが必要だろうと思います.そのプロトコールについては前回,私の意見を述べさせていただきましたので今日は省略いたしますが,ぜひそこのところを医師会でも十分にご理解いただいて,少なくとも誤解をされないで,プロトコールというものが何であるか,ということを明確に理解していただいた上で,ご議論していただけるとありがたいと思います.プロトコールが一人歩きをするというのはプロトコールが本来持つ意味と相反するわけですので,そこのところは繰り返し申し上げておきたいと思います.7頁の下から2つ目の○の「さらに医療関係者」云々の所ですが,「麻薬施用者となる診療所」というのは文章が少しおかしいのではないかと思います.麻薬施用者というのは,診療所が麻薬施用者になることはあり得ないわけですから,「麻薬施用者の免許を有する医師が診療に従事する診療所で麻薬診療施設」というふうに言うのが,法律の文言に照らしてみると正確なのかなと思っています.その○の中に2つの・があるのですが,その2つ目の・は○として独立させたほうがいいのではないか.それほど重要な問題を含んでいると思いますので,これは○に格上げをしたほうがいいのではないかなと思っています.前半部分についてはおおよそそんなところでしょうか.細かなところはまたいくつか文言訂正等を含めてあろうかと思いますが,それは既に提出しておりますので省略いたします.

川越委員
 藤上委員の意見を聞きながら感じていたことがあるので,述べさせていただきます.麻薬製剤の廃棄の際の立ち会いは現行でやっているから要らないのではないか,というのはそのとおりだと思います.ただ,ここの議論で問題になったのは24時間の麻薬の出し入れ,廃棄も含めてですが,それをどうするかということを問題として,これは私が出した問題だったと思うのです.そのことによって,実は薬局はこれだけのことをやっている,ということを藤上委員がおっしゃってくださったので安心したところがあるのですが,現実は決してそうなっていないということは私が申し上げたとおりで,この24時間対応をして麻薬製剤の供給を行う,麻薬廃棄の立ち会いをやってくれることになりましたら,我々として医者だけではなくて看護師さんたちもすごくありがたいことですし,ぜひ推進していただきたいと思うのです.ただ,これはかなりの覚悟をしていただかないと,絵に描いた餅になることがあります.現場を踏まえて目標として掲げるのはいいと思うのですが,その辺の議論はお願いしたいと思います.

藤上委員
 24時間対応のことはまた後で申し上げますけれども,麻薬製剤の廃棄のことに関しましては24時間,夜中に廃棄をしなければならないすることはあり得ないわけです.必要なくなってから30日以内にきちんとやりなさい,ということがここに書いてあるわけです.ですから,廃棄のことに関しては24時間対応というのは問題必要ないと思うのですが,薬局の24時間対応というのは,店を24時間開けているということではなくて,夜中でも,店が閉まった後でも対応ができるような体制です.例えば,救急体制などでも当番医というものが整備されてきておりますけれども,そういったような対応もできますし,店を24時間開いているということではなくて,何か起きたときに必ず連絡がとれるような対応をしておけば,「対応できる」ということになると思います.川越委員がご心配になっているような店を24時間開きながらやる,ということではありませんで,そういう対応をすることで,麻薬の供給に24時間対応していくという形を申し上げているのです.

川越委員
 まとめの段階であまり具体的なことを言うと問題になると思うのですが,現実につい最近あったことをお話します.患者さんが夜中の1時に亡くなられたのです.看護師が行って死亡確認をして帰ったわけですけれども,そのときに,余った麻薬をどうするか,ということで看護師さんが診療所に持って帰ってしまったのです.我々の所は院外処方ですから,麻薬を廃棄することもできませんし,麻薬を保管する設備もないのです.そういうことをどういう具合にしたらいいかという中で,この議論が出てきたわけです.私は藤上委員が言っていたことは十分承知しているつもりですし,それで問題は解決しないので取り上げてほしいということで挙げたわけです.

藤上委員
 廃棄のことに関しては,医療機関あるいは薬局が提供するときに必ず患者さんに要らなくなった場合のことをきちんと申し上げているはずなのです.我々薬局側から見れば,なぜこれがいま問題になるのかな,対応しているのに,というのが実際の感覚です.看護師さんたちがポケットに入れて持って帰ってしまうということ自体が問題なので,それとこれとはまた問題が違うと思います.麻薬の廃棄のことに関しては,看護師さんたちにきちんとご理解いただいておけば済むことではないのかなと.看護師さんたちにやっていただくことは,患者さんが亡くなりました,麻薬が余っていますからお願いします,ということを薬局に連絡する.それで済むことではないかと私は思いますけれども,
 現実にそういう対応をしているはずです.

川村座長
 本日のテーマはまだ半分残しておりまして,いまのは薬局の対応がどうなのかということで,新たな看護とは少し違うかと思いますので,大変申し訳ありませんが切らせていただきます.ここのところは藤上委員のご意見と川越委員のご意見をうまく調整できるのかどうかわかりませんが,新たな看護を促進していく上で薬局にどのようにしていただきたいか,そのことがうまく担保されるような書き方にしていただければいいかと思います.

藤上委員
 最後に1つだけよろしいですか.7頁のいちばん下の○の「麻薬の取扱いについては…」という文章ですけれども,これはそれまでに書かれていたことをまとめて書いたような形になっていますので,必要ないのではないかと思うとともに,どうしてもこれをここに載せるということであれば「適正な管理」という所の文言を「麻薬を適正に管理する」ということではなくて,麻薬取締薬法を遵守することが前提になっていることがわかるような文章にしていただきたいと思います.

川村座長
 この点につきましては,医師の指示の範囲内でということと,安全にということ,看護技術を十分に駆使して患者さんのご意見を入れて看護をしていく,というところを踏まえて次の文章を作成していただくことを考えています.では,次の8頁に進みます.よろしくお願いします.

土生企画官
 (「(2)在宅医療を推進するためのその他の関連諸制度の見直し」読み上げ)

川村座長
 前回のときに,例えば「が必要」とか「すべき」というふうに体言で止まっている所は,「である」というような動詞を付けることで皆さんのご同意を得ておりますので,それを踏まえた上でご議論いただきたいと思います.

柳田委員
 8頁の「在宅で死を迎える患者への対応」の1番目の○の所で,「死亡診断書に係る医師法解釈が十分に周知されていない」とは,これが医師に対するものであれば非常に僭越なことでありまして,看護師に対するものであれば不要だと思いますので削除をお願いしたい.9頁の1番目の○については私の発言だったと思います.もしそういうことがあるならば直ちにそれを徹底すべきだということですが,これは医師に関することですから医師会がやるべきだと言っただけでありまして,報告書に書くべきことではないということです.これは削除していただきたい.9頁の2番目の○の後段の部分の「医師の判断に沿って…望ましい」という文章がありますけれども,医師の判断,指示によって処置すべきであるのは当然ですので,「指示によって」ということを入れていただきたい.3番目の○につきましては,「医師法の解釈の周知,理解の促進が必要」とありますが,看護師がその医師による死亡確認の前に死後処置をしてはいけないことを徹底すればよいことでありまして,逆に,死亡確認前にそういう処置をすれば異状死体になりますので,十分に注意する必要があるのではないかということです.それから,死亡診断書や死体検案書等を看護師が熟知していることが必要なのではなくて,死期が近い患者さんを診ているときは特に,医師との連携を密にする必要があるということを強調すべきではないかということで,この書き方を考えていただきたい.

川村座長
 医師との指示関係をはっきりすることと,医師が何々をするということは看護のあり方に関する報告書としては不適当である,ということなどを基本的な考えとしてきちんと盛り込むべきである,誤解されないように,ということだと伺いました.いかがでしょうか.

川越委員
 柳田委員のおっしゃったことはある意味でわかるし,ある意味ではもう少しやり方があるのではないかと思っています.今までの一連の柳田委員の発言は,これは医師に関係することだからそれに口を出すのは僭越だという,そういう表現がいいのかどうかわかりませんけれども,専権事項といいますか,医師に関係することだからここで決めることではない,触れることではないということを一貫しておっしゃっていると思うのですが,そういうやり方では新たな看護は語れないということが確認されてきていると思うのです.これは決して,医師にこれをやりなさいとかということを強要しているわけではない,あるいは何かを決めているということではない.確かに,公文書であることは間違いないわけですが,新たな看護を考える場合には,看護だけを考えることが実際問題難しくなってできなくなっていることがわかってきている,そういう時代に私たちはあると思うのです.かといって,柳田委員の意見もよくわかります.これを消していくことは簡単なのですが,折角ここで議論をしたことだし,何らかの良い形で残していく努力をこの委員会の中ですべきではないかと思います.一つ,この間の最後の辺りで議論があったように,報告書の中に前文を付けるという議論もありましたけれども,その前文の中に新たな看護を考えるにあたっては看護師の仕事だけを見直すということではなくて,関連職種との仕事の共同ということをどうしても考えていかなければいけない.これはこの会から逸脱したことになるかもしれないけれども,そういうものに関しては「関連する所で十分に話し合っていただきたい」ということを入れておくことによって,医師会の先生方が心配されていることがかなり緩和されるのではないかと思っております.これは薬剤師の方の心配も同じだと思うのです.ですから,どういう形にするかわかりませんけれども,関連した職種に対する配慮を持った表現をぜひ入れていただきたいと思います.
 それから,先ほど出ていました患者さんや家族の方が抜けているというのも,非常に大事な指摘だったと思いますので,そういうことも含めたことを前文で.実は,読んでいくといろいろ出ているのですが,そういう基本的な姿勢でやっているのだということを考えたらいいのではないかという気がいたしました.

柳田委員
 もちろん,何もかも消したがっているわけではないのであって,医師と看護師がより密接に連携していきましょう,ということは基本に出していただきたいということです.医師の判断,処方の分野に新たな看護という名の下に,少しあれが入っている部分もあるかなということで申し上げているので,報告書としては全体的に内容が細かすぎるような気がしますので,方向性を示すにとどめるべきだと考えています.全体を眺めてみますと,この問題は訪問看護ステーションの看護師と,かかりつけ医との連携が密ではないということから生じたものですから.それで,その点の原因をもっと究明すべきだと思いますし,私どものお世話する部分からではなくて,患者さんの視点から本当にその患者さんのためになっているのか,ということを老婆心ながら危惧しているということです.

平林委員
 柳田委員のお話を聞いてとても安心したのですが,もしそうであるとすると,柳田委員からそういう医師と看護師の連携をより密にするために医師側としてはこういうことをしていく,それが今後の新たな看護のあり方に結び付いていくのだ,というところを出していただく.医師の問題はすべてここから削除ということではなくて,医師の立場で新たな看護のあり方に対してこういう立場をとるのだ,ということをもう少し具体的に出していただくとより内容のあるフルーツフルな議論ができるのではないかと.

柳田委員
 表現が少しおかしいあれの部分がありますので,その辺を考えていただかないと.そのような次元で物を書かれることは,公文書としてちょっとおかしくなるのではないかと思うのです.

平林委員
 公文書であるからこそ,今後の新たな看護師のあり方のみならず,医療全体のあり方をきちんと提示することがこの検討会の使命だろうと思っていますので,これを削れと言うだけではなくて,こう変えろという積極的なご意見を出していただく.これは私が言うことではないのかもしれませんが,ほかの委員の方々もそう思っていらっしゃると思うので,私はあまり遠慮をしないものですから言ってしまうのですが,私としてはそこを柳田先生にお願いしたいということです.それから,報告書が細かすぎるのではないかというお話でしたが,事柄の性質上,在宅医療とか訪問看護という,現実に問題になっているテーマ,そこで悩んでいる問題を解決しようと思うと,どうしても細かくならざるを得ない.それをしないと,それこそ報告書が一人歩きをして何を言っているのかよくわからない,それを皆さんが勝手に解釈していく,ということではこの検討会を持った意味がないだろうと思います.もちろん,細かすぎることは気をつけなければいけないと思いますが,ある程度きちんとアイテムを立てた上で議論をしていくことが,実際に役に立つ検討会の報告書になると思います.その点についてもご留意をいただければありがたいと思います.

