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介助・介護 2012

介助・介護

last update:20120104

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■介護・国保 進まぬ広域化…大阪

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保険料で格差 負担増に警戒感

 お年寄りらのかけ声と手拍子が響く中、真っ白な餅がつき上がった。大阪府四條畷市の特別養護老人ホーム「南野らくらく苑」。
 笑顔で見守っていた藤重愛子さん(83)が「ここに暮らせてよかった」とつぶやいた。
 藤重さんは夫と一人息子を亡くし、守口市の自宅で独り暮らしをしていた。2009年に自宅で2度転倒し、いずれも足の骨を折って入院。親族が心配し、特養を探したが、市内の施設は満員だった。困っていた頃に同苑がオープンし、入所できたという。
 同苑には、65〜104歳の29人が暮らす。通常は所在地の住民しか入所できない地域密着型特養だが、ここは四條畷市以外の守口、門真両市からの計7人も含まれる。3市がくすのき広域連合を組織し、合同で介護保険【クリップ】を運営しているからだ。福井光治次長は「高齢化が進行して需要が増える中、3市のサービスを共有でき、利用者に喜ばれている。市の事務費は効率化できたし、事業者側も利用の見込みが立ち、運営しやすい」と、合同運営の利点を説明する。
 ただ、65歳以上の保険料は月4645円と府内18番目の高さで、3市の総人口(約33万6000人)と同規模の吹田市(4257円)、高槻市(3840円)よりも高い。府介護支援課は「利用が増えると、給付総額が膨らみ、保険料は高くなる。給付と負担のバランスをどうするかは市町村の判断」とする。府内で他に広域化の動きはないという。
 守口、門真、四條畷の3市は、市町村が担うもう一つの保険制度・国民健康保険【クリップ】でも広域化を検討したが、実現していない。
 介護保険では00年の制度開始に合わせて同連合を結成したが、国保はすでに半世紀が経過し、市によって実状が大きく違う。国保の保険料は自治体で計算方法も異なる。税控除後の給与所得200万円の親子4人世帯(10年度、年間)で比べると、守口市が46万4000円、門真市が42万4800円、四條畷市が38万9000円。四條畷市は3市の中で唯一、黒字運営で、松川順生・保険年金課長は「合同運営で保険料が上がるのは受け入れられない」と話す。
 なぜこれほど差が生じるのか。府国民健康保険課は「適正に保険料を設定し、きちんと徴収すれば赤字にならない」と言う。守口市の保険料収納率は、81・48%と3市の中で最も悪い。同市は滞納督促や不正請求のチェックに力を入れるが、松良之・保険課長は「国保の被保険者は自営業者や非正規労働者ら。不景気で納められない人が増えている」と反論する。
 同市内の西田幸男さん(60)は5年前、経営不振で衣料品店を手放し、今はその店に月給14万円で雇われている。国保の保険料は、夫婦で月3万4000円。2人とも内科や皮膚科に通院し、医療費も月1万円ほどかかる。「国保料を払ったら、生活していけない」。市に相談し、昨年から分割納付しているという。
 各市町村では12年度分の保険料算定が進む。松課長は「値上げせざるをえないだろう」と表情を曇らせた。
 大阪都構想では、介護保険、国民健康保険について、「市町村で大きな格差が生じている状況は好ましくない」として、大阪全域での一体運営を提唱する。国保の運営は、国も昨年、都道府県への移管を打ち出した。
 広域化すると、住民の負担が増える自治体と減る自治体がある。介護、医療制度に詳しい山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大名誉教授(社会保障論)は「介護サービスや医療は地域によって需要が異なり、都道府県全域で均質にすると、実情に合わない恐れがある。保険料が高くなる市町村で合意を得るのは、なおさら難しい。住民を巻き込んだ慎重な議論が必要だ」と指摘した。(中田敦之)
 【クリップ】介護保険 利用料を除いた給付費のうち国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%をそれぞれ分担し、残り50%を65歳以上の高齢者(第1号被保険者)と40〜64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)の保険料でまかなう。
 【クリップ】国民健康保険 医療機関を受診した際の窓口負担分などを除いた給付費の負担割合は、国が34%、都道府県が7%、国の調整交付金が9%。残り50%が保険料だが、収納率の低下で全額を確保できず、市町村の一般会計からの繰り入れなどで補われている。

 読売新聞社が知事と府内全43市町村長に行った首長アンケートで、国民健康保険と介護保険について、「大阪全域で一体運営し、保険料も統一する都構想の方針についてどう考えるか」と聞いたところ、全44首長の8割の37人が「統一すべきだ」と回答。大半が財政基盤の安定化と保険料格差解消を理由に挙げ、65歳以上の介護保険料が府内で最も高い八尾市の田中誠太市長は、「負担が異なるのは不公平感がある」とした。
 一方、「ほかの対策がよい」を選んだのは2人。岡本日出士・大東市長は「累積赤字の自治体と黒字の自治体、収納率の違いなどがあり、うまく広域化できるか疑問」と回答。「現状のままがよい」はゼロ、5人はいずれも選択しなかった。
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(2012年1月4日 読売新聞)


UP:20111226 REV: 20120103, 0104
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