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障害者自立支援法:『季刊福祉労働』2005

障害者自立支援法  『季刊福祉労働』


 製作:堀田義太郎

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各論文からの引用と簡単な論点整理(論点の重複あり)
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■■108号(2005秋)

■ 「障害者自立支援法廃案――障害者の地域生活確立に向けた闘いは続く」尾上浩二、(108、05:Autamun、139-143)

「1. 本人に会わずに決める市町村審査会
 2. 高齢者向けの「要介護認定」を基にしたサービス尺度
 3. 移動支援事業は裁量的経費の地域生活支援事業へ
 4. 自立支援給付の義務的経費には上限がある
 5. 重度障害者等包括払支援は、サービスが削減される恐れ
 6. グループホームの再編 地域生活の場がミニ施設化へ
 7. 難病などの谷間の障害者はまたもサービス対象外
 8. 低所得者からも一〇%の負担 定率負担(応益負担)
 9. 扶養義務の強化〜同一世帯の収入合算で費用負担
 10. 障害者自立支援法では障害者の権利は守られない」(140-1)

■■109号(2005冬)

■「障害者自立支援法からみえてきたもの――これからの取り組み」山本創、(109、05-06:Winter、12-21)

支援費制度―― 「利用見込み、実態調査等もないまま」の予算の設定⇒ 「財政破綻は明らかな見込み違い」
障害者自立支援法への流れ―― 「マクロベースの予算設定からの逆算による制度維持のためのつじつま合わせ」(18)

「難病や高次脳機能障害、発達障害といった「制度の谷間にある障害」」⇒ 再び「今後の検討とされた」(19)

「現在の障害者認定では免疫系や血液性疾患に対する社会生活上の困難さを反映する認定項目が抜け落ちている」(19)⇒ 「原疾患(Impairments)が異なっていても、そこから生じる活動、参加における障害、ハンディキャップが同じであれば、差別するべきではない」(20)

「資産形成前に発症した若年難病者の就労支援等の所得保障の問題、家計の問題は深刻である」(20)

■「支給決定の仕組みの問題点とこれからの介助保障」茨城尚子(109、05-06:Winter、22-28)

日本の障害者福祉……手帳制度による障害程度認定 = 医学的尺度を根拠に判断

⇒ 「いつ障害を負ったのか、またどのような生活障害があるのかが重要であり、さらに、その人がどのような社会活動をしているのかによっても、必要な支援の質量は変わってくる」(22)

「等級が固定され、その範囲内でのサービス利用が認められるという仕組みから、それぞれの日常生活の必要度に応じて福祉サービスを決定、選択していくニーズに基づく供給システム」を望んできた。(22)

障害者自立支援法の認定から支給決定までの仕組み――「透明性」がうたわれた。

・一次判定―― 内容は諸個人の生活環境や目的等に応じて異なるニーズに対応できない「身体機能」に特化したADL基準。

・二次判定――「ホームヘルプなどの時間数について、市町村が決めた基準よりも多い支給量が必要となる場合(非定型な支給)、そのサービス水準が適正かについては、市町村審査会で検討されることになっている。現時点で、この非定型とはどの程度ヘルパー派遣が必要な人があてはまることになるのかは明らかになっていないが、おそらく障害程度区分の最重度の国庫補助金配分額を超える場合は、非定型とみなされると考えられる。介護給付の最重度区分の国庫補助金配分額が、最大一日二四時間までのヘルパー派遣に対応できる額となることは事実上ありえないと考えると、多くの一人暮らしの重度身体障害者など家族介護を得られない場合は、事実上のこの非定型という形で、審査会の検討にゆだねられることとなる」(26)

・審査会―― 委員構成 多くの市町村では「現在の介護保険審査会の委員が要件を満たせば、一部の委員の入れ替えなどによって同じ委員会で事実上実施されるということになるのではないかと言われている」(ibid.)⇒ だが、介護保険では、二次判定基準もマニュアル化されており、また、「一件あたりの協議時間は、数分から長くても三〇分程度であり、事実上マニュアルがなければ仕事が進んでいかない状況」(27)である。
委員会メンバーは申請当事者の生活実態を具体的に知らないことが前提 ⇒ 一次判定に疑義を申し立てる回路として不十分(ibid.)。

制度の評価―― 「支援費制度では知的障害のガイドヘルプの需要が急激に高まり、予算を大きく上回ったことを問題視しているが、一方でガイドヘルプ事業は知的障害の人たちにとってどんな効果をもたらしつつあるかデータとして示し、十分に議論する」ことはなかった(28)。

■「障害者自立支援法――介護の質は確保できるのか」野口俊彦(109、05-06:Winter、29-37)

・単価の引き下げ―― 「長時間介助の単価」の引き下げ。知的障害者や視覚障害者の移動介護は家事型単価で低いために、自立生活センター関係の事業者は家事型単価の赤字が出るところを介護型単価で補って」きた(33)。
⇒ 「その介護型単価が一時間半以上になると、超過した分から家事型単価で支払われるようになり、その結果、全身性障害者移動介護を多く提供してきた事業者は二〜三割の収入減」になっている(ibid.)。

現在の事業所の平均収入単価……約2000〜2300円/時間前後 ⇒ 給料・事業所維持・コーディネーターの確保でギリギリ

障害者自立支援法による変化

・ 「支援費制度の日常生活支援が無くなり、重度訪問介護」に変わった(34)
 ――この重度訪問介護に、「障害区分の要介護度がハイレベルの人だけを対象とする」という枠組みが作られてしまうと、これを使えない利用者への給付基準は、「第一に、介護・家事型で決定される」ことになる。⇒ 「しかし、介護・家事型利用者はケアプラン作成時から家事をする時間、排泄・入浴をすること等の時間帯や回数まで決められ」る(ibid.)。
食事・入浴・排泄時間が他人に決められている ―― 「施設はなくなったが、在宅が施設になった」状態になりかねない。

・「移動介護が地域生活支援事業から提供される」ことになる ⇒ 移動介護が個別給付から外され、市町村の予算次第でサービス内容が変わる恐れがある(ibid.)