柳田委員
 言葉の表現とか,そういうことでずいぶんまた違ってくるのではないかと思いますし,法的な意味ももちろん押さえなければいけませんが,その辺りは十分注意をしていただきたいと.

○藤上委員
 いまお2人のお話をお聞きして思ったのですが,報告書の中に書かれることは何が問題で,それを解決するためにはどうすればいいのか,また,どのような反対意見があったのかということも含めて表現を工夫して書いていただけるといいのかなと.ここで検討することは多数決で決まるわけではありませんので,少数意見であったとしても理にかなう反対意見があったとするならば,それもきちんと書いておくべきだろうと思うのです.

川村座長
 貴重なご意見だと思います.

西澤委員
 柳田委員がおっしゃったことも理解できます.本当だと思うのですが,この委員会は医師のあり方を言って議論しているのではないから,もしもこれは医師のあり方に言及している,医師は新たにこういうことをすべきだということが書いててるのは問題だと.あるのであれば表現が違うかなと.ただ,私としては,もう片方で心配しているのはように,全くそこを抜いてしまってうと,看護師のあり方だけで書かれるとでどんどん行ってしまうと,場合によっては何でも看護師ができるようになる的なこともあるのかなと.とすれば,明らかなに医師の役割がここまでしているのだということを明記することによって,看護師のあり方をは今回新たに考えるけれどもここまでですよという縛りも逆にあるかなと.そういう意味では,日本医師会が懸念していることを払拭きちっとするためにも,医師はこういうことをしている,という辺りの織り込みは必要ではないかなと思っています.もう一つ,先ほどインフォームド・コンセントのところが抜けていると言われたときは確かにそうだなと思ったのですが,サラっと読んだときに7頁の4つ目の○の所で医師,看護師,薬剤師,患者,家族が同じラインに並んで相互の信頼関係と言っているのは,ある意味でインフォームド・コンセントは当然なことであると.そこを一段上って更に,これは決して医療提供側だけが「こうしますよ」と説明をして同意を得るのではなくて,患者さん本人,家族が一緒になってやって行っていくのだということが読み取れたような気がしましたので,もしインフォームド・コンセントを書くのであれば,逆にそこのところも片方で強調していただければ,ある意味で本当の主役である患者さん,家族の方が主体になって協同でやっていくという辺りがは強調されるのでしていただければありがたいなと思います.

内布委員
 別のことなのですが,新たな看護のあり方の将来を提言していくことが1つと,在宅療養を進めていくということが1つと,2つが同時に議論されているわけです.そういう意味では,在宅に関してはかなり議論が進んできて内容が充実して入ってきたのだと思うのですが,新たな看護のほうは,そこはできないとか,そこも駄目とか言われてだんだんできなくなってきています.題名は新たな看護なのですが,新たな看護の方向性という点では,例えば7頁の下から2つ目の○の1つ目の・で「看護師については」とありますが,これを大きく取り上げていく.日本看護協会の専門看護師とか認定看護師という名前を出すのは適切でないのであれば違う表現で結構ですので,ジェネラルな教育の上にスペシャリストとしての教育を受け,それのコースも既につくられて育っている専門性を付けてきている人たちが現場で非常に活躍しているわけですから,その人たちについて活用していく方向をもう少し分量を取って,これに関しては項を上げて書いていただくことがとても必要です.これだと在宅療養の進め方が8割の話の報告書になってしまうので,むしろ,半分ぐらいは看護師の専門性について,もう少し書いていく必要があると思うのです.

川越委員
 9頁の2つ目の○の所です.医師の死亡確認,死亡診断の前にご遺体に触っていいという,あるいは死後のそういうケアを行ってもいいということです.そういう意味で,こういうことを謳ったことで訪問看護師さんたちが喜ぶことではないかと思うのです.ただ,こういう表現だけでいいのか.死亡診断のときには,継続中に診ていた患者,24時間以内に診ている患者さんに関しては,死亡診察をしないで死亡診断書を発行してよいという通達があるわけですけれども,そういうこととの兼ね合いで医師がオーケーと言えば何でもいいのかなと.その辺のことはこれでいいのかなということを心配したのですが,よろしいのでしょうか.

上野委員
 以前に私が報告をさせていただいたときに,訪問看護ステーションはターミナルイムランが近くなってくると,必ず医師と連携をとって医師に症状報告をして,医師が前日に訪問診療をしているということがあった場合に,こういうことがいいのではないかというお願いをしたと思うのですが,そういう形で付け加えていただくといいのではないでしょうか.

川村座長
 川越委員のご意見は,これは事実上の問題ではなくて,法的にこういう場合にはということをきちんと書き込んだほうがよろしいということですね.

川越委員
 つまり,基本的にご遺体に触っていいというのは医師の死亡診断があった上でということになります.ですから,もしこのことを書くとしたら,24時間以内に医師が診察していてという.

川村座長
 その辺は,この前,かなりいろいろな場合を説明していただきましたので,それに則ってできるのはこそういう場合なのだという確認の下に,それが書かれていると思います.その条件をもう一度,ここにリフレインして載せておくということですね.

川越委員
 そうです.

川村座長
 それはここで文言を考えても,もう決まりきっていることになると思いますので,うまく入れていただいて誤解されないようにお願いしたいと思います.そのほかにはいかがでしょうか.

平林委員
 そこの点は私が非常にこだわったところなので,一言申し上げる必要があろうかなと思います.前回も申し上げましたように,私の意見と厚生労働省の意見は必ずしも一致していないだろうと思うのですが,こういう検討会ですから,基本的には厚生労働省の解釈の下で検討をしていかないと,話が進んでいかないだろうと思います.川越委員がおっしゃった先ほどの医師法20条の但書の問題,そこのところを厚生労働省はどのように考えているのだと.こういう考え方の下で新たな看護のあり方,在宅医療のあり方を考えてほしいという基本的なフレームワークを出していただいたほうが,議論としてはすっきりすると思いますので,その点を一つお願いできればと思います.

土生企画官
 解釈のところの説明だけをさせていただきますけれども,20条で「但し診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書についてはその限りではない」ということですので,先ほど川越委員からご指摘がありましたように,受診後24時間経っていない場合に限ることが前提と理解しております.ですから,そのことを明記すべきということであれば,そういう形で書かせていただければと思います.

平林委員
 それと同時に,もう一つ川越委員がおっしゃったのは,死後診察をしなくても死亡診断書を交付することができるということの意味です.私がこだわったのは,死亡の確認をしないでもいいのか悪いのかということにこだわったので,そこら辺について,厚生労働省としての行政解釈を示していただくとありがたいなと思うのです.

土生企画官
 もちろん,診断書を書くわけですから,何らかの方法で死亡している事実を当然のことながら把握するわけですけれども,そのことは直ちに自らが赴いて死後診察をする必要はないということで解しているわけです.ただ,それができるからといってそうすべきだということではない,ということもこの検討会で相当ご指摘をいただいたと思っておりますので,書くかどうかは別として,求めに応じて駆けつけるべきだということも法律を超えた対応といいますか,モラルといいますか,そういう面で当然だと思いますし,但書があるからといってそれを積極的に進めるということではないという,そういう頭の整理でおります.

平林委員
 先ほど言ったような理由でこだわりませんので,そういう解釈でこの検討会として議論をしていくことが前提になると思うのです.ただ,私として少し反省すべきことは,従来の議論がややもすると医師法21条但書の解釈に少しこだわりすぎてしまったことは非常に反省をしております.しかし,結論としては医者がきちんと行くべきだという結論には変わりないのですが,それは医師法20条の但書をどう解釈するかという問題よりも,在宅医療を引き受けた医師の責任,法律的に言えば契約を結んでいるわけですから,在宅医療を行うという契約を結んだ医師の契約上の義務とでも言いましょうか,その問題として求めがあったときには必ず行かなければならないだろうと.それが在宅医療の本来のあり方だろうと解釈しています.その観点から見ると,医師法20条但書をどのように解釈しようとも,この9頁のいちばん上にありますように,医師としては要請があれば必ず行かなければならないことは医師法20条の解釈とは別にして,当然医師の義務として発生する問題だろうということは一つ考えるべきだと思っています.そういうふうに考えていくと,そして,いまの厚生労働省の解釈を前提にして考えていくと,ここにありますように24時間以内というのは,この報告書の中に書き込まなければいけないと思いますが,どうしても主治医が行けない場合があるだろうと.その場合に考えるべきことは,これは前回か前々回かに申し上げたと思いますが,主治医ではなくて他の医師が駆けつけるシステムをつくれないだろうか,ということが一つ考えられ得る解決策です.それも駄目で,どうしてもやむを得ない状況があった場合に,少なくともこの9頁の2つめの○の24時間以内ということを踏まえた上で,3行目にある「看護師等が医師に連絡をとって状況を報告し」という,看護師について1つの限定を付けるべきではないか.即ち,その看護師というのはあくまでも患者さんが死亡している過程,ダイイングプロセスに立ち会っている看護師さんで,通常の経過の中で患者さんが死亡したということを責任もって判断できる.あるいはそのことについて,どこをチェックするかということについて医師が事前に指示を出している.そういうかなり極めて限定した例外的な場合に限ってのみであるならば,医師法20条についての厚生労働省の見解に従う限りにおいては,そういう条件を付してこれを認めることができるのではないか.私個人としてそれに賛成か反対かということは置くとして,検討会の議論としてはそういうような形で,これは例外中の例外なのだ,ということを明確にした上で,報告書を書いていただけるとありがたいなと思っています.

川村座長
 何かご意見がありますか.それでは,それも一つ踏まえた形で最終案をつくっていただきたいと思います.

藤上委員
 今のところではありませんけれども,小さなことなのですが,9頁のいちばん最後に「地域によっては医療機器・衛生材料」云々という文章があります.この供給体制の問題は地域差の問題ということでしたか.

川村座長
 地域の差の問題と,医療機関の対応の話と2種類あったかと思います.

藤上委員
 地域差というのはどういうところでしたでしょうか.

川村座長
 山間へき地というか,そういうようなお話だったと思います.

藤上委員
 わかりました.

川越委員
 10頁の最後の在宅における注射の取扱いの件ですけれども,これはこういう表現でよろしいのでしょうか.たしか,議論の中では看護師が注射をしているけれども,それに対して診療報酬上の保障がないということに不満があったように思いますし,一方ではそれは訪問看護料の中に含まれているのだ,という意見もあったように理解していたのですが,これはこういう表現でよろしいのですね.

國井委員
 看護師の技術の評価というところで,別なところで検討すべきというような意見だったような気がするのです.私はそういうことも必要だということを,ここに盛り込んでもらえばいいかなと考えています.

川村座長
 ここに盛り込みたいというご意見ですね.

國井委員
 はい.

内布委員
 これは主語は「医師は」と書いてあるのですが,現実に自分が出向いて行っていない場合は,処方料というか,薬剤の料金とか処方料とか,そういうものは取れると思うのですが,取れないのですか.

田村看護課長
 現在の診療報酬の体系ではそれもできない.ですから,もし医師がなさるとすれば持ち出しという形になっています.

内布委員
 それで主語が「医師は」になっているのですね.

田村看護課長
 そうです.

川越委員
 田村課長にお伺いしたいのですが,たしか,この間のときの話の中で,いままでは例えば鉄剤を注射したときは,再診療プラス注射料が取れるけれども,そこが少し変わって,例えば1週間分の鉄剤の処方といいますか,請求をして取れるようになったと.私の理解の間違いかもしれませんけれども,再診療は1回しか取れないけれども,使った7日分の注射薬については一括して請求できるというような感じになったと,そういう理解をしたのですが間違いでしょうか.

