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『22世紀の荒川修作+マドリン・ギンズ――天命反転する経験と身体』

三村 尚彦・門林 岳史 編 20191225 フィルムアート社,307p.

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last update: 20191227

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■三村 尚彦 (みむら・なおひこ)・門林 岳史 編 20191225 『22世紀の荒川修作+マドリン・ギンズ――天命反転する経験と身体』,フィルムアート社,307p. ISBN-10: 4845919176 ISBN-13: 978-4845919178 3200+税  [amazon][kinokuniya] ※ b02 p l u/gsce
『22世紀の荒川修作+マドリン・ギンズ――天命反転する経験と身体』

■内容

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「死なないために」とはどういうことなのか? 死すべき存在である人間の運命に戦いを仕掛けた荒川+ギンズの思考に迫る、22世紀の身体論。荒川修作没後10年、今なお刺激に満ちた現在進行形の彼らの思想を再発見していく画期的論集。

「人間は死なない」──死と生命をめぐる独自の発想と思考から、数多くの鮮烈な言葉を残した荒川修作+マドリン・ギンズ。「三鷹天命反転住宅」や「養老天命反転地」をはじめとする彼らの作り上げた様々な空間は私たちの五感や認識のあり方に大きく揺さぶりをかける。不確かな時代であるがゆえの、身体への意識と関心の高まりにおいて、荒川+ギンズの思想は多くの発見や刺激を私たちに与えている。

死すべき存在でありながら、生命を消滅させないという矛盾を荒川+ギンズはどのように乗り越えようとしたのか。人間の運命に戦いを仕掛け、運命を根底から覆す「天命反転」を企てた、今なお/今こそ現在進行形というべき荒川+ギンズの思想と実践を、身体論を軸として、哲学、建築、美術、心理学、教育学などさまざまな専門分野から再検討する。それとともに荒川+ギンズ関連の展覧会、パフォーマンスなどの近年のプロジェクトを包括的に紹介する。

・三鷹天命反転住宅の現/元住民(独立研究者・森田真生、映画監督・山岡信貴、建築家・辻真悟)によるエッセイを収録。
・〈初の試み!〉三鷹天命反転住宅に住む家族が、名古屋市外にある荒川+ギンズの構想を元にした志段味循環型モデル住宅に住む家族を訪ねる座談会を実施。
・荒川+ギンズの思想と実践に様々な専門分野から検討を加える研究論文を収録。
・荒川+ギンズに関連する最新のアート・プロジェクトを包括的に紹介。
・マドリン・ギンズが最晩年に取り組んでいた遺稿『ALIVE FOREVER, NOT IF, BUT WHEN』を紹介。
・荒川+ギンズ生前のNYオフィス書棚写真公開。

出版社からのコメント
 「人は死ななくなる」「死ぬのは法律違反だ」と主張しつづけた荒川修作は、2010年に亡くなった。『ALIVE FOREVER, NOT IF, BUT WHEN』という著書を執筆しながら、公刊することなくマドリン・ギンズは2014年この世を去った。死すべき運命を根底から覆す「天命反転」を企てた二人の死を、私たちはどう受けとめたらいいのだろうか。
 彼らが遺した多くの作品、彼らが語った思想は、今も私たちに強く働きかける。美術館で二人の作品を観て、あるいは奈義町、養老町、三鷹市にある建造物を通して、彼らがやり遂げたかったことを、身をもって体験する。全身で彼らの主張を感じる。荒川+ギンズに関心をもつすべての人にとって、二人は生きているし、永遠に生きつづけている。彼らはすでに天命反転を達成しているのだ。
 こんな月並みなことを言って、済まされるわけがない。これを聞いた荒川は「きみたちの常識や倫理では、ぼくの言っていることは少しもわからない」と私たちを叱責しだすことだろう。荒川+ギンズの理論と実践に、私たちは総力戦を挑まなければならない。ちょうど彼らが人間の運命に同様の戦いを仕掛けたように。二人の絵画を身体全体で受けとめること。二人の建築物のなかで光、音、匂い、気配と一体になること。二人の言葉に浸りきること。荒川+ギンズの挑戦の意味を考えるためには、全身で全方向的なアプローチをする必要があるだろう。(三村尚彦、門林岳史「あとがき」より)

荒川修作の言葉
「ぼくが、そう、マドリン・ギンズも言い始めたけど、建築的身体を作るっていうことは要するにお化けを作るってことなんだ。私の延長になるお化けを。僕はそれができるってことが分かったんだ。いいか、生命は見つけるものじゃないんだよ、作り上げるものなんだよ。」──荒川修作

