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公的介護保険

Public Long-Term Care Insurance/Public Nursing Care Insurance
介助・介護
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last update:20150730


■介護保険制度とは

 世界でもまれにみる急速な高齢化の進展により、日本では介護を必要とする高齢者の増加、家族による介護の限界、高齢者医療費の増大といった問題が深刻になってきました。そのため、社会全体で介護を担っていくという理念のもと、2000年から介護保険制度が始まりました。
 介護保険制度は、介護が必要な高齢者(要介護認定を受けた高齢者)が、少ない負担(現在は1割負担→2015年8月より所得に応じて1割負担と2割負担に分かれる)でサービスを享受できる仕組みです。サービスを享受するためには、掛け金(保険料)を払う必要があります。保険料を払うのは40歳以上の国民が対象です。保険料の支払いは40歳から年金受給までの間は医療保険料に上乗せされています。年金受給者は、原則として年金から天引きされます。保険料は40歳から支払いますが、利用は原則65歳からとなります。
 しかし、40〜64歳までの間であっても、老化が原因とされる特定の16疾病(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html)にかかった場合は、介護サービスの利用が認められています。
 なお、一カ月毎の利用者負担の合計額が一定の上限を超えた場合には、申請すると「高額介護サービス費」*として超えた分が払い戻されます。また、同じ世帯内で介護保険と医療保険を両方利用して、自己負担限度額*を超えた場合も、申請によって限度額を超えた額*が支給されます。
 しかし介護保険の総費用は2000年度の3.8兆円から拡大を続け、2012年度には8.9兆円にまで膨らんでいます。それにともなって40歳以上が支払っている介護保険料も月額2900円台から4900円台にまで上昇しています。今後もこれまで以上に個人負担が重くなってくることは間違いなさそうです。これまでどおり給付を続けるためには、自己負担額の変更や介護保険給付の対象が見直される可能性があります。

*高額介護サービス費
http://www.my-kaigo.com/pub/individual/money/knowledge/koukyou_seido/0401.html
*高額医療・高額介護合算療養費制度
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/tp0724-1.html

■介護保険手続き・申請について

主治医をきめる。普段からかかりつけの医師がいる場合は、その医師に連絡して意見書を書いてもらえるかどうか確認する。いない場合は居住地域の地域包括支援センターで相談する。
                         ↓
本人または家族が、市町村の窓口に「要介護認定」の申請書と被保険者証を提出
                         ↓
@訪問調査(調査員が自宅などを訪問し、心身の状況や日常の様子について本人や家族に聞き取り調査を行う→介護の必要度を判断)
*限られた時間内で必要な情報を伝えるために、調査員に伝えたいことを前もってメモにしておく
A主治医意見書(役所から医師に直接依頼)
                         ↓
要介護認定は2回の判定を経て決定
一次判定
訪問調査による認定調査票(基本調査74項目と特記事項)と主治医意見書の結果が、全国共通のコンピューターソフトによって介護の時間(要介護認定基準時間)に置き換えられる。
                         ↓
二次判定(介護認定審査会)
有識者(保健・医療・福祉の学識経験者からなり、人数は原則1組5人組)によって、コンピューターによる判定が適切かどうか判断される。ここで、主治医意見書と調査票の特記事項が判断の材料となる。
                         ↓
要介護認定(介護認定審査会の判定にもとづいて、市町村が要介護度を認定し、文書で本人に通知する。申請から通知まで通常約30日かかる)
介護が必要だと認定されれば、申請時に提出した「介護保険被保険者証」に、要介護度が記載されますが、自立(非該当)と認定された場合は、何も記載されていない保険証が通知書とともに返却されます。要介護度が認定された場合、保険証には「有効期間」も記載されます。この期間も審査会で判断されます。有効期間は、更新手続きをして再認定されると延長されます。更新手続きは、期限切れの60日前から当日までできますが、再認定でも、初回と同様に聞き取り調査が行われ、主治医の意見書が作成され、2回の判定が行われます。再認定でも申請から通知までの期間は約30日かかります。また、期限内の場合でも、介護を受ける人の状態に変化があった場合は、要介護度の変更を申請できます。
                         ↓
利用者は、利用を希望するサービスごとに事業者を選択し、それぞれの事業者と契約したのち(介護保険のサービスは契約制度を採用しているため)、サービスの利用をはじめます。しかし、一人暮らしの高齢者で判断力が衰えている場合は、契約も困難になる可能性があります。そのような場合は、判断能力が不十分な大人を法律で保護・支援する「成年後見制度」の利用が考えられます。
*参考
http://allabout.co.jp/gm/gc/302697/