土生企画官
 第8回の検討会の資料−3ですが,「在宅における注射の取扱い」ということです.表紙をめくっていただきますと,この検討会の報告で静脈注射の実施は看護師等が医師の下にできるということですが,在宅の場合,看護師が訪問した場合の診療報酬の請求はどうかということが問題になっているわけです.下に簡単な図がありますけれども,1日目は医師が行って診察をして注射をする.2日目,3日目に看護師が単独で行くのはどうかということが問題です.2頁ですが,これは保険局医療課の通知です.ずっと書いてありまして,最後に「往診して治療をすべきものである」ということですので,医師が往診をすることが前提になっていると.次の頁もそうですが,結論として「保険医が往診して治療をすべき」ということになっているわけです.もちろん,最初に診察するのは当然医師ですが,その指示の下に看護師が訪問してできるようにすべきではないかということです.もう一つ,議論としましてはそれを訪問看護の側で評価すべきかどうかという議論がありましたが,これは両論ありましたし,中医協で決定すべきというようなご議論であったと思います.そういったご議論を踏まえて医療課と相談しまして,現行そういうことができないようになっていることを指摘した上で,「これを見直すべき」という表現にしているのが事務局側の考え方です.

川越委員
 よく理解できなかったのですが,端的に言うと,そういう行ってないものに関して請求はできませんよ,ということですか.

土生企画官
 今は看護師は行けないし,請求は当然できないということです.

川越委員
 医師もできないのですか.

土生企画官
 医師は往診してできます.

川越委員
 看護師さんは静脈注射をやってもいいということになっているけれども,実際に在宅で注射をしようと思ったら,医師が行かないとできないということになると.

土生企画官
 それを見直すべきだというご提言をいただきたいということです.

川越委員
 わかりました.

平林委員
 今のは2つの問題があるわけです.最初の問題がこの○の所に出ていて,今,川越委員が確認されたような議論だったと思うのですが,厚生労働省の方からは,それはもともと中医協でやることだからここでは書かないのだと.もちろん,議論をするのは中医協で議論をするのでしょうが,新たな看護のあり方の検討会としては,そのことも中医協できちんと議論をしてほしいという意思表示をする意味で,注射等の技術料について診療報酬上,一定の評価がされることが望ましいとか,必要であるとか,そういうような一文を入れておくことは一向に差し支えないのではないかなと思っております.

川村座長
 西澤委員,今日はご発言が少なかったのですが,よろしいでしょうか.宮武委員も1回だけでしたが.

藤上委員
 この検討会の結果は今後どういう位置付けになるのでしょうか.

田村看護課長
 報告書をまとめていただいた後は,それぞれ関係する団体等には普及をしていただくということがあります.いくつかは宿題として残りますので,場合によっては検討会をさらにつくる.マニュアル作成が必要であるということであれば,例えば,プロトコールの見直しが必要であるということであれば,そうした研究班を立ち上げるとか,あるいは教育の問題に関しての検討会をということになろうかと思います.

井部委員
 報告書は前文が必要だという何人かの委員からの意見もありましたけれども,総括みたいなものが後ろにも付くのでしょうか.「見直すべき」で終わるのは,何となく報告書としては格調が高くないなと思います.

田村看護課長
 それも考えたいと思いますが,最後に書いておくべきご指摘がありましたら,ご意見をいただければと思います.

井部委員
 新たな看護のあり方を検討するにあたって,どういうスタンスでこの会が開かれたかということを前書きで述べるわけですので,後書きではそれについてどうだったか,新たな看護はこういう点なのだ,という要点をまとめていただくとよろしいのではないかと思います.

柳田委員
 余計なことですけれども,医師法23条に保健指導を行う義務というのがありまして「医師は診療をしたときは,本人またはその保護者に対し療養の方法,その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない」となっておりまして,必ずしも療養の方法を指示してはいけないということではないということを付け加えておきます.

平林委員
 9頁の上から3つ目の○の「また,患者の死亡に際しての死亡診断書」云々という所が,少し概括的に書きすぎているように思えます.もう少し具体的に書いておいたほうが報告書を読んだ人にはわかりやすいだろうと思いますので,これはまた少しご検討願えればと思います.

川村座長
 場合によっては,今ご指摘のあった○の部分をきちんと書いて,前のものと順番を変えるという方法もあるかもしれません.その辺は,これで何かを決めてしまうということではありませんので,まだ検討会は開催いたしますので,今日のご意見と前回のものと一緒にしてまとめの原案をつくっていただければ幸いです.本日の検討会はここで終わりにしたいと思いますが,次回のことについて事務局からお話がありますか.

勝又補佐
 次回の第12回の検討会は,3月13日木曜日10時30分から経済産業省において開催させていただきたいと思います.どうぞよろしくお願いいたします.

20030313 第12回 新たな看護のあり方に関する検討会議事録
川村座長
 それでは,前々回と前回と2回に分けて報告書の素案を基にして議論をしていただきまして,たくさんのご意見をいただきました.それらを踏まえまして事務局と私とでこの案を作成いたしましたので,本日はこれに基づいて議論をしていただきたいと思います.それでは事務局から前回の素案,それからの主な変更点についてご説明をお願いいたします.

土生企画官
 資料に沿いまして,2回の議論,その後ファックスとメール等でいただいたご意見を踏まえて,修正した報告書(案)について,変更した点を中心に説明いたします. 1頁の「はじめに」という文章全体を追加しております.その構成は,第1段落は第1回の検討会の開催,発足に至った趣旨を簡潔にまとめたものです.第2段落は,昨年の9月にまとめた中間まとめについて,ごく簡潔にその内容を記述したものです.第3段落はその後の審議の経過ということで,主な検討事項を中心に整理しております.最後の段落は,議論の中で看護のあり方を検討する上で医師,薬剤師,その他の医療関係職種について,どういうことで議論をし,どういうことを報告書に盛り込んだのかということを「はじめに」の中に書いたらどうかというご議論があったと思います.そうした議論に沿いまして,現在の医療を提供する上では医療関係職種が協同することは不可欠であることから,看護のあり方を検討する過程で,職種との役割分担や連携のあり方についても議論を行いました.そうした議論について看護のあり方を示すために必要な範囲内において,報告書に記載することにしたという書き方で案を作りました. 2頁から先は素案にもあった部分ですので,変わった所だけを説明いたします.3つ目の○ですが,「しかしながら」となっておりましたが,少し柔らげた表現をということで,「それにもかかわらず」となっております.次の○ですが,療養上の世話についての法律的な整理をここに記述しておりましたが,その部分は4頁にまとめて書くということで,ここには「診療の補助のみならず,療養上の世話についても」としております.3頁の2つ目の○ですが,諸外国の事情について書くべきかどうか,あるいは書き足したらどうかということでしたが,この案では諸外国の事情については,「それぞれの医療制度等の違いを踏まえて考える必要があるが」というような留意点を記載するということで,記述としては残す案にしております. (2)の2つ目の○ですが,「看護師等は,…療養生活支援の専門家として,…適切な看護判断を行い,それを実践していく…」という記述がありましたが,その次に,「特に慢性疾患の患者や高齢者の増加を踏まえると,従来以上に患者の自己回復力を引き出し,支える働きかけや,合併症等を予防するためのかかわりを強化するなどの必要性が高まっている」という具体的な記述を追加しております.同じ頁のいちばん下の「医師の指示」の所の書き方ですが,医師がなるべく主語にならないようにということで書きぶりを若干変更しております.4頁の同じ○の2つ目の段落の「この場合」の所ですが,「看護の立場からの判断を医師,薬剤師等に適切に伝える」という所で終わっておりましたが,ご議論がありましたので,「伝え,より良いケアを行っていくことが必要である」という文章にしております.その2つ下の「療養上の世話を行う場合についても」という所ですが,先ほど2頁でご説明した記述をここに合わせて書くということで,「療養上の世話を行う場合についても,法的には医師の指示を必要としないとしても,状況に応じて医学的な知識に基づく判断が必要となる場合もあり」ということで,法的な話と実際上の話を合わせて書いております. 同じ頁の下から2つ目の○ですが,「疼痛,呼吸困難,発熱」と例示の順番を変えております.その文章の最後が「安楽を確保」となっておりますが,「入念的に安全や安楽を確保することが重要である」としております.4頁から5頁にかけての○ですが,ここもいろいろな意見をいただいた所です.処方と指示を入念的に書くことと,指示の中身として,「医薬品等の量の増減が具体的にある場合」という書きぶりになっております.医薬品等の使用方法について,「患者の症状に応じた医薬品等の量の増減を可能にする医師の指示の範囲内において」ということで,医師の指示のほうに量の増減を書きまして,看護師等については「患者の症状を観察した看護師等が症状に応じて,適切な服薬を支援することが望ましい」という書き方で整理をしております. 次の○の「自律性」についてご議論がありました.医師等との適切な連携というのは当然の前提であるということで,文章として追加しております.次の○の「十分にコミュニケーションを行い」というあとの所で,「治療の内容や選択」となっておりますが,ここでは「看護ケアの内容」を持ってきまして「治療,検査等についても当然説明が必要になる場面もありますので,例示としては入れております.ただし,選択というのは全体的な文章の最後に「患者・家族が医療を理解し,より良い選択ができるように支援をする」ということで,前の文章の「選択」というのは落としております.代弁者としての役割ということも重要だということで,「ときには代弁する役割を担うなど」という文章を追加しております. 6頁の・の2つ目の「看護基礎教育の期間の延長」となっておりますが,期間の問題だけではないのではないかというご意見もありました.「看護基礎教育を充実するとともに,その期間を延長していく」ということです.「専門看護師等の要請」の次の○の「特定のセイドをさせないような配慮ということで,より専門的な知識・技術を持っている専門看護師の要請の強化や普及」ということで,一般的な用語としての書きぶりにしております.2つ下の○ですが,「看護関係者の交流・連携」ですが,まず2つのことがあるということで,看護教育の内容や水準と臨床看護が乖離しないようにということと,「施設における看護と訪問看護との交流」という2つの趣旨が出るようにすることを書いたつもりです.なおかつ,施設の中に医療機関,福祉施設等,両方があるということです.そういうことを行っていくための仕組みをつくっていくことが必要だという書きぶりに修正しております.7頁の1つ目の○ですが,プロトコールについては「個々の患者の状態に応じて適切な判断が重要であることに留意しつつ」ということで,留意点を追加しました.下の2以降ですが,最初の2つの○は平林委員から討論としてふさわしいものになるようにというご意見を頂戴いたしましたので,そのご趣旨にそって修正したつもりです.なおかつ1つ目の○の中で「医師がさらに積極的に取り組む」という記述がありますが,「さらに」ということをあえて言う必要はないということで,削除しております. 7頁のいちばん下の○ですが,「麻薬を使用するだけではなくて,看護技術を駆使した疼痛の緩和と生活の質の向上が重要」ということで,1つ○を起こしてそれを記述しております.8頁の具体的な内容ということで,この部分は内布委員からもいろいろご意見をいただきまして,新たに書き加えた部分です.「即ち,患者・家族と十分にコミュニケーションを行い,患者・家族が症状やその緩和方法を理解し,より良い選択ができるよう支援するとともに,疼痛症状の専門的な観察を踏まえ,体位の工夫,マッサージ,リラクゼーション,積極的傾聴などを通じた身体的,精神的・精神的なケアなど,様々な看護ケアを提供すべきである.併せて家族との積極的な関りや,福祉サービス,ボランティアなどとの連携を通じて,家族のサポートの中で患者が積極的な人生を生き抜く力や意欲を持ち続け,生活の質を向上していくことができるよう,総合的な支援を行うべきである」ということで,その必要性と具体的な中身について相当書き込みを行っております. その一方で,「麻薬製剤を適正に使用した疼痛緩和」というものも進めていくということで整理しております.次の○の「がん疼痛緩和に関する専門的知識と技術を有する護師の育成の拡大」ですが,これは非常に重要な事項であるということで,○を起こして,かつ場所も前のほうに移しております. その下のガイドラインの関係ですが,出典を記載することと,なおかつこの検討会で必ずしもこれがオーソライズされたわけではないということで,そうしたガイドラインの理解を進めていくことが必要であるという書きぶりに修正しております.その下の○の「麻薬の適正管理」と書いてありますが,「明確に関連法規を引用して,法規を遵守しつつ」と変更しております.麻薬の指示について,前回の素案では「疼痛の増悪時の麻薬の投与量などについての具体的な指示」となっておりましたが,レスキュードーズを指すということを具体的に書いたほうがいいのではないか,あるいは看護師等の役割というのは服薬の支援ではないかということで,「医師による麻薬製剤への種類や量,レスキュードーズなどについての具体的な指示のもと,その範囲内で看護師等が患者の疼痛の状況に応じて適切な服薬等の支援を行う」と修正しております. 9頁の2つ目の文章で,「麻薬による治療開始の決定や種類の選択は医師の責任」ということですが,一方看護師の責任についても記述するということで,患者の疼痛の状況等の判断は,看護師等の責任において行われるべきものである」ということです.次の○の麻薬の適正管理については,前の文章と同じく「関連法規を引用してそれを遵守する」としております.そこの1つ目の・の「安全性の確保が重要」ということで,「安全性を確保するため」としております.一定のシリンジポンプ式の一定のものの推奨にならないようにということで,バルーン式,ディスポーザブルタイプのものと並列的に記載した上で,安全な構造なものに限られているということを注釈として書いております.次の○の下のほうですが,医療機関の個別性ということが少しわかりにくいということですが,前に一度書いておりますので「前述の」ということで,そこではあえて長々と説明はしておりません.9頁の下の「24時間対応」と「立ち会いの徹底」という非常に短い文章になっていてわかりにくいということで,趣旨を明確にするために供給については開局時間以外の緊急時の要請に対応できる体制整備を徹底するということしております.廃棄については薬局に返却する,薬剤師の立ち会いを求めるという2つの方法があるということで,それらを適切に行う必要があることを周知するという書き方にしております.10頁の(1)の「在宅で死を迎える患者への対応」ということですが,これは患者・家族を含めた医師,看護師等と連携することが非常に重要だということが前提にあるということで,その連携の重要性をいちばん最初に書きまして,その次の○で「在宅で患者が死亡した際の対応についても同様である」としております.いちばん下の○ですが,「死亡診断書の取り扱い」と書くよりも具体的にどうなっているかを書いたほうがいいということで,「受診後24時間を超えて死亡した場合でも云々」ということで,そういう場合は医師は死亡診断書を発行できることを看護師等も理解しておくことが必要である」としております.11頁のいちばん上の2つの○です.まず最初の○ですが,「患者の死亡前24時間以内に医師が診察し」等の要件はきちんと書くべきだというご意見がありましたので,論点整理にあった文章に戻しております.看護師等も死に立ち会う必要があるということで,「患者の死に立ち会った看護師等が」というふうに変えております.なおかつ下の○と併せまして,これは非常に例外中の例外だということで,語尾が「望ましい」となっておりますが,「そういうことも考慮する必要がある」と書き直しております.次の○も同様の趣旨で,「これはあくまでやむを得ない場合における家族などへの配慮として行われるものである」ということで,例外であるという趣旨を出すために書いたつもりです.団体がこうした対応を徹底すべきだという記述は,あえてここで書く必要はないということですので,削除しております.そのほか11頁は大きな変更はありません. 12頁の検討事項の中に「訪問看護師等が行う場合の評価のあり方」も当然入りますので,「訪問看護師士等が行う場合の評価のあり方について検討」と書いております.現実的には中医協で決めていただく事項ですので,「そうした検討が行われることが望まれる」という書きぶりに,所管課とも相談しまして修正しております.13頁に「おわりに」を追加しました.どのように書くかこちらでも頭を悩ませましたが,この案では患者の生活の向上をするためのケアを提供することが,医療提供体制全般の改革の中でも極めて重要であることを書きまして,「そのため看護師等が療養生活支援の専門家として,適切な看護判断を実践していくことが求められている」と簡潔に要旨を書いたつもりです.さらにまだ残された分野もあるということで,この部分は國井委員からもご意見をいただきましたが,ご意見も踏まえまして「当検討会は国民が安心して,より質の高い生活を送ることができる社会の実現に向けて,この報告書で提言した望ましい看護ケアが在宅医療を含めた分野で,普及,実現していくことはもちろん,さらに看護師等が福祉施設,学校,保険の領域の分野でも,その機能と役割をより積極的に果たしていくことを期待するものである」ということで終えてはどうかということです.説明は以上です.

