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『アディクション・スタディーズ――薬物依存症を捉えなおす13章』

松本 俊彦 編 202007 日本評論社,256p.

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last update:20210730

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■松本 俊彦 編 202007 『アディクション・スタディーズ――薬物依存症を捉えなおす13章』,日本評論社,256p. ISBN-10:4535984905 ISBN-13:978-4535984905 1800+ [amazon][kinokuniya] ※ d07

■内容

日本評論社 HPより

薬物のアディクション(依存症)に様々な角度から光を当て、多領域の支援者・当事者が緩やかにつながり、厳罰主義を乗り越える道筋を探る。

■目次

はじめに


【パート1 アディクション・スタディーズの展開】
第1章 心はなぜアディクションに捕捉されるのか――痛みと孤立と嘘の精神病理学……松本俊彦
「ネズミの楽園」実験が示唆するもの
依存症の自己治療仮説
「コントロールできない苦痛」を「コントロールできる苦痛」に
なぜ助けを求めずに一人で苦痛をコントロールするのか
おわりに

第2章 薬物はいかにして「悪」と見なされるに至ったか――「ドラッグ」の社会史……渡邊拓也
ドラッグ前史――古代から近世にかけて
社会問題化する薬物――公衆衛生学の発達
社会的問題から個人的問題へ――嗜癖概念の登場
犯罪化への足がかり――デジェネレッサンスの学説と「危険人物」
薬物中毒の犯罪化――第一次世界大戦と1916年法

第3章 薬物依存症からの回復のターニングポイント――ダルクのエスノグラフィ……南 保輔
エスノグラフィとは
薬物依存症からの回復の困難
二つのダルクとNA
Yダルクのスケジュール
段階を踏んでの回復
ダルクとNAがもたらすもの
Bさんの再使用と再入寮
ダルクの直面する課題とこれから

第4章 生き延びるためのアディクション――ただやめる≠セけで終わらない支援……大嶋栄子
依存症者(アディクト)を取り巻く風景
「生の営みの困難」への応答
「何が起こっているのか」から始める
女性依存症者の回復過程――変化したのか、見過ごしたのか
トラウマ・発達障害とアディクション
それでも「つながり続ける」ことは可能か

第5章 アディクションと刑事処分――刑事施設収容と保護観察は回復に役立っているか……羽間京子
覚せい剤を使用した人に対する日本の司法的対応
薬物依存症を慢性疾患として捉える視点と継続的支援の重要性
刑事施設再入所に関連する要因
おわりに

第6章 痛みとアディクション――オピオイド依存という医原性症候群……山口重樹
オピオイドクライシス/オピオイド使用障害とは
慢性疼痛とアディクション
おわりに


【パート2 アディクションと向き合う社会】
第7章 なぜハームリダクションが必要なのか――つながりと包摂の公衆衛生政策……松本俊彦
法と刑罰による規制の歴史とその効果
ハームリダクションの理念と実際
海外におけるハームリダクション政策の内容とその成果
わが国におけるハームリダクションの可能性
おわりに

第8章 世界の薬物政策はなぜ刑事罰を諦めたのか……丸山泰弘
「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は何をもたらしたか
日本の厳罰化の根拠と薬物乱用防止戦略
近年の薬物政策
刑罰があれば人の行動が変わるという神話
むすびにかえてーー刑事罰を諦めるハームリダクションの挑戦

第9章 アディクションアプローチの現在――ハームリダクションの位置づけ……信田さよ子
四つの柱
その後のアディクションアプローチとプログラム化
ハームリダクション
ハームリダクションの背景
ハームリダクションの向こうに広がる世界
アディクションアプローチがとりこぼしてきた薬物依存
おわりに

第10章 依存症臨床における垂直方向と水平方向――平準化に抗するために……松本卓也
アディクションアプローチとハームリダクション
依存症臨床の変貌――規律社会から安全装置へ
オルタナティヴとしての〈ハームリダクション〉
おわりに――スペクトラム時代に可能なオルタナティヴとは何か

第11章 なぜ医療はアディクションをネグレクトするのか――つながりを断たない医療を目指して……西岡 誠
医療者にとっての依存症
依存症にまつわる言説
内科医もしてみむとてするなり
生活困窮層からホームレスの人々の診療へ
野宿者の深刻な健康状態
「それどころじゃねえんだ」
ハームリダクションとの出会い
やめる「べき」、やめさせる「べき」からの解放
人とのつながり、居場所、役割
路上での知見を診療に

第12章 薬物乱用防止教育とスティグマ――「ダメ。ゼッタイ。」からの脱却は可能か……嶋根卓也
薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」
薬物を使う子どもたち
薬物乱用防止教育の現状
スティグマを軽減させる二つの戦略
おわりに

第13章 なぜ人々は著名人の薬物事件に感情的になるのか――ジャーナリズムと薬物依存症……岩永直子
活躍している大物も逮捕/日本社会で強まる弱者への「不寛容」
政治家の発言や教育の効果
薬物報道ガイドラインとメディアの報道
当事者の発信
今後、薬物報道はどうあるべきか?
おわりに

■引用


■書評・紹介


■言及



*作成:宮内 沙也佳
UP:20210730 REV:
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