■要介護認定

http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/sankou3.html

■65歳以上の人の介護保険料

65歳以上の人の介護保険料は、各市区町村が定める基準額と本人の所得や同じ世帯の人の所得などに応じて決まります。

■介護保険サービス利用限度額

http://www.kaigokensaku.jp/commentary/fee.html

■言説

◆山井 和則 19950703 『家族を幸せにする老い方』,講談社,277p. ISBN-10: 4062077191 ISBN-13: 978-4062077194 [amazon] ※ b a02 a06
「保険と税金の違い  なぜ、医療や年金に比べて、介護の予算はケタ違いに少ないのか?
 答えはお金の集め方の違いにある。年金も医療も保険で集めている。しかし、介護(福祉)の財源は税金、いわゆる一般財源と呼ばれるものである。<0236<
 […]「増税」に対しては国民の多くが反対する。実際、増税をすることは至難のわざである。つまり、年金や医療のお金は保険方式なので増やしやすいが、介護(福祉)のお金は増税につながるので増やしにくい。「増税分が本当に福祉に使われるのか」という不安と疑問が国民に根強いからだ。[…]
 これに関連して「消費税を福祉目的税に」という意見がある。しかし、これは実現性が低い。[…]
 そんななか、一九九四年に厚生省が提案したのが「公的介護保険」である。」(山井[1995:236-238])
 ・公的介護保険で受けられるサービスとは 240
 ・保険料は月二〇〇〇〜三〇〇〇円がメド 243
 ・民間介護保険には限界がある 245
 ・なぜ税でなく保険なのか? 249
 「このように述べても、介護の財源が「なぜ、保険なのか?」「なぜ、税ではダメなのか?」という疑問が根強い人に、私は税金より保険、すなわち、公的介護保険のほうがよい理由として、次の三つを指摘したい。
 まず一番目に、前述のように保険のほうが使い道がはっきりしているので、増税よりも国民の賛成が得られやすい。消費税導入や消費税率アップのときがそうであったように、日本では増税の社会的合意が非常に得にくい。
 二番目に、日本はすでに医療を公的保険でやっている。医療が保険で介護が税金、というように財源の集め方が違うのはまずい。なぜなら、保険料アップのほうが増税よりもはるかに容易なので、結局、増税で介護を充実させるよりは、保険料をアップさせて医療サービスを増やし、介護問題に対応するというやり方(「介護の医療化」と呼ばれる)が永遠になくならない。たとえばドイツでも、日本と同じように医療は保険で、介護は税でというシステムで対応していた。しかし、日本と同じく介護の遅れや社会的入院、介護の医療化が問題になった。そのため、一九九五年から公的介護保険を導入した。
 介護の不足に医療で対応する「介護の医療化」をなくすためには、医療と介護の財源を同一<0249<レベルにし、お金の集めやすさではなく、需要の大きさにより医療や介護サービスの供給量が決まるようにする必要がある。これは「財源の中立性」という議論である。
 三番目に、保険のほうがハイスピードで介護を充実させることができる。税金は一般財源なので、その使い道について、国でも地方自治体でも予算配分の議論を経ねばならない。となると、どうしても全体とのバランスが求められ、介護だけを大幅にアップさせることは難しい。
 しかし、保険は目的税のようなもので、そのためにしか使われないから、短期間に重点的にある分野を伸ばすのに適している。」(山井[1995:249-250])

◆19960610 身体障害者福祉審議会「介護保険制度の創設に際して」より
 「保険制度については、受給者の権利性が強いこと、本人の選択によるサービスの提供ができること、社会連帯による財源確保が図られること等の利点があるといわれている。しかしながら、障害者施策のうち、介護ニーズへの対応について介護保険制度に移行することについては、1.障害者施策が公の責任として公費で実施すべきとの関係者の認識が強い点 2.身体障害者以外の障害者施策が一元的に市町村で行われていない点 3.障害者の介護サービスの内容は高齢者に比べて多様であり、これに対応したサービス類型を確立するには十分な検討が必要であること 4.保険移行に当たっては、障害者の介護サービスをはじめとして現行施策との調整が必要と思われる点 等なお検討すべき点も少なくなく、また、これらの点についての関係者の認識も必ずしも一致していない。
  当審議会においても、昨年来、老人保健福祉審議会の数次にわたる報告等を受けて審議をしてきたが、今後この問題については、当審議会としてさらに十分に議論を重ね、また、必要に応じて関係審議会とも連携をとりながら、障害者施策にふさわしい介護サービスとその財政方式のあり方を模索していくこととする。この検討の結果が、介護保険制度案大網で予定されている将来の見直しにおいて、適切に反映されることを期待するものである。」