柳田委員
 2番目の○の所で,「また,療養上の世話を行う場合についても,法的には医師の指示を必要としないとしても」とありますが,「医師の指示を必要としないという見解があるが」という文章がいいのではないかと思います.いちばん最後は「専門師を……いくことが重要である」あるいは「……ていくことが求められている」とか,そういう表現がごろ合わせとしてはいいのかなと思います.それから5頁の上の○の2ですが,「インフォームド・コンセントを前提に,看護師等は患者・家族と十分なコミュニケーションを行い,看護,ケアの内容,治療,検査」ですが,治療,検査はいいとしても,治療となりますと主治医との見解が違ったりして難しいことになり,語解を招く弊が出てる可能性もあるのではないかということを考えますと,「看護,ケアの内容等」としたほうがよりいいのではないかと思います.「より良い選択ができるよう支援することが望ましい」としたほうがいいのではないかと思います.「治療,検査」を取ったほうがあとで語弊がないのかなと.それから6頁です.・の2番目の「また,看護師等として学ぶべき知識・技術の増大とあわせて」でも「増大において」でもどちらでもいいと思います.○の1番目ですが,「専門的な知識・技能を持っている専門看護師」,「専門看護師」という言葉がいるのでしょうか.1つの固有名詞みたいなものが出てきたほうがいいのか.「専門的な看護師」のほうがいいかと思います.7頁のいちばん上の「クリティカルパスや在宅療養患者を支援するための看護プロトコールの普及を図るべきである」よりも「必要がある」というほうが妥当かなと思います.○の下の「標準的な看護プロトコールなどの開発を進めていくことを考慮する必要があろう」という文章にしたらどうかと思います.9頁の1番目の○,「医師と看護師等の実際の連携のあり方は,資格経験,専門性」とありますが,この「資格」というのは資格によって差別されるべきではないと思いますので,この「資格」というのは取ったほうがいいのではないかと思います.13頁の終わりに「高齢化社会」とありますが,「高齢社会」でなくていいですね.今後ここもどうなるかはわかりませんが.以上です.

川村座長
 してはいますが,もう一度出ましたので時間をいただいて前回のところがあれば.療養上の世話というものの,法律行政の上の解釈について説明してというものをいただきたいたと思います.

土生企画官
 資料の最初に議事次第等がありまして,資料1の「生活の援助と医師の指示について」の次の資料1の1で保助看法の条文の抜粋があります.第5条で「療養上の世話または診療の補助」ということで,看護師の業務が記載されています.第37条において,「看護師等は主治医等の指示があった場合を除くほか,診療機械を使用し,医薬品を補充し」ということで,「医師等が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない」ということです.この「行為」ですが,これは医師が行うべき行為で,それは医師の指示がなければならないということです.これは第5条で申し上げますと,診療の補助に当たると,厚生労働省としては解しております.そういうことで,療養上の世話については,少なくとも法的には医師の指示がなければできないということではありません.報告書のほうに戻ります.前回もご議論いただきましたように,こうした法的な整理とはまた別の問題として,当然状況に応じて医学的な知識に基づく判断が必要の場合もあるということですので,前回の文章ではそれが離れていてわかりにくいというご指摘があったものですから,4頁に続けて記載をいたしました.もちろん法的な解釈ですので,行政としてはそのように解しておりますが,そうではないという解釈が学説等であれば,そういうものの存在まで否定するものでもありませんので,ここでは行政解釈をあくまで主体にしているということです.

平林委員
 その後のほうの「患者に対するケアの向上という観点に立てば,療養上の世話と診療の補助についての公的な区別を論ずるよりも」という所が,少し分かりずらいので,看護師等の業務を療養上の世話と診療の補助に截然と2分することはできないとしても,医療の現場において云々かんぬんというふうに続けたほうが,「法的な区別を論ずるというよりも」というよりも,現実に即した議論になるのではないかな,というふうには思ってはいましたが.

川村座長
 非常識で申し訳ありませんが,「截然とした」というのはどういう字を書くのですか.

平林委員
 それは,その言葉を使う必要もないと思いますので,くっきりとというか,はっきりとでももちろんいいのです.

川村座長
 結構です.いまの所の書きぶりについてはよろしいでしょうか.それと「療養上の世話を行う場合についても」という所で,先ほどの行政解釈であるということについて,少し説明がいるのでしょうか.もうよろしいですよね.柳田委員,何か行政的な解釈としてはこうだということなのですが.

柳田委員
 そういう解釈があるかということですか.

川村座長
 はい.

柳田委員
 見解がと.

川村座長
 いや,だから誰がこの解釈をしているかということが,はっきりすればよろしいわけですね.では,ここにつきましては,そういう書きぶりに修正をしていただくということで.

田村看護課長
 どういう方向ですか.

川村座長
 行政解釈としてというふうに.

田村看護課長
 ニュアンスがちゃんと入るようにということですか.

川村座長
 はい,いま企画官がそういうふうな意味合いをおっしゃいましたね.

土生企画官
 はい,分かりました.

井部委員
 行政解釈としては「療養上の世話は医師の指示を必要としない」ということを,はっきり書くのは私は初めてではないかと思うのです.こういう公の文章において,そこを明瞭に書くというのは私はあまり認識がないのですが,そのような文章がほかにどういうふうに書かれているのか.これは「法的には医師の指示を必要としないとしても」というのですらりと終わってしまうと,見逃してしまう可能性があるのではないかと思うのです.もう少しきちんと解釈を説明したほうがいいと思います.

平林委員
 前にもちょっと申し上げたと思うのですが,もう少し違う言い方をすると,要するに療養上の世話をする場合に,看護師に対して医師がキューを出さなくても,看護師は独自の判断で療養上の世話,行為を行うことができるだろう.ただ,それをやっていくプロセスの中で,いろいろと医師に対して指示をもらわなくてはいけない場合もあるだろうというのが次の所ですから,これを何て公的な文章で入れるかは難しいのですが,キューを出す必要があるかどうかというところに,いちばん大きな違いがあると思うのです.診療の補助については,やはり医師のキューがなければ動きがとれないことは明らかだろうと思いますので,そこの違いだと私は認識をしています.ただ,私と厚労省の解釈が微妙に違いますが,その線に沿っていま考えると,そうなるのだろうと思います.

井部委員
 微妙に違うというのは,どこが違うのですか.

平林委員
 すみません.余計なことを言いました.先ほどの説明だと,診療の補助と保助看法37条を,先ほど37条が5条の診療環境の補助だというふうに,ほぼイコールに説明をされていたように思いますが,私は診療の補助は37条だけではないだろう,それ以外の診療の補助,即ち医行為をしない診療の補助というのもあるだろうというふうに思っていますから,そこが微妙に違っているといえば違っているということです.

田村看護課長
 いま井部委員が行政解釈についてきちんと書くべきではないかと言われたところなのですが,これは検討会の報告書ですので,そうした行政解釈について書くことに関しては,ちょっと馴染まないのではないかと思っておりますけれども.したがって行政解釈を踏まえてこの検討会は議論をしていただいているということも含めて,法的には医師の指示を必要としないとしても,というふうに書いて提案させていただいているところです.その部分だけまだ切り出してここで書くことについては,全体の流れとの関係上うまくそぐわないように思っています.

川村座長
 何かほかの先生方でもご意見がおありでしたらどうぞ.井部委員,まだ更に追加があるのでしょうか,またはこのように書くとかいうのがあれば.