■著者略歴

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三村 尚彦(みむら・なおひこ)
関西大学文学部哲学倫理学専修教授。専門は現象学、現代哲学、哲学的身体論。著書に『体験を問い続ける哲学 第1巻 初期ジェンドリン哲学と体験過程理論』(ratik、2015年)、訳書にベルンハルト・ヴァルデンフェルス『経験の裂け目』(共訳、知泉書房、2009年)、論考に「『建築する身体』と『ランディング・サイト』」『関西大学東西学術研究所紀要』第50号(2017年)などがある。

門林 岳史(かどばやし・たけし)
関西大学文学部映像文化専修准教授。専門はメディアの哲学、映像理論。著書に『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?──感性論的メディア論』(NTT出版、2009年)、訳書にロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン──新しい人文学に向けて』(監訳、フィルムアート社、2019年)、論考に「ヘレン・ケラーになるために──荒川修作と共感覚」(北村 紗衣 編『共感覚の地平──共感覚は共有できるか』電子書肆さえ房、2012年)など。

■執筆者・訳者一覧

レンスケ・マリア・ファン・ダム、大貫 菜穂、磯崎 新、本間 桃世、小室 弘毅、松田 剛佳、森田 真生、山岡 信貴、辻 真悟、ST・ルック、富井 玲子、岡村 心平、染谷 昌義、村川 治彦、稲垣 諭、アマラ・マグローリン、手塚 美和子、アイリーン・ソヌ、伊村 靖子、松井 茂、エイドリアン・ハート、小林 園子、木田 真理子、小石 祐介

■目次

巻頭・口絵
天命反転する場所
テキスト
レンスケ・マリア・ファン・ダム「黄色い球体、ご機嫌いかが?──荒川+ギンズとともに天命反転する」

荒川修作、マドリン・ギンズ 追悼文(磯崎 新)
「荒川修作──無明の境地をさまよった人」
「マドリン・ギンズ──コトバにならないコトバの交信」

第1部 天命反転住宅の経験
本間 桃世「ブランキーまたはチェ・ゲバラ──ARAKAWA + GINSに寄り添って」
小室 弘毅「天命反転+マインドフルネス!──荒川+ギンズの天命反転思想を体験から読み解く」

座談会
「天命反転座談会──三鷹の住民が志段味を訪れる」構成/門林 岳史

三鷹天命反転住宅の(元)住民から
森田 真生「天命反転住宅の子」
山岡 信貴「反転住宅を受けとめること」
辻 真悟「OTP被検体 No.006A号に関する居住実験記録 中間報告書(概要版)」

センターカラー
ARAKAWA+GINSの書棚
テキスト
ST・ルック「Rrrrreading ハウストン通西124番の本棚」

第2部 22世紀の身体論
三村 尚彦「仮説としての荒川+ギンズ──『建築する身体』の切り閉じ」
岡村 心平「「臨床的手続き」としての建築とその使用法──ジェンドリンと荒川+ギンズ」
染谷 昌義「ヘレン・ケラー経験はアラカワ作品をどう見せるか──ウィリアム・ジェイムズから示唆を得る」
村川 治彦「荒川+ギンズ〈が〉「死なないために」」
稲垣 諭「ARAKAWA+GINS「から/に向けて」の「社会/技術」批判」

第3部 オンゴーイング・荒川+ギンズ
アマラ・マグローリン+手塚 美和子「メイキング・オブ・アラカワ展@Gagosian NY」

「荒川修作+マドリン・ギンズ──永遠の傾き」展
テキスト
アイリーン・ソヌ「《問われているプロセス/天命反転の橋》一九八七-八九」
伊村 靖子・松井 茂「都市計画の模型──受容論としての《養老天命反転AR》」

小特集 ネオン・ダンス《パズル・クリーチャー》
エイドリアン・ハート「ディレクターの言葉」
門林 岳史「鑑賞者の経験」
木田 真理子「ダンサーの経験」

小石 祐介「DOVER STREET MARKET NEW YORKと私と荒川修作+マドリン・ギンズ」
門林 岳史「資料紹介 マドリン・ギンズ遺稿『ALIVE FOREVER, NOT IF, BUT WHEN』」

巻末資料
編著者略歴/執筆者・訳者略歴
荒川修作+マドリン・ギンズ関連主要日本語文献一覧(作成/松田 剛佳・門林 岳史)

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:岩ア 弘泰
UP: 20191226 REV:20191227
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