◆199705 閣議決定「経済構造の変革と創造のための行動計画」より
 http://www.miti.go.jp/topic-j/e3275amj.html
 「介護については、介護を医療保険から切り離し、社会的入院の解消を図る条件整備を図るため、また、民間事業者を含む多様な事業主体の参入を促進することにより、効率的にサービスを提供する仕組みとするため、現在、介護保険制度の創設に関連する法律案を国会に提出しているところであり、平成12年度より介護保険制度を実施する。」

◆立岩 真也 2004/11/00 「介護保険制度改革の方向」(与えられた題),『生活経済政策』2004-11

◆立岩 真也 2009/09/10 「軸を速く直す――分配のために税を使う」,立岩・村上・橋口[2009:11-218]*
*立岩 真也・村上 慎司・橋口 昌治 2009/09/10 『税を直す』,青土社,350p. ISBN-10: 4791764935 ISBN-13: 978-4791764938 2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07,

◆上野 千鶴子・立岩 真也 2009/02/01 「労働としてのケア」(対談),『現代思想』37-2(2008-2):38-77,

◆立岩 真也 2010/06/30 「障害者運動・対・介護保険――2000〜2003」,『社会政策研究』10:166-186

◆障がい者制度改革推進会議総合福祉部会 2011/08/30 「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言――新法の制定を目指して」
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/dl/110905.pdf

「【表題】介護保険との関係
【結論】
○ 障害者総合福祉法は、障害者が等しく基本的人権を享有する個人として、障害の種別と程度に関わりなく日常生活及び社会生活において障害者のニーズに基づく必要な支援を保障するものであり、介護保険法とはおのずと法の目的や性格を異にするものである。この違いを踏まえ、それぞれが別個の法体系として制度設計されるべきである。
○ 介護保険対象年齢になった後でも、従来から受けていた支援を原則として継続して受けることができるものとする。
【説明】
  障害者自立支援法は介護保険と障害者福祉の統合を予定して策定され、そのために応益負担、障害程度区分、日額制、常勤換算等が障害者福祉に持ち込まれた。その結果、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけることとなり、この反省から政府は障害者自立支援法の廃止と新たな総合的な福祉法制の実施を約束した。憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものとして新たな総合的な福祉法制を策定することになった。 こうした経過から、障害者自立支援法訴訟原告団との基本合意文書では、「新たな福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険制度との統合を前提とはせず」とされている。これらを前提としつつ、さらに、国民的な議論によってそれらの本来のあり方を、今後検討する必要がある。
  なお、障害者が介護保険対象年齢となった後であっても、それまでの障害者の地域生活の継続が保障されなければならない。また、介護保険が適用される40 歳以上の特定疾病をもつ者については、本人が希望する場合には、障害者福祉による支援が利用可能となるようにすべきである。現行の介護保険優先原則<0016<を見直し、障害者総合福祉法のサービスと介護保険のサービスを選択・併用できるようにすることも視野に含め、今後さらに検討を進めることが期待される。もっとも、これは若いときからの障害者の特性を重視し、生活の継続性の確保をすることを主眼においた提言であるが、一方では65 歳以上で要介護状態となった高齢者にも平等な選択権が保障されるべきであるとの意見もあることから、更に慎重な議論が必要である。
  具体的な運用面では、まず、障害者自立支援法の重度訪問介護や行動援護等は介護保険には「相当する」サービスがないことは明確であり、継続的に利用できるようにすべきである。
  次に、障害者自立支援法では、介護保険対象者になると訪問系サービスの国庫負担基準が低くなるように設定されており、市町村に財政的な負荷が増えるため、従前のサービス量確保に困難をきたすことから、従前のサービス量を確保できるよう、その仕組みの廃止を検討すべきである。
  さらに、障害者自立支援法の下では、施設入所支援と生活介護の利用者は原則的に介護保険の被保険者になれない制度となっているが、こうした人たちも地域移行などに際して希望すれば介護保険サービスを選択・併用できるようにすることを検討すべきである。退所しないと被保険者になれず要介護認定も受けられないため、移行計画が作成されている場合、要介護認定を受けられるようにすべきである。」(障がい者制度改革推進会議総合福祉部会[2011:16-17])