井部委員
 丁寧に書くとすると,「療養上の世話は法的には医師の指示を必要としないと解釈されるが,療養上の世話を行うに当たっては,状況に応じて医学的な知識に基づく判断が必要となる場合もあり」と繰り返して,丁寧に説明をしてもいいかなと思います.

川村座長
 では,いまの基調として前後の脈絡を考えた文章にしていただいたらと思います.柳田委員よろしいでしょうか.

柳田委員
 はい,そこはしっかり考えて書いてください,よろしくお願いします.

川村座長
 ありがとうございました.

上野委員
 最後の重要である,求められると柳田委員が言われましたが,やはりここは「重要である」のほうがより強いのではないかと思いました.

川村座長
 そうですね,医師の意見を求めるかどうかというのを,きちんと判断する能力がないと,医師に相談をしないかもしれないということに係わりますので,重要だという表現になっているということで,かなり配慮があるかとは思いますが.では,ほかのことにつきましていかがでしょうか.柳田委員のご意見だけに拘っているわけではありません.

川村座長
 失礼しました.では,大学教育の6頁の上の○の2つ目,大学教育の所についていかがでしょうか.

柳田委員
 この場合は大学教育のというよりか,「大学教育において看護基礎教育を充実するとともに,その期間を延長していくことも検討をしていく必要がある」ということでいいのではないかと.

川村座長
 いかがでしょうか,よろしいでしょうか.

川越委員
 柳田委員の言われる真意と言いますか,危惧されているということ,私も少し分かる気がするのです.ここの所をこのまま読んでいくと,これからの看護教育はより高度化していかなければいけない,専門性を持たせていかなければいけない.ですから,そのためのそういう教育機関を増やしなさいという読み方になると思うのです.けれども,そういう方向が,果たしてそれだけでいいのかというのが,たぶんいま柳田委員から出た指摘だったのではないかと思うのです.いま,多分,看護協会教育がある意味で過渡期と言いますか,大学がどんどん増えていくという形で,どんどん学士を持った看護師たちが世の中に出てきている時代になっていると思うのですが,その辺の評価といいますか,今までそういう方向で走ってきたわけですが,その辺の見直しも今後の過程の中でやらなければいけないのではないか,ということを私自身感じています.ここからは全く私の伝聞で間違っていたら後で訂正をしてもいいのですが,アメリカのほうでCNSがどんどん増えていった中で,いまはむしろアメリカの医療状況自体が変わっていった中で,どんどんCNSが逆に減らされているという話をちょっと聞きました.ではどういう看護師たちが大事にされているかというと,いわゆるジェネラルな知識とかそういうものをしっかり持った方が出てくるというような話を,ちらっと伺ったことがあります.そういう点から申しましても,日本の看護教育のあり方,看護の養成も,ただ大学の数を増やしていけばいいという考え方だけでいいのかなということを,実は私自身も疑問に感じているところです.ですから,柳田委員が指摘されたことも,何らかの形でこの中に言葉として入れていただいたらいいのではないかということを,私は思っています.いま長々と言ったのですが,私のいま言った意味が分かりましたでしょうか.

田村看護課長
 平成6年の話ですが,少子高齢社会緩和問題検討会の報告書の中では,今後の看護基礎教育の充実ということで,将来的には大学が看護職員養成の主流となることも十分に考えられる,という報告書をいただいているところです.文部科学省におかれましても,まだ現在でも新たな大学づくりのご相談があるやに聞いていますし,我が国の高校生の約半数は大学に進学を希望している実態がある一方,日本の看護教育の実態はまだ2割にも,看護教育が大学教育を提供していないという意味では,まだまだ学習者としての人たちに対して,彼らのニーズに合った看護教育が必ずしも行われていないのではないかという認識に私ども立っています.そういう点からしますと,ここでは大学教育の更なる普及拡大ということが基本的に今後も進めていくべきことであろうとは思っていますが,一方,専門学校,私ども厚生労働大臣の指定する養成所も現在でも,まだ設置が進みつつあります.そういった所での基礎教育の充実,あるいは教育の期間の延長も含めて検討をすべきではないかということを,書き込んだということなので,いま川越委員が言われたことをうまく表現すると,どのようにしたらいいのかちょっと迷いながら伺っていました.

内布委員
 整理させていただきたいのですが,CNSの雇用に関してアメリカで少なくなってきた背景は,ANPですか,アドバーンス・ナース・プラクティショナースナーという,修士号以上を持っている人たちが増えてきた.同じく修士号以上持っている高学歴の人たちは,医師が行うの処方の一部等を代わってできる人たち取って帰られるので,やれる人たちなのです.それなので医師より安く雇うことができて,経済政策の一旦で安く雇えてなおかつ医療が提供できるということで,ANPが出てきたという背景があってCNSが押された.CNSの人たちはちょっとした講習を受けるとANPになれるのでそちらに転換していったので,CNSが変わっていった背景はあるのです.ところが3年ぐらい前からCNSの呼び戻しが始まっている.それは看護の質が低下してしまった.ミニ医師はたくさんできたけれども看護が充実しなかったということがあって,またCNSの呼び戻しがいま起こっているという背景があります.それはそれとして別にあるのですが,確かに大学教育だけではなくて看護の基礎教育というニュアンスがあります.基礎教育の中には各種学校を初めとする看護学校がたくさん入っているわけです.ここの文章を話を聞きながら少し変えてみたのですが,例えばここは「大学教育を初めとする看護教育機関による看護の基礎的能力の養成を充実するとともに,その期間を延長していく」としても良いのかなとも思います.大学は普及拡大は放っておいてもするというか,それも時代の要請で受験者が増えている.いまは倍率が1を割っている学部がかなり多いにもかかわらず,福祉と看護に関しては依然として倍率が高いのです.だから放っておいても伸びていくとは思いますので,「大学教育の更なる普及」ということをわざわざ言わなくても,「大学教育を初めとする看護教育機関による看護の基礎的能力の養成の普及拡大」でも良いですし,「養成を充実する」という文言でも良いのかなと思います.違うことなのですが,4頁の1つ目の○の上です.私が前回の時に医師の指示について,もし妥当でなかったような場合にあっては,看護師がそれを確認をしたりする作業のことをはっきり言ってほしいようなことを言ったと思うのですが,それをここには「より良いケアを行っていくことが」とパッと置き換えているので,表現をもう少ししてほしいなと思いました.この「やっていくことが必要である」の後に,「医師の指示を受けるに当たっては,指示の根拠をよく理解し,必要な時は再確認するなどして,安全な医療の提供に努めることが必要である」というふうに続けて,文章を是非入れていただきたいと思います.

田村看護課長
 以前も平林委員が,病院の中の看護と在宅の訪問看護をもっと分けて記述をするのはどうかというご意見をいただいて,ずっと気にはなっているところなのですが,そこを明確に書くことが難しいというのが,事務局と座長のこれまでの認識できているところです.これは在宅だけですよ,これは病院の中だけの話ですよとしてしまうのも,非常に困難ですし,また,看護がそこにおいてそれほど違いがあるのかというのも一方でありますので,また座長とご相談させていただいて次回までに検討させていただきます.

井部委員
 ただいまの部分ですが,私もこの「包括的指示」と称するかどうかはともかくという,包括的指示がかなり議論されたにもかかわらず,ともかく棚上げして梯子を外してしまっているように取れるのです.,私はこの包括的指示は在宅にかかわらず,病院の中でも優れた包括的指示があることが望ましいと思っているので,在宅療養だけに限定するように書かないほうがいいのではないかと思います.

川村座長
 この委員会は大変精力的に皆さまにご参加いただきまして,毎月1回どころではなくて暑い時も寒い時もずっと月1ないし2回のお集まりをいただいて議論をしてきました.そのような訳で皆様方,この問題につきましては大変関心を深めていただきました.ただ,問題が大変大きいので,いつまででも議論ができそうな雰囲気になっています.最初に厚生労働大臣が言われましたように,そろそろ桜が咲くようですので次回で一段落させていただきたいという思いがはあります.ので,その辺ご了解の上でそろそろまとめる方向でご協力をいただきたいと思っています.次回,またお忙しいでしょうがお集まりいただきたいと思います.本日は大変ありがとうございました.

20030324 第13回 新たな看護のあり方に関する検討会議事録
川村座長
 いまご説明がありましたように,本検討会も本日で13回目を迎えることになります.議論の前に座長として発言をお許しいただきたいと思います.報告書については,これまで既に相当の議論をしていただきました.また,最終的にも前回以降各委員から意見をたくさん頂戴いたしまして,それをかなり反映させられたと思っております.本日は最終的な取りまとめを行いたいと思いますので,委員の皆様方には是非ともその方向で議論をいただきたいと思います.その前に分科会の取扱いについて事務局からご説明をいただきたいと思います.

田村看護課長
 「ALSの患者に対する看護師等による在宅療養支援に関する分科会」をこの1月から設置し,現在,検討しているところです.当初は年度内を目途にということでスタートしましたが,なかなか議論が複雑で,3月26日に第4回目を予定しているところですが,この3月いっぱいに結論を出すのは難しい状況です.年度内には結論には至らないということもありまして,4月以降も引き続きこの検討を続けることになっています.したがって,報告書も分科会で別に取りまとめるという対応をすることにし,その検討結果については改めて座長とご相談させていただきたいと思っておりますので,「新たな看護のあり方に関する本検討会」の報告につきましては,「ALS患者の在宅療養支援に関する分科会」は切り離してご検討いただければと思っております.

川村座長
 分科会の検討結果の報告書については切り離して,本検討会のまとめ,報告書を作るという方向でいきたいと思います.本日は前回の議論を踏まえて一部修正したものがお手元に案として配付されていると思います.それでは事務局から前回からの主な変更点についてご説明をお願いいたします.

