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『声の文学――出来事から人間の言葉へ』
西 成彦
20211225 新曜社,272p.
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last update: 20220223
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西 成彦
20211225 『声の文学――出来事から人間の言葉へ』,新曜社,272p. ISBN-10: 4788517493 ISBN-13: 978-4788517493 2400+
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※ mc. l10
■内容
紀伊国屋書店HPより
ヒミツはいつ、誰の前で言葉にされるのか。水俣病、戦時性暴力、レイシズム、ジェノサイド―理不尽な暴力にさらされた周縁的な存在たちひとりひとりからこぼれでる抵抗の声は、いかにして社会へと開かれ、それを聴き取る者、それもまたひとりひとりであるわれわれを「社会的な力」へと変容させる「文学」たり得るのか。
■目次
I 「海洋文学」から「海の文学」へ
我が耳はみ墨の坩(つぼ)
その死が犬死ではなく
民族の数ほど異なる「物語」
スジャータの肌は抜けるように白かった
マリアさまはチカップのハボです
わが食う魚いおにも煩悩のわく
II 日本のヒミツにふれる
飛んでゆこうかい、舟で
ふつうの家庭の夫婦の間にだっていくらもある
男からは、なんにも言えないよ
男たちは、女の「ヒミツ」の聞き手にはなれない
父にかくれて習った日本語です
心を癒すかのようにその打ち明け話の聴き役に徹する
夢のなかでくすくす笑う
法定伝染病の中に性病が
船が見えたと聞いた瞬間に甲板から
III 文学とオーラル・ヒストリー
軍艦島をアウシュヴィッツのように
はたらけば自由に(アルバイト・マハト・フライ)
このまま真っすぐに底へ底へと掘り進んでいったら
ウィルタで内地戸籍に入っていなかったため
第9章 地域に根づくということ
石炭をば早や積み果てつ
受動とも言えず、能動ともまた言えない言葉の共鳴
軍人たちは勝手に名前をつけて呼ぶ
可愛いならおばあさんが飼いません?
少女たちは必死で走った
子猫が入った玉ねぎの網
そりゃあなたが殺人犯ですよ
語り手はインタビューの場で語りを生産する演技者
彼女はぼくをはねつけるのではなかろうか?
いまはなるほど身分は低くておぞましいものだけれども
彼女の語っていたのは、マヤ人全体の生
証言者が出来事の言葉を語り出す
当事者と向き合い聞き取り作業を行った調査者たちの視線や思い
実在の人物の生成をとらえなければならない
語り部は黙って行動者を撮ってくださればいい
IV ジェノサイド縦横
三分の一を追放、三分の一を抹殺、三分の一を強制改宗
殺される前にあらかじめ害虫のレッテルを
集まっていて一度に多くが殺傷された
テンプレートな悪意
暴力的にでも線を引かなくてはいけないこともある
軍隊や警察のような国家の暴力装置ではなく、民衆
男たちは未来永劫、この闇を抱え続けるのか
魂を引き渡してしまったからっぽの女
朝鮮やシベリアで弾圧やゲリラ戦を戦ってきた
どこにいようとも、日本人であることをやめることは、出来ない
置いていってくれるなら、わたしが面倒を見る
どの悪にしても、だれしもどこか身におぼえがある
人はもはや話さず、話させられる
なぜ、あんなことばをあなたはわたしの耳に
構造の持続を断ち切るような言表はありえるのか
もし主体が構造を反復し再生産するだけの存在だとしたら
被害者にエイジェンシーを発揮の余地がないとみなされる
村人はむろん家族に対しても自らの被害の苦しみを訴えることができず
構造の暴力を免責しない
V 戦時性暴力とミソジニー
僕は今一つの肉を要求する
女性たちが売られていく状況をただ見ているしかなかった
女の顔が、女菩薩のやうに見えた
怒りでもなければ悲しみでもない
あの時ほど、美しい妻を見た事がない
■書評・紹介
◆岡和田 晃 2022/02/18 「複言語・複文化主義的な探究、ノイズを含むネットワークとしての文学」,『図書新聞』紹介 (2022年2月26日号) > 第3532号・『声の文学――出来事から人間の言葉へ』
http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3532
■言及
■引用
*作成:
安田 智博
UP: 20220104 REV: 0223
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多文化主義/多言語主義
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文学と生存
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殺生
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