◆立岩 真也 2012/12/25 「共助・対・障害者――前世紀末からの約十五年」,安積他[2012:549-603]*
*安積 純子・尾中 文哉・岡原 正幸・立岩 真也 20121225 『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 第3版』,生活書院・文庫版,666p. ISBN-10: 486500002X ISBN-13: 978-4865000023 [amazon][kinokuniya] ※

 
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■生存学創成拠点関係者による文章[PDF/テキストデータあり]

各務 勝博 2010/03/31 『Core Ethics』6:109-119
「「寝たきり予防」から「介護予防」へ――そこで語られてきたこと」,[PDF]

■法律

◆介護保険法
・概要(厚生省のホームページ内)
 http://www.mhw.go.jp/topics/kaigo99_4/kaigo1.html
・本文(厚生省ホームページ内)
 http://www.mhw.go.jp/topics/kaigo99_4/kaigo6.html
・介護の社会化を進める1万人市民委員会のホームページ内
 http://www.kaigo.or.jp/bill.html
・日本看護協会のホームページ内
 http://www.nurse.or.jp/information/law/kaigo/kaigo-index.html
http://www20.big.or.jp/~kaigo/law/
◆介護保険法施行令
・厚生省のホームページ内
 http://www.mhw.go.jp/topics/kaigo99_4/kaigo7.html
・介護の社会化を進める1万人市民委員会のホームページ内
 http://www.kaigo.or.jp/enforce.html
◆介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令
 http://www.mhw.go.jp/topics/kaigo99_4/kaigo8.html
◆介護保険法及び介護保険法施行法の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令
・概要(PDF136KB)
 http://www.mhw.go.jp/topics/kaigo99_4/41pdf/1-6.pdf
・本文(平成11年9月3日政令第262号)
 http://www.mhw.go.jp/topics/kaigo99_4/txt/d262.txt

■文献:本・雑誌特集(これから掲載) →介助・介護:文献

◆山井 和則 19950703 『家族を幸せにする老い方』,講談社,277p. ISBN-10: 4062077191 ISBN-13: 978-4062077194 [amazon] ※ b a02 a06
◆宮武剛* 1995 『「介護保険」とは何か』,保健同人社,1800円 *毎日新聞論説委員 ※
◆高齢社会をよくする女性の会 編 19961213 『公的介護保険Q&A』,岩波書店,岩波ブックレット416,71p. 400 ※
◆『月刊福祉』 19990501 特集:介護保険制度施行準備の現状と課題――全面施行までの1年を検証する 『月刊福祉』82-05(1999-06) 971
◆山田 昭義・水谷 真・若松 利昭 編 19990625 『介護保険には任せられない――障害者の生活から発想する支援システム』 風媒社,158p. 1000
◆『ノーマライゼーション 障害者の福祉』 19990701 特集:介護保険と障害者施策
◆19991225 『季刊福祉労働』85号,特集:介護保険と障害者
◆地域医療研究会・介護の社会化を進める1万人市民委員会 編 19990630 『医療と介護保険の境界――「介護保険」で適切な医療と介護は提供されるのか』,雲母書房,164p. 1890 ISBN-10: 4876720770 ISBN-13: 978-4876720774 1890 [amazon][kinokuniya] ※ a02i,
◆介護保険給付管理研究会 20000415 『これならわかる「給付管理」――現場で使える帳票記入マニュアル』,医学書院,323p. 3200
 http://www.igaku-shoin.co.jp
◆岡光 序治 20021010 『官僚転落――厚生官僚の栄光と挫折』,廣済堂出版,221p. ISBN-10:4331509249 ISBN-13:978-4331509241 \1680 [amazon][kinokuniya] ※ hiv d07 a02i b1990/9109wt
◆和田 勝 編 20080220 『介護保険制度の政策過程――日本・ドイツ・ルクセンブルク 国際共同研究』,東洋経済新報社,589p. ISBN: 4492701206 ISBN-13: 978-4492701201 6090 [amazon] ※ a02.a02i.