土生企画官
 事務局から資料に沿いまして,前回お示しした報告書案からの主な変更点について説明いたします.1頁の「はじめに」の第1段落ですが,「在宅医療の普及あるいは推進」という言葉が複数回出てきておりまして,少し言い方を整理するという趣旨で,3行目辺りに「看護の質の向上と在宅医療の推進の観点から」,これこれについて検討課題として議論を開始したという書きぶりの変更をしております.同じ頁の3つ目の段落の真ん中より少し下ですが,「更には,看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進のあり方」の次に「在宅医療を取り巻く関連諸制度の見直し」となっておりますが,諸制度の見直しもありますが,さまざまな施策の推進という広い意味にするということで,「そのための環境整備」という言い方に変更しております.2頁の見出しの1の「専門性の高い看護判断とその実践に向けて」となっておりまして,このフレーズは報告書案の中でも何度か登場してきておりますが,判断を実践するという言い方が適切な言い方ではないのではないかということで,「看護判断と看護技術の提供」ということで2つに書き分けております.そのほかこういう言い方をしている所は基本的にはこの言い方を使ったらどうかということです.同じ頁のいちばん下の「在宅医療においては,訪問看護の開始や継続は,医師の訪問看護指示書に基づいて行われるが」のあとに従前の案では「指示の内容や範囲が明確でない場合には,患者の病態の変動があったとき,新たに個別具体的な指示を必要とする」となっておりましたが,そこは意味内容が不明であるというご指摘がありましたので,「指示の内容や範囲が明確でない場合は」を取りまして,「患者の症状の変化があったとき,新たに個別具体的な指示を必要とする」という端的な言い方にしております.3頁の2つ目の○の諸外国の事情ですが,趣旨は変わっておりませんが,「それぞれの医療制度等の違いを踏まえて」という言い方を結びの所に持ってきまして,「この点については,それぞれの医療制度等の違いを踏まえて留意する必要がある」という言い方にしております.同じ頁のいちばん下ですが,基本的には先ほどの訪問看護の場合の問題点というご指摘を受けた文書ということで,いちばん最初に「在宅で療養中の患者をはじめとして」として,在宅の場合のみならず,当然入院の場合もあるわけですが,文章の続きを明確にするというところで,冒頭の一文を追加しております.その3行下に「医師の指示に基づき」という「医師の指示」を解説した文章ですが,「患者の病態の変化を予測した」という言い方が少しわかりにくいということで,「患者に起こり得る病態の変化にも対応可能な医師の指示」という言い方ではどうかということです.4頁ですが,「医師等に適切に伝え」となっておりましたが,そこに薬剤師を追加しまして,「医師,薬剤師等に適切に伝え」としました.その下の○ですが,「こうした医師と看護師とうの連携のあり方を,「包括的指示」と称するかどうかはともかく」ということで,少し中途半端な記述になっておりますので,「いわゆる『包括的指示』を含めた医師と看護師等の連携のあり方」という表現ではどうかということです.また,この文章を2つの文章に分けまして,「十分留意しなければならない」という所で一旦改行しまして,「この点も踏まえつつ」とつなぎの言葉を入れております.その下の○の法律上の解釈の書き方ですが,療養上の世話については「行政解釈では医師の指示を必要としないとされているが」というところで「行政解釈」という言い方にして,かつそこで一呼吸おきまして,「療養上の世話を行う場合にも」ということをもう1回書きまして,その場合には「看護師等の業務について,療養上の世話と診療の補助とを明確に区別しようとするよりも」という言い方に変えております.5頁の最初の○の医師の指示の説明の所ですが,「医薬品等の量の増減が可能な医師の指示」と若干言い方を整理しております.次に,「療養上の世話については用語が適切かどうか検討の余地があるが」のあとですが,ここも若干意味がわかりにくいということで「看護師等が行うことができる業務を,フランスのように限定して」とフランスの例を引きまして,「フランスのように限定して個別に列挙するよりも,我が国においては」ということで対比を明確にしております.次の○の「十分にコミュニケーションを行い」のあとの「看護ケアの内容,治療,検査等」となっておりましたが,治療については例示から削除しております.そのあとの「代弁する役割など」の言い方ですが,「患者・家族が自らの意向を伝えることができるよう支援したり,時には代わって伝える役割を担うなど」という言い方ではどうかということです.6頁の○の下の2つ目のポツの看護基礎教育ですが,大学教育についてご議論がありまして,その結果を踏まえまして「看護基礎教育を充実するとともに,大学教育の拡大などその期間を延長していくことも検討していく必要がある」という書き方にしております.その下の○ですが,卒後の教育研修と特定の看護領域についての専門性を高めるというところを2つに分けまして,それぞれ○にしております.また,2つ目の文章については,「特定の看護領域について,より専門的な教育・研修を受けた専門性の高い看護師等の養成の強化や普及を行い」という書き方に改めております. 7頁の最初の○ですが,クリティカルパス,看護プロトコールという英語だけではわかりにくいというお話もありまして,それぞれ「入院診療計画」,「看護判断規準」という日本語を付記しております.その下の○ですが,上との文章を整理しまして,「看護プロトコールなどを更に開発することも考慮する必要がある」と改めております. 8頁の5つ目の○ですが,前回の案では日本緩和医療学会が作成した,『がん疼痛治療ガイドライン』という出典を書いておりましたが,元はWHOが示していますので,むしろそちらのほうを書いたほうが適当ではないかということで,「WHOが示しているがん疼痛治療法などの理解を進めていくことが必要である」と変更しております.9頁の最初の○で,「この場合,医師と看護師等の実際の連携のあり方は…個々に異なる」ということで,その要素ですが,「資格」の前に「能力」という言葉を追加しております.その下の○の「麻薬については」で始まる所ですが,1つ目のポツは通知に沿って書き直すということで,「ただし,在宅での使用は,患者を含む他の者によって注入速度の変更が出来ず,また,薬液を取り出せない構造になっているものに限られている」と修正しております.その下の○ですが,結びの所で「前述の医療機関の個別性に十分配慮しながら」となっていますが,前述でもどこのことかわかりにくいということもありまして,「標準的な在宅療養プロトコールの見直しを行い,医師,看護師等の連携のあり方は個々に異なることに十分配慮しながら」ともう一度書き下ろしております.その下から10頁にかけてですが,「在宅において麻薬製剤が不用になった場合の廃棄」ということで,基本的な原則を書くという趣旨で「医療機関や薬局に返却するよう指導されていることが周知される必要がある」という言い方に書き改めております.12頁の(3)の上の○ですが,現行制度上は医師が供給すべきことを徹底するということですが,仮にそれが問題がある場合には制度的な検討がなされるべきというご意見もありましたので,「更に医療機器・衛生材料の供給が確保できない場合は,一定の衛生材料等については,訪問看護ステーションが供給することが適当かどうかについても検討がなされることが望ましい」という書きぶりを保健局とも相談の上追加しております.13頁の「おわりに」の冒頭で「高齢化社会」となっておりましたが,「高齢社会」としております.中ほどの文章は1の見出しと同じように「的確な看護判断を行い,適切な看護技術を提供していくことが求められている」という表現にしております.以上です.

川村座長
 ありがとうございました.最後に至りましても,たくさんの修正をしていただいておりますが,これは既に皆様方からこれだけたくさんのご意見があって修正されたということで,ご理解をいただきたいと思います.ご意見がありましたらお願いいたします.

井部委員
 いまから申し上げることはあまり建設的ではありませんが,看護師はなぜ医師にも報告し,薬剤師にも報告し,OTやPTにも報告する報告係なのか.本当に知りたいことはそれぞれの専門家が見るべきではないかと私は思います.情報発信屋さんみたいなスタンスにならないようにしていただきたいと思います.しかしながら,そうはいっても医師の指示を受けてやっている部分もあるので,医師に報告しなければならないという基本的な役割はあると思いますが,そのほかの職種はそのほかの専門性を持った人が患者を実際に診て判断することをしないと,連携というのはなかなかできなくて,看護師がいろいろな情報を取ってきて提供してあげて,そのあとで考えるといったような体制はやめていただきたいと私は思います.

國井委員
 この間の検討会でいろいろ議論があって,「専門性の高い看護師」を「専門看護師」という表現になっていましたが,特定の団体が使用している用語ということで,こういう用語に変わったと思います.いままでの検討の経緯を見ていると,専門看護師というのは昭和60年代から厚生省の看護制度検討会でずっと使われている用語で,その検討会では専門看護師を育成するシステムをつくるべきであるという提言をしています.それを受けて本会が中心ですが,関係大学協議会の方,厚労省や文科省の方にも入っていただいて,合意を得ながらつくってきたシステムでもあり,現に誕生して活動しています.専門看護師だけではなくていろいろな意味でほかの認定の人もいらっしゃいますが,これは前の検討会報告書を受けて更に発展させる意味もあるので,専門看護師の養成の強化,以前は育成のシステムをつくれという提言なので,次の検討会の報告書にはもう少し1歩進んだ表現にしていただきたいというお願いです.

田村看護課長
 事務局で調べましたところ,先ほど國井委員がおっしゃられたように,昭和62年4月の「看護制度検討会報告書」という中で,「専門看護婦(師)の育成」ということで,そういう人々を養成していくことを考えなければならないと.それから「専門看護師として認定するシステムを確立することを検討すべきである」といったようなことなどがあります.この当時は当然一般名称としての「専門看護師」として使ってきておりますし,昨年の「医療安全対策検討会議」の報告書の中でも,一般名称として「専門看護師」という名称を使っているところです.ただ,すでに5,6年前から日本看護協会の中で認定している「専門看護師」という名称のものが存在するというところで,若干混乱をいま招いているのだろうと思います.前回も申しましたように,事務局としては従来どおりの一般名称としての「専門看護師」ということで提案させていただいたところです.これまでの議論を踏まえて,今回の提案とさせていただいたということですので,ご議論を今日していただくしか方法はないと思っております.

平林委員
 私の数少ない経験を申し上げていいのか,どうかいま迷っているのですが,迷いつつ言うことになるのですが.あるところで報告をして,訪問看護の話をして,将来的には訪問看護を専門とする専門看護師というものが必要なのだというお話をさせていただいたことがあるのです.それを聞いていた看護協会のある幹事の幹部の方が,私に対して「それは専門看護師ではなくて,認定看護師です」という訂正をいただいたわけです.私は何も「看護協会の専門看護師」という言葉を使ったのではなくて,一般的な意味において訪問看護における,それを専門とする専門看護師が必要なのだということを申し上げたのですが,立ちどころに返ってきたのは,「それは専門看護師ではなくて,認定看護師です」というお話ですから,非常に誤解を招く言葉だと思うのです.したがいまして,私は先ほど申し上げたように,ここに書いてあるような形で,少し一般的に広い意味で「専門性の高い看護師等の養成」としていったほうが,いらぬ誤解を招く必要はないだろうと.もし100歩譲ってあえて「専門看護師」という言葉を使うのであれば,その頭に,「いわゆる一般的意味における専門看護師」というカッコ付きで書くぐらいにしか方策は考えられないのです.しかし,いわゆる一般的意味におけるカッコ付きの「専門看護師」というのも,あまりスマートとは思えませんので,ここに書いてあるような形で書くのが妥当なところかなと思っています.

宮武委員
 この種の報告書というのは,社会に対してわかりやすくアピールできる内容であることが望ましいのですが,職種によって考え方が違うのでとても難しいということを今回もまた痛感いたしました.それにしても,静脈注射というのを医師の指導のもとではあるのですが,看護職ができるという,言ってみれば事実追認であったとしても,長い間懸案になっていた行為について,実態とルールのところがきちんとあったということは大きな成果だと思います.それ以外に自分自身で振り返ってみると,取り分け看護職の方が在宅の医療とか,在宅の看護,あるいはもっと広い意味の在宅の介護に対して積極的に取り組んでいくというアピールは,少なくとも世の中に対しては発信できたのだと思います.そうなりますと,私は実は社会福祉士を養成する学校に勤めておりまして,ずっといろいろなことで言いたかったのですが,どうして医師と看護職だけの問題で集約されていくのか,至る所で不満でした.藤上委員がおっしゃるたびに,私も一言言いたくなるというのが実態ですが,そんなことを言ってもしようがないので,せめて最後13頁の終わりのところに,「おわりに」と書いてある中の2つ目の段落で,「医師,薬剤師,その他の医療関係職種との適切な役割分担と連携のもとに」とありますので,せめて「医療関係職種」の後に,「福祉関係職種との適切な役割分担と連携のもとに」という一言ぐらい入れていただけないかお願いです.以上です.

川村座長
 具体的には,「その他の医療関係職種・福祉関係職種」.

宮武委員
 もちろん在宅でもそうですし,特別養護老人ホームや介護老人保健施設の中でも,看護師の方と連携して働いているわけですから,ソーシャルワーカーについても当然同じ職場で働いているので,そこだけで結構ですからお願いいたします.

川村座長
 いかがですか.よろしいですね.それはそのようにいたします.

井部委員
 私も報告書の終わりに当たって真面目に全部読み返してみましたが,多少宮武委員のような感想もあるのです.私は「はじめに」と「おわりに」を中心に,企画官には大変申し訳ないのですが,もう少し書き込んでもらうといいなと思ったことがあります.それは「はじめに」の1行目で「少子高齢化の進展」「医療技術の進歩」「国民の意識の変化」の3つについては枕詞のように使って,あと言及はあまり言及していないのですが,「少子高齢化社会」というのは,一体どういう社会なのかということをもっと国民の人たちにわかってもらう.それによって,例えば看護がどう影響を受けるのかという,看護の価値がどのぐらい評価されなければならないのか,ということに踏み込んでいかなければいけないのではないかと思います.「医療技術の進歩」は技術だけではなくて,遺伝子の問題などにも踏み込んでいきますと,かなり枕詞だけで終わらせることができないような国民全体,あるいは医療関係者全体に影響を及ぼすような大きな医療技術の変化というのがあるのではないかと思います.もう1つは「国民の意識の変化」です.,これは一体どういう意識になってきているのか,非常に個人主義的,あるいは利益追及型というか,生産に価値を置くといったようなことです.,もう1つは「入院期間の短縮」ということもそこから派生してくるのではないかと思うのですが,そうした事柄をもう少し踏み込んで書いていただいて,それを「おわりに」で受けて,だから看護職はこうあらなければならないのではないかといったような,看護職の価値,あるいは看護が大切にしていることがどんなふうに守られなければならないのか書き込んでいただくと,先ほどの丸印で並べなければいけないのかという指摘にも関連するのですが,もう少し全体的に締まるのではないかと思いました.ので,最後にあたって多大な要求かもしれませんが,そこのところを何とかやってもらうと格調高くなるのではないかと思います.

