・三鷹天命反転住宅の現/元住民(独立研究者・森田真生、映画監督・山岡信貴、建築家・辻真悟)によるエッセイを収録。
・〈初の試み!〉三鷹天命反転住宅に住む家族が、名古屋市外にある荒川+ギンズの構想を元にした志段味循環型モデル住宅に住む家族を訪ねる座談会を実施。
・荒川+ギンズの思想と実践に様々な専門分野から検討を加える研究論文を収録。
・荒川+ギンズに関連する最新のアート・プロジェクトを包括的に紹介。
・マドリン・ギンズが最晩年に取り組んでいた遺稿『ALIVE FOREVER, NOT IF, BUT WHEN』を紹介。
・荒川+ギンズ生前のNYオフィス書棚写真公開。
出版社からのコメント
「人は死ななくなる」「死ぬのは法律違反だ」と主張しつづけた荒川修作は、2010年に亡くなった。『ALIVE FOREVER, NOT IF, BUT WHEN』という著書を執筆しながら、公刊することなくマドリン・ギンズは2014年この世を去った。死すべき運命を根底から覆す「天命反転」を企てた二人の死を、私たちはどう受けとめたらいいのだろうか。
彼らが遺した多くの作品、彼らが語った思想は、今も私たちに強く働きかける。美術館で二人の作品を観て、あるいは奈義町、養老町、三鷹市にある建造物を通して、彼らがやり遂げたかったことを、身をもって体験する。全身で彼らの主張を感じる。荒川+ギンズに関心をもつすべての人にとって、二人は生きているし、永遠に生きつづけている。彼らはすでに天命反転を達成しているのだ。
こんな月並みなことを言って、済まされるわけがない。これを聞いた荒川は「きみたちの常識や倫理では、ぼくの言っていることは少しもわからない」と私たちを叱責しだすことだろう。荒川+ギンズの理論と実践に、私たちは総力戦を挑まなければならない。ちょうど彼らが人間の運命に同様の戦いを仕掛けたように。二人の絵画を身体全体で受けとめること。二人の建築物のなかで光、音、匂い、気配と一体になること。二人の言葉に浸りきること。荒川+ギンズの挑戦の意味を考えるためには、全身で全方向的なアプローチをする必要があるだろう。(三村尚彦、門林岳史「あとがき」より)