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『快楽としての動物保護――『シートン動物記』から『ザ・コーヴ』へ』
信岡 朝子 20201007 講談社,408p.
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last update:20210803
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■信岡 朝子 20201007 『快楽としての動物保護――『シートン動物記』から『ザ・コーヴ』へ』,講談社,408p. ISBN-10:4065212596 ISBN-13:978-4065212592 2200+
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※ ae, a09
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内容(「BOOK」データベースより)
私たちは、絶滅が危惧される動物や虐待される動物に胸を痛め、動物を大事にするのはよいことだ、と信じています。しかし、そうした考えの起源は意外に新しいものです。誰もが子どもの頃に手にした『シートン動物記』の著者、テレビ番組の取材中にヒグマに襲われて死去した写真家、そして和歌山県太地町の伝統的なイルカ漁を糾弾する映画ー三つの事例の向こう側に控える時代背景、交錯する思惑、政治的意図、イデオロギーを詳細に追求していく本書は、私たちの常識を心地よく覆します。気鋭の著者が書き上げた読者への挑戦状!
著者略歴
信岡朝子[ノブオカアサコ]
1974年、東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、東洋大学文学部准教授。専門は、比較文学・比較文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
■目次
序論ー東西二元論を越えて
第1章 忘れられた作家シートン
『動物記』とアメリカ
「人種再生」のビジョン
日本科学の精神と『動物記』
孤高の人々ー平岩とシートンの動物観
第2章 ある写真家の死ー写真家・星野道夫の軌跡
Michioの死とその周辺
原野をめぐる言説
星野が見た「アラスカ」
第3章 快楽としての動物保護ーイルカをめぐる現代的神話
なぜイルカなのか
イメージの系譜学
人種階層と動物保護
宇宙を泳ぐイルカ
再び『ザ・コーヴ』へ
■書評・紹介・言及・引用
◆立岩 真也 2022/12/20
『人命の特別を言わず/言う』
,筑摩書房
◆立岩 真也 2022/12/25-
『人命の特別を言わず/言う 補註』
,
Kyoto Books
第2章☆11
『神は何のために動物を造ったのか――動物の権利の神学』
より。
「人間と動物の共同性を強調[する]ことは人類の独自性にかんする伝統的キリスト教を曖昧にしてしまうように思われるかもしれない。[…]しかし、動物を倫理的に扱うことを支持することは、人間が特別であるとか、独自であるという伝統的なキリスト教的見解を放棄することを要求することにつながるであろうか。私はそのようには考えない。以下において私は、人間は道徳的に優れているという見解が、善良なる動物の権利の理論にとっていかに中心的であるかということを示してみよう。私は主張する。人間の独自性は奉仕と自己犠牲の能力者として定義される、と。この視点からすると、人間は一人の大司祭にならって、ただ単に自分自身の種のためだけではなく、感覚をもつ全ての被造物のために自己犠牲的祭司性を実行すべく独自に任務を与えられた種なのである。同胞たる被造物の呻きと労苦は、創造の癒しと解放における神との協同作業ができる種を必要とする。」(Linzey[1994=2001:93])
そんなに(動物に対して)偉そうではない言説もある。
『快楽としての動物保護』
(信岡[2020])の著者である信岡朝子は、『現代思想』が肉食主義を特集した号に寄稿した論文でソローの『森の生活』から以下を引用している。
「人類は進歩するにつれ、動物の肉を食べるのをやめる運命にあると、私は信じて疑わない。ちょうど野蛮な種族が文明人と接触するようになってから、たがいの肉を食べあう習慣をやめたように。」(Thoreau[1854=1995:84-85]、信岡[2022:118]に引用、引用は岩波文庫版、酒本雅之訳のちくま学芸文庫版もある)
なお、「私は、他の生き物を殺して生きる人間には罪があると感じる。そして同じ訳合いでもって、他の生き物にも罪があると言いたい気持ちがある」(小泉[2022:99])と書く
小泉義之
(141頁、144頁)が、その文の後にLinzey[1994=2001]を紹介し、そこから引用していることを記しておく。△132
*作成:
今井 浩登
・
立岩 真也
UP:20210803 REV:20221229
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殺生
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動物実験 Animal Experiment
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人間中心主義|anthropocentrism
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