田村看護課長
 いま印刷が終わりましたので,川村座長のほうに最終の修正版をお届けいたしました.それでは座長から医政局長に本報告書をお渡しいただければと思います.

川村座長
 13回にわたりまして,皆様には熱心なご議論をいただいたまとめでございます.どうぞよろしくお受け取りください.
(医政局長に報告書を手渡し)

医政局長
 ありがとうございます.

川村座長
 皆様のご協力によりまして,本日こうして報告書を取りまとめて,医政局長にお渡しすることができました.大変熱心なご議論を最後の最後までいただきまして,本当にありがとうございました.これが看護サービスがますます向上していく,ということに役割を大きく果たしてもらえると大変嬉しいと思います.皆様方,ありがとうございました.それでは医政局長からご挨拶をいただきたいと思います.

篠崎医政局長
 本日は年度末の大変お忙しいときにご参集いただきまして,そして熱心なご議論の末,今日こうやって報告書にまとめていただきました.誠にありがとうございました.この検討会はもともと坂口厚生労働大臣から直接ご指示がありまして,急遽検討会を立ち上げて,13回にわたりまして大変お忙しいのに熱心にご議論をいただきまして本当にありがとうございました.本来ならば大臣も出席されて,皆さんにお礼を申し上げたいと言っておられましたが,いろいろ用務が入ってしまいましたので参加できませんで,皆様には是非よろしくということでしたのでお伝えを申し上げたいと思います.この検討会で昨年の9月には,静脈注射のことで中間まとめをしていただきました.これも長い間の懸案でしたので,新たな看護をどうするかという意味では,1つの象徴的なことになったのではないかと思います.いま私ども厚生労働省としては,医療制度の抜本改革を手掛けておりまして,昨年9月に出しました中間まとめを叩き台にして,今年度末に最終的なまとめをしようということになっております.今回ご検討いただいたようなことも,この最終報告書の中に盛り込んでいきたいと考えております.川村座長はじめ,皆様方には本当に何回にも渡りましてご審議をいただきましたこと,この場を借りまして厚く御礼を申し上げます.どうもありがとうございました.

川村座長
 それではこの報告書の取扱いについて,事務局からご説明をいただきたいと思います.

田村看護課長
 本日いただいた報告書については,本日付けで公表するということになります.先ほどご指摘のあった「看護基礎教育の内容の充実」という辺りをもう一度修正して,明日朝いちばんで皆様にお届けしたいと思っております.最初に申し上げた「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会」も報告書がまとまり次第,川村座長とご相談させていただいた上で,報告書を皆様にお送りさせていただくことになると思います.本当に長い間皆様にはお力をいただきましてありがとうございました.

川村座長
 これで本当に終わりになります.どうぞ実行する所でも皆様方のお力添えをいただきたいと思います.大変ありがとうございました.

20030324 新たな看護のあり方に関する検討会報告書

はじめに
 当検討会は,平成14年5月31日に第1回の検討会を開催し,少子高齢化の進展,医療技術の進歩,国民の意識の変化,看護教育水準の向上などに対応した新たな看護のあり方について,看護の質の向上と在宅医療の推進の観点から,医師と看護師等との連携のあり方,医療技術の進歩に伴う看護業務の見直し,これらを推進するための方策等を検討課題として議論を開始した.

 平成14年9月6日の第5回の検討会においては,それまでの議論を整理するとともに,医師の指示に基づく看護師等による静脈注射の実施について,診療の補助行為の範疇として取り扱うこととすべきであり,あわせて,看護基礎教育や卒後の医療機関等における研修についての取組みを促進する必要があることなどを中間まとめとしてとりまとめた.

 更に,その後も審議を重ね,本日まで13回にわたり,国民のニーズに応え,患者の生活の質を向上させるための療養生活支援の専門家としての望ましい看護のあり方と,医師等との連携のあり方,それを推進するための看護教育の課題と対応,更には,看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進のあり方やそのための環境整備について議論を行ってきた.本報告書は,その結果をとりまとめたものである.

 なお,適切な医療・看護サービスを提供する上では,医師,看護師,薬剤師その他の医療関係職種が協同することが不可欠であることから,当検討会では,看護のあり方を検討する過程で他職種との役割分担や連携のあり方についても議論を行った.これらについては,看護のあり方を示すために必要な範囲内において,本報告書に記載することにしたものである.

1.患者の生活の質の向上のための専門性の高い看護判断と看護技術 の提供に向けて
(1)看護をめぐる現状と課題
○ 人口の高齢化,疾病構造の変化,国民の意識の変化,医療技術の進歩など医療をめぐる環境の変化の中で,入院時を含めて,生活の質を向上させ,また,住み慣れた地域の中で療養生活を送りたいという患者のニーズが増大してきている.
○ 看護知識の増加,看護技術の発達,看護教育の高度化等により看護師等の知識・技能は大きく向上してきている.一方,医療に対する国民のニーズは拡大,多様化し,看護師等に期待される役割は拡大しつつある.
○ また,患者の生活の質を向上させるための療養上の世話に関する判断と実践については,教育の現場では,看護基礎教育におけるカリキュラムの大半を占めており,看護判断により適切なケアが行えるよう,重点的な教育が行われている.それにもかかわらず,医療現場においては,看護師の判断を生かした適切なケアが行われているとは,必ずしも言えない実情もある.
○ 特に,病院内における看護の実情を見ると,診療の補助のみならず,療養上の世話についても,看護師の側から医師の指示を求めているという状況もある.これは,法律や医師による要請があるというわけではなく,むしろ,単なる慣習として行われていたり,看護師等の役割や責任についての認識の不足など様々な背景があると考えられる.
○ また,在宅医療においては,訪問看護の開始や継続は,医師の訪問看護指示書に基づいて行われるが,患者の症状の変化があったとき,新たに個別具体的な指示を必要とすることとなる.このため,多くの在宅療養者の主治医と連携して活動している訪問看護ステーションでは,必要なケアの提供までに時間を要し,患者・家族の切実な要望に応えられない場合もある.
○ こうした国民のニーズ,看護をめぐる現状と課題を考えると,これからの時代の要請に応じた看護のあり方や医師等の他の医療関係職種との連携のあり方などについて,我が国の医療提供体制において,患者・家族のためにより良いケアを如何に提供するかといった視点で改めて検討し,明らかにする必要がある.
○ また,諸外国の事情については,平成13年度厚生労働科学研究「諸外国における看護師の新たな業務と役割」によれば,看護師の裁量の範囲,役割・業務が変化し拡大しつつある諸外国も少なくない.この点については,それぞれの医療制度等の違いを踏まえて考慮する必要がある.

(2)時代の要請に応じた看護のあり方,医師等との連携のあり方
○ 患者のニーズに応じて,より良い医療・看護サービスを提供していくためには,看護師がら,相互の信頼関係の下に密接に連携することが重要である.
○ その中で,看護師等は,患者の生活の質の向上を目指し,療養生活支援の専門家として,その知識・技能を高め,的確な看護判断を行い,適切な看護技術を提供していくことが求められている.特に,慢性疾患の患者や高齢者の増加を踏まえると,従来以上に患者の自己回復力を引き出し,支える働きかけや合併症等を予防するためのかかわりを強化することなどの必要性が高まっている.
○ 在宅で療養中の患者をはじめとして,患者の生活の質の向上を図るためのケアを迅速かつ適切に提供するという観点からは,医師と看護師等の十分な連携と信頼関係の下で,患者に起りうる病態の変化にも対応可能な医師の指示に基づき,看護師等が適切な観察と看護判断を行い,患者に対して適切な看護を行うことが望ましいと考えられる.
  この場合,看護師等は,その後の患者の状態についての観察結果や看護の立場からの判断を医師等に適切に伝え,より良いケアを行っていくことが必要である.
○ いわゆる「包括的指示」を含めた医師と看護師等の連携のあり方,医師の指示の仕方,看護師等からの報告のあり方については,それぞれの資格,経験,専門性,患者の病態,医療行為の内容等に応じて異なるものであることに十分留意しなければならない.
  この点も踏まえつつ,療養生活の支援については,看護師等が,知識・技能を高め,医師等との適切な連携のもとに,その専門性,自律性を発揮し,患者の生活の質の向上に資する的確な看護判断を行い,適切な看護技術を提供していくことが求められている.
○ また,療養上の世話については,行政解釈では医師の指示を必要としないとされているが,療養上の世話を行う場合にも,状況に応じて医学的な知識に基づく判断が必要となる場合もある.このため,患者に対するケアの向上という観点に立てば,看護師等の業務について,療養上の世話と診療の補助とを明確に区別しようとするよりも,医療の現場において,療養上の世話を行う際に医師の意見を求めるべきかどうかについて適切に判断できる看護師等の能力,専門性を養っていくことが重要である.
○ 例えば,食事(一般病人食)の形態,安静度,清潔の保持の方法などについては,治療方針を踏まえ,患者の状態に応じて,看護師等が判断し,行うべきものである.
○ また,苦痛の緩和が看護の重要な機能のひとつであるという観点から,疼痛,呼吸困難,発熱,不眠,便秘等の諸症状の緩和のため,療養生活の実態を最も把握している看護師等が観察や看護判断を行うとともに,まず,様々な看護技術を駆使して,患者の安全や安楽を確保することが重要である.
○ 更に,医薬品等による症状緩和が必要である場合においては,医師により処方された医薬品等の使用方法について,患者の症状に応じた医薬品等の量の増減を可能とする医師の指示の範囲内において,患者の症状を観察した看護師等が症状に応じて適切な服薬を支援することが望ましい.
○ なお,療養上の世話については,用語が適切かどうか検討の余地はあるが,看護師等が行うことができる業務を,フランスのように限定して個別に列挙するよりも,我が国においては,抽象的な枠組みの中で,時代の要請に応じて中身を充実させていくことの方が,看護師等が医師等と適切に連携しつつ,その自律性,専門性を発揮し,より良いケアを提供する上で適当であろう.
○ また,これからの医療においては,インフォームド・コンセントを前提に,看護師等は,患者・家族と十分にコミュニケーションを行い,看護ケアの内容,検査等についてわかりやすく丁寧に説明するとともに,患者・家族が自らの意向を伝えることができるよう支援したり,時には代わって伝える役割を担うなど,患者・家族が医療を理解し,より良い選択ができるよう支援することが必要である.
  更に,こうした患者・家族との十分なコミュニケーションとそれに基づく信頼関係のもと,専門的な看護を提供するとともに,家族でなければ担えない患者に対する精神的な支援機能や患者の自己回復力を最大限引き出し,生かせるような看護師等の関わり方が,これからの看護のあり方として必要である.