■文献(これから掲載)

◆本沢 巳代子 20000301 「介護保険と家族介護の社会的評価」,『現代思想』28-04(2000-03):209-213(特集:介護――福祉国家のゆくえ) 
平岡 公一 1999 「介護保険制度の創設と福祉国家体制の再編――論点の整理と分析視角の提示」
 『社会学評論』49-3:389-406
◆平岡 公一 19991011 「日本における福祉多元主義の展開と介護保険制度」 日本社会学会第72回大会報告
◆赤羽 千恵・小林 明子・武田 育実 19981225提出 「介護保険の準備状況――塩尻市・松本市・三郷村の担当者に聞く」
 1998信州大学医療技術短期大学部看護科卒業研究レポート
◆野口 俊彦  19980925 「当事者主体のサービス供給現場から社会福祉基礎構造改革、介護保険を考える」,『季刊福祉労働』80:025-029 ※
◆後藤 正規 19960905 『後藤正規対談集 高齢社会の福祉・医療――21世紀の課題に挑戦』,静山社,358p. ISBN-10:4915512339 ISBN-13: 978-4915512339 \2000 [amazon][kinokuniya] ※ a02i a02
伊田広行 199503 「『介護保険構想』と当事者主体」,『ジョンフル・ビギン』3 ※
◆『ドイツ介護保険のすべて』,筒井書房,1995年,1700円 ※
◆京極 高宣 20050320 『国民皆介護――介護保険制度の改革』,北隆館,175p. 1900+税 ISBN-10: 4832608177 ISBN-13: 978-4832608177 [amazon] ※ a02i.

 
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■高齢者保健福祉政策の経緯

1963    老人福祉法制定
       ・特別養護老人ホーム創設
       ・老人家庭奉仕員(ホームヘルパー)法制化
1973    老人医療無料化
1982    老人保健法の制定
       ・老人医療費の一定額負担の導入等
1989    ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略)策定
       ・施設緊急整備と在宅福祉の推進
1993    厚生大臣の私的諮問機関として「高齢社会福祉ビジョン懇談会」発足
1994    新ゴールドプラン(新・高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略)策定
       ・在宅介護の充実
19940328 「二一世紀福祉ビジョン」
       厚生省内に「介護対策本部」が設置され、その下に「高齢者介護・自立支援シ
       ステム研究会」(学者等十名で構成)が置かれる。
19940909 首相の諮問機関「社会保障制度審議会」の「社会保障将来像委員会・第二次報告書」
 「介護サービスを負担の能力に妨げられずに受けられることを保障し、加えて、供給量と質的水準の確保を行う公的施策である。」「国・地方公共団体が、介護サービスの質・量の確保や、そのための財源確保に責任を持つ。また利用に当たっては、利用者の主体的な選択が尊重されなければならない。」「保険料を負担する見返りして、受給は権利であるという意識をもたせることができる」(宮武[1995:16-17])
19941213 「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」を報告※
     (宮武氏の本にその全文と委員名簿が掲載されている)。
※ 高齢者以外の障害者については,総合的な障害者施策の推進が必要。介護を取り出して社会保険とするには慎重な検討が必要。??
199504〜 「老人保健福祉審議会」で検討

199507  社会福祉審議会勧告
       一九七七年度から導入する
19960123 高齢者介護対策本部「全国厚生関係部局長会議資料」その1
      高齢者介護対策本部「全国厚生関係部局長会議資料」その2
19960610 身体障害者福祉審議会「介護保険制度の創設に際して」
 ……
1996   連立与党3党政策合意
       介護保険制度創設に関する「与党合意事項」
199712  介護保険法成立
200004  介護保険法施行
200006  自自公3党合意による介護保険見直し
200304  介護報酬改定
       第1号保険料の見直し
200506  介護保険等の一部を改正する法律成立
200510  上記の改正法の一部施行(施設給付の見直し)
200604  上記の改正法の全面施行(介護予防ケアマネジメント→地域包括支援センター実施、
      要支援者への給付→介護予防給付、地域支援事業の実施、施設給付の見直し、地域密着型
      サービス創設等)
      介護報酬改定
       第1号保険料の見直し
200805  介護保険料及び老人福祉法の一部を改正する法律成立
200904  介護報酬改定
       第1号保険料の見直し
200905  改正法の全面施行
       (介護サービス事業者の業務管理の体制整備、サービス確保対策等)
201106  介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律成立・公布、一部施行
201204  改正法の全面施行(24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービス等
      の創設、介護職員等によるたんの吸引等の実施、保険料の上昇緩和のための財政安定化基
      金の取崩し等)
      介護報酬改定
       第1号保険料の見直し
※2014年4月、消費税率8%への引上げに伴い介護報酬改定。区分支給限度基準額の見直し。

