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『東京の生活史』

岸 政彦 編 20210922 筑摩書房,1216p.

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last update: 20210926


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岸 政彦 編 20210922 『東京の生活史』,筑摩書房,1216p.ISBN-10:4480816836 ISBN-13:978-4480816832 4200+ [amazon][kinokuniya] ※ l02. n08. s

『東京の生活史』表紙イメージ

■内容

紀伊国屋書店HPより

150人が語り、150人が聞いた、東京の人生。
いまを生きるひとびとの膨大な語りを一冊に収録した、かつてないスケールで編まれたインタビュー集。

……人生とは、あるいは生活史とは、要するにそれはそのつどの行為選択の連鎖である。そのつどその場所で私たちは、なんとかしてより良く生きようと、懸命になって選択を続ける。ひとつの行為は次の行為を生み、ひとつの選択は次の選択に結びついていく。こうしてひとつの、必然としか言いようのない、「人生」というものが連なっていくのだ。
(……)
そしてまた、都市というもの自体も、偶然と必然のあいだで存在している。たったいまちょうどここで出会い、すれ違い、行き交う人びとは、おたがい何の関係もない。その出会いには必然性もなく、意味もない。私たちはこの街に、ただの偶然で、一時的に集まっているにすぎない。しかしその一人ひとりが居ることには意味があり、必然性がある。ひとつの電車の車両の、ひとつのシートに隣り合うということには何の意味もないが、しかしその一人ひとりは、どこから来てどこへ行くのか、すべてに理由があり、動機があり、そして目的がある。いまこの瞬間のこの場所に居合わせるということの、無意味な偶然と、固有の必然。確率と秩序。
本書もまた、このようにして完成した。たまたま集まった聞き手の方が、たまたまひとりの知り合いに声をかけ、その生活史を聞く。それを持ち寄って、一冊の本にする。ここに並んでいるのは、ただの偶然で集められた、それぞれに必然的な語りだ。
だからこの本は、都市を、あるいは東京を、遂行的に再現する作品である。本書の成り立ち自体が、東京の成り立ちを再現しているのである。それは東京の「代表」でもなければ「縮図」でもない。それは、東京のあらゆる人びとの交わりと集まりを縮小コピーした模型ではないのだ。ただ本書は、偶然と必然によって集められた語りが並んでいる。そして、その、偶然と必然によって人びとが隣り合っている、ということそのものが、「東京」を再現しているのである。
(岸政彦「偶然と必然のあいだで」より抜粋)

■目次


■引用



■書評・紹介


■言及





*作成:安田 智博
UP: 20210926 REV:
ライフヒストリー/生活史  ◇ナラティヴ・物語  ◇社会学  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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