(3)望ましい看護のあり方の普及に向けて
○ 看護師等が,こうした要請に応え,その役割と責任を果たしていくためには,今後ますます,看護師等の判断力や責任能力を向上するとともに,更には,豊かな人間性や人権を尊重する意識の涵養,コミュニケーション能力の向上が求められており,看護師等の養成のあり方についての様々な課題に取り組んでいく必要がある.
○ また,看護業務の複雑・多様化,国民の意識の高まり,医療安全に関する意識の向上の中で,学生の看護技術の実習の範囲や機会が限定される傾向にある.
・ このため,まず,看護師の養成については,適切な臨地実習を行うための条件整備を進めるとともに,さらに,到達すべき看護技術教育の内容と範囲を明確にしていくことが必要である.
・ また,看護師等として学ぶべき知識・技術の増大とあわせて,看護師の資質の向上が求められていることから,看護基礎教育の内容を充実するとともに,大学教育の拡大など看護基礎教育の期間を延長していくことも検討していく必要がある.
○ 卒後の教育研修についても,更に充実し,専門性を高めていくことが必要であり,技術研修をどのようにとり入れていくか,制度化を含めて検討することが課題である.
○ また,特定の看護領域について,より専門的な教育・研修を受けた専門性の高い看護師等の養成の強化や普及を図り,その能力が積極的に活用されるような基盤づくりを行っていくことも重要である.
○ 看護師が国民のニーズにあった質の高いケアを提供するためには,生涯にわたる教育・研修が必要であることから,出産・育児などにより一時的に就業を中断した看護師等を含めて,再教育や継続的な生涯教育を推進するための仕組みが必要であり,このための学習プログラムの作成・普及・充実がなされるべきである.
○ また,看護教育の内容や水準と臨床看護の実践とが乖離しないようにするとともに,医療機関や福祉施設等における看護と訪問看護の現場とがお互いの課題やそれぞれの場において担うべき看護の役割について共通認識をもつことができるようにするため,看護関係者の相互の交流や連携を深めるための仕組みをつくっていくことも必要である.
○ 患者・家族に対して医療・看護サービスの内容について十分な情報提供を行い,信頼関係を築くとともに,医療関係職種が共通の認識のもとに十分に機能を果たして,適切なサービスの提供ができるようにするためには,いわゆるクリティカルパス(入院診療計画)や在宅療養患者を支援するための看護プロトコール(看護判断規準)の普及を図ることも必要であろう.
○ これらの導入やその具体的な内容については,個々の医療機関により異なるものであり,更に,個々の患者の病態に応じた適切な判断が重要であることに留意しつつ,その医療機関に適したものの作成を支援するため,標準的な看護プロトコールなどを更に開発することも考慮する必要がある.

2 看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進
○ 今後ますますニーズが拡大する在宅医療においては,医療ニーズの高い在宅療養者に対する看護ケアを適切かつ迅速に提供するためには,在宅医療への医師の積極的な取組みとあわせて,看護師等が患者の病態の変化に対応した的確な看護判断を行い,適切な看護技術を提供していくことが必要である.
○ また,適切な在宅医療を提供するためには,医師,看護師,薬剤師等が,それぞれの専門性を十分に発揮しながら,相互の信頼関係の下に密接に連携することが重要である.

(1)在宅がん末期患者の適切な疼痛緩和ケアの推進
○ 看護師等の専門性を活用した在宅医療を進める上で,増加が予測される在宅がん末期患者に対して疼痛の適切な緩和を行うことが課題となっている.
○ がん患者の疼痛に対しては,それが全人的な痛みであることを十分理解した上で,看護師等は,様々な看護技術を駆使して,その緩和を図り,患者の生活の質を向上させることが重要である.
○ 即ち,患者・家族と十分にコミュニケーションを行い,患者・家族が症状やその緩和方法を理解し,より良い選択ができるよう支援するとともに,疼痛症状の専門的な観察を踏まえ,体位の工夫,マッサージ,リラクゼーション,積極的傾聴などを通じた身体的・精神的なケアなど様々な看護ケアを提供すべきである.
  あわせて,家族との積極的な関わりや福祉サービス,ボランティアなどとの連携を通じて,家族のサポートの中で患者が積極的に人生を生き抜く力や意欲を持ち続け,生活の質を向上していくことができるよう,総合的な支援を行うべきである.
○ その一方で,医師が適当と判断した場合には麻薬製剤を適正に使用した疼痛緩和について看護師等が適切に支援できるよう,麻薬の安全性や関係法規を十分理解し,専門的な知識・技術を向上していく必要がある.
○ このため,がん疼痛緩和に関する専門的知識と技術を有する看護師の育成を拡大し,その活用を推進していくべきである.
○ その一環として,WHOが示しているがん疼痛治療法などの理解を進めていくことが必要である.
○ また,麻薬製剤による疼痛緩和を適切に推進するためには,患者の生活の質の向上を高めるという看護の視点を基本としながら,麻薬及び向精神薬取締法等の関連法規を遵守しつつ,医師,看護師等,薬剤師等の関係者の対応や連携のあり方を検討していくことが必要である.
○ まず,医師による麻薬製剤の種類や量,レスキュードーズ(急激に疼痛が増悪した場合の追加薬)などについて具体的な指示の下,その範囲内で,看護師等が患者の疼痛の状況に応じて適切な服薬等の支援を行うとともに,看護師等から医師への報告を適切に行う必要がある.
○ この場合,医師と看護師等の実際の連携のあり方は,能力,資格,経験,専門性等に応じて個々に異なるものであり,それぞれの場合に相応しい対応が求められる.いずれの場合であっても,麻薬による治療開始の決定や種類の選択は,医師の責任において行われるものであり,患者の疼痛の状況等の判断は,看護師等が責任をもって行う必要がある.
○ 麻薬については,麻薬及び向精神薬取締法等の関連法規を遵守しつつ,処方,運搬,管理,使用,廃棄方法等の取扱い方法を,医療現場に周知していくことが必要である.
・ まず,注射による場合には,安全性を確保するため,バルーン式ディスポーザブルタイプのものや,シリンジポンプ式が使用されているところである.ただし,在宅での使用は,患者を含む他の者によって注入速度の変更が出来ず,また,薬液を取り出せない構造になっているものに限られている.
・ また,内服薬等の場合については,医師がレスキュードーズとして使用することが必要であると判断した場合における適正使用・管理,その他の取扱いについて更に具体的に検討することが必要である.
○ また,インフォームド・コンセントを前提に,医師,看護師等,薬剤師,患者・家族等の関係者が相互の信頼関係の下に連携し,適切なケアが行われ,患者・家族が疼痛の管理を不安や無理なく自分の生活に取り込むことができるよう,がん末期疼痛管理等についての標準的な在宅療養プロトコールの見直しを行い,医師,看護師等の連携のあり方は個々に異なることに十分配慮しながら,その普及を図っていくことが必要である.
○ また,麻薬製剤供給のため,薬局は開局時間以外の緊急時の要請に対応できる体制整備を徹底するとともに,在宅において麻薬製剤が不用になった場合の廃棄については,医療機関や薬局に返却するよう指導されていることが看護師等にも周知される必要がある.

(2)在宅医療を推進するためのその他の関連諸制度の見直し
○ 我が国の医療制度は,病院や診療所で医療が行われることを前提に構築されてきた経緯もあり,今後一層在宅医療を推進していく上では,関連諸制度の見直しを行っていくことが必要である.当検討会としては,上記のほか,問題提起のあった以下の諸点について,次のように考える.

(1) 在宅で死を迎える患者への対応
○ 患者や家族が安心して在宅療養を行うことができるようにするためには,患者・家族,医師と看護師等が,他の医療関係職種を含め,相互の信頼関係の下に密接に連携することが重要である.
○ これは,在宅で患者が死亡した際の対応についても同様であるが,現状においては,医師と看護師等の連携が十分でないことや,死亡診断書等の手続が,看護師等を含め,十分に周知されていないこと等により適切でない場合があり,患者や家族が安心して臨終まで在宅療養を継続できない要因のひとつになっていると指摘されている.
○ このため,看護師等は,患者の死亡に関係する手続や,役割,責任について十分に理解するとともに,患者の死亡が近いと予期される場合には,家族を含めて事前に医師と,患者の死亡に際しての連絡方法や対応について十分に確認を行っておくことが必要である.
○ 診療継続中の患者は,受診後24時間を超えて死亡した場合でも改めて医師による死後診察を行い,生前に診療していた傷病が死因と判定できれば,医師は死亡診断書を発行できること,警察署への届出は異状があると認めたときのみ必要であることなど,患者の死亡に際しての手続,取扱いについて,看護師等も理解しておくことが必要である.
○ また,他の患者の診察中であるなどやむを得ず医師が直ちに現場に駆けつけることができないが,患者の死亡前24時間以内に医師が診察し,患者の死が近づいているとの判断がなされていたときは,事前に確認されていた連絡方法や対応に即して,患者の死に立ち会った看護師等が,医師に連絡をとって状況を報告し,医師の判断,指示に沿って,患者の尊厳や家族の気持ちに十分に配慮し,点滴の抜去,身体の清拭等の適切な対応を行うことも考慮する必要がある.
  しかしながら,これはあくまでやむを得ない場合における家族などへの配慮として行われるべきものであり,在宅医療に取り組む医師は,患者の死亡に際しては,求めに応じて,速やかに対応するものであることは言うまでもない.
○ これらの点を踏まえ,看護師等が,関連制度を十分に理解した上で,医師と連携をとりながら,在宅患者の死亡に際して個々に適切な対応ができるよう支援するためのマニュアルを作成,普及することが有益である.

(2) 必要な医療機器・衛生材料の供給体制の確保
○ 医療機器・衛生材料についての供給が十分でなく,ケアの質に影響したり,患者・家族の負担になっている場合がある.
○ 医療機器・衛生材料については,患者の状態に併せて医師が必要かつ十分に患者に提供することが必要であるため,訪問看護師等が患者宅を訪問した際,それらの不足があれば,その旨を医師に伝えることにより,十分な医療機器・衛生材料等が提供されるようにすべきである.
○ また,地域によっては医療機器・衛生材料の供給体制に問題がある場合もあり,その場合は,薬局,薬剤師等を含め,関係者が連携をとりながら,必要な医療機器・衛生材料が適切に供給できるシステムづくりを進めることが適当である.
○ 更に,医療機器・衛生材料の供給が確保できない場合は,一定の衛生材料等については,訪問看護ステーションが供給することが適当かどうかについても検討がなされることが望ましい.

(3) 在宅における注射の取扱い
○ 看護師等による静脈注射の実施が可能になったが,医師の指示を受けて看護師等が単独で訪問して,静脈注射,筋肉注射等を行っても,診療報酬を請求できないことになっており,訪問看護師等が行う場合の評価のあり方について検討が行われることが望まれる.

おわりに
 高齢社会の到来,疾病構造の変化,国民の意識の変化等の中で,療養中も,より高い生活の質を確保し,また,住み慣れた地域の中で療養生活を送りたいという国民のニーズは増大してきている.こうしたニーズに応え,患者の生活の質の向上を目指したより良いケアを提供していくことは,医療提供体制全般の改革の中でも主要な課題のひとつとなっている.

 このため,看護師等は,療養生活支援の専門家として,医師,薬剤師その他の医療関係職種・福祉関係職種との適切な役割分担と連携のもとに,その専門性と自律性を発揮し,的確な看護判断を行い,適切な看護技術を提供していくことが求められている.

 当検討会は,国民が安心して,より質の高い生活を送ることができる社会の実現に向けて,本報告書で提言した望ましい看護ケアが,在宅医療を含めた医療の分野で普及・実現していくことはもちろん,更に,看護師等が,福祉施設,学校保健の領域などの分野でも,その機能と役割をより積極的に果たしていくことを期待するものである.

「新たな看護のあり方に関する検討会」メンバー
井部 俊子  聖路加国際病院副院長・看護部長
上野 桂子  聖隷福祉事業団在宅サービス部長
内布 敦子  兵庫県立看護大学助教授
川越 厚  ホームケアクリニック川越院長
川村 佐和子  東京都立保健科学大学教授(座長)
國井 治子  (社)日本看護協会常任理事
西澤 寛俊  (社)全日本病院協会副会長
平林 勝政  國學院大学学長特別補佐・教授
藤上 雅子  (社)日本薬剤師会常務理事
宮武 剛  埼玉県立大学教授
柳田 喜美子  (社)日本医師会常任理事

・看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第1回〜第8回)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#isei


*作成:仲口 路子青木 慎太朗
UP: 20090902 REV:20090905, 06
医療行為/医療的ケア
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