20140618 「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する
      法律」(医療・介護総合推進法)成立
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/resources/1ac0140a-324c-433f-b223-12d6aa168641/%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA%E6%9C%80%E6%96%B0%E6%83%85%E5%A0%B1Vol.380.pdf

*支払い能力に応じて負担を引き上げ、サービスの利用はより介護の必要性が高い人に重点化し、よりメリハリをつけたものにする。
[主な改正点]
@利用者負担の増加(2015年8月〜)
現在、介護保険の利用者負担は一律で1割負担ですが、一定以上(単身で280万以上、夫婦で346万円以上)の所得がある人は2割負担に引き上げられます。

「介護保険負担割合証」の配布→2015年度の介護保険制度改正に伴い、2015年8月以降、65歳以上の方のうち、前年の所得が一定以上ある方は、介護保険を利用した際に負担する介護サービスの利用料が2割となります。「介護保険負担割合証」は、要支援・要介護認定を受けておられる方々の利用者負担割合を証するためのものです。介護サービスの提供を受ける際には、介護サービスを提供する事業所に必ず被保険者証(介護保険証)と一緒に提示する必要があります。

介護サービス事業所で支払う利用者負担割合の判定方法
介護サービスを受けられる際に支払う利用者負担の割合の判定方法は次のとおりです。市民税非課税の方、生活保護を受給している方、旧措置入所の方及び第2号被保険者の方(40歳以上65歳未満の方)については、これまでどおり1割負担のまま変更はありません。

保険者の種別利用者負担段階負担割合(原則)
第1号保険者市民税非課税の方、生活保護受給者及び旧措置入所者1割
第1号保険者本人の合計所得が160万円未満1割
第1号保険者本人の合計所得が160万円以上で、同一世帯の第1号被保険者「年金収入+その他の合計所得(*)」が単身世帯280万円未満、2人以上世帯346万円未満1割
第1号保険者本人の合計所得が160万円以上で、同一世帯の第1号被保険者「年金収入+その他の合計所得(*)」が単身世帯280万円以上、2人以上世帯346万円以上2割
第2号保険者1割

*その他合計所得―合計所得金額から年金所得を引いたものです。

利用者負担割合が変更になる場合
介護保険負担割合証は、同一世帯の第1号被保険者の方の前年の所得に応じて利用者負担割合が決定され、8月1日から翌年の7月31日までが適用期間となりますが、修正(または更正)申告をされて所得が変わる場合や転出及び転入により、世帯の状況が変わる場合等に適用期間の途中で利用者負担割合が変更となる場合があります。

利用者負担割合が変更になった場合は、お住まいの区の区役所・支所福祉介護課から変更後の介護保険負担割合証が送付されてくるので、古い介護保険負担割合証は処分し、新しい介護保険負担割合証を使用する必要があります。

適用期間中に65歳に到達される場合
第2号被保険者の方(40歳以上65歳未満の方)については、介護サービスの提供を受けた際に支払う利用者負担の割合は1割負担のまま変更はありませんが、適用期間中に65歳に到達された場合は、65歳到達日の属する月の翌月1日から世帯の所得状況に応じて2割となる場合があります。65歳到達により、2割となる場合は、「介護保険負担割合証」の利用者負担の割合欄に2段書きで変更前と変更後の割合が記載されます。

A特別養護老人ホームの入所基準の厳格化(2015年4月〜)
現在は要介護1から入所する資格がありますが、これからは原則要介護3以上に限定されます。厳格化の対象は新規の入所者になるため、現在入っている要介護1〜2の方はそのままとなります。
B特別養護老人ホームの食費や居室代(2015年8月〜)
特別養護老人ホームでは、低所得者の方に対しては食費や部屋代を補助する仕組み(介護保険負担限度額認定)があります。これまでは住民税の非課税世帯をもって低所得者としていましたが、預貯金が多くあったり、課税されない遺族年金を多くもらっていたりなどして不公平という声がありました。そのため、住民税非課税の低所得者でも単身で1000万円超、夫婦で2000万円超の貯金があれば補助を廃止することになります。

