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『ヤングケアラー わたしの語り――子どもや若者が経験した家族のケア・介護』

澁谷 智子編(しぶや ともこ) 20201030 生活書院,211p.

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last update: 20201125

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■澁谷 智子編(しぶや ともこ) 20201030 『ヤングケアラー わたしの語り――子どもや若者が経験した家族のケア・介護』,生活書院,211p. ISBN-10: 4865001182 ISBN-13: 978-4865001181 1500+ [amazon][kinokuniya] ※  a02

■内容

「はじめに」より

 ヤングケアラーとは、ケアが必要な家族の世話をしている一八歳未満の子どものことである。慢性的な病気や障がい、高齢や幼い、などの理由で、家族の誰かが、見守りや世話を必要とし。それを支える人手が充分でない時には、未成年の子どもであっても、年齢の割に重い責任を負い、そうした家族を支えることになる。
 日本では、二〇一四年頃からこうしたヤングケアラーが注目され、具体的な事例も取り上げられるようになった。高校生の子がおばあちゃんの夜中の妄想やトイレ介助に付き添って、自分の学校生活がままならなくなってしまったケース、精神疾患を抱えるお母さんの自殺を止めようと、包丁や紐などを隠していた小学生。子どもが家族の面倒を見ることを「美談」と捉えがちだった日本社会において、「ヤングケアラー」という言葉は割と短期間ですんなりと受け入れられ、子どもの権利や教育の機会を守ろうという方向で支援が考えられるようになってきた。
 ただ、ここに来て、私はしばしばジレンマを感じる。下手をすると、ヤングケアラーが「かわいそうな存在」としてのみ捉えられてしまうという点だ。私自身もそうだが、ヤングケアラーが置かれている状況の厳しさを伝えようとする時には、どうしても、その子たちが経験した苦労の部分を中心に取り上げてしまいがちになる。おそらく、メディアの方々も、限られた紙面や尺の中でヤングケアラーへの支援の大切さを訴えようと。「過酷」「厳しい現実」「閉ざされた未来」といった言葉を使われたのだろうと思う。でも、ヤングケアラーの側から見てみたら、一六歳の時に親のおむつを替えていたという話ばかり焦点を当てて延々と繰り返されるのは、自分の感覚としっくり来ないこともある。もちろん、家族のケアをしたという現実はあり、その時にしんどさを感じたことも事実だが、ヤングケアラーの経験はそれだけでは終わらない。若い時にケアを担ったことは、現在の自分を作っている大事な部分にもなっており、自分のその後の人生を選ぶ時のさまざまな選択につながっている。仕事にも活かされている部分もあれば、自分が親しい人と接する時に何を大切に考えるか、というところにもつながっている。多くのヤングケアラーは、ケアをマイナスのこととしてのみ捉えてはいない。少なくとも、家族のケアをすることを「必要なこと」あるいは「意味のあること」と考えていたからこそ、自分に課せられたケア責任を放り出さずに、それを長年担ったという実態がある。……(後略)……


著者について:amazonより

【編者紹介】
澁谷智子(しぶや ともこ)
1974年生まれ。
成蹊大学文学部現代社会学科教授。
主要著書に『ヤングケアラー――介護を担う子ども・若者の現実』(2018年、中公新書)、『コーダの世界――手話の文化と声の文化』(2009年、医学書院)、編著に『女って大変。――働くことと生きることのワークライフバランス考』(2011年、医学書院)など。

【執筆者紹介(執筆順)】
宮崎 成悟(みやざき せいご)
中学3年生の頃から難病の母を支える。その経験をもとに大手医療機器メーカーに入社。3年目に介護離職。その後、複数の会社を経て、ボーダレス・ジャパングループに参画し、Yancle(株)を創業、ヤングケアラーや若者ケアラーの就職転職支援、当事者同士のオンラインコミュニティの運営などを行う。

橋 唯(たかはし ゆい)
事故の後遺症によって高次脳機能障害と片麻痺が残った母をケア。取り上げられた報道に、「ヤングケアラー」(2019年9月28日、「TBS報道特集」)、「もしかしてケアラー? 介護や世話で疲れていませんか」(2020年5月12、13日、「NHKハートネットTV」)など。

沖 侑香里(おき ゆかり)
医療的ケアが必要な重度心身障害児者である妹と育ち、20代で「親なきあと」「看取り」を経験。その奮闘の様子は貞末麻哉子監督のドキュメンタリー映画「普通に死ぬ~いのちの自立~」に収められている。2018年に「静岡きょうだい会」を立ち上げ、病気や障がいのある兄弟姉妹がいる「きょうだい」を対象にしたピアサポートの場づくりを行う。

秋保 秀樹(あきほ ひでき)
16歳から23歳まで認知症の祖母を介護。一般社団法人日本ケアラー連盟会員。

遠藤 しおみ(えんどう しおみ)
聞こえない両親のもとで育つ。J-CODA(聞こえない親をもつ聞こえる子どもの会)会員。手話通訳士。

名倉 美衣子(なぐら みいこ)
21歳の時に、母が精神疾患を発症。グリーフケア・ファシリテータ。

高岡 里衣(たかおか りえ)
小学4年生の頃に母が難病を発症して以降、約24年間母のケアに携わる。母の病状悪化のため、新卒で入社した会社を2年で退職。その後はケア中心の生活を送る傍ら、秘書業務や講師業などに従事する。


■目次

第1章 誰のせいでもないし、誰も悪くない
第2章 ノートの片隅から
第3章 障がいのある妹と私―「きょうだい」として感じてきたこと
第4章 ケアをめぐる価値観の違い
第5章 耳の聞こえない両親と聞こえる私
第6章 矛盾を抱きしめて生きるということ
第7章 母と過ごした時間について


■引用



■書評・紹介



■言及



■リンク

澁谷智子のホームページ(http://shibuto.la.coocan.jp/)
http://shibuto.la.coocan.jp/



*作成:岩ア 弘泰
UP: 20201125 REV:
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