・「ヘルパー資格を介護福祉士レベルまで引き上げようとする動き」(35)⇒ 130時間の受講から500時間へ。既に介護者が不足している現状では、「介助者確保は絶望的」になる(36)。
 また、専門職として身分保障されたヘルパーが介助に専念するようになり、「実質上の施設管理体制が在宅生活でも行われることに」なる恐れもある(ibid.)。

介助(ヘルパーの仕事)のルールの主体 = 個々の障害者

■「なぜ今「応益負担」なのか」太田修平(109、05-06:Winter、38-42)

一割の自己負担
・個人の場合―― 障害基礎年金一級=約8万3000円(月額)
               二級=約6万7000円
だけであり、所得保障がないなかでの「応益負担」(39)

・負担額軽減措置―― 各自治体の裁量に委ねられている。所得調査を伴う(プライバシーの侵害)。また、調査対象の所得とは本人個人の所得ではなく「世帯ベース」であり、家族の所得が基準として用いられる。⇒ 最大月額42000円の負担になる。
 ⇒ 政府は42000円の負担を求められる世帯は全体の約5%と主張したが、野党議員と東京の障害者団体の共同試算では、世帯全体の63%が42000円の負担を求められる「一般」に分類されるという結果が出ている(40)。

・施設で暮らしている場合―― 「ホテルコストの負担も求められ、月額手元に25000円しか残されない仕組みとなる」(39)

・自立支援医療―― 更正医療や育成医療、精神障害者の通院医療費⇒ 基本的に一割ないし三割の負担。人工透析などの恒常的医療の必要な障害者には、きわめて大きい負担が課されうる。

■「障害程度区分で分けるって……憲法違反でしょう」津田茂樹(109、05-06:Winter、43-47)

☆ 主に「授産施設」の観点から

「障害程度区分によって否応なしにケアホーム、グループホームとに分断される」(44)
「日中活動を、その障害程度区分により、介護給付と訓練等給付に分ける」(46)
「福祉工場」と呼ばれていた場所 ――「雇用型、非雇用型に分けられ、就労継続支援の訓練等給付」にされる。「自律訓練(有期限)、就労以降(有期限)」として就労先に送り出す制度として位置づけられる。

「入所期間の長期化」、「就労実績」が低く「施設が抱え込んでいる」(47)という厚労省の主張 ⇒ 「授産施設に長期滞在しなければいけないのは、効率がすべてのような社会、障害者を雇用するより、障害者雇用納付金を支払っても雇用しないほうが利益を生むと考えている会社と、それを支える国の弱腰」に起因する問題(47)。

■「後退する障害者の社会参加」今岡望(109、05-06:Winter、48-52)

☆ 「移動介護」の観点から

措置時代の移動介護―― 規制も多く、市町村格差もあった。大阪府下でも、「@時間帯及び曜日の制限(平日九時〜一七時のみ利用可能)、A行き先制限(市内や近隣市のみ利用可等)、B障害等級(身体障害一・二級、知的障害A・B1のみ利用可等)などの規制」

支援費制度への移行―― 規制は大きく緩和された

障害者自立支援法―― 「「移動介護」は二〇〇六年四月から開始される障害者介護給付における「行動援護」と「重度訪問介護」、そして同年十月から開始される地域生活支援事業における「移動支援」の三つの類型に分けられることになる」(49)

・行動援護
 支給対象者:「知的障害により行動上著しい困難を要する者」(ibid.)。
 サービス内容:「外出時及び外出の前後に予防的対応・制御的対応・身体介護的対応を行う」
 単価適用:「一日一回、日中に最大五時間の利用で、早朝・夜間・深夜割り増しの設定はない。また、居宅介護計画に沿ったものとし、突発的なニーズに対する支給は想定していないと国は説明」(ibid.)

⇒ 「大阪府では行動援護類型の指定事業所はわずか数箇所、支給決定もわずか数件」
「移動介護との併給ができない」(50)

・重度訪問介護
 「日常生活支援」にほぼ準じるものと位置づけられている
日常生活支援の支給対象者:「日常生活全般に常時の支援を要する全身性障害者」(ibid.)
 
・移動支援
「「行動援護」「重度訪問介護」の利用者は重度障害者に限定されている」⇒ 大半は「移動支援」の対象者となる。
「移動支援」=裁量的経費として扱われる「地域生活支援事業」の一部とされている(51)。※ 国は200億円(06年10月〜07年3月の概算要求額)。これは裁量的経費であり上限となる。

移動支援は介護給付から外され自治体に委ねられる ⇒ 財源確保困難(52)


*このファイルは文部科学省科学研究費補助金を受けてなされている研究(基盤(B)・課題番号16330111 2004.4〜2008.3)の成果/のための資料の一部でもあります。
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/p1/2004t.htm

UP:20070417 REV:
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