見直しの内容の詳細(住民税世帯非課税に加えて、追加される要件)
○配偶者の所得の勘案
特別養護老人ホーム等の入所に際して、住所を異動して配偶者と住民票の世帯が別になっている場合であっても(本人が市町村民税非課税世帯に属している場合でも)、配偶者が市町村民税課税者である場合は、負担限度額の適用を受けることができません。
 配偶者の範囲…婚姻届を提出していない事実婚や長期の別居や事実上離婚状態にある場合を含む。行方不明、DV防止法に基づく配偶者からの暴力があった場合を除く。

○預貯金等の勘案
預貯金等の資産が、単身で1,000万円、又は夫婦で2,000万円を超える場合は、特定入所者介護(予防)サービス費の支給対象となりません(夫婦以外の世帯員の預貯金等は含みません)。
種類 対象か否か 添付書類など
預貯金(普通・定期) 通帳の写し(インターネットバンクであれば口座残高ページの写し)(銀行名・支店名・名義、最終残高(2ヶ月前まで)の分かる部分)
有価証券(株式・国債・地方債・社債など)証券会社や銀行の口座残高の写し(ウェブサイトの写しも可)
金・銀(積立購入を含む)など、購入先の口座残高によって時価評価額が容易に把握できる貴金属 購入先の銀行等の口座残高の写し(ウェブサイトの写しも可)
投資信託 銀行、信託銀行、証券会社等の口座残高の写し(ウェブサイトの写しも可)
タンス預金(現金) 自己申告
負債(借入金・住宅ローンなど) 借用証書など
生命保険 X
自動車 X
貴金属(腕時計・宝石など、時価評価額の把握が困難であるもの) X
その他高価な価値のあるもの(絵画・骨董品・家財など) X

申請に当たって
○虚偽の申告に基づき特定施設入所者介護(予防)サービス費の支給を受けた場合は、支給された額及び最大2倍の加算金を返還していただくことがあります。
○生活保護を受給されている方については、申請にあたって配偶者及び預貯金等の申告は不要です。
○介護保険負担限度額認定申請書の中にある同意書の欄は本人が署名のうえ、押印してください。署名ができない場合は、代筆である旨記入し、代筆者の氏名、続柄を追記してください。
(代筆例) ○○ ○○ 印 代筆者 ○○ △△ 妻
また、配偶者が有の場合は、預貯金等の有無に関わらず、配偶者も署名してください。

C要支援者向けサービスを市区町村へ事業移管(2015年4月〜)
要支援者向けの予防給付の訪問介護と通所介護の2つを切り離し、市町村の裁量に任せることになります。
Dサービス付き高齢者向け住宅の住所地特例の適用(2015年4月〜)
対象となる範囲が大幅に広がります。また、住所地特例の対象者について、居住地の市町村が指定した地域密着型サービス等の利用を可能にするとともに、居住地の市町村の地域支援事業の対象となります。
  
 
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■障害者サイドの動き

 ※下記にもっとも多く情報が掲載されていますのでご覧ください。
 『全国障害者介護制度情報』

◆20000318 自立支援センター「ぱあとなぁ」他主催
 障害者の自立生活と介護保険〜新ミレニアムの「介護」を考えるシンポジウム〜 於:東大阪市
◆19980209 講演会
 「どうなる介護保険と障害者?――カナダ・トロントのセルフマネジドケアに学ぶ」
◆19981000 中西正司
 「当事者主体の障害者介助サービス・システム――セルフマネジドケア」
 『福祉新聞』連載
◆19980810 2000年障害者介護保障確立全国行動委員会→厚生大臣
 障害者の介護保障の確立を求める要望書
◆19980809 全精連 加藤 真規子
 精神障害者の自立支援と介護保障
 2000年障害者介護保障確立全国行動98年8月集会パネラー資料
◆19980729 中西正司(DPI日本会議前議長・JIL常任委員)
 2000年の障害者の介護保障確立のために全国行動を
 『全国障害者介護制度情報』1998年7月号,pp.7-8
◆199807 DPI日本会議・全国障害者介護保障協議会・全国自立生活センター協議会
 行動へのよびかけ  『全国障害者介護制度情報』1998年7月号,p.11
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UP:20080114(ファイル分離) REV:20080407,08, 20101129, 1214, 20120128 20131210, 20140521, 0701, 0703, 1204, 20150131, 0511, 0730 
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